説明

多層セラミック構造体及びその製造方法

【課題】セラミック物質を含む第一グリーンフィルム(1)を使って、空洞を有する多層セラミック構造体を製造する簡単で費用効果の高い方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの有孔領域(8)を有する第一グリーンフィルム(1)上に、この有孔領域(8)上に位置するように第一層(10、例えばガラス層)を適用し、次いで、追加のグリーンフィルム(12)を適用し、積層してグリーンフィルム複合体を得、次いで、この複合体を焼結し、第一層(例えばガラス層)のガラス物質を有孔領域に移動させることにより空洞(24)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層セラミック構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層セラミック構造体は、種々の分野、特にテレコミュニケーションなどにおける小型電子部品、高周波数分野における大型集積化圧力センサーまたは他のセンサーの製造、あるいはミクロ流体部品の製造に使用されている。
【0003】
このタイプの多層セラミック構造体を製造するための重要かつ費用効果の高い1つの方法は、「低温同時焼成」(以下LTCCと呼ぶ)である。この技術においては、要求されている構造体、例えば、導体路、窪み、コンデンサー、抵抗体、コイルまたはフィードスルーは未焼成のセラミック膜(グリーンフィルム)に挿入あるいは適用される。次に、かかるグリーンフィルムは別個に構造化され、それから積層および薄層化される。積層されたグリーンフィルムはそれから焼結される。
【0004】
種々の応用、例えば流体またはセンサーへの応用において、寸法に応じて適合が必要なチャネル構造体や他の空洞がこの種の多層構造体には要求されている。
【0005】
従来の方法に従って小型化チャネル構造体を製造するためには、チャネル構造体は、スタンプ技術、レーザー技術またはエンボス技術によってこの種のグリーンフィルムに導入され、かつその後の加工工程において、グラファイトを含むペーストまたはフィルム、あるいはポリメチルメタクリレート(PMMA)などの有機物質を用いて安定させなければならない。該安定化物質は、焼結プロセス中に流出する(escape)。水平方向が100マイクロメートルを超え、垂直方向が最高20マイクロメートルの構造体は、一般的に公知のチャネル構造体製造方法により製造できる。しかし、多くの用途が、誘電率の最適調整を可能とするため、水平方向と垂直方向の寸法がかなり小さいチャネル構造体を必要としている。また、安定化物質の完全な流出を確実にするため、公知のプロセスを用いて、該安定化物質の揮発性を液体相焼結プロセスおよび/またはガラス相の固化に合わせなければならないのは、欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、安定化物質に関して上述した課題を有さない、セラミック多層構造体を製造する、簡単で費用効果の高い方法を提供することであり、構造体は、数マイクロメートル(および水平方向/または垂直方向)の最小寸法並びに典型的に数百マイクロメートル(水平方向)の最大寸法を有する空洞であって、従ってチャネルまたは膜構造体を製造することができる構造体か、またはテープ層(垂直方向)を有する。さらに、課題は対応する多層構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、セラミック物質を含む第一グリーンフィルムを使って多層セラミック構造体を製造する方法であって、以下のステップ:
a)前記第一グリーンフィルムに、該第一グリーンフィルムの表面から延伸する少なくとも1つの有孔領域を製造することと、
b)前記第一グリーンフィルムの表面に第一層を個々(in sections)に適用(apply)すること(ここで、前記第一層の一部分(one section)は、前記工程a)で製造された少なくとも1つの有孔領域の上に位置する)と、
c)前記第一層が適用されている前記第一グリーンフィルムの表面に、少なくとも1つの追加のグリーンフィルムを配置することと、
d)グリーンフィルム複合体を形成するために、前記第一グリーンフィルムと前記少なくとも1つの追加のグリーンフィルムとを積層することと、
e)前記グリーンフィルム複合体を焼結することと、
を含んでなる方法により解決される。
【0008】
本発明の一つの実施態様では、第一グリーンフィルムのセラミック物質は多相として具体化されている、すなわち第一相および少なくとも一つの第二相を有している。
【0009】
本発明の方法では、まず少なくとも1つの有孔領域が第一グリーンフィルムに局在的に作製されるが、この領域は第一グリーンフィルムの表面から延伸する。一つの実施態様では、該少なくとも1つの有孔領域は、選択的エッチングプロセスにより、例えば、適切なエッチング媒体を、エッチング抵抗マスクまたは局所的に用いられるエッチング用ペーストと組み合わせて使用することにより作製される。本発明の一つの実施態様では、ガラス相または金属相として具体化されている第一グリーンフィルムの第一相は、例えば湿式化学エッチングプロセスにより、かかる有孔領域において除去される。
【0010】
次に第一層が個々に、好ましくはペーストとして、第一グリーンフィルムの表面の一部に印刷される。この場合、該第一層は、第一グリーンフィルムの表面(そこから有孔領域が延伸する)の一部に使用される。一つの好ましい実施態様では、層部分は有孔領域の上だけに提供される。
【0011】
本発明の方法は、特に、第一層を備えている第一グリーンフィルムに追加のグリーンフィルムが適用され、該追加のグリーンフィルムがラミネーションにより前記第一グリーンフィルムに接続されてグリーンフィルム複合体が形成されると、第一層の素材がその後の焼結プロセス中に液化または軟化し、前記第一層の下にある第一グリーンフィルムの有孔領域に貫入し、以前に作製された有孔領域の空洞を充填する、という知識に基づいている。従って、以前の有孔領域の上、すなわち該領域の上にあって追加のグリーンフィルムを構成する追加のセラミックフィルムの体積部分に、空洞が作製される(この空洞はチャンネルまたは膜として具体化されるのが好ましい)。この場合の膜は、水平方向の寸法と比較して垂直方向の高さが低い空洞である。このチャネルの寸法は、工程a)で作製される第一グリーンフィルムにおける対応する有孔領域のサイズおよび有孔率と、有孔領域の上にある第一層部分の体積と、積層および焼結中に生じるグリーンフィルムの収縮とにより決定される。この場合、対応する第一層部分の体積は、該第一層の下の空洞がガラス物質により完全に充填され、第一グラスフィルムの表面に余分なガラス物質が残らないように、選択しなければならない。
【0012】
上述のプロセスにおいて、有孔領域の空洞に貫入する第一層の相、例えば第一相が液化または少なくとも軟化する温度を、工程e)中の最高焼結温度が超えているならば、有利である。
【0013】
第一の実施態様では、第一グリーンフィルムはガラスセラミック物質で構成されており、工程a)において、ガラス相(第一相)は選択的に除去、好ましくはエッチングされる。この実施態様では、第一層はガラス物質、好ましくは工程a)で除去されるガラス相に対応するガラス物質を含む。第一層のガラス物質は焼結工程e)中に軟化し、有孔領域の空洞に貫入し、それを充填する。その結果、チャネルまたは膜構造体として具体化される空洞が、追加のセラミックフィルムに形成される。
【0014】
更なる実施態様では、第一グリーンフィルムはサーメット材料、すなわち少なくとも1つのセラミックと少なくとも1つの金属からなる多相物質で構成されてもよい。前記少なくとも1つの金属は、サーメット材料のマトリックスを形成するのが好ましい。この実施態様では、金属相(第一相)は、好ましくはエッチングによって選択的に除去される。第一層は金属物質、例えば焼結工程a)で除去される金属に対応する金属を含む。第一層の金属物質は焼結工程e)中に液化し、有孔領域の空洞に貫入し、それを充填する。その結果、チャネルまたは膜構造体として具体化される空洞が、第一層の上に位置する追加のセラミックフィルムに形成される。この実施態様は、集積ヒートシンクの製造に特に使用可能である。
【0015】
これらの実施態様では、第一層の部分の体積は、その部分の全体積が有孔領域の空洞を完全に埋め、かつ有孔領域に残留有孔度が全く存在しないように選択されるのが理想的である。その結果、第一層の物質は、空洞領域(追加のフィルムに形成され、不均一に分布して存在していてもよい)に残留することがなく、第一グリーンフィルムを構成する(最初の)有孔領域と、周囲のセラミックフィルム物質との間の濃度差が防止される。
【0016】
本発明の一つの実施態様では、前記少なくとも1つの有孔領域は、保護層(対応する開口を備え、事前に構造化されたテンプレート形態のエッチング抵抗マスクであってよい)を第一グリーンフィルム上に配置し、次にエッチング媒体(エッチング抵抗マスクを貫通し、第一グリーンフィルム内に至る)を適用することにより、第一グリーンフィルムに作製される。エッチング媒体は、第一グリーンフィルムの上の保護層の開口を通してアクセス可能な第一グリーンフィルムの領域(または領域群)だけの第一相を、第一グリーンフィルムから好適に除去する。これは、第一グリーンフィルムに少なくとも1つの有孔領域を作製する特に簡単な方法である。
【0017】
本発明の一つの実施態様では、第一グリーンフィルム上に配置される保護層の開口は、該保護層をマスキング層でマスクし、開口部分をエッチングすることにより作製される。この場合、マスキング層は対応する開口を有し、その開口を通してエッチング媒体が前記マスキング層の下の保護層に貫入し、前記保護層を除去する。この方法によれば、保護層に作製される開口は十分小さいので、本発明の方法が完了した時点で、水平方向(側面)80マイクロメートル未満の空洞が多層構造体に作製できる。
【0018】
マスキング層は光学的に構造化し得る有機保護層であってもよいが、その場合その層は(PMMAの場合のように)チャネル/膜構造体を安定化させる機能はなく、代わりにかなり早期(液相焼結プロセスの前)に消失する。従って、有孔度の局在的な増加が可能となる。有機層でグリーンフィルムをインプリンティングすることも考え得る。この場合、例えば、スタンピング加工も可能である。
【0019】
あるいは、保護層はガラス層を備えた第一グリーンフィルム上に印刷してもよい。この場合、保護層の開口は、印刷版の対応する構造化により作製される。しかし、この保護層を用いて多層セラミック構造体に作製し得るチャネル構造体の水平方向の寸法は、80マイクロメートルを超える。
【0020】
更に、事前に構造化されたテンプレートまたはシャドーマスクを保護層として使用する方法も考え得る。特許出願の観点から見て、これは、開口を含み、エッチング媒体がグリーンフィルムを貫通および改変し得る、例えば金属またはセラミック製の薄層である。テンプレートまたはシャドーマスクは例えばAlまたはシリコン製であるが、該非焼成体と整列させなければならず、かつエッチングに対して高い抵抗性を有していなければならない。更に、例えばテトラフルオロエチレン製の柔らかい層をテンプレートまたはシャドーマスクの下側(すなわち、該未焼成体に対向する側)に配置してもよい。この方法によれば、グリーンフィルムとの接触が向上し、テンプレートとグリーンフィルムとの間の密着性が改善され、それによって該未焼成体の横方向サブエッチングが減少できる。
【0021】
あるいは、事前に構造化され、グリーンフィルムに積層または接着されるテンプレートを、エッチング抵抗構造化有機フィルムの形態で使用することも考え得る。
【0022】
更なる実施態様によれば、保護層は用いず、代わりに例えば粘性の高いエッチング用ペーストを使って、エッチング媒体を局所的に適用する。例えばフッ化水素酸を含むエッチング用ペーストを印刷し、それによりガラスマトリックス上に局所的に作用させることにより、これは行われる。あるいは、エッチング媒体はスタンピングしてもよい。
【0023】
一つの実施態様では、既に上述したように、第一層はガラス相または金属相(好適には行程a)で選択的に除去される第一相に対応している)を含んでいる。
【0024】
上記の課題は、上述の方法により作製し得るまたは作製される多層セラミック構造体によって更に解決される。
【0025】
このタイプの多層セラミック構造体の特長は、非常に小さい空洞、すなわちチャネルまたは膜を、使用ガラス層から作製されるフィルムの最大層厚(垂直方向)まで、及び又は数マイクロメータから、幅または深さ(水平方向または側面方向)のいかなるサイズでもというように、あらゆる寸法で作製できることである。このようにして、大型集積圧力センサーで使用可能な複雑な膜構造体を作製できる。このタイプの微細なチャネル構造体は、流体用途またはセンサー用途にも使用可能である。また、封入されているガス雰囲気(例えば空気)の故に、低い誘電率を有する領域がセラミック体の空洞に選択的に分配され、より低く有効な誘電率がアンテナ要素と物質表面との間の媒体に存在するので、このタイプの空洞は高周波部品の分野でも使用できる。基体中の得られたより低い容量結合(lower capacitive coupling)により、アンテナ要素の性能は強化される。
【0026】
本発明によれば、このタイプの多層セラミック構造体は、少なくとも幅10マイクロメートル(水平方向の寸法)および/または少なくとも高さ5マイクロメートル(垂直方向の寸法)の空洞を1つ以上有している。本発明の方法を使用する場合、第一層が第一グリーンフィルムの有孔領域内に理想的に完全に保持されるように、前記1つ以上の空洞が解放段階ではなく焼結段階中にまず形成されるので、追加の有機物質を使用する場合と比べて、前記1つ以上の空洞の寸法安定性も達成できる。従って、空洞が存在しているにも拘わらず、LTCCモジュール上で比較的平らな面微細形状の達成を確実なものにすることができ、従って高い構造精密性と位置正確性で、スクリーン印刷構造体をLTCCモジュール表面で実現可能である。
【0027】
次に、本発明の更なる目標、特徴および適用可能性を、本発明の方法および本発明の多層セラミック構造体の実施例を挙げ、図を参照して説明する。記述および/または図示された特徴の全てが、請求項またはその従属項における組み合わせの如何を問わず、単独で、あるいはあらゆる組み合わせで、本発明の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下は、模式的に図示された断面図を示す。
【図1】開始状態の第一グリーンフィルム。
【図2】保護層を有する第一グリーンフィルム。
【図3】エッチング媒体を使用している図2のシステム。
【図4】エッチングプロセスの最後における、図3のシステム。
【図5】エッチング媒体とエッチング抵抗マスクを除去した後の第一グリーンフィルム。
【図6】ガラス層を個々に適用した後の第一グリーンフィルム。
【図7】追加のグリーンフィルムを有する図6のシステム。
【図8】本発明による、焼結多層セラミック構造体。
【発明を実施するための形態】
【0029】
開始条件下にあるガラスセラミック物質製の第一グリーンフィルムの断面を図1に示す。例えば、100マイクロメートルと270マイクロメートルの間の厚さを有するデュポン社製の951低温同時焼成誘電体テープが、第一グリーンフィルム1として使用される。次に、事前に構造化され、「柔らかい」下面と開口4とを有するテンプレートまたはシャドーマスク2が、この第一グリーンフィルム1に提供される。該「柔らかい」下面は、グリーンテープの表面輪郭に適合する。この「柔らかい」下面、すなわちグリーンフィルムに対向する側は、例えばテトラフルオロエチレン製であってもよい。構造体を保護するテンプレートの代わりに、スタンプの使用またはエッチング媒体のスタンピングも可能である。印刷された保護ラッカーを使用してもよい。
【0030】
あるいは、例えば印刷により、公知のスクリーン印刷プロセスを使って、保護ラッカー層2を連続マスキング層として第一グリーンフィルム1に適用してもよい。マスキング層は対応する構造(開口)を有しており、それを通してエッチング媒体(例えばフッ化水素酸)が保護ラッカー層2をエッチングし、図2に示される開口4を作製する。
【0031】
次に、開口4を含み、事前に構造化されたテンプレート2を有する図2に示されるグリーンフィルム1がエッチングされるが、その場合、図3に示すように、エッチング媒体6が上部(矢印5を参照)からテンプレート2またはグリーンフィルム1の表面に適用される。エッチング媒体6、例えば室温で適用されるフッ化水素酸は、開口4に貫入してグリーンフィルム1内に至る。ガラスセラミックのグリーンフィルム1を含む本実施態様では、ガラス相が選択的にエッチングされ、図4−7に示されるグリーンフィルム1の有孔領域8が生じるように、エッチング媒体6が選択される。
【0032】
サーメット材料(例えば、コバルトマトリックスを含むウォルフラムカーバイドからなる硬金属)を第一グリーンフィルムとして使用する代替方法では、金属相(引用実施例では金属コバルト)がエッチング媒体によって好適にエッチングされる。
【0033】
次に、例えば水によってエッチング媒体6が洗い流され、事前に構造化されたエッチング抵抗マスク2(例えばテンプレート)が除去される。有機ベースのエッチング抵抗マスクを使用する場合、本実施態様では、約300℃に加熱した空気流または同温度に加熱した空気雰囲気中で、灰化によって除去が行われる。他の熱プロセスも可能である。その結果、有孔領域8を有する図5に示されるグリーンフィルム1が生じる。
【0034】
次に、ガラス層10(第一層)が、グリーンフィルム1の表面の一部、特に表面が有孔である領域8の部分に、個々に配列される。上記第一層はスクリーン印刷により印刷され、その結果図6に示される構造体が生じる。ガラス層10として、例えば、デュポン社の素材の1つである9615,5137、QQ550またはQQ620が使用される。この場合、ガラス層10は、グリーンフィルム1の有孔ではない表面領域にまで延びていてもよい。ガラス層10の体積は、その後の焼結工程において、有孔領域8用に割り当てられているガラス層10部分の物質の全てがその領域を埋めかつ充填するように選択される。
【0035】
次に、該ガラス層10を備えている第一グリーンフィルム1の表面に、第二グリーンフィルム12が配置される(図7を参照)。次に、該2つのグリーンフィルム1および12は、望ましい収縮特性に応じて、2000から6000PSIの範囲で3分から7分間、イソスタティックまたは一軸的に積層される。次に、LTCC素材としては典型的なピーク温度、例えば875℃で、素材または製品依存的な焼結工程が実施される。
【0036】
焼結工程中、ガラス層10の物質は液化され、有孔領域8の空洞に貫入し、その空洞を充填する。従って、空洞24が、前記層の上のグリーンフィルム12に形成される。その結果、図8に示される本発明の焼結セラミック多層構造体は、第一グリーンフィルム1から作製される第一セラミックフィルム21と、第二グリーンフィルム12から生じる第二セラミックフィルム22と、ガラス層10のガラス物質が有孔領域8の空洞に移行した後に残る空洞24とを有する。本発明の方法を用いて多層構造体に作製した該空洞24は、水平方向に(側面的)に数マイクロメートルから数ミリメートル、垂直方向(図8に示される方向)に数マイクロメートルから100マイクロメートルの寸法を有する。
【0037】
図1〜8に示される本発明の方法および本発明の多層構造体の実施態様において、二層構造体が具体的に示されている。それに従って、二層を超える層を有する構造体に関しても、この方法が具体化できる。
【0038】
上述の方法は、水平方向および/または垂直方向に数マイクロメートルの寸法を有する空洞構造体の製造を可能とする簡単で、費用効果が高く、広範囲に応用可能は方法である。
【0039】
上述の教示内容に鑑み、上述の実施例および実施態様について数多くの変形およびバリエーションが可能であることは、当業者には明白である。開示されている実施例および実施態様は、例示目的のためにのみ提示されたものである。他の代替の実施態様には、本明細書に開示されている特徴の一部または全部が含まれていてもよい。従って、本発明の真の範囲に該当する限り、かかる変形および代替実施態様の全てが本明細書に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0040】
1 第一グリーンフィルム
2 エッチング抵抗マスク
4 事前に構造化されたエッチング抵抗マスク2の開口
5 矢印
6 エッチング媒体
8 有孔領域
10 ガラス層
12 第二グリーンフィルム
21 第一セラミック膜
22 第二セラミック膜
24 空洞


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック物質を含む第一グリーンフィルム(1)を使って多層セラミック構造体を製造する方法であって、以下のステップ:
a)前記第一グリーンフィルム(1)に、該第一グリーンフィルム(1)の表面から延伸する少なくとも1つの有孔領域(8)を製造することと、
b)前記第一グリーンフィルム(1)の表面に第一層(10)を個々に適用させること(ここで、前記第一層(10)の一部分は、前記工程a)で製造された少なくとも1つの有孔領域(8)の上に位置する)と、
c)前記第一層(10)が適用された前記第一グリーンフィルム(1)の表面に、少なくとも1つの追加のグリーンフィルム(12)を配置することと、
d)グリーンフィルム複合体を形成するために、前記第一グリーンフィルム(1)と前記少なくとも1つの追加のグリーンフィルム(12)とを積層することと、
e)前記グリーンフィルム複合体を焼結することと、
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記セラミック物質が第一相と第二相とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの有孔領域(8)は、この領域にある前記第一相、例えばガラス相または金属相を、例えばエッチングによって選択的に除去することにより、前記第一グリーンフィルム(1)に作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一グリーンフィルム(1)における前記少なくとも1つの有孔領域(8)は、対応する開口(4)を提供されているエッチング抵抗マスク(2)を前記第一グリーンフィルム(1)上に配置し、次に該エッチング抵抗マスク(2)の開口(4)を貫通して前記第一グリーンフィルム(1)内に至るエッチング媒体(6)(ここで、前記エッチング媒体(6)は前記第一相を選択的にエッチングするものが好ましい)を用いることにより作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一層(10)が前記第一相、好ましくはガラス相または金属相を含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第一層(10)が印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法に従って作製される、多層セラミック構造体。
【請求項8】
幅が少なくとも10マイクロメートル、高さが少なくとも5マイクロメートルである1つ以上の空洞を有する、請求項7に記載の多層セラミック構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28164(P2013−28164A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157102(P2012−157102)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(512184803)マイクロ システムズ エンジニアリング ゲーエムベーハー (1)
【出願人】(512184825)
【Fターム(参考)】