多導体用スペーサの供給方法
【課題】輪ゴム等、設置作業後にゴミとして排出されるような部材を使用することなく、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持したままの状態で多導体用スペーサを供給する方法を提供する。
【解決手段】固定側把持半体13aと可動側把持半体13bを互いに閉じると共にT形頭部16aを係止位置(係止部19)側に回動させてロック状態にして供給するようにした。
【解決手段】固定側把持半体13aと可動側把持半体13bを互いに閉じると共にT形頭部16aを係止位置(係止部19)側に回動させてロック状態にして供給するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多導体用スペーサの供給方法に関するものであり、特に、一体の間隔枠体上に素導体(以下、「電線」という)を把持する複数の把持ユニットを取り付けた多導体用スペーサを、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持して供給する多導体用スペーサの供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一体の間隔枠体上に複数の把持ユニットを取り付け、各把持ユニットによりそれぞれ別個の電線を把持し、その電線同士が接触することがないように間隔を持たせて保持する多導体用スペーサは数多く知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図8は従来の多導体用スペーサの一例を示すものである。同図において、多導体用スペーサ50は、矩形状をした間隔枠体51の左右の軸対称の位置に把持ユニット52,52,52,52を設けた4導体用のスペーサである。
【0004】
図9は図8に示した前記多導体スペーサ50における前記把持ユニット52の一部を切り欠いた拡大正面図、図10は図9のA−A矢視図で、また図11〜図15は前記把持ユニット52の動作説明図である。図8に示した前記把持ユニット52の構造を図9〜図15を加えて更に説明すると、前記各把持ユニット52は、ルーズ式であり、固定側把持半体53aと可動側把持半体53bの一組でなる把持体53を備える。
【0005】
前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bは、一端側が電線W(図13〜図15参照)の中心軸と平行するヒンジピン(回動軸)54によって連結されており、該ヒンジピン54を支点として回動し、他端側が開閉自在となっている。また、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bの対向し合う面にはそれぞれ断面半円状をした電線受け溝55,55が設けられ、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bが互いに閉じられたときは該両方の電線受け溝55,55が電線Wの外径と略一致するように形成されている。従って、その電線受け溝55,55内に電線Wを受け入れて前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを互いに閉じると、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bとで電線Wを把持できる。
【0006】
また、前記固定側把持半体53aの他端側には、後述するT字ボルト56、圧縮バネ装置63等を有した締め付け部57が設けられている。一方、前記可動側把持半体53bの他端側には、該他端側先端から電線Wと直交する方向に切り込まれた係止溝58を有した係止部59が設けられている。
【0007】
前記T字ボルト56は一端側にT形頭部56aを設けると共に他端側にねじ部56bを設けてなる。なお、前記T形頭部56aの長辺の長さは前記係止溝58の溝幅よりも十分大きく、また短辺の長さは反対に該係止溝58の溝幅よりも小さく形成されている。従って、該T字ボルト56は、図11(a)に示すように前記T形頭部56aの長辺を前記係止溝58と平行に配置させると、同図(b)に示すように該T形頭部56aが該係止溝58内を通過して前記可動側把持半体53bの外側まで突出することができる。また、通過後、図12(a)に示すように該T形頭部56aを該T字ボルト56と共に90度回転させると、同図(b)に示すように前記可動側把持半体53bの外側で、該T形頭部56aが該可動側把持半体53bの外側面となる係止部59に係止され、該可動側把持半体53bが該固定側把持半体53aに対し回動して開くことがないよう、該固定側把持半体53aに対して該可動側把持体53bを閉ロックできるようになっている。
【0008】
そのT字ボルト56は、前記ねじ部56bを前記固定側把持半体53aの孔60を貫通させ、かつ図9、図11(b)、図12(b)、図14、図15に示すように、前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの外側(前記係止部59の外側)まで突出可能な状態にして該固定側把持半体53aに支承され、軸中心に回動可能で、かつ軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。
【0009】
また、前記孔60を貫通した前記T字ボルト56の前記ねじ部56b側には、座金61とナット62を取り付けていると共に、前記固定側把持半体53aの外面と前記座金61との間にコイルバネからなる前記圧縮バネ装置63が、一端を該座金61に当接させ、かつ他端を該固定側把持半体53aの外面に当接させて装架している。従って、前記圧縮バネ装置63は、該圧縮バネ装置63の圧縮された反力により前記T字ボルト56を前記T形頭部56aと反対方向、すなわち該T字ボルト56が前記固定側把持半体53a側に向かう軸力を常に与えている。
【0010】
また、前記T字ボルト56と前記圧縮ばね装置63の外側には、U形の枠体64が前記固定側把持半体53aと一体に形成されている。該U形の枠体64には、前記T字ボルト56の延長方向に一致したねじ孔65が設けられ、このねじ孔65に押しボルト66が螺合している。なお、押しボルト66には、一端を該押しボルト66の頭部側に固定すると共に、他端を該押しボルト66の内端と前記T字ボルト56の先端の間に配設できるようにフリーな状態にしてなる取付確認板67が取り付けられている。
【0011】
そして、この把持ユニット52の構造では、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを前記可動側把持半体53bの係止溝58と平行にした状態で、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、前記取付確認板67の他端を前記T字ボルト56の先端に当接させた状態で前記ねじ孔65に前記押しボルト66をねじ込んで行くと、該押しボルト66の内端が取付確認板67の他端を介して前記T字ボルト56の先端に当接し、該T字ボルト56を前記圧縮バネ装置63のバネ力に抗して前記T形頭部56a側に押し、該T字ボルト56の前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53aの係止溝58を通過して前記係止部59の上側に突き出すまで該T字ボルト56を軸方向に移動させることができる。
【0012】
ところで、このように構成された多導体用スペーサ50では、従来、該多導体スペーサ50を現場まで搬送して作業者が作業に取りかかるまでの間、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを前記可動側把持半体53aの係止溝58と平行にした状態で前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記押しボルト66を前記ねじ孔65にねじ込み、前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの前記係止部59上側に突き出した状態にして供給していた。しかし、このような状態で現場まで搬送して作業者に供給した場合では、その搬送途中で前記可動側把持半体53bが開いてしまう虞がある。そこで図8〜図10に示すように、輪ゴム68を使用して前記可動側半体53bが開くのを防止する手段が採用されている。
【0013】
その輪ゴム68は、一端内側を前記固定側把持半体53aの外側に回して該固定側把持反対53aの背面側に引っ掛けると共に、他端内側を、前記係止溝58内を通過して前記可動側把持半体53bの外側まで突出している前記T字ボルト56の前記T形頭部56aの内側に引っ掛けて張設され、該可動側把持半体53bに該固定側把持半体53a側へ回動する力を付与するようにして装着されている。従って、前記間隔枠体51に取り付けられた4個の前記把持ユニット52,52,52,52の全てに前記輪ゴム68を装着し、作業者が作業に取りかかる前に前記可動側把持半体53bが開いてしまうことがないようにしている。
【0014】
そして、作業者が作業を開始して前記多導体用スペーサ50を使用をするときには、前記各把持ユニット52,52,52,52に装着されている前記輪ゴム68を作業者自身で外し、その外した箇所における前記可動側把持半体53bを、前記固定側把持半体53aに対して回動させて開くようにしている。また、前記可動側把持半体53bを開いた後は、図13に示すように前記固定側把持半体53aの前記係止溝58内に前記電線Wをセットした後、図14に示すように前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを図12に示すように90度回し、該T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの係止部59に係止する状態にする。その後、図示しない専用工具を使用して前記押しボルト66を緩めて取り外す。
【0015】
また、押しボルト66が取り外されるとき、それまで前記取付確認板67の他端を挟んでいた前記T字ボルト56の先端と前記押しボルト66の先端との間の当接力が無くなる。従って、該押しボルト66が取り外されると同時に該取付確認板67も外される。さらに、押しボルト66を緩めて外す動作と同時に前記圧縮ばね装置63が伸張し、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aが前記固定側把持半体53a側に移動する。そして、前記T形頭部56aが前記係止部59に係止されて、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bとの間が閉ロックされると同時に、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bとの間に締付け力が生じて電線Wを強固に把持することができる。図12(b)の二点鎖線及び図15は、この把持状態を示している。この取付作業を各把持ユニット52,52,52,52について行うことにより、前記多導体用スペーサ50は4つの電線Wを所定の間隔をおいて保持し、電線W同士が接触するのを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−261030号公報(図1)。
【特許文献2】特開2010−178569号公報(図4、図7)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、多導体用スペーサ50を現場の作業者に供給する場合、従来の方法では輪ゴム68を使用して前記可動側把持半体53bが前記固定側把持半体53aに対し回動して開くのを阻止し、その輪ゴム68の張力により閉ロック状態を維持して供給している。
【0018】
このよう輪ゴムを使用して多導体用スペーサ50を供給する従来の方法では、運搬の途中や保管の途中に輪ゴムが切れて脱落し、作業前に閉ロックが解除されてしまうことが少なくない。このような場合には、作業性が悪くなると言う問題点があった。
【0019】
また、輪ゴムは一時的な仮押さえであり、作業後は不要でゴミとして排出される。このようにゴミとなる輪ゴムを使用することは環境上好ましくないと言う問題点もあった。
【0020】
そこで、輪ゴム等、設置作業後にゴミとして排出されるような部材を使用することなく、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持したままの状態で多導体用スペーサを供給するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給するようにした多導体用スペーサの供給方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、固定側把持半体と可動側把持半体を互いに閉じ、かつT字ボルトのT形頭部を前記係止位置側に回動させて固定側把持半体と可動側把持半体が開かないようにロックして供給するので、従来使用していた輪ゴムを無くすことができる。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の方法において、上記可動側把持半体を上記固定側把持半体の上側方向から回動させて閉じるように、該可動側把持半体を該固定側把持半体に対し上側の位置に取り付けた状態で供給する多導体用スペーサの供給方法を提供する。
【0024】
この構成によれば、電線を固定側把持半体上にセットし、その後、該固定側把持半体に対して可動側把持半体を上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニットで行い処理することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明は、T字ボルトのT形頭部を回動させて機械的に閉ロックするので、従来使用していた作業後にゴミとして排出される輪ゴムを無くすことができ、環境向上に寄与できる。また、固定側把持半体と可動側把持半体の間をT形頭部を使用して機械的に閉ロックするので、従来問題となっていた運搬の途中や保管の途中に輪ゴムが切れて脱落し、作業前に閉ロックが解除されて作業性を悪くすると言う問題を解決することができ、作業性の向上に寄与できる。
【0026】
請求項2記載の発明は、電線を固定側把持半体上にセットし、その後、該固定側把持半体に対して可動側把持半体を上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニットで行って処理することができるので、作業がし易く、更に作業性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した実施例として示す多導体用スペーサの正面図。
【図2】図1に示す把持ユニットの一部を切り欠いた拡大正面図。
【図3】同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はアンロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図4】同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図5】同上把持ユニットの動作説明をするための一部を省略した正面図で、電線を把持する前の状態を示す。
【図6】同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線把持途中の状態を示す。
【図7】同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線の把持を完了した状態を示す。
【図8】供給搬送途中の状態で示す従来の多導体用スペーサの正面図。
【図9】図8に示す把持ユニットの一部を切り欠いた拡大正面図。
【図10】図9のA−A矢視図。
【図11】図8に示す同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はアンロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図12】図8に示す同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図13】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線を把持する前の状態を示す。
【図14】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための一部を省略し、かつ切り欠いた正面図で、電線把持途中の状態を示す。
【図15】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための一部を切り欠いた正面図で、電線の把持を完了した状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は輪ゴム等、設置作業後にゴミとして排出されるような部材を使用することなく、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持したままの状態で多導体用スペーサを供給するという目的を達成するために、一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給するようにしたことにより実現した。
【0029】
以下、本発明の実施形態による多導体用スペーサの供給方法を図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1は本発明を適用した従来の多導体用スペーサの一例を示すものである。同図において、多導体用スペーサ10は、矩形状をした間隔枠体11の左右の軸対称の位置に把持ユニット12,12,12,12を設けた4導体用のスペーサである。
【0031】
図2は図1に示す多導体スペーサ10における前記把持ユニット12の一部を切り欠いた正面図で、また図3〜図7は前記把持ユニットの動作説明図である。図1に示した前記把持ユニット12の構造を図2〜図7を加えて更に説明すると、前記各把持ユニット12は、ルーズ式であり、固定側把持半体13aと可動側把持半体13bの一組でなる把持体13を備える。
【0032】
前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bは、一端側が電線W(図5〜図7参照)の中心軸と平行するヒンジピン(回動軸)14によって連結されており、該ヒンジピン14を支点として回動し、他端側が開閉自在となっている。また、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bの対向し合う面にはそれぞれ断面半円状をした電線受け溝15,15が設けられ、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bが互いに閉じられたときは該両方の電線受け溝15,15が電線Wの外径と略一致するように形成されている。従って、その電線受け溝15,15内に電線Wを受け入れて前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを互いに閉じると、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bとで電線Wを把持できる。
【0033】
また、前記固定側把持半体13aの他端側には、後述するT字ボルト16、圧縮バネ装置23等を有した締め付け部17が設けられている。一方、前記可動側把持半体13bの他端側には、該他端側先端から電線Wと直交する方向に切り込まれた係止溝18を有した係止部(係止位置)19が設けられている。
【0034】
前記T字ボルト16は一端側にT形頭部16aを設けると共に他端側にねじ部16bを設けてなる。なお、前記T形頭部16aの長辺の長さは前記係止溝18の溝幅よりも十分大きく、また短辺の長さは反対に該係止溝18の溝幅よりも小さく形成されている。従って、該T字ボルト16は、図3(a)に示すように前記T形頭部16aの長辺を前記係止溝18と平行に配置させると、同図(b)に示すように該T形頭部16aが該係止溝18内を通過して前記可動側把持半体13bの外側まで突出することができる。また、通過後、図4(a)に示すように該T形頭部16aを該T字ボルト16と共に90度回転させると、同図(b)に示すように前記可動側把持半体1bの外側で、該T形頭部16aが該可動側把持半体13bの外側面となる係止部19に係止され、該可動側把持半体13bが該固定側把持半体13aに対し回動して開くことがないよう、該固定側把持半体13aに対して該可動側把持体13bを閉ロックできるようになっている。
【0035】
そのT字ボルト16は、前記ねじ部16bを前記固定側把持半体13aの孔20を貫通させ、かつ図2、図3(b)、図4(b)、図6、図7に示すように、前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの外側(前記係止部19の外側)まで突出可能な状態にして該固定側把持半体13aに支承され、軸中心に回動可能で、かつ軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。
【0036】
また、前記孔20を貫通した前記T字ボルト16の前記ねじ部16b側には、座金21とナット22を取り付けていると共に、前記固定側把持半体13aの外面と前記座金11との間にコイルバネからなる前記圧縮バネ装置23が、一端を該座金21に当接させ、かつ他端を該固定側把持半体13aの外面に当接させて装架している。従って、前記圧縮バネ装置23は、該圧縮バネ装置23の圧縮された反力により前記T字ボルト16を前記T形頭部16aと反対方向、すなわち該T字ボルト16が前記固定側把持半体13a側に向かう軸力を常に与えている。
【0037】
また、前記T字ボルト16と前記圧縮ばね装置23の外側には、U形の枠体24が前記固定側把持半体13aと一体に形成されている。該U形の枠体24には、前記T字ボルト16の延長方向に一致したねじ孔25が設けられ、このねじ孔25に押しボルト26が螺合している。なお、押しボルト26には、一端を該押しボルト26の頭部側に固定すると共に、他端を該押しボルト26の内端と前記T字ボルト56の先端の間に配設できるようにフリーな状態にしてなる取付確認板27が取り付けられている。
【0038】
そして、この把持ユニット12の構造では、前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを前記可動側把持半体13bの係止溝18と平行にした状態で、前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、前記取付確認板27の他端を前記T字ボルト16の先端に当接させた状態で前記ねじ孔25に前記押しボルト26をねじ込んで行くと、該押しボルト26の内端が取付確認板27の他端を介して前記T字ボルト16の先端に当接し、該T字ボルト16を前記圧縮バネ装置23のバネ力に抗して前記T形頭部16a側に押し、該T字ボルト16の前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13aの係止溝18を通過して前記係止部19の上側に突き出すまで該T字ボルト16を軸方向に移動させることができる。
【0039】
また、図1に示すように本実施例の多導体用スペーサ10では、全ての把持ユニット12,12,12,12において、前記各可動側把持半体13bの取付位置を前記固定側把持半体13aに対して上側とし、該可動側把持半体13bが該固定側把持半体13bの上側方向から回動させて閉じるように設定してある。
【0040】
従って、全ての前記把持ユニット12,12,12,12においてそれぞれの電線Wを把持する場合、図1に示すように前記多導体用スペーサ10の前記間隔枠体11に付された位置符号28を上側に向けて前記多導体スペーサ10をセットすると、電線Wを前記固定側把持半体13aの前記電線受け溝15内にセットし、その後、該固定側把持半体13aに対し前記可動側把持半体13bを上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニット12で同じように行って処理することができ、作業をし易くしてある。
【0041】
次に、前記多導体用スペーサ10の作用を説明する。まず、前記多導体用スペーサ10を現場まで搬送して作業者が作業に取りかかるまでの間、前記各把持ユニット12,12,12,12は、次のような状態にして維持される。すなわち、図3に示すように前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを前記可動側把持半体13aの係止溝18と平行にした状態で前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して、前記押しボルト26を前記ねじ孔25にねじ込んで前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの前記係止部19上側に突き出した状態にして保持する。次いで、図示しない専用工具を使用してT字ボルト16のT形頭部16aを図4に示すように90度回し、該T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの係止部19に係止するロック状態にする。従って、このロック状態では、前記可動側把持半体13bが前記固定側把持半体13aに対して開くのを機械的にロックしているので、作業を開始する前に前記可動側把持半体13bが開いてしまうことはない。
【0042】
そして、作業者が使用をするときには、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを図3に示すように90度回して戻し、該T字ボルト16の該T形頭部16aを前記可動側把持半体13bの前記係止溝18と平行にしたアンロック状態にする。これにより、前記T形頭部16aを前記係止溝18と平行にしてロックを外したアンロック状態にある箇所における、該把持ユニット52の前記可動側把持半体13bを前記固定側把持半体13aに対し回動させると開くことができる。
【0043】
また、前記可動側把持半体13bを開いた後は、図5に示すように前記固定側把持半体13aの前記係止溝18内に前記電線Wをセットした後、図6に示すように前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを図4に示すように90度回して、該T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの係止部19に係止する状態にする。その後、前記押しボルト26を緩めて取り外す。
【0044】
また、押しボルト26が取り外されるとき、それまで前記取付確認板27の他端を挟んでいた前記T字ボルト16の先端と前記押しボルト26の先端との間の当接力が無くなる。従って、該押しボルト26が取り外されると同時に該取付確認板27も外される。さらに、押しボルト26を緩めて外す動作と同時に圧縮ばね装置23が伸張し、前記T字ボルト16の前記T形頭部16aが前記固定側把持半体13a側に移動する。そして、前記T形頭部16aが前記係止部19に係止されて前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bとの間が閉ロックされると同時に、前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bとの間に締付け力が生じて電線Wを強固に把持することができる。図4(b)の二点鎖線及び図7は、この把持状態を示している。この取付作業を各把持ユニット12,12,12,12について行うことにより、前記多導体用スペーサ10は、4つの電線Wを所定の間隔をおいて保持し、電線W同士が接触するのを防ぐ。
【0045】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は4導体用に限ることなく、2導体用、3導体用、5導体用等、多導体用に応用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 多導体用スペーサ
11 間隔枠体
12 把持ユニット
13 把持体
13a 固定側把持半体
13b 可動側把持半体
14 ヒンジピン
15 電線受け溝
16 T字ボルト
16a T形頭部
16b ねじ部
17 締め付け部
18 係止溝
19 係止部(係止位置)
20 孔
21 座金
22 ナット
23 圧縮バネ装置
24 U形の枠体
25 ねじ孔
26 押しボルト
27 取付確認板
28 位置符号
W 電線
【技術分野】
【0001】
本発明は多導体用スペーサの供給方法に関するものであり、特に、一体の間隔枠体上に素導体(以下、「電線」という)を把持する複数の把持ユニットを取り付けた多導体用スペーサを、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持して供給する多導体用スペーサの供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一体の間隔枠体上に複数の把持ユニットを取り付け、各把持ユニットによりそれぞれ別個の電線を把持し、その電線同士が接触することがないように間隔を持たせて保持する多導体用スペーサは数多く知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
図8は従来の多導体用スペーサの一例を示すものである。同図において、多導体用スペーサ50は、矩形状をした間隔枠体51の左右の軸対称の位置に把持ユニット52,52,52,52を設けた4導体用のスペーサである。
【0004】
図9は図8に示した前記多導体スペーサ50における前記把持ユニット52の一部を切り欠いた拡大正面図、図10は図9のA−A矢視図で、また図11〜図15は前記把持ユニット52の動作説明図である。図8に示した前記把持ユニット52の構造を図9〜図15を加えて更に説明すると、前記各把持ユニット52は、ルーズ式であり、固定側把持半体53aと可動側把持半体53bの一組でなる把持体53を備える。
【0005】
前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bは、一端側が電線W(図13〜図15参照)の中心軸と平行するヒンジピン(回動軸)54によって連結されており、該ヒンジピン54を支点として回動し、他端側が開閉自在となっている。また、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bの対向し合う面にはそれぞれ断面半円状をした電線受け溝55,55が設けられ、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bが互いに閉じられたときは該両方の電線受け溝55,55が電線Wの外径と略一致するように形成されている。従って、その電線受け溝55,55内に電線Wを受け入れて前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを互いに閉じると、該固定側把持半体53aと該可動側把持半体53bとで電線Wを把持できる。
【0006】
また、前記固定側把持半体53aの他端側には、後述するT字ボルト56、圧縮バネ装置63等を有した締め付け部57が設けられている。一方、前記可動側把持半体53bの他端側には、該他端側先端から電線Wと直交する方向に切り込まれた係止溝58を有した係止部59が設けられている。
【0007】
前記T字ボルト56は一端側にT形頭部56aを設けると共に他端側にねじ部56bを設けてなる。なお、前記T形頭部56aの長辺の長さは前記係止溝58の溝幅よりも十分大きく、また短辺の長さは反対に該係止溝58の溝幅よりも小さく形成されている。従って、該T字ボルト56は、図11(a)に示すように前記T形頭部56aの長辺を前記係止溝58と平行に配置させると、同図(b)に示すように該T形頭部56aが該係止溝58内を通過して前記可動側把持半体53bの外側まで突出することができる。また、通過後、図12(a)に示すように該T形頭部56aを該T字ボルト56と共に90度回転させると、同図(b)に示すように前記可動側把持半体53bの外側で、該T形頭部56aが該可動側把持半体53bの外側面となる係止部59に係止され、該可動側把持半体53bが該固定側把持半体53aに対し回動して開くことがないよう、該固定側把持半体53aに対して該可動側把持体53bを閉ロックできるようになっている。
【0008】
そのT字ボルト56は、前記ねじ部56bを前記固定側把持半体53aの孔60を貫通させ、かつ図9、図11(b)、図12(b)、図14、図15に示すように、前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの外側(前記係止部59の外側)まで突出可能な状態にして該固定側把持半体53aに支承され、軸中心に回動可能で、かつ軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。
【0009】
また、前記孔60を貫通した前記T字ボルト56の前記ねじ部56b側には、座金61とナット62を取り付けていると共に、前記固定側把持半体53aの外面と前記座金61との間にコイルバネからなる前記圧縮バネ装置63が、一端を該座金61に当接させ、かつ他端を該固定側把持半体53aの外面に当接させて装架している。従って、前記圧縮バネ装置63は、該圧縮バネ装置63の圧縮された反力により前記T字ボルト56を前記T形頭部56aと反対方向、すなわち該T字ボルト56が前記固定側把持半体53a側に向かう軸力を常に与えている。
【0010】
また、前記T字ボルト56と前記圧縮ばね装置63の外側には、U形の枠体64が前記固定側把持半体53aと一体に形成されている。該U形の枠体64には、前記T字ボルト56の延長方向に一致したねじ孔65が設けられ、このねじ孔65に押しボルト66が螺合している。なお、押しボルト66には、一端を該押しボルト66の頭部側に固定すると共に、他端を該押しボルト66の内端と前記T字ボルト56の先端の間に配設できるようにフリーな状態にしてなる取付確認板67が取り付けられている。
【0011】
そして、この把持ユニット52の構造では、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを前記可動側把持半体53bの係止溝58と平行にした状態で、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、前記取付確認板67の他端を前記T字ボルト56の先端に当接させた状態で前記ねじ孔65に前記押しボルト66をねじ込んで行くと、該押しボルト66の内端が取付確認板67の他端を介して前記T字ボルト56の先端に当接し、該T字ボルト56を前記圧縮バネ装置63のバネ力に抗して前記T形頭部56a側に押し、該T字ボルト56の前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53aの係止溝58を通過して前記係止部59の上側に突き出すまで該T字ボルト56を軸方向に移動させることができる。
【0012】
ところで、このように構成された多導体用スペーサ50では、従来、該多導体スペーサ50を現場まで搬送して作業者が作業に取りかかるまでの間、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを前記可動側把持半体53aの係止溝58と平行にした状態で前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記押しボルト66を前記ねじ孔65にねじ込み、前記T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの前記係止部59上側に突き出した状態にして供給していた。しかし、このような状態で現場まで搬送して作業者に供給した場合では、その搬送途中で前記可動側把持半体53bが開いてしまう虞がある。そこで図8〜図10に示すように、輪ゴム68を使用して前記可動側半体53bが開くのを防止する手段が採用されている。
【0013】
その輪ゴム68は、一端内側を前記固定側把持半体53aの外側に回して該固定側把持反対53aの背面側に引っ掛けると共に、他端内側を、前記係止溝58内を通過して前記可動側把持半体53bの外側まで突出している前記T字ボルト56の前記T形頭部56aの内側に引っ掛けて張設され、該可動側把持半体53bに該固定側把持半体53a側へ回動する力を付与するようにして装着されている。従って、前記間隔枠体51に取り付けられた4個の前記把持ユニット52,52,52,52の全てに前記輪ゴム68を装着し、作業者が作業に取りかかる前に前記可動側把持半体53bが開いてしまうことがないようにしている。
【0014】
そして、作業者が作業を開始して前記多導体用スペーサ50を使用をするときには、前記各把持ユニット52,52,52,52に装着されている前記輪ゴム68を作業者自身で外し、その外した箇所における前記可動側把持半体53bを、前記固定側把持半体53aに対して回動させて開くようにしている。また、前記可動側把持半体53bを開いた後は、図13に示すように前記固定側把持半体53aの前記係止溝58内に前記電線Wをセットした後、図14に示すように前記可動側把持半体53bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト56の前記T形頭部56aを図12に示すように90度回し、該T形頭部56aが前記可動側把持半体53bの係止部59に係止する状態にする。その後、図示しない専用工具を使用して前記押しボルト66を緩めて取り外す。
【0015】
また、押しボルト66が取り外されるとき、それまで前記取付確認板67の他端を挟んでいた前記T字ボルト56の先端と前記押しボルト66の先端との間の当接力が無くなる。従って、該押しボルト66が取り外されると同時に該取付確認板67も外される。さらに、押しボルト66を緩めて外す動作と同時に前記圧縮ばね装置63が伸張し、前記T字ボルト56の前記T形頭部56aが前記固定側把持半体53a側に移動する。そして、前記T形頭部56aが前記係止部59に係止されて、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bとの間が閉ロックされると同時に、前記固定側把持半体53aと前記可動側把持半体53bとの間に締付け力が生じて電線Wを強固に把持することができる。図12(b)の二点鎖線及び図15は、この把持状態を示している。この取付作業を各把持ユニット52,52,52,52について行うことにより、前記多導体用スペーサ50は4つの電線Wを所定の間隔をおいて保持し、電線W同士が接触するのを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−261030号公報(図1)。
【特許文献2】特開2010−178569号公報(図4、図7)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、多導体用スペーサ50を現場の作業者に供給する場合、従来の方法では輪ゴム68を使用して前記可動側把持半体53bが前記固定側把持半体53aに対し回動して開くのを阻止し、その輪ゴム68の張力により閉ロック状態を維持して供給している。
【0018】
このよう輪ゴムを使用して多導体用スペーサ50を供給する従来の方法では、運搬の途中や保管の途中に輪ゴムが切れて脱落し、作業前に閉ロックが解除されてしまうことが少なくない。このような場合には、作業性が悪くなると言う問題点があった。
【0019】
また、輪ゴムは一時的な仮押さえであり、作業後は不要でゴミとして排出される。このようにゴミとなる輪ゴムを使用することは環境上好ましくないと言う問題点もあった。
【0020】
そこで、輪ゴム等、設置作業後にゴミとして排出されるような部材を使用することなく、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持したままの状態で多導体用スペーサを供給するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給するようにした多導体用スペーサの供給方法を提供する。
【0022】
この方法によれば、固定側把持半体と可動側把持半体を互いに閉じ、かつT字ボルトのT形頭部を前記係止位置側に回動させて固定側把持半体と可動側把持半体が開かないようにロックして供給するので、従来使用していた輪ゴムを無くすことができる。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の方法において、上記可動側把持半体を上記固定側把持半体の上側方向から回動させて閉じるように、該可動側把持半体を該固定側把持半体に対し上側の位置に取り付けた状態で供給する多導体用スペーサの供給方法を提供する。
【0024】
この構成によれば、電線を固定側把持半体上にセットし、その後、該固定側把持半体に対して可動側把持半体を上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニットで行い処理することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明は、T字ボルトのT形頭部を回動させて機械的に閉ロックするので、従来使用していた作業後にゴミとして排出される輪ゴムを無くすことができ、環境向上に寄与できる。また、固定側把持半体と可動側把持半体の間をT形頭部を使用して機械的に閉ロックするので、従来問題となっていた運搬の途中や保管の途中に輪ゴムが切れて脱落し、作業前に閉ロックが解除されて作業性を悪くすると言う問題を解決することができ、作業性の向上に寄与できる。
【0026】
請求項2記載の発明は、電線を固定側把持半体上にセットし、その後、該固定側把持半体に対して可動側把持半体を上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニットで行って処理することができるので、作業がし易く、更に作業性の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を適用した実施例として示す多導体用スペーサの正面図。
【図2】図1に示す把持ユニットの一部を切り欠いた拡大正面図。
【図3】同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はアンロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図4】同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図5】同上把持ユニットの動作説明をするための一部を省略した正面図で、電線を把持する前の状態を示す。
【図6】同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線把持途中の状態を示す。
【図7】同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線の把持を完了した状態を示す。
【図8】供給搬送途中の状態で示す従来の多導体用スペーサの正面図。
【図9】図8に示す把持ユニットの一部を切り欠いた拡大正面図。
【図10】図9のA−A矢視図。
【図11】図8に示す同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はアンロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図12】図8に示す同上把持ユニットのロック部を説明する図で、(a)はロック状態を示す平面図、(b)は(a)の一部を切り欠いた側面図。
【図13】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための正面図で、電線を把持する前の状態を示す。
【図14】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための一部を省略し、かつ切り欠いた正面図で、電線把持途中の状態を示す。
【図15】図8に示す同上把持ユニットの動作説明をするための一部を切り欠いた正面図で、電線の把持を完了した状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は輪ゴム等、設置作業後にゴミとして排出されるような部材を使用することなく、作業者が作業現場で取り扱いやすい状態を維持したままの状態で多導体用スペーサを供給するという目的を達成するために、一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給するようにしたことにより実現した。
【0029】
以下、本発明の実施形態による多導体用スペーサの供給方法を図1〜図7を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1は本発明を適用した従来の多導体用スペーサの一例を示すものである。同図において、多導体用スペーサ10は、矩形状をした間隔枠体11の左右の軸対称の位置に把持ユニット12,12,12,12を設けた4導体用のスペーサである。
【0031】
図2は図1に示す多導体スペーサ10における前記把持ユニット12の一部を切り欠いた正面図で、また図3〜図7は前記把持ユニットの動作説明図である。図1に示した前記把持ユニット12の構造を図2〜図7を加えて更に説明すると、前記各把持ユニット12は、ルーズ式であり、固定側把持半体13aと可動側把持半体13bの一組でなる把持体13を備える。
【0032】
前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bは、一端側が電線W(図5〜図7参照)の中心軸と平行するヒンジピン(回動軸)14によって連結されており、該ヒンジピン14を支点として回動し、他端側が開閉自在となっている。また、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bの対向し合う面にはそれぞれ断面半円状をした電線受け溝15,15が設けられ、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bが互いに閉じられたときは該両方の電線受け溝15,15が電線Wの外径と略一致するように形成されている。従って、その電線受け溝15,15内に電線Wを受け入れて前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを互いに閉じると、該固定側把持半体13aと該可動側把持半体13bとで電線Wを把持できる。
【0033】
また、前記固定側把持半体13aの他端側には、後述するT字ボルト16、圧縮バネ装置23等を有した締め付け部17が設けられている。一方、前記可動側把持半体13bの他端側には、該他端側先端から電線Wと直交する方向に切り込まれた係止溝18を有した係止部(係止位置)19が設けられている。
【0034】
前記T字ボルト16は一端側にT形頭部16aを設けると共に他端側にねじ部16bを設けてなる。なお、前記T形頭部16aの長辺の長さは前記係止溝18の溝幅よりも十分大きく、また短辺の長さは反対に該係止溝18の溝幅よりも小さく形成されている。従って、該T字ボルト16は、図3(a)に示すように前記T形頭部16aの長辺を前記係止溝18と平行に配置させると、同図(b)に示すように該T形頭部16aが該係止溝18内を通過して前記可動側把持半体13bの外側まで突出することができる。また、通過後、図4(a)に示すように該T形頭部16aを該T字ボルト16と共に90度回転させると、同図(b)に示すように前記可動側把持半体1bの外側で、該T形頭部16aが該可動側把持半体13bの外側面となる係止部19に係止され、該可動側把持半体13bが該固定側把持半体13aに対し回動して開くことがないよう、該固定側把持半体13aに対して該可動側把持体13bを閉ロックできるようになっている。
【0035】
そのT字ボルト16は、前記ねじ部16bを前記固定側把持半体13aの孔20を貫通させ、かつ図2、図3(b)、図4(b)、図6、図7に示すように、前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの外側(前記係止部19の外側)まで突出可能な状態にして該固定側把持半体13aに支承され、軸中心に回動可能で、かつ軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。
【0036】
また、前記孔20を貫通した前記T字ボルト16の前記ねじ部16b側には、座金21とナット22を取り付けていると共に、前記固定側把持半体13aの外面と前記座金11との間にコイルバネからなる前記圧縮バネ装置23が、一端を該座金21に当接させ、かつ他端を該固定側把持半体13aの外面に当接させて装架している。従って、前記圧縮バネ装置23は、該圧縮バネ装置23の圧縮された反力により前記T字ボルト16を前記T形頭部16aと反対方向、すなわち該T字ボルト16が前記固定側把持半体13a側に向かう軸力を常に与えている。
【0037】
また、前記T字ボルト16と前記圧縮ばね装置23の外側には、U形の枠体24が前記固定側把持半体13aと一体に形成されている。該U形の枠体24には、前記T字ボルト16の延長方向に一致したねじ孔25が設けられ、このねじ孔25に押しボルト26が螺合している。なお、押しボルト26には、一端を該押しボルト26の頭部側に固定すると共に、他端を該押しボルト26の内端と前記T字ボルト56の先端の間に配設できるようにフリーな状態にしてなる取付確認板27が取り付けられている。
【0038】
そして、この把持ユニット12の構造では、前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを前記可動側把持半体13bの係止溝18と平行にした状態で、前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、前記取付確認板27の他端を前記T字ボルト16の先端に当接させた状態で前記ねじ孔25に前記押しボルト26をねじ込んで行くと、該押しボルト26の内端が取付確認板27の他端を介して前記T字ボルト16の先端に当接し、該T字ボルト16を前記圧縮バネ装置23のバネ力に抗して前記T形頭部16a側に押し、該T字ボルト16の前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13aの係止溝18を通過して前記係止部19の上側に突き出すまで該T字ボルト16を軸方向に移動させることができる。
【0039】
また、図1に示すように本実施例の多導体用スペーサ10では、全ての把持ユニット12,12,12,12において、前記各可動側把持半体13bの取付位置を前記固定側把持半体13aに対して上側とし、該可動側把持半体13bが該固定側把持半体13bの上側方向から回動させて閉じるように設定してある。
【0040】
従って、全ての前記把持ユニット12,12,12,12においてそれぞれの電線Wを把持する場合、図1に示すように前記多導体用スペーサ10の前記間隔枠体11に付された位置符号28を上側に向けて前記多導体スペーサ10をセットすると、電線Wを前記固定側把持半体13aの前記電線受け溝15内にセットし、その後、該固定側把持半体13aに対し前記可動側把持半体13bを上側から回動させて閉じると言う同じ作業を、他の全ての把持ユニット12で同じように行って処理することができ、作業をし易くしてある。
【0041】
次に、前記多導体用スペーサ10の作用を説明する。まず、前記多導体用スペーサ10を現場まで搬送して作業者が作業に取りかかるまでの間、前記各把持ユニット12,12,12,12は、次のような状態にして維持される。すなわち、図3に示すように前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを前記可動側把持半体13aの係止溝18と平行にした状態で前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して、前記押しボルト26を前記ねじ孔25にねじ込んで前記T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの前記係止部19上側に突き出した状態にして保持する。次いで、図示しない専用工具を使用してT字ボルト16のT形頭部16aを図4に示すように90度回し、該T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの係止部19に係止するロック状態にする。従って、このロック状態では、前記可動側把持半体13bが前記固定側把持半体13aに対して開くのを機械的にロックしているので、作業を開始する前に前記可動側把持半体13bが開いてしまうことはない。
【0042】
そして、作業者が使用をするときには、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを図3に示すように90度回して戻し、該T字ボルト16の該T形頭部16aを前記可動側把持半体13bの前記係止溝18と平行にしたアンロック状態にする。これにより、前記T形頭部16aを前記係止溝18と平行にしてロックを外したアンロック状態にある箇所における、該把持ユニット52の前記可動側把持半体13bを前記固定側把持半体13aに対し回動させると開くことができる。
【0043】
また、前記可動側把持半体13bを開いた後は、図5に示すように前記固定側把持半体13aの前記係止溝18内に前記電線Wをセットした後、図6に示すように前記可動側把持半体13bを閉じ、その後、図示しない専用工具を使用して前記T字ボルト16の前記T形頭部16aを図4に示すように90度回して、該T形頭部16aが前記可動側把持半体13bの係止部19に係止する状態にする。その後、前記押しボルト26を緩めて取り外す。
【0044】
また、押しボルト26が取り外されるとき、それまで前記取付確認板27の他端を挟んでいた前記T字ボルト16の先端と前記押しボルト26の先端との間の当接力が無くなる。従って、該押しボルト26が取り外されると同時に該取付確認板27も外される。さらに、押しボルト26を緩めて外す動作と同時に圧縮ばね装置23が伸張し、前記T字ボルト16の前記T形頭部16aが前記固定側把持半体13a側に移動する。そして、前記T形頭部16aが前記係止部19に係止されて前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bとの間が閉ロックされると同時に、前記固定側把持半体13aと前記可動側把持半体13bとの間に締付け力が生じて電線Wを強固に把持することができる。図4(b)の二点鎖線及び図7は、この把持状態を示している。この取付作業を各把持ユニット12,12,12,12について行うことにより、前記多導体用スペーサ10は、4つの電線Wを所定の間隔をおいて保持し、電線W同士が接触するのを防ぐ。
【0045】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は4導体用に限ることなく、2導体用、3導体用、5導体用等、多導体用に応用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 多導体用スペーサ
11 間隔枠体
12 把持ユニット
13 把持体
13a 固定側把持半体
13b 可動側把持半体
14 ヒンジピン
15 電線受け溝
16 T字ボルト
16a T形頭部
16b ねじ部
17 締め付け部
18 係止溝
19 係止部(係止位置)
20 孔
21 座金
22 ナット
23 圧縮バネ装置
24 U形の枠体
25 ねじ孔
26 押しボルト
27 取付確認板
28 位置符号
W 電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、
前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給することを特徴とする多導体用スペーサの供給方法。
【請求項2】
上記可動側把持半体を上記固定側把持半体の上側方向から回動させて閉じるように、該可動側把持半体を該固定側把持半体に対し上側の位置に取り付けた状態で供給することを特徴とする請求項1記載の多導体用スペーサの供給方法。
【請求項1】
一端側がヒンジピンにより連結され、他端側が開閉自在で、それぞれ対向し合う面に電線受け溝を有し、互いに閉じられたとき前記両方の電線受け溝が電線外径と一致するように形成された固定側把持半体及び可動側把持半体と、一端側にT形頭部を有し、該T形頭部を前記可動側把持半体側に突出させて前記固定側把持半体に対して回動並びに軸方向スライド可能に取り付けられたT字ボルトと、前記可動側把持半体側に、該可動側把持半体と前記固定側把持半体が互いに閉じられたときに前記T字ボルトの前記T形頭部を通過させ、該T形頭部を係止位置側に所定角度回すと前記可動側把持半体の開放を阻止し、元の位置まで回して戻すと開放阻止を解除可能な係止溝を設けた係止部と、を各々備えた複数の把持ユニットを一体の間隔枠体上に取り付けてなる多導体用スペーサの供給方法であって、
前記固定側把持半体と前記可動側把持半体を互いに閉じると共に前記T形頭部を前記係止位置側に回動させてロック状態にして供給することを特徴とする多導体用スペーサの供給方法。
【請求項2】
上記可動側把持半体を上記固定側把持半体の上側方向から回動させて閉じるように、該可動側把持半体を該固定側把持半体に対し上側の位置に取り付けた状態で供給することを特徴とする請求項1記載の多導体用スペーサの供給方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−110894(P2013−110894A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255365(P2011−255365)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000117010)古河電工パワーシステムズ株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000117010)古河電工パワーシステムズ株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]