説明

多層グリップ

【課題】製品が他の物体に衝突することによって受ける衝撃及び振動を吸収して最高の気分をもたらすとともに軽量で低密度のグリップを提供する。
【解決手段】製品の握り部、特に、釣り竿及びゴルフクラブに使用するためのグリップ及び当該グリップの製造方法を提供する。グリップは、多層グリップ部材と、内側スリーブすなわち取り付け本体とを含むことが好ましい。グリップ部材は、ポリウレタンで被覆され及び好ましくはポリウレタンに染み込ませられる布層を有する外側層を含んでもよい。外側層は、内側層に接合されてグリップ部材を形成し、グリップ部材はその後にスリーブに取り付けられる。スリーブは、最初の材料ブロックから研削され、又は、射出成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年4月10日出願の米国特許仮出願第61/168,546号(発明の名称:多層グリップ)、及び、2009年6月2日出願の米国特許仮出願第61/183,488号(発明の名称:多層グリップ)の優先権を主張するものであり、当該各米国特許仮出願の全体がここに引用することにより組み入れられる。
【0002】
発明の実施形態は、製品の握り部、特に、釣り竿やゴルフクラブの握り部に使用するための改良されたグリップに関する。
【背景技術】
【0003】
グリップは進化してきたものの、グリップの改良に対する要求は依然として残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一部の実施形態は、軽量で水の吸収を抑制する又は排除するグリップを提供する。一部の実施形態は、グリップの重量/密度を最小限に抑えるとともに粘着感を提供する。実施形態は、釣り竿及びゴルフクラブを含む様々な製品の握り部の少なくとも一部に使用するために形成され得る。一部の実施形態は、エチレン・ビニル・アセテート(EVA)ベースすなわち下地と、EVA内側層すなわち裏打ち層を含むグリップ部とを含む。一部の実施形態では、グリップ部は、EVA内側層に結合されるポリウレタン及び薄布層の結合体を含み得る。布層はポリウレタンに含浸され得る。一部の実施形態では、ポリウレタンは、含浸した布層の外側に配置される織布メッシュ層をさらに含む。
【0005】
一部の実施形態は、釣り竿及びゴルフクラブを含む様々な製品の握り部の少なくとも一部に使用するためのグリップの製造方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、EVAフォームのブロックから下地スリーブを研削する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、EVA下地スリーブを射出成形する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、布基体の両面をポリウレタンで被覆し、かつ、布基体内にポリウレタンを染み込ませて布基体中にポリウレタンを浸透させるためにポリウレタン槽に薄布基体を浸す工程と、布基体の一方の側からポリウレタンの大部分を除去する工程と、布基体の他方の側のポリウレタンの外側面を平滑化する工程とをさらに含む。方法は、布基体内及び布基体の周囲のポリウレタンの凝固を促進するために、ポリウレタンを染み込ませた布基体を水槽に浸す工程をさらに含み得る。ポリウレタン及び薄布の凝固結合基体は、凝固したポリウレタンの孔から流体を搾り出すために例えば1対のローラで圧搾されてもよい。
【0006】
一部の実施形態は、製品の握り部に使用するために形成されるグリップを提供し、当該グリップはスリーブ部材及びグリップ部材を含む。一部の実施形態では、スリーブ部材は、エチレン・ビニル・アセテートを備え、製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞を含み、第1端、第2端及び取り付け面を形成する。一部の実施形態では、グリップ部材はスリーブ部材に結合され、当該グリップ部材は、エチレン・ビニル・アセテートを備える内側層と、第1布及びポリウレタンを備える外側層とを備え、第1布は、布の外側面から布の内側面まで布中へのポリウレタンの浸透を促進するためにポリウレタンに比べて薄い。一部の実施形態では、ポリウレタン及び第1布は協働して外側層の内側面を形成し、外側層の内側面は、グリップ部材の内側層の外側面に結合され、グリップ部材の内側層は、エチレン・ビニル・アセテートスリーブがエチレン・ビニル・アセテートグリップ部材に結合されるように、スリーブ部材の取り付け面に結合される。
【0007】
一部の実施形態は、製品の握り部に使用するためのグリップの製造方法を提供し、当該方法は、製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞を備えるスリーブ部材を用意する工程を備え、スリーブ部材は、エチレン・ビニル・アセテートを備え、第1端、第2端及び取り付け面を形成する。一部の実施形態では、方法は、ポリウレタンが内側面及び外側面の両方を被覆し、かつ、内側面及び外側面の間で第1布シート中に浸透するように、内側面及び外側面を備える第1布を液状ポリウレタンに浸す工程と、浸したシートをスリーブ部材の取り付け面に結合する工程とをさらに含む。
【0008】
一部の実施形態は、製品の握り部に使用するために形成されるグリップ部材を提供し、当該グリップ材料は、エチレン・ビニル・アセテートを備える内側層、及び、外側層を含む。一部の実施形態では、外側層は、内側面及び外側面を含み、その間に実質的に均一な布厚を規定する内側面及び外側面を有する薄布部材を備える。一部の実施形態では、ポリウレタンが布部材中に浸透して当該布部材の少なくとも一部と協働して外側層の内側面を形成するように、布部材がポリウレタンに実質的に含浸される。一部の実施形態では、外側層のポリウレタンは、外側層の外側面の少なくとも一部を形成し、布部材の外側面から外側層の外側面まで延びるポリウレタン厚を規定し、ポリウレタン厚及び布厚はおよそ1の厚さ比率を規定する。一部の実施形態では外側層は内側層に接着される。
【0009】
本発明の実施形態は、製品が他の物体に衝突することによって受ける衝撃及び振動を吸収して最高の気分をもたらす点、及び、軽量で低密度である点を含む1以上の利点を含む。釣り竿のグリップに関連して、低密度化及び極端な軽量化によれば、グリップはどんなに濡れても水に浮かぶことができる。ゴルフクラブのグリップに関連して、より軽量のグリップはクラブのスイングウェイトの調整を可能にする。現在の一般的なグリップの重量は約52gである。本発明の実施形態はグリップの重量を32g程度まで軽量化することができる。一般的に、グリップの重量が約4.5g軽量化されるごとにクラブのスイングウェイトの一単位が増加する。従って、グリップ重量が32g節減されると、クラブのスイングウェイトは約7単位だけ増加することができる。スイングウェイトが増加すると、ゴルファーは同じストロークでより遠くにボールを飛ばすことができる。加えて、グリップ重量の減少は、高齢のゴルファーや力の弱いゴルファーに有益な特徴であるクラブの総重量の減少をもたらす。さらに、軽量グリップは、ロングヒッター及び背の高いゴルファーに好まれる長いシャフトのクラブにとって重要である。さらに、ゴルファーは、自分のバッグ内に14本程度のクラブをたいてい持ち運ぶ。そのゴルファーが、コースを歩くか又はかなりの距離にわたってバッグを持ち運ぶ際には、バッグの重量をできるだけ減らすことが好都合である。こうしたことは、標準的なグリップよりもはるかに軽量な本実施形態のグリップを用いることで実現され得る。
【0010】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一部の実施形態に係るグリップを組み込んだ釣り竿の具体例の斜視図である。
【図2】一部の実施形態に係るグリップ構成要素の正面図である。
【図3】一部の実施形態に係る図2に示される構成要素の製造に用いられる材料ブロックの斜視図である。
【図4】一部の実施形態に係るグリップ構成要素の製造工程で使用するためのマウントを付けた図3のブロックの斜視図である。
【図5】一部の実施形態に係るグリップ構成要素の製造工程で使用される研削ホイールと図4のマウントを付けたブロックとの斜視図である。
【図6】一部の実施形態に係る部分的に形成されたグリップ構成要素の斜視図である。
【図7】一部の実施形態に係る形成されたグリップ構成要素の斜視図である。
【図8】一部の実施形態に係る、マウントが取り外された後で端部充填材が取り付けられる前の図7のグリップ構成要素の端部の斜視図である。
【図9】一部の実施形態に係る、端部充填材が取り付けられた後の図8の端部の斜視図である。
【図10】一部の実施形態に係る図2のグリップ構成要素の使用のために形成されるグリップ部材の斜視図である。
【図11】図10の11−11線に沿ったグリップ部材の断面図である。
【図12】図11の円12で囲まれるグリップ部材の一部の拡大図である。
【図12A】一部の実施形態に係る図12に示される一部の代替例の図である。
【図13】一部の実施形態に係る図10のグリップ部材の製造に用いられる装置の概略図である。
【図14】図13の14−14線に沿った図10のグリップ部材の構成要素の断面図である。
【図14A】一部の実施形態に係る図14の円14Aで囲まれる図14に示される構成要素の一部の拡大図である。
【図14B】一部の実施形態に係る図14に示される構成要素の一部の平面図である。
【図15】図10に示されるグリップ部材の構成要素の、図13の15−15線に沿った断面図である。
【図16】図10に示されるグリップ部材の構成要素の、図13の16−16線に沿った断面図である。
【図17】図10に示されるグリップ部材の構成要素の、図13の17−17線に沿った断面図である。
【図18】一部の実施形態に係る図16の円18で囲まれる図16に示される構成要素の一部の拡大図である。
【図19】一部の実施形態に係る図17の円19で囲まれる図17に示される構成要素の一部の拡大図である。
【図19A】図17に示される構成要素の平面図である。
【図19B】図17に示される構成要素の下面図である。
【図20】一部の実施形態に係る図10のグリップ部材の製造に用いられる装置の概略図である。
【図21】図20の21−21線に沿った図10に示されるグリップ部材の構成要素の断面図である。
【図22】図20の22−22線に沿った図10に示されるグリップ部材の構成要素の断面図である。
【図23】図20の23−23線に沿った図10に示されるグリップ部材の構成要素の断面図である。
【図24】一部の実施形態に係る図23の円24で囲まれる図23の構成要素の一部の拡大図である。
【図25】一部の実施形態に係る図10に示されるグリップ部材の平面図である。
【図26】一部の実施形態に係るグリップ部材の製造に用いられる装置における図25のグリップ部材の概略図である。
【図27】一部の実施形態に係る図25のグリップ部材が削られる様子の概略図である。
【図28】一部の実施形態に係る図25のグリップ部材が削られる様子の概略図である。
【図29】一部の実施形態に係るグリップの製造に用いられる心棒に支持される図3のグリップ構成要素の斜視図である。
【図30】図29の心棒に装着されたグリップ構成要素の、図29の30−30線に沿った断面図である。
【図31】一部の実施形態に係る製造工程中のグリップ構成要素及びグリップ部材の正面図である。
【図32】一部の実施形態に係る完成品のグリップである。
【図33】一部の実施形態に係る図32に示されるグリップの断面図である。
【図34】一部の実施形態に係る図33の円34で囲まれる図32のグリップの一部の拡大図である。
【図35】一部の実施形態に係る図33の円35で囲まれる図32のグリップの一部の拡大図である。
【図35A】一部の実施形態に係る図33の円35で囲まれるグリップの一部の代替構成の拡大図である。
【図36】一部の実施形態によって作られたグリップを含むゴルフクラブの斜視図である。
【図37】例えば図14〜図14Bで概略的に示す構成要素の断面のSEM画像である。
【図38】図37に示される断面の一部の拡大SEM画像である。
【図39】図37に示される断面の他の一部の拡大SEM画像である。
【図40】例えば図17及び図19で概略的に示す構成要素の断面のSEM画像である。
【図41】図40に示される断面の一部の拡大SEM画像である。
【図42】図41に示される拡大断面の一部の拡大SEM画像である。
【図43】例えば図17、図19、図19A及び図19Bに概略的に示す構成要素の下面のSEM画像である。
【図44】例えば図17、図19、図19A及び図19Bに概略的に示す構成要素の上面のSEM画像である。
【図45】例えば図23及び図24に概略的に示すグリップ部材の断面の一部のSEM画像である。
【図46】図45に示される断面の一部の拡大SEM画像である。
【図47】図45に示される断面の他の一部の拡大SEM画像である。
【図48】例えば図32〜図34に概略的に示すグリップGの断面の一部のSEM画像である。
【図49】図48に示される断面の一部の拡大SEM画像である。
【図50】図49に示される断面の一部の拡大SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は図面を参照して詳細に説明される一方で、本発明は例示の実施形態に関連して詳細に説明される。本発明の本質的な範囲及び要旨を逸脱することなく、例示の実施形態は変更され及び変形され得ることが意図される。
【0013】
図1は、一部の実施形態に係るグリップGを組み込んだ釣り竿FPの斜視図である。
【0014】
図2は、一部の実施形態に係る下地スリーブ部材2すなわちスリーブの正面図である。スリーブ2は、釣り竿又は他の製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞4を含む。一部の実施形態では、スリーブ2は、握り部を受け入れるようにされた開口10(図30参照)を含む第1端6と、実質的に閉鎖される閉端を含む第2端8とをさらに含む。取り付け面12すなわち本体は第1端6及び第2端8の間に広がる。
【0015】
一部の実施形態では第1端6はニップル14を含んでよい。一部の実施形態では、ニップル14は、釣り竿FPの指フック15に適合可能に形成される段差構造である。代わりに、一部の実施形態では、先端に向かって先細ってニップル14の直径を減少させて、ニップル14に近接した位置でより小さい直径を有する露出した握り部、ロッド又はシャフトからグリップGの主グリップ部50まで一層滑らかな移行部が形成される。ニップル14は、取り付け面12に一体に形成されてもよく、又は、別体に形成された後に取り付け面12に結合されてもよい。一部の実施形態では、ニップル14は、スリーブ部材2周りで広がりつつスリーブ部材2の取り付け面12に隣接して取り付け面12から半径方向外側に延びる環状のニップル棚16を形成する。ニップル棚16はニップル接触面18及びニップル外側面20を備える。
【0016】
一部の実施形態では第2端8はキャップ構造22を含む。キャップ22は開口24を含んでよい。開口24は、握り部がスリーブ2に挿入される際に空気の排気を容易にするか、又は、釣り竿の握り部又は他の部分からの水分の排出を容易にする。キャップ22はその一端にほぼ凸形の形状を形成している。一部の実施形態では、キャップ22は、スリーブ部材2周りに広がり、スリーブ部材2の取り付け面12に隣接しつつ取り付け面12から半径方向外側に延びる環状のキャップ棚26を形成する。キャップ棚26はキャップ接触面28及びキャップ外側面30を備える。
【0017】
図3〜図9は一部の実施形態に係るスリーブ2の製造方法を示す。一部の実施形態では、エチレン・ビニル・アセテート(EVA)ブロック32(図3参照)が、研削処理を容易にすべく支持ロッド34(図4参照)に装着される。図5に示すように、所望の外形を付与すべく所望の形状に形成された砥石36がEVAブロック32に接触する。ブロック32が砥石36に接触すると、グリップ部品の概略形状が形成される。取り付け面12すなわちスリーブ2の本体を形成する同じ砥石が同時に、ニップル14及び/又はキャップ22が含まれる場合にニップル14及び/又はキャップ22を形成してもよい。代わりに、グリップGのこれらの部分は、適切な形状を有する1以上の他の砥石で形成されてもよい。
【0018】
一部の実施形態では、スリーブ2の形状が仕上げられた時点で(図7参照)、取り付けロッド34は取り外されることが好ましい。一部の実施形態では、取り付けロッド34は、スリーブ2に挿入されることが意図された製品の握り部の外径にほぼ等しい外径を有する。第2端8に残存する穴38は、適切に形成されたプラグ40で塞がれ得る。一部の実施形態では、プラグ40がスリーブ2と同一の材料から形成される結果、プラグ40はスリーブ2に継ぎ目なく又は視覚的に継ぎ目なく溶け込むことができる。代わりに、スリーブ2の第2端8に審美的に心地よいデザイン又は対照的な色合い若しくは質感を付与するために、プラグ40はスリーブ2と異なる材料から形成されてもよい。好適には、一部の実施形態では、プラグ40は、前述の空気や他の流体の排出を可能にする小穴24すなわち開口を含む。
【0019】
図10〜図12Aは一部の実施形態に係るグリップ部材50を示す。グリップ部材50は、スリーブ2の取り付け面12に取り付けられた際に取り付け面12にほぼ一致するように形成される。パネルPとして示す図示の実施形態は、取り付け面12周りを包み込み又は取り付け面12周りに巻き付けられて、以下にさらに詳細に説明するように、パネル50の側縁54、56を結合する実質的に垂直方向の継ぎ目52(図32参照)を形成する。代わりに、グリップ部材50は、取り付け面12周りに螺旋状に順番に巻きつけられるストリップで形成されてもよい。一部の実施形態では、複数のパネル及び/又は複数のストリップが組み込まれてもよい。
【0020】
図11は、図10の11−11線に沿ったグリップ部材50の断面図である。一部の実施形態では、グリップ部材50は外側層58を好適に含む。外側層58は、ベースすなわち内側層60に、固着され、接合され、接着され、又は、そうでなければ貼り付けられる。外側層58は内側面62及び外側面64を形成する(図19参照)。同様に、内側層60は内側面66及び外側面68を形成する。一部の実施形態では、スプレー式の接着剤70が、外側層58の内側面62及び/又は内側層60の外側面68のいずれか又は両方に塗布される。一部の実施形態では、内側層60は、完成品のグリップGの重量を減少させ密度を低下させるため、及び、水や他の流体を吸収し保持する傾向を抑制する抑制材料を提供するためにEVAを備える。こうしたことは、本発明の実施形態に係る軽量/低密度のグリップが濡れたときでさえ好適に浮くことから、例えば釣り竿が水中に落ちた場合、釣り竿への適用において特に有利である。一部の実施形態では、EVA内側層60は約0.5ミリメートル〜約1.5ミリメートルの厚さを有する。一部の実施形態では、EVA内側層60は約0.75ミリメートル〜約1.25ミリメートルの厚さを有する。好適な実施形態では、EVA内側層60は約1ミリメートルの厚さを有する。
【0021】
図12は、図11の円12で囲まれるグリップ部材50の一部の拡大図である。以下にさらに詳細に説明するように、外側層58は、薄い不織布層72を含むことが好ましく、不織布層72には、例えばポリウレタン槽102内に薄布層72を浸すことによってポリウレタン74が十分に染み込ませられる。ポリウレタン74は、凝固して1以上の独立気泡すなわち密閉気孔76を形成することが好ましい。不織布層72は、外側面78及び内側面80を有し、ナイロン、コットン又はポリエステルなどの適切な材料から形成されることが可能であり、またフェルトであり得る。一部の実施形態では、布層72は、ポリウレタン74への浸漬に先だってその厚さを減少するために圧縮されることが好ましい。一部の実施形態では圧縮は布層72の剛性を高める。一部の実施形態では、圧縮はまた、不織布繊維を押し広げて薄布層72内へのポリウレタン74の浸透を向上させる。薄布層内へのポリウレタンの浸透量及び染み込み量が増加すると、水及び他の流体がグリップ部材内に染み込んでグリップ部材内に溜まるような空間の量を減らすことができる。これは釣り竿への適用にあたって特に有利である。一部の実施形態では、薄い不織布層は約0.1ミリメートル〜約0.5ミリメートルの厚さである。一部の実施形態では、薄い不織布層72は約0.3ミリメートル〜約0.4ミリメートルの厚さである。一部の実施形態では、薄い不織布層72は約0.3ミリメートル〜約0.35ミリメートルの厚さである。好適な実施形態では、薄布層72は約0.35ミリメートルの厚さである。
【0022】
一部の実施形態では、薄布層72はポリウレタン74で被覆され及び/又は薄布層72にはポリウレタン74が十分に染み込ませられる。一部の実施形態では、薄布層72を被覆するポリウレタン74は、布層72の外側面78から計測された厚さが約0.1ミリメートル〜約0.4ミリメートルである。一部の実施形態では、薄布層72を被覆するポリウレタン74は約0.15ミリメートル〜約0.25ミリメートルの厚さである。好適な実施形態では、薄布層72を被覆するポリウレタン74は約0.2ミリメートルの厚さである。
【0023】
本発明の実施形態は、釣り竿及びゴルフクラブを含む様々な製品に使用するために十分なねじれ抵抗を有する軽量/低密度のグリップを提供する。一部の実施形態では、EVAベース層60に接着される結合ポリウレタン/薄布層58を含む完成品のグリップ部材50は約5.0g〜約6.0gの重量を有する。好適な実施形態では、グリップ部材50は、約5.3gの重量を有する一方で、釣り竿などの製品用のグリップに要求される高感度での振動の感触、及び、濡れたときでさえ水に浮くことができる利点を提供する。
【0024】
図12Aは、一部の実施形態に係る図12に示す一部の代替例である。この実施形態では、製造工程中にポリウレタン層74に追加の織布メッシュ82が含まれる。一部の実施形態では、布メッシュ82は、ポリウレタン槽102に浸される前に薄い不織布層72に取り付けられる。例えば、布メッシュ82は、薄布層72の一端に縫い付けられてもよく、布メッシュ82を縫い付けた薄布層72の結合体がポリウレタン槽102内に浸される。浸漬工程の例は以下にさらに詳細に説明される。織布メッシュ82は通常は前処理工程中にポリウレタン74を吸収しない。一部の実施形態では、グリップ部材50の外側層58は、十分に染み込んだ薄布層72及び染み込んでいない布メッシュ層82を含む。一部の実施形態では、布メッシュ82は、縦方向に延びる繊維(パネルで形成されるグリップの場合にグリップの長軸の長さに概ね沿って延びる繊維、又は、螺旋状に巻き付けられたストリップで形成される完成品のグリップの場合にストリップの長軸方向に概ね沿って延びる繊維)、及び、横方向に延びる繊維を含む。一部の実施形態では、縦方向に延びる繊維は、横方向に延びる繊維よりも大きな直径を有することが好ましい。例えば、縦方向繊維は約0.4ミリメートル〜約0.75ミリメートルの直径を有し、横方向繊維は約0.25ミリメートル〜約0.5ミリメートルの直径を有してもよい。一部の実施形態では、縦方向繊維及び横方向繊維は実質的に同一の直径を有してもよい。織物メッシュ82は、ナイロン、コットン、ポリエステルなどの適切な材料から製造されてもよい。
【0025】
図13〜図24は、一部の実施形態に係るグリップ部材50の製造方法を示す。図13は、製造方法の一部の実施形態で有用な装置100の概略図である。通常は、一部の実施形態では、薄い不織布シート72がポリウレタン槽102に浸される。一部の実施形態では、槽102は、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解するポリウレタン74の溶剤(例えばポリエステル、ポリエーテル)である。ポリウレタン74の固形成分含有量は、そうしたポリウレタンの所望の硬さに従って変更され得る。好適な固形成分含有量は約28.5%〜約30.5%であり、摂氏25度±0.5度で測定された約60000〜約90000cpsの粘性領域を有する。ポリウレタン槽102の粘性は、布シート72に最終的にまとまるポリウレタン74の厚さを制御するために調整され得る。ポリウレタン74は、布シート72の両面78、80を被覆して布シート72中に十分に染み込むことが好ましい。
【0026】
一部の実施形態では、図示しないものの、シート72がポリウレタン槽102から外側に送られた後に薄布シート72を被覆する未凝固ポリウレタン74の上面に追加で液状ポリウレタンが足されてもよい。第2ポリウレタンは、グリップ部材50にコントラストを付与するために槽102内のポリウレタン74と異なる1以上の特性を含むことが可能である。例えば、第2ポリウレタンは、異なる色、異なるデュロメータ又は異なる粘着レベルを含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、布/ポリウレタンシートは、ポリウレタン槽102から外側の第1処理ステージ104に送られて、そこで、布シート72の下面80からポリウレタン74の一部が除去される。一部の実施形態ではポリウレタン74の大部分が除去される。さらに、ポリウレタン74の上面86は平滑化されることが好ましい。一部の実施形態では、処理ステージ104は、1対のローラ106、108を備える圧縮システムで確立される。ローラ106、108の間隔は、布シート72を被覆するポリウレタン74の厚さを決定するのを助けるために用いられ得る。一部の実施形態では、下側ローラ108は、ゴム面110、又は、他の似たような弾性材料を備える表面を含む。下側ローラ108は、ポリウレタン74の一部を好適に除去し、一部の実施形態ではポリウレタン74の大部分を布シート72の下面80から除去する。一部の実施形態では、下側ローラ108は、布シート72の下面80からポリウレタン74の大部分を剥ぎ取る他の似たような装置で代用され得る。例えば非回転刃が用いられてよい。一部の実施形態では、上側ローラ106は、ステンレス鋼面112又は他の似たような平滑な硬い表面を備える表面を含む。上側ローラ106は、布シート72を被覆するポリウレタン74の上面を好適に平滑化する。
【0028】
湿式凝固処理が用いられる場合、染み込んで被覆された布シート58は、ポリウレタン74からDMFを排除してポリウレタン74内の気孔76の形成を促すために、1以上の水槽120に送られることが好ましい。凝固したポリウレタンシート74は、凝固したポリウレタンシート58から水及びDMFを搾り出すために、水槽120からもう一つの処理ステージ114に送られることが好ましい。一部の実施形態では、処理ステージ114は1対以上のローラ116、118を含む。
【0029】
図14は、一部の実施形態に係る、ポリウレタン槽102内に浸される前の薄い不織布シート72の線14−14に沿った断面図である。図14Aは薄布シート72の拡大断面図である。図14Bは薄布シート72の表面の拡大図である。前述のように、不織布シート72は浸される前に圧縮されることが好ましい。圧縮工程は、シート72に剛性を付与することができ、図14Bに示すように、シート72に不規則な孔84をあけ又は拡張することができる。これらの孔84は、浸漬工程及び凝固工程中に布シート72内への及び布シート中へのポリウレタン74の染み込みを促進する。
【0030】
図15は、一部の実施形態に係る、ポリウレタン槽102内に浸された後の薄布シート72の線15−15に沿った断面図である。ポリウレタン74は、布シート72の両面を好適に被覆してシート72中に浸透する。
【0031】
図16は、一部の実施形態に係る、ポリウレタン槽102に浸されて、下側80からポリウレタン74が実質的に剥ぎ取られた後の薄布シート72の線16−16に沿った断面図である。図18は、下面80からポリウレタン74が実質的に剥ぎ取られた後であって上面及び内部のポリウレタンが凝固する前のシート72の拡大断面図である。不織布72は、布72を被覆するポリウレタン74の上面86から、染み込んだ布72の下面80までポリウレタン74の一部が広がることを許容する孔84を通常は含む。
【0032】
図17は、一部の実施形態に係る、水槽120に浸された後の被覆されて染み込んだシート58の線17−17に沿った断面図である。図19は、ポリウレタン74が凝固した後の被覆されて染み込んだシート58の拡大断面図である。凝固工程は通常、ポリウレタン74の膨張及び厚さの増加を可能にする。さらに、気孔76は、ポリウレタン74内で形をなすことが好ましく、グリップ部材50の粘着性を含むグリップGの特徴を向上させる。
【0033】
一部の実施形態では、布シート72の上面すなわち外側面78を被覆するポリウレタン74は外側面86を形成する。同様に、布シート72の底面すなわち内側面80を被覆するポリウレタン74は内側面88を形成する。ポリウレタン74は、ポリウレタン74の外側面86および布シート72の外側面78すなわち平面の間で第1厚さを規定する。ポリウレタン74は、ポリウレタン74の内側面88及びシート72の内側面80の間で第2厚さを規定する。一部の実施形態では、第1厚さは第2厚さよりも実質的に大きい。一部の実施形態では、第1厚さは第2厚さの約2倍〜約50倍の厚さである。一部の実施形態では、第1厚さは第2厚さの約10倍〜約15倍の厚さである。一部の実施形態では第2厚さはおよそゼロである。
【0034】
図19A及び図19Bは、凝固したポリウレタン/布シート58のそれぞれの上面及び下面を示す。図19Aは、外側層58の外側面64を形成する凝固したポリウレタン74の概ね平滑化された表面86を示す。この表面86は、例えば加熱された型又は圧盤を用いてその表面86に摩擦増大パターンを形成したり、又は、ロゴや他のしるしを刻印したりしてさらにうまく利用され得る。さらに、表面86は、当業者に知られた印刷物を含むことが可能である。図19Bは、凝固したポリウレタン/布シート58の下面62を示す。一実施形態では、下面62は、ポリウレタン74に加えて薄い不織布シート72の布繊維を含む。下面62は、一部の実施形態によって以下にさらに詳細に説明されるように、EVA内側層60にポリウレタン/フェルトシート58を固着し、接着し又はそうでなければ結合することを促進し得るように、平滑な上面64よりも粗いことが好ましい。一部の実施形態では、ポリウレタン74の一部は、上述した処理後に布シート72の下面すなわち内側面80上に残存する。一部の実施形態では、布シート72は、内側面62上に残存するポリウレタン74の少なくとも一部を通して視認可能である。
【0035】
図20は、製造方法の一部の実施形態に有用な装置130の概略図である。前述のポリウレタン/フェルトシート58はEVA内側層すなわちベース層60に固着されることが好ましい。図21〜図24は、一部の実施形態に係る製造工程の様々な時点でのグリップ部材50の断面図を示す。図22は、一部の実施形態に係る上側接着層70及び保護テープ132で覆われるEVA内側層60の断面図である。適切なEVAシートは、ホヤエレクトリックボンドファクトリー(Ho Ya Electric Bond Factory(Xin Xing Ind. Area. Xin Feng W. Rd., Shi Jie Town Dong Guan City, Guan Dong, Province, China))から入手可能である。一部の実施形態では、EVAシート60は、図22に示されるように保護シート132で覆われる接着剤70を含む。シート132は、ポリウレタン/フェルトシート58の下側62にEVAシート60を接触させる前に取り外される(図20参照)。代わりに、接着剤70は、ポリウレタン/フェルトシート58の下面及び/又はEVAシート60のいずれか又は両方にスプレーされるか又はそうでなければ塗布されてもよい。図23は、相互に結合された後のポリウレタン/フェルトシート58及びEVA内側層60の断面図である。完成品のシート50は、その後、リール134に巻き上げられてその先の処理を待ち受ける。代わりに、完成品のシート50は連続したその先の処理のために他の場所に送られてもよい。
【0036】
図21は、EVA内側層60に固着される前のポリウレタン/フェルトシート58を示す。図22は、ポリウレタン/フェルトシート58に固着される前のEVA内側層60を示す。図23は、相互に固着されたポリウレタン/フェルト/EVAシート50を示す。一部の実施形態では、ポリウレタン/フェルトシート58はEVA内側層60に接着される。
【0037】
形成された時点で、ポリウレタン/フェルト/EVAシート50は、図25に示すパネルPといった適切な形状に切り出され得る。パネルPは、第1側縁54、第2側縁56、上縁140及び下縁142を含む。図26は、ポリウレタン/フェルト/EVAシート50の上面64に摩擦増大パターン152を形成するために用いられ得る型150を示す。図27及び図28は、パネルPの削られた縁を形成するために利用され得る削り器具を示す。一部の実施形態では、第1及び第2側縁54、56はパネルPの1以上の層にわたって削られ得る。図示の実施形態では、パネルPのすべての層の少なくとも一部が削られる。一部の実施形態では、取り付け面12周りに巻き付けられる際に、同一の層同士が接触して角度の付いた継ぎ目52に沿って接着される状態で側縁54、56が重なるように、側縁54、56は平行な形で削られる(図33及び図35参照)。一部の実施形態では、握り部が螺旋状に巻き付けられる際に、継ぎ目52が、相互に接触する側縁54、56の外側面64で又は側縁54、56の近くの外側面64で縫い合わせられることが可能なように、側縁54、56は非平行な形で削られる(図35A参照)。
【0038】
図29及び図30は、一部の実施形態に係るグリップ部材50の適用に向けて心棒160に装着されたスリーブ2を示す。図示される実施形態では、キャップ22及びニップル14はスリーブ2の本体12に一体に形成される。ニップル接触面18は取り付け面12から約90度の角度で半径方向に広がる。一部の実施形態では、ニップル接触面18は取り付け面12から約45度〜約90度の角度で広がる。一部の実施形態では、ニップル接触面18は取り付け面12から約90度〜約135度の角度で広がる。キャップ接触面28は取り付け面12から約90度の角度で半径方向に広がる。一部の実施形態では、キャップ接触面28は取り付け面12から約45度〜約90度の角度で広がる。一部の実施形態では、キャップ接触面28は取り付け面12から約90度〜約135度の角度で広がる。
【0039】
一部の実施形態では、パネルPの厚み(図24参照)は、取り付け面12からニップル接触面18が突き出る距離190にほぼ一致し(図30参照)、その結果、グリップ部材50からニップル14への滑らかな移行部の創作を容易にすることができる。一部の実施形態では、パネルPの厚み180は、キャップ接触面28が取り付け面12から突き出る距離192にほぼ一致し(図30参照)、その結果、グリップ部材50からキャップ22への滑らかな移行部の創作を容易にすることができる。
【0040】
図31及び図32は、一部の実施形態に係るスリーブ2へのパネルPのように形成されたグリップ部材50の取り付けを示す。スリーブ2の取り付け面12若しくはグリップ部材50の内側面66又は図示するようにその両面に接着剤162が吹き付けられ、パネルPは取り付け面12周りに巻き付けられる。前述のように、パネルPの側縁54、56は、図33及び図35に示すように同一の層が同一の層に概ね接触する状態で継ぎ目52に沿って重なるように削られてもよい。代わりに、図35Aに示すように、側縁54、56は、側縁54、56で又は側縁54、56に近い位置でパネルPの外側面64が継ぎ目52に沿って相互に接触するように削られることが可能である。一部の実施形態では、継ぎ目52は、好適にはポリウレタン/フェルト層58及びEVA内側層60まで通って延びる縫い糸170で縫い合わせられて閉じられる。一部の実施形態では、縫い合わせはポリウレタン/フェルト層58までしか延びない。一部の実施形態では、パネルPは、ポリウレタン表面64が内側に面するように裏返しにして縫い合わされ、継ぎ目52が縫い合わされた後、パネルPはスリーブ2に貼り付けられる際に裏返しにされ、その結果、完成品のグリップGでポリウレタン表面64が外側に面する。
【0041】
図34は、グリップGの一部の実施形態に係る層の詳細を示す。外側層58は、ポリウレタン74と、実質的に十分に染み込んだ薄いフェルト部材72とを備える。この外側層の内側面62は、フェルト及びポリウレタンの両方を備えることが可能であり、EVAベース層60に接着される。次に、EVAベース層60がEVAスリーブ2の取り付け面に接着される。
【0042】
図36は、前述の実施形態によって製造されたグリップ部材Gの代替例を有するゴルフクラブGCを示す。このような用途では、スリーブ上に、クラブシャフトSからグリップのグリップ部材への移行を容易にするようにテーパ付けされたニップル14を含むことが有利である。
【0043】
図36〜図50は、グリップG及び製造工程の様々な段階でのグリップGの様々な構成要素のSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。
【0044】
図37は、例えば図14〜図14Bに概略的に示す薄布シート72の断面のSEM画像である。画像化の容易化のために、シート72が、(図37のスタブと構成要素との間に示す)両面炭素テープ204を有する(図37の前景部/下側に示す)SEMスタブ202に取り付けられた。スタブ202及びテープ204は、概略図で示されず、シート72の一部ではない。
【0045】
図38は、図37に示す断面の一部の拡大SEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。
【0046】
図39は、図37に示す断面の他の一部の拡大SEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。
【0047】
図40は、例えば図17及び図19に概略的に示す外側層58の断面のSEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。さらに、外側層58は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が、画像の下側で炭素テープ204によってスタブ202に取り付けられる)。
【0048】
図41は、図40に示す断面の一部の拡大SEM画像である。画像は、図37に金rんして前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。さらに、外側層58は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が、画像の下側で炭素テープ204によってスタブ202に取り付けられる)。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0049】
図42は、図41に示す拡大断面の一部の拡大SEM画像である。外側層58は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が下側である)。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0050】
図43は、例えば図17、図19及び図19A〜図19Bに概略的に示す外側層58の下面62のSEM画像である。
【0051】
図44は、例えば図17、図19及び図19A〜図19Bに概略的に示す外側層58の上面64のSEM画像である。
【0052】
図45は、例えば図23及び図24に概略的に示すグリップ部材50の断面の一部のSEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。さらに、グリップ部材50は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が、画像の下側で炭素テープ204によってスタブ202に取り付けられる)。
【0053】
図46は、図45に示す断面の一部の拡大SEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。さらに、グリップ部材50は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が、画像の下側で炭素テープ204によってスタブ202に取り付けられる)。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0054】
図47は、図45に示す断面の他の一部の拡大SEM画像である。画像は、図37に関連して前述したSEMスタブ202及び炭素テープ204も示す。さらに、グリップ部材50は概略図に比べて上下逆さまに示される(図示の実施形態における外側層58のポリウレタン74が、画像の下側で炭素テープ204によってスタブ202に取り付けられる)。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0055】
図48は、例えば図32〜図34に概略的に示すグリップGの断面の一部のSEM画像である。画像化された構成要素Gは画像の右手側に外側層58を示す。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0056】
図49は、図48に示す断面の一部の拡大SEM画像である。画像化されたグリップGは画像の右手側に外側層58を示す。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0057】
図50は、図49に示す断面の一部の拡大SEM画像である。画像化されたグリップGは画像の右手側に外側層58を示す。ポリウレタン74も、前述したように、シート72内に染み込んだ状態で示される。
【0058】
一部の実施形態では、EVAスリーブ2は、EVAフォームのブロックから研削されるのではなく射出成形される。エチレン・ビニル・アセテートコポリマーは、軽量、低密度、柔軟性、透明性、非毒性、及び、環境ストレスによるひび割れに対する十分な耐性などの多くの優れた特性を有する。本発明の一部の実施形態は、射出成形されたEVAを扱う際の困難を克服する。例えば、EVAの凝固は比較的に時間のかかる処理である。未仕上げのEVAスリーブの射出成形後、芯棒がスリーブ2内に挿入され、スリーブ2は、完成品の形状を制御する適切な型に移送され得る。温度及び時間の制御に基づきEVA凝固の制御を効果的に促進することができる。一部の実施形態では、スリーブに含まれるEVAの密度は約1g/cm3より小さい。一部の実施形態では、密度は約0.9g/cm3〜約1g/cm3である。好適な実施形態では、密度は約0.930g/cm3〜約0.943g/cm3である。EVAの凝固の度合いを制御することは、本発明の実施形態が、例えば原形の体積から約2倍又は約3倍の体積を有するEVAスリーブを含むことを可能にする。従って、一部の実施形態では、完成品のスリーブ2の密度は元の密度の約2分の1又は約3分の1になり得る。
【0059】
発明はある好適な実施形態に関して説明された。各実施形態の1以上の様相が、他の実施形態の1以上の様相と組み合わせられることができ、そうした組み合わせがここで特別に意図される。さらに、開示の通常の変形もまた同様に意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の握り部に使用するために形成されるグリップであって、当該グリップは、
製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞を備えるスリーブ部材であって、エチレン・ビニル・アセテートを備え、第1端、第2端及び取り付け面を形成するスリーブ部材と、
前記スリーブ部材に結合されるグリップ部材であって、エチレン・ビニル・アセテートを備える内側層と、第1布及びポリウレタンを備える外側層と、を備え、前記布の外側面から前記布の内側面まで前記布中への前記ポリウレタンの浸透を容易にするために前記ポリウレタンに比べて前記第1布を薄くし、前記ポリウレタン及び前記第1布が協働して前記外側層の内側面を形成し、前記外側層の内側面は当該グリップ部材の前記内側層の外側面に結合されるグリップ部材と、を備え、
前記グリップ部材の前記内側層は、前記エチレン・ビニル・アセテートスリーブ部材が前記グリップ部材の前記エチレン・ビニル・アセテート層に結合されるように、前記スリーブ部材の前記取り付け面に結合されるグリップ。
【請求項2】
前記スリーブ部材の前記第1端はキャップを備え、前記キャップは、前記スリーブ部材周りに広がって前記取り付け面に隣接して前記スリーブ部材の前記取り付け面から半径方向外側に広がる環状のキャップ棚を形成し、当該キャップ棚はキャップ接触面及びキャップ外側面を備える請求項1に記載のグリップ。
【請求項3】
前記グリップ部材は、前記グリップ部材の外側面及び前記キャップ外側面を横切る実質的に滑らかなキャップ移行部を形成するように前記キャップ接触面に隣接して前記スリーブ部材上に配置される請求項2に記載のグリップ。
【請求項4】
前記キャップ及び前記スリーブ部材は一体に形成される請求項2に記載のグリップ。
【請求項5】
前記グリップ部材の内側面から前記グリップ部材の外側面までの距離はグリップ部材厚さを規定し、前記スリーブ部材の前記取り付け面から前記キャップ外側面までの半径方向距離はキャップ棚厚さを規定し、前記キャップ棚に隣接する前記グリップ部材厚さは前記キャップ棚厚さに実質的に等しい請求項2に記載のグリップ。
【請求項6】
前記グリップ部材は、前記グリップの安定度を向上させるために前記第1布から半径方向外側で前記ポリウレタン内に配置される織布層をさらに備える請求項1に記載のグリップ。
【請求項7】
前記スリーブ部材の前記第2端はニップルを備え、当該ニップルは、前記スリーブ部材周りに広がって前記取り付け面に隣接して前記スリーブ部材の前記取り付け面から半径方向外側に広がる環状のニップル棚を形成し、当該ニップル棚はニップル接触面及びニップル外側面を備える請求項1に記載のグリップ。
【請求項8】
前記グリップ部材は、前記グリップ部材の外側面及び前記キャップ外側面を横切る実質的に滑らかなキャップ移行部を形成するように前記ニップル接触面に隣接して前記スリーブ部材上に配置される請求項7に記載のグリップ。
【請求項9】
前記ニップル及び前記スリーブ部材は一体に形成される請求項7に記載のグリップ。
【請求項10】
前記グリップ部材の内側面から前記グリップ部材の外側面までの距離はグリップ部材厚さを規定し、前記スリーブ部材の前記取り付け面から前記ニップル外側面までの半径方向距離はニップル棚厚さを規定し、前記ニップル棚に隣接する前記グリップ部材厚さは前記ニップル棚厚さに実質的に等しい請求項7に記載のグリップ。
【請求項11】
請求項1に記載のグリップを含む釣り竿。
【請求項12】
請求項1に記載のグリップを含むゴルフクラブ。
【請求項13】
製品の握り部に使用するためのグリップの製造方法であって、当該方法は、
製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞を備えるスリーブ部材であって、エチレン・ビニル・アセテートを備え、第1端、第2端及び取り付け面を形成するスリーブ部材を用意する工程と、
エチレン・ビニル・アセテートを備える内側層と、第1布及びポリウレタンを備える外側層と、を備えるグリップ部材であって、前記布の外側面から前記布の内側面まで前記布中への前記ポリウレタンの浸透を容易にするために前記ポリウレタンに比べて前記第1布を薄くし、前記ポリウレタン及び前記第1布が協働して前記外側層の内側面を形成し、前記外側層の内側面が当該グリップ部材の前記内側層に結合されるグリップ部材を用意する工程と、
前記スリーブ部材の前記エチレン・ビニル・アセテートが前記グリップ部材の前記エチレン・ビニル・アセテート層に結合されるように、前記スリーブ部材の前記取り付け面に前記グリップ部材の前記内側層を結合する工程と、を備える方法。
【請求項14】
製品の握り部に使用するためのグリップの製造方法であって、当該方法は、
製品の握り部の少なくとも一部を受け入れるように形成される空洞を備えるスリーブ部材であって、エチレン・ビニル・アセテートを備え、第1端、第2端及び取り付け面を形成するスリーブ部材を用意する工程と、
内側面及び外側面を備える第1布シートを液状ポリウレタンに浸す工程であって、ポリウレタンが前記内側面及び前記外側面の両方を被覆して前記内側面及び前記外側面の間で前記第1布中に浸透するように第1布シートを液状ポリウレタン中に浸す工程と、
前記スリーブ部材の前記取り付け面に、浸された前記シートを結合する工程と、を備える方法。
【請求項15】
浸された前記第1布シートを1対の第1ローラの間に送る工程をさらに備え、一方の前記ローラは、前記第1布シートの前記外側面上で前記ポリウレタンを平滑化するための平滑な放射状表面を含み、他方の前記ローラは、前記第1布シートの前記内側面から前記ポリウレタンの大部分を除去するための弾力性を有する放射状表面を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記グリップ部材はパネルであり、該方法は、前記取り付け面周りに前記パネルを巻き付けて、前記パネルの側縁同士を結合する工程をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記パネルの一方の側の同一の層が前記パネルの他方の側の同一の層に結合されるように前記パネルの前記側縁が削られる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記パネルの前記側縁は継ぎ目に沿って縫い合わされる請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1布シートの前記内側面から前記ポリウレタンの大部分を除去する工程をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1布シートの前記外側面を被覆する前記ポリウレタンを平滑化する工程をさらに備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1布シート上及び前記第1布シート内の前記ポリウレタンの凝固を促進するために、平滑化された前記ポリウレタンで被覆された前記第1布シートを少なくとも1つの水槽に浸す工程をさらに備える請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ポリウレタン及び布を備える内側面とポリウレタンを備える外側面とを有する結合体シートを形成するために、凝固した前記ポリウレタンから流体を搾り出す工程をさらに備える請求項21に記載の方法。
【請求項23】
エチレン・ビニル・アセテートを備えるシートに、前記結合体シートの前記内側面を結合する工程をさらに備える請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記スリーブ部材の前記取り付け面に前記エチレン・ビニル・アセテートシートを結合する工程をさらに備える請求項23に記載の方法。
【請求項25】
製品の握り部に使用するために形成されるグリップ材料であって、当該グリップ材料は、
エチレン・ビニル・アセテートを備える内側層と、
内側面及び外側面を有する外側層であって、内側面及び外側面を有してその前記内側面及び前記外側面の間に実質的に均一な布厚を規定する薄布部材を備え、当該薄布部材は、ポリウレタンに実質的に含浸され、ポリウレタンが当該布部材中に浸透して、当該布部材の少なくとも一部と協働して前記外側層の内側面を形成し、前記外側層の前記ポリウレタンは、前記外側層の前記外側面の少なくとも一部を形成し、前記布部材の前記外側面から前記外側層の前記外側面まで延びるポリウレタン厚を規定し、前記ポリウレタン厚及び前記布厚はおよそ1の厚さ比率を規定する外側層と、を備え、
前記外側層は前記内側層に接着されるグリップ材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12A】
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【図13】
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【図14】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図35A】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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