説明

多数の流体供給源接続を具備する印字ヘッドアセンブリ

【課題】組み立ておよび分解が容易であって、可変寸法の印字ヘッドユニットを形成する多数の分離可能な個別部品から構成される印字ヘッドユニットを提供する。
【解決手段】印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュール30は、支持部材40と、各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズル42を有する印字ヘッド集積回路50と、印字ヘッド集積回路を支持部材に取り付ける流体分配部材と、電気信号を印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとから成る一体の装置として設けられる。支持部材は、チャネルから印字ヘッド集積回路の関連ノズルに印刷流体を導くように配置され、その壁を通って延びる複数の開口を有する、印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する長手方向に延びるチャネル41を有し、印字ヘッドアセンブリは印字ヘッドモジュールとこの印字ヘッドモジュールが取外し可能に取り付けられるケーシングとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムで使用するための印字ヘッドユニットに関する。特に本発明は、印刷ユニットに取付け可能であり、また印刷ユニットから取外し可能である印字ヘッドアセンブリと、この印字ヘッドアセンブリの印字ヘッドモジュールと、このようなものを組み立てる方法と、プリント回路基板を含む印字ヘッドアセンブリの種々のコンポーネント(構成要素)と、に関する。
[同時係属中の出願への相互参照]
下記の出願は、本出願と同時に本出願人によって出願されているものである。
PCT/AU_/___(WAL) PCT/AU__/____(RRA) PCT/AU__/____(SMA)
これらの同時係属中出願の開示内容は、参照として本明細書に組み入れられている。上記の出願は、これらの出願ドケット番号によって識別されるものであって、ドケット番号はいったん譲渡されると、対応する出願番号に置き換えられる。
【背景技術】
【0002】
印刷システムで使用するためのページ幅の印字ヘッドが既知である。このような印字ヘッドは、典型的に、情報が印刷される印刷媒体の幅に亘っており、印字ヘッドの寸法とこのような構成は、印刷システムのアプリケーションと印刷媒体の寸法とに依存して変化する。この点に関しては、このような印字ヘッドの必要な寸法の大きな変化によって、この可変性に対応する方法で、このような印字ヘッドを製造することは困難である。
【0003】
したがって本出願人は、端と端を接する方法で配列された複数の交換可能な印字ヘッドタイルで構成されたページ幅印字ヘッドの使用を提案している。これらのタイルの各々は、既知の方法で印刷媒体に印刷流体、例えばインクを発射する印刷ノズルを組み込んだ集積回路を搭載している。このような構成は、可変寸法の印字ヘッドを製造することをより容易にしており、また印字ヘッド全体を廃棄する必要なしに、ページ幅印字ヘッド内のいかなる欠陥タイルも取り外して交換する能力を可能にしている。
【0004】
しかしながらいかなる欠陥タイルも取り外して交換する能力は別として、前に提案された印字ヘッドは一般に、印字ヘッドの各コンポーネントが他のコンポーネントに固定的に取り付けられている一体的ユニットとして形成されている。このような構成は、組立工程を複雑にし、欠陥タイル以外のコンポーネントを交換する必要性が必要になっても、容易な分解を提供しない。したがって組立ておよび分解がより容易であって、可変寸法の印字ヘッドユニットを形成する多数の分離可能な個別部品から構成される印字ヘッドユニットが必要とされている。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一実施形態において、
印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュールであって、
支持部材と、各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を上記支持部材に取り付ける少なくとも1つの流体分配部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとからなる一体の装置を備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、上記少なくとも1つのチャネルから上記流体分配部材のそれぞれを経由して上記印字ヘッド集積回路の両方における、または3つ以上であればそれらのすべてにおける関連ノズルに印刷流体を導くように配置された、上記支持部材の壁を通して延びる複数の開口を含む印字ヘッドモジュールが提供される。
【0006】
上記印字ヘッドモジュールの上記一体の装置は、これが上記印字ヘッドアセンブリに取り外し可能に取り付けられることを可能にする。
【0007】
上記支持部材は、上記流体分配部材のそれぞれを経由して上記印字ヘッド集積回路の両方における、3つ以上であればそれらのすべてにおけるノズルの関連グループの方向に異なる印刷流体を搬送するようにチャネル各々が配置された複数のチャネルを有して形成され得る。印字ヘッド集積回路のノズルを実質的に不純物がないように維持するために、これらの印字ヘッド集積回路に空気を送るための更なるチャネルを設けることもできる。
【0008】
印字ヘッド集積回路の個々の回路を支持する別々の流体分配部材の使用は、印字ヘッドタイルを提供する。これらのタイル/流体分配部材の各々は、関連する印字ヘッド集積回路が取り付けられる上層と中間層と支持部材の上面に取り付けられる下層とを備える少なくとも3層の積層されたスタックとして形成され得る。
【0009】
下層は、支持部材の開口のそれぞれに整合するように配置された第1の分配開口と、支持部材の開口と実質的に同じ直径を有するこれら第1の分配開口のそれぞれと関連するその上面の第1の分配チャネルとを含む。
【0010】
中間層は、下層の第1の分配チャネルに整合するように配列された、第1の分配開口より小さな直径を有する第2の分配開口を含む。
【0011】
上層は、中間層の第2の分配開口に整合するように配置されたその下面における第2の分配チャネルと、第2の分配開口より小さな直径を有する、第2の分配チャネルに関連する第3の分配開口とを含む。
【0012】
この関連する印字ヘッド集積回路は、上層の第3の分配開口に整合し、それぞれのノズルに流体を導くように配置されたノズル供給開口を含み、これらのノズル供給開口は、ほぼ数ミリメートルの直径を有する支持部材の開口を有して第3の分配開口と実質的に同じ直径を有し、少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のノズル供給開口はほぼ数マイクロメートルの直径を有する。
【0013】
流体分配部材(単数または複数)を支持部材に取り付けるために、流体分配部材(単数または複数)の下面は、接着剤によって支持部材の上面に接着され得る。この接着剤は、支持部材の開口の各々と流体分配部材(単数または複数)の下面に形成された対応する開口の各々とを取り囲むように堆積されることによって、それぞれの開口間にシールを形成するために使用できる。
【0014】
支持部材の長手方向に伸びる方向に関して支持部材を横切って延びる行に形成された支持部材の開口を有する構成において、接着剤の2つの堆積物は、取付け装置に安定性を提供するために開口の行の両側に堆積され得る。この接着剤は、硬化可能な樹脂であり得る。
【0015】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュールであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記印字ヘッド集積回路を支持する支持部材とを備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ異なる印刷流体を搬送する複数の長手方向に延びるチャネルを有し、
上記支持部材は、印刷に使用される上記印刷流体の数に関する特定の要件を満たすために選択可能である印字ヘッドモジュールが提供される。
【0016】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュールであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記印字ヘッド集積回路を支持する支持部材と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のそれぞれを支持部材に個別に取り付ける少なくとも2つの流体分配部材とを備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、また上記支持部材の壁を通して少なくとも1つのチャネルから延びる複数の開口を含み、
上記流体分配部材の各々は、上記支持部材の開口から関連印字ヘッド集積回路のノズルに印刷流体を導くための複数の層の積層されたスタックとして形成される印字ヘッドモジュールが提供される。
【0017】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュールであって、
印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも1つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも1つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、上記少なくとも1つの印字ヘッド集積回路を支持部材に取り付けて、上記支持部材から上記印字ヘッド集積回路に上記印刷流体を分配する少なくとも1つの流体分配部材とを備え、
上記少なくとも1つの流体分配部材の下面は接着剤によって上記支持部材の上面に接着される印字ヘッドモジュールが提供される。
【0018】
本発明の別の実施形態において、印字ヘッドアセンブリのための印字ヘッドモジュールを組み立てる方法であって、
各々が印刷媒体への印刷流体のために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を少なくとも1つの流体分配部材の上面に取り付けるステップと、
上記支持部材と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも1つの流体分配部材とからなる一体の装置を形成するように、上記少なくとも1つの流体分配部材の下面を、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のノズルのための流体搬送チャネルを有する支持部材の上面に接着剤によって固定的に接着するステップと、を備える方法が提供される。
【0019】
この方法は更に、電気信号を印字ヘッド集積回路に接続するために流体分配部材の上面の一部に電気コネクタを接着するステップを備えてもよい。使用される接着剤は、硬化可能な樹脂であり、この場合、本方法の接着ステップは更に、流体分配部材を支持部材に固定するように硬化可能樹脂を硬化させるステップを含む。更にこの接着ステップは、流体搬送チャネルに延びる支持部材の上面の開口の周りに硬化可能樹脂を堆積する工程を含んでもよい。なお更に、この接着ステップは、支持部材の開口と流体分配部材の関連する開口との周りにシーリングガスケットを形成するように硬化可能樹脂を硬化させる工程を含んでもよい。
【0020】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって
支持部材と、各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を上記支持部材に取り付ける少なくとも1つの流体分配部材と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に電気信号を接続するための電気コネクタとからなる一体の装置を備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取外し可能に取付けされるケーシングと、
を備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に伸びるチャネルを有し、また少なくとも1つのチャネルから上記流体分配部材のそれぞれを経由して上記印字ヘッド集積回路の両方における、または3つ以上であればそれらのすべてにおける関連するノズルに印刷流体を導くように配置された、上記支持部材の壁を通して延びる複数の開口を含む印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0021】
この印字ヘッドアセンブリが、複数の印字ヘッド集積回路を有する単一の印字ヘッドモジュールを備える場合、この印字ヘッドモジュールの長さは、選択されたページ幅印刷を提供するように予め決定される。
【0022】
この印字ヘッドアセンブリが少なくとも2つの印字ヘッドモジュールを備える場合、これらは、選択されたページ幅印刷を提供するように予め決められた印字ヘッド集積回路の全長と数とを有するこのアセンブリに直線的に整列して取り付けられる。このような場合印字ヘッドモジュールの各々は、直線的に整列した印字ヘッドモジュールの相互接続を可能にし、それらのチャネルの流体接続を提供する端部を備えることができ、これらの端部は相補的な雌および雄端部を有する。流体接続部のシーリングを助けるために、相互接続された印字ヘッドモジュールの境界面にはエポキシのようなシーリング接着剤が提供されてもよい。
【0023】
印字ヘッドモジュール(単数または複数)は、少なくともノズルから印刷媒体の方向におけるケーシングに関する印字ヘッドモジュール(単数または複数)の動きを抑制する方法でケーシングに取り付けられる。これを助けるために、支持部材は、その第1の側部がケーシングの長手方向に伸びる溝に滑動可能に受け入れられ、その第2の側部がクランプ装置によってケーシングにクランプされるように、形成されてもよい。このクランプ装置は、印字ヘッドモジュール(単数または複数)の動きを抑制するために使用される。
【0024】
ケーシングは、下の壁によって接合された第1、第2の側壁を備えるチャネルを有する、内部に印字ヘッド(単数または複数)が取り付けられる長手方向に伸びるチャネル部を備えることができる。第1の側壁は、上下の長手方向に伸びるタブの間に形成された長手方向に伸びる溝を含み、また第2の側壁は、上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの第2の側部が取り付けられる長手方向に延びる上面を有し、この長手方向に延びる上面は第1の側壁の長手方向に延びる下部突起の高さに実質的に等しいチャネル部の下面からの高さを有する。
【0025】
ケーシングのこのチャネル部は、クランプ装置が係合する支持フレームに組み込まれる。この支持フレームをカバーするためのカバー部もまた、ケーシングに備えられる。
【0026】
印字ヘッドモジュールの支持部材の終端部をキャップまたはシールするために、キャッピング部材が設けられてもよい。支持部材が相補的な雌および雄端部を有する場合、このキャッピング部材は、雌および雄端部の各々をキャップするように配置される。更に、相互接続されたキャッピング部材と印字ヘッドモジュールとの境界面には、エポキシのようなシーリング接着剤が使用できる。
【0027】
印刷流体供給源からの印刷流体搬送ホース(単数または複数)を印字ヘッドモジュール(単数または複数)のチャネル(単数または複数)に接続するために、印字ヘッドモジュールの少なくとも1つの長手方向端部に少なくとも1つの流体コネクタが配置されてもよい。支持部材が相補的な雌および雄端部を有する場合、流体コネクタ(単数または複数)は、雌または雄いずれかの端部と相互接続するように配置される。更に相互接続された流体コネクタ(単数または複数)と印字ヘッドモジュール(単数または複数)との境界面にはエポキシのようなシーリング接着剤が使用されてもよい。
【0028】
流体搬送ホース(単数または複数)に接続するために、流体コネクタ(単数または複数)は、印字ヘッドモジュール(単数または複数)のチャネル(単数または複数)と(線形)流体接続するように配置された少なくとも1つの管状部を有する。2つの流体コネクタが設けられる場合には、チャネル(単数または複数)の両端から流体供給を行うために、印字ヘッドモジュール(単数または複数)の各長手方向端部に1つの流体コネクタが接続される。
【0029】
支持部材が複数のチャネルを有して形成される場合には、これらのチャネルは、流体分配部材のそれぞれを経由して印字ヘッド集積回路の両方における、または3つ以上であればそれらのすべてにおけるノズルの関連グループの方向に異なる印刷流体を搬送するように配置されてもよい。印字ヘッド集積回路のノズルを実質的に不純物がないように維持するために印字ヘッド集積回路に空気を搬送するための更なるチャネルが設けられてもよい。
【0030】
印字ヘッド集積回路の個別の回路を支持する別々の流体分配部材の使用によって、印字ヘッドタイルを提供する。これらのタイル/流体分配部材の各々は、関連印字ヘッド集積回路が取り付けられる上層と中間層と支持部材の上面に取り付けられる下層とを備える少なくとも3層の積層されたスタックとして形成されてもよい。
【0031】
下層は、支持部材の開口のそれぞれに整合するように配置された第1の分配開口と、支持部材の開口と実質的に同じ直径を有するこれら第1の分配開口のそれぞれに関連するその上面の第1の分配チャネルとを含む。
【0032】
中間層は、下層の第1の分配チャネルに整合するように配列された、第1の分配開口より小さな直径を有する第2の分配開口を含む。
【0033】
上層は、中間層の第2の分配開口に整合するように配置されたその下面における第2の分配チャネルと、第2の分配チャネルに関連する、第2の分配開口より小さな直径を有する第3の分配開口とを含む。
【0034】
関連する印字ヘッド集積回路は、上層の第3の分配開口に整合し、ノズルのそれぞれに流体を導くように配置されたノズル供給開口を含み、これらのノズル供給開口は、ほぼ数ミリメートルの直径を有する支持部材の開口を有して第3の分配開口と実質的に同じ直径を有し、また少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のノズル供給開口はほぼ数マイクロメートルの直径を有する。
【0035】
流体分配部材(単数または複数)を支持部材に取り付けるために、流体分配部材(単数または複数)の下面は、接着剤によって支持部材の上面に接着されてもよい。この接着剤は、支持部材の開口の各々と、流体分配部材(単数または複数)の下面に形成された対応する開口の各々とを取り囲むように堆積されることによってそれぞれの開口間にシールを形成するために使用できる。
【0036】
支持部材の長手に延びる方向に関して支持部材を横切って延びる行に形成された支持部材の開口を有する装置において、接着剤の2つの堆積物は、取付け装置に安定性を提供するために開口のこの行の両側に堆積され得る。この接着剤は、硬化可能な樹脂であり得る。
【0037】
印字ヘッドモジュール(単数または複数)は、ケーシングの支持フレームによって支持される。この支持フレームをカバーするためのカバー部もケーシングに備えられる。支持フレームはまた、電気コネクタを介して印字ヘッド集積回路を駆動するために設けられた駆動電子回路を支持する。
【0038】
印字ヘッドアセンブリはまた、ケーシングに取り付けられた印刷媒体ガイドを備えてもよい。この印刷媒体ガイドは、印刷媒体が印字ヘッド集積回路の各回路のノズルに突き当たるのを防止するように、ケーシングに取り付けられた印字ヘッドモジュールによって形成される印刷面を通過する印刷媒体をガイドするように配置される。これは、印字ヘッド集積回路のノズルと通過する印刷媒体との間にギャップを形成するように印刷媒体ガイドを配置することによって達成される。
【0039】
駆動電子回路は、電気コネクタを介して少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つに接続された少なくとも1つのコントローラを組み込むことによって、印字ヘッド集積回路の印刷動作を制御できる。駆動電子回路は、ケーシングの支持フレームによって支持された少なくとも1つのプリント回路基板上に設けられる。駆動電子回路を電気コネクタに接続するために、プリント回路基板は、電気コネクタに整合する少なくとも1つの接続ポートを支持する。各印字ヘッド集積回路は、少なくとも1つのコントローラが選択可能な数の印字ヘッド集積回路の印刷動作を制御するように配置されるように個別の電気コネクタに接続され得る。
【0040】
印字ヘッドモジュール(単数または複数)が2個の印字ヘッド集積回路の1つ以上のグループを備える場合、電気コネクタを介して2個の印字ヘッド集積回路の各グループを制御するために単一のコントローラが選択できる。印字ヘッドモジュール(単数または複数)が4個の印字ヘッド集積回路の1つ以上のグループを備える場合、電気コネクタを介して4個の印字ヘッド集積回路の各グループを制御するために単一のコントローラが選択できる。印字ヘッドモジュール(単数または複数)が8個の印字ヘッド集積回路の1つ以上のグループを備える場合、電気コネクタを介して8個の印字ヘッド集積回路の各グループを制御するために単一のコントローラが選択できる。印字ヘッドモジュール(単数または複数)が16個の印字ヘッド集積回路の1つ以上のグループを備える場合、電気コネクタを介して16個の印字ヘッド集積回路の各グループを制御するために単一のコントローラが選択できる。
【0041】
コントローラのためのプリント回路基板は、印字ヘッドモジュールをケーシングにクランプするためのクランプ装置を組み込んだ少なくとも1つの取付け要素を介してケーシングの支持フレーム上で支持される。更にこのプリント回路基板は、その相対するエッジ領域に設けられた接続ストリップを有することができ、支持フレームの一端に隣接する接続ストリップはデータ入力に接続可能であり、支持フレームの他端に隣接する接続ストリップはデータ信号の反射を防止するような方法で終端される。
【0042】
電源から駆動電子回路に電力を送るために、印字ヘッドアセンブリは、ケーシング内に配置された複数の長手方向に延びる電気導体を備える。これらの電気導体からの電力は、電気コネクタを介して駆動電子回路に送られる。更に電気導体からの電力は、電気コネクタを介して印字ヘッド集積回路にも送られる。
【0043】
これら種々のコンポーネントの電気接続を保証するために、複数の電気導体のそれぞれに対して電気コネクタの導体部に加重するための加重プレートが設けられる。加重プレートは、電気コネクタを電気導体に押し付ける、例えば弾性材料で形成された非導電性部を含む。
【0044】
複数の電気導体は、印字ヘッドアセンブリの一端で電源に接続されるように配置されてもよい。代替として複数の電気導体は、印字ヘッドアセンブリの両端部の中間の隣接領域で互いに接続された電気導体の2つのグループの電気導体のそれぞれによって、印字ヘッドアセンブリのそれぞれの端部において電源にそれぞれ接続された電気導体の2つのグループとして配置され得る。これを容易にするために、個々の電気導体の隣接領域は、オーバーラップして配置される。
【0045】
複数の電気導体は、ケーシングの支持フレームに取り付けられた取付け要素によって支持されることが好都合である。これは、そこに形成された複数の電気導体の個々のものを受けるための複数の凹みチャネルを有する取付け要素によって容易にされる。
【0046】
印字ヘッドアセンブリは、各々が個別のプリント回路基板を支持するように配置された、ケーシングの長手方向に沿って接して配置された取付け要素の少なくとも2つを備えることができる。この配置において、個別のプリント回路基板は、隣接する取付け要素(の各々)の間に位置する電気接続部材によって相互接続される。電気接続部材(単数または複数)は、隣接する取付け要素の凹んだ部分が凹部を形成するように配置された隆起部と凹部とを有する取付け要素の側部領域によって形成された凹部に配置される。電気接続部材(単数または複数)は、導電性ストリップで被覆された非導電性材料を備え、この場合、電気接続部材(単数または複数)は、個別プリント回路基板の各々の基板のエッジ領域で一連の間隔を置いて配置された接続ストリップを覆うように位置決めされる。
【0047】
信頼できる接続を保証するために、プリント回路基板の各接続ストリップは、電気接続部材(単数または複数)の2つの隣接する導電性ストリップの少なくとも1つに係合し、電気接続部材(単数または複数)の導電性ストリップは、プリント回路基板の接続ストリップより2倍ほど多く存在する。
【0048】
取付け要素(単数または複数)は、印字ヘッドモジュール(単数または複数)を支持フレームにクランプするためのクランプ装置を組み込み得る。これは、支持部材の長手方向に延びるタブを支持フレームの第2の側壁の上面にクランプするように配置された少なくとも1つの延長アーム部を備える取付け要素(単数または複数)によって達成される。更に支持部材の長手方向に延びるタブは、印字ヘッド集積回路の取付け位置に対応するように間隔を置いてその長さに沿って配置された複数のラグを含む。延長アーム部(単数または複数)は、それによってクランプされた長手方向に延びるタブ上の複数のラグの1つに係合するように配置された凹部を含む。
【0049】
ケーシングの支持フレームによって支持された駆動電子回路を支持する(第1の)プリント回路基板は、駆動電子回路を電源とデータ源とに接続する第2のプリント回路基板によって支持フレームの一端に係合できる。このために第2のプリント回路基板は、長手方向に延びる電気導体を介して電気コネクタを電源に接続するための電力端子と、第1のプリント回路基板を介して駆動電子回路をデータ入力に接続するためのデータ端子と、流体搬送チューブを介して支持部材の少なくとも1つのチャネルを流体供給源に接続するための流体搬送ポートと、を備えることができる。
【0050】
更に第1のプリント回路基板は、第2のプリント回路基板の方向に第1のプリント回路基板にスプリング加重するように配置された第3のプリント回路基板によって支持フレームの他端に係合させられてもよい。第3のプリント回路基板は、第2のプリント回路基板から第1のプリント回路基板を通り抜けるデータ信号を終端するための終端接続部を備えることができる。
【0051】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のための印刷流体を支持して搬送する支持部材とからなる一体の装置を備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
少なくともノズルから印刷媒体への印刷流体の発射方向におけるケーシングに関する上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの動きを抑制するように上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0052】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールがケーシングの長手方向に延びる溝に滑動可能に受けられるその第1の側部とクランプ装置によってケーシングにクランプされたその第2の側部とを有することによって取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0053】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを各々が有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを各々が備える少なくとも2つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッドモジュールが直線的に整列して取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記アセンブリは、選択されたページ幅印刷を提供するように予め決められた印字ヘッド集積回路の全長と数とを有する、印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0054】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを各々が有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持する支持部材とを各々が備える少なくとも2つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッドモジュールが直線的に整列して取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、
各印字ヘッドモジュールは、直線的に整列した印字ヘッドモジュールの相互接続を可能にし、その支持部材のチャネルの流体接続を提供する端部を有する、印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0055】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの支持部材の終端部をキャップするキャッピング部材と、を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0056】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、
印刷流体供給源からの少なくとも1つの印刷流体搬送ホースを上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの長手方向端部において上記少なくとも1つのチャネルに接続するために少なくとも1つの流体コネクタが設けられる、印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0057】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記支持部材は、上記印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、
流体コネクタの各々が印刷流体供給源からの少なくとも1つの流体搬送ホースを上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの対応する長手方向端部において上記少なくとも1つのチャネルに接続するように配置された2つの流体コネクタが、各々上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールの長手方向端部に接続するように設けられる印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0058】
本発明の別の実施形態において、各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールを支持するための支持フレームとこの支持フレームに取り外し可能に取り付けられるカバー部とを備えるケーシングと、を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0059】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
ケーシングに取り付けられた上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールによって形成される印刷面を通過する印刷媒体をガイドするように配置された、ケーシングに取り付けられた印刷媒体ガイドと、を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0060】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するために上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つに接続される少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0061】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の選択された数の回路の印刷動作を制御するように配置された少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0062】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送するための支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するために上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つに接続された少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記駆動電子回路は、少なくとも1つの取付け要素を介して上記ケーシングの支持フレームによって支持されるプリント回路基板上に設けられる印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0063】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための少なくとも2つの可撓性プリント回路基板とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するために上記それぞれの可撓性プリント回路基板を介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つに接続された少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記駆動電子回路はそれぞれの可撓性プリント回路基板と印字ヘッド集積回路とに直接整列した上記可撓性プリント回路基板に接続するためのそれぞれの接続ポートを支持するプリント回路基板上に設けられる印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0064】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するために上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つに接続された少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記駆動電子回路を取り付け、また上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールをケーシングにクランプするためのクランプ装置を組み込んだ少なくとも1つの取付け要素を取り外し可能に保持するためのケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0065】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するための少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
電源からの電力を上記駆動電子回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路とに供給するように配置された複数の長手方向に延びる電気導体と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路と上記複数の電気導体とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0066】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアシステムであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のそれぞれに接続するための少なくとも2つの電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するための少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備え、
上記少なくとも2つの電気コネクタの各々は、上記少なくとも1つのコントローラからの制御信号を上記対応する印字ヘッド集積回路に導くように、また電源からの電力を上記対応する印字ヘッド集積回路と上記駆動回路とに導くように配置される印字ヘッドシステムが提供される。
【0067】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するための少なくとも1つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
電源からの電力を上記駆動電子回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路とに供給するように配置された複数の長手方向に延びる電気導体と、
上記複数の電気導体のそれぞれに対して上記電気導体の導体部に加重するための加重プレートと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0068】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
電源からの電力を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に供給するための、印字ヘッドアセンブリのそれぞれの端部において上記電源にそれぞれ接続された電気導体の2つのグループとして配置された複数の長手方向に延びる電気導体と、
を備え、
電気導体の上記2つのグループの電気導体のそれぞれは、上記印字ヘッドアセンブリの端部の中間の隣接領域において互いに接続される印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0069】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して電源からの電力を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に供給するように配置された複数の長手方向に延びる電気導体と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、上記複数の電気導体の個々のものを受け入れて取り外し可能に取り付けるための複数の凹んだチャネルをそこに形成した取付け要素とが取り外し可能に保持される支持フレームを備えるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0070】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するための、相互接続された少なくとも2つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路とが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0071】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するように各々がプリント回路基板上に配置された少なくとも2つのコントローラを組み込んだ駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、上記プリント回路基板の各々が2つ以上の取付け要素の少なくとも1つによって取り外し可能に支持される、ケーシングの長手方向に沿って隣接して配置された少なくとも2つの取付け要素と、を支持する支持フレームを備えるケーシングと、
導電性ストリップが上記各個別のプリント回路基板のエッジ領域において一連の間隔を置いて配置された接続ストリップを覆うために位置決めされるように隣接する取付け要素間に配置された導電性ストリップで被覆された非導電性材料を備える電気接続部材と、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0072】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するように配置された駆動電子回路と、
電源からの電力を上記駆動電子回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路とに供給するための複数の長手方向に延びる電気導体と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールを支持する支持フレームを備えるケーシングと、
上記駆動電子回路と電気導体とを取り付け、また上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールを上記支持フレームにクランプするためのクランプ装置を組み込んでいる、上記支持フレームによって保持された少なくとも1つの取付け要素と、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0073】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するように配置された駆動電子回路と、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記駆動電子回路を取り付ける複数の取付け要素とが取り外し可能に配置される支持フレームを備えるケーシングと、
上記駆動電子回路と上記印字ヘッド集積回路とを電源とデータ入力とに接続する上記支持フレームの一端における第1のコネクタ装置と、
上記第1のコネクタ装置の方向に上記複数の取付け要素にスプリング加重する上記支持フレームの他端における第2のコネクタ装置と、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0074】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と、印字ヘッドアセンブリの両端から電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0075】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持し印刷流体を搬送するための少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有する支持部材と、電気信号を上記印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するように配置された駆動電子回路とを取り外し可能に取り付ける支持フレームを備えるケーシングと、
上記支持フレームの少なくとも1つの長手方向端部に取り付けられ、上記電気コネクタを電源に接続するための少なくとも1つの電力端子と上記駆動電子回路をデータ入力に接続するための少なくとも1つのデータ端子と流体搬送チューブを介して上記支持部材の上記少なくとも1つのチャネルを流体供給源に接続するための少なくとも1つの流体搬送ポートとを支持する少なくとも1つのコネクタ装置と、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0076】
本発明の別の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材とを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールを取り外し可能に取り付ける支持フレームと上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールを上記支持フレームにクランプする少なくとも1つのクランプ装置とを備えるケーシングと、
を備え、
上記クランプされた印字ヘッドモジュールと上記少なくとも1つのクランプ装置は、実質的に位置的に上記ケーシングとは独立している、印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0077】
本発明の更に他の実施形態において、一体的に形成されたスプリング部を備えるプリント回路基板が提供される。
【0078】
このプリント回路基板の一体的に形成されたスプリング部は、プリント回路基板の一部を除去することによって形成できる。
【0079】
本発明の更に他の実施形態において、
回路アセンブリであって、
直線的に整列させた方法で配置された複数の第1のプリント回路基板と、
上記複数の第1のプリント回路基板によって支持される電子回路を供給される電力とデータとに接続するための、上記直線的に整列した第1のプリント回路基板の一端に配置された第2のプリント回路基板と、
上記直線的に整列した第1のプリント回路基板の他端に配置された、一体的に形成されたスプリング部を備える第3のプリント回路基板と、
を備える回路アセンブリが提供される。
【0080】
本発明の更に他の実施形態において、
印字ヘッドアセンブリであって、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路のために印刷流体を支持して搬送する支持部材と電気信号を上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタとを備える少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと、
上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に電気的に接続される上述の回路アセンブリと、
上記少なくとも1つの印字ヘッドモジュールと上記回路アセンブリとが取り外し可能に取り付けられる支持フレームを備えるケーシングと、
を備える印字ヘッドアセンブリが提供される。
【0081】
この印字ヘッドアセンブリは、上記回路アセンブリの複数の第1のプリント回路基板がその長手方向に直線的に整列するように支持フレームに取り付けられ、上記回路アセンブリの上記第2、第3のプリント回路基板が支持フレームのそれぞれの長手方向端部に配置され、上記電気コネクタを介して上記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路の少なくとも1つの回路の印刷動作を制御するための駆動電子回路が上記複数の第1のプリント回路基板上に配置されるように配置されることができる。
【0082】
スプリング部を備えるプリント回路基板である第3のプリント回路基板は、更に、第2のプリント回路基板から少なくとも1つの第1のプリント回路基板を通るデータ信号を終端するための終端接続部を、スプリング部上に備えることができる。
【0083】
この印字ヘッドアセンブリにおいて、印字ヘッドモジュールは、少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、支持部材と、電気コネクタと、少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持部材に取り付ける少なくとも1つの流体分配部材とからなる一体の装置として形成できる。この装置において支持部材は、印字ヘッド集積回路へ印刷流体を搬送する少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有し、またこの少なくとも1つのチャネルから流体分配部材のそれぞれを経由して上記印字ヘッド集積回路の両方における、または3つ以上であればそれらのすべてにおける関連ノズルに印刷流体を導くように配置された、支持部材の壁を通って延びる複数の開口を含む。
【0084】
本発明のこれらおよび他の実施形態と利点は、これから付属図面を参照しながら例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
本発明の例示的な実施形態は、印字ヘッドアセンブリとこの印字ヘッドアセンブリに組み込まれる印字ヘッドモジュールとに関連して、この印字ヘッドモジュールを組み立てる方法と共に、説明される。この印字ヘッドアセンブリ用のプリント回路基板も説明される。
【0086】
(一般的な概要)
図1、2に示す印字ヘッドアセンブリ10は、印刷システムにおいてページ幅印字ヘッドとして使用されることを意図したものである。すなわち印刷のための1ページの印刷媒体の、例えば紙の幅を横切って、あるいは長さに沿って延びる印字ヘッド。印刷時に印字ヘッドアセンブリは、印刷媒体が通過進行するときに印刷媒体にインクを発射し、それによって印刷媒体が通過進行するときに静止位置に保持されている印字ヘッドアセンブリによって印刷媒体上に印刷情報を形成する。すなわちこの印字ヘッドアセンブリは、従来の印字ヘッドの方法でページを横切って走査(スキャン)されない。
【0087】
図1、2から分かるように、印字ヘッドアセンブリ10は、ケーシング20と印字ヘッドモジュール30とを含む。ケーシング20は、電力およびデータ入力と共に印字ヘッドアセンブリのための専用の(または駆動)電子回路を収容し、印字ヘッドアセンブリをプリンタユニットに搭載するための構造を提供する。ケーシングから取外し可能であるようにケーシング20のチャネル21内に受け入れられる印字ヘッドモジュール30は、印刷ノズルを組み込んだ印字ヘッド集積回路51を有する印字ヘッドタイル50を支持する流体チャネル部材40を含む。印字ヘッドアセンブリ10は更に、端部ハウジング120およびプレート110アセンブリと、この組み立てられたケーシング20と印字ヘッドモジュール30との長手方向端部に取り付けられる端部プレート111とを含む。
【0088】
さてこの印字ヘッドモジュール30とその関連コンポーネントは、図1〜14Bを参照しながら説明される。
【0089】
図3に示すように、印字ヘッドモジュール30は、流体チャネル部材40とこの部材40の上面に取り付けられた印字ヘッドタイル50とを含む。
【0090】
図1、2に示すように、印字ヘッドモジュール30には、16個の印字ヘッドタイル50が設けられている。しかしながら下記の説明から理解されるように印字ヘッドタイルとそれらに取り付けられる印字ヘッド集積回路との数は、本発明の特定のアプリケーションに合うように変わる可能性がある。
【0091】
図1、2に示すように、印字ヘッドタイル50の各々は、隣接する印字ヘッドタイル50が互いに端と端を接するときにこれらに搭載された印字ヘッド集積回路51がこの領域でオーバーラップするように段付き端部領域を有する。更に印字ヘッド集積回路51は、印字ヘッド集積回路51間のオーバーラップを容易にするために印字ヘッドタイル50の長手方向に関してある角度をなして延びている。隣接印字ヘッド集積回路51のこのオーバーラップは、印字ヘッド集積回路51に組み込まれた印刷ノズル(後述の)間に一定のピッチを提供し、またこの配置は、印字ヘッドアセンブリ10を通過する印刷媒体(図示せず)を横切って、または沿って印刷された情報の切れ目を防止する。印字ヘッド集積回路のこのオーバーラップ配列は、参照として本明細書に組み入れられている本出願人の発行済み米国特許第6,623,106号に記載されている。
【0092】
図4は、印字ヘッドタイル50のための支持部材として役立つ印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40を示す。流体チャネル部材40は、ケーシング20のチャネル21内に嵌合するように構成され、印字ヘッドタイル50に印刷インクその他の流体を送り届けるために使用される。これを達成するために流体チャネル部材40は、流体チャネル部材40の各端部からその長さ一杯に延びるチャネル形ダクト41を含む。これらのチャネル形ダクト41は、流体供給ユニット(印字ヘッドアセンブリ10が搭載される印刷システムの)から複数の出口ポート42を介して印字ヘッドタイル50に印刷インクその他の流体を搬送するために使用される。
【0093】
流体チャネル部材40は、適当な材料を射出成形することによって形成される。適当な材料は、印字ヘッド集積回路のノズルが動作条件(より詳細に後述される)の下で正確に維持され、流体チャネル部材40を通ってチャネル搬送されるインクその他の流体に対して化学的不活性を有するように、低い線熱膨張係数(CTE)を有する材料である。適当な材料の一例は、液晶ポリマー(LCP)である。開放チャネルまたは溝を有する本体部44aとこれらの開放チャネルに受け入れられるように細長いリッジ部44cで形成された蓋部44bとを形成するために、射出成形プロセスが使用される。次に本体部44aと蓋部44bは、図3、4に示すようにチャネル形ダクト41を形成するためにエポキシで互いに接着される。しかしながら流体チャネル部材40をチャネル形ダクト41と一体に形成するために代替の成形手法が使用されることもある。
【0094】
各印字ヘッドタイル50のために対応する出口ポート42と連通して設けられた複数のダクト41は、異なる色付き、または異なるタイプのインクその他の流体を搬送するために使用される。異なるインクは、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの異なるカラー顔料を有することができ、および/または例えば視覚的に不透明なインク、赤外不透明インクなどとして異なる印刷アプリケーションのために選択される。更に使用できる他の流体は、印字ヘッド集積回路51を塵埃その他の不純物がないように維持するための、および/または印刷媒体が印字ヘッド集積回路51に設けられた印刷ノズルに直接接触するのを防止するための空気であり、また特に高速印刷アプリケーションの場合に、実質的に印刷直後のインクを印刷媒体に定着させるための定着剤である。
【0095】
図4に示すアセンブリでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのカラーインク各々を1本のダクトで、赤外インクを1本のダクトで、空気を1本のダクトで、定着剤を1本のダクトで搬送するための7本のダクトが示されている。7本のダクトが示されていても、特定のアプリケーションに合うために、より多いまたは少ない数が設けられることもある。例えば白黒印刷またはグレースケール印刷アプリケーションの一般的により高いパーセンテージのためにブラックインクを搬送するための追加のダクトが設けられることもある。
【0096】
流体チャネル部材40は更に、印字ヘッドモジュール30をケーシング20のチャネル21に固定するために両側に沿って1対の長手方向に延びるタブ43を含む(より詳細に後述される)。しかしながらこの目的のために代替として一連の個別タブが使用できることは理解されるべきである。
【0097】
図5Aに示すように印字ヘッドモジュール30のプリントタイル50の各々は、印字ヘッド集積回路51の1つを支持しており、後者はエポキシカプセル材53内に保護的にカプセル封入された接続部とのワイヤボンディングのような適当な接触方法を使用してプリント回路基板(PCB)52に電気的に接続される。PCB52は、印字ヘッド集積回路51が配置されている場所から離れる方向の印字ヘッドタイル50のエッジにまで延びており、そこでPCB52は、電力とデータとを印字ヘッド集積回路51に供給するために柔軟なプリント回路基板(可撓性PCB)80に直接接続される(詳細に後述される)。これは、印字ヘッドタイル50の各タイルのエッジから延びる、または「吊り下がる」個別の可撓性PCB80によって図6に示されている。可撓性PCB80は、印字ヘッド集積回路51と電源70とケーシング20内に収容された駆動電子回路100(図18Aを参照)を有するPCB90(図3を参照)との間の電気的接続を提供する(詳細に後述される)。
【0098】
図5Bは、印字ヘッドタイル50の1つのタイルの下面を示す。複数の入口ポート54が設けられており、これらの入口ポート54は、印字ヘッドタイル50が搭載されたときに流体チャネル部材40のダクト41の複数の出口ポート42の対応するポートと連通するように配置される。すなわち図示のように7個のダクト41の出口ポート42のために、7個の入口ポート54が設けられる。特に入口ポートと出口ポートの両方は、正しい流体、すなわち特定のダクトによってチャネル搬送される流体が印字ヘッド集積回路の正しいノズル(典型的には各タイプのインクまたは流体のために1グループのノズルが使用される)に送り届けられるように、印字ヘッドモジュールの長手方向に関して傾いた配列に配置されている。
【0099】
本発明の実現に際して使用された典型的な印字ヘッド集積回路51には、1600ドット/インチ(dpi)の解像度を有する印刷を達成するように、間隔を置いて配置された7000個を超す(例えば7680個の)個別の印刷ノズルが設けられ得る。これは、1plという1滴体積を発射できる各ノズルを有する20mm(0.8インチ)の印刷面幅に亘って391ノズル/mmのノズル密度を有することによって達成される。
【0100】
したがってこれらのノズルは、マイクロサイズ(すなわち約10-6メートル程度の)であって、それ自体は印字ヘッドタイル50の下面の入口ポート54によって提供されるようなインクその他の流体のマクロサイズの(すなわちミリメートル級の)流れを受けることはできない。したがって各印字ヘッドタイル50は、印字ヘッド集積回路51とPCB52とそれらに提供されるエポキシ53とを有する複数のラミネート層を含む流体分配スタック500(図43を参照)として形成される。
【0101】
このスタック500は、入口ポート54におけるマクロサイズの流れ直径を印字ヘッド集積回路51のノズルにおけるマイクロサイズの流れ直径に縮小することによって、流体チャネル部材40のダクト41から印字ヘッド集積回路51の個別ノズルにインクその他の流体を搬送する。この縮小を提供するスタックの例示的な構造は、より詳細に後述される。
【0102】
本発明の印字ヘッドアセンブリに適用可能なノズルシステムは、印字ヘッド集積回路上に集積できるいかなるタイプのインクジェットノズル装置を備えることもできる。すなわち熱タイプと圧電タイプとを含む連続インクシステム、静電気システムおよびドロップオンデマンドシステムのようなシステムが使用可能である。
【0103】
典型的にはノズルに隣接したインク溜めとこれらに熱的に接触するヒータ要素とを含む使用可能な、種々のタイプの既知のサーマルドロップオンデマンドシステムが存在する。これらのヒータ要素は、インクを加熱して、液滴がノズルを通って印刷媒体上に発射されるようにインク内に圧力を発生させる気泡を生成する。印刷媒体に発射されるインクの量と各ノズルによる発射のタイミングは、駆動電子回路によって制御される。しかしながらこのようなサーマルシステムは、インクが耐熱性でなければならないので、使用できるインクのタイプに制限を賦課する。
【0104】
典型的には電流が流れると屈曲する圧電結晶(インク溜めに隣接して配置される)を使用する使用可能な種々のタイプの既知の圧電型ドロップオンデマンドシステムが存在する。この屈曲は、上述のサーマルシステムと同様な方法でインクの液滴がノズルから発射されるようにする。このような圧電システムではインクは、サイクル間で加熱および冷却される必要はなく、したがってより広い範囲の利用可能なインクタイプに備えている。圧電システムは、駆動集積回路に集積することが困難であり、典型的にはドライバとノズルアクチュエータとの間に多数の接続を必要とする。
【0105】
代替としてノズルの超小型電気機械システム(マイクロエレクトロメカニカルシステム:MEMS)が使用可能であり、このようなシステムはノズルにインク液滴を発射させる熱アクチュエータを含む。本発明の印字ヘッドアセンブリに適用可能な例示的なMEMSノズルシステムは、より詳細に後述される。
【0106】
流体チャネル部材40と印字ヘッドタイル50とのアセンブリに戻ると、各印字ヘッドタイル50は、個別の出口ポート42とこれらに対応する入口ポート54とがこれらの間の流体の効果的な移送を可能にするように位置合わせされるように流体チャネル部材40に取り付けられる。図7に示す方法で用意された流体チャネル部材40の上面で印字ヘッドタイル50を流体チャネル部材40に取り付けるために硬化可能な樹脂(例えばエポキシ樹脂)のような接着剤が使用される。
【0107】
すなわち硬化可能な樹脂は、硬化時にガスケット部材60を形成するために、出口ポート42の各々の周りに提供される。このガスケット部材60は、流体チャネル部材40と印字ヘッドタイル50との間に接着剤シールを提供するが、連通する出口ポート42と入口ポート54の各々の周りにもシールを提供する。このシーリング構成は、ポート間の流体の流れと密閉とを容易にする。更に、対称的の方法でガスケット部材60の両側には、2個の硬化可能樹脂の堆積物61が設けられる。
【0108】
対称に配置された堆積物61は、流体チャネル40上に印字ヘッドタイル50を位置決めするための、また流体チャネル部材40に関する印字ヘッドタイル50の捩じれを防止するためのロケータとして機能する。追加的接合強度を提供するために、特にガスケット部材60とロケータ61との硬化前と硬化中に流体チャネル部材40の上面の空き領域に接着剤液滴62が提供される。ロケータ61を形成するためにシアノアクリレートなどのような高速作用接着剤が堆積され、硬化可能樹脂の硬化中の流体チャネル部材40に関する印字ヘッドタイル50のいかなる動きも防止する。
【0109】
この構成によれば、関連する印字ヘッド集積回路の1個または多数のノズルが故障して印字ヘッドが交換されることになった場合に、個別の印字ヘッドタイルは容易に交換できる。したがって流体チャネル部材と印字ヘッドタイルとの表面は、印字ヘッドタイルが梃子(てこ)によって流体チャネル部材の表面から取り外される場合に、エポキシが流体チャネル部材表面ではなく印字ヘッドタイルに付いたまま残ることを保証する方法で処理される。この結果、後には取り外された印字ヘッドタイルによって清浄な表面が残されるので、新しい印字ヘッドタイルの確実な配置のために流体チャンネル部材表面には、新しいエポキシが直ちに供給できる。
【0110】
本発明の上記の印字ヘッドモジュールは、種々の長さに構成することができ、この印字ヘッドアセンブリが使用される特定のアプリケーションに依存して、流体チャネル部材に取り付けられた種々の数の印字ヘッドタイルを収容することができる。例えば横長方向のA3サイズページ幅印刷のための印字ヘッドアセンブリを提供するために、この印字ヘッドアセンブリは16個の個別印字ヘッドタイルを必要とする。これは、例えば各々が4個の印字ヘッドタイルを有する4個の印字ヘッドモジュール、または各々が8個の印字ヘッドタイルを有する2個の印字ヘッドモジュール、または16個の印字ヘッドタイルを有する1個の印字ヘッドモジュール(図1、2のような)、あるいは他の任意の適当な組合せを提供することによって達成できる。基本的には特定の印刷アプリケーションに必要とされる必要幅を達成するために、選択された数の標準印字ヘッドモジュールが組み合わされ得る。
【0111】
容易で効率的な方法でこのモジュール性を提供するために印字ヘッドモジュールの各モジュールの複数の流体チャネル部材は、モジュール的であるように形成され、端と端が接する方法で多数の流体チャネル部材の接続を可能にするように構成される。好都合には容易で便利な接続手段は、相補的端部を有するように流体チャネル部材の各々を構成することによって提供されることができる。本発明の一実施形態では、各流体チャネル部材40は、図8に示すような「雌」端部45と図9に示すような相補的「雄」端部46とを有する。
【0112】
端部45、46は、1つの印字ヘッドモジュール30の雄端部46を第2の印字ヘッドモジュール30の雌端部45に接触されせたときにこれら2つの印字ヘッドモジュール30がそれらの対応するダクトに流体連通状態に接続されるように、構成される。これは、流体が接続された印字ヘッドモジュール間30を間断なく流れることを可能にするので、インクのような流体は印字ヘッドモジュール30の各モジュールの印字ヘッド集積回路51に正しく効果的に送り届けられる。
【0113】
雌および雄端部45、46の結合が個別印字ヘッドモジュール30間の有効なシールを提供することを保証するために、結合される端部間にはエポキシのようなシーリング接着剤が塗布される。
【0114】
このような構成を提供することによって、印字ヘッド全長の所望のスケールアップを提供するためにこのような端部と端部を接する方法で、いかなる数の印字ヘッドモジュールも適当に接続することが可能であることは明らかである。当業者は、印字ヘッドアセンブリモジュールを互いに流体連通するように接続するための他の構成と方法が本発明の範囲内にあることを認めることができる。
【0115】
更に印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40の端部45、46のこの例示的な構成はまた、印字ヘッドアセンブリが搭載される印刷システムの流体供給源への容易な接続を可能にする。すなわち本発明の一実施形態では、図12に示すような印字ヘッドモジュール30のダクト41と(内部)流体搬送チューブ6との間の流体流れのためのインタフェースとして機能する図10、11に示すような流体搬送コネクタ47、48が設けられる。これらの流体搬送チューブ6は、詳細に後述されるように、これらのチューブ6が印刷システムの流体供給源の外部流体搬送チューブへの接続のために印字ヘッドアセンブリ10内に収容されるので、内部であると呼ばれる。しかしながらこのような構成は、本発明の印字ヘッドアセンブリにインクその他の流体が供給され得る可能な方法の1つに過ぎないことは明らかである。
【0116】
図10に示すように流体搬送コネクタ47は、印字ヘッドモジュール30の雄端部46と結合できる雌端部47aを有する。図11に示すように代替として、または追加的に流体搬送コネクタ48は、印字ヘッドモジュール30の雌端部45と結合できる雄端部48aを有する。更に流体搬送コネクタ47、48は、それぞれ内部流体搬送チューブ6と結合できる管状部47b、48bを含む。図12には、管状部47b、48bが対応するダクト41と流体連通するように構成される特定の方法が示されている。
【0117】
図10〜13に示すように本発明の上記の例示的な実施形態にしたがって与えられた7個のダクト41に対応するように、7個の管状部47b、48bが設けられている。したがって7個の内部流体搬送チューブ6は各々、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクとIRインクと定着剤と空気の上述の7種の流体の1つを搬送するために使用される。しかしながら上述のように当業者が、異なるアプリケーションではこれより多数または少数の種類の流体が使用され、その結果これより多数または少数の流体搬送チューブと流体搬送コネクタの管状部とダクトとが設けられ得ることを理解することは明らかである。
【0118】
更に印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40の端部のこの例示的な構成はまた、ダクト41の容易なシーリングを可能にする。このために本発明の一実施形態では図14Aに示すように、印字ヘッドモジュール30の端部の両方をシールまたはキャップできるシール部材49が設けられる。すなわちこのシール部材49は、それぞれが印字ヘッドモジュール30の雄端部46と雌端部45とに結合できる雌接続部49aと雄接続部49bとを含む。こうして印字ヘッドモジュールの異なる構成の端部にもかかわらず、単一のシール部材が設けられることは好都合である。図14Bは、流体チャネル部材40のダクト41をシーリングするシール部材49の例示的な構成を示す。シール部材49と流体チャネル部材40インタフェースとのシーリングは、上述のようなエポキシのようなシーリング接着剤を塗布することによって更に容易にされる。
【0119】
例えばA4サイズのページ幅印刷アプリケーションのための単一の印字ヘッドモジュール30の動作時には、印字ヘッド集積回路51に流体を送るように、一方の対応する端部45、46に接続された流体搬送コネクタ47、48の1つと、対応する端部45、46の他方に接続されたシール部材49との組合せが使用される。これに対して印字ヘッドアセンブリが特に長くて、互いに接続された複数の印字ヘッドモジュール30からなるアプリケーションでは(例えば幅広用紙印刷では)、印字ヘッドアセンブリの両端から流体を供給することが必要となる可能性がある。したがって流体搬送コネクタ47、48の各々は、端部印字ヘッドモジュール30の対応する端部45、46に接続され得る。
【0120】
本発明の印字ヘッドモジュールの端部の上述の例示的な構成は幾分、印字ヘッドモジュールのモジュール性に備えている。このモジュール性は、印字ヘッドアセンブリの最小長さのアプリケーションに関連する標準の長さに印字ヘッドモジュールの流体チャネル部材を製造することを可能にしている。次にこの印字ヘッドアセンブリ長さは、所望長さの印字ヘッドアセンブリを形成するために多数の印字ヘッドモジュールを組み合わせることによってスケールアップできる。例えば標準の長さの印字ヘッドモジュールは、A4サイズの印刷アプリケーションのための最小要件であり得る8個の印字ヘッドタイルを含むように製造できる。したがって32個の印字ヘッドタイルに相当する長さを有する広い印字ヘッドを必要とする印刷アプリケーションでは、これら標準の長さの印字ヘッドモジュール4個が使用できる。これに対して多数の異なる標準長印字ヘッドモジュールが製造され、可変長印字ヘッドを必要とするアプリケーションでは、これらが組み合わせて使用できる。
【0121】
しかしながらこれらは、本発明の印字ヘッドアセンブリのモジュール性がどのように機能するかの単なる例であり、他の組合せと標準の長さも使用可能であって、本発明の範囲内に入る。
【0122】
さて図1〜3と図15A〜28を参照しながら、ケーシング20とその関連コンポーネントが説明される。
【0123】
本発明の一実施形態においてケーシング20は、印字ヘッドアセンブリの種々のコンポーネントを収容し、ユニット全体が印刷システムに直ちに搭載できるようにする印字ヘッドアセンブリのための構造を提供するツーピース型外部ハウジングとして形成される。図3に示すようにこの外部ハウジングは、支持フレーム22とカバー部23から構成される。これらの部分22、23の各々は、軽量で耐久性のある、また種々の長さを形成するために容易に押出し成形できる適当な材料から作られる。したがって本発明の一実施形態において部分22、23は、アルミニウムのような金属から形成される。
【0124】
図15A〜15Cに示すように、ケーシング20の支持フレーム22は、内部空洞26によって分離された2つの壁を有する外側フレーム壁24と内側フレーム壁25(印字ヘッドアセンブリ10の外方向と内方向とに関する)とを有する。チャネル21(図3も参照のこと)は、支持フレーム22の上部壁27の延長部として形成され、アーム部28は、外側フレーム壁24から離れる方向に内側フレーム壁から延びる、支持フレーム22の下部領域上に形成される。チャネル21は支持フレーム22の長さに沿って延びており、印字ヘッドモジュール30を受けるように構成される。印字ヘッドモジュール30は、図1〜3に示すように印字ヘッド集積回路51が上方向に向いている状態でチャネル21内に受け入れられ、この上部印字ヘッド集積回路表面は、印字ヘッドアセンブリ10の印刷面を画成する。
【0125】
図15Aに示すようにチャネル21は、上部壁27と、支持フレーム22の長さに沿って延びる外部、内部側壁(印字ヘッドアセンブリ10の外方向と内方向とに関して)として配置された支持フレーム22の2つの概ね平行な側壁24a、29と、によって形成される。これら2つの側壁24a、29は、異なる高さを有しており、より高い外部側壁24aは支持フレーム22の上部壁27の上方に延びる外側フレーム壁24の上部として画成され、より短い内部側壁29は内側フレーム壁25に実質的に平行な上部壁27の上方延長部として設けられている。外部側壁24aは、その長さに沿って形成された凹部(溝)24bを含む。凹部24bの底面24cは、チャネル21の上部壁27に関して内部側壁29の上面29aと同じ高さにあるように位置決めされている。凹部24bは更に、外部側壁24aの長さに沿って走るリッジとして形成された上面24dを有する(図15Bを参照のこと)。
【0126】
この構成において印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40の長手方向に延びるタブ43の1つは、外部側壁24aの下面24cと上面24dとの間に保持されるように外部側壁24aの凹部24b内に受け入れられる。更に流体チャネル部材40の反対側部に設けられた他方の長手方向に延びるタブ43は、内部側壁29の上面29a上に位置決めされる。この方法で、組み立てられた印字ヘッドモジュール30は、詳細に後述されるようにケーシング20上の適所に固定され得る。
【0127】
更に外部側壁24aはまた、その上部マージンに沿って傾斜部24eを含み、この傾斜部24eは図3に示すように、印刷媒体ガイド5を印字ヘッドアセンブリ10に固定するために設けられている。この印刷媒体ガイドは、印字ヘッドアセンブリの組立てに続いて固定され、印字ヘッド集積回路のノズルと直接接触せずに印刷のために印字ヘッド集積回路を横切る紙のような印刷媒体をガイドするのを助けるように構成される。
【0128】
図15Aに示すように支持フレーム22の上部壁27とアーム部28はそれぞれ、支持フレーム22の長さに沿って延びるラグ27a、28aを含む(図15B、15Cを参照のこと)。これらのラグ27a、28aは、支持フレーム22の内部フレーム壁25に関して実質的に互いに向かい合うように位置決めされ、PCB(プリント回路基板)支持体91(以下に説明される)を支持フレーム22に固定するために使用される。
【0129】
図15B、15Cは、チャネル21、上部壁27とそのラグ27a、外部および内部側壁24a、29、凹部24bとその底面24cと上面24d、傾斜部24e、内部側壁29の上面29a、アーム部28とそのラグ28a、28b、および凹部28cと湾曲端部28dが延びるように、外部および内部フレーム壁24、25がケーシング20の長さに関して延びる方法を示している(詳細に後述される)。
【0130】
さてPCB支持体91は、図3と図16〜22Eとを参照しながら説明される。図3において支持体91は、支持フレーム22の内部フレーム壁25に沿って上部壁27からアーム部28に延びるその固定位置に示されている。支持体91は、駆動電子回路100(詳細に後述されるような)を搭載するPCB90を支持するために使用される。
【0131】
特に図17A、図17Bに見られるように、支持体91は、支持フレーム22の内部フレーム壁25に対して支持体91を固定するためのラグ27a、28aと連通するその上面、下面にラグ92を含む。支持体91の基底部93は、支持フレーム22のアーム部28に沿って延びるように配置され、支持フレーム22上に搭載されるときにアーム部28のラグ28a、28b(図15Bを参照)の上面に取り付けられる。
【0132】
支持体91は、ケーシング20の内部に、また支持フレーム22の内部フレーム壁25に対して位置するように形成される。これは、内部フレーム壁25に係合するために本来的弾力性を有するプラスチック材料から支持体91を成形することによって達成できる。これはまた、支持体91にPCB90を支持するために必要な絶縁性を提供する。支持体91のために、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリカーボネートが使用できる。
【0133】
基底部93は更に、PCB90を支持体91に固定するために使用される凹部93aと、対応する位置決めラグ93bとを含む(より詳細に後述されるように)。更に支持体91の上部は、いったん印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40がチャネル21に挿入されたときに、チャネル21の内部側壁29と(内部側壁29の上面29a上に位置決めされる)印字ヘッドモジュール30の長手方向に延びるタブ43とに合うように配置され形作られている上方に延びるアーム部94を含んでいる。この構成は、図3に、より明瞭に示すようにケーシング20のチャネル21内における印字ヘッドモジュール30の固定に備えている。
【0134】
本発明の一実施形態において支持体91の延長アーム部94は、印字ヘッドモジュール30の1つのエッジの上とこれに沿った「クリップ」または「クランプ」動作を実行するように構成され、これは完全に組み立てられた印字ヘッドアセンブリ10から印字ヘッドモジュール30が外れたり、変位したりするのを防止する助けとなる。これは、適所にしっかり保持されている(以下に詳述するような方法で)流体チャネル部材40の両方の長手方向に延びるタブ43によって印字ヘッドアセンブリ10から上方に(すなわち図3に示すz軸方向に)動かないように、また以下詳細に説明されるように印字ヘッドモジュール30の横方向に(すなわち図3に示すy軸方向に)動かないように、印字ヘッドモジュール30を実質的に拘束する方法で印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40にこのクリップ動作が作用するからである。
【0135】
この点に関して印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40は、内部側壁29から外部側壁24aの方向にy軸に沿って向けられた支持体91によって加えられる力に曝される。この力は、支持フレーム22の外部側壁24a側の流体チャネル部材40の長手方向に延びるタブ43が凹部24bの下面24cと上面24dとの間に保持されるようにする。この力は、内部側壁29の上面29aと支持体91の延長アーム部94との間に保持される流体チャネル部材40の他方の長手方向に延びるタブ43と組み合わせて、印字ヘッドモジュール30のz軸方向への動きを抑制するように作用する(より詳細に後述されるように)。
【0136】
しかしながら印字ヘッドモジュール30はなお、x軸方向の(すなわち印字ヘッドモジュール30の長手方向に沿った)動きに対応でき、これは印刷システムの運転時にケーシング20が熱的膨張および収縮を受ける場合には望ましいことである。ケーシングは典型的にはアルミニウムのような押出し成形される金属で作られるので、印刷ユニット内に存在するような熱的に可変の環境で熱的膨張および収縮を受け易いこのような材料によって寸法変化を受ける可能性がある。
【0137】
すなわち印字ヘッドアセンブリの完全性と信頼性とを保証するために、先ず印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40は、環境変化に起因する実質的寸法変化を受けない材料(LCPなどのような)で形成され、それによって個別印字ヘッドタイル間の位置関係を保持し、また印字ヘッドモジュール30は、印字ヘッドモジュール30が取り外し可能に搭載されるケーシング20に関して位置的に実質的に独立しているように配置される(すなわち印字ヘッドモジュールはケーシング20のチャネル21の長手方向には「浮いている」)。
【0138】
したがって印字ヘッドモジュールはx軸方向には拘束されないので、この方向におけるケーシングからのいかなる熱膨張力も、印字ヘッドモジュールに伝達されない可能性がある。更にz軸方向とy軸方向における拘束は弾性的であるので、これらの方向には、動きに関してある程度の許容範囲が存在する。この結果、印字ヘッドモジュールの精巧な印字ヘッド集積回路は、これらの力から保護され、印字ヘッドアセンブリの信頼性は維持される。
【0139】
更にクリップ装置はまた、ケーシングからのPCB支持体(単数または複数)の単なる「クリップ解除」によって印字ヘッドアセンブリの容易な組立てと分解とに備えている。図16に示す例示的な実施形態では、1対の延長アーム部94が設けられているが、当業者は、より大きいまたはより小さい数が本発明の範囲内にあることを理解する。
【0140】
再び図16〜17Bを参照すると支持体91は更に、その上部にチャネル部95を含む。図示の例示的な実施形態においてチャネル部95は、3個の溝彫りされた凹部95a、95b、95cを含む。溝彫りされた凹部95a、95b、95cは、電源70(図3を参照)を形成して印字ヘッドアセンブリ10の長さに沿って延びる3本の長手方向に延びる導電体、またはバスバー71、72、73(図2を参照)を収容するように設けられる。バスバー71、72、73は、印字ヘッド集積回路51とPCB90上に配置された駆動電子回路100(図18Aに示され、詳細に後述される)とを動作させるために必要とされる電力を搬送する導電体であり、例えば金メッキされた銅で作られる。
【0141】
本発明の一実施形態において3本のバスバーは、Vcc(例えばバスバー71を介して)と接地(Gnd)(例えばバスバー72を介してとV+(例えばバスバー73を介して)の電圧を用意するために使用される。特にVccとGndの電圧は、駆動電子回路100とPCB90の関連回路とに印加され、VccとGndとV+の電圧は印字ヘッドタイル50の印字ヘッド集積回路51に印加される。より多い、またはより少ない数のバスバーが、したがってPCB支持体内の溝彫りされた凹部が特定の印刷アプリケーションの電力要件に依存して使用できることは、当業者によって理解される。
【0142】
本発明の支持体91は更に、チャネル部95の下方に位置する(下部)保持クリップ96を含む。図16に示す例示的な実施形態では、1対の保持クリップ96が設けられている。これらの保持クリップ96は、支持体91上にPCB90を確実に搭載する助けとなるように機能する、その底面上に切欠き部(ノッチ)96aを含む。このために図18Aの例示的な実施形態に示すように、PCB90は、その最上部側に(PCB90の取付け方向に関して)1対のスロット97を含み、これらは保持クリップ96との係合を容易にするように取り付けられるときに切欠き部96aと一線に整列する。
【0143】
図3に示すようにPCB90は、保持クリップ96の切欠き部96aと支持体91の基底部93の上述の凹部93aと位置決めラグ93bとの間にぴったりと取り付けられる。この構成は、PCB90の駆動電子回路100と印字ヘッドモジュール30の印字ヘッド集積回路51との間の信頼できる接続を可能にするようにPCB90を適所に確実に保持する。
【0144】
再び図18Aを参照して、今からPCB90の例示的な回路配置が説明される。この回路は、印刷エンジンコントローラ(PEC)集積回路の形の駆動電子回路100を含む。PEC集積回路100は、印刷ユニットに取り付けられるときに印字ヘッドアセンブリ10を通過する印刷媒体上に情報を印刷するために、印字ヘッドモジュール30の印字ヘッド集積回路51を駆動するために使用される。PEC集積回路100の機能と構造は、詳細に後述される。
【0145】
PCB90の例示的な回路はまた、印字ヘッドタイル50の各々から延びる可撓性PCB80の下部接続部81(図6を参照)を受けるその上部に4個のコネクタ98(図18Bを参照)を含む。特に4個の可撓性PCB80の対応する端部は、4個の印字ヘッドタイル50のPCB52とPCB90の4個のコネクタ98との間に接続される。次にコネクタ98は、PEC集積回路100と4個の印字ヘッドタイル50の印字ヘッド集積回路51との間でデータ通信が行われ得るように、PEC集積回路100に接続される。
【0146】
上記の実施形態では印字ヘッドアセンブリの必要な印刷速度要件を満たすために、4個の印字ヘッドタイルを制御するように1つのPEC集積回路が選択される。この方法では図1、2に関して上記に説明したように、16個の印字ヘッドタイルを有する印字ヘッドアセンブリのために、4個のPEC集積回路が必要となり、したがって4個のPCB支持体91が使用される。しかしながら本発明の印字ヘッドアセンブリの特定のアプリケーションに依存して、多数の印字ヘッドタイルを制御するために使用されるPEC集積回路の数が変化し得ること、またそれとして印字ヘッドタイルとPEC集積回路とPCBとPCB支持体との数の多くの異なる組合せが使用できることは、当業者によって理解される。更に単一の印字ヘッド集積回路51を駆動するために、単一のPEC集積回路100が設けられる可能性もある。更に異なる構成のPCB90と支持体91が使用できるように、1つのPCB90上に2つ以上のPEC集積回路100を配置することもあり得る。
【0147】
印字ヘッドの別々の領域を制御するために別々のPEC集積回路を保持する多数のPCBを使用するというモジュール式アプローチが好都合にも、印字ヘッドアセンブリ内の欠陥回路の容易な決定と取外しと交換とに助けとなることは注目されるべきである。
【0148】
PCB90の回路と印字ヘッドタイル50に取り付けられた印字ヘッド集積回路51とへの上述の電力供給は、可撓性PCB80によって提供される。特に可撓性PCB80は、PEC集積回路(単数または複数)100と印字ヘッド集積回路51との間にデータ接続を提供することと、バスバー71、72、73と、PCB90と、印字ヘッド集積回路51との間に電力接続を提供するという2つの機能のために使用される。必要な電気的接続を提供するために可撓性PCB80は、印字ヘッドタイル50からPCB90に延びるように配置される。これは、可撓性PCB80をバスバー71、72、73に押し付けるために弾力性の圧力プレート74が設けられた図3に示す構成を使用することによって達成できる。この構成では、バスバー71、72からの電力(すなわちVccとGnd)をPCB90のコネクタ98へ、またバスバー71、72、73のすべてからの電力(すなわちVccとGndとV+)を印字ヘッドタイル50のPCB52へ経路指定する可撓性PCB80に、適当に配置された電気コネクタが設けられる。
【0149】
圧力プレート74は、図19A〜21に詳細に示されている。圧力プレート74は、この圧力プレート74が支持体91に取り付けられるときに、バスバー71、72、73に、またそれらの間に横たわる可撓性PCB80に整列するように、図19Bに示すように圧力プレート74の後面(支持体91上の取付け方向に関して)に位置する隆起部(圧力エラストマー)75を含む。圧力プレート74は、延長アーム部94(図15Aを参照)から突き出た支持体91の(上部)保持クリップ99のうちの対応するクリップに孔74aを係合させ、タブ部74cを介して(図20を参照)(下部)保持クリップ96のうちの対応するクリップに孔74bを係合させることによって支持体91に取り付けられる。圧力プレート74は、圧力プレート74と可撓性PCB80との間に絶縁を提供する隆起部75によって可撓性PCB80をバスバー71、72、73に電気的に接触させるスプリング様の弾性を有するように形成される。
【0150】
図21に最も明らかに示すように圧力プレート74は更に、支持体91からの圧力プレート74の取外しを助ける手段として役立つ湾曲下部74bを含む。
【0151】
バスバー71、72、73に可撓性PCB80を押し付けるように圧力プレート74が支持体91上に保持される特定の方法と、支持体91の延長アーム部94が上述のクリップ作用を可能にする方法とが、今から図22、22A〜22Eを参照しながら十分に説明される。
【0152】
図22は、本発明の例示的な実施形態による支持体91の正面模式図を示す。図22Aは、破線I-I上に位置する支持体91のコンポーネントを示すハッチング部分を有する図22の線I-Iに沿って取られた側面断面図である。
【0153】
図22Aは特に、上部保持クリップ99の1つを示す。この保持クリップ99の拡大図は、図22Bに示されている。保持クリップ99は、圧力プレート74の孔74aの1つの孔の上面が保持クリップの上面99aと保持部99bとに対して保持され得るように、構成される(図21を参照)。圧力プレート74のスプリング様の弾性によって、上面99aは圧力プレート74の上部を保持部99bに接触させるように、圧力プレート74が取り付けられるときに上方外向きの僅かな力を圧力プレート74に作用させる。
【0154】
さて図22の線II-IIに沿って取られた側面断面図である図22Cを参照すると、下部保持クリップ96の1つが示されている。この保持クリップ96の拡大図は、図22Dに示されている。保持クリップ96は、圧力プレート74の孔74bのうちの1つの孔のタブ部74cが保持クリップ96の内面96cに対して保持され得るように構成される(図20を参照)。したがって支持体91から離れる方向に圧力プレート74の上部に保持クリップ96により作用させられる上述の僅かな力によって圧力プレート74の下部は、反対方向に、例えば支持フレーム22に関して内側方向に加重される。その結果、圧力プレート74は、バスバー71、72、73の方に押し付けられ、これが今度は、バスバー71、72、73と確実に接触するように、隆起部75を介して同じ方向に可撓性PCB80を押し付けるように働く。
【0155】
図22Cに戻ると、延長アーム部94の1つが示されている。この延長アーム部94の拡大図は、図22Eに示される。延長アーム部94は、チャネル21の内部側壁29とその上に配置された印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40の長手方向に延びるタブ43との上に適合するように位置決めされたL字形の足部によって実質的にL字形になるように構成される。図22Eに示すようにL字形の足部の端部は弧状面を有する。この面は、延長アーム部94の各々に設けられた凹部94aのエッジに対応しており、その中心は実質的に、図22の線II-IIに位置している(図16、17Bを参照のこと)。凹部94aは、延長アーム部94が流体チャネル部材40の上にクリップされるときに、印字ヘッドタイル50の位置に対応するために、流体チャネル部材40の長手方向に延びるタブ43の長さに沿って規則的に間隔を置いて配置された角付きラグ43a(図4Aを参照)に係合するように配置される。
【0156】
この位置において凹部94aの弧状エッジは、角付きラグ43a(図4Aを参照)の角付き面と接触しており、これは延長アーム部94と長手方向延長タブ43との唯一の接触点である。図4Aには示されないが、流体チャネル部材40の他方の側部上の長手方向延長タブ43は、同様に角付きラグ43aを有しており、この角付き面は支持フレーム22上の凹部24bの上面24bと接触する。
【0157】
前に暗に言及したようにこの特定の構成によって、これらの接触点において延長アーム部94によって流体チャネル部材40には下方内向きの力が作用する。この下向きの力は、前に述べたようにチャネル21内の印字ヘッドモジュール30をz軸方向に拘束するのを助ける。この内向きの力はまた、流体チャネル部材40の反対長手方向に延びるタブ43上の角付きラグ43aを支持フレーム20の凹部24b内に押し込むことによってチャネル21内に印字ヘッドモジュール30を拘束するのを助け、ここで凹部24bの上面24dはまた、反対下方内向きの力を流体チャネル部材に印加する。これに関してこれらの反対方向の力は、流体チャネル部材40の動きの範囲をy軸方向に限定するように作用する。凹部94aの各々に関して図4Aに示した2個の角付きラグ43aが単に角付きラグ43aの例示的な構成であることは理解されるべきである。
【0158】
更に角付きラグ43aは、取り付けられたときに各可撓性PCB80の下部接続部81がPCB90の対応するコネクタ98に整列するように、流体チャネル部材40の上面の印字ヘッドタイル50の位置に対応するように位置決めされる(図6、18Bを参照のこと)。これは、支持体91の下部保持クリップ96によって受けられる孔82(図6)を有する可撓性PCB80によって容易にされる。その結果これらの可撓性PCB80は、上述のように保持クリップ96によって保持された圧力プレート74の下に正しく位置決めされる。
【0159】
なお更に図22C、22Eにも示すように支持体91の(上部)ラグ92は、支持体91から離れる方向に支持体91の平面の法線から僅かに傾斜している内面92aを有する。図17A、図17Bに示すように上部ラグ92は、スプリング様の作用によって支持体91に関してヒンジとなり得る弾性部材として形成される。その結果、ケーシング20に取り付けられるときに、内面25の下部と支持フレーム22のアーム部28のラグ28aとの間に形成された凹部内に(下部)ラグ92を片寄らせることによってケーシング20の支持フレーム22に支持体91を固定するのを助ける僅かな力が、支持フレーム22の最上面27のラグ27aに作用させられる。
【0160】
本発明の例示的な実施形態にしたがってケーシング20の構造が完成される方法は、これから図1、2、15A、23を参照しながら説明される。
【0161】
図1、2に示すようにケーシング20は、支持フレーム22に隣接して配置される上述のカバー部23を含む。こうして支持フレーム22とカバー部23は共に、印字ヘッドアセンブリ10のツーピース(二分割型)外側ハウジングを画成する。カバー部23のプロファイルは、図23に示す通りである。
【0162】
カバー部23は、印字ヘッドモジュール30を保持するケーシング20のチャネル21によって支持フレーム22に搭載されたPCB支持体91に取り付けられた露出したPCB90の上に置かれるように構成される。その結果、カバー部23は、印字ヘッドモジュール30をケーシング20内に囲い込む。
【0163】
カバー部23は、支持フレーム22のアーム部28のラグ28bと湾曲端部28dとの間に形成された凹部28c内に受け入れられる底面上に(印字ヘッドアセンブリ10の方位に関して)長手方向に延びるタブ23aを含む(図15Aを参照のこと)。この配置は、支持フレーム22に関してカバー部23をケーシング20内に位置決めして保持する。カバー部23は更に、ねじ付き部23bを通してねじを使用して長手方向側部に端部プレート110を介して端部プレート111または端部ハウジング120を取り付けることによって適所に保持される(図23、29、39を参照のこと)。端部プレート110および/または111はまた、内部空洞26に設けられたねじ部22a、22bを通してねじを使用して長手方向両側部において支持フレーム22に取り付けられる(図15A、29、39を参照のこと)。更にカバー部23は、PCB支持体(単数または複数)91に取り付けられた圧力プレート(単数または複数)74を収容するためのカバー部23の内面(印字ヘッドアセンブリ10の内側方向に関して)に空洞部23cが配置された図23に示すようなプロファイルを有する。
【0164】
更にカバー部はまた、動作時にPEC集積回路100によって生成された熱を放散するために設けられたフィン(ひれ)部23d(図3を参照)を含むこともある。これを容易にするためにカバー部23の内面はまた、カバー部23が支持フレーム22に取り付けられるときにPEC集積回路100に物理的に接触する熱結合材料部(図示せず)を備えることもある。なお更にカバー部23は、印字ヘッドアセンブリ10の専用電子回路の動作に干渉する可能性がある電磁干渉(EMI)を抑制するようにも機能することもできる。
【0165】
本発明の一実施形態による1印字ヘッドモジュール当たり十分な数のPEC集積回路100を提供するために支持フレーム22内に複数のPCB支持体91が組み立てられる方法は、これから図16、24〜27を参照しながら説明される。
【0166】
上述のように、本発明の一実施形態において支持体91の各々は、4個の印字ヘッド集積回路51を駆動するPEC集積回路100の1つを保持するように配置される。したがって例えば16個の印字ヘッドタイルを有する印字ヘッドモジュール30では、4個のPEC集積回路100と、したがって4個の支持体91が必要とされる。この目的のために支持体91は、上述のように支持フレーム22と印字ヘッドモジュール30とに取り付けられてクリップされた支持体91の各々と共に、ケーシング20の長さを延ばすように、図24に示すように端と端を接する方法で組み立てられる。このようにして16個の印字ヘッドタイル50の単一印字ヘッドモジュール30は、その長さに沿ってケーシング20に確実に保持される。
【0167】
図16により明瞭に示すように支持体91は更に、その各端部に隆起部91aと凹部91bとを含む。すなわち支持体91の端部壁の各エッジ領域は、その外側エッジに沿って形成された凹部91bを有する隆起部91aを含む。この構成は、図24に示す隣接支持体91間に隣接配置を作り出す。
【0168】
各側部における1つの隆起部91aに隣接する2つの凹部91bのこの配置は、図25の断面に示すように、適当な電気接続部材102を受け入れることのできる空洞を形成する。このような配置は、複数の組み立てられた支持体91のいずれかの、または両方の端部から入力される、すなわちケーシング20の端部に設けられたデータコネクタ(後述の)を介して入力されるデータ信号が所望のPEC集積回路100、またしたがって所望の印字ヘッド集積回路51に経路指定されるように、支持体91に支持された隣接するPCB90が互いに電気的に接続されることを可能にする。
【0169】
このために接続部材102は、各PCB90の下面(支持体91上の取付け方向に関して)のエッジ接触領域に設けられた複数のパッド間に電気的接続を提供する。これらのパッドの各々は、PCB90の回路の異なる領域に接続される。図26は、接続部材102の上に配置されたPCBのパッドを示す。特に図26に示すように、PCB90の下面の各エッジの実質的に中心の領域には、一連の接続ストリップ90a、90bとして複数のパッドが設けられる。
【0170】
上記のように接続部材102は、隣接する支持体91の隣接する凹部91bに形成される空洞内に配置されるので(図25を参照)、PCB90が支持体91に取り付けられるときに一方のPCB90の接続ストリップ90aとこれに隣接するPCB90の接続ストリップ90bは、これらの間に電気接続を提供するために同じ接続部剤102に接触する。
【0171】
これを達成するために接続部材102は各々、その各表面に設けられた一連の導電性ストリップ104を有する矩形ブロックであるために図27に示すように形成され得る。代替として導電性ストリップ104は、図25、26に示すように接続部材102の唯1つの表面上に形成することもできる。このような接続部材は典型的には、順次に間隔を置いて配置された導電材料と非導電材料のストリップを提供するように印刷されたシリコーンゴムのストリップから形成できる。図27に示すようにこれらの導電性ストリップ104は、PCB90の接続ストリップ90a、90bと2:1関係で設けられる。すなわち接続ストリップ90a、90bの幅の半分未満の導電性ストリップ104の幅を有する接続ストリップ90a、90bより2倍ほど多い導電性ストリップ104が設けられる。したがっていかなる1つの接続ストリップ90aまたは90bも、対応する2個の導電性ストリップ104の一方または両方に接触でき、こうして接続部材104とPCB90の接触領域との間の整列要件を最小にする。
【0172】
本発明の一実施形態において接続ストリップ90a、90bは、短絡を防止するために接続ストリップ間に十分な間隔を持ちながら、2つのより薄い導電性ストリップ104が接続ストリップ90a、90bの各々1つだけと高い信頼度で接触できるように、接続ストリップ間に0.4mm間隔で約0.4mm幅になっている。接続ストリップ90a、90bと導電性ストリップ104は、信頼できる接触を提供するために金メッキされ得る。しかしながら当業者は、接続部材と適当に構成されたPCB支持体との使用がPCB90を接続する単に1つの例示的な方法に過ぎず、他のタイプの接続も本発明の範囲内にあることを理解する。
【0173】
更にPCB90の回路は、組み立てられた支持体91のPCB90のうちの1つのPCB90のPEC集積回路100がこのPCB90に直接接続された印字ヘッド集積回路51だけでなく、隣接するPCB(単数または複数)90の集積回路およびいかなる非隣接PCB(単数または複数)90の更なる回路も駆動するために使用できるように、配置される。このような構成は好都合にも、印字ヘッドアセンブリ10に、PEC集積回路100および/またはPCB90の1つが減速された印刷速度でも欠陥状態になったにもかかわらず連続運転できる能力を提供する。
【0174】
本発明の印字ヘッドアセンブリ10の上述のスケーラビリティ(拡張可能性)によれば、PCB支持体91の端と端を接するアセンブリは、支持体91のモジュール性によって印字ヘッドアセンブリ10の必要な長さにまで拡張できる。この目的のためにバスバー71、72、73は、複数のPCB支持体91の組合せ長さに延ばす必要があり、これは幅広用紙印刷アプリケーションのような比較的長い印字ヘッドアセンブリ10が所望されるときに、PCB90の各々に不十分な電力が送られるという結果になる可能性がある。
【0175】
電力損失を最小にするために、印字ヘッドアセンブリの各端部に1つずつの2つの電源が使用でき、また各端部から1グループのバスバー70が使用できる。例えば実質的に印字ヘッドアセンブリ10の中心におけるこれら2つのバスバーグループの接続は、図28に示す例示的な接続領域71a、72a、73aを提供することによって容易にされる。
【0176】
特にバスバー71、72、73は互いに関してジグザグ配列に設けられ、またそれらの端部領域は、接続領域71a、72a、73aとして図28に示す実矧ぎ部によって構成される。したがって第1グループのバスバー70の接続領域71a、72a、73aは、第2グループのバスバー70のバスバー71、72、73の対応するバスバーの接続領域71a、72a、73aとオーバーラップして係合する。
【0177】
これらのバスバーが電源に接続される方法と端部プレート110、111の配置とこれらの接続部を収容する端部ハウジング(単数または複数)120は、これから図1、2および図29〜39を参照しながら説明される。
【0178】
図29は、図1に示すものに類似の本発明の一実施形態による例示的な印字ヘッドアセンブリの端部を示す。この端部において端部ハウジング120は、端部プレート110を介して印字ヘッドアセンブリ10のケーシング20に取り付けられる。
【0179】
端部ハウジングプレートアセンブリは、バスバー71、72、73への電力の供給のためとPCB90へのデータの供給のための接続電子回路を収容する。この端部ハウジングプレートアセンブリはまた、印字ヘッドアセンブリ10が適用されている印刷システムの流体供給源の外部流体搬送チューブ(図示せず)との内部流体搬送チューブ6のための接続部を収容する。
【0180】
これらの接続部は、図30に示すようにコネクタ装置115の上に設けられる。図30は、本発明の一実施形態による印字ヘッドアセンブリ10のケーシング20の端部に、上述のようなねじを介して取り付けられた端部プレート110に嵌合するコネクタ装置115を示す。図示のようにコネクタ装置115は、電源接続部116とデータ接続部117と流体搬送接続部118とを含む。電源接続部116の端子は、各々がバスバー71、72、73のうちの対応する1つに接続するように設けられた3個のコンタクトねじ116a、116b、116cのうちの対応するコンタクトねじに接続される。このためにバスバー71、72、73の各々は、コンタクトねじ116a、116b、116cとの係合に適した位置にねじ付き孔を備える。更に、図31に示すようにバスバー71、72、73とコネクタ装置115との係合を容易にするために、コンタクトねじ116a、116b、116cと接触すべきバスバー71、72、73の端部には接続領域71a、72a、73a(図28を参照)が設けられる。
【0181】
図30、32A、32Bには、バスバーの各々のために1つずつの単に3個のコンタクトねじが、または3個のコンタクトねじのための場所が示されている。しかしながら異なる数のコンタクトねじの使用も本発明の範囲内にある。すなわちバスバーに経路指定される電力の量によっては、十分な電力コンタクトを提供するために、各バスバーのために2個以上のコンタクトねじを設けることが必要となり得る(例えば図33B、33Cを参照のこと)。更に上述のように、より多い、またはより少ない数のバスバーが使用されることがあり、したがって対応する更に多い、または更に少ない数のコンタクトねじが使用され得る。なお更に、当業者は、半田付けのような本技術では典型的であるようにコネクタ装置を介してバスバーを電源に接触させる他の手段も本発明の範囲内に入ることを理解する。
【0182】
電源接続部116とデータ接続部117がコネクタ装置115に取り付けられる方法は、図32A、32Bに示される。更に流体搬送接続部118がコネクタ装置115に関してデータ接続部117の上に重なるように(図30、32Cを参照)、コネクタ装置115の孔115aには流体搬送接続部118の接続タブ118aが取り付けられる。
【0183】
図30、32Cに見られるように、7個の内部流体搬送チューブ6にしたがって流体搬送接続部118には7個の内部、外部チューブコネクタ118b、118cが設けられる。すなわち図34に示すように流体搬送チューブ6は、流体搬送接続部118の内部チューブコネクタ118bと流体搬送コネクタ47または48の7個の管状部47bまたは48bとの間を接続する。前に述べたように当業者は、本発明が流体搬送チューブなどのこの数に限定されないことを明確に理解する。
【0184】
図32A、32Bに戻ると、コネクタ装置115は、領域115bを経由したバスバー71、72、73と電源接続部116のコンタクトねじ116a、116b、116cとの接続と、領域115cを経由したケーシング20上に配置された複数のPCB90のうちの端部PCB90とデータ接続部117との接続と、を容易にする方法でケーシング20によって受け入れられるように領域115bと115cとで形作られている。
【0185】
コネクタ装置115の領域115cは、接続部材102の1つがデータ接続部117のデータ接続部を端部PCB90に接続するために、こうしてこれらの間に設けられた接続部材102を介して複数のPCB90のすべてに接続するために使用できるように、端部PCB90の下面のエッジ接触領域に設けられた接続ストリップ90aまたは90bに対応するデータ接続部117の接続領域(図示せず)を備えることが有利である。
【0186】
これは、端部PCB支持体91(図24を参照)の隆起部91aと凹部91bとにそれぞれ整列するように配置されたその一方のエッジに隆起部112aと凹部112bとを有する図33Aに示すような支持部材112を使用することによって容易にされる。支持部材112は、端部PCB支持体91の後面のスロット領域91cにタブ112cを係合させることによって端部PCB支持体91の後面に取り付けられ(図17B参照)、またコネクタ装置115の領域115cは、領域115cの接続領域が端部PCB90の下面のエッジ接触領域と実質的に同じ平面内にあるように、支持部材112のクリップ部112dによって上下の側部表面に保持される。
【0187】
こうして端部プレート110がケーシング20の端部に取り付けられると、図24の隣接する支持体91の凹部91b間に形成された隣接配置と同様に、凹部112b、91b間に隣接配置が形成される。したがって接続部材102は、端部PCB90とコネクタ装置115の領域115cとの間にコンパクトに収容できる。この配置は、対応する領域125cを有する他のタイプのコネクタ装置125に関する図33B、33Cに示され、これは図37、38A、38Bを参照しながら以下詳細に説明される。
【0188】
データ接続部117を端部PCB90に接続するこの例示的な方法は、ケーシング20の長手方向端部に配置される異なる構成のPCB90を備えることが必要でなく、またデータ接続の同じ方法が印字ヘッドアセンブリ10の至る所で保たれ得るという点で、本発明のモジュール式態様に寄与する。しかしながらデータ接続部117を端部PCB90に接続するための追加または他のコンポーネントの準備も本発明の範囲内に含まれることは、当業者によって理解される。
【0189】
図30に戻ると、コネクタ装置115の領域115b、115cがバスバー71、72、73と端部PCB90とへの接続のためにケーシング20内に突き出ることができるように、またバスバー71、72、73がコネクタ装置115に設けられたコンタクトねじ116a、116b、116cまで延びることができるように、端部プレート110はコネクタ装置115の領域115b、115cに適合するように形作られることが理解され得る。端部プレート110のこの特定の形状は、図35Aに示されており、ここで端部プレート110の領域110a、110bはそれぞれ、コネクタ装置115の領域115b、115cに対応する。更に内部流体搬送チューブ6と印字ヘッドモジュール30の流体搬送コネクタ47、48との間の接続を可能にするように、端部プレート110の領域110cが設けられる。
【0190】
端部ハウジング120はまた、図32Cに示す流体搬送接続部118の外部チューブコネクタ118cのような外部接続領域が図29に示すように印字ヘッドアセンブリ10から露出するように、電源部116とデータ接続部117と流体搬送接続部118とを保持するために図35Aに示すように形作られる。
【0191】
図35Bは、本発明の一例示的な実施形態による印字ヘッドアセンブリ10のケーシング20の他端部に設けられ得る端部プレート110と端部ハウジング120とを示す。図35Bに示すこの例示的な実施形態は例えば、印字ヘッドアセンブリの両端に電源および/または流体搬送接続部を設けるためにケーシングの両端に端部ハウジングが設けられる状況に対応する。このような例示的な印字ヘッドアセンブリは、図36に示されており、例えば印字ヘッドアセンブリが比較的長い幅広用紙印刷の上述の例示的なアプリケーションに対応する。
【0192】
このために図37は、その中に収容されたコネクタ装置125を有するケーシングの他端に関する端部ハウジングプレートアセンブリを示す。説明目的のために、コネクタ装置125に取り付けられたバスバー71、72、73が示されている。見られるようにバスバー71、72、73には、コネクタ装置115に関して図31に示したものと同様に、コネクタ装置125との係合のために接続領域71a、72a、73aが設けられる。このコネクタ装置125は、図38A、38Bに更に詳細に示される。
【0193】
図38A、38Bから分かるように、コネクタ装置115と同様にコネクタ装置125は、電源接続部116を保持し、バスバー71、72、73との接触のためのコンタクトねじ用の場所と、流体搬送部118(図示せず)のクリップ118aを保持するための孔125aと、端部プレート110の領域110a、110bを通してケーシング20内に延びるための領域125b、125cとをそれぞれ含む。しかしながらコネクタ装置115とは異なり、コネクタ装置125は、データ接続部117を保持せず、その代わりにスプリング部125dを含む。
【0194】
これは、比較的長い印字ヘッドアセンブリのアプリケーションにおける電力と流体の供給源とは異なり、単に印字ヘッドアセンブリの一端から駆動データを入力することが必要であるからである。しかしながら複数のPEC集積回路100に正しくデータ信号を入力するためには、データ入力端部とは反対の端部においてデータ信号を終端することが必要である。したがってコネクタ装置125の領域125cは、終端端部における端部PCB90の下面のエッジ接触領域に対応する終端領域(図示せず)を備える。これらの終端領域は、上述の方法で接続部材102を介して接点領域に適当に接続される。
【0195】
スプリング部125dの目的は、より長い印字ヘッドのアプリケーションにおいてそのいかなる影響も悪化する可能性のある上述のような温度変化によるケーシング20の膨張および収縮の場合でもこれらの終端接続を維持することである。図38A、38Bに示すスプリング部125dの構成は例えば、本体部125eから離れる垂直方向に偏倚されながら、コネクタ装置125の本体部125eからある範囲の距離を通して領域125cが変位することを可能にする。このスプリング部は、本体部125eを構成する材料の一部を除去することによってコネクタ装置125内に形成される。
【0196】
このようにして、コネクタ装置125がケーシング20に取り付けられた端部プレート110に取り付けられるとき、スプリング部125dがコネクタ装置125の本体への押圧力を受け、それによって領域125cをその静止位置から本体部125eの方に予め決められた量だけ変位させるような方法で、領域125cは端部PCB90の隣接エッジに接触させられる。この配置は、熱膨張および収縮によるケーシング20のいかなる寸法変化の場合にも、データ信号が、次のようにデータ信号入力の端部とは反対の複数のPCB90の端部に終端されたままでいることを保証する。
【0197】
PCB支持体91は、印字ヘッドモジュール(単数または複数)30が上述のようにチャネル21上で「浮いている」方法と同様に、「浮いている」ようにケーシング20の支持フレーム22上に保持される。その結果、支持体91と印字ヘッドモジュール30の流体チャネル部材40は、同じまたは類似の膨張係数を有するLCPなどのような類似の材料で形成されるので、ケーシング20のいかなる膨張および収縮の場合にも支持体91は、延長アーム部94のクリップ作用によって印字ヘッドモジュール(単数または複数)30との相対位置を保持する。
【0198】
したがって支持体91の各々は、接続部材102を介して隣接接続部を保持し、これは、図27に示すように接続部材102とPCB90の接続ストリップ90a、90bとの比較的大きなオーバーラップによって容易にされる。したがってPCB90とこれらが取り付けられる支持体91は、コネクタ装置125のスプリング部125dによってコネクタ装置115の方に片寄らされるので、ケーシング20が膨張および収縮した場合に、そうでなければコネクタ装置115、125と端部PCB90との間に生じる可能性のあるいかなるギャップも、スプリング部125dの作用によって防止される。
【0199】
いかなる膨張および収縮に対する適応も、電源に関しては比較的長い印字ヘッドアセンブリのアプリケーションで使用されるバスバー70の2つのグループの接続領域71a、72a、73aによって容易にされる。これは、バスバー70の2つのグループ間のオーバーラップ領域が、この領域における接続オーバーラップを維持しながらバスバー71、72、73が取り付けられたコネクタ装置115、125の相対的動きを可能にするように、これらの接続領域71a、72a、73aが構成されるからである。
【0200】
図30、33B、33C、37に示す例においてコネクタ装置115、125の正面の(ケーシング20への取付け方向に関して)コネクタ装置115、125に接続された(コンタクトねじ116a、116b、116cを介して)バスバー71、72、73の端部が示されている。代替としてバスバー71、72、73は、コネクタ装置115、125の後面に接続できる。このような代替構成では、このように接続されたバスバー71、72、73がコネクタ装置115、125をカバー部23の方に僅かに変位させる可能性があっても、コネクタ装置115、125の領域115c、125cは、領域115c125cの上下の側部を保持する支持部材112のクリップ部112dによって端部PCB90のエッジ接触領域と実質的に同じ平面内に維持される。
【0201】
個別領域に印刷された接続領域を有するプリント回路基板は、それによってもたらされる上述の種々の電気接続を提供するために、コネクタ装置115、125として使用できる。
【0202】
図39は、図35A、35Bに示す端部ハウジングプレートアセンブリの代わりに、本発明の一例示的な実施形態による印字ヘッドアセンブリ10のケーシング20の他端部に取り付け得る端部プレート111を示す。これは、印字ヘッドアセンブリが電力と流体とが両端部から供給されることを必要とする長さでない状況に備えている。例えばA4サイズ印刷アプリケーションでは、16個の印字ヘッドタイルからなる1個の印字ヘッドモジュールを収容する印字ヘッドアセンブリが使用できる。
【0203】
したがってこのような状況では、キャッピング部材49によってキャップされる印字ヘッドモジュール30の端部にコネクタ装置を設けることは特に必要でないので、既に説明した方法でねじ部22a、22b、23bに固定されるねじを介してケーシング20の支持フレーム22とカバー部23とを互いに確実に保持するために役立つ端部プレート111が使用できる(図2を参照のこと)。
【0204】
更にもし複数のPCB90のこの端部にデータ信号終端を備えることが必要であれば、端部プレート111は、コネクタ装置125の領域125cに類似の、端部PCB90のエッジ接触領域に対応する終端領域を有するPCB(図示せず)を支持できるその内面(ケーシング20上の取付け方向に関して)にスロット部(図示せず)を備えることができる。また同様にこれらの終端領域は、支持部材112と接続部材102とを介して接触領域に適当に接続され得る。このPCBはまた、ケーシング20の膨張および収縮がこのアプリケーションで接続問題を引き起こす可能性がある場合に、コネクタ装置125のスプリング部125dに類似のスプリング部を終端領域と端部プレート111との間に含むことができる。
【0205】
端部ハウジング120およびプレート110アセンブリのケーシング20の両端への取付けまたは端部ハウジング120およびプレート110アセンブリのケーシング20の一端への取付けおよび端部プレート111のケーシング20の他端への取付けのいずれかによって、本発明による印字ヘッドアセンブリの構造は完成する。
【0206】
次に、このように組み立てられた印字ヘッドアセンブリは、この印字ヘッドアセンブリの組み立てられた長さが適用可能である印刷ユニットに搭載できる。本発明の印字ヘッドモジュールと印字ヘッドアセンブリとが適用できる例示的な印刷ユニットは、次の通りである。
【0207】
A4およびレターサイズの紙に印刷するホームオフィス印刷ユニットに関しては、224mmの印字ヘッド幅を提示するために、11個の印字ヘッド集積回路を備える単一の印字ヘッドモジュールを有する印字ヘッドアセンブリが使用できる。この印刷ユニットは、ノズル速度が約20kHzであるときに、約60ページ/分(ppm)で印刷できる。この速度では印字ヘッド全体に関して、1秒当たり最大約1690×10滴または約1.6896mlのインクが発射される。これは、約0.32ms-1の線印刷速度または約0.07sqms-1の面印刷速度という結果になる。毎秒約18億ドットを計算するPEC集積回路によって11個の印字ヘッド集積回路すべてを駆動するために、単一のPEC集積回路が使用できる。
【0208】
A3およびタブロイドサイズの紙に印刷する印刷ユニットに関しては、325mmの印字ヘッド幅を提示するために、16個の印字ヘッド集積回路を備える単一の印字ヘッドモジュールを有する印字ヘッドアセンブリが使用できる。この印刷ユニットは、ノズル速度が約55kHzであるときに、約120ppmで印刷できる。この速度では印字ヘッド全体に関して、1秒当たり最大約6758×10滴または約6.7584mlのインクが発射される。これは、約0.87ms-1の線印刷速度または約0.28sqms-1の面積印刷速度という結果になる。毎秒約72億ドットをまとめて計算するPEC集積回路によって、各々が4個の印字ヘッド集積回路を駆動する4個のPEC集積回路が使用できる。
【0209】
1巻きの壁紙に印刷する印刷ユニットに関しては、732mmの印字ヘッド幅を提示するために36個の印字ヘッド集積回路を備える1つ以上の印字ヘッドモジュールを有する印字ヘッドアセンブリが使用できる。ノズル速度が約55kHzであるときに、印字ヘッド全体に関して、1秒当たり最大約15206×10滴または約15.2064mlのインクが発射される。これは、約0.87ms-1の線印刷速度または約0.64sqms-1の面印刷速度という結果になる。毎秒約162億ドットをまとめて計算するPEC集積回路によって、各々が4個の印字ヘッド集積回路を駆動する9個のPEC集積回路が使用できる。
【0210】
1巻きの印刷媒体に印刷する幅広用紙印刷ユニットに関しては、1869mmの印字ヘッド幅を提示するために92個の印字ヘッド集積回路を備える1つ以上の印字ヘッドモジュールを有する印字ヘッドアセンブリが使用できる。ノズル速度が約15〜55kHzの範囲にあるときに、印字ヘッド全体に関して、1秒当たり最大約10598×10〜38861×10滴または約10.5984〜38.8608mlのインクが発射される。これは、約0.24〜0.87ms-1の線印刷速度または約0.45〜1.63sqms-1の面印刷速度という結果になる。この低い方の速度では、毎秒約108億ドットをまとめて計算するPEC集積回路によって、各々が16個の印字ヘッド集積回路を駆動する(12個の印字ヘッド集積回路を駆動するPEC集積回路の1つによって)6個のPEC集積回路が使用できる。この高い方の速度では、毎秒約414億ドットをまとめて計算するPEC集積回路によって、各々が4個の印字ヘッド集積回路を駆動する23個のPEC集積回路が使用できる。
【0211】
1巻きの印刷媒体に印刷する「超幅広」印刷ユニットに関しては、4064mmの印字ヘッド幅を提示するために200個の印字ヘッド集積回路を備える1つ以上の印字ヘッドモジュールを有する印字ヘッドアセンブリが使用できる。ノズル速度が約15kHzであるときに、印字ヘッド全体に関して、1秒当たり最大約23040×10滴または約23.04mlのインクが発射される。これは、約0.24ms-1の線印刷速度または約0.97sqms-1の面印刷速度という結果になる。毎秒約234億ドットをまとめて計算するPEC集積回路によって、各々が16個の印字ヘッド集積回路を駆動する(8個の印字ヘッド集積回路を駆動するPEC集積回路の1つによって)13個のPEC集積回路が使用できる。
【0212】
上記の例示的な印刷ユニットのアプリケーションに関して、必要とされる印字ヘッドアセンブリは、対応する標準の長さの印字ヘッドモジュールによって、または数個の標準の長さの印字ヘッドモジュールの組合せによって用意できる。上記の例示的な印刷ユニットアプリケーションのいずれも、各々が上記に与えられた印字ヘッドタイルの数を有する2つの印字ヘッドアセンブリが使用されるように、同時両面印刷による両面印刷を含むことができることは無論である。更に当業者は、これらのアプリケーションが単に例であって、印字ヘッドアセンブリの印字ヘッド集積回路の数とノズル速度と関連印刷能力とが特定の印刷ユニットアプリケーションに依存することを理解している。
【0213】
(印刷エンジンコントローラ)
さて本発明の印字ヘッドアセンブリに適用可能なPEC集積回路の機能と構造は、図40〜42を参照しながら論じられる。
【0214】
本発明の上述の例示的な実施形態において印字ヘッドアセンブリ10の印字ヘッド集積回路51は、駆動電子回路100のPEC集積回路100によって制御される。種々の異なるサイズのページ上でのページ幅印刷を可能にするために、1つ以上のPEC集積回路100が設けられる。上述のようにPCB支持体91によって支持されたPCB90の各々は、4個の印字ヘッド集積回路51とインタフェースする1個のPEC集積回路100を有しており、このPEC集積回路100は本質的に、印字ヘッド集積回路51を駆動し、また受信した印刷データを印刷に適した形式で印字ヘッド集積回路51に転送する。
【0215】
本発明の印字ヘッド集積回路を駆動することに適した例示的なPEC集積回路は、本出願人の同時係属中米国特許出願第09/575,108号、09/575,109号、09/575,110号、09/606,999号、09/607,985号、09/607,990号に記載されており、これらの開示内容はすべて参照として本明細書に組み入れられている。
【0216】
図40を参照するとPEC集積回路100によって実行されるデータ流れと機能は、このPEC集積回路100が複数の印字ヘッドモジュール30を有する印字ヘッドアセンブリを駆動することに適している状況に関して説明される。上述のように本発明の一実施形態の印字ヘッドモジュール30は、印刷用流体の6本のチャネルを利用する。これらは次の通りである:
・通常のカラー印刷用のシアン、マゼンタ、イエロー(CMY)、
・黒いテキストその他の黒またはグレースケール印刷用のブラック(K)、
・タグ使用可能アプリケーション用の赤外色(IR)、
・高速印刷を可能にする定着剤(F)。
【0217】
図40に示すように文書は典型的には、PEC集積回路への伝送に先立って文書を印刷する際に関連する種々の処理ステップ131〜134を実行するようにプログラムされたラスタイメージプロセッサ(単数または複数)(RIP(単数または複数))を有するコンピュータシステムなどによってPEC集積回路100に供給される。これらのステップは典型的には、文書データを受信するステップ(ステップ131)と、このデータをコンピュータシステムのメモリバッファに格納するステップ(ステップ132)とを含み、ここでページレイアウトが生成され、必要とされるいかなるものも追加され得る。メモリバッファからのページは、PEC集積回路100への伝送に先立って、RIPによってラスタ化され(ステップ133)、次に圧縮される(ステップ134)。ページデータを受信するとPEC集積回路100は、印字ヘッド集積回路51を駆動するためにこのデータを処理する。
【0218】
本発明の印字ヘッドアセンブリのページ幅性のために各ページは、目視可能な人為構造物の生成を避けるために一定速度で印刷されなくてはならない。これは、印刷速度が入力データ速度に整合するように変えることができないことを意味する。したがって文書ラスタ化と文書印刷は、印字ヘッドアセンブリが一定のデータ供給を有することを保証するために、切り離される。この構成では1ページが完全にラスタ化されるまでこのページは印刷されず、また一定の高い印刷速度を達成するために各ラスタ化ページ画像の圧縮されたバージョンは、メモリ内に格納される。この切り離しはまた、複雑なページをラスタ化するための時間を買って単純なページをラスタ化するときにプリンタに先立ってRIP(単数または複数)が動作することを可能にする。
【0219】
連続階調カラー画像は確率的ディザリングによって再生されるが、ブラックテキストと線画はドットを直接使用して再生されるので、圧縮されたページ画像フォーマットは、別々の前景2値ブラック層と背景連続階調カラー層とを含む。ブラック層は、連続階調層がディザリングされた後に(連続階調層は任意のブラック成分を有するが)連続階調層の上に合成される。必要であればタグの最終層(IRまたはブラックインクで)が場合によって、プリントアウト用にこのページに追加される。
【0220】
ページ記述におけるディザマトリックス選択領域は、無視し得るサイズに無損失で圧縮され、圧縮ページの一部を形成する連続階調解像度2値ビットマップにラスタ化される。印刷されたページのIR層は場合によって、プログラム可能な密度で符号化タグを含む。
【0221】
上記のようにRIPソフトウエア/ハードウエアは、各ページ記述をラスタ化して、このラスタ化されたページ画像を圧縮する。各圧縮されたページ画像は、PEC集積回路100に転送され、次にそこでメモリバッファ135に格納される。次にこの圧縮ページ画像は、検索されて、ページ画像が再生されるページ画像拡大器136に送られる。必要であればディザリング手段137によって任意の連続階調層に任意のディザが加えられ、また任意のブラック2値層は、レンダリング(描画)手段139によって描画され得る任意の赤外色タグと共に合成器138によって連続階調層の上に合成され得る。処理ステップの説明に戻ると次にPEC集積回路100は、印刷ページ141を生成するステップ140で合成されたページデータを印刷するために印字ヘッド集積回路51を駆動する。
【0222】
この点に関してPEC集積回路100によって実行される処理は、多数の異なるステージからなると考えることができる。第1のステージは、JPEG圧縮された連続階調CMYK層とグループ4Fax圧縮された2値ディザマトリックス選択マップとグループ4Fax圧縮された2値ブラック層とをすべて同時に拡大する能力を有する。これと並行して2値IRタグデータは、圧縮されたページ画像から符号化できる。第2のステージは、ディザマトリックス選択マップによって選択されたディザマトリックスを使用して連続階調CMYK層をディザリングし、結果得られた2値K層の上に2値ブラック層を合成し、このページにIR層を加える。C、M、Y、KまたはIRチャネルのいずれかに必要がある場所の各ドット位置において定着剤層も生成される。最後のステージは、印字ヘッドアセンブリを介して2値CMYK+IRデータを印刷する。
【0223】
図41は、全体的印刷システムアーキテクチャに関連してPEC集積回路(単数または複数)100を含む本発明の印字ヘッドアセンブリの例示的な実施形態を示す。図示のように印字ヘッドアセンブリの種々のコンポーネントは、下記を含む:
・メモリバッファ142における記憶のために圧縮されたページ画像を受信し、ページ拡大とブラック層合成とを実行し、ドットデータを印字ヘッド集積回路51に送信することに責任を有するPEC集積回路100。このPEC集積回路100はまた、マスター品質保証(QA)集積回路143と(交換可能)インクカートリッジQA集積回路144とも通信でき、最適な印刷を保証するための印字ヘッドアセンブリ特性を回復する手段を備える;
・圧縮ページ画像を記憶するための、また所定のページの印刷時の一時使用のためのメモリバッファ142。メモリバッファの構造と機能は、当業者に既知であり、ある範囲の標準的集積回路とこれらを使用するための手法は、PEC集積回路(単数または複数)100の使用時に利用可能である;
・交換可能インクカートリッジQA集積回路144に適合するマスター集積回路143。QA集積回路の構造と機能は、当業者に既知であり、ある範囲の既知のQA処理は、PEC集積回路(単数または複数)100の使用時に利用可能である。
【0224】
上記にある程度述べたように、本発明のPEC集積回路100は本質的には、下記の基本的4レベルの機能を実行する:
・IEEE1394のようなシリアルインタフェースを介して圧縮ページを受信すること;
・圧縮形式からページを生成するための印刷エンジンとして機能すること。この印刷エンジン機能は、ページ画像を拡大することと、連続階調(連続階調)層をディザリングすることと、連続階調層上でブラック層を合成することと、赤外タグを場合によって加えることと、結果得られた画像を印字ヘッド集積回路に送ること;
・印字ヘッド集積回路と印刷システムのステッピングモータとを制御するための印刷コントローラとして機能すること;
・2つのQA集積回路との通信のための2つの標準の低速シリアルポートとして働くこと。この点に関して、認証手順時の強いセキュリティを保証するために1つではなく2つのポートが使用される。
【0225】
さてこれらの機能は、本発明の例示的な実施形態によるPEC集積回路アーキテクチャの更に特定の例示を提供する図42を参照しながらより詳細に説明される。
【0226】
PEC集積回路100は、下記の機能を実行するために単純なマイクロコントローラCPUコア145を組み込んでいる:
・印刷ページ間でシリアルインタフェース146を介してQA集積回路認証プロトコルを実行する;
・印刷用の印字ヘッド集積回路51への紙送りを制御するために印刷時にパラレルインタフェース147を介して印刷システムのステッピングモータを駆動する(ステッピングモータは5KHzプロセスを必要とする);
・印刷中、PEC集積回路100の種々のコンポーネントを同期させる;
・外部のデータ要求(プログラミングレジスタなど)とのインタフェース手段を提供する;
・対応する印字ヘッドモジュールの低速データ要求(特徴付けベクトルの読取り、パルスプロファイルの書込みのような)とのインタフェース手段を提供する;
・肖像画および風景画タグ構造を外部DRAM148に書き込む手段を提供する。
【0227】
ページ拡大および印刷処理を実行するためにPEC集積回路100は、高速シリアルインタフェース149(標準IEEE1394インタフェースのような)と、標準JPEG復号器150と、標準グループ4Fax復号器151と、特注の中間調生成器/合成器(HC)152と、特注のタグ符号器153と、行ローダ(line loader)/フォーマッタ(formatter)(LLF)154と、印字ヘッド集積回路51と通信する印字ヘッドインタフェース155(PHI)と、を含む。復号器150、151とタグ符号器153は、HC152にバッファされる。タグ符号器153は、ページのどんな使い方がなされるかに依存するプロトコルにしたがってページに対して赤外タグ(単数またな複数)を確立する。
【0228】
印刷エンジン機能は、二重バッファされる方法で働く。すなわち1つのページは、高速シリアルインタフェース149からDRAMインタフェース156とデータバス157とを介して外部DRAM148にロードされるが、前にロードされたページはDRAM148から読み取られて印刷エンジン処理を通過させられる。いったんページが印刷を完了すると、今ロードされたページが印刷されるページになり、新しいページが高速シリアルインタフェース149を介してロードされる。
【0229】
上述の第1のステージにおいてこのプロセスは、いかなるJPEG圧縮された連続階調(CMYK)層も拡大し、また2つのグループ4Fax圧縮された2値データストリームのいずれをも拡大する。これら2つのストリームは、ブラック層(PEC集積回路100は実際には色認知不能であり、この2値層は出力インクのいずれにも導かれ得る)と、連続階調(連続階調)ディザリングのためにディザマトリックス間で選択するための無光沢層(つや消し面)である。第2のステージでは第1のステージと並行して、いかなるタグもIRまたはブラックインクで後にレンダリングするために符号化される。
【0230】
最後に第3のステージにおいて連続階調層はディザリングされ、位置タグと2値スポット層が、結果として得られた2値ディザリング層の上で合成される。データストリームは理想的には、印字ヘッドアセンブリにおいてオーバーラップしているセグメントに亘って滑らかな遷移を作り出すように調整され、理想的には印字ヘッドアセンブリの使えないノズルを補正するように調整される。このステージから、2値データの最大6チャネルが生成される。
【0231】
しかしながら印字ヘッドモジュール30には6個のチャネルすべてが存在する必要がないことは、当業者によって理解される。例えば印字ヘッドモジュール30は、KをCMYチャネルに押し込んでIRを無視することによってCMYだけを提供することができる。代替として位置タグは、もしIRインクが利用できなければ(あるいはテスト目的のために)Kで印刷することもできる。結果得られた2値CMYK−IRドットデータは、1セットのラインバッファ(図示せず)を介して、印字ヘッド集積回路51による印刷のためにバッファされてフォーマット化される。これらのラインバッファの大部分は理想的には、外部DRAM148に格納されてもよい。最後のステージで2値ドットデータの6本のチャネルは、PHI155を介して印刷される。
【0232】
HC152は、連続階調(典型的にはCMYK)層をその2値バージョンに中間調化する機能と、適当な中間調化連続階調層(単数または複数)の上でスポット1の2値層を合成する機能とを併せ持つ。もしKインクが存在しなければ、HC152は、KをCMYドットに適当に写像することができる。これはまた、ディザマトリックス選択マップにおける対応する値に基づいて1ピクセルずつ、2つのディザマトリックス間で選択する。HC152への入力は、バッファ158を介しての拡大された連続階調層(JPEG復号器146からの)と、バッファ159を介しての拡大された2値スポット1層と、バッファ160を介しての典型的には連続階調層と同じ解像度の拡大されたディザマトリックス選択ビットマップと、バッファ(FIFO)161を介してのフルドット解像度のタグデータと、である。
【0233】
HC152は、外部DRAM148から読み取られる最大2つのディザマトリックスを使用する。HC152からLLF154への出力は、最大6枚のカラー平面における1セットのプリンタ解像度2値画像ラインである。典型的には連続階調層はCMYKまたはCMYであり、2値スポット1層はKである。いったん開始されるとHC152は、「ページ終了」条件を検出するまで、またはその制御レジスター(図示せず)を介して明示的に停止させられるまで進行する。
【0234】
LLF154は、HC152からのドット情報を受信し、所定の印刷ラインのためのドットを適当なバッファ記憶装置(集積回路上のあるもの(図示せず)と外部DRAM148内のあるもの)にロードし、印字ヘッド集積回路51のために必要とされる順序にこれらをフォーマット化する。特にLLF154への入力は、すべてがHC152によって生成された1セット6ワードの32ビットワードと1ビットのデータ有効ビットである。LLF154の出力は、6色カラーの最大15個の印字ヘッド集積回路を表す1セットの190ビットである。印字ヘッドアセンブリで何色のカラーが実際に使用されるかによって、必ずしもすべての出力ビットが有効でない可能性がある。
【0235】
本発明の例示的な実施形態の印字ヘッドアセンブリ上のノズルの物理的配置は、ずれた(オフセットした)2行になっており、これは異なる2行に関して同じカラーの奇数ドットと偶数ドットが存在することを意味する。偶数ドットは線Lのためのものであり、奇数ドットは線L−2のためのものである。更に1つのカラーのドットと別のカラーのドットとの間には多数の線が存在する。同じドット位置に関する6枚のカラー平面がHC152によって一度に計算されるので、同じドットが適当なカラーノズルの下に位置決めされるまでこれらのカラー平面の各々の平面のためにドットデータを遅らせる必要がある。各バッファラインのサイズは、印字ヘッドアセンブリの幅に依存する。単一のPEC集積回路100は最大15個の印字ヘッド集積回路51のためのドットを生成できるので、単一の奇数または偶数バッファラインは、全部で9600ビット(1200バイト)に関して、640ドットの15セットである。例えば6色カラーの奇数ドットのために必要とされるバッファは、全部で約45キロバイトである。
【0236】
PHI155は、PEC集積回路100が印字ヘッド集積回路51に印刷すべきドットをロードし、実際のドット印刷処理を制御する手段である。これは、LLF154から入力を取り入れて印字ヘッド集積回路51にデータを出力する。PHI155は、種々の印字ヘッドアセンブリの長さおよびフォーマットを取り扱うことができる。PHI155の内部構造は、最大6色カラーと、1転送当たり8個の印字ヘッド集積回路51と、全速力でA4/レターサイズ用紙に印刷できる印刷システムの15個の印字ヘッド集積回路51(8.5インチ)を有する印字ヘッドアセンブリのために十分である最大2グループの印字ヘッド集積回路51グループと、に備えている。
【0237】
印字ヘッドアセンブリ10の組合せ特徴付けベクトルは、シリアルインタフェース146を介して読み戻され得る。この特徴付けベクトルは、相対的印字ヘッドモジュール整列データばかりでなく、使えないノズルの情報も含むことができる。各印字ヘッドモジュールは、印字ヘッドモジュールの特徴付けベクトルを返すようにその低速シリアルバス162を介して問い合わせられる可能性がある。多数の印字ヘッドモジュールからの特徴付けベクトルは、印字ヘッドアセンブリ全体に関するノズル欠陥リストを作成するために結合でき、PEC集積回路100が印刷時に欠陥ノズルを補正することを可能にする。欠陥ノズルの数が小さい限り、この補正は欠陥ノズルを持たない印字ヘッドアセンブリの結果とは見分けが付かない結果を作り出すことができる。
【0238】
(流体分配スタック)
今度は印字ヘッドタイルの流体分配スタックの例示的な構造が、図43を参照しながら説明される。
【0239】
図43は、スタック500に関しても示される印字ヘッド集積回路51を有する流体分配スタック500の分解図を示す。図43に示す例示的な実施形態においてスタック500は、3層、すなわち上層510と中間層520と下層530とを含み、更に上層510の上にこの順序で設けられるチャネル層540とプレート550とを含む。層510、520、530の各々は、ステンレス鋼の、またはマイクロモールド(微細成形)されたプラスチック材料のシートとして形成される。
【0240】
印字ヘッド集積回路51は、エッチングされた孔511のアレイの上に横たわるように、したがってチャネル層540とプレート550のスタックに隣接して位置するようにスタック500の上層510に接合される。印字ヘッド集積回路51自身は、最下層51aに流体チャネル(図示せず)を有するシリコンの多層スタックとして形成される。これらのチャネルは、印字ヘッド集積回路51がスタック500に取り付けられたときに孔511に整合する。本発明の一実施形態では印字ヘッド集積回路51は、幅が約1mm、長さが21mmである。この長さは印字ヘッド集積回路51を製造するために使用されるステッパーのフィールドの幅によって決定される。したがって孔511は、印字ヘッド集積回路51のこれらの寸法に適合するように配置される。
【0241】
上層510は、その下面にエッチングされたチャネル512を有する(図43は隠れた細部としてチャネル512の一部だけを示している)。チャネル512は、これらの端部が中間層520の孔521に整合するように図示のように延びている。チャネル512のうちの異なるチャネルは、孔521のうちの異なる孔に整合する。同様に孔521は、下層530のチャネル531に整合する。
【0242】
チャネル531の各々は、参照数字532で示された最後のチャネルを除いて、それぞれ異なるカラーまたはタイプのインクまたは流体を搬送する。最後のチャネル532は空気チャネルであって、中間層520の更なる孔522に整合しており、これらの孔522は同様に、上層510の更なる孔513に整合する。更なる孔513は、チャネル層540に形成されたスロット542の内側541に整合するので、これらの内側は破線543で示すように空気チャネル532に整合し、したがって空気チャネル532と流体流れ連通する。
【0243】
下層530は、各々がチャネル531、532のうちの対応するチャネル内に開放する印字ヘッドタイル50の入口ポート54を含む。
【0244】
印字ヘッド集積回路表面に空気を供給するために、空気供給源(図示せず)からの圧縮および濾過された空気は、対応する入口ポート54を通って空気チャネル532に入り、それぞれ中間層520と上層510の孔522、513を、次にチャネル層540のスロット542を通り抜ける。この空気は、矢印Aの方向から印字ヘッド集積回路51の側部表面51bに入り、次に実質的に矢印Bの方向に印字ヘッド集積回路51から放出される。印字ヘッド集積回路51の最上部表面には、ノズルを印刷媒体の塵埃から遠ざけて清浄に保つ助けとなるようにノズルを部分的にカバーするノズルガード51cが更に配置され得る。
【0245】
これらのノズルに異なるカラーおよびタイプのインクその他の流体(図示せず)を供給するために、これらの異なるインクその他の流体は、入口ポート54を通ってチャネル531のうちの対応するチャネルに入り、中間層520の対応する孔521を通り抜け、上層510の下面の対応するチャネルに沿って流れ、上層510の対応する孔511を通り抜け、次に最後に、上述のようにチャネル層540のスロット542を通り抜けて印字ヘッド集積回路51に達する。
【0246】
この経路を走行する際にインクおよび流体の流れ直径は、入口ポート54におけるマクロサイズの流れ直径から印字ヘッド集積回路51のノズルにおけるマイクロサイズの流れ直径にまで徐々に減少する。
【0247】
図43に示す流体分配スタックの例示的な実施形態は、流体チャネル部材のダクトの上述の例示的な実施形態にしたがって空気を含む7種類の異なる流体を印字ヘッド集積回路に分配するように構成される。しかしながら特定の印刷アプリケーションに依存してこれより多い、または少ない種類の流体が使用でき、またしたがって流体分配スタックが必要に応じて構成できることは、当業者によって理解される。
【0248】
(ノズルおよびアクチュエータ)
本発明の印字ヘッドアセンブリに適した例示的なノズル装置は、本出願人の下記の同時係属中の、および付与された出願:米国特許第6,188,415号;同第6,209,989号;同第6,213,588号;同第6,213,589号;同第6,217,153号;同第6,220,694号;同第6,227,652号;同第6,227,653号;同第6,227,654号;同第6,231,163号;同第6,234,609号;同第6,234,610号;同第6,234,611号;同第6,238,040号;同第6,338,547号;同第6,239,821号;同第6,241,342号;同第6,243,113号;同第6,244,691号;同第6,247,790号;同第6,247,791号;同第6,247,792号;同第6,247,793号;同第6,247,794号;同第6,247,795号;同第6,247,796号;同第6,254,220号;同第6,257,704号;同第6,257,705号;同第6,260,953号;同第6,264,306号;同第6,264,307号;同第6,267,469号;同第6,283,581号;同第6,283,582号;同第6,293,653号;同第6,302,528号;同第6,312,107号;同第6,336,710号;同第6,362,843号;同第6,390,603号;同第6,394,581号;同第6,416,167号;同第6,416,168号;同第6,557,977号;同第6,273,544号;同第6,299,289号;同第6,299,290号;同第6,309,048号;同第6,378,989号;同第6,420,196号;同第6,425,654号;同第6,439,689号;同第6,443,558号;および同第6,634,735号、米国特許出願第09/425,420号、米国特許第6,623,101号;同第6,406,129号;同第6,457,809号;同第6,457,812号;同第6,505,916号;同第6,550,895号;同第6,428,133号;同第6,305,788号;同第6,315,399号;同第6,322,194号;同第6,322,195号;同第6,328,425号;同第6,328,431号;同第6,338,548号;同第6,364,453号;同第6,383,833号;同第6,390,591号;同第6,390,605号;同第6,417,757号;同第6,425,971号;同第6,426,014号;同第6,428,139号;同第6,428,142号;同第6,439,693号;同第6,439,908号;同第6,457,795号;同第6,502,306号;同第6,565,193号;同第6,588,885号;同第6,595,624号;同第6,460,778号;同第6,464,332号;同第6,478,406号;同第6,480,089号;同第6,540,319号;同第6,575,549号;同第6,609,786号;同第6,609,787号;同第6,612,110号;同第6,623,106号;同第6,629,745号;同第6,652,071号;同第6,659,590号、米国特許出願第09/575,127号;同第09/575,152号;同第09/575,176号;同第09/575,177号;同第09/608,780号;同第09/693,079号;同第09/693,135号;同第09/693,735号;同第10/129,433号;同第10/129,437号;同第10/129,503号;同第10/407,207号;および同第10/407,212号、出願ドケット番号第JUM003号および同第JUM004号、米国特許出願第10/302,274号;同第10/302,297号;同第10/302,577号;同第10/302,617号;同第10/302,618号;同第10/302,644号;同第10/302,668号;同第10/302,669号;同第10/303,312号;同第10/303,348号;同第10/303,352号;および同第10/303,433号
と、出願ドケット番号第MTB01〜MTB14と、に記載されており、これらの開示内容はすべて、参照として本明細書に組み入れられている。上記の出願の一部は、それらの出願ドケット番号によって識別されており、いったん譲渡されると、出願ドケット番号は対応する出願番号によって置き換えられる。
【0249】
さて、これらのうちで例示的なノズル装置が図44〜53を参照しながら説明される。印字ヘッドタイル50に搭載された印字ヘッド集積回路51の各々に組み込まれた1つのノズル装置(図5Aを参照)は、ノズルとこれに対応するアクチュエータとを含む。図44は、シリコン基板815に形成されたノズル装置801のアレイを示す。これらのノズル装置は互いに同じものであるが、一実施形態では異なるノズル装置には、異なるカラーインクと定着剤が供給される。ノズル装置801の行は互いにジグザグに配置され、1行のノズルで可能な間隔より短い、印刷時のインクドット間隔を可能にしている。多数行はまた、冗長度に備えており(所望であれば)、それによって予め決められた1ノズル当たりの障害率に備えている。
【0250】
各ノズル装置801は、集積回路製造技術の産物である。図示のようにノズル装置801は、超小型電気機械(マイクロエレクトロメカニカル)システム(MEMS)によって構成される。
【0251】
説明を明確および容易にするために、図45〜53を参照しながら単一のノズル装置801の構造と動作が説明される。
【0252】
各印字ヘッド集積回路51は、シリコンウェーハ基板815を含む。このシリコンウェーハ基板815上には、0.42ミクロン1P4M12ボルトCMOSマイクロプロセッシング回路が配置される。
【0253】
ウェーハ基板815の上にはシリコンダイオード(代替としてガラス)層817が配置される。このシリコンダイオード層817は、CMOS誘電体層を画成する。CMOS最上レベル金属は、シリコンダイオード層817上に配置された1対の整合したアルミニウム電極コンタクト層830を画成する。シリコンウェーハ基板815とシリコンダイオード層817の両方は、ほぼ円形断面(平面図で)を有するインク入口チャネル814を画成するようにエッチングされる。インク入口チャネル814の周りのシリコンダイオード層817には、CMOS金属1とCMOS金属2/3とCMOS最上レベル金属とのアルミニウム拡散バリア828が配置される。この拡散バリア828は、駆動回路層817のCMOS酸化物層を介してヒドロキシイオンの拡散を抑制するように働く。
【0254】
アルミニウムコンタクト層830とシリコンダイオード層817の上には、窒化シリコン層831の形のパッシベーション層が配置される。コンタクト層830の上に配置されたパッシベーション層831の各部は、コンタクト830へのアクセスを提供するためにそこに画成された開口部832を有する。
【0255】
ノズル装置801は、ノズル屋根834と平面図で円形である半径方向内側ノズルリム804との上端で終端する環状ノズル壁833によって画成されるノズルチャンバ829を含む。インク入口チャネル814は、ノズルチャンバ829と流体連通している。ノズル壁の下端には、可動シールリップ840を含む可動リム810が配置される。環状壁838は、可動ノズルを取り囲み、ノズルが図45に示すように静止しているときに可動リム810に隣接する静止シールリップ839を含む。静止シールリップ839と可動シールリップ840との間にトラップされたインクの表面張力によって流体シール811が形成される。これは、環状壁838とノズル壁833との間に低抵抗連結を与えながら、チャンバからのインクの漏洩を防止する。
【0256】
図52に最もよく示すように、ノズルリム804の周りの屋根834には、複数の放射状に延びる凹部835が画成される。これらの凹部835は、ノズルリム804を通り過ぎて逃げるインクの結果としての放射状のインクの流れを収容するように働く。
【0257】
ノズル壁833は、窒化シリコンの層831に取り付けられたベース837を持つほぼU字形のプロファイルを有するキャリア836に取り付けられたレバー装置の一部を形成する。
【0258】
このレバー装置はまた、ノズル壁から延びていて、横方向に硬いビーム822を組み入れたレバーアーム818を含む。このレバーアーム818は、図48、51に最もよく示すように、窒化チタン(TiN)から形成され、ノズル装置の両側に配置される1対の受動ビーム806に取り付けられる。これらの受動ビーム806の他端は、キャリア836に取り付けられる。
【0259】
レバーアーム818はまた、TiNから形成されたアクチュエータビーム807にも取り付けられる。アクチュエータビームへのこの取付けが、受動ビーム806への取付けより高い、小さいが際どい距離の1点で行われることは注目される。
【0260】
図48、51に最もよく示すようにアクチュエータビーム807は、平面図で実質的にU字形であり、電極809と対向電極841との間に電流経路を画成する。電極809、841の各々は、コンタクト層830のそれぞれの点に電気的に接続される。コンタクト809を介して電気的に接続されると同様に、アクチュエータビームはまた、アンカー808に機械的に固定される。アンカー808は、ノズル装置が動作しているときに、図45〜47の左へのアクチュエータビーム807の動きを抑制するように構成される。
【0261】
アクチュエータビーム807のTiNは、導電性ではあるが、電極809、841間に電流が通されるときに自己加熱を受けるほど十分に高い電気抵抗を有する。受動ビーム806には電流は流れないので、受動ビームは膨張しない。
【0262】
使用時に静止している装置は、表面張力の影響下でメニスカス803を画成するインク813で満たされる。インクは、メニスカスによってチャンバ829内に保持され、他の何らかの物理的影響がなければ一般に漏洩しない。
【0263】
図46に示すようにノズルからインクを発射するために、コンタクト809、841間に電流が通され、アクチュエータビーム807を通過する。その抵抗によるビーム807の自己加熱は、このビームを膨張させる。アクチュエータビーム807の寸法と設計は、この膨張の大部分が図45〜47に関して水平方向に起こることを意味する。左への膨張は、アンカー808によって抑制されるので、レバーアーム818に隣接するアクチュエータビーム807の端部は、右に押しやられる。
【0264】
受動ビーム806の相対的水平方向不撓性は、レバーアーム818の水平方向の大きな動きを防止する。しかしながら受動ビームとアクチュエータビームの取付け点それぞれのレバーアームに関する相対的変位は、レバーアーム818をほぼ下方に動かすねじれ運動を引き起こす。この動きは効果的に、ピボット回転運動またはヒンジ運動になる。しかしながら真のピボット点の不在は、回転が受動ビーム806の屈曲によって画成されるピボット領域の周りに起こることを意味する。
【0265】
レバーアーム818の下向き運動(および僅かな回転)は、ノズル壁833の受動ビーム806からの距離によって増幅される。ノズル壁と屋根の下向き運動は、チャンバ29内で圧力増加を引き起こし、図46に示すようにメニスカスを膨れ上がらせる。流体シール811がインク漏れを起こさずにこの動きによって引き伸ばされることをインクの表面張力が意味することは注目される。
【0266】
図47に示すように適当な時刻に駆動電流は止められ、アクチュエータビーム807は急速に冷却して収縮する。この収縮はレバーアームに静止位置への復帰を開始させ、次いでチャンバ829内の圧力低下を引き起こす。膨れ上がるインクの勢いとその本来の表面張力との相互作用と、ノズルチャンバ829の上方への動きによって引き起こされる負圧とは、膨れ上がるメニスカスの薄くなって最終的にパチンと切れる作用に、隣接する印刷媒体に接触するまで上り続けるインク滴802を画成させる。
【0267】
インク滴802が離れた直後にメニスカスは、図45に示す凹面形状を形成する。表面張力は、インクが入口814を介して上方に吸われるまで、チャンバ829内の圧力を比較的低いままに保持し、ノズル装置とインクとを図45に示す静止状態に戻す。
【0268】
図48に最もよく示すようにノズル装置はまた、印字ヘッドアセンブリが設置された後に、製造後と定期的の両方で使用できるテスト機構を組み込んでいる。このテスト機構は、テスト回路(図示せず)に接続された1対のコンタクト820を含む。レバーアーム818から延びるフィンガー843上には、ブリッジコンタクト819が設けられる。このブリッジコンタクト819は、受動ビーム806の反対側に在るので、ノズルの起動はこのブリッジコンタクトを上方に動かしてコンタクト820に接触させる。この起動がコンタクト819、820によって形成される回路の閉鎖を引き起こすことを確認するために、テスト回路が使用される。もし回路が適切に閉じられるならば、一般にノズルは動作可能であることが想定できる。
【0269】
(コンポーネントの例示的な組立て方法)
本発明の一実施形態による印字ヘッドアセンブリの上述の種々のモジュール式コンポーネントの例示的な組立て方法が説明される。下記の方法が単に本発明のある特定の印字ヘッドアセンブリの組立ての一例を表すものであって、本発明のこの例示的な印字ヘッドアセンブリまたは他の例示的な印字ヘッドアセンブリを組み立てるために異なる方法が使用できることは、理解されるべきである。
【0270】
印字ヘッド集積回路51と印字ヘッドタイル50は、下記のように組み立てられる:
A.1600dpiの解像度で印刷できるように間隔を置いて配置された7680個のノズルをその表面に形成することによって、先ず印字ヘッド集積回路51が用意される;
B.流体分配スタック500(このスタックから印字ヘッドタイル50が形成される)は、金属相互拡散によって真空炉内で互いに一体に接合されたステンレス鋼製の3層510、520、530とチャネル層540とプレート550とを有するように構成されており、ここで下層530の内面と中間層520および上層510の表面は、上述のように印字ヘッド集積回路51の個別ノズルにCMYKインクとIRインクと定着剤とを、そして印字ヘッド集積回路51の表面に空気を搬送できるように、チャネルと孔531と532、521と522および511〜513をそれぞれ備えるためにエッチングされる。更に下層530の外面は入口ポート54を備えるためにエッチングされる;
C.次に印字ヘッド集積回路51と(精細ピッチの)PCB52とをごく接近して取り付けるために流体分配スタック500の上面に、シリコーン接着剤のような接着剤が塗布される;
D.印字ヘッド集積回路51とPCB52は、ピックアンドプレースロボットによって、取り上げられ、予め中心合わせされ、次に流体分配スタック500の上面に接合される;
E.次にこのアセンブリは、オーブン内に配置され、それによって接着剤は印字ヘッド集積回路51とPCB52とを適所に固定するように硬化可能にされる;
F.次にワイヤボンディングマシンによって印字ヘッド集積回路51とPCB52との間の接続が行われ、それによって印字ヘッド集積回路51上の接合パッドとPCB52上の導電性パッドとの間に、25ミクロン直径の合金または金またはアルミニウムのワイヤが接合される;
G.次にワイヤボンド領域は、自動2ヘッドディスペンサーによって分与されたエポキシ接着剤にカプセル封入される。ワイヤボンド領域の周りにダムを引くために先ず、高い粘性で溜まりなしの接着剤が塗布され、次に接着剤の下のワイヤボンド領域を完全にカプセル封入するために、このダムは低い粘性の接着剤で満たされる;
H.次にこのアセンブリは、エポキシのカプセル材53を形成するためにオーブン内の水平プレート上に置かれて熱硬化される。この水平プレートは、硬化時にカプセル材がアセンブリから流れないことを保証する;
I.このように形成された印字ヘッドタイル50と印字ヘッド集積回路51は、信頼できる性能を保証するために純水のような適当な流体で「湿式」テストされ、次に乾燥され、それで流体チャネル部材40上での組立ての準備ができる。
【0271】
印字ヘッドタイル50と印字ヘッド集積回路51とで構成されたこれらのユニットは、下記のように流体チャネル部材40への組立てのために準備される:
J.PCB90とバスバー71、72、73から印字ヘッド集積回路51へのデータ接続と電力接続を提供するために、(引き延ばされた)可撓性PCB80が用意される;
K.この可撓性PCB80は、PCB52に位置合わせされ、高温バー半田付け機械を使用して取り付けられる。
【0272】
流体チャネル部材40とケーシング20は、下記のように形成されて組み立てられる:
L.個別の流体チャネル部材40は、細長い本体部44aを貫通して延びる7本の個別溝(チャネル)とその両側に沿って延びる2本の長手方向に伸びるタブ43とを有するように細長い本体部44aを射出成形することによって形成される。チャネルの各々を分離するために本体部44aを取り囲むことができるように(細長い)蓋部44bも成形される。本体部と蓋部の両方は、共に組み立てられたときに雌および雄端部45、46を形成する端部を有するように成形される。次に蓋部44bと本体部44aは、7本のダクト41を形成するようにエポキシで互いに接着されて硬化される;
M.次に(細長い)支持フレーム22の上部壁27上に形成されたチャネル21を有する(細長い)支持フレーム22と(細長い)カバー部23とを別々に形成することによって、ケーシング20はアルミニウムを所望の構成と長さに押出し成形することによって形成される;
N.端部プレート110は、支持フレーム22に形成されたねじ部22a、22bを介してねじによってケーシング20の一方の(第1の)端部に取り付けられ、また端部プレート111は、ねじ部22a、22bを介してねじによってケーシング20の他方の(第2の)端部に取り付けられる;
O.制御されたディスペンサーを介して、雌または雄コネクタ47または48のいずれか、およびキャッピング部材49の雌または雄接続部49aまたは49bのいずれかの適当な領域に(すなわちチャネルをカバーしないように)エポキシが塗布される;
P.制御されたディスペンサーを介して、所望の長さに対応するように、互いに端と端を接して組み立てられる複数の流体チャネル部材40の雌および雄端部45、46の適当な領域に(すなわちチャネルをカバーしないように)エポキシが塗布される;
Q.次に雌または雄コネクタ47または48は、複数の流体チャネル部材40の第1の端部に在る筈である流体チャネル部材40の雄または雌端部46または45に取り付けられ、またキャッピング部材49の雌または雄接続部49aまたは49bは、複数の流体チャネル部材40の第2の端部に在る筈である流体チャネル部材40の雄または雌端部46または45に取り付けられる;
R.次に流体チャネル部材40の各々は、1つずつチャネル21内に置かれる。流体チャネル部材40の接続されない端部45または46がエポキシを有して露出されたまま残るように、先ず第1の端部に在るべき(第1の)流体チャネル部材40は、第1の端部のチャネル21内に置かれ、上述の方法で支持フレーム22内にクリップされたPCB支持体91によって適所に固定される。次に第2の部材40は、その対応する端部45または46とそれらの間のエポキシとを介して第1の流体チャネル部材40と接合するようにチャネル21内に置かれ、次にPCB支持体91によって適所にクリップされる。次にこれは、最後の流体チャネル部材40がチャネル21の第2の端部において適所に置かれるまで、反復され得る。無論のこと、単に1個の流体チャネル部材40が使用されることもあり、その場合これは一方の端部45または46に取り付けられたコネクタ47または48と、他方の端部45または46に取り付けられたキャッピング部材49とを持ち得る;
S.次にこの装置は、圧縮ジグ内に置かれ、それによって個別の流体チャネル部材40とそれらの端部コネクタ47または48とキャッピング部材49との間の接続部をシーリングする助けとなるように、アセンブリの端部に圧縮力が印加される。次に接着剤接続部の硬化を高めるために、アセンブリとジグの全体が、予め決められた期間、例えば約45分間、約100℃の温度のオーブン内に置かれる。しかしながら室温硬化のような他の硬化方法も使用できる;
T.硬化に続いてこの装置は、個別の流体チャネル部材40とコネクタ47または48とキャッピング部材49との間のシーリングの完全性を保証するために、圧力テストされる;
U.次にアセンブリの露出した上面は、個別の印字ヘッドタイル50の取付けを容易にするために酸素プラズマ洗浄される。
【0273】
印字ヘッドタイル50は、下記のように流体チャネル部材40に取り付けられる:
V.流体チャネル部材40の上面への個別印字ヘッドタイル50の配置に先立って、印字ヘッドタイル50の底面は、接合(ボンディング)を向上させるために、アルゴンプラズマ洗浄される。次に出口ポート42の周りの上面の戦略的に重要な位置に、また出口ポート42の周りで対称に、流体チャネル部材40の上面にエポキシの形の接着剤がロボット式ディスペンサーによって塗布される。印字ヘッドタイル50を適所に固定するのを助けるために、印字ヘッドタイル50を配置する直前に上面の残っている空き領域に接着剤液滴としてシアノアクリレートのような高速作用接着剤が塗布される;
W.次に印字ヘッドモジュール30の長さに沿って連続した印刷面が画成されるように、また流体チャネル部材40の出口ポート42が個別印字ヘッドタイル50の入口ポート54に整合することを保証するために、個別印字ヘッドタイル50の各々は、ピックアンドプレースロボットによって流体チャネル部材40の上面に慎重に位置合わせされて配置される。配置に続いてこのピックアンドプレースロボットは、シアノアクリレートの硬化を助けて印字ヘッドタイル50を適所に固定するために、約5〜10秒間印字ヘッドタイル50に圧力を印加する。このプロセスは、各印字ヘッドタイル50について繰り返される;
X.次にこのアセンブリは、各出口ポート42と入口ポート42、54との間の流体接続をシーリングする、各印字ヘッドタイル50のためのガスケット部材60とロケータ61とを形成するようにエポキシを硬化させるために、約45分間、約100℃のオーブン内に置かれる。これは、印刷面を画成するように、印字ヘッドタイル50を流体チャネル部材40上の適所に固定する;
Y.硬化に続いてアセンブリは、印字ヘッドタイル50の正しい位置合わせと位置決めとを保証するために検査され、テストされる。
【0274】
印字ヘッドアセンブリ10は、下記のように組み立てられる:
Z.支持部材112が、端部支持体91の凹部91bに整合するように、端部PCB支持体91に取り付けられる;
AA.隣接PCB支持体91間の隣接凹部91b内と、支持部材112と端部PCB支持体91の隣接凹部112b、91b内それぞれに接続部材102が配置される;
BB.次に各々がその上に組み立てられたPEC集積回路100とその関連回路とを有するPCB90は、ケーシング20の長さに沿ってPCB支持体91に取り付けられ、保持クリップ96の切欠き部96aと凹部93aとPCB支持体91の基底部93の位置決めラグ93bとの間の適所に保持される。上述のようにPCB90は、1つのPCB90のPEC集積回路100が4個の印字ヘッドタイル50、または8個の印字ヘッドタイル50、または16個の印字ヘッドタイル50からなる印字ヘッド集積回路51を駆動するように配置できる。PCB90の各々は、各PCB90のPEC集積回路100間の、印字ヘッド集積回路51と各PCB90のPEC集積回路100との間の、およびコネクタ装置115のデータ接続部117間のデータ転送を可能にする接続部材102と通信する接続ストリップ90a、90bを、その内面に含む;
CC.電源116とそれに取り付けられたデータ接続部117と流体分配接続部118とを有するコネクタ装置115は、コネクタ装置115の領域115cが支持部材112のクリップ部112d内にクリップされるように、ねじで端部プレート110に取り付けられる;
DD.バスバー71、72、73は、複数のPCB支持体91の対応する溝付き凹部95a、95b、95cに挿入され、それらの端部においてコネクタ装置115の電源接続部116の対応するコンタクトねじ116a、116b、116cに接続される。バスバー71、72、73は、印字ヘッドアセンブリ全体に亘って電力が分配されるための経路を提供する;
EE.次に印字ヘッドタイル50の各々から延びる可撓性PCB80の各々は、スロット領域81をコネクタ98に挿入することによって、対応するPCB90のコネクタ98に接続される;
FF.次に圧力プレート74の隆起部75が可撓性PCB80の電力コンタクトをバスバー71、72、73の各々に接触させ、それによってバスバー71、72、73とPCB90と印字ヘッド集積回路51との間の電力転送のための経路を提供するように、孔74aと孔74bのタブ部74cとをPCB支持体91の対応する保持クリップ99、96に係合させることによって、圧力プレート74は、PCB支持体91にクリップされる;
GG.次に雌または雄コネクタ47または48の対応する管状部47bまたは48bに内部流体搬送チューブ6が取り付けられる;
HH.次に、アセンブリの上にケーシング20の細長いアルミニウムのカバー部23が配置され、このカバー部23のねじ部23b内に、端部プレート110、111の残りの孔を通してねじによって適所にねじ止めされ、またコネクタ装置115の上には端部ハウジング120が置かれて端部プレート110内の適所にねじでねじ止めされ、それによって印字ヘッドアセンブリとプリンタユニットとの間に電気的流体的連通を提供するように印字ヘッドアセンブリの外側ハウジングを完成させる。次にインクその他の流体をチャネルダクトに供給するために外部流体チューブまたはホースが組み立てられ得る。カバー部23はまた、その上にフィン部23dが設けられた場合にPEC集積回路100のためのヒートシンクとして機能することができ、それによって印字ヘッドアセンブリ10の回路を保護することができる。
【0275】
印字ヘッドアセンブリのテストは下記のように行われる:
II.このように組み立てられた印字ヘッドアセンブリ10は、テスト領域に動かされて、本質的に動作印刷ユニットである最終印刷テスト機械に挿入され、それによって印字ヘッドアセンブリ10から流体供給源と電源への接続は手動で行われる;
JJ.テストページが印刷されて分析され、そして印字ヘッド電子回路を仕上げるために適当な調整が行われる;
KK.合格したとき、製品の設置まで印字ヘッドアセンブリ10を保護するために、印字ヘッドアセンブリ10の印刷面はキャップされ、プラスチックのシーリングフィルムが貼付される。
【0276】
本発明は、その例示的な実施形態を参照しながら図示および説明されたが、種々の修正版は当業者にとって明らかであり、また本発明の範囲と精神から逸脱せずに、直ちに実施できる。したがって本明細書に付属の請求項の範囲が本明細書に述べられた説明に限定されることは意図されておらず、むしろこれらの請求項は広く解釈されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】本発明の一実施形態による印字ヘッドアセンブリの斜視図である。
【図2】図1の印字ヘッドアセンブリの反対側を示す図である。
【図3】図1の印字ヘッドアセンブリの断面図である。
【図4A】図1の印字ヘッドアセンブリに組み込まれた印字ヘッドモジュールの一部を示す図である。
【図4B】図4Aの印字ヘッドモジュールの蓋部を示す図である。
【図5A】図4Aの印字ヘッドモジュールの一部を形成する印字ヘッドタイルの上面図である。
【図5B】図5Aの印字ヘッドタイルの底面図である。
【図6】図5Aに示す印字ヘッドタイルに取り付けられる印字ヘッド集積回路のための電気コネクタを示す図である。
【図7】図4Aの印字ヘッドモジュールと図5A、5Bの印字ヘッドタイルの下側部との間に行われる接続を示す図である。
【図8】図4Aの印字ヘッドモジュールの「雌」端部を示す図である。
【図9】図4Aの印字ヘッドモジュールの「雄」端部を示す図である。
【図10】図9の雄端部のための流体搬送コネクタを示す図である。
【図11】図8の雌端部のための流体搬送コネクタを示す図である。
【図12】流体搬送チューブに接続された図10または11の流体搬送コネクタを示す図である。
【図13】図10、11の流体搬送コネクタの管状部装置を示す図である。
【図14A】図8、9の雌および雄端部のためのキャッピング部材を示す図である。
【図14B】図4Aの印字ヘッドモジュールに適用された図14Aのキャッピング部材を示す図である。
【図15A】図1の印字ヘッドアセンブリのケーシングの支持フレームの断面(骨格)図である。
【図15B】図15Aの支持フレームの上方からの斜視図である。
【図15C】図15Aの支持フレームの下方からの斜視図である。
【図16】図1の印字ヘッドアセンブリの一部を形成するプリント回路基板(PCB)支持体を示す図である。
【図17A】図16のPCB支持体の側部図である。
【図17B】図16のPCB支持体の後方斜視図である。
【図18A】図16のPCB支持体によって支持されたPCBによって支持される回路コンポーネントを示す図である。
【図18B】図18AのPCBと回路コンポーネントの反対側斜視図である。
【図19A】図16のPCB支持体に取り付けられた更なるコンポーネントを示す側面図である。
【図19B】図1の印字ヘッドアセンブリの一部を形成する圧力プレートの後方側面図である。
【図20】図19の更なるコンポーネントを示す正面図である。
【図21】図19の更なるコンポーネントを示す斜視図である。
【図22】図16のPCB支持体の正面図である。
【図22A】図22のI-I線に沿って取られた側面断面図である。
【図22B】図22Aの断面Aの拡大図である。
【図22C】図22のII-II線に沿って取られた側面断面図である。
【図22D】図22Cの断面Bの拡大図である。
【図22E】図22Cの断面Cの拡大図である。
【図23】図1の印字ヘッドアセンブリのケーシングのカバー部の側部図である。
【図24】モジュール式アセンブリにおける複数の図16のPCB支持体を示す図である。
【図25】図24の2つの隣接するPCB支持体によって支持されて、PCB支持体によって支持されるPCBを相互接続するために使用される接続部材を示す図である。
【図26】2つのPCBを相互接続する図25の接続部材を示す図である。
【図27】図25の接続部材による2つのPCB間の相互接続を示す図である。
【図28】図1の印字ヘッドアセンブリ内に配置されるバスバーの接続領域を示す図である。
【図29】本発明の一実施形態による印字ヘッドアセンブリの端部の斜視図である。
【図30】図29に示す印字ヘッドアセンブリの端部に配置されるコネクタ装置を示す図である。
【図31】印字ヘッドアセンブリの一部を形成する端部ハウジングプレートアセンブリに収容される図30のコネクタ装置を示す図である。
【図32A】図30のコネクタ装置の側部図である。
【図32B】図30のコネクタ装置の、図30Aとは反対側の側部図である。
【図32C】図30のコネクタ装置の流体搬送接続部を示す図である。
【図33A】本発明の一実施形態による印字ヘッドアセンブリ内に配置される支持部材を示す図である。
【図33B】そこに配置された図33Aの支持部材を有する印字ヘッドアセンブリの断面図である。
【図33C】図33Bの印字ヘッドアセンブリの一部をより詳細に示す図である。
【図34】印字ヘッドアセンブリのケーシングに取り付けられた図31の端部ハウジングプレートアセンブリに収容された図30のコネクタ装置を示す図である。
【図35A】図31の端部ハウジングプレートアセンブリの分解斜視図である。
【図35B】図1の印字ヘッドアセンブリの一部を形成する端部ハウジングプレートアセンブリの分解斜視図である。
【図36】図35A、35Bの両方の端部ハウジングプレートアセンブリを使用する形のときの印字ヘッドアセンブリの斜視図である。
【図37】図35Bの端部ハウジングプレートアセンブリに収容されたコネクタ装置を示す図である。
【図38A】図37のコネクタ装置の側部図である。
【図38B】図37のコネクタ装置の、図38Aとは反対側の側部図である。
【図39】図29の印字ヘッドアセンブリに取り付けられたときの端部プレートを示す図である。
【図40】図18Aに示す回路コンポーネントの1つを形成する印刷エンジンコントローラ集積回路によって実行されるデータ流れと機能とを示す図である。
【図41】全体的印刷システムアーキテクチャの関連において図40の印刷エンジンコントローラ集積回路を示す図である。
【図42】図41の印刷エンジンコントローラ集積回路のアーキテクチャを示す図である。
【図43】図5Aの印字ヘッドタイルを形成する要素の流体分配スタックの分解図である。
【図44】図1の印字ヘッドアセンブリの印字ヘッドモジュールに組み込まれた印字ヘッド集積回路のノズルシステムの一部の斜視図(部分的に断面図)である。
【図45】静止状態における単一ノズル(図44に示すノズルシステムの)の縦断面図である。
【図46】初期駆動状態における図45のノズルの縦断面図である。
【図47】後期駆動状態における図46のノズルの縦断面図である。
【図48】図47に示す駆動状態における図45のノズルの部分的縦断面斜視図である。
【図49】インクを省略した図45のノズルの縦断面斜視図である。
【図50】図49のノズルの縦断面図である。
【図51】図46に示す駆動状態における図45のノズルの部分的縦断面斜視図である。
【図52】図45のノズルの平面図である。
【図53】レバーアーム部と可動ノズル部とを省略した図45のノズルの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの印字ヘッドモジュールとケーシングとを備える印字ヘッドアセンブリであって、各々の印字ヘッドモジュールは、
各々が印刷流体を印刷媒体の表面に発射するために形成されたノズルを有する少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、前記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路を支持し各支持部材が前記印字ヘッド集積回路に前記印刷流体を搬送するための少なくとも1つの長手方向に延びるチャネルを有する支持部材と、を備え、
前記ケーシングは、少なくとも2つの印字ヘッドモジュールが取り外し可能に取り付けられ、
各々がそれぞれの印字ヘッドモジュールの長手方向端部に接続するために、また少なくとも1つの流体発射ホースを流体供給源から前記それぞれの印字ヘッドモジュールに接続するために2つの流体コネクタが設けられており、
前記支持部材の相補的な雌端部および雄端部が隣接印字ヘッドモジュールの前記支持部材チャネルを相互接続するように、また前記流体発射ホースから前記印字ヘッドモジュールのすべてによって支持された前記印字ヘッド集積回路に前記印刷流体を連通するために前記それぞれの流体コネクタに接続するように構成される、印字ヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記2つの流体コネクタの第1のコネクタが前記雌端部と相互接続するように配置され、
前記2つの流体コネクタの第2のコネクタが前記雄端部と相互接続するように配置される、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記相互接続された流体コネクタと印字ヘッドモジュールとの境界面に、シーリング接着剤が設けられている、請求項2に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記シーリング接着剤がエポキシである、請求項3に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記流体コネクタが前記関連する少なくとも1つの流体発射ホースと接続するための少なくとも1つの管状部を有し、また各管状部が前記印字ヘッドモジュールの前記少なくとも1つのチャネルと流体接続するように配置される、請求項2に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項6】
各管状部が前記少なくとも1つの第1のチャネルとの線状流体接続を形成するように配置される、請求項5に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの管状部が前記少なくとも1つの第1のチャネルとの線状流体接続を形成するように配置される、請求項6に記載の印字ヘッドアセンブリ。
【請求項8】
各々の印字ヘッドモジュールが前記それぞれの少なくとも2つの印字ヘッド集積回路と、支持部材と、関連流体分配部材と、電気信号を前記少なくとも2つの印字ヘッド集積回路に接続するための電気コネクタと、から構成される一体の装置として形成され、
各々の支持部材が前記流体分配部材のそれぞれを経由して前記印字ヘッド集積回路の両方における、または前記印字ヘッド集積回路が3つ以上であれば前記印字ヘッド集積回路のすべてにおける関連ノズルに前記それぞれのチャネルから前記印刷流体を導くように配置された前記支持部材の壁を通して延びる複数の開口を有する、請求項1に記載の印字ヘッドアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33A】
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【図33B】
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【図33C】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図36】
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【図37】
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【図38A】
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【図38B】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2009−279940(P2009−279940A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163469(P2009−163469)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【分割の表示】特願2006−549765(P2006−549765)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】