説明

外科用テンプレート

【課題】手術用テンプレートシステム、このテンプレートシステムの製造方法、位置決め手段の製造方法、および人工膝関節を骨に装着する方法、このテンプレートシステムを用いる手術方法、およびこのテンプレートシステムとともに用いる手術装置を提供する。
【解決手段】骨の手術用テンプレートシステムとして、骨の手術に用いられるツールを収容して案内するガイド孔200を有するツールガイドコンポーネント2と、骨面に当接する端面61を有する複数の位置決め手段6を含む位置決めコンポーネント1と、ツールガイドコンポーネント2を位置決めコンポーネント1に、位置調整ができないように固着させるねじ3とを設ける。位置決め手段6の端面61は、骨面の種々の位置で係止し、かつツールガイドコンポーネントのガイド孔は、位置決め手段6の端面61に対して、所定の位置関係において固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨に取り付けられる外科用テンプレートシステム、特に膝関節全体を置置換する手術に用いられるテンプレートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
骨を切断・穿孔したり、骨に人工関節を取り付けるために形状を調整したりする際に用いられる外科用テンプレートシステムは、すでに知られている。
【0003】
特許文献1には、人工膝関節全置換術用テンプレートシステムが開示されている。このテンプレートシステムは、骨に装着した後、さらに位置を調整しなければならず、このための位置調整機構(位置合わせのために骨面上で回動しうる位置決めコンポーネント)を備えている。すなわち、テンプレートシステムは、骨に装着する際に、位置が不正確になりやすいため、テンプレートシステムの正確な位置決めを支援するCASシステム(カメラを用い、コンピュータによって光学的に支援される手術システム)を使用しうるよう、このCASシステムによって追跡することのできるトラッカーを、位置決めコンポーネントに取り付けている。すなわち、テンプレートシステムを用いる場合は、手術の現場で、位置決めコンポーネントの位置を調整しなければならない。
【0004】
このような位置決めコンポーネントの位置調整は、テンプレートシステムの装着作業が複雑となり、時間がかかるとともに、骨の切断回数も多くなるため、好ましくない。さらに、このようなテンプレートシステム自体、およびCASシステムも、操作が複雑で、高価である。すなわち、位置調整が必要なテンプレートシステムは、位置調整を必要としないテンプレートシステムに比べて、製造にコストがかかる。また、このような位置調整機構は、取り扱いに失敗するおそれがあり、使用後の洗浄も困難である。
【0005】
特許文献2は、関節領域の骨面と当接するように鋳型で成形された位置決めコンポーネントと、この位置決めコンポーネントと繋がり、かつツール案内孔を有するツールガイドとからなる外科用テンプレートを開示している。位置決めコンポーネントは、患者一人一人に合わせて設計することができる。また、位置決めコンポーネントはツールガイドを患者の体組織へ向けて位置決めするために用いられる。膝置換術の場合、位置決めコンポーネント用の鋳型は、大腿骨や脛骨の回動面に適合するように調整される。ツールガイドは、硬質の材料から形成されるため、再使用できる。一方、位置決めコンポーネントは、比較的軟質の材料から形成される。
【0006】
特許文献2においては、位置決めコンポーネント、およびツールガイドの位置を任意に調整する方法も開示されている。また、プラスチック製位置決めコンポーネントにおけるリーマー(孔の拡張器)や手術用鋸を挿入するための開口に、金属製インサートを嵌着する方法も開示されている。ツールガイドは、ツール(手術具)が位置決めコンポーネントを通過して、その下にある骨に到達しうるように、位置決めコンポーネントに装着されるようになっている。
【0007】
この文献は、ツールガイドを通じて手術具を挿入しているときに、位置決めコンポーネントを形成しているプラスチックが、砕けて関節部に入り込むのを防止するため、位置決めコンポーネントの開口を、ツールガイドのツール案内孔よりも大きくする工夫も開示している。
【0008】
この文献によるテンプレートの欠点は、次のようなものである。
大腿骨および脛骨用の位置決めコンポーネントは、関節面に適合するように、患者一人一人に合わせて形成するが、その一方で、位置合わせは不正確になりやすい。
膝置換術の場合、手術用鋸を前後させると、関節と当接している位置決めコンポーネントが振動する。
ツールガイドは、位置決めコンポーネントの頂面に直に乗り合わせるようになっているため、ツールガイドが、骨の切断を行っている最中に、位置決めコンポーネントから外れないよう、位置決めコンポーネントに如何に止着させるかが問題となる。また、ツールガイドを位置決めコンポーネントの頂面に乗せると、ツール案内孔は、骨面から離れるため、切断用のツールを案内する際に、正確性が低下する。
【0009】
この文献には、比較的薄いツールガイド(すなわち、ツール案内孔の深さは深い)が開示されている。ツール案内孔の深さが比較的浅い場合、このツール案内孔を通じて行う骨の切断の正確性は低い。この正確性は、ツール(手術用鋸)が、位置決めコンポーネントのガイドスリットを通過して、骨に到達するよう、ツールガイドを位置決めコンポーネント上に乗せたときには、さらに低下する。
【0010】
骨の回動面に装着されている大腿骨および脛骨用の各位置決めコンポーネントは、骨を切断する際に、手術医の視界を制限する。この文献における大腿骨の位置決めコンポーネントは、大腿骨の端部に適合するよう(概ね釣鐘状となるよう)、可撓性の材料から形成される。しかし、可撓性の材料から形成された位置決めコンポーネントでは、ツールガイドを動かないように固定することはできない。したがって、骨を切断する際に不正確となる。
【0011】
非特許文献1には、人工膝関節全置換術に用いる大腿骨と脛骨用の各テンプレートが開示されている。この文献における大腿骨と脛骨用のテンプレートは、それぞれ、適用部位のスキャン、および急速型取り技術を利用して、患者一人一人に合わせた形状に調整される。各テンプレートは、単一片からなり、特定の骨面に当接するロケータと、鋸刃やドリルの尖端を案内するガイドスロットとを有している。また、このテンプレートは、再使用を目的とするものではなく、使用後は廃棄される。
【0012】
この文献は、死体やプラスチック製の膝を例にとって、人工膝関節全置換術におけるテンプレートの用法を示している。テンプレートは、耐久性のポリアミド(ナイロン)複合材料(DuraForm(3Dシステム社の商標))から形成される。この材料は、体組織には一時的にしか接することのないツールとして用いても(体組織に長期間接するインプラントとしてではない)、安全であることが公的に認定されている。テンプレートは、製造後、手術での使用に備えて滅菌処理される。
【0013】
この文献は、患者一人一人に合わせて製造されるテンプレートの有用性と技術的効果を示している。しかし、このテンプレートには、次のような欠点がある。
ツールガイドコンポーネントを形成する材料、したがってツール案内孔の周壁を形成する材料が、比較的軟質であるため、ツール(手術用鋸のブレードやドリルの尖端)と接触したときに、テンプレートの破片が落下するが、このような破片は、患者の体組織に、長期にわたって毒性をもたらすため、容認されるものではない。さらに、テンプレートの破片は、2つのプラスチック製人工膝関節(大腿骨コンポーネントと脛骨コンポーネント)の間に挟まれたときに、人工膝関節を損傷するおそれもある。
【0014】
この外、手術用のツールとテンプレートとの間で摩擦が生じたときにも、テンプレートの破片が落下し、通常の手術条件下であっても、摩擦によって、テンプレートの材料(DuraForm)を溶解させるのに十分な熱を発生させることがある。また、テンプレートの材料が摩擦熱で溶解すると、この材料と接触した切断用のツールが、動かなくなることもある。
【0015】
さらに、テンプレートの材料(DuraForm)は多孔質であり、手術中には、この材料の孔が開放されているため、ツールをテンプレートの表面上で摺動させると、破片が生じて、上記と同様の事態が生じうる。
【0016】
今では、ステンレススチール製の孔のないテンプレートを、患者に合わせた鋳型を用いて速やかに製造することができる。しかし、ただ1回の使用のために、テンプレートの各コンポーネントを患者に合わせて製造するのは、著しく高価となるため、このようなテンプレートは、費用対効果の観点からは劣る。
【0017】
最後に、この文献に記載されているテンプレートは、比較的大型であるため、手術対象となる大腿骨と脛骨に係る視野が狭まるという欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2004/017842号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/060795号パンフレット
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】「Computer-assisted Total Knee Arthroplasty Using Patient-specific Templating」, M. A. Hafez et al, Clinical Orthopaedics and Related Research, 第444号, 第184〜192頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記のような公知のテンプレートに見られる欠点を除去ないし軽減しうるテンプレートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の様相によれば、
手術用のツールを案内するためのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、
それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、
前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように(かつ好ましくは取外し可能に)取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステムが提供される。
【0022】
本発明に係るテンプレートにおいては、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、別体であり(ただし、テンプレートとして使用するため組み合わされ、互いに固定される)、別個に製造される。このような態様には多くの利点がある。
【0023】
第一に、ツールガイドコンポーネントは、硬質で、再使用可能である。ただし、各患者に専用のものではない。手術用ツールを動かすときにも、ツールガイドコンポーネントのガイド孔から破片をこぼれることのないよう、ガイド孔が硬質(例えば金属製)の表面をもつように、ツールガイドコンポーネントは、金属から形成される。
【0024】
一方、位置決めコンポーネントは、ツールガイドコンポーネントとは異なる方法で、かつ異なる材料から形成される。例えば、位置決めコンポーネントは、適当な手法(例えばスキャン;「イメージング」ともいう)によって決定される各患者の骨の形状、トポロジー、幾何学等に基づいて、急速型取り技術を用いて形成することができる。すなわち、位置決めコンポーネントは、各患者に専用のコンポーネントであり、急速型取り技術を用いて形成されるが、ツールガイドコンポーネントはそうではない。
【0025】
このような部品の態様は、製造時間の短縮と製造コストの節減に貢献する。換言すれば、本発明に係るテンプレートシステムの部品のうちの一部は、各患者に専用のものであり、それ以外の部品は、「規格化された部品」、すなわち、患者が誰であるかにかかわらず予め決められており、しかも再使用されることもある部品である。
【0026】
本発明に係るテンプレートシステムにおいては、手術用ツールのガイド孔が、各患者専用の「位置決めコンポーネント」ではなく、全患者共通のツールガイドコンポーネントに設けられている。よって、手術用ツールを、ツールガイドコンポーネントに案内させつつ用いる際に、患者ごとに異なる位置決めコンポーネントを製造する上で好適な軟質な材料は、手術用ツールと摺接しないため、砕けて患者の体内に落下するという問題を回避することができる。
【0027】
位置決めコンポーネントのロケータは、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨の所定の部位に確実に当接するよう、剛質に形成する。
【0028】
止着手段は、位置決めコンポーネントに対して、ツールガイドコンポーネントを、取外し可能、かつ位置調整ができないように止着する。
【0029】
前記位置決めコンポーネントは、ツールガイドコンポーネントに取り付けられたときに、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨面に対して所定の位置に固定するようになっているのが好ましい。
【0030】
前記位置決めコンポーネントは、
装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを経て製造されるようになっているのが好ましい。
【0031】
前記位置決めコンポーネントは、前記各ロケータの端面を患者の骨面の所定の部位に当接させ、位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントに取り付けたときに、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨面に対して所定の位置に固定するという点において、各患者に専用のものとなっているのが好ましい。
【0032】
前記複数のロケータのいくつかの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の非回動面に当接するようになっているのが好ましい。すべてのロケータの端面をこのように位置づけることもできる。一般に、骨の非回動面の形状は、回動面のそれよりも、スキャンによって、正確に捉えることができるため、テンプレートは、非回動面の形状に合わせて形成する方が、所定の位置に当接させやすくなる。しかし、少なくとも1つのロケータの端面を、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の回動面に当接させることもできる。
【0033】
前記ツールガイドコンポーネントと位置決めコンポーネントを、互いに異なる材料から形成し、ツールガイドコンポーネントを形成するための材料を、位置決めコンポーネントを形成するための材料よりも硬質とするのが好ましい。例えば、ツールガイドコンポーネントを金属から、位置決めコンポーネントをプラスチック等の非金属から形成することができる。
【0034】
前記位置決めコンポーネントは、金属材料または非金属材料から、急速型取り技術を用いて形成することができる。急速型取り技術を用いるのは、現段階ではコストがかかるが、全患者に同じものを用いるツールガイドコンポーネントではなく、各患者に専用の位置決めコンポーネントに用いるだけである。すなわち、位置決めコンポーネントを金属製とするときであっても、これだけを急速型取り技術により形成するのであるから、ツールガイドコンポーネントと位置決めコンポーネントからなる金属製のアセンブリ全体を、急速型取り技術により形成する場合よりも、低コストですむ。しかし、一般には、位置決めコンポーネントは、非金属製とし、急速型取り技術を用いて形成する。
【0035】
前記ロケータは、概ね円筒形で、かつ細長い形状、特にフィンガー形状をしているのが好ましい。
【0036】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントに衝突することなく案内しうるように、組み合わされるのが好ましい。こうすれば、位置決めコンポーネントがプラスチックや他の比較的軟質の材料から形成されている場合であっても、手術用ツールとの摺接により、位置決めコンポーネントの材料が砕け、破片が体内に落下するという問題を回避することができる。
【0037】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを、骨に固定するための固定手段をさらに含んでいるのが好ましい。例えば、前記ロケータに、端面に向かって延びる貫通孔を形成し、前記固定手段を、この貫通孔を通って骨面に穿刺され、位置決めコンポーネントを骨に固定しうるピンとすることができる。さらに、前記ロケータの貫通孔の内側に、前記ピンが通るスリーブを設けることもできる。前記複数のロケータのいくつかまたはそのすべてに、前記貫通孔を設け、かつ前記固定手段を、この貫通孔に差し込まれるピンとすることができる。
【0038】
前記固定手段として、ツールガイドコンポーネントに貫通孔を設けることもできる。この場合には、ピンが、ツールガイドコンポーネントの貫通孔に差し込まれ、骨面に穿刺されて、ツールガイドコンポーネントを骨にピン止めする。ピンは、ハンマーや木槌で骨に打ち込まれる。この外、ピンを骨に螺着させる態様も可能である。ツールガイドコンポーネントは、前後に移動するかまたは回転するピンと接しても、破片の落下という問題が生じない材料から形成されるため、このような態様によれば、明確に技術的効果が得られる。
【0039】
上記のようなツールガイドコンポーネントにおける貫通孔とピンは、位置決めコンポーネントに設けられる貫通孔とピンに追加して、またはこの代替手段として設けることができる。したがって、ツールガイドコンポーネントは、位置決めコンポーネントとは独立に、骨に固定される場合もある。ツールガイドコンポーネントをこのようにして固定する場合には、予め位置決めコンポーネントによって、その固定位置を定めておき、ツールガイドコンポーネントを固定した後に、位置決めコンポーネントを取り外すこともできる。
【0040】
1つのツールガイドコンポーネントは、複数の貫通孔を設け、それぞれにピンを差し込むようにすることもできる。これらの貫通孔は、ピンが、ツールガイドコンポーネントを貫通孔と直交する方向に固定しうるよう、互いに平行に設けられる。この場合には、位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントから取り外した後、ツールガイドコンポーネントを、平行なピンから滑らせて引き抜く。所望の場合には、切断や穿孔のための手術用ツールを案内しうる別のガイド孔を有するツールガイドコンポーネントを装着する。
【0041】
前記の各貫通孔は、前記ロケータの端面が当接する骨面に対して、概ね垂直となっているのが好ましい。こうすると、ピンが、横滑りすることなく骨に穿刺され、テンプレートシステムを、骨の所定の部位に保持することができる。
【0042】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントおよびピンに衝突することなく、骨面に案内しうるように組み合わせるのが好ましい。換言すれば、テンプレートシステムは、ロケータ、および貫通孔を介して差し込まれるピンが、ガイド穴を用いて形成される切断面や穴を避けて進入しうるように設計するのが好ましい。
【0043】
前記ガイド孔は、手術用鋸の刃を案内しうるガイドスロットを含んでいるのが好ましい。また、このガイドスロットの一方の側端は、外部と通じているのが好ましい。これは、鋸刃をスロットに挿入しやすくするためである。また、ガイドスロットの一方の側端を閉じる必要がないため、ツールガイドコンポーネント全体の大きさを小さくすることにも貢献する。さらに、ガイドスロットの一方の側端が開放していると、位置決めコンポーネントを取り外さなくても、骨の切断を完遂することができる。
【0044】
ガイド孔は、ドリルの尖端を案内しうるガイドホールを1つまたは複数個含んでいるのが好ましい。
【0045】
位置決めコンポーネントのロケータは、位置決めコンポーネントやツールガイドコンポーネントとは別のコンポーネントとすることもできるが、その端面の位置は、ロケータをツールガイドコンポーネントに取り付けた場合を想定して決定すべきである。
【0046】
本発明に一態様においては、前記位置決めコンポーネントは、本体、およびこの本体から延びる複数のロケータを含んでいる。また、前記止着手段は、位置決めコンポーネントの本体を、前記ツールガイドコンポーネントに取り付けうるようになっている。
【0047】
前記本体およびロケータは、一体化することができる。前記本体およびロケータを単一のユニットとして形成すると、位置決めコンポーネントの本体をツールガイドコンポーネントに取り付ける前であっても、ロケータの端面の位置を固定することができるという利点がある。すなわち、ロケータの端面の位置は、ロケータと本体とを別体とした場合とは違って、位置決めコンポーネント本体のツールガイドコンポーネントに対する取付け位置の誤差によって左右されることはない。一体とされた本体とロケータは、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨の所定の部位に装着するのを助ける役割を果たす。
【0048】
各患者に専用の位置決めコンポーネントを骨の所定の部位に装着するには、ロケータの数とそれぞれの位置を、慎重に決定しなければならない。以下の説明は、位置決めコンポーネントを大腿骨に装着する場合についてのものであるが、他の骨に装着する場合にも当てはまる。
【0049】
位置決めコンポーネントに設けるロケータは、大腿骨前面に2本、および側面に2本の計4本とすることができる。位置決めコンポーネントは、4本のロケータが同時に骨に当接するように装着するが、滑りやすい軟組織層(ただし薄い)が存在するため、装着位置が不正確になるおそれがある。この場合、ロケータと骨面との当接は弱いものとなるため、テンプレートシステムが本来の当接位置よりも少し下方にずれ、骨の切断位置が不正確になるおそれがある。
【0050】
これは、鋸刃の動きが後方で大きくなったときに、大腿骨皮質の前方を傷つけるという重大な結果を招くことになる。このため、位置決めコンポーネントの2つの追加ロケータを設ける場合もある。これらの追加ロケータは、それぞれ、互いに直交する方向における位置決めコンポーネントの動きを制限する。手術中に、2本の追加ロケータのいずれかが軟組織に当接した場合には、この軟組織を除去し、ロケータを硬い骨面に当接させる。このような技術的思想は、脛骨用のテンプレートシステムや、これ以外の骨の手術に用いるテンプレートシステムにも適用しうる。すなわち、手術中にロケータが比較的軟質の組織に当接したと分かった場合には、手術医は、メスでこの軟組織を除去し、ロケータを硬い骨面に当接させる。
【0051】
前記位置決めコンポーネントは、さらに、骨面に当接する端面をもつ追加ロケータと、この追加ロケータを、位置決めコンポーネントの本体に取外し可能に取り付ける追加止着手段とを備え、この追加ロケータは、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを骨に取付けるのを支援し、その後手術の便宜のため取り外されるようにすることができる。
【0052】
追加ロケータ以外のロケータは、ツールガイドコンポーネントのガイド孔を介して案内される手術用ツールが衝突しないように設けられるが、追加ロケータについては、手術用ツールとの衝突が避けらない可能性がある。なぜならば、追加ロケータは、ガイドスロットを介して案内される鋸刃が、追加ロケータと交差するような線上に、設けられることもあるからである。しかし、追加ロケータは取外し可能に装着されるため、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを骨に取付け、固定した後に、追加ロケータは取り外すことができる。このように、追加ロケータは、手術医が、テンプレートシステムを骨の所定の部位に取り付けるのを支援する一方で、取外し可能であるため、構成材料の落下による汚染の問題を回避することができる。
【0053】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリは、ロケータの端面とガイド孔の位置関係を固定するのを支援すべく、キーを介して、所定の位置において連結されるようになっているのが好ましい。
【0054】
前記止着手段は、ねじまたはボルトとすることができる。
【0055】
前記止着手段には、スナップ式の止着機構を設けることもできる。この場合、ねじやボルトを用いなくても、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントとを、互いに確実かつ迅速に止着することができる(ねじやボルトともに用いることもできる)。スナップ式の止着機構を備える止着手段の場合、一旦止着された位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントとを離間させるために(または両者を組み合わせるために)、追加の装置が必要となる場合もある。
【0056】
この外、位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントから分離させるために、位置決めコンポーネント(またはこのコンポーネントの一部や、スナップ式の止着機構の一部)を破壊するようになっている態様もある。また、位置決めコンポーネントの材料を溶解させて、ツールガイドコンポーネントとの組み合わせ状態を解消する態様も考えられる。
【0057】
ツールガイドコンポーネントは、それぞれ、第1および第2のガイド孔を有する第1の部分と第2の部分とから構成することもできる。この場合、ツールガイドコンポーネントには、さらに、前記第1の部分と第2の部分とを繋ぐ連結部分を設ける。連結部分は、手術対象である関節領域の視界を妨げないようにする。このため、連結部分に穿孔を施したり、連結部分を透明にしたり、第1および第2の部分よりも幅と厚さを小さくしたりする。また、連結部分の厚さを幅よりも大きくすることもできる(厚さ方向とは、手術対象である骨に向かう方向であり、幅方向とはこれと直交する方向である。このような連結部分は、1本のクモの糸のようなものである。
【0058】
このように、連結部分は、中心から周縁に延びる1本のクモの糸に例えることができる。また、連結部分は、アームに例えることもできる。連結部分によってツールガイドコンポーネントの第1部分と第2の部分を連結する方式の場合、手術部位へのアクセスと手術部位の視認性が改善される。連結部分は、ガイド孔の位置がしっかりと定まるように、ツールガイドコンポーネントの第1部分と第2の部分とを動かないように硬く連結しなければならない。
【0059】
本発明のテンプレートシステムにおいては、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントとを別体としているため、ツールガイドコンポーネントの製造時に、剛質の連結部分を形成するのに適した材料(各患者専用の位置決めコンポーネントの材料としては不適である)を使用することができ、上記のような位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを剛質の連結部分を介して連結する態様が可能になる。とりわけ、ツールガイドコンポーネントの各部分(第1の部分、第2の部分、および連結部分)は、金属製とし、単一の一体化されたユニットとすることができる。ガイド孔は、所定の長さを有するガイドスロットを含み、連結部分の幅は、その長さよりもかなり小さくなっているのが好ましい。
【0060】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、骨を平坦に切断する鋸刃を案内するガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、前記第1の部分のガイドスロットを通して案内される鋸刃により形成される平坦な切断面と概ね垂直方向に形成される切断面または穿孔を形成する鋸刃、またはドリルの尖端を案内する、ガイドスロットまたはガイドホールを有しているのが好ましい。
【0061】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが当接する骨の端部を切断する鋸刃を案内するガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、骨の切断面に穿孔するドリルの尖端を案内する複数のガイドホールを有するのが好ましい。
【0062】
前記位置決めコンポーネントのロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、大腿骨の所定の位置に取り付けられるときに、大腿骨の非回動面に当接するように形成されているのが好ましい。
【0063】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に固定されたときに、大腿骨の端部を切断する鋸刃を案内しうるようになっているガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、大腿骨の切断面に穿孔を形成するドリルの尖端を案内する複数のガイドホールを有しているのが好ましい。
【0064】
他方、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、大腿骨端部の切断面に、さらに形状を整えるための切断を施しうる鋸刃を案内する複数のガイドスロットを有しているのが好ましい。
【0065】
前記位置決めコンポーネントは、大腿骨の回動しない前面(すなわち、滑面のすぐ上の皮層、これに当接させる方が、滑面に当接させるよりも、正確な位置決めができる。なぜならば、滑面には、2〜4mmの軟骨組織が存在するため、位置決めに影響を及ぼすからである)に当接しうる端面を有する追加ロケータを有しているのが好ましい。
【0066】
前記追加ロケータの端面は、ツールガイドコンポーネントのガイドスロットによって区画される切断面の方向に延びるよう、大腿骨の滑面に当接するようになっているのが好ましい。位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを所定の位置に装着するために、追加ロケータの端面を大腿骨の前面に当接させると、上記の切断面は、大腿骨の前面からずれることになる(この結果、ガイド孔によって案内される鋸刃は、大腿骨の前部皮層を振動させることはない)。
【0067】
追加ロケータは、テンプレートシステムが所定の位置に装着された後に、取り外す。したがって、テンプレートシステムは、追加ロケータを、ツールガイドコンポーネントおよびロケータに対して所定の位置関係を保つように取外し可能に止着しうる追加止着手段をさらに有し、この追加止着手段は、追加ロケータが、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを大腿骨の所定の位置に当接させるのを支援し、その後大腿骨に対する手術の便宜のため取り外されるようになっているのが好ましい。
【0068】
本発明の一様相によれば、脛骨の手術に用いられ、かつ前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが脛骨の所定の部位に装着されるように、脛骨の非回動面に当接するようになっているテンプレートシステムが提供される。なお、このテンプレートシステムは、脛骨の回動面に当接するロケータを備えることもできる。
【0069】
本発明の他の態様によれば、前記位置決めコンポーネントは、第1の本体と、この第1の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第1のロケータと、第2の本体と、この第2の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第2のロケータとを備え、前記止着手段は、前記第1および第2の本体を、ツールガイドコンポーネントに止着しうるようになっている。前記第1の本体および複数の第1のロケータは、一体となっているのが好ましい。前記第2の本体および複数の第2のロケータも、一体となっているのが好ましい。
【0070】
本発明のさらに他の態様によれば、前記ツールガイドコンポーネントは、それぞれガイド孔を有する第1の部分および第2の部分、ならびに第1の部分を第2の部分に連結する連結部分を有し、前記止着手段は、前記位置決めコンポーネントの第1の本体を、ツールガイドコンポーネントの第1の部分に、および前記位置決めコンポーネントの第2の本体を、ツールガイドコンポーネントの第2の部分に止着するようになっているのが好ましい。
【0071】
ここで、前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、円周角が100°よりも小さい円弧状に、周方向に延びるようになっているか、または概ね弓形であるのが好ましい。
【0072】
また、ツールガイドコンポーネントの連結部分は、ツールガイドコンポーネントの第1の部分の手前側から径方向内側に、クモの糸状に延びることもある。すなわち、ツールガイドコンポーネントは、四分円の一方の側から骨にアクセスする必要がある場合にも対応しうるように、左右非対称となることがある。
【0073】
本発明のさらに他の態様においては、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、骨に穿孔するためのドリルの尖端を案内するガイドホールと、このガイドホールと連なり、かつ鋸刃を案内するガイドスロットとからなる複合ガイド孔を有している。
【0074】
本発明のさらに他の態様においては、テンプレートシステムは、脛骨の手術用であって、前記第1のロケータは、患者の脛骨の非回動面に当接し、前記第2のロケータは、脛骨の回動面に当接するようになっている。
【0075】
本発明のさらに他の態様においては、前記ツールガイドコンポーネントは、第1のツールガイドコンポーネントとなり、この外に、追加のガイド孔を有する第2のツールガイドコンポーネントを備えている。このような構成のテンプレートシステムは、最小侵襲手術に特に適している。なぜならば、手術用ツール(人工関節を導入するために骨の形状を調整するツール)を案内するのに必要な数のガイド孔が、第1のツールガイドコンポーネントと第2のツールガイドコンポーネントに分散されるため、ただ1つのツールガイドコンポーネントに必要なガイド孔をすべて設ける場合に比べて、各(第1および第2の)ツールガイドコンポーネントをかなり小さくできるからである。
【0076】
この外にも、第1のツールガイドコンポーネントに、必要なガイド孔のうちの1つまたは一部を設けるだけでよいため、複数のロケータ(テンプレートシステムを所定の位置に装着するための構成要素であり、ガイド孔を介して案内されるツールと衝突しないような位置に設けられる)を形成することに関して、位置決めコンポーネントの製造プロセスにおける自由度が増すという利点がある。換言すれば、ツールガイドコンポーネントを2つ有するテンプレートシステムは、位置決めコンポーネントの設計における柔軟性が高い。
【0077】
この場合、前記第1のツールガイドコンポーネントは、骨の平坦に切断する鋸刃を案内するガイドスロットと、骨の平坦な切断面に穿孔するためのドリルの尖端を案内するガイドホールとを有し、前記第2のツールガイドコンポーネントは、第1のツールガイドコンポーネントを用いて形成した骨の平坦な切断面に当接する平坦面、およびこの平坦面に一部が嵌合され、かつこの平坦面から突出する突起を有し、この突起は、第2のツールガイドコンポーネントを骨の切断面の所定の部位に位置決めするようになっているのが好ましい。
【0078】
本発明のさらに他の態様においては、前記第1のツールガイドコンポーネントは、さらに、第1のツールガイドコンポーネントが手術用ツールを案内するために使用された後に、前記第2のツールガイドコンポーネントを第1のツールガイドコンポーネントに取り付ける取付け手段を備えている。
【0079】
本発明のさらに他の態様においては、前記位置決めコンポーネントは、追加本体と、この追加本体から延び、かつ骨の形状を整えるための縁取り面に当接する端面をもつ追加の位置決め用突起を有し、この追加の位置決め用突起は、位置決めコンポーネントおよびツールガイドコンポーネントを骨に装着するのを支援するようになっており、前記止着手段は、前記追加本体をツールガイドコンポーネントに、取外し可能、かつ位置調整ができないように止着するようになっている。
【0080】
本発明のさらに他の態様においては、前記位置決めコンポーネントは、製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状を有している。
【0081】
本発明のさらに他の態様においては、前記位置決めコンポーネントは、製造に係る寸法の正確さを計測するための目印の対を有している。
【0082】
本発明のさらに他の態様においては、テンプレートシステムは、前記位置決めコンポーネントの製造に係る寸法の正確さを評価するために押し当てられるゲージを備えている。
【0083】
本発明の他の様相によれば、手術用ツールを案内するためのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステムの製造方法であって、
テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを含むテンプレートシステムの製造方法が提供される。
【0084】
この方法は、前記複数のロケータの端面が、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の非回動面に当接するように位置決めコンポーネントを製造する過程をさらに含むのが好ましい。
【0085】
また、この方法においては、前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の回動面に当接するようになっているのが好ましい。
【0086】
前記方法は、ツールガイドコンポーネントと位置決めコンポーネントを、互いに異なる材料(例えば、ツールガイドコンポーネントを金属製とする)から、異なる方法で(例えば、位置決めコンポーネントを急速型取り技術により)形成する過程を含むのが好ましい。
【0087】
本発明の他の態様においては、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを組み合わせたときに、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントに衝突することなく案内しうるように、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを形成する過程をさらに含む。この場合、ロケータは、端面に向かって延びる貫通孔を含み、この貫通孔を通してピンを骨面に穿刺することにより、位置決めコンポーネントを骨に固定しうるように、形成される。また、ガイド孔は、貫通孔を介して骨面に穿刺されているピンに衝突することなく、手術用ツールを骨に案内しうるように形成される。
【0088】
本発明の他の態様においては、貫通孔は、前記ロケータの端面が当接する骨面に対して、概ね垂直となるように形成される。
【0089】
本発明のさらに他の態様においては、前記位置決めコンポーネントが、本体、およびこの本体から延びて(例えば、本体と一体化されて)、骨面に当接しうる複数のロケータを有するように、位置決めコンポーネントを形成する。
【0090】
本発明のさらに他の態様においては、位置決めコンポーネントが、さらに、骨面に当接する端面をもつ追加ロケータと、この追加ロケータを、位置決めコンポーネントの本体に取外し可能に取り付ける追加止着手段とを備え、この追加止着手段が、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを骨に取付けるのを支援し、その後手術の便宜のため取り外すことができるように、位置決めコンポーネントを形成する。
【0091】
本発明のさらに他の態様においては、ツールガイドコンポーネントが、第1のガイド孔を有する第1の部分、第2のガイド孔を有する第2の部分、ならびにこれら第1および第2の部分を連結する連結部分を有し、かつこれらが一体化されるように、ツールガイドコンポーネントを形成する。
【0092】
本発明のさらに他の態様においては、手術対象となる骨は大腿骨であり、前記追加ロケータの端面は、大腿骨の前面に当接するようになっている。
【0093】
本発明のさらに他の態様においては、手術対象となる骨は脛骨である。
【0094】
位置決めコンポーネントにおける複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、脛骨の所定の位置に装着されるよう、骨の非回動面に当接するようになっているのが好ましい。他方、ロケータの端面は、骨の回動面に当接させることもできる。
【0095】
本発明のさらに他の態様においては、位置決めコンポーネントが、第1の本体と、この第1の本体と一体となって、第1の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第1のロケータと、第1の本体とは別体の第2の本体と、この第2の本体と一体となって、第2の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第2のロケータとを備えるように、位置決めコンポーネントを形成する。
【0096】
本発明のさらに他の態様においては、前記テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程は、患者への非侵襲スキャンを含む。
【0097】
本発明のさらに他の様相によれば、手術用ツールを案内するためのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステムにおける位置決めコンポーネントの製造方法であって、
テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを含む位置決めコンポーネントの製造方法が提供される。
【0098】
本発明の一態様においては、位置決めコンポーネントを、製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状とするか、または位置決めコンポーネントに、製造に係る寸法の正確さを計測するための目印の対を設ける。なお、これらの形状または目印の対は、位置決めコンポーネントと一体に形成される別の構成要素の一部についてのものとするか、またはこれに設けることもできる。この別の構成要素は、インジケータと呼ばれ、位置決めコンポーネントとともに形成し、位置決めコンポーネントを手術に用いる前に、位置決めコンポーネントから取り外す。
【0099】
本発明のさらに他の様相によれば、前記いずれかに記載の方法に従って、テンプレートシステムを製造する過程と、
前記止着手段を用いて、前記位置決めコンポーネントを前記ツールガイドコンポーネントに止着し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを組み立てる過程と、
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨の所定の位置に取り付ける過程と、
前記ガイド孔を介して手術用ツールを案内し、人工関節を装着しうるよう、骨の形状を整える過程と、
人工関節を骨に装着する過程とを含む人工関節の装着方法が提供される。
【0100】
前記人工関節の装着方法は、骨面の形状を特定するため患者にスキャンを施す過程と、複数の人工関節の中から所望の人工関節を選択する過程とを含むのが好ましい。複数の人工関節は、大きさの異なる種々の人工関節からなる。
【0101】
前記方法は、人工関節を装着する骨の部位を選択する過程をさらに含むのが好ましい。
【0102】
前記方法の一態様においては、骨の仮想的な模型を形成する過程、および前記選択した人工関節の設置部位を決定するため、この人工関節の仮想的な模型を、前記骨の仮想的な模型に重ね合わせる過程が、さらに含まれる。また、選択した人工関節が、骨に当接しうる形状の面を有し、この人工関節の位置および骨との当接面を勘案して、前記テンプレートシステムを骨の所望の位置に装着したときにおける、ガイド孔の位置を決定する過程をさらに含むこともできる。
【0103】
前記方法は、複数のツールガイドコンポーネントの中から、人工関節における骨との当接面に対応する複数のガイド孔を有する所望のツールガイドコンポーネントを選択する過程を含むこともできる。
【0104】
本発明のさらに他の様相によれば、前記の方法に従って、テンプレートシステムを製造する過程と、
止着手段を用いて、前記位置決めコンポーネントを前記ツールガイドコンポーネントに止着する過程と、
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨の所定の位置に装着する過程と、
前記ツールガイドコンポーネントのガイド孔を介して、骨の手術用ツールを案内する過程とを含む手術方法が提供される。
【0105】
この様相に係る手術方法は、鋸刃を案内して骨に平坦な面を形成するため、およびドリルの尖端を案内して、前記骨の平坦な面に第2のツールガイドコンポーネントを設置する穴を形成するために、第1のツールガイドコンポーネントを使用する過程と、前記骨の平坦な面上に前記穴を介して、第2のツールガイドコンポーネントを設置する過程と、前記第2のツールガイドコンポーネントを使用して、手術用ツールを案内し、骨面の形状をさらに整える過程とを含むことができる。
【0106】
前記の方法は、ガイド孔を有する第2のツールガイドコンポーネントを、第1のツールガイドコンポーネントに取付け、第2のツールガイドコンポーネントを使用して、手術用ツールを案内し、骨面の形状をさらに整える過程とを含むことができる。
【0107】
本発明のさらに他の様相によれば、前記テンプレートシステム用位置決めコンポーネントと、骨を手術する患者を識別する患者識別手段とを含む手術装置が提供される。
【0108】
本発明の一態様においては、前記患者識別手段は、位置決めコンポーネントに設けられるが、位置決めコンポーネントと患者識別手段とを結ぶリンク手段によって、位置決めコンポーネントと結び付けることもできる。
【0109】
本発明の他の態様においては、前記位置決めコンポーネントは、人工膝関節を装着するための大腿骨と脛骨の手術に用いるテンプレートシステム用の位置決めコンポーネントである。
【0110】
本発明のさらに他の態様においては、位置決めコンポーネント、患者識別手段、およびリンク手段は、急速型取り技術を用いて製造される。
【0111】
本発明のさらに他の態様においては、手術装置は、位置決めコンポーネントと一体に形成され、かつ位置決めコンポーネントの製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状を有するインジケータをさらに含む。このインジケータは、例えば、手術において位置決めコンポーネントを使用する前に、位置決めコンポーネントから分離しうるものとされる。
【0112】
本発明のさらに他の態様においては、手術装置は、インジケータに押し当てて、この寸法、したがって、インジケータと一体に形成される位置決めコンポーネントの製造に係る寸法の正確さを、手術前に速やかに評価しうるゲージを備えている。
【発明の効果】
【0113】
上記の概括と以下の実施形態についての説明から、本発明によれば、多くの技術的効果が得られることが分かると思う。
1つには、テンプレートシステムが、大きく2つのコンポーネントに分離される一方、「規格化された(全患者に共通の)」ツールガイドコンポーネント(生体適合性のある材料から形成される)が、各患者に専用の位置決めコンポーネントに取り付けられ、一体性のあるテンプレートが形成される。位置決めコンポーネントは、患者の骨を切断したり、骨に穿孔したりするため、骨の所定の部位に装着されるように設計される。
【0114】
ツールガイドコンポーネントを生体適合性のある金属から形成すると、ツールガイドコンポーネントをDuraFormから形成した場合に見られるような有害な破片が落下するという問題は生じない。ツールガイドコンポーネントの材料としては、ステンレススチールも使用することができる。ステンレススチールも頑強な材料であるため、ツールガイドコンポーネントを繰り返して使用できるようになる。
【0115】
1度しか使用されない位置決めコンポーネントは、急速型取り技術を用いて形成することができる。この技術は、位置決めコンポーネントが多孔質の場合に生ずる問題を解消しうるだけでなく、コスト効果にも優れている。
【0116】
人工関節の最適な位置は、手術計画の段階で正確に決定される。人工関節の位置が決定されると、それぞれ異なる形状を有する各患者の骨について、テンプレートシステムの位置が決定される。したがって、手術中のテンプレートシステムの位置決め作業は、複雑なものではなく、短時間で終了する。
【0117】
本発明のテンプレートシステムにおける位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、互いに位置調整をすることはできないため、製造が複雑でない(すなわち、コスト効果に優れる)だけでなく、使いやすい。
【0118】
本発明に係るテンプレートシステムにおいては、断面積が比較的小さいロケータを用いる。このロケータは、脛骨用のテンプレートシステムの場合、脛骨の平坦な部分に当接する。しかし、円筒形であるロケータの断面積が小さいと、横滑りが生じやすい。本発明の脛骨用テンプレートシステムを用いれば、ロケータが脛骨の回動面に当接するのを避けることができる。
【0119】
本発明に係るテンプレートシステムによれば、大腿骨用のテンプレートシステムと脛骨用のテンプレートシステムを分離するが、それぞれ、ねじを用いて各部品が一体となるように止着するため、部品は、テンプレートシステムの使用中にも振動することはない。
【0120】
各コンポーネントは、一点に向かって延びるように配置された複数のピンを用いて骨面に装着することができる。ロケータが骨面と垂直に当接するよう、手術計画の段階で、ロケータの向きを慎重に決定する。この段階で、ロケータに差し込まれるピンが、鋸やドリル等の手術用ツールと衝突する可能性を認識し、ロケータの向きを適宜修正する。
【0121】
本発明に係るテンプレートシステムにおいては、位置決めコンポーネントの各構成要素は、ツールガイドコンポーネントのガイド孔と骨の間に位置することはない。したがって、ツールガイドコンポーネントの全体的な大きさを小さく留め、かつツールガイドコンポーネントの厚さを、骨の正確な切断を行うのに必要な程度に設計することができる。本発明に係るテンプレートシステムは、骨の所定の位置に正確かつ容易に装着しうるという2つの技術的効果を同時に実現することができる。
【0122】
各テンプレートシステムの装着位置については、電子データライブラリを利用して、手術前に検証することができる。本発明に係るテンプレートシステムは、膝領域の骨を切断する際に、手術医の視界を遮らないように設計される。本発明に係るテンプレートシステムは、手術医にとって魅力があるだけでなく、使用の安全性をも増大させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1a】本発明の第1の実施形態に係る大腿骨用テンプレートシステムの分解正面図である。
【図1b】同じく、分解左側面図である。
【図1c】同じく、底面図である。
【図1d】同テンプレートシステムのツールガイドコンポーネントの平面図である。
【図1e】同じく、位置決めコンポーネントの平面図である。
【図1f】同テンプレートシステムの分解斜視図である。
【図2a】図1a〜図1fに示す大腿骨用テンプレートシステムが大腿骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図2b】同じく、左側面図である。
【図2c】同じく、平面図である。
【図2d】同じく、底面図である。
【図2e】同じく、斜視図である。
【図3a】本発明の第3の実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムの分解正面図である。
【図3b】同じく、分解斜視図である。
【図3c】同じく、分解底面図である。
【図3d】同じく、分解右側面図である。
【図3e】同じく、分解左側面図である。
【図4a】図3a〜図3eに示す脛骨用テンプレートシステムが脛骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図4b】同じく、左側面図である。
【図4c】同じく、平面面図である。
【図4d】同じく、右側面図である。
【図4e】同じく、斜視図である。
【図5a】各患者に合わせて製造された、本発明に係る位置決めコンポーネントの使用前の正面図である。
【図5b】同じく、左側面図である。
【図5c】同テンプレートに付された、患者識別標識の平面図である。
【図5d】同テンプレートの斜視図である。
【図6a】本発明に係る大腿骨用テンプレートシステムの第1セクションの分解正面図である。
【図6b】同じく、分解斜視図である。
【図6c】同じく、分解底面図である。
【図6d】同じく、分解右側面図である。
【図6e】同じく、分解左側面図である。
【図7a】図6a〜図6eに示す第1セクションが大腿骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図7b】同じく、左側面図である。
【図7c】同じく、底面図である。
【図7d】同じく、平面図である。
【図7e】同じく、斜視図である。
【図8a】本発明に係る大腿骨用テンプレートシステムの第2セクションの分解正面図である。
【図8b】同じく、分解斜視図である。
【図8c】同じく、分解底面図である。
【図8d】同じく、分解右側面図である。
【図8e】同じく、分解左側面図である。
【図9a】図8a〜図8eに示す第2セクションが大腿骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図9b】同じく、左側面図である。
【図9c】同じく、底面図である。
【図9d】同じく、平面図である。
【図9e】同じく、斜視図である。
【図10a】本発明に係る脛骨用テンプレートシステムの第1セクションAの分解正面図である。
【図10b】同じく、分解左側面図である。
【図10c】同じく、分解平面図である。
【図10d】同じく、分解斜視図である。
【図11a】図10a〜図10eに示す第1セクションAが脛骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図11b】同じく、左側面図である。
【図11c】同じく、平面図である。
【図11d】同じく、斜視図である。
【図12a】本発明に係る脛骨用テンプレートシステムの第1セクションBが脛骨の断面に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図12b】同じく、左側面図である。
【図12c】同じく、平面図である。
【図12d】同じく、斜視図である。
【図13a】本発明に係る脛骨用テンプレートシステムの第1セクションAの分解正面図である。
【図13b】同じく、分解左側面図である。
【図13c】同じく、分解平面図である。
【図13d】同じく、分解平面図である。
【図14a】図13a〜図13dに示す第1セクションAが脛骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図14b】同じく、左側面図である。
【図14c】同じく、平面図である。
【図14d】同じく、斜視図である。
【図15a】本発明に係る脛骨用テンプレートシステムの第2セクションBの分解正面図である。
【図15b】同じく、分解左側面図である。
【図15c】同じく、分解平面図である。
【図15d】同じく、分解平面図である。
【図16a】図15a〜図15dに示す第2セクションBが脛骨に取り付けられた状態を示す正面図である。
【図16b】同じく、左側面図である。
【図16c】同じく、平面図である。
【図16d】同じく、斜視図である。
【図17】本発明に係るテンプレートシステムを人工膝関節全置換術に適用する際の複数の過程を大きくまとめた流れ図である。
【図18】図17における過程Bを細分した流れ図である。
【図19】図17における過程Cを細分した流れ図である。
【図20】図17における過程Dを細分した流れ図である。
【図21a】大腿骨下端部の底面図である。図22a〜図22eは、斜め上方から視た脛骨、人工膝関節、脛骨の切断面、この切断面に装着された状態の人工膝関節等を、互いに等尺度で示す。
【図21b】同じく、斜め下方から視た斜視図である。
【図21c】大腿骨用人工膝関節の斜め下方から視た斜視図である。
【図21d】人工膝関節を取り付けるべく形状を調整した大腿骨下端部の斜め下方から視た斜視図である。
【図21e】人工膝関節を取り付けた大腿骨下端部の斜め下方から視た斜視図である。
【図22a】脛骨下端部の底面図である。
【図22b】同じく、斜め下方から視た斜視図である。
【図22c】脛骨用人工膝関節の斜め下方から視た斜視図である。
【図22d】人工膝関節を取り付けるべく形状を調整した脛骨下端部の斜め下方から視た斜視図である。
【図22e】人工膝関節を取り付けた脛骨下端部の斜め下方から視た斜視図である。
【図23a】本発明に係る位置決めコンポーネントのロケータを設計する手順を示す斜視図である。
【図23b】本発明に係る位置決めコンポーネントのロケータを設計する手順を示す斜視図である。
【図23c】本発明に係る位置決めコンポーネントのロケータを設計する手順を示す斜視図である。
【図23d】本発明に係る位置決めコンポーネントのロケータを設計する手順を示す斜視図である。
【図23e】本発明に係る位置決めコンポーネントのロケータを設計する手順を示す斜視図である。
【図24】取外し可能なロケータを備えた本発明の一実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムの脛骨に止着された状態を示す正面図である。
【図25】取外し可能なロケータを備えた本発明の他の実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムの脛骨に止着された状態を示す斜視図である。
【図26】取外し可能なロケータを備えた本発明のさらに他の実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムの脛骨に止着された状態を示す斜視図である。
【図27】取外し可能なロケータを備えた本発明のさらに他の実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムが止着された状態を示す正面図である。
【図28a】位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントの両方がピンで止着される本発明の一実施形態に係るテンプレートシステムの正面図である。
【図28b】同じく、左側面図である。
【図28c】同じく、平面図である。
【図28d】同じく、斜視図である。
【図29a】位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントの両方がピンで止着される本発明の他の実施形態に係るテンプレートシステムの正面図である。
【図29b】同じく、左側面図である。
【図29c】同じく、平面図である。
【図29d】同じく、斜視図である。
【図30a】本発明の一実施形態に係るツールガイドコンポーネントの底面図である。
【図30b】同じく、左側面図である。
【図30c】同じく、斜視図である。
【図31】本発明の他の実施形態に係るツールガイドコンポーネントの斜視図である。
【図32】本発明の他の実施形態に係るツールガイドコンポーネントの斜視図である。
【図33a】本発明の一実施形態に係るツールガイドコンポーネントを大腿骨に取り付けた状態を示す正面図である。
【図33b】同じく、左側面図である。
【図33c】同ツールガイドコンポーネントを大腿骨に取り付ける際の態様を示す平面図である。
【図33d】同じく、斜視図である。
【図34a】本発明の一実施形態に係る位置決めコンポーネントの斜視図である。
【図34b】同じく、左側面図である。
【図34c】同じく、斜視図である。
【図35a】本発明の他の実施形態に係る位置決めコンポーネントの斜視図である。
【図35b】同じく、斜視図である。
【図35c】同じく、斜視図である。
【図36】本発明に係る位置決めコンポーネントの寸法を測定するインジケータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
以下に、添付の図面を参照し、本発明の実施形態を、例示として説明する。以下の実施形態のいくつかは、人工膝関節全置換術(TKR)に係るものである。このTKR手術においては、本発明に係る、大腿骨用と脛骨用の2種類のテンプレートシステムが用いられる。これらのテンプレートシステムは、人工膝関節を装着するために、両骨の切断を補助するためのものである。
【0125】
各テンプレートシステムは、患者一人一人に合わせた位置決めコンポーネントと、ツールガイドコンポーネントを備えている。ツールガイドコンポーネントは、対応する人工膝関節を、手術計画の段階で決定した位置に取付けるべく、骨を切断したり穿孔したりするツールを、正しい方向に正確に案内するための適当な数のガイドスリットと孔を有している。それぞれの骨に対応する2つのコンポーネントは、手術に先立って組み立てられ、ねじにより互いに固着されて、一体化したテンプレートとなる。コンポーネントは、対応する骨の定まった位置に設定され、骨を切断したり穿孔したりするために、この位置を保持しうるよう、ピンを介して、骨の種々の部位に止着される。ピン止めする部位は、骨を切断したり穿孔したりする手術具の動きに支障が生じないよう、慎重に選定される。
【0126】
図1a〜図1f、図2a〜図2e、図3a〜図3e、図4a〜図4e、および図5a〜図5dは、本発明に係る大腿骨用と脛骨用の各テンプレートシステムの詳細を示す。図1a〜図1fは、本発明の第1の実施形態に係る大腿骨用テンプレートシステムを、正面、平面、底面、側面等から視たものである(一部は拡散図であり、各図は互いに等尺度である)。図2a〜図2eは、図1に示すテンプレートシステムが大腿骨に取り付けられている状態を、種々の方向から視たものである(各図は互いに等尺度である)。
【0127】
図3a〜図3eは、本発明の第2の実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムを、正面、底面、側面等から視た分解図である(各図は互いに等尺度である)。図4a〜図4eは、図3a〜図3eに示すテンプレートシステムが、組み立てられて、脛骨に取り付けられている状態を、種々の方向から視たものである。
【0128】
図5a〜図5dは、本発明の第3の実施形態に係るテンプレートシステムについて、各患者に合わせて製造した位置決めコンポーネントの使用前における状態を、正面、底面、側面等から視た分解図である。各コンポーネントは、1本の細いロッドを用いて1つのグループにまとめてあり、ロッドの両端は、各患者を識別する英数字からなる標章を表したプレートに取り付けられている。各コンポーネントには、同じグループに属することを示すよう、刻印が付されている。
【0129】
図1a〜図1fおよび図2a〜図2eに示すように、患者一人一人に合わせて設計される位置決めコンポーネント1は、骨を切断するための再使用可能な金属製のツールガイドコンポーネント2における突起24に外挿され、2本のねじ3によって固着されている。ねじ3、位置決めコンポーネントを上下に貫通する貫通孔4、およびツールガイドコンポーネントにおけるねじ穴5は、一直線に並んでいる。
【0130】
位置決めコンポーネント1は、DuraFormから形成してあるが、今後利用可能となる材料から形成することも想定される。位置決めコンポーネント1は、患者の骨に同時に当接しうるようになっている4つのロケータ6(それぞれが特定の部位に当接する)を備えている。これらのロケータは、正確に骨を切断し、人工膝関節が正確に骨の中に位置するよう、ツールガイドコンポーネント2を、手術計画の段階で決定された位置に設定するのを支援する。
【0131】
位置決めコンポーネントは、ロケータ6に挿入される複数のピン7を介して、対応する骨に固定される。ピン7は、手術計画の段階で、対応する骨面の法線方向に延びるように方向が決定される。これは、ツールガイドコンポーネントに設けられているガイドスリット12を介して手術用の鋸を挿入し、骨を切断する間に、ピン7が、骨面を介して振動しても、横滑りすることなく、位置決めコンポーネントを定位置に保持しうるようにするためである。
【0132】
位置決めコンポーネントにおける突起9の凹部には、取外し可能なロケータ8が嵌め付けられ、断面方形のペグ10を介して、定位置に保持される。このロケータ8は、大腿骨の回動しない前面(関節の平滑面のすぐ上の骨面)と当接する。このため、大腿骨の回動しない前面の皮層は、この前面を切断するときにも、切り口が乱れることはない。なぜならば、ロケータ8の長さは、ツールガイドコンポーネントにおける、大腿骨前面に対する切断ツールを挿入するためのガイドスリットよりも骨側に位置するように、手術計画の段階で調整されているからである。ロケータ8の頂部の近傍には、孔11が設けられている。本発明のテンプレートシステムにおける、各患者に合わせて製造した部品は、すべて、1つにまとめることができる(図5a〜図5d参照)。
【0133】
取外し可能なロケータ8は、膝全体を切り離すために、大腿骨の回動しない前面を切断するべく、鋸刃が十分に骨に進入した後に、取り外される。
【0134】
鋸刃を、ガイドスリット12を介して進入させることにより、骨の切断を正確に行うことができる。ガイドスリット12は、人工膝関節の大腿骨用コンポーネントにおける、大腿骨に対向する面に、正確に揃えて位置づけられる。
【0135】
ツールガイドコンポーネント2は、鋸刃を通すガイドスリット12の外にも、大腿骨の関節丘の中央部と側面に、それぞれドリルの尖端(人工膝関節固定用の脚を収容するための孔を形成する)を案内するための2つのガイドホール13を有している。
【0136】
以上をまとめると、テンプレートの部品は、次の通りである。
−患者一人一人に合わせて形成される位置決めコンポーネント1;
−規格に則ったツールガイドコンポーネント2;
−位置決めコンポーネント1を支持するためのツールガイドコンポーネント上の突起24;
−金属製のねじ3;
−ねじ3が貫通する貫通孔4;
−ねじ3に対応するねじ穴5;
−ピン7;
−ロケータ6;
−取外し可能なロケータ8;
−取外し可能なロケータ8を支持するための突起9;
−取外し可能なロケータ8を突起9に固定するための断面方形の金属製ペグ10;
−取外し可能なロケータ8に設けられた、ペグを通す孔11;
−鋸刃を案内するためのガイドスリット12;
−ドリルの尖端を案内するためのガイドホール13。
【0137】
図1a〜図1fおよび図2a〜図2eに示すように、本発明の第1の実施形態に係るテンプレートシステムは、ツールガイドコンポーネント2を備えている。ツールガイドコンポーネント2は、骨の手術に用いる1つまたは複数のツールを挿入して案内することができる複数のガイド孔200を有している。
【0138】
さらに、このテンプレートシステムは、複数の位置決めフィンガー6を含む位置決めコンポーネント1を備えている。各位置決めフィンガーは、骨面の特定の部位に当接しうる端面61を有している。
【0139】
外にも、このテンプレートシステムには、ツールガイドコンポーネント2を位置決めコンポーネント1に取り付けるためのねじ3が設けられている。ねじ3は、両ブコンポーネントを取外し可能に取り付けるものであるが、両コンポーネントの相対的な位置を調整することはできない。換言すれば、ねじ3は、両コンポーネントを組み合わせた後に、両者を互いに固着する役割を果たす。
【0140】
位置決めコンポーネント1およびツールガイドコンポーネント2を、ねじ3を介して組み立てると、各位置決めフィンガー6の端面61は、骨面の種々の部位に当接して、骨を固定する。このとき、ガイド孔200も、位置決めフィンガーの端面61に対して固定した位置に保持される。
【0141】
位置決めコンポーネント1は、プラスチック材料から、急速型取り技術によって製造される。この急速型取り技術は、患者の大腿骨の形状を計測する工程を含むものである。位置決めフィンガーの端面61の形状は、各患者の大腿骨の骨面に適合するよう調整される。この結果、テンプレートシステムは、患者一人一人に合わせて、大腿骨の特定の位置に固定され、これに対応して、ガイド孔200の位置も定まる。したがって、大腿骨を切断するときにも、切断面は、人工膝関節の対向面の形状と適合するものとなる。
【0142】
位置決めコンポーネント1は、基部60と、この基部60から延びる4本の位置決めフィンガー6とからなっている。位置決めフィンガー6の端面61は、対向する骨面にまで延びている。また、基部60と位置決めフィンガー6は一体となっているため、基部60と位置決めフィンガー6は、全体として硬質である。したがって、複数の位置決めフィンガー6の端面61は、ねじ3が位置決めコンポーネント1とツールガイドコンポーネント2を締着する前においても、互いに一定の位置関係を保つ。
【0143】
何本かの位置決めフィンガー6は、位置決めコンポーネントの基部60からではなく、ツールガイドコンポーネント2から延びるようにすることもできる。ただし、すべての位置決めフィンガーの端面61は、互いに一定の位置関係を保つものでなければならない。
【0144】
本実施形態における4本の位置決めフィンガー6は、概ね長手の円筒形であり、端面61まで続く貫通孔を有している。さらに本実施形態のテンプレートシステムは、複数のピン7を備えており、各ピン7は、位置決めフィンガー6の貫通孔を通して、テンプレートシステムが固定される骨面に突き刺さる。貫通孔の方位は、位置決めフィンガーの端面61が当接する部位の骨面と直交するように、テンプレートシステムの製造中に決定される。したがって、ピン7は、骨面に突き刺さった後、横滑りすることはない。このようにして位置決めコンポーネントを骨に固定すると、ツールガイドコンポーネントも、定位置に保持され、鋸で骨を切断したり、ドリルで骨に穿孔したりする最中にも、ぐらつくことはない。
【0145】
位置決めコンポーネント1とツールガイドコンポーネント2は、ツールガイドコンポーネント上の角張った突起24と、位置決めコンポーネントの基部における対応する溝624を介して、互いに固定される。ねじ3は、位置決めコンポーネント基部の貫通孔4を貫通して、ツールガイドコンポーネントのねじ穴5に螺合される。したがって、ねじ3は、ツールガイドコンポーネント2を、位置決めコンポーネント1に対して、取外し可能で、かつ位置調整ができないように固定する。
【0146】
本実施形態にテンプレートシステムにおいては、4本の位置決めフィンガー6の外に、テンプレートシステムを大腿骨に装着する際に、大腿骨の位置決めフィンガーとは異なる部位に当接する端面81を有する、取外し可能なロケータ8も設置されている。ロケータ8の端面81は、大腿骨の回動しない前面に当接する。また、ロケータ8は、位置決めコンポーネントの基部60から突き出た突起9に取り付けられ、断面方形のペグ10を介して、これに固着される。
【0147】
組立ての際には、まず、突起9を、ロケータ8に形成されているスロットに嵌め付け、ついで、このロケータ8の大径の端面からペグ10を差し込み、突起9のうちスロットに嵌め付けられている部分に留める。ロケータ8には、ペグ10を差し込むための穴の外に、テンプレートシステムの他の部品と関連づけるための孔11も設けられる。
【0148】
以上の説明から、位置決めフィンガー6には、貫通孔62(ピン7を通すための孔)が設けられており、位置決めフィンガーの大腿骨側の端面61は、円形をなしていることが分かると思う。
【0149】
つぎに、ツールガイドコンポーネント2の詳細を説明する。ツールガイドコンポーネント2は、金属製であり、かつガイド孔(長孔)201を含む第1の部分21を有している。第1の部分21におけるガイド孔201は、テンプレートシステムが固定されている大腿骨を切断する鋸刃を案内するためのものである。ガイド孔201を含む第1の部分21は、ツールガイドコンポーネント2のうち、ねじ3によって位置決めコンポーネント1に固定される部分である。
【0150】
ツールガイドコンポーネント2は、複数のガイドスロット12、および複数のガイドホール13を含む第2の部分22も有している。第1の部分21におけるガイド孔が、大腿骨の長手方向と直交する方向から、大腿骨の端面を平坦に切断する鋸刃を案内するのに対し、第2の部分22におけるガイドホール13とガイドスロット12は、大腿骨の切断面に穿孔したり、大腿骨端部の形状を整えたりする際に、ドリルの尖端や鋸刃を案内する。ガイドホール13と連通している2つのガイドスロット12,12は、互いに傾斜している。他方、第2の部分22における他の2つのスロットは、互いに平行である。
【0151】
ツールガイドコンポーネントの第1の部分21と第2の部分22は、比較的薄手の連結部分23を介して強固に連結されている。第1の部分21、第2の部分22、および連結部分23は、単一の金属塊に適当な機械加工を施すことによって形成される。連結部分23は、ガイドスロット12の幅よりも十分に狭くなるよう、例えば2〜20mm、好ましくは3〜12mm、より好ましくは4〜6mm程度に、薄く形成される。
【0152】
連結部分23は、ともに金属製である第1の部分21および第2の部分22を、強固に一体に保持する。したがって、このテンプレートシステムによれば、連結部分23が薄手であるため、手術対象である大腿骨について、手術医の視野が広がることが分かると思う。換言すれば、第1の部分21に強度の高い剛質の材料を用いるため、連結部分23を小型化することができ、手術医の視界は、わずかしか遮られることがない。
【0153】
位置決めコンポーネントの基部60と位置決めフィンガー6も、患者一人一人に合わせて形成することができる。これとは対照的に、ツールガイドコンポーネント2は、全患者に共通である。ツールガイドコンポーネントにおけるガイド孔200(ガイドスロット12とガイドホール13)は、互いに所定の位置関係を保ち、この位置関係は、特定の患者の骨の形状に影響されることはない。ツールガイドコンポーネントは、大腿骨の切断面の形状を、人工膝関節の形状に適合するように調整するのを支援する。
【0154】
上記のテンプレートシステムを製造する際には、各患者の骨の形状を考慮に入れて、位置決めフィンガーとロケータの各端面61,81の位置と形状を決定するだけでなく、ガイドスロット12とガイドホール13の位置と方位も、これらによって案内されるツールが、基部60、これから延出する位置決めフィンガー6、およびピン7を避けうるようにする。
【0155】
しかし、取外し可能なロケータ8の端面81は、ツールガイドコンポーネント2のスロット121を介して案内される鋸刃による切断面と共面をなしている。したがって、ロケータ8は、テンプレートシステムを大腿骨に対して位置決めする過程において、基部60に固定され、ピン7が、テンプレートを固定するために骨に穿刺されるまで、この位置に留まる。この後、ロケータ8は、スロット121を介して切断が行われる前に、基部60から取り外される。よって、切断用の鋸刃によって、位置決めコンポーネントの一部を損傷されるのは、避けることができる。
【0156】
本発明の1つの態様においては、プラスチック材料を用いて、貫通孔を有する位置決めフィンガー6を含む位置決めコンポーネント1を製造する。つぎに、適当な大きさの金属ピン7を、位置決めフィンガー6の貫通孔に挿入する。この際、ピン7の表面は、貫通孔のプラスチックからなる周壁(位置決めコンポーネントの表面の一部)に、直に接触する。
【0157】
一方、他の態様においては、位置決めフィンガー6の貫通孔に、まず比較的硬質の材料(例えば金属)からなるスリーブを内挿し、ついで、このスリーブにピン7を挿入する。この態様によれば、位置決めコンポーネントの表面が、変位する部品(ピン)や手術用ツールから完全に離間されているため、位置決めコンポーネントの材料の破片が、手術部位に入り込むのを防ぐ上で、より効果がある。
【0158】
上記の実施形態においては、ツールガイドコンポーネント2の第1の部分21は湾曲しており、連結部分23は、この湾曲している第1の部分21の中心部と、第2の部分22の中心部とを連結している。しかし、連結部分23は、第1の部分21の中心部以外と連結することもできる。
【0159】
図2aは、上記のテンプレートシステムが組み立てられて、大腿骨表面の所定の部位に固定されている状態を示している。テンプレートシステムを大腿骨に固定するのは、所定の人工膝関節を収容しうるよう、骨を調整する過程の一部である。テンプレートシステムの固定は、ピン7を、位置決めフィンガー6の貫通孔62を介して、骨面に穿刺することをもって終了する。
【0160】
この後、大腿骨の端部を切断するため、ガイドスロット201を介して鋸刃を前後させる。ついで、取外し可能なロケータ8を取外し、ツールガイドコンポーネントの第2のコンポーネントのガイドスロット12を介して、他の部分をさらに切断し形状を整えるとともに、ガイドホール13を介して、ドリルで穴を形成する。
【0161】
この実施形態においては、ツールガイドコンポーネント2の第1の部分21には、ただ1つのガイドスロット201しか設けられていないが、他にこれと平行に延びる複数のスロット(全体として、0.5〜2mmの比較的狭い間隔を置いて設けられる2以上のスロット)を設けることもできる。このように複数のスロットを設けると、切断位置について、手術医に選択の余地が生まれ、柔軟な対応ができるようになる。すなわち、手術医は、手術を開始してから初めて明らかになった状況に対しても、適応することができる。なお、これら複数のスロットは、必ずしもツールガイドコンポーネントの第1の部分21に設ける必要はなく、テンプレートシステムのどこにでも設けることができる。
【0162】
つぎに、図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示す脛骨用のテンプレートシステムについて説明する。全患者に共通のツールガイドコンポーネント102の上面に、特定の患者向けの位置決めコンポーネント101の下面が、金属製のねじ103を介して強固に取り付けられる。
【0163】
位置決めコンポーネント101の下面における貫通孔104は、ツールガイドコンポーネントのねじ穴105と正確に一直線に並んでいる。位置決めコンポーネント101は、第1のロケータ106,106を備えている。これら2つの第1のロケータ106,106は、患者の脛骨の平坦面における特定の部位に、同時に当接する。第1のロケータ106,106は、正確に骨を切断し、かつ骨の内部に正確に人工膝関節を配置しうるよう、第2のロケータ107,107とともに、再使用可能な金属製のツールガイドコンポーネントを、手術前に決定された所定の方位に向けさせる。
【0164】
患者一人一人に合わせて製造される位置決めコンポーネント101と連結コンポーネント108は、本実施形態においては、DuraForm PAから形成されているが、将来利用可能となるものも含めて多くの材料から形成しうることは理解されると覆う。
【0165】
連結コンポーネント108は、ツールガイドコンポーネント102の正面に設けられている突起に外挿され、金属製のねじ109によって、ツールガイドコンポーネントに固着される。連結コンポーネント108の後部に設けられている貫通孔110は、ツールガイドコンポーネントのねじ穴111と正確に一直線に並んでいる。位置決めコンポーネント108は、2つの第2のロケータ107,107を備えている。第2のロケータ107,107は、患者の脛骨の前中央部に、同時に当接する。第2のロケータ107,107は、正確に骨を切断し、かつ骨の内部に正確に人工膝関節を配置しうるよう、第1のロケータ106、106とともに、ツールガイドコンポーネントを、手術前に決定された所定の方位に向けさせる。
【0166】
位置決めコンポーネントは、第1および第2のロケータ106,107を貫通するピンを介して、骨の所定の部位に固着される。この際、位置決めコンポーネントの方位は、当接する骨面と垂直になるように、手術前の段階で決定しておく。このため、ピンは、骨面に穿刺されたときには、横滑りすることなく、骨を切断している間にも、位置決めコンポーネントを定位置に保持する。
【0167】
脛骨の切断は、ツールガイドコンポーネント102に設けられているガイドスリット112を介して、鋸刃を前後させることによって、正確に行うことができる。ガイドスリット112は、脛骨用人工膝関節の対向面と一直線に並んでいる。
【0168】
ツールガイドコンポーネント102に設けられているガイドホール113の軸方向は、テンプレートシステムを脛骨に固定するためのロッドの軸方向と一致しているため、脛骨の平坦面にドリルの尖端を正確に案内するのに貢献する。断面T字形ガイドスリットは、脛骨用人工膝関節における竜骨部と一致しており、鋸刃を脛骨の平坦面へ正確に案内する。ドリルや鋸刃によって骨に形成された穴や切断部は、人工膝関節の脚や竜骨部を収容する。ツールガイドコンポーネントにおけるガイド孔は、種々の対向面をもつ人工膝関節に合わせて、骨の対応する部分の切断や穿孔を容易にする。
【0169】
以上をまとめると、テンプレートの部品は、次の通りである。
−患者一人一人に合わせて形成される位置決めコンポーネント101;
−規格に則ったツールガイドコンポーネント102;
−ツールガイドコンポーネント102に位置決めコンポーネント101を固定するための金属製のねじ103;
−位置決めコンポーネント101に設けられる、ねじ103を通すための貫通孔104;
−ツールガイドコンポーネント102に設けられるねじ穴105;
−位置決めコンポーネント101に設けられる第1のロケータ106;
−位置決めコンポーネント101とツールガイドコンポーネント102とを連結するための連結コンポーネント108;
−連結コンポーネント108と協働する第2のロケータ107
−連結コンポーネント108をツールガイドコンポーネントに固着させるための金属製のねじ109;
−連結部分に108設けられるねじ109のための貫通孔110;
−位置決めコンポーネント101に設けられるねじ穴111;
−手術用鋸の刃を案内するためのガイドスリット112;
−ドリルの尖端を案内するためのガイドホール113;
−手術用鋸の刃を案内するためのガイドスリット114。
【0170】
図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示すテンプレートシステムは、上記の図1a〜図3f、および図2a〜図2eに示すテンプレートシステムとは異なり、脛骨が人工膝関節を収容しうるようにするための手術において用いられるものである。しかし、図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示すテンプレートシステムは、人工膝関節全置換術において、図1a〜図3f、および図2a〜図2eに示すテンプレートシステムと関連づけて用いることもできる。図1a〜図1f、および図2a〜図2eに示すテンプレートシステムは、大腿骨に手術を施す際に用いられ、図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示すテンプレートシステムは、脛骨に手術を施す際に用いられるが、これらのテンプレートシステムが有する特徴は、他の骨の手術に用いるテンプレートシステムにおいても採用することができる。
【0171】
図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示すテンプレートシステムにおけるツールガイドコンポーネント102は、金属製で、滅菌用の高熱処理、および再使用が可能であるが、各患者に合わせて製造されるものではない。この規格化されたツールガイドコンポーネントは、第1の部分1021、第2の部分1022からなっている。第1の部分1021は、鋸刃を案内するスロット112を有している。他方、第2の部分1022は、ガイドホール113とガイドスロット114とからなるガイド孔を有している。
【0172】
ツールガイドコンポーネントの第1の部分1021は、円弧状に湾曲しつつ延びている。脛骨を切断するための鋸刃は、第1の部分1021の形状に従って円弧状となっているガイドスロット112に沿って、前後させることができる。円弧状の第1の部分1021の右端には、連結部分1023が連結されている。
【0173】
図3a〜図3e、および図4a〜図4eから分かるように、このテンプレートシステムは、手術を施す骨面がよく見えるようになっている。また、ツールガイドコンポーネント102は、小型で、当接面積が従来よりも小さくても、骨面に挿入し固定することができるため、特に最小侵襲手術に適している。また、ツールガイドコンポーネントの第1の部分1021が、連結部分1023の反対側から延びるようにする場合には、ツールガイドコンポーネントを、図示のものよりも小型化しなければならない。
【0174】
図1a〜図1f、および図2a〜図2eに示す、前実施形態に係るテンプレートシステムにおけるツールガイドコンポーネント2(連結部分23を通る垂直面に関して対称になっている)とは対照的に、図3a〜図3e、および図4a〜図4eに示す、本実施形態に係るツールガイドコンポーネント102は、連結部分1023に関して非対称である。
【0175】
本実施形態に係るテンプレートシステムにおいては、位置決めコンポーネントは、第1の位置決めコンポーネント101と第2の位置決めコンポーネント108からなっている。第1の位置決めコンポーネント101は、第1の本体1060と、これと一体化された概ね円筒形の2つのロケータ106とからなっている。これらのロケータ106は、第1の本体1060の反対側に端面1061を有している。ロケータ106は、管状であり、テンプレートシステムを固定するためのピンを挿入しうる貫通孔62を有している。
【0176】
第1の位置決めコンポーネント101は、脛骨の回動面の部分的な形状を認識する過程と、この形状を利用して、ロケータ106の端面1061の形状および位置を決定する過程とを含む方法を介して製造される。したがって、第1の位置決めコンポーネント101は、テンプレートシステムが、各患者の脛骨の所定の位置に当接するのを助ける役割を果たす。
【0177】
ツールガイドコンポーネントの第2の部分1022は、第1の位置決めコンポーネント101が上方へ動くのを防止しうるように、第1の位置決めコンポーネント101の本体1060に、上方から収容される形状となっている。このようにして本体1060がツールガイドコンポーネントに組み合わされた後に、ねじ103を、第1の位置決めコンポーネントの貫通孔104に挿入し、さらに、ツールガイドコンポーネントの第2の部分1022のねじ穴1030に締着する。この結果、第1の位置決めコンポーネントは、ねじ103によって、ツールガイドコンポーネント102に、取外し可能に、かつ位置調節はできないように固定され、ロケータの端面1061は、対応するガイド孔に対して、定位置を保つこととなる。
【0178】
第1の位置決めコンポーネント101と同様に、第2の位置決めコンポーネント108も、本体1060と、これから延びる2本の位置決めフィンガー107,107とからなっている。各位置決めフィンガー107は、骨面に当接する端面1071を有している。第2の位置決めコンポーネント108も、第1の位置決めコンポーネント101と同様に、脛骨の回動面の部分的な形状を認識する過程と、急速型取り過程とを含む方法を介して製造される。したがって、第1の位置決めコンポーネント101は、テンプレートシステムが、特定の患者の脛骨の所定の位置に当接するのを支援する役割を果たす。
【0179】
各位置決めフィンガー107の端面は、テンプレートシステムが所望の位置に固定されたときには、脛骨の非回動部分に密接することとなる。第2の位置決めコンポーネント108は、ツールガイドコンポーネントの第1の部分1021の基部に挿入され、ねじ109によって、これに固定される。ねじ109は、第2の位置決めコンポーネントにおける貫通孔110を通って、ツールガイドコンポーネントの第1の部分1021におけるねじ穴111に螺合される。
【0180】
図4a〜図4eは、図3a〜図3eに示すテンプレートシステムを組立て、脛骨の所定の位置に装着した状態を示す。第1のロケータ106は、脛骨の回動面の一部に、第2のロケータの端面1071は、脛骨の非回動面の一部に、それぞれ当接している。
【0181】
図4c(平面図)から分かるように、ツールガイドコンポーネントの第1の部分1021の周方向の長さは、脛骨の全周の1/4よりも短い。しかし、ガイドスロット112は、湾曲しているため、これに案内される鋸刃は、脛骨を切断することができる。このような構成のテンプレートシステムは、最小侵襲手術に特に適している。
【0182】
図4a〜図4eには示していないが、テンプレートシステムは、第2の位置決めコンポーネントの貫通孔62に差し込まれるピンによって、骨に固定されている。ツールガイドコンポーネントの第1の部分におけるガイドスロット112は、脛骨を切断する鋸刃を案内するために使用される。他方、ツールガイドの第2の部分1022におけるガイドホール113とガイドスロット114からなる複合ガイド孔は、人工膝関節の下部の形状(竜骨形状)に適合するよう、脛骨の端面に、対向する凹部を形成する際に用いられる。
【0183】
上記2つの位置決めコンポーネント101,108は、測定された骨の形状に従って製造されるため、ツールガイドコンポーネント102のガイド孔を介して挿入されるツールを動かす際に、衝突や大きな摩擦が生ずることもない。したがって、手術中に位置決めコンポーネントから、破片が生ずることはなく、手術部位が毒性に晒されることはない。
【0184】
図5a〜図5dは、本発明に係るテンプレートシステムを他の観点から見たものである。これまでに説明したテンプレートシステムは、人工膝関節全置換手術において、大腿骨と脛骨に人工膝関節を装填する手術に用いられるものであった。これらのテンプレートシステムは、再使用可能な金属製のツールガイドコンポーネントと、各患者用に製造される複数の位置決めコンポーネントコンポーネントとを備えている。
【0185】
図5a〜図5dは、人工膝関節に対応する大腿骨用テンプレートシステム、および脛骨用テンプレートシステムにおける位置決めコンポーネントの複数の部品を示す。これらの部品には、付着手段を介して、患者識別プレート202が付されている。付着手段は、弾性を有するロッド201であり、このロッド201は、大腿骨用テンプレートシステムおよび脛骨用テンプレートシステムにおけるそれぞれの位置決めコンポーネントの各コンポーネントに設けられている孔に通され、かつ患者を識別する情報2020が表示された患者識別プレート202に接続されている。
【0186】
ロッド201の両端は、患者ごとに異なる、位置決めコンポーネントの各部品がばらばらにならないように、患者識別プレート202に接続されている。さらに、取り違えのないよう、二重の安全確認として、患者識別プレート202には、位置決めコンポーネントの認識符号9が付されており、同様に、各位置決めコンポーネントにも同一の認識符号9が付されている。したがって、各患者に専用の位置決めコンポーネントの部品は、1つのパックとして手術医に提供することができる。識別プレート付着手段としてのロッド201は、位置決めコンポーネントを、滅菌されたツールガイドコンポーネントを再使用して、これと組み合わせる前に切断される。
【0187】
図5a〜図5dは、各患者に専用の位置決めコンポーネントの複数の部品を製造した後、使用する前の状態を示す。位置決めコンポーネントの複数の部品1,8,101,108は、急速型取り技術を用いて製造され、細長いロッド201を介して、1つのグループにまとめられる。ロッド201の両端は、患者を表す英数字からなる情報を含むプレート202に付着される。さらに、同一のグループに属する部品には、同一の識別符号9が付されている。このような製造上の留意は、異なる患者用の部品が互いに混ざるのを防止するためのものである。
【0188】
以上をまとめると、図5a〜図5dに示す各患者専用の位置決めコンポーネントのグループ(位置決めコンポーネントホルダと呼ぶこともある)の部品は、次の通りである。
−大腿骨用位置決めコンポーネント1;
−大腿骨用の取外し可能なロケータ8;
−識別プレート202に含まれる符号と同一の識別符号9;
−脛骨の平坦面に当接する位置決めコンポーネント101;
−脛骨の前中央部に当接する位置決めコンポーネント108;
−患者識別プレート202を付着するためのロッド201
−英数字からなる患者固有の情報を含む患者識別プレート202。
【0189】
上記の実施形態に係るテンプレートシステムは、人工膝関節全置換術(TKR手術)を最小侵襲手術により行う場合に、骨の切断を容易にするために、いくつか変更を加えることができる。このような変更は、最小の切断で関節部へ人工膝関節を埋め込んだり、最小の作業で骨を切断したりするためのものである。骨の切断に係る面積が小さければ、周辺の組織に与える損傷が少なく、患者の回復も短期間で実現するからである。
【0190】
以上をまとめると、人工膝関節全置換術を最小侵襲手術により行う場合には、膝領域の骨を切断するのを支援ために、本発明に係る2種類のテンプレートシステム(大腿骨用テンプレートシステムと脛骨用テンプレートシステム)を用いることができる。各テンプレートシステムは、患者ごとに異なる位置決めコンポーネントと、適当な数のガイドスリットとガイドホールをもち、2つの部分からなるツールガイドコンポーネントとを備えている。ガイドスリットとガイドホールは、正確に骨を切断したり、手術計画の段階で決定した位置に人工膝関節を取り付けたりするための手術具を案内する。
【0191】
位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、組み合わされ、かつ剛質で一体化したアセンブリを形成するよう、ねじによって固着される。このアセンブリは、膝領域における骨の特定の位置に装着され、慎重に選択された複数の部位においてピン止めされる。ピンは、鋸刃やドリルの尖端と接触するおそれのない部位に穿刺される。2種類のツールガイドコンポーネントの一方を用いて、対応する骨を切断した後、もう一方のツールガイドコンポーネントを用いて、人工膝関節を導入するための骨の前処理を完了させる。
【0192】
図6a〜図6fe、図7a〜図7e、図8a〜図8f、および図9a〜図9dは、本発明に係る大腿骨用テンプレートシステムの詳細を示す。図6a〜図6eは、本発明に係る大腿骨用テンプレートシステムの第1セクションAを、それぞれ正面、左側面、底面、平面、および斜め方向から視た拡散分解図である(各図は互いに等尺度である)。図7a〜図7eは、前記第1セクションAが、組み立てられて、大腿骨にピン止めされている状態を、種々の方向から視たものである。
【0193】
図8a〜図8eは、本発明に係る大腿骨用テンプレートシステムの第2セクションBを、それぞれ正面、左側面、底面、平面、および斜め方向から視た拡散分解図である(各図は互いに等尺度である)。図9a〜図9eは、前記第2セクションBが、組み立てられて、大腿骨の脛骨側切断面にピン止めされている状態を、種々の方向から視たものである。
【0194】
図6a〜図6e、および図7a〜図7eに示す第1セクションAにおいては、第1の位置決めコンポーネント301が、再使用可能な金属製の第1のツールガイドコンポーネント302の凸部に外挿され、金属製のねじ303によって固着される。第1の位置決めコンポーネントを上下に貫通する貫通孔304は、第1のツールガイドコンポーネントのねじ穴305と正確に一直線に並んでいる。
【0195】
第1の位置決めコンポーネント301は、DuraForm PAから形成されているが、将来利用可能となるものも含めて多くの材料から形成しうることは理解されると思う。第1の位置決めコンポーネントは、患者の骨に同時に当接しうるようになっている3つのロケータ306(それぞれが特定の部位に当接する)を備えている。これらのロケータは、正確に骨を切断し、人工膝関節を正確に骨に取り付けるための手術を行いうるよう、第1のツールガイドコンポーネント302を、手術計画の段階で決定された方向に向ける。
【0196】
第1の位置決めコンポーネントは、3つのロケータ306の他にも、骨の特定の部位に当接し、第1のツールガイドコンポーネントを所定の方位に向けるのを支援する突起307を有している。突起307の大きさは、適宜変更してよい。この突起307は、第1の位置決めコンポーネントを骨面に案内するガイド手段として用いることもできる。ただし、突起307は、患者の骨面に近接するものの、当接はしない。
【0197】
第1の位置決めコンポーネントは、各ロケータ306に差し込まれる複数のピン308を介して、大腿骨に固定される。ピンの当接位置は、ピンが当接面と直交するように、手術計画の段階で決定される。この結果、ピン308は、骨面に穿刺される際にも横滑りせず、大腿骨を切断するときにも、第1の位置決めコンポーネントを定位置に保持する。ロケータ306aは、大腿骨の滑面に当接し、第1の位置決めコンポーネントを定位置に保持するための追加手段として働く。
【0198】
大腿骨の切断は、ガイドスリット309を介して鋸刃を前後させることにより、正確に行われる。ガイドスリット309は、人工膝関節の遠方側の対向面と正確に位置が揃えてある。第1のツールガイドコンポーネント302とガイドスリット309の大きさは、使用する鋸刃の厚さと使用時の変位を考慮して、テンプレートシステムを製造する前に決定される。
【0199】
第1のツールガイドコンポーネント302は、大腿骨の中央と側面の関節丘に穴を形成するドリルの尖端を案内しうる2つのガイドホール310も有している。ドリルによって形成された穴は、人工膝関節の脚部を収容する。この穴の延びる方向に沿って形成される切断面は、後述する第2セクションBの位置を定めるのにも用いられる。
【0200】
次に、最小侵襲手術用テンプレートシステムの第2セクションBについて説明する。大腿骨の中央と側面の関節丘にドリルによって形成された穴、および第2のツールガイドコンポーネント313の平坦面312に設けられた穴には、2つの脚311の両端がそれぞれ挿入される。第2のツールガイドコンポーネント313の平坦面312は、大腿骨末端の切断面と正確に位置が揃えてある。
【0201】
第2のツールガイドコンポーネント313には、2本のピン314の平坦な端部が固定されている。ピン314は、第2のツールガイドコンポーネント313における凸部315の孔を貫通して延びている。この孔は、ピン314を、脚311および鋸刃と接しないように案内すべく、正確に定めた内径を有している。
【0202】
ピン314が、大腿骨の切断中に、振動で凸部315の孔から外れることのないよう、ピン314を凸部315に固定するための手段が設けられている。この手段(図示せず)は、例えば、ピン314の溝に嵌め込まれるスプリングワッシャとすることができる。このようなスプリングワッシャは、ピン314を大腿骨に穿刺した後に、凸部315の骨面側に現れる。
【0203】
4つのガイドスリット319は、人工膝関節の対向面と、正確に向き合っている。第2のツールガイドコンポーネント313とガイドスリット319の大きさは、使用する鋸刃の厚さと使用時の変位を考慮して、テンプレートシステムを製造する前に決定される。
【0204】
図6a〜図6e、図7a〜図7e、図8a〜図8f、および図9a〜図9dに示す大腿骨用テンプレートシステムは、第1セクションAに係る第1のツールガイドコンポーネント302、同じく第1の位置決めコンポーネント301、ねじ303(第1の位置決めコンポーネント301とツールガイドコンポーネント302とを取外し可能、かつ位置調整はできないように固着する)、および第2セクションBにおける第2のツールガイドコンポーネント313(この平坦面312は、第1のツールガイドコンポーネント302を介して切断された大腿骨の平坦な面に当接する)を備えている。
【0205】
第1のツールガイドコンポーネント302は、第1の位置決めコンポーネント301がねじ303によって固着(締着)される第1パート3021を有している。一方、第1の位置決めコンポーネント301は、本体3060と、これと一体化された3本の位置決めフィンガー306を有している。さらに、第1の位置決めコンポーネントは、本体3060から突出した追加ロケータ307も有している。3本の位置決めフィンガー306は、軸方向に貫通孔を有しているが、追加ロケータ307は中実である。
【0206】
第1の位置決めコンポーネント301は、第1のツールガイドコンポーネント302と、キーを介して連結されるようになっている。このため、第1の位置決めコンポーネントの本体3060には、1対のキー溝3065が形成されている。このキー溝3065には、ツールガイドコンポーネントの第1パート3021に形成されたキー3056が係合する。
【0207】
第1のツールガイドコンポーネントの第1パート3021は、これを前後に貫通するガイドスロット309を有している。鋸刃は、このガイドスロット309を通じて使用される。さらに、ガイドスロット309を塞ぐ必要はないため、塞ぐための要素が必要な場合と比べて、第1パート3021は、小型化することができ、テンプレートシステムも、最小侵襲手術に適したものとなる。
【0208】
第1のツールガイドコンポーネント302は、第1パート3021と、1対のガイドホール310を有する第2パート3022とをつなぐ連結部分3023を備えている。連結部分3023は、第1パート3021の一方の側(2つのガイドスロット309のうちの一方が設けられている側)に連結されるため、第1のツールガイドコンポーネント302は、この連結部分3023に関して、非対称である。
【0209】
この大腿骨用テンプレートシステムの第1セクションAを使用する際には、ツールガイドコンポーネント302と第1の位置決めコンポーネント301とを組立て、図7a〜図7eに示すように、大腿骨に装着し、位置決めフィンガー306の貫通孔62を介して、ピン308を大腿骨に止める。ついで、鋸刃をガイドスロット309に挿入し、前後に動かして大腿骨を切断し、平坦な切断面を形成する。ガイドホール310は、この後大腿骨の切断面に2つの位置決め用の穴を形成する際に、ドリルの尖端を案内する。
【0210】
位置決め用の穴を形成したら、この第1セクションAを大腿骨から取外し、第2セクションBの第2のツールガイドコンポーネント313を、大腿骨の切断面に装着する。すなわち、第2のツールガイドコンポーネント313の平坦面312を、大腿骨の切断面に当接させる。この際、第2のツールガイドコンポーネント313の脚311を、第1のツールガイドコンポーネント302におけるガイドホール310を介して形成した位置決め用の穴に挿入する。この結果、第2のツールガイドコンポーネント313は、大腿骨の定位置に固定され、第2のツールガイドコンポーネントにおけるガイドスロット319は、大腿骨の形状を整える際に、鋸刃を案内するために使用される。
【0211】
図6a〜図6e、図7a〜図7e、図8a〜図8f、および図9a〜図9dに示す第1および第2のツールガイドコンポーネント302,313は、大腿骨を図示のような形状にするために必要なあらゆるガイド孔を、ただ1つのツールガイドコンポーネントに備えるとした場合のツールガイドコンポーネントよりも小さい。すなわち、本発明によれば、ツールガイドコンポーネントを、比較的小型の2つのセクションに効率的に分割することにより、最小侵襲手術に適したテンプレートシステムを得ることができる。
【0212】
つぎに、本発明に係る2つの第1セクションAとセクションBからなる、脛骨の最小侵襲手術用テンプレートシステムについて説明する。図10a〜図10d、および図11a〜図11d(第1セクションAを示す)において、各患者専用の第1の位置決めコンポーネント401は、全患者に共通の第1のツールガイドコンポーネント402の突起414を介して、これに取り付けられる。第1の位置決めコンポーネント401を上下に貫通する貫通孔403には、金属製のねじが挿入され、このねじは、貫通孔403と一直線に並ぶ第1のツールガイドコンポーネント402のねじ穴404に締着される。
【0213】
第1のツールガイドコンポーネント402の正面には、この第1のツールガイドコンポーネントにおける凹溝を介して、第2の位置決めコンポーネント405が取り付けられ、金属製のねじによって、第1のツールガイドコンポーネント402に固定される。第2の位置決めコンポーネント401を前後に貫通する貫通孔は、第1のツールガイドコンポーネント402のねじ穴に通じている。こうして、第1セクションAを構成する2つの位置決めコンポーネントと第1のツールガイドコンポーネントは、一体に組み立てられる。
【0214】
第1の位置決めコンポーネント401は、2つの凸部406を有しており、第2の位置決めコンポーネント405は、円筒形の3つのロケータ407を有している。各ロケータ407は、脛骨の所定の位置(手術計画の段階で決定される)にそれぞれ当接し、人工膝関節を所定の位置に取り付けるべく、脛骨を正確に切断しうるよう、第1のツールガイドコンポーネントを適当な方位に向ける。
【0215】
第2の位置決めコンポーネントは、ロケータ407に差し込まれるピン408を介して、脛骨の所定の位置に固着される(図11a〜図11d参照)。ピン止めする位置は、ピンが垂直に穿刺されるように、手術計画の段階で決定される。垂直に穿刺されたピン408は、横滑りすることがないため、脛骨を切断する際にも、第2の位置決めコンポーネントを脛骨に強固に固定し続ける。複数のピンは、骨に穿刺する際に互いに衝突することのないよう、その方位について手術計画の段階で注意を払わなければならない。
【0216】
脛骨は、鋸刃を、ガイドスリット409を介して前後することにより切断される。ガイドスリット409は、鋸刃をより大きく動かせるよう、図に示す幅よりも大きくして、左右いずれかの側にのみ設けることもできる。
【0217】
図12a〜図12dに示すように、脛骨の切断が終了すると、余分な骨は除去され、ついで、上記脛骨用テンプレートシステムのセクションBを構成する、全患者に共通の第2のツールガイドコンポーネント410(図10a〜図10d参照)が、切断面411に装着される。第2のツールガイドコンポーネント410は、これから突出した、断面413が角形の連結部分412を備えている。
【0218】
第2のツールガイドコンポーネント410は、第1のツールガイドコンポーネント402の断面方形のポール414を介して、手術計画の段階で決定された位置に案内される。第2のツールガイドコンポーネント410は、これに設けられたガイドホール415に差し込まれる2つのピンによって所定の位置に固定される。2つのガイドホール415は、ツールガイドコンポーネント410がより強固に定位置に保持されるよう、わずかに傾斜している。脛骨に適当な大きさの人工膝関節を取り付ける際、ガイド孔416を通して挿入される手術具が、支障なく骨に到達しうるよう、第2の位置決めコンポーネント405に差し込まれているピン408の幾本かは、取り外すことが必要になることもある。
【0219】
上記の図10a〜図10d、図11a〜図11d、および図12a〜図12dを参照しての説明から分かるように、この実施形態に係るテンプレートシステムは、第1のツールガイドコンポーネント402と第2のツールガイドコンポーネント410とを備えている。また、第2の位置決めコンポーネント405は、本体4060と、この本体と一体になって、これから延びる複数のロケータ407とを具備している。複数のロケータ407は、それぞれ、骨面と当接する端面4071を有している。第2の位置決めコンポーネントの本体4060を第1のツールガイドコンポーネント402に取り付ける手段として、ねじ(図には示していない)が用いられる。
【0220】
第1の位置決めコンポーネント401は、本体4066を具備している。本体4066には、この本体と一体になって、これから延びる位置設定器(5分の1ガロン入り容器(fifth)の形状を有する)の対406,406が一体に形成されている。位置設定器406の端面4071の形状は、対応する骨面に当接するよう、調整されている。本体4066を第1のツールガイドコンポーネント402に取り付けるために、本体4066の貫通孔を通して、第1のツールガイドコンポーネント402に、ねじが締着される。
【0221】
第1のツールガイドコンポーネント402は、これに第2のツールガイドコンポーネント410を装着するための四角柱414を備えている。第2のツールガイドコンポーネント410を第1のツールガイドコンポーネント402に装着するのは、第1のツールガイドコンポーネント(第1の位置決めコンポーネントに固定されている)におけるガイドスロット409を介して鋸刃を案内し、脛骨の端部に切断面を形成した後である。
【0222】
第2のツールガイドコンポーネント410を第1のツールガイドコンポーネント402に装着した後、第2のツールガイドコンポーネント410に設けられているガイド孔113,114を介して、最初にドリルの尖端、次に鋸刃を案内する。本発明に係る、2つのツールガイドコンポーネントを備えるテンプレートシステムによれば、単一のツールガイドコンポーネントにすべてのガイド孔を設ける場合と比べて、ツールガイドコンポーネントを小型化することができ、したがって、テンプレートシステムも、最小侵襲手術に適したものとなる。
【0223】
つぎに、図13a〜図13d、図14a〜図14d、図15a〜図15d、および図16a〜図16dを参照して、2つのツールガイドコンポーネントを備える、もう1つの脛骨用テンプレートシステム(最小侵襲手術向き)を説明する。図13a〜図13d、および図14a〜図14dに示す第1セクションAにおいて、各患者専用の第1の位置決めコンポーネント501は、全患者に共通の第1のツールガイドコンポーネント502に、これに設けられている突起を介して装着される。第1の位置決めコンポーネント501の上方から、この第1の位置決めコンポーネントの貫通孔503を通して、第1のツールガイドコンポーネント502のねじ穴503(貫通孔503と一直線をなすように設けられている)に、金属製のねじが締着される。
【0224】
一方、第1のツールガイドコンポーネント502の正面には、これに設けられている突起を介して、第2の位置決めコンポーネント505が装着され、金属製のねじを介して固着される。第2の位置決めコンポーネント505には、後方から挿入されるねじに対応して、貫通孔が設けられており、この貫通孔は、第1のツールガイドコンポーネントのねじ穴と一直線に並んでいる。第1のツールガイドコンポーネント502と第2の位置決めコンポーネント505は、ねじによって固着される。
【0225】
第1の位置決めコンポーネント501は、2つの凸部506を有している。他方、第2の位置決めコンポーネント505は、複数のロケータ507を有している。これらのロケータ507は、骨面の特定の部位に当接し、第1のツールガイドコンポーネント502を適当な位置(骨を正確に切断して、所定の位置に人工膝関節を設置しうるように手術具を案内すべく、手術計画の段階で決定される)に設定するのを支援する。
【0226】
第2の位置決めコンポーネント505は、ロケータ507に差し込まれる複数のピン508によって、脛骨に固定される(図14a〜図14d参照)。これらのピン508の位置は、骨面に垂直にピンが当接するように、手術計画の段階で決定される。このため、各ピン508は、横滑りすることなく、脛骨を切断している間にも、この第1の位置決めコンポーネント505を定位置に保持しうる。また、各ピン508の位置については、骨に穿刺する際に互いに衝突することのないよう、手術計画の段階で注意を払わなければならない。
【0227】
脛骨は、鋸刃を、ガイドスリット509を介して前後させることにより切断される。なお、鋸刃をより大きく動かせるよう、ガイドスリットの幅を図示のものよりも大きくして、左右いずれかの側にのみ、ガイドスリットを設けることもできる。脛骨を切断した後、脛骨用テンプレートシステムの第1セクションAのガイドスリット509に従って、余分な骨を除去する。
【0228】
つぎに、図15a〜図15d、および図16a〜図16dに示すように、第2セクションBに係る第3の位置決めコンポーネント509を、第2のツールガイドコンポーネント511の連結部分510に取付け、金属製のねじを介してこれに固着する。第2のツールガイドコンポーネント511は、骨の切断面に装着される。
【0229】
骨の形状を調整して、人工膝関節を最適な位置に取り付けるには、手術具を案内する第2のツールガイドコンポーネント511を所定の位置(手術計画の段階で決定される)に設定しなければならない。このため、この第2のツールガイドコンポーネント511の位置を定める複数のロケータ513のそれぞれが、患者の骨の特定の部位に当接する。これらのロケータ513の位置は、第1セクションAにおける第2の位置決めコンポーネント505のロケータ507の位置と一致する。したがって、まずロケータ507に差し込まれているピン508を取り外し、つぎに第1セクションAにおけるロケータ507を、第2セクションBにおけるロケータ513によって取り替え、位置決めの精度を高める。
【0230】
ついで、第2のツールガイドコンポーネント511を、これに設けられている2つの貫通孔514を介して、骨の切断面にピン止めする。貫通孔514は、これに挿入されるピンが、ツールガイドコンポーネント511を、より強固に定位置に保持しうるよう、わずかに傾斜している。所定の大きさの人工膝関節を装着しうるように、脛骨の形状を調整するため、ガイド孔515を通して手術具を進入させる際に、貫通孔514に差し込まれるピンが障害とならないよう、ピンの何本かを取外さなければならないこともある。
【0231】
図13a〜図13d、図14a〜図14d、図15a〜図15d、および図16a〜図16dに示すテンプレートシステムは、第2の位置決めコンポーネント505において、本体5060、およびこれから延出する複数のロケータ507を有する。また、第1のツールガイドコンポーネントにおいては、本体5036、およびこれから延出する複数のロケータ5061を有する。
【0232】
第1のツールガイドコンポーネント502、ならびに第1および第2の位置決めコンポーネント501,505を組み合わせたアセンブリは、ロケータ507を介して、骨面の所定の位置にピン止めされる。ついで、ガイドスロット509を介して、鋸刃を案内し、脛骨の端部に切断面を形成する。その後、このアセンブリを脛骨から取り外す。
【0233】
このテンプレートシステムは、第2のツールガイドコンポーネント511と、第3の位置決めコンポーネント509とを有している。第3の位置決めコンポーネント509は、本体と複数のロケータ513とからなる。第2のツールガイドコンポーネント511は、第3の位置決めコンポーネント509に取り付けられ、第3の位置決めコンポーネント509は、ピン止めされると、第2のツールガイドコンポーネント511を、脛骨断面上の所定の位置に保持する。
【0234】
次に、本発明に係るテンプレートシステムの製造方法、使用方法、および人工膝関節の装着方法を説明する。
【0235】
本発明に係るテンプレートシステムを、人工膝関節全置換術(TKR手術)に適用するには、このテンプレートシステムに固有のいくつもの過程を経なければならない。これらの過程は、図17(流れ図)に大きくまとめてある。図18〜図20は、それぞれ、図17に示す過程B〜過程Dを、詳細に説明する流れ図である。
【0236】
図21a〜図21eは、斜め下方から視た大腿骨、人工膝関節、大腿骨の切断面、この切断面に装着された状態の人工膝関節等を、互いに等尺度で示す。図22a〜図22eは、斜め上方から視た脛骨、人工膝関節、脛骨の切断面、この切断面に装着された状態の人工膝関節等を、互いに等尺度で示す。
【0237】
〔過程A-イメージング〕
CT,MRIその他の適当なイメージング手段を用いて、患者の膝関節の複数の画像を得る。これらの画像は、患者の正確な身体構造の測定を基に、人工膝関節の大きさを決定するための2Dまたは3Dモデルを形成するために用いられる。この2Dまたは3Dモデルは、仮想空間において、人工膝関節の正確な装着態様や、この装着を可能にするためのテンプレートシステムの構成を確認するためにも用いられる。
【0238】
〔過程B−手術計画〕
長期的視点から見て手術が成功を収めるためには、処置の計画を適切に立てることが肝要である。例えば、過程Aにおいて、CTデータを再構成することにより、周辺の柔軟組織の詳細を省いて大腿骨と脛骨の3D画像を形成した後、大腿骨の前後方向の長さAPfem(図21a参照)を測定することにより、大腿骨用人工膝関節の適当な大きさを決定することができる。同様に、脛骨の幅WIDTHtibおよび前後方向の長さAPtif(図22a参照)を測定することにより、脛骨用人工膝関節の適当な大きさを決定することができる。
【0239】
上記の測定結果を基に、人工膝関節の形状と大きさに関する電子データライブラリから、大腿骨および脛骨にそれぞれ取り付ける人工膝関節(図21cおよび図22c参照)の正確な大きさを選択することができる。選択した人工膝関節の大きさが適当であるか否かは、大腿骨および脛骨のCTデータから得られる3Dモデルを重ね合わせたり、2D画像を投影したりすることによって、確認することができる。正確な大きさの人工膝関節を最適に配置することができれば、脛骨用の人工膝関節が大腿骨の領域まで張り出して、大腿骨の前部皮質を傷つけるおそれを排除することができる。
【0240】
人工膝関節の3D画像は、膝関節領域における人工膝関節の最適な配置が決定されるまで、双方向通信を介した操作によって、回転、並進、および傾斜させることができる。大腿骨および脛骨の切断が完了すると、人工膝関節が装着される切断面(図21dおよび図22d参照)が形成された各骨の最終的な形状が定まる。図21eおよび図22eは、人工膝関節が装着された状態を示す。
【0241】
すでに説明した再使用可能な金属製ツールガイドコンポーネントの位置は、そのガイドスリットとガイドホールが、骨の最終形状を区画する面(すなわち、人工膝関節が当接する面)と整列するように定められる。ついで、1度しか使用しない第1の位置決めコンポーネントの設計を、ロケータの位置と方位(当接する骨面と垂直になるようにする)を調整することによって、最終的に決定する。ロケータの位置と方位が定まれば、1度しか使用しない第1の位置決めコンポーネントは、急速型取り技術によって、容易に製造することができる。
【0242】
〔過程B1−身体構造の計測〕
過程Aで得た画像を用いて、患者の身体構造を計測する。この計測は、各患者に最適な大きさの人工膝関節を決定するのに役立つ。この段階において、患者の身体構造を特定するためにどのような断面を選択するかは、重要ではない。なぜならば、過程B2についての説明で述べるように、同一の骨について、同時に種々の大きさの人工膝関節を重ね合わせて試した上で、過程B3において最適な大きさの人工膝関節を決定しうるからである。
【0243】
〔過程B2−規格化された人工膝関節およびテンプレートシステムの部品の取り込み〕
後述するように、人工膝関節の大きさを決定するための電子データライブラリは、各患者専用の位置決めコンポーネントのそれと対比すると、位置決めコンポーネントにおいては、電子データライブラリから得られるデータの他に、ロケータについて調整が必要となる点を除いて、同一である。種々の大きさの人工膝関節に係る電子データライブラリを構成することは可能である。このような電子データライブラリは、手術具を案内するガイドスリットやガイドホールが、骨に対する人工膝関節の当接面や人工膝関節を固定するための脚の位置と一致するように、ツールガイドコンポーネントと整列している、仮想的な人工膝関節に関するデータを備えている。
【0244】
〔過程B3−人工膝関節の大きさ、および関節領域におけるその方位の決定〕
電子データライブラリから読み込まれた人工膝関節の画像がディスプレイに表示され、対応する骨に対して、すでに説明した観点から最適とされる位置に重ね合わされる。ツールガイドコンポーネントは、上記の通り自動的に正しく位置づけられる。最後の過程B4では、1度しか使用しない位置決めコンポーネントにおけるロケータの骨に対する位置、長さおよび方位を決定する。
【0245】
身体構造の計測過程(過程B1)において決定した人工膝関節の大きさが、骨と対比した際に若干大きいかまたは小さいときには、その度に、電子データライブラリから、ツールガイドコンポーネントのデータとともに、種々の人工膝関節のデータを取り入れ、従前のものの替わりに使用することができる。しかし、時間を節約するため、電子データライブラリから、すべての人工膝関節、および関連するツールガイドコンポーネントのデータを一度に取り入れ、正しい大きさを決定したならば、残りのデータをすべて消去するやり方が望ましい。
【0246】
〔過程B4−各患者専用のロケータの設計〕
ロケータの位置を調整する際には、骨の形状を調整する際に、ロケータが障害になることのないよう、鋸刃、ドリルの尖端、およびピン(位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントに固定するために用いられる)の変位の方向に焦点を当てて画像を重ね合わせることが重要である。複数のロケータは、それぞれ、テンプレートに対する移動の軌跡320を有している。この軌跡は、視覚化しうるよう、テンプレートに関するデータベースに組み込まれている。このため、過程B4を完全に自動化することも可能になると期待される。
【0247】
ロケータの軌跡のデータベースは、各患者の身体構造の違いを網羅しうる十分な規模のものでなければならない。このようなデータベースは、位置決めコンポーネントが、骨の種々の部位に対して、ロケータを介して、位置設定しうるようにするために必要である。例えば、すでに説明した位置決めコンポーネント301においては、ロケータ306を、多数の連結部分321を組み合わせて構成することもできる。他方、ロケータ306を、一本のアーム322から構成するならば、手術医の関節領域に係る視界を、最大限保持することができる。
【0248】
ロケータの最適な位置を決定した後、テンプレートについて多数のブール演算を行う。このブール演算の目的は、(i)規格化された金属製の(複数回使用可能な)ツールガイドコンポーネントに固定される1度しか使用されないコンポーネントの複数の部品(各患者に専用)を組み合わせるため、および(ii)これら複数の部品を、対応する骨面に正確に当接させるためである。
【0249】
〔過程C−製造〕
過程C1−コンピュータ数値制御(CNC)加工または急速型取り技術による再使用可能な規格化されたコンポーネントの製造:
再使用可能な規格化されたコンポーネントを、CNC加工または急速型取り技術により製造する。
過程C2−CNC加工または急速型取り技術による患者専用コンポーネントの製造:
患者専用コンポーネントの複数の部品を、急速型取り技術を用いて製造する。ロッドを介してひとまとめにされる患者専用コンポーネントの部品を、急速型取り技術を用いて製造する。各部品は、ロッドを伝わって移動することはできるが、ロッドを切断しない限り、ばらばらにすることはできない。各部品には、患者に対応する標章が付される。
過程C3−患者専用コンポーネントの部品の洗浄と組立て:
ロッドから各部品を取外し、金属製の規格化されたツールガイドコンポーネントと組み合わせる前に洗浄する。
過程C4−テンプレートシステムの滅菌:
組み立てた部品を滅菌し、輸送に備えて荷造りする。
〔過程D−手術〕
過程D1−組み立てた患者専用コンポーネントの装着
組み立てたテンプレートシステムを、前記過程Bで把握した患者の身体部分の特定の位置に装着する。
過程D2−手術
テンプレートシステムを用いて手術具を案内し、人工関節の取付けのために骨を切断する。
【0250】
本発明に係る実施形態のいくつかは、人工膝関節を取り付ける手術に用いるテンプレートシステムに係る。膝関節は、十字形をなす前後2つの靭帯(前十字靭帯と後十字靭帯)からなっている。前十字靭帯は、人工膝関節全置換術を行う際には、通常、保持されない。実際、これまで行われた人工膝関節全置換術において、手術後にもこの靭帯が保持されている例はほとんどない。
【0251】
しかし、本発明に係るテンプレートシステムを用いれば、人工膝関節全置換術においても、前十字靭帯を保持することができる(実際、この方が望ましい)。手術医は、手術室において、追加の手術具を必要とすることなく、前十字靭帯を保持しつつ、大腿骨や脛骨を切断することができる。本発明に係る、最小侵襲脛骨用テンプレートシステムは、脛骨の平坦領域を避けて装着することができる。すなわち、本発明に係る脛骨用テンプレートシステムは、脛骨の平坦領域の周囲に装着することができるため、前十字靭帯への損傷を避けることができる。同様に、大腿骨用テンプレートシステムも、十字形をなす2つの靭帯を切断しなくても、大腿骨を装着することができる。
【0252】
本発明によれば、ロケータと骨面の当接面積が最小となるようにしつつ、テンプレートシステムを正確に装着することができる。従来、この当接面積は、骨の形状に合わせて、大きくする必要があった。骨と当接するロケータの面積を小さくすると、装着位置の精度が低下するからである。したがって、公知のテンプレートシステムを、当接面積を小さくせざるを得ない、膝の側方の手術に用いることは不可能であった。
【0253】
側方の関節形成手術は、最小侵襲手術であり、前十字靭帯と後十字靭帯は保持されなければならない。このような場合に、本発明に係るテンプレートシステムを用いることができる。側方の関節形成手術に用いるテンプレートシステムは、大腿骨および脛骨の最小侵襲手術に用いるテンプレートシステムと比べて非常に似ているが、大きさはこれよりも小さい。
【0254】
側方の関節形成手術にCASシステム(カメラを用い、コンピュータによって光学的に支援される手術システム)を用いると、大腿骨側の人工膝関節の表面が、大腿骨の関節丘のそれと一致して、滑らかな輪郭となるように、人工膝関節を取り付けることができる。このようなことは、従来のテンプレートシステムを用いて行うことは非常に難しい。すなわち、人工膝関節が、大腿骨の関節丘の表面よりも上方または下方に位置し、膝蓋骨が当接部位に段差が生ずることがある。このような事態は、膝蓋骨が擦り切れて、患者に痛みを生じさせるおそれがあるため、望ましくない。本発明に係るテンプレートシステムによれば、このような問題を解決することができる。
【0255】
図24〜図27は、それぞれ、取外し可能なロケータを備えている、本発明の一実施形態に係る脛骨用テンプレートシステムを示す。図24に示すロケータ91は、骨面の所定の部位に当接している。ロケータ91は、手術医が、位置決めコンポーネントを骨に固定する前に、これを正確に設定するのを支援する。
【0256】
ロケータ91は、ガイドスリット92を介して、人工膝関節を取り付けるために骨の形状を調整する鋸刃を、支障なく動かすことができるため、取り外す必要はない。ロケータ91には、ガイドホール93も設けられている。ガイドホール93は、ツールガイドコンポーネントの連結部分94を貫通する孔と正確に一致している。したがって、ガイドホール93と連結部分94を貫通する孔を介して、金属製の取外し可能なピンを差し込むことができる。このピンは、ツールガイドコンポーネントにおける金属製の突起95と協働して、ロケータを所定の位置に固定する。突起95は、ピンがロケータから取り外されたときには、すでに固定されているテンプレートシステムを動かさなくても、取り外せるように設計されている。
【0257】
図25は、図1に似たテンプレートシステムを示す。取外し可能なロケータは、ツールガイドコンポーネント98と連結部分との間に挟まれている。したがって、図25に示すテンプレートシステムは、図24に示すテンプレートシステムよりも小型である。
【0258】
図26に示すテンプレートシステムも、図25に示すツールガイドコンポーネント97と同一のツールガイドコンポーネント97を備えている。しかし、図26に示すテンプレートシステムにおけるロケータ96の形状と大きさは、図25にテンプレートシステムのロケータとは異なる。金属製の突起99は、図24で説明したピンとほぼ同様の金属製のピンと協働して、取外し可能なロケータを定位置に保持している。
【0259】
図27に示すテンプレートシステムは、図24に示すテンプレートシステムと類似している。位置決めコンポーネント910は、ねじを介して、ツールガイド911に取り付けられる。この際、各コンポーネント910,911の許容誤差に注意を払わなければならない。さもないと、両者をぴったりと嵌め付けることができないからである。両コンポーネント910,911の間に湾曲した領域が存在するときには、空隙912が生じる。垂直方向における両コンポーネント910,911の当接領域913,914の面積を小さくすることにより、位置決めコンポーネント910がツールガイドコンポーネント911に対して過大になるおそれが後退し、両コンポーネント910,911の嵌め付けの正確さは、維持されることとなる。
【0260】
図1a〜図1f、および図2a〜図2eに示す実施形態においては、位置決めコンポーネント1(またはロケータ)は、ロケータ6に差し込まれるピンを介して、対応する骨面に止着される。ピンの穿刺方向は、手術計画の段階で、当接する骨面と垂直になるように定められる。このため、ピンは、骨面に穿刺する際にも、横滑りすることはない。したがって、骨を切断しているときにも、位置決めコンポーネントは、定位置に保持される。
【0261】
しかし、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントの両方とも、ピンで骨面に止着する方が好ましい場合もある。このような実施形態を図28a〜図28d、および図29a〜図29dに示す。
【0262】
なお、ツールガイドコンポーネントだけを骨面にピン止めする実施形態もあり得る。ツールガイドコンポーネントを骨面に止着するためには、ツールガイドコンポーネントに1つまたは複数のピンホールを用意する。
【0263】
図28a〜図28d、および図29a〜図29dに示すテンプレートシステムは、大腿骨用のテンプレートシステムである。しかし、このテンプレートシステムについて述べる特徴の多くは、原則として、脛骨用テンプレートシステムや、他の骨用のテンプレートシステムにも適用しうる。この実施例においては、患者専用の非対称な位置決めコンポーネント(a_1)が、全患者に共通の再使用可能なツールガイドコンポーネント(a_2)に固着されている。
【0264】
位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントと連結するための連結部分(a_7)は、対象となる骨に近接している。したがって、位置決めコンポーネントの固定強度を増大させるために、手術の最中に、多くの体組織を動かす必要はない。位置決めコンポーネント(a_1)の下面は、ペグ(a_37)(図29参照)によって、ツールガイドコンポーネントに装着するための所定の位置に誘導される。ペグは、ツールガイドコンポーネント(a_2)の上面に開口している貫通孔(a_38)に嵌め付けられる。
【0265】
位置決めコンポーネント(a_1)は、所定の位置に誘導されると、六角ボルト(a_9)を介して、ツールガイドコンポーネント(a_2)に固着される(他の固着手段も可能である)。ペグ(a_37)の位置は、位置決めコンポーネントが、手術計画の段階で決定された適当な大きさのツールガイドコンポーネント(a_2)にのみ固着されるように定められる。
【0266】
ツールガイドコンポーネント(a_2)の位置は、位置決めコンポーネントによって定められる。位置決めコンポーネントにおける複数の位置決めフィンガー(a_9)は、それぞれ、骨面の特定の部位に同時に当接することにより、ツールガイドコンポーネントを所定の位置に設定する。位置決めフィンガーは、特定の位置に当接すると、ツールガイドコンポーネントの貫通孔(a_12)を通過する2つのピン(a_3)により、この位置に固定される。これらのピンは、互いに、およびガイドスリット(a_10)に対して平行である。また、2つのピン(a_3)は、前方の骨面とも概ね直交する。
【0267】
ガイドスリット(a_10)は、鋸刃を大腿骨の反対側まで届くように正確に案内するため、大腿骨を切断することができる。ピン(a_3)を互いに平行にすることにより(これ以外の穿刺手段が設けられていないか、もしくはすでに取り外されていること、または位置決めコンポーネントがすでにツールガイドコンポーネントから引き離されていることを条件として)、ピン(a_3)を穿刺位置に留めたまま、テンプレートを取り外すことが可能になる。したがって、ツールガイドコンポーネントは、ピンと平行にスライドさせることにより、骨から離間させることができる。
【0268】
このテンプレートシステムは、このような構成になっているため、手術により露出された患者の体組織に損傷を与えるおそれなしに、手術中に、ツールガイドコンポーネント(a_2)または位置決めコンポーネント(a_1)に、他の部品を容易に取り付けることができる。
【0269】
図29に示す実施形態においては、ツールガイドコンポーネントに、ピン(a_3)の通路となる貫通孔(a_12)が設けられている。図29には、2つの貫通孔(a_12)しか示されていないが、互いに平行であれば、これを超える個数の貫通孔を設け、このうち位置決めに最も適した2つの孔を、手術中に医師が選択することも可能である。
【0270】
この実施形態におけるように、骨面から離間しているツールガイドコンポーネントに貫通孔(a_12)を設けると、ツールの破片が患者の体組織に紛れ込むおそれなしに、ピンを定位置に穿刺することができる。
【0271】
一方、ピン(a_4)は、位置決めコンポーネントに穿刺されている。このピン(a_4)は、ロケータ(a_8)の貫通孔(a_5)により案内される。この貫通孔(a_5)の方位は、ピン(a_4)が骨面に垂直に当接するよう(骨面への穿刺時に横滑りしないようにするため)、手術計画の段階で調整される。ピン(a_4)は、概ねピン(a_3)と直交する方向に延びているため、テンプレートシステムを定位置にロックする効果がある。手術医は、貫通孔(a_5)は、膝関節の中央側部に向かっているため、この方向から、アクセスすることができる。
【0272】
図29aおよび図29cによれば、位置決めコンポーネント(a_1)に設けられた貫通孔(a_5)に差し込まれているのはただ1本のピン(a_4)であるが、位置決めコンポーネント(a_1)を定位置に固定し、鋸刃で骨を切断している最中にテンプレートが緩むのを防止するためには、同様のピンと貫通孔が、他にも必要である。これらのピンと貫通孔は、膝関節の前面または側面に設けるのが好ましい。
【0273】
ツールガイドコンポーネント(a_2)の形状は、位置決めコンポーネントに差し込まれるピンピン(a_4)に加えて、またはこのピンピン(a_4)に代えて、位置決めコンポーネント用のピン(a_4)と同じ方向にピンを差し込めるように、変更することもできる。骨面から離間しているツールガイドコンポーネントに貫通孔(a_12)を設けると、ツールの破片が患者の体組織に紛れ込むおそれなしに、ピンを定位置に穿刺することができる。
【0274】
位置決めコンポーネントを骨面の特定の部位に当接させるためには、ロケータの数と位置を慎重に決定しなければならない。以下においては、大腿骨用のテンプレートシステムについて述べる。位置決めコンポーネントには、例えば5本のロケータを設けることができる(1つを前方、2つを側方、残りの2つをその中間の斜め方向(図28参照))。
【0275】
位置決めコンポーネントは、5本のロケータが同時に骨面に当接するように配置すべきであるが、骨面に滑りやすい薄い軟組織層が存在するため、これが実現しない場合もある。この場合、ロケータと骨面との当接は弱いものとなるため、テンプレートシステムが本来の当接位置よりも少し下方にずれ、骨の切断位置が不正確になるおそれがある。このようなおそれを解消するため、ロケータの下方へのずれを制限しうるよう、追加ロケータを設ける場合もある。
【0276】
図28d、図30b、および図30cには、取外し可能なロケータ(a_13)を示してある。このロケータ(a_13)は、大腿骨の関節丘よりも下方に位置する。位置決めフィンガー(a_8)を介して、他のロケータと同時に、膝関節に当接する。
【0277】
手術医は、すべてのロケータが同時に骨面に当接しうるよう、関節丘の表面から軟組織を除去しなければならない。取外し可能なロケータ(a_13)は、連結部分(a_15)によって支持されたツールガイドコンポーネント(a_2)の貫通孔(a_14)に差し込まれる。
【0278】
ロケータ(a_13)が貫通孔(a_14)にぴったりと嵌まるようにするため、貫通孔(a_14)に下方からシャフト(a_130)を嵌め込み、連結部分(a_150)がシャフトの根元を把持できるように、シャフト (a_130)をねじる。手術計画の段階で、取外し可能なロケータに最も適した位置を選択できるように、ツールガイドコンポーネントに2以上の貫通孔(a_14)を設けることもできる。取外し可能なロケータをツールガイドコンポーネントに正しく装着できるように、ロケータに適当な文字(図30c参照。「A」は前方、「P」は後方を表す)を付すこともできる。
【0279】
ガイドスリット(a_10)は、ツールガイドコンポーネントの中央部を、前後方向および横方向に延び(図28参照)、鋸刃を骨の切断のために案内しうるようになっている。しかし、中心部においては、ガイドスリットは存在せず、ツールガイドコンポーネントは上下に繋がっている(図31参照)。この中央の中実部(a_17)(ガイドスリットが存在しない部分)には、六角ねじ(a_9)が上下に貫通している。また、中実部(a_17)は、鋸刃の可動範囲を大きくするため、横方向に傾斜している。
【0280】
このようなタイプのテンプレートシステムは、多くのサイズの中から選び出すことができる。患者に最も適した大きさのものであるか否かは、手術前に患者の骨の大きさを正確の測定結果から判断される。テンプレートシステムの大きさが異なると、ツールガイドコンポーネント(例えば、図28に符号(a_2)で示すもの)の大きさも異ならせなければならないことがある。したがって、同じタイプのテンプレートシステムであっても、複数(例えば6つ)のツールガイドコンポーネントの一覧表が必要になることもある(1つ1つ大きさは異なるが、すべて相似形である)。どの大きさのツールガイドコンポーネントが患者に適しているかは、手術計画の段階で決定される。しかし、ツールガイドコンポーネントとこの脚部の相対的な位置を変えれば、特定のツールガイドコンポーネントについて容易にしなければならないツールガイドコンポーネントの数を減らすことができる。
【0281】
図32は、本発明に係る一実施形態に係る、2つの主要部品、すなわち本体(a_18)と脚部(a_19)からなるツールガイドコンポーネントを示す。脚部(a_19)は、本体(a_18)に対する位置を調整した上で、テンプレートシステムの大きさに合わせたねじ(a_21)により、本体(a_18)に固定することができる。ねじは、本体(a_18)と脚部(a_19)とを連結する連結部分のねじ穴に螺合させる。
【0282】
図28a〜図28d、および図29a〜図29dに位置決めコンポーネント(a_1)に類似した位置決めコンポーネントは、ツールガイドコンポーネントの本体(a_18)に固着され、この本体(a_18)と脚部(a_19)とを、手術計画で定めた位置に同時に設定する。脚部(a_19)は、2つの貫通孔(a_20)を有している。図29a〜図29d、および図32に示す貫通孔(a_20)を設ける目的は、ドリルの尖端を案内することであり、このドリルの尖端は、図9a〜図9eに示す大腿骨の骨面に、図8a〜図8eに示すツールガイドコンポーネントに類似したツールガイドコンポーネントを、図9a〜図9eに示すように、大腿骨の骨面に位置させるための穴を形成する。これらの貫通孔(a_20)は、図8a〜図8eに示す脚部(311)と一直線に並んでいる。また、これらの貫通孔(a_20)は、大腿骨用の人工膝関節の脚部とも一直線に並ぶ。
【0283】
図29a〜図29dに示す貫通孔(a_14)に類似する貫通孔(a_25)(図32参照)を脚部に設け、これを利用して、図28a〜図28dに示す取外し可能なロケータ(a_13)に類似する取外し可能なロケータを保持することも可能である。図32には示していないが、この取外し可能なロケータは、すでに述べたものと同じような手段を用いて、定位置にロックすることができる。
【0284】
取外し可能なロケータを設けるまでもないと認められる場合には、手術計画の段階で決定した位置において大腿骨の切断を終えた後に、切断面に取り付けられる脚部を、ツールガイドコンポーネントの本体によって保持させることもできる。ツールガイドコンポーネントの本体と連結部分をねじ(a_21)で固定する前に、連結部分(a_23)(a_24)を所定の位置に留めるべく、ツールガイドコンポーネントの本体(a_26)にさらにねじ穴を設けることが必要になる場合もある。
【0285】
手術中に患者の膝が屈曲したり痙縮したりして、大腿骨の切断を再度行う必要が生ずる場合もある。この場合、2度目の切開は、1度目の切開と平行に行う。これ以外の大腿骨の形状の調整は、手術計画で定めた通りに行う。
【0286】
図33a〜図33dは、2つのピン(a_3)(図28a〜図28d参照)によって定位置に保持されているツールガイドコンポーネント本体(a_27)を示す。図には、2つのピン(a_3)が骨に穿刺されている様子は示されていないが、これらのピン(a_3)は、図28a〜図28dに示すようなテンプレートシステムを、他のピン(a_4)と連携して固定しうるよう、十分に深く大腿骨に穿刺されている。
【0287】
すでに説明したように、複数のピン(a_3)は、互いに平行で、かつ切断面にも平行である。したがって、ピン(a_3)を取り外すことなく、ツールガイドコンポーネントの本体(a_27)を正確に位置づけることができる。換言すれば、平行なピン(a_3)を介して、まず、第1のツールガイドコンポーネントを、骨に対して所定の位置に設定し、鋸刃をこの本体を介して案内することにより、骨の切断を行うことができる。
【0288】
ついで、位置を代えて再度切断することを決定した場合には、平行なピンを介して、第1のツールガイドコンポーネントを取外し、再度の切断に適したガイドスリットをもつ第2のツールガイドコンポーネントを、ピンを介してスライドさせ、装着する。したがって、手術医は、手術中に感謝が屈曲や痙縮を起こした場合にも対処することができる。
【0289】
符号(a_28)で示す突起は、切断をやり直す場合に、ツールガイドコンポーネントが安定的に保持しうるよう、ツールガイドコンポーネントの本体(a_27)に把手に固定する際に使用される。
【0290】
急速型取り技術を用いれば、目的物を、厚さ0.1〜1.0mmの層の積み重ねとして形成することができる。これは、目的物が複雑な形状をもつ場合でも、正確に形成しうることを意味する。製造チャンバに十分な容量がある場合には、多数の目的物を、急速型取り技術によって同時に形成することができる。
【0291】
本発明の一実施形態においては、テンプレートシステムのうち、患者専用のコンポーネントである位置決めコンポーネントが、急速型取り技術によって形成される。例えば急速型取り技術によると、仕上がった位置決めコンポーネントに歪みがあったり、x,y,z方向のいずれかまたはすべてにおいて、寸法が不正確であったりすることがある。この寸法の不正確は、製造プロセスのみに起因するものである。また、このような寸法の不正確は、特定の方向(x,y,z方向のいずれか)、または一定の領域だけに生じることもある。
【0292】
図34a〜図34c、および図35a〜図35cは、製造中の寸法の正確さについて容易にチェックしうる特徴を含む位置決めコンポーネントを示す。テンプレートシステムを設計する際、このような特徴を多数設ければ、各患者に専用の位置決めコンポーネントにおける寸法の正確さを、速やかに評価することができる。
【0293】
図34a〜図34cに示す位置決めコンポーネントは、上記のような寸法の正確さを、速やかに評価するための特徴が含んでいる。この位置決めコンポーネントは、概ね十字形で、寸法を容易に測定しうるロケータを有している。ロケータに係る(a_29)方向、(a_30)方向、および(a_31)方向は、互いに直交しており、これらの方向に延びるロケータの部分は、製造が適切に行われるならば、互いに均等な長さを有するはずである。このため、ロケータの寸法は、碁盤の目のゲージで、容易にチェックすることができる。このようなゲージは、ロケータの寸法をチェックしうるように設計される。
【0294】
図35a〜図35cに示す位置決めコンポーネントも、寸法の正確さを容易にチェックしうるようにするための特徴を有している。すなわち、この位置決めコンポーネントは、適当なゲージで寸法を測定する際の目印の対を複数有している。これらの目印の対を結ぶ(a_32)方向、(a_33)方向、および(a_34)方向は、互いに直交しており、製造された部品の寸法の正確さを、これら3つの方向に関して評価しうるようになっている。
【0295】
位置決めコンポーネントを製造する際には、図36に示すような特徴を有するインジケータを設けることもできる。インジケータ(a_35)は、設計上は同じ長さで互いに直交する3本のフィンガーを有している。これらのフィンガーが、すべて等しく、設計通りの長さであるならば、ともに製造される位置決めコンポーネントも、同じ3つの方向において、所定の寸法を有していると推認される。したがって、この位置決めコンポーネントの寸法の正確さをチェックする手段も、前述のそれに類似したものである。
【0296】
インジケータ(a_35)は、細いロッド(急速型取りプロセスの最中の形成される)を用いて、各患者専用のロケータとひとまとめにされる。これも、位置決めコンポーネントの部品の寸法のチェックを容易にする工夫の一つである。位置決めコンポーネントの部品の寸法のチェックが終わったら、ロッドを切り離して、位置決めコンポーネントの各部品をロッドから取り外す。位置決めコンポーネントの各部品およびインジケータ(a_35)には、患者ごとに、それぞれ固有のID(a_36)を付すこともできる。このようなIDを付すならば、必ずしも、位置決めコンポーネントの各部品をインジケータ(a_35)とひとまとめにする必要はない。しかし、両者は、互いに一定の位置関係を保っている方が望ましい。
【0297】
本発明に係る人工膝関節置換術用のテンプレートシステムを用いるならば、ロケータを、CTスキャンによるデータを基に、骨に当接するように設計した場合に、手術にその当接部位に軟骨組織が残留していることが分かったとしても、この軟骨組織を除去してから、ロケータを当接し、テンプレートシステムを骨に固定することができる。そうでないと、テンプレートシステムを介して骨の切断や穿孔を行う際に、正確性に悪影響が生ずる。
【0298】
以上の説明から、本発明は、人工膝関節置換術用のテンプレートシステム、この構成要素、および使用方法に係るものであることが分かると思う。本発明によれば、大腿骨または脛骨を切断する際に、人工膝関節を所定の部位に、かつ所定の方位に向けて設置することができる。本発明に係るテンプレートシステムは、人工膝関節全置換術のような大きな切断を伴う手術だけでなく、膝関節領域における切開を最小限に留めて人工膝関節を設置することを目的とする最小侵襲手術(周囲の体組織への損傷を減らし、患者の術後の回復を早めることができる)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0299】
1 位置決めコンポーネント
2 ツールガイドコンポーネント
3 ねじ
4 ねじが貫通する貫通孔
5 ねじに対応するねじ穴
6 ロケータ
7 ピン
8 取外し可能なロケータ
9 取外し可能なロケータを支持するための突起
10 ペグ
11 ペグを通す孔
12 ガイドスリット
13 ガイドホール
24 ツールガイドコンポーネント上の突起
101 位置決めコンポーネント
102 ツールガイドコンポーネント
103 ねじ
104 貫通孔
105 ねじ穴
106 第1のロケータ
107 第2のロケータ
108 連結コンポーネント
109 ねじ
110 貫通孔
111 ねじ穴
112 ガイドスリット
113 ガイドホール
114 ガイドスリット
【図1】

【図2】

【図3】


【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用のツールを受け入れかつ案内するための少なくとも1つのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、
それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、
前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステム。
【請求項2】
前記位置決めコンポーネントは、ツールガイドコンポーネントに取り付けられたときに、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨面に対して所定の位置に固定するようになっていることを特徴とする請求項1記載のテンプレートシステム。
【請求項3】
前記位置決めコンポーネントは、
装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを経て製造されるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載のテンプレートシステム。
【請求項4】
前記位置決めコンポーネントは、前記各ロケータの端面を患者の骨面の所定の部位に当接させ、位置決めコンポーネントをツールガイドコンポーネントに取り付けたときに、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨面に対して所定の位置に固定するという点において、各患者に専用のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項5】
前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の非回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項6】
前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項7】
前記ツールガイドコンポーネントと位置決めコンポーネントは、互いに異なる材料から形成されるようになっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項8】
前記ツールガイドコンポーネントを形成するための材料は、位置決めコンポーネントを形成するための材料よりも硬質であることを特徴とする請求項7記載のテンプレートシステム。
【請求項9】
前記ツールガイドコンポーネントは、金属製であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項10】
前記位置決めコンポーネントは、非金属製であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項11】
前記位置決めコンポーネントは、プラスチック製であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項12】
前記位置決めコンポーネントは、急速型取り技術を用いて形成されるようになっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項13】
前記ロケータは、概ね円筒形であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項14】
前記ロケータは、細長い形状をしていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項15】
前記ロケータは、フィンガー形状をしていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項16】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントに衝突することなく案内しうるように、組み合わされることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項17】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを、骨に固定するための固定手段をさらに含んでいることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項18】
前記ロケータは、端面に向かって延びる貫通孔を含んでおり、前記固定手段は、この貫通孔を通って骨面に穿刺され、位置決めコンポーネントを骨に固定しうるピンであることを特徴とする請求項17記載のテンプレートシステム。
【請求項19】
前記ロケータの貫通孔の内側に、前記ピンが通るスリーブをさらに備えていることを特徴とする請求項18記載のテンプレートシステム。
【請求項20】
前記複数のロケータは、それぞれ、前記貫通孔を有し、かつ前記固定手段は、前記ピンであることを特徴とする請求項18または19記載のテンプレートシステム。
【請求項21】
前記貫通孔は、前記ロケータの端面が当接する骨面に対して、概ね垂直となるように形成されることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項22】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントは、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントおよびピンに衝突することなく、骨面に案内しうるように組み合わされることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項23】
前記ガイド孔は、手術用鋸の刃を案内しうるガイドスロットを含んでいることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項24】
前記ガイドスロットの一方の側端は、外部と通じていることを特徴とする請求項23記載のテンプレートシステム。
【請求項25】
前記ガイド孔は、手術用ドリルの尖端を案内しうるガイドホールを含んでいることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項26】
前記ツールガイドコンポーネントは、前記ガイド孔を複数個含んでいることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項27】
前記位置決めコンポーネントは、本体、およびこの本体から延びる複数のロケータを含んでおり、前記止着手段は、位置決めコンポーネントの本体を、前記ツールガイドコンポーネントに取り付けうるようになっていることを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項28】
前記本体およびロケータは、一体となっていることを特徴とする請求項27記載のテンプレートシステム。
【請求項29】
前記位置決めコンポーネントは、さらに、骨面に当接する端面をもつ追加ロケータと、この追加ロケータを、位置決めコンポーネントの本体に取外し可能に取り付ける追加止着手段とを備え、この追加ロケータは、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを骨に取付けるのを支援し、その後手術の便宜のため取り外されるようになっていることを特徴とする請求項27または28記載のテンプレートシステム。
【請求項30】
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリは、キーを介して、所定の位置において連結されるようになっていることを特徴とする請求項27〜29のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項31】
前記止着手段は、ねじまたはボルトであることを特徴とする請求項1〜30のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項32】
前記ツールガイドコンポーネントは、それぞれ、第1および第2のガイド孔を有する第1の部分と第2の部分とからなっていることを特徴とする請求項1〜31のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項33】
前記ツールガイドコンポーネントは、さらに、前記第1の部分と第2の部分とを繋ぐ連結部分を有していることを特徴とする請求項32記載のテンプレートシステム。
【請求項34】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分、第2の部分、および連結部分は一体となっていることを特徴とする請求項33記載のテンプレートシステム。
【請求項35】
前記連結部分は、中心から周縁に延びるクモの糸状であることを特徴とする請求項33または34記載のテンプレートシステム。
【請求項36】
前記ガイド孔は所定の長さを有しており、前記クモの糸状の幅は、前記ガイド孔の長さよりも細くなっていることを特徴とする請求項35記載のテンプレートシステム。
【請求項37】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、骨を平坦に切断する鋸刃を案内するガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、前記第1の部分のガイドスロットを通して案内される鋸刃により形成される平坦な切断面と概ね垂直方向に形成される切断面または穿孔を形成する鋸刃、またはドリルの尖端を案内する、ガイドスロットまたはガイドホールを有していることを特徴とする請求項32〜36のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項38】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが当接する骨の端部を切断する鋸刃を案内するガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、骨の切断面に穿孔するドリルの尖端を案内する複数のガイドホールを有することを特徴とする請求項32〜37のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項39】
前記位置決めコンポーネントのロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、大腿骨の所定の位置に取り付けられるときに、大腿骨の非回動面に当接するように形成されることを特徴とする請求項1〜38のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項40】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に固定されたときに、大腿骨の端部を切断する鋸刃を案内しうるようになっているガイドスロットを有し、前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、大腿骨の切断面に穿孔を形成するドリルの尖端を案内する複数のガイドホールを有していることを特徴とする請求項39記載のテンプレートシステム。
【請求項41】
前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、大腿骨端部の切断面に、さらに形状を整えるための切断を施しうる鋸刃を案内する複数のガイドスロットを有していることを特徴とする請求項40記載のテンプレートシステム。
【請求項42】
前記位置決めコンポーネントは、大腿骨の前面に当接しうる端面を有する追加ロケータを有していることを特徴とする請求項39〜41のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項43】
前記追加ロケータの端面は、大腿骨の滑面に当接するようになっていることを特徴とする請求項42記載のテンプレートシステム。
【請求項44】
前記追加ロケータを、前記ツールガイドコンポーネントおよびロケータに対して所定の位置関係を保つように取外し可能に止着しうる追加止着手段をさらに有し、この追加止着手段は、追加ロケータが、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを大腿骨の所定の位置に当接させるのを支援し、その後大腿骨に対する手術の便宜のため取り外されるようになっていることを特徴とする請求項42または43記載のテンプレートシステム。
【請求項45】
脛骨の手術に用いられ、かつ前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが脛骨の所定の部位に装着されるように、脛骨の非回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項1〜38のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項46】
前記位置決めコンポーネントは、第1の本体と、この第1の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第1のロケータと、第2の本体と、この第2の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第2のロケータとを備え、前記止着手段は、前記第1および第2の本体を、ツールガイドコンポーネントに止着しうるようになっていることを特徴とする請求項1〜45のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項47】
前記第1の本体および複数の第1のロケータは、一体となっていることを特徴とする請求項1〜46のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項48】
前記第2の本体および複数の第2のロケータは、一体となっていることを特徴とする請求項46または47記載のテンプレートシステム。
【請求項49】
前記ツールガイドコンポーネントは、それぞれガイド孔を有する第1の部分および第2の部分、ならびに第1の部分を第2の部分に連結する連結部分を有し、前記止着手段は、前記位置決めコンポーネントの第1の本体を、ツールガイドコンポーネントの第1の部分に、および前記位置決めコンポーネントの第2の本体を、ツールガイドコンポーネントの第2の部分に止着するようになっていることを特徴とする請求項46〜48のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項50】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、円周角が100°よりも小さい円弧状に、周方向に延びるようになっていることを特徴とする請求項49記載のテンプレートシステム。
【請求項51】
前記ツールガイドコンポーネントの第1の部分は、概ね弓形であることを特徴とする請求項49または50記載のテンプレートシステム。
【請求項52】
前記ツールガイドコンポーネントの連結部分は、ツールガイドコンポーネントの第1の部分の手前側から径方向内側に、クモの糸状に延びていることを特徴とする請求項49〜51のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項53】
前記ツールガイドコンポーネントの第2の部分は、骨に穿孔するためのドリルの尖端を案内するガイドホールと、このガイドホールと連なり、かつ鋸刃を案内するガイドスロットとからなる複合ガイド孔を有していることを特徴とする請求項49〜52のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項54】
脛骨の手術用であって、前記第1のロケータは、患者の脛骨の非回動面に当接し、前記第2のロケータは、脛骨の回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項46〜53のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項55】
前記ツールガイドコンポーネントは、第1のツールガイドコンポーネントとなり、この外に、追加のガイド孔を有する第2のツールガイドコンポーネントを備えていることを特徴とする請求項1〜54のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項56】
前記第1のツールガイドコンポーネントは、骨の平坦に切断する鋸刃を案内するガイドスロットと、骨の平坦な切断面に穿孔するためのドリルの尖端を案内するガイドホールとを有し、前記第2のツールガイドコンポーネントは、第1のツールガイドコンポーネントを用いて形成した骨の平坦な切断面に当接する平坦面、およびこの平坦面に一部が嵌合され、かつこの平坦面から突出する突起を有し、この突起は、第2のツールガイドコンポーネントを骨の切断面の所定の部位に位置決めするようになっていることを特徴とする請求項55のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項57】
前記第1のツールガイドコンポーネントは、さらに、第1のツールガイドコンポーネントが手術用ツールを案内するために使用された後に、前記第2のツールガイドコンポーネントを第1のツールガイドコンポーネントに取り付ける取付け手段を備えていることを特徴とする請求項55のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項58】
前記位置決めコンポーネントは、追加本体と、この追加本体から延び、かつ骨の形状を整えるための縁取り面に当接する端面をもつ追加の位置決め用突起を有し、この追加の位置決め用突起は、位置決めコンポーネントおよびツールガイドコンポーネントを骨に装着するのを支援するようになっており、前記止着手段は、前記追加本体をツールガイドコンポーネントに、取外し可能、かつ位置調整ができないように止着するようになっていることを特徴とする請求項1〜57のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項59】
手術用ツールを案内するためのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステムの製造方法であって、
テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを含むテンプレートシステムの製造方法。
【請求項60】
前記複数のロケータの端面が、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の非回動面に当接するように位置決めコンポーネントを製造する過程をさらに含むことを特徴とする請求項59記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項61】
前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが所定の位置に装着されたときに、骨の回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項59または60記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項62】
前記ツールガイドコンポーネントと位置決めコンポーネントを、互いに異なる材料から形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜61のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項63】
前記ツールガイドコンポーネントを金属から形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜62のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項64】
前記位置決めコンポーネントを急速型取り技術を用いて形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜63のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項65】
位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを組み合わせたときに、前記ガイド孔が、手術用ツールを、位置決めコンポーネントに衝突することなく案内しうるように、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを形成する過程をさらに含むことを特徴とする請求項59〜64のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項66】
前記ロケータが、端面に向かって延びる貫通孔を含み、この貫通孔を通してピンを骨面に穿刺することにより、位置決めコンポーネントを骨に固定しうるように、位置決めコンポーネントを形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜65のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項67】
前記ガイド孔が、貫通孔を介して骨面に穿刺されているピンに衝突することなく、手術用ツールを骨に案内しうるように、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントを製造する過程を含むことを特徴とする請求項66記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項68】
前記貫通孔は、前記ロケータの端面が当接する骨面に対して、概ね垂直となっていることを特徴とする請求項66または67記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項69】
前記位置決めコンポーネントが、本体、およびこの本体から延びて、骨面に当接しうる複数のロケータを有するように、位置決めコンポーネントを形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜68のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項70】
前記本体およびロケータは、一体となっていることを特徴とする請求項69記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項71】
前記位置決めコンポーネントが、さらに、骨面に当接する端面をもつ追加ロケータと、この追加ロケータを、位置決めコンポーネントの本体に取外し可能に取り付ける追加止着手段とを備え、この追加止着手段が、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを骨に取付けるのを支援し、その後手術の便宜のため取り外すことができるように、位置決めコンポーネントを形成する過程をさらに含むことを特徴とする請求項70記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項72】
前記ツールガイドコンポーネントが、第1のガイド孔を有する第1の部分、第2のガイド孔を有する第2の部分、ならびにこれら第1および第2の部分を連結する連結部分を有し、かつこれらが一体化されるように、ツールガイドコンポーネントを形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜71のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項73】
前記骨は大腿骨であることを特徴とする請求項59〜72のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項74】
前記骨は大腿骨であり、前記追加ロケータの端面は、大腿骨の前面に当接するようになっていることを特徴とする請求項71記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項75】
前記骨は脛骨であることを特徴とする請求項59〜72のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項76】
前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、脛骨の所定の位置に装着されるよう、骨の非回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項75記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項77】
前記複数のロケータの端面は、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、脛骨の所定の位置に装着されるよう、骨の回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項76記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項78】
前記位置決めコンポーネントが、第1の本体と、この第1の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第1のロケータと、第2の本体と、この第2の本体から延び、かつ骨面に当接する端面を有する複数の第2のロケータとを備えるように、位置決めコンポーネントを形成する過程を含むことを特徴とする請求項59〜77のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項79】
脛骨の手術用であって、前記第1のロケータは、患者の脛骨の非回動面に当接し、前記第2のロケータは、脛骨の非回動面に当接するようになっていることを特徴とする請求項78記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項80】
前記テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程は、患者への非侵襲スキャンを含むことを特徴とする請求項59〜79のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項81】
手術用ツールを案内するためのガイド孔を有するツールガイドコンポーネントと、それぞれが骨面に当接する端面をもつ複数のロケータを有する位置決めコンポーネントと、前記ロケータの各端面が骨面の対応する部位に当接するように、かつ前記ガイド孔の位置が、ロケータの端面に対して固定されるように、ツールガイドコンポーネントを、位置決めコンポーネントに位置調整ができないように取り付ける止着手段とを備える、骨の手術に用いるテンプレートシステムにおける位置決めコンポーネントの製造方法であって、
テンプレートシステムを装着する骨面の形状を特定する過程と、
前記過程において特定された骨面の形状に従って、前記各ロケータの端面が、骨面の所定の部位に当接し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリが、骨面に対して所定の位置に固定されるように形状を調整する過程とを含む位置決めコンポーネントの製造方法。
【請求項82】
請求項59〜80のいずれかに記載の方法に従って、テンプレートシステムを製造する過程と、
前記止着手段を用いて、前記位置決めコンポーネントを前記ツールガイドコンポーネントに止着し、位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを組み立てる過程と、
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨の所定の位置に取り付ける過程と、
前記ガイド孔を介して手術用ツールを案内し、人工関節を装着しうるよう、骨の形状を整える過程と、
人工関節を骨に装着する過程とを含む人工関節の装着方法。
【請求項83】
患者にスキャンを施して骨面の形状を特定する過程と、複数の人工関節の中から所望の人工関節を選択する過程とを含むことを特徴とする請求項82記載の人工関節の装着方法。
【請求項84】
前記人工関節を装着する骨の部位を選択する過程をさらに含むことを特徴とする請求項82記載の人工関節の装着方法。
【請求項85】
骨の仮想的な模型を形成する過程、および前記選択した人工関節の設置部位を決定するため、この人工関節の仮想的な模型を、前記骨の仮想的な模型に重ね合わせる過程をさらに含むことを特徴とする請求項84記載の人工関節の装着方法。
【請求項86】
前記選択した人工関節は、骨に当接しうる形状の面を有し、この人工関節の位置および骨との当接面を勘案して、前記テンプレートシステムを骨の所望の位置に装着したときにおける、ガイド孔の位置を決定する過程をさらに含むことを特徴とする請求項84または85記載の人工関節の装着方法。
【請求項87】
複数のツールガイドコンポーネントの中から、人工関節における骨との当接面に対応する複数のガイド孔を有する所望のツールガイドコンポーネントを選択する過程を含むことを特徴とする請求項86記載の人工関節の装着方法。
【請求項88】
請求項59〜80のいずれかに記載の方法に従って、テンプレートシステムを製造する過程と、
止着手段を用いて、前記位置決めコンポーネントを前記ツールガイドコンポーネントに止着する過程と、
前記位置決めコンポーネントとツールガイドコンポーネントのアセンブリを、骨の所定の位置に装着する過程と、
前記ツールガイドコンポーネントのガイド孔を介して、骨の手術用ツールを案内する過程とを含む手術方法。
【請求項89】
鋸刃を案内して骨に平坦な面を形成するため、およびドリルの尖端を案内して、前記骨の平坦な面に第2のツールガイドコンポーネントを設置する穴を形成するために、第1のツールガイドコンポーネントを使用する過程と、
前記骨の平坦な面上に前記穴を介して、第2のツールガイドコンポーネントを設置する過程と、
前記第2のツールガイドコンポーネントを使用して、手術用ツールを案内し、骨面の形状をさらに整える過程とを含むことを特徴とする請求項88記載の手術方法。
【請求項90】
ガイド孔を有する第2のツールガイドコンポーネントを、第1のツールガイドコンポーネントに取付け、第2のツールガイドコンポーネントを使用して、手術用ツールを案内し、骨面の形状をさらに整える過程とを含むことを特徴とする請求項88記載の手術方法。
【請求項91】
前記止着手段は、ツールガイドコンポーネントを、取外し可能かつ位置調整ができないように、位置決めコンポーネントに止着するようになっていることを特徴とする請求項1〜58のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項92】
前記ツールガイドコンポーネントは貫通孔を有し、かつこの貫通孔に挿入されて骨面に穿刺され、ツールガイドコンポーネントを骨に固着するピンがさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜58および91のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項93】
前記ツールガイドコンポーネントの貫通孔は複数設けられており、かつ各貫通孔に挿入される前記ピンも複数設けられていることを特徴とする請求項92記載のテンプレートシステム。
【請求項94】
前記ツールガイドコンポーネントの複数の貫通孔は互いに平行であり、これらに挿入されるピンは、ツールガイドコンポーネントを互いに平行に並ぶピンと直交する方向に保持するようになっていることを特徴とする請求項93記載のテンプレートシステム。
【請求項95】
前記位置決めコンポーネントは、製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状を有していることを特徴とする請求項1〜58および91〜94のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項96】
前記位置決めコンポーネントは、製造に係る寸法の正確さを計測するための目印の対を有していることを特徴とする請求項1〜58および91〜95のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項97】
前記位置決めコンポーネントの製造に係る寸法の正確さを評価するために押し当てられるゲージを備えていることを特徴とする請求項1〜58および91〜96のいずれかに記載のテンプレートシステム。
【請求項98】
前記位置決めコンポーネントは、前記ゲージと重なり合う形状を有していることを特徴とする請求項97記載のテンプレートシステム。
【請求項99】
前記位置決めコンポーネントを形成する過程は、製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状を有するようにする過程、または製造に係る寸法の正確さを計測するための目印の対を設ける過程を含むことを特徴とする請求項59〜81のいずれかに記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項100】
前記製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状は、位置決めコンポーネントについてのものであり、前記製造に係る寸法の正確さを計測するための目印の対は、位置決めコンポーネントに設けられることを特徴とする請求項99記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項101】
前記製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状は、位置決めコンポーネントに取り付けられる突起についてのものであり、この突起は、位置決めコンポーネントと一体化されるようになっていることを特徴とする請求項99記載のテンプレートシステムの製造方法。
【請求項102】
請求項1〜58のいずれかに記載のテンプレートシステム用位置決めコンポーネントと、骨を手術する患者を識別する患者識別手段とを含む手術装置。
【請求項103】
前記位置決めコンポーネントと患者識別手段とを結ぶリンク手段をさらに含むことを特徴とする請求項102記載の手術装置。
【請求項104】
前記位置決めコンポーネントは、人工膝関節を装着するための大腿骨と脛骨の手術に用いるテンプレートシステム用位置決めコンポーネントであることを特徴とする請求項102または103記載の手術装置。
【請求項105】
前記位置決めコンポーネント、患者識別手段、およびリンク手段は、急速型取り技術を用いて製造されるようになっていることを特徴とする請求項103または104記載の手術装置。
【請求項106】
前記位置決めコンポーネントと一体に形成され、かつ位置決めコンポーネントの製造に係る寸法の正確さを容易に評価しうる形状を有するインジケータをさらに含むことを特徴とする請求項102〜105のいずれかに記載の手術装置。

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公表番号】特表2010−522053(P2010−522053A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500348(P2010−500348)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000988
【国際公開番号】WO2008/117028
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(508091030)ユニバーシティ オブ リーズ (4)
【Fターム(参考)】