説明

多束金属繊維糸

新規の金属繊維糸が提供されている。金属繊維糸(10)は、金属繊維糸を形成する連続金属繊維(13)からなる構造を有している。この構造は、糸を形成するために互いに撚り合された少なくとも5本の連続金属繊維束(12)を備えている。金属繊維束(12)の各々は、少なくとも30本の金属繊維(13)を備えている。この糸は、少なくとも1本の部分糸(11)を備えており、前記部分糸は、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合された少なくとも2本の金属繊維束(12)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、素線を集束伸線したものによって作られる連続金属繊維及び連続金属繊維の束に関する。更に詳細には、本発明は、高品質の金属繊維糸及びこれらの金属繊維糸を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属繊維束は、種々の方法によって得ることができる。金属繊維は、例えば、特許文献1に記載されているような集束伸線法(bundled drawing)によって得ることができる。また、金属繊維は、例えば、端引出(end drawing)とも呼ばれる、最終的な直径まで伸線する方法によって得ることもできる。典型的には、金属繊維は、60μm未満の等価直径を有している。金属繊維束は、一般的に、平行に揃えられた金属繊維の配列として特徴付けられている。金属繊維束の1つのタイプは、例えば、集束伸線又は端引出によって作られた連続金属繊維を備えている。これらの連続金属繊維は、組み合わされて、これによって、束が作られる。次いで、このような金属繊維束を組み合わせることによって、金属繊維糸を作製することができる。これらの金属繊維糸は、所定の強度及び電気抵抗などの特性を有している。
【0003】
ある厚みの連続金属繊維を含む金属繊維糸の強度を増大させるには、より多くの金属繊維が糸内に含まれている必要がある。これは、2つの方法によって、すなわち、束内の金属繊維の本数を増やすか、又は糸内の金属繊維束の数を増やすことによって、行うことができる。
【0004】
しかし、糸の中の1つの束当たりの金属繊維の本数を増やすと、金属繊維糸の柔軟性に悪影響が生じる。特許文献2は、金属繊維を備えている糸から構成される加熱ワイヤを記載している。この糸の柔軟性及び破断の問題は、耐熱性ポリアミド繊維から形成されたコアワイヤの外周に耐熱性ワイヤを螺旋状に巻き付けることによって、解消されている。しかしながら、ポリアミド繊維のコアの外周に耐熱性ワイヤを螺旋状に巻付けると、スリービング(sleeving)を生じる傾向にある。
【0005】
糸内により多くの金属繊維束を含ませることは、限界があることが分かっている。すなわち、金属繊維束の数を増しても、金属繊維糸の強度が期待される所望値まで増大しないことが分かっている。
【0006】
糸内の金属繊維束の数を増やすと、特に、金属繊維を伸線して束ねて、引き続いて、金属繊維を複合線材の形態で含む糸構造をもたらすことによって金属繊維糸が作られるときに、糸のスリービング又は解れ(decomposition)の発生が増大し、その結果、糸の加工性を損なうことが更に指摘されている。このようなスリービングが生じ易い金属繊維糸が後続の加工に用いられると、案内部分又は小さい通路を詰まらせる可能性がある。
【0007】
5本以上の連続金属繊維束からなる糸の場合、スリービング現象が大きくなると共に、糸の破断荷重を期待されるほど大きくさせることができないことから、当技術分野における関係者らは、糸内に5本以上の金属繊維束を含ませることは好ましくないという結論に至っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,379,000号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0006226号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、金属繊維糸の柔軟性を失うことなく、且つ金属繊維糸のスリービングが生じることなく、より高い破断荷重を有する金属繊維糸を提供することを目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特許請求の範囲に記載されている本発明の一態様は、糸を形成するために一緒に撚り合された少なくとも5本の連続金属繊維束を備えている金属繊維糸を提供する。金属繊維束の各々は、少なくとも30本の金属繊維を備えている。この糸は、少なくとも1本の部分糸を備えている。この部分糸は、前記少なくとも5本の金属繊維束の内の少なくとも2本を備えており、これらの少なくとも2本の金属繊維束は、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合されている。これによって、柔軟性が失われることなく、より安定した新規の連続金属繊維糸が提供されることになる。
【0011】
好ましい実施形態では、少なくとも2本の部分糸が、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合されている。
【0012】
更に好ましくは、同じ部分糸(すなわち、同じ数の金属繊維束を備え、断面で見て同じ本数の金属繊維を含み、1m当たり同じねじれ回数で同じねじれ方向に撚り合されている部分糸)が、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合されている。これによって、更に一層安定した金属繊維糸が提供されることになる。
【0013】
代替的な好ましい実施形態では、少なくとも2本の部分糸の内の少なくとも1本は、1m当たりのねじれ回数が他の部分糸と異なっており、その少なくとも1本の部分糸は、1m当たり所定の(同じ又は異なる)ねじれ回数で他の部分糸と一緒に撚り合され、本発明の糸を形成している。このような糸構造は、(より閉じた部分糸がもたらす)強度と(より開いた、すなわち、より少ない回数でねじられている部分糸がもたらす)オープン構造との組合せの効果をもたらすことになる。オープン構造によって、本発明の連続金属繊維糸へのポリマーの浸透が可能になる。また、例えば、編み工程(knitting)又は織り工程(weaving)によって金属繊維糸から布地を作製する場合、オープン構造は空気浸透性を高める効果がある。
【0014】
好ましい一実施形態では、部分糸のねじれ方向は、糸のねじれ方向と逆になっている。これは、当技術分野において、SZねじりと呼ばれている。部分糸と最終的な糸とのねじれを逆にすることによって、糸構造は、よりオープンなものとなり、これによって、ポリマーとの接触面が大きくなり、良好なポリマー付着が可能になる。他の好ましい実施形態では、部分糸のねじれ方向は、最終的な糸のねじれ方向と同じである。この実施形態によって、高強度及び良好な加工性を有するコンパクトな糸を得ることができる。更に一層好ましい実施形態では、それぞれの部分糸及び最終的な糸のねじれ及びねじれ方向が同じであり、且つ、それぞれの部分糸内の金属繊維束の数及び1束当たりの繊維の本数が同じになっている。これによって、個々の束の全てが実質的に同じ長さを有する糸を得ることができる。従って、高強度及び高い伸長を有する糸を得ることができる。
【0015】
更に好ましい実施形態では、本発明の糸は、別の最終的な糸の組成の一部をなす部分糸として使用することができる。
【0016】
好ましい実施形態では、部分糸を構成している金属繊維束内の繊維の本数が同じである。更に好ましくは、本発明の糸の全ての束内の繊維の本数が同じである。
【0017】
好ましい実施形態では、金属繊維の少なくとも一部は、集束伸線された金属繊維(bundle drawn metal fiber)である。
【0018】
特許請求の範囲に記載されている本発明の他の態様の金属繊維糸は、金属繊維束の少なくとも一部が塑性変形されている、例えば、波形状に成形されている。
【0019】
特許請求の範囲に記載されている本発明の更に他の態様の金属繊維糸は、糸内の金属繊維束の少なくとも一部が、1m当たり所定のねじれ回数を有するように撚り合されている。更に好ましくは、糸内の全ての束が、1m当たり所定のねじれ回数を有するように、撚り合されている。
【0020】
本発明では、金属は、金属及び金属合金(例えば、ステンレス鋼又は炭素鋼)の両方を含むものとして理解されたい。好ましくは、金属繊維は、ステンレス鋼、例えば、AISI316,316L,302,304から作製されている。他の好ましい実施形態では、金属繊維は、FeCrAl合金、銅、又はニッケルから作製されている。他の好ましい実施形態では、金属繊維は、特開平5−177243号公報、国際特許出願公開第03/095724号パンフレット、及び国際特許出願公開第2006/120045号パンフレットに記載されているような多層の金属繊維、例えば、銅のコア及びステンレス鋼の外層を有する金属繊維、又は鋼のコア、銅の中間層、及びステンレス鋼の外層を有する3層の金属繊維である。金属繊維は、直接伸線技術又は集束伸線技術のいずれかによって作製することができる。本発明の好ましい実施形態では、糸内の金属繊維は、集束伸線法によって作られている。このような方法は、一般的に知られており、例えば、米国特許第3,379,000号明細書、第3,394,213号明細書、第2,050,298号明細書、又は第3,277,564号明細書に記載されているように、複数の金属素線(各束)に被覆を施し、該束をカバー材料によって包み込み、当技術分野において複合線材と呼ばれるものを得て、該複合線材を適切な直径まで伸線し、個々の素線(繊維)と束とのカバー材料を除去することを含んでいる。この方法によって得られた繊維は、多角形、通常、5角形又は6角形の断面を有しており、これらの繊維の周囲は、米国特許第2,050,298号明細書の図2に示されているように、通常、鋸歯状(serrated)になっている。単伸線(single drawn)された複数の繊維を一緒にして束を形成するのと比較して、集束伸線法は、繊維直径を同時に更に減少させることが可能である。繊維直径を減少させることによって、曲げ寿命への良好な効果が得られる。従って、好ましい実施形態では、金属繊維の等価直径は、20μm未満である。
【0021】
糸内の金属繊維は、好ましくは、0.5μmから60μの範囲内、更に好ましくは、2μmから60μmの範囲内、更に一層好ましくは、6μmから40μmの範囲内、最も好ましくは、8μmから30μmの範囲内の等価直径を有している。
【0022】
連続金属繊維束の各々は、断面で見て、少なくとも30本、好ましくは、2500本未満の金属繊維を備えている。更に好ましい実施形態では、連続金属繊維束の各々は、1000本の繊維を備えている。代替的な好ましい実施形態では、連続金属繊維束の各々は、275本又は90本の繊維を備えている。他の代替的な実施形態では、糸は、互いに異なる本数の金属繊維を含むそれぞれの束、例えば、90本の繊維からなる束と組み合わされた274本の繊維からなる束を備えている。糸内の連続繊維束の本数は、好ましくは、30本以下、例えば、5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29本である。
【0023】
金属繊維糸は、適切なコーティング、好ましくは、テフロン、PVC、PVA、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロメチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー)、MFA(パーフルオロアルコキシポリマー)又はポリウレタンラッカーによって更に被覆されていてもよい。代替的に、金属繊維糸は、潤滑剤を含んでいてもよい。
【0024】
本発明の他の態様は、連続金属繊維糸を作製する方法を提供する。金属繊維糸は、少なくとも5本の連続金属繊維束を設けることによって得られる。金属繊維束の各々は、少なくとも30本の金属繊維を備えている。次いで、少なくとも1本の部分糸が、前記少なくとも5本の連続金属繊維束の内の少なくとも2本を所定のねじれ回数で撚り合せることによって作製される。その後、少なくとも1本の部分糸が、残りの連続金属繊維束及び/又は部分糸と所定のねじれ回数で一緒に撚り合され、本発明の糸を形成することになる。
【0025】
本発明の他の態様によれば、加熱可能な織物用途、例えば、カーシート加熱(car seat heating)における抵抗加熱要素として、本発明の金属繊維糸を使用することができる。
【0026】
本発明の他の態様によれば、縫合糸として本発明の金属繊維糸を使用することができる。
【0027】
本発明の他の態様によれば、リードワイヤとして本発明の金属繊維糸を使用することができる。
【0028】
本発明の他の態様によれば、例えば、カーガラスを所望の形状に成形するためのカーガラスの製造に用いられる隔離材料のような耐熱布地、又は例えば、織物又は編物の形態にある金属バーナ薄膜のような耐熱布地を製造するために、本発明の金属繊維糸を使用することができる。
【0029】
本発明の他の態様によれば、複合材料内の補強要素として、本発明の金属繊維糸を使用することができる。
【0030】
<定義>
繊維の「等価直径(equivalent diameter)」という用語は、繊維の半径方向断面の表面と等しい表面積を有する仮想円の直径として理解されたい。集束伸線加工の場合、繊維の断面は、通常、5角形又は6角形であり、繊維断面の周囲は、米国特許第2,050,298号明細書の図2に示されているように、通常、円断面を有する単伸線された繊維と対照的に、鋸歯状である。単伸線された繊維の場合、等価直径は、その直径として理解されたい。
【0031】
「繊維束(fiber bundle)」という用語は、個々の連続繊維を束ねたものとして理解されたい。
【0032】
「連続繊維(continuous fiber)」という用語は、絹などに本来的に見られるような又は伸線法によって得られるような無限長さ又は極限長さの繊維として理解されたい。「連続金属繊維束(continuous fiber bundle)」は、本発明の文脈では、最終的な直径まで伸線された連続金属繊維を組み合わせ、その後、束ねることによって得られた連続金属繊維束、又は集束伸線された複合線材を溶出することによって得られた連続金属繊維束として理解されたい。
【0033】
「糸(yarn)」という用語は、織布を形成するための編み工程、織り工程、又はそれ以外の撚り合わせの工程に適する形態にある繊維、素線、又は材料の連続ストランドとして理解されたい。従って、「糸(yarn)」は、新規の糸を形成するために一緒にされた最初の糸も含むことができる。
【0034】
「部分糸」という用語は、互いに撚り合された少なくとも2本の繊維束を備える糸として理解されたい。
【0035】
「最終的な糸」という用語は、互いに撚り合された少なくとも2本の部分糸、又は少なくとも1本の部分糸及び少なくとも1本の金属繊維束を備える糸として理解されたい。
【0036】
「複合線材(composite wire)」という用語は、例えば、米国特許第3,379,000号明細書によって知られている集束伸線法において用いられる複合線材として理解されたい。この複合線材は、シース材料内に包まれた素地材料内に埋設された金属素線の全体を指している。所望の直径まで伸線された複合材料が溶出され、これによって、素地及びシース材料が除去されると、連続金属素線が現れ、これらの連続した金属素線が、以後、連続金属繊維と呼ばれることになる。換言すると、複合線材は、溶出プロセスによって、連続金属繊維の束になる。
【0037】
以下、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の糸の第1の実施形態の横断面を示す図である。
【図2】本発明による第2の実施形態の横断面を示す図である。
【図3】本発明による第3の実施形態の横断面を示す図である。
【図4】周知の糸の荷重−伸び曲線を本発明による糸の荷重−伸び曲線と比較する図である。
【図5】本発明の代替的な好ましい実施形態の横断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、本発明の金属繊維糸の例及び本発明の金属繊維糸を得るための種々の方法について説明する。
【0040】
図1は、3×3糸の横断面を示している。最終的な糸10は、互いに撚り合された3本の部分糸11を備えている。部分糸11は、互いに撚り合された3本の連続金属繊維束12を備えている。各繊維束12は、90本の連続金属繊維13を備えている。この糸は、2ステップで作製されている。
【0041】
図2は、2×2×2糸の横断面を示している。最終的な糸10は、互いに撚り合された2本の部分糸11から構成されている。各部分糸11は、互いに撚り合された2本の第1の部分糸14を備えている。第1の部分糸14の各々は、互いに撚り合された2本の連続金属繊維束12を備えており、各繊維束は、275本の連続金属繊維13を含んでいる。この糸は、3ステップで作製されている。
【0042】
図3は、(3×1)+3糸の横断面を示している。最終的な糸10は、1本の部分糸11と、互いに撚り合された3本の単一の金属繊維束15とを備えている。部分糸11は、互いに撚り合された3本の金属繊維束12を備えている。各繊維束は、275本の連続金属繊維13を備えている。この糸は、2ステップで作製されている。
【0043】
図4は、2つの荷重−伸び曲線16,17を示している。横軸は、%で表されている伸びεであり、縦軸は、ニュートン(N)で表されている荷重Fである。
【0044】
曲線16は、8本の金属繊維束を備える先行技術による糸の荷重−伸び曲線である。繊維束の各々は、275本の12μmの等価直径を有するAISI316Lからなる連続金属繊維を備えている。これらの束は、1ステップで、1m当たり100回のねじれ回数でS方向に互いに撚り合されている。
【0045】
曲線17は、図2に示されている本発明による8本の連続金属繊維束を備える2×2×2糸の荷重−伸び曲線である。繊維束の各々は、275本の12μmの等価直径を有するAISI316Lからなる連続金属繊維を備えている。この糸は、3ステップで作製されている。第1の部分糸は、2本の連続金属繊維束を1m当たり100回のねじれ回数でS方向に互いに撚り合せることによって、作製されている。第2ステップでは、第2の部分糸が、第1の部分糸の2本を1m当たり100回のねじれ回数でS方向に互いに撚り合せることによって、作製されている。第3ステップでは、最終的な糸が、第2の部分糸の2本を1m当たり100回のねじれ回数でS方向に互いに撚り合せることによって、作製されている。
【0046】
図4において、本発明の2×2×2糸(曲線17)の破断荷重は、295Nである一方、先行技術による糸(曲線16)の破断荷重は、240Nであることが示されている。いずれの糸も、束当たり同じ本数の金属繊維を有し、且つ同じ数の繊維束を備え、且つ1m当たり同じ本数のねじれ回数を有している。図4は、本発明による糸構成を用いることによって、糸の破断荷重を著しく増大させることができることを示している。この場合、糸の破断荷重が20%を超える程度まで増大すると共に、より高い伸長も得られている。
【0047】
図5は、本発明の代替的な好ましい実施形態を示している。図5は、3×3糸の横断面を示している。最終的な糸10は、互いに撚り合された3本の部分糸11を備えている。部分糸11は、互いに撚り合された3本の連続金属繊維束12を備えている。各繊維束は、275本の連続金属繊維13を備えている。3本の部分糸の1本は、1m当たり50回のねじれ回数でZ方向に撚り合されており、他の2本の部分糸は、1m当たり120回のねじれ回数でS方向に撚り合されている。次いで、これらの部分糸は、1m当たり100回のねじれ回数でS方向に互いに撚り合されている。
【0048】
本発明の態様は、以下の一連の請求項に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続金属繊維(13)からなる少なくとも5本の連続金属繊維束(12)を備えている金属繊維糸(10)であって、前記少なくとも5本の連続金属繊維束(12)が、一緒に撚り合されており、前記連続金属繊維束(12)の各々が、少なくとも30本の連続金属繊維(13)を備えている、金属繊維糸(10)において、
前記金属繊維糸(10)は、少なくとも1本の部分糸(11)を備えており、該少なくとも1本の部分糸(11)は、前記連続金属繊維束(12)の内の少なくとも2本を備えており、前記少なくとも2本の連続金属繊維束(12)は、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合されていることを特徴とする金属繊維糸。
【請求項2】
前記金属繊維糸は、1m当たり所定のねじれ回数で互いに撚り合された少なくとも2本の部分糸(11)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の金属繊維糸。
【請求項3】
前記部分糸(11)の全てが、1つの束(12)当たり同じ本数で且つ同じ等価直径を有する連続金属繊維を備え、1つの部分糸(11)当たりの束の数が、同じになっており、前記部分糸(11)の全てが、同じねじれ方向を有し、これによって、前記部分糸(11)の全てが、同じ糸をなしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属繊維糸。
【請求項4】
前記連続金属繊維(13)の少なくとも一部は、集束伸線された金属繊維であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の金属繊維糸。
【請求項5】
前記連続金属繊維(13)の少なくとも一部は、ステンレス鋼から作製されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の金属繊維糸。
【請求項6】
前記金属繊維束内の前記連続金属繊維(13)の少なくとも一部の断面は、金属心材の周囲に少なくとも1つの同心状に配置された金属層を備えるようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の金属繊維糸。
【請求項7】
前記連続金属繊維(13)の前記金属心材は、銅であり、前記金属層は、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項6に記載の金属繊維糸。
【請求項8】
前記連続金属繊維(13)の前記金属心材は、ステンレス鋼であり、前記金属層は、銅であることを特徴とする請求項6に記載の金属繊維糸。
【請求項9】
前記金属繊維糸(10)は、コーティング、好ましくは、テフロン,PVC,PVA,PTFE,FEP,MFA,又はポリウレタンラッカーを更に備えていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の金属繊維糸。
【請求項10】
連続金属繊維糸(10)を作製する方法であって、
少なくとも5本の連続金属繊維束(12)を設けるステップであって、前記連続金属繊維束の各々は、少なくとも30本の金属繊維を備えている、ステップと、
前記少なくとも5本の連続金属繊維束の内の少なくとも2本を1m当たり所定のねじれ回数で一緒に撚り合せ、少なくとも1本の部分糸(11)を形成するステップと、
前記少なくとも1本の部分糸(11)を残りの連続金属繊維束及び/又は部分糸と1m当たり所定のねじれ回数で一緒に撚り合せるステップと
を含む方法。
【請求項11】
連続金属繊維糸(10)を作製する方法であって、
少なくとも5本の複合線材を設けるステップであって、前記複合線材の各々が、少なくとも30本の金属繊維を備えている、ステップと、
前記少なくとも5本の複合線材の内の少なくとも2本を1m当たり所定のねじれ回数で一緒に撚り合せ、少なくとも1本の部分糸を形成するステップと、
前記少なくとも1本の部分糸を残りの複合線材及び/又は部分糸と1m当たり所定のねじれ回数で一緒に撚り合せ、これによって、複合線材構造を作るステップと、
前記複合線材構造を適切な酸に溶出させ、これによって、前記金属繊維糸(10)を得るステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の金属繊維糸(10)を、加熱可能な織布用途における抵抗加熱要素として使用する使用方法。
【請求項13】
前記加熱可能な織布用途は、カーシート加熱であることを特徴とする請求項12に記載の使用方法。
【請求項14】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の金属繊維糸を縫合糸として使用する使用方法。
【請求項15】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の金属繊維糸を複合材料内の補強要素として使用する使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−509996(P2012−509996A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536900(P2011−536900)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065759
【国際公開番号】WO2010/060907
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(592014377)ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム (81)
【氏名又は名称原語表記】N V BEKAERT SOCIETE ANONYME
【Fターム(参考)】