説明

外部寄生虫駆除剤組成物および外部寄生虫駆除方法

【課題】光安定性に優れ有効成分の光による分解を抑制できる動物の外部寄生虫駆除剤組成物およびこれを使用する外部寄生虫駆除方法の提供。
【解決手段】エトキサゾールを有効成分とし、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを含有することを特徴とする外部寄生虫駆除剤組成物およびこれを使用する外部寄生虫駆除方法。紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを併用することにより光安定性について顕著な相乗効果が得られる。エトキサゾール:紫外線吸収剤:フェノール系酸化防止剤の配合割合は、質量比で1:0.05〜5:0.05〜5が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部寄生虫駆除剤組成物および外部寄生虫駆除方法に関する。更に詳しく言えば、光安定性が増強された動物の外部寄生虫駆除剤組成物およびこれを使用する外部寄生虫駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エトキサゾール((RS)−5−tert−ブチル−2−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−イル]フェネトール)は、殺虫・殺ダニ剤として既に知られており(特許第3189011号;特許文献1および特許第3574785号;特許文献2)、また、動物の外部寄生昆虫および単食性ダニの防除剤として知られている(特表2000−501695号公報;特許文献3)オキサゾリン化合物である。しかし、屋外で使用される場合、オキサゾリン化合物の光安定性は十分とは言えず、光安定剤の選択が重要となっている。
特開平9−59115号公報(特許文献4)において、オキサゾリン化合物に対する光安定性の付与が言及されているが、ここに記載のシアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系、またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤を単独で使用するか、または併用しても十分な光安定化を図れないのが実情である。
また、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールを併用することによる光安定化が知られている(特開2002−114604号公報;特許文献5)が、これはピレスロイド剤の分解抑止に関するものであり、オキサゾリン系化合物に関しては言及されていない。また、同系統の紫外線吸収剤と酸化防止剤を併用するだけでは農薬有効成分の光による分解の抑制は不十分で、多くの場合相加的な効果しか得られず、場合によっては拮抗的に作用し効果の低減が認められると言及されている。
【0003】
【特許文献1】特許第3189011号明細書
【特許文献2】特許第3574785号明細書
【特許文献3】特表2000−501695号公報
【特許文献4】特開平9−59115号公報
【特許文献5】特開2002−114604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、光安定性に優れた動物の外部寄生虫駆除剤組成物およびこれを使用する外部寄生虫駆除方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、エトキサゾールの光安定化について鋭意検討した結果、エトキサゾールに紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤を組み合わせた組成物が相乗的な光安定化効果を示すことを見出した。すなわち、エトキサゾールに紫外線吸収剤の1種以上とフェノール系酸化防止剤の1種以上を加えこれらを併用することにより、それぞれの単独使用では認められない、エトキサゾールの光分解に対する相乗的な安定化効果が認められ、エトキサゾールの光分解が顕著に抑制されることを見出した。また、外部寄生虫に対する効果は損なわれず、著しく高い残効性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下に示される外部寄生虫駆除剤組成物およびこれを使用する外部寄生虫駆除方法の発明である。
1.エトキサゾールを有効成分とし、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを含有することを特徴とする動物の外部寄生虫駆除剤組成物。
2.紫外線吸収剤として、一般式(I)
【化1】

(式中、R1は水素原子、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、ベンジル基または式(1)
【化2】

で示される基を表し、R2は水素原子、スルホン酸基または式(2)
【化3】

で示される基を表し、R3は水素原子または水酸基を表し、R4は水素原子、水酸基またはメトキシ基を表す。)で示されるベンゾフェノン系化合物、一般式(II)
【化4】

(式中、R5は炭素数1〜8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるシアノアクリレート系化合物、一般式(III)
【化5】

(式中、R6は水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、α,α’−ジメチルベンジル基、式(3)
【化6】

で示される基または式(4)
【化7】

で示される基を表し、R7は水素原子またはオクトキシ基を表し、R8は水素原子、炭素数1〜8の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、メトキシ基、α,α’−ジメチルベンジル基またはメタアクリロキシ基を表し、R9は水素原子または塩素原子を表す。)で示されるベンゾトリアゾール系化合物、および一般式(IV)
【化8】

(式中、R10は水素原子または炭素数1〜8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるサリチル酸系化合物から選ばれる1または2種以上の化合物を使用する前記1に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
3.フェノール系酸化防止剤として、一般式(V)
【化9】

(式中、R11は水素原子、イソプロピル基、クロロメチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基またはメチルアクリレート基を表し、R12は水素原子またはtert−ブチル基を表し、R13は水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、イソオクチルプロピオネート基またはステアリルプロピオネート基を表し、R14は水素原子またはメチル基を表し、R15は水素原子または炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるモノフェノール系化合物、および下記(1)〜(13)のビスフェノール系化合物若しくはポリフェノール系化合物:
(1)2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(2)2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(3)4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(4)4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(5)3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
(6)2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
(10)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(11)テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
(12)トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、または、
(13)ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステルから選ばれる1種または2種以上の化合物を使用する前記1に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
4.エトキサゾール、紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤の配合割合が、質量比で1:0.05〜5:0.05〜5である前記1〜3のいずれか1項に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の外部寄生虫駆除剤組成物を使用することを特徴とする外部寄生虫駆除方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の動物の外部寄生虫駆除剤組成物は、組成成分である紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤との相乗的な光安定化効果により、有効成分であるエトキサゾールの光による分解を顕著に抑制することができる。また、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを併用しても外部寄生虫に対する駆除効果は損なわれない。したがって、この組成物を動物に作用させることにより、有効成分による外部寄生虫駆除効果を長期間持続させることができることとなり、残効性を著しく高くできる。特に屋外など太陽光下で使用される場合には、その効果は顕著に現れ、動物の外部寄生虫駆除剤として非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の外部寄生虫駆除剤組成物は、エトキサゾールを有効成分とし、光安定化剤として、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを含有する。
【0009】
紫外線吸収剤としては、一般式(I)
【化10】

で示されるベンゾフェノン系化合物、一般式(II)
【化11】

で示されるシアノアクリレート系化合物、一般式(III)
【化12】

で示されるベンゾトリアゾール系化合物、または一般式(IV)
【化13】

で示されるサリチル酸系化合物から選ばれる1または2種以上の化合物を使用するのが好ましい。
【0010】
フェノール系酸化防止剤としては、一般式(V)
【化14】

で示されるモノフェノール系化合物およびビスフェノール系化合物若しくはポリフェノール系化合物から選ばれる1種または2種以上の化合物を使用するのが好ましい。
【0011】
本発明では、これらのベンゾフェノン系化合物(I)、シアノアクリレート系化合物(II)、ベンゾトリアゾール系化合物(III)、およびサリチル酸系化合物(IV)から選ばれる1または2種以上の紫外線吸収剤と、モノフェノール系化合物(V)およびビスフェノール系化合物若しくはポリフェノール系化合物から選ばれる1種または2種以上のフェノール系酸化防止剤とを併用するのが好ましい。
【0012】
紫外線吸収剤として前記式(I)で示されるベンゾフェノン系化合物中、R1は、水素原子、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、ベンジル基または式(1)
【化15】

で示される基を表し、R2は、水素原子、スルホン酸基または式(2)
【化16】

で示される基を表し、R3は、水素原子または水酸基を表し、また、R4は、水素原子、水酸基またはメトキシ基を表す。
【0013】
前記式(II)で示されるシアノアクリレート系化合物中、R5は、炭素数1〜8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基を表す。
【0014】
前記式(III)で示されるベンゾトリアゾール系化合物中、R6は、水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、α,α’−ジメチルベンジル基、式(3)
【化17】

で示される基または式(4)
【化18】

で示される基を表し、R7は、水素原子またはオクトキシ基を表し、R8は、水素原子、炭素数1〜8の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、メトキシ基、α,α’−ジメチルベンジル基またはメタアクリロキシ基を表し、R9は、水素原子または塩素原子を表す。
【0015】
前記式(IV)で示されるサリチル酸系化合物中、R10は、水素原子または炭素数1〜8の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基を表す。
【0016】
フェノール系酸化防止剤として前記式(V)で示されるモノフェノール系化合物中、R11は、水素原子、イソプロピル基、クロロメチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基またはメチルアクリレート基を表し、R12は、水素原子またはtert−ブチル基を表し、R13は、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、イソオクチルプロピオネート基またはステアリルプロピオネート基を表し、R14は、水素原子またはメチル基を表し、R15は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基を表す。
【0017】
前記ビスフェノール系化合物若しくはポリフェノール系化合物の具体例としては、
(1)2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(2)2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(3)4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(4)4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(5)3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
(6)2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
(10)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(11)テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
(12)トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、または
(13)ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル等が挙げられる。
【0018】
紫外線吸収剤として例えば下記の化合物が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物:
化合物1;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
化合物2;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
化合物3;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
化合物4;2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、
化合物5;2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
化合物6;2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
化合物7;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニック アシッド・3水和物、
化合物8;4−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
化合物9;2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
化合物10;1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン、
化合物11;ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン。
シアノアクリレート系化合物:
化合物12;2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
化合物13;エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート。
ベンゾトリアゾール系化合物:
化合物14;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物15;2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物16;2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物17;5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物18;5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物19;2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物20;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、
化合物21;2,2’−メチレンビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、
化合物22;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物23;2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物24;2−(2−ヒドロキシ−5−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、
化合物25;2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール。
サリチル酸系化合物:
化合物26;フェニルサリシレート、
化合物27;p−tert−ブチルフェニルサリシレート、
化合物28;p−オクチルフェニルサリシレート。
これらの中でも化合物2;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが好ましい。
【0019】
フェノール系酸化防止剤として例えば下記の化合物が挙げられる。
化合物A;2−イソプロピル−5−メチルフェノール(別名チモール)、
化合物B;2,6−ジイソプロピル−4−メチルフェノール、
化合物C;2−ベンジル−4,6−ジメチルフェノール、
化合物D;2−クロロメチル−4,6−ジメチルフェノール、
化合物E;2−(4−メチルベンジル)−4,6−ジメチルフェノール、
化合物F;メチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル)アクリレート、
化合物G;メチル−3−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)アクリレート、
化合物H;メチル−3−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メトキシフェニル)アクリレート、
化合物I;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
化合物J;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、
化合物K;2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールおよび3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物、
化合物L;ステアリル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
化合物M;イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
化合物N;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
化合物O;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、
化合物P;4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
化合物Q;4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
化合物R;3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
化合物S;2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
化合物T;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
化合物U;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
化合物V;テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
化合物W;トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、
化合物X;トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
化合物Y;1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
化合物Z;ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル。
これらの中でも化合物I;2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールが好ましい。
【0020】
本発明において、エトキサゾール、紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤の配合割合は、質量比で1:0.05〜5:0.05〜5であり、好ましくは1:0.1〜1:0.1〜1、更に好ましくは1:0.1〜0.5:0.1〜0.5である。紫外線吸収剤またはフェノール系酸化防止剤のいずれかの配合比が小さすぎると、併用による光安定化の相乗効果が得られにくくなり、両者ともに配合量が少なくなると、十分な光安定化が得られない。一方、紫外線吸収剤および/またはフェノール系酸化防止剤が多すぎることは経済的ではない。
また、紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤の配合割合は、質量比で1:0.01〜100が好ましく、より好ましくは1:0.05〜20であり、更に好ましくは1:0.1〜10、特に好ましくは1:0.2〜5である。
【0021】
本発明の外部寄生虫駆除剤組成物は、エトキサゾール、および好ましくは化合物(1)〜(28)の1種以上、および好ましくは化合物(A)〜(Z)の1種以上を含有する。
外部寄生虫駆除剤組成物が適用される動物の具体例としては、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどの家畜、イヌ、ネコなどの小動物等が挙げられる。
【0022】
外部寄生虫駆除剤組成物はそのまま、または適当な製剤形態としてこれらの動物に経皮的に投与するか、成形製品により投与するか、若しくは環境へ施用してもよい。経皮投与は、例えば、浸漬、スプレー、入浴、洗浄、滴下(プアーオン)、塗布、スポッテイングまたは散粉により行われ、これらの中でも滴下(プアーオン)、スポッテイングが好ましい。成形製品による投与は、例えば、細片、プレート、バンド、またはイヤータッグ等により行われる。また、環境への施用は、例えば、散粉、散粒、散布、噴霧、くん蒸または塗布等により行われ、これらの中でも散布、噴霧が好ましい。
【0023】
適当な製剤形態としては、成形製品では、例えば、細片、プレート、バンド、またはイヤータッグ等がある。また、液体担体または固体担体、および補助剤などを添加して、油剤、軟膏、ゲル、乳剤、懸濁剤、水中油型乳化液剤、油中水型乳化液剤、水和剤、顆粒水和剤、粉剤、または粒剤等の製剤形態として使用してもよい。
【0024】
液体担体としては、水;脂肪族または脂環式炭化水素、例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、シクロヘキサン、ナフテン、若しくは煙霧灯油等;芳香族炭化水素、例えば、キシレン、トリメチルベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、若しくはフェニルキシリルエタン等;脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、イソトリデシルアルコール、セチルアルコール、若しくはオレイルアルコール等;芳香族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、若しくはフェノキシエタノール等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、ラウリン酸メチル、カプリン酸メチル、2−エチルヘキサン酸メチル、オレイン酸メチル、オレイン酸イソブチル、若しくはアジピン酸ジイソブチル等;ケトン、例えば、メチルエチルケトン、若しくはシクロヘキサノン等;天然植物油、例えば、菜種油、大豆油、サフラワー油、米油、オリーブ油、若しくはパーム油等;合成グリセライド、例えば、カプリル酸トリグリセライド、カプリル酸モノ・ジグリセライド、若しくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセライド等;グリコールエーテル類、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、若しくはプロピレングリコールモノブチルエーテル等;DMF;ジメチルアセトアミド;DMSO;N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0025】
固体担体としては、天然鉱物質類、例えば、ベントナイト、タルク、クレー、アタパルジャイト、セピオライト、酸性白土、カオリン、珪藻土、若しくは炭酸カルシウム等;または合成鉱物質類、例えば、アルミナ、ホワイトカーボン、珪酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、若しくは塩化カリウム等が挙げられる。また、有機物質粉末類、例えば、乳糖、蔗糖、ブドウ糖などの糖類、セルロース粉末、コルク粉末、尿素、若しくは小麦粉等も使用可能である。
【0026】
補助剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤、若しくは湿潤剤、固着剤、増粘剤、凍結安定剤、結合剤、崩壊剤、安定剤等が挙げられる。
界面活性剤、分散剤、若しくは湿潤剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が使用できる。非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシ・ポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンモノ・ジ・トリソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸ソルビトール、モノ脂肪酸グリセライド、モノソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、またはアルキルグリコシド等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、若しくはカルシウム塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩若しくは硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンポリスチリルエーテルリン酸エステル塩若しくは硫酸エステル塩、α−オレインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸二ナトリウム塩、またはレシチン等が挙げられる。
固着剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸アンモニウム塩若しくはナトリウム塩と炭酸カルシウムとの混合物、ベントナイト、またはポリビニルアルコールが挙げられる。
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ラムザンガム等のヘテロ多糖類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉等のセルロース若しくは澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、またはメチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、モンモリロナイト系粘土鉱物、スメクタイト系粘土鉱物、カチオン変性したモンモリロナイト系粘土鉱物若しくはスメクタイト系粘土鉱物、フュームドシリカ若しくはアルキル変性したフュームドシリカ等が挙げられる。
凍結安定剤としては、例えば、エチレングリール、プロピレングリコール、またはグリセリン等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉等のセルロース若しくは澱粉誘導体、またはポリビニルアルコール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸ナトリウム塩、またはイソブチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、PAP(リン酸ジイソプロピル)、エポキシ化大豆油、またはトール油脂肪酸等が挙げられる。
【0027】
本発明の動物の外部寄生虫駆除剤組成物が効力を有する有害生物としては、例えば、以下のものが挙げられる。
穏し目害虫:ヒトノミ、ネコノミ等。
ダニ目害虫:コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、フタトゲチマダニ、オウシマダニ等のマダニ類、ワクモ等のワクモ類、トリサシダニ等のサシダニ類等。
【0028】
本発明の動物の外部寄生虫駆除剤組成物を経皮的に投与し、または成形製品により投与する場合は、適用動物の体重1kg当たり1mg〜100mgのエトキサゾールを投与するのが適当である。または、環境へ施用する場合には、2.5mg〜250mg/m2のエトキサゾールを施用するのが適当である。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の外部寄生虫駆除剤組成物を製剤例として例示し、エトキサゾールの分解防止効果試験および生物効果試験を試験例として例示しながら、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等の制約を受けるものではない。なお、本製剤例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0030】
製剤例1:[油剤]
エトキサゾール1部、化合物(2)0.25部、化合物I0.25部をプロピレングリコールモノブチルエーテル10部に溶解し、カプリルトリグリセライド35部および流動パラフィン53.5部に溶解し、油剤を調製した。
【0031】
製剤例2:[油性懸濁剤]
ソルビタンモノオレエート4部、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート1部、および流動パラフィン91部を均一に溶解し、エトキサゾール1部、化合物(1)0.25部、化合物L0.25部、およびカチオン変性したモンモリロナイト系粘土鉱物2.5部を撹拌・分散したのち、ビーズミルで湿式粉砕して油性懸濁剤を調製した。
【0032】
製剤例3:[乳剤]
エトキサゾール5部、化合物(26)1部、化合物C1部、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル10部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム5部、およびキシレン78部を均一に混合溶解し、乳剤を調製した。
【0033】
製剤例4:[水性懸濁剤]
ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩5部、1%キサンタンガム水溶液20部、モンモリロナイト系粘土鉱物1部、および水67部を溶解・分散し、エトキサゾール5部、化合物(3)1部、化合物E1部を撹拌・分散したのち、ビーズミルで湿式粉砕して水性懸濁剤を調製した。
【0034】
次に、本発明の有効成分の分解防止効果および生物効果を試験例を挙げて具体的に示す。
【0035】
試験例1:[エトキサゾール油剤の分解防止効果試験]
製剤例1に準じて各種油剤を調製し実施例とした。また、製剤例1から紫外線吸収剤のみを除いた油剤、フェノール系酸化防止剤のみを除いた油剤並びに紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤を除いた油剤を調製し比較例とした。調製した油剤200mgを直径9cmのガラス製シャーレに塗布した後、太陽光照射下に2週間および1ヶ月間放置した。ガラスシャーレにn−ヘキサン20mLを入れ試料を溶解し、その2mLをSep-pak(登録商標)plus Silica cartrigesに注入しn−ヘキサン5mLを流し流出液を捨てる。次いで酢酸エチル5mLを流し流出液をナス型フラスコに集める。酢酸エチルをロータリーエバポレータで留去し、残留物にアセトニトリル2mLを正確に加え溶解する。エトキサゾールを紫外分光光度検出器付き高速液体クロマトグラフィー法で定量した。また、下記式より太陽光暴露による分解率を求めた。その結果を表1および表2に示した。なお、14日後および1ヶ月後の積算照度をそれぞれの試験結果の表に示した。紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を併用使用した時のみ、エトキサゾールの光安定性が相乗的に増強されていることがわかる。
【0036】
【数1】

【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
試験例2:[エトキサゾール油中懸濁剤の分解防止効果試験]
製剤例2に準じて各種油中懸濁剤を調製し実施例とした。また、製剤例2から紫外線吸収剤のみを除いた油中懸濁剤、フェノール系酸化防止剤のみを除いた油中懸濁剤並びに紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤を除いた油中懸濁剤を調製し比較例とした。調製した油中懸濁剤200mgを直径9cmのガラス製シャーレに塗布した後、太陽光照射下に2週間および1ヶ月間放置した。ガラスシャーレにn−ヘキサン20mLを入れ試料を溶解し、その2mLをSep-pak(登録商標)plus Silica cartrigesに注入しn−ヘキサン5mLを流し流出液を捨てる。次いで酢酸エチル5mLを流し流出液をナス型フラスコに集める。酢酸エチルをロータリーエバポレータで留去し、残留物にアセトニトリル2mLを正確に加え溶解する。エトキサゾールを紫外分光光度検出器付き高速液体クロマトグラフィー法で定量した。また、試験例1と同様に太陽光暴露による分解率を求めた。その結果を表3に示した。なお、14日後および1ヶ月後の積算照度を試験結果の表に示した。表1および表2と同様に紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を併用使用した時のみ、エトキサゾールの光安定性が相乗的に増強されていることがわかる。
【0040】
【表3】

【0041】
試験例3:[エトキサゾール乳剤の分解防止効果試験]
製剤例3に準じて各種乳剤を調製し実施例とした。また、製剤例3から紫外線吸収剤のみを除いた乳剤、フェノール系酸化防止剤のみを除いた乳剤並びに紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤を除いた乳剤を調製し比較例とした。調製した乳剤1gを水で全量100mLに希釈し、希釈液4mLを直径9cmのガラス製シャーレに入れ水分を蒸散させた後、太陽光照射下に2週間および1ヶ月間放置した。ガラスシャーレにアセトニトリル20mLを入れ試料を溶解し、溶解液をナス型フラスコに集める。アセトニトリルをロータリーエバポレータで留去し、残留物にアセトニトリル2mLを正確に加え溶解する。エトキサゾールを紫外分光光度検出器付き高速液体クロマトグラフィー法で定量した。また、試験例1と同様に太陽光暴露による分解率を求めた。その結果を表4に示した。なお、14日後および1ヶ月後の積算照度を試験結果の表に示した。表1、表2および表3と同様に紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を併用使用した時のみ、エトキサゾールの光安定性が相乗的に増強されていることがわかる。
【0042】
【表4】

【0043】
試験例4:[エトキサゾール水中懸濁剤の分解防止効果試験]
製剤例4に準じて各種水中懸濁剤を調製し実施例とした。また、製剤例4から紫外線吸収剤のみを除いた水中懸濁剤、フェノール系酸化防止剤のみを除いた水中懸濁剤並びに紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤を除いた水中懸濁剤を調製し比較例とした。調製した水中懸濁剤1gを水で全量100mLに希釈し、希釈液4mLを直径9cmのガラス製シャーレに入れ水分を蒸散させた後、太陽光照射下に2週間および1ヶ月間放置した。ガラスシャーレにアセトニトリル20mLを入れ試料を溶解し、溶解液をナス型フラスコに集める。アセトニトリルをロータリーエバポレータで留去し、残留物にアセトニトリル2mLを正確に加え溶解する。エトキサゾールを紫外分光光度検出器付き高速液体クロマトグラフィー法で定量した。また、試験例1と同様に太陽光暴露による分解率を求めた。その結果を表5に示した。なお、14日後および1ヶ月後の積算照度を試験結果の表に示した。表1、表2、表3および表4と同様に紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤を併用使用した時のみ、エトキサゾールの光安定性が相乗的に増強されていることがわかる。
【0044】
【表5】

【0045】
試験例5:[フタトゲチマダニに対する生物効果試験]
エトキサゾールは殺卵効果、殺幼ダニ効果および殺若ダニ効果に優れ、一方、殺成ダニ効果はないことが知られている。今回の試験では殺卵効果により初期効果と残効性を評価した。製剤例1により調製した油剤および製剤例2により調製した油中懸濁剤を牛に体重10kg当たり1mLをアプリケーターによりプアーオンする。処理1日後に雌成ダニを放ち定着させる。ダニが定着、吸血し、その後飽血落下した成ダニが産卵した卵を集め25℃で保管し、3週間後に卵の孵化状況を観察、孵化率を求める。また、1ヶ月間を屋外で飼育したのち同様に雌成ダニを放ち、同様に成ダニが産卵した卵の孵化率を求める。この結果から、紫外線吸収剤あるいはフェノール系酸化防止剤の単独使用に比べ、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤の併用使用がエトキサゾールの残効性の延長に寄与していることがわかる。
【0046】
【数2】

【0047】
【表6】

【0048】
試験例6:[ネコノミに対する生物効果試験]
製剤例3により調製した乳剤および製剤例4により調製した水中懸濁剤を猫の背中頸部に体重1kg当たり100倍水希釈液4mL、エトキサゾールとして2mgをマイクロシリンジによりプアーオンする。処理1日後にノミ雌成虫を放ち寄生させる。放虫4日後に産下された卵を回収し、シャーレに移す。集めた卵を25℃で保管し、3週間後に卵の孵化状況を観察、孵化率を求める。また、1ヶ月間猫を屋外で飼育したのち同様にノミ雌成虫を放ち、同様に産卵した卵の孵化率を求める。この結果から、紫外線吸収剤あるいはフェノール系酸化防止剤の単独使用に比べ、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤の併用使用がエトキサゾールの残効性の延長に寄与していることがわかる。
【0049】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エトキサゾールを有効成分とし、紫外線吸収剤とフェノール系酸化防止剤とを含有することを特徴とする動物の外部寄生虫駆除剤組成物。
【請求項2】
紫外線吸収剤として、一般式(I)
【化1】

(式中、R1は水素原子、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、ベンジル基または式(1)
【化2】

で示される基を表し、R2は水素原子、スルホン酸基または式(2)
【化3】

で示される基を表し、R3は水素原子または水酸基を表し、R4は水素原子、水酸基またはメトキシ基を表す。)で示されるベンゾフェノン系化合物、一般式(II)
【化4】

(式中、R5は炭素数1〜8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるシアノアクリレート系化合物、一般式(III)
【化5】

(式中、R6は水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、α,α’−ジメチルベンジル基、式(3)
【化6】

で示される基または式(4)
【化7】

で示される基を表し、R7は水素原子またはオクトキシ基を表し、R8は水素原子、炭素数1〜8の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基、メトキシ基、α,α’−ジメチルベンジル基またはメタアクリロキシ基を表し、R9は水素原子または塩素原子を表す。)で示されるベンゾトリアゾール系化合物、および一般式(IV)
【化8】

(式中、R10は水素原子または炭素数1〜8の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるサリチル酸系化合物から選ばれる1または2種以上の化合物を使用する請求項1に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
【請求項3】
フェノール系酸化防止剤として、一般式(V)
【化9】

(式中、R11は水素原子、イソプロピル基、クロロメチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基またはメチルアクリレート基を表し、R12は水素原子またはtert−ブチル基を表し、R13は水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、イソオクチルプロピオネート基またはステアリルプロピオネート基を表し、R14は水素原子またはメチル基を表し、R15は水素原子または炭素数1〜5の直鎖若しくは分枝鎖を有するアルキル基を表す。)で示されるモノフェノール系化合物、および下記(1)〜(13)のビスフェノール系化合物若しくはポリフェノール系化合物:
(1)2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(2)2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(3)4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(4)4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
(5)3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
(6)2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(7)トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、
(8)1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
(9)1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
(10)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
(11)テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
(12)トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、または、
(13)ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステルから選ばれる1種または2種以上の化合物を使用する請求項1に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
【請求項4】
エトキサゾール、紫外線吸収剤およびフェノール系酸化防止剤の配合割合が、質量比で1:0.05〜5:0.05〜5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の外部寄生虫駆除剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の外部寄生虫駆除剤組成物を使用することを特徴とする外部寄生虫駆除方法。

【公開番号】特開2007−153795(P2007−153795A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350546(P2005−350546)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(591057511)ヤシマ産業株式会社 (12)
【出願人】(000234890)協友アグリ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】