説明

外管付きランプ

【課題】
ピンチシール部の上に盛り付けられた接着剤を外部から見えないようにして、見栄えを良くし、商品価値を向上させると同時に、発光時のモリブデン箔の温度上昇を抑える。
【解決手段】
口金(30)が、内管(10)及び外管(20)を保持する取付ベース(33)と、これを装着させる口金本体(32)からなる。内管(10)はその先端部に取り付けられたサポート(17)により外管(20)に対して同心状に支持され、ピンチシール部(14)が取付ベース(33)に貫通形成された挿通孔(34)に挿通され、その底面開口部(34c)からモリブデン箔(16)の外部リード溶接側端部(16a)と対向する位置に至るまでの間に接着剤(A)を充填し、モリブデン箔(16)が封止された部分とこれに対向する挿通孔内壁面(34d)との間には、発光時にピンチシール部(13)で放熱させるラジエターギャップ(18)を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内管を外的損傷から保護したり、内管の破裂・破壊による破片の飛散を防止したり、人体に有害な紫外放射を抑制・低減するため等の目的で、内管を収容する外管を取り付ける外管付きランプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のランプとしては、発光管で成る内管、あるいは発光管とこれを収容する気密管とで成る内管が、ランプの外殻を形成する外管内に収容されたメタルハライドランプ等の金属蒸気放電ランプや、発光フィラメントとこれを収容する気密管とで成る内管がランプの外殻を形成する外管内に収容されたハロゲンランプなどがある。
【0003】
図7及び図8はこのような従来の外管付きランプ61を示し、発光管62を収容する内管63と、該内管63を収容する外管64と、これらを基端側で同心状に取り付ける口金65とを備え、内管63は、口金65に取り付けられる基端側が熱間圧着されてピンチシール部66に形成されている。
また、ピンチシール部66には、発光管62に給電する内部リード67と、内管63から導出されて口金端子68に接続される外部リード69の間に介装されて、これらに溶接されたモリブデン箔70が気密封止されて成る。
【0004】
口金65には、外管64の開口端64aに挿通されて当該外管64を外装固定する略円柱状の外周面71が形成された支柱72に、内管63のピンチシール部66を挿通保持する挿込凹部73が形成されている。
【0005】
ランプ61を組み立てる際は、図9(a)に示すように、支柱72の挿込凹部73に内管63のピンチシール部66を差し入れた状態で内管63が傾かないように、耐熱性接着剤Aをその隙間に充填すると共に支柱72の上面に盛り付ける。
次いで、支柱72の外周面71に耐熱性接着剤Aを十分に盛り付けた後、図9(b)に示すように、外管64をその開口端64aで接着剤Aの周面を削ぎ落とすようにしながら外装していき、図10に示すように、外管64の開口端64aを支柱72の外周面71に形成されたフランジ74に当接させて外管を固定している。
【0006】
しかしながら、このように内管63と挿込凹部73との隙間に耐熱性接着剤Aを充填して内管63を固定する場合、挿込凹部73に差し込まれたピンチシール部66、特にモリブデン箔70を気密シールした部分が接着剤Aで覆われてしまうことになる。
この耐熱性接着剤Aは一般に熱伝導率が低いため、発光管62を発光させたときに発光管62からピンチシール部66に伝わった熱が放熱され難く、その熱によりピンチシール部66が加熱されるので、モリブデン箔70が高温に晒されて酸化されやすくなり、その結果、モリブデン箔70における断線が促進され、ランプ寿命を短くするという問題があった。
【0007】
また、挿込凹部73の開口部から接着剤Aを充填しなければならないため、接着剤Aが支柱の上面に盛り付けられ、接着剤Aを大量に使用しなければならないだけでなく、透明な外管67の外部から支柱69の上面に盛り付けた接着剤Aが見えてしまい、見栄えが悪く、商品価値を低下させていた。
【0008】
このため、接着剤を隠すために、外管に不透明膜を形成した外管付きランプが提案されている(特許文献1参照)。
この外管付きランプは、外管64の開口端64a近傍に、接着剤を見えないように隠す不透明膜を形成している。
【0009】
しかしながら、外管64の根元部分はランプの点灯により高温に晒され、消灯により室温まで低下するため、その温度変化が激しい。
したがって、不透明膜は、耐熱性材料を用いて温度変化に晒されても外管表面から剥れない程度の接着強度(高投錨性)で形成しなければならず、例えば、アルミナ−シリカ系の耐熱塗料に外管を浸漬してその内周面又は外周面に塗布し、これを高温で焼き付けなければならない。すなわち、耐熱塗料を塗布する工程だけでなく、さらに、焼付工程が必要となる。
そして、ランプや外管の製造ライン中に製膜用の焼成炉を新たに設置する場合は、設備費が嵩むだけでなく、既存の設備を移動させたりして設置スペースを確保しなければならないという面倒がある。既存の焼成炉を利用できる場合であっても、ラインの搬送路を見直すなどの作業が必要になる。
また、いずれの場合も、焼付工程が増設されることから省エネの社会的要請に反し、製造コストが嵩み、生産効率が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3124181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、接着剤の使用量を低減し、ピンチシール部の上に盛り付けられた接着剤を外部から見えないようにして見栄えを良くし商品価値を向上させると同時に、通電時に生ずるモリブデン箔の発熱を抑えることを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するため、本発明は、発光管あるいは発光フィラメントなどを収容する内管と、該内管を収容する外管と、これらを基端側で同心状に取り付ける口金とを備え、前記内管は、口金に取り付けられる基端側が熱間圧着されてピンチシール部に形成されると共に、当該ピンチシール部には、前記発光管あるいは発光フィラメントに給電する内部リードと、内管から導出されて口金端子に接続される外部リードとの間に介装されて、これらに溶接されたモリブデン箔が気密封止されて成る外管付きランプにおいて、 前記口金は、ソケットに電気接続される口金端子を備えた口金本体と、内管及び外管を保持した状態で口金本体の内側に装着される取付ベースを備え、 当該取付ベースは、外管の開口端に挿通されて当該外管を外装する略円柱状の外周面が形成された支柱に、内管のピンチシール部を挿通保持する挿通孔が貫通形成され、 前記内管は、その先端部に当該内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のサポートが取り付けられると共に、ピンチシール部が取付ベースの挿通孔に挿入され、 挿通孔には、底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に接着剤が充填されて内管が取付ベースに固定されると共に、ピンチシール部のモリブデン箔が封止された部分とこれに対向する挿通孔内壁面との間に、発光時にピンチシール部に伝わる熱を逃がしてモリブデン箔の温度上昇を抑制するラジエターギャップが形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、先端にサポートを取り付けた内管のピンチシール部を取付ベースの挿通孔に挿入し、取付ベースの底面側から挿通孔に接着剤を注入すれば、挿通孔内に接着剤が充填されて内管が取付ベースに固定され、この取付ベースに外管を固定する。
このとき、内管の先端側はサポートにより外管と同心的に配され、基端側のピンチシール部は接着剤により取付ベースに固定される。
内管を固定する接着剤は、取付ベースの底面側から挿通孔内に充填できるので、所定量の接着剤を注入することにより、挿通孔の底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に接着剤が充填されて内管が取付ベースに固定されるので、使用量が少なくて足り、外部からは内管を固定する接着剤が見えないので、意匠的にも見栄えがよく、商品価値が高い。
内管はピンチシール部の基端部が接着剤で支持されるので、その接着剤の使用量を従来に比して極端に少なくすることができ、また、内管先端側がサポートにより外管の軸心に位置するように支持されるため接着剤の使用量が少なくなることに起因して内管が傾くというような不具合を生ずることもない。
【0014】
また、接着剤を挿通孔の底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に充填しているので、ピンチシール部のモリブデン箔を覆ったり、挿通孔開口部を塞いだりするように接着剤が充填されることがなく、これにより、モリブデン箔とこれに対向する挿通孔内壁面との間に形成された隙間が外管内に開口され、外管内の空気により隙間内にも対流を生じ、モリブデン箔が空冷される。
すなわち、当該隙間が、発光時にピンチシール部に伝わる熱を逃がしてモリブデン箔の発熱を抑制するラジエターギャップとなる。
これにより、ランプに通電することにより内管を発光させたときに、その発光により生じた熱がピンチシール部に伝わってラジエターギャップで生ずる対流により放熱されるのでピンチシール部が空冷され、モリブデン箔16の温度上昇が抑制される。
その結果、モリブデン箔の酸化が抑制されることとなり、ひいては、モリブデン箔16での断線を防止することができ、ランプの長寿命化を図ることができる。
【0015】
特に請求項2に記載されたように、底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に、その内壁面とピンチシール部との間隔を底面開口部における間隔より狭くする段差を形成しておけば、底面側開口部から充填された接着剤が、その段差により形成された堰でせき止められるので、より確実に、モリブデン箔を覆わないように接着剤を充填することができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載されたように、口金本体に対向する取付ベースの底面側に接着剤を充填する接着剤注入口を形成しておけば、取付ベースの外周面に形成されたフランジに外管基端側の開口端を当接させた状態で、取付ベースの外周面と外管の内周面を相互に係合するジョイント部に対して接着剤を充填することにより、外管を固定できる。
なお、取付ベースは、口金本体に対して接着剤で固定されると共に内管のリード線が口金本体の接続端子に電気接続されており、外管は取付ベースに対してジョイント部を介して取付ベースと相互に係合されているので、口金側を上に向けて取り付けても外管やこれを取り付けている取付ベースが口金本体から脱落することがない。
【0017】
この場合に、請求項4に記載されたように、ジョイント部が、取付ベースの外周面と対峙する前記外管の内周面との間に形成されるギャップに面して、取付ベースの外周面及び外管の内周面に夫々形成された凹部又は凸部と、前記ギャップに充填した接着剤によってインモールド成形されたジョイントからなる場合、ジョイントが取付ベース及び外管に係合されているので、外管が取付ベースや口金本体から脱落することがない。
【0018】
また、ジョイント部が、取付ベースの外周面に形成された係合凹部と、外管に形成された凸部とでバヨネット機構を構成してなる場合、取付ベースと外管が直接係合されると共に、そこに接着剤が充填されるので、外管が取付ベースや口金本体から脱落することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る外管付きランプの一例を示す説明図である。
【図2】その全体斜視図である。
【図3】その分解斜視図である。
【図4】その要部を示す拡大図である。
【図5】取付ベースの内部構造を示す拡大断面図である。
【図6】本発明に係る外管付きランプの組立工程を示す説明図である。
【図7】従来装置の分解斜視図である。
【図8】従来装置の完成斜視図である。
【図9】従来装置の組立工程を示す説明図である。
【図10】従来装置の側面図及び要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ピンチシール部の上に盛り付けられた接着剤を外部から見えないようにして、見栄えを良くし、商品価値を向上させると同時に、通電時に生ずるモリブデン箔の発熱を抑えるという目的を達成するために、内管及び外管をその基端部側で取り付ける口金が、ソケットに電気接続される口金端子を備えた口金本体と、内管及び外管を保持した状態で口金本体の内側に装着される取付ベースを備え、当該取付ベースは、外管の開口端に挿通されて当該外管を外装する略円柱状の外周面が形成された支柱に、内管のピンチシール部を挿通保持する挿通孔が貫通形成され、前記内管は、その先端部に当該内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のサポートが取り付けられると共に、ピンチシール部が取付ベースの挿通孔に挿入され、挿通孔には、底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に接着剤が充填されて内管が取付ベースに固定されると共に、ピンチシール部のモリブデン箔が封止された部分とこれに対向する挿通孔内壁面との間に、発光時にピンチシール部に伝わる熱を逃がしてモリブデン箔の温度上昇を抑制するラジエターギャップを形成した。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1〜図3に示す外管付きランプ1は、ガラス製の気密管11にセラミックメタルハライドランプなどの発光管12を収納する内管10と、その内管10を収納する外管20が、口金30に同心状に取り付けられている。
【0022】
内管10は、口金30に取り付けられる基端側が熱間圧着されて断面I型のピンチシール部13に形成され、そのピンチシール部13は、左右両側のフランジ13a、13aの間に形成される平板部13bに、発光管12に給電する一対の内部リード14と、内管10から導出される一対の外部リード15との間で夫々に溶接されて介装された一対のモリブデン箔16が気密封止されている。
外管20は、ガラス管で形成され、基端側が開口されて開口端21が形成されると共に、他端側が半球面状に閉塞され、発光管12の発光部に対応する部分が膨出して大径部22に形成されている。
【0023】
口金30は、ソケット(図示せず)に電気接続される口金端子31を備えた口金本体32と、内管10及び外管20を保持した状態で口金本体32の内側に装着される取付ベース33とを備えている。
取付ベース33は、図4及び図5に示すように、外管20の開口端21に挿通される支柱33aの外周面33bに、その開口端21に当接される環状フランジ33cが形成されると共に、内管10のピンチシール部13を挿通保持する挿通孔34が貫通形成されている。
挿通孔34は、ピンチシール部13の断面形状に対応して、左右のフランジ13aを挿し入れる比較的幅広の一対のフランジ挿通部34aの間に、平板部13bを挿し入れる幅狭なスリット部34bが互いに連通して形成されている。
また、ピンチシール部13が取付ベース33の挿通孔34に挿入された状態で、底面開口部34cからモリブデン箔16の外部リード溶接側端部16aと対向する位置に至るまでの間に、内壁面34dとピンチシール部との間隔を底面開口部34cにおける間隔より狭くする狭小部により底面開口部34cから注入された接着剤Aをせき止める堰34eが形成されている。
実施例では、挿通孔34の内壁面34dに形成された凹部34fが底面開口部34cまで延設され、その段差が堰34eとして形成されると共に、底面開口部34cに内管用接着剤注入口35が形成されている。
【0024】
内管10は、その先端部に当該内管10を外管20に対して同心状に支持する金属薄板製のサポート17が取り付けられて、ピンチシール部13が取付ベース33の挿通孔34に挿入されている。
そして、挿通孔34にピンチシール部13が挿入された内管10に対し、取付ベース33の底面側に開口された接着剤注入口34gから接着剤Aが注入されて凹部34fに充填され、これにより、底面開口部34cからモリブデン箔16の外部リード溶接側端部16aと対向する位置に至るまでの間に形成されている凹部34fに接着剤Aが充填されて、内管10が取付ベース33に固定されている。
このとき、ピンチシール部13のモリブデン箔16が封止された部分と、これに対向する挿通孔34の内壁面34dとの間には、接着剤Aが充填されていないので、その隙間が、発光管12を発光させたときに当該発光管12からピンチシール部13に伝わる熱を逃がしてモリブデン箔16の温度上昇を抑制するラジエターギャップ18となる。
【0025】
また、取付ベース33の外周面33bには、外管開口端21を当接させる環状フランジ33cが形成されると共に、当該外周面33bと外管20の内周面23を相互に係合するジョイント部40が形成されている。
ジョイント部40は、外管20及び取付ベース33の周方向に沿ってその径方向に対向する2箇所に設けられており、取付ベース33の外周面33bと対峙する外管20の内周面23との間に形成されるギャップ41に面して、取付ベース33の外周面33b及び外管20の内周面23に夫々形成された凹部又は凸部と、前記ギャップ41に充填した耐熱性接着剤Aによってインモールド成形されたジョイント42からなる。
本例では、取付ベース33の外周面33bに軸方向に伸びる係合凹部43が形成されると共に、後述する外管20の開口端21に前記係合凹部43に対応して形成された係合突起(凸部)44が形成されており、その間にジョイント42がインモールド成形される。
係合凹部43は、取付ベース33の底面側が深く、上面側が浅く形成され、深い部分がジョイント42を形成する接着剤溜まり45として機能し、浅い部分が底面側から接着剤溜まり45に注入した接着剤を上面側に溢れ出さないように狭小部を形成する堰46として機能する。
【0026】
外管20の各係合突起44は、外管20を取付ベース33に対して同心的に配したときに、係合突起44を係合凹部43の位置に合わせなければ外管20を取付ベース33に外装することができないように、その先端が係合凹部43内に入り込むようにその内周面23から中心に向かって突出形成されている。
そして、取付ベース33の係合凹部43は環状フランジ33cを切り欠いて底面37まで延長され、外管20の開口端21をフランジ36に当接させた状態でジョイント部40に接着剤Aを流し込むことができるように、取付ベース33の底面36側に外管用接着剤注入口37が開口形成されている。
【0027】
さらに、取付ベース33の底面側外周面には、口金本体32に形成されたリブ38と係合する係合溝39が形成されて、取付ベース33が口金本体32に対して回転しないようになっている。
【0028】
ランプ本体10及び外管20を組み立てる際は、図6(a)に示すように、ランプ本体10の先端にサポート17を装着し、そのピンチシール部13に取付ベース33を外装させて、その先端側を下向きにして外部リード15をクランパ47でクランプし、開口端21を上に向けて直立させた外管20と同軸に位置させる。
【0029】
次いで、取付ベース33の環状フランジ33cが外管20の開口端21に当接された後、さらに、クランパ47と環状フランジ33cとの間隔が所定寸法になる位置まで、クランパ47を真っ直ぐ降下させ、図6(b)に示すように、ランプ本体10を外管20内に挿入し、取付ベース33の底面側から内管用接着剤注入口35及び外管用接着剤注入口37に耐熱性接着剤Aを注入し、ピンチシール部13を取付ベース33に固定する。
【0030】
このとき、内管用接着剤注入口35に注入された接着剤Aは凹部34fに注入され、その周囲に形成されている段差が堰34eとなるので、凹部34fから接着剤Aが溢れ難く、したがって、接着剤Aは、底面開口部34cからモリブデン箔16の外部リード溶接側端部16aと対向する位置に至るまでの間に形成されている凹部34fのみに充填されることとなり、モリブデン箔16が封止された部分と、これに対向する挿通孔34の内壁面34dとの間にはラジエターギャップ18が形成される。
すなわち、接着剤Aにより、ピンチシール部13のモリブデン箔16が覆われたり、挿通孔34が塞がれたりすることがなく、これにより、モリブデン箔16とこれに対向する挿通孔内壁面31dとの間に形成されたラジエターギャップ18が外管20内に開口され、外管20内の空気によりラジエターギャップ18内に対流を生じ、ピンチシール部13が空冷される。
したがって、ランプ1に通電することにより発光管12を発光させたときに、発光管12からピンチシール部13に伝わる熱がラジエターギャップ18で生ずる対流によりピンチシール部13から放熱されるので、ピンチシール部13が空冷され、その結果、モリブデン箔16の温度上昇が抑制される。
これにより、モリブデン箔の酸化が抑制され、モリブデン箔16での断線を防止することができ、ランプの長寿命化を図ることができる。
【0031】
また、外管用接着剤注入口37に注入された接着剤Aは、取付ベース33の外周面33bに形成された凹部43の上端(発光管先端側)に形成された堰46まで充填され、取付ベース33の上面まで溢れ出ないようにせき止められてジョイント42が形成される。
このとき、凹部43に流し込まれた接着剤Aが外管20の係合突起44を越えて外管20の直管部24内に流入する。
これにより、その接着剤Aで形成されたジョイント42の厚さを含んだ取付ベース33の外径は開口端21に形成された係合突起44先端間の内径より大きくなるので、口金30側を上向にしてランプ1を吊り下げた状態でジョイント42の接着力が失われても、外管20の開口端21が引っ掛かる形状にジョイント42が形成される。
したがって、口金30側を上向にしてランプ1を吊り下げた状態でジョイント42の接着力が失われても、そのジョイント42が堰46に引っ掛かる形状に形成される。
【0032】
そして最後に、図6(c)に示すように、口金本体32の内側コーナー部二箇所に接着剤Aを付けておき、ランプ半製品2をリード線13を下向きにクランプして口金本体32と同軸的に配し、真っ直ぐに降下させていき、図1に示すように、取付ベース33の環状フランジ33cが口金本体32の開口端に当接された状態に口金本体32と取付ベース33が固定される。
このとき同時に、各リード線13が口金端子31内に案内されていき、外部から半田付けなど任意の方法でリード線13と口金端子31を電気接続し、リード線13が口金端子31の先端から外部に延びていればその部分を切断して、組立を完了する。
【0033】
このように組み立てられた外管付きランプ1は、ランプ本体10を固定するために挿入孔34に充填した接着剤Aが外部から見えず、外管20を固定するための接着剤Aも周方向2箇所に形成された凹部43に充填されてジョイント42となっている部分が見えるだけであるので、意匠的にもすっきりとしており商品価値も高い。
【0034】
また、口金30側を上に向けて吊り下げた状態に装着したときに、外管20はその開口端21がジョイント42に引っ掛かり、ジョイント42は取付ベース33の凹部43に引っ掛かり、取付ベース33は、接着剤Aで口金本体32に固定されると共に、取付ベース33に接着剤で固定されたランプ本体10のリード線13が口金本体32の口金端子31に固着されているので、接着剤Aの接着力が喪失されても外管20が脱落することがない。
【0035】
さらに、通電したときにピンチシール部13に気密封止されたモリブデン箔16が発熱しても、モリブデン箔16が封止された部分と、これに対向する挿通孔34の内壁面34dとの間にはラジエターギャップ18が形成されているので、ランプ1に通電することにより発光管12が発光したときに、発光管12からピンチシール部13に伝わる熱がラジエターギャップ18で生ずる対流によりピンチシール部13から放熱されて、ピンチシール部13が空冷され、その結果、モリブデン箔16の温度上昇が抑制される。
これにより、モリブデン箔の酸化が抑制され、モリブデン箔16での断線を防止することができ、ランプの長寿命化を図ることができる。
【0036】
なお、上述の説明では、外管20を取付ベース33に係合させるジョイント部40として、ギャップ41に面して係合凹部43及び係合突起(凸部)44を形成し、その間に、接着剤Aでジョイント42をインモールド成形する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、取付ベース33の外周面33bに係合突起44と係合するL字状の溝を形成したバヨネットタイプのジョイントであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上述べたように、本発明は、ランプ本体を収容する外管が取り付けられる外管付きランプの用途に適用し得る。
【符号の説明】
【0038】
1 外管付きランプ
10 内管
13 ピンチシール部
14 内部リード
15 外部リード
16 モリブデン箔
16a 外部リード溶接側端部
17 サポート
18 ラジエターギャップ
20 外管
30 口金
32 口金本体
33 取付ベース
34 挿通孔
34c 底面開口部
34d 内壁面
34e 堰
A 耐熱性接着剤



【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管あるいは発光フィラメントなどを収容する内管と、該内管を収容する外管と、これらを基端側で同心状に取り付ける口金とを備え、前記内管は、口金に取り付けられる基端側が熱間圧着されてピンチシール部に形成されると共に、当該ピンチシール部には、前記発光管あるいは発光フィラメントに給電する内部リードと、内管から導出されて口金端子に接続される外部リードとの間に介装されて、これらに溶接されたモリブデン箔が気密封止されて成る外管付きランプにおいて、
前記口金は、ソケットに電気接続される口金端子を備えた口金本体と、内管及び外管を保持した状態で口金本体の内側に装着される取付ベースを備え、
当該取付ベースは、外管の開口端に挿通されて当該外管を外装する略円柱状の外周面が形成された支柱に、内管のピンチシール部を挿通保持する挿通孔が貫通形成され、
前記内管は、その先端部に当該内管を外管に対して同心状に支持する金属薄板製のサポートが取り付けられると共に、ピンチシール部が取付ベースの挿通孔に挿入され、
挿通孔には、底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に接着剤が充填されて内管が取付ベースに固定されると共に、ピンチシール部のモリブデン箔が封止された部分とこれに対向する挿通孔内壁面との間に、発光時にピンチシール部に伝わる熱を逃がしてモリブデン箔の温度上昇を抑制するラジエターギャップが形成されたことを特徴とする外管付きランプ。

【請求項2】
前記挿通孔の内壁面には、底面開口部からモリブデン箔の外部リード溶接側端部と対向する位置に至るまでの間に、当該内壁面とピンチシール部との間隔を底面開口部における間隔より狭くする狭小部により底面開口部から注入された接着剤をせき止める堰を形成した請求項1記載の外管付きランプ。

【請求項3】
前記取付ベースの外周面には、外管基端側の開口端を当接させるフランジが形成されると共に、取付ベースの外周面と外管の内周面を相互に係合するジョイント部が形成され、
口金本体に対向する取付ベースの底面側には、外管を装着した状態で前記ジョイント部に接着剤を充填する接着剤注入口が開口形成されて成る請求項1記載の外管付きランプ。

【請求項4】
前記ジョイント部が、取付ベースの外周面と対峙する前記外管の内周面との間に形成されるギャップに面して、取付ベースの外周面及び外管の内周面に夫々形成された凹部又は凸部と、前記ギャップに充填した接着剤によってインモールド成形されたジョイントからなる請求項2記載の外管付きランプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−186621(P2010−186621A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29560(P2009−29560)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】