説明

多対LANケーブル

【課題】本発明は、24対以上であってもカテゴリー6の性能を有する多対LANケーブルを提供する。
【解決手段】本発明は、24対以上であっても、カテゴリー6規格の性能を有するLANケーブルであって、絶縁心線6を寄り合わせて二本一組の対撚線5とし、四組の前記対撚線5をスペーサ7で各対撚線5が非接触に隔離してシース9で一括被覆してなるユニット2を、複数本ずつ層を形成して多層の円状に配置し、前記各層の外周をプラスチックテープで被覆し、最外層のプラスチックテープの外周を外被で被覆したことを特徴とする多対LANケーブルの構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテゴリー6規格の性質を有した多対LANケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のイーサネット(登録商標)の高速・高性能化、及びインターネットの普及に伴い、LANケーブルの配線数が増えており、ケーブルの多対化・高密度化が要求されている。
【0003】
同一箇所に配線が多い場合、従来のケーブルでは、図4に示すような4対や図5に示すような24対ケーブルを複数本並べて配線を行っていた。
【0004】
しかしながら、従来のような配線方法では、ケーブル布設を繰り返し行うため施工時間が長くなり、また、それに伴い布設費用がかさむという問題があった。
【0005】
また、同一ケーブルを並べて配線するため、ケーブル間で漏話が発生しデータ伝送に不具合が起こる可能性があった。
【0006】
更に、24対ケーブルを超えた多対ケーブルのためには、24対ケーブルと同様な一層構造ではケーブル外径が太くなるため多層構造とする必要があるが、高周波250MHzまで対応するカテゴリー6ケーブルでは、隣接するユニットから漏話を受けやすくなり、ユニット数の増加により、近端漏話減衰量が悪化するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−294590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、24対以上であってもカテゴリー6の性能を有する多対LANケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、24対以上であっても、カテゴリー6規格の性能を有するLANケーブルであって、絶縁心線6を寄り合わせて二本一組の対撚線5とし、四組の前記対撚線5をスペーサ7で各対撚線5が非接触に隔離してシース9で一括被覆してなるユニット2を、複数本ずつ層を形成して多層の円状に配置し、前記各層の外周をテープで被覆し、最外層のテープの外周を外被で被覆したことを特徴とする多対LANケーブルの構成とした。
【0010】
また、前記ユニット2を24組とし、中央層に2組のユニットと2本の介在を配置してプラスチックテープで一括被覆し、前記中央層の外周に8組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第一層とし、前記第一層の外周に14組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第二層として多層を形成したことを特徴とする多対LANケーブルの構成とした。
【0011】
また、前記ユニット2を12組とし、中央層に3組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆し、前記中央層の外周に8組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第一層として多層を形成した事を特徴とする多対LANケーブルの構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記のような構成であるため、同一箇所の配線が多い場合であっても複数本のケーブルを繰り返し布設する必要が無く、短時間で施工が可能で、布設費用を抑えることができる。
【0013】
また、カテゴリー6の性能を有しているため、高速・高性能化したイーサネット(登録商標)環境にも十分使用することができる。
【0014】
更に、外径をできる限り細くすることができるため、従来の複数布設した場合と比べて場所を取ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明である多対LANケーブルの断面図である。
【図2】本発明である多対LANケーブルの第2実施例の断面図である。
【図3】近端漏話減衰量の測定値を比較したグラフである。
【図4】従来の4対LANケーブルの断面図である。
【図5】従来の24対LANケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明である多対LANケーブルの断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明である多対LANケーブル(1)は、24対以上であっても、カテゴリー6規格の性能を有するLANケーブルであって、絶縁心線(6)を寄り合わせて二本一組の対撚線(5)とし、四組の前記対撚線(5)をスペーサ(7)で各対撚線(5)が非接触に隔離してシース(9)で一括被覆してなるユニット(2)を、複数本ずつ層を形成して多層の円状に配置し、前記各層の外周をプラスチックテープで被覆し、最外層のプラスチックテープの外周を外被(4)で被覆したことを特徴とする。
【0019】
実施例1では、図1に示すように、前記ユニット(2)を24組使用し、中央層(8)と第一層(8a)及び第二層(8b)からなる多層とし、前記中央層(8)に2組のユニット(2、2)と2本の介在(3、3)を配置してプラスチックテープ(3a)で一括被覆し、前記中央層(8)の外周に8組のユニット(2、2、2・・・)を配置してプラスチックテープ(3b)で一括被覆して第一層(8a)とし、前記第一層(8a)の外周に14組のユニット(2、2、2・・・)を配置してプラスチックテープ(3c)で一括被覆して第二層(8b)として多層を形成したことを特徴とする多対LANケーブル(1)とした。
【0020】
前記絶縁心線(6)は、銅線からなる導体(6a)をポリエチレン等の絶縁樹脂からなる絶縁体(6b)で被覆した心線であり、2本の前記絶縁心線(6、6)を寄り合わせて対撚線(5)を形成する。
【0021】
前述の通り、ユニット(2)は、4組の前記対撚線(5、5、5、5)と、前記各対撚線(5、5、5、5)を非接触に隔離する略十字型のスペーサ(7)と、前記前記対撚線(5、5、5、5)及び前記スペーサ(7)を一括被覆するシース(9)からなる。
【0022】
二組のユニット(2、2)と2本の介在(3、3)からなる前記中央層(8)は、プラスチックテープ(3a)で1/3ラップ重ね巻きして被覆されており、前記中央層(8)を囲む8組のユニット(2、2、2・・・)からなる第一層(8a)はプラスチックテープ(3b)を1/4ラップ重ね巻きして被覆されており、前記第一層(8a)を囲む14組のユニット(2、2、2・・・)からなる第二層(8b)はプラスチックテープ(3c)を1/4ラップ重ね巻きして被覆されている。尚、各層のユニット同士の寄り合わせピッチは適宜設定できるものとし、ピッチ間隔は限定していない。
【0023】
一般に、通信ケーブルでは、1つの対撚線から他の対撚線への漏話を抑制するために、その間に金属テープ等による遮蔽層を設ける手法がとられているが、カテゴリー6の性能を有する多対LANケーブルでは、従来のように金属テープを設けることにより特性インピーダンス、静電容量等に影響を及ぼし、高周波帯域での近端漏話減衰量の悪化が発生する。
【0024】
本発明の多対LANケーブルでは全周波数帯域で良好な近端漏話減衰量を達成するため、層間にプラスチックテープを設けた。また、プラスチックテープは非金属であるため、遮蔽層の設置が不要となり、施工性にも優れている。
【0025】
ここで、図3を使用して、プラスチックテープを設けた場合の近端漏話減衰量の測定値と、プラスチックテープを金属テープに変えた場合の近端漏話減衰量の測定値を比較する。
【0026】
測定値は、1つの対撚線(5)に対してのケーブル内の残りの95本の対撚線(5)の近端漏話減衰量の電力和となり、代表値としてユニット(2)の対撚線(5)の4本についてそれぞれ重ねてプロットした。
【0027】
図3(A)は、各層間に金属テープを設けた場合の近端漏話減衰量の測定値を示しており、(B)は、各層間にプラスチックテープを設けた場合の近端漏話減衰量の測定値を示している。各図において右下がりの直線はTIA/EIAのカテゴリー6規格値である。
【0028】
図3に示すように、金属テープを設けた場合(A)では、高周波帯域での悪化が見られるが、本発明のようにプラスチックテープを設けた場合(B)では、全周波数帯域において規格値に対して良好な結果が得られている。
【実施例2】
【0029】
図2は、本発明である多対LANケーブルの第2実施例の断面図である。
【0030】
図2に示すように、多対LANケーブル(1a)は、実施例1で示した多対LANケーブル(1)とほぼ同じ構成をしている。即ち、多対LANケーブル(1a)は、24対以上であっても、カテゴリー6規格の性能を有するLANケーブルであって、絶縁心線(6)を寄り合わせて二本一組の対撚線(5)とし、四組の前記対撚線(5)をスペーサ(7)で各対撚線(5)が非接触に隔離してシース(9)で一括被覆してなるユニット(2)を、複数本ずつ層を形成して多層の円状に配置し、前記各層の外周をプラスチックテープで被覆し、最外層のプラスチックテープの外周を外被で被覆したことを特徴とする。
【0031】
実施例1と実施例2で異なる点は、使用するユニット(2)の数、設けた層の数、中央層8におけるユニット(2)の数、中央層8における介在(3)の有無である。
【0032】
即ち、多対LANケーブル(1a)は、前記ユニット(2)を12組とし、中央層(8)に3組のユニット(2、2、2)を配置してプラスチックテープ(3d)で一括被覆し、前記中央層(8)の外周に8組のユニット(2、2、2・・・)を配置してプラスチックテープ(3e)で一括被覆して第一層(8a)として多層を形成した事を特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明であるLANケーブルは、カテゴリー6の性能を有した状態で24対以上のLANケーブルを一度に配線することができるため、ネットワークを構築する様々な領域に多大な貢献をもたらす。
【符号の説明】
【0034】
1 多対LANケーブル
1a 多対LANケーブル
2 ユニット
3 介在
3a プラスチックテープ
3b プラスチックテープ
3c プラスチックテープ
3d プラスチックテープ
3e プラスチックテープ
4 外被
5 対撚線
6 絶縁心線
6a 導体
6b 絶縁体
7 スペーサ
8 中央層
8a 第一層
8b 第二層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
24対以上であっても、カテゴリー6規格の性能を有するLANケーブルであって、
絶縁心線6を寄り合わせて二本一組の対撚線5とし、四組の前記対撚線5をスペーサ7で各対撚線5が非接触に隔離してシース9で一括被覆してなるユニット2を、
複数本ずつ層を形成して多層の円状に配置し、
前記各層の外周をプラスチックテープで被覆し、
最外層のプラスチックテープの外周を外被で被覆したことを特徴とする多対LANケーブル。
【請求項2】
前記ユニット2を24組とし、
中央層に2組のユニットと2本の介在を配置してプラスチックテープで一括被覆し、
前記中央層の外周に8組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第一層とし、
前記第一層の外周に14組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第二層として多層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の多対LANケーブル。
【請求項3】
前記ユニット2を12組とし、
中央層に3組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆し、
前記中央層の外周に8組のユニットを配置してプラスチックテープで一括被覆して第一層として多層を形成した事を特徴とする請求項1に記載の多対LANケーブル。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−203988(P2012−203988A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64330(P2011−64330)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(300040302)東日京三電線株式会社 (16)
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】