説明

多段多層構造膜を装着した孔拡散・濾過モジュール

【課題】
平膜を用いた膜分離モジュールにおいて孔拡散の特徴(孔の目詰りがない)と濾過の特徴(被処理液量の減少と物質の膜透過速度の任意設定の可能性)とを共々持つ孔拡散・濾過法を実現し、かつ(被処理液中に混在する)粗大粒子による目詰りを効率的に防止するモジュールを提供する。
【解決方法】
(1)
平膜として多段多層構造膜を用い被処理液側に平均孔径のより大きな多層構造膜を順次設定し(2)膜平面を垂直に設定し、(3)被処理液側には3個以上の液流出入口を持ち(4)拡散液側には2個以上の流出入口を設け、かつ(5)被処理液側の充填液量が拡散液側の充填液量を大きくした膜分離モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜を利用した孔拡散・濾過法を実現するモジュールに関する。本発明での孔拡散・濾過法とは、膜中に存在する孔(透過型電子顕微鏡で空間部分として観察される部分で、その直径は5nm以上であるのを孔として定義する)を介して膜間差圧と膜間濃度差を駆動力とした物質移動を利用する方法である。この方法では孔拡散型膜分離の特徴である微粒子の目詰りを極少化し、物質の膜移動速度を孔拡散と濾過との和に近い程度に高めることができる。
【0002】
本発明中の多段多層構造膜とは複数の多層構造膜を密着することによって一体化され膜を意味する。この膜では膜厚方何に沿った任意の孔径勾配を設計製造することができる。多層構造膜とは、膜の断面の超薄切片を電子顕微鏡で観察した場合に、厚さ約0.1μmの膜素材の帯状物が膜表面に沿って積層した構造が観察され、膜の平面方向からの観察では網状物の観察される膜である。この膜は一般的にはミクロ相分離法で作製される。空孔率は60%以上である。
【背景技術】
【0003】
膜を利用した分離技術をその目的で分類すると(1)除去(2)分離(3)濃縮(4)隔離がある。微粒子の除去の場合には除去機構として膜中の孔によるふるい効果が膜濾過法で利用される。孔拡散法ではこのふるい効果に加えてブラウン運動の活発度の差の効果が加わり、後者の効果分が膜濾過法により優れる。また孔拡散法を利用すれば孔の目詰りが防止され、膜容量が増加することが知られている。(特許文献1)
しかし孔拡散法では被処理液量が処理前後で一定であるという問題点もある。
【0004】
溶液中に溶解または分散した成分を膜分離する方法として電子顕微鏡では明確な孔の存在が認められない限外濾過膜や透析膜、拡散透析膜が用いられる。しかし5nm以上の孔の存在が確認できるいわゆる多孔膜では溶解成分の濾過法での分離は困難であるが、孔拡散法ではこの分離は容易である。孔拡散法での物質の輸送の駆動力は濃度勾配であるので膜を支持するための支持体は必要ないので、孔拡散法のモジュールは濾過法に比較して単純である。
【0005】
孔拡散の特徴(孔の目詰りが極少化できる)と濾過の特徴(被処理液量を減少させ膜の物質透過速度を大きくできる)を生かした方法として孔拡散・濾過法が開発されつつある。この方法では、使用される膜の平均孔径に匹敵する大きさを持つ微粒子の孔中の拡散速度が濾過による該微粒子の膜透過速度より大きい条件で、孔拡散を実施する。この方法を実施するのに最適なモジュールは現在まで明らかではない。
【0006】
孔拡散・濾過法では膜間差圧と膜間濃度差との二種の駆動力を有効に利用可能となるため、膜濃縮や膜隔離を効率的に行うことができる。膜を利用した分離技術の前述の4種の目的を達成することを多種の被処理液へ適用させるには、利用する膜の孔構造を目的ごと、被処理液ごとに設定することが必要である。そのために本発明では膜厚方向での孔構造の傾斜構造を平均孔径を異にする平膜を複数枚密着した状態で重ね合せる多段膜を採用する。
【0007】
目詰りの進行を遅らせるため、膜濾過法では(1)膜の構造として多層構造膜とする(特許文献2)(2)膜の表裏面の孔径を変化させ、濾過方向を孔径の大きい側から小さい側へとする(特許文献3)(3)平均孔径の大きな膜を用いて前濾過した後に本濾過を実施する(特許文献4)(4)膜内部にバイパス用の大きな孔を持たせて、多層体を構成する膜のすべてを濾過に有効に利用する方法(特許文献5)が提案されている。孔拡散・濾過法について微粒子除去を目的とした場合には孔拡散の寄与により目詰りの進行は大幅に減少するが粒径が膜の平均孔径より大幅に大きい粒子(例えば平均孔径の5倍より大きい粒子)が混在する場合には濾過による物質移動が混在するために孔の目詰りは進行する。
【0008】
孔拡散・濾過法の操作上の特徴は(A)膜間差圧が指定された値以下であり、(B)物質移動の駆動力である特定成分の濃度勾配が膜を介して存在すること、(C)膜を介して一方には被処理液があり、他方には外系から水または特定成分を溶解した溶液が供給されている点にある。上記に(A)、(B),(C)を満足する膜モジュールは現存しない。
【特許文献1】特許文献2006−055780号「平均孔拡散分離機」
【特許文献2】特許公告平成4−50054号「高分子多孔膜中空糸及びそれを利用したウイルス除去法」
【特許文献3】特許公告平成2−57982号「再生セルロース中空糸膜」
【特許文献4】特許公開平成3−146067号「血漿濾過方法」
【特許文献5】特許公表2004−500229号「フィルター及び流体の濾過方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
孔拡散法モジュールが持つ特徴すなわち(1)微粒子による孔の目詰りがない(2)微粒子除去機構として粒子径と孔径との関係で定まるふるい効果と粒子のブラウン運動の活発度の粒子径依存性効果との2効果のために濾過の場合よりもより高い除去性能を示す。
(3)孔径の大きい孔に流れが集中する効果は濾過に比較して少ないため、微粒子除去性能の孔径分布依存性が濾過に較べて小さい(4)膜内部への孔内での高分子物質(タンパクなど)の濃縮による目詰りがない特徴を保持するモジュールを提供する。
【0010】
濾過法モジュールに比較して孔拡散法モジュールでは以下の欠点を持つ。すなわち物質の膜中での輸送速度が小さい、拡散液側(回収液側)での目的物質の濃度が低い、被処理液の体積量が少ない。この欠点を解消するモジュールを提供する。
【0011】
溶解中には種々の大きさを持つ粒子が溶解あるいは分散している。例えばタンパク水溶液中にはタンパク分子単独で分子状溶解した成分、複数の分子で構成される会合体分子、異物等を核にした凝集分子あるいは異種粒子(プリオンやウイルス等の微生物)、無機系微粒子等が混在している。雑多な微粒子を含む溶液中からこれらの微粒子をほぼ完全に除去可能でかつ孔の目詰りの進行の遅い膜モジュールを提供する
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では平膜を用いることにより膜モジュールに多様性をもたせることが可能である。すなわち平膜では多数枚の膜を密着させて積み重ねることが可能であるし、また膜間差圧(△P)、膜間濃度差(△C)等を加えて種々の物質輸送の駆動力を与えることができる。本発明モジュールで利用する平膜としては多層構造膜を複数重ね合わせ作製される多段多層構造膜を用いることに特徴がある。被処理液中にタンパク質が含まれている場合には多段多層構造膜の素材高分子としては再生セルロースが望ましい。
【0013】
多層構造膜の重ね合せの順番は、処理液に接する側に平均孔径の最も大きな多層構造膜を以下順次に平均孔径を小さくする。平均孔径の最も小さな多層構造膜は拡散液側に接するように重ねる。除去すべき微粒子の最小径と拡散液側に接する多層構造膜の平均孔径と一致させるのが粒子除去能を高くかつ有益物質の回収率を高め濾過溶量を最大化するのに望ましい。また隣接する多層構造膜の平均孔径は2倍以上ことなり、各膜の空孔率は65%以上で膜厚は200μm以下にすることにより処理対象となる溶液の清浄度に関係なく適用可能となる。
【0014】
本発明モジュールの最大の特徴は平膜の表面を垂直に設置した点にある。該表面を垂直に設置した状態下で孔拡散・濾過が行われるような状態で本発明モジュールは使用される。多段多層構造膜を用いてγーグログリン水溶液を濾過した場合に該膜の表面を水平にした状態と垂直にした状態での濾過を比較すると後者の場合の方が前者の場合の約2倍程度処理出来ることを発見して本発明に至った。濾過後に膜表面を観察した結果、水平にした状態の場合には膜表面全体にタンパクの濃厚液が残留し、垂直にした場合には下部の膜表面のみにタンパクの濃厚液が残存していた。垂直にすることによって目詰りの原因となる大粒子成分が重力加速度の影響と膜表面でさらに大粒子となる効果によって沈降していることが明らかになり本発明に至った。本発明中での垂直とは平膜の表面が厳密に垂直であることを意味するものではなく垂直の際に生じる効果が実質的に起る角度であり、垂直±45°程度の傾きの範囲を意味している。
【0015】
本発明のモジュールの第3の特徴は膜を介した2種の空間の体積比にある。すなわち該重ね合せ膜を介して該モジュール被膜処理液を充填する側(S側と略称)の体積をV濾液・拡散液側(R側と略称)の体積をVとすると体積比V/V>1を満足するように設計した点に特徴がある。該体積比を大きくすることにより拡散液側の回収すべき成分の濃度が高まる。孔拡散・濾過法で該体積比を大きくしすぎると膜中の孔内に高分子量成分が帯留し、硬塞型の目詰りが起る可能性も出てくるので、その場合には拡散液を流す速度を大きくする必要がある。
【0016】
本発明モジュールの第4の特徴はS側には3個以上の流体の流出入口を設けた点にある。濾過法あるいは孔拡散法では流出入口は2個で十分であるが平膜の表面を垂直にした本発明モジュールの機能を継続的に維持するためには3個以上の流体の流出入口が不可欠である。2個の流出入口は被処理液の入口、出口として使用される。液体中に溶解または分散している気体成分を除去する目的を加えても2個の流出入口があれば十分である。3個目以降の流出入口はモジュールの下部に設ける。下部に設けられた流出入口の役割が大きな粒子成分を採取または貯めるために利用する。
【0017】
本発明モジュールの第5の特徴はS側には水平面に対して傾斜する流路を形成している点である。被処理液体はこの回路に沿って下部から上部へと膜面に接しつつ流れる。流れる過程において大粒子は膜面から離れる傾向を示し、傾斜する流路に沿ってモジュールの下部に凝集し、沈殿する。そのため大粒子による孔の目詰りが防止され、処理可能な液量が増加する。さらにモジュールの形状を円筒状にして、S側にラセン状の流路で下部から上部へと流れる回路を設けることによって液体に遠心力を発生させることが可能となる。遠心力によって大粒子など膜面から遠ざかり、大粒子による孔の目詰りが防止され、大粒子はモジュール下部の外筒部附近の流入口より外系へ取り出すことが可能となる。
【0018】
本発明モジュールの最重要な点は孔拡散・濾過モジュールである点である。孔拡散と濾過とが同時に実施できるモジュールである。このモジュールでは被処理液に加えて拡散液が膜を介して存在できる構造物であり、孔拡散が起る膜を装着していることが前提である。孔拡散が起る膜は平均孔径5nm以上、空孔率は30%以上である。孔拡散が支配的な条件下で濾過を実施させるには膜間差圧△Pに制限がある。すなわち膜厚d、被処理液の粘度ηおよび多段多層構造膜としての平均孔半径rとすると△Pは次式で与えられる。
△P≦2×10×D×d・η/r (1)
【0019】
ここでDは平均孔径に匹敵する大きさを持つ粒子の拡散係数である。DはStokes−Einstevnの式(2)式で与えられる。
D=KT/6πηr (2)
Kはボルツマン定数、Tは絶対過度である。
【0020】
(1)式で与えられる膜間差圧△Pを支えるための支持体をR側に設けなくてはならない。この支持体としては一般的には再生セルロース不織布で十分であるが、平均孔径が小さい場合にはさらに力学的性質の優れたポリカポネード製支持体を用いる。支持体として疎水性の不織布(例えばポリエステル製の不織布)を用い、多段多層構造膜と組み合わせてプリーツ状に折り曲げて円筒状のモジュールに仕上げることも可能である。
【0021】
本発明中、膜の平均孔径は純水の濾過速度法で測定される。すなわち、膜の平均孔径(2r)は(3)式で与えられる。
(2r)=(純水の粘度)×(膜厚)×(濾過速度)/{(膜間差圧)×(空孔率)} (3)
ここで濾過速度は一平方メートルの膜面積当りの純水の濾過速度でml/分の単位で測定され、膜厚はμmの単位、粘度はセンチボイズ、膜間差圧はmmHgとなる。空孔率は(4)式で与えられる。
空孔率=(1−膜の見掛け密度/素材高分子の密度)
膜の見掛け密度は(膜の重量/(膜の面積×膜厚))で算出される。素材高分子の密度は空孔率0%時の膜の密度でこれはすでに文献で与えられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明モジュールによって孔拡散・濾過法の特徴が発揮できる。すなわち孔拡散の長所を維持しつつ濾過の特徴を持つ、具体的には孔の目詰りが極少化し、単位膜面積の処理量が増加し、かつ適用可能な処理液が多様化する。そのため処理液の前濾過も必要なくなる。溶液中に分散している大粒子成分の濃縮回収も可能となる。
【0023】
本発明モジュールにより微粒子除去性能は濾過単独より優れ、膜の物質輸送速度は通常の濾過や孔拡散の場合より大きい。また処理液量は孔拡散の場合と異なり本モジュールにより減少させることも可能である。多段多層構造膜は平膜の積み重ねで実現でき、いわば多段での孔拡散・濾過が小さなモジュール内で実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1に本発明モジュールの一つである円筒モジュールを示す。図1はモジュールの縦断面図、図2は立面図、図3は図1のA―A´面での断面図、図4は円筒4の回りに装着されたプリーツ状の平膜3の回りにラセン状の流路を確保するためのつる巻きバネ10を示す。本モジュールは円筒4、外筒2、多段多層構造膜3、スプリング状回路10、上下に外筒2にねじで密着させるふた部1で構成される。
【0025】
平膜3は平均孔径300nmの再生セルロース多層構造膜(膜厚50μm)、平均孔径80nmの再生セルロース多層構造膜(膜厚50μm)および平均孔径20nmの再生セルロース多層構造膜(膜厚50μm)の3種の膜をこの順に密着させる。平均孔径20nmの多層構造膜に再生セルロース不織布(目付け100g/m)を密着させて3cmの幅で湿熱加熱下でプリーツ状に平膜を成型するこの平膜を設置具で内筒4に放射状に巻きつける。
【0026】
外筒2(ポリカボネード製)には接線方向から被処理液が流入および流出する2個の流出入口9をそなえている。ふた部1と外筒2とはねじで締め付けられる。外筒2とプリーツ部3とは樹脂Pによって拡散液(実線矢印)と分離されている。2個のふた部はO―リング8によって外系と隔離されまた拡散液(実線矢印)も外系へもれることも防止されている。ふた1部には2個の出入口6を有する。出入口6は拡散液の流出入口であり、流入11と流出12とは流出方向が定まっている。流入口13側の出入口は外筒2の内壁部近傍で円周方向に位置し、流出口7は処理液中の大粒子成分を回収する。流出口14側の出入口7は外筒2内で発生する気相を系外へ除去する役割を持つ。外筒には処理液に対して2個の流出入口9がある。下部の9は処理液の入口、上部の9は処理係の液の出口である。流出入口9からの液体の流れは外筒2の円周方向に向う。
【0027】
内筒4の内部には中央部付近には拡散液が流入しないように円柱状の柱5が存在し、拡散液は実線矢印の方向に流れる拡散液が内筒4の下部の内部より内筒4の外壁部へ流れるように、内筒4の上部の内筒外壁部より内筒4の内部へ流れるように内筒4に孔を設けている。プリーツ状平膜の内筒4側の空間部体積をできるだけ小さくし、プリーツ状平膜の外側部と外筒2との間の空間部の体積の1/3に設計する。内筒4の上下部はプリーツ状平膜3と外筒2と共とウレタン樹脂で勾埋されている。勾埋後の切断面上にパッキング(O―リング)8が設置される。
【0028】
内筒4の外壁部に装着されたプリーツ状平膜3と外筒2の内壁部との間にラセン状の流路を形成するように工夫されている。この工夫は(1)外筒2の内壁部にラセン状の回路を作るか(2)プリーツ状平膜3の外周を取り囲むようにつるまき状のバネ状構造体を図4の10を加えることによって達成される。
【実施例1】
【0029】
酢化度53.5%の酢酸セルロースをアセトンとメタノールの混合液(体積比9:1)に溶解後、塩化カルシウムニ水塩、メタノール、アセトンおよびシクロヘキサノールを混合し、流延用溶液を作製する。この溶液をガラス板上に厚さ200μm〜400μmでアプリケータを用いて流延する。流延用溶液組成を変えることによって平均孔径を変化させる。流延後にはアセトンの蒸発に伴なって溶液中にミクロ相分離が生起する。ミクロ相分離後に流延膜をメタノールに浸漬し、酢酸セルロース多層構造膜を作製した。この膜を0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、水洗後アセトン/水系の溶媒で脱水乾燥した。得られた膜は多層構造を持つことを透過型電子顕微鏡で確認した。
【0030】
作製された多層構造膜より、平均孔径20.5nm空孔率86%膜厚80μmの膜の蒸発表面を下側にして、その上に平均孔径79.6nm、空孔率86%、膜厚82μmの膜の蒸発表面を密着させて重ねる。さらにその上に平均孔径300nm、空孔率87%膜厚84μmの膜の蒸発表面を密着させて多段多層構造膜を作製する。この膜を再生セルロース不織布(日付け100g/m)に重ねる。3cm幅で折りたたみプリーツ状物を作成する。プリーツ状物を直径2cmの内筒に装着させて内筒の両端をふたをしプリーツ状物/内筒/外筒をウレタンモノマー液中に立てて重合させることにより外筒/ウレタン樹脂勾埋プリーツ/内筒物を作成し、両端を切断する。切断面上にO―リングを乗せ、直径9cm長さ40cmの外筒が用意される。外筒の外壁部にはふた部のメス部の溝に合うようにオス部のねじを有する。
【0031】
プリーツ状物の外周部にラセン状の回路を作るために内径8.5cm外径8.9cmのラセン状物をステンレス製パイプ(パイプ径4mm)を作製し、これをプリーツ状物に樹脂勾埋前にあらかじめかぶせ図1の構成通りに組立てることによりモジュールを作製する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
微粒子除去性(ウイルス除去、プリオン除去、マイコプラズマ除去、酵母除去など)が要求されバイオ医薬品の製造工程でのプロセスフィルターとして利用される。目詰りが極小化されているので食品加工業あるいは分離、精製、除去が要求されている環境産業に利用できる。またタンパク質などの生理活性を持つ物質の分離・精製さらに会合体の濃縮に本発明のモジュールは利用できる。バイオリアクターに直結させることにより効果的な反応と生成物の精製分離が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】円筒型モジュールの縦断面図
【図2】円筒型モジュールの下部からみた立体図
【図3】図1のA―A’線での切断面の断面図
【図4】内筒の回りに装着されたプリーツ状の平膜の回りに設定したつる巻きバネ状構造体外観図
【符号の説明】
【0034】
P:外筒2,プリーツ状平膜3および内筒4を勾埋する樹脂部
1:外筒2の上下にねじ込みによって設置されるふたで拡散液の流出入口6を持つ
2:円筒状の外筒で処理液の流出入口9を2個有し、処理液中の気体のおよび大粒子成分の出口7を2個有する
3:プリーツ状の平膜で平膜の拡散液側には通常支持体としての不織布を積層している。不織布間には多数の穴を持つ支持板をはさむ。
4:円柱状の筒の上下部に拡散液の流出入口を複数個有する
5:円筒状の栓で円筒4に埋めこまれている
6:ふた1の中央部にある拡散駅の流出入口
7:外筒2より系外への出口
8:ふた1と外筒2とを密着させるためのOーリング状パッキング
9:外筒2にの設けられた処理液の流出入口、その流出入口を通過する処理液の流れ方向は外筒2の円周方向である
10:外筒2とプリーツ状平膜3との間に介在するつるまきバネ状のラセン構造体
11:流入拡散液 12:流出拡散液 13:流入処理液 14:流出処理液
15:支持体
実線矢印:拡散液の流水方向、破線矢印:処理液の流水方向








【特許請求の範囲】
【請求項1】
平膜を装着した膜分離モジュールにおいて、(1)多層構造膜を複数枚重ね合せ、(2)この重ね合わせ膜の表面を垂直に設置し、(3)該重ね合せ膜を介して被膜処理液を充頃する側(S側と略称)の体積をVs,濾過・拡散液側(R側と略称)の体積をVrとするとVs>Vrとし、(4)S側には3個以上の流出入口を設け、(5)S側には水平面に対して傾斜する流路の形成と(6)R側には重ね合せ膜を支える支持体を設けたことを特徴とする孔拡散・モジュール。
【請求項2】
請求項1において重ね合せる膜の順序としてS側に接する膜の平均孔径を最大に順次平均孔径を減少させ、R側に接する膜の平均孔径を最小にすること、また隣接する膜間の平均孔径は2倍以上ことなり、各膜の空孔率は65%以上で膜厚は200μm以下であることを特徴とする微粒子除去用孔拡散・モジュール。
【請求項3】
請求項1,2においてモジュールの形状が円筒状であり、S側にはラセン状の流路をもうけることを特徴とする孔拡散・モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−136744(P2009−136744A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314463(P2007−314463)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(501367200)
【出願人】(307002932)株式会社セパシグマ (23)
【Fターム(参考)】