説明

多元素系無機ケイ素含有材料を合成するためのケイ素前駆体およびその合成方法

【課題】ケイ素を含む多元素系無機化合物を製造する際に有用な水溶性ケイ素前駆体の製造方法、並びに多元素系無機化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのケイ素前駆体を含む、実質的にハロゲンを含まない、多元素系水溶性前駆体溶液を与えることと、このケイ素前駆体に熱プラズマ、火炎噴霧、ホットウォールリアクタまたは噴霧熱分解システムから選択される、熱源をあてて多元素系ケイ素材料を作成することとを含む、ケイ素材料を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケイ素を含む多元素系無機化合物を製造する際に有用な水溶性ケイ素前駆体に関し、さらに、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化ケイ素材料のようなケイ素系材料は、固相経路および燃焼経路を経るのと同様に、いくつかの異なる湿式化学を経て製造することができる。これらのプロセスにおける現時点での目的としては、例えば、最終生成物の化学量論を制御しつつ、有機混入物質を減らすこと、結晶構造の欠陥を減らすこと、純度を高めることが挙げられる。これらのいずれかを高めることによって、種々の用途にとって望ましいケイ素含有材料の特性(例えば、リン光ホストまたはシンチレーターとして使用する場合の特性)を高めてもよい。
【0003】
熱プラズマによるエアロゾル法、または気相合成法、火炎噴霧熱分解法、噴霧熱分解法、および同様の性質を有する他のプロセスのような、熱化学非平衡流による合成方法は、混入物質を減らし、粒子形状および粒径の制御性を高める場合があるため、有望である。また、これらのプロセスは、湿式合成がバッチ処理であるという性質と比較して、連続製造に非常に適している。しかし、現行の熱化学非平衡流による合成方法では、使用時の前駆体は、最も一般的には蒸気相に導入され(時には固相を用いることもある)、複雑な多元素系化合物のためにケイ素元素と他の元素の量論比を制御することは不可能ではないがきわめて困難であるため、化学量論を制御した任意の多元素系ケイ素含有材料を実際に製造可能なものはない。さらに、これらの前駆体は、非常に危険性が高いことが多い(シランのように)。また、現行の熱化学非平衡流による合成方法に、液体の前駆体も用いられるが、本願発明者らは、これらの方法によって多元素系ケイ素含有材料を製造する際に、液体の前駆体を用いることは知らない。
【0004】
さらに、機能性ケイ素含有材料を得るために、酸化ケイ素材料と有機分子とのハイブリッドを形成させてもよい。しかし、ハイブリッドの形成は、酸化ケイ素材料が大きな三次元および/または二次元の分子構造を有しているために、いかなる溶媒にも溶解しないため、固相反応によって行われている。この問題に対応して、非特許文献1に示されているように、酸性溶液または塩基性溶液中、アルキルオキシシランのゾル−ゲル反応によって、水溶性の酸化ケイ素材料を合成している場合もある。しかし、強酸性溶液または強塩基性溶液の使用は、合成装置に悪影響を与える場合があり、また、得られたケイ素含有材料は、無機多元素系ケイ素材料とは似ていないハイブリッドを形成した有機材料であり、さらに、記載されているプロセスは、二元素系の酸化ケイ素含有材料の製造のみを述べている。非特許文献2では、無機多元素系ケイ素含有材料は、特別に調製された水溶性ケイ素前駆体を用いて得られる。しかし、この溶液は、酸性溶液を用いるだけではなく、熱処理の前に、ゾル−ゲル方法と同じように、複雑なキレート化およびポリエステル化を受ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kanekoら、J.Mater.Res.、20(8):2199−2204(2005)
【非特許文献2】Suzukiら、J.Ceram.Soc.of Japan 117(3):330−334(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、多元素系ケイ素含有材料を作成するための良好な前駆体が必要とされている。したがって、一般的な溶媒に安定に溶解し、より特定的には水に安定に溶解する、可溶性のケイ素前駆体系を特定し、用いることは、複雑な多元素系ケイ素含有材料を製造するのにきわめて有益であることは明らかであろう。また、熱化学的な製造が行われている間ずっと、化学量論を良好に制御し、一定の材料を合成するための水溶性ケイ素前駆体も必要とされている。それに加え、多くの水溶性ケイ素前駆体は、シラノールのアルカリ塩(Na、Liなど)で構成されており、これらの物質は、アルカリ原子で構成されていない任意の生成物の前駆体としては不適切な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1に示されるように、ある実施形態は、(i)少なくとも1つのケイ素含有前駆体を含み、それら自身が溶媒に可溶性であるような、可溶性前駆体を選択し;少なくとも1つのケイ素含有前駆体を溶媒に溶解することによって、前駆体溶液を作成することと;(ii)この前駆体溶液に熱を加え、無機多元素系ケイ素材料を作成することとを含む、ケイ素材料を製造する方法を提供する。
【0008】
ある実施形態では、可溶性前駆体は、ケイ素材料の最終製品で望ましい他の元素のさらなる前駆体を含む。
【0009】
本発明の態様および関連技術を超える利点をまとめる目的で、本発明の特定の目的および利点を本開示で記載している。もちろん、本発明の任意の特定の実施形態にしたがって、このような目的または利点がすべて達成される必要はないことを理解されるべきである。したがって、例えば、当業者は、本発明が、本明細書に教示されるか、また示唆されているような他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書に教示されているような1つの利点または一連の利点を達成するか、または最適化するような様式で具体化されてもよく、または実施されてもよいことを認識するであろう。
【0010】
本発明のさらなる態様、特徴、利点は、以下の詳細な記載から明らかになるだろう。
【0011】
本発明のこれらの特徴および他の特徴を、好ましい実施形態の図面を参照して記載し、これらの実施形態は、本発明を説明するものであり、本発明を限定することを意図していない。図面は、説明の目的で単純化されており、必ずしも縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本明細書に開示されるケイ素材料を調製する方法の例示的な実施形態を示す。
【0013】
【図2】図2は、本方法のいくつかの実施形態の模式図を示す。
【0014】
【図3】図3は、実施例1で得られた材料のXRD分析の図である。
【0015】
【図4】図4は、実施例2で得られた材料のXRD分析の図である。
【0016】
【図5】図5は、実施例3で得られた材料のXRD分析の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ある実施形態では、本発明は、二元素系の非酸化物ケイ素材料と多元素系ケイ素材料とを含む多元素系ケイ素材料を製造する方法を提供し、この方法は、少なくとも1つのケイ素含有前駆体を含み、それら自身が溶媒に可溶性であるような、可溶性前駆体を選択し;少なくとも1つのケイ素含有前駆体を溶媒に溶解することによって、前駆体溶液を作成することと;この前駆体溶液に熱を加え、無機多元素系ケイ素材料を作成することとを含む。
【0018】
用語「二元素系の非酸化物」は、2種類の異なる原子を含み、この2種類の異なる原子に酸素が含まれない化合物を指す。
【0019】
用語「多元素系」は、少なくとも3種類の異なる原子を指す。
【0020】
用語「水溶性」または「水に可溶性」は、所与の量の溶質(例えば、前駆体)を溶解するのに必要な水の量を指す。一実施形態では、水溶性との用語は、非常によく溶ける材料、自由に溶ける材料、可溶性の材料を含む。用語「非常によく溶ける」は、1g未満の溶媒に、少なくとも1gの溶質が溶けるような溶解度を指す。用語「自由に溶ける」は、溶媒1g〜10gに、溶質が少なくとも1g溶けるような溶解度を指す。用語「可溶性」は、溶媒約10〜約30gに溶質が少なくとも1g溶けるような溶解度を指す。米国薬局方、USP26、NF21(2003)を参照。溶解度および分散度は、周囲条件(例えば、温度が約25度、周囲圧力)で決定される。
【0021】
用語「それら自身が水に可溶性」または「それ自身が水に可溶性」は、溶解度を高めるための化学修飾または付加を行うことなく、水に可溶性の化合物を指す。
【0022】
ある実施形態では、前駆体溶液は、少なくとも1つのケイ素前駆体と溶媒とを含む。一実施形態では、ケイ素前駆体は、有機シランである。他の実施形態では、有機シランは、限定されないが、3−アミノプロピルシラントリオール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルイソプロポキシシラン、テトラメチルアンモニウムシリケート、水溶性POSS(PEG−POSSおよびOctaAmmonium POSSを含む)、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、ナトリウムメチルシリコネート、メタケイ酸ナトリウム、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホン酸ナトリウムから選択される少なくとも1つであってもよい。ある実施形態では、ケイ素前駆体は、本質的に有機シランからなる。
【0023】
ある実施形態では、前駆体溶液は、場合により、最終製品で望ましい他の元素の前駆体を含む。ある実施形態では、任意要素の前駆体は、ケイ素前駆体中には存在しないが、望ましい最終製品中に存在する原子を含む。非限定的な例では、望ましい最終製品が、セリウムおよびマンガンが一緒にドープされたLuCaAlSiO12である場合、Lu(NO・xHO、Ca(NO・4HO、Al(NO・6HO、Mn(NO・6HO(Alfa Aeser、99.98%)、Ce(NO・6HOが、例えば、3−アミノプロピルシラントリオールとともに存在していてもよい。さらに、最終生成物によっては、Mn(NO・6HO、Eu(NO・5HO、Y(NO・6HO、Gd(NO・6HOおよび他の金属硝酸塩の水和物を用いてもよい。La、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Hoなどが、硝酸塩の水和物の形態で利用可能である。さらに、限定されないが、酢酸水和物、アセチルアセトナト水和物、臭化物水和物、炭酸塩水和物、塩化物六水和物、塩化物水和物、水酸化物水和物、シュウ酸塩水和物、硫酸八水和物などを含む、これらの元素の任意の適切な可溶性形態を用いてもよい。前駆体の溶媒は、任意の溶媒であってもよく、限定されないが、水、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、ペンタン、ヘキサン、エチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。ある実施形態では、溶媒は、水である。一実施形態では、前駆体溶液は、単一相である。別の実施形態では、水溶性ケイ素前駆体との用語には、前駆体材料と水とを含む懸濁物またはエマルションは含まれない。
【0024】
一実施形態では、前駆体溶液は、pH約5.0〜約9.0である。別の実施形態では、前駆体溶液は、pH約6.0〜約8.0である。別の実施形態では、前駆体溶液は、pH約6.5〜約7.5である。
【0025】
別の実施形態では、前駆体溶液は、安定化化合物を含む。安定化化合物は、この化合物がわずかに塩基性であるか、またはわずかに酸性である場合に有用である。ある実施形態では、安定化化合物は、わずかに塩基性の化合物から選択されてもよい。ある実施形態では、安定化化合物は、アンモニウム化合物から選択される。ある実施形態では、安定化化合物は、限定されないが、尿素、水酸化アンモニウム、カルボヒドラジドから選択される。
【0026】
別の実施形態では、前駆体溶液は、実質的にハロゲンを含まない。一実施形態では、適切な前駆体溶液は、ハロゲン化物を痕跡量しか含まない。
【0027】
ある実施形態では、熱源をケイ素含有前駆体溶液にあてて、無機ケイ素材料を形成させる。ある実施形態では、熱源は、流動する熱源である。ある実施形態では、熱源は、静止した熱源である。熱源は、溶媒を蒸発させるのに十分な熱エネルギーを与える。特定の十分な熱エネルギーは、選択したキャリア溶媒によって変わる。例えば、与えられる熱エネルギーは、前駆体溶液の温度を溶液の沸点より高く上げるのに十分である。ある実施形態では、適切な流動する熱源は、プラズマ、火炎噴霧、ホットウォールリアクタまたは噴霧熱分解システムから選択される。流動する熱源は、前駆体溶液(例えば、エアロゾル)の分散物を含有する流体(ほとんどの場合、空気、反応性気体、不活性気体または気体混合物であってもよい、周囲にある気体)が、かなり大きな(例えば、1m/sより大きい)見かけ流速を有しているような、前駆体溶液に熱を加える任意の熱エネルギー源である。一実施形態では、プラズマは、熱プラズマである。ある実施形態では、プラズマは、RFによって誘導結合した熱プラズマである。流動する熱源の温度は、さまざまであってもよい。例えば、反応場の温度は、少なくとも約500℃、約800℃または約1000℃〜約10,000℃または約20,000℃の範囲であってもよい。ある実施形態では、反応場の少なくとも一部分が、少なくとも約500℃の温度を有している。
【0028】
ある実施形態では、熱源は、静止した熱源である。ある実施形態では、静止した熱源は、ボックス型の炉およびマッフル炉から選択される。静止した熱源は、前駆体溶液(例えば、エアロゾル)の分散物を含有する作業流体(熱エネルギーを伝えるための媒体であり、ほとんどの場合、空気、反応性気体、不活性気体または気体混合物であってもよい、周囲にある気体)が、実質的にゼロの見かけ流速を有している(すなわち、静止している)ような、前駆体溶液に熱を加える任意の熱エネルギー源である。このような熱処理の温度範囲は、約100℃〜約1000℃、または約250℃〜約500℃であってもよい。
【0029】
ある実施形態では、前駆体溶液は、ケイ素原子、水素原子、窒素原子、炭素原子、酸素原子を含むか、またはこれらの原子から本質的になる。ある実施形態では、前駆体溶液は、ケイ素原子、水素原子、窒素原子、炭素原子、酸素原子、および最終生成物に含まれる任意の他の元素を含む。ある実施形態では、前駆体溶液は、例えば、金属硝酸塩水和物を多元素系化合物として用いる場合には、pHを中和するためのpH調整剤またはpH中和剤に加え、最終生成物の化学量論比になるように量が制御された水溶性化合物を含む。
【0030】
ある実施形態では、多元素系ケイ素材料を製造する方法は、(i)水を溶媒として用い、標的となる多元素系ケイ素材料に含まれる多元素について化学量論を制御した水溶液を与え、この水溶液が、水に溶解させる以外の化学変化を起こさずに、それ自体が水に可溶性の少なくとも1つのケイ素前駆体化合物を含む水可溶性前駆体で構成されることと;(ii)この水溶液を加熱し、ゲルを生成せずに溶媒を除去し、残った溶質から有機物を除去し、それにより、標的となる多元素系ケイ素材料を得ることとを含む。ある実施形態では、この方法は、ゾル−ゲルプロセス、重合またはハイブリッド形成を行うことなく実施することができる。この化合物を溶媒に加えたら、そのほとんどが溶解してもよく、実質的にすぐに溶解してもよく、または他の反応または処理を行うことなく溶解してもよい。ある実施形態では、前駆体溶液の粘度は、化合物を溶解させている間、または時間経過に伴って実質的に変わらず、前駆体溶液は、ゲルではなく、溶液の形態のままである。この水溶液において、反応はほとんど起こらないか、実質的にまったく起こらない場合があり、最終生成物の化学量論比は、前駆体溶液のまま固定することができる。上述の観点から、化学量論の制御は、液滴(それぞれのマイクロメートルまたはナノメートルサイズの液滴が、同一の成分を有している)が生成した場合であっても、有効に行うことができる。
【0031】
ある実施形態では、水溶液を加熱して溶媒を除去し、変換反応を行って、セラミック材料を製造する。さらに加熱すると、特に、窒素条件または酸素条件で加熱すると、有機材料が分解することがある。ある実施形態では、最終的な望ましい相を作り出すために、アニーリングを行ってもよい。
【0032】
ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製される組成物を含む。ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製される粒子組成物を含む。ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製されるナノ粒子組成物を含む。ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製されるフィルムを含む。ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製される多孔性凝集組成物を含む。ある実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている任意の方法で調製されるドープされたシリケートを含む。ある実施形態では、ドープされたシリケートは、ガーネット構造を有している。ある実施形態では、シリケートガーネットは、セリウムでドープされている。ある実施形態では、シリケートガーネットは、ユーロピウムでドープされている。ある実施形態では、シリケートガーネットは、セリウムおよびマンガンで一緒にドープされている。
【0033】
上述の前駆体溶液を、キャリアガスに懸濁させ、エアロゾルを得てもよい。エアロゾルは、前駆体溶液の複数の液滴を気体に懸濁させた任意の懸濁物を含んでいてもよい。エアロゾルは、熱を加える前に与えられてもよい。個々の液滴の大きさはさまざまであってもよい。ある実施形態では、複数個の液滴の約95%が、機械的に、約20nm〜約200μm、約100nmから約120μm、または約2μm〜約120μmの範囲の直径を有している。キャリアガスは、前駆体溶液を懸濁させるのに適した任意の気体であってもよい。ある実施形態では、キャリアガスは、不活性であってもよく、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、またはこれらの組み合わせのようなその他の非反応性ガスであってもよく、キャリアガスは、ナノ粒子前駆体、溶媒、または膨張性成分と反応しない。ある実施形態では、キャリアガスは、O、NH、空気、H、アルカン、アルケン、アルキンなどのような反応性ガスを含んでいてもよく、最終生成物組成物を得る反応に関与してもよい。ある実施形態では、キャリアガスは、少なくとも1種類の反応性ガスと、少なくとも1種類の不活性ガスとを含む混合物であってもよい。ある実施形態では、キャリアガスは、窒素、アルゴンまたは水素である。ある実施形態では、キャリアガスは、アルゴンを含む。
【0034】
エアロゾルは、例えば、アトマイザーまたはネブライザーを用いる当該技術分野で任意の既知の手段によって、または単純なノズルによって、前駆体溶液をキャリアガスに懸濁させることによって提供されてもよい。任意の種類のアトマイザーまたはネブライザーを、例えば、二液型、Collison、超音波生成型、エレクトロスプレー、回転円板、フィルター膨張エアロゾル発生機などに用いてもよい。ある実施形態では、エアロゾルを、2液型噴霧によって作成し、流動する熱源(例えば、プラズマ)へと直接放出してもよい。ある実施形態では、リモート型ネブライザーを用い、エアロゾルを作成し、流動する熱源(例えば、プラズマ)へと移動させてもよい。加熱プロセスおよびエアロゾルプロセスの例示的な方法論は、WO2008112710 A1に記載されており、この文献は、本明細書に参考として組み込まれる。ある実施形態では、前駆体溶液およびキャリアガスの流速は、独立している。したがって、例えば、前駆体溶液の流速は、約0.5ml/分〜約1000ml/分、または約5ml/分〜約100ml/分であってもよい。同様に、例えば、キャリアガスの流速は、約0.5slm〜約500slm、または約5slm〜約50slmであってもよい。
【0035】
図2は、プラズマ25に運んでケイ素材料30を得るためのエアロゾルを提供するために使用可能なデバイスの実施形態を示す。前駆体溶液の供給源5を、任意要素の流体ポンプ10で押し出し、エアロゾル移動装置20内でキャリアガス流15に懸濁させてもよく、ここで、キャリアガスと前駆体溶液をあらかじめ混合しておき、前駆体溶液を霧状にするか、または、前駆体溶液を噴霧し、適切なエアロゾルを作成する。いくつかの実施形態では、バルブ35を用い、キャリアガスの流れを制御してもよい。ある実施形態では、キャリアガスの流れを制御すると、前駆体溶液に対するキャリアガスの流れの比率を制御することができる。流量計または圧力ゲージ40を用い、このような流れを正確に制御してもよい。気相プロセスおよびエアロゾルプロセスの例示的な方法論は、WO2008112710 A1に記載されており、この文献は、本明細書に参考として組み込まれる。装置20は、アトマイザーであってもよく、例えば、二液型アトマイザー、ネブライザー、またはエアロゾルを与えることが可能な任意の他の適切な特徴であってもよい。ある実施形態では、前駆体溶液およびキャリアガスの流速は、独立している。したがって、例えば、前駆体溶液の流速は、約0.5ml/分〜約1000ml/分、または約5ml/分〜約100ml/分であってもよい。同様に、例えば、キャリアガスの流速は、約0.5slm〜約500slm、または約5slm〜約50slmであってもよい。
【0036】
一実施形態では、このようにして得られたエアロゾルを、反応ゾーンを有するプラズマ(例えば、図2のプラズマ25)に流す。一実施形態では、エアロゾルが通過している間、反応ゾーンに熱が発生する。任意の熱プラズマを用いてもよい。当業者は、本明細書で以下に開示する考慮事項に基づいて、適切な種類のプラズマデバイスおよびシステム設定を選択してもよい。用語「プラズマ」は、当業者が理解する通常の意味を有する。ある実施形態では、プラズマは、イオン、電子、原子および分子を含む、部分的にイオン化したガスを含む。ある実施形態では、プラズマは、ラジオ周波数(RF)によって誘導結合した熱プラズマ、または直流(DC)熱プラズマであってもよい。クエンチガス流が存在する場合には、トーチ出口で、プラズマトーチ軸に対して種々の角度で注入されてもよい。ある実施形態では、クエンチガス流を、プラズマの熱い反応ゾーンの出口(ガス流が、プラズマの熱い領域を出る点を意味する)で、対称型になるように供給されてもよい。ある実施形態では、クエンチガス流を、プラズマトーチの軸に対して約0°〜約90°の任意の角度で与えてもよい。言い換えると、ある実施形態では、クエンチガス流を、プラズマトーチ軸に対してほぼ直角(したがって、プラズマに対してほぼ直角)に与えてもよく、または、プラズマ流にほぼ対向する向きで与えてもよく、その間の任意の向きで与えてもよい。ある実施形態では、前駆体溶液中で、プラズマによって開始した反応から得られたナノ粒子組成物は、クエンチすることなく得られ、このことは、プラズマの熱い反応ゾーンを出る流れにクエンチガスを与えないことを意味する。ある実施形態では、前駆体溶液中で、プラズマによって開始した反応から得られたフィルム組成物は、適切な基板上でクエンチすることなく得られ、このことは、プラズマの熱い反応ゾーンを出る流れにクエンチガスを与えないことを意味する。
【0037】
プラズマの温度は、さまざまであってもよい。例えば、反応ゾーンの温度は、少なくとも約500℃、約800℃または約1000℃〜約10,000℃または約20,000℃の範囲であってもよい。ある実施形態では、反応場の少なくとも一部分が、少なくとも約1000℃の温度を有している。
【0038】
一実施形態では、エアロゾルが反応ゾーンを通過したら、無機ケイ素材料を、反応ゾーンから出た後に集める。ある実施形態では、エアロゾルがプラズマを通過したら、ナノ粒子は、キャリアガスから分離した有機多元素ケイ素材料として、熱源(例えば、プラズマ)から出る、液滴を加熱したキャリアガスから集められてもよい。ある実施形態では、ナノ粒子中の複数個のナノ粒子組成物の約95%が、機械的に、約10nm〜約10μm、約10nmから約1μm、約10nm〜約500nm、または約10nm〜約100nmの範囲の直径を有している。ある実施形態では、ナノ粒子組成物の比表面積が、約5m/g〜約200m/g、約5m/g〜約100m/g、または約5m/g〜約50m/gの範囲である。ある実施形態では、上述のプロセスによって、クエンチすることなく、上述の範囲の粒径を有するナノ粒子を製造してもよい。ある実施形態では、プラズマの条件によっては、前駆体エアロゾル中の液滴を、完全に蒸気にしてもよく、粒子またはフィルム形成の機構は、蒸気相プロセスにしたがう。別の実施形態では、エアロゾル液滴は、プラズマの条件によっては、1個の液滴で1個の粒子を作成するプロセスを受けてもよい。
【0039】
ナノ粒子をプラズマから集めたら、ある実施形態では、このナノ粒子について、限定されないが、アニーリング工程を含む後処理工程をさらに行ってもよい。アニーリング工程のいくつかの例の詳細は、WO2008/112710、WO/2009/105581、および同時係属中の出願番号第12/388,936号(2009年2月19日出願)および第12/389,177号(2009年2月19日出願)中にみいだされ、これらすべての開示内容は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。また、他の方法は、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載した方法とともに用いてもよい。ある実施形態では、アニーリングは、約500℃以上の任意の温度、例えば、約1000℃〜約1400℃、約1100℃〜約1300℃、または約1150℃〜約1250℃で行ってもよい。例えば、ある実施形態では、ナノ粒子は、ドープされていないか、またはドープされた(例えば、セリウムがドープされた)シリケートガーネットを含んでいてもよい。
【0040】
ある実施形態では、ナノ粒子は、ガーネットを含む。ガーネットは、組成A12を有していてもよく、ここで、A、Bは、独立して選択される。ある実施形態では、Aは、限定されないが、Y、Gd、La、Lu、Tb、Ca、Sc、Srを含む元素から選択されてもよく、Bは、限定されないが、Al、Ga、Si、Ge、Mg、Inを含む元素から選択されてもよい。ある実施形態では、ガーネットは、少なくとも1個の元素、好ましくは希土類金属でドープされている。ある実施形態では、希土類金属は、限定されないが、Ce、Gd、La、Tb、Pr、Sm、Euを含む群から選択される。ある実施形態では、ガーネットは、少なくとも1個の元素、好ましくは希土類以外の元素でドープされている。ある実施形態では、希土類以外の金属は、限定されないが、MnおよびCrを含む群から選択される。ある実施形態では、シリケート材料は、ガーネット材料ではなくてもよく、例えば、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu、CaScSi12:Ce、BaMgSi:Eu、CaAlSiN:Eu、CaSi:Eu、CaSiAION:Euであってもよい。
【0041】
ある実施形態では、ここに開示されたシリケートに加え、または、シリケートに替えて、(1))HARRY BERMAN,天然ケイ酸塩の構造と分類,American Mineralogis(Journal Mineralogical of America),22,151,342−408(1937)、および(2)CHARLES.K.SWARTZ,天然ケイ酸塩の分類 パート2 天然ケイ酸塩の構造,American Mineralogist(Journal Mineralogical of America),22,151,1161−1174(1937)に開示された1以上の任意の適切なシリケートを用いることができ、参考としてそれぞれの開示は全体としてここに組み込まれる。
【0042】
一実施形態では、前駆体溶液、およびこのようにして作られた多元素系ケイ素材料は、活性化材料またはドーパント材料を約0.050mol%〜約10.000mol%の濃度で含む。別の実施形態では、前駆体溶液は、0.125mol%〜約5.000mol%の濃度のドーパントを含む。別の実施形態では、前駆体溶液は、約0.125mol%〜約3.000mol%の濃度のドーパントを含む。別の実施形態では、前駆体溶液は、約1.000mol%〜約2.750mol%の濃度のドーパントを含み、限定されないが、0.100、0.200、0.500、1.000、1.250、1.500、1.750または2.000mol%、または上述の任意の2つの数字の間にある任意の数字の濃度のドーパントを含んでいてもよい。
【0043】
別の実施形態では、図1に示されるように、少なくとも1つのケイ素前駆体を含む多元素系水溶性前駆体溶液を与える工程と、熱源をあてて多元素型ケイ素材料を作成する工程とを含む、ケイ素材料を得る方法が記載されている。一実施形態では、この方法は、少なくともキャリア溶媒をさらに含む。別の実施形態では、この方法は、前駆体溶液の複数の液滴とキャリアガスとを含むエアロゾルを与える工程を含む。別の実施形態では、この方法は、エアロゾルを熱源に通す工程を含む。別の実施形態では、この方法は、安定化化合物を加えることを含む。別の実施形態では、流れによる熱化学合成方法は、RF熱プラズマ合成を含む。
【0044】
ある実施形態では、ナノ粒子の粒径は、30nm〜約5μmである。別の実施形態では、粒径は、30nm〜1μmである。さらに別の実施形態では、粒径は、30μm〜500nmである。別の実施形態では、粒径は、上述の任意の2つの数の間にある任意の大きさであってもよい。
【0045】
ある実施形態では、この方法は、多元素系ケイ素材料を加熱し、有機成分を除去する工程を含む。
【0046】
開示されている実施形態は、開示されているいずれかの方法によって調製された組成物を含む。ある実施形態では、組成物は、セリウムがドープされたシリケートガーネットである。さらに、開示されている実施形態は、(a)発光ダイオードと、(b)開示されているいずれかの組成物を含むリン光体とを備える発光デバイスを含み、ここで、リン光体は、発光ダイオードから出た光の少なくとも一部分を受け入れ、もっと長い波長の光または長い波長のスペクトルに変換するように配置されている。さらに、開示されている実施形態は、任意の開示されている組成物を含むリン光体を備える発光層を含む。
【0047】
条件および/または構造が特定されていないか、または参考として本明細書に組み込まれる引用文献に開示されていないような本開示において、当業者は、本開示の観点で、通常の実験を行って、このような条件および/構造を簡単に得ることができる。また、本開示において、特定の実施形態で適用される数値は、少なくとも±50%の範囲で修正することができる。他の実施形態では、実施形態で適用される範囲は、端値を含んでいてもよく、端値を除外していてもよい。
【実施例】
【0048】
本発明を、実施例を参照して詳細に説明するが、この実施例は、本明細書を限定することは意図していない。
【0049】
実施例1:セリウムをドープしたLuCaMgSi12ガーネット
【0050】
セリウムをドープしたLuCaMgSi12ガーネットの化学量論比に依存して、以下の化合物を用いた。水1000mL中、210.45gのLu(NO・xHO(Metall.cn、46.8%TREO)、59.60gのCa(NO・4HO(Sigma Aldrich、99%)、129.49gのMg(NO・6HO(Fluka、99%)、2.17gのCe(NO・6HO(Sigma Aldrich、99.99%)、411.63gの3−アミノプロピルシラントリオール(Gelest、25%水溶液)、1.3kgの尿素(Sigma Aldrich、98%)を用い、溶液を調製した。
【0051】
(A)実施例1で調製した溶液約10mlを、アルミナ皿に入れ、500℃のマッフル炉で燃焼させた。得られた粉末を集め、粉砕し、管状炉内で、97% N/3% H雰囲気下、1350℃で約5時間アニーリングした。ガーネット構造をした、セリウムをドープしたLuCaMgSi12を含む発光材料を、得られた材料のX線回折パターンと、標準的なガーネット(Joint Committee for Powder Diffraction Standards [JCPDS],Card No.01−072−1853[イットリウムアルミニウムガーネットYAG]に対応)の回折パターンとを比較することによって確認されるように、調製した。
【0052】
(B)実施例1で調製した溶液約1000mlを、霧状にした液滴としてRFによって誘導結合した熱プラズマトーチ(Tekna Plasma Systems,Inc、Model No.PL−35、シェルブルック、ケベック、カナダ)の熱い反応ゾーンに送り、10slmのアルゴン霧状ガスを用い、プレート電力20kWで操作した。プラズマガスの流速は、以下の通りであった。中心のガス=20slmのアルゴン、シースガス=60slmのアルゴンと3slmの水素。この溶液について、約10,000Kを超える最大温度領域を有していてもよいプラズマプルームを通しつつ、1個の液滴から1個の粒子への変換、蒸気から粒子への変換を組み合わせて行った。得られた粒子を多孔性セラミックフィルターで集めた。次いで、この粒子を管状炉(MTI、Model GSL−1700、カリフォルニア、米国)で、97% N 3% H雰囲気下、約1350℃で約5時間アニーリングした。ガーネット構造をした、セリウムをドープしたLuCaMgSi12を含む発光材料を調製した。XRD分析から、調製した材料が、図3に示すようなガーネット構造を有していることが確認された(Joint Committee for Powder Diffraction Standards[JCPDS],Card No.01−072−1853[イットリウムアルミニウムガーネットYAG]に対応)。走査型電子顕微鏡(SEM)による、さらなる定量的なエネルギー分散分光法(EDS)分析から、以下の表1に示す通り、酸素以外の元素の化学量論比を確認した。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例2:セリウムおよびマンガンを一緒にドープしたLuCaAlSiO12ガーネット
【0055】
セリウムおよびマンガンを一緒にドープしたLuCaAlSiO12ガーネットの化学量論比に依存して、以下の化合物を用いた。水1000mL中、212.57gのLu(NO・xHO(Metall.cn、46.8% TREO)、50.06gのCa(NO・4HO(Sigma Aldrich、99%)、365.25gのAl(NO・6HO(Sigma Aldrich、>985)、11.48gのMn(NO・6HO(Alfa Aeser、99.98%)、17.37gのCe(NO・6HO(Sigma Aldrich、99.99%)、137.21gの3−アミノプロピルシラントリオール(Gelest、25%水溶液)、1.3kgの尿素(Sigma Aldrich、98%)を用い、溶液を調製した。
【0056】
(A)実施例2で調製した溶液約10mlを、アルミナ皿に入れ、約500℃のマッフル炉で燃焼させた。得られた粉末を集め、粉砕し、管状炉内で、97% N 3% H雰囲気下、約1500℃で約5時間アニーリングした。ガーネット構造をした、セリウムおよびマンガンを一緒にドープしたLuCaAlSiO12を含む発光材料を、得られた材料のX線回折パターンと、標準的なガーネット(ルテニウムアルミニウムガーネット、LuAG)からの回折パターンと比較することによって確認するように、調製した。
【0057】
(B)実施例2で調製した溶液約1000mlを、霧状にした液滴としてRFによって誘導結合した熱プラズマトーチ(Tekna Plasma、PL−35)の熱い反応ゾーンに送り、10slmのアルゴン霧状ガスを用い、プレート電力20kWで操作した。プラズマガスの流速は、以下の通りであった。中心のガス=20slmのアルゴン、シースガス=60slmのアルゴンと3slmの水素。この溶液について、約10,000Kを超える最大温度領域を有していてもよいプラズマプルームを通しつつ、1個の液滴から1個の粒子への変換、蒸気から粒子への変換を組み合わせて行った。次いで、得られた粒子を多孔性セラミックフィルターで集めた。次いで、この粒子を管状炉で、97% N 3% H雰囲気下、約1500℃で約5時間アニーリングした。ガーネット構造をした、セリウムおよびマンガンを一緒にドープしたLuCaAlSiO12を含む発光材料を調製した。XRD分析(図4に示される)から、調製した材料がガーネットであることが確認され(JCPDS 00−056−1464、標準的なルテチウムアルミニウムガーネットLuAGに対応)、正しい化学量論を有する材料を生成することに対する、イオン半径に関する構造的な考慮事項を確認した。
【0058】
実施例3:ユーロピウムをドープしたCaSi
【0059】
ユーロピウムをドープしたCaSiガーネットの化学量論比に依存して、以下の化合物を用いた。水1000mL中、435.25gのCa(NO・4HO(Sigma Aldrich、99%)、857.94gのPEG−POSS(Hybrid Plastics製品PG1190)、7.91gのEu(NO・5HO(Sigma Aldrich、99.9%)、1.3kgの尿素(Sigma Aldrich、98%)を用い、溶液を調製した。
【0060】
(A)実施例3で調製した溶液約10mlを、アルミナ皿に入れ、約500℃のマッフル炉で燃焼させた。得られた粉末を集め、粉砕し、管状炉内で、97% N 3% H雰囲気下、約1350℃で約5時間アニーリングした。ユーロピウムをドープしたCaSiおよびCa(SiO)の混合物を含む発光材料を調製した。
【0061】
(B)実施例3で調製した溶液約1000mlを、霧状にした液滴としてRFによって誘導結合した熱プラズマトーチ(Tekna Plasma、PL−35)の熱い反応ゾーンに送り、10slmのアルゴン霧状ガスを用い、プレート電力20kWで操作した。プラズマガスの流速は、以下の通りであった。中心のガス=20slmのアルゴン、シースガス=60slmのアルゴンと3slmの水素。この溶液について、約10,000Kを超える最大温度領域を有していてもよいプラズマプルームを通しつつ、1個の液滴から1個の粒子への変換、蒸気から粒子への変換を組み合わせて行った。次いで、この粒子を管状炉で、97% N 3% H雰囲気下、約1350℃で約5時間アニーリングした。ユーロピウムをドープしたCaSiおよびCa(SiO)の混合物を含む発光材料を調製した。目的材料の生成を確認するXRD分析が図5に示されている(JCPDS 01−076−0623[CaSiO]および01−083−0463[Ca(SiO)]と比較)。
【0062】
本発明の範囲を逸脱することなく、種々の省略、付加、改変を上述のプロセスに行ってもよいことが当業者によって理解され、すべてのこのような改変および変化は、本発明の範囲内にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に可溶性の少なくとも1つのケイ素含有前駆体を含む、可溶性前駆体を与えることと;
前記少なくとも1つのケイ素含有前駆体を溶媒に溶解することによって前駆体溶液を作成することと;
前記前駆体溶液に熱を加え、無機多元素系ケイ素材料を作成することとを含む、無機ケイ素材料を製造する方法。
【請求項2】
前記溶媒が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体溶液のpHが約6〜約8.0である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体溶液が、実質的にハロゲンを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記前駆体溶液が、少なくとも1つの膨張性成分とキャリア溶媒とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
熱を加える工程の前に、前駆体溶液の複数の液滴とキャリアガスとを含むエアロゾルを与えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
熱が、前記エアロゾルが通る反応ゾーンで発生する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記材料を前記反応ゾーンから出した後に、無機ケイ素材料を集めることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
熱が、流動する熱源から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記流動する熱源が、熱プラズマ、火炎噴霧、ホットウォールリアクタまたは噴霧熱分解システムから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
熱が静止した熱源から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記静止した熱源が、ボックス型の炉またはマッフル炉から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ケイ素前駆体が有機シランである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記有機シランが、3−アミノプロピルシラントリオール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルイソプロポキシシラン、テトラメチルアンモニウムシリケート、水溶性POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン)(PEG−POSSおよびOctaAmmonium POSSを含む)、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩、ナトリウムメチルシリコネート、メタケイ酸ナトリウム、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸、3−(トリヒドロキシシリル)−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−トリヒドロキシシリルプロピルメチルホスホン酸ナトリウムから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
安定化化合物を前記水溶液に加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記無機多元素系ケイ素材料が、二元素系の非酸化物ケイ素材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記無機多元素系ケイ素材料が、三元素系ケイ素材料またはもっと多元素を含むケイ素材料である、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−12294(P2012−12294A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−133298(P2011−133298)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】