説明

外面電極型蛍光ランプ及び照明装置

【課題】外面電極型蛍光ランプの部品点数及び作業工程を減らしてコストダウンを実現する。
【解決手段】可視光の反射率が0%以上30%以下の遮光層14上に一対の外面電極13A,13Bを備えた電極シートを用いる。これにより、部品点数を削減することができ、ガラス管11の外周面にフィルムを設置する工程を減らすことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機、スキャナー等に使用される読み取り用光源や車載計器照明などに用いる外面電極型蛍光ランプ及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やスキャナー等の読み取り装置では、原稿に光を照射し、反射した光をレンズ等を介してCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)において受光し、画像を電気信号に変換する。
【0003】
外面電極型蛍光ランプを読み取り用の光源として使用した場合、光学設計上予期しない光が周辺部材に反射して原稿やCCDに入射することにより発生するエラーを回避するために、可視光の反射率が30%以下の高分子材料をフィルム状に加工して、開口部を除く外周に配置している(特許文献1参照)。
【0004】
図9は、従来の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。従来の外面電極型蛍光ランプは、ガラス管81の内面に蛍光体膜82を管軸方向に沿ってアパーチャ部80を有するように形成し、内部にキセノンガスなどの希ガスを封入する。ガラス管81の外面の蛍光体膜82に対応する部分には、一対の外面電極83A,83Bが透明フィルム86に配置された電極シートが設けられている。電極シートは、可視光の反射率が0%以上30%以下の高分子材料を使用した遮光フィルム84で覆われている。さらに、外面電極型蛍光ランプの外周面を透光性熱収縮チューブ85で覆うことにより、電極シートを固定している。
【0005】
なお、特許文献2には、希ガス蛍光ランプの外面に反射層を設け照度を向上する技術が開示されているが、反射率が30%以下の高分子材料では特許文献2に記載されるような反射層としては機能しない。
【特許文献1】特開2004−288600号公報
【特許文献2】特開平11−273624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の蛍光ランプは、透光性フィルムと外面電極とで構成されている電極シートをガラス管の外面に配置し、その上に可視光の反射率が0−30%の高分子材料を加工したフィルムを配置しているので、ガラス管の外面にフィルムを配置する工程を2度行う必要がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、部品点数及び作業工程を減らしてコストダウンを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る外面電極型蛍光ランプは、ガラス管の内面に蛍光体膜を管軸方向に沿ってアパーチャを有して形成し、ガラス管の内部に希ガスを封入し、少なくとも一対の外面電極と当該外面電極に対応する部分に可視光の反射率が0%以上30%以下の遮光層とを備えた電極シートをガラス管の外面に外面電極が管軸方向に沿うとともに遮光層よりもガラス管側になるように配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、外面電極を覆う遮光層を備えた電極シートを用いることにより、部品点数を削減し、ガラス管の外周面にフィルムを設置する工程を減らすことを可能とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数及び作業工程を減らしてコストダウンを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態における外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。同図は、管径が約8mm、管長が約270mmの外面電極型蛍光ランプを輪切りにした断面を示している。
【0013】
同図に示す外面電極型蛍光ランプは、ガラス管11の内面に蛍光体膜12を管軸方向に沿ってアパーチャ部10を有するように形成されており、ガラス管11の内部には、例えばキセノンガスなどの希ガスが封入されている。ガラス管11の外面の蛍光体膜12に対応する部分には、可視光の反射率が0%以上30%以下の遮光層14上に一対の外面電極13A,13Bを備えた電極シートが設けられている。外面電極13A,13Bのそれぞれは、遮光層14よりガラス管側で、ガラス管11の管軸方向の全長に渡って配置されている。外面電極蛍光ランプの外周は、透光性熱収縮チューブ15で覆われている。この透光性熱収縮チューブ15により、ガラス管11が保護されるとともに、電極シートをしっかりと固定している。以下、電極シートについて図を用いて説明する。
【0014】
図2は、本実施の形態における外面電極型蛍光ランプに使用される電極シートの構成を示す平面図であり、図3は、電極シートの外面電極13Aの部分における構成を示す断面図である。図2に示す電極シートは、図1に示す断面のガラス管11のアパーチャ部10を除いた外周程度の幅であって、ガラス管11のほぼ全長の長さを有している。
【0015】
外面電極13A,13Bのそれぞれは、電極シートの長手方向に対して平行に、ほぼ電極シートの全長に渡って配置されている。外面電極13A,13Bは、可視光の反射率が0%以上30%以下の高分子材料を使用したフィルムによる遮光層14に接着されている。外面電極13A,13Bの対向する辺はのこぎり状の形状であり、外面電極13A,13Bの符号21A,21Bで示す辺がアパーチャ部10に面するように電極シートはガラス管11の外面に配置される。外面電極13A,13Bの辺がのこぎり形状であることにより、のこぎり形状の凸部間で放電が行われて、陽光柱が拡散するので、ちらつきを抑え、より均一な発光を得ることができる。なお、外面電極13A,13Bの対向する各辺はのこぎり状の形状に限定されず、直線であっても良いし、他の形状であってもよい。
【0016】
図3の電極シート断面図に示すように、外面電極13A,13Bは、遮光層14に接着剤32で固定される。電極シートの外面電極13A,13B側は接着剤31によりガラス管11に固定される。外面電極13A,13Bには、アルミニウムなどの導電性を有するテープを利用する。遮光層14には、黒色に着色したポリエチレンテレフタラート(PET)を用いる。このように、可視光の反射率が0%以上30%以下の高分子材料の遮光層14を備えることにより、外面電極型蛍光ランプの外面において外面電極13A,13Bで反射する光を抑制することができる。また、外面電極13A,13Bと、可視光の透過率が0%以上30%以下の遮光層14とを備えた電極シートを用いることにより、電極シートを覆う反射率の低いフィルムが必要なくなるので、部品点数を削減することができ、ガラス管11の外周面にフィルムを設置する工程を減らすことが可能となる。
【0017】
外面電極型蛍光ランプの外面電極13A,13Bは、リード線などを介して高周波電圧を印加する電源に電気的に接続されて照明装置を構成する。このようにして構成された照明装置は、コピー機やスキャナーなどの読み取り用光源として利用されたり、車載計器照明などに用いられる。
【0018】
図4は、第1の実施の形態における別の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。同図に示す外面電極型蛍光ランプは、図1に示した外面電極型蛍光ランプに対して、遮光層44A,44Bが外面電極13A,13Bに対応する部分のみ覆っている点、および、遮光層44A,44B、外面電極13A,13Bが透光性フィルム46上に接着されている点で異なっている。
【0019】
図4に示す外面電極型蛍光ランプに使用される電極シートは、外面電極13A,13Bと可視光の反射率が0%以上30%以下の高分子材料とを貼り合わせて所望の形状に打ち抜き、透光性フィルム46を貼り合わせて形成する。このように、外面電極型蛍光ランプの外面において光を反射する外面電極13A,13Bに対応する部分を遮光層14で覆うことにより、外面電極型蛍光ランプの外面において外面電極13A,13Bで反射する光を防ぐことができる。
【0020】
図5は、第1の実施の形態におけるさらに別の外面電極蛍光ランプの構成を示す断面図である。同図に示す外面電極型蛍光ランプは、図4に示したものに対して、遮光層54A,54Bの端部の形状が異なっている。
【0021】
図5に示す遮光層54A,54Bの端部は、外面電極13A,13Bの端を覆う部分まで形成されている。一方、図4に示した遮光層44A,44Bの端部は、外面電極13A,13Bを覆い、さらにガラス管11に沿って折れ曲がっている。
【0022】
したがって、本実施の形態によれば、可視光の反射率が0%以上30%以下の遮光層14上に一対の外面電極13A,13Bを備えた電極シートを用いることにより、部品点数を削減することができ、ガラス管11の外周面にフィルムを設置する工程を減らすことが可能となる。
【0023】
なお、遮光層14は、可視光の透過率が0%以上30%以下の接着剤により形成してもよい。
【0024】
[第2の実施の形態]
図6は、第2の実施の形態における外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。同図に示す外面電極型蛍光ランプは、図1に示した外面電極型蛍光ランプに対して、遮光層14のガラス管側に可視光の反射率が60%以上の高分子材料を使用したフィルムによる反射層56を備えている点で異なっている。このように、遮光層14のガラス管側に可視光を反射する反射層56を備えることにより、蛍光体膜12において発光した光が反射層56で反射し、アパーチャ部10より出射されるので、蛍光ランプの効率を向上することができる。また、外面電極13A,13B、反射層56は、遮光層14により覆われているので、外面電極型蛍光ランプの外面における光の反射を抑制することができる。
【0025】
図7は、本実施の形態における外面電極型蛍光ランプに使用される電極シートの構成を示す断面図である。同図に示すように、遮光層14は反射層56を外面電極13A,13B側に備えており、反射層56は外面電極13A,13Bに接着剤62で固定されている。外面電極13A,13B側が接着剤61によりガラス管11に固定される。このように、遮光層14、反射層56および外面電極13A,13Bを貼り合わせた電極シートを用いることにより、部品点数を削減することができる。
【0026】
図8は、第2の実施の形態における別の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。同図に示す外面電極型蛍光ランプは、図6に示したものに対して、反射層76が外面電極13A,13Bのガラス管側に配置されている点で異なっている。
【0027】
したがって、本実施の形態によれば、遮光層14よりもガラス管側に配置される面に可視光の反射率が60%以上の反射層56を備えた電極シートを用いることにより、蛍光ランプの効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態における外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図2】図1の外面電極型蛍光ランプに用いられた電極シートの構成を示す平面図である。
【図3】図2の電極シートの構成を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態における別の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態におけるさらに別の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図6】第2の実施の形態における外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図7】図6の外面電極型蛍光ランプに用いられた電極シートの構成を示す断面図である。
【図8】第2の実施の形態における別の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【図9】従来の外面電極型蛍光ランプの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10…アパーチャ部
11…ガラス管
11…特許文献特開平
12…蛍光体膜
13A,13B…外面電極
14…遮光層
15…透光性熱収縮チューブ
31,32…接着剤
44A,44B,54A,54B…遮光層
46…透光性フィルム
56…反射層
61,62,63…接着剤
76…反射層
80…アパーチャ部
81…ガラス管
82…蛍光体膜
83A,83B…外面電極
84…遮光フィルム
85…透光性熱収縮チューブ
86…透明フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内面に蛍光体膜を管軸方向に沿ってアパーチャを有して形成し、
前記ガラス管の内部に希ガスを封入し、
少なくとも一対の外面電極と当該外面電極に対応する部分に可視光の反射率が0%以上30%以下の遮光層とを備えた電極シートを前記ガラス管の外面に前記外面電極が管軸方向に沿うとともに前記遮光層よりもガラス管側になるように配置したこと
を特徴とする外面電極型蛍光ランプ。
【請求項2】
ガラス管の内面に蛍光体膜を管軸方向に沿ってアパーチャを有して形成し、
前記ガラス管の内部に希ガスを封入し、
少なくとも一対の外面電極と当該外面電極に対応する部分に可視光反射率が0%以上30%以下の遮光層とを備えた電極シートを前記ガラス管の外面に前記外面電極が管軸方向に沿うとともに前記遮光層よりもガラス管側になるように配置した外面電極型蛍光ランプと、
前記外面電極型蛍光ランプの前記外面電極に電気的に接続され高周波電圧を印加する電源と、
を有することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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