説明

多層粘着性物品及び粘着シート

【課題】層間接着力がより高い多層粘着性物品を提供する。
【解決手段】本発明に係る多層粘着性物品は、単量体組成物(a)を重合して得られたアクリル系重合体(a)を主成分として含有する粘着剤組成物(a)から形成された粘着剤層(A)と、単量体組成物(b)を重合して得られたアクリル系重合体(b)を主成分として含有する粘着剤組成物(b)から形成された粘着剤層(B)と、前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に配置された中間層(C)とを備え、前記アクリル系重合体(a)及びアクリル系重合体(b)は、酸性基を含有し、前記中間層(C)は、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)を含む中間層組成物(c)から形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層粘着性物品、並びに当該多層粘着性物品をシート状に形成した粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、両面接着テープのような感圧性接着テープに対しては、被着体に対する高い濡れ性、接着性、並びに高い凝集力等の相反する特性をあわせ持つことが要求されてきた。更に、異なる表面特性を持つ2種類の被着体に接着させる場合、同一の組成からなる感圧性接着剤では、両被着体の何れに対しても良好な接着特性を発揮させることは難しく、両者の中間的な特性上のバランスをとる形で処理されていることが多い。
【0003】
このような点を改良するため、組成の異なる2種以上の感圧性接着剤を用いて多層構造とすることにより、異なる被着体や支持体に対する接着性、投錨性を向上させたり、被着体との強い結合が要求される表面層と、高い凝集力が要求される内部層との組成及び物性を変え、特性のコントロールを行ったりする試みが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、異なるせん断クリープコンプライアンスを持つ2種以上の組成物からなる多層構造の接着剤層を有する感圧性接着テープが開示されており、このテープは、被着体が不規則表面であって、かつ使用時にさまざまな外部応力が加わるおむつ用テープや布表示ラベルの用途に特に有用であるとされている。
【0005】
しかしながら、接着剤層を前記のように多層構造とした感圧性接着テープは、各層間の結合力が弱く、せん断力等の外部応力に対して層間が剥離しやすいという欠点がある。
【0006】
このような課題を解決するため、複数の重ね合された層からなり、少なくとも1つの外層は感圧性接着層であり、隣接する層はその隣接層間で界面を形成しており、それら層の各々は光重合した高分子鎖マトリックスからなり、それら高分子鎖はそれら層の1つのマトリックスからこの界面を通して隣接層のマトリックスの中に延在しており、それら高分子鎖は重合前に各隣接層のマトリックスから移行してきた重合したモノマーからなり、それら層は離層を起こすことができないようになっている感圧性接着テープが提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと光重合開始剤とを含む組成物を光重合させて得た少なくとも2種の接着剤層を、隣接層間でその組成が異なるように積層したのち、隣接層の一方の層を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーの分子内に導入された反応性官能基と、他方の層を構成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーの分子内に導入された活性水素含有の官能基との反応により、隣接層同士を化学的に結合させるようにした感圧性接着テープの製法が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭54−139946号公報
【特許文献2】特公平2−6790号公報
【特許文献3】特開平5−105851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1〜3に記載の粘着テープよりも層間接着力がより高い粘着テープが求められている。
【0010】
本発明の目的は、層間接着力がより高い多層粘着性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、酸性基を含有するアクリル系重合体をそれぞれ含有した、2層の粘着剤層の間に、1〜3級アミノ基を含有する重合体を含む中間層を形成させて多層粘着性物品を作製することにより、より高い層間接着性が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明に係る多層粘着性物品は、単量体組成物(a)を重合して得られたアクリル系重合体(a)を主成分として含有する粘着剤組成物(a)から形成された粘着剤層(A)と、単量体組成物(b)を重合して得られたアクリル系重合体(b)を主成分として含有する粘着剤組成物(b)から形成された粘着剤層(B)と、前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に配置された中間層(C)とを備え、前記アクリル系重合体(a)及びアクリル系重合体(b)は、酸性基を含有し、前記中間層(C)は、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)を含む中間層組成物(c)から形成されることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る多層粘着性物品では、前記重合体(c)は、単量体組成物(c)を重合して得られ、前記単量体組成物(c)は、前記単量体組成物(a)の主成分単量体と、前記単量体組成物(b)の主成分単量体とを含むことが好ましい。
【0014】
本発明に係る多層粘着性物品では、前記単量体組成物(c)は、前記単量体組成物(a)に含まれる全ての単量体と、前記単量体組成物(b)に含まれる全ての単量体とを含むことが好ましい。
【0015】
本発明に係る多層粘着性物品では、前記酸性基がカルボキシル基であることが好ましい。
【0016】
本発明に係る多層粘着性物品では、前記中間層(C)は、単量体組成物(c−a)を重合させた重合体(c−a)、及び単量体組成物(c−b)を重合させた重合体(c−b)からなる群から選択される1種以上を更に含有し、前記単量体組成物(c−a)は、1〜3級アミノ基を含有する単量体と、前記単量体組成物(a)の主成分単量体とを含み、前記単量体組成物(c−b)は、1〜3級アミノ基を含有する単量体と、前記単量体組成物(b)の主成分単量体とを含むことが好ましい。
【0017】
本発明に係る粘着シートは、上述した本発明に係る多層粘着性物品を粘着剤層として備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る多層粘着性物品は、上述した構成を有するため、層間接着力がより高い多層粘着性物品を提供することができる。特に、剥離時等において層間で剥離することを抑制し得る多層粘着性物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0020】
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味し、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」等における「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
【0021】
また、本明細書における「主成分」とは、その組成において重量基準で最も含有割合が高い成分を意味する。
【0022】
(I)多層粘着性物品
本発明に係る多層粘着性物品は、単量体組成物(a)を重合して得られたアクリル系重合体(a)を主成分として含有する粘着剤組成物(a)から形成された粘着剤層(A)と、単量体組成物(b)を重合して得られたアクリル系重合体(b)を主成分として含有する粘着剤組成物(b)から形成された粘着剤層(B)と、前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に配置された中間層(C)とを備え、前記アクリル系重合体(a)及びアクリル系重合体(b)は、酸性基を含有し、前記中間層(C)は、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)を含む中間層組成物(c)から形成されたものである。尚、前記「1〜3級アミノ基」とは、「1級アミノ基、2級アミノ基又は3級アミノ基」を意味する。
【0023】
前記構成によれば、中間層(C)における、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)が、粘着剤層(A)及び粘着剤層(B)における、アクリル系重合体(a)及びアクリル系重合体(b)における酸性基と相互作用するため、層間接着力が高くなると考えられる。また、前記構成では、光重合以外の重合方法でも作製することができるため、製造上における制限が少ない。
【0024】
尚、一般的に、UV重合等の光重合によるアクリル系重合体の製造方法では、溶剤系やエマルジョン系と比較して生産速度が遅く、また、空気から遮断させないと重合しないので、光照射前に空気から遮断させることが必要となり、これらの点でコストがかかる等の制限がある。
【0025】
(I)粘着剤層(A)
粘着剤層(A)は、アクリル系重合体(a)を主成分として含有する粘着剤組成物(a)から形成することができる。
【0026】
〔アクリル系重合体(a)〕
前記アクリル系重合体(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物(a)を重合して得ることができる。
【0027】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、下記一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0028】
【化1】

【0029】
(一般式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。)
一般式(1)におけるR2として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルへキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、2〜18であることがより好ましく、4〜12であることが更に好ましい。
【0032】
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、単量体組成物(a)の合計量100重量部に対して、例えば、60〜99.5重量部、好ましくは70〜99重量部とすることができる。
【0033】
また、前記単量体組成物(a)は酸性基含有単量体を含有する。酸性基含有単量体としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体、スルホン酸基含有不飽和単量体、リン酸基含有不飽和単量体等が挙げられる。
【0034】
カルボキシル基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和カルボン酸;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和ジカルボン酸モノエステル;2−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2−メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸等の不飽和トリカルボン酸モノエステル;カルボキシエチルアクリレート(β−カルボキシエチルアクリレート等)、カルボキシペンチルアクリレート等のカルボキシアルキルアクリレート;アクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー;無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等、が挙げられる。
【0035】
スルホン酸基含有不飽和単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0036】
リン酸基含有不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェイト等が挙げられる。
【0037】
前記酸性基含有不飽和単量体の配合割合は、単量体組成物(a)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、より好ましくは0.1〜20重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは、1〜10重量部である。
【0038】
また、単量体組成物(a)に含有し得る、他の官能基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有不飽和単量体;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド基含有単量体;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド基含有単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−(1−メチルビニル)ピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン等のビニル基含有複素環化合物;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の官能性単量体、その他N−ビニルカルボン酸アミド等が挙げられる。
【0039】
前記他の官能基含有不飽和単量体の配合割合は、単量体組成物(a)の合計量100重量部に対して、例えば、0.5〜12重量部、好ましくは、1〜10重量部である。
【0040】
また、他の不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル基含有単量体;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸脂環式炭化水素エステル単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有不飽和単量体;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;塩化ビニル等のハロゲン原子含有不飽和単量体;その他、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルや、フッ素(メタ)アクリレート等の複素環や、ハロゲン原子を含有するアクリル酸エステル系単量体等が挙げられる。
【0041】
また、前記単量体組成物(a)には、多官能性単量体を更に含有させてもよい。多官能性単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノ又はポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノ又はポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(モノ又はポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジビニルベンゼン等が挙げられる。また、多官能性単量体として、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等も挙げられる。
【0042】
また、前記単量体組成物(a)には、アルコキシシリル基含有ビニル単量体を更に含有させてもよい。アルコキシシリル基含有ビニル単量体には、シリコーン系(メタ)アクリレート単量体や、シリコーン系ビニル単量体等が挙げられる。
【0043】
シリコーン系(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−トリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−トリブトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−トリアルコキシシラン、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシメチル−メチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−メチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−エチルジブトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−プロピルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル−アルキルジアルコキシシランや、これらに対応する(メタ)アクリロイルオキシアルキル−ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等が挙げられる。
【0044】
また、シリコーン系ビニル単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニルトリアルコキシシランの他、これらに対応するビニルアルキルジアルコキシシランや、ビニルジアルキルアルコキシシラン、例えば、ビニルメチルトリメトキシシラン、ビニルメチルトリエトキシシラン、β−ビニルエチルトリメトキシシラン、β−ビニルエチルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ビニルプロピルトリブトキシシラン等のビニルアルキルトリアルコキシシランの他、これらに対応する(ビニルアルキル)アルキルジアルコキシシランや、(ビニルアルキル)ジアルキル(モノ)アルコキシシラン等が挙げられる。
【0045】
アルコキシシリル基含有ビニル単量体を用いることにより、重合体鎖にアルコキシシリル基が導入され、シリル基間の反応により架橋構造を形成することができる。これらアルコキシシリル基含有ビニル単量体は、適宜、単独又は併用して用いられる。
【0046】
これらアルコキシシリル基含有ビニル単量体の配合割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル100重量部に対して、例えば、0重量部より高く40重量部以下の範囲内、好ましくは0重量部より高く30重量部以下の範囲内である。
【0047】
前記アクリル系重合体(a)は、前記単量体組成物(a)を公知又は慣用の重合方法により重合することによって調製することができる。前記アクリル系重合体(a)の重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)等が挙げられる。中でも、透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましく、より好ましくは溶液重合方法である。
【0048】
前記アクリル系重合体(a)の重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。前記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
前記アクリル系重合体(a)の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤を用いることができる。尚、重合開始剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
前記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーマレエート等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。中でも、特開2002−69411号公報に開示されたアゾ系開始剤が特に好ましい。かかるアゾ系開始剤は、開始剤の分解物が加熱発生ガス(アウトガス)の発生原因となる部分としてアクリル系重合体(a)中に残留しにくいため好ましい。前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸等が挙げられる。前記アゾ系開始剤の使用量は、アクリル系重合体(a)を構成する単量体組成物(a)の合計100重量部に対して、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。
【0051】
上述したようにして得られるアクリル系重合体(a)は、粘着剤層(A)中、主成分として含まれており、50重量%以上含有していることが好ましく、60重量%以上含有していることがより好ましく、70重量%以上含有していることが更に好ましく、80重量%以上含有していることが特に好ましい。
【0052】
前記アクリル系重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、10万〜300万であり、好ましくは25万〜150万、より好ましくは50万〜110万である。アクリル系重合体(a)の重量平均分子量を10万以上とすることにより、凝集力や耐熱性が向上する。一方、アクリル系重合体(a)の重量平均分子量を300万以下とすることにより、溶液とした際の粘度を低くすることができる。
【0053】
尚、前記アクリル系重合体(a)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。より具体的には、例えば、GPC測定装置として、商品名「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)を用いて、下記の条件
・サンプル濃度:約2.0g/L(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:20μL
・カラム:商品名「TSKgel,SuperAWM−H+superAW4000+superAW2500」(東ソー(株)製)
・カラムサイズ:各6.0mmI.D.×150mm
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.4mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出することができる。
【0054】
〔その他の成分〕
前記粘着剤組成物(a)には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール等)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。
【0055】
また、粘着剤層(A)を形成する際には、各種の一般的な溶剤を使用することもできる。このような溶剤の種類としては、特に限定されず、上述の溶液重合に際して使用される溶剤として例示したもの等を使用することができる。
【0056】
前記架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。尚、架橋剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
前記架橋剤の含有量は、特には限定されないが、アクリル系重合体(a)100重量部に対して、0.01〜50重量部であることが好ましく、0.1〜25重量部であることがより好ましく、1〜15重量部であることが更に好ましい。
【0058】
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]、トリメチロールプロパン/キシリレンジイソシアネート付加物[三井化学(株)製、商品名「タケネートD−110N」]等の市販品を用いることもできる。
【0059】
前記多官能エポキシ化合物としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」等の市販品を用いることもできる。
【0060】
オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、特開2009−001673号公報に例示されている架橋剤が挙げられ、具体的には、アクリル骨格またはスチレン骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有している化合物が挙げられ、好ましくは、アクリル骨格からなる主鎖を含み、その主鎖の側鎖にオキサゾリン基を有しているオキサゾリン基含有アクリル系ポリマーが挙げられる。
【0061】
アジリジン系架橋剤としては、例えば、トリメチロ―ルプロパントリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネ―ト〕、トリメチロ―ルプロパントリス〔3−(1−(2−メチル)アジリジニルプロピオネ―ト)〕が挙げられる。
【0062】
金属キレート系架橋剤としては、例えば、特開2007−063536号公報に例示されている架橋剤が挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウムキレート系化合物、チタンキレート系化合物、亜鉛キレート系化合物、ジルコニウムキレート系化合物、鉄キレート系化合物、コバルトキレート系化合物、ニッケルキレート系化合物、スズキレート系化合物、マンガンキレート系化合物、クロムキレート系化合物が挙げられる。
【0063】
(II)粘着剤層(B)
粘着剤層(B)は、アクリル系重合体(b)を主成分として含有し、アクリル系重合体(b)を主成分として含有する粘着剤組成物(b)から形成することができる。また、アクリル系重合体(b)は、単量体組成物(b)を重合して得られ、粘着剤組成物(a)と同様に、粘着剤組成物(b)は、酸性基含有単量体を含有する。
【0064】
粘着剤層(B)は、粘着剤層(A)と同一の組成であっても、異なる組成であってもよいが、2種の異なる被着体に対して良好な接着特性を発揮させる観点からは、異なる組成であることが好ましく、より具体的には、各被着体に対して高い接着力をそれぞれ示す異なる接着剤層を用いることが好ましい。
【0065】
尚、粘着剤層(B)は、粘着剤層(A)と同様に、粘着剤層(A)について上述した範囲内で構成させることができ、同様の方法で作製することができる。また当然のことながら、単量体組成物(b)、アクリル系重合体(b)、粘着剤組成物(b)についても、単量体組成物(a)、アクリル系重合体(a)及び粘着剤組成物(a)について上述した範囲内で構成させることができ、同様の方法で作製することができる。
【0066】
(III)中間層(C)
中間層(C)は、前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に配置され、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)を含む中間層組成物(c)から形成されたものである。重合体(c)は、例えば、1〜3級アミノ基含有単量体を含有する単量体組成物(c)を重合して得られる。
【0067】
単量体組成物(c)における1〜3級アミノ基含有単量体の含有量は、粘着剤層(A)及び(B)の組成によって適宜変更すればよいが、例えば、0.001〜100重量%とすることができ、0.01〜75重量%であることが好ましく、0.1〜50重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることが更に好ましく、5〜20重量%であることが特に好ましい。単量体組成物(c)における1〜3級アミノ基含有単量体の含有量を前記範囲内とすることによって、粘着剤層(A)及び(B)と中間層(C)との層間接着力が、より向上する。
【0068】
1〜3級アミノ基含有単量体としては、特には限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド類、アリルアミン類等が挙げられる。
【0069】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0070】
前記N−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド;N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジn−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ジオクチルアクリルアミド等のN−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、が挙げられる。
【0071】
また、前記N−アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。
【0072】
更には、前記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。前記N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0073】
前記アリルアミン類としては、例えば、アリルアミン、アリルアルキルアミン、アリルアルコキシアミン、ジアリルアミン等が挙げられる。
【0074】
また、それ以外に、N,N′−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、アリルジアルキルアミン、アリルジアルコキシアミン等が挙げられる。
【0075】
尚、これら1〜3級アミノ基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
また、粘着剤層(A)及び/又は粘着剤層(B)が、上述した多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物等の、活性水素と反応し得る官能基を分子内に2以上有する化合物を含有する場合には、活性水素含有単量体を単量体組成物(c)に更に含有させることが好ましい。つまり、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)は、活性水素を含有していることが好ましい。これにより、粘着剤層(A)及び(B)と中間層(C)との層間接着力がより高くなると考えられる。
【0077】
活性水素含有単量体としては、例えば、カルボキシル基、水酸基及びアミノ基からなる群から選択される1種以上の官能基を含有する単量体が挙げられ、水酸基及びアミノ基からなる群から選択される1種以上の官能基を含有する単量体が好ましい。
【0078】
カルボキシル基を含有する前記単量体としては、前述した各種カルボキシル基含有不飽和単量体が挙げられる。
【0079】
水酸基を含有する前記単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
これらの中でも、前記水酸基含有単量体としては、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルである。
【0081】
アミノ基を含有する前記単量体としては、(メタ)アクリルアミド類、アリルアミン類等が挙げられる。
【0082】
前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0083】
前記N−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド等が挙げられる。さらに、前記N−アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。
【0084】
また、前記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。前記N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0085】
前記アリルアミン類としては、例えば、アリルアミン、アリルアルキルアミン、アリルアルコキシアミン、ジアリルアミン等が挙げられる。
【0086】
尚、これらアミノ基を含有する前記単量体も、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
単量体組成物(c)における、活性水素含有単量体の含有割合は、特には限定されないが、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、5〜15重量%であることが特に好ましい。
【0088】
活性水素含有単量体及び1〜3級アミノ基含有単量体以外の単量体組成物(c)に含まれ得る単量体としては、アクリル系重合体(a)及び(b)の重合に用いられ得る上述した各種単量体が挙げられ、単量体組成物(c)には、単量体組成物(a)の主成分単量体と単量体組成物(b)の主成分単量体とを更に含むことが好ましい。このような構成により、粘着剤層(A)及び粘着剤層(B)に対する、中間層(C)の親和性が高くなるため、層間接着力がより高くなると考えられる。
【0089】
単量体組成物(c)における、単量体組成物(a)の主成分単量体の含有割合は、特には限定されないが、5〜90重量%であることが好ましく、15〜80重量%であることがより好ましく、25〜70重量%であることが特に好ましい。
【0090】
同様に、単量体組成物(c)における、単量体組成物(b)の主成分単量体の含有割合は、特には限定されないが、5〜90重量%であることが好ましく、15〜80重量%であることがより好ましく、25〜70重量%であることが特に好ましい。
【0091】
また、単量体組成物(c)には、単量体組成物(a)の主成分単量体及び単量体組成物(b)の主成分単量体以外に、単量体組成物(a)に含まれる主成分単量体以外の単量体や、単量体組成物(b)に含まれる主成分単量体以外の単量体を含有させてもよく、単量体組成物(a)に含まれる単量体及び単量体組成物(b)に含まれる単量体を全て含有させることが好ましい。
【0092】
単量体組成物(c)を前記のような構成にすることによって、粘着剤層(A)及び粘着剤層(B)に対する、中間層(C)の親和性が高くなり、層間接着力がより高くなると考えられる。
【0093】
中間層(C)における重合体(c)の含有量は、特には限定されないが、5〜100重量%であることが好ましく、15〜80重量%であることがより好ましく、25〜60重量%であることが特に好ましい。このような範囲内とすることによって、層間接着力がより高くなると考えられる。
【0094】
また、前記中間層(C)は、単量体組成物(c−a)を重合させた重合体(c−a)及び/又は単量体組成物(c−b)を重合させた重合体(c−b)を更に含有することが好ましい。
【0095】
単量体組成物(c−a)及び(c−b)における前記1〜3級アミノ基含有単量体の含有量は、それぞれ独立して、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、5〜15重量%の範囲内が更に好ましい。
【0096】
また、粘着剤層(A)及び/又は粘着剤層(B)が、活性水素と反応し得る官能基を分子内に2以上有する化合物を含有する場合には、上述した活性水素含有単量体を単量体組成物(c−a)及び/又は単量体組成物(c−b)に更に含有させることが好ましい。これにより、粘着剤層(A)及び粘着剤層(B)と中間層(C)との相関接着力がより高くなると考えられる。
【0097】
この場合、単量体組成物(c−a)及び(c−b)における、活性水素含有単量体の含有割合は、それぞれ独立して、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、5〜15重量%であることが特に好ましい。
【0098】
活性水素含有単量体及び1〜3級アミノ基含有単量体以外の、単量体組成物(c−a)に含まれ得る単量体としては、アクリル系重合体(a)の重合に用いられ得る上述した各種単量体が挙げられ、単量体組成物(a)の主成分単量体を更に含むことが好ましい。
【0099】
また、単量体組成物(c−a)における、単量体組成物(a)の主成分単量体の含有割合は、特には限定されないが、5〜95重量%であることが好ましく、15〜90重量%であることがより好ましく、25〜85重量%であることが特に好ましい。
【0100】
更には、単量体組成物(c−a)には、単量体組成物(a)の主成分単量体以外に、単量体組成物(a)に含まれる、主成分単量体以外の単量体を含有させてもよく、単量体組成物(a)に含まれる単量体を全て含有させることが好ましい。
【0101】
同様に、活性水素含有単量体及び1〜3級アミノ基含有単量体以外の、単量体組成物(c−b)に含まれ得る単量体としては、アクリル系重合体(b)の重合に用いられ得る上述した各種単量体が挙げられ、単量体組成物(b)の主成分単量体を更に含むことが好ましい。
【0102】
また、単量体組成物(c−b)における、単量体組成物(b)の主成分単量体の含有割合は、特には限定されないが、5〜95重量%であることが好ましく、15〜90重量%であることがより好ましく、25〜85重量%であることが特に好ましい。
【0103】
更には、単量体組成物(c−b)には、単量体組成物(b)の主成分単量体以外に、単量体組成物(b)に含まれる主成分単量体以外の単量体を含有させてもよく、単量体組成物(b)に含まれる単量体を全て含有させることが好ましい。
【0104】
中間層(C)における前記アクリル系重合体(c−a)及び前記アクリル系重合体(c−b)の各含有量は、特には限定されないが、それぞれ独立して、1〜50重量%であることが好ましく、5〜45重量%であることがより好ましく、10〜40重量%であることが特に好ましい。
【0105】
尚、前記重合体(c)、重合体(c−a)、及び重合体(c−b)は、上述したように、前記アクリル系重合体(a)と同様に、前記単量体組成物(c)、(c−a)、(c−b)を公知又は慣用の重合方法により重合することによってそれぞれ調製することができる。
【0106】
また、前記重合体(c)、重合体(c−a)、及び重合体(c−b)は、その重量平均分子量(Mw)が、それぞれ独立して、例えば、10万〜300万であり、好ましくは25万〜150万、より好ましくは50万〜110万である。これら重合体の重量平均分子量を10万以上とすることにより、凝集力や耐熱性が向上する。一方、これら重合体の重量平均分子量を300万以下とすることにより、溶液とした際の粘度を低くすることができる。
【0107】
尚、これら重合体の重量平均分子量は、アクリル系重合体(a)と同様に、上述したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
【0108】
尚、前記中間層組成物(c)には、必要に応じて、架橋剤、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール等)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。
【0109】
また、中間層(C)を形成する際には、各種の一般的な溶剤を使用することもできる。このような溶剤の種類としては、特に限定されず、上述の溶液重合に際して使用される溶剤として例示したもの等を使用することができる。
【0110】
(IV)多層粘着性物品
本発明に係る多層粘着性物品は、従来公知の方法により、上述した各層を積層させることによって作製することができる。
【0111】
本発明に係る多層粘着性物品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(i)前記粘着剤組成物(a)を基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥及び/又は硬化させ、粘着剤層(A)を形成する、(ii)前記中間層組成物(c)を、形成した粘着剤層(A)上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥及び/又は硬化させ、中間層(C)を形成する、(iii)前記粘着剤組成物(b)を、形成した中間層(C)上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥及び/又は硬化させ、粘着剤層(B)を形成する、ことによって、基材又は剥離ライナー/粘着剤層(A)/中間層(C)/粘着剤層(B)の構成を有する多層粘着性物品を作製することができる。
【0112】
また、別の方法としては、(i)前記粘着剤組成物(a)を基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥及び/又は硬化させ、粘着剤層(A)を形成する、(ii)前記粘着剤組成物(b)を別の基材又は剥離ライナー上に塗布(塗工)し、必要に応じて、乾燥及び/又は硬化させ、粘着剤層(B)を形成する、(iii)前記中間層組成物(c)を、形成した粘着剤層(A)及び(B)上にそれぞれ塗布(塗工)する、(iv)当該塗布面同士を貼り合わせることで中間層(C)を形成させることによって、基材又は剥離ライナー/粘着剤層(A)/中間層(C)/粘着剤層(B)/基材又は剥離ライナーの構成を有する多層粘着性物品を作製することができる。
【0113】
前記製造方法では、前記のように多層粘着性物品を形成した後、エージング処理を行うことが好ましい。エージング処理の条件としては、例えば、40〜80℃の温度範囲で1〜5日程度の条件が挙げられる。
【0114】
尚、本発明に係る多層粘着性物品では、前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に中間層(C)が配置されていれば、他の層を更に含有していてもよい。例えば、基材又は剥離ライナーと粘着剤層(B)との間に、プライマー等の別の層を更に備えていてもよく、また、粘着剤層(A)の上(中間層(C)と接している面と反対側の面)に、剥離ライナー等の別の層を更に備えていてもよい。
【0115】
また、粘着剤層の構成は、粘着剤層(A)/中間層(C)/粘着剤層(B)には限定されず、例えば、粘着剤層(B)/中間層(C)/粘着剤層(A)/中間層(C)/粘着剤層(B)の構成であってもよいし、粘着剤層(B)/中間層(C)/粘着剤層(A)/基材/粘着剤層(A)/中間層(C)/粘着剤層(B)の構成であってもよい。このような構成とすることによって、被着体との強い結合が要求される表面層と、高い凝集力が要求される内部層との組成及び物性を変え、特性のコントロールを容易に行なうことができる。
【0116】
尚、前記粘着剤組成物(a)及び(b)、中間層組成物(c)の塗布(塗工)には、公知のコーティング法を利用することが可能であり、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター等を用いることができる。
【0117】
粘着剤層(A)の厚みは、特に限定されないが、0.1〜500μmが好ましく、より好ましくは0.5〜250μm、更に好ましくは1〜200μmである。
【0118】
粘着剤層(B)の厚みは、特に限定されないが、0.1〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜250μm、更に好ましくは5〜200μmである。
【0119】
中間層(C)の厚みは、特に限定されないが、0.001〜100μmが好ましく、より好ましくは0.01〜50μm、更に好ましくは0.05〜10μm、特に好ましくは0.05〜5μm、最も好ましくは0.05〜1μmである。
【0120】
本発明に係る多層粘着性物品は、上述した構成によって、層間接着力がより高い多層粘着性物品を提供することができ、具体的には、4.0N/20mm以上の層間接着力を示す多層粘着性物品を提供することができる。
【0121】
(V)粘着シート
本発明に係る粘着シートは、上述した多層粘着性物品を粘着剤層として備える。例えば、上述した方法によって、多層粘着性物品をシート状に形成することによって作製することができる。
【0122】
本発明に係る粘着シートは、かかる粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面又は両面に有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、前記粘着剤層が剥離シート(剥離面を備えるシート状基材であってもよい。)に保持された形態等の基材レスの粘着シートであってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。
【0123】
尚、両面に有する形態の基材付き粘着シートでは、基材の両面に粘着剤層が設けられるが、これら粘着剤層は同じ組成の粘着剤で形成してもよいし、異なった組成の粘着剤でそれぞれ形成してもよい。
【0124】
また、前記粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。また、本発明により提供される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
【0125】
基材を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙類;綿布、スフ布等の布類;ポリエステル不織布、ビニロン布織布等の布織布類;金属箔が挙げられる。
【0126】
前記プラスチックフィルム類は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであってもよい。また、基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
【実施例】
【0127】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例及び比較例に何ら制限されるものではない。尚、以下の説明において、「部」及び「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
【0128】
〔実施例1〕
(アクリル系重合体(a)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル229部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸n−ブチル95部及びアクリル酸5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(a)の濃度が30重量%のアクリル系重合体溶液Aを得た。前記アクリル系重合体(a)の重量平均分子量は75万であった。
【0129】
(アクリル系重合体(b)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル146部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸2−エチルヘキシル95部及びアクリル酸5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(b)の濃度が40重量%のアクリル系重合体溶液Bを得た。前記アクリル系重合体(b)の重量平均分子量は67万であった。
【0130】
(アクリル系重合体(c)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル182部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸2−エチルヘキシル47.5部、アクリル酸n−ブチル47.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(c)の濃度が35重量%のアクリル系重合体溶液Cを得た。前記アクリル系重合体(c)の重量平均分子量は64万であった。
【0131】
(粘着テープの作製)
アクリル系重合体(a)100部に対して3部となるように、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)をアクリル系重合体溶液Aに加えて、粘着剤組成物(a)とし、当該組成物を、25μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥厚みが20μmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥して、粘着剤層Aを作製した。
【0132】
また、アクリル系重合体(b)100部に対して3部となるように、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)をアクリル系重合体溶液Bに加えて、粘着剤組成物(b)とし、当該組成物を、剥離処理した38μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥厚みが20μmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥して、粘着剤層Bを作製した。
【0133】
次に、アクリル系重合体(c)の固形分濃度が5wt%となるようにアクリル系重合体溶液Cを酢酸エチルで希釈し、中間層組成物(c)を作製した。その後、当該組成物を、作製した前記粘着剤層A、B上に、乾燥厚みの合計が0.1μmとなるようにそれぞれ塗布し、当該塗布面同士を貼り合わせることで中間層Cを形成させた。イソシアネート系架橋剤の反応のために50℃で2日間エージングすることで、粘着テープを作製した。
【0134】
〔実施例2〜14、比較例1〕
アクリル系重合体(a)〜(c)の合成に用いた単量体の種類及び仕込み量、架橋剤の仕込み量、並びに各粘着剤層の厚さを表1、2に記載した値に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、各粘着テープを作製した。
【0135】
〔実施例15〕
(アクリル系重合体(a)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル229部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸n−ブチル95部及びアクリル酸5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(a)の濃度が30重量%のアクリル系重合体溶液Aを得た。前記アクリル系重合体(a)の重量平均分子量は75万であった。
【0136】
(アクリル系重合体(b)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル146部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸2−エチルヘキシル95部及びアクリル酸5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(b)の濃度が40重量%のアクリル系重合体溶液Bを得た。前記アクリル系重合体(b)の重量平均分子量は67万であった。
【0137】
(アクリル系重合体(c)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル182部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸2−エチルヘキシル47.5部、アクリル酸n−ブチル47.5部、ジメチルアミノエチルアクリレート5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(c)の濃度が35重量%のアクリル系重合体溶液Cを得た。前記アクリル系重合体(c)の重量平均分子量は64万であった。
【0138】
(アクリル系重合体(c−a)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル182部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸n−ブチル95部、ジメチルアミノエチルアクリレート5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(c−a)の濃度が35重量%のアクリル系重合体溶液C’を得た。前記アクリル系重合体(c−a)の重量平均分子量は68万であった。
【0139】
(アクリル系重合体(c−b)の合成)
温度計、撹拌器、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器内に、酢酸エチル182部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部、アクリル酸2−エチルヘキシル95部、ジメチルアミノエチルアクリレート5部を仕込み、60℃で溶液重合を行って、アクリル系重合体(c−b)の濃度が35重量%のアクリル系重合体溶液C’’を得た。前記アクリル系重合体(c−b)の重量平均分子量は61万であった。
【0140】
(粘着テープの作製)
アクリル系重合体(a)100部に対して3部となるように、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)をアクリル系重合体溶液Aに加えて、粘着剤組成物(a)とし、当該組成物を、25μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥厚みが20μmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥して、粘着剤層Aを作製した。
【0141】
また、アクリル系重合体(b)100部に対して3部となるように、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)をアクリル系重合体溶液Bに加えて、粘着剤組成物(b)とし、当該組成物を、剥離処理した38μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥厚みが20μmとなるように塗布した後、100℃で2分間乾燥して、粘着剤層Bを作製した。
【0142】
次に、アクリル系重合体溶液C、アクリル系重合体溶液C’及びアクリル系重合体溶液C’’を、1:1:1の重量比で混合し、当該混合物を、アクリル系重合体(c)、アクリル系重合体(c−a)及びアクリル系重合体(c−b)の固形分濃度の合計が5wt%となるように、酢酸エチルで希釈し、中間層組成物(c)を作製した。その後、当該組成物を、作製した前記粘着剤層A、B上に、乾燥厚みの合計が0.1μmとなるようにそれぞれ塗布し、当該塗布面同士を貼り合わせることで中間層Cを形成させた。イソシアネート系架橋剤の反応のために50℃で2日間エージングすることで、粘着テープを作製した。
【0143】
〔実施例16〜24〕
アクリル系重合体(a)〜(c)、(c−a)及び(c−b)の合成に用いた単量体の種類及び仕込み量、架橋剤の仕込み量、並びに各粘着剤層の厚さを表3,4に記載した値に変更したこと以外は実施例15と同様の操作を行い、各粘着テープを作製した。
【0144】
〔実施例25〜28〕
アクリル系重合体(a)〜(c)の合成に用いた単量体の種類及び仕込み量、架橋剤の仕込み量、並びに各粘着剤層の厚さを表5に記載した値に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、各粘着テープを作製した。
【0145】
〔実施例29〕
アクリル系重合体溶液Cの代わりに、ポリアリルアミン(商品名「PAA−15C」、日東紡製)の5重量%(固形分)水溶液を用いたこと以外は実施例25と同様の操作を行い、粘着テープを作製した。
【0146】
〔実施例30〕
アクリル系重合体溶液Cの代わりに、ポリアリルアミン(商品名「PAA−03」、日東紡製)の5重量%(固形分)水溶液を用いたこと以外は実施例25と同様の操作を行い、粘着テープを作製した。
【0147】
〔実施例31〕
アクリル系重合体溶液Cの代わりに、ポリアリルアミン(商品名「PAA−1112」、日東紡製)の5重量%(固形分)水溶液を用いたこと以外は実施例25と同様の操作を行い、粘着テープを作製した。
【0148】
〔実施例32〕
アクリル系重合体溶液Cの代わりに、ポリジアリルアミン(商品名「PAS−21」、日東紡製)の5重量%(固形分)水溶液を用いたこと以外は実施例25と同様の操作を行い、粘着テープを作製した。
【0149】
〔評価方法〕
(1)投錨力(層間接着力)
プライマーとして、ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド社製の商品名「RC−1017」をウェスで厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗広げ、30分間室温で放置して乾燥させた。粘着テープ表面を覆う剥離ライナーを剥がし、このプライマー処理を施したPETフィルムをテープに貼り付けて裏打ちし、ラミネーター(2本ロール、温度80℃、圧力0.3MPa、回転速度0.5m/minで2往復)に通して、一晩エージングした。これを幅20mm、長さ80mmのサイズにカットして試験片を作製した。両面テープを用いて、表面層側に貼ったプライマー処理PETを、両面テープで塗装板に貼り付けて、JIS Z0237に準じて、プライマー処理を行っていないPET側から引っ張り速度300mm/minの引張角度180度引き剥がし投錨力(層間接着力)(N/20mm幅)を測定した。
【0150】
上述した実施例及び比較例で得られた各粘着テープの投錨力(層間接着力)の測定結果を表1〜6に示す。
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
【表4】

【0155】
【表5】

【0156】
【表6】

【0157】
尚、表1〜5中の略語は下記の通りである。
n−BA;アクリル酸n−ブチル
2−EHA;アクリル酸2−エチルヘキシル
i−NA;アクリル酸イソノニル
AA;アクリル酸
2−HEA;2−ヒドロキシエチルアクリレート
4−HBA;4−ヒドロキシブチルアクリレート
DMAEA;ジメチルアミノエチルアクリレート
DMAPAA;ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
C/L;イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業(株)製)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明に係る多層粘着性物品は、層間接着力が高いため、各種粘着シートに好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体組成物(a)を重合して得られたアクリル系重合体(a)を主成分として含有する粘着剤組成物(a)から形成された粘着剤層(A)と、
単量体組成物(b)を重合して得られたアクリル系重合体(b)を主成分として含有する粘着剤組成物(b)から形成された粘着剤層(B)と、
前記粘着剤層(A)と前記粘着剤層(B)との間に配置された中間層(C)とを備え、
前記アクリル系重合体(a)及びアクリル系重合体(b)は、酸性基を含有し、
前記中間層(C)は、1〜3級アミノ基を含有する重合体(c)を含む中間層組成物(c)から形成される、多層粘着性物品。
【請求項2】
前記重合体(c)は、単量体組成物(c)を重合して得られ、
前記単量体組成物(c)は、前記単量体組成物(a)の主成分単量体と、前記単量体組成物(b)の主成分単量体とを含む、請求項1に記載の多層粘着性物品。
【請求項3】
前記単量体組成物(c)は、前記単量体組成物(a)に含まれる全ての単量体と、前記単量体組成物(b)に含まれる全ての単量体とを含む、請求項2に記載の多層粘着性物品。
【請求項4】
前記酸性基がカルボキシル基である、請求項1〜3の何れか1項に記載の多層粘着性物品。
【請求項5】
前記中間層(C)は、単量体組成物(c−a)を重合させた重合体(c−a)、及び単量体組成物(c−b)を重合させた重合体(c−b)からなる群から選択される1種以上を更に含有し、
前記単量体組成物(c−a)は、1〜3級アミノ基を含有する単量体と、前記単量体組成物(a)の主成分単量体とを含み、
前記単量体組成物(c−b)は、1〜3級アミノ基を含有する単量体と、前記単量体組成物(b)の主成分単量体とを含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の多層粘着性物品。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の多層粘着性物品を粘着剤層として備えた粘着シート。

【公開番号】特開2013−14665(P2013−14665A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147446(P2011−147446)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】