説明

多価金属カチオンおよび分散されたポリマーを含む水性組成物

【課題】水性組成物を製造する方法が提供すること。
【解決手段】(a)第一に、モノマー混合物の重量を基準にして5〜50重量%の1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含むモノマー混合物を重合することを含むプロセスによって、少なくとも1種の水性ポリマー分散物を形成し;(b)第二に、(i)前記モノマー混合物100重量部を基準にして1〜10重量部の少なくとも1種の膨潤剤;および(ii)非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤またはこれらの混合物の1種以上;を含む成分を前記水性ポリマー分散物に添加し;並びに、(c)第三に、カルシウムカチオンもしくはマグネシウムカチオンまたはこれらの混合物を前記水性ポリマー分散物に添加すること;を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な有用な組成物が、水中に分散された少なくとも1種のポリマーと少なくとも1種の多価金属カチオンとを含む。このような組成物のいくつかにおいては、ポリマーは酸官能性を有する。このような組成物は様々な目的のために、例えば皮処理およびフロアポリッシュにおける成分として有用である。過去においては、ある場合には、組成物が高濃度の多価金属カチオンを有する場合にはこのような組成物の有用性は向上されてきたものの、このような組成物の多くの既知の例は比較的低濃度の多価カチオンを有していた。例えば、高濃度の多価金属カチオンが使用される場合には、フロアポリッシュはより耐久性であると考えられる。しかし、高濃度の多価金属カチオンは、場合によっては、水性ポリマー分散物における不安定さを生じさせ、結果的に、ゲルもしくは沈殿、またはその双方の形成をもたらす。
【0002】
過去においては、亜鉛カチオンが、特にフロアポリッシュにおいて一般的に使用されてきた。カルシウムは排水処理施設の微生物に対して亜鉛ほど害がないのでカルシウムは亜鉛よりも好ましい。カルシウムカチオンを含む水性ポリマー分散物は、亜鉛カチオンを含む水性ポリマー分散物よりもさらに不安定になりがちなので、高濃度のカルシウムカチオンを水性ポリマー分散物に組み込むのが困難な場合がある。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0288411号はフロアポリッシュとして有用であって、多価金属カチオンおよび分散されたポリマーを含む組成物を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0288411号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高濃度のカルシウムを含む一方で、不安定性の問題を回避する組成物を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
組成物を製造する方法であって、当該方法が
(a)第一に、モノマー混合物の重量を基準にして5〜50重量%の1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含むモノマー混合物を重合することを含むプロセスによって、少なくとも1種の水性ポリマー分散物を形成し;
(b)第二に、(i)前記モノマー混合物の100重量部を基準にして1〜10重量部の少なくとも1種の膨潤剤;および(ii)非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤またはこれらの混合物の1種以上;を含む成分を前記水性ポリマー分散物に添加し;並びに、
(c)第三に、カルシウムカチオンもしくはマグネシウムカチオンまたはこれらの混合物を前記水性ポリマー分散物に添加すること;を含み、
前記工程(b)の完了後でかつ前記工程(c)の開始前に、前記予備混合物中の全ての多価金属カチオンの当量の、前記予備混合物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合がゼロであるかもしくは0〜0.1であり;
前記工程(c)の完了後に、前記組成物中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの当量の、前記組成物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合が0.4以上であり;並びに
前記工程(c)の完了後に、カルシウムおよびマグネシウム以外の全ての多価金属カチオンの当量の、前記組成物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合がゼロであるか、もしくは0〜0.1である;
組成物を製造する方法が提供される。
この方法によって形成された組成物も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリラート」は「アクリラートまたはメタクリラート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリルまたはメタクリル」を意味する。本明細書において使用される場合、ある物質がその物質の全重量を基準にして少なくとも25重量%の水を含む場合には、その物質は「水性」である。
【0008】
本明細書において使用される場合、「分散物」は、場合によっては、いくつかある成分の中でも、連続媒体中に懸濁されている離散した粒子を含む。連続媒体が、その連続媒体の重量を基準にして少なくとも50重量%の水を含む場合には、その分散物は「水性分散物」であると称され、その連続媒体は「水性媒体」であると称される。分散物中の懸濁されている離散した粒子の少なくとも幾分かが1種以上のポリマーを含む場合には、本明細書においてはその分散物は「ポリマー分散物」と称される。よって、「水性ポリマー分散物」は、少なくとも50%が水である連続媒体中に懸濁された何らかのポリマー含有粒子を含む。本明細書において使用される場合、用語「ポリマー分散物」が使用される場合には、懸濁されている粒子に含まれるポリマーは水に可溶性ではない。
【0009】
本明細書において使用される場合、2つの量についての「割合」は第一の量を第二の量で割ることにより得られた数である。
【0010】
多価金属カチオンは+2以上の電荷を有する金属カチオンである。多価金属カチオンは、例えば、アルカリ土類金属の多価カチオンおよび遷移金属の多価カチオンである。
【0011】
本発明の組成物中の多価金属カチオンの量は当量数で特徴づけられる。存在する多価金属カチオンのそれぞれの種類について、その多価金属カチオンの当量数は、存在するカチオンのモル数にそのカチオンの価数をかけたものである。2価の金属カチオン1モルは2当量を提供し;3価金属カチオンの1モルは3当量を提供するなど。
【0012】
水性ポリマー分散物のサンプル中のポリマー粒子は様々なサイズを有する。ある場合には、ポリマー粒子は球状もしくはほぼ球状であり;そのような場合には、これらのサイズは通常その直径で特徴づけられることができ、ポリマー粒子の群はその粒子の平均直径で有用に特徴づけられうる。粒子の平均直径を測定する1つの有用な方法は光散乱である。好ましくは粒子の平均直径は40nm以上であり、より好ましくは50nm以上である。独立して、好ましくは粒子の平均直径はより好ましくは500nm以下であり;より好ましくは250nm以下であり;より好ましくは200nm以下であり;より好ましくは150nm以下である。
【0013】
本発明の水性ポリマー分散物のポリマーはモノマーの重合により形成され;ポリマーを形成するために使用される全てのモノマーの集合体は、本明細書において「モノマー混合物」と称される。モノマー混合物中のモノマーは任意の種類のものであることができ、並びに任意の方法もしくはメカニズムによって重合されうる。
【0014】
本明細書において使用される場合、ある量が「モノマー混合物の重量を基準に」すると称される場合には、その量は、モノマー混合物中に存在しうる(もしあれば)何らかの多エチレン性不飽和モノマーを除く、モノマー混合物中に使用される全てのモノマーの重量の合計を基準にすることを意味する。
【0015】
本発明の実施において、モノマー混合物はモノマー混合物の重量を基準にして5重量%以上のメタクリル酸を含む。好ましくは、モノマー混合物はモノマー混合物の重量を基準にして7重量%以上;より好ましくは9重量%以上;より好ましくは11重量%以上のメタクリル酸を含む。本発明の実施において、モノマー混合物はモノマー混合物の重量を基準にして25重量%以下のメタクリル酸を含む。好ましくは、モノマー混合物はモノマー混合物の重量を基準にして25重量%以下;より好ましくは18重量%以下のメタクリル酸を含む。
【0016】
モノマー混合物はメタクリル酸以外の1種以上のカルボン酸官能性モノマーも含む。カルボン酸官能性モノマーは少なくとも1つのカルボン酸基を含む重合可能な化合物であり、このカルボン酸官能基は重合プロセス中に除去されずまたは変換させられない。メタクリル酸以外の好ましいカルボン酸官能性モノマーはアクリル酸、イタコン酸およびこれらの混合物である。最も好ましいのはイタコン酸である。
【0017】
好ましくは、メタクリル酸以外のカルボン酸官能性モノマーの量はモノマー混合物の重量を基準にして0.1重量%〜5重量%である。より好ましくは、メタクリル酸以外のカルボン酸官能性モノマーの量は0.5%以上;より好ましくは1%以上である。より好ましくは、メタクリル酸以外のカルボン酸官能性モノマーの量は3%以下;より好ましくは2%以下である。
【0018】
本発明のモノマー混合物は、本明細書において「非カルボキシルモノマー」と称される、カルボン酸官能性モノマー以外のモノマーを含む。この非カルボキシルモノマー(単一種もしくは複数種)は、使用されるカルボン酸官能性モノマーとのコポリマーを形成できるあらゆる種類のものであることができる。本明細書において使用される場合、コポリマーとは、一緒に反応してポリマーを形成する2種以上の異なるモノマーから製造されるポリマーをいう。コポリマーは任意の構造を有することができ、例えば、異なるモノマーがランダムに、パターンで(例えば、交互など)、ブロックで、分岐で、星状に、またはこれらの何らかの組み合わせで配置されうる。
【0019】
好ましくは、モノマー混合物は1種以上のビニル芳香族モノマーを含む。好ましいビニル芳香族モノマーはアルファ,ベータモノエチレン性不飽和芳香族モノマーである。好ましい、アルファ,ベータモノエチレン性不飽和芳香族モノマーはスチレン(Sty)、ビニルトルエン、2−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、アリルフェニルエーテル、アリルトリルエーテル、アルファ−メチルスチレンおよびこれらの混合物である。好ましいのはスチレン、ビニルトルエンおよびアルファ−メチルスチレンであり;最も好ましくはスチレンである。
【0020】
好ましくは、モノマー混合物は少なくとも1種のビニル芳香族モノマーを、モノマー混合物の重量を基準にして15重量%以上、より好ましくは25重量%以上の量で含む。独立して、好ましくは、モノマー混合物は少なくとも1種のビニル芳香族モノマーを、モノマー混合物の重量を基準にして70重量%以下、より好ましくは、60重量%以下の量で含む。
【0021】
好ましくは、モノマー混合物は(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの1種以上を含む。好適な(メタ)アクリル酸のアルキルエステルにおけるアルキル基は、線状、分岐、環式またはこれらの何らかの組み合わせもしくは混合であることができる。好ましいアルキル基は、アルキル基が20以下の炭素原子、より好ましくは12以下の炭素原子、より好ましくは8以下の炭素原子を有するものである。好ましい(メタ)アクリル酸のアルキルエステルは、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル(BA)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸イソブチル(IBMA)、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸イソボルニル、およびこれらの混合物である。より好ましくは、モノマー混合物はBA、BMA、IBMA、MMAまたはこれらの混合物を含む。
【0022】
好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの全ての量は、モノマー混合物の重量を基準にして15重量%以上;より好ましくは20重量%以上;より好ましくは25重量%以上である。独立して、好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの全ての量は、モノマー混合物の重量を基準にして75重量%以下;より好ましくは65重量%以下である。
【0023】
好ましくは、モノマー混合物は1種以上の多エチレン性不飽和モノマー(すなわち、2種以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー)を含む。好ましい多エチレン性不飽和モノマーはジビニル芳香族化合物であり;ジ−(メタ)アクリラートエステル、トリ−(メタ)アクリラートエステルおよびテトラ−(メタ)アクリラートエステル;ジ−アリルエーテル化合物、トリ−アリルエーテル化合物、テトラ−アリルエーテル化合物、ジ−アリルエステル化合物、トリ−アリルエステル化合物、テトラ−アリルエステル化合物;並びに、(メタ)アクリル酸アリルである。好ましい多エチレン性不飽和モノマーはジビニルベンゼン(DVB)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、テトラアリルペンタエリスリトール、トリアリルペンタエリスリトール、ジアリルペンタエリスリトール、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、ビスフェノールAジアリルエーテル、アリルスクロース、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリラート、メタクリル酸アリル(ALMA)、エチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)、ヘキサン−1,6−ジオールジアクリラート(HDDA)およびブチレングリコールジメタクリラート(BGDMA)である。より好ましい多エチレン性不飽和モノマーは、DVB、ALMA、EGDMA、HDDAおよびBGDMAであり;最も好ましいのはDVBである。
【0024】
好ましくは、モノマー混合物中の多エチレン性不飽和モノマーの量は、モノマー混合物の重量を基準にして少なくとも0.3重量%、より好ましくは少なくとも0.6重量%、より好ましくは少なくとも0.9重量%、より好ましくは少なくとも1.1重量%である。独立して、好ましくは、モノマー混合物中の多エチレン性不飽和モノマーの量は、モノマー混合物の重量を基準にして3.5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下である。
【0025】
本発明の水性ポリマー分散物は様々な方法によって製造されうる。ある実施形態においては、ポリマーは何らかの重合方法によって形成され、次いで水中に分散されうる。好ましくは、ポリマーは水性媒体中に懸濁された粒子として、例えば、懸濁重合、乳化重合、マイクロエマルション重合またはこれらの組み合わせによって形成される。
【0026】
好ましくは、水性ポリマー分散物は乳化重合によって形成される。より好ましくは、水性ポリマー分散物は水性乳化重合(すなわち、水性媒体中の乳化重合)によって形成される。水性乳化重合は、好ましくは、1種以上の乳化剤および1種以上の開始剤の使用をはじめとする標準的な方法によって行われる。水性乳化重合は好ましくは7未満のpHで行われる。水性乳化重合の完了後、pHは好ましくは1種以上の塩基化合物の添加によって上昇させられ;本発明の実施においては、重合の完了後でpHを上昇させる前に1以上の工程が行われうる。
【0027】
本明細書において上述のように、「モノマー混合物」は、そのモノマー混合物が使用される物理的形態にかかわらず、本発明のポリマーを製造するために使用される全てのモノマーの集合体を意味することが本明細書において意図される。例えば、ある実施形態においては、モノマー混合物は1つの容器内の単純な物理的混合物として提供される。ある実施形態においては、モノマー混合物は、2以上の異なる容器内の、モノマーの混合物2つ以上(これらは互いに同じであってよく、または互いに異なっていてもよい)として提供される。
【0028】
水性ポリマー分散物をその最低造膜温度MFT(場合によっては、「MFFT」とも称される)によって特徴づけることが場合によっては有用である。MFTは、例えば、ASTM方法D2354−98によって測定されうる。水性ポリマー分散物が乾燥させられる場合には、膜を形成する乾燥ポリマーに必要なその最低温度がMFTである。本発明の実施においては、添加される膨潤剤、添加される金属カチオンおよび他の添加剤の非存在下で、水性ポリマー分散物を特徴付けるのが有用である。一般に、本発明の水性ポリマー分散物は任意のMFTを有することができ;本発明の実施者は所望の用途に好適なMFTを有する水性ポリマー分散物を容易に選択することができる。好ましくは、水性ポリマー分散物は40℃以上;より好ましくは60℃以上のMFTを有する。好ましくは、独立して、水性ポリマー分散物は100℃以下;より好ましくは80℃以下のMFTを有する。
【0029】
本発明のポリマーをそのガラス転移温度(Tg)によって特徴づけることが有用であり、ガラス転移温度は、添加される膨潤剤、添加される金属カチオンおよび他の添加剤の非存在下での示差走査熱量測定によって測定される。好ましくは、ポリマーのTgは35℃以上;より好ましくは40℃以上である。独立して、好ましくは、ポリマーのTgは100℃以下であり;より好ましくは95℃以下である。
【0030】
好ましくは本発明の組成物中のポリマーの量は、組成物の全重量を基準にした乾燥ポリマー重量で30%以上;好ましくは35%以上である。独立して、好ましくは本発明の組成物中のポリマーの量は、組成物の全重量を基準にした乾燥ポリマー重量で50%以下;より好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
【0031】
本発明の実施は少なくとも1種の膨潤剤の使用を伴う。本明細書において使用される場合、「膨潤剤」はポリマーの柔軟性を増大させる様にそのポリマーと相互作用する化合物である。好ましくは、膨潤剤は有機化合物である。
【0032】
対象の化合物が特定の水性ポリマー分散物に対する膨潤剤として好適であるかどうかを試験することは、その対象の化合物の存在下および非存在下でその水性ポリマー分散物のMFT(本明細書において、上述のように定義される)を測定することである。すなわち、水性ポリマー分散物自体のMFTが測定される。また、対象の化合物が水性ポリマー分散物と混合され、その混合物のMFTが測定される。その混合物のMFTが水性ポリマー分散物自体のMFTよりも低い場合には、対象の化合物は本発明の膨潤剤として適する。
【0033】
好ましい膨潤剤は溶媒、可塑剤、造膜助剤およびこれらの混合物である。好ましくは、膨潤剤は1種以上の可塑剤、1種以上の造膜助剤またはこれらの混合物を含む。
【0034】
好ましい膨潤剤には、アルコール、エーテル化合物、カルボン酸エステル、リン酸エステル、アミドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
好ましいアルコールは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールである。より好ましいアルコールはイソプロパノール、ブタノール、2−エチルへキサノールおよびパインオイル(pine oil)である。
【0036】
好ましいエーテル化合物はエーテルアルコール;モノアルキレングリコールのアルキルエーテル、モノアルキレングリコールの芳香族エーテル、多アルキレングリコールのアルキルエーテル、多アルキレングリコールの芳香族エーテル;およびアルコキシド化合物である。本明細書において使用される場合、「多−」とは「ジ−」、または「トリ−」またはそれより多いことを意味し;アルキレングリコールとは、2または3またはそれより多い炭素原子を有するグリコールを意味し;アルキルエーテルの場合には、アルキル基は1、2またはそれより多い炭素原子を有する。好ましい多アルキレングリコールのアルキルエーテルはジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルおよびこれらの混合物である。少なくとも1つのエーテル結合および少なくとも1つのヒドロキシル基を含む化合物である、好ましいエーテルアルコールは2−ブトキシエタノールおよびブチルカルビトールである。
【0037】
アルコキシド化合物は式(I)で表される式を有する:
【化1】

式中、各−A−は
【化2】

であり、各−D−は
【化3】

である。
式(I)においては、AおよびD部分は式(I)に示されるように2つのブロックとして配置されることができ、またはそれらは別の配置、例えば、R−O−の隣にDを有するブロック、複数のブロック、ランダム分布または交互などを有することができる。式(I)においては、xは0.5〜500の範囲内の実数であり、yは0〜500の範囲内の実数である。また、式(I)においては、Rは水素もしくは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、または1〜20個の炭素原子を有する2種以上の炭化水素基の混合物である。各炭化水素基は線状脂肪族、環式脂肪族、芳香族またはこれらの組み合わせであることができる。
【0038】
カルボン酸エステルは少なくとも1つのエステル結合を含む化合物である。本明細書において使用される場合、「モノヒドロキシル」化合物は単一のヒドロキシル基を有する化合物である。本明細書において使用される場合、「ポリオール」は2以上のヒドロキシル基を有する化合物である。本明細書において使用される場合、「モノカルボン酸」は単一のカルボン酸基を有する化合物である。本明細書において使用される場合、「多カルボン酸」は2以上のカルボン酸基を有する化合物である。
【0039】
好ましいカルボン酸エステルはモノヒドロキシ化合物とモノカルボン酸のエステル;モノヒドロキシル化合物と多カルボン酸のモノエステルおよびジエステル;グリコールとモノカルボン酸とのアルキルモノエステルおよびジエステル、グリコールとモノカルボン酸との芳香族モノエステルおよびジエステル;アルキルポリオールとモノカルボン酸とのモノエステル、ジエステルおよびより高次のエステルである。
【0040】
好ましいモノカルボン酸には、例えば、芳香族モノカルボン酸(例えば、安息香酸)および脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。好ましい脂肪族モノカルボン酸は3〜8個の炭素原子を有するアルキルモノカルボン酸である。好ましいモノヒドロキシル化合物は3〜13個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基を有するモノヒドロキシルアルキル化合物である。好ましい多カルボン酸は芳香族多カルボン酸(例えば、フタル酸およびトリメリット酸など)並びに脂肪族多カルボン酸である。好ましい脂肪族多カルボン酸はシュウ酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸およびピメリン酸である。好ましいアルキルポリオールは4以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上の炭素原子を有するものである。
【0041】
好ましいエステルはイソオクタンジオールのモノアルキルエステル、イソオクタンジオールのジアルキルエステル、ブタンジオールのモノアルキルエステル、ブタンジオールのジアルキルエステル、およびこれらの混合物である。好ましいイソオクタンジオールのモノアルキルエステルは1,3−ペンタンジオール2,2,4,−トリメチルモノイソブチラートである。
【0042】
膨潤剤として好適な好ましいリン酸エステルはリン酸トリアルキル(例えば、リン酸トリ−2−エチルヘキシルなど)、リン酸トリアリール(例えば、リン酸トリクレシルなど)および混合アルキル/アリールホスファート(例えば、リン酸2−エチルヘキシルジフェニルなど)である。
【0043】
好ましいアミド膨潤剤はカプロラクタムである。
【0044】
好ましい膨潤剤の混合物も好ましい。
【0045】
本発明の実施において使用される膨潤剤の量は、モノマー混合物の重量と比較した膨潤剤の重量で特徴づけられうる。100重量部のモノマー混合物に対して、膨潤剤の好ましい量は1重量部以上、より好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部以上、より好ましくは4重量部以上である。独立して、100重量部のモノマー混合物に対して、膨潤剤の好ましい量は10重量部以下、より好ましくは7重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
【0046】
水性ポリマー分散物の形成後に、1種以上の界面活性剤が組成物に添加される。本明細書においは、このような界面活性剤は「補助界面活性剤(cosurfactant)」と称される。補助界面活性剤は、存在する場合には、水性ポリマー分散物の製造に使用されることができるあらゆる界面活性剤に加えて存在する。
【0047】
補助界面活性剤は好ましくは水性ポリマー分散物の凝固または他の劣化を回避するように水性ポリマー分散物と適合性である様に選択される。補助界面活性剤はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤またはこれらの混合物である。好ましい非イオン性界面活性剤はアルコキシラート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、並びにこれらの混合物である。好ましいアルコキシラートはエトキシラートであり、これは下記の構造:
【化4】

を有し、式中、R−は脂肪族基、芳香族基、脂肪族置換芳香族基、芳香族置換脂肪族基、またはこれらの混合物であり;並びに、xは5〜200である。好ましくは、R−はアルキルであり、もしくはアルキル置換ベンゼンである。R−がアルキル−置換ベンゼンである場合には、R−は構造R−R−を有し、式中、Rは線状アルキル基であり、Rは芳香環である。Rがアルキル置換ベンゼンである1つの好ましい補助界面活性剤はオクチルフェノールエトキシラートである。R−がアルキル基である場合には、R−は末端炭素もしくは別の炭素において酸素原子と結合されていて良い。Rがアルキル基である1つの好ましい補助界面活性剤はラウリルアルコールエトキシラートである。好適な補助界面活性剤の混合物が好適である。
【0048】
補助界面活性剤の量はモノマー混合物の重量と比較した補助界面活性剤の固形分重量で特徴づけられうる。100重量部のモノマー混合物に対して、補助界面活性剤の好ましい量は0.1部以上;より好ましくは0.2部以上;より好ましくは0.5部以上;より好ましくは1部以上である。独立して、補助界面活性剤の量は好ましくは10部以下;より好ましくは8部以下;より好ましくは5部以下である。
【0049】
本発明の実施において、少なくとも1種の膨潤剤および少なくとも1種の補助界面活性剤が水性ポリマー分散物と混合され、得られたものは本明細書においては「予備混合物」と称される。
【0050】
予備混合物は多価金属カチオンをほとんどないまたは全くない量しか含まない。本明細書において使用される場合、多価金属カチオン(または、多価金属カチオンの混合物)の「ほとんどないまたは全くない量」とは、その多価金属カチオンの当量(または、この混合物中の多価金属カチオンの全当量)の割合がゼロであるか、またはゼロでない場合には0〜0.1であることを意味する。好ましくは、予備混合物中の多価金属カチオンの当量の、予備混合物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合はゼロであるか、または0〜0.03であり;より好ましくは、ゼロまたは0〜0.01である。
【0051】
予備混合物は任意の方法によって製造されうる。好ましくは、水性ポリマー分散物は7未満のpHで製造され保持され、並びに予備混合物はpHを7未満に維持しつつ製造される。好ましくは、水性ポリマー分散物は18℃〜60℃の範囲の温度にされ、温度をその範囲に維持しつつ、より好ましくは温度範囲が18℃〜50℃で予備混合物が製造される。
【0052】
好ましくは、膨潤剤の幾分かまたは全てが水とおよび補助界面活性剤の幾分かもしくは全てと混合されて、水性エマルションを形成し、次いで、その水性エマルションが水性ポリマー分散物に添加される。好ましくは、水性ポリマー分散物へのその水性エマルションの添加は一定速度で、短くて10分または長くて1時間の期間にわたって行われる。好ましくは、予備混合物が製造された後では、20分間以上の期間にわたって、予備混合物にさらなる成分は添加されない。
【0053】
本発明の実施において、予備混合物の形成の後で、予備混合物がカルシウムカチオンおよびマグネシウムカチオンの少なくとも1種と混合されて、後混合物を形成する。本発明の組成物はこの後混合物と、場合によっては他の成分とを含む。カルシウムカチオンが好ましい。
【0054】
本明細書において使用される場合、語句「カルシウムカチオンおよびマグネシウムカチオンの当量」とは、組成物がカルシウムイオンを単独で含むか、マグネシウムカチオンを単独で含むか、またはカルシウムカチオンとマグネシウムカチオンとの混合物を含むかにかかわらず、カルシウムカチオンの当量の合計+マグネシウムカチオンの当量の合計を意味する。
【0055】
本発明の組成物においては、組成物中に存在するカルシウムカチオンおよびマグネシウムカチオンの、カルボキシル基(アニオン性カルボキシラート基および中性カルボキシル基の双方を含む)の当量に対する割合は0.4以上である。好ましくは、この割合は0.5以上である。独立して、好ましくは、この割合は1.2以下、または1.0以下、または0.9以下である。
【0056】
好ましくは、本発明の組成物は亜鉛カチオンをほとんどないまたは全くない量(本明細書において上述したとおり)しか含まない。好ましくは、本発明の組成物は、本発明において使用されるカルシウムおよびマグネシウム以外の多価金属カチオンをほとんどないまたは全くない量でしか含まない。好ましくは、本発明の組成物中の亜鉛カチオンの当量の、本発明の組成物中のカルボン酸基の当量に対する割合はゼロであるか、または0〜0.03であり;好ましくはその割合はゼロであるか、または0〜0.01である。好ましくは、本発明の組成物中のカルシウムおよびマグネシウム以外の多価カチオンの当量の、本発明の組成物中のカルボン酸基の当量に対する割合はゼロであるか、または0〜0.03であり;好ましくはその割合はゼロであるか、または0〜0.01である。
【0057】
本発明の組成物において好ましいものとして本明細書に上述される、カルシウムおよびマグネシウム以外の多価金属カチオンの量、並びに亜鉛カチオンの量は、工程(a)の完了から本発明の方法の完了までの本発明の方法の操作中の各時点でも好ましい。
【0058】
ある実施形態においては、本発明の組成物はアルカリ金属の塩基性塩の1種以上も含む。アルカリ金属の塩基性塩には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよびこれらの混合物が挙げられる。アルカリ金属の塩基性塩の1種以上が使用されるある実施形態においては、組成物中の多価金属カチオンのアルカリ金属に対するモル比は0.1〜10である。ある実施形態においては、少量のアルカリ金属が組成物中に存在し;そのような実施形態においては、組成物中のアルカリ金属の、多価金属カチオンに対するモル比は0.02以下;または0.01以下;または0.005以下である。ある実施形態においては、アルカリ金属の塩基性塩は使用されない。
【0059】
本発明は特定のメカニズムまたは理論に限定されないが、多価金属カチオンおよびカルボン酸官能基はポリマーの架橋の効果を提供する方法で相互作用することができることが意図される。架橋の効果は、例えば、組成物の乾燥層に対する1以上の所望の特性、例えば、硬度、耐久性、他の有用な特性またはこれらの組み合わせなどを提供することができる。
【0060】
本発明の組成物は様々な目的のために有用である。例えば、本発明の組成物は1種以上のアジュバントとさらに混合されることができ、得られた組成物はコーティングとしての使用に好適である場合があり、コーティング材料と称される。好ましくは、本発明の組成物とさらなる成分とを含むコーティング材料は床をコーティングするのに好適である。このようなコーティング材料は本明細書においては「フロアポリッシュ」と称される。フロアポリッシュは1種以上のアジュバントを含み;フロアポリッシュにおける一般的なアジュバントには、例えば、ワックスエマルション、アルカリ可溶性樹脂、湿潤剤、乳化剤、分散剤、脱泡剤、レベリング剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
本発明の組成物をフロアポリッシュと区別することが有用である。本発明の組成物はフロアポリッシュの成分として有用であるが、本発明の組成物はそれ自体は好ましくはフロアポリッシュとして有用ではない。好ましくは、本発明の組成物は40℃以上、より好ましくは50℃以上のMFTを有する。独立して、好ましくは、本発明の組成物は100℃以下;より好ましくは95℃以下のMFTを有する。独立して、好ましくは、本発明の組成物はワックスを含まないか、またはそうでなければポリマー固形分の重量を基準にして1重量%以下の量でワックスを含む。より好ましくは、本発明の組成物はワックスを含まない。
【0062】
独立して、好ましくは本発明の組成物はホスファートレベリング剤を含まないか、またはそうでなければポリマー固形分の重量を基準にして固形分ホスファートレベリング剤1重量%以下の量でホスファートレベリング剤を含む。より好ましくは本発明の組成物はホスファートレベリング剤を含まない。より好ましくは、本発明の組成物はレベリング剤を含まない。
【0063】
本発明の組成物は好ましくは、組成物中に含まれるとして本明細書において上述して具体的に示された物質およびポリマーの重合を達成するのに使用された物質以外の、本明細書において上述のフロアポリッシュアジュバントを含まない。
【実施例】
【0064】
略語:
【表1】

Tx=テキサノール(TEXANOL商標)エステルアルコール、1,3−ペンタンジオール2,2,4−トリメチル−モノイソブチラート(イーストマンケミカルより)。
S1=リポコール(Lipocol商標)LA−23界面活性剤、エトキシ化(23モルエチレンオキシド)ラウリルアルコール(トーンレイ(Thornley)カンパニーより)。
S2=ソルコウェット(Thorcowet商標)TDA−40界面活性剤、40モルのエチレンオキシドを有するイソトリデシルアルコールC13(トーンレイカンパニーより)。
【0065】
実施例1:ラテックスポリマーの製造
水性乳化重合の標準的な技術を使用してポリマーを製造するために、以下のモノマー混合物が使用された。それぞれの重合の結果は7未満のpHの水中でのポリマー粒子の分散物である。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例2:予備混合物の製造
ポリマー粒子の分散物は膨潤剤および補助界面活性剤と次のように混合された。補助界面活性剤および膨潤剤は、水性エマルションが形成されるまで振とうまたは攪拌で一緒にされた。膨潤剤が使用されなかった場合には、固形分が22〜24%になるように補助界面活性剤が水で希釈された。補助界面活性剤が使用されなかった場合には、膨潤剤はさらなる希釈をすることなく添加された。全ての例において、重合の終わりに水性ポリマー分散物は50℃であった。水性ポリマー分散物は39℃に冷却され、次いで予備混合物は一定の速度で30分間にわたって徐々に添加され、次いで20分間保持された。
【0068】
実施例3:後混合物の製造
CaまたはMgカチオンが次のように添加された。得られたポリマー粒子の分散物は水性アンモニアで20分間にわたって39℃でpH7.5〜8.0に中和された。次いで、ポリマーはカルシウムもしくはマグネシウムの添加前にさらに20分間保持された。水酸化カルシウムまたは酸化マグネシウムの30%スラリーが2%分散剤の添加を伴って調製された。このスラリーは、次いで、ポリマーに30〜60分間にわたって39℃でゆっくりと添加され、次いで、さらに60分間温度を保持した。
【0069】
実施例4:実施例混合物およびその評価
実施例1、2および3に記載された方法を用いて、以下の実施例混合物が製造され評価された。
実施例3から得られたポリマーは、次いで、周囲温度(20℃〜25℃)に冷却され、各混合物の一部分がメッシュ番号100(開口サイズ150マイクロメートル)のスクリーンを通された。スクリーン上に捕捉された物質の量が乾燥させられ、測定されて、ppm(スクリーンを通して注がれた組成物の湿潤重量を基準にした重量での100万あたりの部)で報告された。100メッシュスクリーンを通過した液体はついでメッシュサイズ325(開口サイズ45マイクロメートル)のスクリーンを通され、このスクリーン上に捕捉された物質が乾燥させられ、測定された。スクリーン上に捕捉された物質は本明細書において「ゲル」と称される。
【0070】
それぞれの混合物は周囲温度(20℃〜25℃)で最低限7日間静置させた。次いで、この混合物は沈殿物の量について目視で評価された。沈殿物は「neg」(無視できる)、「mod」(中程度)、「m/h」(中程度から重度)、または「hvy」(重度)と評価された。
例番号において「C」が付いたサンプルは比較例である。結果は次の通りであった。
【0071】
【表3】

【0072】
注1:カチオンの当量の、カルボン酸基の当量に対する割合。
注2:全ての膨潤剤は、モノマー混合物の重量を基準にして4重量%で使用された。
注3:モノマー混合物の重量を基準にした固形分補助界面活性剤の重量による。
【0073】
本発明の実施例は全て許容可能な沈殿物およびゲルしか有さなかった。比較例は全て許容できない沈殿物を有しており、いくつかの比較例は許容できないゲルも有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性組成物を製造する方法であって、当該方法が
(a)第一に、モノマー混合物の重量を基準にして5〜50重量%の1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含むモノマー混合物を重合することを含むプロセスによって、少なくとも1種の水性ポリマー分散物を形成し;
(b)第二に、(i)前記モノマー混合物の100重量部を基準にして1〜10重量部の少なくとも1種の膨潤剤;および(ii)非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤またはこれらの混合物の1種以上;を含む成分を前記水性ポリマー分散物に添加し;並びに、
(c)第三に、カルシウムカチオンもしくはマグネシウムカチオンまたはこれらの混合物を前記水性ポリマー分散物に添加すること;を含み、
前記工程(b)の完了後でかつ前記工程(c)の開始前に、前記予備混合物中の全ての多価金属カチオンの当量の、前記予備混合物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合がゼロであるかもしくは0〜0.1であり;
前記工程(c)の完了後に、前記組成物中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの当量の、前記組成物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合が0.4以上であり;並びに
前記工程(c)の完了後に、カルシウムおよびマグネシウム以外の全ての多価金属カチオンの当量の、前記組成物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合がゼロであるか、もしくは0〜0.1である;
水性組成物を製造する方法。
【請求項2】
前記モノマー混合物が、前記モノマー混合物の重量を基準にして7〜18重量%の1種以上のカルボン酸官能性モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの当量の、前記組成物中のカルボン酸官能基の当量に対する割合が0.55以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記膨潤剤が、可塑剤および造膜助剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(a)の終わりにおいて、前記水性ポリマー分散物のpHが7未満であり、前記工程(b)中に前記pHは7未満のままであり、並びに前記工程(c)を行う前に前記pHが7を超える値に上昇させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(b)中の前記水性ポリマー分散物の温度が60℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記膨潤剤と前記非イオン性界面活性剤との水性エマルションを前記水性ポリマー分散物に添加することを含むプロセスによって前記工程(b)が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記膨潤剤と前記非イオン性界面活性剤との前記水性エマルションを前記水性ポリマー分散物に添加することが、10〜60分間にわたって、一定の添加速度で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物中のポリマー固形分の量が、前記組成物の全重量を基準にして30重量%〜45重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法によって製造される水性組成物。

【公開番号】特開2011−252141(P2011−252141A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−26963(P2011−26963)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】