説明

多孔体とその製造方法

【課題】複雑な操作を必要とせずに粉体や顆粒を原料とした成形法で、10μm以上の細孔径の制御技術と高気孔率化技術を両立し、粗大な欠陥を有せず、出発原料の種類に依存しない高気孔率多孔体の製造方法を提供する。
【解決手段】
ゲル化可能な水溶性高分子及び水に可溶でない粉体を分散させたスラリーのゲル化、凍結、その際に生じる氷結晶を細孔源として利用し、その後、凍結体から氷を除去することで得られた乾燥体を熱処理することで得られる多孔体の製造方法において、氷結晶の粗大化に由来する300μm以上の欠陥を低減するため、電解質や熱伝導に優れる粒子を氷結晶粗大化抑制剤としてスラリーに添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔体とその製造方法に関し、詳しくは樹脂など原料粉体を含むスラリーのゲル化と凍結により、氷結晶の自由成長を抑制し制御された氷結晶の生成によりこれを細孔源とする多孔体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高分子樹脂多孔体は、その内部に細孔を多数含む構造を有するものであり、その構造を利用してフィルター、断熱材などとして、広く利用されている。細孔を付与するためには、発泡を利用したフォーム、延伸法、相分離などが挙げられる。
【0003】
しかし、細孔を付与するためにこれらの手法では、低強度であること、細孔が閉じた構造になってしまう問題があった。
【0004】
そこで、これらを解決するために細孔源として氷を利用する方法が提案されている。
【0005】
すなわち、水溶性有機モノマーの重合物と層状に剥離した水膨潤性粘土鉱物との三次元網目を形成させ、含有する溶媒を凍結乾燥により除去することにより、0.8μm、4.5μm、200μmの細孔を有し、気孔率50〜95%程度の多孔質材料が得られるものである(特許文献1)。
【0006】
また、セリシンを含む水溶液をゲル化後、凍結し、次いで融解させることで、均一ではないものの10〜400μmの様々なサイズの細孔、および85〜97%程度の気孔率を有することを特徴とする手法も報告されている(特許文献2)。
【0007】
一方、本発明者らは、以前、ゲル化凍結法によるセラミックス多孔体とその製造方法を提案している(特許文献3)。この手法を用いることにより、ゲル内への氷の形成および乾燥による氷の除去を行うことにより、氷を細孔源とするマクロポーラスな連通孔をもつセラミックス多孔体を製造することが可能になった。一般にセラミックス粉体の熱伝導率は氷より高いため、凍結時にセラミックス粒子が先に冷却され、その後氷結晶が成長するという工程を経るため、氷結晶が優先的に成長することはなかった。従って、氷結晶サイズは比較的均一なものとなるため、極めて均質な細孔分布を有する高気孔率のセラミックス多孔体を提供できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−359747号公報
【特許文献2】特開2005−272690号公報
【特許文献3】特開2008−201636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1記載の手法では、水溶性有機モノマーを出発原料にしなければならないため酸素を除した雰囲気や正確な重合を進めるための細かな温度制御など複雑な操作が必要であり、粉体や顆粒を原料とする高分子樹脂体の一般的な成形を適用することができなく、更には粘土鉱物を添加する必要があることから鉱物成分を含まない高分子樹脂多孔体の製造が不可能であるという問題点があった。また、特許文献2記載の手法では、素材がセリシンに限定されてしまう手法であるため、汎用性が低く他の素材へ適用することができなかった。一方、特許文献1、2では、凍結温度と細孔径との関係について明確にされておらず、所望の細孔径が如何に得られるかが不明であった。特に10μm以上の細孔は大容量の流体透過が可能であることから、ろ過や分離膜の支持体に大きな役割を果たすことができるものの、細孔の制御技術については明らかにされていない。また特許文献3記載の方法を樹脂へ適用した場合、樹脂粉体は熱伝導率が極めて低く氷の熱伝導率が樹脂に勝るため先に氷の冷却が進み、原料樹脂粉体の低熱伝導率に起因して凍結時に氷サイズが不均一になり、300μm以上の粗大氷結晶が形成してしまい所望の細孔径を有する多孔体が得られないという問題があった。
【0010】
以上のような従来技術の状況からも、複雑な操作を必要とせずに粉体や顆粒を原料とした成形法であり、鉱物を含まず樹脂単体成分からなり、10μm以上の細孔径の制御技術と高気孔率化技術を両立し、氷結晶の粗大化を抑制させ、出発原料の種類に依存しない高気孔率の多孔体を製造できる新たな手法の開発が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明は、ゲル化凍結法により気孔率が50以上で制御可能であり、細孔のサイズが10μm〜300μmで制御可能であり、氷結晶の粗大化に起因する300μm以上の欠陥を含まないことを特徴とする多孔体と、原料の種類に依存しないその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、300μm以上の氷結晶の粗大化に由来する欠陥を低減するため、氷結晶成長抑制のための電解質や粒子を用いて凍結時の氷結晶粗大化を抑制し、乾燥・熱処理を経て所望の細孔径を有する高分子樹脂多孔体を製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の多孔体の製造方法は以下のことを特徴としている。
(1)ゲル化可能な水溶性高分子と、水に可溶でない粒径0.1μm〜300μmの粉体を1〜50体積%分散させたスラリーをゲル化、凍結させ、その際に生じる氷結晶を細孔源とし、その後、凍結体から氷を除去することで得られた乾燥体を熱処理する多孔体の製造方法であって、上記粉体の熱伝導率に応じた氷結晶粗大化抑制剤をスラリー中に添加する。
(2)氷結晶粗大化抑制剤として、300μm以上のサイズの氷結晶の自由成長を抑制させる電解質性の抑制剤を用いる。
(3)上記氷結晶粗大化抑制剤が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、リン酸イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン、あるいは炭酸、酸素、単糖類、二糖類、シランカップリング剤、炭化ケイ素、アルミナまたはタルクの少くともいずれかである。
(4)ゲル化可能な水溶性高分子として、乾燥中に凍結以前の組織に戻らない非可逆的ゲル化高分子を用い、この水溶性高分子と氷結晶粗大化抑制剤とが水系溶媒内で溶解しあう。
(5)上記ゲル化可能かつ水系溶媒内で氷結晶粗大化抑制剤と溶解しあうゲル化可能な水溶性高分子が、N−アルキルアクリルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、ポリエチレンイミン、でんぷん、カルボシキメチルセルロース、ゼラチン、ヒドロシキメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、寒天、又はポリエチレンオキシドの少くともいずれかである。
(6)粉体がフェノール、アクリル、ポリスチレン、6ナイロン、66ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、またはテフロン(登録商標)の少くともいずれかである。
【0014】
そして、本発明は、以上の方法によって製造される多孔体として、気孔率が50%〜99%であり、閉気孔が5%未満あり、細孔サイズが10μm〜300μmであり、細孔の平均アスペクト比が少なくても1.3であり、300μm以上の氷結晶粗大化に起因する欠陥を含まないことを特徴とする新規な多孔体を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の多孔体の製造方法によれば、原料粉体とゲル化可能な水溶性高分子、氷結晶粗大化抑制剤を使用し、ゲル化と凍結を組み合わせて、凍結、乾燥、熱処理のプロセスにより、氷結晶由来のサイズが均一で連通性に優れた細孔を有し、かつ50%以上の高気孔率を有し、高分子樹脂多孔体を製造することができる。上記プロセスにおいて、ゲル体を凍結すると、凍結中に水が高分子から放出され氷の結晶が成長し、かつ300μm以上の氷結晶を含まず、原料粉体およびゲル化水溶性高分子の部分と氷の結晶の部分からなる凍結体が得られる。これを凍結乾燥の後、熱処理することにより、氷結晶粗大化による粗大な欠陥の無い樹脂多孔体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】フェノール樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図2】フェノール樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図3】アクリル樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図4】ポリスチレン樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図5】ポリスチレン樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図6】ナイロン樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図7】ナイロン樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図8】ナイロン樹脂多孔体の概観写真および組織写真
【図9】フェノール樹脂多孔体のSEM写真
【図10】ポリスチレン樹脂多孔体(氷結晶粗大化抑制剤 炭化ケイ素を添加)の概観写真および組織写真
【図11】ポリスチレン樹脂多孔体(氷結晶粗大化抑制剤 アルミナを添加)の概観写真および組織写真
【図12】ポリスチレン樹脂多孔体(氷結晶粗大化抑制剤 タルクを添加)の概観写真および組織写真
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。もちろん、以下の説明は、発明の趣旨をより良く理解可能とするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0018】
以下、本発明の多孔体の製造方法を具体的に説明する。
【0019】
ゲル化可能な水溶性高分子としては、乾燥や解凍の工程の途中において、凍結以前の組織構造に戻らない非可逆的ゲル化高分子が用いられる。このゲル化可能な水溶性高分子、つまり非可逆的ゲル化高分子は、いわゆる「ゲル化剤」として機能する。
【0020】
このようなゲル化可能な水溶性高分子について具体的に例示すると、例えば、N−アルキルアクリルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、ポリエチレンイミン、でんぷん、カルボシキメチルセルロース、ゼラチン、ヒドロシキメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、寒天、ポリエチレンオキシドが使用可能である。もちろん本発明において必要な水溶性高分子としての条件は、一度ゲル化した後、解凍及び乾燥工程で液状に戻らない非可逆性のゲルであることであり、このような高分子であれば、特に上記のものに限定されるものではない。
【0021】
また、使用可能な粉体としては、フェノール、アクリル、ポリスチレン、6ナイロン、66ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、テフロン(登録商標)をはじめとする樹脂粉体または金属が例示される。これらの原料粉体の粒径は、原料粒子の直径として定義され、一般的に平均粒径とは顕微鏡等を用いた観察により粒子直径の平均値を求めたものであるが、0.1μm〜300μm程度が望ましい。特に望ましくは1μm〜100μmである。これは水中に均一に分散させることが目的であるためである。これより大きな粒子であれば分散性が悪く、ゲル化中に沈降してしまう可能性があるため望ましくない。本発明は、出発原料の種類に依存せずに高気孔率の多孔体を製造することを目的としているため、水に溶解しない原料粉体であれば特に制限されるものではない。
【0022】
そして本発明の方法において特徴とされる氷結晶粗大化抑制剤としては、凍結時に氷結晶の粗大化を抑制できる電解質性の物質が挙げられる。具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸カリウム水和物、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、リン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム水和物、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム水和物、リン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸、酸素、ギ酸、リン酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、硫酸、硝酸、塩酸、アンモニア、単糖類、二糖類、シランカップリング剤など、よく知られた安価な電解質が使用可能である。また、これら以外にも、熱伝導に優れる粉体を原料樹脂粉体と複合化することにより氷結晶成長粗大化を抑制することもできる。例えば、セラミックス、ダイアモンド、炭素、金属などを樹脂と複合化することにより、氷結晶粗大化抑制の効果を得ることが出来る。本手法に必要な条件としては氷結晶粗大化を抑制可能な電解質性の物質、あるいは熱伝導に優れる他の素材を複合化させることであり、目的を逸脱しない限り特に上記に限定されるものではない。
【0023】
本発明の多孔体の製造方法においては、前記粉体の熱伝導率に応じて上記の氷結晶粗大化抑制剤のうちの適宜なものを選択することが考慮される。
【0024】
本発明の多孔体の製造方法においては、ゲル状成形体とするために、原料粉体の含有量を1〜50体積%、水および氷結晶粗大化抑制剤の含有量を45〜98体積%、ゲル化剤の含有量を1〜5体積%とするのが好ましい。原料粉体の含有量が1〜50体積%とすると、製造される多孔体の気孔率は50〜99体積%と高気孔率化が可能であり、かつ強度を確保することが出来る。また、水および氷結晶粗大化抑制剤の含有量が45〜98体積%で、ゲル化剤の含有量が1〜5体積%である理由は、ゲル化を達成でき、凍結時に氷が形成しゲル体から分離可能であり、氷結晶同士が互いに接触可能なため最終的に連通孔が得られるためである。
【0025】
氷結晶粗大化抑制剤の電解質性物質の含有量としては、使用する水の100重量部に対して1ppm以上10%以下が望ましい。更に望ましくは1ppm以上1%以下である。これは1重量%以下と極微量であっても氷結晶粗大化抑制に十分な効果が得られるためである。このような効果が得られる理由としては、一般的に氷の結晶成長は温度、濃度、不純物が大きく関与する。このうち、本発明のゲル体を凍結する際に、温度および水分量(水分濃度)は一定であるため、不純物が関係することになる。そのため、1重量%以下と極微量の電解質濃度であっても、水に溶解している電解質物質や気体が氷結晶の成長を抑制することができるためである。一方、樹脂を原料粉体に用いて高熱伝導に優れる粉体を複合化させ氷結晶粗大化抑制する粉体としては、セラミックス、ダイアモンド、炭素、金属が挙げられるが、使用する原料粉体の100重量部に対して、1%以上70%以下が望ましい。また、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルのような0.2W/(m・K)以下の特に低熱伝導の樹脂粉体を利用する場合は、樹脂粉体に対し10重量%以上50重量%以下が望ましい。これは、10〜50重量%と大量に添加しなければ氷結晶粗大化抑制の効果が得られないためである。また、セラミックス、ダイアモンド、炭素、金属粉末の添加により氷結晶を抑制することに加え、機能性を付与することも可能である。たとえば、添加物により熱伝導、導電性、強度、耐熱性、磁性、触媒、光学、吸着、吸音、研削、反応場などの機能を多孔体に付与することが可能である。
【0026】
上記記載のゲル化剤、原料粉体、水、氷結晶粗大化抑制剤を混合してゲル体を作製する。本発明におけるゲル化とは、以上のスラリー溶液が流動性を失い湿潤ゲル体になることである。ゲル体を作製するには、まず、原料粉体と氷結晶粗大化抑制剤を含む水とを混合してスラリーとし、これにゲル化剤を添加して、上記した体積%となるようにスラリーを調整する。そして、このスラリーを鋳型に流し込み、ゲル化させる。鋳型を最終製品形状にしておけば複雑形状化や加工が簡略化できるので好ましい。
【0027】
ゲル化の温度と時間は、使用するゲル化剤によって決定することができる。例えば、1℃以上90℃以下の温度で、15分以上10時間以内とすることができる。例えば、メチルセルロースを用いた場合は、50℃以上90℃以下の温度で加熱した後、50℃で2時間以上静置することによりゲル化させることができる。寒天を用いた場合は、50℃以上90℃以下の温度で加熱した後、室温で2時間以上静置することによりゲル化させることができる。また、ポリエチレンイミンの場合は、50℃以上60℃以下の温度で、1時間以上2時間以内静置することによりゲル化させることができる。さらに、ゼラチンの場合は、40℃以上60℃以下の温度で加熱した後、5℃で10時間静置することによりゲル化させることができる。以上のゲル化の工程は、酸素を除した雰囲気、窒素雰囲気、湿度調整など高価な設備や特殊な操作は必要なく、大気下、室温付近でのゲル化が可能である。
【0028】
ゲル体の凍結時にはゲル体外部から冷却を進行させ、ゲル体の表面から内部に向かって氷結晶を形成させると、最終多孔体の内部に配向性がよく、連通性に優れた細孔を付与することができる。表面から内部に向かって氷を形成させることが目的であるため、試料の外部から冷却が可能な多種多様の凍結方法を適用することが可能である。例えば、凍結装置としては、冷凍庫、アルコールバスなど試料外部から冷却が可能な公知の方法を用いればよく、これらを単独で又は複数種適用することができる。
【0029】
水溶性ポリマーの種類によっては、−10℃以上では凍結しないため、凍結温度は、−10℃以下が好ましい。凍結成形体を作製するための凍結温度は、ゲル体中の水が凍結する温度であれば特に限定されるものではない。ゲル成分を含むことで凝固点降下現象が生じるため、氷は−5℃以下で生成する。そのため凍結温度を氷の生成温度領域よりも低くして、効果的に凍結を進めるため−10℃以下にすることが好ましい。また、凍結時間は凍結温度とゲル体の寸法に依存する。例えば、−10℃以下で30分以上3時間以内とすることができる。1mmの高さがあるゲル体を−10℃で凍結させる場合は、20分で氷結晶が試料上部(1mm)まで成長し凍結を完了させることができる。また、1cmの高さがあるゲル体を−10℃で凍結させる場合は、50分で氷結晶が試料上部(1cm)まで成長し凍結を完了させることができる。更に、5cmの高さがあるゲル体を−10℃で凍結させる場合は、2時間で氷結晶が試料上部(5cm)まで成長し凍結を完了させることができる。
【0030】
次に凍結体から氷を除去し、乾燥し、熱処理をする。凍結成形体中に形成された氷結晶を除去すれば、除去された部分が細孔となるため、凍結状態の原料粉体の骨格構造を崩さないようにして氷のみを除去することが重要である。即ち、寸法変化が少なく試料の破壊の恐れが少ない氷の除去方法が望ましい。
【0031】
寸法変化や試料破壊の恐れが少ない乾燥方法としてフリーズドライ法を用いた解凍法を用いることができる。すなわち、真空ないしは減圧下で、凍結体中の氷を直接昇華させ、氷のみを除去する方法である。この方法は、氷の融解に伴い水が移動して成形体表面から蒸発することがない。
【0032】
乾燥後の熱処理には、一般的には、粉体の種類等に応じて、得られる多孔体の強度を確保する目的から、加熱温度や加熱時間を定めることができる。例えば、アクリル系の樹脂粉体を利用した場合は、約200℃、30分程度の熱処理が望ましい。ポリエチレン、ポリプロピレンの場合は約100−130℃、30分程度が望ましい。また、6ナイロン、66ナイロンの場合は、約180−200℃、30分程度、更にはポリスチレンの場合は約150−190℃、30分程度が望ましい。以上の熱処理温度は、緻密な部材を成形する際の熱処理温度と比べて高い。これは高気孔率の多孔質成形体の熱伝導が、極めて低いためである。従って、記載した熱処理温度のように融点の5割以上9割以下の温度で熱処理しなければ、強度ある多孔体を得ることができない。また、熱処理では、使用する原料粉体及び目標とする気孔率によって、温度、時間は適宜調整する必要がある。
【0033】
従来、凍結を用いた高分子樹脂多孔体の成形法としては、有機モノマーおよび粘土鉱物を用い、酸素を除した雰囲気で製造しなければならなく、粘土鉱物を除した所望の高分子樹脂単体からなる多孔体の製造は不可能であった。加えて、従来の手法では10μm以上の細孔径を細かに制御することが出来なかった。また、従来のゲル化凍結法では氷の熱伝導率が樹脂粉体に比べ高いため、氷結晶が優先的に成長することで氷結晶の粗大化が起こり、氷結晶が細孔となるため粗大な細孔が形成する問題点があった。更には、延伸法や溶媒抽出による相分離法では高気孔率かつ均一な細孔径を有する多孔体を付与することは不可能であった。本発明の高分子樹脂多孔体製造方法によれば、ゲル化剤と氷結晶粗大化抑制剤との組み合わせを用いることで、はじめて以上の問題点を一体的に解決することができ、高気孔率かつ細孔径分布が均一な多孔体を提供することが可能になった。
【0034】
また、本発明は、各種の原料粉体に適用可能であり、フィルター、吸着剤、消臭剤、リアクター、ディフューザー、衝撃吸収材、加工用部材、軽量材、固体触媒、断熱材、生体材料、など汎用的な用途に幅広い応用が可能である。
【実施例】
【0035】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、種々の粉体に対して有用であり、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<比較例>
フェノール樹脂粉体(昭和高分子製 BRP8552、平均粒径5μm)を10vol%、蒸留水87vol%を混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。ゲル化を確認した後、鋳込み型ごと凍結槽(トーマス科学機器(株) TRL−080II−LM型)で−40℃にて1時間冷却した。凍結体を鋳込み型からはずし、フリーズドライ装置(東京理科器械 FDU−2100凍結乾燥機)で12時間乾燥した。その後、温風乾燥機を用いて最高140℃で30分間熱処理した。本実施例で作製したフェノール樹脂多孔体の概観写真を、図1に示す。
<実施例1>
フェノール樹脂粉体(昭和高分子製 BRP8552、平均粒径5μm)を10vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高140℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのフェノール樹脂多孔体の概観写真を図2に示す。
<実施例2>
アクリル粉体(三菱レイヨン株式会社製、平均粒径:8μm)を10vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高90〜100℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのアクリル多孔体の概観写真を図3に示す。
<実施例3>
ポリスチレン粉体(日本ポリスチレン株式会社製、平均粒径:57μm)を10vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高130℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのポリスチレン多孔体の概観写真を図4に示す。
<実施例4>
ポリスチレン粉体(日本ポリスチレン株式会社製、平均粒径:57μm)を10vol%、氷結晶粗大化抑制剤としてナトリウムイオン(0.9%)、カリウムイオン(0.1%)、カルシウムイオン(0.8%)、マグネシウムイオン(0.1%)の各イオンを蒸留水に溶解させ、これを87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高130℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのポリスチレン多孔体の概観写真を図5に示す。
<実施例5>
ナイロン粉体(東レ株式会社製、平均粒径:45μm)を10vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高150℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのナイロン多孔体の概観写真を図6に示す。
<実施例6>
ナイロン粉体(東レ株式会社製、平均粒径:45μm)を30vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを67vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高150℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのナイロン多孔体の概観写真を図7に示す。
<実施例7>
ナイロン粉体(東レ株式会社製、平均粒径:45μm)を50vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸、クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムを用いて蒸留水に溶解させ、これを47vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高150℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体としてのナイロン多孔体の概観写真を図8に示す。
【0036】
<評価>
(1)気孔率
作製した熱処理体の開気孔率の例を表1にまとめて示す。気孔率は寸法と重量から密度を算出し、粉体の密度で除することで算出した。この値は、アルキメデス法とよく一致していた。また、いずれの試料も閉気孔は1%以下であった。閉気孔とは何れの細孔とも連通していない細孔を意味し、
全気孔率=(開気孔率) + (閉気孔率)
の計算により算出される。
【0037】
【表1】

【0038】
(2)組織・構造
図1に示されるように、蒸留水より氷結晶を作製した場合は、試料に多数の亀裂状の欠陥が観られた。これらの氷結晶由来の欠陥は、平均すると長さ3.4mm、幅300μmの寸法を有していた。氷結晶は樹脂粉体に比べ熱伝導率が高く、そのため氷結晶が自由に成長したものと考えられる。しかしながら、図2〜図6で示されるように、本発明で見出した氷結晶粗大化抑制剤を含む蒸留水を細孔源に用いることにより、氷結晶の自由成長が抑制されるため亀裂状の欠陥が生じることはなかった。
【0039】
氷結晶の成長抑制と、細孔の状態を更に観察するためSEM観察を行った。図9に実施例2で得られた多孔体のSEM写真を示す。凍結方向に沿って、非常に配向性の良いセル状細孔が観察された。凍結により氷結晶が成長する際、含まれている粉体が成長する氷結晶の側面に押し退かされたため、このような形状となったと考えられる。こうした構造は、鋳型に接する面を除いて、試料の底部から上部まで全体に観察された。氷の樹枝状構造は観られなかった。次に、垂直方向に破断した微細構造を観察すると、ハニカム状の微細構造が観察された。この構造も鋳型と接する部位を除いてサンプル全体に観察され、フォーム、相分離、延伸法などの手法では観られない特徴的な構造であった。
【0040】
細孔径を楕円の面積と同じ面積を持つ円の直径である相当円直径として算出したところ、平均43±9μmであった。細孔の平均アスペクト比(長径/短径)は、平均1.3であった。特許文献3に記載のセラミックスの場合では細孔のアスペクト比は少なくとも1.5であり、本発明の手法では若干細孔のアスペクト比が低下している。これは、氷結晶粗大化抑制剤の効果であり、氷の自由な結晶成長を妨げている結果であると考えられる。
<実施例6>
ポリスチレン粉体(日本ポリスチレン株式会社製、平均粒径:7μm)を7vol%、氷結晶粗大化抑制剤として炭化ケイ素(イビデン株式会社、ultrafine)を3vol%用いて蒸留水に溶解させ、蒸留水を87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高130℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体のポリスチレン多孔体の概観写真を図10に示す。
<実施例7>
ポリスチレン粉体(日本ポリスチレン株式会社製、平均粒径:7μm)を7vol%、氷結晶粗大化抑制剤としてアルミナ(昭和電工株式会社製、AL160SG4)を3vol%用いて蒸留水に溶解させ、蒸留水を87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高130℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体のポリスチレン多孔体の概観写真を図11に示す。
<実施例8>
ポリスチレン粉体(日本ポリスチレン株式会社製、平均粒径:7μm)を7vol%、氷結晶粗大化抑制剤としてタルク(和光純薬株式会社製)を3vol%用いて蒸留水に溶解させ、蒸留水を87vol%として樹脂粉体と混合してスラリーを作製し、これにゼラチン粉末(和光純薬株式会社製、3vol%)を添加し、スラリーのゲル化を行った。次に、ゲル化したスラリーの入った型を−40℃に冷却したエタノールバスに入れ凍結した。凍結後に、氷をフリーズドライ装置により除去し、温風乾燥機を用いて最高130℃で30分間熱処理した。本実施例で作製した樹脂多孔体のポリスチレン多孔体の概観写真を図12に示す。
【0041】
図8〜10に示すように、電解質ではないセラミックス粉体を用いても氷結晶粗大化抑制効果が観られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化可能な水溶性高分子と、水に可溶でない粒径0.1μm〜300μmの粉体を1〜50体積%分散させたスラリーをゲル化、凍結させ、その際に生じる氷結晶を細孔源とし、その後、凍結体から氷を除去することで得られた乾燥体を熱処理する多孔体の製造方法であって、氷結晶粗大化抑制剤をスラリー中に添加することを特徴とする多孔体の製造方法。
【請求項2】
氷結晶粗大化抑制剤として、300μm以上のサイズの氷結晶の自由成長を抑制させる抑制剤を用いることを特徴とする請求項1記載の多孔体の製造方法。
【請求項3】
上記氷結晶粗大化抑制剤が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、リン酸イオン、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン、あるいは炭酸、酸素、単糖類、二糖類、シランカップリング剤、炭化ケイ素、アルミナ、またはタルクの少くともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の多孔体の製造方法。
【請求項4】
ゲル化可能な水溶性高分子として、乾燥中に凍結以前の組織に戻らない非可逆的ゲル化高分子を用い、この水溶性高分子と氷結晶粗大化抑制剤とが水系溶媒内で溶解しあうことを特徴とする請求項1記載の多孔体の製造方法。
【請求項5】
前記ゲル化可能かつ水系溶媒内で氷結晶粗大化抑制剤と溶解しあうゲル化可能な水溶性高分子が、N−アルキルアクリルアミド系高分子、N−イソプロピルアクリルアミド系高分子、スルホメチル化アクリルアミド系高分子、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド系高分子、ポリアルキルアクリルアミド系高分子、アルギン酸、ポリエチレンイミン、でんぷん、カルボシキメチルセルロース、ゼラチン、ヒドロシキメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、寒天、またはポリエチレンオキシドの少くともいずれかであることを特徴とする請求項4記載の多孔体の製造方法。
【請求項6】
粉体が、フェノール、アクリル、ポリスチレン、6ナイロン、66ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、またはテフロン(登録商標)の少くともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の多孔体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の方法によって製造された多孔体であって、気孔率が50%〜99%であり、閉気孔が5%未満あり、細孔サイズが10μm〜300μmであり、細孔の平均アスペクト比が少なくても1.3であり、300μm以上の氷結晶粗大化に起因する欠陥を含まないことを特徴とする多孔体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−38072(P2011−38072A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48110(P2010−48110)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】