多世帯住宅用途における水平ケーブル配線用ドロップアクセスロケーションの方法及びシステム
ドロップアクセスロケーションのシステム及び方法であって、このシステムは、1つ以上の通信線を収容するダクトを含み、このダクトは、概して平らな表面に取り付け可能である。また、このシステムは、ベースと、環境に配慮した特性及び/又は装飾的外観を有する取り外し可能なカバーと、を含むドロップアクセスボックスも含む。このベースの取り付けセクションは、ダクトの外形にかぶさって、ダクトから張り出すように構成される。たるみ格納は、アクセスされた通信線をカップリングに送るため及びアクセスされた通信線の余分量を格納するための、1つ以上のガイドを含む。カップリングデバイス取り付けエリアは、アクセスされた通信線をドロップケーブルに接続するカップリング、アダプタ、又はスプライスを受け取るように構成される。このドロップアクセスロケーションシステム及び方法は、多世帯住宅(MDU)、多居住者住宅(MTU)、及び他の建物用途において水平ケーブル配線に利用することができる。ドロップアクセスロケーションシステムを敷設するためのシステムもまた、提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第61/075466号(2008年6月25日付出願)、同第61/094256号(2008年9月4日付出願)、及び同第61/116419号(2008年11月20日付出願)の利益を主張する。前記仮出願それぞれの開示は、そのまま本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、多世帯住宅(MDU)用途における水平ケーブル配線用ドロップアクセスロケーションのシステム及びその敷設方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
多世帯住宅(MDU)は世界中に数百万とあり、世界人口の約3分の1がそれらに居住している。1つのMDUに多数の居住者が集中しているため、サービスプロバイダにとっては、これらの構造へのファイバ・トゥー・ザ・エックス(「FTTX」)配備は、一世帯住宅への配備よりもコスト効果が高い。既存のMDUをFTTXネットワークに接続することは、難しい場合が多い。難点としては、建物へのアクセスの獲得、立ち上がりクローゼット内の限られた配線スペース、並びにケーブルルーティング及び管理のためのスペースが挙げられる。具体的には、既存構造内のFTTX配備では、中央クローゼット又は階段吹き抜けから各住戸へ、壁若しくは床の中、又は天井の上にケーブルを配線することが難しい。
【0004】
従来、サービスプロバイダは、収納装置(ファイバ配線ターミナル(FDT)としても既知)を多世帯住宅のそれぞれの階又はいくつかの階ごとに敷設している。FDTは、建物の立ち上がりケーブルを、1つの階のそれぞれの住戸につながる水平ドロップケーブルに接続する。ドロップケーブルは、ある住戸の居住者がサービスを要請した場合のみFDT内で立ち上がりケーブルにスプライスされる。これらのサービスの敷設は、収納装置に何度も入ることが必要なので、その階の他の居住者のセキュリティ及びサービスに支障をきたすリスクがある。また、このタイプの接続は、高価な融着スプライス機と高度な技術を有する労働力の使用が必要なので、このプロセスは、サービスプロバイダの資本金及び運転経費も増加させる。個々のドロップケーブルのルーティングとスプライスには多大な時間がかかり、1日に1人の技術者が作動させることができる受信契約者の数が増えず、サービスプロバイダの収益を低減する場合がある。別の方法として、サービスプロバイダは、MDU内の各住戸からの家庭内ケーブルを直接に建物天井のファイバ配線ハブ(FDH)まで全長を走らせて敷設することにより、単一の長いドロップケーブルで水平ケーブルと立ち上がりケーブルの両方を網羅する。このアプローチは、複数のドロップケーブルのそれぞれを管理、保護、及び隠すために1つの経路を最初に敷設する必要性を含む、いくつかの難点を作り出す。この経路は、しばしば、非常に大きい(例えば、10.1cm〜15.2cm(4インチ〜6インチ))木材又はプラスチックで作られた既製のクラウンモールディングを含む。これらの経路の多くでは、時間経過と共に混み合い、秩序が乱れ、ファイバの屈曲及び過度のリエントリによりサービスに支障をきたすリスクが増す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の代表的な一態様によると、ドロップロケーションへの通信アクセスのためのシステムは、貫通する穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線を含むダクトと、このダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を備える。また、このシステムは、ベース及びカバーを含むアクセスボックスも含むが、このアクセスボックスは、ベースに形成された取り付けセクションと、ベース及びカバーの少なくとも1つに形成されたたるみ格納セクションと、ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含む。取り付けセクションは、ダクトの外形にかぶさって、ダクトから張り出すように構成される。たるみ格納セクションは、アクセスされた通信線をカップリングデバイス取り付けエリアに送るため及びアクセスされた通信線の余分量を格納するための、1つ以上のガイドを備える。通信線カップリングデバイス取り付けエリアは、アクセスされた通信線をドロップケーブルに接続するカップリング、アダプタ、及びスプライスのうち少なくとも1つを受け取るように構成される。
【0006】
本発明の別の態様では、建物の廊下のドロップロケーションへの通信アクセスを敷設するためのシステムは、全体を貫通して形成された穴を伴う導管部分を有するダクトと、このダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分であり、そのツバ部分がそれ自体に配置された接着剤を含む取り付け部分と、ダクトを連続的に格納構造から受け取るためのダクトアプリケータツールと、を備える。アプリケータツールは概して平面のフレームを含み、このフレームは少なくとも1つのダクトチャネルを支持し、このダクトチャネルはダクトを受け取り、ダクトがこの概して平らな表面に適用されるにつれてダクトに押圧をもたらす支持面を提供する。アプリケータツールは、フレームの少なくとも一端に配置可能な1つ以上のダクトガイドを含み、この1つ以上のダクトガイドは、ダクトをその格納構造から少なくとも1つのダクトチャネルまで導く。
【0007】
本発明の別の態様では、既存のMDU、MTU、又は他の同様の住宅又は商用の建物の廊下への通信線を提供する方法は、建物の廊下にダクトを敷設することを含み、このダクトは、ダクトの導管部分に配置された複数のほぐれたバッファ光ファイバ及び1つのリボンファイバケーブルのうち1つを含む。少なくとも1つの光ファイバへは、第1のファイバドロップロケーションにてダクトからアクセスする。この第1のドロップロケーションに第1のドロップアクセスボックスが設置され、この第1のドロップアクセスボックスはベース及びカバーを含む。ドロップアクセスボックスは、ベースに形成された取り付けセクションと、ベースに形成されたたるみ格納セクションと、ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含む。ドロップアクセスボックスは、ダクトを覆って突き出るようなやり方でダクトに取り付けられて、アクセスされたファイバを覆う。アクセスされたファイバは終端される。終端した、アクセスされたファイバをカップリングに連結し、カップリングを通信線カップリングデバイス取り付けエリアに取り付ける。この方法は、更に、アクセスされたファイバからのファイバたるみを、ドロップアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送り格納することを含む。
【0008】
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの図示の実施形態又は全ての実施を説明しようとするものではない。下記の図及び発明を実施するための形態によって、これらの実施形態を更に詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述される。
【図1】本発明の第1の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図2】代表的な可撓性ダクトの等角図。
【図3】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの等角図。
【図4A】本発明の一態様による、そのカバーが取り外された代表的なドロップアクセスボックスの概略図。
【図4B】本発明の別の態様による、そのカバーが取り外されたドロップアクセスボックスの等角図。
【図5】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの後側からの等角図。
【図6】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの側面図。
【図7】本発明の別の態様による半径制御アンカーの等角図。
【図8A】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図8B】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図8C】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図9A】本発明の別の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図9B】本発明の別の態様によるハイブリッドケーブルの断面図。
【図9C】本発明の更に別の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図10】本発明の一態様によるドロップアクセスロケーションシステムが敷設された代表的なMDUの概略図。
【図11A】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図11B】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図11C】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図12】本発明の別の態様による代替可撓性ダクトの等角図。
【図13A】本発明の他の態様による代替ダクトの断面図。
【図13B】本発明の他の態様による代替ダクトの断面図。
【図14A】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な曲がり角部品。
【図14B】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な曲がり角部品。
【図14C】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な外側曲がり角部品。
【図14D】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な外側曲がり角部品。
【図15A】本発明の別の態様による代替ダクトアプリケータツールの異なる図。
【図15B】本発明の別の態様による代替ダクトアプリケータツールの異なる図。
【0010】
本発明は種々の修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部を一例として図面に示しており、また詳しく説明することにする。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することにはないことを理解するべきである。むしろ、付随する請求項によって定義される本発明の範囲内に入る修正、等価物、及び代替物すべてを網羅することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例として示す。この点に関して、「上」、「底」、「前」、「後」、「先」、「前方」、「垂下」などのような方向用語は、説明する図の方向に関して用いられている。本発明の実施形態の構成要素は多くの異なる方向に置かれ得るので、方向に関する用語は、説明のために使われるものであって、決して限定するものではない。他の実施形態を利用することもでき、また構造的又は論理的な変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、また本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0012】
本発明は、MDU、多居住者住宅(MTU)、又は他の同様の商用又は住宅用建物の場所での水平ケーブル配線用途に使用されるドロップアクセスポイント又はロケーション敷設方法及びシステムを目的とする。システム100は、MDU、MTU又は他の建物の場所にある住宅又はオフィスのような個々の住戸に個々の通信線をドロップするためのテレコミュニケーションワイヤ及びアクセスポイントの経路を提供する。システムの構成要素は、よりよい美観のために低インパクトプロファイルとして設計される。本明細書に記載されるドロップアクセスポイント方法及びシステムと共に、光ファイバ、通信用銅線、電線、又はこれらの組み合わせを含む新しい通信ワイヤを既存の建物の通路又は廊下の壁に敷設することができる。したがって、新しい又は改善されたサービスを個々の住戸に提供することができるが、これは、追加的な通信線を敷設するときに、住戸の外側に予め位置づけられている新しい通信配線に住戸内の短いケーブル配線を迅速に接続することによって達成される。
【0013】
図1は、本発明の第1の態様であるドロップアクセスロケーションシステム100の概略図を示す。この例では、システム100は代表的なMDUの廊下に敷設される。システム100はまた、他の屋内及び屋外の用途、並びにオフィスビル、オフィススイート、ホテル、学校、病院、及びアパートのような商用又は住宅用の建物にも使用することができる。この説明を通して常に、単純さのためにMDU及び/又はMTUを参照するが、この参照は限定することを意図するものではなく、システム100、200(図9A)、又は200’(図9B)は上記の認識された他の構造に使用することも可能である。
【0014】
ファイバドロップアクセスポイントシステム100は、テレコミュニケーションクローゼット(又は他の配線ロケーション)から1つ以上の住戸への1つ以上の通信線(水平ケーブル又は線(図1には図示せず))を収容する導管又はダクト110を備える。通信線は、データ、ビデオ、及び/又は電話信号伝送のために光ファイバ、電線、同軸/マイクロ同軸ケーブル、又はこれらの組み合わせを備える場合がある。一態様では、通信線は、900μmのバッファファイバ又は他の標準サイズ通信ファイバのような分離性の(ほぐれた)又はリボン状のファイバを備える場合がある。加えて、本明細書に記載した代表的態様はしばしば光ファイバ線へのアクセスに特定されるが、本明細書を与えられる当業者は、通信銅線、電線ドロップ、及び/又はハイブリッド組み合わせドロップもまた許容するようにドロップアクセスロケーションシステムを構成することができることを理解するであろう。
【0015】
システム100は、更に、住戸の入り口又はその近くのような1つ以上のアクセスポイント105に位置づけられた1つ以上のアクセスボックス150を備える。更に大写しに描いた図3に示されるように、ドロップアクセスボックス150は、ベース部分152及びカバー190を含む。ベース部分152及びカバー190は、剛性のプラスチック材料又は金属で形成する場合がある。アクセスボックス150(カバー及びベース)は、目立たない及び/又は装飾的な外側デザイン(壁取り付け式照明、ロゼット模様、インターレースノット、ミッションスクエア、貝殻、葉、又は流線的工業デザイン)を有することができ、アクセスボックスは、それが敷設される場所の美観的アピールを損なわないように、敷設される全体的エリアと色合わせすることができる。また、照明のためにドロップアクセスボックスに光デバイスを提供することもできる。更に、カバーは、その外面にラミネートされた装飾的オーバレイフィルムを更に含む場合がある。そのようなフィルムは、3M(商標)Di Noc自動接着性ラミネート(3M Companyより入手可能)を備えることができ、周囲の構造の木目又は金属面を模倣することができる。
【0016】
カバー190は、敷設のときにアクセスボックスの内容物に保護を提供する。カバー190は、小さいシームと共に、ドロップアクセスボックス150のベース152にぴっちりと、締まりばめにより取り外し可能に装着することができる。あるいは、カバーを従来のラッチ機能によって装着すること、又はカバーをヒンジでアクセスボックス150のベース部分152に連結又は繋留することができる。好ましい態様では、カバーは、締まりばめを介してアクセスボックスのベース部分152にぴっちりとはまる。カバーはまた、泥、埃、水、又は他の要素の侵入のリスクを低減するためにシールガスケット又は重複部分を含む。別の態様では、カバー190をロッキング機構によってベース152に更に固定することができる。
【0017】
代表的な態様のボックス及びカバーは、概して矩形を備えるが、アクセスボックス150は、平坦な円形台座、又は丸い角、面取りされたエッジ、リブ付き及び/若しくはスロット付き側部を伴う矩形/正方形のような他の形を備える場合がある。また、ドロップアクセスボックスは、電気配線接続箱、スイッチ、銘板、又は壁取り付け式照明のような照明器具を模倣するように正方形を有する場合がある。加えて、カバー190は、敷設中にベースにカバーを一時的に保持するために使用されるハンガーツメ167(図5を参照)を含む場合がある。
【0018】
加えて、異なる装飾デザイン及び形の他のカバーがかかるようにベースを設計することもできる。更に、図6に示されるように、カバー190で覆われたときのアクセスボックス150の深さは比較的小さいので、目立たない。例えば、一態様では、アクセスボックス150は、カバー190で覆われたときに約0.63cm〜約3.8cm(0.25インチ〜約1.5インチ)、好ましくは約2.54cm(1インチ)の深さを有する場合がある。一態様では、アクセスボックスは、約10.1cm〜約20.3cm(4インチ〜約8インチ)の長さと、約5.08cm〜約12.7cm(2インチ〜約5インチ)の幅と、を有する場合がある。装飾的特徴をカバーに付ける場合は、その装飾的特徴を伴うアクセスボックスによって占有される体積ははるかに大きくなる場合がある。
【0019】
代表的なダクト110のより詳細な大写しの等角図を図2に示す。この実施例では、ダクト110は、穴113が貫通する導管部分112を含む。穴は、それに配置される1つ以上の通信線を許容するサイズである。好ましい態様では、使用の際にダクト110はファイバリボンケーブルのような通信線を複数備える。使用に際し、ダクト110に1つ以上の通信線を予め投入しておくことができる。加えてまた、ダクト110に少なくとも1つの電力線を投入することができる。
【0020】
導管部分112は、概して円形の断面を有することができるが、代替実施形態では、矩形、正方形、三角形、楕円形、又は他の多角形の断面のような別の形を有してもよい。
【0021】
一態様では、ダクト110は、ポリ塩化ビニル(PVC)のような高分子材料で形成された可撓性で難燃かつ丈夫な構造である。したがって、ひび割れ又は分割を伴わずに曲がり角及び他の構造を回るようにダクト110を導き、屈曲することができる。ダクト110は、従来の押し出し成形プロセスを使用して連続形成することができる。
【0022】
加えて、いくつかの態様では、ダクト110は更に、ダクトの長手方向の長さに走るスリット114を含むことができる。スリット114は、ファイバを挿入又は取り外すためのアクセスを提供することができる。図2の実施形態では、スリット114は、概して円形の導管部分112のベースに位置づけられる。しかし、代替実施形態では、スリットを導管部分112の異なる位置(例えば、上又は中央)に位置づけることができる。代替態様では、導管部分内に通信線が適正に拘束されるようにするために、スリットを導管の重複する壁の表面の内部に置く場合がある。この構造は、ダクトを美的により好ましいものにすることを更に促進する。敷設者は、この代替態様のスリットを開いて導管部分内の通信線にアクセスすることができる。更なる代替態様では、ダクト110は、アクセス又はサービスの分離のために(例えば、区分された導管との使用のために)長手方向の複数のスリットを含むことができる。一実施例では、スリットは、製造プロセス中に導管部分に通信線を投入した後にシールすることができる(従来の熱溶接又はレーザー溶接技法により)。したがって、スリットのないダクト110を敷設者に提供することができる。
【0023】
ダクト110はまた、壁に、又は壁、床、天井、又はモールディングのような他の概して平らな表面に敷設又は締結されるダクト110のための支持を提供するために、取り付け部分115又は同様の平らな部分を含むことができる。一態様では、取り付け部分115はツバとして提供される。そのようなツバは、図2が示すようにダクトの長手方向軸に沿って延びることができる。実施例のダクトは(使用の際)導管部分の下に位置づけられる単一の取り付け部分を含むが、代替態様では、取り付け部分又はツバは導管部分に隣接して中央に位置づけることができる。更なる代替態様では、ダクト110は追加的な表面積の支持のために第2のツバ部分を含むことができる。更に、壁又は他の平らな表面に沿った面内の曲がりを許容するためにツバ115を鋸歯形(図示せず)に形成することもできる。代替用途では、面内及び面外の曲がりのためにツバの一部分を取り外すことができる。
【0024】
好ましい態様では、ツバ115は、概して平らな形を有する背面116を含む。この平面は、エポキシ、転写接着剤、又は両面テープのような接着剤を用いてダクト110を取り付け面、壁、又は他の表面(例えば、ドライウォール、コンクリート、又は他の従来からある建材)に接着するために好適な表面積を提供する。一代替態様では、ツバの表面116は、取り外し可能なライナーと共に接着剤で裏張りされた表面を備える。使用の際、このライナーを取り外し、表面116を取り付け面に適用することができる。別の態様では、この接着剤をツバの1つ以上の表面に配置することができる。代替態様では、別の締結技法(例えば、釘、ステープル、装着ブラケット等)を使用することができる。また、この実施例のダクト110は可撓性なので、穏やかな曲面にも接着することができる。
【0025】
更なる詳細として、図4A、5、及び6は代表的なドロップアクセスボックス150の異なる図を示し、図4Bは代替ドロップボックス150”の図を示し、図8A〜8Cは更なる代替アクセスボックス150’を示す。本明細を与えられる当業者によって理解されるように、アクセスボックス150に関して説明した要素は、代替アクセスボックス150’及び150”にも含まれ得るものである。
【0026】
ボックス150は、ボックス150をダクト110に真っ直ぐに取り付けるための取り付けセクション160を含む。取り付けセクション160は、ダクト110の上にかぶさるように構成される。このやり方により、ダクト(及びその中の通信線)を既に敷設した後にボックス150をダクト110に取り付けることができる。例えば、図5及び6が図示するように、取り付けセクション160は、ダクト110の外形にかぶさるように構成された切り抜き部分161を含む。このようにすると、外側壁部分162がダクト110の方へ張り出し、敷設中にアクセスボックス150を支えることができる。加えて、取り付けセクション160の構成は、ボックス150をダクトの通り道に沿ったほぼ任意の位置にてダクト110に取り付けることを可能にする。この構成は、廊下の壁から住戸の中に貫通する穴を後にドリルで開けることを可能にする。加えて、このシステム構成は、MDUの廊下のドアの上の場所又は低い高さの場所を含むアクセスボックスに可能な複数の場所を可能にする。
【0027】
図4Aは、アクセスボックス150の内側領域を示す。この領域では、ダクト110内に配置された1つ以上の通信線に、アクセスすること及び特定の住戸の1つ以上のドロップワイヤ又はドロップファイバを接続することができる。この特定の実施例の態様では、ダクト110からのファイバ122を特定の住戸からのドロップファイバケーブル124に連結することができる。別の態様では、ダクトからの1つ以上のファイバにこの場所でアクセスすることができる。通信ファイバ122へは、ダクトの特定の構成によって、ダクトの導管部分112に作られた分離した切り抜き窓を通して又はダクト110に既に形成されているスリット114を通してのいずれかによってアクセスすることができる。
【0028】
一態様では、アクセスボックス150は、光スプライス、カップリング、又はアダプタのような、標準的な光コネクタを接続するための1つ以上のカップリングデバイスを許容することができる。この実施例では、取り付けセクション160は支持部分すなわち張り出したブリッジ164を更に含むが、これは、取り付けセクションに強度を付加すること、及びダクトから露出されたファイバがある場合にそれに付加的保護を提供することができる。加えて、張り出したブリッジ支持体164はまた、融着及び/又は機械的スプライスを許容するように構成された1つ以上のスプライスホルダ176を含むことができる。アクセスボックス150のベース部分152はまた、1つ又はいくつかの異なるタイプの光ファイバコネクタアダプタ又はカップリング180を受け入れるために、1つ以上のアダプタ又はカップリングスロット、ブラケット及び/又は板ばねを含むカップリング取り付けエリア178を含むことができる。代替態様では、スプライスホルダ及びカップリング取り付けエリア178をアクセスボックスの異なるエリアに配置することができる。更なる代替態様では、カバー190は、カップリング取り付けエリアを含むように構成することができる。
【0029】
図4Bに示されるようなアクセスボックス150’の更なる代替態様では、張り出したブリッジ支持体を取り外し、1つ以上のスプライスを、カップリング取り付けエリア178に又はその近くに形成されたスプライスホルダセクション176’で保持してもよい。加えて、1つ以上のスプライスを、ベース152のたるみ格納セクション170に形成されたツメ192に又はその近くに位置づけられたスプライスホルダセクション179’に保持してもよい。
【0030】
アクセスボックス150は、アクセスしたファイバを通すためにファイバたるみ格納セクション170を更に含むことができる。この実施例では、ファイバ122は、1つ以上のファイバガイド171に沿って通すことができる(取り付けセクションの左側又は右側のいずれかから)。ファイバは、ファイバたるみ格納セクションでベース152に又はその上に形成された曲げ半径制御構造173によって曲がり過ぎから保護される。ファイバたるみ格納セクション170は、図4Aに示されるように、長い及び短いファイバループ格納構造の両方を含むことができる。加えて、カップリング/アダプタの配向は、サービスファイバの入り口点から独立であることができる。また、ファイバの巻き方向は、アクセスボックス内に使用されるコネクタの取り付け構成と一致するように、ファイバたるみ格納セクション170に提供されたクロスオーバーセクションを使用して逆にすることができる。また、ファイバたるみ格納セクションは、それに格納されているケーブルのジャケット部分を更に把持するために、ファイバガイド及び/又は曲げ半径制御構造上に又はその一部として形成された1つ以上のグリップ構造又は歯172(図4B及び8Aを参照)を含むことができる。図4Aの実施例では、最高50フィートまでの900μmバッファファイバ及び最高3フィートまでの3mmファイバたるみをアクセスボックス150に格納することができる。代替態様では、カバー190もまた、たるみの格納を許容することができる。
【0031】
一態様では、ファイバ122は、きつい曲げ半径の900μmバッファ光ファイバを備える。そのような光ファイバケーブルは、BendBright XS(商標)Single Mode Optical FiberとしてDraka Communicationsから市販により入手可能である。また、この態様では、ドロップケーブル124は、ezPatch(商標)ケーブル及びezDrop(商標)ケーブルとしてDraka Communicationsから市販されている2.9mmジャケットドロップケーブルを備えることができる。
【0032】
ファイバ122は、ドロップファイバケーブルへの接続に使用するカップリングのタイプによってスプライスホルダ176又はカップリング180の取り付けエリアに導くことができる。カップリング180は、アクセスボックスに提供されてよいが、敷設者が供給してカップリング取り付けエリアに取り付けてもよい。カップリング180は、従来のインライン光ファイバ連結器又はアダプタを備えることができる。
【0033】
図4Aの実施例では、ファイバ122は光ファイバコネクタ182で現場終端されたものである。例えば、コネクタ182は、米国特許第7,369,738号に記載されているように、フェルールに配置された、機械的スプライスでフィールドファイバにスプライスされている予め研磨されたファイバスタブを含む光ファイバコネクタを備えることができる。ファイバ122は、従来のSCコネクタのようなコネクタ184を有するドロップケーブル124に、カップリング又はアダプタ180を介して連結することができる。本明細を与えられる当業者にとっては明白であるように、その他の従来のコネクタをコネクタ182及び184として使用することができる。
【0034】
この実施例の設計は、追加的なスプライストレー、挿入物、又は余分な構成要素を必要としない、アクセスボックス150内へのスプライス及び/又はコネクタの配置をもたらす。更に、コネクタカップリングは、たるみ格納エリアに影響を及ぼさずに独立に取り外すことができる(例えば、ファイバ/ワイヤと接続するため又は接続を外すために)。更に、あらゆる接続を全てアクセスボックス150の中に収納して、設置効率及びケーブル配線保護を強化することができる。
【0035】
ドロップケーブル124は、2.9mmジャケットファイバケーブル(例えば、Draka Communicationsから入手可能なezDrop Cable)又はブローンファイバケーブル(複数の離散したバッファファイバを含む)のような従来のファイバケーブルでよい。ドロップケーブルは、いずれの(すなわち、アクセスボックス150へ入る又は出る)方向に走らせてもよく、1つ又は2つの端を予めコネクタで接続準備(pre-connectorized)しても(しなくても)よい(例えば、予めコネクタで接続準備したピグテールの3mmジャケットケーブル)。一態様では、ドロップケーブルはまた、ガイド171及び曲げ半径制御構造173を介してアクセスボックス150内に通すことができる。ドロップケーブル124は、ベース152の開口部175を通って個々の住戸に延びる。開口部175は、個々の住戸の外側の壁に開けられた又はドリルで開けられた穴の場所に対応する。加えて、開口部175は、必要とされる正確さを減らすように、及び壁内に存在し得る障害物(例えば、間柱、既存配線等)を許容するために、住戸の壁に開けられた穴よりずっと大きくてもよい。
【0036】
ドロップケーブル124に更なる支えと曲げ制御を提供するために、アクセスボックス150は(分離した構成要素として)曲げ半径制御アンカー185(図7を参照)を含むことができる。アンカー185は、1つ以上の把持クリップ187を使用してドロップケーブル124の一部分を把持することができる。アンカー185はまた、曲げ過ぎ及び/又はファイバの引き出しのリスクを低減するためにファイバ固定用ジップタイを許容するスロット189を含むことができる。加えて、アンカー185はドロップケーブルの最低曲げ半径を超えないように構成された曲線領域186を含むので、ドロップケーブル124を曲げ過ぎから保護することができる。所望により、引き留めポスト188を使用してアンカー185を壁にしっかりと取り付けてもよい。あるいは、ポスト188を省いて、アンカーをアクセス壁に接着剤又は締結具で取り付けてもよい。図5に示されるように、アンカー185は住戸に開けられた穴又は穴を通してボックス150からドロップケーブルを導く。ドロップファイバケーブルは、図10に示されるONT205のような、一世帯住戸光ネットワークターミナル(SFU ONT)又はウォールボックス(例えば、Alcatel−Lucentから入手可能な7342 Indoor Optical Terminal)のような光ネットワークターミナル(ONT)にて、もう一方の端で終端することができる。余分なドロップケーブルは、アクセスボックスのたるみ格納セクション170に格納することができる。図6に示されるように、アンカー185はアクセス壁に延出して、アクセスボックス150のプロファイルを減らすのを助ける一方で、ドロップケーブルの適正な曲げ半径を維持することができる。
【0037】
代替態様では、図4Bに示されるように、ドロップケーブル124はベース152と一体の部分として形成されたひずみ開放チャネル193を介してアクセスボックス150”に出入りすることができるケーブルタイ(図示せず)又は同様の締結装置を使用して、ドロップケーブル124をひずみ開放ケーブルチャネル193に固定することができる。
【0038】
上述したように、アクセスボックス150は、標準形式の光コネクタのために1つ以上のコネクタカップリングを収納することができる。また、アクセスボックス150は、平面光ガイド回路(PLC)光スプリッタ又は融合バイコニカルテーパー(FBT)光スプリッタのような1つ以上の光スプリッタを収納するために使用することができる。上述のカップリング、ルーティング及びスプライシング構成要素に加えて、アクセスボックス150は、セキュリティカメラ、アラーム、火災検知機/防火装置、入り口鍵、ドアベル、RFIDカードリーダー、及び/又は電池類のような他のタイプの構成要素及び/又は機器を保持するように構成することができる。
【0039】
アクセスボックス150は、壁、床、又は天井と同一平面上に配置することができる背面154を更に含む。一態様では、アクセスボックス150を壁、床、又は天井に、エポキシのような接着剤で最終的に固定することができる。あるいは、アクセスボックス150を壁、床、又は天井に、ベース152に位置づけられた指定の場所158を介してボックスを壁に取り付けるねじのような従来の締結具で最終的に固定することができる(図4Aを参照)。
【0040】
加えて、アクセスボックス150は、敷設中にボックスの内部にアクセスするときに敷設者がカバー190をボックス150に固定することを可能にする(例えば、アクセスボックスからカバーを掛けることによって)、ツメに形成されたスロット159を含むことができる。更に、カバー190は、使用されていないときの例えばアダプタのような構成要素の格納のための1つ以上の取り付けスロット、スナップ機能、又はブラケットを含むことができる。
【0041】
別の態様では、代替アクセスボックス150’は、図8A〜8Cに示されるものである。アクセスボックス150’の多くの特徴は、アクセスボックス150のそれらと同様であるが、アクセスボックス150’は、いくつかの追加的な特徴を含むことができる(わかりやすく示すためにカバーは図示されていない)。例えば、図8Aに図示されるように、アクセスしたファイバを通すことができるファイバたるみ格納セクション170’は、一式以上の歯172を含むことができる。これらの歯172は、更なるひずみ開放をもたらすように構成される。この態様では、一式以上の歯172は、ボックス150’内の(図4Aに示されるアダプタ又は連結器180のような)アダプタ又は連結器を住戸内のSFU ONTに接続するケーブルを受け取ることができる。歯は、ケーブルのジャケットを把持して、接続が不慮に外れるリスクを減らす。例えば、歯は、ケーブル配線のアンカーを提供し、FDTでケーブルを巻いている敷設者に、それ以上ケーブルたるみが残っていないことを示すことができる。
【0042】
加えて、図8Bに示されるように、ドロップアクセスボックス150’は、ボックス150’を、ツバの側を上又はツバの側を下にして取り付けられたダクトに真っ直ぐに取り付けるための取り付けセクション160’を含むことができる。ここでは、例えば、切り抜き部分161’は、ダクトの配向とは無関係にダクト110の外形にかぶさるように構成される。先に言及したように、この実施例のダクトは(使用の際に)導管部分の下に位置づけられる単一のツバとして形成された取り付け面を含み、代替態様では、ツバを導管部分と隣接させて中央に位置づけることができる。更なる代替態様では、ダクトは、追加的な表面積を支えるための第2のツバ部分を含むことができる。
【0043】
また、図8Cに示されるように、ドロップアクセスボックス150’は、隆起した縁の出っ張り155を含む背面154’を含むことができる。隆起した縁の出っ張りは、1つ以上の表面の不規則さを有し得る取り付け壁又は表面から箱150’の主背面を隆起させることによって、(例えば、MDUの廊下から見たときに)ボックスが平らな外観を維持することを可能にする。加えて、背面154’は、ねじ/締結の場所に位置づけられる隆起ボス158’を含むことができる。
【0044】
別の態様では、水平ケーブル配線を許容するように構成されるドロップアクセスロケーションシステム100を、次の方法でMDUの廊下又は通路に敷設することができる。この実施例では、上述のダクト110と同様の形のダクトを使用し、上述のアクセスボックス150と同様に構成されたアクセスボックスを使用する。この実施例のダクトは工場で押し出し成形することができ、そのツバの背面に、取り外し可能なライナーと共に接着テープを適用することができる。加えて、導管部分に配置される、ほぐれた状態でパックされた複数の900μmバッファファイバを、ダクトに予め投入することができる。取り付けられる前のダクトは、スプールに収納して配達及び保管することができる。
【0045】
接着ライナーを取り外し、住戸の入り口の上の予め選ばれた高さにダクトを配置して押圧することによって、MDUの廊下の壁にダクトを取り付ける。あるいは、異なる高さに、例えば廊下のベースボードに沿って、ダクトを取り付けることができる。廊下の全周辺にこの初期段階でダクトを敷設することができる。加えて、最も遠い住戸用のサービスファイバのために好適な量のたるみを許容するために、最も遠いアクセスボックスの場所として予測される位置を超えて利用可能な余分な量のダクトを保管することが好ましい。アクセスボックスの取り付け場所に印をつけることができる。ダクトを敷設するための代表的なツール及びシステムについて、下記に更に詳述する。
【0046】
所望により、第1のアクセスボックスを第1のドロップロケーションに敷設することができ、好ましくは、ドロップアクセスボックスは、そのテレコミュニケーションキャビネットから最も遠い下流に敷設される。アクセスボックスは、一度に1つ敷設すること、又は一回の敷設の間に廊下全体にドロップアクセスボックスを投入することができる。
【0047】
ダクトの導管部分の外面に切り抜き窓を作製して、ドロップロケーションでファイバドロップに連結される1つ以上のファイバを露出することができる。一態様では、敷設者はテンプレートを活用して、切り抜き窓の適正な長さ及び/又は深さを確保することができる。その場所に望まれるサービスファイバをアクセスボックスから下流の場所で切断し、次いで、取り付け場所に引き戻すことができる。所望のサービスファイバ(1つ又は複数)を、切り抜き窓を介して、又は別の方法としてはダクトのスリットを介して、ダクトから取り外すことができる。ダクトの方へ張り出すようなやり方でアクセスボックスをダクトに取り付けて、上述と同様のやり方でダクトの露出部分を覆うことができる。
【0048】
次いで、所望のファイバをスプライスするか、さもなければ終端することができる。好ましい態様では、米国特許第7,369,738号に記載される手順を用いて所望のファイバを現場終端する。例えば、SC形式NPCコネクタ(3M Company(ミネソタ州セントポール)を利用することができる。あるいは、市販される融着式コネクタによって、又はピグテールを融着スプライスして、ファイバを終端することができる。このようにすると、ファイバは、標準的なコネクタ形式を有するコネクタで終端される。次いで、ファイバたるみをアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送ることができる。終端されたファイバのコネクタ端を、次いで、ドロップアクセスボックス内のカップリングデバイス取り付けエリアに提供及び取り付けされたカップリング又はアダプタ内に受け取る。故に、終端されたファイバはアクセスボックス内に「止められ」て、サービス加入者がサービスを申し込むまで待機する。融着又は機械的スプライスが使用される場合は、サービス加入時まで終端及び接続を遅らせることができる。
【0049】
取り付けられたアクセスボックスの場所にサービス加入者が存在する場合は、貫通穴の場所がアクセスボックスによって覆われることになる壁の場所に貫通穴を開けることができる。壁に固定された、上述のアンカー185のような曲げ制御アンカーを使用して、アクセスボックスのたるみ格納セクションを通してドロップケーブルを送り、アクセスボックスから壁を通して住戸内に供給することができる。終端されたサービスファイバへの接続は、コネクタで接続準備されたドロップケーブル(例えば、現場終端されたもの、予め終端されたもの、又はピグテールファイバのコネクタ)をカップリング又はアダプタにプラグすることによって行われる。
【0050】
上述したように、第1のドロップロケーションでのサービス接続又はフックアップの前に、他のドロップアクセスボックスのそれぞれを、本明細書に記載した手順により取り付けて、全てのドロップアクセスボックスにサービスファイバを投入することができる。この態様では、それぞれの後続のサービスファイバを識別して、下流のアクセスボックスロケーションで切断し、上述のように終端することができる。故に、それぞれのアクセスボックスは、サービス加入の際のフックアップまで「止められ」て待機するサービスファイバを含むことができる。また、終端されたサービスファイバの線の適格性を試験して、サービス加入顧客のためのサービスの準備を確保することができる。
【0051】
上述のように、ドロップアクセスポイント又はロケーション敷設方法及びシステムを、MDU又は他の場所でのケーブル配線用途に使用することができる。図10は、本明細書に記載される任意のドロップアクセスシステムを許容できるMDU 10の例を示す。MDU 10は、その中に複数の住戸を有する複数階構造である。一例の階20は、共通廊下25を有する4つの住戸を有する。き線ケーブル30は、建物10への及びそれからの、通信線を運ぶ。これらのき線は、スプライス密閉部40でMDUのケーブル配線にスプライスされる。建物き線50は、ファイバ配線ハブ(FDH)60から建物に分配される。それぞれの階は、立ち上がりケーブル55を介して通信線を受け取るファイバ配線ターミナル(FDT)65を含む。本実施例では、FDT 65aからの通信線を連結するドロップアクセスシステム100は、上述のように廊下25に敷設することができ、ドロップアクセスボックス150を各住戸に配置することができる。
【0052】
上述のように、ドロップアクセスロケーションシステムは、通信用銅線、電線ドロップ及び/又はハイブリッド組み合わせドロップもまた許容するように構成することができる。代替態様では、ドロップアクセスロケーションシステムは、中断されることのないDC電力及びAC電力のうち少なくとも1つをドロップロケーションの個々の住戸に位置づけられた光ネットワークターミナルに供給するように構成することができる。
【0053】
好ましい一態様において、図9Aは、中断されることのない電力サービスを含む通信及び電力サービスを個々の顧客に提供するためのハイブリッド組み合わせドロップを許容する第1の代替ドロップアクセスシステム200を示す。図9Cは、第2の代替ドロップアクセスシステム200’を示す。これらの実施例では、ハイブリッドシステムを用いて、停電又は他の緊急的状況の出来事に際し、個々の住戸の通信機器に電池式バックアップ電力を供給する。
【0054】
より詳しくは、ドロップアクセスシステム200は、1つ以上の通信線(図9Bに示されるリボン/離散ファイバ221のような)及び1つ以上の電力線(図9Bに示される電線222のような)を含む、テレコミュニケーションクローゼット62から出発してMDUの廊下25からアクセスされ住戸へ延びる導管又はダクト210を含む。ダクト210は、廊下25の壁又は他の概して平らな表面に敷設される際にダクト210に支えを提供するためのツバ又は同様の平らな部分を含むことができる。
【0055】
ダクト210はまた、ダクト110に関して上述したのと同様のやり方でそれ自体を貫通して提供された穴を有する導管を含む。穴は、それ自体に配置される通信線及び電力線を許容するサイズである。導管部分は、図9Bに示されるような概して円形の断面、又は断面がより平らな形を有することができる。あるいは、ダクト210は、矩形、正方形、三角形、楕円、又は他の多角形のような別の形状を有する導管部分を含むことができる。ダクトは、ポリ塩化ビニル(PVC)のような高分子材料で形成された、可撓性で難燃かつ丈夫な構造であってよい。加えて、ダクト210は、それ自体に又はそれ自体からケーブル及び/又はファイバを挿入するため又は取り外すためのアクセスを提供するためにダクトの長手方向の長さに沿って走るスリットを更に含むことができる。
【0056】
別の態様では、図12に示されるように、ダクト110’は、ダクトの導管部分112の穴113内に配置された内管117を含むことができるが、この内管は、少なくとも1つの追加的ファイバを供給又はブローするための追加的な導管を管内に提供することができる。ツバ115、スリット114、及び表面116は、上述したのと同じやり方で形成することができる。こうして、内管は、少なくとも1つの追加的住戸にサービスを提供すること又は損なわれたファイバを交換することができる。例えば、内管117は、技術者がダクトを再敷設する必要なく住戸に追加的な通信線を挿入又は引き入れることを可能にすることができる。更に、内管117に敷設されたファイバを、ドロップされたファイバから前方へ行くスペアの現在使用されていないファイバの1つにスプライス又は接続して、先行の住戸にサービスを提供すること、あるいは追加的な前方の住戸にサービスを提供すること、あるいは損なわれたファイバを回復することができる。管117は、ダクト110’と分離して又は一体に形成することができる。
【0057】
システム200は、更に、住戸の入り口又はその近くのような1つ以上のアクセスポイントに位置づけられた1つ以上のアクセスボックス250を備える。これらのドロップアクセスボックスは、上述したドロップアクセスボックス150と同じやり方で設計して、アクセスされた通信線及び電力線へのカップリングを許容することができる。
【0058】
通信クローゼット62はFDT 65a及び中断されることのない電源(又はUPS)67を含む。UPS 67は、充電式電池68を含む又はそれと接続される。好ましい態様では、完全に充電されたとき、電池68は少なくとも8時間の電池式バックアップ電力をその階の各住戸に供給することができる。FDT 65aから出発する通信線221及びUPS 67から出発する電力線222を、所望のコンバイナーボックス69で接合すること又は機械的に固定することができる。正常運転中、UPSはDC電力を線222に沿って供給する。電池68は、停電又は同様のことの間にUPS 67がその正規の電力を失う出来事中に線222にDC電力を供給することができる。
【0059】
前の実施形態と同じく、個々の住戸の線を、壁226の廊下側の表面に取り付けられたドロップアクセスボックスを介して住戸に供給することができる。例えば、通信ファイバ221へは、ダクトの特定の構成によって、ダクトの導管部分に作られた分離した切り抜き窓を通して又はダクト210に既に形成されているスリットを通してのいずれかによってアクセスすることができる。取り付けられたアクセスボックスの場所にサービス加入者が存在する場合は、貫通穴の場所がアクセスボックスによって廊下側で覆われることになる壁226の場所に貫通穴を開けることができる。
【0060】
所望のサービスファイバ(1つ又は複数)を、切り抜かれた窓を介して、又は別の方法としてはダクトのスリットを介して、ダクトから取り外すことができる。次いで、所望の通信ファイバをスプライスするか、さもなければ上述したように終端することができる。加えて、従来のインラインスプライスコネクタ又は同様のものを用いて電力線222をタップし、緊急用バックアップ電力を住戸にもたらすことができる一方で、廊下の他のドロップロケーションでそれらの電力線にアクセスすることを可能にする。次いで、アクセスボックスのたるみ格納セクションを通してファイバたるみを送り、電気スプライスをボックス250に収納することができる。
【0061】
ファイバドロップケーブル224a及び電力タップ線224bは、アクセスボックス250から壁226を通して、壁226の住戸側に敷設された光ネットワークターミナル(ONT)205に供給することができる。ONT 205は、従来のONTとして構成することができる。このアプローチでは、分離したバックアップ電池をONT 205に設置する必要はない。こうして、中断されることのない電力を20階の各ONTに中央のロケーションから提供することができる。
【0062】
別の態様では、図9Cは、代替ドロップアクセスシステム200’を示す。この代替実施形態では、通信クローゼット62’は、FDT 65a、UPS 67、及び充電式電池68を含む完全一体化ユニット65’を収納する。ドロップアクセスシステム200’の残りの構成要素は、図9A及び9Bに関して上述したのと同様の構成要素であってよい。
【0063】
別の代替態様では、第1の住戸へドロップされた第1のファイバの下流のダクト110、110’、210内で損なわれた光ファイバを、その損なわれたファイバの上流で機能している部分をFDT(例えば、FDT 65a)から追加的な住戸に向かって前方すなわち下流へ行く前記第1のファイバの良好なスペアデッドファイバ(the good spare dead fiber)にスプライスするかさもなければ接続することによって、回復することができる。
【0064】
上述したように、ドロップアクセスシステム100、200、又は200’は、実施例の敷設ツール及びシステムを使用して敷設することができる。例えば、図11A〜11Cは、本明細書に記載したダクト110、110’、210、410のようなダクトをMDU又は他の住戸構造の壁に敷設するために使用することができるダクトアプリケータツール300を示す。ツール300は、手持ち式であってよく、又は拡張式ポール340又は他の装置に必要に応じて取り付けることができる。例えば、ツール300は、カート又は他の車両に収納することができる。そのようにして、ツール300及びカートを手動で、又は少なくとも部分的にモーター駆動又は電動にして、運転することができる。別の態様では、図15A〜15Bは、本明細書に記載したダクト110、110’、210、410のようなダクトをMDU又は他の住戸構造の壁に敷設するために使用することができる代替ダクトアプリケータツール600を示す。ツール600は、手持ち式であってよく、又は拡張式ポール340又は他の装置に必要に応じて取り付けることができる。
【0065】
ダクト110は、本明細書で前述したダクト110、ダクト110’、又はダクト210と同じく若しくは同様に形成しても、あるいは図13A及び13Bに示されるダクト410又はダクト410’のような代替形状のダクトと同様に、下記に詳述するように形成してもよい。別の態様では、ダクト110のツバの表面は、取り外し可能なライナーと共に接着剤で裏張りされた表面を備える。代替態様では、ダクトのツバの表面は、剥離ライナーを利用しない接着剤を備えることができる。好ましい態様では、ダクト110には、敷設の前に通信ファイバ及び/又は電線が投入される。通信ファイバは多様なサイズ及び/又は形状であってよい。一態様では、通信ファイバは、前述したような900μmバッファ構造を有する曲げ不感応性ファイバであることができる。ダクトに含まれるファイバへのアクセスは、連続スリットを通して、又はダクトの特定の場所に作られた切り抜き窓を通して、提供することができる。
【0066】
図13A及び13Bは、代替ダクト410及び410’の断面図を示す。図13Aに示される代替態様では、ダクト410は低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える。ダクト410は、ラベルストック材から形成することができるカバー材412を含む。あるいは、カバー材412は、PVC材料などの押し出し成形によって形成されてもよい。好ましい態様では、カバー材412は、当局が定めるV0耐炎性のような耐炎性を提供するように選択されてもよい。カバー材412は塗布され得る材料であってよく、又は更なる代替態様では、カバー材412を装飾モールディング又は壁紙で覆ってもよい。光ファイバ419(ファイバ1〜Nとして図示)は、カバー材412と敷設される壁又は表面との間に形成される空洞部分に配置される。接着剤416は、空洞領域413の外側のカバー材の取り付け側に配置される。接着剤裏張りは、剥離可能なライナー418を含むことができる。
【0067】
図13Bに示される更なる代替態様では、ダクト410’は低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える。この態様では、ベースシート411を、カバー材412と敷設される壁又は表面との間に提供する。追加的接着剤がベースシート411をカバー材412の壁側に固着させる。
【0068】
光ファイバ419は、好ましいファイバの上の切り抜き窓又はスリットを介して、容易な抽出のために浮動させて、空洞413内に配置することができる。この構成では、アクセスボックス150内にて格納及び終端するための余分なファイバを空洞413内から自由に引き出し、住戸へのサービス送達のために利用可能にすることができる。ライナー418は、敷設される壁又は表面にダクトを適用するときに取り外される。
【0069】
図11A〜11Cを再び参照すると、ダクトアプリケータツール300は、金属又はプラスチックのような剛性材料で形成された概して平面のフレーム312を含む。フレーム312は、適用されるダクトを受け取るダクトチャネル320a及び320bを支え、ダクトが壁又は他の表面に提供される際に、ダクト110に押圧を加える支持面を提供する。ダクトチャネル320a及び320bは、ツール300の壁側表面313上に配置され、ダクトの形にぴったり合い、より均一な支えを提供することができる。例えば、図11Cに示されるように、ダクトチャネル320bは、ダクト110の形にぴったり合うように構成された溝321を含む。一態様では、ダクトチャネル320a及び320bは、ダクトの表面を用意に摺動可能なテフロン材で形成される。別の態様では、チャネル320a及び320bをローラーとして構成することができる。ダクトの上を滑らかに通過するツール300にすることにより、壁の痕又は他の損傷の可能性を低減することができる。
【0070】
1つ以上のダクトガイド315a、315bもまた提供されて、ダクトがその格納リール(図示せず)又は他の場所からダクトをツール300の方へ、具体的にはダクトチャネル320a、320bの方へ導くのを助ける。1つ以上のダクトガイド315a、315bは、フレーム312の一端又は両端に配置すること又はそれ(ら)から延びることができる。図11A及び11Bには2つのダクトガイドが図示されているが、単一のダクトガイドのみを有するダクトアプリケータツールを利用してもよい。1つ以上のダクトガイド315a、315bは、ダクトがツール300に供給される際にダクト110を摺動式に又は転がり式に受け取る一式の柱314a、314bを含むことができる。一式の柱314a、314bはまた、ダクトが壁又は他の表面に連続的に適用される際に、ダクト110の剥離ライナーを引き剥がすのを助ける表面を提供することができる。故に、ツール300は、廊下の長さに沿って移動しながらダクトの接着ライナーを取り外し、接着の直前に接着面を壁に対して露出することができる。
【0071】
上述のように、ダクト110は、住戸の入り口の上又は廊下のベースボードに沿った場所のような予め選択された高さで壁又は他の表面に取り付けることができる。したがって、ダクトアプリケータツール300は、柱327a、327bのような位置調整機構を含む。これらの柱327a、327bは、ダクトの場所として望ましい高さによって調整され得る。一態様では、図11Aが示すように、柱を、廊下のクラウンモールディングの底面のような参照面に沿って(ツールが壁に沿って左又は右に平行移動する際にクラウンモールディングからツールまでの高さを同じに維持する)又はベースボードの上部に沿って乗るガイドホイール325a、325bに連結することができる。このようにすると、ダクトを参照面に対して実質的に平行に適用することができる。好ましい態様では、ホイール325a、325bは、低い抵抗性の、傷をつけないホイールである。
【0072】
別の態様では、図11Bに示されるように、天井の表面に沿って転がることができ、ツール300を廊下の天井の下の特定の高さに位置決めできるローラー326a、326bに、柱327a、327bを連結することができる。加えて、これらのローラーは、使用される参照面のタイプ(平坦、非平坦等)によって、壁に沿ってツールを安定かつ滑らかに平行移動するよう異なる材料で形成することができる更なる代替態様では、ホイールを織布又は柔軟性材料で覆って、粗い表面上を滑らかに移動させることができる。
【0073】
一態様では、ダクトを受け取る壁の表面にぴったり一致するよう、ツール300は複数の接触ポイントを含むことができる。例えば、ツール300は、ダクトチャネル320a、320b(図11Cには、ダクトチャネル320bの背面側のみが図示される)の両方に形成された接触ポイント322(ツール300の背面側を示す図11Cを参照)で壁又は取り付け面と接触することができる。加えて、1つ以上の追加的取り付け構造318をフレーム312に取り付けて、(1つ又は複数の)追加的接触面323を提供することができる。(1つ又は複数の)接触面は、適用プロセスの間にツール300が壁若しくは取り付け面から又は壁若しくは取り付け面の方へ振れることを最少限にするように構成することができる。
【0074】
上述のように、ツール300は手持ち式にしてもよく、又は拡張式ポール340若しくは他の装置に必要に応じて取り付けてもよい。例えば、図11Aに示されるように、ハンドル335を(少なくとも左右の動きを可能にし、上下の動きもまた可能にする)スイベル柱330に提供して、壁に沿ってツールをいずれの方向へ押すことも、より容易にすることができる。ハンドル335は、敷設者の手によって把持されるように、及び/又は拡張ポール又はポスト340を許容するように構成することができる。拡張ポール又はポスト340は、梯子に繰り返し上り下りしては梯子を動かす必要なく敷設者がツール300を連続的に使用して、比較的高い位置にダクトを敷設することを可能にする。所望により、ハンドル335は、敷設中に適切な押圧が付加されていることを敷設者に示すためのばね又は他の抵抗要素を更に含むことができる。あるいは、ばね又は他の抵抗要素を有する第2のツールを使用して、ダクトの上を移動して戻り、ダクトに十分な力が適用されたことを初期敷設後に確認することができる。図11A〜11Cに示されるように、スイベル柱330は、フレーム312の中央部分に配置される。代替態様では、スイベル柱330をフレーム312の異なる部分に取り付けて、例えば、敷設に使用される参照面又はシステムを敷設する高さによって、更なる安定をもたらすことができる。
【0075】
ダクトの敷設のためにツール300を使用する前に、ダクト110にファイバ(図示せず)及び/又は電線(図示せず)を予め装填することができる。ファイバ用途では、一態様において、従来のSCコネクタ又は従来のMTコネクタのような光ファイバコネクタでファイバを予め終端することができる。所望により、ダクト110のどちらの端にもコネクタを供給せず、機械的コネクタ若しくはスプライス、又は融着コネクタ若しくはスプライスによって、ファイバを現場で終端することができる。
【0076】
別の態様では、ダクト110をバルクリールに巻いてロールにすること、又は敷設場所で配備用の長さにカスタムカットすることができる。コネクタで接続準備されたファイバダクトの端をターミナルボックス(例えば、上述のFDT 65)に供給し、適切に固定することができる。ダクト110をFDTに直接に、又は一連の導管/壁を通して供給して、FDTに到達させることができる。
【0077】
また、敷設の前に、ダクトが取り付けられる壁を試験し、適正な接着を確保するよう洗浄してもよい。例えば、同一の接着剤裏張りを有する試験棒又は重量測定された棒を使用して、接着の程度を試験することができる。
【0078】
敷設中、ダクト110は、カートに配置可能な格納リールから連続的にツール300に供給される。敷設者は、敷設の高さ及び場所を計画し、出発場所を設定することができる。この場所で、剥離ライナーの一部分を取り外し、テープで壁に保持することができる。また、所望により、敷設の前に表面の不規則部分(段又は急な出っ張りなど)をライナーシートで覆うことができる。そうしておいて、敷設中にツールが壁に沿って特定の表面の不規則部分に移動するにつれて、その予め配置されたライナーシートの上にダクトを配置し、表面の不規則部分に沿ってダクトが滑らかに移動することを確保する。ツールが通過した後、ライナーシートを取り外し、ダクトを手で整列し直すこと又は水平にすることができる。一態様では、ライナーシートは、そのような事後の再配置のためにダクトを壁の表面に接着させないようにする剥離剤を含む。
【0079】
代替態様として、図15A〜15Bは、代替ダクトアプリケータツール600を示す。ダクトアプリケータツール600は、金属又はプラスチックのような剛性材料で形成された概して平面のフレーム612を含む。フレーム612は、適用されるダクトを受け取るダクトチャネル620a及び620bを支え、ダクトが壁又は他の表面に提供される際に、ダクト110を押圧する支持面を提供する。この態様では、ダクトチャネル620a及び620bは、より均一な支えをもたらすためにダクトの形にぴったりと一致して、ダクトが敷設される際にダクト110の上を回転するスロット付きホイール又はローラーとして形成される。ダクトの上を滑らかに通過するツール600にすることにより、壁の痕又は他の損傷の可能性を低減することができる。
【0080】
1つ以上のダクトガイド615a、615bもまた提供されて、ダクトをその格納リール(図示せず)又は他の場所からツール600の方へ、具体的には、ダクトチャネル620a、620bの方へ導くのを助ける。1つ以上のダクトガイド615a、615bをフレーム612に調整可能に取り付け、フレーム612の一端若しくは両端に配置すること又はフレーム612の一端若しくは両端から延出させることができる。加えて、1つ以上のダクトガイド615a、615bを、例えば、ダクトガイド615bが壁又は取り付け面から傾斜して離れることができるように、ある角度でフレーム612に配置することができる。この角度付きの位置は、ツール600を壁又は他の表面に沿って移動するために必要な力の量を低減することができる。別の態様で、図15A及び15Bには2つのダクトガイドが図示されているが、単一のダクトガイドのみを有するダクトアプリケータツールを利用してもよい。更に、ツールに衝撃/損傷抵抗性をもたらすために強く耐久性のある材料で1つ以上のダクトガイド615a、615bを形成することができる。
【0081】
ダクトガイド615a、615bの少なくとも1つは、ダクト110がツール600に供給される際にダクト110を摺動式に受け取ってダクト110の剥離ライナーを連続的に引き剥がすのを助ける表面を提供するライナー取り外しツバ614aを含むことができる。ライナー取り外し方向は図15Aで矢印3によって示されているが、ここでライナーはガイド構造627aによって適切な方向に更に導かれ得る。代替態様では、ライナー取り外しツバ614aを、ツールが壁又は他の表面に沿って進むにつれて取り外されたライナーを滑らかに支えて方向づけできる柱又はローラー構造(図示せず)として改良又は交換することができる。故に、ツール600は、廊下の長さに沿って移動しながらダクトの接着ライナーを取り外し、接着の直前に接着面を壁に対して露出することができる。
【0082】
ダクトアプリケータツール600は、柱627a、627bのような、ダクトの位置として望まれる高さによって、調整可能な位置調整機構を含む。柱を、天井又は廊下のクラウンモールディングの底面のような参照面に沿って(ツールが壁に沿って左又は右に平行移動する際にクラウンモールディングからツールまでの高さを同じに維持する)又はベースボードの上部に沿って乗るガイドホイール625a、625b(簡易にするために取り外されていたガイドホイールを図15A(Fig. 15A)は有する)に連結することができる。好ましい態様では、ホイール625a、625bは、低い抵抗性の、傷をつけないホイールである。加えて、この態様では、ホイール625a、625bは、天井から約0.63cm〜約10.2cm(0.25インチ〜約4インチ)の位置にダクト110が位置づけられるように天井から間隔を開けてツールを置くことができる。
【0083】
別の態様では、図15Bに示されるように、ツール600はまた、ツール600を廊下の天井から特定の距離だけ下に位置づけることができるローラー626a、626bを含むことができる。加えて、これらのローラー626a、626bは、使用される参照面のタイプ(平坦、非平坦等)によって、壁に沿ってツールを安定かつ滑らかに平行移動させる異なる材料で形成することができる。更なる代替態様では、ホイールを織布又は柔軟性材料で覆って、粗い表面上を滑らかに移動させることができる。
【0084】
ツール600は、更に、敷設中のより大きい安定性のために支持ホイール622a、622bで壁又は取り付け面と接触することができる。
【0085】
ツール600は、手持ち式であってよく、又はポール若しくは他の装置に必要に応じて取り付けてもよい。例えば、(少なくとも左右の動きを可能にし、上下の動きもまた可能にする)スイベル取り付け機構630を提供して、壁に沿ってツールをいずれの方向へ押すことも、より容易にすることができる。一態様では、スイベル機構630は、ボールジョイント/ソケット構成体を含むことができる。敷設者は、所望により、望ましい量のスイベル作用をもたらすために、又はその配向角度にハンドルをロックするために、スイベル機構を締めること又は緩めることができる。いくつかの態様では、敷設者が繰り返し梯子に上り下りして梯子を動かす必要なく、ツール600を連続使用してダクトを比較的高い位置に敷設することを可能にする、端表面631に取り付けられた棒又は柱(図示せず)に、機構630を連結することができる。
【0086】
別の態様では、ツール600はまた、敷設中に適切な押圧が付加されていることを敷設者に示す、スイベル取り付け機構630に連結された圧力機構650を含むことができる。この代替態様では、圧力機構650は、支持プレート構造に連結された1つ以上の圧縮ばね652a、652b又は他の抵抗要素を含むことができ、支持プレート構造は複数のプレート654a、654b、654c(プレート654cは図15Bに図示されている)を有し、これらのプレートは更にスイベル取り付け機構630に連結されている。
【0087】
動作に際し、敷設者は、ダクトチャネル620a、620b、及び支持ホイール622a、622bが壁又は他の表面に接触するようにツールを壁又は他の表面に押し付ける。定量の押圧が付加されると、圧力機構650が「止められた」すなわち非動作の位置から解放されて動作位置になる。動作位置では、圧力機構650は浮動抵抗力をスイベル取り付け機構630にもたらす。圧力機構650が「止められた」位置から解放されることは、壁又は他の表面へのダクト110の十分な接着を確保するために適切な量の力がツール/ダクトに付加されていることを示す。ばねの力は、異なるダクトのサイズ、形、及び接着要求を許容するために調整する(例えば、ばねを変更することによって)ことができる。したがって、十分な力がダクトに付加されることを確保するために二次的ツールをダクトに這わせて戻すことは、この態様では必要ない。
【0088】
前述の態様と同様に、ファイバ(図示せず)及び/又は電線(図示せず)をダクト110に予め装填することができる。ファイバ用途では、一態様では、ファイバの一端を従来のSCコネクタ又は従来のMTコネクタのような光ファイバコネクタで、カップリング又は他のアダプタを介して、工場で予め終端することができる。所望により、ダクト110のどちらの端にもコネクタを供給せず、機械的コネクタ若しくはスプライス、又は融着コネクタ若しくはスプライスによってファイバを現場で終端することができる。
【0089】
前述の態様と同様に、ダクト110をバルクリールに巻いてロールにすること、又は敷設場所で配備用の長さにカスタムカットすることができる。コネクタで接続準備されたファイバダクトの端をターミナルボックス(例えば、上述のFDT 65)に供給し、適切に固定することができる。ダクト110をFDTに直接に、又は一連の導管/壁を通して供給して、FDTに到達させることができる。
【0090】
敷設中、ダクト110は格納リールからツール600へと、装置の左側又は右側から連続供給される。敷設者は、敷設の高さ及び場所を計画し、出発場所を設定することができる。この場所で、剥離ライナーの一部分を取り外して、テープで壁に保持することができる。また、所望により、敷設の前に、壁の不規則部分(段又は急な出っ張りなど)をライナーシートで覆うことができる。そうしておいて、敷設中に、ツールが壁に沿って特定の壁の不規則部分に移動するにつれて、その予め配置されたライナーシートの上にダクトを配置して、壁の不規則部分に沿ってダクトが滑らかに移動することを確保する。ツールが通過した後、ライナーシートを取り外し、ダクトを手で整列し直すこと又は水平にすることができる。
【0091】
曲がり角では、ダクト110を敷設する前に、適切な曲がり角の場所に、曲がり角用曲げ制御部品501及び551(図14A〜14Dの内側曲がり角及び外側曲がり角を参照)を設置することができる。好ましい態様では、ダクト110及びそれに収容された通信線、特にファイバが過度の曲げにさらされないように、曲がり角用曲げ制御部品501、551を曲げることができる。美観のために、曲がり角用部品は目立たないものにすることができる。
【0092】
例えば、図14A及び14Bは、部屋又は廊下の内側の角を覆うように構成される代表的な曲がり角用部品501を示す。この態様では、曲がり角用部品501は、2つの部分からなる構成体を有することができ、剛性プラスチック材料又は金属のような好適な剛性材料で形成することができる。ベース部分510は、壁又は他の表面に取り付けることができる。この態様では、ベース部分510は、壁に取り付けるための接着剤裏張り512を含む。カバー部分520は、ベース部分510を覆う。ベース部分は、たとえ壁が完璧な直角の角を有していなくても壁にぴったりと一致できる柔軟な曲がり角部分515を含むことができる。図14A及び14Bの態様では、スロット516をベース部分510の曲がり角部分515に形成して、ベース部分510を90度より大きく又は90度より小さく曲げることを可能にすることができる。動作に際して、ベース部分510は、ダクトの適用の前に内側曲がり角に取り付けることができる。曲がり角部品510に到達したら、ダクト又はその内部の線が曲がり過ぎによる損傷を受けるのを防ぐように曲がり角で十分な曲げ半径で曲がる外側表面511にダクトを取り付けることができる。ダクトを取り付けた後、従来の締結機構を用いてカバー部分520をベース部分510に締結することができる。この態様では、代表的なスナップ機構518を使用する。一態様では、図14A及び14Bに図示されるように、カバー部分520は、ダクト110のようなダクトの外形と密に一致する形を有することができる。また、美観のために、他の形を使用することもできる。
【0093】
同様に、図14C及び14Dに示されるように、外側曲がり角には外側曲がり角用部品551が提供される。曲がり角用部品551は、2つの部分からなる構成体を有することができ、ベース部品560は壁の外側曲がり角に取り付けられる、例えば接着剤裏張り562を含み、カバー部分570はベース部分560を覆う。図14C及び14Dの態様では、ベース部分560の曲がり角部分565は、ベース部分560を90度より大きい角度又は90度より小さい角度に曲げることを可能にするように構成できる。動作に際して、ベース部分560は、ダクトの適用の前に外側角に取り付けることができる。曲がり角部品560に到達したら、ダクト又はその内部の線の曲がり過ぎによる損傷を防ぐように曲がり角で十分な曲げ半径で曲がる外側表面561にダクトを取り付けることができる。ダクトを取り付けた後、スナップ機能568のような従来の締結機構を使用してカバー部分570をベース部分560に締結することができる。好ましい態様において、図14C及び14Dに示されるように、カバー部分570はダクトの外形と密に一致する形を有することができる。図示されていないが、代替態様では、システム100、200、200’は、面内の曲がり角部品、ダクトカバー部品、及びブリッジ(損なわれた壁セクションでダクトを支える)のような追加的な構造を更に使用することができる。
【0094】
加えて、代替態様では、曲がり角部品はそれぞれ一体となった構成体を備える。更なる代替態様では、カバーでベース部分を閉じるためにリビングヒンジを使用することができる。
【0095】
本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、より速い速度及び容易な配備を提供することによってFTTXネットワークの重要なセグメントの敷設費を下げることができる。また、本システムの構成要素は、所有者及び居住者にとって重要な建物廊下の美観を改善する一方で、同時に、ケーブル格納、ファイバ管理、スプライシング、及び終端を有する全機能たるみ格納アクセスボックスを全て1つの箱の中に提供するように設計されている。更に、敷設者は、ダクトの上に直接にドロップアクセスボックスを取り付けることができる。このアプローチは、更に、建物の美観に悪影響を及ぼす場合のある性質をコントロールし、ダクト及びボックス配置の面で敷設者に柔軟性を提供する。したがって、敷設者は、たとえ密閉部が壁の間柱に直接かかる場所にあっても、密閉部内でアパート/オフィスに必要な穴を開けることができる。
【0096】
更に、従来の壁コンセントは、非常に多くの場合、箱の外に露出されたコネクタを少なくとも1つ有するので損なわれやすい。代替方法として、配線ファイバ及びドロップファイバの両方の終端接続を完全に囲うために、より大きい従来の壁コンセントボックスが頻繁に使用される。しかし、この従来のアプローチは目障りである場合があり、廊下の美観にマイナスの影響を及ぼす場合がある。
【0097】
これに対して、本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、終端接続を完全に囲うことができる。加えて、このドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、単一の成形品の中で配線ケーブルの上にある空間をスプライス、コネクタ、及び他の構成要素のために効率的に活用するものであり、スプライストレーのような追加的構成要素を伴うより大きいボックスを必要としない。本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、FDT又は居住者の住宅に入らずにネットワークテストのアクセスポイントを提供するので、他の居住者のサービスに支障をきたす可能性を取り除く又は減らす。このシステムは、顧客へのドロップケーブルが既に住戸の外側に位置づけられているので、FDTからONTへドロップケーブルを戻して走らせる必要を回避し、サービスを作動させるために使われる労働費の低減を促進する。また、このシステムは、費用のかかる整備要請への対応及びファイバドロップケーブルのルーティングのし直しが必要となるドロップケーブルのマクロベンドの可能性も取り除く。
【0098】
また、このドロップアクセスボックスは、従来の壁コンセントボックス(電気ボックスタイプ)内にケーブルを配置しないサービスアクセスポイントが望まれる場合に、住戸内で使用することができる。この表面取り付け式壁ボックスは、ONTと住戸に送られた配線ケーブルとの間の接続ポイントとして使用できる。
【0099】
更に、このドロップアクセスロケーションシステムは、中断されることのない電力サービスを含む通信及び電力サービスを個々の顧客のONTに提供するためにバイブリッド組み合わせドロップを許容するように構成できる。このバックアップ電力は、特定の階の各住戸に単一のソースから供給できるので、それぞれの個々のONTのバックアップ電池の必要をなくす。
【0100】
本発明は、上記の特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に記載されるように、本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。本明細書を検討すれば、本発明が適用可能であってもよい様々な変更、等価の処理、並びに多数の構造が、本発明が対象とする技術の当業者には容易に明らかになるであろう。特許請求の範囲は、そのような修正及び工夫を網羅することを意図したものである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第61/075466号(2008年6月25日付出願)、同第61/094256号(2008年9月4日付出願)、及び同第61/116419号(2008年11月20日付出願)の利益を主張する。前記仮出願それぞれの開示は、そのまま本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、多世帯住宅(MDU)用途における水平ケーブル配線用ドロップアクセスロケーションのシステム及びその敷設方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
多世帯住宅(MDU)は世界中に数百万とあり、世界人口の約3分の1がそれらに居住している。1つのMDUに多数の居住者が集中しているため、サービスプロバイダにとっては、これらの構造へのファイバ・トゥー・ザ・エックス(「FTTX」)配備は、一世帯住宅への配備よりもコスト効果が高い。既存のMDUをFTTXネットワークに接続することは、難しい場合が多い。難点としては、建物へのアクセスの獲得、立ち上がりクローゼット内の限られた配線スペース、並びにケーブルルーティング及び管理のためのスペースが挙げられる。具体的には、既存構造内のFTTX配備では、中央クローゼット又は階段吹き抜けから各住戸へ、壁若しくは床の中、又は天井の上にケーブルを配線することが難しい。
【0004】
従来、サービスプロバイダは、収納装置(ファイバ配線ターミナル(FDT)としても既知)を多世帯住宅のそれぞれの階又はいくつかの階ごとに敷設している。FDTは、建物の立ち上がりケーブルを、1つの階のそれぞれの住戸につながる水平ドロップケーブルに接続する。ドロップケーブルは、ある住戸の居住者がサービスを要請した場合のみFDT内で立ち上がりケーブルにスプライスされる。これらのサービスの敷設は、収納装置に何度も入ることが必要なので、その階の他の居住者のセキュリティ及びサービスに支障をきたすリスクがある。また、このタイプの接続は、高価な融着スプライス機と高度な技術を有する労働力の使用が必要なので、このプロセスは、サービスプロバイダの資本金及び運転経費も増加させる。個々のドロップケーブルのルーティングとスプライスには多大な時間がかかり、1日に1人の技術者が作動させることができる受信契約者の数が増えず、サービスプロバイダの収益を低減する場合がある。別の方法として、サービスプロバイダは、MDU内の各住戸からの家庭内ケーブルを直接に建物天井のファイバ配線ハブ(FDH)まで全長を走らせて敷設することにより、単一の長いドロップケーブルで水平ケーブルと立ち上がりケーブルの両方を網羅する。このアプローチは、複数のドロップケーブルのそれぞれを管理、保護、及び隠すために1つの経路を最初に敷設する必要性を含む、いくつかの難点を作り出す。この経路は、しばしば、非常に大きい(例えば、10.1cm〜15.2cm(4インチ〜6インチ))木材又はプラスチックで作られた既製のクラウンモールディングを含む。これらの経路の多くでは、時間経過と共に混み合い、秩序が乱れ、ファイバの屈曲及び過度のリエントリによりサービスに支障をきたすリスクが増す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の代表的な一態様によると、ドロップロケーションへの通信アクセスのためのシステムは、貫通する穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線を含むダクトと、このダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を備える。また、このシステムは、ベース及びカバーを含むアクセスボックスも含むが、このアクセスボックスは、ベースに形成された取り付けセクションと、ベース及びカバーの少なくとも1つに形成されたたるみ格納セクションと、ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含む。取り付けセクションは、ダクトの外形にかぶさって、ダクトから張り出すように構成される。たるみ格納セクションは、アクセスされた通信線をカップリングデバイス取り付けエリアに送るため及びアクセスされた通信線の余分量を格納するための、1つ以上のガイドを備える。通信線カップリングデバイス取り付けエリアは、アクセスされた通信線をドロップケーブルに接続するカップリング、アダプタ、及びスプライスのうち少なくとも1つを受け取るように構成される。
【0006】
本発明の別の態様では、建物の廊下のドロップロケーションへの通信アクセスを敷設するためのシステムは、全体を貫通して形成された穴を伴う導管部分を有するダクトと、このダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分であり、そのツバ部分がそれ自体に配置された接着剤を含む取り付け部分と、ダクトを連続的に格納構造から受け取るためのダクトアプリケータツールと、を備える。アプリケータツールは概して平面のフレームを含み、このフレームは少なくとも1つのダクトチャネルを支持し、このダクトチャネルはダクトを受け取り、ダクトがこの概して平らな表面に適用されるにつれてダクトに押圧をもたらす支持面を提供する。アプリケータツールは、フレームの少なくとも一端に配置可能な1つ以上のダクトガイドを含み、この1つ以上のダクトガイドは、ダクトをその格納構造から少なくとも1つのダクトチャネルまで導く。
【0007】
本発明の別の態様では、既存のMDU、MTU、又は他の同様の住宅又は商用の建物の廊下への通信線を提供する方法は、建物の廊下にダクトを敷設することを含み、このダクトは、ダクトの導管部分に配置された複数のほぐれたバッファ光ファイバ及び1つのリボンファイバケーブルのうち1つを含む。少なくとも1つの光ファイバへは、第1のファイバドロップロケーションにてダクトからアクセスする。この第1のドロップロケーションに第1のドロップアクセスボックスが設置され、この第1のドロップアクセスボックスはベース及びカバーを含む。ドロップアクセスボックスは、ベースに形成された取り付けセクションと、ベースに形成されたたるみ格納セクションと、ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含む。ドロップアクセスボックスは、ダクトを覆って突き出るようなやり方でダクトに取り付けられて、アクセスされたファイバを覆う。アクセスされたファイバは終端される。終端した、アクセスされたファイバをカップリングに連結し、カップリングを通信線カップリングデバイス取り付けエリアに取り付ける。この方法は、更に、アクセスされたファイバからのファイバたるみを、ドロップアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送り格納することを含む。
【0008】
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの図示の実施形態又は全ての実施を説明しようとするものではない。下記の図及び発明を実施するための形態によって、これらの実施形態を更に詳細に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面を参照して更に詳しく記述される。
【図1】本発明の第1の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図2】代表的な可撓性ダクトの等角図。
【図3】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの等角図。
【図4A】本発明の一態様による、そのカバーが取り外された代表的なドロップアクセスボックスの概略図。
【図4B】本発明の別の態様による、そのカバーが取り外されたドロップアクセスボックスの等角図。
【図5】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの後側からの等角図。
【図6】本発明の一態様による代表的なドロップアクセスボックスの側面図。
【図7】本発明の別の態様による半径制御アンカーの等角図。
【図8A】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図8B】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図8C】本発明の一態様による代替ドロップアクセスボックスの図。
【図9A】本発明の別の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図9B】本発明の別の態様によるハイブリッドケーブルの断面図。
【図9C】本発明の更に別の態様によるドロップアクセスロケーションシステムの概略図。
【図10】本発明の一態様によるドロップアクセスロケーションシステムが敷設された代表的なMDUの概略図。
【図11A】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図11B】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図11C】本発明の別の態様によるダクトアプリケータツールの異なる図。
【図12】本発明の別の態様による代替可撓性ダクトの等角図。
【図13A】本発明の他の態様による代替ダクトの断面図。
【図13B】本発明の他の態様による代替ダクトの断面図。
【図14A】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な曲がり角部品。
【図14B】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な曲がり角部品。
【図14C】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な外側曲がり角部品。
【図14D】ドロップアクセスロケーションシステムの敷設中に使用される代表的な外側曲がり角部品。
【図15A】本発明の別の態様による代替ダクトアプリケータツールの異なる図。
【図15B】本発明の別の態様による代替ダクトアプリケータツールの異なる図。
【0010】
本発明は種々の修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部を一例として図面に示しており、また詳しく説明することにする。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することにはないことを理解するべきである。むしろ、付随する請求項によって定義される本発明の範囲内に入る修正、等価物、及び代替物すべてを網羅することを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、本発明を実施することができる特定の実施形態を例として示す。この点に関して、「上」、「底」、「前」、「後」、「先」、「前方」、「垂下」などのような方向用語は、説明する図の方向に関して用いられている。本発明の実施形態の構成要素は多くの異なる方向に置かれ得るので、方向に関する用語は、説明のために使われるものであって、決して限定するものではない。他の実施形態を利用することもでき、また構造的又は論理的な変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、また本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0012】
本発明は、MDU、多居住者住宅(MTU)、又は他の同様の商用又は住宅用建物の場所での水平ケーブル配線用途に使用されるドロップアクセスポイント又はロケーション敷設方法及びシステムを目的とする。システム100は、MDU、MTU又は他の建物の場所にある住宅又はオフィスのような個々の住戸に個々の通信線をドロップするためのテレコミュニケーションワイヤ及びアクセスポイントの経路を提供する。システムの構成要素は、よりよい美観のために低インパクトプロファイルとして設計される。本明細書に記載されるドロップアクセスポイント方法及びシステムと共に、光ファイバ、通信用銅線、電線、又はこれらの組み合わせを含む新しい通信ワイヤを既存の建物の通路又は廊下の壁に敷設することができる。したがって、新しい又は改善されたサービスを個々の住戸に提供することができるが、これは、追加的な通信線を敷設するときに、住戸の外側に予め位置づけられている新しい通信配線に住戸内の短いケーブル配線を迅速に接続することによって達成される。
【0013】
図1は、本発明の第1の態様であるドロップアクセスロケーションシステム100の概略図を示す。この例では、システム100は代表的なMDUの廊下に敷設される。システム100はまた、他の屋内及び屋外の用途、並びにオフィスビル、オフィススイート、ホテル、学校、病院、及びアパートのような商用又は住宅用の建物にも使用することができる。この説明を通して常に、単純さのためにMDU及び/又はMTUを参照するが、この参照は限定することを意図するものではなく、システム100、200(図9A)、又は200’(図9B)は上記の認識された他の構造に使用することも可能である。
【0014】
ファイバドロップアクセスポイントシステム100は、テレコミュニケーションクローゼット(又は他の配線ロケーション)から1つ以上の住戸への1つ以上の通信線(水平ケーブル又は線(図1には図示せず))を収容する導管又はダクト110を備える。通信線は、データ、ビデオ、及び/又は電話信号伝送のために光ファイバ、電線、同軸/マイクロ同軸ケーブル、又はこれらの組み合わせを備える場合がある。一態様では、通信線は、900μmのバッファファイバ又は他の標準サイズ通信ファイバのような分離性の(ほぐれた)又はリボン状のファイバを備える場合がある。加えて、本明細書に記載した代表的態様はしばしば光ファイバ線へのアクセスに特定されるが、本明細書を与えられる当業者は、通信銅線、電線ドロップ、及び/又はハイブリッド組み合わせドロップもまた許容するようにドロップアクセスロケーションシステムを構成することができることを理解するであろう。
【0015】
システム100は、更に、住戸の入り口又はその近くのような1つ以上のアクセスポイント105に位置づけられた1つ以上のアクセスボックス150を備える。更に大写しに描いた図3に示されるように、ドロップアクセスボックス150は、ベース部分152及びカバー190を含む。ベース部分152及びカバー190は、剛性のプラスチック材料又は金属で形成する場合がある。アクセスボックス150(カバー及びベース)は、目立たない及び/又は装飾的な外側デザイン(壁取り付け式照明、ロゼット模様、インターレースノット、ミッションスクエア、貝殻、葉、又は流線的工業デザイン)を有することができ、アクセスボックスは、それが敷設される場所の美観的アピールを損なわないように、敷設される全体的エリアと色合わせすることができる。また、照明のためにドロップアクセスボックスに光デバイスを提供することもできる。更に、カバーは、その外面にラミネートされた装飾的オーバレイフィルムを更に含む場合がある。そのようなフィルムは、3M(商標)Di Noc自動接着性ラミネート(3M Companyより入手可能)を備えることができ、周囲の構造の木目又は金属面を模倣することができる。
【0016】
カバー190は、敷設のときにアクセスボックスの内容物に保護を提供する。カバー190は、小さいシームと共に、ドロップアクセスボックス150のベース152にぴっちりと、締まりばめにより取り外し可能に装着することができる。あるいは、カバーを従来のラッチ機能によって装着すること、又はカバーをヒンジでアクセスボックス150のベース部分152に連結又は繋留することができる。好ましい態様では、カバーは、締まりばめを介してアクセスボックスのベース部分152にぴっちりとはまる。カバーはまた、泥、埃、水、又は他の要素の侵入のリスクを低減するためにシールガスケット又は重複部分を含む。別の態様では、カバー190をロッキング機構によってベース152に更に固定することができる。
【0017】
代表的な態様のボックス及びカバーは、概して矩形を備えるが、アクセスボックス150は、平坦な円形台座、又は丸い角、面取りされたエッジ、リブ付き及び/若しくはスロット付き側部を伴う矩形/正方形のような他の形を備える場合がある。また、ドロップアクセスボックスは、電気配線接続箱、スイッチ、銘板、又は壁取り付け式照明のような照明器具を模倣するように正方形を有する場合がある。加えて、カバー190は、敷設中にベースにカバーを一時的に保持するために使用されるハンガーツメ167(図5を参照)を含む場合がある。
【0018】
加えて、異なる装飾デザイン及び形の他のカバーがかかるようにベースを設計することもできる。更に、図6に示されるように、カバー190で覆われたときのアクセスボックス150の深さは比較的小さいので、目立たない。例えば、一態様では、アクセスボックス150は、カバー190で覆われたときに約0.63cm〜約3.8cm(0.25インチ〜約1.5インチ)、好ましくは約2.54cm(1インチ)の深さを有する場合がある。一態様では、アクセスボックスは、約10.1cm〜約20.3cm(4インチ〜約8インチ)の長さと、約5.08cm〜約12.7cm(2インチ〜約5インチ)の幅と、を有する場合がある。装飾的特徴をカバーに付ける場合は、その装飾的特徴を伴うアクセスボックスによって占有される体積ははるかに大きくなる場合がある。
【0019】
代表的なダクト110のより詳細な大写しの等角図を図2に示す。この実施例では、ダクト110は、穴113が貫通する導管部分112を含む。穴は、それに配置される1つ以上の通信線を許容するサイズである。好ましい態様では、使用の際にダクト110はファイバリボンケーブルのような通信線を複数備える。使用に際し、ダクト110に1つ以上の通信線を予め投入しておくことができる。加えてまた、ダクト110に少なくとも1つの電力線を投入することができる。
【0020】
導管部分112は、概して円形の断面を有することができるが、代替実施形態では、矩形、正方形、三角形、楕円形、又は他の多角形の断面のような別の形を有してもよい。
【0021】
一態様では、ダクト110は、ポリ塩化ビニル(PVC)のような高分子材料で形成された可撓性で難燃かつ丈夫な構造である。したがって、ひび割れ又は分割を伴わずに曲がり角及び他の構造を回るようにダクト110を導き、屈曲することができる。ダクト110は、従来の押し出し成形プロセスを使用して連続形成することができる。
【0022】
加えて、いくつかの態様では、ダクト110は更に、ダクトの長手方向の長さに走るスリット114を含むことができる。スリット114は、ファイバを挿入又は取り外すためのアクセスを提供することができる。図2の実施形態では、スリット114は、概して円形の導管部分112のベースに位置づけられる。しかし、代替実施形態では、スリットを導管部分112の異なる位置(例えば、上又は中央)に位置づけることができる。代替態様では、導管部分内に通信線が適正に拘束されるようにするために、スリットを導管の重複する壁の表面の内部に置く場合がある。この構造は、ダクトを美的により好ましいものにすることを更に促進する。敷設者は、この代替態様のスリットを開いて導管部分内の通信線にアクセスすることができる。更なる代替態様では、ダクト110は、アクセス又はサービスの分離のために(例えば、区分された導管との使用のために)長手方向の複数のスリットを含むことができる。一実施例では、スリットは、製造プロセス中に導管部分に通信線を投入した後にシールすることができる(従来の熱溶接又はレーザー溶接技法により)。したがって、スリットのないダクト110を敷設者に提供することができる。
【0023】
ダクト110はまた、壁に、又は壁、床、天井、又はモールディングのような他の概して平らな表面に敷設又は締結されるダクト110のための支持を提供するために、取り付け部分115又は同様の平らな部分を含むことができる。一態様では、取り付け部分115はツバとして提供される。そのようなツバは、図2が示すようにダクトの長手方向軸に沿って延びることができる。実施例のダクトは(使用の際)導管部分の下に位置づけられる単一の取り付け部分を含むが、代替態様では、取り付け部分又はツバは導管部分に隣接して中央に位置づけることができる。更なる代替態様では、ダクト110は追加的な表面積の支持のために第2のツバ部分を含むことができる。更に、壁又は他の平らな表面に沿った面内の曲がりを許容するためにツバ115を鋸歯形(図示せず)に形成することもできる。代替用途では、面内及び面外の曲がりのためにツバの一部分を取り外すことができる。
【0024】
好ましい態様では、ツバ115は、概して平らな形を有する背面116を含む。この平面は、エポキシ、転写接着剤、又は両面テープのような接着剤を用いてダクト110を取り付け面、壁、又は他の表面(例えば、ドライウォール、コンクリート、又は他の従来からある建材)に接着するために好適な表面積を提供する。一代替態様では、ツバの表面116は、取り外し可能なライナーと共に接着剤で裏張りされた表面を備える。使用の際、このライナーを取り外し、表面116を取り付け面に適用することができる。別の態様では、この接着剤をツバの1つ以上の表面に配置することができる。代替態様では、別の締結技法(例えば、釘、ステープル、装着ブラケット等)を使用することができる。また、この実施例のダクト110は可撓性なので、穏やかな曲面にも接着することができる。
【0025】
更なる詳細として、図4A、5、及び6は代表的なドロップアクセスボックス150の異なる図を示し、図4Bは代替ドロップボックス150”の図を示し、図8A〜8Cは更なる代替アクセスボックス150’を示す。本明細を与えられる当業者によって理解されるように、アクセスボックス150に関して説明した要素は、代替アクセスボックス150’及び150”にも含まれ得るものである。
【0026】
ボックス150は、ボックス150をダクト110に真っ直ぐに取り付けるための取り付けセクション160を含む。取り付けセクション160は、ダクト110の上にかぶさるように構成される。このやり方により、ダクト(及びその中の通信線)を既に敷設した後にボックス150をダクト110に取り付けることができる。例えば、図5及び6が図示するように、取り付けセクション160は、ダクト110の外形にかぶさるように構成された切り抜き部分161を含む。このようにすると、外側壁部分162がダクト110の方へ張り出し、敷設中にアクセスボックス150を支えることができる。加えて、取り付けセクション160の構成は、ボックス150をダクトの通り道に沿ったほぼ任意の位置にてダクト110に取り付けることを可能にする。この構成は、廊下の壁から住戸の中に貫通する穴を後にドリルで開けることを可能にする。加えて、このシステム構成は、MDUの廊下のドアの上の場所又は低い高さの場所を含むアクセスボックスに可能な複数の場所を可能にする。
【0027】
図4Aは、アクセスボックス150の内側領域を示す。この領域では、ダクト110内に配置された1つ以上の通信線に、アクセスすること及び特定の住戸の1つ以上のドロップワイヤ又はドロップファイバを接続することができる。この特定の実施例の態様では、ダクト110からのファイバ122を特定の住戸からのドロップファイバケーブル124に連結することができる。別の態様では、ダクトからの1つ以上のファイバにこの場所でアクセスすることができる。通信ファイバ122へは、ダクトの特定の構成によって、ダクトの導管部分112に作られた分離した切り抜き窓を通して又はダクト110に既に形成されているスリット114を通してのいずれかによってアクセスすることができる。
【0028】
一態様では、アクセスボックス150は、光スプライス、カップリング、又はアダプタのような、標準的な光コネクタを接続するための1つ以上のカップリングデバイスを許容することができる。この実施例では、取り付けセクション160は支持部分すなわち張り出したブリッジ164を更に含むが、これは、取り付けセクションに強度を付加すること、及びダクトから露出されたファイバがある場合にそれに付加的保護を提供することができる。加えて、張り出したブリッジ支持体164はまた、融着及び/又は機械的スプライスを許容するように構成された1つ以上のスプライスホルダ176を含むことができる。アクセスボックス150のベース部分152はまた、1つ又はいくつかの異なるタイプの光ファイバコネクタアダプタ又はカップリング180を受け入れるために、1つ以上のアダプタ又はカップリングスロット、ブラケット及び/又は板ばねを含むカップリング取り付けエリア178を含むことができる。代替態様では、スプライスホルダ及びカップリング取り付けエリア178をアクセスボックスの異なるエリアに配置することができる。更なる代替態様では、カバー190は、カップリング取り付けエリアを含むように構成することができる。
【0029】
図4Bに示されるようなアクセスボックス150’の更なる代替態様では、張り出したブリッジ支持体を取り外し、1つ以上のスプライスを、カップリング取り付けエリア178に又はその近くに形成されたスプライスホルダセクション176’で保持してもよい。加えて、1つ以上のスプライスを、ベース152のたるみ格納セクション170に形成されたツメ192に又はその近くに位置づけられたスプライスホルダセクション179’に保持してもよい。
【0030】
アクセスボックス150は、アクセスしたファイバを通すためにファイバたるみ格納セクション170を更に含むことができる。この実施例では、ファイバ122は、1つ以上のファイバガイド171に沿って通すことができる(取り付けセクションの左側又は右側のいずれかから)。ファイバは、ファイバたるみ格納セクションでベース152に又はその上に形成された曲げ半径制御構造173によって曲がり過ぎから保護される。ファイバたるみ格納セクション170は、図4Aに示されるように、長い及び短いファイバループ格納構造の両方を含むことができる。加えて、カップリング/アダプタの配向は、サービスファイバの入り口点から独立であることができる。また、ファイバの巻き方向は、アクセスボックス内に使用されるコネクタの取り付け構成と一致するように、ファイバたるみ格納セクション170に提供されたクロスオーバーセクションを使用して逆にすることができる。また、ファイバたるみ格納セクションは、それに格納されているケーブルのジャケット部分を更に把持するために、ファイバガイド及び/又は曲げ半径制御構造上に又はその一部として形成された1つ以上のグリップ構造又は歯172(図4B及び8Aを参照)を含むことができる。図4Aの実施例では、最高50フィートまでの900μmバッファファイバ及び最高3フィートまでの3mmファイバたるみをアクセスボックス150に格納することができる。代替態様では、カバー190もまた、たるみの格納を許容することができる。
【0031】
一態様では、ファイバ122は、きつい曲げ半径の900μmバッファ光ファイバを備える。そのような光ファイバケーブルは、BendBright XS(商標)Single Mode Optical FiberとしてDraka Communicationsから市販により入手可能である。また、この態様では、ドロップケーブル124は、ezPatch(商標)ケーブル及びezDrop(商標)ケーブルとしてDraka Communicationsから市販されている2.9mmジャケットドロップケーブルを備えることができる。
【0032】
ファイバ122は、ドロップファイバケーブルへの接続に使用するカップリングのタイプによってスプライスホルダ176又はカップリング180の取り付けエリアに導くことができる。カップリング180は、アクセスボックスに提供されてよいが、敷設者が供給してカップリング取り付けエリアに取り付けてもよい。カップリング180は、従来のインライン光ファイバ連結器又はアダプタを備えることができる。
【0033】
図4Aの実施例では、ファイバ122は光ファイバコネクタ182で現場終端されたものである。例えば、コネクタ182は、米国特許第7,369,738号に記載されているように、フェルールに配置された、機械的スプライスでフィールドファイバにスプライスされている予め研磨されたファイバスタブを含む光ファイバコネクタを備えることができる。ファイバ122は、従来のSCコネクタのようなコネクタ184を有するドロップケーブル124に、カップリング又はアダプタ180を介して連結することができる。本明細を与えられる当業者にとっては明白であるように、その他の従来のコネクタをコネクタ182及び184として使用することができる。
【0034】
この実施例の設計は、追加的なスプライストレー、挿入物、又は余分な構成要素を必要としない、アクセスボックス150内へのスプライス及び/又はコネクタの配置をもたらす。更に、コネクタカップリングは、たるみ格納エリアに影響を及ぼさずに独立に取り外すことができる(例えば、ファイバ/ワイヤと接続するため又は接続を外すために)。更に、あらゆる接続を全てアクセスボックス150の中に収納して、設置効率及びケーブル配線保護を強化することができる。
【0035】
ドロップケーブル124は、2.9mmジャケットファイバケーブル(例えば、Draka Communicationsから入手可能なezDrop Cable)又はブローンファイバケーブル(複数の離散したバッファファイバを含む)のような従来のファイバケーブルでよい。ドロップケーブルは、いずれの(すなわち、アクセスボックス150へ入る又は出る)方向に走らせてもよく、1つ又は2つの端を予めコネクタで接続準備(pre-connectorized)しても(しなくても)よい(例えば、予めコネクタで接続準備したピグテールの3mmジャケットケーブル)。一態様では、ドロップケーブルはまた、ガイド171及び曲げ半径制御構造173を介してアクセスボックス150内に通すことができる。ドロップケーブル124は、ベース152の開口部175を通って個々の住戸に延びる。開口部175は、個々の住戸の外側の壁に開けられた又はドリルで開けられた穴の場所に対応する。加えて、開口部175は、必要とされる正確さを減らすように、及び壁内に存在し得る障害物(例えば、間柱、既存配線等)を許容するために、住戸の壁に開けられた穴よりずっと大きくてもよい。
【0036】
ドロップケーブル124に更なる支えと曲げ制御を提供するために、アクセスボックス150は(分離した構成要素として)曲げ半径制御アンカー185(図7を参照)を含むことができる。アンカー185は、1つ以上の把持クリップ187を使用してドロップケーブル124の一部分を把持することができる。アンカー185はまた、曲げ過ぎ及び/又はファイバの引き出しのリスクを低減するためにファイバ固定用ジップタイを許容するスロット189を含むことができる。加えて、アンカー185はドロップケーブルの最低曲げ半径を超えないように構成された曲線領域186を含むので、ドロップケーブル124を曲げ過ぎから保護することができる。所望により、引き留めポスト188を使用してアンカー185を壁にしっかりと取り付けてもよい。あるいは、ポスト188を省いて、アンカーをアクセス壁に接着剤又は締結具で取り付けてもよい。図5に示されるように、アンカー185は住戸に開けられた穴又は穴を通してボックス150からドロップケーブルを導く。ドロップファイバケーブルは、図10に示されるONT205のような、一世帯住戸光ネットワークターミナル(SFU ONT)又はウォールボックス(例えば、Alcatel−Lucentから入手可能な7342 Indoor Optical Terminal)のような光ネットワークターミナル(ONT)にて、もう一方の端で終端することができる。余分なドロップケーブルは、アクセスボックスのたるみ格納セクション170に格納することができる。図6に示されるように、アンカー185はアクセス壁に延出して、アクセスボックス150のプロファイルを減らすのを助ける一方で、ドロップケーブルの適正な曲げ半径を維持することができる。
【0037】
代替態様では、図4Bに示されるように、ドロップケーブル124はベース152と一体の部分として形成されたひずみ開放チャネル193を介してアクセスボックス150”に出入りすることができるケーブルタイ(図示せず)又は同様の締結装置を使用して、ドロップケーブル124をひずみ開放ケーブルチャネル193に固定することができる。
【0038】
上述したように、アクセスボックス150は、標準形式の光コネクタのために1つ以上のコネクタカップリングを収納することができる。また、アクセスボックス150は、平面光ガイド回路(PLC)光スプリッタ又は融合バイコニカルテーパー(FBT)光スプリッタのような1つ以上の光スプリッタを収納するために使用することができる。上述のカップリング、ルーティング及びスプライシング構成要素に加えて、アクセスボックス150は、セキュリティカメラ、アラーム、火災検知機/防火装置、入り口鍵、ドアベル、RFIDカードリーダー、及び/又は電池類のような他のタイプの構成要素及び/又は機器を保持するように構成することができる。
【0039】
アクセスボックス150は、壁、床、又は天井と同一平面上に配置することができる背面154を更に含む。一態様では、アクセスボックス150を壁、床、又は天井に、エポキシのような接着剤で最終的に固定することができる。あるいは、アクセスボックス150を壁、床、又は天井に、ベース152に位置づけられた指定の場所158を介してボックスを壁に取り付けるねじのような従来の締結具で最終的に固定することができる(図4Aを参照)。
【0040】
加えて、アクセスボックス150は、敷設中にボックスの内部にアクセスするときに敷設者がカバー190をボックス150に固定することを可能にする(例えば、アクセスボックスからカバーを掛けることによって)、ツメに形成されたスロット159を含むことができる。更に、カバー190は、使用されていないときの例えばアダプタのような構成要素の格納のための1つ以上の取り付けスロット、スナップ機能、又はブラケットを含むことができる。
【0041】
別の態様では、代替アクセスボックス150’は、図8A〜8Cに示されるものである。アクセスボックス150’の多くの特徴は、アクセスボックス150のそれらと同様であるが、アクセスボックス150’は、いくつかの追加的な特徴を含むことができる(わかりやすく示すためにカバーは図示されていない)。例えば、図8Aに図示されるように、アクセスしたファイバを通すことができるファイバたるみ格納セクション170’は、一式以上の歯172を含むことができる。これらの歯172は、更なるひずみ開放をもたらすように構成される。この態様では、一式以上の歯172は、ボックス150’内の(図4Aに示されるアダプタ又は連結器180のような)アダプタ又は連結器を住戸内のSFU ONTに接続するケーブルを受け取ることができる。歯は、ケーブルのジャケットを把持して、接続が不慮に外れるリスクを減らす。例えば、歯は、ケーブル配線のアンカーを提供し、FDTでケーブルを巻いている敷設者に、それ以上ケーブルたるみが残っていないことを示すことができる。
【0042】
加えて、図8Bに示されるように、ドロップアクセスボックス150’は、ボックス150’を、ツバの側を上又はツバの側を下にして取り付けられたダクトに真っ直ぐに取り付けるための取り付けセクション160’を含むことができる。ここでは、例えば、切り抜き部分161’は、ダクトの配向とは無関係にダクト110の外形にかぶさるように構成される。先に言及したように、この実施例のダクトは(使用の際に)導管部分の下に位置づけられる単一のツバとして形成された取り付け面を含み、代替態様では、ツバを導管部分と隣接させて中央に位置づけることができる。更なる代替態様では、ダクトは、追加的な表面積を支えるための第2のツバ部分を含むことができる。
【0043】
また、図8Cに示されるように、ドロップアクセスボックス150’は、隆起した縁の出っ張り155を含む背面154’を含むことができる。隆起した縁の出っ張りは、1つ以上の表面の不規則さを有し得る取り付け壁又は表面から箱150’の主背面を隆起させることによって、(例えば、MDUの廊下から見たときに)ボックスが平らな外観を維持することを可能にする。加えて、背面154’は、ねじ/締結の場所に位置づけられる隆起ボス158’を含むことができる。
【0044】
別の態様では、水平ケーブル配線を許容するように構成されるドロップアクセスロケーションシステム100を、次の方法でMDUの廊下又は通路に敷設することができる。この実施例では、上述のダクト110と同様の形のダクトを使用し、上述のアクセスボックス150と同様に構成されたアクセスボックスを使用する。この実施例のダクトは工場で押し出し成形することができ、そのツバの背面に、取り外し可能なライナーと共に接着テープを適用することができる。加えて、導管部分に配置される、ほぐれた状態でパックされた複数の900μmバッファファイバを、ダクトに予め投入することができる。取り付けられる前のダクトは、スプールに収納して配達及び保管することができる。
【0045】
接着ライナーを取り外し、住戸の入り口の上の予め選ばれた高さにダクトを配置して押圧することによって、MDUの廊下の壁にダクトを取り付ける。あるいは、異なる高さに、例えば廊下のベースボードに沿って、ダクトを取り付けることができる。廊下の全周辺にこの初期段階でダクトを敷設することができる。加えて、最も遠い住戸用のサービスファイバのために好適な量のたるみを許容するために、最も遠いアクセスボックスの場所として予測される位置を超えて利用可能な余分な量のダクトを保管することが好ましい。アクセスボックスの取り付け場所に印をつけることができる。ダクトを敷設するための代表的なツール及びシステムについて、下記に更に詳述する。
【0046】
所望により、第1のアクセスボックスを第1のドロップロケーションに敷設することができ、好ましくは、ドロップアクセスボックスは、そのテレコミュニケーションキャビネットから最も遠い下流に敷設される。アクセスボックスは、一度に1つ敷設すること、又は一回の敷設の間に廊下全体にドロップアクセスボックスを投入することができる。
【0047】
ダクトの導管部分の外面に切り抜き窓を作製して、ドロップロケーションでファイバドロップに連結される1つ以上のファイバを露出することができる。一態様では、敷設者はテンプレートを活用して、切り抜き窓の適正な長さ及び/又は深さを確保することができる。その場所に望まれるサービスファイバをアクセスボックスから下流の場所で切断し、次いで、取り付け場所に引き戻すことができる。所望のサービスファイバ(1つ又は複数)を、切り抜き窓を介して、又は別の方法としてはダクトのスリットを介して、ダクトから取り外すことができる。ダクトの方へ張り出すようなやり方でアクセスボックスをダクトに取り付けて、上述と同様のやり方でダクトの露出部分を覆うことができる。
【0048】
次いで、所望のファイバをスプライスするか、さもなければ終端することができる。好ましい態様では、米国特許第7,369,738号に記載される手順を用いて所望のファイバを現場終端する。例えば、SC形式NPCコネクタ(3M Company(ミネソタ州セントポール)を利用することができる。あるいは、市販される融着式コネクタによって、又はピグテールを融着スプライスして、ファイバを終端することができる。このようにすると、ファイバは、標準的なコネクタ形式を有するコネクタで終端される。次いで、ファイバたるみをアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送ることができる。終端されたファイバのコネクタ端を、次いで、ドロップアクセスボックス内のカップリングデバイス取り付けエリアに提供及び取り付けされたカップリング又はアダプタ内に受け取る。故に、終端されたファイバはアクセスボックス内に「止められ」て、サービス加入者がサービスを申し込むまで待機する。融着又は機械的スプライスが使用される場合は、サービス加入時まで終端及び接続を遅らせることができる。
【0049】
取り付けられたアクセスボックスの場所にサービス加入者が存在する場合は、貫通穴の場所がアクセスボックスによって覆われることになる壁の場所に貫通穴を開けることができる。壁に固定された、上述のアンカー185のような曲げ制御アンカーを使用して、アクセスボックスのたるみ格納セクションを通してドロップケーブルを送り、アクセスボックスから壁を通して住戸内に供給することができる。終端されたサービスファイバへの接続は、コネクタで接続準備されたドロップケーブル(例えば、現場終端されたもの、予め終端されたもの、又はピグテールファイバのコネクタ)をカップリング又はアダプタにプラグすることによって行われる。
【0050】
上述したように、第1のドロップロケーションでのサービス接続又はフックアップの前に、他のドロップアクセスボックスのそれぞれを、本明細書に記載した手順により取り付けて、全てのドロップアクセスボックスにサービスファイバを投入することができる。この態様では、それぞれの後続のサービスファイバを識別して、下流のアクセスボックスロケーションで切断し、上述のように終端することができる。故に、それぞれのアクセスボックスは、サービス加入の際のフックアップまで「止められ」て待機するサービスファイバを含むことができる。また、終端されたサービスファイバの線の適格性を試験して、サービス加入顧客のためのサービスの準備を確保することができる。
【0051】
上述のように、ドロップアクセスポイント又はロケーション敷設方法及びシステムを、MDU又は他の場所でのケーブル配線用途に使用することができる。図10は、本明細書に記載される任意のドロップアクセスシステムを許容できるMDU 10の例を示す。MDU 10は、その中に複数の住戸を有する複数階構造である。一例の階20は、共通廊下25を有する4つの住戸を有する。き線ケーブル30は、建物10への及びそれからの、通信線を運ぶ。これらのき線は、スプライス密閉部40でMDUのケーブル配線にスプライスされる。建物き線50は、ファイバ配線ハブ(FDH)60から建物に分配される。それぞれの階は、立ち上がりケーブル55を介して通信線を受け取るファイバ配線ターミナル(FDT)65を含む。本実施例では、FDT 65aからの通信線を連結するドロップアクセスシステム100は、上述のように廊下25に敷設することができ、ドロップアクセスボックス150を各住戸に配置することができる。
【0052】
上述のように、ドロップアクセスロケーションシステムは、通信用銅線、電線ドロップ及び/又はハイブリッド組み合わせドロップもまた許容するように構成することができる。代替態様では、ドロップアクセスロケーションシステムは、中断されることのないDC電力及びAC電力のうち少なくとも1つをドロップロケーションの個々の住戸に位置づけられた光ネットワークターミナルに供給するように構成することができる。
【0053】
好ましい一態様において、図9Aは、中断されることのない電力サービスを含む通信及び電力サービスを個々の顧客に提供するためのハイブリッド組み合わせドロップを許容する第1の代替ドロップアクセスシステム200を示す。図9Cは、第2の代替ドロップアクセスシステム200’を示す。これらの実施例では、ハイブリッドシステムを用いて、停電又は他の緊急的状況の出来事に際し、個々の住戸の通信機器に電池式バックアップ電力を供給する。
【0054】
より詳しくは、ドロップアクセスシステム200は、1つ以上の通信線(図9Bに示されるリボン/離散ファイバ221のような)及び1つ以上の電力線(図9Bに示される電線222のような)を含む、テレコミュニケーションクローゼット62から出発してMDUの廊下25からアクセスされ住戸へ延びる導管又はダクト210を含む。ダクト210は、廊下25の壁又は他の概して平らな表面に敷設される際にダクト210に支えを提供するためのツバ又は同様の平らな部分を含むことができる。
【0055】
ダクト210はまた、ダクト110に関して上述したのと同様のやり方でそれ自体を貫通して提供された穴を有する導管を含む。穴は、それ自体に配置される通信線及び電力線を許容するサイズである。導管部分は、図9Bに示されるような概して円形の断面、又は断面がより平らな形を有することができる。あるいは、ダクト210は、矩形、正方形、三角形、楕円、又は他の多角形のような別の形状を有する導管部分を含むことができる。ダクトは、ポリ塩化ビニル(PVC)のような高分子材料で形成された、可撓性で難燃かつ丈夫な構造であってよい。加えて、ダクト210は、それ自体に又はそれ自体からケーブル及び/又はファイバを挿入するため又は取り外すためのアクセスを提供するためにダクトの長手方向の長さに沿って走るスリットを更に含むことができる。
【0056】
別の態様では、図12に示されるように、ダクト110’は、ダクトの導管部分112の穴113内に配置された内管117を含むことができるが、この内管は、少なくとも1つの追加的ファイバを供給又はブローするための追加的な導管を管内に提供することができる。ツバ115、スリット114、及び表面116は、上述したのと同じやり方で形成することができる。こうして、内管は、少なくとも1つの追加的住戸にサービスを提供すること又は損なわれたファイバを交換することができる。例えば、内管117は、技術者がダクトを再敷設する必要なく住戸に追加的な通信線を挿入又は引き入れることを可能にすることができる。更に、内管117に敷設されたファイバを、ドロップされたファイバから前方へ行くスペアの現在使用されていないファイバの1つにスプライス又は接続して、先行の住戸にサービスを提供すること、あるいは追加的な前方の住戸にサービスを提供すること、あるいは損なわれたファイバを回復することができる。管117は、ダクト110’と分離して又は一体に形成することができる。
【0057】
システム200は、更に、住戸の入り口又はその近くのような1つ以上のアクセスポイントに位置づけられた1つ以上のアクセスボックス250を備える。これらのドロップアクセスボックスは、上述したドロップアクセスボックス150と同じやり方で設計して、アクセスされた通信線及び電力線へのカップリングを許容することができる。
【0058】
通信クローゼット62はFDT 65a及び中断されることのない電源(又はUPS)67を含む。UPS 67は、充電式電池68を含む又はそれと接続される。好ましい態様では、完全に充電されたとき、電池68は少なくとも8時間の電池式バックアップ電力をその階の各住戸に供給することができる。FDT 65aから出発する通信線221及びUPS 67から出発する電力線222を、所望のコンバイナーボックス69で接合すること又は機械的に固定することができる。正常運転中、UPSはDC電力を線222に沿って供給する。電池68は、停電又は同様のことの間にUPS 67がその正規の電力を失う出来事中に線222にDC電力を供給することができる。
【0059】
前の実施形態と同じく、個々の住戸の線を、壁226の廊下側の表面に取り付けられたドロップアクセスボックスを介して住戸に供給することができる。例えば、通信ファイバ221へは、ダクトの特定の構成によって、ダクトの導管部分に作られた分離した切り抜き窓を通して又はダクト210に既に形成されているスリットを通してのいずれかによってアクセスすることができる。取り付けられたアクセスボックスの場所にサービス加入者が存在する場合は、貫通穴の場所がアクセスボックスによって廊下側で覆われることになる壁226の場所に貫通穴を開けることができる。
【0060】
所望のサービスファイバ(1つ又は複数)を、切り抜かれた窓を介して、又は別の方法としてはダクトのスリットを介して、ダクトから取り外すことができる。次いで、所望の通信ファイバをスプライスするか、さもなければ上述したように終端することができる。加えて、従来のインラインスプライスコネクタ又は同様のものを用いて電力線222をタップし、緊急用バックアップ電力を住戸にもたらすことができる一方で、廊下の他のドロップロケーションでそれらの電力線にアクセスすることを可能にする。次いで、アクセスボックスのたるみ格納セクションを通してファイバたるみを送り、電気スプライスをボックス250に収納することができる。
【0061】
ファイバドロップケーブル224a及び電力タップ線224bは、アクセスボックス250から壁226を通して、壁226の住戸側に敷設された光ネットワークターミナル(ONT)205に供給することができる。ONT 205は、従来のONTとして構成することができる。このアプローチでは、分離したバックアップ電池をONT 205に設置する必要はない。こうして、中断されることのない電力を20階の各ONTに中央のロケーションから提供することができる。
【0062】
別の態様では、図9Cは、代替ドロップアクセスシステム200’を示す。この代替実施形態では、通信クローゼット62’は、FDT 65a、UPS 67、及び充電式電池68を含む完全一体化ユニット65’を収納する。ドロップアクセスシステム200’の残りの構成要素は、図9A及び9Bに関して上述したのと同様の構成要素であってよい。
【0063】
別の代替態様では、第1の住戸へドロップされた第1のファイバの下流のダクト110、110’、210内で損なわれた光ファイバを、その損なわれたファイバの上流で機能している部分をFDT(例えば、FDT 65a)から追加的な住戸に向かって前方すなわち下流へ行く前記第1のファイバの良好なスペアデッドファイバ(the good spare dead fiber)にスプライスするかさもなければ接続することによって、回復することができる。
【0064】
上述したように、ドロップアクセスシステム100、200、又は200’は、実施例の敷設ツール及びシステムを使用して敷設することができる。例えば、図11A〜11Cは、本明細書に記載したダクト110、110’、210、410のようなダクトをMDU又は他の住戸構造の壁に敷設するために使用することができるダクトアプリケータツール300を示す。ツール300は、手持ち式であってよく、又は拡張式ポール340又は他の装置に必要に応じて取り付けることができる。例えば、ツール300は、カート又は他の車両に収納することができる。そのようにして、ツール300及びカートを手動で、又は少なくとも部分的にモーター駆動又は電動にして、運転することができる。別の態様では、図15A〜15Bは、本明細書に記載したダクト110、110’、210、410のようなダクトをMDU又は他の住戸構造の壁に敷設するために使用することができる代替ダクトアプリケータツール600を示す。ツール600は、手持ち式であってよく、又は拡張式ポール340又は他の装置に必要に応じて取り付けることができる。
【0065】
ダクト110は、本明細書で前述したダクト110、ダクト110’、又はダクト210と同じく若しくは同様に形成しても、あるいは図13A及び13Bに示されるダクト410又はダクト410’のような代替形状のダクトと同様に、下記に詳述するように形成してもよい。別の態様では、ダクト110のツバの表面は、取り外し可能なライナーと共に接着剤で裏張りされた表面を備える。代替態様では、ダクトのツバの表面は、剥離ライナーを利用しない接着剤を備えることができる。好ましい態様では、ダクト110には、敷設の前に通信ファイバ及び/又は電線が投入される。通信ファイバは多様なサイズ及び/又は形状であってよい。一態様では、通信ファイバは、前述したような900μmバッファ構造を有する曲げ不感応性ファイバであることができる。ダクトに含まれるファイバへのアクセスは、連続スリットを通して、又はダクトの特定の場所に作られた切り抜き窓を通して、提供することができる。
【0066】
図13A及び13Bは、代替ダクト410及び410’の断面図を示す。図13Aに示される代替態様では、ダクト410は低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える。ダクト410は、ラベルストック材から形成することができるカバー材412を含む。あるいは、カバー材412は、PVC材料などの押し出し成形によって形成されてもよい。好ましい態様では、カバー材412は、当局が定めるV0耐炎性のような耐炎性を提供するように選択されてもよい。カバー材412は塗布され得る材料であってよく、又は更なる代替態様では、カバー材412を装飾モールディング又は壁紙で覆ってもよい。光ファイバ419(ファイバ1〜Nとして図示)は、カバー材412と敷設される壁又は表面との間に形成される空洞部分に配置される。接着剤416は、空洞領域413の外側のカバー材の取り付け側に配置される。接着剤裏張りは、剥離可能なライナー418を含むことができる。
【0067】
図13Bに示される更なる代替態様では、ダクト410’は低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える。この態様では、ベースシート411を、カバー材412と敷設される壁又は表面との間に提供する。追加的接着剤がベースシート411をカバー材412の壁側に固着させる。
【0068】
光ファイバ419は、好ましいファイバの上の切り抜き窓又はスリットを介して、容易な抽出のために浮動させて、空洞413内に配置することができる。この構成では、アクセスボックス150内にて格納及び終端するための余分なファイバを空洞413内から自由に引き出し、住戸へのサービス送達のために利用可能にすることができる。ライナー418は、敷設される壁又は表面にダクトを適用するときに取り外される。
【0069】
図11A〜11Cを再び参照すると、ダクトアプリケータツール300は、金属又はプラスチックのような剛性材料で形成された概して平面のフレーム312を含む。フレーム312は、適用されるダクトを受け取るダクトチャネル320a及び320bを支え、ダクトが壁又は他の表面に提供される際に、ダクト110に押圧を加える支持面を提供する。ダクトチャネル320a及び320bは、ツール300の壁側表面313上に配置され、ダクトの形にぴったり合い、より均一な支えを提供することができる。例えば、図11Cに示されるように、ダクトチャネル320bは、ダクト110の形にぴったり合うように構成された溝321を含む。一態様では、ダクトチャネル320a及び320bは、ダクトの表面を用意に摺動可能なテフロン材で形成される。別の態様では、チャネル320a及び320bをローラーとして構成することができる。ダクトの上を滑らかに通過するツール300にすることにより、壁の痕又は他の損傷の可能性を低減することができる。
【0070】
1つ以上のダクトガイド315a、315bもまた提供されて、ダクトがその格納リール(図示せず)又は他の場所からダクトをツール300の方へ、具体的にはダクトチャネル320a、320bの方へ導くのを助ける。1つ以上のダクトガイド315a、315bは、フレーム312の一端又は両端に配置すること又はそれ(ら)から延びることができる。図11A及び11Bには2つのダクトガイドが図示されているが、単一のダクトガイドのみを有するダクトアプリケータツールを利用してもよい。1つ以上のダクトガイド315a、315bは、ダクトがツール300に供給される際にダクト110を摺動式に又は転がり式に受け取る一式の柱314a、314bを含むことができる。一式の柱314a、314bはまた、ダクトが壁又は他の表面に連続的に適用される際に、ダクト110の剥離ライナーを引き剥がすのを助ける表面を提供することができる。故に、ツール300は、廊下の長さに沿って移動しながらダクトの接着ライナーを取り外し、接着の直前に接着面を壁に対して露出することができる。
【0071】
上述のように、ダクト110は、住戸の入り口の上又は廊下のベースボードに沿った場所のような予め選択された高さで壁又は他の表面に取り付けることができる。したがって、ダクトアプリケータツール300は、柱327a、327bのような位置調整機構を含む。これらの柱327a、327bは、ダクトの場所として望ましい高さによって調整され得る。一態様では、図11Aが示すように、柱を、廊下のクラウンモールディングの底面のような参照面に沿って(ツールが壁に沿って左又は右に平行移動する際にクラウンモールディングからツールまでの高さを同じに維持する)又はベースボードの上部に沿って乗るガイドホイール325a、325bに連結することができる。このようにすると、ダクトを参照面に対して実質的に平行に適用することができる。好ましい態様では、ホイール325a、325bは、低い抵抗性の、傷をつけないホイールである。
【0072】
別の態様では、図11Bに示されるように、天井の表面に沿って転がることができ、ツール300を廊下の天井の下の特定の高さに位置決めできるローラー326a、326bに、柱327a、327bを連結することができる。加えて、これらのローラーは、使用される参照面のタイプ(平坦、非平坦等)によって、壁に沿ってツールを安定かつ滑らかに平行移動するよう異なる材料で形成することができる更なる代替態様では、ホイールを織布又は柔軟性材料で覆って、粗い表面上を滑らかに移動させることができる。
【0073】
一態様では、ダクトを受け取る壁の表面にぴったり一致するよう、ツール300は複数の接触ポイントを含むことができる。例えば、ツール300は、ダクトチャネル320a、320b(図11Cには、ダクトチャネル320bの背面側のみが図示される)の両方に形成された接触ポイント322(ツール300の背面側を示す図11Cを参照)で壁又は取り付け面と接触することができる。加えて、1つ以上の追加的取り付け構造318をフレーム312に取り付けて、(1つ又は複数の)追加的接触面323を提供することができる。(1つ又は複数の)接触面は、適用プロセスの間にツール300が壁若しくは取り付け面から又は壁若しくは取り付け面の方へ振れることを最少限にするように構成することができる。
【0074】
上述のように、ツール300は手持ち式にしてもよく、又は拡張式ポール340若しくは他の装置に必要に応じて取り付けてもよい。例えば、図11Aに示されるように、ハンドル335を(少なくとも左右の動きを可能にし、上下の動きもまた可能にする)スイベル柱330に提供して、壁に沿ってツールをいずれの方向へ押すことも、より容易にすることができる。ハンドル335は、敷設者の手によって把持されるように、及び/又は拡張ポール又はポスト340を許容するように構成することができる。拡張ポール又はポスト340は、梯子に繰り返し上り下りしては梯子を動かす必要なく敷設者がツール300を連続的に使用して、比較的高い位置にダクトを敷設することを可能にする。所望により、ハンドル335は、敷設中に適切な押圧が付加されていることを敷設者に示すためのばね又は他の抵抗要素を更に含むことができる。あるいは、ばね又は他の抵抗要素を有する第2のツールを使用して、ダクトの上を移動して戻り、ダクトに十分な力が適用されたことを初期敷設後に確認することができる。図11A〜11Cに示されるように、スイベル柱330は、フレーム312の中央部分に配置される。代替態様では、スイベル柱330をフレーム312の異なる部分に取り付けて、例えば、敷設に使用される参照面又はシステムを敷設する高さによって、更なる安定をもたらすことができる。
【0075】
ダクトの敷設のためにツール300を使用する前に、ダクト110にファイバ(図示せず)及び/又は電線(図示せず)を予め装填することができる。ファイバ用途では、一態様において、従来のSCコネクタ又は従来のMTコネクタのような光ファイバコネクタでファイバを予め終端することができる。所望により、ダクト110のどちらの端にもコネクタを供給せず、機械的コネクタ若しくはスプライス、又は融着コネクタ若しくはスプライスによって、ファイバを現場で終端することができる。
【0076】
別の態様では、ダクト110をバルクリールに巻いてロールにすること、又は敷設場所で配備用の長さにカスタムカットすることができる。コネクタで接続準備されたファイバダクトの端をターミナルボックス(例えば、上述のFDT 65)に供給し、適切に固定することができる。ダクト110をFDTに直接に、又は一連の導管/壁を通して供給して、FDTに到達させることができる。
【0077】
また、敷設の前に、ダクトが取り付けられる壁を試験し、適正な接着を確保するよう洗浄してもよい。例えば、同一の接着剤裏張りを有する試験棒又は重量測定された棒を使用して、接着の程度を試験することができる。
【0078】
敷設中、ダクト110は、カートに配置可能な格納リールから連続的にツール300に供給される。敷設者は、敷設の高さ及び場所を計画し、出発場所を設定することができる。この場所で、剥離ライナーの一部分を取り外し、テープで壁に保持することができる。また、所望により、敷設の前に表面の不規則部分(段又は急な出っ張りなど)をライナーシートで覆うことができる。そうしておいて、敷設中にツールが壁に沿って特定の表面の不規則部分に移動するにつれて、その予め配置されたライナーシートの上にダクトを配置し、表面の不規則部分に沿ってダクトが滑らかに移動することを確保する。ツールが通過した後、ライナーシートを取り外し、ダクトを手で整列し直すこと又は水平にすることができる。一態様では、ライナーシートは、そのような事後の再配置のためにダクトを壁の表面に接着させないようにする剥離剤を含む。
【0079】
代替態様として、図15A〜15Bは、代替ダクトアプリケータツール600を示す。ダクトアプリケータツール600は、金属又はプラスチックのような剛性材料で形成された概して平面のフレーム612を含む。フレーム612は、適用されるダクトを受け取るダクトチャネル620a及び620bを支え、ダクトが壁又は他の表面に提供される際に、ダクト110を押圧する支持面を提供する。この態様では、ダクトチャネル620a及び620bは、より均一な支えをもたらすためにダクトの形にぴったりと一致して、ダクトが敷設される際にダクト110の上を回転するスロット付きホイール又はローラーとして形成される。ダクトの上を滑らかに通過するツール600にすることにより、壁の痕又は他の損傷の可能性を低減することができる。
【0080】
1つ以上のダクトガイド615a、615bもまた提供されて、ダクトをその格納リール(図示せず)又は他の場所からツール600の方へ、具体的には、ダクトチャネル620a、620bの方へ導くのを助ける。1つ以上のダクトガイド615a、615bをフレーム612に調整可能に取り付け、フレーム612の一端若しくは両端に配置すること又はフレーム612の一端若しくは両端から延出させることができる。加えて、1つ以上のダクトガイド615a、615bを、例えば、ダクトガイド615bが壁又は取り付け面から傾斜して離れることができるように、ある角度でフレーム612に配置することができる。この角度付きの位置は、ツール600を壁又は他の表面に沿って移動するために必要な力の量を低減することができる。別の態様で、図15A及び15Bには2つのダクトガイドが図示されているが、単一のダクトガイドのみを有するダクトアプリケータツールを利用してもよい。更に、ツールに衝撃/損傷抵抗性をもたらすために強く耐久性のある材料で1つ以上のダクトガイド615a、615bを形成することができる。
【0081】
ダクトガイド615a、615bの少なくとも1つは、ダクト110がツール600に供給される際にダクト110を摺動式に受け取ってダクト110の剥離ライナーを連続的に引き剥がすのを助ける表面を提供するライナー取り外しツバ614aを含むことができる。ライナー取り外し方向は図15Aで矢印3によって示されているが、ここでライナーはガイド構造627aによって適切な方向に更に導かれ得る。代替態様では、ライナー取り外しツバ614aを、ツールが壁又は他の表面に沿って進むにつれて取り外されたライナーを滑らかに支えて方向づけできる柱又はローラー構造(図示せず)として改良又は交換することができる。故に、ツール600は、廊下の長さに沿って移動しながらダクトの接着ライナーを取り外し、接着の直前に接着面を壁に対して露出することができる。
【0082】
ダクトアプリケータツール600は、柱627a、627bのような、ダクトの位置として望まれる高さによって、調整可能な位置調整機構を含む。柱を、天井又は廊下のクラウンモールディングの底面のような参照面に沿って(ツールが壁に沿って左又は右に平行移動する際にクラウンモールディングからツールまでの高さを同じに維持する)又はベースボードの上部に沿って乗るガイドホイール625a、625b(簡易にするために取り外されていたガイドホイールを図15A(Fig. 15A)は有する)に連結することができる。好ましい態様では、ホイール625a、625bは、低い抵抗性の、傷をつけないホイールである。加えて、この態様では、ホイール625a、625bは、天井から約0.63cm〜約10.2cm(0.25インチ〜約4インチ)の位置にダクト110が位置づけられるように天井から間隔を開けてツールを置くことができる。
【0083】
別の態様では、図15Bに示されるように、ツール600はまた、ツール600を廊下の天井から特定の距離だけ下に位置づけることができるローラー626a、626bを含むことができる。加えて、これらのローラー626a、626bは、使用される参照面のタイプ(平坦、非平坦等)によって、壁に沿ってツールを安定かつ滑らかに平行移動させる異なる材料で形成することができる。更なる代替態様では、ホイールを織布又は柔軟性材料で覆って、粗い表面上を滑らかに移動させることができる。
【0084】
ツール600は、更に、敷設中のより大きい安定性のために支持ホイール622a、622bで壁又は取り付け面と接触することができる。
【0085】
ツール600は、手持ち式であってよく、又はポール若しくは他の装置に必要に応じて取り付けてもよい。例えば、(少なくとも左右の動きを可能にし、上下の動きもまた可能にする)スイベル取り付け機構630を提供して、壁に沿ってツールをいずれの方向へ押すことも、より容易にすることができる。一態様では、スイベル機構630は、ボールジョイント/ソケット構成体を含むことができる。敷設者は、所望により、望ましい量のスイベル作用をもたらすために、又はその配向角度にハンドルをロックするために、スイベル機構を締めること又は緩めることができる。いくつかの態様では、敷設者が繰り返し梯子に上り下りして梯子を動かす必要なく、ツール600を連続使用してダクトを比較的高い位置に敷設することを可能にする、端表面631に取り付けられた棒又は柱(図示せず)に、機構630を連結することができる。
【0086】
別の態様では、ツール600はまた、敷設中に適切な押圧が付加されていることを敷設者に示す、スイベル取り付け機構630に連結された圧力機構650を含むことができる。この代替態様では、圧力機構650は、支持プレート構造に連結された1つ以上の圧縮ばね652a、652b又は他の抵抗要素を含むことができ、支持プレート構造は複数のプレート654a、654b、654c(プレート654cは図15Bに図示されている)を有し、これらのプレートは更にスイベル取り付け機構630に連結されている。
【0087】
動作に際し、敷設者は、ダクトチャネル620a、620b、及び支持ホイール622a、622bが壁又は他の表面に接触するようにツールを壁又は他の表面に押し付ける。定量の押圧が付加されると、圧力機構650が「止められた」すなわち非動作の位置から解放されて動作位置になる。動作位置では、圧力機構650は浮動抵抗力をスイベル取り付け機構630にもたらす。圧力機構650が「止められた」位置から解放されることは、壁又は他の表面へのダクト110の十分な接着を確保するために適切な量の力がツール/ダクトに付加されていることを示す。ばねの力は、異なるダクトのサイズ、形、及び接着要求を許容するために調整する(例えば、ばねを変更することによって)ことができる。したがって、十分な力がダクトに付加されることを確保するために二次的ツールをダクトに這わせて戻すことは、この態様では必要ない。
【0088】
前述の態様と同様に、ファイバ(図示せず)及び/又は電線(図示せず)をダクト110に予め装填することができる。ファイバ用途では、一態様では、ファイバの一端を従来のSCコネクタ又は従来のMTコネクタのような光ファイバコネクタで、カップリング又は他のアダプタを介して、工場で予め終端することができる。所望により、ダクト110のどちらの端にもコネクタを供給せず、機械的コネクタ若しくはスプライス、又は融着コネクタ若しくはスプライスによってファイバを現場で終端することができる。
【0089】
前述の態様と同様に、ダクト110をバルクリールに巻いてロールにすること、又は敷設場所で配備用の長さにカスタムカットすることができる。コネクタで接続準備されたファイバダクトの端をターミナルボックス(例えば、上述のFDT 65)に供給し、適切に固定することができる。ダクト110をFDTに直接に、又は一連の導管/壁を通して供給して、FDTに到達させることができる。
【0090】
敷設中、ダクト110は格納リールからツール600へと、装置の左側又は右側から連続供給される。敷設者は、敷設の高さ及び場所を計画し、出発場所を設定することができる。この場所で、剥離ライナーの一部分を取り外して、テープで壁に保持することができる。また、所望により、敷設の前に、壁の不規則部分(段又は急な出っ張りなど)をライナーシートで覆うことができる。そうしておいて、敷設中に、ツールが壁に沿って特定の壁の不規則部分に移動するにつれて、その予め配置されたライナーシートの上にダクトを配置して、壁の不規則部分に沿ってダクトが滑らかに移動することを確保する。ツールが通過した後、ライナーシートを取り外し、ダクトを手で整列し直すこと又は水平にすることができる。
【0091】
曲がり角では、ダクト110を敷設する前に、適切な曲がり角の場所に、曲がり角用曲げ制御部品501及び551(図14A〜14Dの内側曲がり角及び外側曲がり角を参照)を設置することができる。好ましい態様では、ダクト110及びそれに収容された通信線、特にファイバが過度の曲げにさらされないように、曲がり角用曲げ制御部品501、551を曲げることができる。美観のために、曲がり角用部品は目立たないものにすることができる。
【0092】
例えば、図14A及び14Bは、部屋又は廊下の内側の角を覆うように構成される代表的な曲がり角用部品501を示す。この態様では、曲がり角用部品501は、2つの部分からなる構成体を有することができ、剛性プラスチック材料又は金属のような好適な剛性材料で形成することができる。ベース部分510は、壁又は他の表面に取り付けることができる。この態様では、ベース部分510は、壁に取り付けるための接着剤裏張り512を含む。カバー部分520は、ベース部分510を覆う。ベース部分は、たとえ壁が完璧な直角の角を有していなくても壁にぴったりと一致できる柔軟な曲がり角部分515を含むことができる。図14A及び14Bの態様では、スロット516をベース部分510の曲がり角部分515に形成して、ベース部分510を90度より大きく又は90度より小さく曲げることを可能にすることができる。動作に際して、ベース部分510は、ダクトの適用の前に内側曲がり角に取り付けることができる。曲がり角部品510に到達したら、ダクト又はその内部の線が曲がり過ぎによる損傷を受けるのを防ぐように曲がり角で十分な曲げ半径で曲がる外側表面511にダクトを取り付けることができる。ダクトを取り付けた後、従来の締結機構を用いてカバー部分520をベース部分510に締結することができる。この態様では、代表的なスナップ機構518を使用する。一態様では、図14A及び14Bに図示されるように、カバー部分520は、ダクト110のようなダクトの外形と密に一致する形を有することができる。また、美観のために、他の形を使用することもできる。
【0093】
同様に、図14C及び14Dに示されるように、外側曲がり角には外側曲がり角用部品551が提供される。曲がり角用部品551は、2つの部分からなる構成体を有することができ、ベース部品560は壁の外側曲がり角に取り付けられる、例えば接着剤裏張り562を含み、カバー部分570はベース部分560を覆う。図14C及び14Dの態様では、ベース部分560の曲がり角部分565は、ベース部分560を90度より大きい角度又は90度より小さい角度に曲げることを可能にするように構成できる。動作に際して、ベース部分560は、ダクトの適用の前に外側角に取り付けることができる。曲がり角部品560に到達したら、ダクト又はその内部の線の曲がり過ぎによる損傷を防ぐように曲がり角で十分な曲げ半径で曲がる外側表面561にダクトを取り付けることができる。ダクトを取り付けた後、スナップ機能568のような従来の締結機構を使用してカバー部分570をベース部分560に締結することができる。好ましい態様において、図14C及び14Dに示されるように、カバー部分570はダクトの外形と密に一致する形を有することができる。図示されていないが、代替態様では、システム100、200、200’は、面内の曲がり角部品、ダクトカバー部品、及びブリッジ(損なわれた壁セクションでダクトを支える)のような追加的な構造を更に使用することができる。
【0094】
加えて、代替態様では、曲がり角部品はそれぞれ一体となった構成体を備える。更なる代替態様では、カバーでベース部分を閉じるためにリビングヒンジを使用することができる。
【0095】
本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、より速い速度及び容易な配備を提供することによってFTTXネットワークの重要なセグメントの敷設費を下げることができる。また、本システムの構成要素は、所有者及び居住者にとって重要な建物廊下の美観を改善する一方で、同時に、ケーブル格納、ファイバ管理、スプライシング、及び終端を有する全機能たるみ格納アクセスボックスを全て1つの箱の中に提供するように設計されている。更に、敷設者は、ダクトの上に直接にドロップアクセスボックスを取り付けることができる。このアプローチは、更に、建物の美観に悪影響を及ぼす場合のある性質をコントロールし、ダクト及びボックス配置の面で敷設者に柔軟性を提供する。したがって、敷設者は、たとえ密閉部が壁の間柱に直接かかる場所にあっても、密閉部内でアパート/オフィスに必要な穴を開けることができる。
【0096】
更に、従来の壁コンセントは、非常に多くの場合、箱の外に露出されたコネクタを少なくとも1つ有するので損なわれやすい。代替方法として、配線ファイバ及びドロップファイバの両方の終端接続を完全に囲うために、より大きい従来の壁コンセントボックスが頻繁に使用される。しかし、この従来のアプローチは目障りである場合があり、廊下の美観にマイナスの影響を及ぼす場合がある。
【0097】
これに対して、本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、終端接続を完全に囲うことができる。加えて、このドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、単一の成形品の中で配線ケーブルの上にある空間をスプライス、コネクタ、及び他の構成要素のために効率的に活用するものであり、スプライストレーのような追加的構成要素を伴うより大きいボックスを必要としない。本明細書に記載されるドロップアクセスロケーションの方法及びシステムは、FDT又は居住者の住宅に入らずにネットワークテストのアクセスポイントを提供するので、他の居住者のサービスに支障をきたす可能性を取り除く又は減らす。このシステムは、顧客へのドロップケーブルが既に住戸の外側に位置づけられているので、FDTからONTへドロップケーブルを戻して走らせる必要を回避し、サービスを作動させるために使われる労働費の低減を促進する。また、このシステムは、費用のかかる整備要請への対応及びファイバドロップケーブルのルーティングのし直しが必要となるドロップケーブルのマクロベンドの可能性も取り除く。
【0098】
また、このドロップアクセスボックスは、従来の壁コンセントボックス(電気ボックスタイプ)内にケーブルを配置しないサービスアクセスポイントが望まれる場合に、住戸内で使用することができる。この表面取り付け式壁ボックスは、ONTと住戸に送られた配線ケーブルとの間の接続ポイントとして使用できる。
【0099】
更に、このドロップアクセスロケーションシステムは、中断されることのない電力サービスを含む通信及び電力サービスを個々の顧客のONTに提供するためにバイブリッド組み合わせドロップを許容するように構成できる。このバックアップ電力は、特定の階の各住戸に単一のソースから供給できるので、それぞれの個々のONTのバックアップ電池の必要をなくす。
【0100】
本発明は、上記の特定の実施例に限定されると考えられるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に適正に記載されるように、本発明のすべての態様を網羅すると理解されるべきである。本明細書を検討すれば、本発明が適用可能であってもよい様々な変更、等価の処理、並びに多数の構造が、本発明が対象とする技術の当業者には容易に明らかになるであろう。特許請求の範囲は、そのような修正及び工夫を網羅することを意図したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドロップロケーションへの通信アクセスのためのシステムであって、
貫通して形成された穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線と、ダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を包含する、ダクトと、
ベース及びカバーを含むアクセスボックスと、を備え、前記アクセスボックスが、前記ベースに形成された取り付けセクションと、前記ベース及び前記カバーのうち少なくとも1つに形成されたたるみ格納セクションと、前記ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含み、前記取り付けセクションが、前記ダクトの外形にかぶさって、それ自体から張り出すように構成され、前記たるみ格納セクションが、前記導管部分からアクセスされる通信線を前記カップリングデバイス取り付けエリアに送り、そのアクセスされた通信線の余分量を格納するための1つ以上のガイドを備え、前記通信線カップリングデバイス取り付けエリアが、前記アクセスされた通信線をドロップケーブルに接続するカップリング、アダプタ、及びスプライスのうち少なくとも1つを受け取るように構成される、システム。
【請求項2】
前記カップリングデバイス取り付けエリアが、融着スプライス、機械的スプライス、カップリング、及びアダプタのうち少なくとも1つを受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ダクトが可撓性材料で形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の通信線が、複数のほぐれた光ファイバ及び1つのファイバリボンケーブルのうち1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の通信線が、同軸ケーブル、通信銅線、及び電線のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクセスされた通信線が光ファイバを備え、前記光ファイバが現場終端可能な光ファイバコネクタに終端され、前記カップリングデバイス取り付けエリアが、2つの光ファイバコネクタを受け取り接続するように構成されたアダプタを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記たるみ格納セクションが、前記アクセスされた光ファイバがその最低曲げ半径を超えることを防ぐための1つ以上の曲げ半径制御構造を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドロップケーブルが、コネクタで予め接続準備されたファイバピグテールを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ダクト取り付け部分がツバを備え、前記ツバが、その少なくとも1面に配置された接着剤裏張りを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドロップケーブルが、多世帯住宅(MDU)の個々の住戸に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、MDU、MTU、ホテル、病院、学校、及びアパートのうち1つの廊下に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクセスボックスが、その取り外し可能なカバーで覆われたときに、約0.63cm〜約3.8cm(0.25インチ〜約1.5インチ)の深さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記取り付けセクションが、更に、前記取り付けられたダクトと前記取り外し可能なカバーとの間に配置された張り出したブリッジ支持体を含み、前記張り出したブリッジ支持体が前記取り付けセクションに強度を付加し、露出されているアクセスされた通信線を覆う、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ダクトが、テレコミュニケーションサービスの分離を提供するように構成された複数の長手方向スリットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ダクトが、前記導管部分に配置された1つ以上の通信線へのアクセスを可能にするために前記導管部分に形成されたスリットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の通信線が、更に、電力線を備え、前記電力線が、中断されることのないDC電力及びAC電力のうち少なくとも1つを前記ドロップロケーションで個々の住戸に位置づけられた光ネットワークターミナルに供給する、請求項5に記載のシステム。
【請求項17】
前記ダクトが、更に、追加的サービス及び修理のいずれかを提供するための追加的通信線の挿入を可能にするために前記導管部分の穴に配置された内管を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ダクトが、低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
建物の廊下のドロップロケーションへの通信アクセスを敷設するためのシステムであって、
貫通して形成された穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線と、ダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を包含するダクトであり、少なくともそのツバ部分に配置された接着剤を含む、ダクトと、
格納構造から前記ダクトを連続的に受け取るためのダクトアプリケータツールと、を備え、前記アプリケータツールは、概して平面のフレームを有し、この平面のフレームは少なくとも1つのダクトチャネルを支え、このダクトチャネルはダクトを受け取り、概して平らな表面に前記ダクトが適用される際に前記ダクトに押圧を付加する支持面を提供する、システムにおいて、前記アプリケータツールは、前記フレームの少なくとも一端に配置可能な1つ以上のダクトガイドを含み、前記1つ以上のダクトガイドは、前記ダクトをその格納構造から前記少なくとも1つのダクトチャネルに導く、システム。
【請求項20】
前記ダクトアプリケータツールが、適切な押圧が前記ダクトアプリケータツールに付加されたことを敷設者に示す目安を提供するために前記平面のフレームに連結された圧力機構を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ダクトアプリケータツールが、前記ダクトが前記概して平らな表面に連続的に適用されるにつれて接着剤で裏張りされたダクトからライナーを連続的に取り外すためにライナー取り外し構造を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ダクトアプリケータツールが、参照面に対する前記ツールの位置を維持するために前記参照面に前記フレームを連結する位置調整機構を更に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
既存のMDU、MTU、又は他の同様の住宅又は商用建物の廊下に通信線を提供するための方法であって、
前記建物の廊下にダクトを敷設する工程において、前記ダクトが、前記ダクトの導管部分内に配置されたほぐれた状態でパックされた複数のバッファ光ファイバ及び1つのリボンファイバケーブルのうち1つを含む、敷設する工程と、
少なくとも1つの光ファイバに、第1のファイバドロップロケーションにて前記ダクトからアクセスする工程と、
第1のドロップアクセスボックスを第1のドロップロケーションに敷設する工程において、前記第1のドロップアクセスボックスがベース及びカバーを含み、前記アクセスボックスが、前記ベースに形成された取り付けセクションと、前記ベースに形成されたたるみ格納セクションと、前記ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含み、前記アクセスボックスが張り出すやり方で前記ダクト上に取り付けられて前記アクセスされたファイバを覆う、敷設する工程と、
前記アクセスされたファイバを終端する工程と、
前記終端した、アクセスされたファイバをカップリングに連結し、前記カップリングを前記通信線カップリングデバイス取り付けエリアに取り付ける工程と、
前記アクセスされたファイバからのファイバたるみを、前記ドロップアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送り格納する工程と、を含む、方法。
【請求項24】
請求項23の方法が、更に、
前記第1のドロップロケーションで前記建物の個々の住戸にアクセスする工程において、前記第1のドロップロケーションで廊下の壁に貫通穴を開ける、アクセスする工程と、
前記貫通穴のロケーションを通して前記個々の住戸にドロップケーブルを供給する工程と、
前記ドロップケーブルを前記アクセスされたファイバに通信線カップリングを介して接続する工程と、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ダクトが、建物の廊下の壁に、住戸の入り口の上の予め選択された高さに接着剤で取り付けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
ドロップロケーションへの通信アクセスのためのシステムであって、
貫通して形成された穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線と、ダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を包含する、ダクトと、
ベース及びカバーを含むアクセスボックスと、を備え、前記アクセスボックスが、前記ベースに形成された取り付けセクションと、前記ベース及び前記カバーのうち少なくとも1つに形成されたたるみ格納セクションと、前記ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含み、前記取り付けセクションが、前記ダクトの外形にかぶさって、それ自体から張り出すように構成され、前記たるみ格納セクションが、前記導管部分からアクセスされる通信線を前記カップリングデバイス取り付けエリアに送り、そのアクセスされた通信線の余分量を格納するための1つ以上のガイドを備え、前記通信線カップリングデバイス取り付けエリアが、前記アクセスされた通信線をドロップケーブルに接続するカップリング、アダプタ、及びスプライスのうち少なくとも1つを受け取るように構成される、システム。
【請求項2】
前記カップリングデバイス取り付けエリアが、融着スプライス、機械的スプライス、カップリング、及びアダプタのうち少なくとも1つを受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ダクトが可撓性材料で形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の通信線が、複数のほぐれた光ファイバ及び1つのファイバリボンケーブルのうち1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の通信線が、同軸ケーブル、通信銅線、及び電線のうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アクセスされた通信線が光ファイバを備え、前記光ファイバが現場終端可能な光ファイバコネクタに終端され、前記カップリングデバイス取り付けエリアが、2つの光ファイバコネクタを受け取り接続するように構成されたアダプタを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記たるみ格納セクションが、前記アクセスされた光ファイバがその最低曲げ半径を超えることを防ぐための1つ以上の曲げ半径制御構造を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドロップケーブルが、コネクタで予め接続準備されたファイバピグテールを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ダクト取り付け部分がツバを備え、前記ツバが、その少なくとも1面に配置された接着剤裏張りを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドロップケーブルが、多世帯住宅(MDU)の個々の住戸に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、MDU、MTU、ホテル、病院、学校、及びアパートのうち1つの廊下に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクセスボックスが、その取り外し可能なカバーで覆われたときに、約0.63cm〜約3.8cm(0.25インチ〜約1.5インチ)の深さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記取り付けセクションが、更に、前記取り付けられたダクトと前記取り外し可能なカバーとの間に配置された張り出したブリッジ支持体を含み、前記張り出したブリッジ支持体が前記取り付けセクションに強度を付加し、露出されているアクセスされた通信線を覆う、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ダクトが、テレコミュニケーションサービスの分離を提供するように構成された複数の長手方向スリットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ダクトが、前記導管部分に配置された1つ以上の通信線へのアクセスを可能にするために前記導管部分に形成されたスリットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の通信線が、更に、電力線を備え、前記電力線が、中断されることのないDC電力及びAC電力のうち少なくとも1つを前記ドロップロケーションで個々の住戸に位置づけられた光ネットワークターミナルに供給する、請求項5に記載のシステム。
【請求項17】
前記ダクトが、更に、追加的サービス及び修理のいずれかを提供するための追加的通信線の挿入を可能にするために前記導管部分の穴に配置された内管を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ダクトが、低プロファイルの接着剤で裏張りされたリボンファイバテープを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
建物の廊下のドロップロケーションへの通信アクセスを敷設するためのシステムであって、
貫通して形成された穴を伴う導管部分を有し、1つ以上の通信線と、ダクトを概して平らな表面に取り付けるための取り付け部分と、を包含するダクトであり、少なくともそのツバ部分に配置された接着剤を含む、ダクトと、
格納構造から前記ダクトを連続的に受け取るためのダクトアプリケータツールと、を備え、前記アプリケータツールは、概して平面のフレームを有し、この平面のフレームは少なくとも1つのダクトチャネルを支え、このダクトチャネルはダクトを受け取り、概して平らな表面に前記ダクトが適用される際に前記ダクトに押圧を付加する支持面を提供する、システムにおいて、前記アプリケータツールは、前記フレームの少なくとも一端に配置可能な1つ以上のダクトガイドを含み、前記1つ以上のダクトガイドは、前記ダクトをその格納構造から前記少なくとも1つのダクトチャネルに導く、システム。
【請求項20】
前記ダクトアプリケータツールが、適切な押圧が前記ダクトアプリケータツールに付加されたことを敷設者に示す目安を提供するために前記平面のフレームに連結された圧力機構を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ダクトアプリケータツールが、前記ダクトが前記概して平らな表面に連続的に適用されるにつれて接着剤で裏張りされたダクトからライナーを連続的に取り外すためにライナー取り外し構造を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ダクトアプリケータツールが、参照面に対する前記ツールの位置を維持するために前記参照面に前記フレームを連結する位置調整機構を更に備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
既存のMDU、MTU、又は他の同様の住宅又は商用建物の廊下に通信線を提供するための方法であって、
前記建物の廊下にダクトを敷設する工程において、前記ダクトが、前記ダクトの導管部分内に配置されたほぐれた状態でパックされた複数のバッファ光ファイバ及び1つのリボンファイバケーブルのうち1つを含む、敷設する工程と、
少なくとも1つの光ファイバに、第1のファイバドロップロケーションにて前記ダクトからアクセスする工程と、
第1のドロップアクセスボックスを第1のドロップロケーションに敷設する工程において、前記第1のドロップアクセスボックスがベース及びカバーを含み、前記アクセスボックスが、前記ベースに形成された取り付けセクションと、前記ベースに形成されたたるみ格納セクションと、前記ベースに配置された通信線カップリングデバイス取り付けエリアと、を含み、前記アクセスボックスが張り出すやり方で前記ダクト上に取り付けられて前記アクセスされたファイバを覆う、敷設する工程と、
前記アクセスされたファイバを終端する工程と、
前記終端した、アクセスされたファイバをカップリングに連結し、前記カップリングを前記通信線カップリングデバイス取り付けエリアに取り付ける工程と、
前記アクセスされたファイバからのファイバたるみを、前記ドロップアクセスボックスのたるみ格納セクションを通して送り格納する工程と、を含む、方法。
【請求項24】
請求項23の方法が、更に、
前記第1のドロップロケーションで前記建物の個々の住戸にアクセスする工程において、前記第1のドロップロケーションで廊下の壁に貫通穴を開ける、アクセスする工程と、
前記貫通穴のロケーションを通して前記個々の住戸にドロップケーブルを供給する工程と、
前記ドロップケーブルを前記アクセスされたファイバに通信線カップリングを介して接続する工程と、を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ダクトが、建物の廊下の壁に、住戸の入り口の上の予め選択された高さに接着剤で取り付けられる、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2011−526003(P2011−526003A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516532(P2011−516532)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/048298
【国際公開番号】WO2009/158346
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/048298
【国際公開番号】WO2009/158346
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]