説明

多層管状構造体の着脱可能な識別装置

【課題】 管状構造体の内面又は外面に、弾力性のある柔軟性バンドを介して、着脱可能に取り付けられている識別装置を提供すること。
【解決手段】 製品を保存するための識別装置付き多層管状構造体が開示されている。一実施形態では、弾力性のある柔軟性バンドが管状構造体に付勢され、高周波識別装置のような識別装置がそれらの間に介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「スマートパッケージング(smart packaging)」のシステム及び方法に関し、さらに詳細には、高周波用の識別装置(以後、「RFID」タグ又は装置と呼ぶ)のような電子検出装置、並びにこれらの装置を包装に用いる方法及び包装物追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
品物の位置と状態を監視することは、多くの用途において有効である。例えば、製造環境では、工場における品物の所在を知ることが重要であり、輸送環境では、倉庫などに出入りする品物を識別し、記録することが重要である。従来から、品物を識別し、追跡するためにバーコードが用いられている。特に、1Dバーコードは、最も一般的であり、食料品店などで品物を識別するために用いられている。さらに最近では、2Dバーコードが開発されているが、この2Dバーコードは、1Dバーコードよりも非常に多くの情報を提供している。従って、2Dバーコードは、バーコードと関連付けられた品物を識別するため、通常より多くの情報が必要とされる場合に、出荷ラベルなどと共に用いられている。しかしながら、1D及び2Dバーコードシステムは、相互に互換性がないことが多く、また前記バーコードは、鮮明に目で確認されなければならず、かつ前記バーコードと関連付けられる前記情報を伝達するために、スキャナーなどによって読取り可能となっていなければならない。
【0003】
品物を追跡し、及び/又は品物についての情報を送信するための他の方法としては、品物の外面に取り付けられ、予めプログラム化されたコード化情報を備える磁気片を介して、行なわれるものがある。前記情報は、前記磁気片を高解像度の磁気読取機に通過させて、電界を生成することによって、読み取られる。この技術は、前記情報を適切に読み取るために、前記読取機と前記磁気片との間に障害物のない見通しの良い状態を必要としないが、前記磁気片が読み取られ得る前記距離が制限され、また前記システムは、読取り専用だけに制限される。また、前記磁気片は損傷を受け易く、より多くのデータを含有するより長い磁気片では問題となることがある。
【0004】
品物を追跡する他の手法としては、RFIDを用いることによって、なされるものがある。RFIDは、ここしばらくの間で、追跡するものとして衣服から荷台、運搬車までの用途を含む種々の用途に用いられている。RFIDは、誘導の原理に基づいて機能する。受動式RFIDシステムでは、読取機が所定の周波数で磁場を生成する。通常は読取り専用又は読取り/書込み用として分類され得るRFIDタグが前記磁場内に入ると、小電流が、コイルアンテナ及びキャパシタを備えるタグの共振回路で形成される。この回路は、電力を前記RFIDタグに供給し、次いで、前記RFIDタグは、前記タグに予めプログラム化された情報を125kHz(低周波数)又は13.56MHz(高周波数)のような所定の周波数で前記読取機に送信するために、前記磁場を変調する。次いで、前記読取機は、前記信号伝送を受信し、復調し、及び復号し、前記データを、さらに処理するため、前記システムと連携するホストコンピュータに送信する。
【0005】
能動式RFIDは、ほとんど同じように操作されるが、能動式システムでは、前記RFIDタグは、ボタン操作で前記タグがデータや情報を送信することを可能にするため、独自に電池を備えている。例えば、遠隔制御ガレージドア開閉機は、一般的に前記ガレージドアをユーザの判断で上げ下ろしするために、所定のコードを前記受信機に送信する能動式RFIDタグを用いている。
【0006】
RFIDタグに関連する他の技術は、バイスタティクス(Bistatix)として知られている。バイスタティクス・タグは、前記RFIDタグの前記コイルアンテナ及び前記キャパシタが印刷された炭素基材料によって置き換えられている以外は、RFIDタグとほとんど同じように操作される。その結果、バイスタティクス・タグは、極めて平坦であり、かつ比較的柔軟性がある。ただし、現在、この種の装置は、約125KHzの周波数範囲に制限されている。加えて、バイスタティクス・タグの前記読取り範囲が大きさに依存するため、より長い読取り範囲の場合には、極めて大きなタグが必要とされる。ともかく、バイスタティクス、能動式、又は受動式RFIDタグのいずれかが特定の追跡システムに用いられ、これらのタグ及びシステムは、包装物の追跡及びデータ管理に多大な進歩をもたらしてきた。
【0007】
電子検出装置、特に、RFIDシステムの課題の1つは、いかにRFIDタグを品物に取付けるかにある。現在、タグは、コンテナ又はパレットの外面に接着されており、この方法は、多くの用途では充分なものであるが、前記タグの突出している個所は、露出することが多く、処理中に損傷を受け又は不注意で剥離されることがある。他のタグを取付ける例では、タグを衣服内に縫込み、またタグを金属締め具によって品物に留めているものがある。検出装置を取付ける場合の問題は、このような装置又はタグを巻き物品の支持し又は食品の包装に用いられるような管状ロール又はコンテナに取付けるときに、特に顕著に現れる。なぜなら、この種の構造体は、製造中に互いに擦られ、タグに損傷を生じさせることが多いからである。加えて、再使用可能なキャリア又はコンテナは、織編物用糸の処理におけるドッフィングや供給管替えをする場合におけるように、多数回用いられることが多く、これは、前記RFIDタグへの損傷をさらに促進する可能性がある。従って、処理中に損傷又は破損しない電子検出装置を有するコンテナ又はキャリアを製造する必要性がある。
【0008】
RFID技術が直面する他の問題は、特に、比較的短い寿命の物品と共に用いられるとき、無駄に廃棄されるRFIDタグに関するコストにある。例えば、巻き物品と共に用いられる管状コアは、板紙原料から作製され、損傷又は磨耗した後にリサイクルされることが多い。前記コアに接着される従来のRFIDタグは、そのタグがさらに長期間にわたって用いられることが可能であっても、前記コアがリサイクルされるときに破壊される。従って、RFIDタグと関連する物品の寿命が尽きたときに、リサイクルすることができるRFIDタグが必要とされている。
【発明の開示】
【0009】
これら及び他の必要性は、本発明による管状構造体及び管状構造体を形成する方法によって、提供される。有利には、本発明の管状構造体は、管状コアと、弾力性のある柔軟性バンド又はシートによって前記管状コアに離脱可能に取り付けられる高周波用の識別装置又はタグのような電子検出又は識別装置とを備えている。前記柔軟性バンドは、前記コアの前記内側又は前記コアの前記外面の周囲に付勢され、前記識別装置は、前記バンドと前記コアとの間に介在されている。このようにして、前記検出装置は、前記バンドによって損傷から保護され、例えば、前記コアがリサイクルされる場合、前記コアから取り外すことができる。他の実施形態では、検出装置は、前記柔軟性シートに取り付けられ、この柔軟性シートが、前記コアの前記内面に付勢され、摩擦嵌め又は締まり嵌めによって、その位置に保持されている。シートと検出装置は、前記コアがリサイクルされるとき、取り外すことができる。
【0010】
製品を保存するための管状構造体を製造する方法も、提供される。この方法では、前記弾力性のある柔軟性シート又はバンドが、前記管状コアに対して締まり嵌めを生じるように、付勢されている。この付勢段階中、検出装置は、前記柔軟性シート又はバンドと接触し、離脱可能に取付けられている。
【0011】
本発明の管状構造体は、多くの用途を有している。前記識別装置は、前記柔軟性バンド又はシートによって保護されるので、製品の処理又はコアの移動中に打撃又は衝撃による損傷又は破損の危険が少ない。加えて、前記柔軟性バンド又はシート及び前記識別装置は、例えば、前記コアが回収される場合、取り外すことができる。前記管状構造体は、その内外に保存される製品、例えば、クッキー、ポテトチップス、巻き物品などを追跡することに、特に有効である。本発明の方法は、製造効率を低下させ、製造コストを増大させる特別な組立技術、エンドキャップ、又は前記管状構造体の一部に切り込まれる特殊な溝を必要としない。
【0012】
以上、本発明を一般的な用語で説明したが、以下、添付の図面について説明する。なお、図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の全ての実施形態ではないが、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明をさらに充分に説明する。実際、これらの発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに記載される実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用される法的要件を満たすように、提供されている。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指すものとする。
【0014】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による物品又は製品11を保存するための管状構造体10を示している。管状構造体10は、内面及び外面18,20と両端14,16とを有する管状コア12を備えている。このような管状体は、クッキーやポテトチップスのような製品を包装するための容器として、及び(図1に示されているような)布地、紙品などのようなチューブの外面の周りに巻き付けられる製品を支持するための巻付けコアとして用いられている。「管状構造体」という用語は、ここでは、容器と巻付けコアの両方を意味するように用いられ、本発明の有利な特徴が、いずれの形式の管状体にも存在し得ることに留意すべきである。
【0015】
一実施形態では、管状コア12は、管状コアの軸の周りに重ねて巻き付けられ、かつ共に接着され、半径方向に積層された構造体をなす板紙のような柔軟性材料の多数のプライ又は層から形成されている。管状コア12は、プラスチック又は複合材料のような他の材料から形成することもできる。管状コア12の内面18は、内径D1を画成し、外面20は、外径D2を画成する。管状コア12の厚みは、主に、コアの内外に保存される製品及びコアの処理と用途に依存している。従って、コア12の厚みは、約0.1インチから約3.0インチの間にあるとよいが、必要に応じて、この範囲より大きくても又は小さくてもよい。コア12の長さは、コア及びそれと関連する製品の具体的な用途にも影響される。典型的なものとして、製品を包装するための容器が、約1フィートの長さを有し、巻き物品と共に用いられるコアが、5フィートより長いこともある。しかしながら、管状構造体10の特徴と利点は、コア12の具体的な厚みや長さとは無関係に、得ることができる。図1は、以下に述べるような電子検出又は識別装置40を取付けるための弾力性のある柔軟性バンド又はシート30も示している。
【0016】
さらに具体的に、図3は、いくつかある方法の1つによって、コア12に離脱可能に取り付けられる弾力性のある柔軟性バンド又はシート30を示している。特に、バンド30は、両側縁33,35と内面及び外面36,38とを有している。バンド30は、ポリマー、金属、複合材料、及び板紙のような繊維材料を含む種々の材料から形成されるとよい。「バンド」という用語及び「シート」という用語は、同一の構造を指し、相互に置換可能であることに留意すべきである。しかしながら、これらの用語は、具体的な配置構造を最も正確に反映するために用いられる。このことに関連して、図3に示されるバンド30は、両側縁33,35が互いに接近するように、略円筒形状に丸められている。側縁33,35が互いに接触することがあってもよいが、好ましくは、小さな間隙がそれらの間に存在する。バンド30は、具体的な用途によって定められる内径D3と外径D4とを有している。
【0017】
例えば、一実施形態では、バンド30の内径D3は、コア12の外径D2よりも小さくされ、これによって、バンドがコアの周囲で伸張されたとき、すなわち、付勢されたとき、側縁33,35がわずかに拡がり、締まり嵌め又は摩擦嵌めがバンドとコアとの間に生じる。この例では、識別装置40は、バンド30の内面36とコア12の外面20との間に介在され、締まり嵌めによってその位置に保持されている。他の例では、バンド30の外径D4は、コア12の内径D1よりもわずかに大きくされ、これによって、バンドがコア内で圧縮されたとき、すなわち、付勢されたとき、側縁33,35は、互いに引き寄せられ、締まり嵌めがバンドとコアとの間に生じる。この例では、識別装置40は、バンド30の外面38とコア12の内面18との間に介在され、締まり嵌めによってその位置に保持される。いずれの例においても、バンド30(及び、好ましくは、識別装置40)は、コア12の内側又は周囲に沿って、コアの長さに沿った任意の位置に挿入することができ、またコア12から取り外し、他の用途で再使用することもできる。バンド30は、具体的な製品、コア、顧客、又は他のこのような情報をより容易に識別するために、彩色によって符号化されてもよく、又は文字列を含んでもよい。
【0018】
識別装置40は、好ましくは、管状構造体10、この管状構造体の内外に保存される製品11、又はそれらの両方と関連するデータを記憶し、送信することができる高周波用の識別装置(RFID)である。識別装置40に記憶され、送受信され、及び削除され得るこのようなデータ及び他のデータの例として、製品ID、技術データ、品質管理情報、日付コード、位置情報、及び発注状況が挙げられる。また、情報が削除されてもよく、このような削除として、上書き、消去、置換、及び無効が挙げられる。従って、識別装置40は、さらに他の製品又は物品に再使用されることが可能である。この種の特徴によって、在庫管理、在庫調整、工場内の製品位置、及び供給連鎖管理の改良が可能になる。
【0019】
識別装置40は、多くの形状及び構成をとることができるが、一実施形態によれば、この装置は、比較的薄く、かつ平坦で、高周波用の送信機によって生じるような磁場に応答するコイルアンテナ及びキャパシタを含んでいる。このようなRFID装置又はタグは、すでに知られており、モトローラ社及びテキサスインストルメント社のような種々の製造業者から市販されている。識別装置40のコイルアンテナは、典型的なものでは、金属から作製されるが、印刷された炭素基の材料が用いられてもよい。前述したように、識別装置40の位置は、柔軟性バンド又はシート30の位置によって決定されるが、好ましくは、識別装置40は、その識別装置40が容易に取り外され、周囲の電子送信機により近接させることができるように、コア12の両端14,16の1つの近くに配置されている。
【0020】
図4及び図5は、コア12と、バンド30と、識別装置40との間の代替的配置構造を示している。具体的に、図4はバンド30の一実施形態を示している。ここでは、バンドは、両端32,34に互いに対向するフランジ37を備えている。フランジ37は、側面37a及び37bを備えている。これらの側面37a及び37bは、互いに略直交しているように示されているが、これらの側面によって形成される角度は、異なっていてもよく、例えば、より曲線状の移行部がこれらの側面間に備えられていてもよい。しかしながら、側面37bは、バンド30とコア12の内面18との間に締まり嵌めを生じさせるので、充分な摩擦を得るために、バンド30の直径を充分に大きくするのみならず、側面37bの表面積を充分に大きくしなければならない。側面37は、バンド30の外面38を逃げ又は凹部として画成し、識別装置40は、この凹部内に配置され、複数の側面37間に保持される。凹部の深さと識別装置40の厚みによるが、この識別装置は、凹部の周りで自在に移動可能であってもよい。
【0021】
図5は、バンド30の他の実施形態を示している。ここでは、バンドは、フランジ43を備え、このフランジ43は、コア12の一端16と嵌合して、バンド30のコア内へのさらなる挿入を防ぐ表面45を備えている。好ましくは、表面45は、コア12の外面20を越えずに外面20と同一平面をなすように、半径方向に延在するが、要求及び状況によっては、コアの外面を越えて又は超えずに延在してもよい。有利には、フランジ43は、情報が容易に分かるように、色彩及び/又は文字列を含んでいてもよい。加えて、フランジ43は、コア12がすでにそこに挿入されているバンド30を有していることを示すと共に、コア12からのバンド30の容易な取り外しを促進する。すでに概括的に述べたように、識別装置40は、バンド30とコア12の内面18との間に介在され、バンドとコアとの間に締まり嵌めによって保持される。
【0022】
図6〜図10は、本発明の管状構造体10に関連する、バンド30と識別装置40とを設置する種々の方法を示している。加えて、図6〜図10は、コア12、バンド30、及び識別装置40がいかにリサイクルされ、次の用途に再使用され得るかを示している。図6を具体的に参照すると、図6aのステップでは、例えば、識別装置40をバンド30の内面36に配置することによって、識別装置40をバンド30に取付ける、すなわち、設置する。図6bのステップでは、バンド30及び識別装置40を、識別装置がバンドとコアとの間に介在されるように、コア12の外面20の周囲に配置する。図6cのステップでは、材料又は製品11をコア12の周囲にバンド30を覆うように巻き付ける。図6dのステップでは、製品11が使用され、又はそれ以外の理由で製品の大半が取り去られる。もしも製品の一部が残っている場合に、図6eのステップでは、バンド30が露出されるように、余分又は残った製品11を取除く。図6fのステップでは、バンド30及び識別装置40をコア12から引き出すか又はそれ以外の方法によって取除く。この後、コアは再パルプ化又はリサイクルされてもよく、バンド30及び識別装置40は次の用途に再使用されてもよい。図6のこれらのステップの最中に、当該技術分野において知られているように、情報が識別装置40に記憶、転送され、及び識別装置40から削除されることが可能である。バンド30は、有利には、処理ステップ及び輸送中に、識別装置30を損傷及び誤用から保護している。このことは、残った材料又は製品が取除かれるとき、特に有利である。何故なら、通常、この除去は、バンド30が存在しない場合に、識別装置40を損傷させることがあるナイフを用いて、材料をコア12から切除することにより行われるからである。
【0023】
図7は、本発明による他の方法を示している。図7aのステップでは、識別装置40をバンド30の外面38に取付ける、ないし、配置する。図7bのステップでは、バンド30と識別装置40とを、識別装置がバンド30の外面38とコア12の内面18との間に介在されるように、コア12の内側に配置する。図7cのステップでは、材料又は製品11をコア12の周囲に巻き付ける。図7dのステップにおいて、前述したように、製品11が使用され、コア12上にある製品が消費される。図7eのステップでは、余分又は残った製品11を取除き、図7fのステップでは、再使用及び/又はリサイクルを容易にするために、バンド30及び識別装置40をコア12から引出すか又はそれ以外の方法によって取除く。
【0024】
図8は、本発明による他の実施形態を示している。図8a〜8fのステップは、図7のステップにおいて前述したようになされるが、この実施形態では、バンド30は対向するフランジ37を備え、識別装置40は外面38とバンドのフランジ37とによって画成される凹部内に配置されている。同様に、図9は本発明の他の実施形態を示している。図9a〜9fのステップは、図7のステップにおいて前述したように行われるが、この実施形態では、バンド30は前述したようにコア12の端16と重なり合うフランジ43を備え、識別装置40はバンド30とコア12の内面18との間に介在されている。
【0025】
図10は、本発明のさらに他の実施形態を示している。図10a〜10fのステップのほとんどは、図6〜9のステップと同様であるが、この実施形態における識別装置40は、両端32,34と両側縁33,35とを有する弾力性のある柔軟性シート30に取り付けられている。シート30の側縁33,35間の距離は、コア12の内径D1よりも大きく、シート30をコアの内側に配置させるために、そのシートは、例えば、弓状の屈曲、圧縮、又は圧搾などによって付勢され、これによって、両側縁33,35は、コア12の内面18に付勢され、締まり嵌めによってそこに離脱可能に取付けられている。真直ぐに伸びて付勢されていない形状に戻るというシート30の自然の性質によって、コア12との締まり嵌めが保持されている。識別装置40は、接着剤などによってシート30の片側36に取り付けられ、図10fのステップに示されるように、処理サイクルの終端で、シートから取り外されるようにすることができる。
【0026】
従って、本発明は、製品及び/又はそれに関連する構造についての情報を記録するための有利なシステムを提供する。柔軟性シート又はバンド30は、識別装置40への保護をもたらすと共に、バンド30の設計に色彩及び/又は文字列を含ませることによって、それ自身の情報を伝えることもできる。本発明は、バンド及び識別装置が回収され、次の用途に再使用されることを可能とすることによって、浪費の量を制限する。その一方、コア12は、他と関係なく、再パルプ化又は再使用され得る。コア12の寿命は、識別装置40及びバンド30の寿命よりも著しく短いので、本発明は、新しいコアの製造コストを低減する。同時に、本発明は、もしも識別装置が損傷しても、損傷していないコアの廃棄が必要とされることの代わりに、新しい識別装置がコア又は製品に取り付けられることを可能にする。
【0027】
前述の説明と関連する図面に現われる示唆の利得を受けるこれらの本発明が属する技術分野における熟練者にとって、ここに述べた本発明に対する多くの修正及び他の実施形態が、思い浮かぶであろう。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に制限されるものではなく、修正及び他の実施形態は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。ここでは特定の用語を用いているが、それらの用語は、包括的かつ叙述的な意味でのみ用いられ、制限する目的で用いられていない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態による管状構造体の側斜視図である。
【図2】図1に示される管状構造体の管状コアの側斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による柔軟性バンドの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による柔軟性バンドの代替的配置構造の断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による柔軟性バンドの他の代替的配置構造の断面図である。
【図6】本発明による管状構造体を用いるプロセス図である。
【図7】本発明による管状構造体を用いるプロセス図である。
【図8】本発明による管状構造体を用いるプロセス図である。
【図9】本発明による管状構造体を用いるプロセス図である。
【図10】本発明による管状構造体を用いるプロセス図である。
【符号の説明】
【0029】
10 管状構造体
11 製品
12 管状コア
14,16 端
18 内面
20 外面
30 柔軟性バンド(シート)
40 識別装置
32,34 端
33,35 側縁
36 内面
37 フランジ
37a,37b 側面
38 外面
43 フランジ
45 表面
D1 内径
D2 外径
D3 内径
D4 外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を保存するための管状構造体において、
内面及び外面と両端とを有する管状コアであって、前記外面が前記管状コアの外径を画成している管状コアと、
両側縁を有する弾力性のある柔軟性バンドであって、前記柔軟性バンドは、前記両側縁が互いに接近するように円筒形状に丸められ、弛緩した状態では前記管状コアの前記外径よりも小さい内径であり、前記管状コアの前記外面の周囲で付勢されて、それらの間の摩擦嵌めによりそこに取付けられる構成となっている、前記柔軟性バンドと、
前記柔軟性バンドと前記管状コアとの間に介在される高周波用の識別装置と
を備えていることを特徴とする管状構造体。
【請求項2】
前記管状コアは、前記管状コアの軸の周りに重ねて巻き付けられ、共に接着されている板紙材料の多数の層から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項3】
前記識別装置は、前記管状構造体及び前記製品の少なくとも1つに関連するデータを記憶し、送信することを可能にしていることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項4】
前記識別装置は、コイルアンテナ及びキャパシタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項5】
前記識別装置は、印刷された炭素基のアンテナを備えていることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項6】
前記柔軟性バンドは、文字列及び色彩で構成される群から選択される固有の識別子を有していることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項7】
前記柔軟性バンドは、ポリマー、金属、複合材料、及び板紙で構成される群の少なくとも1つの材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管状構造体。
【請求項8】
製品を保存するための管状構造体において、
内面及び外面と両端とを有する管状コアであって、前記内面が前記コアの内径を画成している管状コアと、
両端及び両側縁を有する弾力性のある柔軟性バンドであって、前記柔軟性バンドは、前記両側縁が互いに接近するように円筒形状に丸められ、弛緩した状態では前記管状コアの前記内径よりも大きい外径であり、前記管状コアの前記内面に弾力性のある状態で配置され、それらの間の締まり嵌めによりそこに取付けられる構成となっている、前記柔軟性バンドと、
前記管状コア及び前記製品の少なくとも1つに関連するデータを記憶し、送信することが可能な高周波用の識別装置であって、前記柔軟性バンドと前記管状コアとの間に介在される高周波用の識別装置と
を備えていることを特徴とする管状構造体。
【請求項9】
前記管状コアは、前記管状コアの軸の周りに重ねて巻き付けられ、共に接着されている板紙材料の多数の層から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項10】
前記識別装置は、コイルアンテナ及びキャパシタを備えていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項11】
前記識別装置は、印刷された炭素基のアンテナを備えていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項12】
前記柔軟性バンドは、文字列及び色彩で構成される群から選択される固有の識別子を有していることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項13】
前記柔軟性バンドは、ポリマー、金属、複合材料、及び板紙で構成される群の少なくとも1つの材料から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項14】
前記柔軟性バンドは、前記両端の間に空洞を画成し、前記識別装置は、前記空洞内に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項15】
前記柔軟性バンドは、前記両端の一方にフランジを備え、前記フランジは、前記管状コアの前記両端の一方と重なり合う構成となってていることを特徴とする請求項8に記載の管状構造体。
【請求項16】
製品を保存するための管状構造体において、
内面及び外面と両端とを有する管状コアであって、前記内面が前記管状コアの内径を画成している管状コアと、
前記内面と接触して前記管状コア内に配置される両端及び両側縁を有する弾力性のある柔軟性シートであって、前記柔軟性シートは、前記管状コアの前記内面に付勢されて、それらの間の締まり嵌めによりそこに離脱可能に取付けられ、前記管状コアの前記内径よりも大きい前記両側縁の間の距離を画成し、前記管状コア及び前記製品の少なくとも1つに関連するデータを記憶し、送信することが可能であるそこに取り付けられた高周波用の識別装置を有している、前記柔軟性シートと
を備えることを特徴とする管状構造体。
【請求項17】
前記管状コアは、前記管状コアの軸の周りに重ねて巻き付けられ、共に接着されている板紙材料の多数の層から形成されていることを特徴とする請求項16に記載の環状構造体。
【請求項18】
前記識別装置は、コイルアンテナ及びキャパシタを備えていることを特徴とする請求項16に記載の管状構造体。
【請求項19】
前記識別装置は、印刷された炭素基のアンテナを備えていることを特徴とする請求項16に記載の管状構造体。
【請求項20】
前記柔軟性バンドは、ポリマー、金属、複合材料、及び板紙で構成される群の少なくとも1つの材料から形成されていることを特徴とする請求項16に記載の管状構造体。
【請求項21】
製品を保存するための管状構造体を製造する方法において、
内面及び外面と両端とを有する管状コアを設ける段階と、
両側縁を有する弾力性のある柔軟性バンド及びそれと接触している高周波用の識別装置を、前記柔軟性バンドと前記管状コアとがそれらの間で締まり嵌めされ、前記柔軟性バンドを付勢することによって前記管状コアに離脱可能に取付ける段階と
を有することを特徴とする方法。
【請求項22】
前記取付段階は、前記識別装置が前記弾力性のある柔軟性バンドと前記管状コアの前記外面との間に介在させて、前記柔軟性バンドを前記管状コアの前記外面の周囲に付勢する段階を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記取付段階は、前記識別装置が前記弾力性のある柔軟性バンドと前記管状コアの前記内面との間に介在させて、前記柔軟性バンドを前記管状コアの前記内面に付勢する段階を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記取付段階は、前記両側縁が前記管状コアの前記内面と接触するように、前記弾力性のある柔軟性バンドを前記管状コアの前記内面に付勢する段階であって、前記柔軟性バンドは、そこに取り付けられた前記識別装置を備える段階を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
製品を前記管状コアの周囲に巻付け、前記製品についての情報を前記識別装置に記憶する段階をさらに有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記管状コアに巻き付けられた製品を使用し、前記柔軟性バンドと前記識別装置とを前記管状コアから取り外す段階をさらに有することを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−531952(P2007−531952A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507420(P2007−507420)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/011448
【国際公開番号】WO2006/057657
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(599057065)ソノコ・デヴェロップメント,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】