説明

多層フィルムを含む使い捨てバッグ

本発明は、流体を収容するための多層フィルムを含む使い捨てバッグ、および前記使い捨てバッグが配置されている前記発明に係る使い捨てバッグ用の支持ホルダーを含む装置に関する。本発明は前記使い捨てバッグの製造方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層フィルムを含む、流体を収容するための使い捨てバッグ、および前記使い捨てバッグが配置される本発明に係る前記使い捨てバッグ用の支持ホルダーを含む装置に関する。本発明はまた前記使い捨てバッグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の血液透析装置が知られている。半透明の膜でそれぞれ分離されている血液用の第一の流路と透析液用の第二の流路を有する透析装置内で血液と透析液間での物質の交換が起こる。前記第一の流路は、血液の供給管および返還管ならびに随意に血流を補助するポンプを備えた体外血液循環システムの部分である。第二の流路は、透析液を供給および排出する装置に接合されている。
【0003】
技術水準から知られている前記血液透析装置の容器は、細孔のない表面により、衛生および細菌学的に、他の材料よりも優れているガラスからなる。さらに、ガラスは考えられうる耐化学薬品性に大きく、満足のいく清潔さで、生理的に害がない。
【0004】
既知の血液透析装置は、比較的単純な構造であることを特徴とする。しかしながら、ガラス容器を製造するのは比較的高価であるのが欠点である。さらに、透析治療の前に必要であるガラス容器の消毒は、しばしば容器をすぐに再利用する必要があるときに不利となる。したがって、透析液を含む容器に必要である消毒の間、使用し続けることができる血液透析装置を提供することが望まれる。
【0005】
この目的を達成するため、米国特許第4,767,526号明細書には、透析液を保持する容器に使用した後廃棄されるバッグを並べている透析装置が提案されている。これは、バッグを除去した後すぐ前記容器を再度利用でき、前記容器自身の除菌は必要ないという利点を有する。
【0006】
独国特許発明第19825158号明細書には、二つの円形フィルムシートを溶着した大容量のバッグが記載されている。新鮮な透析液と使用済み透析液とのより確実な分離を確保するため、追加の分離フィルムをバッグ内に溶着しうる。
【0007】
欧州特許第1235601号明細書には、タンクに透析液を保持するためのバッグが記載されている。このバッグを前記容器に導入するため、前記バッグを扱いやすい形態から展開してバッグを形成する特別な折りたたみ機構が使用される。
【0008】
国際公開第83/02061には、腹膜透析用の数個の室を伴うPVC(ポリ塩化ビニル)で作られるバッグが記載されている。このバッグは、分離して除去され、および患者に投与するときのみ混合される前記透析液の成分の分離貯蔵に使用される。このバッグの欠点はPVCからなることである。
【発明の概要】
【0009】
透析装置における上述されるバッグの使用は、前記タンク自体が時間を浪費する除菌をもはや必要としないという問題を解決するけれども、これらのバッグは大きさおよび付随的な厄介な取り扱いの点において不利である。
【0010】
これらの比較的表面の大きいバッグは、時には十分に訓練を受けていない診療所のスタッフが迅速にバッグを交換するときに、診療所における毎日の活動において問題となりうる。このように、タンクに前記バッグを取り付けるとき、前記表面の大きなバッグは間違った使用の危険性を有する。それにより、前記バッグは誤ってしわくちゃになり十分に展開できず、結果的に透析液を満たすことができない。
【0011】
さらに、流体が残ったとき、しわのせいで残量を除去することができないということがわかる。透析用バッグは、新鮮なまたは使用済み透析液を排出しまたは供給することができるようにするために注入口および排出口を有する。さらに、極めて素早く容器に導入するせいで、もしバッグが誤って折りたたまれてしわくちゃであったりすれば、必要な開口部が部分的にまたは完全に閉じたままとなるようにしわが形成される。
【0012】
特に、(前もって)折りたたまれた使い捨てバッグを装置に導入しようとするとき、誤って折りたたまれるのを防ごうとしても失敗する。さらに、表面の大きな使い捨てバッグは折りたためないという問題を完全に防ぐことを確保されている。
【0013】
本分野の使い捨てバッグの有するさらなる問題は、特に、本発明で特に重要であるような大容量を収容しなければならないときに、安定性が不十分であることである。これは特に充填量を増やすにつれて、溶着部分にかかる重さおよび圧力が増加する事実に起因する。既知のバッグのさらなる好ましくない点は、それらの大きさのせいで、使用される材料の必要量が大きくなり、ごみの量が増える原因となることである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、時間を浪費する透析装置の容器の消毒を必要とせず、毎日の診療活動の中で透析装置の容器に前記使い捨てバッグを導入するときに、透析液を満たすのに適し、安全に、迅速におよびしわになることなく取り扱うことを可能とし、材料をあまり必要とせずバッグの安定性の高い、すなわち一杯の使い捨てバッグ/装置を前記容器に取り付け/容器から取り外すときに高い移動安定性を有する使い捨てバッグまたは装置を提供することである。
【0015】
本発明によれば、前記目的は、流体を収容する多層フィルムを含む使い捨てバッグにより達成され、ここで前記多層フィルムは縦方向に250%〜850%、好ましくは400%〜800%、より好ましくは500%〜750%および最も好ましくは600%〜700%フィルムを拡張し、横方向に300%〜1050%、好ましくは450%〜1000%、より好ましくは600%〜900%および最も好ましくは700%〜800%のフィルムを拡張する引張伸びを有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】供給管および排出管を有する2つの室を伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【図2】固定ストリップの形態のホルダーを伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【図3】固定ストリップの形態の二つのホルダーを伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【図4】本発明に係る使い捨てバッグの多層フィルムの力[N]/拡張[%]を示す図である。
【図5】フィルム1との比較の力[N]/拡張[%]を示す図である。
【図6】フィルム2との比較の力[N]/拡張[%]を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
引張伸びによりまたは破壊したときの伸びは、初期の長さに対し(壊れたときにおいて)変化した長さΔLのパーセンテージで表した割合を意味する。それは割れ目なく形状が変化する、材料の能力を表している。引張伸びはDIN 53455による引張試験によって測定された。
【0018】
上記範囲においてフィルムの縦方向への拡張する変化をするフィルムの大きな能力は、本発明に係る利点であり、(使用済みまたは新鮮な)透析液で満たされまたは空となる間、前記バッグは最大の拡張の前に割れ目を形成することなく体積が変化する。これは、満たされていない時は少量の材料のみが必要であるが、満たす時には大きな容量があるという利点がある。それにより、少量の廃棄物のみですむ製品が提供されうる。このことは、特に環境的な観点から有利である。
【0019】
「使い捨てバッグ」とは、流体、固体および/または気体を特定の期間収容することができるものを意味する。さらに、少なくとも一度対象とする用途への使用に適しているいかなる物も、使い捨てバッグの語により、本発明の枠組み内にあることを意味する。
【0020】
本発明において、「多層フィルム」とは、2またはそれ以上の異なる層または溶着によって共に結合している同じ材料からなる層を意味する。
【0021】
本発明の範囲内において、前記多層フィルムは2〜10層で構成されているのが好ましく、2〜5層の構造であるのがより好ましく、3〜4層であるのが特に好ましい。前記多層フィルムは、本発明に係る目的に適した、当業者に知られたいかなる方法によっても製造されうる。
【0022】
本発明のさらなる実施例において、本発明に係る前記使い捨てバッグの多層フィルムは縦方向に300N/mm〜350N/mm、好ましくは310N/mm〜340N/mm、およびさらに好ましくは320N/mm〜330N/mmの拡張、および横方向に220N/mm〜270N/mm、好ましくは230N/mm〜260N/mm、およびさらに好ましくは240N/mm〜250kp/mmの拡張の引裂強度を有する。
【0023】
「引裂強度」とは、物が裂ける瞬間における引張応力を意味する。当該引裂強度はDIN 53455による引裂試験において測定される。引裂強度が上記下限値以下である場合は不利であり、前記バッグは過剰拡張により早い時期に裂ける。前記バッグは前記記載の上限より大きい場合には裂けることに耐久性があるが、十分に拡張できるわけではない。
【0024】
本発明のさらなる実施形態において、本発明に係る使い捨てバッグの多層フィルムは0.45〜0.55、より好ましくは0.47〜0.53および最も好ましくは0.49〜0.51のゴム弾性状態における横歪み比μを有する。
【0025】
前記横歪み比(ポアソン(Poisson)比とも称される)は外力または応力にさらされた状態での相対的な長さ変化Δl/lに対する相対的な厚さ変化Δd/dの比として定義される。
【0026】
本発明に係るさらなる実施形態は、前記多層フィルムが好ましくは45N〜60N、より好ましくは48N〜62N、最も好ましくは52N〜58Nの力で最大500%拡張しうる使い捨てバッグである。拡張性を測定するには、N単位の特定の力に相当する荷重を15−mm幅に均一にかけ、長さの変化を測定する。
【0027】
高い拡張性は、空のとき前記バッグは小さく、したがって取り扱いしやすいという利点を有する。さらに、前記材料の著しい拡張性の結果として、必要とされる前記材料が少ない。前記材料のより単純な製造および包装が可能である。
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態において、空のときの外部表面に対する、最大に満たされるときの前記使い捨てバッグの外部表面の割合が、好ましくは5/1で、≧2/1であり、より好ましくは≧5/1の範囲内での使い捨てバッグである。
【0029】
典型的な最大限はおよそ8/1〜12/1であり、例えば10/1または9/1である。しかしながら、より高い割合が本発明により提供される。
【0030】
「外部表面」とは、満たされているときおよび満たされていないときのその周囲(空気)と接しているバッグの表面を意味する。「最大に満たされているとき」とは、前記バッグが割れ目を形成せず、したがって裂けないバッグの最大の大きさを意味する。
【0031】
「空のとき」とは、前記バッグの内部が本質的にいかなる種類の材料によっても満たされていない、すなわち本質的に空間のないバッグの状態を意味する。
【0032】
充填量に応じて表面が増加する性質は、前記バッグの多層フィルムが満たされる間、常に圧力下にあり、次第に満たされるにつれてこの圧力は増加し、空の時に存在する多層フィルムのあらゆる折り畳み部分が次第に消滅することを確実にする。これは、使い捨てバッグの医療機器、特に透析装置の容器へのしわの無い導入が確保される本発明による有利な点である。このように、前記流体のバッグからの完全な除去もまた確保される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態は、前記多層フィルムが拡張していない状態の多層フィルムの容量に対する最大まで満たされたときの前記使い捨てバッグの容量の割合は好ましくは≧3/1、好ましくは≧5/1である使い捨てバッグである。典型的に限定されない範囲は3/1〜12/1であり、より好ましくは5/1〜11/1であり、さらにより好ましくは7/1〜10/1であり、最も好ましくは8/1〜9/1である。
【0034】
しかしながら、他のより高い上限値も本発明に許容される。
【0035】
多層フィルムが拡張していない状態での容量とは、前記多層フィルムの拡張なしにバッグに注がれうる体積を意味する。
【0036】
本発明の他の実施形態において、上記される実施形態の使い捨てバッグが最大限満たされたとき、好ましくは30L〜120Lの範囲内における容量を有し、一層好ましくは40L〜110L、好ましくは50L〜100L、さらに好ましくは60L〜90L、最も好ましくは70L〜80Lを有する。
【0037】
本発明の使い捨てバッグは1室または1より多い(数個の)室を含みうる。ここで「数個の」とは少なくとも2室が存在することを意味する。しかしながら、前記使い捨てバッグは各用途に応じて当業者に適すると思われる数の室を有しうる。
【0038】
前記使い捨てバッグは好ましくは1〜10室、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜4、最も好ましくは2〜3室を含む。
【0039】
もし、前記使い捨てバッグが1室のみを含むのであれば、二つの使い捨てバッグを前記透析装置に使用することができ、一つは新鮮な透析液の準備用であり、一つは使用済み透析液の再利用用である。しかしながら、もし、使い捨てバッグが数個の室を含むのであれば、前記室の一つは好ましくは新鮮な透析液の準備に使用され、一つは使用済み透析液の回収用に使用される。
【0040】
本発明に係るバッグの使用は新鮮および使用済み成分の分離を可能とし、したがって交差汚染は起こらないという利点を有する。さらに、数個の室を伴った1のバッグまたは1の室を伴った2以上のバッグを使用する結果、使用済み透析液を1の室に回収することができるので、使用しても排水をする必要は無い。前記個々の室は好ましくは以下により詳細に記載されるように多層フィルムから同じように製造される。
【0041】
本発明の枠組みにおいて、前記使い捨てバッグの好ましい実施形態は使い捨てバッグの縦方向に配置された室を有する。
【0042】
前記個々の室は、1またはそれ以上の供給および排出管を有し、特に2つの室を有する使い捨てバッグの場合には、少なくとも一つの室が供給管を有し、他の室は排出管を有する。しかしながら、個々の室は、それぞれ、供給および排出管を有しうる。
【0043】
前記供給および排出管は使い捨てバッグにすばやく溶着され、または固定式にもしくは取り外し可能なように密閉系になるよう接続されうる。前記使い捨てバッグへのホースのような接続は従来のコネクタでありうる。前記使い捨てバッグは供給および排出管にすばやく取り付けられ、該使い捨てバッグを取り替えるため再度除去することができる。しかしながら、前記供給および排出管システムを、使い捨てバッグを伴った一続きに形成することもできる。
【0044】
本発明に係る更なる実施形態において、使い捨てバッグの多層フィルムは数個の成分を含む(A)型層を含み、前記成分の一つはスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびにさらに一つの成分は、ポリエチレンおよびエチレン単位を含む統計的な共重合体からなる群から選択される。
【0045】
前記(A)型層におけるさらなる成分は特に好ましくはエチレンおよびオクテン単位からなる統計的な共重合体である。
【0046】
前記(A)型層における1の成分の割合は、(A)型層の全組成に対して、35%〜99.99%の範囲内であり、好ましくは50〜99.9%、より好ましくは55%〜99%、一層より好ましくは60%〜95%、および最も好ましくは60%〜90%である。
【0047】
前記(A)型層におけるさらなる成分は、(A)型層の全組成に対して、0.01%〜65%の範囲内であり、好ましくは0.1%〜50%、より好ましくは1%〜45%、一層より好ましくは5%〜40%および最も好ましくは10%〜40%である。
【0048】
前記多層フィルムはそれぞれ独立して数個の成分を含む(B)型層を1またはそれ以上含むのが好ましく、前記成分の一つがスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体(SEBs)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSs)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEPs)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISs)およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびにさらに一つの成分が、ポリプロピレンおよびプロピレン単位を含む統計的な共重合体からなる群から選択される。
【0049】
特に、前記(B)型層におけるさらなる成分がプロピレンおよびエチレン単位を含む統計的な共重合体からなるのが好ましい。
【0050】
(B)型層を伴ったフィルムはそれらの高い拡張性の点で有利である。前記型(B)における1の成分の割合は、(A)型層の全組成に対して、35%〜99.99%、好ましくは50%〜99.9%、より好ましくは55%〜99%、一層より好ましくは60%〜95%および最も好ましくは60%〜90%である。
【0051】
前記(B)型層におけるさらなる成分は、(B)型層の全組成に対して、0.01%〜65%の範囲内であり、好ましくは0.1%〜50%、より好ましくは1%〜45%、一層より好ましくは5%〜40%および最も好ましくは10%〜40%である。
【0052】
本発明のかなり好ましい実施形態において、前記多層フィルムは好ましくは3つの層の薄層から構成される。前記中間の層は好ましくは、上記(A)型層である。前記(A)型層の周りの二つの外部の層は好ましくは(B)型層である。これらの(B)型外部層はそれぞれ同一の組成または異なる組成を有する。
【0053】
これらのフィルムは、充填の間、本発明に係る使い捨てバッグの均一な拡張を確保するので、特に好ましい。
【0054】
「ポリエチレン」とは、本発明の範囲内において、簡略化した鎖状構造式(Cを有するエチレンの重合化により製造される熱可塑性物質を意味する。エチレン単位を含む共重合体はエチレンと選択されるさらなるオレフィンとの共重合により製造される高分子である。ポリエチレンおよびエチレン単位を含む共重合体はポリオレフィンの群に属する。
【0055】
いわゆる「さらなるオレフィン」とは、好ましくは3〜20の炭素原子を含むα−オレフィンである。さらなるオレフィンとして選択される具体例は、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテンおよびオクテンであり、オクテンが特に好ましい。
【0056】
「ポリプロピレン」とは、本発明の範囲内において簡略化した鎖構造式(Cを有するプロピレンの重合化により製造される熱可塑性物質を意味する。プロピレン単位を含む共重合体はプロピレンと選択されるさらなるオレフィンとの共重合により製造される高分子である。ポリプロピレンおよびプロピレン単位を含む共重合体はポリオレフィンの群に属する。
【0057】
いわゆる「さらなるオレフィン」とは、好ましくは2〜4の炭素原子を含むα−オレフィンである。さらに選択されるオレフィンの具体例は、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテンおよびオクテンであり、エチレンが特に好ましい。
【0058】
数個のポロオレフィンの既知の商標名は:アラソン(Alathon)(登録商標)、ダイニーマ(Dyneema)(登録商標)、ホスタレン(Hostalen)(登録商標)、ルポレン(Lupolen)(登録商標)、ポリセン(Polythen)(登録商標)、スペクトラ(Spectra)(登録商標)、トロレン(Trolen)(登録商標)、ベストレン(Vestolen)(登録商標)である。
【0059】
特徴は、一般的に、
・PE−HD(HDPE):分枝鎖の少ない重合鎖、したがって、0.94g/cm〜0.97g/cmの高密度(「HD」は「高密度(high density)」の略)、
・PE−LD(LDPE):分枝鎖の多い重合鎖、したがって、0.915g/cm〜0.935g/cmの低密度(「LD」は「低密度(low density)」の略)、
・PE−LLD(LLDPE):直鎖状低密度ポリエチレン、短い分枝のみを有する高分子。これらの分枝はエテンの共重合により生成され、α−オレフィン率が高い(具体的には、ブテン、ヘキセンまたはオクテン)(「LLD」は「直鎖状低密度」の略)、
・PE−HMW:高分子量ポリエチレン。高分子鎖がPE−HD、PE−LDまたはPE−LLDの場合よりも長く、平均分子量は500kg/mol〜1000kg/molである、
・PE−UHMW:平均分子量が最高6000kg/molであり、0.93g/cm〜0.94g/cmの密度を有する超高分子量ポリエチレン(「UHMW」は「超高分子量(ultra high molecular weight)」の略)、
に引き出される。
【0060】
少なくともエチレンおよびプロピレン単位を含む上記のように命名された共重合体は好ましくは統計的な共重合体である。統計的な共重合体とは、前記高分子を構成する、少なくとも二つの異なる単量体単位がランダムに存在する共重合による共重合体である。上記のように命名されたブロック共重合体は、前記モノマーが前記鎖に統計的に組み込まれてはいないが、互いに結合されているホモポリマーのような鎖状構造であることを意味する。それらは共重合体と高分子混合物の中間のものを意味し、前記モノマー組成を変更することなしにポリマーを改良する可能性を提供する。
【0061】
そのようなブロック重合体の好ましい例は:エチレン、プロピレン、α−オレフィンもしくはイソプレンおよびスチレン(いわゆる、オレフィン性スチレンブロック共重合体)もしくはSEBs、SEPS,SBS,SEB,SEPおよびSISなどのようなジエン−スチレンブロック共重合体を含む混合ブロック共重合体を含む。
【0062】
型(A)および(B)の層に使用されうる好ましい選択肢は、エラストマー性スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロック共重合体であり、好ましくはジエンを50wt%より多く含み、また、例えば樹脂性のスチレン−ブタジエンおよびスチレン−イソプレンブロック共重合体であり、好ましくは共重合体の全質量に対して50wt%より少ないジエン成分である。
【0063】
仮に、50wt%より多いジエン成分を含む弾性スチレン−ジエンブロック共重合体が使用されれば、混合物中のそれらの割合は好ましくは20wt%〜40wt%であるが、必要に応じてそれよりも高くまたは低くすることもできる。50wt%より多いスチレン、特に、65wt%〜95wt%のスチレンを含む樹脂性スチレン−ジエンブロック共重合体は、本発明に係る成形化合物中に好ましくは40wt%〜60wt%の量で含まれる。さらなる実施形態において、使い捨てフィルムはポリ塩化ビニルを含まないのが好ましい。
【0064】
本発明の極めて好ましい実施形態において、前記多層フィルムは3層から構成され、その一番外部の層が60wt%スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体と40wt%の統計的なポリプロピレン−エチレン共重合体を含み、中間層が60wt%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)と40wt%の統計的ポリエチレン−オクテン共重合体とを含み、および第二外部の層が60wt%のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)と40wt%の統計的ポリプロピレン−エチレン共重合体を含む。
【0065】
本発明の範囲において、前記多層フィルムが加熱滅菌されうるのがさらに好ましい。前記多層フィルムの一つの層のみ加熱滅菌することができ、二つまたはそれ以上または前記多層フィルムの全部の層も加熱滅菌されうる。特に、本発明に係る前記使い捨てバッグの内部を形成する層を少なくとも加熱滅菌することができるのが好ましい。
【0066】
「加熱滅菌」とは、100〜140℃、好ましくは110〜130℃の範囲の温度および1〜2barの圧力での蒸気による処理の間およびその後に、その外形および機械的ならびに物理化学的性質において前記多層フィルムはそのままであることを意味する。
【0067】
前記多層フィルムの厚さは好ましくは1μm〜1000μmの範囲内にあり、より好ましくは5μm〜800μmであり、特に好ましくは8μm〜500μmであり、最も好ましくは10μm〜150μmである。前記多層フィルムの個々の層はそれぞれ同じ厚さまたは異なる厚さを有することも可能である。3層またはそれより多い層の多層フィルムの場合に、外側を形成する二つの層が40μm以下、好ましくは20μm以下の厚さを有するのが特に好ましい。
【0068】
3層またはそれより多い層のフィルムの内側の層は、500μm以上、より好ましくは300μm以上、最も好ましくは100μm以上の厚さを有することができ、その場合に良好な安定性および弾力性を達成することができる。それにより、高い柔軟性および負荷変動耐性を達成することができる。
【0069】
本発明の好ましい形態において、前記多層フィルムの少なくとも一つの層が、少なくとも5000pmより少なくおよび200ppmより少ない程度で添加物および不純物、例えば残留触媒を有する。
【0070】
3層またはそれ以上の層の多層フィルムの場合に、それぞれの外部の層は加熱滅菌可能な層で形成されているのがさらに好ましい。その結果の有利な点は、加熱滅菌の間に、前記使い捨てバッグの内側または外側の両方が他の構成要素にくっつかないことである。
【0071】
前記多層フィルムの少なくとも一つの層は密閉され、好ましくは加熱密閉されうる。前記密閉する温度は160℃〜230℃の範囲内にあるのが好ましく、より好ましくは180℃〜210℃である。
【0072】
前記多層フィルムは、また生体適合性があるのが好ましく、特に血液適合性があるのが好ましい。
【0073】
さらに前記多層フィルムは透明なフィルムであるのが好ましい。
【0074】
前記多層フィルムは潤滑油、可塑剤、粘着防止剤、帯電防止剤および充填剤を含まないのがさらに好ましい。
【0075】
本発明は、本発明に係る使い捨てバッグが配置されている支持装置を含む装置に関する。前記支持装置は最初に裂ける恐れのある溶着点に前記使い捨てバッグを支持/安定化するようにあるのが好ましい。前記目的は、前記使い捨てバッグを容器から迅速かつ安全に取り外すため、および満たした後にバッグの弱い部分での圧力を吸収するために達成される。この方法において、しわが入るというような、上記の問題なく、容器におよび容器から適格におよび迅速に弾性容器を導入しおよび取り外すことが可能である。
【0076】
本発明に係る使い捨てバッグに適応する前記支持装置は、満たした状態でおよび空の状態で使い捨てバッグを取り付けられるような好ましいホルダーを含む。さらに、前記支持装置は、利用に対応した膨張した体積、すなわち、前記使い捨てバッグの少なくとも上記最大の保持容量において、前記使い捨てバッグを保持できる十分な大きさでなければならない。前記支持装置は、成形受皿(Shaping dish)として形成された受入ユニットを有している。前記成形受皿は中央の筒状の軸受表面が外向きに湾曲した上部の軸受表面および外向きに湾曲した下部の軸受表面と結合している。
【0077】
好ましくは血管のような支持装置の形状は限定されない。前記支持装置の内部の全体的に異なる曲線および異なる形状は技術的または美学的な理由を必要とされていないならば使用しうる。前記透析液の安全な貯蔵はいかなる場合においても前記弾性バッグにより確保される。
【0078】
そのような成形受皿の利点は、満たされた使い捨てバッグ内で発生しうる圧力が十分吸収されることである。言い換えると、血液透析または腹膜透析のような治療のため、好ましくは前記支持装置に存在する成形受皿に載置される。
【0079】
使用準備の整った透析液でバッグを満たしたとき、本発明に係るバッグは成形された支持装置の壁に立てかけられ、安全に取り囲まれ、および同様に支持される。この安全性は以前からの「バッチ血液透析」バッグを用いては保証されない。前記透析液がバッグに最初に誘導され、前記支持装置は一般的に重炭酸塩を成分として含み、ガス圧は溶解した重炭酸塩と平衡にあるCOガスによりバッグの壁にかかる。COはフィルム材料を通り抜けて排気され、前記透析液の組成は均一ではない。このことは、前記支持装置の受皿に弾力性のあるバッグ壁をもたれさせることにより効果的に防止される。当該支持装置は本発明に係るバッグおよび支持装置を含む組織的な配置におけるガス障壁として付加的に作用する。
【0080】
さらに好ましい実施形態において、本発明に係る前記使い捨てバッグは、ホルダーを有し、その最上部および/または底部端に、好ましくは、それを通して前記装置に固定する固定ストリップの形態で提供される。
【0081】
ホルダーの支持により、前記使い捨てバッグは前記装置に導入され、また再度除去されうる。特に好ましくは、供給および/または排出管もまたホルダーを介して固定される。
【0082】
前記ホルダーは前記使い捨てバッグに固定して接続されるかまたは除去可能なように取り付けられうる。最初の場合では、前記ホルダーは本発明に係る使い捨てバッグと共に捨てられる材料である。
【0083】
本発明の目的において、本発明の一つ以上の使い捨てバッグがホルダーに取り付けられまたは本発明に係る使い捨てバッグのいくつかが装置内のホルダーに取り付けられることも可能である。
【0084】
本発明は本発明に係る前記使い捨てバッグの使用にも関連し、または治療を実行するために装置に使用するための本発明に係る装置に関連する。
【0085】
本発明のさらなる実施形態において、前記最終節で名づけられた装置は血液透析または腹膜透析を実行するための装置であり、すなわち、治療は血液透析または腹膜透析である。
【0086】
本発明は、本発明に係る使い捨てボトルの製造工程にも関連する。前記工程は
a)上記定義される多層フィルムの製造;および
b)使い捨てバッグ内への多層フィルムの溶着
を含む。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明に係る工程も、前記多層フィルムをいくつかの部分に分離する工程を含む。このステップは上記工程b)の前に実行されるのが好ましい。
【0088】
本発明に係る多層フィルムの製造用の本発明に係る工程は、前記多層フィルムが好ましくは共押し出しにより製造されるのが好ましい。本発明に係る前記多層フィルムを製造するため、好ましくは水で冷却されたインフレーションフィルムラインに共押し出しされる前に、出発原料は混合され、化合物とされ、および粒状にされる。
【0089】
前記多層フィルムの層は互いに直接接している状態で押し出される。共押し出しにより製造された保護フィルムが一面または両面に付着している多層フィルムは本発明の範囲内にある。当該保護フィルムは残渣を残すことなく、本発明に係る多層フィルムから容易に除去または引き剥がされうる。
【0090】
さらに、しかしながら、前記多層フィルムは分離した押し出し工程、カレンダー成形工程またはフィルムキャスティング工程において製造されうる。前記共抽出構造は滑らかな表面を製造するため押し出した後すぐに滑らかにされうる。もし、滑らかさが求められれば、前記多層フィルムは当業者に適切であるとして知られているいかなる他の工程によっても滑らかにされうる。
【0091】
前記発明は以下の好ましい実施形態を使用して、図を用いて、本発明を説明および図示の唯一の目的として、より詳細に記載されるが、一方、本発明の範囲を限定または妨げられるものではない。
【0092】
[図1]供給管および排出管を有する2つの室を伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【0093】
[図2]固定ストリップの形態のホルダーを伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【0094】
[図3]固定ストリップの形態の二つのホルダーを伴う本発明に係る使い捨てバッグである。
【0095】
[図4]本発明に係る使い捨てバッグの多層フィルムの力[N]/拡張[%]を示す図である。
【0096】
[図5]フィルム1との比較の力[N]/拡張[%]を示す図である。
【0097】
[図6]フィルム2との比較の力[N]/拡張[%]を示す図である。
【0098】
図1は本発明(1)に係る使い捨てバッグを示す。前記本発明(1)に係る使い捨てバッグが側面から示されている。前記使い捨てバッグは分離壁/分離フィルム(4)により二つの室に分けられ、それぞれ供給または排出管を伴って供給される((2),(3))。
【0099】
図2は図1の本発明に係る使い捨てバッグを示し、その最上部に支持棒の形態のホルダー(5)を備え、これにより供給および排出管も取り付けられている。当該支持棒(5)は、前記供給および排出管((2),(3))を固定することもできる。
【0100】
図3は図2の本発明に係る使い捨てバッグを示し、支持棒の形態のホルダー(6)を底部に備えている。
【0101】
図4は本発明に係る使い捨てバッグの多層フィルムの[N]/拡張[%]の図を示す。
【0102】
図5および6には比較フィルム1(図5)および2(図6)の[N]/拡張[%]の図を示す。
【実施例】
【0103】
以下の実施例において、本発明に係る使い捨てバッグに使用されている多層フィルムの利点が示されている。当該実施例および多層フィルムの実施例において命名されている組成物は単に説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0104】
実施例1〜5に示されている試料1〜3は以下の構造を有している。
【0105】
試料1
試料1は、
化合物A: 10 μm
化合物B: 130 μm
化合物A: 10 μm
の構造を有する三層のフィルムである。
【0106】
前記外部層および試料1に係る多層フィルムの特徴を有する層は、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)ブロック共重合体である。
【0107】
当該試料1の組成は、
化合物A:SEP(Septon2005;クラレ)100部 PP−R Co(PP 23M 10cs264;Rexene)70部
化合物B:SEP(Septon 2005;クラレ)100部 PE 共重合体(Engage;DOW)(ρ<0.9g/cm) PP−R Co(PP 23M 10cs264;Rexene)70部
である。
【0108】
前記略記について、
SEP: スチレン−エチレン−プロピレン
PP−R Co: ポリプロピレンランダム共重合体
PP: ポリプロピレン
PE: ポリエチレン
を意味する。
【0109】
試料2
試料2は、
化合物A’: 10 μm
化合物B’: 130 μm
化合物A’: 10 μm
の構造を有する三層フィルムである。
【0110】
当該試料2の組成は、
化合物A:SEB(分子量<120.000g/mol)100部
PP−R Co(PP 23M 10cs264;Rexene)70部
化合物B:SEB(分子量<120.000g/mol)100部 PE共重合体(Engage;DOW)(ρ<0.9g/cm
である。
【0111】
前記略記について、
SEB: スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体
PP−R Co: ポリプロピレンランダム共重合体
PP: ポリエチレン
を意味する。
【0112】
試料3
試料3に係るフィルムは市販の日商フィルムである。これは、
SEB54%
PP 23−35%
EAA 5−23%
の構造を有する単層である。
【0113】
前記略記ついて、
SEB: スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体
PP: ポリエチレン
EAA: エチレンーアクリル酸重合体
である。
【0114】
実施例1
加熱滅菌中の変形
121℃の温度で加熱滅菌中フィルムの変形を調査するため、個々の場合において1.33dmの大きさのフィルムを40分間、応力の無い状態で加熱滅菌した。結果は、縦方向における収縮は、試料1:3.2%、試料2:11.1%、試料3:0.4%*、横方向における収縮は、試料1:1.6%、試料2:2.1%、試料3:0.4%*(*試料3に係るフィルムはすでに前もってETO滅菌(エチレンオキサイド滅菌)されておりおよびおそらく応力はなかった)である。
【0115】
実施例2
加熱滅菌中固着
加熱滅菌中フィルムの固着を調査するため、対応するフィルムを用いて製造された空のバッグを121℃の温度で40分間加熱滅菌した。試料1に係る多層フィルムを用いた時、当該バッグの内部表面は測定可能な固着または凝集を示さなかった。これに比較して、試料2に係る多層フィルムを使用したとき、バッグの内部表面は共に固着し、および約90秒以内に、10cmにわたって離すため約320mmWS(水カラム)の静水圧が必要であった。試料3を使用した時、加熱滅菌の後、バッグの内部表面は明らかに固着しており、10分間300mmHgの水圧をかけても完全には離れなかった。
【0116】
実施例3
脆化温度
フィルムの脆化温度を、DIN 53443 T 2に従って調査した。試料1は−60℃で、試料2は−65℃で、および試料3は−60℃で初期の脆性破壊を示した。
【0117】
実施例4
荷重−変化耐性
荷重−変化耐性は空気圧によって作動するテスト装置を使用した試験により決定した。前記多層フィルムを二つの半分のハウジング間に固定した。当該フィルムを前記ハウジングの底部に置き、一方、ハウジングの最上部から25mlの球形カップを拡張した。
【0118】
1.5barの圧力に交互にかけることにより多層フィルムを前記球形カップと平面の間で振動させた。前記フィルムの均一変形された理論的な拡張は最大43%だった。当該調査は、試料1および試料2に対応する加熱滅菌フィルムについて37℃で行った。
【0119】
荷重−変化試験に続いて、光学顕微鏡、REMおよび、前記多層フィルムの試料に裂けまたは穴が無いことを明らかにする水に対する空気漏れにより調査し、20,000以上の荷重変化の後であっても裂けや穴の無いことが明らかとなった。いくつかの試料において、ほんのわずかなしわが見られるが、これは、これらの領域にいつまでも残るかすかな拡張による。
【0120】
実施例5
ガス透過性
以下の表1は試料1、2、および3はOとCOのガス透過性を示し、ここでOのガス透過性は、ASTM D−3985,DIN 53380により決定した。
【0121】
【表1】

【0122】
実施例5において、試料1に係る本発明のフィルムのガス透過性は、OとCOの両方とも、試料3に係る市販のものよりも、明らかに大きいことがわかる。
【0123】
実施例2において、試料1に係る本発明に係る多層フィルムは、加熱滅菌中固着する傾向はまったく測定されず、これは、外面層が、重量平均分子量≧120,000g/molである、少なくとも55%の加熱滅菌スチレン−エチレン−プロピレンおよび45%のポリプロピレンからなるという事実に起因する。
【0124】
実施例6
弾力試験を本発明に係る使い捨てバッグの多層フィルムの試料を用いて行った。15mmの深さと120μmの厚さの試料を試験した。当該試験は押し出し方向(CD)に垂直におよび押し出し方向(MD)に沿ってダイカットされて行われた。当該多層フィルムの構造は:
PP/SEBS 8μm(RD 204 CF 40%,Borealis; Septon 8004,クラレ)
PE/SEBS 97μm(TuftecRD H1062 25%,アサヒ; Engage 8003 40%,Dow; Septon 8004,クラレ)
PP/SEBS 15μm(RD 204 CF 40%,Borealis; Septon 8004,クラレ)
である。
【0125】
当該結果を以下の表2に示す。
【0126】
【表2】

【0127】
前記引張試験を供給速度1mm/minで、DIN EN 527 1−3に従って行った。
【0128】
比較試験を技術水準から知られているフィルムを用いて行った。
【0129】
幅15mmおよび厚さ200μm(比較フィルム1)および120μm(比較フィルム2)である試料は同様に試験された。当該比較フィルムの構造は:
比較フィルム1:
構造 厚さ 約200μm
外面 約15μm ポリプロピレン−エチレン共重合体100%
中間 約160μm SEBS35%、ポリプロピレン−エチレン共重合体65%
内部 約20μm ポリプロピレンーエチレン共重合体80% SEBS20%
比較フィルム2:
構造 厚さ 約180μm
外面 約20μm ポリプロピレン−エチレン共重合体100%
中間 約120μm SEBS60%、ポリプロピレン−エチレン共重合体40%
内部 約20μm ポリプロピレンーエチレン共重合体100%
である。
【0130】
当該結果を以下の表3(比較フィルム1)と表4(比較フィルム2)に示す:
【0131】
【表3】

【0132】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムが、縦方向に250%〜850%、および横方向に300%〜1050%の引張伸びを有する、流体を収容するための多層フィルムを含む使い捨てバッグ。
【請求項2】
前記多層フィルムが、縦方向に300kp/cm〜350kp/cm、および横方向に220kp/cm〜270kp/cmの引裂強度を有する、請求項1に記載の使い捨てバッグ。
【請求項3】
前記多層フィルムが、0.45〜0.55のゴム弾性状態での横歪み比μを有する、請求項1または2に記載の使い捨てバッグ。
【請求項4】
前記多層フィルムが、45N/15mm〜60N/15mmの力で最大500%伸びうる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項5】
最大限まで満たされたときの前記使い捨てバッグの外部表面の、空の時の前記外部表面に対する比が≧2/1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項6】
前記最大限まで満たされた時の使い捨てバッグの収容力の、前記多層フィルムが現状のまま伸びていない状態にある時の収容力に対する比が≧3/1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項7】
前記最大限に満たされたときの使い捨てバッグの収容力が30L〜120Lの範囲にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項8】
複数の室を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項9】
前記室が、前記使い捨てバッグの縦方向に互いに平行して並ぶ、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項10】
供給管および排出管も有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項11】
供給管および排出管が異なる室に接続されている、請求項10に記載の使い捨てバッグ。
【請求項12】
前記多層フィルムが数個な成分を含み、前記成分の一つがスチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびにさらなる一成分がポリエチレンおよびエチレン単位を含む共重合体からなる群から選択される、(A)型層を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使い捨てバッグ。
【請求項13】
前記(A)型層における前記さらなる一成分の割合が、前記(A)型層の全組成に対し0.01%〜65%の範囲にある、請求項12に記載の使い捨てバッグ。
【請求項14】
前記多層フィルムが、それぞれ独立して成分を含む(B)型層を一またはそれ以上含むのが好ましく、前記成分の一つがスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体およびそれらの混合物からなる群から選択され、ならびにさらなる一成分が、ポリプロピレンおよびプロピレン単位を含む共重合体からなる群から選択される、請求項12または13に記載の使い捨てバッグ。
【請求項15】
前記(B)型層における第一の成分が≧120000g/molの平均分子量を有する、請求項14に記載の使い捨てバッグ。
【請求項16】
前記1型層が二つの更なる2型層に囲まれている中間層であることを特徴とする、請求項15または16に記載の使い捨てバッグ。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の使い捨てバッグを導入した支持装置を含む装置。
【請求項18】
前記装置が使い捨てバッグを固定するためのホルダーも含むことを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記支持装置が前記使い捨てバッグに接続されている成型受皿を含むことを特徴とする、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
治療を行うための装置において使用するための請求項1〜16のいずれか1項に記載の使い捨てバッグまたは請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置の使用。
【請求項21】
前記装置が血液透析または腹膜透析を行うための装置である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
a)請求項1〜4および12〜16のいずれか1項に記載の多層フィルムの製造;
b)前記多層フィルムのバッグ内への溶着;
の段階を含む請求項1〜16のいずれか1項に記載の使い捨てバッグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−509119(P2012−509119A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536777(P2011−536777)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008248
【国際公開番号】WO2010/057643
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(501378930)フレゼニウス メディカル ケア ドイチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【Fターム(参考)】