説明

外部電極蛍光ランプ及びその製造方法並びにこれを用いた表示装置のバックライトユニット

【課題】光効率を向上させ、消費電力を節減できる外部電極蛍光ランプ及びその製造方法、並びにこれを用いた表示装置のバックライトユニットを提供する。
【解決手段】本発明による外部電極蛍光ランプは、内部で放電させるためのガラス管;及びガラス管の両端の外部壁面を囲む外部電極部材;を備え、ガラス管が強誘電性ガラスからなること、及び/又は、外部電極蛍光ランプがさらにガラス管の内部壁面にコートされた強誘電性コート膜を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、光効率を向上させ、消費電力を節減できる外部電極蛍光ランプ及びその製造方法、並びにこれを用いた表示装置のバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力駆動などの特徴を有し、その応用の範囲が広がっている。これにより、液晶表示装置は、OA器機、オーディオ/ビデオ器機などに利用されている。このような液晶表示装置は、マトリックス状に配列された多数の制御用スイッチに印加される信号に応じて光ビームの透過量が調節され、画面に所望の画像を表示している。
【0003】
このような液晶表示装置は、自発光表示装置でないため、バックライトのような別途の光源が必要となる。
バックライトは、光源の位置によって、直下型方式とエッジ型方式に大別される。エッジ型バックライトは、液晶表示装置の一側端に光源を設け、その光源から入射される光を導光板と多数の光学シートとを介して液晶表示パネルに照射する。直下型バックライトは、液晶表示装置の直下に多数の光源を配置し、その光源から入射される光を拡散板と多数の光学シートを介して液晶表示パネルに照射する。
【0004】
最近では、エッジ型方式に比べて、輝度、光均一度、色純度の高い直下型方式のバックライトが、LCD TVを中心に多く用いられている。
このような直下型方式のバックライトユニットに利用される光源としての蛍光ランプは、図1に示されているような冷陰極蛍光ランプ(CCFL)が主に使用されている。冷陰極蛍光ランプ(CCFL)は、ガラスからなるガラス管6、ガラス管6の両端の端部内側に設けられる内部電極2、内部電極2と接触し、両端の端部外側に伸張されたリード電極4、ガラス管6の内部壁面に可視光線を放射するための蛍光物質10から構成される。ガラス管6の内部空間9には、アルゴン(Ar)及びネオン(Ne)からなる放電ガスと水銀(Hg)が充填されている。このような冷陰極蛍光ランプ(CCFL)は、内部電極を利用したランプであって、電気的なエネルギーを具現するため、別当のワイヤーアッセンブリなどを必要とする。
【0005】
これによって、最近では、図2に示されているように、両端の端部表面に電極を備えた外部電極蛍光ランプ(EEFL)が開発された。
図2に示されている外部電極蛍光ランプ(EEFL)は、ガラスからなるガラス管16、ガラス管16の両端の端部表面に設けられた外部電極12、ガラス管16の内部壁面に可視光線を放射するための蛍光物質20から構成されている。ガラス管の内部空間19には、アルゴン(Ar)及びネオン(Ne)からなる放電ガスと水銀(Hg)が充填されている。 このような外部電極蛍光ランプ(EEFL)は、水銀(Hg)と放電ガスを入れたガラス管16を封止した後、端部に外部電極12をつけ、この外部電極12間に電圧を印加することで放電が起こり、放電による紫外線が蛍光物質20に当たり、可視光線がランプの外部に出射されることとなる。
【0006】
ここで、外部電極蛍光ランプ(EEFL)の外部電極12の材質としては、アルミニウムテープ、アルミニウムペーストなどが利用される。内部充填ガスのアルゴン(Ar)及びネオン(Ne)による管内部の圧力は、50トル(Torr)以上であり、全体の放電ガスにおいて、アルゴン(Ar)が占める比率は、10%程度である。
【0007】
しかし、従来の外部電極蛍光ランプ(EEFL)の管内の圧力は、50Torr以上の高圧を利用することによって、放電による両端の電圧が増加して全体の光効率が低下し、消費電力が増加する短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、光効率を向上させ、消費電力を節減できる外部電極蛍光ランプ及びその製造方法、並びにこれを用いた表示装置のバックライトユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の第1の側面は、外部電極蛍光ランプであって、(A)内部で放電させるためのガラス管;及び(B)ガラス管の両端の外部壁面を囲む外部電極部材;を備え、(a)ガラス管が強誘電性ガラスからなること、及び/又は外部電極蛍光ランプがさらに(C)ガラス管の内部壁面にコートされた強誘電性コート膜を備える外部電極蛍光ランプである。
補足すると、上記構成要件の(A)、(B)及び(a)を備えていてもよいし、(A)、(B)及び(C)を備えていてもよいし、(A)、(B)、(a)及び(C)を備えていてもよい。
【0010】
ここで、強誘電性ガラス管の比誘電率は、6〜20程度である。
強誘電性ガラス管は、ソーダライム系列の物質を含む。
強誘電性ガラス管は、LiO、NaO、KO、BaOのうち、少なくともいずれか一つを含む。
強誘電性コート膜の比誘電率は、4〜20程度である。
強誘電性コート膜は、チタン酸バリウム(BaTi)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、モリブデン酸ガドリニウム(Gd(MoO))、ヨード化硫化アンチモン(SbSI)、亜硝酸ナトリウム (NaNO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、グリシン硫酸塩((NHCHCOOH)SO)、ロッシェル塩(NaKC・4HO)のうち、少なくともいずれか一つを含む。
放電ガスは、アルゴン(Ar)からなることを特徴とする。
放電ガスによる前記強誘電性ガラス管の内部圧力は、5〜45Torr程度である。
【0011】
また、外部電極部材は、ガラス管の両端の外部壁面を囲む筒状管形状に形成された第1の外部電極;及び、第1の外部電極及びガラス管の両端の外部壁面を囲むとともに第1の外部電極及びガラス管との間の隙間に充填された第2の外部電極;を含む。
第1の電極は、リン青銅を含む。
第2の外部電極は、60〜70%程度の錫(Sn)、22〜28%程度のビスマス(Bi)、3〜6%程度の亜鉛(Zn)、1〜2%程度のインジウム(In)、0.2〜0.7%程度のアンチモン(Sb)、0.05〜0.15%程度のアルミニウム(Al)からなる。
また、強誘電性コート膜上にさらに蛍光物質を形成した。
また、強誘電性物質をガラス管両端の内部壁面の所定の領域のみに選択的に形成した。
また、ガラス管の内部壁面に蛍光物質を形成し、強誘電性コート膜が蛍光物質とオーバーラップしないようにした。
【0012】
本発明の第2の側面は、外部電極蛍光ランプの製造方法であって、(A)両端が開放したガラス管を用意するステップであって(a)ガラス管が強誘電性ガラスからなる、及び/又は(B)ガラス管の内部壁面に強誘電性コート膜を形成するステップをさらに含む、ステップ;(C)放電ガスを開放したガラス管に導入し、ガラス管を封止プロセスによって封止するステップ;及び(D)ガラス管の両端の外部壁面を囲む外部電極部材を形成するステップ;からなる製造方法である。
補足すると、上記構成要件の(A)、(a)、(C)及び(D)を備えていてもよいし、(A)、(B)、(C)及び(D)を備えていてもよいし、(A)、(a)、(B)、(C)及び(D)を備えていてもよい。
【0013】
ここで、外部電極部材を形成するステップが、ガラス管の外部壁面を囲む筒状金属管状に形成された第1の外部電極を設けるステップ;及び第1の外部電極及びガラス管の両端の外部壁面を囲みかつ第1の外部電極とガラス管との間の隙間を埋める第2の外部電極を設けるステップ;を含む。
また、第2の外部電極を設けるステップが、60〜70%の錫(Sn)、22〜28%のビスマス(Bi)、3〜6%の亜鉛(Zn)、1〜2%のインジウム(In)、0.2〜0.7%のアンチモン(Sb)、0.05〜0.15%のアルミニウム(Al)を含む液体の導電性強誘電性物質で満たされた容器を用意するステップ;及びガラス管の第1の外部電極に設けられた部分を導電性強誘電性物質の液体に浸漬し、導電性強誘電性物質の液体を凝固させるステップ;を含む。
また、強誘電性コート膜を形成するステップが、ガラス管の一方の開放端を液体の強誘電性物質で満たされた容器に浸漬し、ガラス管の他方の開放端をポンプに接続するステップ;を含み、強誘電性物質がポンプの動作によって開放したガラス管の内部壁面をコーティングするようにした。
【0014】
本発明の第3の側面は、表示装置のバックライトユニットであって、表示パネルに供給される光を発生させる複数の、上記第1の側面に掲げた外部電極蛍光ランプ(EEFL);外部電極蛍光ランプ(EEFL)から発生する光を散乱させ、液晶表示パネルの方に出射させる拡散板;及び拡散板と液晶表示パネルとの間に位置し、拡散板を経た光を、液晶表示パネルに垂直方向に入射させるための光学シート;を備えた表示装置のバックライトユニットである。
【発明の効果】
【0015】
本発明による外部電極蛍光ランプ(EEFL)、及びこれを用いた表示装置のバックライトユニットは、強誘電性ガラス管及び強誘電性コート膜を導入することで、電荷の充電量を増加させる。これにより、放電発生率が増加する。
また、ガラス管の内部空間での放電ガスは、アルゴン(Ar)のみからなり、5〜45トール程度の気体圧力を保持させることによって、小さい電圧で放電を起こすことができる。その結果、液晶表示パネルに供給される光の効率が向上し、光の形成のための電力が節減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の望ましい実施例を図3乃至図10を参照して詳細に説明する。
図3及び図4は、本発明による外部電極蛍光ランプ(EEFL)を示すものであり、図5は、図3及び図4の外部電極蛍光ランプ(EEFL)を光源として利用する液晶表示装置のバックライトユニットを示すものである。
【0017】
まず、図5に示されている液晶表示装置は、画像を表示するための液晶表示パネル150と、液晶表示パネル150に光を照射するためのバックライトユニット160と、を備える。
【0018】
液晶表示パネル150には、多数のデータラインと多数のゲートラインとが交差して配列され、上部及び下部基板の間に、液晶セルがアクティブマトリックス状に配列される。また、液晶表示パネル150には、液晶セルのそれぞれに電界を印加するための画素電極と共通電極とが設けられる。多数のデータラインと多数のゲートラインとの交差部には、スキャン信号に応じて画素電極に印加されるデータ電圧をスイッチングするための薄膜トランジスタ(TFT)が設けられる。このような液晶表示パネルには、テープキャリアパッケージ(TCP)を介して、ゲートドライブ集積回路とデータドライブ集積回路とが電気的に接続される。
【0019】
バックライトユニット160は、多数の外部電極蛍光ランプ(EEFL)155、ボトムカバー162、拡散板164、及び多数の光学シート166を含む。
ボトムカバー162は、多数の外部電極蛍光ランプ(EEFL)155が内側空間に収納される構造で製作され、その内側空間の底面及び側面には、反射板(図示せず)が設けられる。
【0020】
拡散板164は、ボトムカバー162と共に組み立てられる。この拡散板164は、多数のビーズを含み、このビーズを用いて、外部電極蛍光ランプ(EEFL)155から入射される光を散乱させることで、液晶表示パネル150の表示面で輝度差がないようにする。このような拡散板164は、同一の屈折率を有する媒質中にビーズが散布された構造で製作されるため、光を集光することはできない。
【0021】
光学シート166は、1枚以上の拡散シートと、1枚以上のプリズムシートとを含んで拡散板164から入射される光を液晶表示パネル150の全体に均一に照射し、表示面に対して垂直の方向へ光の進行経路を折って、表示面の全面に光を集光する役割を果たす。
【0022】
外部電極蛍光ランプ(EEFL)155は、示していないインバータからの交流高電圧により発光され、拡散板164の方に光を発生する。
【0023】
図3及び図4において、本発明の外部電極蛍光ランプ(EEFL)155は、ガラス(glass)からなる強誘電性ガラス管116と、ガラス管116の両端の外郭を囲む円筒状の金属チューブ114と、ガラス管116の両端の端部及び金属チューブ114を囲む外部電極112と、ガラス管116の内部壁面にコートされ、放電による紫外線を用いて可視光線を発生させるための蛍光物質120と、ガラス管116の両端の内部壁面にコートされた強誘電性コート膜122と、を備え、ガラス管の内部空間119には、アルゴン(Ar)からなる放電ガスと水銀(Hg)が充填されている。
【0024】
外部電極部材112は、ガラス管116の両端外周を包含する筒状金属管タイプに形成された第1の外部電極114、及びガラス管116の両端と第1の外部電極114とを包含する第2の外部電極111で構成される。第2の外部電極111はまた、第1の外部電極114とガラス管116との間の小さい隙間にも充填されている。
【0025】
ここで、強誘電性ガラス管116は、誘電率6〜20程度を有する強誘電性物質であるLiO、NaO、KO、BaOなどのソーダライム系列の物質で形成される。
【0026】
強誘電性コート膜122は、ガラス管116の両端の内部壁面に位置すると共に、ガラス管116を挟んで外部電極112と重畳する構造をなす。また、図3に示すように、強誘電性コート膜112は、ガラス管116の内部壁面に塗布された蛍光物質120とはオーバーラップしないようにしてもよいし、ガラス管116と蛍光物質120との間に塗布するようにしてもよい。
【0027】
このような強誘電性コート膜122は、誘電率4〜20程度を有する強誘電性物質をガラス管116の両端の内部壁面にコートすることによって形成される。このような強誘電性コート膜122は、次の表1に示されている強誘電性物質のうち、少なくともいずれか一つからなる。
【0028】
【表1】

【0029】
上述の強誘電性ガラス管116及び強誘電性コート膜122を利用することによって、本願発明における外部電極蛍光ランプ(EEFL)の電荷量が大きくなり、相対的に小さい電圧で放電を起こすことができる。その結果、光効率が向上すると共に消費電力が節減される。
【0030】
なお、図3及び4に示すような強誘電性ガラス管116及び強誘電性コート膜122をともに採用する実施例は最も好適な例として示したものである。従って、強誘電性ガラス管116を単独で用いても、又は強誘電性コート膜122を単独で用いても類似の機能及びそれによる効果を得ることができる。
【0031】
これを図7a及び図7bを参照してさらに具体的に説明する。
図7aは、通常のガラス管を利用する場合に充電される電荷量を示し、図7bは、強誘電性ガラス管116及び強誘電性コート膜122を利用する場合に充電される電荷量を示している(なお、符号は116を用いているが、図7aにおいては通常のガラス管を示すものとする)。図7a及び図7bから分かるように、強誘電性ガラス管116及びコート膜122を利用する場合、一層多量の電荷量が充電される。
【数1】

(C:電気容量、ε:誘電率、A:電極面積、d:電極間の距離)
【数2】

これは、数式1のように、電気容量(C)と誘電率(ε)との間の比例関係と、数式2のように、電気容量(C)と電荷量(Q)との間の比例関係により説明される。
【0032】
即ち、誘電率(ε)が大きくなれば、電気容量(C)が大きくなり、電気容量(C)が大きくなることによって、結局、充電される電荷量(Q)が大きくなる。
結果として、強誘電性ガラス管116及びコート膜122を導入することによって、電気容量(C)が増加し、それにより電荷量(Q)が増加して、全体の蛍光ランプの両端に従来と同一の放電電圧(V)を印加しても、従来に比べて一層多量の電荷が充電されることとなる。
従って、光効率が向上し、消費電力が節減される。
【0033】
第1の外部電極114は、リン青銅などの物質からなり、別途に製作されてガラス管116の両端を外部から囲む。ここで、第1の外部電極114は強誘電性ガラス管116に完全には密着せずに、第1の外部電極114と強誘電性ガラス管116との間に隙間を形成している。この隙間があるために外部電極112から給電される高電圧によってスパークが発生し、これによってガラス管116がダメージを受ける場合がある。この問題を解決するために、第2の外部電極111が第1の外部電極114とガラス管116との間に充填されている。その結果、スパークは発生しなくなり、強誘電性ガラス116のダメージを防止することができる。
【0034】
ここで、外部電極112は、次の表2のような組成を有する。
【表2】

【0035】
さらに望ましくは、67.9%の錫(Sn)、25%のビスマス(Bi)、5%の亜鉛(Zn)、1.5%のインジウム(In)、0.5%のアンチモン(Sb)、0.1%のアルミニウム(Al)を含む。
【0036】
図8を参照して本発明による外部電極蛍光ランプの製造方法を以下に説明する。
まず、両端が開いた強誘電性ガラス管116が用意されるとともに、表2に示す物質のうちの少なくとも1つが溶解した液体の強誘電性物質122aが満たされた容器212が用意される。
【0037】
次に、図8において、ガラス管116の一端が強誘電性物質122aで満たされた容器212に浸漬され、ガラス管116の他端がポンプ210に接続される。この状態で、ガラス管116内の空気はポンプ210に接続されたチューブ216を介してポンプ210に吸引される。同時に、液体の強誘電性物質122aはガラス管116の内部壁面を伝って上昇していき、これにより強誘電性物質122aによるガラス管116の内部壁面のコーティングが可能となる。一方、強誘電性物質122aがガラス管116の内部壁面にコーティングされるレベルはポンプ210の吸入量によって調整され、ユーザはセンサ214の検出結果によってコーティングされた領域を知ることができる。これにより所望量の強誘電性物質122aをガラス管116の内部壁面にコーティングすることができる。
【0038】
従って、ユーザが適宜操作することにより、図3に示すように強誘電性コート膜122をガラス管116両端の壁面に形成することもできるし、図6に示すように強誘電性コート膜122をガラス管116内部壁面の全体に形成することもできる。
【0039】
次に、蛍光物質120がコーティングされるとともに封止工程が行われ、これによりガラス管116の両端の開口部分が封止される。
【0040】
一方、本発明による強誘電性コート膜122は、本発明のポンプ210を用いる方法とは異なる従来技術の方法によって形成してもよい。また、蛍光物質120は従来技術の方法によって塗布してもよいし、ポンプを用いるコーティング方法によって形成してもよい。
【0041】
次に、第1の外部電極114が別個に製造され、ガラス管の両端が筒状金属管タイプの第1の外部電極114に挿入される。
【0042】
次に、先に述べたような組成の第2の外部電極111が、図9に示すように浸漬によって形成される。即ち、強誘電性ガラス管116を鉛フリー半田111a、即ち、表2に示す組成を有する導電性強誘電性物質が溶解された容器176に浸漬した後に、鉛フリー半田111aを凝固させる。これにより、図3及び図4に示されているように、第1の外部電極114及び強誘電性ガラス管116の両端の表面を囲む外部電極112が設けられる。従って、第1の外部電極114及び第2の外部電極111から構成される外部電極部材112が形成される。この時、第2の外部電極111を、第1の外部電極114と強誘電性ガラス管116との間の小さい隙間にも設けることができる。
【0043】
このような方式により設けられた第2の外部電極111は、粘着性の良いアルミニウム(Al)を含むことによって、強誘電性ガラス管116との付着力が良好となる。
【0044】
強誘電性ガラス管116の内部空間119は、水銀(Hg)と放電ガスが充填されている。ここで、ガラス管116の圧力Pは、従来(従来は、50Torr以上)より小さい5〜45Torr程度であり、放電ガスは、従来と異なって、アルゴン(Ar)のみからなる。これにより、従来に比べて小さい放電電圧で、光の生成に十分な放電を起こすことができる。
【0045】
これをさらに詳しく説明する。
従来技術においては、内部放電ガス、即ち、アルゴン(Ar)及びネオン(Ne)によるガラス管の内部圧力は50トールより大きく、放電ガス全体におけるアルゴンの比率は約10%である。ガラス管の内圧が大幅に下がれば、アルゴンは急速に枯渇してしまう。その結果、ガラス管の寿命が縮まってしまう。
【0046】
この問題を解決するために、本発明はガラス管内の放電ガスとしてアルゴンのみを100%使用し、これによって、ガラス管の寿命短縮を防止し、かつ、ガラス管の内部領域119を低圧にすることができる。このような低圧力状態では、パッシェンの法則(Paschen's law)により、高圧力状態より相対的に小さい電圧で放電を起こすことができる。
【0047】
以下、図10に示されているパッシェンの法則を簡単に説明する。
光の発生のために、陰極と陽極に放電電圧が印加されると、陰極における電子が放電ガス、即ち、気体分子と衝突して、気体分子が電子とイオンに分離されるプラズマ状態になり、電子172は、陽極に移動し、イオン174は、陰極に移動する。ここで、電子172とイオン174の発生のための放電電圧Vfと気体の圧力P及び電極間の距離dの関係を示す法則をパッシェンの法則という。ここで、A及びBはガスの種類により指定された常数である。前記γはイオンがカソードに衝突される際の2次電子放出係数である。従って、係数γはカソードの材質と関連される。
【0048】
図10に示しているパッシェンの法則1は、結局、数式(2)のように示すことができる。即ち、結果として、パッシェンの法則は、放電電圧Vfが気体の圧力P及び電極間の距離dと比例するという事実を提供する。
このような関係を本発明に適用すると、電極間の距離dが固定されることによって、結局、気体の圧力Pが低くなると、放電電圧Vfが低くなる。これによって、従来に比べて小さい放電電圧Vfを利用することで放電を起こすことができ、光効率が向上する共に消費電力が節減される。
【0049】
一方、低圧により生じられるスパッタリングの発生率の増加による問題は、強誘電性のコート膜122により防止されることができる。即ち、圧力Pが低くなるほど気体分子の密度が減少してスパッタリングの発生率が増加し、それによりガラス管116の内部壁面にダメージを与える恐れがあるが、スパッタリングが集中される領域のガラス管116の両端の内部壁面には、強誘電性コート膜122が設けられることによって、低圧によるガラス管116の損傷問題を防止することができる。
【0050】
このように、本発明による外部電極蛍光ランプ(EEFL)155は、強誘電性ガラス管116及び強誘電性コート膜122を導入することによって、電荷の充電量を増加させる。これによって、同一の放電電圧対比放電発生率が増加し、光効率が向上すると共に消費電力が節減される。
【0051】
また、ガラス管116の内部空間119に充填される放電ガスとして、アルゴン(Ar)のみを利用し、内部空間119の気体圧力を5〜45トール程度を保持させる。このような低圧力状態では、パッシェンの法則により高圧力状態より相対的に小さい電圧で放電を起こすことによって、光効率が向上すると共に消費電力が節減される。
【0052】
このような構成及び作用效果を有する外部電極蛍光ランプ(EEFL)155により光を発生させるバックライトユニット160を用いて、液晶表示パネル150に、従来の同一電圧対比向上した光を供給することができる。
また、同一の光を供給するために必要な放電電圧が小さくなることによって、消費電力が節減される。
【0053】
なお、上述した外部電極蛍光ランプEEFL及びその製造方法は、表示装置である液晶表示装置に使用することができるが、バックライトを必要とする表示装置であればどのような表示装置にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)を示す図である。
【図2】従来の外部電極蛍光ランプ(EEFL)を示す図である。
【図3】本発明による外部電極蛍光ランプ(EEFL)を示す図である。
【図4】図3のII-II' 線断面図である。
【図5】本発明による液晶表示装置のバックライトユニットを示す図である。
【図6】本発明の他のタイプの外部電極蛍光ランプEEFLを示す図である。
【図7a】通常のガラス管を利用する場合に充電される電荷量と、強誘電性ガラス管及び強誘電性コート膜を利用する場合に充電される電荷量を示す図である。
【図7b】通常のガラス管を利用する場合に充電される電荷量と、強誘電性ガラス管及び強誘電性コート膜を利用する場合に充電される電荷量を示す図である。
【図8】図3及び図6の強誘電性コート膜を形成するためのプロセスを示す図である。
【図9】図3及び図6の第2外部電極を形成するためのプロセスを示す図である。
【図10】パッシェンの法則を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
6、16:ガラス管

12:外部電極
10、20、120:蛍光物質
9、19、119:ガラス管の内部空間
111:第2外部電極
112:外部電極部材
114:第1外部電極
116:強誘電性ガラス管
122:強誘電性コート膜
150:液晶表示パネル
155:外部電極蛍光ランプ
166:光学シート
164:拡散板
162:ボトムカバー

176:容器
210:ポンプ
214:センサ
216:チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極蛍光ランプであって、
内部で放電させるためのガラス管;及び
前記ガラス管の両端の外部壁面を囲む外部電極部材;を備え、
前記ガラス管が強誘電性ガラスからなること、及び/又は前記外部電極蛍光ランプがガラス管の内部壁面にコートされた強誘電性コート膜をさらに備えることを特徴とする外部電極蛍光ランプ。
【請求項2】
前記強誘電性ガラス管の比誘電率は、6〜20であることを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項3】
前記強誘電性ガラス管は、ソーダライム系列の物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項4】
前記強誘電性ガラス管は、LiO、NaO、KO、BaOのうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項5】
前記強誘電性コート膜の比誘電率は、4〜20であることを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項6】
前記強誘電性コート膜は、チタン酸バリウム(BaTi)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、モリブデン酸ガドリニウム(Gd(MoO))、ヨード化硫化アンチモン(SbSI)、亜硝酸ナトリウム (NaNO)、リン酸二水素カリウム(KHPO)、グリシン硫酸塩((NHCHCOOH)SO)、ロッシェル塩(NaKC・4HO)のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項7】
前記放電ガスは、アルゴン(Ar)からなることを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項8】
前記放電ガスによる前記強誘電性ガラス管の内部圧力は、5〜45トールであることを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項9】
前記外部電極部材が、
前記ガラス管の両端の外部壁面を囲む筒状管形状に形成された第1の外部電極;及び
前記第1の外部電極及び前記ガラス管の両端の外部壁面を囲むとともに、前記第1の外部電極及び前記ガラス管との間の隙間に充填された第2の外部電極;
を含むことを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項10】
前記第1の電極は、リン青銅を含むことを特徴とする請求項9に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項11】
前記第2の外部電極は、60〜70%の錫(Sn)、22〜28%のビスマス(Bi)、3〜6%の亜鉛(Zn)、1〜2%のインジウム(In)、0.2〜0.7%のアンチモン(Sb)、0.05〜0.15%のアルミニウム(Al)からなることを特徴とする請求項1に記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項12】
前記強誘電性コート膜上にさらに蛍光物質が塗布されたことを特徴とする請求項1記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項13】
前記強誘電性物質が前記ガラス管両端の内部壁面の所定の領域のみに選択的に形成されたことを特徴とする請求項1記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項14】
前記ガラス管の内部壁面に蛍光物質が形成され、前記強誘電性コート膜が前記蛍光物質とオーバーラップしないことを特徴とする請求項1記載の外部電極蛍光ランプ。
【請求項15】
外部電極蛍光ランプの製造方法であって、
両端が開放したガラス管を用意するステップであって、前記ガラス管が強誘電性ガラスからなる、及び/又は、前記ガラス管の内部壁面に強誘電性コート膜を形成するステップをさらに含む、ステップ;
放電ガスを前記開放したガラス管に導入し、前記ガラス管を封止プロセスによって封止するステップ;及び
前記ガラス管の両端の外部壁面を囲む外部電極部材を形成するステップ;
からなる製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の製造方法において、前記外部電極部材を形成するステップが、
前記ガラス管の外部壁面を囲む筒状金属管状に形成された第1の外部電極を設けるステップ;及び
前記第1の外部電極及び前記ガラス管の両端の外部壁面を囲み、かつ前記第1の外部電極と前記ガラス管との間の隙間を埋める第2の外部電極を設けるステップ;
を含む製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の製造方法において、前記第2の外部電極を設けるステップが、
60〜70%の錫(Sn)、22〜28%のビスマス(Bi)、3〜6%の亜鉛(Zn)、1〜2%のインジウム(In)、0.2〜0.7%のアンチモン(Sb)、0.05〜0.15%のアルミニウム(Al)を含む液体の導電性強誘電性物質で満たされた容器を用意するステップ;及び
前記ガラス管の第1の外部電極に設けられた所定部分を前記導電性強誘電性物質の液体に浸漬し、その後該導電性強誘電性物質の液体を凝固させるステップ;
を含む製造方法。
【請求項18】
請求項15記載の製造方法において、前記強誘電性コート膜を形成するステップが、
前記ガラス管の一方の開放端を液体の強誘電性物質で満たされた容器に浸漬し、該ガラス管の他方の開放端をポンプに接続するステップ;を含み、
前記ポンプの動作によって前記強誘電性物質が前記開放したガラス管の内部壁面をコートすることを特徴とする製造方法。
【請求項19】
表示装置のバックライトユニットであって、
表示パネルに供給される光を発生させる複数の、請求項1から14いずれか一項に記載の外部電極蛍光ランプ(EEFL);
外部電極蛍光ランプ(EEFL)から発生する光を散乱させ、前記表示パネルの方に出射させる拡散板;及び
前記拡散板と液晶表示パネルとの間に位置し、前記拡散板を経た光を、前記表示パネルに垂直方向に入射させるための光学シート;
を備えたことを特徴とするバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−184232(P2007−184232A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226362(P2006−226362)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(501426046)エルジー.フィリップス エルシーデー カンパニー,リミテッド (732)
【Fターム(参考)】