説明

多価アルコールからのヒドロキシケトン製造方法およびそれに用いる触媒

【課題】多価アルコールからヒドロキシケトンを高い選択率で効率的に製造する方法ならびにそれに用いる特定の触媒を提供する。
【解決手段】隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するに当たり、反応総体として脱水反応で進行することを特徴とする銅あるいは、銅−触媒担体複合体からなる触媒を用いることを特徴とするヒドロキシケトンの製造方法。
触媒担体としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、から選ばれるいずれか一種類以上が好ましく、多価アルコールとしては、グリセリンが挙げられ、ヒドロキシケトンとしては1−ヒドロキシアセトンでが例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する水酸基を持つ多価アルコールを原料とし、銅あるいは担持銅触媒を用いてヒドロキシケトンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アセトールに代表されるヒドロキシケトン類は化成品中間体、医薬品中間体などとして用いられ化学工業上重要な物質であるが、これまで効率的な製造方法が見つけられていなかった。従来、このようなヒドロキシケトンは、ジオールの酸化的脱水素(特許文献1)あるいは、ヒドロキシカルボン酸の水添により合成されていた。これらの反応はいずれも生成物にケトンという官能基を有するが故に、過剰な酸化分解あるいは過剰な還元という本質的な問題を有していた。
近年ではフォルムアルデヒド、一酸化炭素及び水素からアセトールを製造するという方法(特許文献2)があるが、当該方法は反応圧力が高く、反応装置が耐圧装置である必要があること、触媒にロジウム化合物という貴金属を用いること、さらには反応に溶媒を用いること等、設備投資、ランニングコストおよび反応効率という観点から問題のある反応であった。
また、脱水反応に着目し、公知の触媒である酸化アルミニウム等の酸触媒を用いて反応を行っても、後述する比較例に示すように、目的生成物であるヒドロキシケトンの選択率は低く効率的な触媒ではなかった。
更に近年公開された方法では、触媒としてシリカに担持した銅及びまたは酸化銅を用いて、グリセリンを気相接触反応させてモノヒドロキシアセトンを製造する方法が知られている(特許文献3)。該出願では、クロムを触媒成分として用いないことを特徴としているが、目的生成物であるジヒドロキシアセトンの収率が十分ではなく、更に希釈ガスとして窒素及び水素を加えることから空時収率が小さいという欠点を有している。
【0003】
【特許文献1】特公昭61−16256号公報
【特許文献2】特公平4−11534号公報
【特許文献3】特開2007−8850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来の技術課題を解決することにあり、特に、ヒドロキシケトンの製造に適した触媒を採択することにより、多価アルコールからヒドロキシケトンを高い選択率で効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、触媒として、銅あるいは、銅を特定の担体に担持させた触媒担体複合体を用いることにより、多価アルコールの脱水反応により隣接する水酸基を持つ水酸基の一級水酸基を脱水し、エノール体となったものが反応系内で互変異性によりケトン体を生成することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
つまり、本発明の重要な特徴は、触媒として、銅あるいは、銅を酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれるいずれか一種類以上の担体に担持させた触媒担体複合体を採択したこと、ならびにこれと多価アルコールの脱水反応を組み合わせた点に重要な技術的意義があり、これによって、はじめて、隣接する水酸基を持つ水酸基の一級水酸基を脱水し、エノール体となったものが反応系内で互変異性によりケトン体を生成することができる。
【0007】
すなわち、本発明によれば、隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するに当たり、反応総体として脱水反応で進行するとともに、触媒として、銅あるいは、銅を酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる担体に担持した触媒担体複合体を用いることを特徴とするヒドロキシケトンの製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化アルミニウムを含む触媒担体である上記製造方法が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化クロムを含む触媒担体である上記製造方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化ジルコニウムを含む触媒担体である上記製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである上記製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、触媒担体が酸化アルミニウムを含む触媒担体であり、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである上記製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、触媒担体が酸化ジルコニウムを含む触媒担体であり、多価アル
コールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである上記製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、触媒担体が酸化クロムを含む触媒担体であり、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである上記製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するに当たり、反応総体として脱水反応で進行するとともに、触媒として、銅あるいは、酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる担体に担持した銅−触媒担体複合体からなるヒドロキシケトン製造用触媒が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化アルミニウムを含む触媒担体である上記触媒が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化クロムを含む触媒担体である上記触媒が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、触媒担体が、酸化ジルコニウムを含む触媒担体である上記触媒が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである上記触媒が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、銅あるいは、銅を酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる特定の担体に担持した銅−触媒担体複合体を用い、かつ、反応総体として脱水反応で進行することにより、隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを高い選択率で効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、隣接する水酸基を持つ多価アルコールから高い選択率でヒドロキシケトンを製造する方法及び、その製造方法に用いられる特定のヒドロキシケトン製造用触媒からなるものであり、その要件は前述したとおりである。
本発明の触媒である銅−触媒担体複合体は、銅を酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウムから選ばれる1種類以上の触媒担体に担持した銅−触媒担体複合体である。
【0022】
本発明の反応総体の特徴である脱水反応とは、通常の脱水反応と比較して用いる触媒が大きく異なることを特徴とする。通常、アルコールの脱水反応を行なう場合は酸触媒の使用が広く普及しており、当該反応によりオレフィンあるいはエーテルが得られる。本発明における脱水反応も直接の生成物はオレフィンであると予想されるが、とりわけ、グリセリンの反応においては脱水に関わる水酸基が1位及び2位に存在し、1位の水酸基を選択的に脱水することによって、エノールアルコールとし、それが異性化することによってヒドロキシアセトンを生成する。
本反応が特に特徴的であるのは通常の酸触媒とされるアルミナやシリカ−アルミナの様な固体酸での脱水反応ではなく、通常は酸触媒に分類されない銅を触媒成分とすることである。
【0023】
本発明のヒドロキシケトン製造用触媒における銅は市販品、市販品を還元したもの、銅の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを熱分解したもの、あるいは熱分解後に公知の方法にて還元したもの等、いずれの形態でも触媒として使用することが可能である。同様に銅−触媒担体複合体についても市販品、市販品を還元したもの、当該金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを触媒担体に担持させ熱分解したもの、あるいは熱分解後に公知の方法にて還元したもの等、いずれの形態でも触媒として使用することが可能である。
【0024】
銅−触媒担体複合体における触媒担体への銅の担持方法は含浸法、共沈法等公知の方法を用いることが可能である。
例えば、銅の硝酸塩を触媒担体成分の前駆体である硝酸アルミニウム等と共に水に溶解し、そこにアルカリ水溶液を加えることによって得られる沈殿を乾燥、焼成、還元して得られる複合体が触媒として使用可能である。
銅−触媒担体複合体における、銅:触媒担体の含有比は、銅の重量%で1.00%以上の範囲で選択可能である。銅:触媒担体中の銅の含有比が1.00に満たない場合は十分な触媒活性を得ることができない。また銅触媒は担体を用いなくても使用可能である。
【0025】
本発明のヒドロキシケトン製造方法においては、隣接する水酸基を持つ多価アルコールを銅あるいは、銅および触媒担体複合体を触媒として用い、反応総体として脱水反応で進行することが重要な特徴である。
【0026】
本発明のヒドロキシケトンの製造で使用される反応装置は特に限定されない。たとえば、気相流通反応装置に所定量の触媒前駆体を入れ、これを公知の方法で還元することにより活性な触媒層を気相流通反応装置内に形成させる。ここに、原料の多価アルコールを供給することによりヒドロキシケトンを製造することが可能である。
【0027】
原料となる多価アルコールとしては、隣接する水酸基を持つ多価アルコールが用いられる。隣接する水酸基を持つ多価アルコールの具体例は、グリセリン、1,2,3−ブタントリオールなどが挙げられる。
【0028】
また、これらの原料から得られるヒドロキシケトンとしては、ヒドロキシアセトン、2−ヒドロキシ−3−ブタノン及び1−ヒドロキシ−2−ブタノンなどがあげられる。
【0029】
本発明のヒドロキシケトン製造方法は、隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するのに好ましく用いられる。具体的には、グリセリンからヒドロキシアセトンの製造、1,2,3−ブタントリオールから2−ヒドロキシ−3−ブタノン及び1−ヒドロキシ−2−ブタノンの製造に用いられる。
また、原料の多価アルコールは混合物であっても、同時に対応するヒドロキシケトンを製造することができる。
【0030】
本発明のヒドロキシケトン製造方法の反応温度は、150℃から400℃の範囲で適用可能であり、200℃から350℃の温度範囲が好適である。反応を十分に進行させるためには200℃以上が好ましく、225℃以上が特に好ましい。また、生成物選択率を良好に保つためには350℃以下が好ましく、更に好ましい反応温度は、225℃から300℃の範囲である。
【0031】
原料の多価アルコール中の水分は、0〜98重量%の範囲で用いることが可能で、好ましくは30〜70重量%の範囲である。多価アルコールの水分が30〜70重量%の範囲が反応効率が著しく優れており、目的生成物であるヒドロキシケトンを高い選択率で得ることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づいて本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例、比較例に用いた固定床常圧気相流通反応装置は、内径10mm、全長300mmの反応器であり、その上端にキャリアガス導入口と原料流入口があり、下端にガス抜け口を有する反応粗液捕集容器(冷却)を有するものである。
実施例、比較例に用いた触媒重量は、すべて0.5gであった。触媒である銅−酸化アルミニウムの触媒原料は、全て市販の試薬(和光純薬製、特級グレード)を用いた。
捕集容器に捕集された反応粗液は、ガスクロマトグラフィーにて測定し、検量線補正後、ヒドロキシアセトンなどの収量、グリセリンなどの原料の残量を決定し、この値から転化率(モル%)、選択率(モル%)を求めた。
【0033】
<実施例1>
(銅−酸化アルミニウム触媒の製造)
硝酸銅(和光純薬製、特級試薬)212.8g及び硝酸アルミニウム(和光純薬製、特級試薬)220.3gを水5Lに溶解させた溶液に、水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級試薬)154.1gを水1Lに溶解させた溶液を加えた際に生成する沈殿を乾燥、焼成し触媒前駆体とする。該触媒前駆体を固定床常圧気相流通反応装置に設置し、水素気流中で還元し銅−酸化アルミニウム触媒とする。
【0034】
<実施例2>
(ヒドロキシケトンの製造)
上記、銅−酸化アルミニウム触媒層の設定された固定床常圧気相流通反応装置の上部からキャリアガスとして窒素を10ml/min.の流速で流した。この原料である30wt%グリセリン水溶液は1.8ml/hの速度で触媒層へ供給し反応を行った。反応温度の相違によるグリセリン転化率、ヒドロキシアセトン選択率を表1に示す。
表1は、銅−酸化アルミニウム触媒によるグリセリンの脱水反応を示すものである。
【0035】
【表1】

表の結果から、グリセリン転化率は98%である反応条件下において、ヒドロキシアセトン選択率は92%と、副生成物が非常に少ないことが分かる。
【0036】
<実施例3>
(銅含有量を変えた銅−酸化アルミニウム触媒の製造)
実施例1に準じて銅と酸化アルミニウムの含有比を変えた銅−酸化アルミニウム触媒を調製し、ヒドロキシアセトン製造反応に供した。その他の条件は実施例2に準じた。
表2は、銅含有量を変えた銅−酸化アルミニウム触媒によるグリセリン脱水反応を示すものである。
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

表の結果から、銅含有量1.0wt%から100wt%まで、良好な転化率、選択率を有していることがわかる。
【0038】
<実施例4>
(銅触媒の製造)
硝酸銅(和光純薬製、特級試薬)303.8gを水5Lに溶解させた溶液に、水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級試薬)110.0gを水1Lに溶解させた溶液を加えた際に生成する沈殿を乾燥、焼成し触媒前駆体とする。該触媒前駆体を固定床常圧気相流通反応装置に0.5g設置し、水素気流中で還元し銅触媒とした。
【0039】
<実施例5>
(銅−酸化ジルコニウム触媒の製造)
硝酸銅(和光純薬製、特級試薬)200.3g及び硝酸ジルコニル2水和物(和光純薬製、特級試薬)73.9gを水5Lに溶解させた溶液に、水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級試薬)120.9gを水1Lに溶解させた溶液を加えた際に生成する沈殿を乾燥、焼成し触媒前駆体とする。該触媒前駆体を固定床常圧気相流通反応装置に0.5g設置し、水素気流中で還元し銅−酸化ジルコニウム触媒とした。
【0040】
<実施例6>
(銅−酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム触媒の製造)
硝酸銅(和光純薬製、特級試薬)156.3g、硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬製、特級試薬)161.8g、及び硝酸ジルコニル2水和物(和光純薬製、特級試薬)57.6gを水5Lに溶解させた溶液に、水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級試薬)150.9gを水1Lに溶解させた溶液を加えた際に生成する沈殿を乾燥、焼成し触媒前駆体とする。
該触媒前駆体を固定床常圧気相流通反応装置に0.5g設置し、水素気流中で還元し銅−酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム触媒とした。
【0041】
<実施例7>
反応温度を250℃に固定し、実施例1、4、5及び6に記載の触媒を用いて実験を行った。その他の条件は実施例2に準じた。
表3は、触媒担体の相違によるグリセリンの脱水反応への影響を示すものである。
結果を表3に示す。
【0042】
【表3】

表の結果から、担体の無い銅触媒のみでも反応は進行し、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムを触媒担体としたときに、グリセリン転化率、ヒドロキシアセトン選択率が高く、効率の良い反応が進行していることがわかる。更に酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの複合担体でも反応が進行している。
【0043】
<実施例8>
触媒に市販の触媒(N−201日揮化学製、銅−酸化クロム;N−242日揮化学製、
銅−酸化アルミニウム;G−22ズードケミー触媒製、銅−酸化クロム;T−317日産ガードラー製、銅−酸化アルミニウム)を用いて実験を行った。その他の条件は実施例7
に準じた。表4は、市販担持銅触媒によるグリセリン脱水反応の結果を示すものである。 結果を表4に示す。
【0044】
【表4】

【0045】
<実施例9>
触媒に市販の触媒(N−201、日揮化学製、銅−酸化クロム)を用いてグリセリン濃度の異なる原料を用いて実験を行った。その他の条件は実施例7に準じた。
表5は、グリセリン脱水反応への原料中水分の影響を示すものである。
結果を表5に示す。
【0046】
【表5】

【0047】
<実施例10>
実施例1に記載の銅−アルミニウム触媒を用い、1,2,3−ブタントリオールの脱水反応を行った。原料である1,2,3−ブタントリオールは30wt%水溶液として反応装置に供給した。その他の条件は実施例7に準じた。
表6は、1,2,3−ブタントリオールの脱水反応を示すものである。
結果を表6に示す。
【0048】
【表6】

【0049】
<比較例1>
触媒に銅を用いずに酸化アルミニウム担体のみを用い反応を行った。その他の条件は実施例7に準じた。
結果を表7に示す。
【0050】
【表7】

【0051】
<比較例2>
触媒に他の触媒担体を用いた銅触媒(銅−酸化セリウム、銅−酸化マグネシウム、銅−酸化亜鉛)を用いて実験を行った。その他の条件は実施例7に準じた。
結果を表8に示す。
【0052】
【表8】

表7及び表8の結果から、適当な触媒担体を用いなければ、効率的には反応が進行しないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、銅あるいは、銅を酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる特定の担体に担持した触媒担体複合体からなる触媒を用い、かつ、反応総体として脱水反応で進行することによって、高い選択率で、隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを好適に製造することができ、従来の触媒を用いたのではなし得なかった工業的に優位なヒドロキシケトンの製造技術を提供することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するに当たり、反応総体として脱水反応で進行するとともに、触媒として、銅あるいは、銅を酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる担体に担持した触媒担体複合体を用いることを特徴とするヒドロキシケトンの製造方法。
【請求項2】
触媒担体が、酸化アルミニウムを含む触媒担体である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
触媒担体が、酸化クロムを含む触媒担体である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
触媒担体が、酸化ジルコニウムを含む触媒担体である請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
触媒担体が酸化アルミニウムを含む触媒担体であり、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
触媒担体が酸化ジルコニウムを含む触媒担体であり、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
触媒担体が酸化クロムを含む触媒担体であり、多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
隣接する水酸基を持つ多価アルコールからヒドロキシケトンを製造するに当たり、反応総体として脱水反応で進行するとともに、触媒として、銅あるいは、酸化アルミニウム、酸化クロムおよび酸化ジルコニウムから選ばれる担体に担持した銅−触媒担体複合体からなるヒドロキシケトン製造用触媒。
【請求項10】
触媒担体が、酸化アルミニウムを含む触媒担体である請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
触媒担体が、酸化クロムを含む触媒担体である請求項9に記載の触媒。
【請求項12】
触媒担体が、酸化ジルコニウムを含む触媒担体である請求項9に記載の触媒。
【請求項13】
多価アルコールがグリセリンであり、ヒドロキシケトンが1−ヒドロキシアセトンである請求項9から12のいずれか1項に記載の触媒。

【公開番号】特開2008−308411(P2008−308411A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155147(P2007−155147)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】