説明

多層配線構造体

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はモジユール式多層相互配線構造体に関し、特に半導体VLSIパツケージ技術に用いて好適な、相互配線基板として機能する新しい形式の多層構造体について、新奇なモジユール式の概念を導入することによつて、種々の形式の多層相互配線基板を柔軟かつ低コストで製造できるようにする。本発明の技術を用いれば、例えば外側寸法又は配線の複雑さに関するような製品の変更は、標準化された処理ステツプによつて容易に実行できる。
【0002】
【従来の技術】現在のコンピユータ技術においては高性能を要求されるので、通常複数の集積回路が機能ユニツトに組み合わせられる。これらのユニツトは数百もの集積回路を含むことがあり、これらは普通、基板要素の表面に隣接して配置される。各集積回路間を転送すべき多数のデータ信号が存在するので、一般的に基板は稠密かつ複雑な相互配線構造を有する。さらに集積回路の温度はそれらの実際の作動レベルによつて大幅に変化するので、このような相互配線構造体は機械的応力及び熱応力に対して安定でなければならない。
【0003】要求された特性を有するそれぞれの構造は、周知の多層セラミツク基板(MLC)において実現される。一般的にこの形式の基板はアルミナからなり、多くの場合アルミナは例えばガラスなどの他の要素と混合される。一般に集積回路半導体デバイスは、2.5 ×10-6/Kの熱膨張率を有する単結晶シリコンからなる基板に付着し、かつ基板と面接触する。アルミナは異なる熱膨張率( 5.8×10-6/K)を有するので、基板及び動作中に発熱する集積されたデバイス間に作用力が生ずる。これにより回路及び基板ユニツト全体の寿命を短くする。従つて標準的MLC基板を使用する場合には、効果的な冷却、チツプサイズの制限及びコントロールド圧壊チツプ接続(C4)のような特殊な接続技術を含む応力低減技術が必要である。
【0004】MLC加工においては、電力分配及び信号転送のための導電性ラインを導く種々の層が、複数の水平及び垂直相互接続を含む配線網構造体に積み重ねられる。十分な剛性を有する基板を得るために焼結処理において基板全体を「焼く」。この高温ステツプは基板の著しい収縮のためにクリテイカルである。従つて垂直配線のための多数のバイアを含む個々の層は、その幾何学的形状及びその積層構造体内の他の層に対する方向性を厳密に維持しなければならない。等質性を正確に維持しながら焼結処理が行われなければ、例えば垂直にコンタクトするバイアの位置がずれることによつて内部導電パスが開いたり短くなつたりする。このような内部配線の失敗は修復できないので、この場合再生できない欠陥を有するMLC基板になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在のMLC基板製造は全シーケンスに亘つて種々の高精度処理ステツプを必要とするので、一般的に上述のことは以後の結果に大きな影響を与える。こうした依存性のため、一般的に再生の可能性は大幅に制限される。従つてMLCレイアウトのサイズ又は内部配線デザインに顕著な修正を加えるごとに、費用のかかる大幅な変更が装置及びプロセスに必要となる。また製造中には設備の入替え又は更新が何度も必要となるのが普通である。このことにより不必要なパラメータの変更が生じ、欠陥を有する製品が生ずることがある。多くの場合に再生は事実上できないので、MLC加工におけるこれらの固有の困難性が歩留りをかなり制約する。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明においては、各層が、一緒にラテラル方向に配置される平坦な配線ユニツト1からなるモジユール式多層相互配線構造体において、当該層を小さな距離だけ離隔し、この間をSiO2 、Si3 4 又は合成材料からなる絶縁材料又は空気で充填することによつて当該層を電気的に分離するようにする。
【0007】
【作用】本発明は、新しい形式の相互配線基板及びこれを製造するための改善された技術を提供するものである。
【0008】この新しい概念が開示するモジユール式の基板構造体は、比較的小さなサイズの種々の部品を「サブユニツト」として各別に製造し、これを最後に組み合わせて多層相互配線構造体を形成する。こうしたユニツト部品は好適には(例えば四角形、三角形又は六角形などの)幾何学的形状である平坦なピースであり、間隔を残さずにこれらユニツト部品を隣接して配置することができる。この場合これらのユニツトのすべてが同一の形状である必要はない。
【0009】それぞれのユニツト部品のセツトを1つの平面に接合することによつて、最終的構造体の個々の層を得ることができる。次にこれらの層を積み重ねることによつて多層基板全体を構築する。その際1つの層から他の層にラテラル方向に位置をずらして、垂直に隣接するユニツト部品のエツジが一直線に揃わないのが好ましい。これによつて個々のユニツト間に間隙を置かずに稠密な層を実現するためにすべてのユニツトを利用することができる。また少なくとも部分的には、間隔又は空所を残置するユニツトを選択することができ、この間隔又は空白は最終的な多層基板において、例えば空気又は他の冷却剤の流れによつて冷却するのに好適なチヤネルを形成し得る。
【0010】ユニツト部品それ自身は例えばセラミツク、ガラス、ガラス−セラミツク、シリコン又は複合材料などの絶縁材料又は半導体材料からなつており、これらユニツト部品の前面及び又は後面には個別に種々の相互接続ラインのパターンを描くことができる少なくとも1つの導電性材料の層が連続している。導電性材料が充填されたバイアホールすなわち開口の所望のセツト又は標準化されたアレイによつてユニツトの前面から後面に貫通接続が得られ、これがユニツトを貫通する電気的パスとなる。所望の貫通接続を各導電ライン又は導電層の前面及び又は後面に接続することによつて、各ユニツトは一段と複雑な多層相互配線構造体の個々の部品を形成することができる。
【0011】最終的な多層相互配線構造体の組立てに際し、例えばろう付け技術又ははんだ付け技術によつて異なるユニツトを組み合わせる。このため各ユニツト部品は、はんだ付け又はろう付けに好適かつ上下のユニツトの各パツドに合致するように配列される面パツドの独自のセツト又は標準化されたアレイを含む。これにより所望のろう付け又ははんだ付けパツドを各ユニツトのそれぞれの導電ライン又は導電層に接続し得るので、垂直に隣接するユニツト部品間の電気的相互接続が同時に形成される。
【0012】相互配線基板の1つの層のラテラル方向に隣接するユニツト部品間の配線は、他の層のユニツトの連続する導電ラインによつてなし得、この導電ラインは、積み重ねられた層の位置がずれるために他の平面のユニツトのエツジ横切る。
【0013】最終的基板の別個の層間を例えばSiO2 、Si34 又はポリイミドなどの絶縁材料によつて電気的に分離することができる。これによつて当分野において周知の標準的技術によつて作られる各開口又はバイアのために、ユニツトをろう付け又ははんだ付けする所望の面コンタクトパツドを被覆せずに残す。
【0014】積み重ねられたすべての層間の距離を小さくする、すなわち平面において物理的にコンタクトすることがないように維持することもできる。このためろう付け又ははんだ付け用のパツドは、ろう付け又ははんだ付けの後、ユニツトの導電面領域又は面相互接続ラインを離しておくのに十分な間隔がユニツト部品間に残るようにユニツトの表面から突き出るように配列される。かくして処理ステツプの数を減らすと共に、寄生容量の減少による(空気の誘電率が低いことに起因する)優れた電気的性能を提供する、絶縁被覆されないユニツトが必要である。
【0015】本発明に特有の利点は、このモジユール式概念が、プロセスにも設備にも大きな変更を加えることなく相互配線基板に極めて多様な構造を与えることができる。ユニツト部品を付加又は除去して層の領域を変更することにより、大きな修正にも容易に対応することができる。また例えば一段と複雑な新しい集積回路のための付加的配線に関する基板の機能変更を容易に実現することができる。このため必要に応じて付加的な層の追加又はユニツト部品の組合せの変更及び又は基板の特定ユニツト部品の修正を行う。進行中の技術開発において通常基板に求められるのは全体的変更ではなく部分的変更のみであるので、多くの場合大部分は変更せずに少数の個々のユニツト部品のみを修正すれば十分である。かくして極めて多様な多層基板に標準化ユニツト部品を使用することができる。
【0016】本発明のモジユール式概念に従えば、サブユニツト(複雑性が少ない)を個別に検査し欠陥のない部品のみを選択して次の処理に進むことができるので、欠陥のない多層基板を容易に組み立てることができる。これにより品質及び歩留り率がそれぞれ向上する。
【0017】本発明の新しい概念の有する他の利点は、独特の形状及び又は配線機能を有する別個のユニツトを同時に製造して所望の基板に最後に接合することができることである。これは現行のMLC加工とは明確に異なり、現行のMLC加工は、欠陥のない最終製品を得るために全体に亘つて連続する高精度処理ステツプを必要とする。この新しいモジユール式技術においては処理ステツプの大部分を個別に実行し、かつ最適化することができる。
【0018】
【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0019】本発明のモジユール式概念によるこの新しい相互配線基板は、例えばろう付け技術又ははんだ付け技術によつて接合され積み重ねられた層から構成される。各層それ自身は隣接して配置された個別サブユニツトのセツトを含む。図1は四角形の上面2を有する本発明の好適な実施例の一般的なユニツト1を示す。またこれ以外の形式のユニツトを選択して最終的基板の各層を構築することもできる。冷却用チヤネルを生成するため、ユニツト間に局部的な小さな空間を残しても良い。この好適な実施例における各層の隣接するユニツトは、空所を残さずに稠密にパツクされた平面を構成する。
【0020】各ユニツトは絶縁材料又は半導体材料7からなり、一組の面コンタクトパツド3を含むのが好ましい。これらのパツドは、例えば次の層への所望の垂直導電パスに従つてその個別の配置を決定するか又は標準化されたアレイとして個別に配置されても良い。図1は標準化されたアレイとして個別に配置された好適な実施例であり、各面コンタクトパツドは貫通接続6の終端領域を表す。これは、標準化されたアレイ又は貫通接続のマトリクスを生成しており、各面コンタクトパツドは、それぞれ対になつた前側及び後側の面導電パツドを電気的に接続する。この均一のデザインに従えば、同一の部品として一様なこのプロセスに精通しつつユニツトの大部分を製造することができる。次に特定のコンタクトパツド3を相互に接続する特定の面導電ライン5を適用することによつて個別化(専用化)することができる。
【0021】この好適な実施例のユニツトは単結晶シリコンからなり、半導体技術において使用される標準ウエハから切り出される。これにより当分野において周知のドライエツチング(反応性イオンエツチング)又はウエツトエツチング技術を含む異方性エツチングを用いてバイア6を生成することができるが、例えばマイクロドリリング、レーザビームエツチング又はマイクロエレクトロ腐食などの他の方法も考えられる。結晶方位(100)の標準的なSiウエハを用いて、異方性ウエツトエツチングにより四角錐の形状を有するホールを残す。所望の幅のバイアを確保するのに十分な量だけ角錐の「先端」が重複するまで、前面及び後面の両側から同時にエツチングして開口を作る。次にこれらの構造体に例えばスパツタリング(蒸着)、化学気相成長、めつき浴又は当分野において周知の他の技術などの堆積技術によつて導電性材料又は超伝導材料を充填することによつて、ユニツトの一方から他方に電気的接続を形成する。この処理の前に貫通接続ホールの壁をSiO2 (サーマルSiO2 が好適である)又はSi3 4 のような絶縁物質により被覆して導電性の内部材料を絶縁層によつて周囲の単結晶シリコンから分離する。
【0022】同時にこの層を拡張してユニツトの前面及び後面の一次被覆として用いることもできる(図4の符号11を参照)。
【0023】図1に示すように各ユニツトの前面及び後面は、例えば金属、合金又はドープした半導体などの導電性材料の薄膜層8及び9により被覆され、この薄膜層8及び9を上述の技術によつて堆積することができる。電気的性能を良好なものにするためには、銅(copper) 、アルミ銅(aluminum-copper) 、タングステン−シリサイド(tungsten-silicide) 、チタン−シリサイド(titanium-silicide) 又は当分野で周知の他の低電気抵抗物質を選択することが好ましい。特定の応用のためには、薄膜層8及び9として超伝導材料を使用しても良い。またユニツトの前面及び後面に異なる材料を用いることもできる。一般に前面及び後面の面コンタクトパツド3は例えば分離空間4によつて周囲の導電層8及び9から電気的に絶縁され、分離空間4は当分野で周知の標準的な構造技術により形成される。特定のコンタクトパツドをそれぞれの導電層8及び9又は導電ライン5に接続する必要がある場合には、この分離空間を除去すれば良い。
【0024】面導電ライン5は、標準的リソグラフイー技術又はフオトリソグラフイー技術によつて導電層8及び9により形成することができる。図1に示す好適な実施例においてはユニツトの前面2のみに導電ラインが形成され、後面はコンタクトパツド絶縁に必要な分離空間すなわち分離リング4以外は全面的に導電性材料8によつて被覆される。他の実施例においては、両面に導電ラインを設けることにより一段と複雑な配線をすることができる。しかしながらこの好適な実施例の利点は、こうした連続的な導電性平面が電磁遮蔽及び又は多層配線構造内における低抵抗の電源及び接地母線層として使用し得ることである。
【0025】図2に示すように、特定の面コンタクトパツドを相互に接続する面導電ライン5が、マトリスク配列を妨害せずにこれらのパツド間を走る。これは現行のMLC技術とは対照的である。現行のMLC技術の各相互接続ライン102は図3に示すようにパツド103の格子上のラインに置かれるので、利用し得るコンタクトパツドの数が少なくなる。図2のように構成すれば、集積回路製造の分野のパターン作成技術を用いて導電ラインの寸法を一段と小さくすることができるので、2つのパツド間にいくつものラインを通すことができる(3本のラインを通した例を図2に示す)。
【0026】図4はユニツトの面コンタクトのラインに平行になるように切断方向を選択したサブユニツトの拡大断面図である。導電層8及び9並びに貫通接続6をシリコンベース材料7から分離するため、貫通接続6を導電性材料を堆積する前に絶縁層11で被覆する。絶縁層11はSiO2 又はSi34 からなるのが好ましいが、他の絶縁材料又はこれらの組合せであつても良い。バイアの種々の壁又は表面部分のために厚さ及び材料の異なる絶縁層を使用することもできる。
【0027】この好適な実施例のバイア6はシリコンベース材料7の異方性ウエツトエンチングにより作られ、かくして一般的な双−角錐形を示す。電気的相互接続のためにすべてのバイアは導電性材料で充填されるが、電気伝導率及び熱伝導率が高い銅を用いるのが好ましい。複数の貫通接続は導電性材料からなる面コンタクトパツド3を両面に支持し、この導電性材料ははんだ付け又はろう付けの土台として機能するのに好適なように濡らすことができるものである。これらのパツドはろう付け又ははんだ付け後の積層されたユニツトに小さな隔りを保持させるのに十分な厚さを有する。かくして、これらのパツドは同時に、垂直に隣接するユニツトの導電層間に空間を作る距離保持機構として機能する。ユニツトの少なくとも一方の面のコンタクトパツド3上に新たに導電性材料10が堆積され、この導電性材料10は、はんだ付け又はろう付けの材料として役立つように金属、合金又は当分野において周知の構成物から選択される。この物質は後に処理シーケンスの中で、積み重ねられたユニツト層を接合する際に溶解される。
【0028】複雑な配線ネツトワークを実現するため、個々のユニツトの特定の貫通接続が上又は下のユニツトの面コンタクトと電気的コンタクトを持たないように要求される。例えばラテラル方向に隣接するユニツトへの電気的架橋が、他の1つの層のみのユニツト上の配線によつて形成される必要がある。すなわち最終的構造体内の貫通接続の縦に重なつているそれぞれのラインは、局部的に電気的コンタクトをするだけである。このため、選択された貫通接続の終端領域(及びそれぞれ垂直に隣接するユニツトの貫通接続の対応する領域)上にコンタクトパツド3並びにはんだ付け及びろう付け用材料10を堆積する処理は省略される(符号113及び115を参照)。
【0029】図5はユニツトの接合を示す断面図である。最終的構造体の各平面には各ユニツトが隣接して配置されるので、この好適な実施例には空所すなわち空間は残らない。組立てに際しこれらユニツトの側面を一直線に揃つたエツジ14として直接的に使用することによつて、ユニツト相互の位置決めが容易になる。単結晶シリコンからなるユニツトを薄いウエハデイスクから切り出すことができるので、現代の高精度ダイシング工具を用いれば所望の精度を得ることができる。垂直に隣接するユニツト間にラテラル方向の位置ずれが生ずるように層を積み重ね、次にろう付け又ははんだ付け用のパツド15によつて接続する。大多数のユニツトは、上下に隣接する層の貫通接続アレイと一直線に揃つている、隙間のない標準的な貫通接続アレイを支持するのが良い。かくしてろう付け又ははんだ付け後の最終的基板は、垂直に走る貫通接続の直線状の鎖を含む。バイアの容積は銅で充填されるのが好ましいという事実があるので、最終的な多層基板の本体内に熱伝導性の「バー」の束すなわち「バー」の格子が形成され、こうした「バー」の束は放熱を最適とする。
【0030】距離保持具によつて離してセツトされる上述のユニツト配置においては、面導電ライン5を含む導電層8及び9を非導電性材料により被覆する必要がなく、これは本発明の独特の利点であり、この距離保持具によつて分離されていなければ、非導電性材料で被覆して絶縁することが必要となる。従つて空気に露出された導電性材料はすべて腐食作用を有する空気に対する耐性を有する物質から選択する必要がある点に注意を要する。
【0031】この設計によれば、信号を運ぶ配線のほとんどすべてが主として空気によつて囲まれ、すなわち1に近い誘電率をもつ媒質によつて互いに分離される。かくして寄生容量が大幅に減少し、その結果一段と速い信号伝播及び少ない漏話を最終的多層構造体内に実現することができる。
【0032】特殊な目的のためには、被覆された表面及び又は面導電ラインを有するユニツトによる他の実施例が優れているかも知れない。最終的な表面層として好適な種々の物質が当分野において知られており、例えばポリイミド、SiO2 、PSG又はBPSG(燐を含むSiO2 又はこれにホウ素を追加したもの)などがある。この場合最終的多層基板の積層の少なくとも一部分は、直接の物理的コンタクトを有する。これによりコンパクトな層接続ができることになるが、この場合選択自由な研磨ステツプが先行する。この実施例においては距離保持具を使用しなくても良く、上述のように形成しても良く、若しくは突き出ているピン又はソケツトのような他の構造によつて実現しても良い。
【0033】多層基板の側面は図5の右側に示すように、例えば表面保護のために最終プレートすなわち最終層12によつて被覆し得る。これにより、周囲の大気及び基板内部間の必要のない交換を防ぐシーリング効果を同時に得ることができる。同様に隣接するユニツトの終端のダイシングエツジを毛管現象を回避するためにシール13によつて密封することができる。
【0034】図1〜図5はユニツトの両面に1つの導電層8及び9だけを示すが、標準的な技術を使用して絶縁性材料によつて分離され、例えばリソグラフイー技術によつて構造化されるいくつかの導電性平面を設けることもできる。これらの層の個々の導電ラインの相互接続はそれぞれのバイアによつて形成することができる。この場合、既にこのようなユニツトは上述の実施例に述べられているような一段と複雑な基板の一部となるのに適する「低レベル」多層相互配線構造体を表している。
【0035】抵抗又はコンデンサなどの受動電子素子若しくはダイオード又はトランジスタなどの能動電子素子(図示せず)さえも、ユニツトの部品として含むことができる。特にユニツトが半導体材料からなつている場合には、標準的集積技術を使用することによつて、ユニツトの部品として直接にこれらの素子を形成することができる。かくして最終的多層相互配線基板は予め電子的機能を含むことができる。
【0036】図6は最終的多層相互配線基板の好適な実施例を示す。ユニツト17の積層品が構造体全体の上部22を構成する。最上層はそれぞれの集積回路21に対応するように配列された面コンタクトパツドを支持するユニツト16からなつており、ユニツト16は寸法及び又はコンタクト(図示せず)の数が違つていても良い。層間の位置がずれているために、基板の側面に凹所が生ずる。最終的多層基板の側面が平坦である必要がある場合には、特別な形状を有するユニツト18をこれらの凹所に使用しても良い。これらの凹所の少なくとも1つをプラグインシステムの雌部として使用することもできる。対応する挿入部品19は、この技術分野の卓越した多様性の中から選択されたマイクロコンタクトのセツトすなわちアレイを含んでいて良い。
【0037】このプラグイン機能を種々の目的に使用し得ることは本発明に独特の利点である。例えばそれぞれの導電ラインにより相互に接続されるコンタクトを支持するプラグイン部品19を挿入することによつて、多層基板の完成後にその内部配線網を変更することができる。かくして最終的な相互配線基板の修理又は個性化ができる。プラグイン部品は、特に半導体材料からなつている場合、付加的に受動電子素子又は能動電子素子さえも支持することができるので、最終的基板を極めて多様に改変することができる。プラグイン部品の他の応用は、機能テストのための使用又は外部デバイスのための取り外しできる相互接続として使用でき、外部デバイスのために取り外しできる相互接続として使用できる場合にはプラグイン部品に配線を取り付けることができる。
【0038】図6に示す多層基板の下部は第1のセツトと同様に形成される第2の積層セツト23からなるのが好ましく、換言すれば配線を支持するサブユニツト部品からなるのが良い。一般的に多層基板の裏側は複数のコンタクトピン20を有するので、下部の層及びそれぞれのユニツト部品は一段と大きな形状を有し、かくして優れた機械的安定性を示す。
【0039】図7は図6に示す実施例の拡大断面図である。下部スタツク23の最下層には、例えばはんだ付け又はろう付け技術によつてコンタクトピン20が取り付けられる。下部スタツクの各層を構成するために用いられるサブユニツトは単結晶シリコンからなるのが好ましく、これにより上述した異方性エツチングによつてバイアを設けることができる。それぞれ前面のマスク及び裏面のマスクを調整することによつて、これらのバイアを容易に非対称とすることができる。得られるバイアすなわちホールの形状は四角錐となり、これにより最下層のそれぞれの凹所の中に合致するように基部24を形成されたピンを極めて堅固に保持することができる。これは、ピンの組立てに際して自己整合効果を有することを示し、機械的応力に耐え得る接続となる。
【0040】図8は多層基板の下層スタツク23が第1の層スタツク22の側面を越えて延びている本発明の他の実施例である。下層の延長部上に少なくとも1つのプラグインソケツト26を設けることによつて、基板全体を対応するコネクタ25及びそれぞれのケーブル又は線束27によつてボード又は他のデバイスに電気的に接合することができる。かくして裏面のピンアレイをこの実施例のコネクタ配置に置き換えることができる。
【0041】下層スタツク23の延長部を大きくして、新たな多層スタツク部品22(図示せず)を直接支持し得るようにすることもできる。何組もの個別多層スタツク部品22をそれぞれの寸法に合わせて作られた下層スタツク23によつて相互接続することができ、これは従来技術による第2レベルのパツケージングボードに置き替わるものである。
【0042】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、1つの層から他の層にラテラル方向に位置をずらして、垂直に隣接するユニツト部品のエツジが一直線に揃わないように層を積み重ねることによつて、種々の形式の多層相互配線構造体を柔軟かつ低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はモジユール式の好適な実施例を、内部を開示した1つのサブユニツトについて示す斜視図である。
【図2】図2は面コンタクトの好適な配列及び面導電ラインのレイアウトを示すコンタクトの上面図である。
【図3】図3は従来の(MLC)技術によるユニツトの上面図である。
【図4】図4はユニツトの1つの側縁と平行に切断方向を選択したサブユニツトの拡大断面図である。
【図5】図5は好適な相互配線構造体の積み重ねられた2つのユニツトを示す図3の切断方向と同一の断面図である。
【図6】図6は特定の素子及び好適な実施例の特徴を含む最終的な相互配線構造体の全体を示す斜視図である。
【図7】図7は積み重ねた配線層22に加えてターミナルピンを有する基盤層23を示す図6による相互配線構造体の拡大断面図である。
【図8】図8はターミナルピンが、拡張した基盤の前面に配置されたプラグインソケツトに置き換えられた他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、16、17、18……ユニツト、2……ユニツトの上面、3……面コンタクトパツド、4……分離空間、5……面導電ライン、6……貫通接続、7……絶縁材料又は半導体材料、8、9……導電性材料の薄膜層、10……付加的な導電性材料、11……絶縁層、12……最終プレート、13……シール、14……エツジ、15……ろう付け又ははんだ付け用パツド、19……プラグイン部品、20……コンタクトピン、21……集積回路、22……積層された構造体の上部スタツクすなわち第1セツト、23……積層された構造体の下部スタツクすなわち第2セツト、24……ピン20の基部、25……コネクタ、26……プラグインソケツト、27……ケーブル、113、115……はんだ付け及びろう付け用材料10を省いた領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】少くとも一方が導電性材料で作られている頂部及び底部表面層をそれぞれ有し、互いに重ね合せるような位置関係に配設されていることにより2又は3層以上のプレナ配線ユニツトの層を形成できるようになされた複数のプレナ配線ユニツトと、上記各プレナ配線ユニツトを貫通して延長することにより上記プレナ配線ユニツトの上記頂部表面層を上記底部表面層に電気的に導通させる複数のスルー接続部と、上記複数のスルー接続部に選択的に付着した複数のコンタクトパツドとを具え、上記表面層は対応する上記スルー接続部及び又はコンタクトパツドの少くとも一部をそれぞれ受ける複数の開口を有し、上記開口のうち選択された開口は、上記表面層と上記選択された開口内に受け入れられたスルー接続部及び又はコンタクトパツドとの間にギヤツプ間隔をあけるような大きさに選定され、これにより上記スルー接続部及び又はコンタクトパツドが上記表面層とは電気的に絶縁されていることを特徴とする多層配線構造体。
【請求項2】上記コンタクトパツドは上記表面層の厚みを越えて突出するような大きさに選定されていることにより、上記配線ユニツトが2又は3以上の隣接プレナ層内に配設されたとき、1つのプレナ層が隣接するプレナ層内の配線ユニツトの上記底部表面層から離間し、これにより隣接する層間にプレナギヤツプを形成することを特徴とする請求項1に記載の多層配線構造体。
【請求項3】上記複数の配線ユニツトの選択された1つは選択されたスルー接続部に電気的に接続する位置に配設された1又は2以上の表面導電ラインを含み、上記導電ラインは上記選択されたスルー接続部以外のスルー接続部に電気的に接続することを避けるように配設され、上記各導電ラインは上記表面層の1つの厚み内の少くとも一部に位置するように配設されたことを特徴とする請求項1に記載の多層配線構造体。
【請求項4】厚みを挟んで両側にある第1及び第2の表面を有し、その少くとも一方の表面が導電性材料層によつて覆われているプレナ基板をそれぞれ有する複数の配線ユニツトであつて、当該各配線ユニツトが互いに重ね合せる関係に配設されることにより上記配線ユニツトの1又は2以上の層を形成できるようになされた複数の配線ユニツトと、上記各配線ユニツトをそれぞれ貫通するように延長して上記プレナ基板の上記第1の表面から上記第2の表面に電流を流す複数のスルー接続部と、上記プレナ基板の上記第1及び第2の表面の少くとも一方に堆積された1又は2以上の導電ラインであつて、当該導電ラインは選択された上記スルー接続部と電気的に接続されていると共に、上記導電ラインが上記導電性材料層の厚さ内に配設されている1又は2以上の導電ラインとを具えることを特徴とする多層配線構造体。
【請求項5】上記配線構造部の一部の層の周縁の近傍に設けられた窪み内に配設できるような大きさ及び形状を有する少くとも1つのプラグ差込み型コネクタを具えることを特徴とする多層配線構造体。
【請求項6】(a)少くとも一方が厚みを貫通するように延長する複数の開口を有する導電性材料層に覆われかつ厚みを挟んで両側にある第1及び第2の表面と、(b)幅を挟んで両側にある側縁と、を有するプレナ基板をそれぞれ含む複数の配線ユニツトであつて、上記各配線ユニツトは互いに側方に隣接するような関係に配設されることにより、当該隣接する配線ユニツトの上記側縁が互いに向い合いかつ上記配線ユニツトが当該配線ユニツトでなる配線ユニツトプレナ層を形成できるようになされた複数の配線ユニツトと、上記複数の配線ユニツト又は1つの配線ユニツトプレナ層が上記第1の表面が上記隣接する配線ユニツトの上記第2の表面と対向するように重ね合され、かつ上記複数の配線ユニツト又は1つの配線ユニツトプレナ層の上記側縁が隣接する上記配線ユニツトの上記側縁と垂直方向に一線に揃わないように並ぶように配設されることにより構成された2又は3層以上の配線ユニツトプレナ層と、上記配線ユニツトの厚みを貫通するように延長することにより上記配線ユニツトの上記第1の表面から上記第2の表面に電流を流す複数のスルー接続部と、(a)上記導電性材料層の上記開口の内部及び(b)上記導電性材料層の厚み内の少くとも一部に配設された1又は2以上の導電ラインであつて、選択されたスルー接続部間に延長しかつ電気的に接続するようになされ、かつ(1)上記選択されたスルー接続部以外のスルー接続部と(2)上記導電性材料層とに電気的に接続されないような大きさ及び位置に選定されている1又は2以上の導電ラインとを具えることを特徴とする多層配線構造体。
【請求項7】さらに上記配線構造部の外側縁上に堆積することにより配線ユニツトの隣接層間のギヤツプを封止する材料層を含むことを特徴とする請求項6に記載の多層配線構造体。

【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公告番号】特公平7−101728
【公告日】平成7年(1995)11月1日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−112204
【出願日】平成4年(1992)4月4日
【公開番号】特開平5−145006
【公開日】平成5年(1993)6月11日
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【復代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基