説明

多価アルコールを内包するリポソーム含有製剤

【課題】
多価アルコールを効率よく内包したリポソーム含有製剤を提供すること。
【解決手段】
脂質膜内外の水相に分子量が500〜950の多価アルコールを含有するリポソームを含むリポソーム含有製剤である。該リポソームは超臨界二酸化炭素法により作製され、実質的に1枚膜〜10枚膜の脂質膜からなるリポソームであり、そのうち2枚膜〜数枚膜で構成されるリポソームが少なくとも70%を占めている。該リポソーム膜構成成分には、少なくとも転移温度を有する脂質が含まれ、多価アルコールのリポソームへの内包率を25〜35%まで上昇させており、実質的にクロル系溶剤を含まないことを特徴とするリポソーム含有製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アルコールの内包率が高いリポソームを含むリポソーム含有製剤およびその製造方法該方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リポソームは、その内部に有する水相に水溶性の封入物質を保持するというカプセル構造を構築できることから、薬物送達システム(DDS)への応用が盛んに研究されている。
【0003】
封入物質が内包されたリポソームを調製するには、従来からBangham法や逆相蒸発法(REV法)などが用いられている。これらの方法では、素材としての安全性が高く、生体内で適度な分解性を有するリポソームの中に封入物質を内包させるにもかかわらず、その調製過程において、リン脂質の溶剤として有機溶媒を使用する。そのため、上記方法で得られるリポソーム含有製剤においては有機溶媒の残留が避けられず、リポソームの特性、安定性に問題が残る(例えば、特許文献1参照)。さらにどうしても残存する溶剤の毒性があるという理由で実用化に至っていないのが現状である(特許文献2)。
【0004】
また従来の方法では、リポソーム内に薬物を充分に内包させることができず、殊にリポソーム含有製剤を大量に投与する必要がある場合には患者に過度の負担となる問題があった。治療用薬剤に比べて投与量が多くなる診断用造影剤への応用を考えた場合、造影物質の内包率が高いリポソーム含有製剤が求められていた。
【0005】
一方、特許文献3には、有機溶媒の代わりに超臨界二酸化炭素を用いて、リポソームを製造する方法が開示されている。この方法では製造条件を種々設定することが可能であり、従来のリポソームの製造方法に比べて比較的容易に粒径、構造などを調整することができる。封入物質の内包率が高いと、体内の目標部位に取り込まれたリポソームが少量であったとしても所望の効果を得ることができる。このためDDS製剤の調製方法として期待されている。しかし、超臨界二酸化炭素と脂質、封入物質の混和に際してエタノールなどの溶解助剤の使用が望まれており、有機溶媒を全く使用せずに内包率の高いリポソームは作製できない(非特許文献1参照)。薬物などをリポソーム内に内包させても、溶解助剤の残留のためにリポソーム膜の強度が低下し、時間経過とともに外部へ漏出する可能性も考慮されねばならない。したがって、薬剤を効率よくリポソームに内包させる方法とともに、経時安定的にそれを保持し、血中滞留性を改善することができる剤形、製剤組成の改良、および製剤の安全性の向上について、引き続き特別の要求が存在する。
【特許文献1】特許2619037号公報
【特許文献2】特開平7-316079号公報
【特許文献3】特開2003-119120号公報
【非特許文献1】Pharm Tech Japan 19巻、5号、91〜100(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の要請に取り組むものであり、有機溶媒を全く使用しないで内部に多価アルコールを効率よく内包したリポソームならびにこれを含有する製剤の製造方法を提案する。特にその多価アルコールが非イオン型ヨウド系化合物であるリポソーム含有製剤は、がん組織の良好な描出性、容易な排泄性を有する安全性の高いX線検査用造影剤である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリポソーム含有製剤は、脂質膜内外の水相に分子量が500〜950の多価アルコールを含有するリポソームを含み、該リポソーム膜構成成分には、少なくとも転移温度を有する脂質が含まれ、実質的にクロル系溶剤を含まないことを特徴としている。前記の転移温度が、22〜60℃の範囲にある脂質である。
【0008】
前記リポソームは、超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームである。
前記リポソームが実質的に1枚膜〜10枚膜の脂質膜からなるリポソームであり、そのうち2枚膜〜数枚膜で構成されるリポソームが少なくとも70%を占めていることが望ましい。
【0009】
多価アルコールのリポソームへの内包率を25〜35%まで上昇させている。
前記リポソーム膜構成成分として、少なくともリン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)基を有する脂質およびステロール類を含む脂質を含み、リン脂質(PEG-リン脂
質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有する脂質のモル比が100/5〜100/25であることを特徴とするリポソーム含有製剤である。
【0010】
前記多価アルコールが水溶性ヨウド化合物であり、X線検査用造影剤として用いられることが望ましい。
前記脂質膜内外の水相における多価アルコールの濃度が、実質的に同じであることが好ましい。
【0011】
本発明によるリポソーム含有製剤の製造方法は、
(i)圧力容器内で33〜65℃の下、リポソーム膜構成成分と超臨界二酸化炭素とを混合し
て懸濁液を得る第1工程、
(ii)次いで、該懸濁液に多価アルコール水溶液を添加して混合する第2工程、
(iii)その後、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、該多価アル
コールが内包されたリポソームの水性分散液を調製する第3工程と、ならびに
(iii)該多価アルコールが内包されたリポソームの水性分散液を50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下で、ろ過して、平均粒径が0.05〜0.8μmのリポソームに整粒する第4工程と、
を有することを特徴としている。
【0012】
[発明の詳細な説明]
本明細書において、亜臨界状態を含めて超臨界状態とする。リポソーム膜を「脂質膜」ということもある。リポソーム内に「内包」されるとは、リポソーム内に封入されてそのリン脂質膜と会合しているか、またはリン脂質膜内部に閉じ込められている水相(内部水相)中に存在している状態の両方を含むものとする。
【0013】
封入物質
本発明のリポソーム含有製剤においては、リポソームの脂質膜内に多価アルコールが内包されている。本発明で用いられる多価アルコールとして、分子内に水酸基を少なくとも複数個有しており、その分子量が500〜10,00、好ましくは500〜950、より好ましくは600
〜900の化合物である。特に水溶性である化合物が望ましい。超臨界二酸化炭素法により
リポソームを作製する場合、水酸基を複数含む多価アルコール系の化合物は、水酸基を含まない構造の類縁体よりもリポソーム内により内包されやすいことが本発明者の研究により明らかとなった。超臨界二酸化炭素を用いて、後記のような条件下で所定の工程を経ることによってリポソームを作製する場合、封入物質が上記範囲の分子量の多価アルコールであると、効率よくリポソーム内に内包される。すなわち、分子内に水酸基が多いとリポソーム内に安定的に内包しやすいため、内包率が高くなり薬剤の使用量も少なくすむ利点
がある。
【0014】
多価アルコールにおける水酸基の個数は、少なくとも2個、好ましくは2〜6個、より好ましくは3〜5個である。また巨大分子ではなく分子量が上記範囲にある中程度の分子であることが望ましい。その理由は定かではないが、多価アルコール分子のサイズと水酸基の存在が脂質膜内への内包に有利に作用しているかも知れない。
【0015】
そうした分子量を有する多価アルコールであれば特に限定されず、広く医薬品に使用される物質が挙げられる。例えば、本発明に好適に用い得る多価アルコール系の医薬物質の具体例は、非イオン性ヨウド化合物、アスコルビン酸ジパルミタート、ストレプトマイシン、リファンピシン、アムホテリシンB、ナイスタチン、ミデカマイシン、ヘスペリジン
、ルチン、ナリンギン、ジゴキシンなどが挙げられる。しかし、本発明はこれら例示された化合物に限定されるものではない。
【0016】
本発明のリポソーム含有製剤は、特に多価アルコールタイプのヨウド系化合物を造影物質とする造影剤として用いることが望ましい。好ましい造影物質は、複数の水酸基を有する水溶性の非イオン型ヨウド系化合物である。具体的な水溶性の非イオン性ヨウド系化合物として、ヨウ化フェニルを含み、2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド化合物が好適である。
【0017】
具体的には、そのような非イオン性ヨウド化合物として、イオヘキソール、イオペントール、イオジキサノール、イオタスル、イオプロミド、イオメプロール、イオパミドール、イオキシラン、メトリザミドなどが挙げられる。
【0018】
これらの化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。またその例示に限定されるものではない。なお本明細書において、化合物は遊離形態の化合物の他に、その塩、水和物なども含めて言及することがある。
【0019】
医薬物質のDDSにおいては、リポソーム内に封入することにより副作用が軽減され、内包化により得る利益を一層増すために、内包されていない医薬物質を分離除去して製剤を調製することが多い。実際には、ほぼ100%の封入が達成されたリポソームが分離され
ても、その後、リポソーム懸濁製剤の封入成分が時間とともに漏失する例が報告されている(Betageri, G. V. Drug Devel. Ind. Pharm. 19, 531-539(1993))。またWO88/09165のリポソーム調製物のように、リポソーム内部のみにX線造影物質を有する造影剤を
オートクレーブ滅菌すると、造影物質がリポソーム外に漏れ出てしまうことが報告されている(特許文献2)。逆に内包化されていない遊離の造影物質を含む製剤の診断的意義が論じられた(特表平9-505821号公報)。これは造影剤独特の使用態様に基づくものであり、リポソームに内包されなかった医薬化合物を無用のものとする立場とは区別される。
【0020】
本発明のリポソーム含有製剤の一態様であるX線造影剤は、通常、リポソームに内包されていないヨウド系化合物もまた含む。このような造影剤にあっては、リポソーム内に内包されている造影物質の割合(内包率)も考慮されねばならない。本発明のX線造影剤では、前記水溶性ヨウド系化合物の65〜80質量%が、リポソームに内包されていない形態にあり、リポソームを懸濁する水性媒体中に存在することを特徴としている。
【0021】
本発明のリポソーム含有X線造影剤において、ヨウド系化合物を効率的に内包化し、これを担持するリポソームの経時的不安定化を防止するために、リポソーム内に封入されるヨウド系化合物の量は、むしろ限定的である。すなわちX線造影剤における全ヨウド系化合物の10〜35質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%であることが望ましい。したがって、ヨウド系化合物をカプセル化したリポソームの浸透圧効果によ
る不安定化を防止でき、リポソームにおける造影物質の経時的な保持安定性は向上する。このことは、リポソーム含有X線造影剤でも、製剤調製時におけるヨウド系化合物の内包率と使用時における内包率が実質的に同一に保たれることを意味し、その造影性能、品質管理の観点からも好ましい。
【0022】
造影剤以外のリポソーム含有製剤でも、通常、投与後初期に見られるバースト性の血中濃度の上昇と一過性の薬効の発現ではなく、徐放的な体内動態または持続的な薬効の発揮様式を実現させるには、リポソーム以外の水相にも多価アルコール系の医薬物質を含んでおればよい。リポソーム膜内に内包された多価アルコール系の医薬物質は、体内に投与された後に遊離の医薬物質に遅れて徐々に体内に放出される。
リポソーム膜構成成分
本発明のリポソーム含有製剤は、多価アルコールをマイクロキャリヤーとしてのリポソーム内に封入した形態で使用することにより、標的の臓器、組織の病巣へ効率よく送達させることを図っている。すなわち、多価アルコールを内包するリポソームの粒径およびその脂質膜を適切に設計することによりターゲティング機能を付与することができる。受動的ターゲティングは、リポソームの粒径、脂質組成、荷電などの調整を通じてその生体内挙動を制御することができる。リポソーム粒径を狭い範囲に揃える調整もまた容易に行うことができる。リポソーム膜表面の設計では、リン脂質の種類と組成、共存物質を変えることにより所望の特性を付与することができる。さらに投与されたリポソームの体内移動と分布に関して、より高度な送達選択性と集積性を可能とする能動的ターゲティングの採用もまた検討されるべきである。一例として、リポソーム膜表面にポリアルキレンオキシド高分子鎖またはポリエチレングリコール基を導入することは、標的部位への誘導を制御し得るために有益である。
【0023】
他方、がん組織などの患部に到達しなかったリポソームは、正常な組織には集積することなく、比較的速やかに分解されて体外に排泄される。これはリポソームを設計する際にその安定性を体外排出時間との関係で適切にコントロールすることにより可能である。そうしたクリアランスの制御により、遊離形態では副作用が皆無ではない多価アルコールをリポソームに内包させるDDS剤形のもう一つの効果が期待できる。例えば水溶性の非イオン型ヨウド系化合物をリポソームに内包させると、ヨウド系化合物が肝臓、腎臓などに非特異的に沈着して、分解・排泄に時間がかかる事態に陥りにくくなる。このため徒に体内に留まることによる弊害、遅発性の副作用などを防止できる。
【0024】
リポソームの脂質膜を構成する脂質膜成分には、少なくともリン脂質、糖脂質、ステロール類、グリコール類、ポリエチレングリコール基を有する脂質(例えばPEG-リン脂
質)などが含まれる。本発明のリポソーム含有製剤に含まれるリポソームの脂質膜成分として、一般にリン脂質および/または糖脂質が好ましく使用される。好ましい中性リン脂質として、大豆、卵黄などから得られるレシチン、リゾレシチンおよび/またはこれらの水素添加物、水酸化物の誘導体を挙げることができる。
【0025】
その他のリン脂質として、卵黄、大豆またはその他の動植物に由来するか、または半合成のホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、合成により得られるホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、
ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスフチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)などが挙げられる。
【0026】
本発明のリポソームを構成する脂質膜のリン脂質類には、転移温度を有するリン脂質が少なくとも含まれていることが望ましい。リン脂質の「(相)転移温度」とは、リン脂質がとり得るゲルと液晶との両状態間の相転移を生じる温度である。その測定は、示差走査熱量計(DSC)を使用する示差熱分析による。22〜60℃の範囲にある相転移点を有するリン脂質として、ジミリストイルホスファチジルコリン(転移温度、以下同じ、23〜24℃)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(41.0〜41.5℃)、水素添加大豆レシチン(53℃)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(54℃)、ジステアロイルホスファチジルコリン(54.1〜58.0℃)などが例示される。
【0027】
これらのリン脂質は通常、単独で使用されるが、2種以上併用してもよい。ただし2種以上の荷電リン脂質を使用する場合には、負電荷のリン脂質同士または正電荷のリン脂質同士で使用することが、リポソームの凝集防止の観点から望ましい。中性リン脂質と荷電リン脂質を併用する場合、重量比として通常、200:1〜3:1、好ましくは100:1〜4:1、より好ましくは40:1〜5:1である。
【0028】
糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステルなどのグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4などのスフィンゴ糖脂質などを挙げることができる。
【0029】
リポソーム膜の構成成分として、上記脂質の他に必要に応じて他の物質を加えることもできる。例えば、脂質膜安定化剤として作用するステロール類、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、またはラノステロールなどが挙げられる。また1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体もリポソームの安定化に効果があることが示されている(特開平5-245357号公報)。これらの中で、特にコレステロールが好ましい。
【0030】
リポソーム膜中のコレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。特開平09−3093号公報には、ポリオキシアルキレン鎖の先端に、種々の機能性物質を共有結合により固定化することができ、リポソーム形成用の成分として利用することができる新規なコレステロール誘導体が開示されている。
【0031】
ステロール類の使用量として、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、好ましくは100/70〜100/85である。このモル比は、PEG-リ
ン脂質を除くリン脂質量を基準としている。モル比が100/60未満であると混合脂質の分散性を向上させるステロール類による安定化が充分に発揮されない。
【0032】
上記ステロール類の他にリポソーム膜の構成成分として、グリコール類を加えてもよい。リポソームを作製する際に、リン脂質などともにグリコール類を添加すると、リポソーム内での水溶性ヨウド系化合物の保持効率が上昇する。グリコール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオールなどが挙げられる。グリコール類の使用量として、脂質全質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%の割合が望ましい。
【0033】
本発明のリポソーム含有製剤の意図する目的に応じて、高分子鎖であるポリアルキレンオキシド(ポリオキシアルキレン鎖)(PAO)基または類似の基を有するリン脂質また
は化合物を、リポソーム膜の一成分として使用してもよい。ポリアルキレンオキシド基またはポリエチレングリコール(PEG)基をリポソーム膜表面に付けることにより、崩壊、凝集といったリポソーム自体の不安定性が解決され、経時安定性も改善される。さらに新たな機能をリポソームに付与することができる。例えば、PEG化リポソームには免疫系から認識されにくくなる効果が期待できる。さらにリポソームは、PEG基の導入により水和層が形成されて親水的傾向を示すことにより、血中安定性を増して長時間にわたり血液中の濃度を維持できることが明らかになっている(Biochim. Biophys. Acta., 1066,
29-36(1991))。よって−(CH2CH2O)n−HであらわされるPEG基のオキシエチ
レン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEG基として、オキシエチレン単位が10〜3,500、好ましくは100〜2,000のポリエ
チレングリコールが好適である。ポリエチレングリコールを使用する場合の使用量は、該リポソームを構成する脂質に対して1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%含むのがよい。リポソームのPEG化には、公知の技術を利用することができる。好ましくはPEG−リン脂質を、ポリエチレングリコール基を有する脂質として用いてもよい。これは、リン脂質などを超臨界二酸化炭素に混合する際に、溶解助剤的な作用も示すからである。
【0034】
他に添加できる化合物として、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルなど、正電荷を与える化合物としてステアリルアミンなどの脂肪族アミンが例示される。
【0035】
本発明のリポソーム含有製剤において、微細粒子としてのリポソームのサイズとその分布の調整は、高い薬剤の内包率、ターゲティング性、送達効率と密接に関わっている。粒径(粒子径)は多価アルコールを内包するリポソームを含む分散液を凍結し、その後破砕した界面をカーボン蒸着し、このカーボンを電子顕微鏡で観察すること(凍結破砕TEM法)により測定することができる。ここで「平均粒径」とは、観察されたリポソーム粒子の一定の個数、例えば20個の径の単純平均を指している。これは粒径分布で最も出現頻度の高い粒径を言う「中心粒径」と、通常一致するか、または概ね近似している。
【0036】
受動的ターゲティング能力をリポソームに持たせるには、リポソームを作製する際に、その粒径のサイズを適切に揃えて調製することが必要になる。特許2619037号公報には、
粒径3μm以上のリポソームを排除することにより、肺の毛細血管におけるリポソームの不都合な滞留が回避されると記載されている。しかし、0.5〜3μmの粒径範囲のリポソーム
は、必ずしも自然に向腫瘍性とはならない。本発明のリポソーム含有製剤においては、その用途に応じて平均粒径を、好ましくは0.05〜0.8μmの範囲内で適宜調整してリポソームを作製する。
【0037】
例えば、肝臓の撮像を目的とするX線造影剤の場合、リポソームの好ましい平均粒径は、0.2μm〜0.8μmである。水溶性ヨウド系化合物を内包するリポソームがこの範囲のサイズであれば、非腫瘍組織に多い細網系内皮細胞による捕獲貪食の対象になり、腫瘍組織とのコントラストが明瞭となるためである。なお肝臓用の造影剤に使用するリポソームは、その表面にあるPEGは、なるべく少ない方が望ましい。
【0038】
血流を利用する「EPR効果(Enhanced permeability and retention、透過性の亢進
および滞留)」に基づいてリポソームを向腫瘍性とするためには、その平均粒径を0.1〜0.2μm 、より好ましくは0.11〜0.13μmとすることが望ましい。例えばリポソームの平均
粒径を0.11〜0.13μm の範囲に揃えることにより、リポソーム含有製剤をがん組織へ選択的に集中させることが可能となる。
【0039】
リポソームの製造方法
リポソームを作製する方法として、これまで種々の方法が提案されている。作製方法が
異なると、最終的にでき上がったリポソームの形態および特性も著しく異なることが多い(特開平6-80560号公報)。そのため所望するリポソームの形態、特性に応じて製造方法
が選択される。一般にリポソームの調製は、まずリン脂質、ステロールといった脂質膜成分を、ほとんど例外なく有機溶媒(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、ジオキサン、THFなど)とともに容器中で混合、溶解する
ことから始まる。特にクロル系溶媒がよく用いられている。このようなリポソームの調製品は、必ず有機溶媒を含んでいる。
【0040】
他方、超臨界二酸化炭素を利用してリポソームを調製する方法は、二酸化炭素の臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.38 MPa と比較的扱いやすく、不活性なガスゆえ残存しても
人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどの理由により魅力ある製造方法であると言える。しかしながら、有機溶媒を使用しないとする従来の超臨界二酸化炭素法でも、脂質類を超臨界二酸化炭素に効率よく分散させるためにエタノールなどの使用が推奨されていた(非特許文献1参照)。残存するこれらの有機溶媒を除去するために、複数の工程および長時間の処理を要しているのが現状である。そうした残留する有機溶媒、特にクロル系有機溶媒については、生体に及ぼす悪影響、例えば副作用が懸念される。
【0041】
本発明の製造方法は、通常の医薬品と比べてとりわけ投与量の多い造影剤用に最適な形態、構造を有するリポソームを製造できるように開発された方法である。すなわち、超臨界二酸化炭素を用いる方法により作製されたリポソームは、実質的にクロル系溶剤、エタノールおよびその他の有機溶媒を含有せず、多価アルコールを内包するのに種々の好ましい特性、すなわち、従来法に比べて封入する薬物の内包率、内包されている薬物のリポソーム内の保持率が高いことが示されている。なお「実質的に」とは、リポソーム含有製剤における残存有機溶媒の濃度の上限値が10μg/Lであることを意味する。
【0042】
本発明によるリポソーム含有製剤の製造方法において、リポソームは超臨界二酸化炭素を混和媒体としたリポソームの調製方法(以下、超臨界二酸化炭素法)に基づき、実質的に溶解助剤を用いない方法により調製される。その際に多価アルコールおよび製剤助剤をリポソーム膜内に内包させる。そのリポソーム膜の構成成分には、少なくとも転移温度を有するリン脂質を含むことを特徴としている。
【0043】
本発明によるそのリポソームの製造方法において、第1工程および第2工程は次の通り
である。
(i)圧力容器内で33〜65℃の下、リポソーム膜構成成分と超臨界二酸化炭素とを混合し
て懸濁液を得る第1工程、
(ii)次いで、該懸濁液に多価アルコール水溶液を添加して混合する第2工程
あるいは次の順序でもよい。
(i)リポソーム膜構成成分と多価アルコール水溶液とを混合することにより得られた懸
濁液を収容している圧力容器内に、液化二酸化炭素を供給する第1工程、
(ii)次いで、前記の懸濁液と液化二酸化炭素とを混合させながら、該圧力容器内を33〜65℃の下、加圧して液化二酸化炭素を超臨界二酸化炭素とする第2工程
さらに次の第3工程および第4工程が続く。
(iii)その後圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出し、多価アルコールおよび製剤助
剤を内部に含有するリポソームの水性分散液を作製する第3工程、
(iv)前記の第3工程の後で、0.1〜1μmの孔径を有するろ過膜を装着した静圧式押出し装置で、50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下で、該多価アルコールが内包されたリポソームの水性分散液をろ過して、平均粒径が0.05〜0.8μmのリポソームに整粒する第4工程

【0044】
これらの工程によりリン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ステロール類のモル比が10
0/60〜100/90、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有する脂質のモル比が100/5〜100/25であり、脂質膜が2〜10枚膜で構成されるリポソームが
少なくとも70%を占めていることを特徴とするリポソーム含有製剤が得られる。
・第1工程および第2工程
第1および第2工程では、圧力容器内で、リポソーム膜構成成分と、液化二酸化炭素と、薬剤水溶液(多価アルコールおよび製剤助剤を含有する)とを混合するが、その添加順序に基づいて2方法に別れる。
【0045】
圧力容器にリポソーム膜を構成する脂質成分としてリン脂質類および脂質膜の安定化作用を有する物質を加え、さらに液化二酸化炭素を添加して、好ましくは強撹拌条件下で混合する。脂質膜の安定化作用を有する物質として、ポリエチレングリコール基を有する脂質、ステロール類などを加える。リン脂質類としては、22〜60℃の範囲にある転移温度を有する少なくとも1種以上のリン脂質を含む各種のリン脂質が好ましい。後記の範囲
にある圧力および温度のもとに液化二酸化炭素を超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。リポソーム膜構成成分と超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素とを充分に混合して、溶解または分散させる。または予め圧力容器内にある液化二酸化炭素に、これらの化合物を加えて混合し、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして混合してもよい。引き続き生成したリン脂質および脂質膜安定化物質などを含有する超臨界二酸化炭素中に、内包させる多価アルコール、例えば非イオン型ヨウド系化合物および製剤助剤を含む薬剤水溶液を導入することによりミセルを形成させる。
【0046】
あるいは、リポソーム膜構成成分として少なくともリン脂質、ポリエチレングリコール基を有する脂質およびステロール類と、多価アルコールおよび製剤助剤を含む薬剤水溶液とを混合した懸濁液を収容している圧力容器内に、液化二酸化炭素を供給し、好ましくは強撹拌下で、混合し分散させ、次いで加温加圧して液化二酸化炭素を超臨界状態とし、さらに強撹拌下で混合することによりミセルを形成させてもよい。前記懸濁液は圧力容器内でリポソーム膜構成成分と薬剤水溶液とを混合して調製されるが、代わりにそうした懸濁液を別途に調製して、次いで圧力容器内に供給してもよい。
【0047】
封入物質のリポソーム内への内包化の効率は、リポソーム膜用脂質の全脂質量と、超臨界二酸化炭素との比率、封入物質などを含む水溶液との比率によっても左右される。ここでいう全脂質量とは、リポソーム膜を構成するリン脂質類、ステロール類、その他の添加した脂質類すべてを対象とした総和の質量である。大部分のリポソームが1枚膜よりはむしろ数枚膜のリポソームとして形成させるために、添加する脂質量は、従来使用されている脂質量よりも1.5〜2.5倍多くしてもよい。具体的には強撹拌下で、最終的に二酸化炭素、1重量部に対して、脂質、0.075〜0.125重量部、好ましくは0.08〜0.1重量部の割合で
混合し分散させる。本発明による製造方法においてはリポソームの形成が効率的に行われ、ある量までは脂質量を多くするほど内包率も増加する傾向にあった。
【0048】
脂質量が多すぎると、リポソーム作成時には脂質の溶け残りが生じるおそれがある。しかしながら撹拌当初は上記脂質を含む脂質相が存在してもよく、次のような強撹拌により、脂質分子が配列する、CO2/水の界面を多数生じさせて脂質の小ミセルが多数形成さ
れれば内包率も上昇することとなる。脂質と超臨界二酸化炭素との乳化は、エタノールなどを添加しなくとも下記のようにPEG基を有する脂質の存在で促進される。
「強撹拌」とは、混合溶液の容量や撹拌手段によって好ましい範囲が異なる。例えば、混合溶液の容量が10〜100mL程度の場合において、長さ15mm、直径5mmの略円
柱状の撹拌子を用い、マグネチックスターラーで回転数400〜4000rpm、好ましくは1000〜1500rpm、特に好ましくは1200〜1400rpmで撹拌することを意味する。なお、混
合溶液の容量や撹拌手段が上記とは異なる場合であっても、混合液量、脂質量に応じて適宜設定する。また、強撹拌の時間は、1〜120分間、好ましくは5〜60分間であるこ
とが望ましく、強撹拌の時間には薬剤水溶液を供給する時間も含む。
【0049】
このような条件を満たす強撹拌下で、リポソーム膜構成成分と、超臨界二酸化炭素とを所定の時間混合することにより、リポソームの生成効率が良くなり、多価アルコールの内包率がより高いリポソームを含有する水性分散液を得ることができる。
【0050】
リン脂質、コレステロールを含む脂質類は、そもそも超臨界二酸化炭素、水のいずれにも溶けにくいし、分散もしにくい。所望する形態のリポソームが効率的に形成されるためには、脂質類が超臨界二酸化炭素中に良好に分散し、両者間の乳化が進んで均質な状態を形成することが重要な鍵である。そのための溶解助剤(または助溶剤、分散促進剤)として、ヒドロキシル基を有する少なくとも1種の化合物を利用して溶解、分散または混合を
することが好ましい。
【0051】
ヒドロキシル基を有する化合物(すなわちヒドロキシル基含有化合物)には、親水性基として例えば、ヒドロキシル基、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基、またはポリオール/ポリグリコールエーテル基などの組み合わせを有する化合物が含まれる。実際に溶解助剤として使用できるヒドロキシル基含有化合物としては、リン脂質、コレステロールなどの脂質膜成分と親和性を示し、これらと充分混合するものが望ましい。
【0052】
上記のヒドロキシル基を有する化合物において、さらに残存する溶解助剤の毒性をも懸念する場合には、安全性の観点から、低級アルコールなどを用いないことが望ましい。したがって、効力および安全性を考慮してより好ましい溶解助剤は、ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール基を有する化合物である。ポリエチレングリコール基を有する化合物として、具体的にはポリエチレングリコール基を有する脂質、例えばPEG−リン脂質が好ましい。そのオキシエチレン単位が10〜3,500、好ましくは100〜2,000の
ポリエチレングリコールが適する。
【0053】
このようなヒドロキシル基を有する化合物を1種または2種以上併用することは、内包率を向上させるために望ましい。ヒドロキシル基を有する化合物を、超臨界状態もしくは亜臨界状態にする二酸化炭素の0.01〜1質量%、好ましくは、0.1〜0.8質量%の割合で溶解
助剤として使用するのがよい。ヒドロキシル基を有する化合物が、ポリエチレングリコール基を有する脂質である場合、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有する脂質のモル比が100/5〜100/25、好ましくは100/5〜100/10である。
【0054】
溶解助剤としてエタノールなどを用いる従来の超臨界二酸化炭素法では、エタノールが、超臨界二酸化炭素中へ脂質類が溶解もしくは分散することを促進する。その結果、コレステロールとリン脂質などを含有する二酸化炭素領域と、主にPEG化リン脂質および多価アルコールを含有する水の領域からなる2相系を形成し、これが撹拌されると超臨界二酸化炭素の乳化が進行し、脂質のミセルが形成される。最終的には、1枚膜の脂質膜を有するリポソームが主として調製されている。
【0055】
これに対し本発明の方法では、リポソーム膜構成成分としてのポリエチレングリコール基を有する脂質(例えばPEG−リン脂質)が、エタノールなどの溶解助剤に代わって乳化促進作用をする。多価アルコールおよびPEG化リン脂質が水相に溶解もしくは分散して水の表面張力を下げるとともに、リン脂質およびコレステロールなどが集まった脂質相もまた形成され、脂質類をほとんど含まない超臨界二酸化炭素の相との3相系の状態となる。撹拌により超臨界二酸化炭素の乳化が進行するが、界面を従来法よりも多く形成することとなり、そうした多数の界面に脂質が配列して脂質単膜を形成する。特に脂質量を多くして上記の強撹拌を行なう条件下では、ミセルが均一で小さいものが多数生成する。
【0056】
結局、エタノールなどが存在してもしなくとも、超臨界二酸化炭素の乳化が起きて脂質ミセルが形成される点では同じであるが、特に強撹拌を行なう方法では、均一な微小ミセルが効率的に形成されるため、その後の二酸化炭素の排出によって誘発される、脂質単膜から脂質二分子膜の形成の程において、多価アルコールの内包率は、例えば17%から21%へと高くなる。エタノールなどを用いる従来の超臨界二酸化炭素法では、主に1枚膜リポソームが形成されるのに対し、本発明の方法では、脂質量を増やすと2枚膜から10枚膜までの多重膜リポソームを主体に形成される。このような多重膜リポソームにおいては、整粒工程で再び内包率の上昇が観察され、膜の再構成が起きていることが示唆される。
【0057】
本発明の製造方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の温度は、一般には32〜70℃に設定されるが、好ましくは33〜65℃、より好ましくは45〜65℃である。リポソーム膜構成成分に転移温度を有するリン脂質が含まれる場合、「転移温度+10℃」以下、好ましくは「転移温度+5℃」以下、さらに好ましくは「ほぼ転移温度」となるように設定することが望ましい。従来は、リン脂質の転移温度よりも高い温度に加温すると、転移温度を有するリン脂質は液晶状態となって流動性が高まり、リン脂質が超臨界二酸化炭素と効率良く混合されるとして、リポソームの調製が50〜80℃で行われていた。しかし本発明者らは、超臨界状態の二酸化炭素の温度を、上記のようにリン脂質の転移温度付近であっても、リン脂質に過度の熱がかからないため変性することがなく、さらにリン脂質が規則的に配列してリポソーム膜が生成されることを見出した。乳化促進のために強撹拌の操作を行なう状況下では、局所的過熱を軽減する意味からも上記の温度範囲を採用することが望ましい。また、超臨界状態の二酸化炭素の好適な圧力は、上記温度範囲に対応して適宜選択されるが、5〜50 MPa、好ましくは10〜30 MPaである。
・第3工程
第3工程では、リポソーム膜構成成分と、超臨界二酸化炭素と、薬剤水溶液とを充分に混合した後に、系内に必要であれば水を加えて、圧力容器内を減圧する。この混合溶液から二酸化炭素を排出することにより、多価アルコールなどが内包されたリポソームの水性分散液が調製される。この過程でリポソームは水相に転相していると推定されるため、二酸化炭素を排出するだけで、多価アルコールを内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。リポソーム内部にも上記水溶液が封入されているため、多価アルコールはリポソームの外部水相のほかにリポソーム内部の水相に存在し、「内包」の状態にある。
・第4工程
リポソームの粒径の調整は、処方またはプロセス条件を変更することにより行なうことができる。例えば、上記の超臨界状態の圧力を大きくすると形成されるリポソームの粒径は小さくなる。作製するリポソームの粒径分布をより狭い範囲に揃えるには、ポリカーボネート膜、セルロース系の膜などでろ過してもよい。このため第4工程では、圧力容器内を空気などの導入により大気圧に調整すること(第3工程)により得られたリポソームの水性分散液を、0.1〜1.0μmの孔径を有する複数のろ過膜を通す。ろ過膜の孔径は大きい
ものから小さいものへと順次小さくしていくことが好ましく、最終的には0.05〜0.4μm
、好ましくは0.1〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.2μmの範囲まで孔径を小さくし
ていくことが望ましい。加圧押出しろ過の操作は、50〜90℃、好ましくは55〜85℃で、0.01〜1.0MPa、好ましくは0.01〜0.8MPaの圧力下で行なわれる。本発明の製造方法において、リポソームを構成する脂質膜のリン脂質類には、転移温度を有するリン脂質が少なくとも含まれているため、リン脂質の転移温度以上に加温すると、転移温度を有するリン脂質は液晶状態となり、流動性が高まる。
【0058】
整粒のための操作は、例えばろ過膜を装着した各種の静圧式押出し装置、例えば「エクストルーダ」(商品名、日油リポソーム製)などを使用して、フィルターを強制的に通過させる。静圧式押出し装置に通すことにより、粒径分布が狭い範囲に揃ったリポソームを効率よく調製することができる。加圧ろ過操作は、必要であれば繰り返し実施される。こ
の押出しろ過法については、例えばBiochim. Biophys.Acta 557巻,9ページ(1979)に記載
されている。このような「押出し」操作を取り入れることにより、本発明者らは上記サイジングに加えて、多価アルコールの内包率が上昇することを見出した。第1工程において脂質量を通常よりも多く使用した場合、形成されるリポソームは既に報告されているような1枚膜(非特許文献1)ではなく多重層膜が多い。上記の加圧押出し操作により、多重
層膜からなるリポソームにおいても、脂質膜の再構成を含む膜構造の再構築および整粒化が起きて、2枚〜10枚膜からなるリポソームが生成しているためと推測される。さらにこのような処理を行うことにより、実質的にエタノールなどの有機溶媒系の溶解助剤を用いなくても、封入物質のリポソーム内への内包率が向上するとともに、リポソームを微細粒子化することができる。さらに、残存する溶解助剤により膜強度が低下するおそれもないため、リポソームの保存安定性に優れる。
・濃縮工程
リポソームの水性分散液を上記のようにろ過膜でろ過し、必要に応じてさらに限外ろ過、遠心分離、ゲルろ過などの方法により、リポソーム内に内包されなかった薬剤を除去して精製してもよい。本発明の方法では、多価アルコールが内包されたリポソームの水性分散液を前記の第3工程または第4工程の後に、限外ろ過を行なうことにより濃縮することが好ましい。限外ろ過は、通常の限外ろ過膜および装置を使用して行なうことができる。本発明による製造方法では、これらのろ過操作を行なうことにより、多価アルコールのリポソームへの内包率を25〜35%まで上昇させることができる。限外ろ過法による濃縮を第3工程の後に実施してもよく、この場合には続いて行なわれるエクストルーダなどを用いる、第4工程となる押出しろ過のための濃縮操作の意味をもつ。また、リポソームの水性分散液を濃縮して容量を減らしてからリポソームを凍結乾燥させて、粉末形態のリポソームを効率よく得ることもできる。リポソームを凍結乾燥した場合には、使用直前に水性媒体などで再懸濁させて用いる。さらに前記限外ろ過の後、115〜125℃、好ましくは118〜123℃、より好ましくは121℃で蒸気滅菌してもよい。これによって無菌調製品が得られる

【0059】
本発明の方法により製造されるリポソームは、実質的に1枚膜〜10枚膜、好ましくは数枚膜(例えば3枚、4枚、5枚または6枚の膜)からなるリポソームである。このようなリポソームは、上記工程(i)〜(v)による製造方法において主成分として生成する。「実質的に」とは、本発明のリポソーム含有製剤において、2枚から10枚の膜で構成されるリポソームを、造影剤中に含まれる全リポソームのうち、少なくとも70%、好ましくは80%以上を占めることを意味し、85〜98%含むことがより好ましい。
【0060】
これに対して1枚膜のリポソームは、リン脂質二重層が一層としてなる膜(unilamellar vesicle)で構成されるリポソームである。これは凍結かつ断(Freeze fracture )レ
プリカ法による透過型電子顕微鏡(TEM)による観察において、レプリカが概ね1つの
層として認められるリン脂質二重層により構成されているものである。すなわち、観察したカーボン膜に残された粒子の跡について段差がないものが1枚膜と判定され、2つ以上の段差が認められるものは「多重層膜」と判定される。2枚もしくは3枚の膜で構成されるリポソームは、1枚膜リポソームよりも強度が増しており、上記の第4工程で実施される整粒処理でも壊れない。
【0061】
1枚膜リポソームは、脂質膜成分の溶媒として超臨界二酸化炭素を使用し、水による相分離方式により生成することが知られ、特にエタノールを溶解助剤として用いると、効率よく作製できる。これに対して従来のBangham法や逆相蒸発法(REV法)などによるリポソーム作製方法によると、様々なサイズ、形態の多重層膜(multilamellar vesicles; MLV)からなるリポソームがかなりの割合で存在することが多い。1枚膜または数枚膜のリポソームは、MLVと比較して、リポソームの投与量、換言すると投与脂質量が大きくならないという利点もある。
【0062】
リポソーム膜の脂質膜枚数が少ない数枚膜のリポソーム、特に粒径の大きい1枚膜リポソームであるLUV(Large unilamellar vesicles)は、多重層膜リポソームに比べて、大きい内包容量を提供するという利点がある。反面、多価アルコールの内包率が良好な1枚膜または数枚膜のリポソームでも、内包する化合物の重量が相対的に多過ぎるとリポソームの安定性は低下する。特にイオン強度の急激な変化には脆弱である傾向が観察されていた。本発明の製剤に使用するリポソームの作製では、2枚膜〜10枚膜構造のリポソーム、好ましくは数枚膜リポソームが効率よく形成されるように超臨界二酸化炭素法およびその後の整粒工程を改良している。さらにリポソーム膜にポリアルキレンオキシド基を有する化合物(例えばリン脂質)、ステロール類、グリコールなどを含有させて、脂質膜の安定化を図っている。その結果、作製されたリポソームは、塩ショックに対しても安定的であることが判明した。
【0063】
リポソーム含有製剤の製造
本発明のリポソーム含有製剤は、リポソームの脂質膜内部の水相およびリポソームを懸濁する水性媒体中に、1種類以上の生理的に許容され得る製剤助剤を含有している。この製剤助剤は、リポソームの製剤化に際し、多価アルコールとともに添加される物質であり、これまでの製剤製造技術に基づいて各種の物質が必要に応じて使用される。具体的には生理学的に許容される各種の緩衝剤、EDTANa2−Ca、EDTANa2などといったエデト酸系のキレート化剤、無機塩類、薬理的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤など)、さらには浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビン酸)、粘度調節剤、保存剤なども挙げられる。好ましくは、アミン系緩衝剤およびキレート化剤をともに含めるのがよい。pH緩衝剤として、水溶性アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が好ましく用いられる。特に好ましくはアミン系緩衝剤であり、中でもトロメタモールが望ましい。キレート化剤は好ましくは、EDTANa2−Ca(エデト酸カルシウ
ム2ナトリウム)である。
【0064】
また「水性媒体」とは、多価アルコールもしくは非イオン型ヨウド系化合物、製剤助剤などを溶解もしくは懸濁する水をベースとする溶媒である。その水は、滅菌した発熱物質を含まない水を使用する。リポソーム脂質膜内部の水相以外の水溶液(すなわち該リポソームを懸濁する水性媒体)にも上記の多価アルコールおよび製剤助剤が含まれている場合、脂質膜内外の水相に多価アルコールおよび製剤助剤が実質的に同一の濃度で含有されている態様が好ましく、そうした場合には該膜内外で著しい浸透圧差が生じることはなく、リポソームの構造安定性が保たれる。
【0065】
上記溶液もしくは懸濁液の好ましいpH範囲は、室温で6.5〜8.5、さらに好ましくは6.8〜7.8である。多価アルコール化合物が水溶性ヨウド系化合物である場合、好ましい緩衝液は、米国特許第4278654号に記載されているような負の温度係数を有する緩衝液である
。このタイプの緩衝液はオートクレーブ温度で低いpHを有し、このことがオートクレーブ中のリポソーム含有製剤の安定性を増し、他方、室温では生理的に許容されるpHに戻る。上記アミン系緩衝液はこのような要求を満たす性質を有している。したがって、注射用無菌製剤を製造するために、リポソーム調製物をオートクレーブ滅菌できることは好都合であり、貯蔵安定性なども確保できる。本発明の製剤は、好ましくは滅菌した形態として提供され、その場合、滅菌ろ過、オートクレーブ滅菌または加熱滅菌により無菌製剤を得る。
【0066】
本発明において、多価アルコールの内包効率および内包の安定性に加えてリポソームの膜脂質の重量も考慮されねばならない。リポソームの膜脂質の重量が多くなると製剤の粘度が大きくなる。リポソーム内への薬剤の封入量として、リポソーム内に封入された水溶液中に、全薬剤(非イオン型ヨウド系化合物および製剤助剤を含む)がリポソーム膜脂質
に対して、1〜8、好ましくは3〜8、より好ましくは5〜8の重量比(g/g)で含有されてい
ることが望ましい。リポソーム内に内包された全薬剤の重量比が1未満であると、比較的多量の脂質を含有することとなり、製剤の粘度は増大し、結果的に薬剤の送達効率が悪くなる。1枚膜もしくは数枚膜のリポソームは、内包容積および送達効率に優れるため有利である。反対に、リポソーム膜脂質に対する全薬剤の封入重量比が8を超えると、リポソームは構造的にも不安定となり、リポソーム膜外への薬剤の拡散、漏出は、貯蔵中または生体内に注入された後でも避けられない。
【0067】
X線造影剤
本発明のリポソーム含有製剤の好ましい態様は、多価アルコールが非イオン型ヨウド系化合物であり、かつ、1種類以上の生理的に許容される製剤助剤を含有し、X線造影剤として用いられる製剤である。用いられるリポソームは、X線造影剤用に最適なリポソームとして設計された形態、構造を有する。そのようなリポソームは、その脂質膜が実質的に数枚膜で構成されるために経時的な安定性および血中での安定性が改善されており、しかも造影物質の内包率を高めることにより造影剤の造影性能を向上させている。本発明のX線造影剤は、ヨウド含有量として、通常、想定される10〜300mLの製剤溶液の投与量では
、40〜450mgI/mLであり、好ましくは70〜400mgI/mL、リポソーム内への造影物質を内包する効率の観点からは 100〜350mgI/mL、特に好ましくは、150〜300mgI/mLの範囲であ
る。また、前記脂質膜内外の水相に、ヨウド系化合物および製剤助剤がそれぞれ実質的に同一の濃度で含有されることが好ましい。
【0068】
本発明によるX線造影剤は、全身または局所の投与いずれにも使用される。好ましくは注射剤または点滴注入剤として全身的に静注投与される。その投与量および濃度は、撮像の目的、部位、造影剤中の化合物の性質および患者の状態に依存し、必要に応じて調節することができる。このためリポソーム内外のヨウド系化合物の総量が、従来の投与量と同程度になるようにしてもよい。投与時の注入抵抗を少なくして患者の苦痛を軽減し、血管外漏出の危険を回避するため、本発明のリポソーム分散液の粘度(オストワルド法で測定した場合)は、37℃で、30 mPa・s以下、好ましくは25 mPa・s以下、より好ましくは20 mPa・s以下である。このような範囲内では実用上問題ないとされる(特許文献1)。

[発明の効果]
本発明のリポソーム含有製剤は、分子量が500〜950の多価アルコール、好ましくは非イオン型ヨウド系化合物をリポソーム内に25〜35%の高い内包率で内包させ、ターゲティン
グ性を付与している。特に非イオン型ヨウド系化合物を内包したリポソーム含有製剤は、X線造影剤として造影性能に優れており、低用量化を可能とする。
【0069】
本発明の製剤は、毒性の高いクロル系溶剤およびその他の有機溶剤を全く使用せずに製造されるため、従来のリポソーム含有製剤に比べて毒性および副作用が軽減されている。
【実施例】
【0070】
本発明を以下の実施例によって、具体的に説明する。しかし、実施例は実例を挙げて説明しようとするものであり、本発明の範囲を何ら限定しようとする意図のものではない。[実施例1]
<造影剤の作成>
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合物をステ
ンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を50℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。撹拌を行いながら、5.0 MPaであったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、12 MPaにまで上げて、二酸化炭素を超臨
界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。撹拌しながら、さらに造影剤溶液(517.7mg/mL(ヨウド含有量240mg/mL)、トロメタモールを1mg/mL、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mLを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウ
ムでpHを7前後に調整)13mLを定量ポンプで連続的に注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この試料を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.80μmで加圧濾過
した。続いて、同様に60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、0.40μmで加圧濾過してリポソーム含有造影剤を得た。この試料について、平均粒径およ
び内包率を測定した。
[実施例2〜3]
脂質組成、造影剤濃度および全脂質量を、表1に記載するように変更すること以外は、実施例1と同様にしてリポソーム含有造影剤を得た。
[比較例1]
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)552.6mgと、コレステロール221.1mg、PEG−リン脂質(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE-020CN)167.3mgの混合物をクロ
ロホルムとエタノールと水との混合物(重量比 100:20:0.1)10mLをメスフラスコ中で
混合した。この混合物を湯浴(65℃)上で加熱し、溶液をロータリーエバポレータで溶媒を蒸発させた。残渣をさらに2時間、真空乾燥して、脂質フィルムを形成させた。ここに、さらに造影剤溶液13mLを混合し、この混合物を65℃に加熱しながらミキサーで約10分間撹拌した。さらに撹拌することにより造影剤溶液を含有するリポソームの分散液を得た。この混合物を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmおよび0.4μmで加圧ろ過してリポソーム含有造影剤を得た。
[比較例2〜4]
造影剤を表1に記載のように変更する以外は、比較例1と同様にして、リポソーム含有
造影剤を得た。
【0071】
【表1】

【0072】
表1からもわかるように、本発明のリポソーム含有造影剤は、内包率が高く、3ヶ月後もほとんど変化がなく良好であった。また経時分散安定性も良好であった。
(評価)
<経時分散安定性の評価>
得られたリポソーム造影剤を20mLの小瓶に入れ、蓋をして、蓋の周囲をシールテープで
密閉した。そのサンプルを23℃、湿度55%の雰囲気で、1ヶ月間および3ヶ月間、暗所保管し、目視評価(ランク付け)を行なった。
5:全く沈殿物がなく、作成時と変化がない。
4:うっすらと濁りが見えるように感じるが、分離・沈殿はない。
3:濁りは上昇しているが、分離・沈殿は認められない。
2:沈殿物が発生している。
1:透明な液と白色の沈殿物と完全に分離している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質膜内外の水相に分子量が500〜950の多価アルコールを含有するリポソームを含み、該リポソーム膜構成成分には少なくとも転移温度を有する脂質が含まれ、実質的にクロル系溶剤を含まないことを特徴とするリポソーム含有製剤。
【請求項2】
前記リポソームが超臨界二酸化炭素法により作製されたリポソームであることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム含有製剤。
【請求項3】
前記リポソームが実質的に1枚膜〜10枚膜の脂質膜からなるリポソームであり、そのうち2枚膜〜数枚膜で構成されるリポソームが少なくとも70%を占めていることを特徴とする請求項1または2に記載のリポソーム含有製剤。
【請求項4】
多価アルコールのリポソームへの内包率を25〜35%まで上昇させていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリポソーム含有製剤。
【請求項5】
前記の転移温度が、22〜60℃の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のリポソーム含有製剤。
【請求項6】
前記リポソーム膜構成成分として、少なくともリン脂質、ポリエチレングリコール(PEG)基を有する脂質およびステロール類を含む脂質を含み、リン脂質(PEG-リン脂
質を含まず)/ステロール類のモル比が100/60〜100/90、リン脂質(PEG-リン脂質を含まず)/ポリエチレングリコール基を有する脂質のモル比が100/5〜100/25であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリポソーム含有製剤。
【請求項7】
前記多価アルコールが水溶性ヨウド化合物であり、X線検査用造影剤として用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のリポソーム製剤。
【請求項8】
前記脂質膜内外の水相における多価アルコールの濃度が実質的に同じであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のリポソーム含有製剤。
【請求項9】
(i)圧力容器内で33〜65℃の下、リポソーム膜構成成分と超臨界二酸化炭素とを混合し
て懸濁液を得る第1工程、
(ii)次いで、該懸濁液に多価アルコール水溶液を添加して混合する第2工程、
(iii)その後、該圧力容器内を減圧して二酸化炭素を排出することにより、該多価アル
コールが内包されたリポソームの水性分散液を調製する第3工程と、ならびに
(iii)該多価アルコールが内包されたリポソームの水性分散液を50〜90℃、0.01〜0.8MPaの圧力下で、ろ過して、平均粒径が0.05〜0.8μmのリポソームに整粒する第4工程と、
を有することを特徴とするリポソーム含有製剤の製造方法。


【公開番号】特開2006−298837(P2006−298837A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124067(P2005−124067)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】