説明

多段スイッチのための試験駆動装置

本発明は、変圧器試験の領域において、多段スイッチ又はタップ切替器の点検をするための試験駆動装置に関し、この場合、試験駆動部は、サーボモータを備え、このサーボモータは、ギアを介して、アダプタと作用し、このアダプタは、試験の間に、多段スイッチ又はタップ切替器の上部ギア段と接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御される変圧器の試験範囲において、多段スイッチ又はタップ切替器を点検するための試験駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この多段スイッチは、多段変圧器の複数のコイルタップ点の間に、中断のない切り替えをするために用いられている。これらのステッピングスイッチは、長年の間、多数の実施形態において公知であり、例えば、出願人の会社の印刷物である「登録商標VACUTAP、制御される変圧器のためのVR−負荷スイッチングスイッチ」(奥付IN206/09de-0708/1000)から公知である。そこに記載されている多段スイッチは、分離した油の容器に収納された負荷スイッチと、その下に配置されているスイッチとからなる。このスイッチは、スイッチングされるべき多段変圧器の新しいコイルタップに、事前スイッチを通電しないために用いられている。負荷スイッチは、新しいコイルタップ上で、従来と違い、後続に、迅速に、中断のない、本来のスイッチをおこなうために用いられている。すべての多段スイッチは、モータ駆動によって、切り替えらえる場合に、動作させられる。回転する駆動軸が、連続的に、スイッチを動かすと同時に、負荷スイッチのエネルギー蓄積が行われる。完全に蓄積が行われた際、つまり、容量ぎりぎりの場合に、取り出され、自身のエネルギーが急激に自由に放出され、迅速に、負荷スイッチを、想定領域で接触させる。負荷スイッチは、それと接続されている変圧器の運転とに依存して、用いられるスイッチや他のデバイスの特性値は、異なるべきである。上述の負荷スイッチの場合、負荷スイッチは、特有のスイッチングシーケンスを行い、つまり、異なる機械的な接触及び/又は真空切り替え管は、所定の時間的順序で次々に又は重なりを持って動作させられる。それに加えて、多段スイッチの上面領域で、蓋に、上部ギア段が設けられ、この上部ギア段は、多段スイッチが据え付けられた状態で、横側の通常方法の駆動軸と、変圧器の外壁に固定されたモータギア部とが繋ぎあわされている。
【0003】
さらに、タップ変換器は、スイッチが切られる多段変圧器のコイルタップの間のスイッチングを無負荷とは逆にするために用いられる。これらは、多数の実施形態で、同様に公知であり、例えば、出願人の会社出版物「登録商標DEETAP、DU−スイッチ」(奥付IN277/01de-0705/500)である。スイッチは、同様に、その上部領域に蓋を備えており、その上部領域に、同様に、上部ギア段が備えられ、この上部ギア段は、スイッチの据え付け状態で、モータギア部の駆動軸又は手動ギア部の多くの場合において繋ぎあわされている。
【0004】
多段スイッチ又はタップ切替器の運転開始前に、かつ、多段変圧器のスイッチ切り替え前に、多数の点検や測定、例えば、抵抗測定や変換測定が必要であり、多段スイッチ又はスイッチは、後で駆動されるモータギア部又は手動ギア部と接続されるために、これらの点検や測定は手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「登録商標VACUTAP、制御される変圧器のためのVR−負荷スイッチングスイッチ」(奥付IN206/09de-0708/1000)
【非特許文献2】「登録商標DEETAP、DU−スイッチ」(奥付IN277/01de-0705/500)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、初めに述べたように、試験駆動装置であり、その試験駆動装置を用いて、分離した多段スイッチ又はタップ切替器で、1回のスイッチング、所定の位置での開始、又は、所定の完全にそろった試験周期が実行される。その際、本発明による装置は多目的に使用可能であり、つまり、高コストなしに、多段スイッチ又はタップ切替器で、様々な構造、特に、可能な多段位置の様々な数に、様々な技術的データ等を用いて適応可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの課題は、本発明によって解決される。請求項1及び2は、はじめに述べたような試験駆動装置に関し、従属請求項は、好ましい更なる実施例に関する。本発明の全般的な観点は、試験駆動装置は、サーボモータを備えており、このサーボモータは、アダプタ上の駆動装置を介して働き、このアダプタは、多段スイッチ又はタップ切替器の上面のギア段と接続可能であり、この場合、試験駆動装置は、制御ユニットを備えている。その際、この制御ユニットによって、多段スイッチ又はタップ切替器の特性値のデータが読みだされ、処理される。
【0008】
このようなスイッチ特性値のデータは、特に、
‐調整位置
‐回転方向、高い/低い
‐回転数/ギア段の切り替え
‐切り替え形式
‐シリアルナンバー
‐位置の値、範囲の値
‐逆数
‐最大許容回転モーメント極限値
である。
【0009】
請求項1による一般的な本発明の観点の第1の実現形態の場合、試験駆動装置にRFIDが備えられ、このRFIDは、RFIDタグを用いて多段スイッチ又はタップ切替器と通信しており、このRFIDタグ上で、スイッチ特性値のデータは、一時的でなく記憶される。
【0010】
実現形態の場合、上部の蓋に又は蓋上に、RFIDタグを備えた多段スイッチ又はタップ切替器の問題のない追加的な設備が必要である。複数のRFIDは、その間に設けられた構成部品があり、この構成部品は小さくかつ経済的に取得可能である。ここで、いずれのRFIDも、多段スイッチの特性値データを保存するために、かつ、パラメータ化のため意のままに用いるために用いられる。
【0011】
一方で、本発明の範囲内では、RFIDの代わりに、原則的にはバーコード等も使用可能であるが、これらのバーコード等は、異なる使用の場合、例えば、汚染や読み出し難くなるという欠点がある。さらに、情報密度は、バーコード自身がより小さい。
【0012】
請求項2による一般的な本発明による観点の第2の実施形態の場合、スイッチ特性値は、それとは逆に、制御ユニットにそれ自体が記憶され、又は、それと共同で作用する記憶媒体に一時的でなく記憶される。そのような記憶媒体は、例えばCD又はUSBスティックが可能である。製造者によって許されるシリアルナンバーに付属するスイッチ特性値のデータのコンコーダンスリストを記憶することも可能である。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、制御ユニットは、例えば、RFIDタグが欠損している又は記憶媒体が故障している場合に、スイッチ特性値のデータの手動入力の方法もそなえている。
【0014】
後続において、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図面により描かれた、多段スイッチにおける、本発明による試験駆動装置を示したものである。
【図2】多段スイッチに据え付けられた試験駆動装置の実際の例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に、図1の図面を用いて、新しい試験駆動装置の原理構造を詳細に説明する。全体の試験駆動装置1は、破線によって取り囲まれている。試験駆動装置1は、サーボモータ2を備え、このサーボモータ2は、ギア部3を介して、アダプタ4に作用している。更に、試験駆動装置は、制御ユニット5を備え、この制御ユニット5は、操作ユニット6と協働している。更に、RFID−アンテナ7が設けられ、RFID−アンテナ7は、RFID−読取部8を介して制御ユニット5と接続されている。試験駆動装置1の下方に、同様に図式的に、多段スイッチ9の上部が示されている。そこに、上部のギア段10が示されており、更に、このギア段10と、上方で言及されたアダプタ4とが接続されている。更に、同様に言及されたRFIDタグ11が示され、このRFIDタグは、多段スイッチの特性値データを介して情報が運ばれ、RFIDアンテナ7によって読み取られる。試験駆動装置1の据え付け状態において、そのアダプタ4は、上部ギア段10と通信し、及び、そのRFIDアンテナ7は、接触することなしに、RFIDタグ11に通信している。
【0017】
ギア部3、アダプタ4、及び、RFIDアンテナ7を備えたサーボモータ2が、特に好ましく、簡単な方法で、多段スイッチの上部ギア段10上に内蔵された全体のユニットとして適合可能である。アダプタ4の形状にフィットした配置によって、上部ギア段10でそこで必要な回転モーメントが取得される。RFIDタグ11は、RFIDアンテナ7の読取幅に到達するやいなや、パラメータデータ、つまり、特性の多段スイッチデータが、RFID読取部8を介して読みだされ、制御ユニット5に渡される。特に好ましくは、タッチパネルとして構成される操作ユニット6で、タイプナンバーやシリアルナンバーのような選択されたデータが表示される。続いて、調節位置が有効だと認められなければならない。続いて、それぞれの多段スイッチの切り替え方向を「高い」又は「低い」と明白に決定するために、第1の試験切替が行われる。そして、試験装置が使用できるようになる。それは、1回のスイッチング、又は、所定の目的位置への動きだしが実施される。同様に、事前に定義された試験周期で終わらせることも可能である。簡単な方法で、すべての必要な測定と試験が、それぞれの多段変圧器と相互協力して、それぞれの多段スイッチ又はタップ切替器で、特に、すべての抵抗測定及び変換測定で可能である。
【0018】
図2は、多段スイッチ9の、本発明による試験駆動装置の実際の配置を示したものである。
【0019】
御覧のようにサーボモータ2、多段スイッチ9の上部ギア段10に対応したアダプタ4が配置され、右側に、スイッチ棚の制御ユニット5がある。さらに、ここでは、制御ユニット5からサーボモータ2への接続導線12が示されている。
【0020】
本発明の範囲内では、構造によって、3つの多段スイッチの切り替えを同時に可能にするためや、変圧器の効率的な試験を保証するために、試験駆動装置を3つの柱部の上に拡張することも可能である。
【0021】
さらに、対応する多段スイッチ動作の同時の回転モーメントの経過を、制御ユニット5に直接、又は、追加の回転モーメント部によって、評価又は分析評価することも可能である。その際、製造者によって先だって行われるルーチン試験の場合に、その都度多段スイッチの事前に算出された「フィンガープリント」と比較することも可能である。これによって、起電力又は構造の不良による欠陥を検知可能であり、運転開始前に取り除くことが可能である。これはタップ変換器の場合も可能である。その際、回転モーメントの経過は、直接測定され、サーボモータ2の消費電力からも算出される。
【0022】
これに加えて、多段スイッチのRFIDタグ又は制御ユニット5の記憶媒体を用いて、ルーチン試験後の「フィンガープリント」の重要な値が記憶される場合に意味があり、その結果、後で自由に比較することができる。
【0023】
更に、本発明による試験駆動装置は、多段スイッチを用いて、変圧器のための抵抗測定や変換測定を自動化するための完全システムとして拡張して用いられることも可能である。
拡張の可能性は、タップ変換器にとっても同様に実現できる。
【0024】
最後に、本発明の範囲内で、制御ユニット5は、存在する制御装置に統合するために、又は、遠隔操作のために、追加の入力を備えることも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付設される制御すべき変圧器の試験する領域で、多段スイッチ又はタップ変換器の点検をするための試験駆動装置において、
前記試験駆動装置(1)は、サーボモータ(2)を備え、
このサーボモータ(2)は、ギア部(3)を介して、アダプタ(4)と作用し、
この前記アダプタ(4)は、前記多段スイッチ(9)又はタップ変換器の上部ギア段(10)と一時的に結合され、
試験駆動装置(1)は、さらに、制御ユニット(5)を備え、この制御ユニット(5)は、操作ユニット(6)と相互に作用し、
さらに、試験駆動装置(1)に、RFIDアンテナ(7)が備えられ、このRFIDアンテナ(7)は、RFIDタグ(11)を用いて、多段スイッチ(9)又はタップ変換器と通信しており、このRFIDタグ(11)上に、スイッチ特性値のデータが一時的でなく記憶され、このデータがRFIDアンテナ(7)で読取可能であり、かつ、RFIDアンテナ(7)は、RFID読取部(8)を介して、制御ユニット(5)と電気的に接続されていることを特徴とする試験駆動装置。
【請求項2】
付設される制御すべき変圧器の試験する領域で、多段スイッチ又はタップ切替器の点検をするための試験駆動装置において、
試験ギア部(1)は、サーボモータ(2)を備え、
このサーボモータ(2)は、ギア部(3)を介して、アダプタ(4)と作用し、
この前記アダプタ(4)は、前記多段スイッチ(9)又はタップ変換器の上部ギア段(10)と一時的に結合され、
試験駆動装置(1)は、さらに、制御ユニット(5)を備え、この制御ユニット(5)は、操作ユニット(6)と相互に作用し、
制御ユニット(5)は、スイッチ特性値のデータを一時的でなく記憶するための手段、又は、その手段と連絡を取ることを特徴とする試験駆動装置。
【請求項3】
制御ユニット(5)は、スイッチ特性値のデータの手動の入力と記憶をするための手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試験駆動装置。
【請求項4】
多段スイッチ(9)又はタップ切替器のギア段(10)の上部に、全体の統合ユニットとして、サーボモータ(2)、ギア部(3)、アダプタ(4)、及び、場合によっては、RFIDアンテナ(7)が適用可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の試験駆動装置。
【請求項5】
前記アダプタ(4)は、上部ギア段(10)と、フィットして接続可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の試験駆動装置
【請求項6】
操作ユニット(6)は、タッチパネルとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の試験駆動装置。
【請求項7】
3つの同一の試験駆動装置が、3つの多段スイッチ又はタップ切替器の同時の試験を可能にするように設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の試験駆動装置。
【請求項8】
スイッチの間に回転モーメントを捕捉するための追加の手段が存在していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の試験駆動装置。
【請求項9】
多段スイッチ(9)又はタップ切替器の事前に一時的でなく記憶された特性値の指令値(フィンガープリント)と、捕捉された回転モーメントの経過との比較をするための追加的な手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の試験駆動装置。
【請求項10】
迅速に記憶された特性値の指令値が、RFIDタグ(11)上、又は、制御ユニット(5)に記憶されることを特徴とする試験駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−504067(P2013−504067A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528233(P2012−528233)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004166
【国際公開番号】WO2011/029494
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390035459)マシイネンフアブリーク・ラインハウゼン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】