説明

多数の微少情報処理装置を内蔵した織物

【課題】身体の情報を容易に取り込み、この情報に基づいて、身体に所要の信号を発射することが可能な織物を提供する。
【解決手段】情報処理装置を、微少な外殻と、外殻に内蔵されたCPUと、外殻に内蔵されたアンテナと、外殻に内蔵されCPUからの電気信号により駆動される駆動部と、外殻に内蔵された検出部とでを構成する。この情報処理装置を多数高密度で平均的に分布するように繊維体に埋設し、該繊維体を縦横に組み合わせて織物を構成する。駆動部は発熱体、磁気発生体、超音波発生体の中のいずれか1つにより構成され、検出部は外殻表面の温度、外殻のひずみ、外部からの超音波信号の中のいずれか1つを検出する機能を保有有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体に着装可能で身体の所要の情報を取得することができ、取得した情報に基づいて身体に所要の信号を付与することができるようにした、多数の微少情報処理装置を内蔵した織物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサー、マイクロコンピュータを装着し情報処理機能を具備した衣服が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−56390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主たる目的は、身体の情報を取得でき、且つ取得した情報に基づいて身体に熱刺激などの信号を付与でき、しかも内部の微少コンピュータが他のコンピュータとワイヤレスなデータネットワークを構築できるようにした多数の情報処理装置を内蔵した織物を提供し、該織物を種々の用途に利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明は、微少な外殻と、該外殻に内蔵されたCPUと、前記CPUに入出力回路を介して接続し前記外殻に内蔵され前記CPUからの電気信号により駆動され所要の信号を前記外殻の外に出力する駆動部と、前記CPUに入出力回路を介して接続し所要の信号を検出する前記外殻に内蔵された検出部とで情報処理装置を構成し、前記情報処理装置を多数繊維体に埋設し、該繊維体を縦横に組み合わせて織物を構成したことを特徴とする。
また本発明は、前記駆動部が発熱体、電磁気発生体、磁気発生体、電界発生体、超音波発生体の中のいずれか1つであることを特徴とする。
また本発明は、前記検出部が前記外殻表面の温度、前記外殻のひずみ、外部からの超音波信号、電磁気、磁気、電界信号の中のいずれか1つを検出し、該検出信号を前記CPUに出力する機能を有することを特徴とする。
また本発明は、前記外殻にアンテナを内蔵し、該アンテナを前記CPUに入出力回路を介して接続したことを特徴とする。
また本発明は、前記アンテナと、前記駆動部と、前記検出部とがそれぞれ1個の外殻の中に複数配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、情報処理機能を有する織物をサポータや衣服、包装物等に加工し、身体等に着装することで、簡単に被着装体の情報を得ることができ、その情報に対応する治療用等の信号を駆動部から被着装体に発射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明に使用される情報処理装置2の内部構造を示している。情報処理装置2の外殻4はプラスチック材により構成され、該外殻4は、本実施形態では、中空の球状に形成されている。
【0007】
外殻4の内部には、半導体チップ構成のセンター部6が内蔵され、外殻4の内周面に面した部分にはアレイアンテナ8と、複数の駆動部10と、複数の検出部12とが配置されている。前記センター部6は、1個のCPU14と、複数の入出力回路16と、複数の記憶装置18と、複数の充電型のマイクロ電池20とから構成されている。
【0008】
前記アレイアンテナ8は、磁気信号、電界信号、電磁波信号及び超音波信号の中のいずれか1つを発振し且つ受信して電気信号に変換する機能を備えている。本実施形態では、複数のアレイアンテナ8は、それぞれ異なった機能を備えている。前記駆動部10は、発熱体、電磁気発生体、磁気発生体、電界発生体、超音波発生体の中のいずれか1つの駆動体から成り、該駆動部10は、CPU14からの駆動信号によって、身体の患部に作用する、熱エネルギーや、電磁気信号や、磁気信号や、電界信号や、超音波信号を発射する機能を有している。
【0009】
前記検出部12は、外殻4表面の温度、外殻4のひずみ、外部からの超音波信号、電磁気信号、磁気信号、電界信号のいずれかを検出し、該検出信号をセンター部6にデータとして送る機能を有している。外殻4内の複数の検出部12は、それぞれ、上記機能の中の、いずれか1つを備えている。前記アレイアンテナ8、駆動部10及び検出部12は、それぞれリード線を介して、センター部6の入出力回路16に接続している。
【0010】
前記情報処理装置2は、ナノテクを用いた技術により製造され、微少な、例えば1/100mmの径の球体を構成し、またこのサイズに応じて、内部の各構成要素のサイズが設定されている。また、情報処理装置2は、合成樹脂製の繊維体22に、略等間隔を存して、所定の高密度で配置埋設されている。この情報処理装置2が配置埋設された多数の繊維体22は、縦横に組み合わされて織物24を構成している。
【0011】
前記各織物24に高密度で点在配置された情報処理装置2のCPU14は、そのメモリにユニークIDを持ち、各情報処理装置2の識別を可能にしている。各情報処理装置2のセンター部6の記憶装置18には、通信プログラムが格納され、これにより、情報処理装置2は、図1に示すように、アレイアンテナ8を通じて、他の情報処理装置2と相互にデータの送受信を行うことができ、データネットワークが構築できるように構成されている。
【0012】
次に、情報処理装置2が内部に高密度で点在配置された織物24を、一枚または複数枚重ねて、身体のつぼを温める治療用衣服として使用する実施形態について説明する。
織物24は、人の肌に部分的あるいは全身を覆うことができるように、サポーター状あるいは下着状に縫製加工される。図5は、人の腕26に、サポーター状に加工された織物24が巻かれている状態を示している。
【0013】
身体の一部に装着した織物24の、情報処理装置2には、図6に示すように、電源供給調整器26,電気・磁気変換器28を通じて、電力用の誘導磁気信号が供給される。情報処理装置2は誘導磁気信号をアレイアンテナ8で受信し、電気信号に変換する。CPU14は、この電気信号を電池20に供給し、電池20を充電する。
【0014】
電気・磁気変換器28から電力エネルギーが供給された情報処理装置2は、電池20の電力を電磁気信号に変換し、アレイアンテナ8を介して、他の情報処理装置2に送出する。この電磁気信号は他の情報処理装置2に電気信号として取り込まれ、この電気信号によって、他の情報処理装置2の電池20が充電される。
【0015】
治療用として、コントローラ30が用意され、該コントローラ30の入出力部に検出装置32と、駆動装置34が接続されている。コントローラ30は、ユーザーインターフェイスを構成し、本実施形態では、各情報処理装置2の発熱体からなる駆動部10を制御して、患部を所望の温度に設定するための、温度制御用のコントローラが使用されている。このコントローラ30には、身体の温度分布に基づいてつぼの位置を認識し、このつぼを加熱するためのマッサージ用プログラムが格納されている。
【0016】
上記した構成において、ユーザーは、コントローラ30のダイヤル36を操作して、身体のつぼを加熱する所望の温度を設定する。駆動装置34を、身体を覆う織物24に接近させると、設定温度情報が、駆動装置34から、変調された電磁気信号として出力され、この電磁気信号は、その近傍の情報処理装置2のアレイアンテナ8に受信される。
【0017】
駆動装置34近傍の情報処理装置2のCPU14は、アレイアンテナ8からの入力信号に基づいて、患部の加熱温度を設定する。また、駆動装置34近傍の情報処理装置2のCPU14に設定された温度情報は、アレイアンテナ8を通じて、他の情報処理装置2の伝送される。身体を覆う織物24の各情報処理装置2は、検出部12を通じて、肌の温度を検出し、各情報処理装置2で検出された温度情報は、各情報処理装置2をアレイアンテナ8で結ぶデータネットワークと、検出装置32を通じて、コントローラ30に入力される。
【0018】
コントローラ30は、各情報処理装置2のデータネットワークから取得した温度情報に基づいて、身体のつぼの位置を認識し、つぼに位置する各情報処理装置2の発熱体からなる駆動部10に駆動信号を送り、駆動部10を発熱させてつぼを加熱する。身体の加熱されたつぼの温度は、検出部12によって検出され、この検出された温度は、入出力回路16を介して、記憶装置18に記憶されるとともに、CPU14の制御により、アレイアンテナ8を通じて外部に発信される。
【0019】
アレイアンテナ8から発信された各情報処理装置2の温度情報は、情報処理装置2間のデータネットワークと、検出装置32を介してコントローラ30にフィードバック信号として入力される。コントローラ30は、このフィードバック信号に基づいて、つぼに対する加熱温度を設定温度に自動制御する。
尚、本発明は、身体のつぼを加熱して、身体のマッサージを行う実施形態の外に種々の用途に利用することが可能であり、特に上記実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の説明図である。
【図2】本発明の説明図である。
【図3】本発明の説明図である。
【図4】本発明の説明図である。
【図5】本発明の説明図である。
【図6】本発明の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
2 情報処理装置
4 外殻
6 センター部
8 アレイアンテナ
10 駆動部
12 検出部
14 CPU
16 入出力回路
18 記憶装置
20 電池
22 繊維体
24 織物
26 電源供給調整器
28 電気・磁気変換器
30 コントローラ
32 検出装置
34 駆動装置
36 ダイヤル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微少な外殻と、該外殻に内蔵されたCPUと、前記CPUに入出力回路を介して接続し前記外殻に内蔵され前記CPUからの電気信号により駆動され所要の信号を前記外殻の外に出力する駆動部と、前記CPUに入出力回路を介して接続し所要の信号を検出する前記外殻に内蔵された検出部とで情報処理装置を構成し、前記情報処理装置を多数繊維体に埋設し、該繊維体を縦横に組み合わせて織物を構成したことを特徴とする多数の微少情報処理装置を内蔵した織物。
【請求項2】
前記駆動部が発熱体、電磁気発生体、磁気発生体、電界発生体、超音波発生体の中のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の多数の微少情報処理装置を内蔵した織物。
【請求項3】
前記検出部が前記外殻表面の温度、前記外殻のひずみ、外部からの超音波信号、電磁気、磁気、電界信号の中のいずれか1つを検出し、該検出信号を前記CPUに出力する機能を有することを特徴とする請求項1に記載の多数の微少情報処理装置を内蔵した織物。
【請求項4】
前記外殻にアンテナを内蔵し、該アンテナを前記CPUに入出力回路を介して接続したことを特徴とする請求項1に記載の多数の微少情報処理装置を内蔵した織物。
【請求項5】
前記アンテナと、前記駆動部と、前記検出部とがそれぞれ1個の外殻の中に複数配置されていることを特徴とする請求項4に記載の多数の微少情報処理装置を内蔵した織物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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