説明

多国間における教育スクールシステム、方法ならびにスクールシティシステム

【課題】自国に居住し、自国の学校に在籍している外国の学生が、教育スクールシステムを利用して日本の通信制高校のカリキュラムを受講でき、科目履修・単位を取得し、卒業すること、あるいは日本の大学への進学も可能とする多国間を結ぶ教育スクールシステム、方法ならびにスクールシティシステムを提供することである。
【解決手段】教師用端末と、運営側システムと、国内生徒側システムと、国外生徒側システムとを備え、前記運営側システムに設けられたサーバーコンピュータは、国外の生徒の情報を格納する国外生徒情報格納手段と、国外生徒用テキスト格納手段とを備えたデータベースサーバーと、国外生徒情報格納手段の情報を読み出し、当該読み出された情報に基づいて、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを、前記国外生徒用端末のディスプレイに出力させるアプリケーションサーバーとを備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを利用した双方向通信システムであって、複数の会議の参加者や講義の受講者がリアルタイムで会議や教育などのコミュニケーションをすることが可能な双方向通信システムに関する。さらに詳しくは、ネットワークを利用した双方向通信システムであって、複数の会議の参加者や講義の受講者がリアルタイムで会議や教育などのコミュニケーションをすることが可能であり、また本発明の教育スクールシステムを利用して日本の通信制高校で卒業あるいは科目履修(単位取得)をするためのカリキュラムを受講でき、日本の通信制高校の科目履修・単位を取得し卒業すること、あるいは日本の大学への進学も可能な多国間を結ぶ教育スクールシステム、方法ならびにスクールシティシステムに関する(年1回、数日間、本校へ来日し、スクーリング受講をするという必須課題はある)。
【背景技術】
【0002】
従来のインターネットを利用した教育スクールシステムとして、インターネット上に仮想的な学校を構築し、学校に入校した各生徒が、自宅に居ながらにして講義を受講可能な教育スクールシステムが開示されている。例えば、各生徒用端末がインターネットを介して学校運営側システムのサーバーにログインし、サーバーから教材コンテンツの提供を受けることで、各生徒が学習可能な教育スクールシステムが開示されている(特許文献1、2参照)。このような教育スクールシステムでは、各生徒用端末のディスプレイにメイン表示領域およびサブ表示領域が設けられ、教材コンテンツおよび生徒画像がメイン表示領域およびサブ表示領域にそれぞれ表示される。
【0003】
ところが、従来のこのような教育スクールシステムでは、生徒の動機づけや学習の継続性に問題があった。このような問題を解決するものとして、特許文献3に示すような、同じ目的をもった生徒でクラスを編成し、ホームルームの授業やその他情報交換の場を設定することで、あたかも学校で授業を受けている臨場感を体感させ、生徒の動機づけや学習の継続性につなげることができる教育スクールシステムおよびスクールシティシステムが提案されている。
【0004】
一方、昨今、海外の学生が、日本国内の大学進学や日本国内の企業に就業をするというニーズもある。しかしながら、日本での就業や留学して大学進学のための単位取得をするなどその方法は限定されている。
【0005】
また、言語の問題などから、日本語の理解が困難な海外の学生にとって、有意義な授業とならない場合が多く、海外の学生が日本の高校の単位を取得することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−172161号公報
【特許文献2】特開2001−305940号公報
【特許文献3】実用新案登録第3155376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、日本国外に居住する日本人を含めた、日本の通信制高校を卒業、あるいは科目履修(単位取得)し、日本の大学に入学し、キャリアアップをしたいと考えている学生および外国人等(以下、「通信制高校卒業希望者」)が、自国の高校の単位だけでなく、自国に居住し、自国の学校に在籍しながらであっても、同時に日本の通信制高等学校に在籍できるようにするための多国間を結ぶ教育スクールシステム、方法およびスクールシティシステムを提供することを目的とする。また本発明の教育スクールシステムを利用して日本の通信制高校で卒業あるいは科目履修(単位取得)するためのカリキュラムを受講でき、日本の通信制高校の科目履修・単位を取得し、卒業することあるいは日本の大学への進学も可能とすることを目的とする(年1回、数日間、本校へ来日し、スクーリング受講をするという必須課題はある)。また、日本語が堪能でない海外の学生であっても、授業を滞りなく受けることができる多国間を結ぶ教育スクールシステムおよび方法ならびにスクールシティシステムを提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明の目的のひとつとしては、国内外を問わず、同じ目的をもった生徒でクラスを編成し、ホームルームの授業やその他情報交換の場を設定することで、あたかも学校で授業を受けている臨場感を体感させ、生徒の動機づけや学習の継続性につなげることができる教育スクールシステム、方法ならびにスクールシティシステムを提供することである。
【0009】
本発明の多国間における教育スクールシステムでは、教師と生徒または生徒同士のコミュニケーション(ホームルーム、カウンセリング、学習アドバイス等)、または生徒同士のコミュニケーションを実現し、スクール全体での行事、イベントの実施が可能となる。また、社会人などの各種資格取得のコースでは、級別(学力レベル別)の集合体を想定し、上位級の生徒から下位級の生徒に対する学習アドバイスやカウンセリングを受ける機能を搭載できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の多国間における教育スクールシステムは、国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育システムであって、前記多国間の教育システムが、教師用端末と、当該教師用端末に接続されるサーバーコンピュータとを有する運営側システムと、公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国内生徒用端末を有する国内生徒側システムと、前記公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国外生徒用端末を有する国外生徒側システムとを備え、前記教師用端末は、教師用パーソナルコンピュータと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、教師を撮像する教師用カメラと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が入力される教師用マイクと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される教師用スピーカーと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、前記国内生徒用端末および前記国外生徒用端末は、各生徒用パーソナルコンピュータと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各生徒を撮像する各生徒用カメラと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各音声が入力される各生徒用マイクと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される各生徒用スピーカーと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、前記国内生徒用端末、前記国外生徒用端末および前記教師用端末は、それぞれ画像データ、文字データ、音声データを送受信する送受信手段を備え、前記サーバーコンピュータは、国外の生徒の情報を格納する国外生徒情報格納手段と、国外生徒用テキスト格納手段とを備えたデータベースサーバーと、前記国外生徒情報格納手段の情報を読み出し、当該読み出された情報に基づいて、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを、前記国外生徒用端末のディスプレイに出力させるアプリケーションサーバーとを備えてなることを特徴とする。
【0011】
また、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されるデータが、国外生徒のレベルに応じて複数に分けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記国外生徒用テキスト格納手段が、上級者用テキスト格納手段、中級者用テキスト格納手段、低級者用テキスト格納手段を備えてなることが好ましい。
【0013】
また、前記国外生徒情報格納手段に格納される情報が、国外の生徒のレベルであることが好ましい。
【0014】
また、前記国外の生徒のレベルが、科目ごとに評価されてなることが好ましい。
【0015】
また、前記国外生徒情報格納手段に格納される情報が、定期的に更新されることが好ましい。
【0016】
本発明の多国間の教育方法は、国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育方法であって、前記多国間の教育方法が、教師用端末と、当該教師用端末に接続されるサーバーコンピュータとを有する運営側システムと、公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国内生徒用端末を有する国内生徒側システムと、前記公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国外生徒用端末を有する国外生徒側システムとを備え、前記教師用端末は、教師用パーソナルコンピュータと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、教師を撮像する教師用カメラと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が入力される教師用マイクと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される教師用スピーカーと、前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、前記国内生徒用端末および前記国外生徒用端末は、各生徒用パーソナルコンピュータと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各生徒を撮像する各生徒用カメラと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各音声が入力される各生徒用マイクと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される各生徒用スピーカーと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、前記国内生徒用端末、前記国外生徒用端末および前記教師用端末は、それぞれ画像データ、文字データ、音声データを送受信する送受信手段を備え、前記サーバーコンピュータは、運営側のホームページを格納するウェブサーバーと、国外の生徒の情報を格納する国外生徒情報格納手段と、国外生徒用テキスト格納手段とを備えたデータベースサーバーと、前記国外生徒情報格納手段の情報を読み出し、当該読み出された情報に基づいて、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを、前記国外生徒用端末のディスプレイに出力させるアプリケーションサーバーとを備えてなるシステムを用い、(a)前記国外生徒用端末が前記ウェブサーバーにアクセスする工程、(b)前記国外生徒用端末の前記ウェブサーバーへのアクセスに基づいて、前記アプリケーションサーバーが、前記国外生徒情報格納手段に格納された情報を読み出す工程、(c)前記(b)工程により読み出された情報に基づいて、前記アプリケーションサーバーが、国外の生徒のレベルを決定する工程、(d)前記(c)工程により決定された生徒のレベルに基づいて、前記アプリケーションサーバーが、前記国外生徒用端末に前記レベルに応じた、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを出力するように指示する工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の教育スクールシステムは、前記多国間の教育スクールシステムを複数備えてなることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明における「国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育システム」または「国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育方法」とは、日本国外に居住する日本人を含めた、通信制高校卒業希望者が、自国の高校の単位だけでなく、自国に居住し、自国の学校に在籍しながらであっても、同時に日本の通信制高等学校に在籍することができ、教育スクールシステムを利用して通信制高校のカリキュラムを受講でき、日本の通信制高校の科目履修・単位を取得し、卒業することあるいは日本の大学への進学も可能とする(年1回、数日間、本校へ来日し、スクーリング受講をするという必須課題はある)システムおよび方法をいう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ホームルームの授業や情報交換の場を活用して、あたかも学校で授業を受けている臨場感を体感させることができる。さらに、生徒の参画意識を高め、生徒同士が競い合い、励まし合う仕組みをもつことで、学習目標を達成することができる。また一方では他国の言語の習得にも寄与しうる。
【0020】
また、本発明は日本国外に居住する日本人を含めた、通信制高校卒業希望者が、自国の高校の単位だけでなく、自国に居住し、自国の学校に在籍しながらであっても、同時に日本の通信制高等学校に在籍できる。また本発明の教育スクールシステムを利用して日本の通信制高校で卒業あるいは科目履修(単位取得)をするためのカリキュラムを受講でき、日本の通信制高校の科目履修・単位を取得し、卒業することあるいは日本の大学への進学も可能である(年1回、数日間、本校へ来日し、スクーリング受講をするという必須課題はある)。また、日本語が堪能でない学生であっても、受講を通じて語学習得ができる事によって授業内容を理解できるようになり、海外の学生および通信制高校卒業希望者の日本語のレベル毎に適切なサポートを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の教育スクールシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の教育スクールシステムに用いられる端末を説明するための図である。
【図3】本発明の教育スクールシステムに用いられるデータベースサーバーを説明するための図である。
【図4】本発明の教育スクールシステムに用いられるディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の教育スクールシステムの制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の教育スクールシステムの構成を示している。
【0023】
本発明の教育スクールシステムは、運営側システム1と、たとえば日本国内に設けられた国内生徒側システム2および国外にある国外生徒側システム3とに大別される。それぞれのシステムは、インターネット回線I等の公衆通信回線により互いに接続されている。
【0024】
各生徒側システム2、3は、それぞれ複数の生徒用の端末2−1、2−2、2−3、2−n、3−1、3−2、3−3、3−nから構成されている。端末としては、通信機能を備えた家庭用のパーソナルコンピュータを用いることができるが、インターネット接続が可能な携帯電話等の携帯用通信装置であってもよい。
【0025】
運営側システム1には、インターネット回線I等を通じて、国内外の生徒に講義をする教師の教師用端末12と、本システムを管理する管理者側端末13が設けられている。さらに、運営側システム1は、サーバーコンピュータ11を備え、教師用端末12および管理者側端末13と有線または無線により接続されている。なお、教師用端末12および管理者側端末13は、インターネットを介してサーバーコンピュータ11に接続されてもよい。
【0026】
サーバーコンピュータ11は、学校運営側のホームページを予め格納するウェブサーバーWS、各生徒用パスワードに対応付けて各生徒の識別情報(生徒の(1)氏名(ハンドルネーム)、(2)学年、(3)学校名、(4)受講科目、(5)E−mailアドレス、(6)FAX番号、(7)クラブ活動、(8)学校外学習の他に、学習履歴として(9)学習曜日・時間数、(10)学習コンテンツ、(11)理解度チェック、(12)HR出欠状況、(13)小テスト結果、(14)学校成績(定期テスト)結果などの情報)を予め格納するデータベースサーバーDS、およびアプリケーションサーバーASを有している。データベースサーバーDSは、各生徒用端末から識別情報を受信し、受信した識別情報と予め格納された識別情報とを照合する。
【0027】
アプリケーションサーバーASは、教師用端末12からLANを介して教師の画像および音声を収集する。アプリケーションサーバーASは、データベースサーバーDSによる照合結果に基づいて、各生徒用端末から各生徒の画像や音声を、インターネット回線Iを介して収集する。アプリケーションサーバーASは、収集した各画像および各音声を各生徒用端末および教師用端末12に配信すると共に、各生徒用端末および教師用端末12を制御する。
【0028】
図2は、生徒用端末の詳細を示している。生徒用端末は、生徒用パーソナルコンピュータ4、ビデオカメラ(生徒用カメラ)Cおよび生徒用マイク付ヘッドフォン(生徒用マイクおよび生徒用スピーカー)Hを有している。
【0029】
生徒用パーソナルコンピュータ4は、教師の画像、他の生徒の画像や授業の板書や国外の生徒の補助画面を表示するディスプレイ(生徒用表示部)D、生徒からのコマンドや数値等を入力するキーボードKやマウス等(図示せず)を備える。
【0030】
図2は、生徒用および教師用のパーソナルコンピュータの構成の一例を示す図である。図2では、生徒用のパーソナルコンピュータを例に取って説明する。生徒用パーソナルコンピュータ4には、図示しないインターフェース回路を介して、ディスプレイD、キーボードK、ビデオカメラCおよび生徒用マイク付ヘッドフォンHが接続される。生徒用パーソナルコンピュータ4は、生徒用端末内の各装置を制御するCPU41(生徒情報送信部、生徒画像送信部、生徒音声送信部、生徒用表示制御部、生徒要求送信部およびアクセス要求送信部)、メインメモリ42、RAM43、ROM44、ハードディスク45、画像データ等を送受信する送受信手段46を有している。
【0031】
本システムにおいて、生徒のアクセスや生徒の識別等については、本明細書においては、説明は省略するが、実用新案登録第3155376に詳細に説明している。
【0032】
図3は、本システムに用いられる運営側システム1のデータベースサーバーDSの一例を示す図である。データベースサーバーDSは、上記各生徒の識別情報(中高校生の場合は、生徒の(1)氏名(ハンドルネーム)、(2)学年、(3)学校名、(4)受講科目、(5)E−mailアドレス、(6)FAX番号、(7)クラブ活動、(8)学校外学習の他に、学習履歴として(9)学習曜日・時間数、(10)学習コンテンツ、(11)理解度チェック、(12)HR出欠状況、(13)小テスト結果、(14)学校成績(定期テスト)結果などの情報)だけでなく、国外の生徒が円滑に授業を受けることができるようにするために、国外生徒用テキスト格納手段DS1および国外生徒用レベル格納手段DS2が設けられている。
【0033】
国外生徒用テキスト格納手段DS1は、さらに上級者用テキスト格納手段5、中級者用テキスト格納手段6および下級者用テキスト格納手段7とに分かれている。このように、国外の生徒のレベル毎のテキストを用意しておくことにより、後述する制御により、生徒のレベルに合ったサポートをリアルタイムに行なうことができるので、国外の生徒が自分のレベルを認識できるとともに、スムーズに国内の授業を受けることができる。したがって、レベルに合った教育およびサポートが得られるので、国外の生徒の動機付けや学習の継続性につなげることができる。
【0034】
国外生徒レベル格納手段DS2には、国外の生徒のレベルが、たとえば3段階で格納されている。この国外生徒レベル格納手段DS2は、事前に受けた国内、たとえば日本語の力をはかる日本語力のテストにより、レベルをはかり記憶することができる。また、科目ごと、科目における分野毎にレベルをはかり記憶することができる。国外の生徒のレベルの分け方は、上記したものに限られず、また、上記した3段階に限られることはなく、5段階であってもよいし、特に限定されるものではない。
【0035】
また、この生徒レベル格納手段DS2に格納されたデータは、随時更新することが可能であり、たとえばウェブ上で行われる小テストの結果などにより、書き換えることができる。
【0036】
図4は、本システムにおいて国外の生徒のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す図である。国外の生徒のディスプレイDは、教師の画像が表示される教師画像表示部Tと、国内の生徒、国外の生徒を問わず、他の受講生の画像が表示される生徒画像表示部Sとが設けられている。さらに、授業における板書や、テーマごとの要点等を表示する授業内容表示部8が設けられている。図4においてはさらに国外の生徒用に、国外生徒の母国語によるサポートテキストが表示される国外生徒用テキスト表示部9が設けられている。この国外生徒用テキスト表示部9には、受けている授業に対応する内容が、国外の生徒が理解できる言語により表示され、この内容は予めデータベースサーバーDSの国外生徒用テキスト格納手段DS1に格納されている。
【0037】
国外の生徒用にテキストを表示する場合、たとえば予めどのタイミングでテキストを表示するかを決めておき、その時点になると自動的に表示するようにしてもよいし、教師が教師用端末12を操作することにより、教師のタイミングで、国外の生徒にテキストを表示するようにしてもよい。
【0038】
たとえば、日本人の生徒、教師と外国人の生徒が授業を受けている場合、日本人の生徒は教師の言っていることを理解できるが、外国人の生徒の場合、日本語が堪能ではないため、教師の言っていることが理解できない場合がある。特に数学や国語など専門的な用語が出てくる場合は、外国人の生徒はなおさら教師の言っている言葉を理解しにくいものとなる。したがって、「微分・積分」という単元が出てきた場合に、国外生徒用テキスト表示部9に、母国語により「微分・積分」に対応する単元を表示することにより、外国人の生徒が、自国の学校で学んだことを思い出し、今どのような内容の授業が行われているかが理解できるようになり、学習がスムーズになるとともに、日本語の勉強にもなるという効果がある。
【0039】
また、外国人の生徒が日本語をだんだんと理解できるようになったときに、国外生徒用テキスト表示部9に当該単元の説明が表示されると、逆に日本語の勉強の妨げとなる。また、外国人の生徒で、日本語がほとんど理解できないのに、母国語による説明が単語レベルしかなければ、日本語の授業がさっぱり理解できず、いずれの場合も、授業へのやる気がそがれてしまう。そこで、表示される内容を生徒のレベルごとに変更することにより、国外の生徒に段階的に日本語を理解させるため、国外生徒用テキスト表示部9に表示されるテキストの内容を変更することにより、生徒のやる気を維持させることができる。具体的には、日本語がまだほとんど理解できない外国人の場合には、下級者用テキスト格納手段7に格納された単元・用語による説明を充実させた、母国語のテキストの内容が、国外生徒用テキスト表示部9に表示される。日本語をかなり理解することができる外国人に対しては、上級者用テキスト格納手段5に格納された、母国語による説明が単語レベルしか表示されないテキストが、国外生徒用テキスト表示部9に表示される。
【0040】
この表示内容は、授業の内容ごと、単元ごとに詳細に分けることにより、きめ細かく海外の生徒のサポートをすることができる。
【0041】
図5は、本システムの制御の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートを用いて、本システムの一実施の形態を以下に例をあげて説明する。
【0042】
外国人の生徒Xと、日本人の生徒および日本人の教師が数学の授業を受ける場合を想定する。外国人の生徒が、国外生徒用の端末により、本システムのウェブサーバーWSにアクセスし、授業を受けることができる状態になると、アプリケーションサーバーASが、生徒の情報が格納されたデータベースサーバーDSにアクセスし、データベースサーバーDSの国外生徒レベル格納手段DS2を参照する。当該国外生徒レベル格納手段DS2には、数学、国語、物理等の科目ごとのレベルが格納されており、アプリケーションサーバーASは、今行われている授業に対応する授業コードを参照することにより判断し、現在行われている授業である国外生徒レベル格納手段DS2の生徒Xの数学のレベルを参照する(ステップS1)。
【0043】
次に生徒Xのレベルが、今受けている数学の授業について、上級であるというデータが国外生徒レベル格納手段DS2に格納されていた場合は、アプリケーションサーバーASが、データベースサーバーDS1の上級者テキスト格納手段5を読み出し、国外生徒用テキスト表示部9に上級者用のテキストを表示させる(ステップS2、S3)。
【0044】
生徒Xが、上級者でないというデータが格納されている場合は、ステップS4に進み、中級か否かが判断され、中級である場合は、アプリケーションサーバーASが、データベースサーバーDS1の中級者テキスト格納手段6を読み出し、国外生徒用テキスト表示部9に中級者用のテキストを表示させる(ステップS5)。中級ではない場合には、ステップS6に進み、低級者用のテキストが表示される。
【0045】
このような制御により、外国人の生徒がリアルタイムで授業を受けるときに、段階的に日本語を学んでいくことができるとともに、効率よく授業を受けることができる。また、このように外国人を含んだ多国間の教育スクールシステムにより、国内外を問わず、同じ目的をもった生徒でクラスを編成し、ホームルームの授業やその他情報交換の場を設定することで、あたかも学校で授業を受けている臨場感を体感させ、生徒の動機づけや学習の継続性につなげることができる。そして、外国の生徒は、自国の学校だけでなく、日本の通信制高校の科目履修・単位を取得することができる。多国間における教育スクールシステムでは、教師と生徒または生徒同士のコミュニケーション(ホームルーム、カウンセリング、学習アドバイス等)、または生徒同士のコミュニケーションを実現し、スクール全体での行事、イベントの実施が可能となり、国際交流にもつながり、外国の生徒だけでなく、日本人の生徒にもメリットのあるシステムである。また、本システムは、高校などの授業だけでなく、社会人などの各種資格取得のコースでは、級別(学力レベル別)の集合体を想定し、上位級の生徒から下位級の生徒に対する学習アドバイスやカウンセリングを受ける機能を搭載できるし、多国間の会議などのシステムにも応用が可能である。
【0046】
また、上記の教育スクールシステムを複数備えた教育スクールシティシステムとすることも可能である。
【0047】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0048】
1 運営側システム
2 国内生徒側システム
3 国外生徒側システム
2−1、2−2、2−3、2−n、3−1、3−2、3−3、3−n 生徒用の端末
4 生徒用パーソナルコンピュータ
41 CPU
42 メインメモリ
43 RAM
44 ROM
45 ハードディスク
46 送受信手段
5 上級者用テキスト格納手段
6 中級者用テキスト格納手段
7 下級者用テキスト格納手段
8 授業内容表示部
9 国外生徒用テキスト表示部
11 サーバーコンピュータ
12 教師用端末
13 管理者側端末
AS アプリケーションサーバー
C ビデオカメラ
D ディスプレイ
DS データベースサーバー
DS1 国外生徒用テキスト格納手段
DS2 国外生徒用レベル格納手段
H 生徒用マイク付ヘッドフォン
I インターネット回線
K キーボード
S 生徒画像表示部
T 教師画像表示部
WS ウェブサーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育システムであって、
前記多国間の教育システムが、
教師用端末と、当該教師用端末に接続されるサーバーコンピュータとを有する運営側システムと、公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国内生徒用端末を有する国内生徒側システムと、前記公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国外生徒用端末を有する国外生徒側システムとを備え、前記教師用端末は、教師用パーソナルコンピュータと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、教師を撮像する教師用カメラと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が入力される教師用マイクと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される教師用スピーカーと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、
前記国内生徒用端末および前記国外生徒用端末は、各生徒用パーソナルコンピュータと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各生徒を撮像する各生徒用カメラと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各音声が入力される各生徒用マイクと、
前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される各生徒用スピーカーと、
前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、
前記国内生徒用端末、前記国外生徒用端末および前記教師用端末は、それぞれ画像データ、文字データ、音声データを送受信する送受信手段を備え、
前記サーバーコンピュータは、
国外の生徒の情報を格納する国外生徒情報格納手段と、国外生徒用テキスト格納手段とを備えたデータベースサーバーと、
前記国外生徒情報格納手段の情報を読み出し、当該読み出された情報に基づいて、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを、前記国外生徒用端末のディスプレイに出力させるアプリケーションサーバーとを備えてなることを特徴とする多国間の教育スクールシステム。
【請求項2】
前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されるデータが、国外生徒のレベルに応じて複数に分けられていることを特徴とする請求項1記載の多国間の教育スクールシステム。
【請求項3】
前記国外生徒用テキスト格納手段が、上級者用テキスト格納手段、中級者用テキスト格納手段、低級者用テキスト格納手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載の多国間の教育スクールシステム。
【請求項4】
前記国外生徒情報格納手段に格納される情報が、国外の生徒のレベルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多国間の教育スクールシステム。
【請求項5】
前記国外の生徒のレベルが、科目ごとに評価されてなることを特徴とする請求項4記載の多国間の教育スクールシステム。
【請求項6】
前記国外生徒情報格納手段に格納される情報が、定期的に更新されることを特徴とする請求項4または5に記載の多国間の教育スクールシステム。
【請求項7】
国外に居住する在外者が、前記国外の学校とともに国内の通信制高校を受講できるようにするための多国間の教育方法であって、
前記多国間の教育方法が、
教師用端末と、当該教師用端末に接続されるサーバーコンピュータとを有する運営側システムと、公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国内生徒用端末を有する国内生徒側システムと、前記公衆通信回線を介して前記サーバーコンピュータに接続される1または複数の国外生徒用端末を有する国外生徒側システムとを備え、前記教師用端末は、教師用パーソナルコンピュータと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、教師を撮像する教師用カメラと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が入力される教師用マイクと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される教師用スピーカーと、
前記教師用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、
前記国内生徒用端末および前記国外生徒用端末は、各生徒用パーソナルコンピュータと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各生徒を撮像する各生徒用カメラと、前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、各音声が入力される各生徒用マイクと、
前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、音声が出力される各生徒用スピーカーと、
前記各生徒用パーソナルコンピュータに接続され、画像および文字を表示するディスプレイとを備え、
前記国内生徒用端末、前記国外生徒用端末および前記教師用端末は、それぞれ画像データ、文字データ、音声データを送受信する送受信手段を備え、
前記サーバーコンピュータは、
運営側のホームページを格納するウェブサーバーと、
国外の生徒の情報を格納する国外生徒情報格納手段と、国外生徒用テキスト格納手段とを備えたデータベースサーバーと、
前記国外生徒情報格納手段の情報を読み出し、当該読み出された情報に基づいて、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを、前記国外生徒用端末のディスプレイに出力させるアプリケーションサーバーと
を備えてなるシステムを用い、
(a)前記国外生徒用端末が前記ウェブサーバーにアクセスする工程、
(b)前記国外生徒用端末の前記ウェブサーバーへのアクセスに基づいて、前記アプリケーションサーバーが、前記国外生徒情報格納手段に格納された情報を読み出す工程、
(c)前記(b)工程により読み出された情報に基づいて、前記アプリケーションサーバーが、国外の生徒のレベルを決定する工程、
(d)前記(c)工程により決定された生徒のレベルに基づいて、前記アプリケーションサーバーが、前記国外生徒用端末に前記レベルに応じた、前記国外生徒用テキスト格納手段に格納されたテキストを出力するように指示する工程とを含む教育方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の多国間の教育スクールシステムを複数備えてなることを特徴とする教育スクールシティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−38202(P2012−38202A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179607(P2010−179607)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(300046865)株式会社ウィザス (4)
【Fターム(参考)】