説明

多層製品及びその製造方法

多層製品及びその製造方法。該製品は、セルロース又はリグノセルロース繊維で形成された少なくとも一層の第1の層と、該第1の層に隣接して又は隔てて取り付けられた少なくとも一層の第2の層とを備える。本発明によれば、該第2の層は、バインダーのマトリクスを形成するバインダーと混合された合成の導電性ポリマーを含み、該第2の層は、少なくとも部分的に導電性である。本発明によれば、信頼性製品に好適な導電性積層体を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従う多層化された製品に関するものである。
【0002】
この種の製品は、一般に、セルロース又はリグノセルロース繊維で形成された少なくとも一層の第1の層と、該第1の層の隣に又は該第1の層と隔てて配置された少なくとも一層の第2の層とを備える。
【0003】
また、本発明は、かかる製品を製造するための請求項16のプリアンブルに従う方法に関するものである。
【背景技術】
【0004】
導電性ポリマーを含む紙及び紙製品が、特許文献から公知となっている。例えば、米国特許第5,421,959号明細書は、例えば、一次若しくは二次電池の電極として、帯電防止包装材料として、並びに電磁放射線に対する遮蔽製品において有用な紙及び導電性ポリマーからなる複合体を開示している。該複合体は、導電性の共役ポリマーの前駆体を含む溶液中に紙を浸し、次に、該紙中に導電性の共役ポリマーの前駆体が染み込み、引き続き、該紙の表面にポリマーを形成するために該紙を加熱処理することによって、製造される。
【0005】
独国公開特許出願第19826800号は、導電性のロッド様顔料又は透明ポリマーを含む安全用紙を開示している。紙パルプの全体に渡って該顔料又はポリマーを均一に分布させるために、抄紙機のヘッドボックス中の完成紙料に該顔料又はポリマーを添加することによって、該顔料又はポリマーを紙に混合することができる。
【0006】
ラジオ磁気放射線を保護する壁紙が欧州公開特許出願第1 139 710号に示されており、該壁紙は、マトリクスのポリマー、導電性ポリマー及びそれらに混合された添加成分を含有する混合物で壁紙をコーティングすることによって製造される。
【0007】
公知の紙製品において、ポリマーは、繊維のマトリクスにかなり緩く付着している。ポリマーを繊維と機械的に混合した場合、ポリマーが一般に疎水性で、繊維が親水性であるため、ポリマーの繊維に対する付着は弱い。既製の紙の繊維マトリクス中への前駆体の浸透は実に軽微で、このことは重合が繊維マトリクスの表面で起こることを意味するので、紙に染み込ませた前駆体を重合することで、ポリマーは繊維の上に主として沈殿する。そして、その後、再度、紙が導電性ポリマーを含む層でコートされる場合、該導電性ポリマーは、セルロース繊維に直接結合するのではなく、マトリクスのポリマーに結合し、それによって、導電性ポリマーが製品の表面に残留し、コーティングカラーと共にそこから離れる。
【0008】
本発明に関連して、本発明者らは、実用的な製造プロセス及び製品の使用にとって、導電性ポリマー(導電ポリマー)を紙又は板紙製品に容易に分離しないように付着させることが重要であることを見出した。繊維から離れるどんなポリマーでも、抄紙機における水性の循環流れの回収及びリサイクルを阻害し、その結果、所定の時期に製品の機能を弱めることとなる。更に、製造プロセスの間に直接繊維製品中に導電性ポリマーを導入することが好ましいであろう。
【0009】
米国特許第5,211,810号明細書は、表面に導電性ポリマーが堆積した繊維を含み、電子レンジ内でフライを作るのに使用できる包装体を開示している。強い鉱酸、即ち、1Nの塩酸の存在下、インサイチューで重合を実施する。前記公報には、繊維又は該繊維から製造された製品の導電率は言及されていない。
【特許文献1】米国特許第5,421,959号明細書
【特許文献2】独国公開特許出願第19826800号
【特許文献3】欧州公開特許出願第1 139 710号
【特許文献4】米国特許第5,211,810号明細書書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この公知の溶液でさえ、無視できない欠点を示す。例えば、重合条件の結果として、ポリマーのかなりの部分が溶液中で単独重合するようになる。このホモポリマーは、反応混合物から分離することとなる。上記米国特許に記載の条件では、鉱酸のpHの低さが、セルロース又はリグノセルロース繊維の特性を更に害するであろう。そのため、該酸は、例えば、セルロースのアモルファス領域を変性するであろう。pHが2より下に落ちると、繊維製品の強度のポテンシャルが著しく低下する。低いpHは繊維をケラチン状にし、繊維の保水容量を減少させる。また、かかるケラチン状になった繊維は、非常により多くの叩解エネルギーを必要とする。また、該繊維は、より堅い。低pHでの処理は、セルロースのパルプの乾燥にほぼ匹敵する。
【0011】
本発明の目的は、導電性ポリマーを有する層を含む、新種の紙又は板紙製品を提供することにある。この層は、好ましくは、紙又は板紙製品の表面の下に取り付けられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、少なくとも二層(第1の層及び第2の層)を含む多層化された製品が製造され、該第1の層は繊維ウェブであって、該第2の層は結合剤のマトリクスを形成するバインダーと混合された合成の導電性ポリマーを含み、それによって、該第2の層は少なくとも部分的に導電性である。この第2の層を直接又は一つの中間層を介して(若しくは複数の中間層を介して)第1の層に接触して配設することができる。製品において、導電層の少なくとも一方のサイドを繊維層で覆うことが重要である。
【0013】
より具体的には、本発明に従う製品は、請求項1の特徴部分に記載された事項によって特徴付けられる。
【0014】
また、本発明に従う方法は、請求項16の特徴部分に記載された事項によって特徴付けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって注目に値すべき利益が得られる。例えば、二枚の紙ウェブの間にラミネーション用の接着剤と共に上記導電性ポリマーを配置することができる。このようにして、不必要な加工工程を回避することができる。紙の層の間に導電性ポリマーを配設する場合、紙に存在するメインの機能を阻害することなく、例えば、印刷表面として紙又は板紙の表面を利用することができる。層間に配設された導電性ポリマーは、幾つかの異なる機能をもたらすことができるが、それは消費者の目には見えない。例えば、製品に追加の情報を付けるために、或いは、製品の信頼性をチェックするために、上記導電性ポリマーを利用することができる。
【0016】
導電率を計測するのに接触は必要でない。例えば、容量性測定を用いて近距離で無接触測定を実施できる。無接触測定の選択余地は、導電性ポリマーを繊維層の下、例えば、繊維層の間に導電性ポリマーを積層する本発明の実施態様において有用である。
【0017】
導電性ポリマーの量を調整することで、例えば104〜1011オーム/スクエア、典型的には約104〜108オーム/スクエアの選択された導電レベルに達することが可能である。1スクエアの抵抗が108Ω以下の場合、製品を非導電性製品から容易に区別することができる。紙又は板紙に導電性の網目を組み込むことで、導電レベルに依存して、帯電防止用途、識別データの保存、安全印等に関係する幾つかの異なる機能を付与することが可能である。
【0018】
特に、本発明は、導電率が長期間に渡って維持される繊維製品を提供する。バインダーと一緒に、ポリマーを均一且つ均質に層の全体に分布させる。このことは、少ないポリマー濃度で良好な導電性を達成できるといった利点をもたらす。以下に示す例のように、10重量%の量のポリアニリンが、104オームのオーダーの良好な導電率をもたらす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、詳細な説明及び幾つかの実施例の助けを借りて、本発明をより詳細に検証する。
【0020】
本発明に従う多層製品には、少なくとも2つの層、通常は3つ以上の層が存在する。層状化された構造体は、セルロース又はリグノセルロール繊維で形成された少なくとも一層の”第1の”層と、該第1の層の隣に又は該第1の層と隔てて取り付けられた少なくとも一層の”第2の”層とを含む。本発明において、”第1の”層は、実質的に連続状の繊維層であり、”第2の”層は、連続若しくは非連続の結合剤の層である。この第2の層は、バインダーのマトリクスを形成するバインダーと混合された合成の導電性ポリマー(導電ポリマー)を含む。マトリクスとは、ポリマーの網目又は層を意味し、該ポリマーの網目又は層は、連続した表面及び層を形成することが可能な方法において、少なくとも部分的に連続である。導電性ポリマーに起因して、第2の層は、少なくとも部分的に導電性であるか、導電性にされ得る。導電性の形態にある第2の層の表面抵抗は、典型的には約10exp2〜10exp11オーム、好ましくは約10exp3〜10exp10オーム、特には約10exp4〜10exp9オームである。下記の例では、表面抵抗は10exp5〜10exp9オームに達した。
【0021】
繊維マトリクスで形成されたウェブの坪量は、一般に約5〜700g/m2で、典型的には約20〜500g/m2で、例えば、紙では約30〜150g/m2で、板紙では約80〜300g/m2である。多層製品の坪量は、一般には10〜1500g/m2で、典型的には約40〜1000g/m2である。
【0022】
繊維ウェブの積層、即ち、繊維ウェブを互いに接着剤で付けるための従前の方法でバインダーを使用することができる。例えば、本発明の好適実施態様によれば、多層製品には、2つの第1の層が存在し、該2つの第1の層はそれらの間に取り付けられた第2の層によって互いに付着している。これらの第1の層は、セルロース又はリグノセルロースの繊維ウェブ(紙及び/又は板紙の層)からなる。この解決法によって、導電ポリマーを含む層を両サイドから覆うことができる。更に好適な実施態様では、非対称の紙又は板紙のウェブで繊維ウェブを形成し、該非対称の紙又は板紙のウェブをより粗いサイドが互いに隣接するようにして貼りあわせることができる。”非対称”とは、ウェブの表面が異なり、特に、一方の面が平滑でもう一方の面が粗く、一般には、平滑な面(PPS1000)の粗さは5ミクロン以下のオーダー、例えば、4.5ミクロン未満、好ましくは約4〜1ミクロンであり、平滑な面の粗さは、平滑な面よりも粗さが大きく、例えば、一般的には4ミクロン超、あるケースでは4.5ミクロン超、或いは5ミクロン超である。
【0023】
多層製品には、上記に加えて、第1の層及び第2の層の相互接着性を高める中間層が第1の層と第2の層との間に存在してもよい。第2の層のバインダーと同一の又は異なるバインダーで、かかる”結合層”を形成することができる。また、該層は、熱可塑性材料を含んでもよい。
【0024】
上記の層に加えて、多層製品は、典型的には、第1の層又は第2の層の上に配設された第3の層を見せる。製品の表面に押し出されたプラスチックフィルム、例えば、ポリオレフィンフィルムで、かかる第3の層を形成することができる。代わりに、第3の層は、表面層の表面に塗布されたコーティング層を含んでもよい。こうして形成された第3の層は、製品の表面層を形成し、製品にバリア性又は密封可能性を付与する。こうして、例えば、第3の層を介してプラスチック基板に製品を付着させることができる。同時に、それは、導電層を保護する。第3の層が透明でない場合、例えば、第3の層が不透明材料からなる場合、それは、結果として第3の層の後ろに隠れた導電層を被覆する。鉱物粒子からなる従前のコーティング層は、常にある程度多孔性であり、このことは、例えば、酸性若しくはアルカリ性の印刷カラーを用い、導電ポリマーを別々にドープ又は脱ドープすることによって、導電層の上にコーティング層を通して所望の形を印刷できることを意味する。
【0025】
コーティング層で第3の層が形成されている場合、該コーティング層には適切なコーティング組成物又はコーティングカラーを適用する。単一コーティング又は二重コーティングとしてそれ自体公知の方法でコーティングを実施し、また、それによって、使用されたコーティングカラーが、プリコート又は表面コート用の単一のコーティングカラーと複数のコーティングカラーを含む。また、三重のコーティングも可能である。一般に、本発明に従うコーティングカラーは、少なくとも一種の顔料又は顔料混合物を10〜100重量部、少なくとも一種のバインダーを0.1〜30重量部、導電ポリマーを0.1〜50重量部、及びそれ自体公知の添加剤を1〜10重量部含む。
【0026】
代表的なプリコート混合物の組成を下記に示す:
【0027】
コーティング顔料
(例えば、粗炭酸カルシウム) 100重量部
導電ポリマー 1〜20重量部
バインダー 顔料の1〜20重量%
添加剤及び助剤 顔料の0.1〜10重量%
水 バランス
【0028】
上記プリコート混合物に水を加えて、固形物含有率を一般に40〜70%とする。
【0029】
本発明に従う、表面コート混合物又は単一コート混合物の組成を下記に示す:
【0030】
コーティング顔料I
(例えば、純度の高い炭酸塩) 10〜90重量部
コーティング顔料II
(例えば、純度の高いカオリン) 10〜90重量部
総顔料 100重量部
導電ポリマー 1〜30重量部
バインダー 1〜20重量部
添加剤及び助剤 0.1〜10重量部
水 バランス
【0031】
この種のコーティングカラーに水を加えて、乾燥固形物含有率を典型的には50〜75%とする。
【0032】
本発明によれば、上記に示したコーティングカラーにおいて、シャープな粒径分布を有する顔料を使用することができ、その結果、このケースでは、最大35%の顔料の粒径が0.5umよりも小さく、好ましくは最大15%が0.2umよりも小さい。
【0033】
コーティング組成物においては、代表的な鉱物の又は合成の光散乱顔料を使用する。顔料の例としては、沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン(含水ケイ酸アルミニウム)、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク(含水ケイ酸マグネシウム)、二酸化チタン、硫酸バリウム及びこれらの混合物を挙げることができる。また、合成の顔料を使用することもできる。上述の顔料の中でも、主要な顔料は、カオリン、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、及び石膏であり、これらは、一般にコーティング混合物中の乾燥固形物の50%超を構成する。焼成カオリン、二酸化チタン、サテンホワイト、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、及びプラスチック顔料が他の顔料であり、これらの量は、一般に混合物中の乾燥固形物の25%未満である。特別な顔料としては、特別品質のカオリン及び炭酸カルシウム、並びに硫酸バリウム及び酸化亜鉛を挙げられる。
【0034】
特に、本発明は、ケイ酸アルミニウム及び水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン及び/又は硫酸バリウム、並びにそれらの混合物から選択された鉱物顔料に適用される。
【0035】
コーティングカラーにおけるバインダーとしては、製紙業で一般に使用されている如何なる公知のバインダーをも使用することができる。単一のバインダーに加えて、バインダーの混合物も使用できる。代表的なバインダーの例としては、エチレン性不飽和化合物のポリマー又はコポリマー、例えば、アクリル酸、イタコン酸又はマレイン酸等のカルボキシル基を含有するコモノマーを有してもよいブタジエンスチレンタイプのコポリマー、及びカルボキシル基を含むコモノマーを有するポリ酢酸ビニルで構成された合成ラテックスを挙げることができる。また、上記に挙げた材料と共に、例えば、水溶性ポリマー、デンプン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコールをバインダーとして使用することもできる。
【0036】
更に、分散剤(例えば、ポリアクリル酸のナトリウム塩)、混合物の粘度及び保水性に影響を及ぼす添加剤(例えば、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリレート類、アルギネート類、ベンゾエート)、所謂、潤滑剤、耐水性を向上させるために用いられる硬化剤、光学助剤、消泡剤、pH調整剤、及びコーティング組成物の保存剤等の従前の添加剤及び助剤を使用することができる。潤滑剤の例としては、スルホネート油類、エステル類、アミン類、ステアリン酸のカルシウム又はアンモニウム塩が挙げられ;耐水性向上剤の例としては、グリオキサールが挙げられ;光学助剤の例としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体が挙げられ;消泡剤の例としては、リン酸エステル類、シリコーン類、アルコール類、エーテル類、植物油類が挙げられ;pH調整剤の例としては、水酸化ナトリウム、アンモニアが挙げられ;最後に、保存剤の例としては、ホルムアルデヒド、フェノール、4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0037】
それ自体公知の方法で、コーティング混合物を材料のウェブに塗布することができる。コート紙又は板紙用の本発明に従う方法は、従前のコーティング装置を用いて、即ち、ブレードコーティングによって、又はフィルムコーティング若しくはJET塗工によって実施できる。
【0038】
紙ウェブの少なくとも一方のサイド、好ましくは両サイドがコートされている場合、5〜30g/m2の坪量のコーティング層を形成する。コートされていないサイドには、例えば、表面サイジング処理を施すことができる。
【0039】
前述の選択肢に加えて、本発明に従い層状化された構造体には、対象用途に応じて自由に変形を施すことができることが明らかである。該構造体は、ポリエステル層及びEVAL層及びアルミニウムフィルム等の種々のバリア層を含むことができる。一般に、該構造体は、2〜10層、特には3〜5層を含み、それによって、繊維層(即ち、”第1の層”)の下に少なくとも一層の導電ポリマー(即ち、”第2の層”)を存在させることが重要であり、繊維層を通してその導電率を測定できるような方法で配置することが好ましい。
【0040】
前記第2の層におけるバインダーの量は、広範囲に渡って変化させることができるが、一般には従前の積層物に用いられている範囲内、即ち約0.1〜10g/m2であり、典型的には約0.5〜5g/m2であり、好ましくは約1〜3.5g/m2である。第2の層に使用されるバインダーは、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル又はデンプン若しくはデンプン誘導体をベースとしたバインダー等の水溶性又は水分散性のバインダーである。驚くべきことに、ある種のバインダーにおいて、即ち、デンプン系のバインダーと共に導電ポリマーを使用する場合或いはポリ酢酸ビニルと共に導電ポリマーを使用する場合、結合強度(z方向の強度、スコットボンド(ScottBond))が向上することを見出した。特に、ポリアニリンは、デンプンと共に並びにポリ酢酸ビニルと共に使用した場合に、Z-強度を向上させる。ポリアニリンの濃度を上昇させた場合、この強度が向上する。
【0041】
10〜50℃のような室温又は若干加熱した温度のバインダーを利用できる形態で、バインダーを使用する。この種のバインダー混合物は、一般に水や溶媒等の媒体、好ましくは水中に混合若しくは分散されたバインダーを含む。結合組成物の乾燥物濃度は、バインダー基準で、約1〜80重量%、好ましくは約5〜75重量%である。該バインダー組成物を薄く展開することでフィルムを形成できることが極めて重要である。
【0042】
上記バインダー組成物の任意成分は、第2の結合剤成分、例えば、デンプン系バインダー、ポリビニルアルコール、又はエチレン/ビニルアルコール共重合体(0〜35重量%の量、典型的には約1重量%の最小量)に対して、所望により、粘着樹脂(0〜70重量%の量、典型的には約1重量%の最小量)及び酸化防止剤(0〜3重量%の量、典型的には約0.1重量%の最小量)を含む。また、抗成形剤及び他の殺生剤を、典型的には約0.1〜3重量%含むことができる。
【0043】
本発明において、”導電性ポリマー”又は”導電ポリマー”とは、電荷担体(ホール及び電子)を生成するために”ドープ”された(付与された、加工された)本質的に導電性のポリマー(ICP)を意味する。主鎖の共役二重結合(交互の一重結合及び二重結合、非局在化したシリコン電子系)が総ての導電性ポリマーに共通し、該主鎖の共役二重結合が電荷担体の移動を可能とする。導電性ポリマーは、種々の用途で利用できるイオン伝導性と電気伝導性との両方を有している。導電性ポリマーの伝導性は、変動し、絶縁体から金属導電体までの全伝導範囲内で調整することができる。一般には、最大抵抗が(表面抵抗として)1011オームの場合、ポリマーは、導電性であるとみなされている。
【0044】
結合剤層の中に、導電性及び非導電性の両方の形態で、導電性ポリマーを存在させることができる。従って、下記に示す特許請求の範囲における”導電性ポリマーとの”語句は、参照時に非導電性であっても、例えば、好適なドーピング剤処理を用いて、導電性の状態にすることが可能なポリマーをも意味する。
【0045】
導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロリジン、ポリアセチレン、ポリパラフェニル又はポリチオフェン、或いはそれらの誘導体又は混合物を使用する。これら誘導体の中でも、特に、上述のポリマーのアルキド及びアリール誘導体、並びに塩素及び臭素置換誘導体は、言及するだけの価値がある。必要な場合は、グラファイトやカーボンブラック等の導電性粒子を添加することもできる。
【0046】
本発明においては、ポリアニリンが更に好ましい。該アニリン重合体中のモノマーは、アニリン又はその誘導体であり、該アニリン又はその誘導体の窒素原子は、大抵の場合、隣接するユニットのベンゼン環のパラ位の炭素に結合している。非置換のポリアニリンは、エメラルド色の形態の中でも、異なった形態にあり得、即ち、透明で且つその名が意味するエメラルドグリーン色であることを特徴とし、一般に導電ポリマーの応用に使用される。
【0047】
ドーピングを用いることで、電気的に中立なポリアニリンを導電性のポリアニリン錯体に変換することができる。本発明で使用するドーピング剤は変化に富み、ドーピングして共役ポリマーを導電性状態又は半導電性状態にする場合に一般に使用されるものである。
【0048】
J.-C. Chiang及びAlan G. MacDiarmid 及びW. R. Salaneck の引用:
・Chiangら、Synth. Metals (1986) 13:193-205
・MacDiarmidら、第6回欧州物理学会産業ワークショップEur. Phys. Soc.の論文
・Salaneckら、Synth. Metals (1986) 13:291-297、利用可能な月
による参考文献から分るように、プロトン酸は、本質的に導電性のポリマーの分野における公知のドーピング剤である。
【0049】
かかるドーピング剤は、無機酸や有機酸並びにそれらの誘導体を包含し、それらにおいては、鉱酸、スルホン酸、ピクリン酸、n-ニトロベンゼン酸、二塩素の酢酸及びポリマー酸が代表例である。必要に応じて、二種以上のドーピング剤を使用することができる。
【0050】
好ましくは、スルホン酸、より具体的には芳香族スルホン酸等の官能性の酸をドーピングに使用し、該芳香族スルホン酸は、1つの芳香環又は2つの縮合環を有し、この場合、少なくとも1つの環は、官能基(例えば、ヒドロキシル基)又は炭素数1〜20のアルキル鎖等の炭化水素鎖等の極性若しくは非極性の環の置換基を有してもよい。これらの例としては、アルキルベンゼンスルホン酸類及びジアルキルベンゼンスルホン酸類(ここで、該アルキルは1〜20個の炭素原子を有する)、他の分岐鎖ベンゼンスルホン酸類、リン酸の芳香族ジエステル類等がある。
【0051】
特に、以下のものに言及することができる:
MSA(メチルスルホン酸類)、
エチルスルホン酸類
BSA(ベンゾインのスルホン酸類)
TSA(トルエンスルホン酸類)
DBSA(ドデシルベンゼンスルホン酸類)
エチルベンゼンスルホン酸類
PSA(フェノールスルホン酸類又はヒロドキシベンゼンスルホン酸類)
CSA(カンファースルホン酸類)
AMPSA(2-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸)
ビニルスルホン酸類
イソフタルスルホン酸及びエステル類
PPA(フェニルホスフィン酸類)
ホスホン酢酸
DIOHP(ビス(2-エチルヘキシルハイドロジェンホスフェート))
クロロベンゼンスルホン酸類
ピリジンスルホン酸類
アニシジンスルホン酸類
アニリンスルホン酸類
キノリンスルホン酸類
ナフタレンスルホン酸類
スルホサリチル酸類
ホスホン酸類
【0052】
ポリマーの酸の例としては、スルホン酸で端部を官能化されたポリマー[ポリスチレン(PSSA)、ポリオレフィン類、ポリエチレンオキサイド、ポリビニル類]、並びにスルホン化ポリパラフェニレン類及びスルホン化芳香族ポリアミド類及び同様の物質を挙げることができる。
【0053】
好適な酸は、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、カンファースルホン酸、パラ-トルエンスルホン酸及びフェノールスルホン酸である。
【0054】
ポリアニリン錯体の合成は、例えば、欧州公開特許出願第545 729号及び第582 919号並びにフィンランド国特許出願第932557号、第932578号及び第940626号に詳細に記載されており、その内容を参照してここに取り込む。
【0055】
モノマー化合物を重合して対応する導電性ポリマーにするには、一般に酸化剤を使用する。好適な酸化剤は、鉄(III)塩等の多価の金属塩、並びに過酸化物、過酸、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過マンガン酸塩、過塩素酸塩及び塩素酸塩のような過化合物、並びに硝酸塩及びキノン類である。酸化剤のモノマーに対する量は、一般に10:1〜1:1で、最も好ましくは約5:1〜2:1(重量部)であり、或いはモル分率で4:1〜1:1である(酸化剤/モノマー)。
【0056】
導電性ポリマーを、例えば、分散状態で結合剤と混合する。最も適切な方法は、結合剤の溶媒に対応する分散剤を選択することであろう。従って、水性の結合剤の場合は、水のペーストとしてポリアニリンを使用することができる。ポリアニリンの濃度は、例えば、0.1〜25重量%で、好ましくは約0.5〜20重量%で、特には5〜17重量%である。ポリアニリンが導電性の状態にあることが最も適切であり、この場合、前述の量はドーピング剤の量を含む。(ドーピング剤を含まない)ポリアニリンの量は、一般に約0.1〜15重量%である。非水系の接着剤に関しては、ポリアニリンを分散状態で有機溶媒(例えば、トルエン)に添加する。前記したのと同様の量使用する。
【0057】
本発明によれば、これによって、(ドーピング剤を含まない)導電性ポリマーの濃度が混合物の約0.1〜15重量%、好ましくは約0.1〜10重量%である接着性混合物がもたらされる。この混合物と同様にして調製した接着層中の導電性ポリマーの濃度は、約0.1〜10重量%で、典型的には約0.5〜7重量%である。
【0058】
導電性ポリマーと共に結合剤は、基本的には”均一”混合物を形成する。この場合、混合物の均一性は目視で観察され、そして、混合物が均一のように見える場合、板紙の上の層として目視で観察される。しかしながら、実際には、各混合物は、極めて小さい粒子をも含む幾分分散状態にある。従って、一般に混合物は、完全に均一ではない。
【0059】
導電性ポリマーを導電性状態にし、その導電率を変化させないことを望む場合は、成分を混合することと共に、pH値を好ましくは酸性側に維持する。最も適当なpH値は、1〜6.5で、最も好ましくは約1.5〜5である。
【0060】
電気的情報並びに伝達事項及び成形物の安全印を入れるために、本発明に従う積層体を使用することができる。これらの目的を達成するために、第2の層中の導電性ポリマーの導電率を局所的に変え、導電性のデザインや非導電性のデザインを別々に形成することが有益である。
【0061】
別々に、非導電性ポリマーをドープすることによって、或いは導電性ポリマーを脱ドープすることによって、ポリマーの導電率を変化させる。ポリマー層を酸性溶液で処理することにより非導電性ポリマーをドープし、該溶液によって紙又は板紙製品の表面に所望のデザインを描く。代わりに、ポリマー層をアルカリ性溶液で処理することにより導電性ポリマーを脱ドープし、該溶液によって紙又は板紙製品の表面に所望のデザインを描く。導電性ポリマーをドープしたり脱ドープしたりすることが可能な印刷用インクを用いて、紙又は板紙製品の表面に所望のデザインを印刷することによって、ドーピングや脱ドーピングをそれぞれ達成することができる。
【0062】
それぞれ、種々の酸性又はアルカリ性溶液が、ドーピングや脱ドーピングに適切である。酸性溶液においては、導電ポリマーのドープと同じ酸を用いることができ(上記参照)、代わりに、異種の酸を用いることもできる。従来の水酸化物及び炭酸塩(アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物及び炭酸塩)及び種々のアミン類を塩基として用いることができる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムが、一般的な塩基である。一般には、繊維マトリクスが脆くなるのを避けるため、酸及び塩基を比較的希薄な溶液(約0.01〜5N、例えば、約0.1〜1Nの溶液)として用いる。
【0063】
好ましくは、多層製品の表面に、導電性ポリマーを含む層を示す視認性のマーキングを設け、該マーキングは、層状製品がどのような種類の情報を含むかを開示する。例えば、紙又は板紙製品の表面に、第2の層の導電率がどのように検知され得るかを示す印刷パターンを設ける。
【0064】
安全印の形成法は、2003年4月1日に並行して出願された本発明者らのフィンランド国特許出願(”紙又は板紙系の信頼性製品”)に詳細に記載されており、その内容を参照してここに取り込む。
【0065】
多層製品は、バインダーと混合された合成の導電性ポリマーを含む上記された混合物を接着剤として用い、このバインダー混合物を第1の繊維層の上に塗布し、次に、該バインダー層の上に第2の繊維層を持ってくる、それ自体は公知の積層技術で製造することができる。必要に応じて、繊維層の両方に同時に、或いは、むしろ、それらの間にバインダーを塗布することができる。ロール、ロッドを用い、スプレーし、噴霧し、或いは、はけ塗りしてバインダー混合物を塗布することができる。また、接着剤のオリフィスから連続層又はフィルムの形態でバインダー混合物を供給することができ、これによって非接触塗工(ノズルと繊維層の間の距離は約1〜50mmである)が提供される。
【0066】
この塗工は、繊維層の表面上に、少なくとも部分的に連続しており、塗工後に該表面に付着されるバインダー層を持ってくることを目的とする。導電性ポリマーが導電性の状態にある場合、該ポリマーの不変の導電率を維持するために、該導電性ポリマーを好ましくは酸性又はせいぜい弱アルカリ性の繊維ウェブ上に塗布する。この場合、好ましくは、繊維ウェブのpHは、最大でも8である。
【実施例】
【0067】
以下の例は、本発明を説明する。これらは、本発明の好適実施態様をより詳細に示す。
【0068】
例の概要
これらの例では、紙積層体を製造するために使用できる導電性ポリマーを製造した。導電性ポリマー、このケースではポリアニリンを紙積層体の作製に用いるバインダー中に分散状態で混合するようにして、バインダーを製造した。得られた導電性の緑がかったバインダーを二枚の紙ウェブの間に薄く広げることができる。
【0069】
この目的に好適なバインダーを以下に示す:
1.デキストリン、スウィフト(Swift)37192、フォール(Fohl)、レイチョルド(Reichold)。乾燥物62.4%、pH6.6
2.カルボキシメチルセルロース、CMC、TKK。乾燥物10%
3.ポリビニルアルコール、エルバノール(Elvanol)71−30。水溶液、乾燥物7.5%又は10%
4.ポリビニルアルコール、エルバノール90−50。水溶液、乾燥物10%
5.ポリビニルアルコール、エルバノール85−30。水溶液、乾燥物10%
6.ポリ酢酸ビニル、スウィフト48124、フォール、レイチョルド。乾燥物57.2%、pH7.1
7.タッキデックス(Tackidex)C172、乾燥物40%、pH<7
8.デンプン接着剤DL20−1、VTT。乾燥物50%、pH<7
9.デンブン分散液7DIPK500、VTT。乾燥物43.7%、pH3.0
【0070】
導電性ポリマーは、対イオンとしてドデシルベンゼンスルホン酸を有するポリアニリンの9.1%水性分散液である。一つのテストでは、対イオンとしてp-トルエンスルホン酸を有するポリアニリンの8.2%水性分散液を使用した。
【0071】
最初に、混合物において、混合物全体の量を基準として3%未満のポリアニリンを使用し、3%未満のポリアニリンは、必要な導電率を付与するのに十分な量である。2つの混合物においてのみ、より多くの量のポリアニリンを使用した。混合物を製造するために、各サンプルに対して好適な剪断ブレードを採用して、卓上分散機WMAゲッツマン(Getzman)を用いた。混合速度は、エアーがサンプルの中を通過できないように、典型的には1000〜6000rpmとした。バインダーのサンプルの表面抵抗が10exp4オームの場合、導電率は十分に高いものと見なした。
【0072】
表面抵抗を測定した接着剤サンプルは、金属製の螺旋状ロッドを用いて、板紙の上に塗布された層であった。テストには幾つかのロッドを使用して、板紙の上に種々の厚さの接着剤層を形成した。ロッド0(平滑)を用いて最も薄い層を形成し、ロッド4(0.25mmの螺旋深さ)を用いて最も厚い層を形成した。テストに使用した板紙は、アム-レアル(M-real)のアバンタ(Avanta)プライマ(Prima)板紙であり、該板紙は、粗いサイドのpH、即ち、背面のpHが7.5〜8で、平滑なサイドのpHが8〜8.5であった。平滑なサイドの高いpHに起因して部分的なポリアニリンの脱ドープが観測されたので、粗いサイドで接着試験を行った。平滑なサイドの抵抗は、二桁から四桁上昇し、該面の接着剤の接着性は、粗いサイド程良好ではなかった。
【0073】
例1〜21は、どのバインダーを使用したかを開示している。
【0074】
TKK(ヘルシンキ工科大学)で実施した小規模積層テスト用には、以下のバインダー:ポリビニルアルコール系のホウ砂を含有するエルバノール85−30、ポリ酢酸ビニルのスウィフト48124及びデンプンのサイズDL20−1を使用することを決定した。これらのテストでは、異なる二つのポリアニリン濃度を有するバインダーをポリビニルアルコール及びデンプンから調製した。更に、接着剤中にポリアニリンを含まないブランクテストを行った。ポリ酢酸ビニルから、バインダーを含むポリアニリンを一種のみ調製した。積層体のZ-強度及び白色度(Y−値)をテストし、ポリアニリン濃度の関数として、接着剤の粘度をテストした。
【0075】
更に、これらのテストの後、エルバノール85−30、ホウ砂を含有するポリビニルアルコール及びポリアニリンの水性分散液から、パイロット規模のテスト用接着剤を調製した。
【0076】
個々の調製例
例1.導電性デキストリンバインダー
40グラムのデキストリンバインダー(スウィフト37192、固形物含量62.4%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、15gのポリアニリンの水性分散液を加えた。この分散液を溶解機を用いて15〜20分間混合した。その結果、非常に濃い緑で均一な分散液が得られた。次に、ロッド4を用いて、板紙の上に4mlを塗布した。該板紙をインキュベータ中105℃の温度で10分間乾燥した。乾燥後、該板紙を約1時間正常化させた。その後、バインダーフィルムの上部から表面抵抗を測定した。最初の測定から約一ヵ月後、抵抗の測定を繰り返した。バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0077】
例2.導電性デキストリンバインダー
40グラムのデキストリンの水溶液(タッキデックスC172、固形物含量40%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、7.5gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。例1のようにして、板紙に塗布し、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0078】
例3.導電性デキストリンバインダー
40グラムのデキストリンの水溶液(タッキデックスC172、固形物含量40%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、8.5gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。例1のようにして、板紙に塗布し、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp7Ωのままであった。
【0079】
例4.導電性ポリビニルアルコールバインダー
40グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール71−30、固形物含量7.5%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、3.9gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。平滑なロッド0を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp7Ωのままであった。
【0080】
例5.導電性ポリビニルアルコールバインダー
40グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール71−30、固形物含量10%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、4.0gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。平滑なロッド0を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp7Ωのままであった。
【0081】
例6.導電性ポリビニルアルコールバインダー
40グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール90−50、固形物含量10%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、3.8gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。ロッド1を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp7Ωのままであった。
【0082】
例7.導電性ポリビニルアルコールバインダー
ロッド4を用いて板紙に塗布する以外は、例6のように行った。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp6Ωのままであった。
【0083】
例8.導電性ポリビニルアルコールバインダー
40グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール85−30、固形物含量10%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、4.2gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。ロッド1を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp6Ωのままであった。
【0084】
例9.導電性ポリビニルアルコールバインダー
40グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール85−30、固形物含量10%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、8.5gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。ロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp5Ωのままであった。
【0085】
例10.導電性ポリ酢酸ビニルバインダー
40グラムのポリ酢酸ビニルの水溶液(スウィフト48124、固形物含量57.2%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、3.9gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、容易に広がるペースト様のバインダーが得られた。ロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0086】
例11.導電性ポリ酢酸ビニルバインダー
40グラムのポリ酢酸ビニルの水溶液(スウィフト48124、固形物含量57.2%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、5.0gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、容易に広がるペースト様のバインダーが得られた。ロッド1を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp9Ωのままであった。
【0087】
例12.導電性ポリ酢酸ビニルバインダー
40グラムのポリ酢酸ビニルの水溶液(スウィフト48124、固形物含量57.2%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、7.7gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が高く、容易に広がるペースト様のバインダーが得られた。ロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp6Ωのままであった。
【0088】
例13.導電性ポリ酢酸ビニルバインダー
40グラムのポリ酢酸ビニルの水溶液(スウィフト48124、固形物含量57.2%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、14gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、ペースト様のバインダーが得られた。バインダーの中で、凝集剤が形成しはじめた。ロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp5Ωのままであった。
【0089】
例14.導電性カルボキシ-メチルセルロースバインダー
40グラムのカルボキシ-メチルセルロースの水溶液(CMC、固形物含量10%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、3.9gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が低く、容易に広がる分散液が得られた。平滑なロッド0を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp9Ωのままであった。
【0090】
例15.導電性カルボキシ-メチルセルロースバインダー
ロッド4を用いて板紙に塗布する以外は、例14のように行った。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0091】
例16.導電性デンプンバインダー
40グラムの水性デンプン接着剤(DL20−1、固形物含量50%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、5.0gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が高く、容易に広がる分散液が得られた。それを平滑なロッド0を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp9Ωのままであった。
【0092】
例17.導電性デンプンバインダー
40グラムの水性デンプン接着剤(DL20−1、固形物含量50%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、9.8gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘度が高く、容易に広がる分散液が得られた。それをロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp7Ωのままであった。
【0093】
例18.導電性デンプンバインダー
40グラムの水性デンプン接着剤(DL20−1、固形物含量50%)をプラスチックカップの中に入れた。次に、13.2gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、容易に広がる分散液が得られた。それをロッド1を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp6Ωのままであった。
【0094】
例19.導電性デンプンバインダー
ロッド4を用いて板紙に塗布する以外は、例18のように行った。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp5Ωのままであった。
【0095】
例20.導電性デンプンバインダー
デンプンバインダーの水分散液(7DIPK500、固形物含量43.7%)40グラムをプラスチックカップの中に入れた。次に、2.7gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、容易に広がるペースト様の分散液が得られた。それをロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0096】
例21.導電性デンプンバインダー
デンプンバインダーの水分散液(7DIPK500、固形物含量43.7%)40グラムをプラスチックカップの中に入れた。次に、3.3gのポリアニリンの水性分散液を加えた。その結果、非常に濃い緑で、粘稠なペースト様の分散液が得られた。該分散液は、調製後、24時間以内に凝集した。それをロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、変化しておらず、10exp8Ωのままであった。
【0097】
【表1】

【0098】
例22.導電性ポリビニルアルコールバインダー
10グラムのポリビニルアルコールの水溶液(エルバノール71−30、固形物含量10%)をガラスジャー中に入れた。次に、27gのポリアニリンの水性分散液を加えた(対イオンとしてp-TSA、固形物含量8.2%)。20分間混合した結果、黒色の分散液が得られた。それをロッド4を用いて板紙に塗布した。例1のようにして、乾燥し、測定した。一ヵ月後、バインダーフィムの表面抵抗は、10exp6オームであった。
【0099】
積層テスト
例23.積層テスト用ポリビニルアルコールバインダー
700グラムのポリビニルアルコールの水溶液を2つのジャー中に入れた(エルバノール85−30、固形物含量10%)。次に、75gのポリアニリンの水性分散液を一方のジャーに加え、150gのポリアニリンの水性分散液をもう一方のジャーに加えた。溶解機で、分散液を30分間混合した。その結果、混合物全体の0.88%及び1.6%のポリアニリン濃度を有する、2つの非常に濃い緑色で、容易に広がる分散液が得られた。該バインダーを積層テスト用にTKKに送った。
【0100】
例24.積層テスト用デンプンバインダー
700グラムの水溶性デンプンバインダーを2つのジャー中に入れた(DL20−1、固形物含量50%)。次に、114gのポリアニリンの水性分散液を一方のジャーに加え、231gのポリアニリンの水性分散液をもう一方のジャーに加えた。溶解機で、分散液を30分間混合した。その結果、混合物全体の1.27%及び2.26%のポリアニリン濃度を有する、2つの非常に濃い緑色で、容易に広がる分散液が得られた。該バインダーを積層テスト用にTKKに送った。
【0101】
例25.導電性ポリ酢酸ビニルバインダー
ポリ酢酸ビニルの水性分散液(スウィフト48124、固形物含量57.2%)合計120gをプラスチックカップの中に入れた。次に、20gのポリアニリンの水性分散液を加えた。溶解機で、分散液を30分間混合した。その結果、混合物全体の1.3%のポリアニリン濃度を有する、濃い緑色で、ペースト様の分散液が得られた。該サンプルを積層テスト用にTKKに送った。
【0102】
25℃の温度、スピンドルナンバー5番、回転速度100rpmで、ブルックフィールド(Brookfield)2000粘度計を用いて積層前に、TKKで接着剤の粘度を分析した。結果を表2に示す。
【0103】
【表2】

【0104】
表2から分るように、ポリアニリンの濃度が上がると、バインダーの粘度が上昇する。
【0105】
紙積層体
TKKにおいて、バインダーの助けを借りて、2枚の紙から積層体を製造した。手動ロッド(ロッドナンバー0番)で積層体の下のシートにバインダーを塗布した。バインダーの塗工後すぐに、室温において、平面プレス機でシートを一緒にプレスした。また、室温で、軽い圧力下、積層体を乾燥した。
【0106】
該紙積層体に対して、接着強度、即ち、z-強度、並びに白色度をテストした。TAPPIスタンダードT569pm−1に準拠して、紙積層体のz-強度をテストした。テスト法SCAN−P8:93で紙積層体の白色度(Y-値)を測定した。表3に結果を示す。
【0107】
【表3】

【0108】
表3から、デンプン及びポリ酢酸ビニルではポリアニリン濃度が上昇するとz-強度が向上するのに対して、ポリビニルアルコールではバインダーのポリアニリン濃度がz-強度に影響を及ぼさないことが分る。
【0109】
バインダー中のポリアニリンの量が増加すると積層体の白色度が低下する。白色度の低下の自然な説明は、ポリアニリンの濃い緑色である。
【0110】
パイロット規模の積層テスト
パイロット規模の積層テストのために、10%のポリアニリンの水性分散液7554gを調製し、該分散液は更に1.28%のポリビニルアルコール エルバノール85−30を含有する。これを、KCLで調製する66kgのポリビニルアルコールバインダーのより大きなバッチ用の予備混合物として用いた。
【0111】
パイロット規模の積層テストのために、撹拌下、冷たい水にエルバノール85−30(PVOH+ホウ酸+フマル酸)の粉体を加えて、最初の200リットルのポリビニルアルコールバインダーを製造した。均一な混合物が得られるまで混合を続けた。90℃超で約30分間、直接蒸気乾燥を実施した。撹拌しながら、混合物を冷却させた。該バインダーのポリビニルアルコール濃度は9%であり、その粘度は510cPであった。
【0112】
60kgの量の前述のバインダーを他の混合容器中に置き、該容器に6kgのポリアニリンの水性分散液を撹拌しながら加えた。均一な混合物が得られるまで混合を続けた。該混合物のポリアニリン濃度は約0.9%であり、粘度は560/620cPであった。
【0113】
積層体の製造
パイロットの抄紙機で作製した2枚の紙ウェブを積層機で互いに接着した。使用した紙の繊維組成は、機械パルプ70%及び落葉化学パルプ30%(+30%の充填材、即ちカオリン、及び0.6%のデンプン)であった。実施pHは5.0であった。紙の坪量は約45g/m2であり、ウェブの幅は55cmであった。ロールを用いてバインダーを塗布した。使用したバインダーは、異なる2つの投与量のポリビニルアルコール及びポリアニリンの混合物を含んでいた。積層体から決定したバインダーの量は、約1〜3.5g/m2であった。乾燥温度用のセット値は150℃であり、積層機の速度は42m/分であった。
【0114】
用意した紙積層体から、バインダー濃度、坪量、表面抵抗、内部結合強度及び白色度を決定した。紙の抵抗値を決定するために、標準方法のASTM D257−93を用い、紙の両サイドから表面抵抗を測定した。該方法では、2つの電極間にサンプルを配置した。下方の環状の中心電極を第2の周辺電極で囲った。下方の中心電極と周辺電極との間の電圧から表面抵抗を測定し、上方の電極は、紙の厚さ方向の導電率によって引き起こされる誤差を評価する。装置は、高抵抗テスター、モデルHP4339A、及びモデルHP16008Bの測定幾何構造からなる。測定温度は23℃であり、相対湿度は20%RHであり、測定電圧は100DC Vであり、充電時間は30.0秒であった。表4はパイロットの積層体を測定した表面抵抗を示し、表5は強度及び白色度の値を示す。
【0115】
【表4】

【0116】
この場合、積層体の表面から抵抗値を測定し、それによって、両方のケースでは、導電層の上に絶縁紙層があるので、導電率は絶縁層の測定値である。表は、導電性バインダー層は紙を貫通しておらず、紙積層体の間の所望の位置に局在していることを示している。第1の層を通して酸又は塩基で第2の層を含浸することにより、第2の層を処理することができる。
【0117】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース又はリグノセルロースの繊維で形成された少なくとも一層の第1の層と、該第1の層に隣接して又は隔てて取り付けられた少なくとも一層の第2の層とを備える多層の紙又は板紙製品において、
前記第2の層が前記製品の表面下に取り付けられており、
該第2の層がバインダーのマトリクスを形成するバインダーと混合された合成の導電性ポリマーを含み、それによって、第2の層が少なくとも部分的に導電性であることを特徴とする多層の紙又は板紙製品。
【請求項2】
前記バインダーが前記導電性ポリマーと共に均一混合物を形成していることを特徴とする請求項1に記載の多層製品。
【請求項3】
前記第2の層のバインダーが水に溶解又は分散するバインダーを含むことを特徴とする請求項1に記載の多層製品。
【請求項4】
前記バインダーが、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、又はデンプン若しくはデンプン誘導体をベースとしたバインダーを含むことを特徴とする請求項3に記載の多層製品。
【請求項5】
二層の第1の層を備え、該二層の第1の層がそれらの間に取り付けられた第2の層によって互いに結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層製品。
【請求項6】
前記第1の層が繊維ウェブによって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の多層製品。
【請求項7】
前記繊維ウェブが非対称の紙又は板紙のウェブによって形成されていることを特徴とする請求項6に記載の多層製品。
【請求項8】
更に、前記第1又は第2の層の上に配置された第3の層を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多層製品。
【請求項9】
前記第3の層が、前記製品の表面に押し出されたプラスチックフィルムで形成されていることを特徴とする請求項8に記載の多層製品。
【請求項10】
前記第3の層が、コーティングカラーの層で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の多層製品。
【請求項11】
前記第2の層が、ポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンからなる群から選択される導電性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の多層製品。
【請求項12】
前記第2の層における前記導電性ポリマーの濃度が約0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の多層製品。
【請求項13】
前記第2の層の表面抵抗が約10exp2〜10exp11オームであることを特徴とする請求項12に記載の多層製品。
【請求項14】
前記第2の層の前記導電性ポリマーの導電率が導電性パターン又は非導電性パターンをそれぞれ形成するために局所的に調整されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の多層製品。
【請求項15】
前記多層製品の表面に、前記導電性ポリマーを含む層を示す視認性のマーキングが設けられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の多層製品。
【請求項16】
セルロース又はリグノセルロースの繊維で形成された少なくとも一層の繊維層と、製品の表面下の該繊維層の上に配置された少なくとも一層の接着剤の層とを製造する工程を含む多層の紙又は板紙製品の製造方法において、
前記接着剤の層を、バインダーと混合された合成の導電性ポリマーを含む混合物から形成し、
該混合物を前記繊維層の上に塗布することを特徴とする多層の紙又は板紙製品の製造方法。
【請求項17】
前記バインダー混合物を、少なくとも部分的に連続な層として前記繊維層の上に塗布し、該繊維層に付着できるようにすることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
二層の繊維層を互いに付着させるために、前記バインダーを使用することを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性ポリマーが前記バインダーの中に分散した形態で混合されていることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記導電性ポリマーの濃度が混合物の約0.1〜10重量%であるバインダー混合物を作製することを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記バインダーが水溶性又は水分散性であり、該バインダーが、例えば、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、又はデンプン若しくはデンプン誘導体をベースとしたバインダーを含むことを特徴とする請求項14〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記導電性ポリマーがドープの形態で使用されていることを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記導電性ポリマーが、酸性のpH、好ましくはpHが1〜6.5のバインダーと混合されていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
形成される前記バインダー層の表面抵抗を10exp2〜10exp11の範囲の値に調整できることを特徴とする請求項14〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記バインダー混合物をpHが8以下の繊維ウェブの上に塗布することを特徴とする請求項14〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマーの導電率を、それぞれ、導電性ポリマーをドープすることによって又は導電性ポリマーを脱ドープすることによって変化させることを特徴とする請求項14〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
紙又は板紙製品の表面に所望のパターンを描くために使用される酸性溶液で前記ポリマーの層を処理することによって、前記非導電性ポリマーをドープすることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
紙又は板紙製品の表面に所望のパターンを描くために使用されるアルカリ性溶液で前記ポリマーの層を処理することによって、前記導電性ポリマーを脱ドープすることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
導電性ポリマーをドープ又は脱ドープすることが可能な印刷カラーを用いて、紙又は板紙製品の表面に所望のパターンを印刷することによって、前記導電性ポリマーをドープすることを特徴とする請求項26〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記第2の層の導電率がどのように検知され得るかを示すために、前記紙又は板紙製品の表面にパターンが印刷されていることを特徴とする請求項14〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記第1又は第2の層の上に第3の層が取り付けられていることを特徴とする請求項14〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記製品の上に押し出されたプラスチックフィルムで前記第3の層を形成したことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
コーティングカラーの層で前記第3の層を形成したことを特徴とする請求項31に記載の方法。


【公表番号】特表2006−522234(P2006−522234A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505629(P2006−505629)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000201
【国際公開番号】WO2004/088039
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(598005085)
【Fターム(参考)】