説明

多チャンネル音楽専用テレビ放送をザッピングしながら演奏予約できるカラオケ装置

【課題】多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置において、ザッピングしながら視聴した中から選択された音楽映像作品と同じ曲目をカラオケ曲として予約する。
【解決手段】楽曲ID、放送受信コード、チャンネル切替指示、選択コマンドの各入力をそれぞれ可能とし、楽曲IDの入力を受け付けた際は、当該楽曲IDを待ち行列に登録し、放送受信コードの入力を受け付けた際は、当該放送受信コードを待ち行列に登録し、待ち行列に登録された放送受信コードの順番になった際は、所定期間だけ、放送受信手段により受信した音楽映像作品を出力するとともに、チャンネル切替指示の入力に応答して受信チャンネルを切り替えさせ、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を受け付けた際は、現に音響映像出力中の音楽映像作品に付属している楽曲IDを待ち行列に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多チャンネル音楽専用テレビ放送をザッピングしながら演奏予約できるカラオケ装置に関し、さらに詳しくは、多数の放送チャンネルを頻繁に切り替えながら見つけた好みの楽曲をカラオケで歌えるようにしたカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は通常、複数人のグループ単位で利用され、それぞれが自分の歌いたい曲を選んで演奏をリクエストする。各利用客からのリクエストはそれぞれ楽曲IDの形で待ち行列に登録される。待ち行列の楽曲IDは登録順に呼び出される。楽曲IDが呼び出されると、その楽曲IDに対応するカラオケデータがデータベースから取得され、当該楽曲のカラオケ伴奏音楽とカラオケ映像作品が音響映像出力される。
【0003】
一方、近年、通信衛星や光ファイバなどを利用した広帯域のデジタル放送が普及して来た。この広帯域デジタル放送では放送チャンネル数を多くとれるので、ジャンルごとに多チャンネルの放送が可能である。音楽関係では多チャンネル音楽専用テレビ放送があり、各放送チャンネルは、楽曲単位で区分された音楽と映像を融合させた音楽映像作品を連続的に放送している。各曲の音楽映像作品にはそれぞれ楽曲IDなどのデータが付属している。
【0004】
この多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置が提供されている。このカラオケ装置の利用客は、たとえばカラオケ演奏の合間などに、各放送チャンネルからそれぞれに放送される音楽映像作品を視聴できるが、その視聴に伴い、利用客からは放送された曲を歌唱したいという要望が出るようになる。利用客がその放送されたのと同じ曲目を歌唱したい場合は、その曲目の演奏をカラオケ装置で選曲予約することにより、カラオケ曲として演奏させて歌唱することができる。
【0005】
この場合、カラオケ装置にはその選曲の操作を補助する支援機能が望まれる。この支援機能を備えたカラオケ装置として、たとえば特許文献1(特開2001−184079号公報)には、音楽番組の放送信号に多重されたテキストデータ形式の番組関連データを取得し、この中から抽出した文字列を検索キーとして伴奏音楽データや歌詞映像データとともにカラオケ装置のハードディスクに組織的に記憶されている楽曲属性データを検索し、検索された楽曲属性データに対応するカラオケ楽曲のタイトル名や歌手名などを一覧的にディスプレイに表示して、この表示の中から選曲予約を受け付けるようにしたカラオケ装置が記載されている。この技術によれば、視聴した音楽映像作品と同じ曲目を、ディスプレイ表示を見ながら行う対話形式の操作により選曲して予約することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−184079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カラオケ装置の主要な利用者層は基本的に、カラオケ演奏に合わせて歌唱を楽しむことを目的にしている。そのカラオケ装置が多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えていても、利用客にとって、その受信機能は、カラオケ演奏の合間に余興的に使用できる機能であって、料金を支払ってまで利用する対象は、受信機能ではなく、カラオケ機能であると見るのが妥当である。
【0008】
一方、カラオケ装置が多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えれば、その放送の視聴がカラオケ曲のリクエスト行動に結びつく可能性は大きい。つまり、多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置では、放送された音楽映像作品と同じ曲目が選曲予約される機会が多くなり、これにともない、カラオケ利用の機会も多くなって結果的にカラオケ関連産業の一層の活性化といったような効果が期待される。また、放送されたばかりの音楽映像作品を、その印象や余韻がまだ鮮明な間に歌唱できれば、カラオケ利用現場の雰囲気を一層盛り上げられるとともに、歌の上達も期待される。
【0009】
しかし、カラオケ装置は複数人のグループ単位で利用され、それぞれが自分の歌いたい曲を選曲予約して平等に楽しむという遊び方が主流であって、これは、多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置においても例外でない。この多チャンネル音楽専用テレビ放送受信機能付きカラオケ装置をグループの構成員が楽しく共同利用するためには、一人だけがカラオケ装置を長時間独占使用してしまうことのないような配慮が必要となる。
【0010】
これについて、多チャンネル音楽専用テレビ放送受信機能を有しないカラオケ装置では、選曲予約された個々の楽曲の演奏時間が一つの利用時間単位となるため、その利用時間単位(1楽曲の演奏時間)を大幅に超過するような長時間の独占使用状態は生じにくかった。つまり、選曲予約された楽曲を演奏するだけのカラオケ装置には、グループ内でのカラオケ利用機会を自然的に平等化させるような一種の自己整合的機能があった。
【0011】
ところが、そのカラオケ装置が多チャンネル音楽専用テレビ放送受信機能を備えると、昼夜絶え間なく連続的に放送されている音楽映像作品が視聴できるため、それをグループ内の誰かがいったん視聴しはじめると、とくに意識しなくても、そのまま視聴が続いて長時間の独占使用状態が自然的に発生しやすい。これを回避させるためには、利用者間であらかじめ視聴時間を取り決めたりすればよいが、そうすると、今度はその取り決めが気になってカラオケ装置の円滑かつ円満な利用に支障を生じることが懸念される。
【0012】
音楽専用テレビ放送のチャンネル数は非常に多く、放送される音楽映像作品の数も膨大である。これらの作品を、他の利用者を気遣って短時間内に視聴して歌唱したい曲があるかどうかを探ろうとすると、利用客は必然的に受信チャンネルを目まぐるしく切り替えるザッピングを行いながら視聴することになる。このザッピングする中で歌唱したい音楽映像作品を見つけたならば、その音楽映像作品と同じ曲目をカラオケ曲として選曲予約する操作を行うことになるが、この操作は、他の利用者のことも考慮し、できるだけ迅速かつ円滑に行うことが望まれる。
【0013】
この場合、その操作を補助する支援機能があれば、それを使って選曲予約を行うことになるが、たとえば特許文献1に記載の支援機能を用いる操作は、ディスプレイに表示された一覧を見ながら選択の操作を行う対話形式の操作であって、操作そのものは容易でも、操作を確定させるまでの時間が比較的長くかかってしまう。このため、多数の音楽映像作品をザッピングしながら検索して目的の作品を見つけても、それと同じ曲目のカラオケ曲をその場で迅速に予約することはできない。
【0014】
この発明は以上のような技術背景を鑑みてなされたものであり、その目的は、多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置において、長時間の独占使用状態が生じにくく、複数の利用者間でカラオケ利用機会が自然的に平等化されるような機能を備えるとともに、ザッピングしながら視聴した中から選択された音楽映像作品と同じ曲目をカラオケ曲として予約する場合は、その音楽映像作品が受信されている短い時間内にその予約を完了させることができるようにした技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係るカラオケ装置は、つぎの事項(1)〜(9)により特定されるものである。
(1)待ち行列に登録された楽曲IDに対応するカラオケデータをデータベースから取得して当該楽曲のカラオケ伴奏音楽とカラオケ映像作品を音響映像出力するカラオケ装置であって、放送受信手段と、操作入力手段と、制御手段を備えていること
(2)放送受信手段は、多チャンネル音楽専用テレビ放送を受信可能とすること
(3)各放送チャンネルは、楽曲単位で区分された音楽と映像を融合させた音楽映像作品を連続的に放送すること
(4)各楽曲の音楽映像作品には、楽曲IDが付属していること
(5)操作入力手段は、楽曲IDの入力と、放送受信コードの入力と、チャンネル切替指示の入力と、選択コマンドの入力を可能であること
(6)制御手段は、楽曲IDの入力を受け付けた際、当該楽曲IDを待ち行列に登録し、
(7)制御手段は、放送受信コードの入力を受け付けた際、当該放送受信コードを待ち行列に登録すること
(8)制御手段は、待ち行列に登録された放送受信コードの順番になった際、所定期間だけ、放送受信手段により受信した音楽映像作品を音響映像出力するとともに、チャンネル切替指示の入力に応答して受信チャンネルを切り替えさせること
(9)制御手段は、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を受け付けた際、現に音響映像出力中の音楽映像作品に付属している楽曲IDを待ち行列に登録すること
【発明の効果】
【0016】
多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信機能を備えたカラオケ装置において、長時間の独占使用状態が生じにくく、複数の利用者間でカラオケ利用機会が自然的に平等化されるような機能を備えるとともに、ザッピングしながら視聴した中から選択された音楽映像作品と同じ曲目をカラオケ曲として予約する場合は、その音楽映像作品が受信されている短い時間内にその予約を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例を構成するカラオケ装置全体の機能ブロック図である。
【図2】この発明に係るカラオケ装置において主に待ち行列を形成するデータの流れに着目したブロック図である。
【図3】この発明に係るカラオケ装置の要部における動作概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
===カラオケ装置の基本的な構成と動作===
この発明の実施例に係るカラオケ装置の概略構成を図1に例示する。
このカラオケ装置は、周知のパソコン相当のコンピュータ応用機器であって、その中核をなす中央処理装置11は、CPU・RAM・ROMを含むコンピュータ本体を形成する。
【0019】
この中央処理装置11の制御管理下に、大容量の外部記憶としてのハードディスク装置12、CD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスク再生装置13、光通信回線などの公衆通信回線を介してカラオケホスト装置と通信する通信制御装置14、利用者からの入力と利用者に向けての応答をやりとりする利用者インタフェース装置15、MIDI形式の音楽演奏データに基づいて伴奏音楽の音響信号を生成する音楽生成装置16、伴奏音楽やマイクロホン21からの音響信号等を増幅してスピーカ22から発音する音響装置17、LCDやPDPなどを用いたディスプレイ18、このディスプレイ18に表示すべき映像データを処理する映像処理装置19、多チャンネル放送受信装置25が設置されている。
【0020】
ハードディスク装置12には多数のカラオケ楽曲について、MIDIデータを主体とした伴奏音楽データと、歌詞画像の生成起源となる歌詞文字データとを含むカラオケデータが蓄積されている。また、所定形式の長時間分の動画データと、動画データの処理シーケンス(処理すべき動画データの格納場所と処理順番など)を規定した台本データや、演奏可能なカラオケ楽曲について、曲名やアーティスト名、発表年、歌詞の歌い出し部分などの目次情報も格納されている。
【0021】
音楽生成装置16はカラオケデータ中の伴奏音楽データによって伴奏音楽を生成する。歌詞文字データについては、伴奏音楽に同期して歌唱すべき箇所が色変わりする歌詞画像をビデオRAMに順次ビットマップ展開していく。また、台本データに基づいて所定の動画データを所定の順番で映像処理装置19に順次転送して歌詞画像の背景動画を復号させる。
【0022】
音響装置17はミキシングアンプを含み、音楽生成装置16で生成された伴奏音楽と、マイクロホン21に入力された歌声音声とを混合・増幅してスピーカ22より音響出力する。
【0023】
映像処理装置19は、復号した動画映像に歌詞画像をスーパーインポーズ処理してディスプレイ18に表示出力する。歌詞画像は、伴奏音楽の進行に同期した時系列の歌詞文字データから順次作成される。
【0024】
利用者インタフェース装置15には、カラオケ装置本体の操作パネル151やカラオケリモコン装置23が含まれ、双方向通信が可能な短距離無線通信手段(IrDAトランシーバ・赤外線LED・赤外線受光素子)を備えている。
【0025】
放送受信装置25は、多チャンネル音楽専用テレビ放送が受信可能である。多チャンネル音楽専用テレビ放送は、通信衛星や光ファイバなどを利用した広帯域のデジタル放送であって、各放送チャンネルは、楽曲単位で区分された音楽と映像を融合させた音楽映像作品を連続的に放送している。各楽曲の音楽映像作品には楽曲IDが付属している。つまり、放送される音楽映像作品データには楽曲の区分ごとに所定の楽曲IDが短い周期で繰り返し多重化されており放送受信装置25は受信中の音楽映像作品データに多重されている楽曲IDをリアルタイムで抽出可能であり中央処理装置11へ出力できる。
【0026】
中央処理装置11は、各楽曲のカラオケデータ、台本データ、および目次情報を楽曲番号によって識別し、これをカラオケデータベースとして管理する。
【0027】
この中央処理装置11は、利用者インタフェース装置15から演奏予約コマンドを受信すると、その受信コマンドに含まれている楽曲ID(楽曲識別符号)を受け取った順に演奏予約の待ち行列に登録する。そして待ち行列から登録順に楽曲IDを取り出して、カラオケデータベースから該当する楽曲用のカラオケデータを取りだして演奏処理に供する。
【0028】
演奏予約コマンドは操作パネル151またはカラオケリモコン装置23の操作によって入力される。コマンドが入力されると、そこに含まれている楽曲IDはいったん待ち行列に登録される。そして、その待ち行列の先頭から順に読み出されて演奏処理される。
【0029】
===この発明に係るカラオケ装置の特徴をなす構成/操作入力項目===
この発明の実施例をなすカラオケ装置は、上述した基本的構成に加えて、次のような制御機能が中央処理装置11を用いて構成されている。図2および図3はその制御機能の概要を図式化して示す。
【0030】
この制御機能は、まず、楽曲ID、放送受信コード、チャンネル切替指示、選択コマンドの各項目を、操作パネル151またはカラオケリモコン装置23の操作入力部から入力可能にしている。
【0031】
ここで、楽曲IDは曲目等を特定するコードが含まれたIDであって、カラオケ装置のカラオケ楽曲や放送受信される音楽映像作品にはそれぞれ楽曲ごとに楽曲IDが付属させられている。したがって、楽曲IDを指定すれば、その指定楽曲IDに対応する楽曲を指定して演奏処理させることができる。この楽曲IDはいったん待ち行列に登録されて順次処理される。
【0032】
放送受信コードは、カラオケ装置に多チャンネル音楽専用テレビ放送の受信を行わせる動作モード切り替えのコマンドコードである。このコマンドもいったん待ち行列に登録されてから実行されるが、その登録先は楽曲IDの待ち行列である。つまり、放送受信コマンドは楽曲IDと同じ扱いのリクエストとして同じ待ち行列に登録され、処理の順番を待つ。
【0033】
チャンネル切替指示は、放送受信装置25での受信チャンネルを切り替える指示であって、この指示は待ち行列を経ずに放送受信装置25に直接与えられる。これにより、受信チャンネルをザッピングすることができる。ただし、このチャンネル切替指示が有効になるのは、カラオケ装置が多チャンネル放送の受信を行っているときである。
【0034】
選択コマンドは、視聴中の音楽映像作品の楽曲IDをリアルタイムで取得させるためのコマンドであって、ワンタッチの単一操作で入力できるようにしてある。カラオケ装置が多チャンネル音楽専用テレビ放送を受信しているときにその選択コマンドの入力操作が行われると、その入力の受付時点(入力操作時とほぼ同時)で受信中の音楽映像作品に付属する楽曲IDが取得される。取得した楽曲IDは所定の規則条件にしたがって待ち行列に登録される。
【0035】
この場合、登録の規則条件は後述するように種々の態様があるが、とりあえずは、操作入力部から入力されたカラオケリクエスト曲の楽曲IDと同じ扱いで登録されると考えてよい。
【0036】
===待ち行列の登録と処理===
この発明に係るカラオケ装置の待ち行列には楽曲IDと放送受信コードが混在して登録されて順番に処理される。その待ち行列の先頭から楽曲IDが呼び出された場合は、その楽曲IDによって指定されるカラオケ楽曲が演奏される。楽曲IDには、操作入力部から入力された楽曲IDと、多チャンネル音楽専用テレビ放送で受信した音楽映像作品に付属していた楽曲IDとがあるが、どちらもその楽曲IDによって指定されるカラオケデータがカラオケデータベースから取り出されてカラオケ演奏される。
【0037】
待ち行列の先頭から放送受信コードが呼び出されると、カラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏に代わるものとして、あらかじめ設定した所定期間だけ、多チャンネル音楽専用テレビ放送を受信出力する。この場合の所定期間は、楽曲IDの順番待ちをしている他の利用客との公平性を得るため、カラオケ1曲分の演奏時間に相当する時間(たとえば5分くらい)が望ましい。
【0038】
放送受信コードを待ち行列に登録させた利用者は、カラオケ1曲分に相当する受信出力期間の間、チャンネルを自由にザッピングしなから放送を視聴することができる。そして、視聴した音楽映像作品の中にカラオケで歌唱したい作品があったならば、その作品の受信出力中に選択コマンドの入力操作を行う。この入力操作により、その時点で受信出力されている音楽映像作品に付属している楽曲IDを取得して待ち行列に登録させることができる。所定期間が経過すると放送受信は終了し、待ち行列の先頭から次のリクエスト(楽曲IDまたは放送受信コード)が読み出されて実行される。
【0039】
このように、多チャンネル音楽専用テレビ放送の放送受信を、待ち行列に楽曲IDと混じって登録された放送受信コマンドによって所定期間だけ行わせることにより、長時間の独占使用状態は、利用者間の取り決めや利用者の自制に依存することなく、機能構成的に生じにくくすることができる。つまり、グループ内でのカラオケ利用機会を自然的に平等化させるような一種の自己整合的機能が働く。
【0040】
また、受信中の音楽映像作品と同じ曲目をカラオケ曲として予約する場合は、操作コマンドの入力という単一的操作によってほぼ瞬時に行うことができる。これにより、その音楽映像作品が受信されている短い時間内にその予約を完了させることができる。
【0041】
===待ち行列の登録に際しての望ましい諸条件===
受信中の音楽映像作品に付属する楽曲IDを取得して待ち行列に登録する際には、次の条件(1)〜(5)のいずれかを設定することが望ましい。
【0042】
(1)放送受信出力期間としてカラオケ1曲分の演奏時間に相当する時間を設定する。
この条件設定により、放送受信コードを待ち行列に登録させた利用者と、操作入力部から楽曲IDを待ち行列に登録させた他の利用者との間で利用時間の公平化をはかることができる。
【0043】
(2)放送受信コードによって行われる放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を1回だけ受け付けるようにする。
この条件設定は、1回の放送受信期間で予約できるカラオケ楽曲が一つだけに限定されるので、利用者間の公平性が高まる。
【0044】
(3)受け付けた選択コマンドにより特定された楽曲IDを待ち行列の先頭に登録する。
この設定条件によれば、放送されたばかりの音楽映像作品を、その印象や余韻がまだ鮮明な間に歌唱することができるので、カラオケ利用現場の雰囲気を一層盛り上げられるとともに、歌の上達も期待される。
【0045】
(4)放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を複数回受け付け、各回の選択コマンドにより特定された楽曲IDを、重複を排しつつ待ち行列の末尾に逐次登録する。
1回の放送受信出力期間内に複数の選択コマンドの入力受付を許容した場合、短時間に多チャンネルをランダムにザッピングしながら歌唱したい音楽映像作品を選択して行くと、同じ音楽映像作品を重複して選択してしまうことが起きやすい。このような場合、同じ楽曲IDが重複して待ち行列に登録されてしまうのを防止してカラオケ利用を効率化させることができる。
【0046】
(5)放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を複数回受け付け、最初の選択コマンドにより特定された楽曲IDを待ち行列の先頭に登録するとともに、後続の各回の選択コマンドにより特定された楽曲IDを、重複を排しつつ待ち行列の末尾に逐次登録する。
1回の放送受信出力期間内に複数の選択コマンドの入力受付を許容した場合、最初に選択した音楽映像作品の曲目だけは、それが受信出力されて間もない間に歌唱することにより、その場の雰囲気を盛り上げることができるとともに、他は順番を最後に回すことにより、他の利用者との間の公平性を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
11 中央処理装置
12 ハードディスク装置
13 光ディスク再生装置
14 通信制御装置
15 利用者インタフェース装置
151 操作パネル
16 音楽生成装置
17 音響装置
18 ディスプレイ
19 映像処理装置
21 マイクロホン
22 スピーカ
25 多チャンネル放送受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
待ち行列に登録された楽曲IDに対応するカラオケデータをデータベースから取得して当該楽曲のカラオケ伴奏音楽とカラオケ映像作品を音響映像出力するカラオケ装置であって、放送受信手段と、操作入力手段と、制御手段を備え、
放送受信手段は、多チャンネル音楽専用テレビ放送を受信可能とし、
各放送チャンネルは、楽曲単位で区分された音楽と映像を融合させた音楽映像作品を連続的に放送し、
各楽曲の音楽映像作品には、楽曲IDが付属しており、
操作入力手段は、楽曲IDの入力と、放送受信コードの入力と、チャンネル切替指示の入力と、選択コマンドの入力を可能とし、
制御手段は、楽曲IDの入力を受け付けた際、当該楽曲IDを待ち行列に登録し、
制御手段は、放送受信コードの入力を受け付けた際、当該放送受信コードを待ち行列に登録し、
制御手段は、待ち行列に登録された放送受信コードの順番になった際、所定期間だけ、放送受信手段により受信した音楽映像作品を音響映像出力するとともに、チャンネル切替指示の入力に応答して受信チャンネルを切り替えさせ、
制御手段は、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を受け付けた際、現に音響映像出力中の音楽映像作品に付属している楽曲IDを待ち行列に登録する
カラオケ装置。
【請求項2】
制御手段は、放送受信出力期間としてカラオケ1曲分の演奏時間に相当する時間を設定する
請求項1に記載のカラオケ装置。
【請求項3】
制御手段は、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を1回だけ受け付ける
請求項1または2に記載のカラオケ装置。
【請求項4】
制御手段は、受け付けた選択コマンドにより特定された楽曲IDを待ち行列の先頭に登録する
請求項1〜3のいずれかに記載のカラオケ装置。
【請求項5】
制御手段は、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を複数回受け付け、各回の選択コマンドにより特定された楽曲IDを、重複を排しつつ待ち行列の末尾に逐次登録する
請求項1または2に記載のカラオケ装置。
【請求項6】
制御手段は、放送受信出力期間において、選択コマンドの入力を複数回受け付け、最初の選択コマンドにより特定された楽曲IDを待ち行列の先頭に登録するとともに、後続の各回の選択コマンドにより特定された楽曲IDを、重複を排しつつ待ち行列の末尾に逐次登録する
請求項1または2に記載のカラオケ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−224501(P2010−224501A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74762(P2009−74762)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】