多室包装袋、及びその製造方法
【課題】異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率が高い多室包装袋、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部1と、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部5L,5Rが交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部2と、前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部3とを有することを特徴とする、多室包装袋である。
【解決手段】可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部1と、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部5L,5Rが交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部2と、前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部3とを有することを特徴とする、多室包装袋である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋の内部に複数の小室を有する多室包装袋、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め、異なる種類の内容物を1つの袋内で配合させておくと、経時的に内容物の状態に変化が生じてしまうような内容物については、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することが好ましく、このような内容物の充填に適する袋として、複数の小室(多室)を備えた多室包装袋が提案されてきた。
【0003】
さらに、近年では、こうした機能を備えた多室包装袋において、折り畳んだ状態の袋のサイズ(面積)と比べて、袋に内容物を収容した際の袋の拡張の程度(充填量、有効容積)が高い、すなわち、内容物の収容効率が高い機能が付加された多室包装袋が、使用用途の広さから市場から求められている。
【0004】
多室包装袋の技術分野においては、様々な改良が重ねられ、例えば、特許文献1では、主収納室と主収納室と連結可能な副収納室、及び主収納室と副収納室を隔離する剥離性シール部等からなる仕切部とを有する多室パウチが開示されている。当該多室パウチは、使用時に圧をかけることによって、仕切部を開封し、パウチ内で各内容物を混合させることができる機能を有することが記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された多室パウチにおいては、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる機能は有するものの、内容物の収容効率を高めるための検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−227841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率が高い多室包装袋、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、ガゼット形状の側部が有する外凸部に、包装袋内の室間を仕切る仕切り部を配置させることにより、袋の前後方向に小室が並設され、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率を高くすることができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち本発明の多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、多室包装袋である。
【0010】
本発明の多室包装袋において、前記一対の側部の外凸部間の幅寸法が、前記平面部の幅寸法と同等又はそれ以上とする形態であることが好ましい。
【0011】
本発明の多室包装袋は、前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部が、平面部と側部の間に挟まれて位置されている形態とすることができる。
【0012】
本発明の多室包装袋は、前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士とがシールされている形態とすることができる。
【0013】
本発明の多室包装袋において、前記他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士のシールが、剥離可能なシールであってもよい。
【0014】
本発明の多室包装袋において、前記多室包装袋に、注出具が取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明の内容物充填体は、上記した本発明の多室包装袋に内容物が充填されてなる内容物充填体である。
【0016】
本発明の多室包装袋を製造する方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする多室包装袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
上記の如き本発明によれば、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率が高い多室包装袋、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる多室包装袋を構成する各部材(平面部1、側部2、及び仕切り部3)の位置関係を示す斜視図である。
【図2】図2A〜Cは、側部2のガゼット形状のバリエーションを示す横断面図である。
【図3】図3A〜Cは、本発明の多室包装袋において、仕切り部の側縁部と側部の外凸部との配置、及び、平面部の側縁部と側部の側縁部との配置を示す横断面図である。
【図4】図4Aは、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101を示す斜視図であり、図4Bは、図4AのAA断面図である。
【図5】図5は、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図である。
【図6】図6Aは、本発明の第三の実施形態にかかる多室包装袋103を示す斜視図であり、図6Bは、図6AのAA断面図である。
【図7】図7Aは、本発明の第四の実施形態にかかる多室包装袋104を示す斜視図であり、図7Bは、図7AのAA断面図である。
【図8】図8Aは、本発明の第五の実施形態にかかる多室包装袋105を示す斜視図であり、図8Bは、図8AのAA断面図である。
【図9】図9は、本発明の第六の実施形態にかかる多室包装袋106を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第七の実施形態にかかる多室包装袋107を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第八の実施形態にかかる多室包装袋108を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第九の実施形態にかかる多室包装袋109を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の第十の実施形態にかかる多室包装袋110を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第十一の実施形態にかかる多室包装袋111を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の第十二の実施形態にかかる多室包装袋112を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の第十三の実施形態にかかる多室包装袋113を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の第十四の実施形態にかかる多室包装袋114を示す断面図である。
【図18(1)】図18A〜Cは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【図18(2)】図18D〜Eは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【図18(3)】図18F〜Gは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋の平面部1、側部2、及び仕切り部3を構成する可撓性フィルムは、一般に袋の製造に用いられる可撓性フィルムであれば、特に限定されず、例えば、単層フィルムであってもよく、最外層となる基材層、中間層、及び最内層となるシーラント層など複数の層からなる積層フィルムであってもよい。
【0021】
基材層は、袋の最外層を形成し、印刷適性、耐ピンホール性、及び耐衝撃性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸又は二軸延伸フィルム、並びに、これらの延伸フィルムを積層したもの等が挙げられる。
【0022】
これらの延伸フィルムに、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合、基材層の材質としては、例えば、アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させた蒸着フィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたコートフィルム;等を用いることもできる。また、紙やセロファン等も用いることができる。
【0023】
中間層は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0024】
シーラント層は、袋の最内層を形成し、ヒートシールが可能な層であることが好ましい。シーラント層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及びアイオノマー樹脂等からなる未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0025】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されず、例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層してフィルムを形成する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。また、その他のラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。
【0026】
また、平面部1、側部2の最内層を構成する材料は、それぞれをヒートシールにより貼り合わせる観点から、ヒートシール性の同質材料であることが好ましい。
ここで「ヒートシール性の同質材料」とは、加熱により熱融着し、接合が可能な特性を有する材質のことをいう。
さらに、仕切り部3においては、図1に示すように、仕切り部の側縁部3sを側部2の外凸部5に挟むように配置する場合や、仕切り部の上端部3t及び下端部3bを一対の平面部1,1の両方と貼り合わせる場合、すなわち、仕切り部3の両面において、側部2の外凸部5あるいは一対の平面部1,1が貼り合わされている場合には、仕切り部3の両最外層は、共にヒートシールが可能な層であることが好ましい。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる多室包装袋を構成する各部材(平面部1、側部2、及び仕切り部3)の位置関係を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の多室包装袋は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部1,1と、ガゼット形状を有する一対の側部2,2と、一対の平面部1,1の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その側縁部3sが側部2の外凸部5に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部3から構成される。包装袋を構成する各部材は、いずれも可撓性フィルムで形成されており、折り曲げ加工することが可能である。
【0029】
側部2は、包装袋の内方に向けて突出する内凸部4と袋の外方に向けて突出する外凸部5が交互に形成され、且つ、内凸部4の数が外凸部5の数よりも1つ多いガゼット形状を有する。
ここで「内凸部」とは、包装袋の内方に向けて横断面V字状に折り込みができる折線部又はその近傍のことをいい、一方、「外凸部」とは、袋の外方に向けて横断面V字状に折り返しができる折線部又はその近傍のことをいう。
【0030】
本発明の多室包装袋において、一対の側部2,2の外凸部5間の幅寸法W2は、特に限定されず、平面部の幅寸法W1と同等又はそれ以上であってもよいが、袋の拡張性を向上させて、内容物の収容効率を高める観点から、図1に示すように、外凸部5間の幅寸法は、平面部1の幅寸法よりも大きい幅寸法であることが好ましい。
ここで「一対の側部の外凸部間の幅寸法」とは、側部2の一方の外凸部5から、当該側部2の他方の外凸部5に達するまでの幅寸法のことをいう。また、「平面部の幅寸法」とは、平面部1の一方の側縁部1sから、当該平面部1の他方の側縁部1sに達するまでの幅寸法のことをいう。
【0031】
図1に示す例では、外凸部5,5間の幅寸法W2が、平面部1の幅寸法W1より長い形状である。この例における仕切り部3は両側縁部3sを外凸部5,5に位置させているため、仕切り部3の幅寸法W3は、外凸部5,5間の幅寸法W2に相当する長さを有している。
【0032】
図1に示す例では、一対の平面部1,1、一対の側部2,2、及び仕切り部3は、それぞれ別個独立の部材であるが、これらの部材の2つ以上が連続した展開形状を有する1枚の可撓性フィルムが折り曲げられたものでもよい。
例えば、一対の平面部1,1と一対の側部2,2が連続した展開形状を有する可撓性フィルムが折り曲げられ、一対の平面部1,1となる部分と一対の側部2,2となる部分が区画されたものでもよい。
【0033】
図2A〜Cは、側部2のガゼット形状のバリエーションを示す横断面図である。
側部2のガゼット形状としては、例えば、図2Aに示されるように、一対の内凸部4の間に外凸部5を1つ有し、単一のマチを備えるものを例示できる。
図2Aの他に、図2B及び図2Cに示されるように、内凸部4と外凸部5とを交互に形成し、且つ、外凸部5を2つ以上有し、最初と最後の折り込みが内凸部4となる複数のマチを備えるものであってもよい。
本発明において、側部2の外凸部の折り返し部5bの深さは、特に限定されないが、包装袋の内容量に応じた深さを有する。
【0034】
側部2は、1枚の可撓性フィルムが折り曲げられた上記のようなガゼット形状の他に、2枚以上の可撓性フィルムの端縁同士が接合された上記のようなガゼット形状であってもよい。
【0035】
図3A〜Cは、本発明の多室包装袋において、仕切り部の側縁部3sと側部の外凸部5との配置、及び、平面部の側縁部1sと側部の側縁部2sとの配置を示す横断面図である。
仕切り部3は、一対の平面部1,1の間に配置され、且つ、その側縁部3sが、側部2の外凸部5に位置している。
ここで「仕切り部の側縁部3sが、側部2の外凸部5に位置する」とは、仕切り部の側縁部3sが外凸部5の折れ線に直接接するように位置することを指していう他に、仕切り部の側縁部3sが外凸部5の折れ線に直接は接しないが、外凸部5の近傍に位置することも指していう。また、仕切り部の側縁部3s付近が折り曲げられた場合には、その折曲基部3s1が外凸部5の折れ線に直接接するように位置することを指していう他に、その折曲基部3s1が外凸部5の折れ線に直接は接しないが、外凸部5の近傍に位置することも指していう。
【0036】
仕切り部の側縁部3sの配置としては、仕切り部の側縁部3sが外凸部5に位置されていれば特に限定されない。
例えば、図3Aに示されるように、仕切り部の側縁部3sの両面と外凸部5の折れ線付近の相対する面とがそれぞれシールされて、仕切り部3が一対の平面部1,1の間に介在するように配置されていてもよい。
また、図3B及び図3Cに示されるように、仕切り部の側縁部3sの片面と外凸部5の折れ線付近の相対する面とがシールされて、仕切り部3が一対の平面部1,1の間に介在するように配置されていてもよい。
【0037】
なお、本発明において、側部2の外凸部5に配置される仕切り部3の枚数は、特に限定されないが、袋の前後方向に並設させたい小室の数に応じて適宜選択することができる。
仕切り部3を2枚以上用いる場合には、袋の前後方向に3つ以上の小室を並設させることができる。
例えば、仕切り部3が2枚以上用いられ、且つ、側部2の外凸部5が2つ以上設けられている場合には、2枚以上の仕切り部の側縁部3sが、同一の外凸部に配置されていてもよいし、それぞれ異なる外凸部に配置されていてもよい。
【0038】
図4Aは、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101を示す斜視図であり、図4Bは、図4AのAA断面図である。
なお、図4Bに示される断面図は、図4Aに示される斜視図をAAの断面で切断し、矢印方向から観た図を意味する。
以下、図6〜図17に示される断面図は、それぞれの包装袋に関して、図4Bに示される断面図と同様の意味で使用する。
【0039】
本発明の多室包装袋101は、図1に示される部材が、充填口とする上端縁を除く端縁に沿って、それぞれ相対する面同士がシールされ、袋の前後方向に各小室9X,9Yが並設された多室包装袋の実施形態である。
多室包装袋101において、仕切り部の一方の側縁部3sL及び他方の側縁部3sRは、一対の側部2,2のそれぞれの外凸部5L,5Rに位置するものである。
【0040】
本発明の多室包装袋に内容物を充填し、内容物充填体として内容物を排出する際には、当該包装袋の隅部において内容物が残留し易くなるため、内容物を隅部に溜めない観点から、本発明の多室包装袋の下端側には、図4Aに示されるような斜行シール部15が形成されていることが好ましい。
【0041】
斜行シール部15は、包装袋の下端側の四隅部及び側部2の両外凸部において、袋内の相対する内面同士を、仕切り部の側縁シール部6及び平面部の側縁シール部7の所定位置から平面部の下端シール部8の所定位置に渡って、斜め形状にシールして形成されるものである。
【0042】
図5は、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図である。
本発明の内容物充填体102は、図4に示される多室包装袋101において、開放された各小室9X,9Yに、上端側から異なる種類の内容物X,Yがそれぞれ充填され、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tの間に挟み込まれた状態で、仕切り部の上端部3tに沿って、各平面部の上端部1tと仕切り部の上端部3tとを一体化して、袋を液密又は気密の状態に封止してできる実施形態である。
【0043】
図6Aは、本発明の第三の実施形態にかかる多室包装袋103を示す斜視図であり、図6Bは、図6AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋103は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い仕切り部を有し、仕切り部の一方の側縁部3SLは、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SRは、その片面と、これに相対する平面部1の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
多室包装袋103は、図6A及び6Bに示されるように、当該仕切り部3により袋の前後方向において、容量体積が比較的大きい小室9Xと、容量体積が比較的小さい小室9Yの計2つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Yに異なる2種の内容物X,Y,を充填することが可能である。
【0044】
ここで、仕切り部の他方の側縁部3SRの片面と、これに相対する平面部1の内面とのシールは、他のシール部分と同様の剥離し難いシール強度でシールされていてもよいが、図6Aに示されるように、剥離可能なシール強度でシールされた剥離性シール部12が形成されていてもよい。
【0045】
また、剥離性シール部12のシール強度は、内容物が充填された袋を、手や掌で押圧したときに、剥離性シール部12が容易に剥離される強度であれば、特に限定されないが、5.0〜15.0N/15mm程度とすることが好ましい。
【0046】
ここで、「N/15mm」とは、15mm幅の剥離性シール部12を常温でT形剥離させるのに必要な強度を意味し、シール強度は、JIS Z 0238:1998に基づいて測定される。
【0047】
これに対して、剥離性シール部12以外の他のシール部のシール強度は全て、包装袋を密封し、且つ、剥離性シール部12のシール強度より強く手や掌の押圧に耐え得る強度でシールされている。
【0048】
仕切り部の側縁部のシールが、剥離可能なシールの場合、袋の使用時に、手や掌で押圧することで、袋の内圧が上昇して、その圧力が多室内の内容物に伝達されて、剥離力として作用し、剥離性シール部12が容易に剥離されて、一方の小室の内容物が他方の小室に流入する経路が与えられ、各小室に収納されていた異なる種類の内容物を混合させることができる。
【0049】
図7Aは、本発明の第四の実施形態にかかる多室包装袋104を示す斜視図であり、図7Bは、図7AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋104は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ仕切り部を有し、仕切り部の一方の側縁部3SLは、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SRは、平面部の側縁部1sRと側部の側縁部2sRとの間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sRに沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
多室包装袋104は、図7A及び7Bに示されるように、当該仕切り部3により袋の前後方向において、容量体積が比較的大きい小室9Xと、容量体積が比較的小さい小室9Yの計2つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Yに異なる2種の内容物X,Y,を充填することが可能である。
【0050】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋においては、手指による袋の開封を容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、開封補助手段13を設けることが好ましい。
開封補助手段13として、図5には「切り欠き」を図示したが、これに限定されるものではない。「切り欠き」の他には、例えば、仕切り部の側縁シール部6及び平面部の側縁シール部7上に設ける場合は、粗面、及び傷痕等の形状が代表的に挙げられる。また、平面部の内面に包装袋の側部から側部へ横断するようにテープが配置され、そのテープの端部には外面から摘むことが可能なつまみを有している形状でもよい。
【0051】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋においては、充填された内容物の取り出しを容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、袋に注出口となる注出具14が取り付けられていてもよい。
【0052】
図8Aは、本発明の第五の実施形態にかかる多室包装袋105を示す斜視図であり、図8Bは、図8AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋105は、図4に示される多室包装袋101において、各小室9X,9Yに1つずつ注出具14が取り付けられた実施形態であり、内容物X,Yをそれぞれ別々に注出可能である。
【0053】
注出具14の形状は、内容物や用途により異なり、特に限定されない。
注出具14は、口部として直接飲用する用途として用いるなど食品用のスパウトだけでなく、様々な分野における種々の形状のものを用いてよく、例えば、医療用のゴム栓を押し込んで又は被せて閉鎖する形状の注出具であってもよい。
内容物を一度に全部使い切らない場合には、注出具14の開口部を閉止させる機構を有するキャップを具備させることもできる。
注出具を形成する場所も特に制約されず、例えば、包装袋の側部或いは下端部近傍に、袋内に存在するいずれかの小室に通ずる注出具を取り付けてもよい。
【0054】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋の内容物としては、特に限定されない。例えば、第一の実施形態にかかる実施形態101、第四の実施形態にかかる実施形態104、第五の実施形態にかかる実施形態105に充填させる、異なる種類の内容物としては、混合せずに同時に使用するものが好ましい。例えば、マスタードとケチャップ、マーガリンとジャムなどの流動性物質同士の組み合わせ、砂糖とクリームなどの流動性物質と固形物の組み合わせ、または個包装された固形物同士の組み合わせが挙げられる。
【0055】
また、第三の実施形態にかかる実施形態103に充填させる、異なる種類の内容物としては、予め混合させておくと経時的に内容物が変化し、品質劣化を招いてしまうため使用直前に混合するものや、使用直前に混合した方が美味であるものなどが好ましい。例えば、豆乳と凝固剤、用事混合する医療用輸液などの流動性物質同士の組み合わせ、ドレッシングとゴマや粉チーズ、水と茶粉などの流動性物質と固形物の組み合わせが挙げられる。
【0056】
これまで述べてきた発明の第一乃至第五の実施形態の多室包装袋は、2つの小室を有するものであったが、本発明においては、仕切り部3の枚数や幅寸法、及び側部2のガゼットの形状を適宜変更することで、3つ以上の小室を有する多室包装袋を容易に設計することができる。
以下、3つ以上の小室を有する多室包装袋について述べる。
【0057】
図9は、本発明の第六の実施形態にかかる多室包装袋106を示す断面図である。
本発明の多室包装袋106は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の他方の側縁部3sR1及び3sR2は、もう一方の側部の同一の外凸部5Rに位置していること以外は、本発明の第一の実施形態と同様である。
多室包装袋106は、図9に示されるように、当該2枚の仕切り部3−1,3−2により袋の前後方向において、側部2にマチを有する小室9X,9Yと、当該2つの小室9X,9Yの間には側部2にマチを有さない平袋状の小室9Zの計3つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Y,9Zに異なる3種の内容物X,Y,Zを充填することが可能である。
【0058】
図10は、本発明の第七の実施形態にかかる多室包装袋107を示す断面図である。
本発明の多室包装袋107は、一対の側部2,2が、内凸部4と外凸部5とを交互に形成し、且つ、外凸部5を2つ有し、最初と最後の折り込みが内凸部4となるガゼット形状であって、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、それぞれ各外凸部5L1,5L2に1枚ずつ位置し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の他方の側縁部3sR1及び3sR2は、それぞれ各外凸部5R1,5R2に1枚ずつ位置していること以外は、本発明の第一の実施形態と同様である。
多室包装袋107は、図10に示されるように、当該2枚の仕切り部3−1,3−2により袋の前後方向において、側部2にマチを有する小室9X,9Y,9Zの計3つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Y,9Zに異なる3種の内容物X,Y,Zを充填することが可能である。
【0059】
図11は、本発明の第八の実施形態にかかる多室包装袋108を示す断面図である。
本発明の多室包装袋108は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SR1は、その片面と、これに相対する平面部1−1の内面とがシールされ、且つ、仕切り部の他方の側縁部3SR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部の他方の側縁部3SR1,3SR2の片面と、これに相対するそれぞれの平面部1−1,1−2の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0060】
図12は、本発明の第九の実施形態にかかる多室包装袋109を示す断面図である。
本発明の多室包装袋109は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3sR1は、平面部の側縁部1sR1と側部の側縁部2sR1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR1に沿ってシールされ、且つ、仕切り部の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0061】
図13は、本発明の第十の実施形態にかかる多室包装袋110を示す断面図である。
本発明の多室包装袋110は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する仕切り部3−1の片面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2の片面と、これに相対する仕切り部3−1の片面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0062】
図14は、本発明の第十一の実施形態にかかる多室包装袋111を示す断面図である。
本発明の多室包装袋111は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2の片面と、これに相対する平面部1−2の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0063】
図15は、本発明の第十二の実施形態にかかる多室包装袋112を示す断面図である。
本発明の多室包装袋112は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0064】
図16は、本発明の第十三の実施形態にかかる多室包装袋113を示す断面図である。
本発明の多室包装袋113は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該仕切り部3−1の一方の側縁部3sL1は、平面部の側縁部1sL1と側部の側縁部2sL1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sL1に沿ってシールされているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、当該仕切り部3−2の一方の側縁部3sL2は、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0065】
図17は、本発明の第十四の実施形態にかかる多室包装袋114を示す断面図である。
本発明の多室包装袋114は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該仕切り部3−1の一方の側縁部3sL1は、平面部の側縁部1sL1と側部の側縁部2sL1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sL1に沿ってシールされているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、当該仕切り部3−2の一方の側縁部3sL2は、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0066】
以下に、本発明の実施形態にかかる多室包装袋の製造方法を具体的に説明する。説明において、袋を形成するための部材及び部材中の部分に付す符号としては、完成した包装袋の対応する各部分に付した符号と同一の符号を付すこととする。
【0067】
本発明の製造方法において、各部材間をシールする方法は、特に限定されないが、例えば、各部材を構成する可撓性フィルムの相対する面同士を、接着剤を用いてシールする方法;シールする各部材を構成する可撓性フィルムの相対する最表面層の材質を、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールによりシールする方法;等が代表的に挙げられる。
【0068】
また、仕切り部3と平面部1、或いは仕切り部3同士の相対する面同士を剥離可能な強度でシールする方法も、特に限定されないが、例えば、イージーピールテープを介して対向する面同士を接合し、剥離可能な強度でシールする方法;相対する面同士を構成する可撓性フィルムの最表面層の材質とを、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールの温度、圧力、及び時間を適宜調節して、ヒートシールにより、剥離可能な強度でシールする方法;等が代表的に挙げられる。
【0069】
本発明の多室包装袋を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法が代表的に挙げられる。
本発明の多室包装袋を製造する方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部を交互に形成し、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とするものである。
【0070】
以下において、「上端、下端、側端」とは、多室包装袋を形成した際の位置関係を指しいう。
図18A〜Gは、上記本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
第一の方法においては、先ず、図18Aに示すように、一対の平面部用部材1,1、一対の側部用部材2,2、及び仕切り部用部材3を準備する。
なお、ここで準備した仕切り部用部材3は、幅寸法が平面部1の幅寸法よりも大きいサイズの仕切り部用部材である。
【0071】
次に、図18Bに示すように、図18Aにおいて、幅寸法が平面部1の幅寸法よりも大きいサイズの仕切り部用部材3を準備したことに伴って、一対の側部用部材2,2は、外凸部の折り返し部5bの深さが、側部の側縁部2sの深さよりも深くなるように、折り込んで内凸部4と外凸部5を交互に形成し、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする。この例では、側部用部材2を、内凸部を2つ及び外凸部を1つ有するガゼット形状となるように折り曲げる。
次に、図18Cに示すように、包装袋を形成した際に側縁部3sに相当する、仕切り部用部材3の端部を、ガゼット形状の側部用部材2の外凸部5に配置させる。
次に、図18Dに示すように、仕切り部用部材3の上記端部に沿って、側部用部材2と仕切り部用部材3とをシールして一体化物(2+3)を形成する。このシールによって、仕切り部の側縁シール部6が形成される。
【0072】
次に、図18Eに示すように、一体化物(2+3)を一対の平面部用部材1,1の間に挟み、図18Fに示すように、位置合わせして重ね合わせ体(1+2+3)を形成する。
なお、18Fにおいて、側部の内凸部4の折込線を透視し、点線で示す。
次に、図18Gに示すように、重ね合わせ体(1+2+3)の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部、すなわち多室包装袋を形成した際の両側縁部及び下端縁部に沿って、平面部用部材1,1と一体化物(2+3)とをシールすると、平面部の側縁シール部7及び平面部の下端シール部8が形成され、2つの小室を有する多室包装袋が得られる。
【0073】
得られた多室包装袋には、内容物を隅部に溜めないために、図18Gに示すように、下端側の四隅部及び側部2の各外凸部においては、袋内の対向する内面同士を、仕切り部の側縁シール部6及び/又は平面部の側縁シール部7の所定位置から平面部の下端シール部8の所定位置に渡って、斜め形状にシールして斜行シール部15を形成することで、図4に示した多室包装袋101となる。
【0074】
また、仕切り部3の枚数や幅寸法、及び側部ガゼットの形状を適宜変更し、さらに各部材間のシール強度を適宜変更させることで、多室包装袋103、106、107、108、110、及び111を作成することができる。
図18A〜Gでは、1袋の多室包装袋を作成する方法を図示したが、図18Cの縦方向に長尺のフィルムから連続して多室包装袋を作成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 …平面部
1t …平面部の上端部
1s …平面部の側縁部
1b …平面部の下端部
2 …側部
2t …側部の上端部
2s …側部の側縁部
2b …側部の下端部
3 …仕切り部
3t …仕切り部の上端部
3s …仕切り部の側縁部
3s1 …仕切り部の側縁部の折曲基部
3b …仕切り部の下端部
4 …内凸部
5 …外凸部
5b …外凸部の折り返し部
6 …仕切り部の側縁シール部
7 …平面部の側縁シール部
8 …平面部の下端シール部
9X …小室
9Y …小室
9Z …小室
10 …平面部の下端補強シール部
11 …平面部の上端シール部
12 …剥離性シール部
13 …開封補助手段
14 …注出具
15 …斜行シール部
X …内容物
Y …内容物
Z …内容物
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋の内部に複数の小室を有する多室包装袋、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め、異なる種類の内容物を1つの袋内で配合させておくと、経時的に内容物の状態に変化が生じてしまうような内容物については、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することが好ましく、このような内容物の充填に適する袋として、複数の小室(多室)を備えた多室包装袋が提案されてきた。
【0003】
さらに、近年では、こうした機能を備えた多室包装袋において、折り畳んだ状態の袋のサイズ(面積)と比べて、袋に内容物を収容した際の袋の拡張の程度(充填量、有効容積)が高い、すなわち、内容物の収容効率が高い機能が付加された多室包装袋が、使用用途の広さから市場から求められている。
【0004】
多室包装袋の技術分野においては、様々な改良が重ねられ、例えば、特許文献1では、主収納室と主収納室と連結可能な副収納室、及び主収納室と副収納室を隔離する剥離性シール部等からなる仕切部とを有する多室パウチが開示されている。当該多室パウチは、使用時に圧をかけることによって、仕切部を開封し、パウチ内で各内容物を混合させることができる機能を有することが記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された多室パウチにおいては、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる機能は有するものの、内容物の収容効率を高めるための検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−227841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率が高い多室包装袋、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、ガゼット形状の側部が有する外凸部に、包装袋内の室間を仕切る仕切り部を配置させることにより、袋の前後方向に小室が並設され、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率を高くすることができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち本発明の多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、多室包装袋である。
【0010】
本発明の多室包装袋において、前記一対の側部の外凸部間の幅寸法が、前記平面部の幅寸法と同等又はそれ以上とする形態であることが好ましい。
【0011】
本発明の多室包装袋は、前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部が、平面部と側部の間に挟まれて位置されている形態とすることができる。
【0012】
本発明の多室包装袋は、前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士とがシールされている形態とすることができる。
【0013】
本発明の多室包装袋において、前記他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士のシールが、剥離可能なシールであってもよい。
【0014】
本発明の多室包装袋において、前記多室包装袋に、注出具が取り付けられていてもよい。
【0015】
本発明の内容物充填体は、上記した本発明の多室包装袋に内容物が充填されてなる内容物充填体である。
【0016】
本発明の多室包装袋を製造する方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする多室包装袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
上記の如き本発明によれば、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、内容物の収容効率が高い多室包装袋、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる多室包装袋を構成する各部材(平面部1、側部2、及び仕切り部3)の位置関係を示す斜視図である。
【図2】図2A〜Cは、側部2のガゼット形状のバリエーションを示す横断面図である。
【図3】図3A〜Cは、本発明の多室包装袋において、仕切り部の側縁部と側部の外凸部との配置、及び、平面部の側縁部と側部の側縁部との配置を示す横断面図である。
【図4】図4Aは、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101を示す斜視図であり、図4Bは、図4AのAA断面図である。
【図5】図5は、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図である。
【図6】図6Aは、本発明の第三の実施形態にかかる多室包装袋103を示す斜視図であり、図6Bは、図6AのAA断面図である。
【図7】図7Aは、本発明の第四の実施形態にかかる多室包装袋104を示す斜視図であり、図7Bは、図7AのAA断面図である。
【図8】図8Aは、本発明の第五の実施形態にかかる多室包装袋105を示す斜視図であり、図8Bは、図8AのAA断面図である。
【図9】図9は、本発明の第六の実施形態にかかる多室包装袋106を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第七の実施形態にかかる多室包装袋107を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第八の実施形態にかかる多室包装袋108を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第九の実施形態にかかる多室包装袋109を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の第十の実施形態にかかる多室包装袋110を示す断面図である。
【図14】図14は、本発明の第十一の実施形態にかかる多室包装袋111を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の第十二の実施形態にかかる多室包装袋112を示す断面図である。
【図16】図16は、本発明の第十三の実施形態にかかる多室包装袋113を示す断面図である。
【図17】図17は、本発明の第十四の実施形態にかかる多室包装袋114を示す断面図である。
【図18(1)】図18A〜Cは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【図18(2)】図18D〜Eは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【図18(3)】図18F〜Gは、本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋の平面部1、側部2、及び仕切り部3を構成する可撓性フィルムは、一般に袋の製造に用いられる可撓性フィルムであれば、特に限定されず、例えば、単層フィルムであってもよく、最外層となる基材層、中間層、及び最内層となるシーラント層など複数の層からなる積層フィルムであってもよい。
【0021】
基材層は、袋の最外層を形成し、印刷適性、耐ピンホール性、及び耐衝撃性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸又は二軸延伸フィルム、並びに、これらの延伸フィルムを積層したもの等が挙げられる。
【0022】
これらの延伸フィルムに、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合、基材層の材質としては、例えば、アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させた蒸着フィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたコートフィルム;等を用いることもできる。また、紙やセロファン等も用いることができる。
【0023】
中間層は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0024】
シーラント層は、袋の最内層を形成し、ヒートシールが可能な層であることが好ましい。シーラント層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及びアイオノマー樹脂等からなる未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0025】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されず、例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層してフィルムを形成する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。また、その他のラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。
【0026】
また、平面部1、側部2の最内層を構成する材料は、それぞれをヒートシールにより貼り合わせる観点から、ヒートシール性の同質材料であることが好ましい。
ここで「ヒートシール性の同質材料」とは、加熱により熱融着し、接合が可能な特性を有する材質のことをいう。
さらに、仕切り部3においては、図1に示すように、仕切り部の側縁部3sを側部2の外凸部5に挟むように配置する場合や、仕切り部の上端部3t及び下端部3bを一対の平面部1,1の両方と貼り合わせる場合、すなわち、仕切り部3の両面において、側部2の外凸部5あるいは一対の平面部1,1が貼り合わされている場合には、仕切り部3の両最外層は、共にヒートシールが可能な層であることが好ましい。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる多室包装袋を構成する各部材(平面部1、側部2、及び仕切り部3)の位置関係を示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の多室包装袋は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部1,1と、ガゼット形状を有する一対の側部2,2と、一対の平面部1,1の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その側縁部3sが側部2の外凸部5に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部3から構成される。包装袋を構成する各部材は、いずれも可撓性フィルムで形成されており、折り曲げ加工することが可能である。
【0029】
側部2は、包装袋の内方に向けて突出する内凸部4と袋の外方に向けて突出する外凸部5が交互に形成され、且つ、内凸部4の数が外凸部5の数よりも1つ多いガゼット形状を有する。
ここで「内凸部」とは、包装袋の内方に向けて横断面V字状に折り込みができる折線部又はその近傍のことをいい、一方、「外凸部」とは、袋の外方に向けて横断面V字状に折り返しができる折線部又はその近傍のことをいう。
【0030】
本発明の多室包装袋において、一対の側部2,2の外凸部5間の幅寸法W2は、特に限定されず、平面部の幅寸法W1と同等又はそれ以上であってもよいが、袋の拡張性を向上させて、内容物の収容効率を高める観点から、図1に示すように、外凸部5間の幅寸法は、平面部1の幅寸法よりも大きい幅寸法であることが好ましい。
ここで「一対の側部の外凸部間の幅寸法」とは、側部2の一方の外凸部5から、当該側部2の他方の外凸部5に達するまでの幅寸法のことをいう。また、「平面部の幅寸法」とは、平面部1の一方の側縁部1sから、当該平面部1の他方の側縁部1sに達するまでの幅寸法のことをいう。
【0031】
図1に示す例では、外凸部5,5間の幅寸法W2が、平面部1の幅寸法W1より長い形状である。この例における仕切り部3は両側縁部3sを外凸部5,5に位置させているため、仕切り部3の幅寸法W3は、外凸部5,5間の幅寸法W2に相当する長さを有している。
【0032】
図1に示す例では、一対の平面部1,1、一対の側部2,2、及び仕切り部3は、それぞれ別個独立の部材であるが、これらの部材の2つ以上が連続した展開形状を有する1枚の可撓性フィルムが折り曲げられたものでもよい。
例えば、一対の平面部1,1と一対の側部2,2が連続した展開形状を有する可撓性フィルムが折り曲げられ、一対の平面部1,1となる部分と一対の側部2,2となる部分が区画されたものでもよい。
【0033】
図2A〜Cは、側部2のガゼット形状のバリエーションを示す横断面図である。
側部2のガゼット形状としては、例えば、図2Aに示されるように、一対の内凸部4の間に外凸部5を1つ有し、単一のマチを備えるものを例示できる。
図2Aの他に、図2B及び図2Cに示されるように、内凸部4と外凸部5とを交互に形成し、且つ、外凸部5を2つ以上有し、最初と最後の折り込みが内凸部4となる複数のマチを備えるものであってもよい。
本発明において、側部2の外凸部の折り返し部5bの深さは、特に限定されないが、包装袋の内容量に応じた深さを有する。
【0034】
側部2は、1枚の可撓性フィルムが折り曲げられた上記のようなガゼット形状の他に、2枚以上の可撓性フィルムの端縁同士が接合された上記のようなガゼット形状であってもよい。
【0035】
図3A〜Cは、本発明の多室包装袋において、仕切り部の側縁部3sと側部の外凸部5との配置、及び、平面部の側縁部1sと側部の側縁部2sとの配置を示す横断面図である。
仕切り部3は、一対の平面部1,1の間に配置され、且つ、その側縁部3sが、側部2の外凸部5に位置している。
ここで「仕切り部の側縁部3sが、側部2の外凸部5に位置する」とは、仕切り部の側縁部3sが外凸部5の折れ線に直接接するように位置することを指していう他に、仕切り部の側縁部3sが外凸部5の折れ線に直接は接しないが、外凸部5の近傍に位置することも指していう。また、仕切り部の側縁部3s付近が折り曲げられた場合には、その折曲基部3s1が外凸部5の折れ線に直接接するように位置することを指していう他に、その折曲基部3s1が外凸部5の折れ線に直接は接しないが、外凸部5の近傍に位置することも指していう。
【0036】
仕切り部の側縁部3sの配置としては、仕切り部の側縁部3sが外凸部5に位置されていれば特に限定されない。
例えば、図3Aに示されるように、仕切り部の側縁部3sの両面と外凸部5の折れ線付近の相対する面とがそれぞれシールされて、仕切り部3が一対の平面部1,1の間に介在するように配置されていてもよい。
また、図3B及び図3Cに示されるように、仕切り部の側縁部3sの片面と外凸部5の折れ線付近の相対する面とがシールされて、仕切り部3が一対の平面部1,1の間に介在するように配置されていてもよい。
【0037】
なお、本発明において、側部2の外凸部5に配置される仕切り部3の枚数は、特に限定されないが、袋の前後方向に並設させたい小室の数に応じて適宜選択することができる。
仕切り部3を2枚以上用いる場合には、袋の前後方向に3つ以上の小室を並設させることができる。
例えば、仕切り部3が2枚以上用いられ、且つ、側部2の外凸部5が2つ以上設けられている場合には、2枚以上の仕切り部の側縁部3sが、同一の外凸部に配置されていてもよいし、それぞれ異なる外凸部に配置されていてもよい。
【0038】
図4Aは、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101を示す斜視図であり、図4Bは、図4AのAA断面図である。
なお、図4Bに示される断面図は、図4Aに示される斜視図をAAの断面で切断し、矢印方向から観た図を意味する。
以下、図6〜図17に示される断面図は、それぞれの包装袋に関して、図4Bに示される断面図と同様の意味で使用する。
【0039】
本発明の多室包装袋101は、図1に示される部材が、充填口とする上端縁を除く端縁に沿って、それぞれ相対する面同士がシールされ、袋の前後方向に各小室9X,9Yが並設された多室包装袋の実施形態である。
多室包装袋101において、仕切り部の一方の側縁部3sL及び他方の側縁部3sRは、一対の側部2,2のそれぞれの外凸部5L,5Rに位置するものである。
【0040】
本発明の多室包装袋に内容物を充填し、内容物充填体として内容物を排出する際には、当該包装袋の隅部において内容物が残留し易くなるため、内容物を隅部に溜めない観点から、本発明の多室包装袋の下端側には、図4Aに示されるような斜行シール部15が形成されていることが好ましい。
【0041】
斜行シール部15は、包装袋の下端側の四隅部及び側部2の両外凸部において、袋内の相対する内面同士を、仕切り部の側縁シール部6及び平面部の側縁シール部7の所定位置から平面部の下端シール部8の所定位置に渡って、斜め形状にシールして形成されるものである。
【0042】
図5は、本発明の第一の実施形態にかかる多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図である。
本発明の内容物充填体102は、図4に示される多室包装袋101において、開放された各小室9X,9Yに、上端側から異なる種類の内容物X,Yがそれぞれ充填され、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tの間に挟み込まれた状態で、仕切り部の上端部3tに沿って、各平面部の上端部1tと仕切り部の上端部3tとを一体化して、袋を液密又は気密の状態に封止してできる実施形態である。
【0043】
図6Aは、本発明の第三の実施形態にかかる多室包装袋103を示す斜視図であり、図6Bは、図6AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋103は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い仕切り部を有し、仕切り部の一方の側縁部3SLは、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SRは、その片面と、これに相対する平面部1の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
多室包装袋103は、図6A及び6Bに示されるように、当該仕切り部3により袋の前後方向において、容量体積が比較的大きい小室9Xと、容量体積が比較的小さい小室9Yの計2つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Yに異なる2種の内容物X,Y,を充填することが可能である。
【0044】
ここで、仕切り部の他方の側縁部3SRの片面と、これに相対する平面部1の内面とのシールは、他のシール部分と同様の剥離し難いシール強度でシールされていてもよいが、図6Aに示されるように、剥離可能なシール強度でシールされた剥離性シール部12が形成されていてもよい。
【0045】
また、剥離性シール部12のシール強度は、内容物が充填された袋を、手や掌で押圧したときに、剥離性シール部12が容易に剥離される強度であれば、特に限定されないが、5.0〜15.0N/15mm程度とすることが好ましい。
【0046】
ここで、「N/15mm」とは、15mm幅の剥離性シール部12を常温でT形剥離させるのに必要な強度を意味し、シール強度は、JIS Z 0238:1998に基づいて測定される。
【0047】
これに対して、剥離性シール部12以外の他のシール部のシール強度は全て、包装袋を密封し、且つ、剥離性シール部12のシール強度より強く手や掌の押圧に耐え得る強度でシールされている。
【0048】
仕切り部の側縁部のシールが、剥離可能なシールの場合、袋の使用時に、手や掌で押圧することで、袋の内圧が上昇して、その圧力が多室内の内容物に伝達されて、剥離力として作用し、剥離性シール部12が容易に剥離されて、一方の小室の内容物が他方の小室に流入する経路が与えられ、各小室に収納されていた異なる種類の内容物を混合させることができる。
【0049】
図7Aは、本発明の第四の実施形態にかかる多室包装袋104を示す斜視図であり、図7Bは、図7AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋104は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ仕切り部を有し、仕切り部の一方の側縁部3SLは、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SRは、平面部の側縁部1sRと側部の側縁部2sRとの間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sRに沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
多室包装袋104は、図7A及び7Bに示されるように、当該仕切り部3により袋の前後方向において、容量体積が比較的大きい小室9Xと、容量体積が比較的小さい小室9Yの計2つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Yに異なる2種の内容物X,Y,を充填することが可能である。
【0050】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋においては、手指による袋の開封を容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、開封補助手段13を設けることが好ましい。
開封補助手段13として、図5には「切り欠き」を図示したが、これに限定されるものではない。「切り欠き」の他には、例えば、仕切り部の側縁シール部6及び平面部の側縁シール部7上に設ける場合は、粗面、及び傷痕等の形状が代表的に挙げられる。また、平面部の内面に包装袋の側部から側部へ横断するようにテープが配置され、そのテープの端部には外面から摘むことが可能なつまみを有している形状でもよい。
【0051】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋においては、充填された内容物の取り出しを容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、袋に注出口となる注出具14が取り付けられていてもよい。
【0052】
図8Aは、本発明の第五の実施形態にかかる多室包装袋105を示す斜視図であり、図8Bは、図8AのAA断面図である。
本発明の多室包装袋105は、図4に示される多室包装袋101において、各小室9X,9Yに1つずつ注出具14が取り付けられた実施形態であり、内容物X,Yをそれぞれ別々に注出可能である。
【0053】
注出具14の形状は、内容物や用途により異なり、特に限定されない。
注出具14は、口部として直接飲用する用途として用いるなど食品用のスパウトだけでなく、様々な分野における種々の形状のものを用いてよく、例えば、医療用のゴム栓を押し込んで又は被せて閉鎖する形状の注出具であってもよい。
内容物を一度に全部使い切らない場合には、注出具14の開口部を閉止させる機構を有するキャップを具備させることもできる。
注出具を形成する場所も特に制約されず、例えば、包装袋の側部或いは下端部近傍に、袋内に存在するいずれかの小室に通ずる注出具を取り付けてもよい。
【0054】
本発明の実施形態にかかる多室包装袋の内容物としては、特に限定されない。例えば、第一の実施形態にかかる実施形態101、第四の実施形態にかかる実施形態104、第五の実施形態にかかる実施形態105に充填させる、異なる種類の内容物としては、混合せずに同時に使用するものが好ましい。例えば、マスタードとケチャップ、マーガリンとジャムなどの流動性物質同士の組み合わせ、砂糖とクリームなどの流動性物質と固形物の組み合わせ、または個包装された固形物同士の組み合わせが挙げられる。
【0055】
また、第三の実施形態にかかる実施形態103に充填させる、異なる種類の内容物としては、予め混合させておくと経時的に内容物が変化し、品質劣化を招いてしまうため使用直前に混合するものや、使用直前に混合した方が美味であるものなどが好ましい。例えば、豆乳と凝固剤、用事混合する医療用輸液などの流動性物質同士の組み合わせ、ドレッシングとゴマや粉チーズ、水と茶粉などの流動性物質と固形物の組み合わせが挙げられる。
【0056】
これまで述べてきた発明の第一乃至第五の実施形態の多室包装袋は、2つの小室を有するものであったが、本発明においては、仕切り部3の枚数や幅寸法、及び側部2のガゼットの形状を適宜変更することで、3つ以上の小室を有する多室包装袋を容易に設計することができる。
以下、3つ以上の小室を有する多室包装袋について述べる。
【0057】
図9は、本発明の第六の実施形態にかかる多室包装袋106を示す断面図である。
本発明の多室包装袋106は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の他方の側縁部3sR1及び3sR2は、もう一方の側部の同一の外凸部5Rに位置していること以外は、本発明の第一の実施形態と同様である。
多室包装袋106は、図9に示されるように、当該2枚の仕切り部3−1,3−2により袋の前後方向において、側部2にマチを有する小室9X,9Yと、当該2つの小室9X,9Yの間には側部2にマチを有さない平袋状の小室9Zの計3つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Y,9Zに異なる3種の内容物X,Y,Zを充填することが可能である。
【0058】
図10は、本発明の第七の実施形態にかかる多室包装袋107を示す断面図である。
本発明の多室包装袋107は、一対の側部2,2が、内凸部4と外凸部5とを交互に形成し、且つ、外凸部5を2つ有し、最初と最後の折り込みが内凸部4となるガゼット形状であって、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、それぞれ各外凸部5L1,5L2に1枚ずつ位置し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の他方の側縁部3sR1及び3sR2は、それぞれ各外凸部5R1,5R2に1枚ずつ位置していること以外は、本発明の第一の実施形態と同様である。
多室包装袋107は、図10に示されるように、当該2枚の仕切り部3−1,3−2により袋の前後方向において、側部2にマチを有する小室9X,9Y,9Zの計3つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Y,9Zに異なる3種の内容物X,Y,Zを充填することが可能である。
【0059】
図11は、本発明の第八の実施形態にかかる多室包装袋108を示す断面図である。
本発明の多室包装袋108は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3SR1は、その片面と、これに相対する平面部1−1の内面とがシールされ、且つ、仕切り部の他方の側縁部3SR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部の他方の側縁部3SR1,3SR2の片面と、これに相対するそれぞれの平面部1−1,1−2の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0060】
図12は、本発明の第九の実施形態にかかる多室包装袋109を示す断面図である。
本発明の多室包装袋109は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部の他方の側縁部3sR1は、平面部の側縁部1sR1と側部の側縁部2sR1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR1に沿ってシールされ、且つ、仕切り部の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0061】
図13は、本発明の第十の実施形態にかかる多室包装袋110を示す断面図である。
本発明の多室包装袋110は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する仕切り部3−1の片面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2の片面と、これに相対する仕切り部3−1の片面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0062】
図14は、本発明の第十一の実施形態にかかる多室包装袋111を示す断面図である。
本発明の多室包装袋111は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
なお、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2の片面と、これに相対する平面部1−2の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0063】
図15は、本発明の第十二の実施形態にかかる多室包装袋112を示す断面図である。
本発明の多室包装袋112は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該2枚の仕切り部3−1,3−2の一方の側縁部3sL1及び3sL2は、側部の同一の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0064】
図16は、本発明の第十三の実施形態にかかる多室包装袋113を示す断面図である。
本発明の多室包装袋113は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ1枚の仕切り部3−1と、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法よりも狭い1枚の仕切り部3−2を有し、当該仕切り部3−1の一方の側縁部3sL1は、平面部の側縁部1sL1と側部の側縁部2sL1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sL1に沿ってシールされているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、当該仕切り部3−2の一方の側縁部3sL2は、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、その片面と、これに相対する平面部1−2の内面とがシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0065】
図17は、本発明の第十四の実施形態にかかる多室包装袋114を示す断面図である。
本発明の多室包装袋114は、仕切り部の幅寸法が一対の側部の外凸部間の幅寸法とほぼ同じ2枚の仕切り部3−1,3−2を有し、当該仕切り部3−1の一方の側縁部3sL1は、平面部の側縁部1sL1と側部の側縁部2sL1との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sL1に沿ってシールされているのに対し、仕切り部3−1の他方の側縁部3sR1は、もう一方の側部の外凸部5Rに位置し、当該仕切り部3−2の一方の側縁部3sL2は、側部の外凸部5Lに位置しているのに対し、仕切り部3−2の他方の側縁部3sR2は、平面部の側縁部1sR2と側部の側縁部2sR2との間に挟み込まれた状態で、仕切り部の側縁部3sR2に沿ってシールされていること以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0066】
以下に、本発明の実施形態にかかる多室包装袋の製造方法を具体的に説明する。説明において、袋を形成するための部材及び部材中の部分に付す符号としては、完成した包装袋の対応する各部分に付した符号と同一の符号を付すこととする。
【0067】
本発明の製造方法において、各部材間をシールする方法は、特に限定されないが、例えば、各部材を構成する可撓性フィルムの相対する面同士を、接着剤を用いてシールする方法;シールする各部材を構成する可撓性フィルムの相対する最表面層の材質を、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールによりシールする方法;等が代表的に挙げられる。
【0068】
また、仕切り部3と平面部1、或いは仕切り部3同士の相対する面同士を剥離可能な強度でシールする方法も、特に限定されないが、例えば、イージーピールテープを介して対向する面同士を接合し、剥離可能な強度でシールする方法;相対する面同士を構成する可撓性フィルムの最表面層の材質とを、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールの温度、圧力、及び時間を適宜調節して、ヒートシールにより、剥離可能な強度でシールする方法;等が代表的に挙げられる。
【0069】
本発明の多室包装袋を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下に示す方法が代表的に挙げられる。
本発明の多室包装袋を製造する方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部を交互に形成し、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とするものである。
【0070】
以下において、「上端、下端、側端」とは、多室包装袋を形成した際の位置関係を指しいう。
図18A〜Gは、上記本発明の多室包装袋を製造する方法を説明する図である。
第一の方法においては、先ず、図18Aに示すように、一対の平面部用部材1,1、一対の側部用部材2,2、及び仕切り部用部材3を準備する。
なお、ここで準備した仕切り部用部材3は、幅寸法が平面部1の幅寸法よりも大きいサイズの仕切り部用部材である。
【0071】
次に、図18Bに示すように、図18Aにおいて、幅寸法が平面部1の幅寸法よりも大きいサイズの仕切り部用部材3を準備したことに伴って、一対の側部用部材2,2は、外凸部の折り返し部5bの深さが、側部の側縁部2sの深さよりも深くなるように、折り込んで内凸部4と外凸部5を交互に形成し、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする。この例では、側部用部材2を、内凸部を2つ及び外凸部を1つ有するガゼット形状となるように折り曲げる。
次に、図18Cに示すように、包装袋を形成した際に側縁部3sに相当する、仕切り部用部材3の端部を、ガゼット形状の側部用部材2の外凸部5に配置させる。
次に、図18Dに示すように、仕切り部用部材3の上記端部に沿って、側部用部材2と仕切り部用部材3とをシールして一体化物(2+3)を形成する。このシールによって、仕切り部の側縁シール部6が形成される。
【0072】
次に、図18Eに示すように、一体化物(2+3)を一対の平面部用部材1,1の間に挟み、図18Fに示すように、位置合わせして重ね合わせ体(1+2+3)を形成する。
なお、18Fにおいて、側部の内凸部4の折込線を透視し、点線で示す。
次に、図18Gに示すように、重ね合わせ体(1+2+3)の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部、すなわち多室包装袋を形成した際の両側縁部及び下端縁部に沿って、平面部用部材1,1と一体化物(2+3)とをシールすると、平面部の側縁シール部7及び平面部の下端シール部8が形成され、2つの小室を有する多室包装袋が得られる。
【0073】
得られた多室包装袋には、内容物を隅部に溜めないために、図18Gに示すように、下端側の四隅部及び側部2の各外凸部においては、袋内の対向する内面同士を、仕切り部の側縁シール部6及び/又は平面部の側縁シール部7の所定位置から平面部の下端シール部8の所定位置に渡って、斜め形状にシールして斜行シール部15を形成することで、図4に示した多室包装袋101となる。
【0074】
また、仕切り部3の枚数や幅寸法、及び側部ガゼットの形状を適宜変更し、さらに各部材間のシール強度を適宜変更させることで、多室包装袋103、106、107、108、110、及び111を作成することができる。
図18A〜Gでは、1袋の多室包装袋を作成する方法を図示したが、図18Cの縦方向に長尺のフィルムから連続して多室包装袋を作成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 …平面部
1t …平面部の上端部
1s …平面部の側縁部
1b …平面部の下端部
2 …側部
2t …側部の上端部
2s …側部の側縁部
2b …側部の下端部
3 …仕切り部
3t …仕切り部の上端部
3s …仕切り部の側縁部
3s1 …仕切り部の側縁部の折曲基部
3b …仕切り部の下端部
4 …内凸部
5 …外凸部
5b …外凸部の折り返し部
6 …仕切り部の側縁シール部
7 …平面部の側縁シール部
8 …平面部の下端シール部
9X …小室
9Y …小室
9Z …小室
10 …平面部の下端補強シール部
11 …平面部の上端シール部
12 …剥離性シール部
13 …開封補助手段
14 …注出具
15 …斜行シール部
X …内容物
Y …内容物
Z …内容物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、多室包装袋。
【請求項2】
前記一対の側部の外凸部間の幅寸法が、前記平面部の幅寸法と同等又はそれ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の多室包装袋。
【請求項3】
前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部が、平面部と側部の間に挟まれて位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多室包装袋。
【請求項4】
前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士とがシールされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多室包装袋。
【請求項5】
前記他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士のシールが、剥離可能なシールであることを特徴とする、請求項4に記載の多室包装袋。
【請求項6】
前記多室包装袋に、注出具が取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多室包装袋。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多室包装袋に内容物が充填されている内容物充填体。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多室包装袋を製造する方法であって、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする多室包装袋の製造方法。
【請求項1】
可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する一対の側部と、
前記一対の平面部の間に配置され、且つ、その側縁部が前記側部の外凸部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、多室包装袋。
【請求項2】
前記一対の側部の外凸部間の幅寸法が、前記平面部の幅寸法と同等又はそれ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の多室包装袋。
【請求項3】
前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部が、平面部と側部の間に挟まれて位置していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多室包装袋。
【請求項4】
前記仕切り部の一方の側縁部が、前記側部の外凸部に位置し、他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士とがシールされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多室包装袋。
【請求項5】
前記他方の側縁部とこれに隣り合う部材との相対する面同士のシールが、剥離可能なシールであることを特徴とする、請求項4に記載の多室包装袋。
【請求項6】
前記多室包装袋に、注出具が取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多室包装袋。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多室包装袋に内容物が充填されている内容物充填体。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多室包装袋を製造する方法であって、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、一対の側部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記側部用部材を折り込んで、袋の内方に向けて突出する内凸部と袋の外方に向けて突出する外凸部が交互に形成され、且つ、内凸部の数が外凸部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記側部用部材の外凸部とをシールして仕切り部用部材及び側部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする多室包装袋の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(1)】
【図18(2)】
【図18(3)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(1)】
【図18(2)】
【図18(3)】
【公開番号】特開2011−68367(P2011−68367A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219530(P2009−219530)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】
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