多層基布構造のシーム付抄紙用プレスフェルト及びその製造方法
【要 約】
【課 題】 多層構造の基布を用いた場合であっても、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供する。
【解決手段】 両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されている。
【課 題】 多層構造の基布を用いた場合であっても、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供する。
【解決手段】 両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、抄紙機のプレスパートに使用されるフェルトにおける、多層基布構造のシーム付抄紙用プレスフェルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
抄紙機のプレスパートに使用されるフェルトは、近年、生産性向上のための高速運転化に伴い、厚く固い多層構造の基布が使用されるようになってきている。これは、高速運転時の耐摩耗性と脱水性を向上させるとともに、基布の両端縁をシームするオープンエンド式構成により抄紙機への掛け入れ操作を容易にする。
【０００３】
従来のシーム付きフェルトは、両端にシームループを有し、該シームループを抄紙機のロール間に渡してから互いに噛み合わせ、これにより出来た共通孔に芯線を通してエンドレスに接合できるように構成されている。基布を多層構造とすることにより、１枚の基布のシーム付きフェルトに比べ、より大きいボイドボリュームを備えた品質良好なシーム付きフェルトが得られ、これにより脱水量の多いパートやニップ圧の高いパートへの対応が可能となった。
【０００４】
このようなシーム付きフェルトは、シームループを持った基布を、該シームループを芯線を介してエンドレスに接合し、これを下布とし、その外周に、シームループを持たない基布からなる上布を１枚ないし数枚重ね、該上布と前記下布とを、上布の外周にバット原料を乗せてニードリングすることにより貼り合わせ、しかる後、前記下布のシームループ部又はその近傍で上布を巾方向に切断して有端状にしていた。
【０００５】
しかしながら、前記上布を巾方向に切断すると、この切断部で基布を構成する経糸の飛び出しが生じたり、上布の緯糸が端部から解れてくるという問題があった。フェルト表面にこのような糸の飛び出しや解れが存在することにより、湿紙への型付（マーク）、穴あきが発生し、さらには断紙に至る場合があること、紙の品質面、操業面に悪影響を及ぼす原因となっていた。
【０００６】
上記問題を解消するために、従来技術では切断された上布の切断部での糸の飛び出しまたは解れ防止の対策が講じられてきた。
特許文献１及び特許文献２においては、上布を構成する糸に熱溶融繊維糸（低融点材料糸）を使用し、交点を互いに接着させている（特許文献１、図５参照）。また、基布の最下層（反湿紙面側）の緯糸の本数を経糸に比して多くするもの（特許文献３）、切断部に無緯糸領域を形成するもの（特許文献４）、シームループを有する基布を多層（少なくとも２層）とし、シーム部をオフセットさせることにより、基布を切断しない（すなわち緯糸を切断しない）もの（特許文献５）、などの技術が提案されている。
【０００７】
これらの手段により、糸の飛び出しや解れに対し、ある程度の防止効果が得られるものの、過酷な条件下では不十分であった。特許文献２〜４記載の技術では、抄紙機のプレスパートにおける繰り返し圧縮やプレス前後の張力変化という過酷な条件に耐え切れず、切断部の基布組織が解放されてしまう。また、特許文献５記載の技術では、無緯糸領域があるため、この領域におけるバットの固着性が悪く、この領域でのフェルトの脱毛、摩耗の進行が早まるという難点があった。
【０００８】
特許文献５記載の技術は、湿紙接触側の基布にもシームループが形成されている。シームループを形成するためには十分な糸強度が必要であり、太径の糸を使用することになるが、太径の糸で製織された基布表面は粗いものとなってしまうため、湿紙表面平滑性が悪く、またバット固着性が悪いため脱毛し易くなり、摩耗し易くなる。加えて、複数のシーム部が存在するので、掛入時のシーミング作業性も劣るものであった。
【０００９】
【特許文献１】特開平１１−１００７８７号公報
【特許文献２】特開２００３−９６６８５号公報
【特許文献３】米国特許明細書４，８６３，７８６号明細書
【特許文献４】特開２００４−３６０２０号公報
【特許文献５】カナダ特許第２２２９１２１号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、特に高速運転化に伴い、厚く固い多層構造の基布を用いたフェルトに使用されるもので、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、基本的には、多層基布構造のシーム付抄紙用プレスフェルトに関する発明であり、以下の各技術を基礎とするものである。
【００１２】
（１）両端にシームループを有する織物からなる複数の基布を有する基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用フェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１３】
（２）前記第二基布の目付量が、前記第一基布の目付量よりも小であることを特徴とする（１）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１４】
（３）前記第二基布のシームループにより形成される空隙が、前記第一基布のシームループにより形成される空隙より小であることを特徴とする（１）又は（２）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１５】
（４）前記第二基布に設けられるシームループのループ長（２ＬＬ）とループ高さが（２ＬＨ）、前記第一基布に設けられるシームループのループ長（１ＬＬ）とループ高さ（１ＪＨ）より小であることを特徴とする（３）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１６】
（５）前記第二基布に設けられるシームループにより形成される空隙が、該シームループ近傍に配置されたマルチフィラメント糸が使用時に膨潤することにより小とされていることを特徴とする（３）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１７】
（６）両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用フェルトの製造方法であって、
両端にシームループを有する織物からなる前記第一基布と、両端にフェルト加工時のみに利用されるシームループを有する織物からなる前記第二基布を得る工程、
芯線を介してシームループを接合することにより、前記第一基布及び前記第二基布を無端状とする工程、
無端状とされた前記第一基布及び前記第二基布からなる基材の湿紙側にバット層を配置し、絡合処理することにより前記第一基布と前記第二基布とを貼り合わせる工程、
前記第一基布及び前記第二基布の芯線を抜いて互いのシームループを外し、前記第一基布及び前記第二基布を有端状とする工程、
基布のシームループ部近傍の位置で、湿紙側バット層を巾方向に切断し、有端状のフェルトとする工程、
とからなり、製紙機械上では第一基布にのみ芯線を挿入して無端状とすることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明の基布を構成する糸条及びバット層に用いられる繊維素材としては、抄紙機のプレスフェルトに用いられている汎用の素材を用いることができ、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、天然素材などの繊維素材から適宜選択される。
【００２０】
第一基布と第二基布とからなる基材は、少なくとも基材の湿紙側にバット層を配し、ニードリング、流体絡合等の処理により絡合することにより、貼り合わされる。
【００２１】
なお、本発明では第二基布の湿紙側にのみバット層を設けるものに限定されず、第一基布の機械側（ロール側）にもバット層を設けてもよい。
また、第二基布の湿紙側にのみバット層を設けたものにおいても、ニードリングされた際に第一基布の機械側にバット繊維が貫通する場合もありうることである。
このようにして第一の基布の機械側にバット層・バット繊維が配置するときには、第一基布のシームループ（１Ｌ）の近傍で巾方向にバット繊維を除去すると良い。
【００２２】
また、第二基布のシームループが形成する空隙を小とするために該ループ内に挿入されるマルチフィラメント糸には、プレスフェルト使用時に膨潤し、ループ内の空隙を埋めることができるような糸条が用いられる。前記糸条は公定水分率が４．５％以上の素材、ナイロン、ビニロン、アセテート、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、綿、麻、絹、羊毛等、親水性が高く、より多くの水分を吸収しうる素材を用いることができ、１５００〜１６００ｄｔｅｘのトウからなるマルチフィラメントが好適に用いられる。
【００２３】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１のフェルト（１）は、第一基布（１０）と第二基布（２０）とが積層され、少なくとも第二基布の湿紙側にバット層（３０）が共にニードリングされ貼り合わされた状態を示している。
【００２４】
前記貼り合わせは、両端にシームループ（１Ｌ）を有した第一基布と両端にシームループ（２Ｌ）を有した第二基布のそれぞれのシームループが互いに噛み合うように突合せ、これにより出来たそれぞれの共通孔に芯線（１３）、（２３）を通してエンドレスに接合して、その後バット層と共にニードリングすることにより製作される。
【００２５】
前記フェルト（１）は貼り合わせた後、一旦芯線（１３）、（２３）を抜き、第二基布（２０）のシームループ（２Ｌ）部近傍で巾方向に切断される（図２）。これによりシームループを損傷することなく湿紙側にバット層の切断部分を形成することが出来る。
【００２６】
前記フェルト（１）は切断部（４０）を形成することにより有端状となり、製紙機械のロール間を通してからシームループ（１Ｌ）は芯線（１３）を介してエンドレスに接合できるようになる。このとき第二基布（２０）のシームループ（２Ｌ）には芯線を挿入しない（図３）。このようにして本願発明のフェルトが完成される。
【００２７】
また、前記第二基布（２０）のループの近傍に１５００〜１６００ｄｔｅｘのトウからなるマルチフィラメント糸を緯糸として配置することで、第二基布のシームループ内の空隙を小とし、マーク性を向上させることが出来る。
【００２８】
マルチフィラメント糸は、第二基布製織時、ループ近傍（ループ外）に、地部と異なる組織で織り込むことによって、あるいは、製織後にピアノ線を使用するなどしてループ近傍(ループ外)の隙間に挿入することによって、配置することができる。
【００２９】
本発明の第一基布と第二基布は経二重織りで織成された製織布が好ましく使用される。又本発明の基布の目付け量は、第一の基布が３００〜７００g/cm2、好ましくは４５０〜６５０g/cm2、第二の基布が１００〜５００g/cm2、好ましくは２００〜４００g/cm2の範囲の製織布を使用することが出来る。
【００３０】
また本発明では、第一の基布のシームループにより形成される空隙が１ループ当たり０．２４〜１．８６mm3、第二のシームループにより形成される空隙が１ループ当たり０．１４〜０．８４mm3、であることが好ましい。更に本発明では第一の基布に設けられるシームループのループ長が１．５０〜３．００ mm、ループ高が０．５０〜１．５０mm、第二の基布に設けられるシームループのループ長が１．５０〜２．５０mm、ループ高が０．５０〜１．００mmであることが好ましい。これらは光学顕微鏡を用いて測定することが出来る。
【実施例】
【００３１】
表１に示す構成の基布を用いて、実施例1、２及び比較例１〜３のシーム付抄紙用フェルトを作成した。使用した材料は次の通りである。
・基布素材：ナイロン
・バット素材：ナイロン、繊度３９ｄｔｅｘ
・表バット量：５００ｇ／ｍ２
・裏バット量：２００ｇ／ｍ２
・挿入糸：１５００ｄｔｅｘ（東レ・モノフィラメント社製、品番１４５０Ｔ−６８−３１５８）のマルチフィラメント糸
【００３２】
【表１】
【００３３】
実施例１、２及び比較例１〜３により製作したサンプルについて、以下の項目の評価試験を行った。本発明で採用した評価項目は、第二基布（上布）の解れ発生時間、マーク性、脱毛量、シーム加工（シーミング）時間である。その結果を表２に示す。
【００３４】
＜第二基布（上布）の解れ発生時間＞
高速・高圧抄紙機テスター試験により、解れの発生時間を測定する。試験条件は、抄速：１０００ｍ／ｍｉｎ、加圧：１００ｋｇ／ｃｍ、ＨＰＳ：１５ｋｇ／ｃｍ２とする。
【００３５】
＜マーク性＞
図７の装置を用い、マークテストにより評価する。試験方法は、フェルト、カーボン紙、紙、バットを重ね合わせ、ロールにてプレス（加圧：３０ｋｇ／ｃｍ）する。バットは１００ｇｓｍ単位で追加される。目視評価で紙に転写された基布マークが確認されないバット重量の１０００分の1の値をマーク指数とする。マーク指数が小さいほどマーク性は良い。
【００３６】
＜脱毛量＞
図８の装置を用い、ＪＩＳII磨耗試験により評価する。試験条件は、摺動回数３０回／分で400回後の磨耗繊維量を電子天秤にて測定。摺動距離１００mm、磨耗端子面２０×２０ｍｍ、磨耗端子加重５００ｇ、サンドペーパー３２０メッシュを使用する。
【００３７】
＜シーミング時間＞
平面上で、１ｍ当たりのシーミングに要する時間で評価する。
【００３８】
【表２】
【００３９】
表２に示すように、評価試験の結果は、実施例１及び２は第二基布の解れが無いか、あったとしても発生時間が極めて遅いことがわかった。また、マーク指数値も小さく、マーク性は良好であった。さらに、脱毛量も少なく耐脱毛性についても良好であった。さらにシーミング時間も少なく、製紙機械への掛入時間の短縮が期待できる結果となった。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明によれば、多層構造の基布であっても、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを得ることができる。
特に、高速運転化に伴い採用される、厚く固い多層構造の基布を用いる場合であっても、高速運転時の耐摩耗性と脱水性の向上とともに、湿紙表面平滑性に優れ、耐久性にすぐれ、しかも掛け入れ操作を容易とすることができ、きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明に係るフェルトの、シーム部近傍でフェルトが巾方向に切断される前のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図２】本発明に係るフェルトの、シーム部またはその近傍でフェルトが巾方向に切断される際のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図３】本発明に係るフェルトの、シーム部の近傍でフェルトが巾方向に切断され、製紙機械装着後のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図４】本発明に係るフェルトにおいて、第二基布にマルチフィラメント糸が配置された図である。
【図５】従来例を示す図である。
【図６】マーク性試験を説明する図である。
【図７】脱毛量の測定に用いる磨耗試験を説明する図である。
【符号の説明】
【００４２】
１ 本発明に係るフェルト
１０ 第一基布層
１１ 第一基布の経糸
１２ 第一基布の緯糸
１３ 第一基布の芯線
１Ｌ 第一基布のシームループ
１ＬＬ 第一基布のシームループのループ長
１ＬＨ 第一基布のシームループのループ高
２０ 第二基布層
２１ 第二基布の経糸
２２ 第二基布の緯糸
２３ 第二基布の芯線
２Ｌ 第二基布のシームループ
２ＬＬ 第二基布のシームループのループ長
２ＬＨ 第二基布のシームループのループ高
３０ バット層
４０ 切断部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、抄紙機のプレスパートに使用されるフェルトにおける、多層基布構造のシーム付抄紙用プレスフェルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
抄紙機のプレスパートに使用されるフェルトは、近年、生産性向上のための高速運転化に伴い、厚く固い多層構造の基布が使用されるようになってきている。これは、高速運転時の耐摩耗性と脱水性を向上させるとともに、基布の両端縁をシームするオープンエンド式構成により抄紙機への掛け入れ操作を容易にする。
【０００３】
従来のシーム付きフェルトは、両端にシームループを有し、該シームループを抄紙機のロール間に渡してから互いに噛み合わせ、これにより出来た共通孔に芯線を通してエンドレスに接合できるように構成されている。基布を多層構造とすることにより、１枚の基布のシーム付きフェルトに比べ、より大きいボイドボリュームを備えた品質良好なシーム付きフェルトが得られ、これにより脱水量の多いパートやニップ圧の高いパートへの対応が可能となった。
【０００４】
このようなシーム付きフェルトは、シームループを持った基布を、該シームループを芯線を介してエンドレスに接合し、これを下布とし、その外周に、シームループを持たない基布からなる上布を１枚ないし数枚重ね、該上布と前記下布とを、上布の外周にバット原料を乗せてニードリングすることにより貼り合わせ、しかる後、前記下布のシームループ部又はその近傍で上布を巾方向に切断して有端状にしていた。
【０００５】
しかしながら、前記上布を巾方向に切断すると、この切断部で基布を構成する経糸の飛び出しが生じたり、上布の緯糸が端部から解れてくるという問題があった。フェルト表面にこのような糸の飛び出しや解れが存在することにより、湿紙への型付（マーク）、穴あきが発生し、さらには断紙に至る場合があること、紙の品質面、操業面に悪影響を及ぼす原因となっていた。
【０００６】
上記問題を解消するために、従来技術では切断された上布の切断部での糸の飛び出しまたは解れ防止の対策が講じられてきた。
特許文献１及び特許文献２においては、上布を構成する糸に熱溶融繊維糸（低融点材料糸）を使用し、交点を互いに接着させている（特許文献１、図５参照）。また、基布の最下層（反湿紙面側）の緯糸の本数を経糸に比して多くするもの（特許文献３）、切断部に無緯糸領域を形成するもの（特許文献４）、シームループを有する基布を多層（少なくとも２層）とし、シーム部をオフセットさせることにより、基布を切断しない（すなわち緯糸を切断しない）もの（特許文献５）、などの技術が提案されている。
【０００７】
これらの手段により、糸の飛び出しや解れに対し、ある程度の防止効果が得られるものの、過酷な条件下では不十分であった。特許文献２〜４記載の技術では、抄紙機のプレスパートにおける繰り返し圧縮やプレス前後の張力変化という過酷な条件に耐え切れず、切断部の基布組織が解放されてしまう。また、特許文献５記載の技術では、無緯糸領域があるため、この領域におけるバットの固着性が悪く、この領域でのフェルトの脱毛、摩耗の進行が早まるという難点があった。
【０００８】
特許文献５記載の技術は、湿紙接触側の基布にもシームループが形成されている。シームループを形成するためには十分な糸強度が必要であり、太径の糸を使用することになるが、太径の糸で製織された基布表面は粗いものとなってしまうため、湿紙表面平滑性が悪く、またバット固着性が悪いため脱毛し易くなり、摩耗し易くなる。加えて、複数のシーム部が存在するので、掛入時のシーミング作業性も劣るものであった。
【０００９】
【特許文献１】特開平１１−１００７８７号公報
【特許文献２】特開２００３−９６６８５号公報
【特許文献３】米国特許明細書４，８６３，７８６号明細書
【特許文献４】特開２００４−３６０２０号公報
【特許文献５】カナダ特許第２２２９１２１号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、特に高速運転化に伴い、厚く固い多層構造の基布を用いたフェルトに使用されるもので、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は、基本的には、多層基布構造のシーム付抄紙用プレスフェルトに関する発明であり、以下の各技術を基礎とするものである。
【００１２】
（１）両端にシームループを有する織物からなる複数の基布を有する基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用フェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１３】
（２）前記第二基布の目付量が、前記第一基布の目付量よりも小であることを特徴とする（１）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１４】
（３）前記第二基布のシームループにより形成される空隙が、前記第一基布のシームループにより形成される空隙より小であることを特徴とする（１）又は（２）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１５】
（４）前記第二基布に設けられるシームループのループ長（２ＬＬ）とループ高さが（２ＬＨ）、前記第一基布に設けられるシームループのループ長（１ＬＬ）とループ高さ（１ＪＨ）より小であることを特徴とする（３）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１６】
（５）前記第二基布に設けられるシームループにより形成される空隙が、該シームループ近傍に配置されたマルチフィラメント糸が使用時に膨潤することにより小とされていることを特徴とする（３）記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【００１７】
（６）両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用フェルトの製造方法であって、
両端にシームループを有する織物からなる前記第一基布と、両端にフェルト加工時のみに利用されるシームループを有する織物からなる前記第二基布を得る工程、
芯線を介してシームループを接合することにより、前記第一基布及び前記第二基布を無端状とする工程、
無端状とされた前記第一基布及び前記第二基布からなる基材の湿紙側にバット層を配置し、絡合処理することにより前記第一基布と前記第二基布とを貼り合わせる工程、
前記第一基布及び前記第二基布の芯線を抜いて互いのシームループを外し、前記第一基布及び前記第二基布を有端状とする工程、
基布のシームループ部近傍の位置で、湿紙側バット層を巾方向に切断し、有端状のフェルトとする工程、
とからなり、製紙機械上では第一基布にのみ芯線を挿入して無端状とすることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【発明の効果】
【００１８】
本発明によれば、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
本発明の基布を構成する糸条及びバット層に用いられる繊維素材としては、抄紙機のプレスフェルトに用いられている汎用の素材を用いることができ、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、天然素材などの繊維素材から適宜選択される。
【００２０】
第一基布と第二基布とからなる基材は、少なくとも基材の湿紙側にバット層を配し、ニードリング、流体絡合等の処理により絡合することにより、貼り合わされる。
【００２１】
なお、本発明では第二基布の湿紙側にのみバット層を設けるものに限定されず、第一基布の機械側（ロール側）にもバット層を設けてもよい。
また、第二基布の湿紙側にのみバット層を設けたものにおいても、ニードリングされた際に第一基布の機械側にバット繊維が貫通する場合もありうることである。
このようにして第一の基布の機械側にバット層・バット繊維が配置するときには、第一基布のシームループ（１Ｌ）の近傍で巾方向にバット繊維を除去すると良い。
【００２２】
また、第二基布のシームループが形成する空隙を小とするために該ループ内に挿入されるマルチフィラメント糸には、プレスフェルト使用時に膨潤し、ループ内の空隙を埋めることができるような糸条が用いられる。前記糸条は公定水分率が４．５％以上の素材、ナイロン、ビニロン、アセテート、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、綿、麻、絹、羊毛等、親水性が高く、より多くの水分を吸収しうる素材を用いることができ、１５００〜１６００ｄｔｅｘのトウからなるマルチフィラメントが好適に用いられる。
【００２３】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図１のフェルト（１）は、第一基布（１０）と第二基布（２０）とが積層され、少なくとも第二基布の湿紙側にバット層（３０）が共にニードリングされ貼り合わされた状態を示している。
【００２４】
前記貼り合わせは、両端にシームループ（１Ｌ）を有した第一基布と両端にシームループ（２Ｌ）を有した第二基布のそれぞれのシームループが互いに噛み合うように突合せ、これにより出来たそれぞれの共通孔に芯線（１３）、（２３）を通してエンドレスに接合して、その後バット層と共にニードリングすることにより製作される。
【００２５】
前記フェルト（１）は貼り合わせた後、一旦芯線（１３）、（２３）を抜き、第二基布（２０）のシームループ（２Ｌ）部近傍で巾方向に切断される（図２）。これによりシームループを損傷することなく湿紙側にバット層の切断部分を形成することが出来る。
【００２６】
前記フェルト（１）は切断部（４０）を形成することにより有端状となり、製紙機械のロール間を通してからシームループ（１Ｌ）は芯線（１３）を介してエンドレスに接合できるようになる。このとき第二基布（２０）のシームループ（２Ｌ）には芯線を挿入しない（図３）。このようにして本願発明のフェルトが完成される。
【００２７】
また、前記第二基布（２０）のループの近傍に１５００〜１６００ｄｔｅｘのトウからなるマルチフィラメント糸を緯糸として配置することで、第二基布のシームループ内の空隙を小とし、マーク性を向上させることが出来る。
【００２８】
マルチフィラメント糸は、第二基布製織時、ループ近傍（ループ外）に、地部と異なる組織で織り込むことによって、あるいは、製織後にピアノ線を使用するなどしてループ近傍(ループ外)の隙間に挿入することによって、配置することができる。
【００２９】
本発明の第一基布と第二基布は経二重織りで織成された製織布が好ましく使用される。又本発明の基布の目付け量は、第一の基布が３００〜７００g/cm2、好ましくは４５０〜６５０g/cm2、第二の基布が１００〜５００g/cm2、好ましくは２００〜４００g/cm2の範囲の製織布を使用することが出来る。
【００３０】
また本発明では、第一の基布のシームループにより形成される空隙が１ループ当たり０．２４〜１．８６mm3、第二のシームループにより形成される空隙が１ループ当たり０．１４〜０．８４mm3、であることが好ましい。更に本発明では第一の基布に設けられるシームループのループ長が１．５０〜３．００ mm、ループ高が０．５０〜１．５０mm、第二の基布に設けられるシームループのループ長が１．５０〜２．５０mm、ループ高が０．５０〜１．００mmであることが好ましい。これらは光学顕微鏡を用いて測定することが出来る。
【実施例】
【００３１】
表１に示す構成の基布を用いて、実施例1、２及び比較例１〜３のシーム付抄紙用フェルトを作成した。使用した材料は次の通りである。
・基布素材：ナイロン
・バット素材：ナイロン、繊度３９ｄｔｅｘ
・表バット量：５００ｇ／ｍ２
・裏バット量：２００ｇ／ｍ２
・挿入糸：１５００ｄｔｅｘ（東レ・モノフィラメント社製、品番１４５０Ｔ−６８−３１５８）のマルチフィラメント糸
【００３２】
【表１】
【００３３】
実施例１、２及び比較例１〜３により製作したサンプルについて、以下の項目の評価試験を行った。本発明で採用した評価項目は、第二基布（上布）の解れ発生時間、マーク性、脱毛量、シーム加工（シーミング）時間である。その結果を表２に示す。
【００３４】
＜第二基布（上布）の解れ発生時間＞
高速・高圧抄紙機テスター試験により、解れの発生時間を測定する。試験条件は、抄速：１０００ｍ／ｍｉｎ、加圧：１００ｋｇ／ｃｍ、ＨＰＳ：１５ｋｇ／ｃｍ２とする。
【００３５】
＜マーク性＞
図７の装置を用い、マークテストにより評価する。試験方法は、フェルト、カーボン紙、紙、バットを重ね合わせ、ロールにてプレス（加圧：３０ｋｇ／ｃｍ）する。バットは１００ｇｓｍ単位で追加される。目視評価で紙に転写された基布マークが確認されないバット重量の１０００分の1の値をマーク指数とする。マーク指数が小さいほどマーク性は良い。
【００３６】
＜脱毛量＞
図８の装置を用い、ＪＩＳII磨耗試験により評価する。試験条件は、摺動回数３０回／分で400回後の磨耗繊維量を電子天秤にて測定。摺動距離１００mm、磨耗端子面２０×２０ｍｍ、磨耗端子加重５００ｇ、サンドペーパー３２０メッシュを使用する。
【００３７】
＜シーミング時間＞
平面上で、１ｍ当たりのシーミングに要する時間で評価する。
【００３８】
【表２】
【００３９】
表２に示すように、評価試験の結果は、実施例１及び２は第二基布の解れが無いか、あったとしても発生時間が極めて遅いことがわかった。また、マーク指数値も小さく、マーク性は良好であった。さらに、脱毛量も少なく耐脱毛性についても良好であった。さらにシーミング時間も少なく、製紙機械への掛入時間の短縮が期待できる結果となった。
【産業上の利用可能性】
【００４０】
本発明によれば、多層構造の基布であっても、湿紙表面平滑性に優れ、バット固着性が良く、且つ積層された基布のシーム部における経糸の飛び出し、緯糸の解れがないシングルシームフェルトを得ることができる。
特に、高速運転化に伴い採用される、厚く固い多層構造の基布を用いる場合であっても、高速運転時の耐摩耗性と脱水性の向上とともに、湿紙表面平滑性に優れ、耐久性にすぐれ、しかも掛け入れ操作を容易とすることができ、きわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明に係るフェルトの、シーム部近傍でフェルトが巾方向に切断される前のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図２】本発明に係るフェルトの、シーム部またはその近傍でフェルトが巾方向に切断される際のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図３】本発明に係るフェルトの、シーム部の近傍でフェルトが巾方向に切断され、製紙機械装着後のシームループ部及びその近傍の拡大断面図である。
【図４】本発明に係るフェルトにおいて、第二基布にマルチフィラメント糸が配置された図である。
【図５】従来例を示す図である。
【図６】マーク性試験を説明する図である。
【図７】脱毛量の測定に用いる磨耗試験を説明する図である。
【符号の説明】
【００４２】
１ 本発明に係るフェルト
１０ 第一基布層
１１ 第一基布の経糸
１２ 第一基布の緯糸
１３ 第一基布の芯線
１Ｌ 第一基布のシームループ
１ＬＬ 第一基布のシームループのループ長
１ＬＨ 第一基布のシームループのループ高
２０ 第二基布層
２１ 第二基布の経糸
２２ 第二基布の緯糸
２３ 第二基布の芯線
２Ｌ 第二基布のシームループ
２ＬＬ 第二基布のシームループのループ長
２ＬＨ 第二基布のシームループのループ高
３０ バット層
４０ 切断部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されていることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項２】
前記第二基布の目付量が、前記第一基布の目付量よりも小であることを特徴とする請求項１記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項３】
前記第二基布のシームループにより形成される空隙が、前記第一基布のシームループにより形成される空隙より小であることを特徴とする請求項１又は２記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項４】
前記第二基布に設けられるシームループのループ長とループ高さが、前記第一基布に設けられるシームループのループ長とループ高さより小であることを特徴とする請求項３記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項５】
前記第二基布に設けられるシームループにより形成される空隙が、該シームループ近傍に配置されたマルチフィラメント糸が使用時に膨潤することにより小とされていることを特徴とする請求項３記載のシーム付抄紙用フェルト。
【請求項６】
両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
両端にシームループを有する織物からなる前記第一基布と、両端にフェルト加工時のみに利用されるシームループを有する織物からなる前記第二基布を得る工程、
芯線を介してシームループを接合することにより、前記第一基布及び前記第二基布を無端状とする工程、
無端状とされた前記第一基布及び前記第二基布からなる基材の湿紙側にバット層を配置し、絡合処理することにより前記第一基布と前記第二基布とを貼り合わせる工程、
前記第一基布及び前記第二基布の芯線を抜いて互いのシームループを外し、前記第一基布及び前記第二基布を有端状とする工程、
基布のシームループ部近傍の位置で、湿紙側バット層を巾方向に切断し、有端状のフェルトとする工程、
とからなり、製紙機械上では第一基布にのみ芯線を挿入して無端状とすることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【請求項１】
両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトであって、
前記基材は、該シームループに芯線を介して無端状に接合してなる第一基布と、両端にフェルト加工時のみにシームループに芯線を介して無端状に接合してなる第二基布の１枚以上とから構成され、該基材の湿紙側にバット層を配置して絡合することにより貼り合わされ、且つ、バット層は前記第二基布のシームループ部近傍で巾方向に切断されており、製紙機械上で前記第一基布のシームループのみに芯線を介して無端状に接合されていることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項２】
前記第二基布の目付量が、前記第一基布の目付量よりも小であることを特徴とする請求項１記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項３】
前記第二基布のシームループにより形成される空隙が、前記第一基布のシームループにより形成される空隙より小であることを特徴とする請求項１又は２記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項４】
前記第二基布に設けられるシームループのループ長とループ高さが、前記第一基布に設けられるシームループのループ長とループ高さより小であることを特徴とする請求項３記載のシーム付抄紙用プレスフェルト。
【請求項５】
前記第二基布に設けられるシームループにより形成される空隙が、該シームループ近傍に配置されたマルチフィラメント糸が使用時に膨潤することにより小とされていることを特徴とする請求項３記載のシーム付抄紙用フェルト。
【請求項６】
両端にシームループを有する織成された基材とバット層とを備えたシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法であって、
両端にシームループを有する織物からなる前記第一基布と、両端にフェルト加工時のみに利用されるシームループを有する織物からなる前記第二基布を得る工程、
芯線を介してシームループを接合することにより、前記第一基布及び前記第二基布を無端状とする工程、
無端状とされた前記第一基布及び前記第二基布からなる基材の湿紙側にバット層を配置し、絡合処理することにより前記第一基布と前記第二基布とを貼り合わせる工程、
前記第一基布及び前記第二基布の芯線を抜いて互いのシームループを外し、前記第一基布及び前記第二基布を有端状とする工程、
基布のシームループ部近傍の位置で、湿紙側バット層を巾方向に切断し、有端状のフェルトとする工程、
とからなり、製紙機械上では第一基布にのみ芯線を挿入して無端状とすることを特徴とするシーム付抄紙用プレスフェルトの製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−４１１６１（Ｐ２００９−４１１６１Ａ）
【公開日】平成２１年２月２６日（２００９．２．２６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２１０５０５（Ｐ２００７−２１０５０５）
【出願日】平成１９年８月１０日（２００７．８．１０）
【出願人】（０００１８０５９７）イチカワ株式会社 (99)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年２月２６日（２００９．２．２６）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年８月１０日（２００７．８．１０）
【出願人】（０００１８０５９７）イチカワ株式会社 (99)
【Ｆターム（参考）】
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