説明

多層防滑・剥離フィルム

【課題】工程数を削減すると共に原材料等のロスを少なくし、人体を害することなく、防滑性及び剥離性に優れた多層防滑・剥離フィルムを安価に量産し、不織布基材等でも目止めを不要とし、ラミネートのみで防滑性及び剥離性を付与する。
【解決手段】コア層6の一側面に防滑層7を形成し、且つ、コア層6の他側面に剥離層8を形成した。コア層6の両側の剥離層6及び防滑層8は、製膜時に、多層フィルムキャスト装置9により1工程で同時成形した。また、コア層6の基材としては、紙、不織布又は樹脂フィルムを使用した。これにより、防滑性及び剥離性に優れた高品質の3層防滑・剥離フィルム5を安価に量産できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層防滑・剥離フィルムに関するものであり、特に、両側面又は一側面に防滑性又は剥離性を有する多層防滑・剥離フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、包装用フィルムにおいては、その性能アップのために、包装用フィルムの基材表裏両側に防滑面及び剥離面をコーティング処理により形成したものがある。この場合、性能向上のための防滑処理と剥離処理は、フィルム基材を製膜加工(1次加工)した後に、コーティング加工(2次加工)を行っている。
【0003】
図6は、従来の包装用フィルム1の構造例を示すものであって、単層フィルム基材2の上面側には、防滑剤をコーティングすることにより、防滑コート層3が設けられている。又、単層フィルム基材2の下面側には、剥離剤をコーティングすることにより、剥離コート層4が設けられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−198169号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の包装用などに使われるフィルム1は、単層フィルム基材2を製膜した後に、単層フィルム基材2の両側面に防滑コート層3及び剥離コート層4を2次加工により別々にコーティングしているため、製膜工程と塗工工程とスリット工程との3工程を必要としている。したがって、従来技術によれば、各コーティングのための工程数が多くなるうえに、原材料等のロスも増加して不経済になるという欠点を有する。
【0005】
また、従来の塗工工程では、有害な溶剤を使用しているために、溶剤が人体の健康を害する。さらに、剥離処理プロセスにおいては、UV硬化処理を行う必要がある。それゆえ、UV硬化処理のために、高価な設備費用及び維持費用を必要とする。
【0006】
このように、従来品は、単層フィルム基材2の表裏両側に防滑コート層3、剥離コート層4をそれぞれ別工程でコーティングして成る。従って、製膜工程と塗工工程とスリット工程の3つの工程を必要とするので、その分だけ工程数が多くなると共に、原材料等のロスが増加する。加えて、溶剤は人体に対し有害となるうえに、設備面等でコスト高を招くという問題があった。
【0007】
また、剥離コートについては、基材(紙、不織布、フィルム等)の制約があり、紙の場合は通常ポリラミネート加工、PVAやアクリル樹脂等を目止め加工して成る加工紙を使用しなければならない。また、このことは不織布の場合も同様であり、ポリラミネート加工を行わなければ剥離剤が裏抜けてしまい、剥離コートすることは不可能であった。さらに、フィルム基材においては、帯電防止剤や酸化防止剤等の添加剤が含まれているものがあり、これらに剥離コートを施すと、シリコーンが硬化・密着しない為に、最適なフィルムを選択する必要があった。
【0008】
そこで、工程数を削減すると共に原材料等のロスを少なくし、人体を害することなくコスト低減を可能にする等のために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、コア層を有する多層防滑・剥離フィルムであって、コア層の少なくとも一側面に防滑層又は剥離層が形成され、防滑層又は剥離層は、多層フィルムキャスト装置によりコア層の成形と同時に成形されている多層防滑・剥離フィルムを提供する。
【0010】
即ち、防滑層又は剥離層を有する多層フィルムは、コア層の一側面に防滑材又は剥離材を同時に押し出すことが可能な多層フィルムキャスト装置を用いて同時成形されることを特徴とする。具体的な構成としては、防滑層−コア層、剥離層−コア層、防滑層−コア層−剥離層の組み合わせが含まれる。この構成によれば、コア層の製膜時に、該コア層の一側面、他側面にそれぞれ防滑層、剥離層を多層フィルムキャスト装置により同時成形することができる。このことにより、所望の防滑性及び剥離性を有する多層フィルムが1工程で容易迅速に得られる。
【0011】
従来品は、単層フィルムを製膜する際に1工程、そして、その表裏両側に防滑コート層、剥離コート層を成形する際に1工程の、合計2工程でコーティングする必要があった。その点、本発明品は、フィルム自体を積層構造にすることにより、コーティングを行うことなく、防滑性能及び剥離性能をフィルム製膜時(1工程)のみで持たせることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、コア層を有しない多層防滑・剥離フィルムであって、一側面に防滑層が形成されていると共に他側面に剥離層が形成され、該防滑層及び剥離層は、多層フィルムキャスト装置により同時に成形されている多層防滑・剥離フィルムを提供する。
【0013】
即ち、防滑層及び剥離層を有する多層フィルムは、一側面、他側面に防滑材、剥離材をそれぞれ同時に押し出すことが可能な多層フィルムキャスト装置を用いて同時成形されることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、フィルムの製膜時に、一側面、他側面にそれぞれ防滑層、剥離層を多層フィルムキャスト装置により同時成形することができる。このことにより、所望の防滑性及び剥離性を有する多層防滑・剥離フィルムが1工程で得られる。即ち、本発明品は、コーティング工程を必要とせず、フィルム製膜時に、防滑層及び剥離層が1工程で同時成形される。
【0015】
請求項3記載の発明は、紙、不織布又はフィルム等から成るコア層の少なくとも一側面に、防滑樹脂又は剥離樹脂が押出ラミネート装置により成形されている多層防滑・剥離フィルムを提供する。
【0016】
即ち、請求項3記載の発明は、紙、不織布又は樹脂フィルム等の基材に、上記防滑層又は剥離層を押出ラミネート加工することにより、防滑剥離紙、防滑剥離不織布又は防滑剥離フィルムが容易に製造される。具体的な構成としては、防滑層−コア層、剥離層−コア層、防滑層−コア層−剥離層の組み合わせが含まれる。
【0017】
従来品は、紙や不織布等のコート剤がしみこみやすい基材において、PVAやアクリル樹脂等の目止め加工が必要であった。その点、本発明品は、押出ラミネート加工するだけで、防滑性能及び/又は剥離性能を持たせることが可能になる。
【0018】
この構成によれば、基材は包装用フィルム等の製品の用途や特性に応じて、紙、不織布又は樹脂フィルムを択一的に任意選択して使用される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、製膜時(1次加工時)に、コア層の表裏両側に防滑層、剥離層を多層フィルムキャスト装置により同時成形することによって、防滑性及び剥離性を有する積層構造のフィルムが容易に得られ、従来必要であった表裏両側の各コーティング処理が不要になる。従って、フィルム製膜時において、防滑層と剥離層の双方を1工程で同時加工できるようになり、コーティングの工程(1工程)数だけ生産工程を省略できると共に、原材料等のロスも減少するという優れた効果を奏する。
【0020】
また、有害な溶剤を使用しないので、人体を害することがない。さらに、従来の塗工工程の剥離処理プロセスのように、UV硬化処理を行うための高価な設備が不要になり、設備費用及び維持費用の削減化が可能になる。
【0021】
請求項2記載の発明は、表裏両側面に防滑層及び剥離層を多層フィルムキャスト装置により同時成形することによって、防滑性及び剥離性を有する積層構造のフィルムが容易に得られ、請求項1記載の発明の効果と同様に、従来必要であったコーティング処理が不要になり、生産性が向上すると共に、原材料等のロスも減少する。又、有害な溶剤を使用する必要がなく、UV硬化処理を行うための設備も不要になる。
【0022】
請求項3記載の発明は、紙、不織布又は樹脂フィルム等を基材とする両側に、防滑層又は剥離層が押出ラミネート加工されるので、用途に見合った物理的な特性、例えばバリアー性、剥離性、防滑性、強靱性を有する防滑剥離紙、防滑剥離不織布又は防滑剥離フィルムを安価に量産化できる。
【0023】
また、従来技術では、紙や不織布等を基材に用いた場合はコート剤がしみこみ、PVAやアクリル樹脂等の目止め加工が必要であったが、本発明は、ラミネート加工するのみで、防滑性能及び剥離性能を容易に付与できる。
【0024】
従来技術のフィルム基材においては、帯電防止剤や酸化防止剤等の添加剤が含まれていることが多々あり、これらがシリコーン硬化・密着を妨げるので、フィルム種類やグレード等を選定する必要があった。特に、フィルムと樹脂の相性が悪い場合は、コロナ処理、オゾン処理、AC剤をコーティングするなど、ラミネートの密着性を向上させることが一般的であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明による最良の実施形態は、工程数を削減すると共に原材料等のロスを少なくし、人体を害せずに低コスト化が図れるという目的を達成するため、コア層の少なくとも一側面に防滑層又は剥離層が形成され、該防滑層又は剥離層は、コア層の製膜時に、多層フィルムキャスト装置により同時に積層成形されることを特徴とする。
【0026】
本発明の多層防滑・剥離フィルムは、少なくとも2層以上設ける必要があるが、防滑層樹脂と剥離層樹脂は高価であるので、用途に見合う安価な樹脂をコア層に設けることで、低コストが図れる。この場合、防滑層と剥離層はなるべく薄膜に形成することが望ましく、更に言えば3層構造がより好ましい。
【0027】
また、強度、ガスバリアー性などの物理的性質を付与させる目的として、性質の異なる樹脂をコア層に1層以上設けても良い。
【0028】
上記コア層に用いる樹脂としては、各種の合成樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性の樹脂を使用することができる。用途、要求物性によっても異なるが、コスト性と加工性の観点から、ポリエチレンを使用することが好ましい。
【0029】
本発明の多層防滑・剥離フィルムでは、コア層が紙材、不織布材又は樹脂フィルム材から選ばれた1つから成り、該コア層の表裏両側に、防滑層、剥離層を押出ラミネートにて1工程で成形できる。これにより、生産工程が簡略化するだけでなく、用途に対応する性能を有する紙材、不織布材又は樹脂フィルム材をベースとした積層フィルムが、容易に量産化される。
【0030】
コア層に用いる紙、不織布又は樹脂フィルム基材としては、ラミネート加工できる材質であれば特に限定されず、用途や目的に応じて任意に選択可能である。例えば、生理ナプキン個別包装用途においては、カサカサ音がしない柔軟性のある不織布、ティッシュ原紙、タオル原紙等を用い、この場合の秤量は10〜30g/m、好ましくは10〜20g/mとする。
【0031】
不織布の種類としては、スパンボンド、サーマルボンド、メルトブローン、スパンレース、ニードルパンチ、ケミカルボンド、エアレイド等が使用可能であり、コスト(低秤量)と加工性を考慮すると、好ましくはスパンボンドやサーマルボンドがよい。素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を使用できるが、好ましくは安価なポリエチレン、ポリプロピレンがよい。
【実施例1】
【0032】
以下、本発明の実施例1について説明する。実施例1の防滑性及び剥離性を有する多層防滑・剥離フィルム(多層フィルム)5は、図1に示すように、コア層6の一側面に防滑層7が形成され、且つ、コア層6の他側面に剥離層8が形成されている。コア層6、防滑層7及び剥離層8は、3層フィルムキャスト装置により同時に積層成形されている。
【0033】
多層防滑・剥離フィルム5は、図2に示す多層フィルムキャスト装置9を用いて製造される。まず、コア層6となるコア層樹脂11を押出機10のスクリューで混練して、加熱溶融状態でTダイ12に押し出すと共に、防滑層樹脂15、剥離層樹脂16をそれぞれ押出機13、押出機14のスクリューで混練して、同時にTダイ12からコア層樹脂11の一側、他側にそれぞれ、防滑層樹脂15、剥離層樹脂16を加熱溶融状態で押し出した。
【0034】
本実施例では、冷却ロール17側に剥離層樹脂16が配置されるようにして押出し成形を行ったが、これとは逆に、防滑層樹脂15が冷却ロール17側に配置されるようにして行っても良い。剥離層樹脂16又は防滑層樹脂15の配置は、樹脂の性質によっても異なり、加工性が良い方に適宜変えることができる。
【0035】
ここでは、防滑層樹脂15としては、MFR8.0、密度0.905の柔軟性、低温ヒートシール性の高い直鎖状低密度ポリエチレン(A)50部、MFR3.8、密度0.938の耐熱性、強度のある直鎖状低密度ポリエチレン(B)65部、MFR3.0、密度0.924の加工性良好の低密度ポリエチレン(C)35部の割合にて用いたが、これに限らず、柔軟性と粘着性のある熱可塑性樹脂であれば全て使用できる。尚、配合条件は、B+C=100であり、更に(B+C)+A=100を満たすものとし、この場合、(B+C)=50とする。
【0036】
又、剥離層樹脂16としては、スリップ剤、即ちシリコーンマスターペレット(D)0.1部〜50部、好ましくは5部〜10部程度に、MFR3.8、密度0.938の直鎖状低密度ポリエチレン(B)65部、MFR3.0、密度0.924の低密度ポリエチレン(C)35部の配合にて用いたが、これに限らず、剥離性のある熱可塑性樹脂、あるいは、熱可塑性樹脂にコンパウンド可能な剥離性のある素材を使用しても良い。
【0037】
例えば、シリコーンパウダー、シリコーンオイル、シリコーンガム、フッ素樹脂パウダー、TPX等のパウダー、オイル、樹脂等が種々考えられ、配合条件は上記同様、B+C=100であり、更に(B+C)+D=100を満たすものとし、この場合、(B+C)=50とすることができる。なお、各押出機10、13、14の各Tダイ12の加熱温度は、ここでは材質や製造条件などに応じて、200°乃至260℃に設定した。
【0038】
次に、コア層樹脂11、防滑層樹脂15、剥離層樹脂16は、Tダイ12の下端部から冷却ロール17とゴムロール18の間に送り、コア層樹脂11を防滑層樹脂15と剥離層樹脂16で挟んだ状態で、これらを加圧冷却し、積層成形した。
【0039】
こうして得られた積層物(多層防滑剥離フィルム5)は、数本の送りローラ19,20,21,22により巻取機(ワインダー)23に搬送されて巻き取られた。これにより、コア層樹脂11の一側、他側に防滑層樹脂15、剥離層樹脂16を形成してなる多層防滑剥離フィルム5が成形された。この多層防滑・剥離フィルム5の断面構造を図1に示す。
【0040】
実施例1によると、1次加工である製膜時に、コア層6(樹脂材11)と防滑層7(樹脂材15)及び剥離層8(樹脂材16)を多層フィルムキャスト装置9によりフィルム状に同時成形したので、防滑性及び剥離性を有する3種3層構造のフィルム5が、1工程で効率よく製造された。この製造では、コーティング処理を行う必要がなく、従来に比べ生産工程が簡略化すると共に、原材料等のロスを大幅に減少できた。
【0041】
また、従来の塗工工程と異なり、成形加工では有害な溶剤を一切使用しないため、人体を害することがなく、加えて、高価なUV硬化処理設備が不要になり、更なるコスト削減化が図れた。斯くして、防滑機能及び剥離機能に優れ、且つ、人に優しい高品質の多層防滑剥離フィルム5を安価に製造できた。
【0042】
尚、この実施例では、コア層6を有する3層構造のフィルムを製造したが、コア層6を省いた2層構造のフィルム、つまり、一側面、他側面に防滑層樹脂、剥離層樹脂をそれぞれ同時に押し出すことが可能な2層フィルムキャスト装置を用いることにより、防滑性及び剥離性を有するコア層無しの多層フィルムを1工程で製造することも可能である。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2の多層防滑・剥離フィルム24は、図3に示すように、ベースとなるコア層25の基材として、紙又は不織布を用いて、コア層基材26の一側面、他側面にそれぞれ、上記防滑層7(15)、剥離層8(16)を2回通しにて押出ラミネート加工もしくはタンデム押出ラミネート加工にて形成したことを特徴とする。
【0044】
多層防滑・剥離フィルム24の製造工程は、上述した実施例1とは一部異なるので、これについて説明する。多層防滑・剥離フィルム24は、図5に示す押出ラミネート装置27を用いて製造される。使用する樹脂については、上述した防滑層樹脂15及び/又は剥離層樹脂16を用い、加工条件は各基材によって異なるが、250℃〜340℃、好ましくは280℃〜320℃の加工温度で基材の密着性を上げた。尚、生理ナプキン個別包装用フィルムを製造する場合、不織布基材としてSMS不織布15gで行うが、その他不織布でも可能である。
【0045】
製造の際は、まず、紙基材又は不織布基材26を繰出機28より繰り出し、防滑層樹脂15又は剥離層樹脂16をホッパー29より押出機30に供給し加熱溶融混練し、Tダイ31の下端部から冷却ロール32とゴムロール33の間に送り、紙基材又は不織布基材26の一側面に、剥離層樹脂16または防滑層樹脂15を押出ラミネート加工した。こうして得られた積層物(多層防滑・剥離フィルム24)は、巻取機34にて巻き取られた。次に、加工していないフィルム他側面に、防滑層樹脂15または剥離層樹脂16を上記同様に加工することにより、多層防滑・剥離フィルム24を製造した。多層防滑・剥離フィルム24の3層の断面構造例を図3に示す。
【0046】
このように、紙基材又は不織布基材26にラミネート加工すれば、従来、紙又は不織布に必要であった目止め処理が不要になり、防滑性および剥離性を容易に付与することができた。
【実施例3】
【0047】
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例3の多層防滑・剥離フィルム35は、図4に示すように、ベースとなるコア層36の素材として、樹脂フィルム基材37を用い、該コア層36の一側面、他側面にそれぞれ、上記防滑層7(15)、剥離層8(16)を押出ラミネート加工にて形成したことを特徴とする。多層防滑・剥離フィルム35の具体的な製造工程は、上述した実施例2と同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
このように、コア層25の素材を紙基材又は不織布基材26から樹脂フィルム基材37に変更しても、上記実施例1,2と同等の効果が得られた。また、樹脂フィルム基材37においても、フィルムの種類やグレードを選択することなく、通常のラミネート加工と同様にして、防滑性、剥離性を容易に付与することができた。
【0049】
上記実施例によれば、紙基材もしくは不織布基材26、あるいは樹脂フィルム基材37に、上記防滑層7(15)、剥離層8(16)を押出ラミネート加工したことにより、防滑剥離紙、防滑剥離不織布又は防滑剥離樹脂フィルム35が容易に効率よく製造できた。この場合、用途に見合った物理的な特性、例えばバリアー性、剥離性、防滑性、強靱性を有する防滑剥離紙、防滑剥離不織布又は防滑剥離樹脂フィルム35を安価に量産することができた。
【0050】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1に係る多層防滑・剥離フィルムの断面図。
【図2】本発明の一実施の形態を示し、多層防滑・剥離フィルムを製造するときに用いる多層フィルムキャスト装置の全体構成説明図。
【図3】本発明の実施例2に係る多層防滑・剥離フィルムの断面図。
【図4】本発明の実施例3に係る多層防滑・剥離フィルムの断面図。
【図5】本発明の一実施の形態を示し、他の多層防滑・剥離フィルムを製造するときに用いる押出ラミネート装置の全体構成説明図。
【図6】従来例を示し、包装用フィルムの断面図。
【符号の説明】
【0052】
1 包装用フィルム
2 単層フィルム基材
3 防滑コート層
4 剥離コート層
5 多層防滑・剥離フィルム
6 コア層
7 防滑層
8 剥離層
9 多層フィルムキャスト装置
10 押出機
11 コア層樹脂
12 Tダイ
13 押出機
14 押出機
15 防滑層樹脂
16 剥離層樹脂
17 冷却ロール
18 ゴムロール
19 送りロール
20 送りロール
21 送りロール
22 送りロール
23 巻取機(ワインダー)
24 多層防滑・剥離フィルム
25 コア層
26 紙基材又は不織布基材
27 押出ラミネート装置
28 繰出機
29 ホッパー
30 押出機
31 Tダイ
32 冷却ロール
33 ゴムロール
34 巻取機(ワインダー)
35 多層防滑・剥離フィルム
36 コア層
37 樹脂フィルム基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア層を有する多層防滑・剥離フィルムであって、前記コア層の少なくとも一側面に防滑層又は剥離層が形成され、該防滑層又は剥離層は、多層フィルムキャスト装置により前記コア層の成形と同時に成形されていることを特徴とする多層防滑・剥離フィルム。
【請求項2】
コア層を有しない多層防滑・剥離フィルムであって、一側面に防滑層が形成されていると共に他側面に剥離層が形成され、該防滑層及び剥離層は、多層フィルムキャスト装置により同時に成形されていることを特徴とする多層防滑・剥離フィルム。
【請求項3】
紙、不織布又はフィルム等から成るコア層の少なくとも一側面に、防滑樹脂又は剥離樹脂が押出ラミネート装置により成形されていることを特徴とする多層防滑・剥離フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−118288(P2007−118288A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311362(P2005−311362)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000205823)大昭和紙工産業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】