説明

多次元形式データ読み取り方法及びプログラム

【課題】多次元形式データの探索処理及び読み取り処理について、短縮化及び効率化を図ることができる多次元形式データ読み取り方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の多次元形式データ読み取り方法は、データ探索手段が、複数のセルからなる第1探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第1探索エリア毎に探索し、再調査手段が、多次元形式データを記録するセルが発見された場合、セルが発見された当該第1探索エリア内を、第1探索エリアより狭い第2探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第2エリア毎に、更に探索し、データ読み取り手段が、再調査手段が上記第2探索エリア内で発見されたセルに記録されている多次元形式データを読み取るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元形式データ読み取り方法及びプログラムに関し、例えば、部品や材料等に含有される環境負荷物質に関するデータ調査票等のように、行と列の2次元の表に配列される各セルに記録されているデータを処理するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
例えば、多次元形式に配列された各セルに記録されたデータ(これを表形式データという)を読み取り、その読み取った表形式データをデータベースに登録する等の処理を行なう場合がある。
【0003】
例えば、部品・材料メーカー等は、部品・材料を構成している物質のうち、所定の環境負荷物質が含まれているか否か、また所定の環境負荷物質が含まれている場合には、どの種類の環境負荷物質がどの程度含まれているかを部品・材料種別毎に調査して示した環境負荷物質データ調査票を作成し、取引先や調査業務企業等に対して提供している。
【0004】
そして、取引先や調査業務企業等は、各部品・材料メーカーからの環境負荷物質データ調査票を利用して、部品・材料メーカーが取り扱う部品や材料について調査・分析・評価等を行なっている。
【0005】
一般に、各部品・材料メーカーが提供する環境負荷物質データ調査票は、例えば、200〜500品目程度の部品や材料のそれぞれについて、200項目以上の環境負荷物質が含まれているかを示す表でなる。
【0006】
そのため、このような場合に、取引先や調査業務企業等は、環境負荷物質データ調査票を構成する各セルに記録されているデータをスキャンして、登録データベースに登録することが行なわれている(特許文献1参照)。
【0007】
従来、このような2次元形式データの読み取り方法としては、例えば環境負荷物質データ調査票を構成する各セルを1個ずつ順次スキャンしていき、そのセルにデータが記録されている場合にスキャンし、セルにデータがない場合(ブランクである場合)にスキャンをせず、次のセルを調べるというように、全てのセルに対して1個1個順番に調べていくものである。
【0008】
【特許文献1】特開2004−13369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように、従来の表形式データの読み取り方法は、全てのセルを1個1個順番に調べていき、セルにデータが記録されている場合に、そのデータを読み取るというものであるため多大な処理時間を要していた。
【0010】
例えば、上述したような環境負荷物質データ調査票の場合、例えば500品目の部品等に対してそれぞれ200種類の環境負荷物質の属性の有無を示すものとすると、読み取り対象とするセルの総数は行×列の積から100000個となり、処理時間を要すこととなる。
【0011】
しかしながら、例えば環境負荷物質データ調査票においては、データが記録されているセル数は全体の10%程度であり、かつ、対象物とする部品等の種別に応じて含有物質が異なるため、データが偏在していることが多い。そこで、従来の表形式データの読み取り処理を行なうと、データが偏在している箇所では読み取り処理を頻繁に行なう必要があるが、そうでない箇所では読み取り処理を必要としないことがある。
【0012】
なお、上述した課題は、2次元形式で表記した表に限定されず、3次元以上の多次元形式で配列されたセルに記録されたデータ(これを多次元形式データという)を読み取る場合にも同様に生じ得るものである。
【0013】
そのため、多次元形式で配列されたセルに多次元形式データが記録されているか否かを探索していき、発見した多次元形式データを読み取る方法及びプログラムにおいて、データの有無の探索時間を短縮することができ、効率的に読み取ることができる多次元形式データ読み取り方法及びプログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するために、第1の本発明の多次元形式データ読み取り方法は、多次元形式で配列された複数のセルに多次元形式データの記録の有無を探索し、発見した多次元形式データを読み取る多次元形式データ読み取り方法において、コンピュータを、データ探索手段、再調査手段、データ読み取り手段として機能させることで実現されるものであり、(1)データ探索手段が、複数のセルからなる第1探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第1探索エリア毎に探索するデータ探索工程と、(2)再調査手段が、多次元形式データを記録するセルが発見された場合、セルが発見された当該第1探索エリア内を、第1探索エリアより狭い第2探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第2エリア毎に、更に探索する再調査工程と、(3)データ読み取り手段が、再調査手段が上記第2探索エリア内で発見されたセルに記録されている多次元形式データを読み取るデータ読み取り工程とを備える。
【0015】
第2の本発明の多次元形式データ読み取りプログラムは、多次元形式で配列された複数のセルに多次元形式データの記録の有無を探索し、発見した多次元形式データを読み取ることを、コンピュータに実行させる多次元形式データ読み取りプログラムにおいて、コンピュータに、(1)複数のセルからなる第1探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第1探索エリア毎に探索するデータ探索手段、(2)多次元形式データを記録するセルが発見された場合、セルが発見された当該第1探索エリア内を、第1探索エリアより狭い第2探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第2エリア毎に、更に探索する再調査手段、(3)再調査手段が第2探索エリア内で発見されたセルに記録されている多次元形式データを読み取るデータ読み取り手段として機能させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多次元形式データ読み取り方法及びプログラムによれば、データの有無の探索時間を短縮することができ、効率的に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(A)第1の実施形態
以下、本発明の多次元形式データ読み取り方法及びプログラムの第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態は、本発明の多次元形式データ読み取り方法及びプログラムを利用して、2次元で表記された表の環境負荷物質データ調査票を構成するデータ(これを表形式データともいう。)を読み取る表形式データ読み取り方法に適用した場合の態様を例に挙げて説明する。
【0019】
(A−1)第1の実施形態の構成
本実施形態に係る表形式データ読み取り方法は、コンピュータが、記録媒体に格納されている表形式データ読み取りプログラムを読み込み、その表形式データ読み取りプログラムを実行することで、表である環境負荷物質データ調査票の表形式データを読み取ることを行なうものである。
【0020】
本実施形態では、端末上に表示した環境負荷物質データ調査票を構成する表形式データをスキャンし、そのスキャンしたデータを回線を介して登録データベースに登録する場合を説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る表形式データ読み取り処理を実現するシステムのイメージ構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る表形式データ読み取り処理のシステム4は、回線3を通じて接続可能な端末1と登録データベース2とを備える。
【0022】
なお、端末1や登録データベース2の設置数は特に限定されるものではなく、それぞれ2台以上設置するようにしてもよい。
【0023】
回線3は、端末1と登録データベース2との間で情報を伝達するための回線であり、端末1と登録データベース2との間で情報伝達ができれば、有線回線としてもよいし、無線回線としてもよいし、又は有線回線と無線回線とが結合したものとしてもよい。また、回線3は、専用回線としてもよいし、公衆回線としてもよい。
【0024】
登録データベース2は、回線3を通じて、端末1から受信したデータを登録すするデータベースである。
【0025】
端末1は、ユーザが操作する端末であり、例えばパーソナルコンピュータ等が該当する。また、端末1は、既存する表形式データ処理を実行するソフトウェア(例えば、Excel(登録商標))をアプリケーションとして実現可能なものであり、既存の表形式データ処理のソフトウェアで作成された環境負荷物質データ調査票を出力表示できるものである。
【0026】
また、端末1は、ユーザの操作を受けて、表示している環境負荷物質データ調査票を構成する表形式データを読み取り、その読み取った表形式データを回線を通じて、登録データベース2に登録するものである。
【0027】
ここで、端末1が、環境負荷物質データ調査票に関する情報(データ)を取り込む方法は、種々の方法を広く適用することができる。
【0028】
例えば、環境負荷物質データ調査票が記録媒体に格納されているものである場合、その記録媒体を端末1に挿入し、その記録媒体に格納されている情報を読み取ることで、端末1は環境負荷物質データ調査票に関する情報を取り込むことができる。
【0029】
また例えば、端末1がネットワークに接続可能であり、部品メーカー等のホームページから環境負荷物質データ調査票に関する情報をダウンロードすることで、端末1は環境負荷物質データ調査票に関する情報を取り込むことができる。
【0030】
また、端末1が表示する環境負荷物質データ調査票の構成について簡単に説明する。図3は、端末1に表示される環境負荷物質データ調査票のイメージを示す。
【0031】
図3に示す環境負荷物質データ調査票は、大別して「No.」、「管理番号」、「名称」、「含有禁止物質」、「含有抑制物質」の項目を有する。なお、環境負荷物質データ調査票の構成は、図3に示す構成例に限定されない。
【0032】
「No.」は、本環境負荷物質データ調査票の管理番号である。「管理番号」は、部品等の対象物の管理番号であり、「名称」は、部品等の対象物の名称である。なお、対象物とする部品等の品目数は、その態様等に応じて様々であるが、例えば200〜500品目程度の数からなるものとする。
【0033】
「含有禁止物質」及び「含有抑制物質」は、予め指定された含有禁止物質及び含有抑制物質の種類を示す。「含有抑制物質」に該当する物質の種類数も、その態様等に応じて様々であるが、例えば200種類以上程度の物質からなるものとし、各対象物に含有抑制物質が含まれている場合、その対応セルに含有量のデータが書き込まれているものとする。また、「含有禁止物質」には、例えば法規制による黄りん、ダイオキシン等の複数種類の含有禁止物質が該当するが、一般に含有禁止物質を含有する対象物はなく、この項目における各対象物のセルは空欄(ブランク)である。
【0034】
続いて、端末1上に表示されている環境負荷物質データ調査票を構成する表形式データの読み取り処理の機能構成を説明する。
【0035】
本実施形態の端末1のハードウェア構成としては、例えば、CPU、記憶部(RAM、ROM、EEPROM等)、通信部等を備えており、例えば、CPUが、RAMをワーキングエリアとして用いて、ROMに格納されている処理プログラムを実行することにより本実施形態に係る表形式データ読み取り機能を実現することができる。
【0036】
本実施形態に係る表形式データ読み取り機能は、表形式で表記されている表のうち、任意のn行×m列(n、mは共に1以上の整数)からなるブロック(セル群)を1回の探索エリアとし、この探索エリア内にデータが含まれているか否かを判断するものである。
【0037】
また、本実施形態に係る表形式データ処理機能は、ある探索エリア内にデータを発見しなかった場合に、その探索エリアに所定の増分エリアを追加して探索エリアを拡張し、その増分エリアを追加して拡張した探索エリアを展開して進行させるものである。なお、増分エリア及びその追加の方法についての説明は後述するが、探索エリアに付加する増分エリアを増大又は減少させることができる。
【0038】
さらに、本実施形態に係る表形式データ処理機能は、ある探索エリア内にデータを発見した場合に、その探索エリア内の再調査し、データ位置(すなわちデータを有するセル位置)を認識するものである。なお、探索エリア内にデータを発見した場合の再調査方法については後述するが、データを発見した探索エリア内について、その探索エリアよりも狭い範囲のエリアで再調査する。
【0039】
図4は、本実施形態に係る表形式データ処理の機能を示す機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態の表形式データ処理は、初期探索エリア設定機能部11、エリア内データ探索処理機能部12、探索エリア変更処理機能部13、データ読み取り処理機能部14、データ登録処理機能部15を有する。
【0040】
初期探索エリア設定機能部11は、予め設定された探索エリア又はユーザにより設定された探索エリアを、初期探索エリアとして設定する機能部である。この初期探索エリアについては、表示されている表の中で、ユーザにより指定された所定の行数及び所定の列数からなる範囲を初期探索エリアとすることができる。このようにして、データ探索するための初期探索エリアを設定することができ、その初期探索エリアを基礎として探索エリアの拡張を図ることができる。
【0041】
なお、初期探索エリアの行数と列数との両方が予め設定されているものとしてもよいし、又は行数若しくは列数のいずれか一方のみが設定されており、設定されていない他方の列数若しくは行数をユーザが指定して設定するようにしてもよい。
【0042】
エリア内データ探索処理機能部12は、N行×M列からなる探索エリア内にデータが含まれているか否かを探索する機能部である。エリア内データ探索処理機能部12が探索するエリアの範囲は、探索初期の段階では初期探索エリア内であり、その後の段階においては、後述する探索エリア変更処理機能部13により変更されたエリア内である。これにより、従来では各セル毎にデータの有無を調べていたのに対して、本実施形態では、所定の範囲内のデータの有無を調べることができ、調査時間を軽減することができる。なお、エリア内データ探索処理機能部12としては、例えば、EXCEL(登録商標)関数Find“*”(「*」はワイルドカード)を適用することができる。
【0043】
探索エリア変更処理機能部13は、エリア内データ探索処理機能部12がデータ探索を探索エリア内にデータの発見がなされなかった場合、当該探索エリアに対して所定の増分エリアを追加して、次の探索エリアの範囲を拡張するものである。
【0044】
また、探索エリア変更処理機能部13は、さらにその拡張した探索エリア内についてもデータが発見されなかった場合には、その拡張した探索エリアに対して更に増分エリアを追加した探索エリアに拡張する。このように、データが発見できない場合には、逐次増分エリアを追加していくことで、探索エリアの増分を指数関数的に増加させることができるので、データ発見までの時間を短縮化することができる。
【0045】
データ読取処理機能部14は、エリア内データ探索処理機能部12によりデータが発見された場合、そのデータ発見をした探索エリア内について、データの存在位置を再調査し、再調査により読み取ったデータをスキャンする機能部である。
【0046】
ここで、本実施形態のデータ読取処理機能部14によるデータの再調査方法は、データを発見した探索エリアの探索開始位置に戻って、再度当該探索エリア内のデータの有無を調べることとするが、このとき、調査するエリアの範囲を初期探索エリアとする。
【0047】
これにより、探索エリア変更処理機能部13により指数関数的に増分エリアが追加されて、初期探索エリアよりも拡張している探索エリア内について、初期探索エリアに戻してデータ発見することができる。
【0048】
なお、データ読取処理機能部14は、当該探索エリア内で初期探索エリアに戻してデータの有無を調査する際、その初期探索エリア内にデータが発見しないとき、次以降の探索エリアについては、増分エリアを指数関数的に追加した探索エリアを用いてデータの有無を探索するようにする。このように、増分エリアを指数関数的に追加することで、探索エリア内でのデータ探索時間を短縮化することができる。
【0049】
また、データ読取処理機能部14は、初期探索エリア内にデータを発見するまで、上述したデータの再調査を繰り返し行なうものとする。このように、初期探索エリア内でデータを発見するまでデータの再調査処理を繰り返すことで、データ位置を特定することができ、その特定したデータをスキャンすることができる。
【0050】
なお、本実施形態のように、環境負荷物質データ調査票の場合には、例えば、コンデンサや抵抗等のように部品種別で、含有禁止物質や含有抑制物質の含有が異なるため、データが偏在する傾向がある。そのため、本実施形態のように、増分を指数関数的に追加して探索エリアを拡張していくことで大まかなデータ存在位置を早急に認識するようにし、データ発見後には、その発見したエリアについて初期探索エリアに戻して、狭いエリアで正確に位置を特定してスキャンすることが有効である。
【0051】
データ登録処理機能部15は、データ読取処理機能部14によりスキャンされたデータを、登録データベース2に登録する機能部である。
【0052】
(A−2)第1の実施形態の動作
続いて、第1の実施形態の表形式データの処理動作を図面を参照しながら説明する。
【0053】
図5は、本実施形態の表(環境負荷物質データ調査票)のイメージを示し、本実施形態による表形式データの読み取り処理動作のイメージを示す説明図である。また、図1は、本実施形態に係る表形式データの読み取り処理動作のフローチャートである。
【0054】
以下では、環境負荷物質データ調査票を端末1の表示部に表示させている状態で、ユーザ操作を受けて、環境負荷物質データ調査票の表形式データを読み取り、登録データベース2に登録する処理を説明する。
【0055】
まず、図1において、ユーザが、端末1を操作して、表示されている環境負荷物質データ調査票の表の中でn行×m列からなる範囲を指定すると、ユーザにより指定された範囲が、初期探索エリアとして初期探索エリア設定機能部11により設定される(F101)。
【0056】
例えば、図5に示す本実施形態の例では、ユーザにより指定された7行×4列からなるブロック(セル群)が初期探索エリアと設定される。
【0057】
そして、本実施形態では、ユーザにより指定された初期探索エリアから順にデータ探索を開始し、当該探索エリアでのデータ探索が終了すると、行方向に移行して隣接するエリアについて探索していくものとする。
【0058】
F101において、初期探索エリアの設定がなされると、エリア内データ探索処理機能部12により、当該初期探索エリア内にデータを有するセルが存在するか否かが判断される(F102)。
【0059】
図5においては、この初期探索エリア内のデータ探索を第1回探索と示しており、この初期探索エリア内にデータを有するセルは存在しないので、データの読み取り処理はなされず、F103に進む。
【0060】
初期探索エリアにデータを有するセルが存在しないとエリア内データ探索処理機能部12に判断されると、探索エリア変更処理機能部13により、所定の増分エリアが、当該初期探索エリアに追加されて、探索エリアの拡張がなされる(F103)。
【0061】
増分エリアが追加されて探索エリアが拡張されると、探索済みの初期探索エリアに隣接するように設けられた拡張された探索エリア内に、データを有するセルが存在するか否かが判断される(F104)。
【0062】
図5においては、この探索エリア内のデータ探索を第2回探索と示している。また、図5に示す増分エリアは、列数は初期探索エリアと同数のものとし、行数を所定数としている。さらに、図5においては、当該探索エリア内にデータを有するセルは存在しないので、データの読み取り処理はなされない。
【0063】
そして、エリア内データ探索処理機能部12により、当該探索エリア内に、データを有するセルが存在しないと判断されると、F103に戻り、所定の増分エリアが、更に当該探索エリアに追加される(F103)。
【0064】
ここで、探索エリア変更処理機能部13による増分エリアの追加について説明する。
【0065】
本実施形態では、データを有するセルの発見の早期化を図るために、探索エリア内にデータを有するセルが存在しないと判断した場合に増分エリアを逐次追加することとするが、無制限に増分エリアを追加すると、探索エリアが拡張しすぎてしまい、データ探索時間の短縮化を図ることができなくなるおそれもある。そこで、本実施形態の探索エリア変更処理機能部13は、増分エリアの無限追加を制限する機能を有する。
【0066】
探索エリア変更処理機能部13による増分エリアの追加制限の方法は、種々の方法を適用することができる。本実施形態では、探索エリア変更処理機能部13が、図6に例示するように、増分エリアとして追加する列幅(列数)の増加関数に従って、追加する列幅(列数)の上限を100セルとして行なうものとする。例えば、図6においては、Y(N)=100×(1−exp(−0.1×N)の関係式に従って、増分エリアの列幅(列数)を決定するものとし、追加する増分エリアの列幅(列数)の上限値を100セルとする。
【0067】
このようにして、増分エリアを指数関数的に追加して求めた探索エリア内で探索をしていき、探索エリア内にデータを有するセルを発見するまで、F103及びF104の処理を繰り返し行なう。
【0068】
F103及びF104の処理を繰り返し行ない、エリア内データ探索処理機能部12による探索処理により、探索エリア内でデータを有するセルが発見されると、データを有するセルを発見した当該探索エリアについて、データ読取処理機能部14により再調査が行なわれる(F105)。
【0069】
そうすると、データ読取処理機能部14は、当該探索エリアの先頭に戻り、当該探索エリア内について、再度初期探索エリアとして再度探索を開始する(F106)。
【0070】
そして、データを有するセルが発見された探索エリアにおいて、再調査に係る初期探索エリア内に、データを有するセルがあるか否かが判断され(F107)、データを有するセルが発見されない場合、増分エリアが当該初期探索エリアに追加され(F108)、探索エリアが拡張され、この拡張された探索エリア内でデータ探索が行なわれる(F109)。
【0071】
このときの増分エリアの追加による探索エリアの拡張の方法は、F103で説明した方法と同様の方法を適用するものとする。
【0072】
そして、探索エリア内にデータを有するセルが発見されない場合には、F108に戻り、探索エリア内にデータを有するセルを発見するまで、更に増分エリアが追加され(F108)、探索エリア内での探索が繰り返しなされる(F109)。
【0073】
一方、探索エリア内にデータを有するセルが発見された場合、F105に戻り、データを有するセルが発見された探索エリアについて再調査を行なうものとし(F105)、データを有するセルが初期探索エリア内で発見されるまで、F106〜F109の処理が繰り返し行なわれる。
【0074】
そして、初期探索エリア内でデータを有するセルが発見されると(F107)、データ読取処理機能部14により、その初期探索エリア内のセルに記録されているデータが読み取られて(F110)、その読み取られたデータが、データ登録処理機能部15により登録データベース2に登録される(F111)。
【0075】
例えば、図5においては、第N回探索の探索エリア内にデータを有するセルを発見したものとする。そうすると、この第N回探索の探索エリアの先頭に戻って、探索の範囲を初期探索エリアとして第N+1回探索を行なう。
【0076】
図5に示す第N+1回探索の探索エリア(初期探索エリア)には、データを有するセルが発見されないので、初期探索エリアに増分エリアを追加したエリアを探索エリアとして第N+2回探索を行なう。
【0077】
そうすると、第N+2回探索の探索エリア内にデータを有するセルを発見するので、この第N+2回探索の探索エリアについて、先頭に戻って、探索の範囲を初期探索エリアとして第N+3回探索を行なう。
【0078】
そして、第N+3回探索の探索エリア(初期探索エリア)内にデータを有するセルが発見されるので、この第N+3回探索の探索エリア内を構成するセルに記録されているデータをスキャンし、そのデータを登録データベースに登録するようにする。
【0079】
その後、環境負荷物質データ調査票の最後の行の最後のセルまで、本実施形態の表形式データ読み取り処理が実施されたか否かが判断され、最後の行の最後のセルまで処理実施されていない場合には、F102に戻り、処理が最後まで実施されるまで、処理が繰り返し行なわれる(F112)。
【0080】
図5においては、第N+3回探索に係る探索エリアの次の範囲から、第N+4回探索が同様に繰り返し行なわれる。
【0081】
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、本実施形態の表形式データの読み取り方法によれば、所定のブロック毎にデータを有するセルの有無を判断するようにしたので、従来のように1個ずつセルを調べる場合よりも格段に処理時間を短縮できる。
【0082】
(B)他の実施形態
(B−1)上述した第1の実施形態において、探索エリアを移行させていく方向については、図5に示すように列方向に移行させるものとして説明したが、探索エリアの移行方向は、特に限定されることなく、行方向に移行させたり、時計回り若しくは反時計回り等のように回転させるようにしたり、またランダムに探索エリアを選んでホッピングさせるようにしたりなどしてもよい。
【0083】
(B−2)また、探索エリアに増分エリアを追加する際、増分エリアについては、もとの探索エリアの行数を同じにし、列数を所定数(増加関数に基づいて調整した数)としたものとした。しかし、必要に応じて、行数及び又は列数を追加するようにしてもよい。
【0084】
(B−3)増分エリアによる拡張について所定の増加関数を用いて決定するものとしたが、これは増分を100セルを超えない範囲で増分を決定する場合の例を示したものであり、増分を制限する方法はこれに限定されない。
【0085】
例えば、探索エリアのセル数が予め設定した閾値を超えるか否かを判断し、閾値以下である場合にはA個のセルを増分として追加するようにし、閾値を超える場合にはB(B<A)個のセルを増分として追加するようにしてもよい。すなわち、探索エリアのセル数に応じて増分を変更するようにしてもよい。この場合、閾値を複数とし、多段階的に増分を調整するようにしてもよい。
【0086】
(B−4)また、探索エリア内の再調査の際、第1の実施形態では、初期探索エリアに戻し、その後更に増分を追加して拡張させることとして説明したが、再調査するとき、もとの探索エリアから所定エリアを削減していく減分方式を採用してもよい。このときの減分割合も所定の関数式を用いて行なうことができる。
【0087】
(B−5)多次元形式データを有するセルの探索の際、ソーティングをかけた後に本発明に係る処理を実行するようにしてもよい。
【0088】
(B−6)上述した第1の実施形態では、2次元形式でなる表に配列されたセルの表形式データの有無の探索及び表形式データの読み取りを例に挙げて説明したが、2次元形式に限定されることなく、3次元以上の多次元形式に配列されるセルの多次元データを探索し、多次元形式データを読み取る場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1の実施形態の表形式データの読み取り処理の動作を示すフローチャートである。
【図2】第1の実施形態のシステム構成を示す全体構成図である。
【図3】第1の実施形態の環境負荷物質データ調査票の構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の表形式データの読み取り処理を実現する機能を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態の表形式データの読み取り処理を体系的に説明する説明図である。
【図6】第1の実施形態の増分エリアの追加処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0090】
1…端末、11…初期探索エリア設定機能部、12…エリア内データ探索処理機能部、13…探索エリア変更処理機能部、14…データ読取処理機能部、15…データ登録処理機能部、2…登録データベース、3…回線、4…システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元形式で配列された複数のセルに多次元形式データの記録の有無を探索し、発見した多次元形式データを読み取る多次元形式データ読み取り方法において、
コンピュータを、データ探索手段、再調査手段、データ読み取り手段として機能させることで実現されるものであり、
上記データ探索手段が、複数のセルからなる第1探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第1探索エリア毎に探索するデータ探索工程と、
上記再調査手段が、上記多次元形式データを記録するセルが発見された場合、上記セルが発見された当該第1探索エリア内を、第1探索エリアより狭い第2探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第2エリア毎に、更に探索する再調査工程と、
上記データ読み取り手段が、上記再調査手段が第2探索エリア内で発見されたセルに記録されている多次元形式データを読み取るデータ読み取り工程と
を備える多次元形式データ読み取り方法。
【請求項2】
第1探索エリア内に多次元形式データを記録するセルの存在を発見しなかった場合、上記セルを発見しなかった当該第1探索エリアに所定の増分エリアを逐次追加して第1探索エリアを拡張する上記データ探索手段による探索エリア拡張工程を有し、
上記データ探索工程では、上記探索エリア拡張工程により拡張された第1探索エリア内の上記多次元形式データを記録するセルの探索を行なう
ことを特徴とする請求項1に記載の多次元形式データ読み取り方法。
【請求項3】
上記データ探索工程では、探索初期に予め設定された初期探索エリアを用いてセル探索を行ない、その後は上記探索エリア拡張工程により逐次拡張された探索エリアを用いてセル探索をしていくものとし、
上記再調査工程では、上記多次元形式データを記録するセルが発見されると、第2探索エリアとして上記初期探索エリアを用いて上記セルの再調査を行なう
ことを特徴とする請求項2に記載の多次元形式データ読み取り方法。
【請求項4】
上記探索エリア拡張工程において、増分エリアを追加して拡張する上記探索エリアの拡張制限を制御する拡張制限工程を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の多次元形式データ読み取り方法。
【請求項5】
多次元形式で配列された複数のセルに多次元形式データの記録の有無を探索し、発見した多次元形式データを読み取ることを、コンピュータに実行させる多次元形式データ読み取りプログラムにおいて、
コンピュータに、
複数のセルからなる第1探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第1探索エリア毎に探索するデータ探索手段、
上記多次元形式データを記録するセルが発見された場合、上記セルが発見された当該第1探索エリア内を、第1探索エリアより狭い第2探索エリアを順次移行させていき、多次元形式データを記録するセルの存在を第2エリア毎に、更に探索する再調査手段、
上記再調査手段が上記第2探索エリア内で発見されたセルに記録されている多次元形式データを読み取るデータ読み取り手段
として機能させる多次元形式データ読み取りプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−286834(P2007−286834A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112531(P2006−112531)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】