説明

外科用ガイドワイヤを操作するための方法および装置

外科用ガイドワイヤを操作するための方法および装置。装置は、原動力を外科用ガイドワイヤに選択的に結合するためのチャックと、チャックに結合されて軸線方向原動力をチャックに与えるためのアクチュエータとを備える。本発明の実施形態は、装置を使用する方法を更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の実施形態は、外科処置における外科用ガイドワイヤの利用に関し、特に、外科用ワイヤを操作するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]外科用ガイドワイヤ(本明細書中では、ガイドワイヤとも称する)は、一般に、血管内外科処置で行なうための初期アクセスポイントとして使用される半硬質プローブである。ガイドワイヤは、医師が処置したい場所にガイドワイヤ先端を位置決めするために、アクセス血管に通されてねじられ、曲げられ、あるいは、操作される。
【0003】
[0003]従来のガイドワイヤ操作方法は、しばしば、ガイドワイヤにトルクを印加して、曲がりくねって詰まった血管を通じたガイドワイヤの通過を助ける。一般に、ガイドワイヤを人の指先で回転させると、詰まったおよび/または困難な通路を通じたガイドワイヤの操作を助けるためのトルクがもたらされる。この技術は、ヘリコプターの回転翼をほのめかす「ヘリコプタリング」としても知られている。
【0004】
[0004]しかしながら、トルクの印加は困難である。これは、外科用ガイドワイヤが極めて小さい直径を有し且つ一般に血管の通過を促すための低摩擦面を有するからである。また、医師の手袋にはしばしば血液または生理食塩水溶液が付着し、それにより、ガイドワイヤの滑りが更に高まる。この点において、ヘリコプタリングおよび同様の操作に時間がかかり、非効率的となる可能性がある。この非効率性は、医師にフラストレーションを起こさせるだけでなく、処置完了時間を延ばし、したがって、処置コストを増大させる。
【0005】
[0005]また、血管内で障害物に直面する場合、医師は、一般に、軸線方向動作を振動態様で加え、ガイドワイヤを押し進めて障害物に通すあるいは通過させる。外科手術中、血管外科医師は、慢性のおよび/または石灰化した閉塞部に直面する場合がある。そのような閉塞部は、石膏に酷似する硬度を持つ硬いシェルを有する。これらの形態の障害物は、ガイドワイヤの手動操作によって突き抜けることが困難である可能性があり、時として突き抜けることが不可能である。その結果、そのような困難な障害物に直面するときには、処置が放棄される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、当該技術分野においては、ガイドワイヤを操作するための方法および装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の実施形態は、一般に、外科用ガイドワイヤを操作するための方法および装置を備える。具体的には、装置は、原動力を外科用ガイドワイヤに選択的に結合するためのチャックと、チャックに結合され、軸線方向原動力をチャックに与えるためのアクチュエータとを備える。本発明の実施形態は、装置を使用する方法を更に備える。
【0008】
[0008]本発明の前述した特徴を詳細に理解できるように、先に簡単に要約された本発明の更に特定の説明が実施形態を参照することによりなされる場合があり、実施形態の一部が添付図面に示される。しかしながら、添付図面は、この発明の単なる典型的な実施形態を示しており、したがって本発明の範囲を限定すると見なされるべきではく、本発明に関しては他の等しく効果的な実施形態が許容され得ることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る、患者に使用されるガイドワイヤ操作装置の1つの実施形態の図を示している。
【図2】本発明の一実施形態に係るガイドワイヤ操作装置の概略ブロック図を描いている。
【図3】本発明の一実施形態に係るガイドワイヤ操作装置の垂直断面図を描いている。
【図4】図3のガイドワイヤ操作装置で使用されるアクチュエータの一部を描いている。
【図5】図3のガイドワイヤ操作装置を使用するときに軸線方向原動力をガイドワイヤに与えるチャックのハブの斜視図を描いている。
【図6】本発明の一実施形態にしたがってガイドワイヤ操作装置のためのコントローラのブロック図を描いている。
【図7】ガイドワイヤ操作装置の別の実施形態の垂直断面図を描いている。
【図8】図7のガイドワイヤ操作装置のためのガイドワイヤ駆動アセンブリの一部の部分斜視図を描いている。
【図9】図7のガイドワイヤ操作装置のためのハウジングの一部の断面図を描いている。
【図10】本発明の1つの実施形態にしたがってガイドワイヤに軸線方向原動力を加えるように係合されるアクチュエータを有する図7のガイドワイヤ操作装置の垂直断面図を描いている。
【図11】軸線方向原動力をガイドワイヤに与えるためのガイドワイヤ操作装置の他の実施形態の部分垂直断面図を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0020]本発明の実施形態は、外科用ガイドワイヤを操作するための方法および装置を備える。方法および装置は、原動力(回転動作および/または軸線方向(直線)動作)を外科用ガイドワイヤに選択的に与えるためのガイドワイヤ操作装置において具現化される。使用中、そのようなガイドワイヤ操作装置は、外科用ガイドワイヤに対して選択的にロックされて、血管内処置中にガイドワイヤを所望の位置へ移動させるための原動力を与えるように作動される。ガイドワイヤに加えられる原動力は、血管を貫通しておよび/または閉塞部を突き抜けて外科用ガイドワイヤを容易に移動させるために回転または軸線方向で選択される。
【0011】
[0021]図1は、本発明の1つの実施形態に係る患者110に使用されるガイドワイヤ操作装置100の図を示している。1つの実施形態において、ガイドワイヤ操作装置100は、ユーザの手のひらに適合して片手により操作できる手持ち式の装置である。1つの実施形態では、ガイドワイヤ操作装置100が外科用ガイドワイヤ102上にわたって押し進められる。すなわち、ガイドワイヤ102が装置100の長手方向に向けられる通路を通り抜ける。血管内処置中、ガイドワイヤ102が患者110の血管106(例えば、大腿動脈)内に導入される。ガイドワイヤ操作装置100はガイドワイヤ102に対して選択的にロックされる。ガイドワイヤが患者内へ押し進められるにつれて、ユーザは、必要に応じて、操作装置100を操作してガイドワイヤ102に対して原動力(回転動作および/または軸方向動作)を与える。
【0012】
[0022]例えば、ガイドワイヤ102の先端108が血管106の曲がった部位または湾曲部位に達すると、ユーザは、操作装置100をガイドワイヤに対してロックして回転原動力をガイドワイヤ102に(例えば、矢印104により示される反時計回り方向に)与え、それにより、ガイドワイヤ102の先端108を血管106の曲がった部位または湾曲部位を通じて更に容易に押し進ませる。装置100が前述の部位を通り越して押し進められると、ガイドワイヤに対する装置100のロックを解除して、ガイドワイヤを血管を通じて更に押し進めることができる。他の例では、ガイドワイヤ102の先端108が障害物(例えば、塞栓部)に達するが該障害物を通過できない。このとき、ユーザは、ガイドワイヤ操作装置100をガイドワイヤ102に対してロックして振動を与える(例えば、時計回りと反時計回りとの間で急速に振動させる)。そのような動作により、ガイドワイヤ102の先端が障害物を通過する。他の例では、ガイドワイヤ102の先端が障害物に達すると、ユーザは、ガイドワイヤ操作装置102をガイドワイヤ102に対してロックして、ジャックハンマー効果をもたらすために軸線方向動作(例えば、ガイドワイヤ102の直線動作)を与える。他の実施形態において、ユーザは、装置100をガイドワイヤ102にロックすると同時に、回転動作および軸線方向動作の両方をガイドワイヤ102に与えてもよい。本発明の他の実施形態では、以下で詳しく説明されるように、動作を制御するためのコンピュータプログラムを使用して一連の所定のガイドワイヤ操作(すなわち、パターン)が生み出されてもよい。様々な外科的状況で選択的に使用されるべき様々な動作パターンをメモリから選択してガイドワイヤに適用することができる。
【0013】
[0023]図2は、ガイドワイヤ操作装置100の1つの実施形態の概略ブロック図を描いている。ガイドワイヤ操作装置100は軸線方向に延びる長手方向通路204を形成し、使用中にガイドワイヤ102が長手方向通路204に通される。ガイドワイヤ操作装置100は、ハウジング200と、アクチュエータ206と、チャック202とを備える。チャック202はガイドワイヤロック機構208を備える。使用中、チャック202はロック機構208を使用してガイドワイヤ102に対してロックされる。ロックされると、アクチュエータは、原動力(回転動作および/または軸線方向動作)をガイドワイヤ102に対して選択的に与える。
【0014】
[0024]図3は、ガイドワイヤ操作装置100の1つの実施形態の垂直断面図を描いている。この実施形態では、図2のアクチュエータ206が回転アクチュエータ206Aと軸線方向アクチュエータ206Bとに分けられ、それにより、装置は、原動力無し、回転原動力、または、回転・軸線方向原動力をガイドワイヤに対して選択的に適用することができる。
【0015】
[0025]装置100はハウジング200を備えており、該ハウジングは、一般に、互いに接着され、螺合され、あるいは、取り付けられて筐体を形成する半体の形態を成す。ハウジング200内にはスロット350が形成され、該スロット内にブシュ302Aおよび302Bが保持される。ブシュ302Aおよび302Bはアクスル(軸)300を支持する。アクスル300は、アクスル300を軸線方向に貫通して延びる通路204を形成する。使用中、ガイドワイヤ102が通路204に通される。
【0016】
[0026]回転アクチュエータ206Aは、アクスル300と、モータ328と、駆動アセンブリ326と、コントローラ330と、制御スイッチ332とを備える。図4に関連して以下で更に説明するように、駆動アセンブリ326は、複数の歯車を使用してモータ328の回転動作をアクスル300に結合する。本発明の1つの実施形態において、コントローラ330は、制御スイッチ332を介してモータ328に結合される単なる1つ以上のバッテリである。そのような実施形態において、制御スイッチ332は、単に電圧を1つ以上のバッテリからモータ328へ印加してモータ328を回転させてもよい。その最も簡単な形態では、制御スイッチ332が単なる単極スイッチ、単投(SPST)スイッチ、瞬間接触スイッチである。より複雑な実施形態では、図6に関して以下で説明するように、コントローラ300がプログラマブルマイクロコントローラを備える。他の実施形態において、スイッチ332は、モータ328を時計回りまたは反時計回りに選択的に回転させるために電圧を印加してもよい。制御スイッチ332は、一般に、ハウジング200の外部に露出されてユーザの片手による操作を容易にするように取り付けられる(例えば、親指で作動されるプッシュボタンまたはスライドスイッチ)。
【0017】
[0027]アクスル300はチャック202に結合される。1つの実施形態において、チャック202は、カプラ304と、ハブ324と、楔314とを備える。カプラ304およびアクスル300は、カプラ304が軸線方向に移動できるようにしつつアクスル300の回転動作をチャック202に結合させるためのスプライン嵌合面342を有する。ハブ324は面312でカプラ304に螺合される。楔314は、カプラ304によって形成される窓部352内に配置される。ハブ324は、窓部352内に楔314を保持する。非係合(ロック解除)位置において、ハブ324は楔314に対して圧力を与えず、それにより、ガイドワイヤ102は、楔314の下方で通路204を通じて自由にスライドできる。ガイドワイヤをロック機構208にロックさせるため、ハブ324がカプラ304に対して回転され、それにより、ハブ324の傾斜面316が楔314の上面318と相互に作用する。ハブ324が嵌め合い螺合面312を介してカプラ304に対して移動されるにつれて、楔314がガイドワイヤ102に押し付けられる。その結果、ガイドワイヤが楔314とカプラ304との間で捕捉され、それにより、ガイドワイヤがチャック202にロックされる。ロックされると、チャック202の任意の動作が原動力としてガイドワイヤ102に与えられる。
【0018】
[0028]本発明の他の実施形態は他の形態のチャックを利用する。広い意味で、ガイドワイヤを原動力源に対して選択的にロックするために使用され得る任意の機構が用いられてもよい。複数のジョーを有する他の形態のチャックまたは圧縮スロット付きシリンダを適用できる。
【0019】
[0029]カプラ304は、スプリング306の第1の端部を支持するスプリングシート354を備える。スプリング306の第2の端部は、ハウジング200の内面から延びるフランジ322に当接する。スプリング306は、カプラ304をアクスル300へ向けて内側へ付勢する弾性部材の1つの実施形態である。カプラ304は、カプラ304の外面から径方向に延びるフランジ320を更に備える。フランジ320は、チャック202に与えられ得る軸線方向動作の大きさを制限するためにカプラ304に沿って配置される。したがって、スプリング306は、フランジ320とフランジ322との間の接触を維持するようにカプラ304を付勢する。
【0020】
[0030]軸線方向動作をチャック202に与えるため、ハブ324の下面356に窪みが設けられる。面356は、ハブ324の面356に隣接するハウジング200の外面から延びる突起336と相互に作用する。カプラ304に対するハブ324の位置に応じて、スプリング306は、突起336が窪みのある面356と相互作用するようにする。チャック202をガイドワイヤ102に対してロックしてチャック202に回転を与えると、ガイドワイヤ102が矢印358によって示されるように軸線方向に移動する。軸線方向の原動力を解放するため、ハブ324がねじ312に沿ってカプラ304に対して回転されて、突起336が面356から分離される。このようにして、ロック機構208は、軸線方向動作を与えることなくアクスル300の回転動作がガイドワイヤ102に与えられるようにガイドワイヤ102を保持する。この実施形態において、軸線方向動作アクチュエータ206Bは、ハブ324と、スプリング306と、カプラ304と、ハウジング200とを備える。
【0021】
[0031]図4は、本発明の1つの実施形態に係る図3の4−4線に沿う回転アクチュエータ206Aの駆動アセンブリ326の断面図を描いている。駆動アセンブリ326は、モータ歯車400と、中間歯車402と、アクスル歯車404とを備える。図3のモータ328は、モータ歯車400に結合されてモータ歯車に回転動作を与える。1つの実施形態において、アクスル歯車404は、図3のアクスル300のこの面の一体部分として形成される。中間歯車402は、モータ歯車400とアクスル歯車404との間に所定の歯数比を与えるように形成される。各歯車の直径および歯数は、ガイドワイヤの回転動作の速度および軸線方向動作の振動速度を見出す設計上の選択であると考えられる。
【0022】
[0032]他の実施形態において、図3のモータ328は、他の形態の駆動アセンブリ、例えばダイレクトドライブやウォームギヤ等を介して、アクスルに結合されてもよい。特定のモータおよび駆動アセンブリ特性は、特定のガイドワイヤ回転速度およびトルクを生み出すための設計上の選択と見なされる。幾つかの実施形態において、駆動アセンブリは、特定の速度およびトルクプロファイルまたは調整を容易にもたらすように調整できてもよい。1つの形態の調整は、後述するように、コントローラによって生成されるパルス幅変調信号を用いて制御され得るステッピングモータの使用によって容易にされてもよい。
【0023】
[0033]選択可能な方向で回転原動力を与えるための別の実施形態は、電気モータによって一方向に絶えず駆動される共通シャフトに取り付けられる2つの大径の平歯車を備えるギヤトレインを使用する。2つの平歯車のそれぞれは、その歯のその総数の1/2よりもやや多い部分が除去される。除去された歯の部分は、2つの更なる小さい平歯車の一方または他方だけが一度に駆動されるように配置され、2つの更なる小さい平歯車のそれぞれは、これらの共通シャフト歯車のうちの1つによって駆動されるように配置される。このとき、2つの小さい平歯車は、アクスル上の歯車を駆動させるために1つずつ使用されるが、これらの駆動歯車のうちのただ1つとアクスル歯車との間の1つの更なる歯車の位置決めは、そのセットがアクスル歯車を駆動しているときに逆転されるアクスルの回転方向をもたらす。
【0024】
[0034]他の実施形態は、両方向で略一定の回転速度を伴うことなく正転および逆転だけが必要とされる場合、アクスル上の平歯車が枢支された1/4円形状プレートによって駆動される。先端近傍の枢軸と反対側の歯付き湾曲部分は、アクスル平歯車と噛み合うように正しいピッチ半径を有する。この枢支歯車部分プレートは、その枢軸から上方へ延びて、その面にスロットを有しており、該スロット内で、ディスク上に偏心して取り付けられるピンが上下に自由にスライドできる。電気モータがこのディスクを一定の方向に回転させると、それにより、枢支プレートが前後に揺れ、その結果、その歯車部分がアクスル平歯車を一方向に駆動させ、その後、逆方向に駆動させる。
【0025】
[0035]図5は本発明の1つの実施形態に係るハブ324の斜視図を描いている。ハブ324は、複数の窪み504と、窪み504間の空間502とを有する面356を備える。ハブ324はねじ付き内面312を更に備える。ねじ付き内面312は、カプラ304のねじ付き外面と相互に作用するようになっており、カプラ304および楔314に対するハブの位置を調整するようになっている。窪み504および窪み間の空間502は、軸線方向動作をチャック202に与えるために突起336と相互に作用するようになっている。窪みの間隔およびモータの速度は軸線方向動作の振動速度を制御する。また、面356上の空間504に対する窪み504の深さは、軸線方向動作の移動距離を制御する。
【0026】
[0036]図6は、本発明の1つの実施形態に係るコントローラ330のブロック図を描いている。コントローラ330は、マイクロコントローラ600と、サポート回路602と、メモリ604と、電源606とを備える。マイクロコントローラ600は、多くの市販のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)等のうちの1つ以上であってもよい。サポート回路602は、クロック回路、キャッシュ、電源、入力/出力回路、インジケータ、センサ等を含むがこれらに限定されない、マイクロコントローラ600の動作を容易にする良く知られた回路を備える。1つの実施形態では、電源606が1つ以上のバッテリを備える。他の実施形態において、電源606は、ガイドワイヤ操作装置を壁面コンセントに差し込むことができるようにAC/DC変換器を備えてもよい。更なる実施形態では、電源606が1つ以上のバッテリを備えてもよく、また、バッテリ用の充電回路がベースチャージャに誘導結合されてもよい。
【0027】
[0037]メモリ604は、マイクロコントローラ600のためのデジタル命令およびデータを記憶するために使用される任意の形態のメモリデバイスであってもよい。1つの実施形態において、メモリ604は、アクチュエータ206を制御して動作をガイドワイヤに与えるために使用される制御コード608(例えば、コンピュータ可読命令)を備えるランダムアクセスメモリまたはリードオンリーメモリである。アクチュエータ206を制御するためにマイクロコントローラ600によって利用されるプログラムは、一般に、制御スイッチ332および/または他の入力デバイスによって制御される。
【0028】
[0038]本発明の1つの実施形態において、モータ328は、例えば特定のトルクおよび/または速度プロファイルをモータ328に与えるためにコントローラ332によって生成されるパルス幅変調信号を使用して制御されるステッピングモータである。幾つかの実施形態では、ユーザがガイドワイヤの経路中の特定のタイプの障害物を乗り越えることができるように、所定のプログラムを生成してスイッチ332の操作により選択することができる。例えば、医師が特定のタイプの塞栓部に直面する場合には、障害物を乗り越えるためにガイドワイヤの動作を規定する特定のプログラムを選択して実行することができる。血管内処置でのガイドワイヤ利用の実証的研究によって様々なプログラムを生成することができる。特定の動作パターンを選択するために、スイッチが複数の選択可能な位置を有するスライドスイッチであってもよい。この場合、それぞれの位置が異なる動作パターンに対応する。
【0029】
[0039]図7は、本発明の別の実施形態に係るガイドワイヤ操作装置650の垂直断面図を描いている。この実施形態において、軸線方向動作の使用は、機械的なスイッチ702の操作によって選択される。先の実施形態と同様、この実施形態は、原動力無し、回転原動力、または、回転・軸線方向原動力をガイドワイヤに対して選択的に与える。図3に関して前述したように、装置650は回転アクチュエータ206Aを備える。この実施形態において、カプラ700は、スプリングシート750と、窪み付きフランジ710と、スイッチストッパ752とを備える。スライド可能なスイッチ702は、スイッチシート752と相互に作用する延在部704を備える。スイッチシート752およびスプリングシート754は、スイッチ延在部704を捕捉する空間706を画定する。スイッチ702の操作により、カプラ700は、アクスル300と嵌合する面に沿って軸線方向に移動する。スプリング708はスプリングシート705とハウジングフランジ322との間に配置される。スプリング708はカプラをアクスル300へ向けて内側に付勢する。窪み付きフランジ702はカプラ700から径方向に延びる。カプラ700が軸線方向に移動する距離を制限するため、窪み付きフランジの一方の面がハウジングフランジ322に当接する。窪み付きフランジ710は、ハウジング200の窪みのある面712と位置合わせされる面を有する。ガイドワイヤがチャック202に対してロックされて回転アクチュエータ206Aが作動されると、ガイドワイヤ102が軸線方向動作を何ら伴うことなく回転する。図10に関連して以下で更に説明するように、フランジ710の窪みのある面を窪みのある面712と係合させるためにスイッチ702が前方へ移動されると、ガイドワイヤ102の軸線方向原動力がガイドワイヤ102に対して与えられる。
【0030】
[0040]図8は、本発明の1つの実施形態に係るカプラ700の部分斜視図を描いている。カプラ700は、ガイドワイヤが通される開口806を有する。窪み付きフランジ710は、表面に複数の窪み800が形成される径方向に延びるフランジ802を備える。1つの実施形態では、窪みが一連の楔として形成される。他の実施形態では、カプラ700が回転されるときにチャックの軸線方向動作を引き起こすために、フランジ802の表面を、対応する面との相互作用がカプラ700の軸線方向動作を引き起こすように変える必要がある。
【0031】
[0041]図9は、図7の線9−9に沿うハウジング200の断面図を描いている。1つの実施形態に置いて、面712は、カプラ700の面800の窪みと相互に作用するように形成される対応する突起を備える。他の実施形態において、面712は、カプラ700の面800に対して相補的な楔900を備えてもよい。楔の形状は、一部分において、ガイドワイヤの移動距離、カイドワイヤの加速度、および、ガイドワイヤ振動速度を規定する。
【0032】
[0042]図10は、図7のガイドワイヤ操作装置650の一実施形態を描いている。この場合、窪み付きフランジ710が突起面712と係合してしまっている。このようにすると、スイッチ702は、面710および712の係合を容易にするためにカプラ700を前方へ移動させている。チャック202がガイドワイヤ102に対してロックして、回転アクチュエータが作動されると、ガイドワイヤ102は、矢印1002で示されるように回転して、矢印1000により表わされるように軸線方向に振動する。
【0033】
[0043]図11は、ガイドワイヤ操作装置1100の一部の垂直断面図を描いている。装置1100は、ガイドワイヤの回転動作を与えることなく選択的に利用され得る軸線方向アクチュエータ206Bを備える。したがって、この実施形態を用いると、装置110は、原動力無し、回転原動力、軸線方向原動力、または、軸線方向・回転原動力をガイドワイヤに対して選択的に与える。
【0034】
[0044]1つの実施形態において、装置1100は、てこ台1112と相互に作用するシャフト1114に結合するリニアアクチュエータ1116を備える。リニアアクチュエータ1116は直線動作をてこ台1112の一部に与える。てこ台は枢支点1120に取り付けられ、それにより、直線原動力がてこ台1112に対して加えられると、てこ台1112が枢支点1120を中心に回転する。てこ台1112の第2の端部はカプラ1104と相互に作用する。カプラ1104は、先の実施形態と同様、必要に応じて回転動作をカプラに与えるためにアクスル300と相互に作用するスプライン面を有する。カプラ1104はスプリングシート1108を備える。カプラ1104をアクスル300へ向けて付勢するために、スプリング1106がハウジング1102とスプリングシート1108との間に配置される。てこ台1102は、てこ台1102の動作がカプラ1104を軸線方向に移動させるようにスプリングシート1108に結合する。このようにして、回転動作を何ら伴うことなく、リニアアクチュエータ1116は、カプラ、および、チャック202でロックされるガイドワイヤ102に対して軸線方向動作を与える。
【0035】
[0045]1つの実施形態において、リニアアクチュエータ1116は、ソレノイド、圧電アクチュエータ、リニアモータ、回転モータ、および、ボールスクリューまたはラック/ピニオン等であってもよい。他の実施形態では、軸線方向力をガイドワイヤに与えるために、ハンマー−ドリル型のアセンブリが使用されてもよい。
【0036】
[0046]図3のモータ328を制御するために説明された態様と同様の態様のコントローラ300がリニアアクチュエータ1116を制御してもよい。
【0037】
[0047]以上の説明は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく本発明の他の更なる実施形態が案出されてもよく、また、本発明の範囲は以下の請求項によって決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術で使用される外科用ガイドワイヤを操作するための装置であって、
原動力を外科用ガイドワイヤに選択的に結合するためのチャックと、
前記チャックに結合され、軸線方向原動力を前記チャックに与えるためのアクチュエータと、
を備える装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが回転原動力を前記チャックに与える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャックが、前記チャックを外科用ガイドワイヤに対して選択的にロックするためのロック機構を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チャックが、
前記アクチュエータから原動力を受けるためのカプラと、
前記カプラに結合されるハブと、
前記カプラの窓部内に配置されて、前記ハブによって前記窓部内に保持される楔であって、前記ハブと相互に作用して前記楔をガイドワイヤロック位置とガイドワイヤロック解除位置との間で移動させる傾斜面を有する楔と、
を備える、請求項1の記載の装置。
【請求項5】
前記ハブが突起と相互に作用するための窪みのある面を備え、前記アクチュエータが回転原動力を前記ハブに与え、前記突起と相互に作用する前記窪みのある面が軸線方向原動力を生み出す、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カプラが、突起と相互に作用するための窪みのある面を有する径方向に延びるフランジを備え、前記アクチュエータが回転原動力を前記カプラに与え、前記突起と相互に作用する前記窪みのある面が軸線方向原動力を生み出す、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが前記チャックに結合されるリニアアクチュエータを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータの作動を制御するためのコントローラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラが複数の原動力パターンを伴ってプログラムされる、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ユーザの手のひらに適合するように寸法付けられるハウジングを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
外科手術中に外科用ガイドワイヤを操作する方法であって、
ガイドワイヤ操作装置にガイドワイヤを通すステップと、
前記ガイドワイヤを前記ガイドワイヤ操作装置に対してロックするステップと、
前記ガイドワイヤ操作装置を作動させて、軸線方向原動力を前記ガイドワイヤに与えるステップと、
を備える方法。
【請求項12】
前記通すステップが、前記ガイドワイヤ操作装置を貫通して長手方向に向けられる通路に前記ガイドワイヤを通す工程を更に備え、前記通路が回転アクチュエータに結合されるアクスルによって形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ロックするステップが、チャックを前記ガイドワイヤに対して選択的にロックする工程を更に備え、前記チャックが前記アクスルに結合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回転アクチュエータを作動させて前記アクスルおよび前記チャックを回転させるステップを更に備え、前記チャックが突起と相互に作用して軸線方向原動力を前記ガイドワイヤに与える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記作動させるステップが、リニアアクチュエータを作動させて軸線方向原動力を前記ガイドワイヤに与える工程を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
外科手術で使用される外科用ガイドワイヤを操作するための装置で、
原動力を外科用ガイドワイヤに選択的に結合するためのチャックであって、
カプラと、
前記カプラに結合され、突起と相互に作用するための窪みのある面を有するハブと、
前記カプラの窓部内に配置されて、前記ハブによって前記窓部内に保持される楔であって、前記ハブと相互に作用して前記楔をガイドワイヤロック位置とガイドワイヤロック解除位置との間で移動させる傾斜面を有する楔と、
を備えるチャックと、
前記チャックに結合され、回転原動力を前記カプラに与えるためのアクチュエータであって、前記アクチュエータが回転原動力を前記カプラに与え、前記突起と相互に作用する前記ハブの前記窪みのある面が前記チャックに作用する軸線方向原動力を生み出す、アクチュエータと、
を備える装置。
【請求項17】
前記アクチュエータに結合され、前記アクチュエータの作動を制御するためのコントローラを更に備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コントローラが複数の原動力パターンを伴ってプログラムされる請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記チャックおよび前記アクチュエータを支持し、ユーザの手のひらに適合するように寸法付けられるハウジングを備える請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記アクチュエータが、反時計回り方向および時計回り方向の回転原動力を選択的に与えるための複数の歯車を備える請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−517302(P2012−517302A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549330(P2011−549330)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/023629
【国際公開番号】WO2010/093630
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511194544)ヴェサテック エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】