説明

多方向操作部品

【課題】直線方向と回転方向の両方に操作可能でかつ厚み方向の小型化を図ることのできる多方向操作部品を提供する。
【解決手段】ケース体1は、接点部11を上面に有する下ケース3と、下ケースを覆う上ケース2とからなり、操作体4の上面側には回転体5が設けられ、ケース体1の内部には、操作体4の直線移動方向に対応した直線駆動スライダー30と、操作体4の回転動作方向に対応した回転駆動スライダー35と、直線駆動スライダー及び回転駆動スライダーと共にスライドする駆動体7と、駆動体7により揺動駆動され下ケースの接点部11の状態を切替える接点部品8とが設けられ、直線駆動スライダー30は上ケース2の上面から突出して操作体4に当接し、回転駆動スライダー35は上ケース2の上面から突出して回転体5に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両においてシートやウインドウ等の装置を操作するのに用いられる多方向操作部品に関し、特に直線方向の操作と回転方向の操作とを一つの操作体で行うことのできる多方向操作部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においてシートやウインドウ等の装置を操作するため、スイッチとなる操作体を直線方向や回転方向など多方向に操作することのできる多方向操作部品が知られている。操作体は、上下左右の直線移動と、左右の回転動作をなすことができるように構成されている。
【0003】
このような多方向操作部品として、本願出願人は特許文献1に示すようなものを発明した。この多方向操作部品は、箱状のケース体と、ケース体に対し所定の一直線方向に移動自在でかつ軸周りに回転可能な操作体と、ケース体内に納められ操作体の操作に伴って駆動される複数の電気部品とを有して構成されている。また、操作体は、ケース体の外部に露出する操作部と、操作部からケース体内に突出する軸部とを有しており、ケース体の内部には駆動体が配置されている。
【0004】
ケース体の内部に配置される駆動体は、軸部が挿通され所定の一直線方向に沿う方向に形成された開口部を有し、操作体が一直線方向に移動するのに伴い、軸部が開口部内を移動自在とされると共に、軸部は一直線方向の所定位置にあるときに駆動体と係合する係合部を有している。そして、軸部が所定位置で回転すると、駆動体を回動させ、複数の電気部品は、一部が操作体の一直線方向の移動に伴い駆動される直線方向検出部を構成し、残りの一部が操作体の回動に伴い回転駆動される駆動体の回動を検出する回転検出部を構成する。
【0005】
この多方向操作部品によれば、操作体を直線移動させることにより、直線方向検出部が駆動されて移動を検出し、操作体を回転動作させることにより、駆動体を介して回転検出部が駆動されて移動を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−4140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の多方向操作部品は、部品点数が多く、特に操作体の水平方向の動作を垂直方向の動作に変換してスイッチを駆動するようにしていたため、厚み方向に部品が複数配置されると共に、スイッチを駆動するためのストロークも必要となり、厚み方向の小型化が困難であった。
【0008】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、直線方向と回転方向の両方に操作可能でかつ厚み方向の小型化を図ることのできる多方向操作部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る多方向操作部品は、箱状のケース体と、該ケース体に対し所定方向に直線移動自在でかつ軸周りに回転可能な操作体と、前記ケース体内に納められ前記操作体の操作に伴って駆動される複数の接点部品とを有する多方向操作部品において、
前記ケース体は、前記操作体の操作方向にそれぞれ対応して設けられる接点部を上面に有する下ケースと、該下ケースを覆うと共に前記操作体を上面に載置する上ケースとからなり、
前記操作体は上方に突出する操作部と、前記上ケースの上面に当接する直線駆動押圧部と、前記操作部に挿通され前記直線駆動係合部の上面側に設けられる回転体に係合する係合部とを有し、前記回転体は前記操作部の回転に伴い揺動する回転駆動押圧部と、前記操作部が挿通され前記回転駆動押圧部による押圧方向に沿うように形成された開口部とを有し、
前記ケース体の内部には、前記操作体の直線移動方向にそれぞれ対応し該直線移動方向の駆動により平行にスライドする直線駆動スライダーと、前記操作体の回転動作方向にそれぞれ対応し該回転動作方向の駆動によりスライドする回転駆動スライダーと、前記直線駆動スライダー及び回転駆動スライダーと共にスライドする駆動体と、該駆動体のスライドによって揺動駆動され前記下ケースの接点部の状態を切替える前記接点部品とが設けられ、
前記直線駆動スライダーは前記上ケースの上面から突出して前記直線駆動押圧部に当接することで、前記操作体の直線移動に伴いスライド自在とされ、前記回転駆動スライダーは前記上ケースの上面から突出して前記回転駆動押圧部に当接することで、前記操作体の回転動作に伴いスライド自在とされることを特徴として構成されている。
【0010】
また、本発明に係る多方向操作部品は、前記接点部品はシーソー状に揺動自在となるように前記下ケースに保持されてなることを特徴として構成されている。
【0011】
さらに、本発明に係る多方向操作部品は、前記駆動体は前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダーに対して弾性体を介して前記接点部品側に付勢され、該接点部品は上面の中央領域に前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダー側に突出する突部を有してなり、前記駆動体は前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダーのスライドに伴い、前記接点部品の突部に沿って摺動し揺動駆動することを特徴として構成されている。
【0012】
さらにまた、本発明に係る多方向操作部品は、前記直線駆動スライダーは前記ケース体の内部でスライドする直線操作スライド部と、該直線操作スライド部に凸状に形成され前記上ケースの上面から突出する直線操作被押圧部とを備え、前記操作体の直線駆動押圧部は前記直線操作被押圧部の上端部を保持固定する保持部を有することを特徴として構成されている。
【0013】
そして、本発明に係る多方向操作部品は、前記回転駆動スライダーは前記ケース体の内部でスライドする回転操作スライド部と、該回転操作スライド部に凸状に形成され前記上ケースの上面から突出する回転操作被押圧部とを備え、該回転操作被押圧部は前記直線操作被押圧部よりも高く突出して、前記回転体の回転駆動押圧部に当接することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る多方向操作部品によれば、ケース体は、操作体の操作方向にそれぞれ対応して設けられる接点部を上面に有する下ケースと、下ケースを覆う上ケースとからなり、操作体は上ケースの上面に当接する直線駆動押圧部と、操作部に挿通され直線駆動係合部の上面側に設けられる回転体に係合する係合部とを有し、回転体は操作部の回転に伴い揺動する回転駆動押圧部と、操作部が挿通され回転駆動押圧部による押圧方向に沿うように形成された開口部とを有し、ケース体の内部には、操作体の直線移動方向にそれぞれ対応し該直線移動方向の駆動により平行にスライドする直線駆動スライダーと、操作体の回転動作方向にそれぞれ対応し該回転動作方向の駆動によりスライドする回転駆動スライダーと、直線駆動スライダー及び回転駆動スライダーと共にスライドする駆動体と、駆動体のスライドによって揺動駆動され下ケースの接点部の状態を切替える接点部品とが設けられ、直線駆動スライダーは上ケースの上面から突出して直線駆動押圧部に当接することで、操作体の直線移動に伴いスライド自在とされ、回転駆動スライダーは上ケースの上面から突出して回転駆動押圧部に当接することで、操作体の回転動作に伴いスライド自在とされることにより、いずれも横方向のスライド動作をそのまま接点部の切替に用いるようにしたので、横方向動作を縦方向動作に切り替える必要がなく、多方向操作部品の薄型化を図ることができる。
【0015】
また、本発明に係る多方向操作部品によれば、接点部品はシーソー状に揺動自在となるように下ケースに保持されてなることにより、横方向のスライド動作により容易に接点部に対する接触状態を切り替えることができ、簡易な部品で切替動作をなすことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る多方向操作部品によれば、駆動体は直線移動スライダーまたは回転動作スライダーに対して弾性体を介して接点部品側に付勢され、接点部品は上面の中央領域に直線移動スライダーまたは回転動作スライダー側に突出する突部を有してなり、駆動体は直線移動スライダーまたは回転動作スライダーのスライドに伴い、接点部品の突部に沿って摺動し揺動駆動することにより、弾性部材による付勢によって操作に重みの感触を持たせることができ、さらに突部によってクリック感触も付与することができる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る多方向操作部品によれば、直線駆動スライダーはケース体の内部でスライドする直線操作スライド部と、直線操作スライド部に凸状に形成され上ケースの上面から突出する直線操作被押圧部とを備え、操作体の直線駆動押圧部は直線操作被押圧部の上端部を保持固定する保持部を有することにより、操作体で直線駆動スライダーを保持して駆動することができ、確実な直線スライド駆動をなすことができる。
【0018】
そして、本発明に係る多方向操作部品によれば、回転駆動スライダーはケース体の内部でスライドする回転操作スライド部と、回転操作スライド部に凸状に形成され上ケースの上面から突出する回転操作被押圧部とを備え、回転操作被押圧部は直線操作被押圧部よりも高く突出して、回転体の回転駆動押圧部に当接することにより、回転体の回動により回転駆動スライダーを確実に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態における多方向操作部品の斜視図である。
【図2】多方向操作部品の分解斜視図である。
【図3】カバー体を除いた多方向操作部品の平面図である。
【図4】カバー体及び回転体を除いた多方向操作部品の平面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態における多方向操作部品の斜視図を示している。本実施形態の多方向操作部品は、箱状に形成されてなるケース体1内にスイッチ等の各種部品が納められ、ケース体1はカバー体6によって覆われると共に、ケース体1を覆うカバー体6からは操作体4が突出して、この操作体4がケース体1に対して、X方向とY方向の2方向に直線移動可能とされると共に、直線移動の中立位置において左右方向にそれぞれ回転動作可能とされてなるものである。
【0021】
図2には、多方向操作部品の分解斜視図を示している。この図に示すように、ケース体1は上ケース2と下ケース3の二部材からなり、操作体4は上ケース2の上面2a上に載置される。操作体4は、上方に突出する操作部20と、操作部20の下端部から四方に伸びる枠状の直線駆動押圧部22を有している。
【0022】
操作体4の上面側には、板状の回転体5が設けられる。回転体5は、操作体4の操作部20が挿通される開口部25を有し、またY方向一方側に突出する回転駆動押圧部26が形成されている。開口部25は、X方向に沿って操作部20がスライド自在となるように形成されている。
【0023】
操作体4は、回転体5の開口部25に係合する係合部21を備えている。係合部21は、操作体4をX方向に移動させる際には、開口部25内をスライドするので、このとき回転体5は動作しない。一方、操作体4をY方向に移動させる際には、開口部25に係合した係合部21によって、回転体5は操作体4と共にY方向に移動する。また、操作体4を回転させた場合には、開口部25に係合した係合部21によって、回転体5は操作体4と共に回転動作する。
【0024】
より詳細には、操作体4と回転体5の関係は以下のように構成されている。回転体5に形成された開口部25のX方向の長さは、係合部21の左右方向の長さと操作体4のX方向スライド量とを合わせた長さに対し同等かそれ以上長いため、X方向の操作時において、回転体5は操作体4のX方向への移動の影響を受けず、動作しない。
【0025】
また、操作体4に形成された係合部21の両端部21a、21bは、回転体5に形成された開口部25の端部25a、25bに係止されており、開口部の端部25a、25bのY方向の幅は、係合部端部21a、21bのY方向の幅に対し、ほぼ同等とされている。すなわち、このクリアランス量が、操作体4のY方向のスライド量より十分小さいものであるため、Y方向での操作時において、回転体5は操作体4と共にY方向に移動する。
【0026】
操作体4の回転について、操作体4のX方向の中心線と、操作体4のY方向の中心線との交点が、操作部20の頂部20aの中心位置と略同一であり、操作体4を回転操作すると、該交点もしくはその近傍を中心として回転動作する。
【0027】
ケース体1内には、操作体4によってスライド駆動される直線移動スライダー30a〜30dと、回転体5によってスライド駆動される回転移動スライダー35a、35bとが、それぞれ操作体4の移動方向と平行な方向にスライド自在となるように設けられている。直線移動スライダー30a〜30dは、操作体4のX方向及びY方向の各移動方向に対応して4つが設けられ、回転移動スライダー35a、35bは、操作体4の左右回転の各移動方向に対応して2つが設けられる。
【0028】
直線移動スライダー30a〜30dは、ケース体1内でスライド移動する直線操作スライド部31と、直線操作スライド部31から突状に形成されて上ケース2から突出する直線操作被押圧部32とからなっている。また、回転移動スライダー35a、35bは、ケース体1内でスライド移動する回転操作スライド部36と、回転操作スライド部36から突状に形成されて上ケース2から突出する回転操作被押圧部37とからなっている。
【0029】
ケース体1を構成する上ケース2には、上面2aに直線操作被押圧部32と回転操作被押圧部37を挿通させる複数の開口部が形成されている。具体的には、操作体4のY方向一方側操作に対応した直線操作被押圧部32を挿通させる第1開口部12と、操作体4のY方向他方側操作に対応した直線操作被押圧部32を挿通させる第2開口部13と、操作体4のX方向一方側操作に対応した直線操作被押圧部32を挿通させる第3開口部14と、操作体4のX方向他方側操作に対応した直線操作被押圧部32を挿通させる第4開口部15と、操作体4の右回転操作に対応した回転操作被押圧部37を挿通させる第5開口部16と、操作体4の左回転操作に対応した回転操作被押圧部37を挿通させる第6開口部17とを有している。
【0030】
操作体4の直線駆動押圧部22は、上ケース2から突出した直線操作被押圧部32の上端部に当接し保持する枠形状が、操作方向に対応して操作部20の下端部四方に形成されている。また、回転体5の回転駆動押圧部26は、上ケース2から突出し直線操作被押圧部32よりも高く形成されたX方向両側の回転操作被押圧部37に対して、両側がそれぞれ当接する幅を有するように形成される。
【0031】
ケース体1内には、直線移動スライダー30a〜30dと回転移動スライダー35a、35bのそれぞれ下端部から内部に挿入される弾性体9と、弾性体9の先端部に取付けられる小片状の駆動体7と、下ケース3内に納められてシーソー状に揺動する複数の接点部品8が納められる。弾性体9は、駆動体7を介して接点部品8を常時押圧した状態となり、その反力により直線移動スライダー30a〜30d及び回転移動スライダー35a、35bを、操作体4の中立位置側に付勢する。したがって、操作体4をいずれかの方向に操作して手を離すと、弾性体9の付勢力によって、直線移動スライダー30a〜30dまたは回転移動スライダー35a、35bは元の位置に戻る。すなわち、操作体4を元の位置に自動的に復帰させることができる。
【0032】
ケース体1を構成する下ケース3は、接点部品8を揺動自在に保持する接点収納部10を複数有している。接点収納部10の底面には、それぞれ接点部11が埋設形成されている。接点部11は、接点部品8の揺動に伴って接続状態が切り替わるように、3つの接点を並設して露出するようにされている。
【0033】
接点部品8は、揺動の前後において中央の接点には共通して接触し、揺動前に一端側の接点に対して接触し、揺動後に他端側の接点に対して接触する。すなわち、揺動前の状態において接点部品8は、一端側の接点と中央の接点を導通状態とし、揺動後の状態において接点部品8は、他端側の接点と中央の接点を導通状態とする。
【0034】
図3には、カバー体6を除いた多方向操作部品の平面図を示している。この図に示すように、回転体5の開口部25は、操作体4の操作部20を挿通させることのできる大きさに形成されると共に、操作部20をX方向に直線移動させた場合に、操作部20と干渉しないように、X方向に沿って細長く形成されている。一方、操作体4に形成された係合部21は、回転体5の開口部25に係合している。したがって、操作体4を回転操作すると、回転体5もそれに伴って回転する。
【0035】
回転体5の回転駆動押圧部26は、上ケース2の第5開口部16及び第6開口部17から突出する回転操作被押圧部37に対して、両側面がそれぞれ隣接した状態となっている。操作体4の回転操作に伴って回転体5が回転すると、回転駆動押圧部26はいずれかの回転操作被押圧部37を押圧駆動し、当該回転操作被押圧部37を有するケース体1内の回転駆動スライダー35a、35bがスライドされる。
【0036】
図4には、カバー体6及び回転体5を除いた多方向操作部品の平面図を示している。この図に示すように、操作体4の直線駆動押圧部22は、各保持部22aにおいて上ケース2の第1開口部12、第2開口部13、第3開口部14及び第4開口部15から突出する直線操作被押圧部32を保持している。一方で、X方向両側の保持部22aはY方向に縦長状となるように形成され、Y方向両側の保持部22aはX方向に縦長状となるように形成されている。
【0037】
これにより、操作体4をX方向に直線操作すると、直線駆動押圧部22はX方向両側の保持部22aによって、これらに保持された直線操作被押圧部32を押圧駆動し、当該直線操作被押圧部32を有するケース体1内の直線駆動スライダー30c、30dがスライドされる。一方で、Y方向両側の保持部22aは、これらに保持された直線操作被押圧部32を押圧しないので、当該直線操作被押圧部32を有する直線駆動スライダー30a、30bはスライドされないこととなる。
【0038】
操作体4をY方向に直線操作すると、直線駆動押圧部22はY方向両側の保持部22aによって、これらに保持された直線操作被押圧部32を押圧駆動し、当該直線操作被押圧部32を有するケース体1内の直線駆動スライダー30a、30bがスライドされる。一方で、X方向両側の保持部22aはこれらに保持された直線操作被押圧部32を押圧しないので、当該直線操作被押圧部32を有する直線駆動スライダー30c、30dはスライドされないこととなる。
【0039】
つまり、操作体4をX方向に直線操作すると、X方向両側に対応して配置された直線駆動スライダー30c、30dのみがいずれも同じ方向にスライド駆動され、操作体4をY方向に直線操作すると、Y方向両側に対応して配置された直線駆動スライダー30a、30bのみがいずれも同じ方向にスライド駆動される。なお、操作体4をX方向に直線操作した場合には、前述のように操作体4は回転体5と干渉することなく開口部25を移動することができるため、回転駆動スライダー35a、35bが駆動されることはない。また、操作体4をY方向に直線操作した場合には、回転体5は操作体4と共にY方向に移動するが、この場合も回転駆動スライダー35a、35bには影響を与えず、これらを駆動することもない。
【0040】
次に、操作体4を駆動したときの接点の切替動作について説明する。図5には、図4のA−A断面図を示している。この図は、操作体4がX方向及びY方向の中立位置にある状態を示している。図5に示すように、直線駆動スライダー30a、30bは、上端部が操作体4の直線駆動押圧部22に保持され、操作体4がY方向に操作されることにより、当該方向にスライドする。この図においてY方向両側の直線駆動スライダー30a、30bは、それぞれ操作体4のY方向操作に対応してスライド駆動されるものである。
【0041】
直線駆動スライダー30a、30bは、断面形状において下方開放状のハット形状を有してなり、内部には弾性体9を保持している。また、弾性体9の下端部には、駆動体7が保持されていて、下ケース3内に納められている接点部品8に対して弾接した状態となっている。
【0042】
接点部品8は、接点収納部10の底面に並設配置された3つの接点部11のうち、中央の接点部11bに接触すると共に、Y方向両側の接点部11a、11cのいずれかに接触している。接点部品8には、中央部に直線駆動スライダー30側に向かって突出する突部8aが形成されており、この突部8aの下面側で中央の接点部11bに接触し、両端部でY方向両側部の接点部11a、11cのいずれかに接触する。駆動体7は、弾性体9により下方に付勢されており、接点部品8の突部8aに隣接しているため、操作体4をスライドさせるまでは安定的に接点部品8が接点部11に接触した状態となる。
【0043】
ここで、操作体4を図5のY方向他方側に移動させたとすると、Y方向両側の直線駆動スライダー30a、30bは、いずれもY方向他方側にスライドすることとなる。Y方向他方側の駆動体7は、直線駆動スライダー30bによってY方向他方側に移動され、接点部品8の突部8aに乗り上げながら、接点部品8を反対側に揺動させる。このとき、駆動体7は弾性体9による付勢に対抗して上方にも移動することとなり、操作に重みの感触を付与することができる。
【0044】
操作体4を操作可能なY方向他方端部までスライドさせた状態において、駆動体7は接点部品8の突部8aの突端付近に位置し、このとき接点部品8はY方向一方側の接点部11cから離れて、中央の接点部11bとY方向他方側の接点部11aに接触した状態となる。この接点部品8の接点部11に対する接触状態の切替は、駆動体7が所定の位置に到達したときに遷移的に生じるため、操作に対してクリック感触を付与することができる。
【0045】
なお、この場合においてY方向一方側の駆動体7は、接点部品8の略水平な部分をスライドするだけであるため、接点部品8の接点部11に対する接触状態に影響を与えない。逆に、操作体4を図5のY方向一方側に移動させたとすると、Y方向一方側の直線駆動スライダー30及び駆動体7によって、Y方向一方側の接点部品8の接点部11に対する接触状態が切り替わることとなる。
【0046】
ここでは、操作体4のY方向操作について説明したが、操作体4のX方向操作についても、同様の構成により対応する接点部品8が揺動駆動されて、接点部11に対する接触状態が切り替わる。また、操作体4の回転方向についても、直線駆動スライダー30と回転駆動スライダー35が異なるだけで、駆動体7及び接点部品8のスライド駆動は同様の構成からなり、接点部品8が揺動駆動されることで接点部11に対する接触状態が切り替わる。
【0047】
操作体4の操作に伴い変化する接点部品8の接点部11に対する接触状態を検出することにより、操作体4の操作を検出することができ、図示しない出力端子から所定の信号が出力される。
【0048】
このように、操作体4のX方向とY方向及び左右回転方向の操作について、いずれも横方向のスライド動作をそのまま接点部11の切替に用いるようにしたので、横方向動作を縦方向動作に切り替える必要がなく、多方向操作部品の薄型化を図ることができる。また、接点部11及び接点部品8を下ケース3内に納めるようにしたので、部品をコンパクト化してさらなる薄型化も図ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 ケース体
2 上ケース
3 下ケース
4 操作体
5 回転体
6 カバー体
7 駆動体
8 接点部品
8a 突部
9 弾性体
10 接点収納部
11 接点部
20 操作部
21 係合部
22 直線駆動押圧部
25 開口部
26 回転駆動押圧部
30 直線駆動スライダー
31 直線操作スライド部
32 直線操作被押圧部
35 回転駆動スライダー
36 回転操作スライド部
37 回転操作被押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状のケース体と、該ケース体に対し所定方向に直線移動自在でかつ軸周りに回転可能な操作体と、前記ケース体内に納められ前記操作体の操作に伴って駆動される複数の接点部品とを有する多方向操作部品において、
前記ケース体は、前記操作体の操作方向にそれぞれ対応して設けられる接点部を上面に有する下ケースと、該下ケースを覆うと共に前記操作体を上面に載置する上ケースとからなり、
前記操作体は上方に突出する操作部と、前記上ケースの上面に当接する直線駆動押圧部と、前記操作部に挿通され前記直線駆動係合部の上面側に設けられる回転体に係合する係合部とを有し、前記回転体は前記操作部の回転に伴い揺動する回転駆動押圧部と、前記操作部が挿通され前記回転駆動押圧部による押圧方向に沿うように形成された開口部とを有し、
前記ケース体の内部には、前記操作体の直線移動方向にそれぞれ対応し該直線移動方向の駆動により平行にスライドする直線駆動スライダーと、前記操作体の回転動作方向にそれぞれ対応し該回転動作方向の駆動によりスライドする回転駆動スライダーと、前記直線駆動スライダー及び回転駆動スライダーと共にスライドする駆動体と、該駆動体のスライドによって揺動駆動され前記下ケースの接点部の状態を切替える前記接点部品とが設けられ、
前記直線駆動スライダーは前記上ケースの上面から突出して前記直線駆動押圧部に当接することで、前記操作体の直線移動に伴いスライド自在とされ、前記回転駆動スライダーは前記上ケースの上面から突出して前記回転駆動押圧部に当接することで、前記操作体の回転動作に伴いスライド自在とされることを特徴とする多方向操作部品。
【請求項2】
前記接点部品はシーソー状に揺動自在となるように前記下ケースに保持されてなることを特徴とする請求項1記載の多方向操作部品。
【請求項3】
前記駆動体は前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダーに対して弾性体を介して前記接点部品側に付勢され、該接点部品は上面の中央領域に前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダー側に突出する突部を有してなり、前記駆動体は前記直線移動スライダーまたは回転動作スライダーのスライドに伴い、前記接点部品の突部に沿って摺動し揺動駆動することを特徴とする請求項2記載の多方向操作部品。
【請求項4】
前記直線駆動スライダーは前記ケース体の内部でスライドする直線操作スライド部と、該直線操作スライド部に凸状に形成され前記上ケースの上面から突出する直線操作被押圧部とを備え、前記操作体の直線駆動押圧部は前記直線操作被押圧部の上端部を保持固定する保持部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多方向操作部品。
【請求項5】
前記回転駆動スライダーは前記ケース体の内部でスライドする回転操作スライド部と、該回転操作スライド部に凸状に形成され前記上ケースの上面から突出する回転操作被押圧部とを備え、該回転操作被押圧部は前記直線操作被押圧部よりも高く突出して、前記回転体の回転駆動押圧部に当接することを特徴とする請求項4記載の多方向操作部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−232140(P2010−232140A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81273(P2009−81273)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】