説明

多価アレイおよび多価アレイのコンビナトリアルライブラリーを作製する方法および試薬

【課題】多価アレイの新規な調製方法の提供。
【解決手段】少なくとも1つの重合可能な基および少なくとも1つの潜在的反応性基を含む少なくとも1つのモノマーを、金属カルベン触媒の存在下で重合して、少なくとも1つの潜在的反応性基を有するポリマーテンプレートを形成する工程;およびこのポリマーテンプレートを、少なくとも1つの反応性基を含む少なくとも1つの官能化剤と、このポリマーテンプレートの潜在的反応性基がこの官能化剤の反応性基と効率的に反応するような条件下で結合して多価アレイを形成する工程を有する多価アレイの調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アレイおよび多価アレイのコンビナトリアルライブラリーを作製する方法および試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
新規な材料および合成方法が、研究および製造の有意な分野として出現している。これは、生物工学、医薬、薬学、医療デバイス、センサ、光学材料などの分野において適用を有する。開環メタセシス重合(ROMP)法は、このような有用な材料の作製のための強力な合成方法として出現している。ROMPが機能性材料を作製するために使用された多くの例は、ペンダント官能基をモノマーに組み込むことに焦点を当てており、これによって、多価アレイを形成する。本明細書中で使用されるように、多価アレイは、種々の性質をポリマーに付与するペンダント官能基を有するより身近なオリゴマーを含む、種々の長さのポリマー(ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーを含む)をいう。このような多価アレイはまた、しばしば、多価リガンド、多価ディスプレイ、多座アレイ、多座リガンド、または多座ディスプレイと呼ばれる。
【0003】
このような多価アレイは、医学分野および生物工学分野において特に有用である。例えば、多価アレイの特定のエピトープヘの細胞表面レセプターの結合は、幅広い種々の生物学的応答を誘引し得る。このような多価結合事象は、一価相互作用により誘発される結果とは劇的に異なる独特の結果を有する。例えば、上皮増殖因子によるシグナル伝達は、二価リガンドの結合によって促進され、これは、明かに、膜貫通レセプターの二量化を促進する。一価リガンドもまた、レセプターに結合するが、シグナルを生成しない。さらに、多価アレイが、細胞表面タンパク質の放出を誘導することが示されており、タンパク質ディスプレイを制御するための新規な機構を示唆する。タンパク質−炭水化物認識プロセスにおいて、多価糖類置換アレイは、ずれ流動(shear flow)の動的な条件下で増加したアビディティ、特異性、および独特の阻害効力を示し得る。従って、生物学的に関連した結合エピトープの規定された多価アレイを合成するための能力によって、生理学的に有意なプロセスを探索しそして操作するための手段が提供される。
【0004】
これらが長距離にわたり得るので、種々の長さおよびエピトープ密度の線状多価アレイは、生物学的な系における構造−機能関係を探索するのに特に有用である。化学経路および化学酵素経路は、二価リガンド、三価リガンド、デンドリマー、および高分子量ポリマーの生成のために開発されているが、十分に規定された線状オリゴマーは、合成がより困難であることが証明されている。従って、種々のそして制御された長さの、異なる多価材料の多様なアレイを作製するための一般的な戦略が必要である。
【0005】
これがなされ得る1つの方法は、ROMP技術の使用が考慮される。ROMPは、規定された生物学的に活性なポリマー(Gibsonら、Chem.Commun.,1095-1096(1997);Biaginiら、Chem.Commun.,1097-1098(1997);Biaginiら、Polymer,39,1007-1014(1998);およびKiesslingら、Topics in Organometallic Chemistry、1、199-231(1998))を、タンパク質−炭水化物認識事象を阻害することから細胞表面タンパク質のタンパク質分解放出を促進することまでにわたる強力で独特な活性を有して生成するために使用されている(Mortellら、J,Am.Chem.Soc.,118,2297-2298(1996);Mortellら、J.Am.Chem.,Soc.,116,12053-12054(1994);Kanaiら、J.Am.Chem.Soc.,119,9931-9932(1997));Kingsburyら、J.Am.Chem.Soc.,121,791-799(1999);Scrhockら、J.Am.Chem.Soc.,112,3875-3886(1990);Gordonら、Nature,392,30-31(1998);およびSandersら、J.Biol.Chem.,274,5271-5278(1999))。
【0006】
ROMPによる多価材料のアセンブリは、多価ディスプレイの生成のための古典的な方法の対していくつかの利点を有する。詳細には、ROMPは、リビング重合条件下で行われ得、開始速度が成長速度よりも速い場合、モノマー対開始剤の比(M:I)を変えることによって、規定された長さの材料を生成し得る(Ivin,Olefin Methathesis and metathesis polymerization;Academic Press:San Diego,1997)。このアプローチは、Grubbsのルテニウム金属カルベン触媒([(Cy)3P]2Cl2Ru=CHPh)を用いて首尾よく適用されて、狭い多分散性を有する材料を生成し、得られた物質はかなり均質であることを示す(Diasら、J.Am.Chem.Soc.,119,3887-3897(1997);およびLynnら、J.Am.Chem.Soc.,118,784-790(1996))。アニオン性重合触媒およびカチオン性重合触媒と対称的に、ルテニウム金属カルベン開始剤は、幅広い範囲の官能基に対して寛容である。
【0007】
しかし、生物学的に活性な材料を組み立てるためにROMPに依存する標準的なアプローチの使用における固有な不利が存在する。例えば、所望のペンダント官能基がモノマーに組み込まれる。従って、新規な官能化された環式オレフィンモノマー(典型的には、官能化された二環式モノマー)は、生成されるべきそれぞれの新規なポリマーのクラスに対して合成されなければならない。また、それぞれのモノマーの物理的性質(例えば、その溶解性ならびに環式オレフィンの電子密度および歪み)は、反応の開始、成長および非生産的な停止の、異なる速度を生じる(Kanaiら、J,Am.Chem,.Soc.,119,9931-9932(1997))。さらに、所望の生成物の精製は、使用したモノマーの構造に依存して複雑であり得る。
【0008】
多価アレイの都合の良い大規模合成は、これらの技術的複雑さによって妨害される。従って、これらの1つ以上の問題に取り組む多価アレイを合成するための一般的な方法が必要である。最終的に、大規模な生産とオリゴマーのライブラリーの生成との両方がこのような方法によって容易になる。
【0009】
多価アレイのさらなる改変の導入のためのさらなる戦略は、選択された官能基をROMPポリマーの末端に組み込むことである。ポリマー末端へのさらなる官能基の結合は、さらにROMPにより生成される材料に使用するレパートリーを拡大する。この選択的な末端キャッピングは、表面支持ROMP誘導ポリマーの合成において示されるように、新たな適用のための材料を合成するために、リビングなチタン開始ROMP反応およびモリブデン開始ROMP反応において以前に使用されている(Cannizzoら、Macromolecures,20,1488-1490(1987);Albagliら、J.Phys.Chem.,97,10211-10216(1993);およびAlbagliら、J.Am.Chem.Soc.,115,7328-7334(1993))。
【0010】
チタン開始剤およびモリブデン開始剤とは異なり、ルテニウムROMP開始剤は、幅広い種々の極性官能基に寛容であり、他の触媒を使用してアクセス可能でない生成物の生成を可能にする(Grubbs,J.M.S.Pure Appl Chem.,A31,1829(1994))。ルテニウムカルベン触媒ROMPによって生成されるポリマーに特定の末端基を結合することによって、新たな表面を作製するためのポリマーの選択的な固定化のような適用のためのさらなる官能化が可能な材料に対するアクセス(Weekら、J.Am.Chem.Soc.,121,4088-4089(1999))および例えば結合事象に対して報告する特定のリガンドの開発が提供される。従って、選択された官能基をルテニウムカルベン触媒ROMPによって生成されるポリマーの末端に組み込むための方法および試薬が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、官能化ポリマー(この用語は比較的短いオリゴマーを含む)のような多価アレイを合成するための方法を提供する。有意には、本発明の方法は、有意な機能を有する幅広い範囲の材料ヘのアクセスを提供し得る。例えば、これらは、付加される官能基、末端官能基ならびに長さにおいて異なるオリゴマー物質のライブラリーを生成するために使用され得る。有意に、本発明の方法は、ペンダント官能基の数、種類、および位置を制御し、そして選択された官能基をポリマー末端に提供するための能力を提供する。このような設計の制御は、例えば、生物学的系における構造/機能活性の関係を解明するのに重要である。本発明の方法は、ランダムコポリマー(すなわち、2つ以上の異なるモノマーから誘導されるポリマー)を生成するために使用され得る。さらに、いくつかのブロックが不変を維持し、一方、他のブロックが本発明の方法によって多様化されるブロックコポリマーが生成され得る。このブロックは、骨格および/またはペンダント官能基において多様であり得る。
【0012】
一つの実施形態において、本発明は、多価アレイを調製する方法を提供する。本方法は、金属カルベン触媒の存在下で少なくとも一つの重合可能な基および少なくとも一つの潜在的反応性基を含む少なくとも一つのモノマーを重合して、少なくとも一つの潜在的反応性基を含むポリマーテンプレートを形成する工程;およびポリマーテンプレートを、少なくとも一つの反応性基を含む少なくとも一つの官能化剤と、ポリマーテンプレートの潜在的反応性基と官能化剤の反応性基とを反応させるのに効果的な条件下で組み合わせて、多価アレイを形成する工程を包含する。
【0013】
モノマーは、必要に応じて、官能化剤(本明細書中において、プレ官能化モノマーと呼ばれる)の反応性基と非反応性の官能基を含む。一つの特定の実施形態において、モノマーの潜在的反応性基は、求核性基を含み、そして官能化剤の反応性基は、求電子基を含む。別の特定の実施形態において、モノマーの潜在的反応性基は、求電子基を含み、そして官能化剤の反応性基は、求核基を含む。特に好ましい実施形態において、求電子基は、活性化エステル基であり、そして求核基は、第1級アミン基である。
【0014】
関連の実施形態において、本方法は、金属カルベン触媒の存在下で、それぞれが少なくとも一つの重合可能な基を含む少なくとも二つのモノマーを重合し、少なくとも一つの潜在的反応性基を含むポリマーテンプレートを形成する工程であって、ここで、一つのモノマーが少なくとも一つの潜在的反応性基を含む工程;およびポリマーテンプレートを、少なくとも一つの反応性基を含む少なくとも一つの官能化基と、ポリマーテンプレートの潜在的反応性基と官能化剤の反応性基と反応させて多価アレイを形成するのに効果的な条件下で結合させる工程を包含する。他のモノマー(単数または複数)は、所望の反応性または非反応性官能基でプレ官能化され得るか、またはペンダント官能基を保有しなくあり得る。
【0015】
これらの方法によって作製されるポリマーテンプレート、そして従って多価アレイは、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであり得る。ブロックコポリマーは、上記方法によって形成され、ここで、少なくとも一つのモノマーを重合する工程は、金属カルベン触媒の存在下で二つ以上の異なるモノマーを連続的に重合して異なるモノマーの交互ブロックを含むポリマーテンプレートを形成する工程を包含する。モノマーのそれぞれのブロックの長さは、制御され得る。このブロックコポリマー形成の方法はまた、官能基の間の間隔が選択されたポリマーを生成するために使用され得る。あるいは、ランダムコポリマーは、上記方法によって形成され、ここで、少なくとも一つのモノマーを重合する工程が、二つ以上の異なるモノマーを同時に重合する工程を包含する。それぞれの異なるモノマーは、ペンダント官能基の引き続く結合のために異なる潜在的反応性基を含み得る。このようなペンダント官能性基は、ポリマーテンプレートの潜在的反応性基と反応する官能化剤(炭水化物またはペプチドを含む)から誘導され得る。
【0016】
本発明はさらに、ROMPにより生成された材料への官能基の末端結合のための方法および試薬を提供する。これらの方法および試薬は、種々の官能化ポリマー(本明細書中において、比較的短いオリゴマーがこの用語に含まれる)を合成するために使用され得る。有意には、本発明の方法は、有意な機能を有する幅広い範囲の材料ヘのアクセスを提供し得る。例えば、これらは、末端官能基、官能基の種類および数、ならびに長さにおいて異なるオリゴマー物質のライブラリーを生成するために使用され得る。このような材料は、例えば、基質表面での固定を可能にする官能基を含み得る。
【0017】
あるいは、このような物質は、蛍光可能な官能基のようなレポーター基を含み得、これは、細胞表面でのレセプター−リガンド相互作用を視覚化するために使用され得る分子プローブの作製を可能にする。末端官能基を組み込む別の利点は、これによってポリマーのより容易な精製が可能になり得ることである。このような多様な材料は、キャッピング剤(好ましくは、二官能性キャッピング剤)および/または官能化メタセシス触媒を使用して調製され得る。末端官能基を導入するための方法は、ポリマーテンプレートから官能化ポリマーの合成のために従来のROMP重合方法とともにかまたは本明細書中に開示される改善された方法とともに使用され得る。
【0018】
本発明の一つの実施形態において、テレケリックポリマー(好ましくは、モノテレケリックポリマー)を調製する方法が提供される。本方法は、少なくとも一つのルテニウムカルベン触媒またはオスミウムカルベン触媒の存在下で少なくとも一つの重合可能基を含む少なくとも一つのモノマーを重合してポリマーを形成する工程;およびこのポリマーを、少なくとも一つの官能化キャッピング剤と、このポリマーとキャッピング剤とを反応させて末端官能化ポリマーを形成するのに有効な条件下で結合させる工程を包含する。
【0019】
官能化キャッピング剤は、官能化剤との引き続く反応のための潜在的反応性基を含み得る。あるいは、官能化キャッピング剤は、非反応性の官能基(すなわち、さらには反応しない所望の官能基を有するもの)を含み得る。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、以下を包含するテレケリックポリマーを調製する方法を提供する:少なくとも一つの官能化されたルテニウムカルベン触媒またはオスミウムカルベン触媒の存在下で少なくとも一つの重合可能基を含む少なくとも一つのモノマーを重合して官能化ポリマーを形成する工程;およびこの官能化ポリマーを、少なくとも一つのキャッピング剤と、この官能化ポリマーとキャッピング剤とを反応させて末端官能化ポリマーを形成するのに有効な条件下で結合させる工程。
【0021】
官能化されたカルベン触媒は、官能化剤との引き続く反応のために潜在的反応性基を含み得る。あるいは、官能化されたカルベン触媒は、非反応性の官能基(すなわち、さらには反応しない所望の官能基を有するもの)を含み得る。
【0022】
なお別の実施形態において、本発明は、ビテレケリック(bitelechelic)ポリマーを調製するための方法を提供する。本方法は、少なくとも一つの官能化されたルテニウムカルベン触媒またはオスミウムカルベン触媒の存在下で少なくとも一つの重合可能基を含む少なくとも一つのモノマーを重合して官能化ポリマーを形成する工程;およびこの官能化ポリマーを、少なくとも一つの官能化キャッピング剤と、この官能化ポリマーテンプレートとキャッピング剤とを反応させてビテレケリックポリマーを形成するのに有効な条件下で結合させる工程を包含する。
【0023】
官能化されたROMP触媒を使用して合成される本発明の末端官能化ポリマーは、使用されるモノマーの種類および量の選択によって、さらなる(非末端)官能基(潜在的反応性基を含む)および非反応性基を含むように合成され得る。本発明の官能化キャッピング剤と反応する末端官能化ポリマーは、さらなる(非末端)官能性基(潜在的反応性基を含む)および非反応性基を含み得る。潜在的反応性基を含むポリマーは、本明細書中において設計されたポリマーテンプレートであり、これは、官能化剤との反応によるポリマー合成の後に選択的に官能化され得る。
本発明の方法での使用のための官能化キャッピング剤および官能化されたカルベンROMP触媒もまた提供される。
【0024】
本発明の方法は、多価アレイ(官能基を保有するポリマー)のライブラリーを生成するために使用され得る。このようなライブラリーおよびライブラリー自身を作製する方法は、本発明によって提供される。ライブラリーは、ライブラリーの個々のメンバーが選択された構造上の特徴(例えば、長さ、官能基の種類および数、官能基の位置、ならびに末端官能基の種類および数(1または2))の範囲にわたるように構成される。本発明の方法、規定された長さ、官能基の規定された密度、官能基間の規定された距離、(規定された相対的な数および間隔の)異なる官能基の規定された組み合わせ、同じかまたは異なる官能基の規定された位置、および官能基の規定された分類の多価アレイの合成を可能にする。本発明の多価アレイのライブラリーは、ライブラリーのメンバーのそれぞれが規定された長さを有し、そしてライブラリーのメンバーのそれぞれが規定された官能基密度を有するライブラリーを含む。
【0025】
本発明のライブラリーは、所望の機能を示す多価アレイのスクリーニングおよび選択に有用である。種々の生物学的活性(細胞表面結合、生物学的シグナル伝達効果など)についてのスクリーニングのための多価アレイのライブラリーは、特に興味深い。
【0026】
本発明はまた、ポリマーテンプレートおよび少なくとも一つのポリマーテンプレートを含むキットを提供する。このキットはまた、ペンダント官能基をポリマーテンプレートにとり付けるための官能化剤を使用するための指示手段を含む。キットはまた、少なくとも一つの官能化剤および/または少なくとも一つのキャッピング剤を含み得る。キットに提供されるキャッピング剤は、官能化され得、そして固体支持体または金属表面に連結されているかまたは連結され得るキャッピング剤を含み得る。官能化キャッピング剤はまた、ポリマーと結合された官能基(例えば、固体支持体)との間にある切断可能なリンカーを含み得る。キットはさらに、切断可能なリンカーを切断するための試薬または指令を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ランダムコポリマーの形成のための2つの合成経路の概略である。
【図2】図2は、同じ多価のモノマーアレイを生成するために使用される2つの合成経路である。(A)は、非極性活性化エステルモノマーテンプレート1の重合、続いて、炭水化物認識エレメント4を用いる、得られたポリマーテンプレート3の合成後修飾を含む本発明の方法の一例である。(B)は、乳化条件下で炭水化物官能化モノマー5の重合を含む従来の方法の一例である。
【0028】
【図3】図3は、カルベン触媒での官能基の取り込みおよび誘導体化された電子リッチなオレフィンを用いた停止を示す、開環メタセシス重合(ROMP)における機構および中間体である。
【図4】図4は、モノテレケリックポリマー(RまたはR’のいずれかが官能基を含む場合)およびビテレケリックポリマー(RとR’の両方が官能基を含む場合)の開環メタセシス重合(ROMP)における機構および中間体である。
【0029】
【図5】図5は、本発明における使用に適した必要に応じて置換されたモノマーの例である。
【図6】図6は、本発明の使用に適切な金属カルベン触媒の例である。
【図7A】図7Aは、反応性官能基を含むキャッピング剤の例である。
【図7B】図7Bは、非反応性官能基を含むキャッピング剤の例である。
【図8A】図8Aは、切断可能なリンカーを有するキャッピング剤の使用の図である。
【図8B】図8Bは、切断可能なリンカーを有するキャッピング剤の例示的な合成の図である。
【0030】
【図9】図9は、本発明の方法によって調製され得るポリマーテンプレートの例である。
【図10】図10は、GPCデータが、それぞれの重合からの結果が内部的に一致しているが、乳化重合条件(図2の経路B)が、合成後修飾条件(図2の経路A)よりも短い相対長のポリマーを生成することを示す。
【0031】
【図11】図11は、ポリマー長に対する血球凝集抑制の依存性である。IC50値が(一つの糖類基準で)報告される。効力は、α−メチルマンノースに比較して決定された。この結果は、最低限5個の実験の平均であり、そして用量決定に付随する誤差は、2の因子であり、アッセイにおける二倍希釈によって指示される。PSMは、図2の経路Aの合成後修飾条件を表し、そしてEは、図2の経路Bの乳化条件を表す。
【0032】
【図12】図12は、末端キャップ化ポリマーの合成のためのスキームである。試薬および条件:1および2について、(a)1,2−ジクロロエタン(DCE)、30分;3(b)について、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)(1.6当量)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)2,2',2”−ニトリロトリエタノール(ビス−tris)緩衝液(100mM、pH5.9)、DCE、45℃、30分;(c)過剰のキャッピング剤8がニートで加えられた;(d)(2−アミノエチル)−3,6-O-ジスルホ−β−D−ガラクトピラノシド、ジイソプロピルカルボジイミド、Et3N、DMF、H2O;(e)50mM NaOH、60℃、二時間;(f)5-((5-アミノペンチル)チオウレイジル)フルオレセイン、EDCI、N−ヒドロキシスルホスクシイミド、H2O、24時間。
【0033】
【図13】図13は、末端アルデヒドを介する蛍光ネオグリコポリマーの合成のためのスキームである。
【図14】図14は、蛍光顕微鏡によって観測されるジャーカット細胞に結合する、蛍光標識された抗L−セリン抗体(A)、蛍光結合体化ネオグリコポリマー12(B)、および蛍光結合体化ネオグリコポリマー17(C)である。それぞれの画像は、630倍での個々の細胞であり、そして少なくとも4つの独立した実験の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、多価アレイを合成するための方法を提供する。好ましくは、本発明は、大規模生成と、例えばオリゴマーのライブラリーの生成の両方のために使用され得る一般的な方法を提供する。本発明の好ましい実施形態は、有意である、なぜなら、これらは、例えば、種々の平均長、種々のエピトープ密度および種々の官能基のポリマーの調製について比較的高収率、一般的、便利、そして/または効果的であるからである。種々の長さのアレイの形成を制御する本発明の方法の能力が特に重要である。
【0035】
一つの局面において、本発明の方法は、金属カルベン触媒ROMP系によって生成されるポリマー骨格の重合後修飾に基づく。所望のペンダント官能基をモノマーに組み込む従来の方法と対照的に、本発明の方法は、所望のペンダント官能基を予め形成されたポリマーに結合する。有意に、金属カルベン触媒ROMPによって生成される予め形成されたポリマーへのペンダント官能基の結合は、以前の方法が提供し得る材料よりも広い種々の材料に対してより良い制御およびアクセスを提供する。このような材料は、幅広い種々の天然レセプターおよび合成レセプターに対して独特の表面またはリガンドを提供する。
【0036】
一般的に、本方法は、中間体ポリマー(本明細書中においてポリマーテンプレートと呼ばれる)を形成するために、モノマーおよびROMP金属カルベン触媒(金属カルベン触媒とも呼ばれる)の使用を含む。好ましくは、モノマーおよびROMP触媒は、通常の溶媒(代表的には、有機溶媒または溶媒の混合物)中においてモノマーの重合を可能にするのに十分な溶解性であるが、反応は、溶媒の不在下で(すなわち、ニート)で行われ得る。あるいは、水のようなより極性の溶媒は、金属カルベン触媒およびモノマーが相互に溶解性である場合、使用され得る。
【0037】
モノマーは、その構造中に、少なくとも一つの重合可能基、およびペンダント官能基の引き続く結合(すなわち、引き続く官能化)のための少なくとも一つの潜在的反応性基を含む。従って、適切な潜在的な反応性基は、最初のROMP反応の間、未反応であるが、引き続く官能化の間、反応性である(すなわち、用語「潜在的」)基である。潜在的反応性基の例としては、活性化された脱離基(例えば、活性化エステル)または保護された官能基(例えば、保護アミン)がげられる。本明細書中で使用されるように、「保護」基は、その基の固有の反応性が、一時的にマスクされる(すなわち、「マスク」は除去され得る)基である。好ましくは、モノマーは、非極性モノマー(すなわち、有機溶媒に可溶なモノマー)であり、これは、得られるポリマーの単離を単純化し得る。
【0038】
得られる中間体ポリマーは、一つ以上の官能基が、潜在的反応性基と反応する一つ以上の官能化剤を使用して付加され得るテンプレートとして働く。典型的な反応において、一つだけの官能基が、ポリマーテンプレートに付加される;しかし、化学量論量のいくつかの官能化剤よりも少なく使用することによって、いくつかの異なる官能基が、ポリマーテンプレートに付加され得る。これらの官能基は、生物学的実体(例えば、細胞表面レセプター)に対して認識要素(すなわち、結合部位)を提供し得る。あるいは、これらは、一般的に未反応性(例えば、細胞表面レセプターに対して非結合性)であり得る。従って、得られたポリマーは、生体活性または生体適合性であり得る。
【0039】
最初のROMP反応において、ROMP触媒(すなわち、開始剤)に対するモノマーの比を変化させることで、種々の長さのポリマーが得られる。また、最初のROMP反応において、異なるモノマーが使用され得る。ランダムコポリマーは、2以上の異なるモノマーを重合化することによって作製され得る。モノマーの各々は、異なる潜在的反応性基を、続くペンダント官能基の結合のために有し得る。これは、種々の官能化剤の化学量論量未満の付加に依存する上記の方法に加えて、異なるペンダント官能基が骨格に付加され得る1つの方法である。
【0040】
あるいは、ブロックコポリマーは、第1のモノマーを重合化し、一旦第1モノマーが完全に消費されてから第2モノマーを添加することなどよって作製される。異なるペンダント官能基を組み込むための別の方法は、従来のROMP方法においてなされるように、ROMP反応中に不活性である、さらなる官能化を必要としない所望のペンダント官能基をすでに含むモノマーを使用することである(例えば、化合物5、図2、ルートBを参照のこと)。ペンダント官能基を含むか、または含まないモノマーを使用することは、本発明の方法にさらなる利点を提供する。
【0041】
ランダムポリマーを作製するこれらの種々の方法のスキームを、図1に示す。図1Aにおいて、単一のモノマーが使用され、1つの繰返し単位当たりに同じ潜在的反応性基(A)を有するポリマーテンプレートを作製し、これに、化学量論量未満の3つの異なる官能化剤(官能基Bを含む試薬、官能基Cを含む試薬、および官能基Dを含む試薬)を添加し、異なるペンダント官能基(B、C、およびD)を有する、骨格中に同じ繰返し単位を有するポリマーを形成する。
【0042】
あるいは、異なるモノマー(各々同じ潜在的反応性基を有する)を使用し、骨格中に異なる繰返し単位を有するが、同じ潜在的反応性基を有するポリマーテンプレートを形成し得る。図1Bにおいて、異なるモノマー(これらのいくらかは、異なる潜在的反応性基(U、V)および安定官能基(T)を有する)は、重合化され、異なる繰返し単位および異なる潜在的反応性基を有するポリマーテンプレートを形成し、これに、異なる2種の官能化剤を連続的または同時的に添加して、異なるペンダント官能基(T、Y、Z)を有する骨格中に、異なる繰返し単位を有するポリマーを形成する。
【0043】
最初のROMP反応に続いておよび/またはペンダント官能基の添加に続いて、ポリマーの骨格は、必要に応じて、さらなる利点のために改変され得る。例えば、この骨格を、二重結合を除去するために還元(例えば、ジイミドを使用する)するか、またはヒドロキシル基を形成するために酸化(例えば、OSO4を使用する)する。他のアルケン官能化がまた、骨格に取り込まれ得、所望の材料を得る。
【0044】
本発明の方法に従う合成経路の一例を、図2に示す。この例において、多価のマンノースアレイを調製する。図2Aは、非極性活性化エステルモノマー1の重合化、続く、得られたポリマーテンプレート3と炭水化物含有官能化剤4との反応による合成後の改変を含む、本発明の方法の一例を示す。比較の目的で、図2Bは、エマルジョン条件下で、炭水化物官能化モノマー5の重合を含む従来の方法の例を示す。
【0045】
別の局面において、本発明は、ROMPによって生成される物質に、新規な官能基を末端結合させるための方法および試薬を提供する。本発明の方法の好ましい実施形態は重要である。なぜならば、この実施形態は、例えば、官能基の種々の平均長、種々の型、数および分布、ならびに種々の末端官能基を有する、ポリマーを調製するために、比較的高収率、普遍的、都合が良く、そして/または有効であるからである。有意に、金属カルベン触媒ROMPにより生成されるポリマーへの鎖終結官能基の結合は、以前の重合化方法が提供し得るよりも広範で種々の物質へのアクセスを提供する。このような物質は、独特な表面、または広範な種々の天然レセプターおよび合成レセプターに対するリガンドを提供する。
【0046】
本発明の好ましいROMP方法において、終結および鎖移動の速度は、成長速度と比較して比較的遅い。開始(ki)が成長(kp)に比べて速い場合(例えば、ki>kp)、制御された長さおよび低い多分散性を有する、均質物質が生成され得る(図3)。リビング重合において、モノマーが消費された後に、活性金属カルベン中心が、各鎖の末端に存在する(図3、III)。この種は、電子リッチのアルケンと反応し得、官能化し得る末端アルケンを有する生成物(IV)および未反応のアルコキシ置換ルテニウム金属カルベンを生成する。この戦略に対する有意な利点は、リビング鎖のみが官能基を獲得することであり、これにより、より均質な集合の官能化材料を得る。
【0047】
図4に示されるように、この戦略により、テレケリックポリマー(すなわち、独特の官能基を有する1以上の末端基を含むポリマー)を生成する。このアプローチは、先行の方法を超える別の利点を有し得る。なぜならば、各ポリマーブロックの長さが制御され得るからである。テレケリックポリマーは、1以上の独特の末端基を有し得、そして本発発明の方法において、これらが達成され得る。図4を参照すると、モノテレケリックポリマーは、RまたはR’のいずれかが官能基を含む生成物である。一方、ビテレケリックポリマーは、RおよびR’の両方が官能基を含む生成物である。例えば、モノ官能性ポリマーは、以下に詳細に記載されるように、官能化キャッピング剤または官能化触媒を使用して得られ得る。一方、このビテレケリックポリマーは、官能化触媒および官能化キャッピンの両方を使用した場合に、生成され得る。開示される生物学的な例に加えて、テレケリックポリマーは、しばしば、架橋プラスチックの合成に使用される。所望の特性(例えば、熱安定性)の増強は、規定される均質な物質を生成する能力から得られ得る。
【0048】
ポリマーの末端官能化のための本発明の方法としては、従来のROMP法または改良方法((上記のように)ポリマーの合成後に、選択的に官能化され得る潜在的反応性基を保持するポリマーが合成される)のいずれかが挙げられる。
【0049】
後者の(改良)方法において、少なくとも1個の重合可能基および少なくとも1個の潜在的反応性基を構造中に含むモノマーが、続くペンダント官能基との結合(すなわち、続く官能化)のために使用される。従って、適切な潜在的反応性基は、開始ROMP反応の間に未反応である基である。モノマー潜在的反応性基の例としては、活性化脱離基(例えば、活性化エステル)または保護官能基(例えば、保護アミン)が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「保護」基は、基の本来の反応性が一時的にマスク(すなわち、「マスク」は除去され得る)された基である。
【0050】
得られたポリマーは、テンプレートとして作用し、これに1個以上の官能基が、モノマー(本明細書中でモノマー潜在的反応性基と称される)から誘導される潜在的反応性基と反応する1個以上の官能化剤を使用して付与され得る。これらの官能基は、生物学的機能を有し得、例えば、この官能基は、生物学的実体(例えば、細胞表面レセプター)に対して認識エレメント(すなわち、結合部位)を提供し得る。あるいは、この官能基は、一般に未反応であり得る(例えば、細胞表面レセプターに対して結合しない)。従って、得られたポリマーは、生物活性または生物学的適合性であり得る。
【0051】
本発明の方法において使用するための適切なモノマーは、少なくとも1個の重合可能な基(時折1個だけの重合可能基)を有する。モノマーは、ペンダント官能基を有し得るか、またはペンダント官能基を有さない。この官能基は、上記のような非反応性基または潜在官能基であり得る。特定の実施形態において、少なくとも1個の反応基(後の官能化のために使用される)を有するモノマーを使用して、上記のようなポリマーテンプレートを生成し得る。
【0052】
適切なモノマーは、ROMP重合化条件に対して安定であるモノマーである。好ましくは、適切なモノマーは、標準状態でPOMPにより重合され得るモノマーであり得る。より好ましくは、このモノマーには、置換された環状(例えば、単環式、2環式、3環式、またはこれより高次の環式)モノマー−オレフィンが挙げられる。例としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:歪み(strained)オレフィン(例えば、ノルボルネン、シクロブテン)、および低歪みオレフィン(例えば、シクロオクテン)。
【0053】
このような置換環式モノ−オレフィンはまた、環内にヘテロ原子および官能基を含み、これらには以下が挙げられる:例えば、チオエーテル(RSR’またはR2S)、エーテル(ROR’まはR2O)、アミン(1級RNH2;2級RR”NHまたはR2NH;3級RRR”NまたはR2R'NまたはR3N)、アミド(すなわち、RCONHR’)、およびエステル(RCO2R’)。このようなオレフィンの例としては、オキサノルボルネン、7−チア−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、および3,6,7,8−テトラヒドロ−1H−アゾシン−2−オンが挙げられ、これらの構造は、以下の通りである:
【0054】
【化1】

【0055】
ROMP方法のために適切なモノマーのさらなる例が開示される:例えば、発明の背景の節で引用した種々の文献、ならびに米国特許第5,831,108号、同第5,342,909号、同第5,710,298号、同第5,312,940号、同第5,750,815号、同第5,880,231号、同第5,849,851号、同第4,883,851号、および同第5,587,442号、ならびにWuら、Macromolecules,26,4975-4977(1993);Hillmyerら、Macromolecules,25,3345-3350(1992);Maughonら、Macromolecules,30,3459-3469(1997);Maynardら、Macromolecules,32,6917-6924(1999);Hillmyerら、Macromolecules,28,6311-6316(1995);Maughonら、Macromolecules,29,5765-5769(1996)。図3は、数種の有用なモノマーのさらなる特定の例を提供する。
【0056】
モノマーは、必要に応じて、ペンダント基(官能基、非反応基または潜在的反応性基であり得る)を含む。重合後に選択的官能化のために使用されるモノマー上の潜在的反応性基は、求電子基または求核基を含み得る。同様に、これらの後者の付加した官能基が誘導される化合物(すなわち、官能化剤)は、求電子基または求核基を含み得る。これらの基の2つのセットは、同じか、または異なり得る。しかし、任意の2つの反応物(モノマーおよび官能化剤)について、この潜在的反応性基が調和し、ペンダント官能基とポリマーテンプレートとの反応および結合を可能にする。
【0057】
官能化剤としては、得られるポリマーに有用な特性(例えば、生物活性)を与え得る、例えば、炭水化物またはペプチドのような広範な種々の分子が挙げられ得る。従って、ペンダント官能基は、生物学的実体(例えば、細胞表面レセプター)に認識エレメント(すなわち、結合部位)を与え得る。あるいは、ペンダント官能基は、一般に非反応性であり得る(例えば、細胞表面レセプターに非結合性である)。このポリマーとしては、そのような基の組合せが挙げられる。例えば、ポリマーは、認識エレメントおよび未反応エレメントの代替のブロックを含み得る。
【0058】
求電子性潜在的反応性基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アシルスルホンアミド(RCONHSO2R’)、アシルアジド(RCON3)、エポキシド(RR’COCR”R”’)、無水物(RCO2COR’)、エステル(RCO2R’;ペンタフルオロフェニルエステルおよびN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルを含む)、カルボン酸(RCO2H;アシルハライドRCOX(ここで、X=Br、I、F、Cl)のような活性酸を含む)、ハライド(F,Br、Cl、I)、ホウ素酸およびエステル(RB(OH)2;RB(OH)(OR”);RB(OR’)2)、ケトン(RCOR’)、アルデヒド(RCHO)、リン酸エステル(モノ、ジ、およびトリエステル(例えば、PO(OR)(OH)2、PO(OR)2(OH);PO(OR)3)、ホスファイト(POR3)、アシルニトリル(RCOCN)、アルケン(RR’CCR”R”’)、アルキン(RCCR’)など。
【0059】
求核性潜在的反応性基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミン(1級RNH2;2級RR”NHまたはR2NH;3級RR’R”NまたはR2R’NまたはR3N)、アジド(RN3)、ヒドロキシル(ROH)、チオール(RSH)、スルホン(R2SO2またはRSO2R’)、アシルヒドラジド(RCONHNH2)、ホスファイト(POR3)、ヒドラジン(RHNNH2)、オキシム(RHCNOH)、イソシアネート(RNCO)、ヒドロキサム酸(RCONHOH)、チオシアネート(RSCN)など。これらの基の立体化学は、規定されか、またはラセミ体であり得る。所望ならば、これらの基は、以下の基で保護され得る:カルバメート(RNHCO2R’)、カルボネート(ROCO2R’)、チオエーテル(RSR’またはR2S)、ジスルフィド(RSSR’またはRSSR)、ニトロ基(RNO2)など。
【0060】
適切なモノマーはまた、官能化のために使用されない1以上の付加基(すなわち、官能化の条件下で非反応性)を含み得る。このような基には、ヒドロキシル(ROH)、アルキル、アリール、ハライド(F,Br、Cl、I)、アミド(RCONHR’)、チオール(RSH)などが挙げられる。これらの基の立体化学は、規定されか、またはラセミ体であり得る。これらの基のいくらかは、潜在的反応性基と同一であるが、ペンダント官能基の結合のために選択される条件下では反応せず、本明細書中で安定な官能基として言及される。従って、安定とは、本文脈中において選択条件下で非反応性である基に対して言及される、相対的な用語として使用される。
【0061】
ノルボルネン環状構造に基づく適切なモノマーのクラスの例は、以下の一般構造を有する:
【0062】
【化2】

【0063】
ここで、Yは、CH2、O、S、またはN−R3(ここで、R3は、Hまたは有機基である)であり、R1およびR2は、Hまたは有機基であり得、そしてR1およびR2は、一緒になって脂肪族環または芳香族環を形成し得る。R1、R2またはその両方は、官能基または潜在基を含み得る。好ましい実施形態において、少なくとも1個のR1またはR2は、上に定義されるような潜在的反応性基(例えば、活性化エステル)を含む。特定の例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−エキソ−2−カルボン酸N−ヒドロオキシスクシンイミドエステル(化合物1、図4)である。
【0064】
このモノマーは、当業者に公知の標準的な有機合成技術を使用して調製され得る。例えば、モノマーのビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−エキソ−2−カルボン酸は、Ver Nooyら、J.Am.Chem.Soc.,77,3583-3586(1995)の手順に従って合成され得る。
【0065】
1以上のプレ官能化(prefunctionalized)モノマーが使用され、本明細書に記載される方法によって末端が官能化されるポリマーを合成し得る。異なる潜在的反応性基を有する1以上のモノマーを使用して、本明細書中に記載される方法によって末端が官能化され得るポリマーテンプレートを合成し得る。潜在的反応性基を有する1以上のモノマーのみを使用して、または1以上のプレ官能化モノマー(すなわち、さらなる官能化を必要としないペンダント基を有するモノマー)と組合せて使用することで、本明細書中に記載される方法によって末端が官能化されるポリマーテンプレートを形成し得る。
【0066】
従って、本発明の方法に従って末端が連続的に官能化されるポリマーを形成するために重合化され得るモノマーは、以下のような種々の官能基を含み得る:(1)重合化後にペンダント官能基を含むように官能化され得るモノマー潜在的反応性基;(2)(単純または複雑であり得る)所望のペンダント官能基を生成するためにさらに官能化することを必要としない非反応性官能基;またはペンダント官能基なし(ノルボルネンの場合)。このようなモノマーの種々の組合せは、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーを提供するために本発明の方法において使用され得る。
【0067】
いずれかのROMP(本明細書中上記の従来の反応または改良された反応)において、ROMP触媒(すなわち、開始剤)に対するモノマーの比を変化させることにより、種々の長さのポリマーが得られる。このポリマー(またはポリマーテンプレート)は、好ましくは、金属カルベン触媒(すなわち、複分解反応を触媒する金属カルベン(M=CR4R5)結合を含む化合物、ここで、R4基およびR5基は、各々独立して、Hまたは有機基(この有機基は、以下に記載の潜在的反応性基または非反応官能基のような官能基を含み得る)であり、そして「M」は、リガンド圏内の1以上のリガンドに結合した金属(好ましくは、ルテニウムまたはオスミウム)を表す)を使用して、1以上のモノマーを重合化することによって調製される。
【0068】
適切な触媒の特定の例は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Grubbのルテニウム金属カルベン触媒(化合物14、図12)ならびに図3に示される化合物および以下に開示される化合物:Kingsburyら、J.Amer.Chem.Soc.,121,791-799(1999);Schwabら,J.Amer.Chem.Soc.,118,100-110(1996);Diasら,Organometallics,17,2758-2767(1998);del Rioら,Tetrahedron Lett.,40,1401-1404(1999);Furstnerら,Chem.Commun,95-96(1999);Huang,J.ら,Organometallics,18,5375-5380(1999);Weskampら,Angew.Chem.,Int.編,Engl.,37,2490-2493(1998);Westkamp,T.ら,J.Organometal.Chem.,582,362-365(1999);Robson,D.A.ら,Macromolecules,32,6371-6373(1999);Schollら、Organic Letters,1,953-956(1999);およびSchollら,Tetrahedron Lett.,40,2247-2250(1999)。例えば、以下に開示される他の化合物が挙げられる:米国特許第5,831,108号(Grubbsら)、同第5,342,909号(Grubbsら)、同第5,710,298号(Grubbsら),同第5,312,940号(Grubbsら)、同第5,750,815号(Grubbsら)、同第5,880,231号(Grubbsら)、同第5,849,851号(Grubbsら)、および同第4,883,851号(Grubbsら)。
【0069】
触媒の好ましい基としては、(以下により詳細に記載されるように)電子リッチなアルケンと反応する基が挙げられ、そして好ましくは、少なくとも1個の潜在的反応性基(本明細書中で触媒潜在的反応性基と呼ばれる)および/または少なくとも1個の所望の非反応性官能基を有する。非反応性官能基には、例えば、天然産物またはそのアナログ、金属キレーター、金属、蛍光プローブ、固体支持体、および金属表面が挙げられる。
触媒上の潜在的反応性基は、好ましいモノマー上の潜在的反応性基と類似しており、このモノマー中のこれらの反応基は、ROMP反応を妨げず、続く官能化を可能にする。
【0070】
官能化に使用される触媒潜在的反応性基は、求電子基または求核基を含む。求電子性潜在的反応性基の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アシルスルホンアミド、アシルアジド、エポキシド、無水物、エステル(活性化エステル(例えば、ペンタフルオロフェニルエステルおよびN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル)を含む)、カルボン酸(活性酸(例えば、アシルハライド)を含む)、ハライド、ホウ素酸、ケトン、アルデヒド、ホスホン酸エステル(モノエステル、ジエステル、およびトリエステル)、ホスファイト、アシルニトリル、アルケン、およびアルキンなど。
【0071】
求核性潜在的反応性基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミン、アジド、ヒドロキシル、チオール、スルホン、アシルヒドラジド、ホスファイト、ヒドラジン、オキシム、イソシアネート、チオシアネートなど。これらの基の立体化学は、規定されか、またはラセミ体であり得る。所望の場合、これらの基は、カルバメート基、カルボネート基、チオエーテル基、ジスルフィド基、ニトロ基などのような基で保護され得る。好ましくは、式M=CR4R5の金属カルベン触媒において、Mは、リガンド圏内の金属を表し、R4は、潜在的反応性基(アジド、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エーテル、活性酸、ヒドラジン、またはヒドラゾン)を含む有機基であり、そしてR5は、Hまたは有機基(好ましくは、H)である。
【0072】
特に好ましい触媒は、以下の一般式:
【化3】

【0073】
を有する。ここで、Mは、RuまたはOsであり、XおよびX’は、独立してアニオンリガンド(好ましくは、ハライド、アルコキシド、チオレート、アミド、ホスフィド、およびアシル)であり、そしてXおよびX’は一緒になって、2座のリガンドを示し得、そしてLおよびL’は、独立して、中性リガンド(好ましくは、アレーン、ケトン、アルキン、カルベン、カルボニル、イミド、ホスフィン、アルシン、アミン、イミン、およびニトリル)であり、そしてLおよびL’は一緒になって2座のリガンドを示し得、そしてR4は、潜在的反応性基を含む有機基である。
【0074】
好ましくはR4は、アジド、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、活性酸、ヒドラジン、またはヒドラゾンを含む、有機基である。あるいは、R4は、天然産物またはそのアナログ、金属キレーター、金属、蛍光プローブ、固体支持体、および金属表面から選択される非反応官能基を含む、有機基である。R4が固体支持体または金属表面を含む場合、R4基は、代表的に、固体表面または金属表面から選択された空間を提供し、そして固体表面または金属表面との結合(共有結合または非共有結合)を形成する官能基を提供するリンカー基LKを含む。
【0075】
LKは、固体表面または金属表面と結合し得る官能基を有する有機基である連結基である。LKは、この固体上の表面基に直接結合され得る。いくつかの場合において、この固体は官能化され得、次いで、LK基は、固体と結合されている官能基と結合する。このLK基は、脂肪族または芳香族であるさらなる繰返し単位を含み得、表面からの空間を提供する。LKは、例えば、式:-(M)m-LK1-(N)p-LK2を有し、ここでMおよびNは、同一または異なる有機基であり;mおよびpは、0から約20の範囲の整数であり、そしてLK1およびLK2は、官能基である。MおよびNは、例えば、脂肪族基または芳香族基あるいはそれらの組合せであり得、これは、必要に応じて、好ましくは、非反応基で置換される。
【0076】
(M)mまたはN(p)は、芳香族基(例えば、脂肪族基(例えば、オレフィンまたはアルキン)によって結合されたフェニル環)であり得る。LK1は、-M-および-N-鎖を単に結合する官能基であるか、または上記のような潜在的反応性基であり得、異なる官能基を導入するために反応され得るか、または固体からLK基の切断部を得るために切断され得る。LK2は、固体との結合(共有結合または非共有結合)を可能にする官能基を含む。LK2は、例えば、チオール基、活性化エステル基またはアミン基を含む。LK1は、任意の種々の官能基であり、とりわけ、-O-、-S-、-CO-、-COO-、CO-NR’-(ここで、R’は、水素または有機基(例えば、アルキル基)である)をみ得る。さらに、MおよびN中の隣接しないCH2基は、-O-、または-S-で置換され得る。LK1はまた、1以上の結合が化学的、酵素学的、または光化学的のいずれかで破壊されて、LK基を切断し得る官能基を含み得る。切断可能なLK1は、とりわけ、エステルおよびアミドを含む。
【0077】
固体支持体または金属表面と結合する、例示的な金属カルベンROMP触媒は、以下の式:
【化4】

【0078】
を有する。ここで、M、X、X’、L、L’およびLKは、上記式IIにおいて定義した通りであり、R’は、水素または有機基であり、そして好ましくは、水素であり、そしてLKは、任意のリンカー基である。この触媒は、Barrettら、Organic Letters,1,1083-1086(1999)に例示されるような固体支持体と直接結合し得る。
【0079】
この触媒を使用して、ポリマーの末端に官能基を取り込み、例えば、2個のポリマーを共に結合させること、ポリマーを固体支持体に結合させること、またはポリマーを小分子、蛍光プローブ、タンパク質、金属、金属キレーターなどで改変すること可能にする。従って、本発明の方法において有用である触媒は、以下の種々の官能基(触媒M=CR4R5におけるR4またはR5の少なくとも1個)を含む:(1)重合化後に末端官能基を含むように官能化され得る触媒潜在的反応性基;(2)所望の末端官能基を生成するためにさらなる官能基化を必要としない非反応官能基;または(3)官能基なし。このような触媒の種々の組合せは、本発明の方法において使用され得る。
【0080】
最初の重合化は、好ましくは、溶媒または溶媒の混合物(代表的に、1種以上の有機溶媒)中で実施され、ここで、モノマーおよび触媒は、互いに可溶性であるが、特定の実施形態において、溶媒を必要としない。適切な溶媒としては、置換および非置換の脂肪族および芳香族炭化水素溶媒(例えば、塩素化炭化水素、エーテル、プロトン性炭水化物などが挙げられ、これらは、反応条件下で非反応性である。例として、1,2−ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、p−キシレン、塩化メチレン、ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ペンタン、水、メタノールなどが挙げられる。
【0081】
重合化反応の条件(例えば、温度、時間、大気圧)は、モノマーおよび触媒の選択に依存して変化し、そして過度の実験を行うことなく当業者によって選択され得る。好ましくは、ROMP反応は、不活性大気圧下(例えば、窒素またはアルゴン)で約20℃〜約30℃の温度(すなわち、室温)またはそれより高い温度で実施され得るが、約−20℃〜約125℃の範囲の温度が可能である。圧力は、重要ではないが、液相反応混合物を維持するように変化され得る。反応時間は、数分から数日に変化し得る。
【0082】
典型的に、ROMP反応において、ポリマーは、触媒とキャッピング剤との反応により終結される。このキャッピング剤は、典型的に、触媒に適合される。ルテニウム触媒について、例えば、エチルビニルエーテルが使用されている。このような試薬は本発明において使用され得るが、好ましくは、電子リッチなアルケンがポリマーに末端官能基を組み込むために使用される。本明細書中で使用される場合、電子リッチなアルケンとは、エチレンより大きな電子密度を有するアルケンをいう。従来のキャッピング方法において、キャッピング剤は、ビニルエーテル、典型的には、エチルビニルエーテルであり、これは、末端アルケンおよび不活性化されたα−酸素置換ルテニウム金属カルベンを有する材料を生成する(Hillmeyerら、Macromolecules,28,6311〜6316(1995))。
【0083】
対照的に、本発明のキャッピング剤は、好ましくは、二官能性キャッピング剤であり、電子供与基、および好ましくは以下のいずれかを組み込む:続く官能化のための潜在的反応性基(例えば、ポリマーの末端に官能基を組み込むことにより、2つのポリマーを一緒にカップリングすること、固体支持体または金属表面にカップリングすること、小分子(例えば、蛍光プローブ、金属、金属キレーターなど)で修飾すること、天然産物(例えば、典型的に大きな生物学的分子)(ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸などを含む)で修飾することなどを可能にする);あるいはさらなる官能性を必要としない非反応性官能基(すなわち、これはレポーター基のようなポリマーの末端に組み込まれて、検出を容易にすることが所望される、蛍光基、化学発光基、酵素、抗体、ビオチン、放射性基などのような官能基である)。
【0084】
従って、触媒と同様の様式で、本発明の方法において有用なキャッピング剤は、例えば以下のような様々な官能基を含み得る(キャッピング剤D-C=CR6R7中のR6またはR7の少なくとも1つにおいて):(1)重合後に末端官能基を含むように官能化され得る、キャッピング剤潜在的反応性基;(2)所望の末端官能基を生成するさらなる官能化を必要としない非反応性官能基;または(3)官能基なし(エチルビニルエーテルの場合のように)。このようなキャッピング剤の様々な組み合わせが、本発明の方法において使用され得る。
【0085】
有意に、本発明の触媒およびキャッピング剤は、リビング(living)金属(特に、オスミウムまたはルテニウム)開始ROMP反応の、末端の構造を制御するための一般的な有用性を有する。単一の末端基のポリマーへの選択的組み込みは、他のオリゴマーに付加されるか、選択的に固定化されるか、検出のために使用されるか、定量的結合研究のために使用されるか、またはポリマー構造を研究するために使用され得る二官能性ポリマーの生成を促進する。得られる材料は、多くのレポーター分子(様々な蛍光化合物、ビオチン、抗体、酵素、脂質、および固体支持体を含む)のいずれかと結合され得る。金属カルベン開始剤の官能基耐性、触媒の選択における柔軟性、合成後の官能化プロトコルの普遍性、およびキャッピング方法の多様性は、ROMPにより生成され得る有用な材料の範囲を有意に広げる。
【0086】
ポリマー中の官能基の間隔は、ある程度は、異なる官能基を有するポリマーを、選択された末端の反応により互いに付加させることによって制御され得る。2つ以上のポリマーから構成される複合ポリマーは、これらの成分ポリマーへの末端基の適切な組み込みにより合成され得、これらの成分ポリマーは次いで、組み込まれた末端基の反応により互いに結合される。1つ以上の官能基の選択された分布または間隔を有する複合ポリマーは、このように合成され得る。
【0087】
典型的に、キャッピング剤は、以下の一般式を有する:
【化5】

【0088】
ここで、Dは、電子供与基(すなわち、エチレンと比較した場合、オレフィンの電子密度の全体的な増加を引き起こす基)である。Dは、SR9、OR9またはハロゲンを含み得、ここで、R9は水素または有機基であり、好ましくはアルキル基である。R6、R7およびR8は、独立して、水素または有機基であり、そしてこれらの基のうち少なくとも1つは、好ましくは、潜在的反応性基、またはさらなる官能化を必要としない非反応性官能基を含む。R8は、好ましくは、水素である。R6およびR7の両方が官能性を含み得るが、好ましくは一方のみが含み得、そしてより好ましくは他方がHである。
【0089】
1つの好ましい実施形態において、R6は以下から選択される潜在的反応性基を含み得る:アジド、ニトロ基、ジスルフィド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、ケトン、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、または活性化酸。
【0090】
あるいは、別の好ましい実施形態において、R6は、以下から選択される非反応性官能基であり得る:天然産物またはそれらのアナログ(例えば、ビオチン)、金属キレーター(例えば、ニトリロ三酢酸)、金属(例えば、Zn)、蛍光プローブ(例えば、BODIPY FL EDA(これは、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオニルエチレンジアミンである)から誘導されるアミド)、固体支持体(例えば、ポリエチレン樹脂)、および金属表面(例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)のために使用される金表面)。反応性官能基を含むキャッピング剤の例は図7Aに例示され、そして非反応性官能基を含むキャッピング剤の例は図7Bに例示される。
【0091】
特定の実施形態において、キャッピング剤は、固体への共有結合または非共有結合を提供する。固体への結合のための代表的なキャッピング剤には、以下の式のキャッピング剤が挙げられる:
【0092】
【化6】

【0093】
ここで、Dは、上記で定義されたような電子供与基であり;R8およびR7は、水素または有機基であり、好ましくは両方が水素であり;nは、1〜約20の整数であり;そしてLKは、固体に結合し得る官能基を有する有機基である連結基である。LKは、固体上の表面基に直接結合し得る。いくつかの場合において、この固体は官能化され得、次いでLK基は固体に付加された官能基に結合する。LK基は、脂肪族または芳香族であるさらなる繰返し単位を含み、表面からの間隔を提供し得る。LKは、例えば、式:-(M)m-LK1-(N)p-LK2を有し、ここで、MおよびNは、同じかまたは異なる有機基であり;mおよびpは0〜約20の範囲の整数であり、そしてLK1およびLK2は官能基である。
【0094】
MおよびNは、例えば、脂肪族基または芳香族基、あるいはそれらの組み合わせであり得、これらの基は、好ましくは非反応性基で必要に応じて置換されている。(M)mまたは(N)pは、脂肪族基(例えば、オレフィンまたはアルキン)により結合された芳香族基(例えば、フェニル環)であり得る。LK1は、-M-鎖および-N-鎖を単に連結する官能基であり得るか、あるいはこれは、異なる官能性を導入するように反応され得るか、または固体からLK基が切断されるように切断され得る上記のような潜在的反応性基であり得る。LK2は、固体への連結(共有結合または非共有結合)を可能にする官能基を含む。
【0095】
LK2は、例えば、チオール基、活性化エステル基、またはアミン基を含み得る。LK1は、とりわけ、−O−、−S−、−CO−、−COO−、CO-NR’-(ここでR’は、水素または有機基、例えば、アルキル基である)を含む任意の様々な官能基であり得る。さらに、MおよびN中の隣接していないCH2基は、−O−または−S−で置換され得る。LK1はまた、1つ以上の結合が、化学的にか、酵素的にかまたは光化学的にのいずれかで破壊されて、LK基を切断し得る官能性を含み得る。切断可能なLK1には、とりわけ、エステルおよびアミドが挙げられる。
【0096】
特定の実施形態において、キャッピング剤は、固体表面または支持体に対する切断可能なリンカーである。切断可能なリンカーキャッピング剤は、(1)ポリマーをキャップする反応のための電子リッチなオレフィン;(2)固体に共有結合または非共有結合される官能基(または、固体に共有結合または非共有結合され得る潜在的反応性基);および(3)化学的、酵素的または光化学的に切断され得る(1)と(2)との間の中間の潜在性官能基、を有する有機基である。
【0097】
キャップされたポリマーを適切な、化学的、酵素的または光化学的条件に暴露することによって、固体からポリマーが選択的に切断され得る。例えば、切断可能なリンカーキャッピング剤は、ポリマーと反応して、ポリマーを固体表面に結合し得る。この固体は、次いで、非特異的に結合した材料を除去するため(例えば、ポリマーを精製するため)に洗浄され得る。その後、精製されたポリマーは、固体支持体への結合を切断し、その固体からポリマーを放出するために、化学的、酵素的または光化学的に処理され得る。
【0098】
特に好ましい光化学的に切断可能なキャッピング剤は、以下の式を有する:
【化7】

【0099】
ここで、Dは上記で定義された通りであり;R8は、キャッピング剤中の他のR8から独立して、水素または有機基であり;R7もまた、水素または有機基であり;nは1〜約20の範囲の整数であり;R9は、Hまたは有機基であり得;Wは、電子吸引性基であり;そしてZは電子供与基であり、そしてLK2は、固体支持体への結合のためのリンカー基である(式中の球で示される)。光化学的に切断され得る結合は、この式において波線で示される。(CH2)n鎖中の隣接していない1つ以上のCH2基は、−O−(エーテルを提供する)または−S−(チオエーテルを提供する)で置換され得る。R8は、好ましくはHである。R9は、好ましくは低級アルキル基(すなわち、1〜約6個の炭素原子を有する)であり、より好ましくは、メチル基である。Wは、電子吸引基であり、これはとりわけ、NO2、CN、CF3またはハロゲンであり得る。Zは、電子供与基であり、これはとりわけ、R、OR、もしくはSR(ここでRは、アルキル基である)、またはNR’2(ここで、R’は、水素またはアルキル基である)であり得る。
【0100】
図8Aは、切断可能なリンカー基を有するキャッピング剤の使用を概略的に例示する。切断可能なリンカーがPEG(ポリエチレングリコール)を介して樹脂に結合されている式VIのキャッピング剤は、ポリマーテンプレート(代表的な潜在的反応性基(活性化基)を含む)と反応して、ポリマーを樹脂(固体支持体)に結合する。この固体担持ポリマーは、次いで、代表的な求核剤と反応することによって官能化されて、固体担持された官能化ポリマーを生成する。固体支持体への結合は、ポリマーの官能化および精製を容易にし得る。
【0101】
官能化されたポリマーは、適切な波長の光を使用する照射によって固体支持体から切断され得る。様々な有機基の光化学的切断(図8Aに示されるようなエステルの切断を含む)は、周知のプロセスである。当業者は、切断可能なリンカーと共に使用するための周知の光化学的方法を容易に用いるかまたは適合し得る。上記のように、リンカーはまた、化学的または酵素的反応を使用して切断され得る。また、様々な周知の化学的または酵素的反応が使用され得るか、または本発明の切断可能リンカーと共に使用するために容易に適合され得る。
【0102】
切断可能なキャッピング剤は、容易に入手可能な出発物質を使用して、当該分野で周知の方法によって合成され得る。例えば、図8Aのキャッピング剤の合成は、図8Bに例示され、そして合成の詳細は実施例で示される。
特定の好ましいキャッピング剤は、潜在性または非反応性官能基、およびエチレングリコール基の両方を含む。典型的に、これらの両方は、一つの部分、またはR6もしくはR7の部分を形成する。キャッピング剤の特に好ましい例には、保護されたカルボン酸誘導体にエチレングリコール鎖を介して連結されたアルキルビニルエーテルが挙げられる。その設計により、このリンカーは、タンパク質または疎水性分子との非特異的相互作用を最小にする。
【0103】
本発明の方法は、キャッピング剤とポリマー鎖との間の標準的なカップリング技術を包含する。これらのカップリング技術は、選択されたキャッピング剤に依存し、そして溶液または固体状態の反応条件を含み得る。このような技術および条件は、当業者により容易に決定され得、重合条件と異なる場合、類似している。
キャッピング剤の代替として、ポリマーテンプレートは、触媒を、酸素または他の酸化剤で酸化し、ポリマーテンプレートの骨格の末端でアルデヒドを形成することによって、末端官能化され得る。例えば、ポリマーテンプレートは、単に空気に曝されるか、または室温および圧力下で酸素雰囲気下に置かれ得る。
【0104】
官能化剤(すなわち、触媒および/またはキャッピング剤が潜在的反応性基を含む場合、またはポリマーが末端アルデヒド基を含む場合、末端官能基が誘導される化合物)は、上でR6基について議論されるように、得られるポリマーに有用な特性(例えば、蛍光性)を与える広範な分子を含み得る。
本発明の方法は、官能化剤とポリマー(またはポリマーテンプレート)との間の標準的なカップリング技術を包含する。これらのカップリング技術は、選択される潜在的反応性基に依存し、そしてポリマーテンプレートの溶解度に依存する液体または固体状態の反応条件を含み得る。このような技術および条件は、当業者によって容易に決定され得る。
【0105】
得られるポリマーは以下の一般式を有する:
【化8】

【0106】
ここで、「BB」は、骨格の繰返し単位を表し、この繰返し単位は、環式または非環式であり得、そしてランダム配置またはブロック配置において同じであるかまたは異なり得、R1およびR2は、それぞれ互いに独立して、かつ異なる繰返し単位の他のR1およびR2と独立して、水素または所望のペンダント官能基を含む有機基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素、金属カルベン触媒から誘導される有機基であり、そしてR6およびR7は、それぞれ独立して、水素、またはキャッピング剤から誘導される有機基であり、そしてnは、繰返しモノマー単位の平均数(これは、モノマー対触媒の比を制御することによって変動し得る)である。
【0107】
R1およびR2は、同じかまたは異なるタイプの繰返し単位中のR1およびR2のそれぞれと同一かまたは異なり得る。R4、R5、R6またはR7の少なくとも1つは、潜在的反応性基または非反応性官能基(すなわち、末端官能基)を含む。典型的に、nは、少なくとも2、かつ約10,000以下であるが、特別な制限はない。本発明のポリマーは、nが約50以下であるポリマー、nが約50〜約200の範囲であるポリマー、nが約100〜約1,000の範囲であるポリマーを含む。上記のように、ROMPは、モノマー対ROMP触媒(すなわち、開始剤)の比に依存して、変動する平均長(すなわち、変動する重合度、DP)を有するポリマーを提供する。本明細書中で記載される全てのポリマーの長さは、重合反応において使用されるモノマー対開始剤の比により予測される長さとして表される。
【0108】
好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、保護されたアミンまたは活性化エステル(すなわち、カップリング剤を必要とすることなく、穏やかな条件下で反応するもの(例えば、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)))を含む。
異なる骨格を有するポリマーテンプレートの例は、図9に示される。好ましい例のノルボルネンテンプレートに基づくポリマーテンプレートは、以下の一般構造を有する:
【0109】
【化9】

【0110】
ここで、Y、R1、R2、R4、R5、R6、R7およびnは、上記で定義された通りである。好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、保護されたアミンまたは活性化エステルを含む。好ましいポリマーテンプレートは、図2に化合物3として示される。好ましくは、R4、R5、R6、およびR7の少なくとも1つは、官能化されたキャッピング剤および/または官能化された金属カルベン触媒から誘導される官能基を含む。
【0111】
別の好ましい例のポリマーテンプレートは、以下の一般構造を有する:
【化10】

【0112】
ここで、BB、R1、R2、R4、R5、R6、R7およびnは、上記で定義された通りであり、そして各Zは、独立して、H、OH、SH、X(F、Br、I、Clのようなハライド)、またはN(R8)2(ここで、各R8は、独立して、Hまたは有機基である)である。R4、R5、R6またはR7の少なくとも1つは、潜在的反応性基または非反応性官能基を含む。
【0113】
本明細書中で使用される場合の「R」基の定義において、用語「有機基」とは、脂肪族基、環式基、または脂肪族基と環式基との組み合わせ(例えば、アルカリールおよびアラルキル基)として分類される炭化水素基(炭素および水素以外の任意の元素、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、ゲルマニウム、スズ、ホウ素、およびケイ素を有し、様々な官能基の形態であり得る)を意味する。本発明の状況において、有機基は、それらが不可欠な反応性基を含む場合を除いて、ポリマーテンプレートまたは得られるポリマーの形成を妨害しない基である。用語「脂肪族基」とは、飽和または不飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味する。この用語は、例えば、アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含むように使用される。
【0114】
用語「アルキル基」とは、飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味し、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどが挙げられる。用語「アルケニル基」とは、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素基(例えば、ビニル基)を意味する。用語「アルキニル基」とは、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味する。
【0115】
用語「環式基」とは、脂環式基、芳香族基または複素環式基(これは芳香族または脂環式であり得る)として分類される、閉環炭化水素基を意味する。用語「脂環式基」とは、脂環式基の特徴と類似した特徴を有する環式炭化水素基を意味する。用語「芳香族基」または「アリール基」とは、単核または多核の芳香族炭化水素基を意味する。用語「複素環式基」とは、環内の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄など)である閉環炭化水素を意味する。
【0116】
置換は、本発明の錯体の有機基について予測される。本願全体にわたって使用される特定の用語の議論および詳述を簡単にするための手段として、用語「基」および「部分」は、置換を可能にするかまたは置換され得る化学種と、そのような置換を可能にしないかまたは置換され得ない化学種との間を区別するために使用される。従って、用語「基」が化学的置換基を記載するために使用される場合、記載される化学物質は、置換されていない基、および鎖中に、例えばO、N、Si、またはS原子を有する基(アルコキシ基のように)、ならびにカルボニル基、または他の従来的な置換を含む。用語「部分」が、化合物または置換基を記載するために使用される場合、置換されていない化学物質のみを含むことが意図される。
【0117】
例えば、成句「アルキル基」は、純粋な鎖式の飽和炭化水素アルキル置換基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)だけでなく、当該分野で公知のさらなる置換基(例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシルなど)を有するアルキル置換基も含むことを意図する。従って、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル基、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを含む。言い換えると、成句「アルキル部分」は、純粋な鎖式の飽和炭化水素アルキル置換基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)を含むことに制限される。
【0118】
有機基を含み得る各R基についての本明細書中で例示される構造について、有機基は有意に大きなサイズ、例えば、以下のような、10,000炭素原子のオーダーであり得る。好ましくは、R1およびR2の有機基は、それぞれ独立して、C1〜C5000有機基、より好ましくは、C1〜C2500有機基、さらにより好ましくは、C1〜C1000有機基、最も好ましくは、C1〜C100有機基であり、ペプチド、タンパク質、炭水化物、金属キレーター、天然産物などを含む。好ましくは、R4、R5、R6およびR7の有機基は、それぞれ独立して、C1〜C10,000有機基、より好ましくは、C1〜C6000有機基、さらにより好ましくは、C1〜C1000有機基、最も好ましくは、C1〜C500有機基であり、抗体、核酸、ペプチド、タンパク質、炭水化物、金属キレーター、蛍光タグ、酵素、固体支持体などを含む。好ましくは、R3、R8およびR9の有機基は、それぞれ独立して、C1〜C20有機基、より好ましくは、C1〜C10アルキル基、最も好ましくは、C1〜C3アルキル部分である。
【0119】
本発明の方法は、多価のアレイが式VII、VIIIおよびIXを有するライブラリを含む多価のアレイのライブラリを生成するために用いられ得る。所定のライブラリにおいて、成分アレイ(ライブラリのメンバー)は、選択された範囲の構造変形物にわたる。例えば、所定のライブラリにおいて、メンバーアレイの全てが、ほぼ同じ長さを有し、そして異なるペンダント官能基または末端官能基を保持するように合成され得る。別の例において、ライブラリは、同じペンダント官能基または末端官能基を有する、長さの選択された変形を有するメンバーで構築され得る。
【0120】
さらに別の例において、ライブラリは、ある範囲の官能基密度および官能基分布にわたるように設計され得る。官能基密度は、最も一般的に、官能基/ポリマーの数であるが、規定された数の隣接するモノマーが同じ官能基で置換されるブロック中の、例えば、ポリマー全体にわたってランダムに分布する異なる分布の官能基を表し得、ここで、官能基は選択された間隔で互いに離されるか、または異なる相対位置および異なる官能基の間隔で離されている。本発明の方法により、ポリマーの長さ、末端官能性および官能基のタイプ、密度および分布の全てを制御することが可能である。
【0121】
ライブラリは、少なくとも1つの構造特性において規定される(すなわち、ランダムではない)異なる構造を有する複数の多価アレイからなる。例えば、ライブラリは、規定された官能基密度(官能基/モノマー)を有するメンバーを含み得るが、ここでこれらの官能基は、ポリマー全体にわたってランダムに分布している。ライブラリは、典型的に、10以上の構造的に識別可能な多価のアレイからなる。好ましいライブラリは、約50〜約200個の構造的に識別可能な多価のアレイからなる。
本発明のライブラリは、生物学的官能性であり得る所望の官能性を有する多価のアレイを、スクリーニング、選択および同定するために有用である。
【0122】
本発明はまた、多価アレイの合成のためのキットを提供する。キットは、ポリマーテンプレートを含み得、このテンプレートは、官能化剤を含んでも含まなくてもよいが、好ましくはペンダント官能基の結合のための使用説明書を含み、そして必要に応じて、これらの試薬は、結合のために必要である。使用説明書は、ポリマーテンプレート上に存在する潜在的反応性基に依存する。これらのキットはまた、ポリマー鎖の末端を官能基化するためのキャッピング剤を含み得る。
【0123】
本発明の方法の合成後修飾ストラテジーの有用性を実証するために、3つのモノマー対開始剤比(10:1、25:1および50:1)を使用した、平均長(重合度、DP)が異なる一連のNHS置換材料を調製した(反応経路A、図2)。全ての重合反応は、効率的に進行し、全てのモノマーを消費した。活性化オリゴマー骨格をアミンで処理して一連のオリゴマーを得ることにより、マンノースエピトープを、付加した。同一のモノマー対ROMP触媒比を使用するエマルジョン重合条件下で、従来の方法により類縁材料を生成した(反応経路B、図2)。
【0124】
2つの方法により調製されたオリゴマーの巨視的物理的特性におけるバリエーションは、検出されず、そして1H NMRスペクトルにおいて観測可能な差は無かった。これらの結果は、PSM手順が有効であることを示す。各々の方法で生成した材料の相対的長さを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して評価した。炭水化物ポリマー6および7(図2)を、アセチル化して有機可溶性誘導体に変換した。これらは、より容易にGPCで評価し得る。これらの材料の分析は、エマルジョン条件下で生成したポリマーが、重合後修飾により生成したポリマーよりわずかに短いことを示唆した(図10)。しかし、各方法は、ポリマー長とモノマー対開始剤(M:I)比との間の線形相関を生じ、重合がリビング重合であることを示す。
【0125】
従って、本発明に従うPSMプロトコルを使用して、長さの異なる多価アセンブリを調製し得る。GPCデータはまた、各方法により作製される最も短いポリマーが、互いに約3単位長内であることを示し、一方最も長いポリマーは、約12単位内である。エマルジョンとPSMポリマーとでの長さの違いは、重合反応におけるバリエーションを生じるモノマーの物理的特性の差を強調する。本発明の新しいPSM手順は、重要である。なぜならば、広範囲の異なる認識エレメントが単一骨格に結合して、同一骨格を有する材料を生じ得るからである。このような物質は、構造/機能の関係の決定を容易にする。
【0126】
本発明の方法を、新しいプロセスから誘導されるオリゴマーの生物学的活性と、従来のアプローチにより作製されるオリゴマーと比較することによりさらに調べた。マンノース置換ポリマーを消化して、十分に研究されたレクチンコンカナバリンA(Con A)と相互作用させる(Goldstein,et al.,Carbohydrate Specificity of Concanavalin A;Bittiger,H. and Schnebli,H.P.,Ed.;John Wiley & Sons, Ltd.:London,1976;Coll.,pp 55-65)。Con Aは、pH7でホモテトラマーであり、異なる細胞表面上のマンノース残基との同時相互作用を介して赤血球の凝集を促進し得る。
【0127】
可溶性炭化水素リガンドの細胞凝集を阻害する能力を測定し得る。Con A阻害アッセイにおけるROMP誘導オリゴマーの能力は、その長さに依存する(Kanai et al.,J.Am.Chem.Soc.,119,9931-9932(1997);及びMann et al.,J.Am.Chem.Soc.,120,10575-10582(1998))。従って、血球凝集アッセイ(Osawa et al.,Methods Enzymol.,28,323-327(1972))は、2つの別個の調製方法から生じた材料の活性を評価するための簡便な形式を提供する。
【0128】
従来のプロトコルおよびPSMプロトコルにより生成された異なる材料のCon A阻害効力を、一価のα−メチルマンノピラノシドを標準として使用して、糖残基ベースで比較した。単一の系列内で、ポリマー6または7のいずれでも、最も有効なオリゴマーは、50:1のモノマー対開始剤比を使用して得られたオリゴマーであった(図11)。この結果は、最も有効なインヒビターがCon A上の2つの糖結合部位にわたることを明らかにした以前の研究と一致する(Kanai et al.,J.Am.Chem.Soc.,119,9931-9932(1997);及びMann et al.,J.Am.Chem.Soc.,120,10575-10582(1998))。各M:1比において、PSMオリゴマーは、エマルジョン条件下で調製されたオリゴマーよりわずかに活性であった。
【0129】
例えば、α−メチルマンノピラノシドを超える400倍の増加が、エマルジョン重合において50:1のモノマー−開始剤比から誘導されたポリマーについて見られたが、重合後修飾条件下で作製された関連材料について、550倍の増大が見出された。以前に研究されたノルボルネンイミドマンノースポリマーで見られた効果の大きさは、本願で見られた効果の大きさより大きかった。この結果は、還元されたノルボルネンイミドマンノースポリマーについて見られた結果と類似する。
【0130】
このことは、現在の骨格の配向におけるより高いエントロピーコストに起因し得、この骨格は、二環式ノルボルネンイミドテンプレートより堅固でない。より長いオリゴマーがより活性なインヒビターであるので、この発見は、PSMオリゴマーの平均長がエマルジョン重合条件下で生成された材料の平均長を超えることを示すGPCデータと一致する。全体として、これらのデータは、PSMプロトコルを使用して、標準的ROMPアプローチにより生成される物質から生じる効力に匹敵するかまたはその効力を超える効力を有する生物学的活性材料を合成し得る。
【0131】
末端官能基を導入するためのストラテジーを試験するために、二官能性キャッピング剤18(図12)を、マスクされたカルボン酸をリビングポリマー鎖上に組込むために設計した。標的分子は、エチレングリコールリンカーを介して保護カルボン酸に連結されるエノールエーテルを含む。β−トリメチルシリル(TMS)エチルカルボン酸保護基は、2つの目的に役立つ。第1に、1H NMRスペクトルにおけるTMS基の明確なシグナルは、キャッピング有効性の評価を提供し;そして第2に、β-TMSエチル基は、この研究において使用される硫酸炭化水素認識エピトープに影響しない条件下で除去され得る。さらに、カルボン酸は、さらなる官能化のために容易に、選択的に、かつ高効率で活性化され得る。標的キャッピング剤18は、トリエチレングリコールから6段階で容易にアセンブルされ得る。
【0132】
エノールエーテル18のROMP反応を終結する能力を、異なる特性を有する3つのモノマーの反応において評価した。18の反応性を標準的な条件下で確かめるために、非極性モノマー11をROMPに供し、そして過剰の化合物18をこの反応を終結させるために導入した(図12)。1H NMRデータから、触媒から組み込まれたフェニルプロトンの積分値を、TMS基プロトンと比較することにより、生じたポリマー鎖の約80%がキャップされて材料19を与えたことを明らかにした。高極性置換基を有するポリマーを末端標識する最初の試みは、キャッピング反応がこれらの基質に対してあまり有効でないことを明らかにした。
【0133】
具体的には、極性化合物13のオリゴマー化に必要なエマルジョン条件を使用した場合、エノールエーテル18を用いる反応終結は、21aを生じ、これが有用ではあるがより低いキャッピング効率(30%)で生成した(図12)。相間移動プロセスから生じる複雑さを最小にするために、極性の官能化ポリマー21bを生成するための代替のストラテジーを使用した。N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含むポリマー(例えば、20)を、ROMPを使用して有機溶媒中でアセンブルし得る。生じた材料を求核剤で処理することにより、続いて重合後修飾し、新しい置換ポリマーを生成する。メチルエステル11の反応からの生成物のように、13の反応から得られたポリマー20は、キャッピング剤18を用いて約80%の効率で終結され得る。
【0134】
次いでポリマー20は、アミン含有糖部分にカップリングされ、3,6−ジスルホガラクトース誘導体21bを与える。材料21bの精製後、NMRスペクトルデータにおいて、ポリマー21aおよび21bは、キャッピング剤から生じるシグナルの積分値の差以外は、実質的には区別がつかなかった。単相の均一系反応条件は、エマルジョン重合条件よりも、より高いキャッピング収率をもたらすと考えられる。なぜならば、出発物質および生成物の溶解度は、ポリマーアセンブリおよび終結における種々の段階の相速度に強く影響するからである。
【0135】
生物学における多価認識事象の重要性およびこのようなプロセスの特徴を解明する際の多価アレイの有用性は、レポーター基を備えた多座リガンドを生成するための合成方法の開発を加速した。例えば、アクリルアミド共重合は、糖認識エレメントおよびレポーター基を組込み得、そしてこのストラテジーは、タンパク質―炭水化物相互作用をアッセイするための材料を開発するために使用されてきた。あるいは、所望の官能性タグを予め形成されたポリマー骨格にカップリングさせることによるか、単一の当量のタグを使用することにるか、または多価骨格にカップリングする前にレポーター基を各モノマーに結合することのいずれかにより、レポーター基を有するポリマーを生成した。報告された合成経路では、多価アレイに組込まれるポリマー鎖の長さまたはレポーター基の数を制御することができない。
【0136】
電子リッチなアルケンを付加することに加えて、ポリマー鎖は、末端金属カルベンの酸化を介して官能基でキャップされ得る。例えば、活性金属カルベン中心が生長鎖の末端に存在するポリマーを酸素に暴露することにより、ポリマー鎖上に末端アルデヒドを生じる。このストラテジーをエノールエーテル11で記載されるだけの方法と並行して探索する。硫酸ガラクトースモノマー23を、ROMP触媒14に供し、モノマーの消費後に、反応系を空気に解放してポリマー25を得る(図8)。このアプローチは、酸素での効率的なキャッピングおよび続くヒドラゾン、ヒドラジン、またはヒドロキシルアミンの形成に依存する。この方法は、より少ない工程を使用して、最終生成物を得るが;しかし、キャッピング効率は、ポリマー19、20ならびに21aおよび21bの場合よりもモニタリングすることが困難である。
【0137】
単一のレポーターの選択的取込みのための本発明の合成スキームの有用性を実証するために、末端標識されたネオグリコポリマーを蛍光性レポーター基に末端標識を介してカップリングした。これらの蛍光性ネオグリコポリマーを、ポリマーと細胞表面L−セレクチンとの相互作用の研究を可能にするために設計した。
【0138】
L−セレクチン(細胞接着分子のセレクチンファミリーのメンバー)は、組織損傷部位への白血球の漸増を促進する。21aに関連する、特定の硫酸糖質含有ネオグリコポリマーは、セレクチン機能の強力なインヒビターである。これらのネオグリコポリマーは、細胞表面上のL−セレクチンに結合することによりタンパク質機能を阻害すると考えられる。21aおよび25を、レポーターリガンド22および27にそれぞれ変換することにより、細胞表面L−セレクチンに結合するネオグリコポリマーは、直接調べられ得る。
【0139】
22の生成の最初の工程は、β−トリメチルシリルエチルエステルの鹸化によるカルボン酸の非マスク化に関与する(図12)。フルオレセイン誘導体(5-((5-アミノペンチル)チオウレイジル)フルオレセインまたはフルオレセインカダベリン)を、アミド結合形成を介して結合した。生じた結合体をサイズ排除クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィーにより単離して、フルオレセイン修飾オリゴマー22を得た。ポリマー25を、直接、5-(((2-(カルボヒドラジノ)メチル)チオ)アセチル)アミノフルオレセイン)(ヒドラジンフルオレセイン誘導体26)に供し、所望のフルオレセインタグ化ポリマー27を得た(図13)。
【0140】
ポリマー22および27のJurkat細胞(ヒト急性T細胞白血病株)に結合してL−セレクチンを表示する能力を、蛍光顕微鏡を使用して調べた(図12)。比較のために、細胞を、L−セレクチンに対するフルオレセイン結合体化抗体で標識した。抗体およびポリマーの両方が、局在化部位で細胞に結合し、同様な斑点状の蛍光パターンを生じた。観測されたパターンは、L−セレクチンが白血球表面上に任意には分布しないが、微小絨毛と称する細胞の特定の領域に局在する。結合は、細胞表面L−セレクチンの存在に依存し、蛍光性ポリマーも抗L−セレクチン抗体も、L−セレクチン欠乏細胞(HL60細胞株、データは示されない)への結合が観察されなかった。同様の結果が、アルデヒドキャップポリマー27で見られた(図14)。
【0141】
これらの結果は、ネオグリコポリマーが細胞表面上のL−セレクチンに特異的に結合するということを示唆する。リガンド22が非特異的に結合する場合、全的な細胞表面の染色が予測される。さらに、さらなる顕微鏡研究は、これらのタンパク質ミミックの有意な生物学的活性が、多価接触を介して媒介されるということを示唆する。このデータは、視覚化細胞表面認識事象についてのプローブ22および27の有用性を強調する。
本発明の目的および利点は、以下の実施例によりさらに例示されるが、これらの実施例に引用される特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は、過度に本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0142】
材料:ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリドを、Strem Chemicals,Inc.(Newburyport,MA)から得た。5-((5-アミノペンチル)チオウレイジル)フルオレセイン(フルオレセインカダベリン)を、Molecular Probes(Eugene,OR)から購入した。細胞培養培地RPMI 1640およびウシ胎児血清をGibco BRL(Gaithersburg,MD)由であった。ペニシリン、ストレプトマイシン、L−グルタミン、およびピルビン酸ナトリウムは、Sigma(St.Louis,MO)由来であった。フルオレセイン標識抗L−セレクチン抗体(DREG-56)を、Pharmingen (San Diego,CA)から購入した。VectaShieldはVector Laboratories(Burlingame,CA)由来であった。他に特定されない限り、全ての他の試薬は、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから購入した。全ての溶媒は、Aldrich Chemical Co.またはFisher Scientific,Pittsburgh,PAのいずれかから購入した。
【0143】
一般的方法:全ての非水性反応を、オーブン乾燥したガラス器具中で、窒素雰囲気下にて行った。反応溶媒をナトリウム/ベンゾフェノン(テトラヒドロフラン)、水素化カルシウム(ジクロロメタン、トリエチルアミン、ジクロロエタン)から蒸留するか、または4Å型モレキュラーシーブから減圧蒸留した(DMSO)。ACSグレードの1,2−ジクロロエタン(DCE)を、AldrichChemical Co.,Milwaukee,WIから受け取ったまま使用した。重合反応で使用した溶媒を、使用前に少なくとも3回の凍結-排気-解凍サイクルで脱酸素した。蒸留脱イオン(ddまたはMQ)水および500MWCO透析管(Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)を、ポリマー精製に使用した。クロマトグラフィー溶媒は、ACSグレードであり;ジクロロメタン、アセトン、およびヘキサンは蒸留した。
【0144】
ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)を、アセトンから再結晶した。0.25mmのプレコートMerck Silica Gel60 F254(VWR Scientific,So.Plainfield,NJ)での薄層クロマトグラフィー(TLC)により、紫外光、p−アニスアルデヒド染色(15ml −アニスアルデヒド、10ml 酢酸、10ml硫酸、350mlエタノール)、または過マンガン酸カリウム染色(3g KMnO4、20g K2CO3、5mlの5%水性NaOH、200ml水)で可視化して、反応をモニタリングした。蒸留した試薬グレードのヘキサンおよびジクロロメタンならびにACSグレードの酢酸エチル、メタノール、およびクロロホルムを使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィーを、Merck Silica Gel 60(230-400メッシュ,Scientific Adsorbents Inc.,Atlanta,GA)で行った。酸に敏感な化合物を扱う場合、クロロホルムおよびジクロロメタンを、使用直前に塩基性アルミナを通して濾過することにより中和した。赤外スペクトルをMattson FTIR分光計で記録した。
【0145】
Micromass Autospec Mass Spectrometerでの、液体二次イオン質量分析法(LSIMS)(添加したヨー化ナトリウムを含む3−ニトロ安息香酸(3-NBA+NaI)マトリックス)により、質量分析データを得た。1H NMRおよび13C NMRスペクトルを、Bruker AC-300分光計で記録し、そして残留溶媒ピーク(CDCl3:1H:δ7.24、13C:δ77.0;D2O:1H:δ4.67)またはCDCl3中のテメチルシラン内部標準(1H:δ0.00)を参照にする。NMR溶媒をCambridge Isotope Laboratories,Inc.,Andover,MAから得た。1H−1Hカップリングを1次と仮定し、そしてピーク多重度を、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、またはb(幅広)として報告する。
【0146】
ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−exo-2-カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(図2の化合物1)の調製:ノルボルネン酸(11.8mg,1.1mmol、Ver Nooy et al.,J.Am.Chem.Soc.,77,3583-3586(1955)の方法に従って調製)、N−ヒドロキシスクシンイミド(172.5mg,1.49mmol、Aldrichから得られた)、およびEDCI(1-(3-ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、278.1mg、1.45mmol、Aldrichから得られた)を、CH2Cl2(3.6mL、Aldrichから得られた)中一晩窒素下で攪拌した。
【0147】
溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を、Still,J.Org.Chem.,43,2923(1978)の手順に従って、溶媒としてCH2Cl2を用いるフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。白色固体を単離した(186.7mg、0.88mmol)。収率80%。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ6.19(dd,J=5.7,2.9Hz,lH),6.17(dd,J=5.7,3.1Hz,1H),3.25(br s,1H),2.98(br s,1H),2.82(d,J=1.65Hz,2H),2.49(ddd,J=10.48,4.78,1.65Hz,1H),2.03(ddd,J=11.95,4.23,4.2Hz,1H),1.55-1.41(m,3H).EI m/z 235.01847[235.2395,C12H13NO4についての計算値]。
【0148】
ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−EXO−2−カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(図2の化合物3)(n=10)の重合:N-ヒドロキシエステル(98.3mg、0.425mmol)1を、1,2−ジクロロエタン(DCE)(2.1mL)に溶解した。これに、[(Cy)3P]2Cl2Ru=CHPh(Strem,Newburyport,NH)の脱酸素DCE(2.1mL中35mg)溶液を加えた。この反応系を窒素下で室温にて45分間攪拌した。TLCにより反応が完了したと思われ、そして過剰のエチルビニルエーテルをキャッピングのために加えた。反応混合物をCH2Cl2を溶離液として用いてシリカゲルの小さい栓を通して濾過した。溶媒を減圧下で除去して、褐色固体(96.8mg)を得、これをさらに精製することなく使用した。収率98%。1H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.3(m),5.7-5.2(m),3.5-0.90(br m)。
【0149】
アミノエチル−α−D−マンノピラノシド(図2の化合物4)の調製:アジドエチルマンノシドを、Chernyak et al.,Carbohyd.Res.,223,303-309(1992)の手順に従って、わずかに改変して調製した。アジドエタノールをアリルアルコールの代わりに用い、そしてグリコシル化条件をLee et al.,Carbohyd.Res.,37,193-201(1974)に記載されるように使用した。アジドエチルマンノシドを、1;1のメタノール:水中でPearlmann触媒(Aldrich)を用いて還元して4を得た(上記の手順の改変)。
【0150】
アミノエチル−α−D−マンノピラノシルビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−exo−2−カルボキサミド(化合物5、図2)の調製:マンノースモノマー5をペンタフルオロフェニルエステルおよび化合物4を介して、Manning et al.,Tetrahedron,53,11937-11952(1997)に以前に記載される手順により調製した。1H NMR(300MHz,D2O):δ6.19(dd,J=5.7,2.9Hz,1H),4.694(d,J=1.65Hz,1H),3.76(dd,J=2.94,1.83,1H),3.70(dt,J=12.32,1.9Hz,1H),3.64-3.41(m,6H),3.29(br m,1H),2.76(br m,1H),2.03(m,1H),1.57(m,1H),1.35-1.17(m,3H).EI m/z 343.1627[343.377,C16H25NO7についての計算値]。
【0151】
ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−exo−2−カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの重合の生成物(図2の化合物6(n=10))へのカップリング:0.35mLジメチルホルムアミド(DMF)中のアミノエチルマンノシド4(16.0mg,0.0788mmol)、N−メチルモルホリン(7.7μl、0.0702mmol,Aldrich)およびポリマー3(n=10,15.2mg,0.0647mmol)を24時間攪拌した。ジイソプロピルカルボジイミド(DIC,11μL、0.0638mmol、Aldrich)を加え、そして攪拌を一晩続けた。DMFを減圧下で除去し、そして生じた固体を1〜2mLのCH2Cl2で3回、そして1〜2mLのエタノールで3回洗浄した。
【0152】
この固体を乾燥し、そして(トリメチルシリル)ジアゾメタン(TMSCHN2,35μL,0.0702mmol,Aldrich)およびメタノール(350μL)を加え、そしてこの反応系を一晩攪拌した。反応を水を加えてクエンチし、そして溶媒を減圧下で除去した。この固体をMQ水に溶解し、そして透析管中に置いた。このサンプルを透析(48時間、4回の水交換、各回1L)して、カップリング反応からの不純物および未反応の4を除去した。この溶液を0.25ミクロンのフィルターを通して濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、褐色固体を得た(15.4mg、71%)。1H NMR(300MHz,D2O):δ7.3(br m,0.278H),5.5-4.9(br,2H),4.0-3.0(br m,14H),2.5-2.15(br m,2H),1.9-1.4(br,2H),1.1-0.9(br,2H)。
【0153】
アミノエチルα−D−マンノピラノシルビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−exo−2−カルボキサミド(図2の化合物7(n=10))の重合:マンノースモノマー5(19.6mg,0.0571mmol)およびDTAB(ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド,29mg,0.0933mmol、Aldrich)を水(182μL)に溶解して脱気した。DCE(181μL)をルテニウム触媒2(6.1mg)に加え、そしてこの溶液(91μLが2の4.7mg,0.00571mmolに対応する)を5の溶液に加えた。この反応系を室温で30分間攪拌し、次いで60℃に4時間加熱した。
【0154】
一旦、TLCにより反応が完結すれば、過剰のエチルビニルエーテルを加えて活性カルベンをクエンチした。この反応混合物を減圧下でエバポレートし、そして固体をジクロロメタンおよびエタノールで洗浄した。このポリマーをMQ水に溶解し、1Lの水に対して2日間透析し、水を12時間ごとに換えた。この溶液を透析管から除去し、そして0.25ミクロンのフィルターを通してろ過し、減圧下で溶媒を除去した後、褐色固体(18.2mg)を得た。収率90%。1H NMR(300MHz,D2O):δ7.3(br m,0.238H),5.5-4.9(br,2H),4.0-3.0(br m,14H),2.5-2.15(br m,2H),1.9-1.4(br,2H),1.1-0.9(br,1H)。
【0155】
(キャッピング剤の固体支持体上での合成(図8B-1))
4−ペンタン酸(1.0mL,9.8mmol,1当量)、K2CO3(6.78g,49mmol,5当量)、ベンジルブロミド(1.4mL,11.8mmol,1.2当量)およびヨー化テトラブチルアンモニウム(0.254g,0.686mmol、0.07当量)を約50mLの乾燥アセトン中で合わせた。この反応系を窒素下で3時間攪拌した。TLC(9:1、ヘキサン/酢酸エチル)は、出発物質以外示さなかった。この反応物を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、そして1M HCl、飽和NaHCO3、およびブラインで続けて洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(30:1 ヘキサン/酢酸エチル(ベンジルブロミドが溶出されるまで)〜1:1 ヘキサン/酢酸エチルの溶媒を使用する)を使用して、生成物(1.8g,9.5mmol,収率97%)を単離した。
【0156】
4−ペンタン酸ベンジル(1.86g,9.8mmol、1当量)を、約50mLのCH2Cl2に加え、そして−78℃に冷却した。窒素をこの溶液に約20分間通気した。次いでオゾンを溶液が過剰のオゾンを示す淡青色に変るまで通気した。窒素をこの溶液に5分間通気し、次いでトリフェニルホスフィン(6g、22.5mmol,2.3当量)をこのフラスコに加えた。この混合物を約30分間攪拌した。冷浴を取り外すと、濁った溶液は、反応系が室温まで昇温するにつれて透明になった。TLC(2:1 ヘキサン/酢酸エチル)は、出発物質を示さなかった。勾配カラム(トリフェニルホスフィンが溶出するまでヘキサン、次いで、9:1 ヘキサン/酢酸エチルから6:1 ヘキサン/酢酸エチルの勾配)を使用して生成物(1.7g,9.1mmol、収率93%)を単離した。
【0157】
Ph3PCH2OMeCl(6.24g,18.2mmol,2当量)をトルエンと共沸させて水を除去した。無水エーテルを、Ph3PCH2OMeClを含むフラスコに加え、この溶液を氷浴中で冷却し、95%カリウムt−ブトキシド(1.94g、16.4mmol、1.8当量)を加え、そしてこの溶液を5分間、赤色が維持している間攪拌した。β−ホルミル−プロピオン酸ベンジルエステル(1.7g、9.1mmol,1当量)のエーテル溶液を、約5分間かけて滴下した。溶液は橙色に変化し、そして反応は、氷浴中で30分間攪拌した後TLC(9:1 ヘキサン/酢酸エチル)により完了した。ブラインを添加し、そして反応系をさらに5分間室温で攪拌した。相を分離し、そして水層を3回エーテルで抽出した。エーテル層を合わせて、MgSO4で乾燥し、そして減圧下で濃縮した。30:1 ヘキサン/酢酸エチル〜20:1 ヘキサン/酢酸エチルの勾配を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより、生成物(0.65g、2.9mmol,収率32%)を得た。
【0158】
5−メトキシ−4−ペンタン酸ベンジル(70mg、0.318mmol、1当量)をTHFに溶解した。水性KOHの0.5mM溶液(0.76mL、0.382mmol,1.2当量)を加え、そしてこの反応系を1時間攪拌した。TLC(9:1 ヘキサン/酢酸エチル)は、出発物質を示さなかった。生成物のカリウム塩を得た(27.9mg、0.214mmol、収率67%)。この塩をメタノールに溶解し、そしてAmberlyst15強酸樹脂を加えて溶液を中和した。この反応系を濾過し、そしてメタノールを減圧下で濃縮して、所望の生成物(24.7mg,0.19mmol、収率89%)を得た。
Amberlyst15強酸樹脂を、以下の溶媒の各々で2回、以下の順序で洗浄することにより調製した:メタノール、水、1M NaOH、水、エタノール、6M HCl、水、エタノール、メタノール。
【0159】
Hydroxyethyl-Photoliker Novasyn TG樹脂(0.26mmol/g樹脂充填、30mg、0.0078mmol、1当量)、5−メトキシ−4−ペンテン酸(1.8mg、0.0135mmol、1.7当量)、ジイソプロピルカルボジイミド(2.5μL、0.0162mmol、2.1当量)、およびDMAP(0.5mg、0.0045mmol、0.6当量)を、0.5mLのアミンを含まないDMF中で混合した。この反応物を光から保護し、そして4日間攪拌した。遊離のヒドロキシル基についてのスポットテストを、結合体化効率を決定するために使用した(Kuisle,O.;Lolo,M.;Quinoa,E.;Riguera,R.Tetrahedron,55,14807-14812(1999))。
【0160】
樹脂(約1mg)をピペットによってこの反応物から取り出し、そしてTLCプレート上に置いた。トルエン中の0.03Mのp-TsCl溶液(2滴)およびトルエン中の0.075Mの4-p-ニトロベンジルピリジン溶液(2滴)を添加した。このプレートを、橙色が完全に消失するまで加熱した。CHCl3中の10%ピペリジン溶液(2滴)をこのプレートに添加し、そして乾燥させた。スミレ色または桃色の発色はなく、これはこの反応が完了したことを示す。この樹脂を塩化メチレンおよびエタノールで数回洗浄し、そして回収した(27mg)。
【0161】
赤血球凝集アッセイ:このアッセイを、Kanaiら、J.Am.Chem.Soc.,119,9931-9932(1997)およびその参考文献に以前に記載されるように行った。このアッセイにおいて使用したポリマーサンプルの濃度を、既知濃度のNaOAc外部サンプルを用いて、5.25ppmのピークの1H NMR積分によって決定した。
【0162】
(二官能性キャッピング剤18の合成)
【化11】

(2-(2-(2-ベンジルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール)
【0163】
【化12】

【0164】
50%水性NaOH(5.3mL)中のトリエチレングリコール(8.9mL,66.6mmol)の溶液にベンジルブロミド(7.9mL,66.6mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で24時間攪拌した。この反応物をH2O(75mL)で希釈し、そしてEt2O(4×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、そしてフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ,EtOAc)によって精製して、2-(2-(2-ベンジルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(6.14g,38%)を得た。Rf=0.6(EtOAc);IR(ニート):3500-3400,2900-2700,1751,1633,1613,1453,1349,1246,1100,1069cm-11H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.35-7.26(m,5H),4.57(s,2H),3.73-3.59(m,12H),2.50(b,1H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ138.1,128.4,127.8,127.7,73.3,72.6,70.7,70.6,70.4,69.4,61.7。
【0165】
(10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸)
【化13】

【0166】
三酸化クロム(3.33g,33.30mmol)を1.5MのH2SO4(4.4mL)に0℃で添加した。アセトン(110mL)中の2-(2-(2-ベンジルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(2.00グラム,8.32mmol)の溶液を添加し、そしてこの反応物を室温で5時間攪拌した。この溶液をEt2O(5×100mL)で抽出し、そして合わせた抽出物を飽和NaCl(3×50mL)で洗浄し、そして濃縮して20mLの体積にした。
【0167】
5%NaHCO3(2×20mL)での抽出に続いて、この水性抽出物を濃HClでpH=2まで酸性化し、そしてこの水溶液をEt2O(3×50mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を飽和NaCl(3×20mL)で洗浄した。濃縮して10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸(1.71g,81%)を得た。Rf=0.1-0.4(10% MeOH/CH2Cl2);IR(ニート):3500,3453,2900-2700,1751,1739,1629,1614,1453,1353,1245,1204,1120,1100,1026cm-11H NMR(300MHz,CDCl3):δ10.06,(b,1H),7.35-7.25(m,5H),4.57(s,2H),4.17(s,2H),3.77-3.60(m,8H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ138.1,128.4,127.8,127.7,73.3,72.6,70.7,70.6,70.4,69.4,61.7。
【0168】
(10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸2−(トリメチルシリル)エチルエステル)
【化14】

【0169】
10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸(1.71g,6.71mmol)をCH2Cl2(13.4mL)に溶解させ、そしてこの溶液を0℃まで冷却した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCl)(1.41g,7.38mmol)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(41.0mg,0.34mmol)を添加し、そしてこの懸濁液を0℃で10分間攪拌した。2−(トリメチルシリル)エタノール(872.4mg,7.38mmol)を、シリンジを介して滴下し、そしてこの溶液を室温まで温める間に20分間攪拌した。この反応をH2Oでクエンチし、そしてEt2O(3×50mL)で抽出した。合わせたEt2O抽出物を、10%HCl(1×50mL)、5%NaHCO3(1×50mL)、および飽和NaCl(1×50mL)で連続して洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。
【0170】
濃縮に続いくフラッシュクロマトグラフィー(シリカ,4:1 ヘキサン/EtOAc)によって、10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸2−(トリメチルシリル)エチルエステル(2.32g,収率97%)を得た。Rf=0.26(4:1 ヘキサン/EtOAc);IR(ニート):3500-3400,3000-2700,1751,1733,1615,1455,1250,1148,1124cm-11H NMR(300MHz,CDCl3):δ7.32-7.23(m,5H),4.54(s,2H),4.24-4.18(m,2H),4.10(s,2H),3.72-3.59(m,8H),1.01-0.95(m,2H),0.01(s,9H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ170.5,138.2,128.3,127.6,127.5,73.2,70.8,70.6,69.4,68.8,63.0,17.3,-1.6;LRMS(LSIMS,3-NBA):m/z 377.2[M+Na+,C18H30O5NaSiについての計算値377.5]。
【0171】
(3,6−ジオキサ−8−ヒドロキシ−オクタン酸2−(トリメチルシリル)エチルエステル)
【化15】

【0172】
無水EtOH(14mL,AAPER Alcohol and Chemical Co.,Shelbyville,KY)中の10−フェニル−3,6,9−トリオキサデカン酸2−トリメチルシリル(エチル)エステル(500mg,1.4mmol)の溶液に、20%Pd(OH)2/C(100mg,Aldrich)を添加した。この溶液を50psiのH2下で6時間振盪し、CELITEのパッドを通して濾過(溶出剤EtOH)し、そして減圧下で濃縮して3,6−ジオキサ−8−ヒドロキシ−オクタン酸2−トリメチルシリル(エチル)エステル(284.4mg,77%)を得た。Rf=0.29(2:1 EtOAc/ヘキサン);IR(ニート):3500-3400,2952,2894,2872,1750,1629,1615,1456,1428,1250,1200,1148,1124,1064cm-11H NMR(300MHz,CDCl3):δ4.26-4.19(m,2H),4.11(s,2H),3.75-3.59(m,8H),2.65(b,1H),1.02-0.95(m,2H),0.02(s,9H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ170.6,72.4,70.8,70.2,68.6,63.2,61.5,17.3,-1.6;LRMS(LSIMS,3-NBA):m/z 287.1[M+Na+,C11H24O5NaSiについての計算値287.4]。
【0173】
(3,6−ジオキサ−8−アール−オクタン酸2−(トリメチルシリル)エチルエステル)
【化16】

【0174】
3,6−ジオキサ−8−ヒドロキシ−オクタン酸2−トリメチルシリル(エチル)エステル(250mg,0.95mmol)をCH2Cl2(4.7mL)中に溶解させ、そしてこの溶液を0℃まで冷却した。ジメチルスルホキシド(135μL,1.9mmol)をシリンジを介して添加し、続いて固体のP2O5を素早く添加した。0℃で30分後、Et3N(460μL,3.3mmol)を添加し、そしてこの反応物を0℃で30分間攪拌した。この反応を10%HCl(10mL)でクエンチし、そしてCH2Cl2(3×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をH2O(1×25mL)および飽和NaCl(1×25mL)で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。
【0175】
フラッシュクロマトグラフィー(シリカ,1:1 ヘキサン/EtOAc)による精製によって、生成物(216.0mg,82%)を得た。Rf=0.29(1:1 ヘキサン/EtOAc);IR(ニート):3500-3400,2957,2922,2854,1749,1734,1646,1456,1260,1098cm-11H NMR(300MHz,CDCl3):δ9.71(s,1H),4.25-4.19(m,2H),4.16(d,J=0.7Hz,2H),4.10(s,2H),3.75(s,4H),1.01-0.96(m,2H),0.02(s,9H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ200.6,170.4,76.8,71.2,71.0,68.8,63.2,17.4,-1.5;LRMS(LSIMS,3-NBA):m/z 285.1[M+Na+,C11H22O5NaSiについての計算値285.4]。
【0176】
(3,6,10−トリオキサ−8,9−エン−ウンデカン酸2−(トリメチルシリル)エチルエステル)
【化17】

【0177】
THF(2.0mL)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(117.6mg,0.34mmol)の懸濁液に、0℃でカリウムtert−ブトキシド(36.3mg,0.30mmol)を添加した。この暗赤色溶液を0℃で5分間攪拌した。3,6−ジオキサ−8−アール−オクタン酸2−トリメチルシリル(エチル)エステル(42.5mg,0.16mmol)を、THF(160μL)中の1M溶液として滴下し、この間にこの溶液は暗赤色から淡黄色に変化した。この反応を飽和NaCl(5mL)でクエンチし、そしてEt2O(3×15mL)で抽出した。合わせたEt2O抽出物をH2O(1×20mL)で洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。濃縮に続くフラッシュクロマトグラフィー(シリカ,9:2 ヘキサン/EtOAc)によって、3,6,10−トリオキサ−8,9−エン−ウンデカン酸2−トリメチルシリル(エチル)エステル18(27.9mg,59%)を得た。
【0178】
Rf=0.21(5:1 ヘキサン/EtOAc);IR(ニート):2952,2932,2898,2860,1752,1732,1660,1457,1251,1214,1197,1176,1147,1102,859,838cm-11H NMR(500MHz,CDCl3):δ6.52(d,J=13.1Hz,1H),6.00(dt,J=6.5,1.1Hz,1H),4.87(dt,J=12.5,7.5Hz,1H),4.53(td,J=7.0,6.5Hz,1H),4.24-4.17(m,4H),4.10(s,2H),4.09(s,2H),4.07(dd,J=7.3,1.2Hz,2H),3.92(dd,J=7.4,0.9Hz,2H),3.71-3.54(m,8H),3.58(s,3H),3.53(s,3H),1.01-0.94(m,4H),0.01(s,18H);13C NMR(75MHz,CDCl3):δ170.6,170.5,151.5,149.1,102.7,98.7,70.9,70.9,69.0,68.8,68.7,68.5,63.8,63.0,59.8,55.9,17.4,-1.6;LRMS(LSIMS,3-NBA):m/z 313.2[M+Na+,C13H26O5NaSiについての計算値313.4]。
【0179】
(ポリマー9の合成)
【化18】

【0180】
1,2−ジクロロエタン(DCE)を、4回の凍結−吸引−解凍(FPT)サイクルによって脱酸素した。DCE(100μL)中のルテニウム触媒14の溶液を、DCE(400μL)中のノルボルネンモノマー11(15mg,0.10mmol)の溶液に添加した。この赤色混合物を室温で30分間攪拌した。キャッピング剤18(30μL)をニートで添加し、そしてこの反応物を室温で18時間攪拌した。この混合物を濃縮し、少量のCH2Cl2に溶解させ、そしてシリカゲルの短いパッドを通して濾過して過剰のキャッピング剤18を除去した。残った物質をこのシリカゲルからEtOAcで溶出し、そしてこの溶液を濃縮して乾燥させた。透明な固体の物質をヘキサン(3×)で洗浄し、そして乾燥させてポリマー19(9.6mg,64%)を得た。
【0181】
(ポリマー20の合成)
【化19】

【0182】
DCEを4回の凍結−吸引−解凍サイクルで脱酸素した。DCE(40μL)中のルテニウム触媒14(3.3mg,0.004mmol)の溶液を、DCE(280μL)中のノルボルネンモノマー12(15mg,0.064mmol)の溶液に添加した。この混合物を室温で30分間攪拌した。キャッピング剤18(13.5μL)をニートで添加し、そしてこの反応物を室温で18時間攪拌した。この混合物を濃縮し、少量のCH2Cl2に溶解させ、そしてシリカゲルの短いパッドを通して濾過して、触媒由来の不純物および過剰のキャッピング剤を除去した。この溶液を減圧下で濃縮し、そしてこれを精製なしで3,6−ジスルホガラクトースアミンとのカップリングに使用した。
【0183】
(ポリマー21bの合成)
【化20】

【0184】
ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(5μL,0.032mmol)を、DMF(320μL)中のポリマー20(7.5mg)の溶液に添加した。(2−アミノエチル)−3,6−O−ジスルホ−β−D−ガラクトピラノシド(16.7mg,0.048mmol)を、H2O(48μL)中の1M溶液として添加し、そしてEt3N(8.9μL,0.064mmol)を添加した。この反応物を室温で約40時間攪拌し、次いでH2O(約1mL)で希釈した。この水溶液をCHCl3(3×2mL)で抽出し、そして減圧下で濃縮した。残渣をMeOH(3×2mL)で洗浄して、ネオグリコポリマー(neoglycopolymer)21bを得た。
【0185】
(フルオレセイン標識ネオグリコポリマー22の合成)
【化21】

【0186】
(ポリマー21aの合成)
別々の反応容器において、ジクロロエタン(DCE)、および3,6−ジスルホガラクトースモノマー13のナトリウム塩(15mg,0.027mmol)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)(13.5mg,0.044mmol)、および2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(ビス−トリス)緩衝液(91μL,100mM,pH5.9)の溶液を、この溶液の各々を4回の凍結−吸引−解凍(FPT)サイクルに供することによって脱酸素した。脱酸素したジクロロエタン(45μL)を、窒素下でルテニウムメタルカルベン14(1.5mg,0.0018mmol)を含むバイアルに入れ、そしてこの紫色溶液を、モノマーおよびDTABの緩衝溶液を含む反応容器に添加した。
【0187】
この反応物を40〜45℃まで20分間加熱し、キャッピング剤18(10μL)をニートで添加し、そしてこの混合物を40〜45℃で15分間攪拌した。この反応物を室温まで冷却させ、そして6時間攪拌した。この粗製混合物を、この溶液が単相になるまでH2OおよびMeOHで希釈し、そして最終体積は約1mLであった。このポリマーをカチオン交換クロマトグラフィー(SEPHADEX-SP C-25,Pharmacia,Piscataway,NJ;0.75×4.0cm;Na+,溶出剤H2O)によって精製し、乾燥するまで濃縮し、この樹脂をMeOHに懸濁させ、そして遠心分離した(3×)。MeOH不溶性物質をH2Oに溶解させ、そして乾燥するまで濃縮して、キャップされたポリマー21を淡褐色の鱗状固体として中程度の収率(60〜80%)で得た。
【0188】
(ポリマー21aの脱保護)
キャップされたポリマー21aをH2O(95μL)中に溶解させ、そして1MのNaOH(5μL)を添加した。このフラスコに指形冷却器を取り付け、そしてこの溶液を60℃で2時間加熱した。室温まで冷却した後、この溶液をH2Oで希釈して1mLの最終体積にし、そして中和した(AMBERLYST 15 強酸性の高度架橋樹脂,Aldrich)。この混合物をガラス綿の小さなプラグを通して濾過して樹脂を除去し、次いで乾燥するまで濃縮して、脱保護ポリマーを得た。
【0189】
【化22】

【0190】
(結合体22の合成)
脱保護ポリマー(3.2mg)をH2O(60μL)に溶解させた。EDCI(0.8mg,0.004mmol)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホNHS,Pierce,Roickford,IL)(0.9mg,0.004mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で5分間インキュベートした。5-((5-アミノペンチル)チオウレイジル)フルオレセイン(フルオレセインカダベリン)(1.3mg,0.002mmol)を添加し、そしてこの反応物を室温、暗所で24時間攪拌した。このフルオレセイン結合したポリマーを、カチオン交換クロマトグラフィー(SEPHADEX-SP C-25,Pharmacia;0.75×4.0cm;Na+,溶出剤H2O)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEPHADEX G-25,Pharmacia,0.75×22.0cm,溶出剤H2O)で精製して、フルオレセイン結合ポリマー22(2.2mg,69%)を得た。
【0191】
【化23】

【0192】
(酸素末端ポリマー27の合成および改変)
別々の反応容器において、DCE、ならびにビス−トリス緩衝液(91μL,100mM,pH5.9)中の3,6−ジスルホガラクトースモノマーのナトリウム塩23(15mg,0.027mmol)およびDTAB(13.5mg,0.044mmol)の溶液を、各溶液を4回の凍結−吸引−解凍サイクルに供することによって脱酸素した。脱酸素したDCE(45μL)を、窒素下でルテニウムカルベン14(1.5mg,0.0018mmol)を含むバイアルに入れ、そしてこの紫色の溶液をモノマーおよびDTABの緩衝溶液を含む反応容器に添加した。
【0193】
この反応物を60℃まで2.5時間加熱し、室温まで冷却させ、次いで大気に開放して12時間攪拌した。5-(((2-(カルボヒドラジノ)メチル)チオ)アセチル)アミノフルオレセイン26(Molecular Probes,Eugene,OR,2.5mg,0.0051mmol)を添加し、そしてこの反応物を室温、暗所で48時間攪拌した。このフルオレセイン結合ポリマーをカチオン交換クロマトグラフィー(SEPHADEX-SP C-25,Pharmacia;0.75×4.0cm;Na+,溶出剤H2O)によって精製し、そしてMeOH(3×)で洗浄して、フルオレセイン結合ポリマー17(8.6mg,57%)を得た。
【0194】
(蛍光顕微鏡検査法)
Jurkat細胞を、37℃および5%CO2で、10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、および1mMのピルビン酸ナトリウムを含むRPMI 1640中で増殖させた。細胞の生存度は、0.4%のTrypan Blueでの染色による決定の場合は95%より高かった。各実験について、5×105の生存細胞を使用した。Jurkat細胞を750×gで1分間遠心分離し、上清培養培地をデカントし、そして細胞を1mLの冷却PBS中に再懸濁させた。この細胞を再び遠心分離し、そして100μLの冷却PBS中に再懸濁させた。FITC標識抗−L−セレクチン抗体、あるいはフルオレセイン標識ポリマー22またはフルオレセインポリマー17を添加した。
【0195】
このポリマーのガラクトース残基に基づく最終濃度は4mMであった。細胞を4℃で30分間インキュベートし、そして2mLの冷却PBSで2回洗浄した。細胞を、1mLの新鮮な2%HEPES緩衝化パラホルムアルデヒド中、4℃で30分間固定し、そして2mLの冷却PBSで2回洗浄した。細胞を遠心分離し、そして50mLの冷却PBS中に再懸濁させた。次いで、この細胞溶液をカバーガラスに塗布し、そして5mLのVectaShield抗クエンチ剤を含むきれいなガラススライド上に取りつけた。スライドを4℃で一晩インキュベートし、次いでFITC選択フィルタおよびPrinceton Instruments MicroMaxカメラを備えるZeiss Axioskop顕微鏡(Zeiss,Germany)上の油浸漬レンズ(630×)の下で観察した。画像は、IPLab Spectrumソフトウエア(Signal Analytics Corporation (Vienna,VA))を使用して得られた。示された画像は、4つの独立した試験の最小値から得られた結果の代表であった。
【0196】
本明細書中に引用される特許、特許文書、および刊行物の完全な開示は、その各々が個々に援用されるように、本明細書中でその全体が参考として援用される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明に対する種々の改変および変更が当業者に明らかとなる。本発明は、本明細書中に記載される例示の実施形態および実施例によって過度に限定されるようには意図されず、そしてこのような実施例および実施形態は、本明細書中上記の特許請求の範囲によってのみ限定されるように意図される本発明の範囲の単なる例として示されることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレケリックポリマーを調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
開環メタセシス重合を介して重合され得る少なくとも1つの基を含む少なくとも1つのモノマーを、少なくとも1つのルテニウムカルベン触媒またはオスミウムカルベン触媒の存在下で重合して、ポリマーを形成する工程;および
該ポリマーを、電子供与基を含む少なくとも1つのキャッピング剤と、該ポリマーと該キャッピング剤が反応するのに効率的な条件下で結合させる工程、
を包含し、ここで、該カルベン触媒、該キャッピング剤のいずれかまたはその両方が官能化され、そして末端官能化ポリマーが形成される、方法。
【請求項2】
前記官能化されたキャッピング剤が、引き続く官能化剤との反応のための潜在的反応性基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記官能化されたキャッピング剤が、以下の式:
【化1】

を有し、ここで、Dは電子供与基であり、そしてR6は、アジド、ニトロ基、ジスルフィド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、アルデヒド、ケトン、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、活性化酸およびそれらの組み合わせからなる群より選択される潜在的反応性基を含む有機基であり、そしてR7およびR8は、独立して水素または有機基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記官能化されたキャッピング剤が非反応性官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記官能化されたキャッピング剤が、以下の式:
【化2】

を有し、ここで、Dは電子供与基であり、そしてR6は、天然産物またはそのアナログ、金属キレーター、金属、蛍光プローブ、固体支持体、金属表面およびそれらの組み合わせからなる群より選択される非反応性基を含む有機基であり、そしてR7およびR8は、独立して水素または有機基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーがモノテレケリックポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ルテニウムカルベン触媒またはオスミウムカルベン触媒が官能化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記官能化されたカルベン触媒が、引き続く官能化剤との反応のための潜在的反応性基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記官能化されたカルベンがM=CR4R5によって表され、ここでR4は潜在的反応性基を含む有機基であり、R5はHまたは有機基であり、そしてMはリガンド圏内のルテニウムまたはオスミウムを表す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
4が、アジド、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、活性化酸、ヒドラジン、ヒドラゾンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される潜在的反応性基を含む有機基である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記官能化されたカルベンが、以下の式:
【化3】

を有し、ここでMはRuまたはOsであり、XおよびX’は各々独立してアニオン性リガンドであり、LおよびL’は各々独立して中性リガンドであり、そしてR4は、アジド、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、活性化酸、ヒドラジン、ヒドラゾンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される潜在的反応性基を含む有機基である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記官能化されたカルベン触媒が非反応性官能基を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記官能化されたカルベンがM=CR4R5によって表され、ここでR4は非反応性官能基を含む有機基であり、R5はHまたは有機基であり、そしてMはリガンド圏内のルテニウムまたはオスミウムを表す、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R4が、天然産物またはそのアナログ、金属キレーター、金属、蛍光プローブ、固体支持体、金属表面およびそれらの組み合わせからなる群より選択される非反応性官能基を含む有機基である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記官能化されたカルベンが、以下の式:
【化4】

を有し、ここでMはRuまたはOsであり、XおよびX’は各々、独立してアニオン性リガンドであり、LおよびL’は各々、独立して中性リガンドであり、そしてR4は、天然産物またはそのアナログ、金属キレーター、金属、蛍光プローブ、固体支持体、金属表面またはそれらの組み合わせからなる群より選択される非反応性官能基を含む有機基である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマーがモノテレケリックポリマーである、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーがビテレケリックポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記官能化されたキャッピング剤が、引き続く官能化剤との反応のための潜在的反応性基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記官能化されたキャッピング基が非反応性官能基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記官能化されたカルベン触媒が、引き続く官能化剤との反応のための潜在的反応性基を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記官能化されたカルベンがM=CR4R5で表され、ここでR4は潜在的反応性基を含む有機基であり、R5はHまたは有機基であり、そしてMはリガンド圏内のルテニウムまたはオスミウムを表す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
R4が、アジド、エポキシド、シアノ基、アセタール、ケタール、カルバメート、チオシアネート、活性化エステル、活性化酸、ヒドラジン、およびヒドラゾンの群から選択される潜在的反応性基を含む有機基である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記官能化されたキャッピング剤が切断可能なリンカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記キャッピング剤が非反応性官能基を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記非反応性官能基が固体支持体である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記キャッピング剤が以下の式:
【化5】

を有し、ここでDは電子供与基であり;R8は、該キャッピング剤の他のR8とは独立して、Hまたは有機基であり;nは1〜20の範囲の整数であり、R9は水素または有機基であり;Wは電子求引基であり、そしてZは電子供与基であり、そしてLKは前記固体支持体との結合のためのリンカー基である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
WがNO2基であり、そしてZがOR基であり、ここでRはアルキル部分である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記官能化された金属カルベン触媒が非反応性官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記非反応性官能基が固体支持体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記官能化された金属カルベン触媒が、以下の式:
【化6】

を有し、ここでMはRuまたはOsであり、XおよびX’は独立してアニオン性リガンドであり、そして一緒に二座アニオン性リガンドを形成し得、LおよびL’は独立して中性リガンドであり、そして一緒に中性二座リガンドを形成し得、R’は水素または有機基であり、そしてLKは有機基である任意のリンカー基である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
多価アレイを調製する方法であって、該方法は、以下の工程:
少なくとも1つのモノマーを、金属カルベン触媒の存在下で重合させて、ポリマーテンプレートを形成する工程であって、ここでモノマーの各々は、少なくとも1つの重合可能な基および少なくとも1つの潜在的反応性基を含み、そしてここで、該形成されたポリマーテンプレートは少なくとも1つの潜在的反応性基を含む、工程;ならびに
該ポリマーテンプレートを、少なくとも1つの反応性基を含む少なくとも1つの官能化剤と、該ポリマーテンプレートの該潜在的反応性基と該官能化剤の反応性基の反応に効率的な条件下で結合させて、多価アレイを形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
前記重合されるモノマーの各々が1つのみの重合可能な基を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記モノマーが環状モノオレフィンである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記環状モノオレフィンが二環式化合物である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記モノマーが、前記官能化剤の前記反応性基に非反応性である官能基をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記モノマーの前記潜在的反応性基が、求核基、および求電子基を含む前記官能化剤の前記反応性基を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記モノマーの前記潜在的反応性基が、求電子基、および求核基を含む前記官能化剤の前記反応性基を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記求核基が、アミン、アジド、ヒドロキシル、チオール、スルホン、アシルヒドラジド、ニトロ基、ホスファイト、ヒドラジン、オキシム、イソシアネート、ヒドロキサム酸、チオシアネートおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記求電子基が、アシルスルホンアミド、アシルアジド、エポキシド、無水物、エステル、カルボン酸、ハライド、ボロン酸およびボロンエステル、ケトン、アルデヒド、リン酸エステル、ホスファイト、アシルニトリル、アルケン、アルキンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記求電子基が活性化エステル基であり、そして前記求核基が第一級アミン基である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記モノマーが以下の一般構造:
【化7】

を有し、ここでYはCH2、O、S、またはN-R3であり、ここで、R3はHまたは有機基であり、R1およびR2は各々独立してHまたは有機基であって、または潜在的反応性基を含む有機基であり、ここでR1およびR2が環を形成するようにR1およびR2は結合し得るが、ただしR1またはR2のうち少なくとも1つは潜在的反応性基を含む有機基である、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
前記モノマーが、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−exo−2−カルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つのモノマーを重合する工程が、金属カルベン触媒の存在下で、2つ以上の異なるモノマーを連続して重合して、該異なるモノマーの交互ブロックを含むポリマーテンプレートを形成する工程を包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
異なるモノマーの各々が、引き続くペンダント官能基の結合のための異なる潜在的反応性基を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの前記モノマーが、さらなる官能化を必要としない非反応性ペンダント官能基を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1つのモノマーを重合する工程が、2つ以上の異なるモノマーを同時に重合する工程を包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
前記多価アレイと試薬とを反応させ、該アレイ中のポリマー骨格アルケン結合を官能化する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
前記ポリマーテンプレートの前記潜在的反応性基と反応する前記官能化剤が、炭水化物またはペプチドを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1つのモノマーを重合する工程が、室温で有機溶媒中で行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
前記官能化剤と結合する前に前記ポリマーテンプレートの末端と反応させるために、該ポリマーテンプレートとキャッピング剤とを結合する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項51】
前記キャッピング剤が電子リッチなアルケンである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記電子リッチなアルケンが、レポーター基を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記電子リッチなアルケンが、固体支持体または金属表面に連結されているか、または連結可能である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリマーテンプレートと少なくとも1つの官能化剤とを結合する工程において、該ポリマーテンプレートが化学量論量未満の第1官能化剤と結合される、請求項31に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリマーテンプレートと少なくとも1つの官能化剤とを結合する工程が、該ポリマーテンプレートと化学量論量未満の第2官能化剤とを結合する工程をさらに包含する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
複数の多価アレイを含むライブラリーを作製する方法であって、該方法は、以下:
(a)請求項1に記載の方法によって多価アレイの各々を合成する工程、および
(b)該多価アレイを結合してライブラリーを作製する工程、
を包含する、方法。
【請求項57】
前記重合されるモノマーは全て同一である、請求項31に記載の方法。
【請求項58】
1つを超えるモノマーが重合される、請求項31に記載の方法。
【請求項59】
前記モノマーが異なる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記ポリマーテンプレートがポリマー骨格アルケン結合を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項61】
ポリマー骨格アルケン結合を官能化するために、前記ポリマーテンプレートを反応させる工程をさらに包含する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ポリマーテンプレートの官能化によって形成された多価アレイがポリマー骨格アルケン結合を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項63】
前記レポーター基が、蛍光基、化学発光基、酵素、抗体、ビオチン、および放射性基から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項64】
前記官能化する基が、少なくとも1つの官能基をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項65】
前記官能基が炭水化物またはペプチドである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記官能化剤の反応性基が求電子基または求核基である、請求項31に記載の方法。
【請求項67】
前記潜在的反応性基が求電子基または求核基である、請求項31に記載の方法。
【請求項68】
前記官能化剤の反応性基が求電子基または求核基である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記モノマーが環状モノオレフィンである、請求項1、7または17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記モノマーが、潜在的反応性基をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
前記キャッピング剤が、オレフィン炭素に結合される電子供与基を伴ったオレフィンである、請求項1、7または17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記キャッピング剤が、保護されたカルボン酸誘導体にエチレングリコール鎖を介して連結されたアルキルビニルエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
前記末端官能化ポリマーと官能化剤とを反応させる工程であって、該末端官能化ポリマーは前記キャッピング剤との反応由来の潜在的反応性基を含む、工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項74】
前記官能化剤との反応が、前記ポリマーの末端に官能性を導入し、2つのポリマーを一緒にカップリングするか、または固体支持体にカップリングすることを可能にする、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記官能化剤との反応が、蛍光プローブ、タンパク質、金属および金属キレーターから選択される官能基を、前記ポリマーの末端に導入する、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記官能化剤との反応が、レポーター基である官能基を、前記ポリマーの末端に導入する、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記レポーター基が、蛍光基、化学発光基、酵素、抗体、ビオチン、放射性基から選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記潜在的反応性基は求電子基または求核基である、請求項8に記載の方法。
【請求項79】
前記末端官能化ポリマーと官能化剤とを反応させる工程を包含し、
該末端官能化ポリマーは、前記官能化されたカルベン触媒由来の潜在的反応性基を含み、該官能化剤は該潜在的反応性基と反応する、請求項8に記載の方法。
【請求項80】
前記非反応性官能基がレポーター基である、請求項12に記載の方法。
【請求項81】
前記レポーター基が、蛍光基、化学発光基、酵素、抗体、ビオチン、放射性基から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記末端官能化ポリマーと官能化剤とを反応させる工程であって、該末端官能化ポリマーが、前記キャッピング剤との反応由来の潜在的反応性基を含む、工程を包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項83】
前記非反応性官能基がレポーター基である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−261051(P2010−261051A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190013(P2010−190013)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【分割の表示】特願2004−182917(P2004−182917)の分割
【原出願日】平成12年6月19日(2000.6.19)
【出願人】(506097988)ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション (14)
【Fターム(参考)】