説明

多層建築物の解体工法

【課題】多層建築物を短期間に、かつ確実に解体することができる解体工法を提供する。
【解決手段】解体工法は次の工程よりなる。(1)高層ビル1内に搬出入用空間4とジャッキ用空間5とを構築する。(2)搬出入用空間4内に昇降架台を搬入し、昇降架台により解体重機を搬入する。(3)解体重機により複数階からなるブロックB1を鉄骨柱2と鉄骨梁3とを残して解体する。(4)ブロック吊下げ用ジャッキ9によりブロックB1を支持する。(5)ブロックB1の最下層階の鉄骨柱2と鉄骨梁3を撤去する。(6)鉄骨柱2と鉄骨梁3の撤去終了後、ブロック吊下げ用ジャッキ9によりブロックB1を1階分、吊り下ろす。(7)以上の工程とを繰り返し行って、ブロックB1をブロック吊下げ用ジャッキ9の収縮限の階まで解体する。(8)ブロック吊下げ用ジャッキ9の盛替えを行い、(5)から(7)までの工程を繰り返し行うことにより高層ビル1を解体する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多層建築物の解体工法、特に、大がかりな足場や重機を使用することなく、高層ビル等の多層建築物を短期間に低コストで安全かつ確実に解体することができる多層建築物の解体工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高層ビル等の多層建築物の老朽化が社会問題化しつつある。高層ビルを建て直すには、高層ビルを解体する必要があるが、可能な限り短期間に低コストで安全かつ確実に解体することができるビル解体工法が望まれる。
【0003】
多層建築物の解体工法の一例が特許文献1(特許第2999391号公報)に開示されている。
【0004】
以下、この解体工法を従来解体工法といい、図面を参照しながら説明する。なお、この例は、従来解体工法を鉄骨建屋の解体に適用した場合である。
【0005】
図17は、従来解体工法に使用するジャッキ装置を鉄骨建屋に設置した状態を示す全体斜視図、図18は、ジャッキ装置の吊治具を鉄骨建屋の最下段の鉄骨梁の下面にセットした状態を示す正面図、図19は、図18のA−A線矢視図、図20は、鉄骨建屋の支柱を切断し、撤去した状態を示す正面図、図21は、鉄骨建屋の最下段の全ての支柱を切断し、撤去した後、ジャッキ装置の吊治具を鉄骨建屋の2段目の鉄骨梁の下面にセットして盛替えた状態を示す正面図である。
【0006】
図17から図21において、31は、鉄骨建屋、32は、鉄骨建屋31の鉄骨梁、33は、鉄骨建屋31の鉄骨柱、34は、鉄骨建屋31の周囲に設置された複数台のジャッキ装置である。ジャッキ装置34は、仮設受け支柱35に取り付けられたセンターホールジャッキ36と、仮設受け支柱35の外面に固定されたガイド37に沿ってセンターホールジャッキ36により昇降する吊治具38とから構成されている。なお、39は、センターホールジャッキ36のストランドである。
【0007】
吊治具38は、鉄骨建屋31の鉄骨梁32の下面にセットされ、鉄骨建屋31を支持する。例えば、鉄骨建屋32の最下段のコーナー部の鉄骨梁32Aの下面に吊治具38をセットするには、図19に示すように、吊治具38をコーナー部の直交する鉄骨梁32Aの下面間に差し渡してセットする。
【0008】
従来解体工法により鉄骨建屋31を解体するには、図17に示すように、鉄骨建屋31の周囲に複数台のジャッキ装置34を設置し、図18および図19に示すように、各ジャッキ装置34の吊治具38を鉄骨建屋31の最下段の鉄骨梁32Aの下面にセットして、ジャッキ装置34により鉄骨建屋31を支持する。
【0009】
次いで、ジャッキ装置34により鉄骨建屋31を支持した状態で、図20に示すように、鉄骨建屋31の最下段の鉄骨柱33Aを所定の長さだけ切断し、撤去する。このようにして、最下段の鉄骨柱33Aを切断し、撤去したら、センターホールジャッキ34を操作して鉄骨柱33Aの切断長さ分だけ鉄骨建屋31全体を下降させる。
【0010】
このようにして、最下段の鉄骨柱33Aの切断、撤去、鉄骨建屋31の下降操作を繰り返し行ったら、図21に示すように、吊治具38を鉄骨建屋31の2段目の鉄骨梁32Bの下面に盛替えてセットし、ジャッキ装置34により鉄骨建屋31を支持する。そして、最下段の鉄骨柱33Aの場合と同様にして、2段目の鉄骨柱33Bにおいても、切断、撤去および鉄骨建屋31の下降操作を繰り返し行う。
【0011】
上述した操作を最上段の鉄骨柱まで行うことによって、鉄骨建屋31を全て解体することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第2999391号公報
【特許文献2】特開2009−102972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した従来解体工法によれば、大掛りな解体装置を多層建築物の上層部に設置し、解体装置を上層部から下層部に順次移動させて多層建築物を解体する工法と比べ、短期間に低コストで安全かつ確実に多層建築物を解体することができる。
【0014】
しかしながら、この従来解体工法を低層ビルに適用することは可能であるが、100mを超える高層ビルに適用することは困難である。
【0015】
従って、この発明の目的は、大がかりな足場や重機を使用することなく、高層ビル等の多層建築物を短期間に低コストで安全かつ確実に解体することができる多層建築物の解体工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
[1] 高層ビル等の多層建築物の解体工法であって、下記工程(1)から(9)を含むことに特徴を有するものである。
(1)前記多層建築物内に前記多層建築物の各階を貫通する搬出入用空間とジャッキ用空間とを構築する。
(2)前記搬出入用空間内に搬出入用ジャッキにより昇降可能な昇降架台を搬入し、前記昇降架台によって解体重機を前記多層建築物内に搬入する。
(3)前記解体重機によって前記多層建築物の最上階から所定階までの複数階からなるブロックを鉄骨柱と鉄骨梁とを残して解体する。
(4)前記ジャッキ用空間内にブロック吊下げ用ジャッキを搬入し、前記ブロック吊下げ用ジャッキにより前記ブロックを支持する。
(5)前記ブロックの最下層階の鉄骨柱と鉄骨梁とを撤去する。
(6)前記ブロックの最下層階の鉄骨柱と鉄骨梁との撤去が終了したら、前記ブロック吊下げ用ジャッキを収縮させて前記ブロックを1階分、吊り下ろす。
(7)前記(5)と前記(6)工程とを繰り返し行って、前記ブロックを前記ブロック吊下げ用ジャッキの収縮限の階まで解体する。
(8)前記ブロック吊下げ用ジャッキを前記ブロックと同数階まで伸長させて前記ブロック吊下げ用ジャッキを盛替える。
(9)前記(5)から前記(7)工程を、前記ブロック吊下げ用ジャッキの盛替えが行えなくなるまで繰り返し行う。
[2] [1]に記載の多層建築物の解体工法において、前記搬出入用ジャッキとしてセンターホールジャッキを使用することに特徴を有するものである。
[3] [1]または[2]に記載の多層建築物の解体工法において、前記ブロック吊下げ用ジャッキとして、複数段の支柱が入れ子式にかつセンターホールジャッキにより昇降可能に組み立てられたものを使用することに特徴を有するものである。
[4] [1]から[3]の何れか1つに記載の多層建築物の解体工法において、前記搬出入用空間を前記多層建築物の中央部に構築することに特徴を有するものである。
[5] [1]から[4]の何れか1つに記載の多層建築物の解体工法において、前記ジャッキ用空間を前記多層建築物の四隅に構築することに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、大がかりな足場や重機を使用することなく、高層ビル等の多層建築物を短期間に低コストで安全かつ確実に解体することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の多層建築物の解体工法における搬出入用空間の構築方法を示す正面図である。
【図2】搬出入用空間の構築方法を示す拡大図である。
【図3】搬出入用空間が構築された多層建築物を示す正面図である。
【図4】搬出入用空間内に搬入された昇降架台によって解体重機が搬出入用空間内に搬入された多層建築物を示す正面図である。
【図5】解体重機による解体状態を示す正面図である。
【図6】搬出入用空間とジャッキ用空間とが構築された多層建築物を示す正面図である。
【図7】搬出入用空間とジャッキ用空間とが構築された多層建築物を示す平面図である。
【図8】ジャッキ用空間内にブロック吊下げ用ジャッキを吊り下げた多層建築物を示す正面図である。
【図9】ブロック吊下げ用ジャッキによりブロックを支持した多層建築物を示す正面図である。
【図10】ブロックを2階分、解体した多層建築物を示す正面図である。
【図11】ブロック吊下げ用ジャッキを盛替えた多層建築物を示す正面図である。
【図12】ブロック吊下げ用ジャッキの盛替え後、ブロックを2階分、解体した多層建築物を示す正面図である。
【図13】ブロック吊下げ用ジャッキによる解体が終了した多層建築物を示す正面図である。
【図14】解体重機により解体される残りの多層建築物を示す正面図である。
【図15】ブロック吊下げ用ジャッキを示す正面図である。
【図16】ブロック吊下げ用ジャッキを示す平面図である。
【図17】従来解体工法に使用するジャッキ装置を鉄骨建屋に設置した状態を示す全体斜視図である。
【図18】ジャッキ装置の吊治具を鉄骨建屋の最下段の鉄骨梁の下面にセットした状態を示す正面図である。
【図19】図18のA−A線矢視図である。
【図20】鉄骨建屋の支柱を切断し、撤去した状態を示す正面図である。
【図21】鉄骨建屋の最下段の全ての支柱を切断し、撤去した後、ジャッキ装置の吊治具を鉄骨建屋の2段目の鉄骨梁の下面にセットして盛替えた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の多層建築物の解体工法の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1から図14において、1は、多層建築物としての高層ビル(以下、単にビルという。)である。なお、各図において、ビル1は、柱と梁のみを図示してあり、外壁や仕切り壁等は、図示していない。ビル1は、この例では、14階建であるがこれに限定されない。2は、ビル1の各階を構成する鉄骨柱、3は、鉄骨梁であり、高層ビル1の各階を構成する鉄骨天井梁3Aと、ビル1の各階を構成する鉄骨床梁3Bとからなっている。なお、例えば、2階の鉄骨天井梁3Aは、3階の鉄骨床梁3Bとなる。
【0021】
4は、ビル1内の中央部に構築された搬出入用空間、5は、ビル1内の四隅に構築されたジャッキ用空間、6は、搬出入用空間4およびジャッキ用空間5を構築する際に使用する搬出入用ジャッキとしてのセンターホールジャッキ、7は、搬出入用空間2内に設置された昇降架台、8は、昇降架台7により高層ビル1内に搬入された解体重機、9は、ジャッキ用空間5内に搬入されたブロック吊下げ用ジャッキである。ブロック吊下げ用ジャッキ9については後述する。
【0022】
10は、ブロック吊下げ用ジャッキ9の搬入に使用するセンターホールジャッキ、10Aは、センターホールジャッキ10のストランド、11は、センターホールジャッキ10の搬入に使用するセンターホールジャッキ、11Aは、センターホールジャッキ11のストランド、12は、ブロック吊下げ用ジャッキ9の受梁、13は、ブロック吊下げ用ジャッキ9の吊天秤である。受梁12および吊天秤13は、ジャッキ用空間5内に構築されている。14は、残されたビルを最終的に解体する解体用重機である。
【0023】
次に、ブロック吊下げ用ジャッキ9について、図15および図16を参照しながら説明する。
【0024】
ブロック吊下げ用ジャッキ9は、特許文献2(特開2009−102972号公報)に開示されるものであり、複数段の支柱が入れ子式にかつセンターホールジャッキにより昇降可能に組み立てられたものからなっている。
【0025】
すなわち、図15および図16に示すように、それぞれトラス構造の四角柱からなる外側支柱17、中間支柱18および内側支柱19と、外側センターホールジャッキ20と内側センターホールジャッキ21とから構成されている。各支柱17、18、19は、互いに入れ子式に嵌め込まれ、外側センターホールジャッキ20および内側センターホールジャッキ21により伸縮可能になっている。
【0026】
外側センターホールジャッキ20の外側ストランド22は、中間支柱18の上下端に亘って張り渡され、ジャッキ操作により中間支柱18および内側支柱19は、外側支柱17に対して一体的に昇降する。内側センターホールジャッキ21の内側ストランド23は、内側支柱19の上下端に亘って張り渡され、ジャッキ操作により内側支柱19は、中間支柱18に対して一体的に昇降する。
【0027】
後述するように、ブロック吊下げ用ジャッキ9の外側支柱17は、受梁12に固定され、内側支柱19は、吊天秤13に固定される。
【0028】
ブロック吊下げ用ジャッキ9によれば、外側支柱17の下端を受梁12に固定し、内側支柱19の上端を吊天秤13に固定し、外側センターホールジャッキ20および内側センターホールジャッキ21を操作することによって、ビル1から切り離された後述するブロックを吊り下げることができる。
【0029】
なお、この例では、ブロック吊下げ用ジャッキ9は、3段に伸縮するものであるが、2段あるいは4段以上に伸縮するものであっても良い。
【0030】
次に、この発明による高層ビル1の解体工法について説明する。
【0031】
先ず、図6および図7に示すように、ビル1内の中央部にビル1の各階を貫通する搬出入用空間4を構築し、これと並行してビル1内の四隅にビル1の各階を貫通するとジャッキ用空間5を構築する。搬出入用空間4を構築するには、図1および図2に示すように、2階の鉄骨天井梁3Aにセンターホールジャッキ6を設置し、センターホールジャッキ6のストランド6Aの下端を2階の鉄骨床梁3Bに固定する。次いで、鉄骨床梁3Bを切り離し、センターホールジャッキ6を操作して鉄骨床梁3Bを1階まで吊り下ろす。そして、鉄骨床梁3Bを撤去する。
【0032】
このようにして、1階と2階が貫通したら、次に、センターホールジャッキ6を3階の鉄骨天井梁3Aに設置し、センターホールジャッキ6のストランド6Aの下端を3階の鉄骨床梁3Bに固定する。次いで、3階の鉄骨床梁3Bを切り離し、センターホールジャッキ6を操作して鉄骨床梁3Bを1階まで吊り下ろす。そして、鉄骨床梁3Bを撤去する。これによって、1階から3階までが貫通する。
【0033】
このような操作を順次、繰り返し行って、図3に示すように、1階から最上階まで貫通させる。屋上の解体は、図4に示すように、屋上に架台15を構築し、架台15にセンターホールジャッキ6を設置して、上記の場合と同様に行う。
【0034】
次に、屋上のセンターホールジャッキ6を搬出入用ジャッキとして、そのストランド6Aに昇降架台7を固定する。そして、図4および図5に示すように、昇降架台7に解体重機8を乗せて搬出入用空間4内に搬入し、解体重機8によって、最上階から所定階までの複数階(この例では、4階分)からなる第1ブロックB1を解体する。この解体は、4階分の鉄骨天井梁3Aと鉄骨床梁3Bを除いて、4階分の全ての仕切り壁等を解体するものである。解体物は、順次、昇降架台7により撤去する。屋上と外壁は、残しておく。第1ブロックB1の重量は、ブロック吊下げ用ジャッキ9の吊り能力の範囲内である。
【0035】
上述した搬出入用空間4の構築作業と並行してジャッキ用空間5を構築するが、ジャッキ用空間5の構築方法は、搬出入用空間4の場合と同様である。
【0036】
このようにして、図6および図7に示すように、ビル1内に搬出入用空間4とジャッキ用空間5とを構築したら、図8に示すように、屋上に構築した架台15上に別の架台16を構築し、架台16にセンターホールジャッキ11を設置する。次に、図8の右側に示すように、センターホールジャッキ11のストランド11Aに、ブロック吊下げ用ジャッキ9の搬入に使用するセンターホールジャッキ10を固定し、センターホールジャッキ10を架台15に設置する。そして、図8の左側に示すように、センターホールジャッキ10のストランド10Aにブロック吊下げ用ジャッキ9を固定し、ブロック吊下げ用ジャッキ9をジャッキ用空間5内に搬入する。
【0037】
このようにして、ブロック吊下げ用ジャッキ9をジャッキ用空間5内に搬入したら、図9に示すように、受梁12を第1ブロックB1の最下層の階の鉄骨床梁3B上に構築し、ブロック吊下げ用ジャッキ9を受梁12に固定する。次に、ジャッキ用空間5の上部に吊天秤13を構築し、吊天秤13にブロック吊下げ用ジャッキ9の内側支柱19の上端を固定する。これによって、第1ブロックB1は、ブロック吊下げ用ジャッキ9によりを吊り下げられる。
【0038】
このようにして、第1ブロックB1をブロック吊下げ用ジャッキ9により吊り下げたら、第1ブロックB1の最下層階の鉄骨床梁3B上で、第1ブロックB1の最下層階を解体する。すなわち、最下層階の鉄骨柱2と鉄骨梁3を解体する。そして、ブロック吊下げ用ジャッキ9により第1ブロックB1を1階分吊り下ろす。
【0039】
このようにして、ブロック吊下げ用ジャッキ9が収縮限となるまで解体する。この例では、図10に示すように、ブロック吊下げ用ジャッキ9の収縮限の長さは、第1ブロックB1の2階分の高さに等しい。従って、第1ブロックB1の下から2階分の解体が終了したら、ブロック吊下げ用ジャッキ9を盛替える。すなわち、図11の右側に示すように、センターホールジャッキ10によりブロック吊下げ用ジャッキ9を吊り下げた状態で、受梁12をセンターホールジャッキ6で2階分吊り下ろす。この2階分は、第1ブロックB1と同様に、4階分からなる第2ブロックB2の上から2階分である。そして、図11の左側に示すように、吊り下ろした受梁12にブロック吊下げ用ジャッキ9を固定する。
【0040】
このようにして、ブロック吊下げ用ジャッキ9を盛替えたら、上述した場合と同様に、解体とブロック吊下げ用ジャッキ9による吊り下ろし作業を繰り返し行って、図12に示すように、第2ブロックB2の上から2階分を解体する。
【0041】
このような作業を繰り返し行うことによって、図13に示すように、第1ブロックB1の2階分を残して全て解体したら、図14に示すように、この2階分のビル1を解体用重機14によって解体する。
【0042】
以上のように、この発明によれば、大がかりな足場や重機を使用する必要がないので、高層ビル等の多層建築物を短期間に低コストで安全かつ確実に解体することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:高層ビル
2:鉄骨柱
3:鉄骨梁
3A:鉄骨天井梁
3B:鉄骨床梁
4:搬出入用空間
5:ジャッキ用空間
6:センターホールジャッキ
7:昇降架台
8:解体重機
9:ブロック吊下げ用ジャッキ
10:センターホールジャッキ
10A:ストランド
11:センターホールジャッキ
11A:ストランド
12:受梁
13:吊天秤
14:解体用重機
15:架台
16:架台
17:外側支柱
18:中間支柱
19:内側支柱
20:外側センターホールジャッキ
21:内側センターホールジャッキ
22:外側ストランド
23:内側ストランド
31:鉄骨建屋
32:鉄骨梁
32A:最下段の鉄骨梁
32B:2段目の鉄骨梁
33:鉄骨柱
33A:最下段の鉄骨柱
33B:2段目の鉄骨柱
34:ジャッキ装置
35:仮設受け支柱
36:センターホールジャッキ
37:ガイド
38:吊治具
39:ストランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層ビル等の多層建築物の解体工法であって、下記工程(1)から(9)を含むことに特徴を有するものである。
(1)前記多層建築物内に前記多層建築物の各階を貫通する搬出入用空間とジャッキ用空間とを構築する。
(2)前記搬出入用空間内に搬出入用ジャッキにより昇降可能な昇降架台を搬入し、前記昇降架台によって解体重機を前記多層建築物内に搬入する。
(3)前記解体重機によって前記多層建築物の最上階から所定階までの複数階からなるブロックを鉄骨柱と鉄骨梁とを残して解体する。
(4)前記ジャッキ用空間内にブロック吊下げ用ジャッキを搬入し、前記ブロック吊下げ用ジャッキにより前記ブロックを支持する。
(5)前記ブロックの最下層階の鉄骨柱と鉄骨梁とを撤去する。
(6)前記ブロックの最下層階の鉄骨柱と鉄骨梁との撤去が終了したら、前記ブロック吊下げ用ジャッキを収縮させて前記ブロックを1階分、吊り下ろす。
(7)前記(5)と前記(6)工程とを繰り返し行って、前記ブロックを前記ブロック吊下げ用ジャッキの収縮限の階まで解体する。
(8)前記ブロック吊下げ用ジャッキを前記ブロックと同数階まで伸長させて前記ブロック吊下げ用ジャッキを盛替える。
(9)前記(5)から前記(7)工程を、前記ブロック吊下げ用ジャッキの盛替えが行えなくなるまで繰り返し行う。
【請求項2】
前記搬出入用ジャッキとしてセンターホールジャッキを使用することを特徴とする、請求項1に記載の、多層建築物の解体工法。
【請求項3】
前記ブロック吊下げ用ジャッキとして、複数段の支柱が入れ子式にかつセンターホールジャッキにより昇降可能に組み立てられたものを使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の、多層建築物の解体工法。
【請求項4】
前記搬出入用空間を前記多層建築物の中央部に構築することを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、多層建築物の解体工法。
【請求項5】
前記ジャッキ用空間を前記多層建築物の四隅に構築することを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の、多層建築物の解体工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−117288(P2012−117288A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268023(P2010−268023)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000204000)太平電業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】