説明

多層化窓または戸、窓または戸の多層化方法、窓または戸の多層化用取り付け金具

【課題】 適用対象が幅広く、多層化作業の容易な窓の多層化方法を提供する。
【解決手段】 枠体11の開口部12に密閉性緩衝部材13を介して支持された透明ガラス板14を有する既設の窓10に対し、枠体11の開口部12と略同形の透明プラスチックボード30と、一端側が略L字状に折り曲げられた複数個の取り付け金具20を用意し、透明ガラス板14の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に取り付け金具20の一端側を差し込んで嵌着し、透明プラスチックボード30の上辺、下辺、左辺、右辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させながら、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に嵌着した前記複数の取り付け金具20の間に嵌め込んだ後、該複数の取り付け金具20の他端側を曲げて透明プラスチックボード30の端部を係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層化窓または戸、窓または戸の多層化方法、窓または戸の多層化用取り付け金具に係り、とくに既設の窓または戸に第2の透明板を後付けして多層化する場合に好適な多層化窓または戸、窓または戸の多層化方法、窓または戸の多層化用取り付け金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外光を取り入れる窓や戸は、アルミサッシ等の枠体に透明ガラス板を1枚取り付けた単板が主流であったが、近年、枠体に2枚の透明ガラス板を前後二重に取り付けて多層化構造とした窓や戸が実用化されている。この多層化窓や戸は、単板と比較して中間の空気層の存在により、断熱性に優れており、夏場の冷房、冬場の暖房に対し省エネ効果が非常に高いという特徴を有する。建築物に既設の単板窓や戸にガラス板、透明プラスチック板等を後付けし多層化すれば、多大な省エネに寄与することができ、地球温暖化防止の観点からも既設の単板窓や戸の多層化は急務といえる。
従来、既設の単板窓や戸に対し第2の光透過板を後付け可能とする発明として実用新案登録第3087741号公報(特許文献1)がある。この発明は、既設の単板窓や戸の枠体(外枠)に内枠をボルト止めし、この内枠に第2の光透過板を取り付けるようにしたものである。しかしながら、既設の枠体(外枠)に内枠を取り付けるためには、元々、既設の枠体(外枠)に内枠を取り付け可能なスペースがなければならず、適用対象が限定される欠点があった。また、既設の枠体(外枠)に内枠をボルト止めする作業、内枠に第2の光透過板を取り付ける作業が必要であり、多大な手間が掛かる欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3087741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、適用対象の窓または戸が幅広く、多層化作業の容易な多層化窓または戸、窓または戸の多層化方法、窓または戸の多層化用取り付け金具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側が略L字状に折り曲げられた複数個の取り付け金具を用意し、透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、透明板と密閉性緩衝部材の間に取り付け金具の一端側を差し込んで嵌着し、第2の透明板を、該第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させながら、透明板と密閉性緩衝部材の間に嵌着した前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項2記載の発明では、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側が略L字状に折り曲げられた複数個の取り付け金具を用意し、透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、透明板と密閉性緩衝部材の間に取り付け金具の一端側を差し込んで嵌着するとともに、透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、第2の透明板をスペーサ部材に当接させながら、透明板と密閉性緩衝部材の間に嵌着した前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項3記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、枠体の開口部と略同形に形成され、端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺が密閉性緩衝部材に当接した第2の透明板と、透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、略L字状に折曲された一端側が、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれて嵌着されるとともに、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、を備えたことを特徴としている。
請求項4記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材と、枠体の開口部と略同形に形成され、前記スペーサ部材に当接した第2の透明板と、透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、略L字状に折曲された一端側が、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれて嵌着されるとともに、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、を備えたことを特徴としている。
請求項5、6記載の発明では、取り付け金具は、ピン状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲されていること、を特徴としている。
請求項7、8記載の発明では、取り付け金具は、板状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、を特徴としている。
請求項9記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、全体がピン状で、一端側が略L字状に折曲されて、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲されていること、を特徴としている。
請求項10記載の発明では、全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されて、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、を特徴としている。
請求項11記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成された取り付け金具を複数個用意し、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させながら、前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項12記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側が略L字状に折り曲げられてネジ孔が形成された複数個の取り付け金具を用意し、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めするとともに透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、第2の透明板をスペーサ部材に当接させながら、前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項13記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成され、他端側で第2の透明板の端部を係止可能な複数個の取り付け金具を用意し、第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接し、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項14記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成され、他端側で第2の透明板の端部を係止可能な複数個の取り付け金具を用意し、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めするとともに透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、第2の透明板をスペーサ部材に当接し、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、第2の透明板の端部を係止させること、を特徴としている。
請求項15記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、枠体の開口部と略同形に形成され、端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺が密閉性緩衝部材に当接した第2の透明板と、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所にネジ止めされて、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、を備えたことを特徴としている。
請求項16記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材と、枠体の開口部と略同形に形成され、前記スペーサ部材に当接した第2の透明板と、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所にネジ止めされて、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、を備えたことを特徴としている。
請求項17記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、全体がピン状で、一端側に枠体にネジ止可能とするネジ孔が形成されるとともに、一端側とは反対の他端側がネジ孔の軸とは略90度異なる方向に略L字状に折曲されていること、を特徴としている。
請求項18記載の発明では、枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されて枠体にネジ止可能とするネジ孔が形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、を特徴としている。
なお、後付けした第2の透明板の周囲と枠体との間の隙間を粘着テープ、コーキング材などの封止部材により密閉するようにしても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、既設の窓または戸の透明板の少なくとも上辺と下辺の各々密1または複数箇所で、透明板と密閉性緩衝部材の間に取り付け金具の一端側を差し込み、既設の窓または戸の開口部と略同形の第2の透明板を取り付け金具の間に嵌め、この際、第2の透明板の端縁を密閉性緩衝部材に当接させるか、または、透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材に第2の透明板を当接させ、取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で窓または戸を多層化することができる。
しかも、透明板が密閉性緩衝部材を介して枠体に支持された窓または戸を対象とできるので、適用範囲が非常に幅広い。
また、取り付け金具を、全体がピン状で、一端側がL字状に折曲されて、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へL字状に折曲したものとすれば、第2の透明板を係止する際、他端側を第2の透明板と平行な面内で略90度曲げるだけで簡単に係止させることができる。
また、取り付け金具を、全体が板状で、一端側がL字状に折曲されて、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されたものとすれば、第2の透明板を係止する際、他端側を第2の透明板の断面の角に沿うように簡単に曲げて係止させることができる。
また、他の発明によれば、既設の窓または戸の枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、既設の窓または戸の開口部と略同形の第2の透明板を取り付け金具の間に嵌め、この際、第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させるか、または、既設の窓または戸の透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材に第2の透明板を当接させ、取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で窓または戸を多層化することができる。
また、取り付け金具を、全体がピン状で、一端側に枠体にネジ止め可能とするネジ孔が形成されるとともに、一端側とは反対の他端側がネジ孔の軸とは略90度異なる方向に略L字状に折曲されたものとすれば、第2の透明板を係止する際、他端側を第2の透明板と平行な面内で略90度曲げるだけで簡単に係止させることができる。
また、取り付け金具を、全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されて枠体にネジ止め可能とするネジ孔が形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されたものとすれば、第2の透明板を係止する際、他端側を第2の透明板の断面の角に沿うように簡単に曲げて係止させることができる。
また、更に他の発明によれば、既設の窓または戸の開口部と略同形の第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させるか、または、既設の窓または戸の透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材に第2の透明板を当接させ、枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、取り付け金具の他端側で第2の透明板の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で窓または戸を多層化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例1)。
【図2】図1中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図3】図1の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図4】図1の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図5】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例2)。
【図6】図5中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図7】図5の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図8】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例3)。
【図9】図8中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図10】図8の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図11】図9の取り付け金具の変形例を示す外観斜視図である。
【図12】図11の取り付け金具を用いた多層化窓の一部省略した縦断面図である。
【図13】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例4)。
【図14】図13中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図15】図13の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図16】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例5)。
【図17】図16中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図18】図16の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図19】図17の取り付け金具の変形例を示す外観斜視図である。
【図20】図19の取り付け金具を用いた多層化窓の一部省略した縦断面図である。
【図21】本発明に係る窓の多層化方法を具現した多層化窓の実施例を示す一部省略した縦断面図である(実施例6)。
【図22】図21中の取り付け金具の外観斜視図である。
【図23】図21の多層化窓の組み立て手順の説明図である。
【図24】図22の取り付け金具の変形例を示す外観斜視図である。
【図25】図24の取り付け金具を用いた多層化窓の一部省略した縦断面図である。
【図26】図1の変形例を示す一部省略した縦断面図である。
【図27】図1の変形例の組み立て手順を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0009】
図1を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第1実施例を説明する。図1は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、後述する下側の取り付け金具の取り付け箇所での縦断面図である(図3のI−I’線参照)。
図1において、1は既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図3(1)の符号10、図4(1)の符号10参照)に、取り付け金具20を用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けにより多層化してある。図3(1)、図4(1)に示す如く、既設の単板窓10は、方形のアルミ製の枠体11の開口部12に、全体が方形枠状に形成された密閉性緩衝部材(グレージングチャンネル)13を介して透明ガラス板14が密閉支持されたものである。
図1に戻って、第2の透明板としての透明プラスチックボード30は、既設の単板窓10の開口部12と略同形で僅かに小さく、開口部12に嵌る寸法に形成されている。取り付け金具20は、単板窓10の透明ガラス板14の上辺2と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている(図3(2)参照)。取り付け金具20は、取り付け前は、図2に示す如く、全体が鋼製のピン状に形成されており、一端側が略L字状に折曲されるとともに、一端側とは反対の他端側が、予め、一端側とは90度異なる方向に略L字状に折曲された形状を有し、一端側が差し込み部21を成し、他端側が曲げ部22を成す。
【0010】
図3と図4を用いて、多層化窓1の組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20、1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓10の透明ガラス板14の上辺と下辺の各々左右2箇所で、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に取り付け金具20の差し込み部21を差し込み、嵌着する。この際、曲げ部22は横方向に向くようにする(図3(1)の矢印A、図4(1)の矢印A参照)。
次に、透明プラスチックボード30を4個の取り付け金具20の間に嵌め(図3(1)の矢印B、図4(2)の矢印B参照)、透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接するようにする。最後に、治具を用いて取り付け金具20の曲げ部22を透明プラスチックボード30と平行な面内で略90度曲げ、透明プラスチックボード30の端部を係止させる(図2の矢印C、図3(2)の矢印C参照)。これにより、多層化窓1が完成する(図1参照)。透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、取り付け金具20の曲げ部22を元の向きに曲げれば、簡単に外すことができる。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図1の二点破線40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0011】
この第1実施例によれば、既設の単板窓10の透明ガラス板14の上辺と下辺の各々左右2箇所で、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に取り付け金具20の一端側の差し込み部21を差し込み、透明プラスチックボード30を取り付け金具20の間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させ、取り付け金具20の他端側の曲げ部22を曲げて透明プラスチックボード30の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
しかも、透明ガラス板14が密閉性緩衝部材13を介して枠体11に支持された既設の一般的な単板窓10を対象とできるので、適用範囲が非常に幅広い。
また、取り付け金具20を、全体がピン状で、一端側が略L字状に折曲されて、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に差し込み可能に形成するとともに、一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲したものとしたので、透明プラスチックボード30を係止する際、取り付け金具20の他端側を透明プラスチックボード30と平行な面内で略90度曲げるだけで簡単に係止させることができる。
【実施例2】
【0012】
次に、図5を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第2実施例を説明する。図5は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付して有る。
図5において、1Aは既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図7の符号10参照)に、取り付け金具20Aを用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けにより多層化してある。取り付け金具20Aは、単板窓10の透明ガラス板14の上辺と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている。取り付け金具20Aは、取り付け前は、図6に示す如く、全体が鋼製の板状に形成されており、一端側が略L字状に折曲されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折曲可能とする切り込み23が刻設してあり、一端側が差し込み部21Aを成し、他端側が曲げ部22Aを成す。
多層化窓1Aのその他の構成部分は図1と同様に構成されており、説明を略す。
【0013】
図7を用いて、多層化窓1Aの組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20Aと1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓10の透明ガラス板14の上辺と下辺の各々左右2箇所で、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に取り付け金具20Aの差し込み部21Aを差し込み、嵌着する(図7(1)の矢印A’参照)。
次に、透明プラスチックボード30を4個の取り付け金具20Aの間に嵌め(図7(2)の矢印B’参照)、透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接するようにする。最後に、治具を用いて取り付け金具20Aの曲げ部22Aを透明プラスチックボード30の断面の角に沿うように略90度曲げて係止させる(図6の矢印C’、図7(2)の矢印C’参照)。これにより、多層化窓1Aが完成する(図5参照)。透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、取り付け金具20Aの曲げ部22Aを元の向きに曲げれば、簡単に外すことができる。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図5の符号40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0014】
この第2実施例によれば、既設の単板窓10の透明ガラス板14の上辺と下辺の各々左右2箇所で、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に取り付け金具20Aの一端側の差し込み部21Aを差し込み、透明プラスチックボード30を取り付け金具20Aの間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させ、取り付け金具20Aの他端側の曲げ部22Aを曲げて透明プラスチックボード30の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
また、取り付け金具20Aを、全体が板状で、一端側がL字状に折曲されて、透明ガラス板14と密閉性緩衝部材13の間に差し込み可能に形成するとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向へ折り曲げ可能とする切り込み23を刻設したものとしたので、透明プラスチックボード30を係止する際、取り付け金具20Aの他端側を透明プラスチックボード30の断面の角に沿って略90度曲げるだけで簡単に係止させることができる。
【実施例3】
【0015】
次に、図8を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第3実施例を説明する。図8は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付して有る。
図8において、1Bは既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図10の符号10参照)に、取り付け金具20Bを用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けにより多層化してある。取り付け金具20Bは、単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている。取り付け金具20Bは、取り付け前は、図9に示す如く、全体が鋼製のピン状に形成されており、一端側にリング状のネジ孔24Bが形成されており、一端側とは反対の他端側が、予め、ネジ孔24Bの軸Oとは略90度異なる方向に略L字状に折曲されて曲げ部22Bが形成されている。
多層化窓1Bのその他の構成部分は図1と同様に構成されており、説明を略す。
【0016】
図10を用いて、多層化窓1Bの組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20Bと1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所にネジ孔15をあけ、取り付け金具20Bのネジ孔24Bとネジ孔15にネジ25を差して回し、ネジ止めする(図10(1)の矢印D参照)。
次に、透明プラスチックボード30を4個の取り付け金具20Bの間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接するようにする(図10(2)の矢印E参照)。最後に、治具を用いて取り付け金具20Bの曲げ部22Bを透明プラスチックボード30と平行な面内で略90度曲げ、透明プラスチックボード30を係止させる(図9の矢印F、図10(2)の矢印F参照)。これにより、多層化窓1Bが完成する(図8参照)。透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、取り付け金具20Bの曲げ部22Bを元の向きに曲げるか、ネジ25を逆に回して取り付け金具20Bを外せば良い。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図8の符号40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0017】
この第3実施例によれば、既設の単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で、取り付け金具20Bの一端側をネジ止めし、単板窓10の開口部12と略同形の透明プラスチックボード30を取り付け金具20Bの間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させ、取り付け金具20Bの他端側の曲げ部22Bを曲げて透明プラスチックボード30の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
また、取り付け金具20Bを、全体がピン状で、一端側にネジ孔24Bが形成されて枠体11にネジ止め可能とするとともに、一端側とは反対の他端側が、ネジ孔24Bの軸Oとは略90度異なる方向へ略L字状に折曲したものとしたので、透明プラスチックボード30を係止する際、取り付け金具20Bの他端側を透明プラスチックボード30と平行な面内で略90度曲げるだけで簡単、かつ確実に係止させることができる。
なお、透明プラスチックボード30に厚みがある場合などには、図11に示すように、一端側と他端側の両方を略L字状に折り曲げた取り付け金具20B’を用いて、図12の多層化窓1B’の如く、透明プラスチックボード30の角を取付金具20B’が係止するようにしても良い。
【実施例4】
【0018】
次に、図13を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第4実施例を説明する。図13は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付して有る。
図13において、1Cは既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図15の符号10参照)に、取り付け金具20Cを用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けにより多層化してある。取り付け金具20Cは、単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている。取り付け金具20Cは、取り付け前は、図14に示す如く、全体が鋼製の板状に形成されており、一端側が略L字状に折曲されてネジ孔24Cが形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折曲可能とする切り込み23Cが刻設してあり、この他端側が曲げ部22Cを成す。
多層化窓1Cのその他の構成部分は図1と同様に構成されており、説明を省略する。
【0019】
図15を用いて、多層化窓1Cの組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20Cと1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所にネジ孔15をあけ、取り付け金具20Cのネジ孔21Cとネジ孔15にネジ25を差して回し、ネジ止めする(図15(1)の矢印D’参照)。
次に、透明プラスチックボード30を4個の取り付け金具20Cの間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接するようにする(図15(2)の矢印E’参照)。最後に、治具を用いて取り付け金具20Cの曲げ部22Cを透明プラスチックボード30の断面の角に沿うように略90度曲げて係止させる(図14の矢印F’、図15(2)の矢印F’参照)。これにより、多層化窓1Cが完成する(図13参照)。透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、取り付け金具20Cの曲げ部22Cを元の向きに曲げるか、ネジ25を逆に回して取り付け金具20Cを外せば良い。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図13の符号40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0020】
この第4実施例によれば、既設の単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で、取り付け金具20Cの一端側をネジ止めし、単板窓10の開口部12と略同形の透明プラスチックボード30を取り付け金具20Cの間に嵌め、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させ、取り付け金具20Cの他端側の曲げ部22Cを曲げて透明プラスチックボード30の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
また、取り付け金具20Cを、全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されてネジ孔24Cが形成されるとともに、一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向へ折り曲げ可能とする切り込み23Cを刻設したものとしたので、透明プラスチックボード30を係止する際、取り付け金具20Cの他端側を透明プラスチックボード30の断面の角に沿って略90度曲げるだけで簡単、かつ確実に係止させることができる。
なお、切り込み23Cを異なる位置に複数刻設しておくことで、厚みの異なる複数種の透明プラスチックボード30に対応させることができる。
【実施例5】
【0021】
次に、図16を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第5実施例を説明する。図16は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付して有る。
図16において、1Dは既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図18の符号10参照)に、取り付け金具20Dを用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けしてある。取り付け金具20Dは、単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている。
取り付け金具20Dは、図17に示す如く、全体が鋼製のピン状に形成されており、一端側にリング状のネジ孔24Dが形成されており、一端側とは反対の他端側が、くの字状に折曲されて曲げ部22Dが形成されている。
多層化窓1Dのその他の構成部分は図1と同様に構成されており、説明を略す。
【0022】
図18を用いて、多層化窓1Dの組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20Dと1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所にネジ孔15をあけ(図18(1)参照)、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を密閉性緩衝部材13に当接させ(図18(1)の矢印G参照)、取り付け金具20Dのネジ孔24Dとネジ孔15にネジ25を差して回し、ネジ止めし、曲げ部22を透明プラスチックボード30の端部に当接させた状態で係止させる(図18(2)の矢印H参照)。これにより、多層化窓1Dが完成する(図16参照)。
取り付け金具20Dを枠体11にネジ止めすると、曲げ部22Dが透明プラスチックボード30に当接して取り付け金具20Dの全体が直線状となるように曲げ部22Dが曲がり、バネ性で曲げ部22Dが透明プラスチックボード30を透明ガラス板14の方向へ付勢する(図18(2)の矢印I参照)。
透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、ネジ25を逆に回して取り付け金具20Dを外せば良い。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図16の符号40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0023】
この第5実施例によれば、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を既設の単板窓10の密閉性緩衝部材13に当接させ、枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で、取り付け金具20Dの一端側をネジ止めし、取り付け金具20Dの他端側の曲げ部22Dで透明プラスチックボード30の端部を係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
また、取り付け金具20Dを、全体がピン状で、一端側にネジ孔24Dが形成されて枠体11にネジ止め可能とするとともに、一端側とは反対の他端側が、バネ性で透明プラスチックボード30の端部を密閉性緩衝部材13の方向に付勢するようにしたので、透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間の空間の密閉と透明プラスチックボード30の係止を確実に行うことができる。
なお、透明プラスチックボード30に厚みがある場合には、図19に示すように、一端側と他端側の両方を略L字状に折り曲げた取り付け金具20D’を用いて、図20の多層化窓1D’の如く、透明プラスチックボード30の角を取付金具20D’が係止するようにしても良い。
【実施例6】
【0024】
次に、図21を参照して本発明に係る窓の多層化方法により組み立てられた多層化窓の第6実施例を説明する。図21は多層化窓の一部省略した縦断面図であり、図1と同一の構成部分には同一の符号が付して有る。
図21において、1Eは既設の単板窓を多層化した多層化窓であり、既設の単板窓(図23の符号10参照)に、取り付け金具20Eを用いて透明プラスチックボード30を係止させることで、後付けにより多層化してある。取り付け金具20Eは、単板窓1の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付けている。取り付け金具20Eは、図22に示す如く、全体が鋼製の板状に形成されており、一端側にネジ孔24Eが形成されるとともに、一端側とは反対の他端側が断面くの字状に折り曲げられて曲げ部22Eが形成されている。
多層化窓1Eのその他の構成部分は図1と同様に構成されており、説明を略す。
【0025】
図23を用いて、多層化窓1Eの組み立て方法を説明すると、まず、4個の取り付け金具20Eと1枚の透明プラスチックボード30を用意する。既設の単板窓10の枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所にネジ孔15をあけ(図23(1)参照)、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を既設の単板窓10の密閉性緩衝部材13に当接させ(図23(1)の矢印G’参照)、取り付け金具20Eのネジ孔24Eとネジ孔15にネジ25を差して回しネジ止めし、曲げ部22Eが透明プラスチックボード30の端部に当接した状態で係止させる(図23(2)の矢印H’参照)。これにより、多層化窓1Eが完成する(図21参照)。
取り付け金具20Eを枠体11にネジ止めすると、曲げ部22Eが透明プラスチックボード30に当接して取り付け金具20Eの全体が直線状となるように曲げ部22Eが曲がり、バネ性で曲げ部22Eが透明プラスチックボード30を透明ガラス板14の方向へ付勢する(図23(2)の矢印I’参照)。
透明プラスチックボード30の4辺の端縁が密閉性緩衝部材13に当接することで、既設の透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間に空気層のスペースが確保され、かつ該空気層がほぼ密閉状態とされて高い断熱効果を発揮する。
透明プラスチックボード30を取り外したい場合、ネジ25を逆に回して取り付け金具20Eを外せば良い。
なお、透明プラスチックボード30の周囲と枠体11の間の隙間を、粘着テープを接着して塞いだり(図21の符号40参照)、コーキング材をコーキングしたりして封止すれば、一層断熱性が向上する。
【0026】
この第6実施例によれば、透明プラスチックボード30の4辺の端縁を既設の単板窓10の密閉性緩衝部材13に当接させ、枠体11の上辺と下辺の各々左右2箇所で、取り付け金具20Eの一端側をネジ止めし、取り付け金具20Eの他端側の曲げ部22Eがバネ性で透明プラスチックボード30の端部を付勢した状態で係止させるという簡単な作業及び少ない後付け部材で既設の単板窓10を多層化することができる。
また、取り付け金具20Eを、全体が板状で、一端側にネジ孔24Eが形成されて枠体11にネジ止め可能とするとともに、一端側とは反対の他端側が、バネ性で透明プラスチックボード30の端部を密閉性緩衝部材13の方向に付勢するようにしたので、透明ガラス板14と透明プラスチックボード30の間の空間の密閉と透明プラスチックボード30の係止を確実に行うことができる。
なお、透明プラスチックボード30に厚みがある場合には、図24に示すように、一端側と他端側の両方を略L字状に折り曲げた取り付け金具20E’を用いて、図25の多層化窓1E’の如く、透明プラスチックボード30の角を取付金具20E’が係止するようにしても良い。
【0027】
なお、上記した各実施例では、透明プラスチックボード30の端縁の内、4辺全てを密閉性緩衝部材13に当接させるようにしたが、上下2辺或いは左右2辺を当接させるようにしても良い。
また、透明プラスチックボードの端縁を密閉性緩衝部材に当接させて、透明ガラス板と透明プラスチックボードの間にスペースを確保し、断熱用の空気層を形成させるようにしたが、これと異なり、透明プラスチックボードを単板窓に取り付ける前に、透明ガラス板の4辺近くまたは上下2辺近くまたは左右2辺近くに、テープ状または紐状のスペーサを接着し、透明プラスチックボードをスペーサに当接させてスペースを確保するようにしても良い。例えば、図2の取り付け金具20を用いる場合、透明プラスチックボード30を単板窓10に取り付ける前に、図26に示す如く透明ガラス板14の4辺近くに、テープ状または紐状のスペーサ50を接着し、透明プラスチックボード30を取り付け金具20に嵌める際、透明プラスチックボード30をスペーサ50に当接させてスペースを確保するようにして、図27の如く多層化窓1Fを形成するようにしても良い。
また、既設の窓は透明ガラス板が支持されたものとしたが、透明プラスチックボードが支持されたもの、遮光塗装または遮光フィルムが貼られた半透明のガラス板、半透明のプラスチックボードであっても良い。同様に、第2の透明板は、遮光塗装または遮光フィルムが貼られた半透明のガラス板、半透明のプラスチックボードであっても良い。
また、既設の窓の代わりに、透明ガラス板を有する既設の戸に対しても、全く同様にして多層化することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、既設の窓や戸を多層化したり、単板の窓や戸を多層化する場合に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B、1B’、1C、1D、1D’、1E、1E’、1F 多層化窓
10 単板窓
11 枠体
12 開口部
13 密閉性緩衝部材
14 透明ガラス板
20、20A、20B、20B’、20C、20D、20D’、20E、20E’ 取り付け金具
21、21A 差し込み部
22、22A、22B、22C、22D、22E 曲げ部
23、23C 切り込み
15、24B、24C、24D、24E ネジ孔
25 ネジ
30 透明プラスチックボード
40 粘着テープ
50 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側が略L字状に折り曲げられた複数個の取り付け金具を用意し、
透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、透明板と密閉性緩衝部材の間に取り付け金具の一端側を差し込んで嵌着し、
第2の透明板を、第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させながら、透明板と密閉性緩衝部材の間に嵌着した前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、
該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項2】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側が略L字状に折り曲げられた複数個の取り付け金具を用意し、
透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、透明板と密閉性緩衝部材の間に取り付け金具の一端側を差し込んで嵌着するとともに、透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、
第2の透明板をスペーサ部材に当接させながら、透明板と密閉性緩衝部材の間に嵌着した前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、
該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項3】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、
枠体の開口部と略同形に形成され、端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺が密閉性緩衝部材に当接した第2の透明板と、
透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、略L字状に折曲された一端側が、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれて嵌着されるとともに、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、
を備えたことを特徴とする多層化窓または戸。
【請求項4】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、
透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材と、
枠体の開口部と略同形に形成され、前記スペーサ部材に当接した第2の透明板と、
透明板の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、略L字状に折曲された一端側が、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれて嵌着されるとともに、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、
を備えたことを特徴とする多層化窓または戸。
【請求項5】
前記取り付け金具は、ピン状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲されていること、
を特徴とする請求項1または2記載の窓または戸の多層化方法。
【請求項6】
前記取り付け金具は、ピン状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲されていること、
を特徴とする請求項3または4記載の多層化窓または戸。
【請求項7】
前記取り付け金具は、板状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、
を特徴とする請求項1または2記載の窓または戸の多層化方法。
【請求項8】
前記取り付け金具は、板状であり、予め、透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込まれる一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、
を特徴とする請求項3または4記載の多層化窓または戸。
【請求項9】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
全体がピン状で、一端側がL字状に折曲されて、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、
一端側とは反対の他端側が、一端側とは略90度異なる方向へ略L字状に折曲されていること、
を特徴とする窓または戸の多層化用取り付け金具。
【請求項10】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されて、前記透明板と密閉性緩衝部材の間に差し込み可能に形成されるとともに、
一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、
を特徴とする窓または戸の多層化用取り付け金具。
【請求項11】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成された取り付け金具を複数個用意し、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、
第2の透明板を、該第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接させながら、前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、
該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項12】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成された複数個の取り付け金具を用意し、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めするとともに透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、
第2の透明板をスペーサ部材に当接させながら、前記複数個の取り付け金具の間に嵌め込んだ後、
該複数個の取り付け金具の他端側を曲げて第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項13】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成され、他端側で第2の透明板の端部を係止可能な複数個の取り付け金具を用意し、
第2の透明板の端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺を密閉性緩衝部材に当接し、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項14】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
枠体の開口部と略同形の第2の透明板と、一端側にネジ孔が形成され、他端側で第2の透明板の端部を係止可能な複数個の取り付け金具を用意し、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めするとともに透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面にスペーサ部材を接着し、
第2の透明板をスペーサ部材に当接し、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所で、取り付け金具の一端側をネジ止めし、第2の透明板の端部を係止させること、
を特徴とする窓または戸の多層化方法。
【請求項15】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、
枠体の開口部と略同形に形成され、端縁の内、少なくとも上辺と下辺または左辺と右辺が密閉性緩衝部材に当接した第2の透明板と、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所にネジ止めされて、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、
を備えたことを特徴とする多層化窓または戸。
【請求項16】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸と、
透明板の少なくとも上辺と下辺近くまたは左辺と右辺近くの表面に接着したスペーサ部材と、
枠体の開口部と略同形に形成され、前記スペーサ部材に当接した第2の透明板と、
枠体の四辺の内、少なくとも上辺と下辺の各々1または複数箇所にネジ止めされて、第2の透明板の端部を係止した複数個の取り付け金具と、
を備えたことを特徴とする多層化窓または戸。
【請求項17】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
全体がピン状で、一端側に枠体にネジ止可能とするネジ孔が形成されるとともに、
一端側とは反対の他端側がネジ孔の軸とは略90度異なる方向に略L字状に折曲されていること、
を特徴とする窓または戸の多層化用取り付け金具。
【請求項18】
枠体の開口部に密閉性緩衝部材を介して支持された透明板を有する窓または戸に対し、
全体が板状で、一端側が略L字状に折曲されて枠体にネジ止可能とするネジ孔が形成されるとともに、
一端側とは反対の他端側を、一端側とは逆の方向に折り曲げ可能とする切り込みが形成されていること、
を特徴とする窓または戸の多層化用取り付け金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−261201(P2010−261201A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112386(P2009−112386)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【出願人】(597124604)環境リサーチ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】