多段ジャッキ

【目的】 外部連通油管を不要とし、ベースシリンダを固定し一方側から第2〜第4シリンダを出退可能とする。
【構成】 内・外チューブ8,9の一端をリング状カバー10により連結して第1の液室11を形成したベースシリンダ2と、外側の第1液室11内に挿入される中空の第1ピストンロッド14と内側のシリンダチューブ15をリング状のロッドサポータ16により連結してロッド14及びシリンダチューブ15の間にベースシリンダ2の内側チューブ8を挿入しうるようにすると共にロッドサポータ10の反対側端部のシリンダチューブ15端をシリンダカバー17により閉塞して第2液室18を形成した第2シリンダ3と、第2液室18内に挿入される中空の第2ピストンロッド兼用チューブ26と内側の第3ピストンロッド27とを第2シリンダ3のシリンダカバー17と同じ側でロッドサポータ28により連結する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、液圧例えば油圧作動の多段ジャッキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、土木工事等において、機械の押動推進、埋設管推進の駆動装置として、油圧シリンダを用いた多段ジャッキが使用されている。
従来、この種ジャッキとしては種々のものが提案されかつ実用化されている(例えば特公平4−16398号公報参照)。このジャッキは、3段のジャッキで、ベースシリンダである第1シリンダの一方に第2シリンダが出退し、他方に第3シリンダ及び第4シリンダが出退するようになっており、反力支持体に対して第1シリンダが移動する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術では、伸長時の長さを可及的に大きく、かつ収縮時の長さを可及的に小さくできるという利点を有しているが、引戻し用の第1及び第2ポートを連通させる外部連通管を要し、第1シリンダを移動させずに他のシリンダを進退させることができないという難点がある。
本考案は、上記実状に着目してなされたもので、その目的とするところは、外部連通油管が不要で、ベースシリンダを移動させることなく一方側から第2〜第4シリンダを出退させることが可能な多段ジャッキを提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
即ち、本考案は、内・外チューブの一端をリング状カバーにより連結して第1の液室を形成したベースシリンダと、外側の前記第1液室内に挿入される中空の第1ピストンロッドと内側のシリンダチューブをリング状のロッドサポータにより連結して前記ロッド及びシリンダチューブの間にベースシリンダの内側チューブを挿入しうるようにすると共に前記ロッドサポータの反対側端部のシリンダチューブ端をシリンダカバーにより閉塞して第2液室を形成した第2シリンダと、前記第2液室内に挿入される中空の第2ピストンロッド兼用チューブと内側の第3ピストンロッドとを第2シリンダのシリンダカバーと同じ側でロッドサポータにより連結して第2及び第3ピストンロッド間に第3液室を形成した第3シリンダと、第3液室内に挿入されると共に第3ピストンロッドを受入れる第4液室が形成されるように外端がカバーにより閉塞されたピストンロッド兼用の第4シリンダとからなり、前記第2シリンダの第1ピストンロッド及びシリンダチューブと第3シリンダの第3ピストンロッド内に液路が形成されていることを特徴としている。
また、本考案は、前記第3シリンダの第2ピストンロッド外端部が移動可能な支持体により支持されていることを特徴としている。
【0005】
【作用】
本考案によれば、ベースシリンダの第1液室内のカバー側端部に作動流体を供給することにより、ベースシリンダを定置した状態で、第2、第3及び第4シリンダが同一方向に順次進出し、伸長せられて最大寸法となる。そして、ベースシリンダの第1液室内の開口端側に作動流体を供給することにより、第2、第3及び第4シリンダが同方向に退入し、ベースシリンダ内に収容され最小寸法となる。
【0006】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づき説明する。
本考案に係る多段ジャッキ1は、第1のベースシリンダ2と、第2シリンダ3と、第3シリンダ4と、第4シリンダ5及び支持体6とからなり、第2〜第4シリンダ3〜5がベースシリンダ2に対して同一方向に進退するように構成されている。
【0007】
前記ベースシリンダ2は反力支持体7により支持されるように設けられた第1シリンダであって、内側のガイドチューブ8と外側のシリンダチューブ9の一端(反力支持体7側)部をリング状のシリンダカバー10により連結して第1の液室11が形成されており、ガイドチューブ8の開口側端がシリンダチューブ9の開口側端よりも内方に位置され、シリンダチューブ9の前記カバー10側端には加圧油供給ポート12がまた、シリンダチューブ9の開口側端部には戻り油供給ポート13が夫々第1液室11内に連通状に設けられている。
【0008】
前記第2シリンダ3は、外側の第1液室11内に出退自在に挿入される中空の第1ピストンロッド14と、内側のシリンダチューブ15を、前記ガイドチューブ8の開口端側で該チューブ8に干渉しないようにリング状のロッドサポータ16により連結して前記ロッド14とシリンダチューブ15の間19に前記ガイドチューブ8を挿入しうるようにすると共に、前記ロッドサポータ16の反対側端部のシリンダチューブ15端をシリンダカバー17により閉塞して第2液室18が形成されている。
【0009】
そして、前記シリンダチューブ9の開口端には、第1ピストンロッド14のロッドカバー20が装着されている。また、第1ピストンロッド14には、加圧用油路21及び戻り用油路22が夫々設けられ、第1ピストンロッド14内端外周の第1ピストン14Aを軸方向に端面まで貫通した加圧用油路21の一端が第1液室11に開口し、第1ピストンロッド14の第1ピストン14A近傍外周に開口した戻り用油路22の一端が第1液室11に連通している。
【0010】
前記戻り油路22の他端は、ロッドサポータ16を内周方向に貫通すると共にシリンダチューブ15を径方向に貫通して第2液室18に連通する油路23に接続されている。
さらに、シリンダチューブ15には、加圧用油路24が軸方向に設けられ、その一端がシリンダカバー17近傍の内周面に開口し、他端が前記ロッドサポータ16を外周方向に伸びかつ前記加圧用油路21に連通する油路25に接続され、加圧用作動油が第1液室11から第2液室18のシリンダカバー17側に導かれるようになっている。
【0011】
前記第3シリンダ4は、第2液室18内に出退自在に挿入される中空の第2ピストンロッド兼用チューブ26と、その内側の第3ピストンロッド27とを前記シリンダカバー17と同じ側でロッドサポータ28により連結して第2及び第3ピストンロッド26、27間に第3液室29が形成されている。そして、第2ピストンロッド兼用チューブ26の内端外周には第2ピストン30が形成され、第3ピストンロッド27の外端(第2ピストン30の反対側)には第3ピストン31が設けられている。
【0012】
また、前記ロッドサポータ28には、これを軸方向に貫通し、第2液室18と第3液室29を連通させる加圧用油路32が設けられ、第3ピストンロッド27には軸方向に両端まで貫通し第2液室18と第4シリンダ5内の第4液室33とを連通させる加圧用油路34が設けられており、さらに第3ピストンロッド27には戻り油路35が軸方向に設けられ、その一端がロッドサポータ28及び第2ピストンロッド26の第2ピストン30近傍を径外方向に貫通しかつ第2液室18に連通する戻り油路36に接続され、その他端が第3ピストン31近傍において外周面に開口して第4液室33内に連通している。
【0013】
そして、第3シリンダ4の第2ピストンロッド26の開口外端部が前記支持体6に支持されて、第3シリンダ4の撓みが防止されるようになっている。前記第4シリンダ5は、第4液室33内に進退自在に挿入され、その内端には、外周に第4ピストン37が形成されると共に内周側にロッドカバー38が設けられ、第4シリンダ5の外端にはシリンダカバー39が固着されており、該シリンダカバー39にはプッシャーヘッド40が取付けられている。
【0014】
前記支持体6は、その下端に基台等に設けたレール41上に載設された台車42を備え、第2〜第4シリンダ3,4,5の進退に伴う第3シリンダ4の移動に追従して円滑に移動し、第3シリンダ4を支持案内するようになっている。なお、43は管等の押板である。
【0015】
次に、上記実施例の作動について説明する。図1はジャッキ1が収縮した状態、図2は第2シリンダ3の伸長状態、図3は第3シリンダ4の伸長状態、図4は第4シリンダ5が伸長した全伸長状態を示している。図1において、各シリンダ2〜5を伸長させる場合、まず、加圧用作動油供給ポート12から作動油を供給すると、作動油は第1液室11内に入り第1ピストンロッド14を押して進出させ、進出限で停止して図2の状態になる。
【0016】
さらに、加圧用作動油を供給すると、作業油は加圧用油路21,25及び24を通って第2シリンダ3の第2液室18内に供給され、第3シリンダ4を進出させ、その進出限で第3シリンダ4が停止して図3の状態になる。そして、加圧用作動油を供給し続けると、作動油は加圧用油路32を通って第3液室29に流入すると共に、加圧用油路35を通って第4液室33内に流入し、第4シリンダ5が進入し、その進出限で停止し、図4に示す全伸長状態になる。
【0017】
次に、各シリンダ2〜5を退入させてジャッキ1を図1に示す収縮状態にする場合は、図4の状態において加圧用作動油供給ポート12を開放し、戻り油供給ポート13から作動油を供給すると、戻り油路22,23,35を経て第4液室33の第3ピストンロッド27側に作動油が流入し、第4シリンダ5のロッドカバー38が退入方向に押動されて第4シリンダ5が退入し、図3の状態になる。
【0018】
続いて戻り油供給ポート13から作動油を供給すると、作動油は戻り油路23から第2液室29の第2ピストンロッド26側に流入して第2ピストン30を退入方向に押動して第3シリンダ4を第2液室18内に退入させて図2の状態となる。さらに作動油を前記ポート13から供給し続けると、前記ポート13から直接第1液室11の第1ピストンロッド14側に流入し、第1ピストン14Aを退入方向に押動し、第1ピストンロッド14が第1液室11内に退入して、図1に示す全収縮状態となる。
【0019】
【考案の効果】
本考案は、上述のように、内・外チューブの一端をリング状カバーにより連結して第1の液室を形成したベースシリンダと、外側の前記第1液室内に挿入される中空の第1ピストンロッドと内側のシリンダチューブをリング状のロッドサポータにより連結して前記ロッド及びシリンダチューブの間にベースシリンダの内側チューブを挿入しうるようにすると共に前記ロッドサポータの反対側端部のシリンダチューブ端をシリンダカバーにより閉塞して第2液室を形成した第2シリンダと、前記第2液室内に挿入される中空の第2ピストンロッド兼用チューブと内側の第3ピストンロッドとを第2シリンダのシリンダカバーと同じ側でロッドサポータにより連結して第2及び第3ピストンロッド間に第3液室を形成した第3シリンダと、第3液室内に挿入されると共に第3ピストンロッドを受入れる第4液室が形成されるように外端がカバーにより閉塞されたピストンロッド兼用の第4シリンダとからなり、前記第2シリンダの第1ピストンロッド及びシリンダチューブと第3シリンダの第3ピストンロッド内に液路が形成されていることを特徴とするものであるから、外部連通油管が不要であり、ベースシリンダを移動させることなく一方側から第2〜第4シリンダを進退させることができ、しかも、伸長時の長さを可及的に大きく、かつ収縮時の長さを可及的に短かくすることができる。
【0020】
また、本考案は、前記第3シリンダの第2ピストンロッド外端部が移動可能な支持体により支持されていることを特徴とするものであるから、第3シリンダの撓みを防止でき、進退動作を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す収縮状態の中央縦断面図である。
【図2】同実施例の第一段伸長状態を示す中央縦断面図である。
【図3】同実施例の第二段伸長状態を示す中央縦断面図である。
【図4】同実施例の第三段(全)伸長状態を示す中央縦断面図である。
【符号の説明】
1 多段ジャッキ
2 ベースシリンダ
3 第2シリンダ
4 第3シリンダ
5 第4シリンダ
6 支持体
8 ガイドチューブ
9 シリンダチューブ
10 シリンダカバー
11 第1液室
14 第1ピストンロッド
14A 第1ピストン
15 シリンダチューブ
16 ロッドサポータ
17 シリンダカバー
18 第2液室
19 第1ピストンロッドとシリンダチューブの間
20 ロッドカバー
21 加圧用油路
22 戻り用油路
24 加圧用油路
26 第2ピストンロッド兼用チューブ
27 第3ピストンロッド
28 ロッドサポータ
29 第3液室
30 第2ピストン
31 第3ピストン
32 加圧用油路
33 第4液室
34 加圧用油路
35 戻り用油路
36 戻り用油路
37 第4ピストン
38 ロッドカバー
39 シリンダカバー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 内・外チューブの一端をリング状カバーにより連結して第1の液室を形成したベースシリンダと、外側の前記第1液室内に挿入される中空の第1ピストンロッドと内側のシリンダチューブをリング状のロッドサポータにより連結して前記ロッド及びシリンダチューブの間にベースシリンダの内側チューブを挿入しうるようにすると共に前記ロッドサポータの反対側端部のシリンダチューブ端をシリンダカバーにより閉塞して第2液室を形成した第2シリンダと、前記第2液室内に挿入される中空の第2ピストンロッド兼用チューブと内側の第3ピストンロッドとを第2シリンダのシリンダカバーと同じ側でロッドサポータにより連結して第2及び第3ピストンロッド間に第3液室を形成した第3シリンダと、第3液室内に挿入されると共に第3ピストンロッドを受入れる第4液室が形成されるように外端がカバーにより閉塞されたピストンロッド兼用の第4シリンダとからなり、前記第2シリンダの第1ピストンロッド及びシリンダチューブと第3シリンダの第3ピストンロッド内に液路が形成されていることを特徴とする多段ジャッキ。
【請求項2】 前記第3シリンダの第2ピストンロッド外端部が移動可能な支持体により支持されていることを特徴とする請求項1の多段ジャッキ。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3001881号
【登録日】平成6年(1994)6月29日
【発行日】平成6年(1994)9月6日
【考案の名称】多段ジャッキ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−3993
【出願日】平成6年(1994)3月9日
【出願人】(000249562)有限会社藤田油機サービス (2)