多画分精製方法及びそのような方法のための装置
少なくとも1つの溶媒を用いて混合物を供給する、少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムを用いる多成分混合物(Fd)の連続的又は準連続的精製法が与えられ、多成分混合物(Fd)を整数n個の画分(Fi)に分離することができ、nは少なくとも5である。カラムは、少なくとも6個のセクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)にグループ分けされ、各セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)は、セクションの機能を連続的に実行でき、単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含む。少なくとも2つの収集、少なくとも2つの再循環セクション(β1,...,βn−3)、強吸着成分収集セクションγ、及び供給セクション(δ)がある。セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)の機能は、同期して又は連続して実行され、カラムは、1つ又は少なくとも2つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が後続の下流側の再循環セクションの対応する入口に、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には供給セクションへと流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転される。バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に実行することができ、カラムは、切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、溶媒の流れの通常方向に対して逆方向に、それらのポジションが動かされ、切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、各収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムが、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションに動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、強吸着成分収集セクション(γ)の第1のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムは、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへと動かされ、強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、供給セクション(δ)の最後のポジションへと動かされ、供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムとなるように動かされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチカラム精製方法及びそれらの最適化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチクロマトグラフィーは周知であり、工業生産において定常的且つ予備的に利用されている。しかしながら、この技術は、溶媒消費量が多くカラム材料が高価であるため、特に大規模な分離及び精製に対してはかなりコスト高となり、収益を高めるためにはクロマトグラフ装置の最適な使用が求められる。
【0003】
実際の生産における大規模な分離に対しては、バッチ法より連続法のほうがはるかに経済的である。連続法の利点としては、例えば、高収率且つ高純度の同時達成、溶媒消費量がより少ない、分画及び分析がより安価である、精製される量に対しより融通性が高い等が挙げられる。
【0004】
連続クロマトグラフ法を実現するための1つの方法は、いわゆる擬似移動床法(SMB、例えば、Markus Juza、Marco Mazzotti and Massimo Morbidelli、擬似移動床クロマトグラフィーと、キラルテクノロジーへのその応用、Trends in biotechnology、Elsevier B.V.、TIBTECH、2000年3月、第18巻、108〜118頁を参照)である。この方法では、2つの流入ストリーム(供給物、溶離液)及び2つの流出ストリーム(ラフィネート、エクストラクト)を調節することにより、混合物を2つの画分に分離することができる。SMB法は向流であるため、2つの画分の明確な分離が高収率で可能である。業界におけるSMB技術の典型的な例としては、キラル分離が挙げられるが、この場合、2つの光学異性体がラセミ混合物から分離される。選択性が非常に小さい場合、バッチ法は、回収(収率)及び生産性に関して性能が低いが、SMBは高い性能を持ち得る。
【0005】
最適化及び特定の分離問題に合うように、SMB法の各種改良が提案されてきた。例えば、流入ストリーム及び流出ストリームの個々の接続及び切断の瞬間(instant)を変える、すなわち、流入ストリームと流出ストリームを従来のSMBでのように同期して切り替えるのではなく、特定の段階的なスキームに従って切り替えることが提案された(いわゆるVaricolテクニック、例えば、WO−A−2004/039468参照)。
【0006】
Morbidelliらにより、別の変形が提案され(例えば、「擬似移動床ユニットのパワーフィード操作:切り替え間隔中に流量を変える」、Ziyang Zhang、Marco Mazzotti、Massimo Morbidelli、Journal of Chromatography A、1006(2003)87−99、Elsevier B.V.参照)、この場合、各サイクル時間後の個別切り替えによるエクストラクト及びラフィネートの排出物(output)の濃度の時間変化を補償するために、溶離液の流量を切り替え間隔に合わせて補償するように変化させて、純度をより高くすることが可能となる(いわゆる、パワーフィードテクニック)。
【0007】
溶離液の流量ではなく供給物の濃度を補償的に変化させて、同じ目的を達成する、第3の準類似の変形が提案された(いわゆるModiconテクニック、例えばWO2004/014511参照)。
【0008】
既に述べたように、特に大規模なクロマトグラフィーは、面倒で高価な技術である。主に、価値ある分子の大規模な分離に有益である。市場において最も価値のある医薬品分子は、例えばペプチド、プロテイン及び抗体のような生体分子である。これらの分子は、通常、溶媒グラジエントバッチ式クロマトグラフィーを用いて精製される。本明細書においては、成分の混合物を2つの画分に分離することを表す「分離」という用語に対し、本明細書における「精製」とは、少なくともm個の成分の混合物をm個の画分に分離することを表し(mは3以上)、目的とする生成物(product)は、1つ以上の吸着の弱い不純物及び吸着の強い不純物の間で中間的に吸収されるため、少なくとも3つの画分が生じ、生成物成分だけが純粋な形で得られることを表す。
【0009】
1回のSMBサイクルでは、供給物ストリームを2つの画分に分割することしかできないが、精製のためには、中間画分に目的とする成分を含んだ3つの画分が求められる。中間の目的とする生体分子と、吸着の強い不純物と吸着の弱い不純物とを含む多成分混合物を精製するには、2つの段階的又は逐次的SMBが必要とされるが、例えば、第1段階のSMBで第1のラフィネートと第1のエクストラクトが生成され、第2段階のSMBで第1のエクストラクトが第2のラフィネート(目的生成物)と第2のエクストラクトに分離される場合、第1段階で分離されるべきであった(第1のラフィネートで終わるべきであった)すべての不要な成分が、第2のラフィネートで確実に終わることになり、特に目的とする画分の濃度が低い場合、このようなプロセスを無益にするという問題を伴う。
【0010】
上記とは別に、他のモディファイア変動もSMBスキームに適用され、例えば、ここ数年、SMB法は、いわゆる「溶媒グラジエントモード」で操作される(例えば、US 4,031,155参照)。この「溶媒グラジエント」の意味は、SMBが、異なるモディファイアレベルで操作するセクションを含むということである。この種のグラジエントは、「ステップグラジエント」である。しかしながら、生体分子の精製には、(線形)溶媒グラジエントバッチ精製で通常適用されるような、なめらかな線形グラジエントが望まれる。
【0011】
WO2006/116886には、SMBとバッチテクニックを組み合わせて用い、再循環又は「ショートサーキット(short−circuit)」工程を含む改良が開示されている。この文献では、多成分混合物の連続又は準連続精製を、少なくとも1つの溶媒を用いて混合物が供給される個別のクロマトグラフィーカラムによって行う方法が提案されている。多成分混合物は、少なくとも、吸着の弱い不純物Aと、精製されるべき中間生成物Bと、吸着の強い不純物Cとを含み、カラムを少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けし、これらのセクションのうち、第1のセクションαには、少なくとも1つの溶媒入口と、精製された中間生成物B用の少なくとも1つの出口が設けられ、この精製された中間生成物Bは系から洗い出すが、吸着の強い不純物Cはセクションα内に保持する。第2のセクションβには、少なくとも1つの溶媒入口と、第4のセクションδの入口に連結される少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の強い不純物Cで汚染されている中間生成物Bを、前記出口を通して第4のセクションδへと洗い流すが(ショートサーキット)、純粋な吸着の強い不純物Cはセクションβ内に保持する。第3のセクションγには、少なくとも1つの溶媒入口と、吸着の強い不純物C用の出口とが設けられ、吸着の強い不純物Cを、前記出口を通して洗い出して、クロマトグラフィーカラムを洗浄する。第4のセクションδには、第2のセクションβの出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物を送り込むための少なくとも1つの入口と、吸着の弱い不純物A用の少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い不純物Aを系から洗い出すが、中間生成物Bはセクションδ内に保持する。この系では、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、第1のセクションの最後のカラムは、第2のセクションの第1のポジションへと動かされ、第2のセクションの最後のカラムは、第3のセクションの第1のポジションへと動かされ、第3のセクションの最後のカラムは、第4のセクションの第1のポジションへと動かされ、第4のセクションの最後のカラムは、第1のセクションの第1のカラムになるように動かされる。
【0012】
US 5,093,004(EP 0 415 821と同等)は、「言い換えれば、本発明の目的は、擬似向流グラジエントと溶出グラジエントテクニックとを、たった1つの連続操作プロセスに一体化することであり、[・・・]」と明示するように、液相及び固相の擬似向流操作にのみ関係する。この擬似向流操作の核となる特徴は、液体の流れ方向に見られる、後続のカラムが、前のカラム、及び場合によっては外部の溶媒源からのみ流入を受け入れることである。この核になる特徴は、この先行技術(例えば図2)でも強調されている。明細書中で詳しく説明されているように、セクションの外側にある全ての再循環ストリーム(例えば、図2の連結部7)は、純粋な溶媒だけを含む。EP 415 822は、実質的にUS 5,093,004と同じであり、5つのゾーンしか備わっておらず、ここではUS 5,093,004のゾーン1(吸着剤の再生)が省かれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特にWO 2006/116886による方法にさらなる改良を提供することである。具体的には、本発明は、この改良に関する2つの主な態様に関し、つまり、一方において、真の多生成物成分混合物の分離を可能にする、前記方法への主要な修正に関し、WO 2006/116886によるような4つの画分だけに分離できるのではなく(WO 2006/116886は実際のところ、4つの画分、つまりA、B、C及びトレーサーを有する第4の画分を分離できる)、少なくとも5つの画分の分離、原理的には、任意のより大きな整数個の画分の分離まで可能である。従って、4つ(1つの画分に成分が実質的に1つだけの場合)より多い成分を、純粋な形で得ることができる。なお、成分の数は、画分の数と同じか又はそれより大きい。他方において、精製サイクルへの導入の前にカラムを効果的に洗浄することが可能で、及び/又は、この方法が非連続的モードで、つまり2以上の交互のフローシートを用いて実行される場合でさえ、供給物の連続的な流入を可能にする、WO 2006/116886による方法への主要な修正を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、本改良は、WO 2006/116886によるセットアップ(setup)に関し、ここから出発する。このセットアップには、3つの画分A、B、Cの分離のために、以下のような、機能によって定義される複数のセクションがある:
セクションα:精製された中間生成物を系から洗い出すが、吸着の強い不純物Cはこのセクション内に保持する。
セクションβ:吸着の強い不純物で汚染されている中間生成物Bをセクションδに洗い流すが、吸着の強い不純物はこのセクション内に保持する。
セクションγ:吸着の強い不純物を洗い出し、このセクションのクロマトグラフィーカラムを洗浄する。
セクションδ:吸着の弱い不純物を系から洗い出すが、目的とする生成物をこのセクション内に保持する。供給物を精製系に与える。
【0015】
6つのカラムを用いる場合(図2も参照)、これは次のことを意味する:1つのカラム(セクションγ)は、吸着の強い不純物Cを全てカラムから取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションβ)は、中間生成物Bを全てこのカラムから取り出すが、吸着の強い不純物Cはこのカラムに保持する機能を有し、1つのカラム(セクションα)は、確実に、このカラムから、吸着の強い不純物Cは取り出さずに中間生成物Bだけを取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションδの1つ、δg)は、吸着の弱い不純物Aを全てカラムから取り出すが、中間生成物Bはカラムに保持する機能を有し、1つのカラム(セクションδのさらなる1つ、δf)は、供給物Fdをカラムに入れて、第1の吸着の弱い不純物Aをカラムから取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションδのさらなる1つ、δr)は、確実に、中間生成物Bをカラムから出さず、カラムからトレーサーを取り除く機能を有する。
【0016】
このような装置は、3つの相互接続したカラムと3つの接続されていないカラムに分割することもできるが、6つのカラムのセットアップと同一である。3つの相互接続したカラムを備えるレーンを「CCL」(向流レーン)と呼び、接続されていないカラムを備えるレーンを「BL」(バッチレーン)と呼ぶ。CCLは、カラムポジション2,4,6(β,δg,δr)からなり、BLは、カラムポジション1,3,5(γ,α,δf)からなる。6カラム系が2つの状態CCL及びBLの間で切り替わると、CCレーンの全てのカラムは「バッチレーン」のカラムとなり、バッチレーンの全てのカラムはCCレーンのカラムになる。バッチレーンの局所的な切り替え時間は、全体の切り替え時間t*と等しい。これにより、全体のプロセスが連続的となる。バッチカラム及び向流カラムは、同じプラント内で、同時に操作される。
【0017】
本明細書に提示する発明は、上に挙げたものに比べて、改良された分離法を提供し、連続又は非連続的に、混合物を4つ以上の画分に分離することができる。この方法は、並列及び/又は連続的に異なるタスクを実行するセクションにグループ分けされたマルチカラムを含む。これらのセクションは、特定の方法で、バルブによって流体的に接続及び切断することができる。
【0018】
本発明は、特に、少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物Fdの連続又は準連続精製法に関し、カラムを通して混合物を少なくとも1つの溶媒を用いて供給し、多成分混合物Fdは、整数n個の画分Fiに分離され、ここでnは少なくとも5である。
【0019】
カラムは、少なくとも6つのセクション、α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δにグループ分けされ、各セクションは、複数のセクションの機能が連続して実行でき、単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含む。そのため、この機能は、同時に実行されるか、又は連続して実行され、連続して行う場合は、単一のカラムが、1つの工程(例えば、CCL)における1セクションの機能と、後の工程(例えば、BL)における他の機能を担ってもよい。
【0020】
少なくとも2つの収集セクションα1,...,αn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口とが設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクションα1,...,αn−3内に保持する。
【0021】
少なくとも2つの再循環セクションβ1,...,βn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口、又は、後続の下流側の再循環セクションがなければ供給セクションδに接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれが、より吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ前記供給セクションδへと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、画分F1,...,Fn−3を介して溶出されるより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3内に保持する。
【0022】
強吸着成分収集セクションγには、少なくとも1つの溶媒の入口と最も吸着の強い成分(画分F1)用の出口とが設けられ、最も吸着の強い成分を含む画分F1を、前記出口を通して洗い流す。
【0023】
供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも最も吸着の弱い成分(画分Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1、Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分の画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持する。
セクションα1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δの機能は、同期して又は連続して(sequentially)実行することができる。
【0024】
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラムα1,...,αn−3の出口が中間画分F2,...,Fn−3を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラムβ1,...,βn−3の出口が後続の下流側の再循環セクションの対応する入口に、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションに流体的に接続される、少なくとも1つの相互接続された(連続又は準連続モード)ポジションで運転される(run)。
バッチモード及び連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に(sequentially)実行することができる。
【0025】
カラムは、切り替え時間t*内に、溶媒の流れの通常方向に対し逆方向に、ポジションが動かされる。
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、各収集セクションα1,...,αn−3の第1のカラム(溶媒の流れ方向において)は、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3の最後のポジション(溶媒流れ方向において)に動かされ、最も上流側の再循環セクションβ1の第1のカラムは、強吸着成分収集セクションγの最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクションβ2,...,βn−3の第1のカラムは、次の(next)上流側の収集セクションα1,...,αn−4の最後のポジションへと動かされ、強吸着成分収集セクションγの第1のカラムは、供給セクションδの最後のポジションへと動かされ、供給セクションδの第1のカラムは、最も下流側の収集セクションαn−3の最後のカラムとなるように動かされる。
【0026】
セクション(例えば、γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr等)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間t*内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に(sequentially)実行される。このようなグループ分けでない場合には、機能は同時に実行される。
【0027】
この明細書を通して使用される用語を明らかにし、一義的に理解するために、以下に用語の定義を挙げておく:
−多成分混合物: Fd(供給物)と表す。液体キャリア中にm個の成分Kを含む混合物である。多成分混合物は、本発明の精製法では、1供給物としてプロセスに導入され、n個の画分(ここで、mはnより大きいか又は同じ)に分離される。
−画分: クロマトグラフ法において規定の工程で取り出される規定の容量。理想的には、画分は1つの単一成分だけを含むことができるが、実際には、通常、画分には1つより多い成分が含まれる。1画分当たり実質的に単一成分1つだけの場合、n成分の多成分混合物は、それぞれ1つの単一成分だけを実質的に含むn個の画分に分離される。画分には添え字nで番号を付けてあり、本明細書において、最も小さい添え字を持つ画分F1は、最も吸着の強い成分を含む画分を表し、最も大きい添え字を持つ画分Fnは、最も吸着の弱い成分を含む画分を表し、画分F2,...,Fn−1は、吸着が中間的な画分又は中間成分を含む画分を示し、これらが提案する方法の内容において、主要な関心(interest)である。
−吸着の強い成分: 高い保持力を示し、そのため、クロマトグラフ系の固体固定相としっかり又は強く相互作用しクロマトグラフ法の後期で溶出する、多成分混合物中の成分。保持力は分子量に一般的に関連づけられないという事実にもかかわらず、吸着の強い成分は、多くの場合、重い成分とも呼ばれるので、このクロマトグラフの内容における重い成分は、必ずしも高分子量の成分ではない。
−吸着の弱い成分: 低い保持力を示し、そのため、クロマトグラフ系の固相と軽くしか相互作用せずに従来のクロマトグラフ法の初期段階で溶出する、多成分混合物中の成分。保持力が分子量には一般的に関連づけられないという事実にもかかわらず、吸着の弱い成分は、多くの場合、軽い成分とも呼ばれるので、このクロマトグラフの内容における軽い成分は、必ずしも低分子量の成分ではない。
−セクション: クロマトグラフ法の一部分、というよりも一機能(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δと表す)。1セクションの機能は、1つのカラム、又は、連続して又は並行して配置することのできる複数のカラムによって担うことができ、連続配置の場合、カラムは通常少なくとも部分的に相互接続される。「カラム」という言い方に関しては、カラムの代わりに、又はカラムと組み合わせて、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いてもよい。概説したように、1セクションの機能は、全時間中(during the whole time)(同期して)担うことができ、この場合、各セクションに対し少なくとも1つのカラムがあるが、1セクションの機能を連続的に担うこともできるので、工程(例えば、バッチ工程及び連続工程)が交互に起こってもよく、その場合、カラムは異なるセクションの機能を交互に担う。例えば、2つの異なるタイムスパン(CCL及びBL)で、カラムが異なる機能を持つ場合、2つの工程において各カラムが異なる機能を実行するので、セクションの数の半分のカラムがあればよい。しかしながら、1つのカラムが異なる機能を実行する工程が2より多い場合には、カラムをさらに少なくすることもできる。セクション(又はサブセクション)の内容において、1つのセクション内に相互接続されたカラムの列がある場合、カラムの「第1の」ポジションとあれば、これは、移動相流のことを意味するので、セクションの第1カラムとは、セクションの最も上流側のカラムのことであり、最後のカラムとは最も下流側のカラムのことである。
−サブセクション: セクションの一部、というよりもサブ機能である(例えば、δのサブセクションは、δg;δf,δrと表す)。サブセクションの機能は、1つのカラム、又は、連続して又は並行して配置することのできる複数のカラムによって担うことができ、連続配置の場合、カラムは通常相互接続される。サブセクションの機能は、全時間中(同期して)担うことができ、この場合、各サブセクションに対し少なくとも1つのカラムが存在する。しかしながら、サブセクションの機能を連続的に担うこともできるので、工程(例えば、バッチ工程及び連続工程)が交互に起こってもよく、その場合、カラムは異なるサブセクションの機能を交互に担う。
−準連続溶出: 準連続溶出とは、カラムの少なくとも2つが相互接続されるものの、バッチモードで操作されるカラムもある工程のことをいう。これは、例えば、図8の5bで表されるカラムによって示される。つまり、準連続モードポジションとは、少なくとも1つのセクションの出口が、少なくとも1つの他のセクションの入口と流体的に接続されているポジションのことである。
−移動相(しばしば、溶媒又は液体と呼ばれる):移動相(溶離液)としては、液体、気体、又は超臨界流体、及びこれらの混合物を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクション内、及びセクションのカラム内で、異なっていても、同じであってもよい。特に、グラジエントを行うことができる。
【0028】
上記を考慮すれば、セクションの機能の全てが、少なくとも1つのカラムによって常に(at any time)担われるセットアップが選ばれた場合、6個のカラムを有することが必要となる(2×α,2×β,γ,δg,δf,δr)ことに注意する。これに対して、セクションデルタに、3つではなく1つのカラムだけを要する図3を参照する。上述のように、これらの機能は連続的に実行することもできるので、その場合カラムの最小個数は4となる(α→β;α→β;δ→δ;γ→δ;ここで矢印は、BLからCCLへの切り替え時、同じカラムによって担われる機能を示す)。これに対して、セクションデルタに対し、3つではなく2つのカラムだけを要する図12を参照する。
【0029】
これを、上記の先行技術US5,093,004、むしろ、その核となる特徴の1つと比べると、本願はいわゆるショートサーキット(short−circuitting)であり、つまり、カラムを離れる流れは、必ずしも下流側の次のセクションへと送り込まれず、1つ先のカラムへと供給される(例えば図3参照)。液相及び固相の従来の擬似向流操作と、「ショートサーキット」操作との違いについての詳しい考察は、WO2006/116886に見つけることができる。
【0030】
US5,093,004と本願とのさらなる違いは、2,3例を挙げると:
−本発明は、供給混合物を少なくとも5つの画分に分離することに関するが(クレーム1を参照)、US5,093,004は、3つの画分への分離しか考えていない(クレーム1)。
−US5,093,004は、本願にクレームしたような、セクションα(溶媒入口と系を完全に離れる中間画分用の出口のみ)、セクションδf(供給物の入口と系を完全に離れる1つの画分用の出口のみ)、及びセクションγ(溶媒入口と系を完全に離れる最後の溶出画分用の出口のみ)のいずれをも含まない。
【0031】
第1の好ましい実施形態によると、少なくとも2つのカラムを含む、少なくとも2つのサブ機能を持つ供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口、及び、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つ又は2つの入口と、最も吸着の弱い成分(画分Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とを設けることができ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fn中へと洗い出すが、画分F2,...,Fn−2(及びF1)のためのより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持する。セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr等)の機能及びサブ機能は連続的に実施され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは連続的に実現可能である。準連続溶出の工程では、この場合、再循環セクションのカラムが、供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口は、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続されるが、供給セクションの第2の中間カラムδfbは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いてバッチモードで運転される。バッチ溶出の工程では、吸着の強い成分収集γと、収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1のカラムδfa及び第3のδfcカラムが、バッチモードで運転され、少なくとも、供給セクションの第1のδfaカラムは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いて運転される。これらのセクション又はサブセクションのそれぞれに対し、1つ又は複数のカラムを使用できる。
【0032】
さらなる好ましい実施形態によると、セクションの一対の連続的機能が1つのカラム内で連結されており、その際、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、供給セクションは3つのサブセクションを含み、全系において、4つのカラム(又はカラムのスタック又は列)だけが提供され、これら4つのカラムが、1切り替え時間の第1の部分(Fraction)内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)で連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内には、多成分混合物(Fd)の個々の画分F1,...,Fn−1を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される。これは、例えば、図7に示すようなプロセスであり、以下でさらにより詳細に説明する。
【0033】
さらなる好ましい実施形態によると、セクションの一対の連続的機能は1つのカラム内で連結されており、その際、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、供給セクションは少なくとも5つのサブセクションを含み、全系において、5つのカラム(又はカラムのスタック又は列)だけが設けられ、これらのうち4つは、1切り替え時間の第1の部分内に、CCL工程(準連続溶出の)で連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物(Fd)の個々の画分F1,...,Fn−1を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される。これは、例えば、図12に示すようなプロセスであり、これは、供給セクションにおいて、5bで示した第5のカラムは、CCL工程(供給セクションには、準連続溶出中にバッチモードで運転される1つのカラムが設けられる)中にバッチモードで運転されるという事実により、連続的及び実質的に途切れない供給を可能にする。
【0034】
さらに別の好ましい実施形態によると、セクションγ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δrの機能及びサブ機能は連続的に実行され、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、その際、連続又は準連続溶出の工程では、再循環セクションのカラムが、次の下流側の再循環セクションに流体的に接続されるか、又は、供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムfgの出口は、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、バッチ溶出の工程では、強吸着成分収集γと収集セクションαのカラムと、供給セクションのカラムδfがバッチモードで運転され、供給セクションのカラムδfは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いて運転され、好ましくは、2つの収集セクションと2つの再循環セクションがあって、この方法が4つのカラムを用いて実現されるか、又は3つの収集セクションと3つの再循環セクションがあって、この方法が6つのカラムを用いて実現される。
【0035】
全く独立に、本発明はさらに、少なくとも1つの溶媒を用いて混合物が送り入れられる少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによって、多成分混合物Fdを連続的又は準連続的に精製するための方法に関し、多成分混合物Fdは、整数n個の画分Fnに分離され、ここでnは少なくとも6である。連続供給、及び、精製プロセス導入前にカラムを最も効率的に洗浄することを可能にするこの方法は、上記多成分精製方法とは独立したものであり、この発明は、単独でも(taken alone)、技術水準の点から新規で独創性がある。
【0036】
具体的には、この方法では、カラムは少なくとも4つのセクションα、β、γ、δにグループ分けされ、少なくとも1つの収集セクションα1,...,αn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間画分F2,...,Fn−2を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクションα1,...,αn−3内に保持し、少なくとも1つの再循環セクションβ1,...,βn−3には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクションδへと接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分F1,...,Fn−3を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分F2,...,Fn−2内に溶出される中間吸着成分それぞれを、後続の下流側の再循環セクションか、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションδへ、前記出口を通して洗い流すが、画分F1,...,Fn−3内に溶出される(純粋な)より吸着の強い成分それぞれを、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3内に保持し、強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒の入口と、最も吸着の強い成分(画分F1)用の出口が設けられ、画分F1を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、少なくとも2つのカラムを含む供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つ又は2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い画分Fn−1、Fn用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1、Fn内に洗い流すが、画分F2、...、Fn−2(並びにF1)用のより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、その際、セクションγ、β;α、δg;δfa、δfb;δfc、δrの機能及びサブ機能は、連続的に実行される。カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラムα1,...,αn−3の出口が、中間画分F2,...,Fn−3を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、並びに、少なくとも1つの再循環セクションカラムβ1,...,βn−3の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は、前記供給セクションへ流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、その際、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現される。
【0037】
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、カラムのポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされる。
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、収集セクションα1,...,αn−3の第1のカラムは、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクションβ1の第1のカラムは、強吸着成分収集セクションγの第1のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクションβ2,...,βn−3の第1のカラムが、次の上流側の収集セクションα1,...,αn−4の最後のポジションへ動かされ、強吸着成分収集セクションγの第1のカラムが、供給セクションδの最後のポジションへ動かされ、供給セクションδの第1のカラムが最も下流側の収集セクションαn−3の最後のカラムになるように動かされる。
【0038】
γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δrのグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間t*中に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、この場合(in that)、連続又は準連続溶出の工程では、再循環セクションのカラムが供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口が、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、一方、供給セクションの第2の中間カラムδfbは、多成分混合物Fdを送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで稼動され、バッチ溶出の工程では、吸着の強い成分収集γと、収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1のカラムδfa及び第3のカラムδfcがバッチモードで運転され、供給セクションδfa、δfb、δfcの少なくとも1つのカラムが、多成分混合物Fdを送り込むためのその入口を用いて運転される。
【0039】
この内容においては、カラムを4つだけ使用する方法が特に有利である。この態様の好ましい実施形態によると、セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は連続的に実行され(図8も参照)、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、この場合(in that)、準連続溶出の工程では、1つの再循環セクションのカラムが供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口が供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、一方、同時に、供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口と、画分(F4)の収集用の出口とを用いて、バッチモードで運転され、バッチ溶出の工程では、強吸着成分収集γと収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1及び第3の中間カラム(δfa,δfc)が、多成分混合物Fdを送り込むためのそれらの入口の少なくとも1つを用いて、バッチモードで運転される。この内容において、再循環セクションが2つのこともあり得、その場合は、カラムは全部で5個となる。
【0040】
次に示す好ましい実施形態は、上述の方法の両方に関するものであり、つまり、多成分精製法並びに連続供給を可能にする方法に関する。
【0041】
好ましい実施形態によると、セクションの少なくとも1つへ送り込まれる溶媒は、切り替え時間(t*)中、ほぼ連続的に組成が変えられ、及び/又は超臨界溶媒の場合には、切り替え時間(t*)中に、セクションの少なくとも1つに送り込まれる超臨界溶媒の密度が、ほぼ連続的に変えられる。
【0042】
さらに好ましい実施形態によると、少なくとも1つ又は好ましくは全てのセクションへ送り込まれる溶媒は、切り替え時間(t*)中、モディファイア濃度を増減させて、ほぼ連続的に組成が変えられ、及び/又は、超臨界溶媒の場合は、切り替え時間(t*)中、密度を増減させて、ほぼ連続的に密度が変えられ、最も下流側のセクション(δ)から最も上流側のセクション(α)への一連のカラムに沿って、カラムが動いた後、各カラム内のモディファイア濃度(Cmod)/密度が、実質的に、カラムの新しいポジションでのベースのモディファイア濃度/超臨界溶媒の密度となり、次の切り替え時間(t*)中に、各カラム内のモディファイア濃度/密度が、カラムのさらなる移動後に次のポジションのベースの濃度/密度へと増加または減少されるように、モディファイア濃度(Cmod)/密度を増加又は減少させる。
【0043】
各溶媒入口にて、個々の一定のベースのモディファイア濃度(Cmod,c)を持つ溶媒を供給することができ、その際、流量及び/又は組成が変化する、好ましくはモディファイア濃度(Cmod,V)が変化する溶媒流れを、複数の入口に供給し、個々の一定のベースのモディファイア濃度(Cmod,c)を有する溶媒と混合して、系に沿ってグラジエントを構築する。
【0044】
セクションの全て又はいくつかに送り込まれる溶媒は、組成及び/又は密度を、切り替え時間(t*)中、線形又は準線形又は非線形に、ほぼ連続的に変えることができ、その際、好ましくは、モディファイア濃度が、そのように変えられる。
【0045】
供給セクションは、3つのサブセクションにグループ分けされる少なくとも3つのカラム、又は、3つのサブセクションの機能を連続して提供するより少ないカラムを含むことができ、その際、第1のサブセクションδfが、好ましくは、系の全流量より低い流量で多成分混合物を送り込むための少なくとも1つの入口と、画分Fn−1用の少なくとも1つの出口とを含み、第2のサブセクションδgが、最も下流側の再循環セクションβn−3の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、第3のサブセクションδrの少なくとも1つの入口に接続される少なくとも1つの出口とを含む。
第3のサブセクションδrは、第2のサブセクションδgの排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、画分Fn用の少なくとも1つの出口とを含んでもよい。
【0046】
切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、第1のサブセクション(δf)の第1のカラムは、第2のサブセクション(δg)の最後のポジションへと動かされ、第2のサブセクション(δg)の第1のカラムは、収集セクションの最後のポジションへと動かされ、吸着の強い成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、第3のサブセクション(δr)の最後のポジションへと動かされ、第3のサブセクション(δr)の第1のカラムは第1のサブセクション(δf)のカラムとなるように動かされ、セクションの機能を、同期して又は連続的に実行することができる。
【0047】
セクションの一対の連続的機能は、1つのカラム内で連結することができ、1切り替え時間内に、連続的又は準連続的溶出の工程と、バッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実施しながら、交互に起こる。
【0048】
供給セクションは、3つのサブセクションを含むことができ、全系において、4つのカラムを供給することができ、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)にて連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すために、バッチ工程(BL)にて駆動される。
【0049】
上記のような全てのセクションのように、この特定の場合における第1のサブセクションには、少なくとも2つの並行なカラムを含むことができ、及び/又は、第2の及び/又は第3のサブセクションは、少なくとも2つの向流の並行な又は連続するカラムを含むことができる。
【0050】
供給は、1切り替え時間(t*)内で、連続的、パルス状、又は成形された濃度/密度プロフィールを有するものであってよく、及び/又は、溶媒の流れを、1切り替え時間(t*)内に変えてもよく、及び/又は、個々の入口/出口の切り替えが、1切り替え時間(t*)内で段階的であってもよい。
個々のカラム内の流量は同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
さらに、本発明は、上に定義した方法のいずれかを実行するための装置に関する。この装置の仕様は、対応するクレームに定義する。通常、このような装置は、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態(topology)を含む。
【0052】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、6つのカラムを使用する連続精製法のフローシートである。
【図2】図2は、向流レーン及びバッチレーンを有する非連続的な6カラムユニットを示し、a)はシーケンシャル図であり、b)は、バッチレーン(BL)と向流レーン(CCL)を個別の工程として示した図である。
【図3】図3は、連続多画分分離法の図である。
【図4】図4は、連続多画分分離法の一般的なフローシートである。
【図5】図5は、連続5画分分離法のフローシートである。
【図6】図6は、連続6画分分離法のフローシートである。
【図7】図7は、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を有する非連続的多画分分離法の図である。
【図8】図8は、連続供給を有する非連続的4カラム法の図である。
【図9】図9は、連続供給を有する連続4カラム法のフローシートである。
【図10】図10は、洗浄セクション/連続供給を有する連続多画分分離法の略図である。
【図11】図11は、洗浄セクション/連続供給を有する連続多画分分離法のフローシートである。
【図12】図12は、洗浄セクション及び連続供給を有する、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を備えた非連続的多画分分離法の図である。
【図13】図13は、洗浄セクション及び連続供給を有する、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を備えた非連続的多画分分離法のフローシートである。
【図14】図14は、切り替え時間の最後で、且つカラムが切り替えられる前の、カラム内の成分の内部液相濃度プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に説明するが、これらの図は、本発明の好ましい実施形態を示すためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
【0055】
図2a)には、従来技術、特にWO2006/116886で定義されるような6カラムのセットアップが示されており、単一のカラムのそれぞれによって具体化されたセクションが図に表示されている。図2によるセットアップの全体的な形状(topography)を、図1に挙げる。
【0056】
セクションは特定の役割を持ち、それらは以下のとおりである:
−セクションα:精製された中間生成物を系から洗い出すが、吸着の強い不純物はセクション内に保持する。
−セクションβ:吸着の強い不純物で汚染されている中間生成物をセクションδへと洗い流すが、吸着の強い不純物はセクション内に保持する。
−セクションγ:吸着の強い不純物を洗い出し、セクションのクロマトグラフィーカラムを洗浄する。定置洗浄(CIP)。
−セクションδ:吸着の弱い不純物を系から洗い出すが、目的とする生成物はセクション内に保持する。供給物を精製系に送り込む。
【0057】
具体的に言えば、図2の場合、以下の作業が、番号付けしたカラムによって実行される:
1.吸着の強い不純物Cを全て、カラムから取り出す。
2.中間生成物Bの全てをこのカラムから取り出すが、吸着の強い不純物Cはこのカラム内に保持する。
3.吸着の強い不純物Cをこのカラムから決して取り出さないが、中間生成物Bだけを取り出す。
4.吸着の弱い不純物Aを全てカラムから取り出すが、中間生成物Bはカラム内に保持する。
5.供給物Fdをカラムに入れ、第1の吸着の弱い不純物Aをカラムから取り出す。
6.中間生成物Bをカラムから決して出さず、トレーサーをカラムから取り除く。
【0058】
図2b)では、6カラムのセットアップが、3つの相互接続したカラムと、3つの接続されていないカラムとに分割されているが、図2a)に示した6カラムのセットアップと同一である。3つの相互接続したカラムを備えるレーンを「CCL」(向流レーン)と呼び、接続されていないカラムを備えたものを「BL」(バッチレーン)と呼ぶ。
【0059】
CCLは、カラムポジション2,4,6(β,δg,δr)からなり、バッチレーンはカラムポジション1,3,5(γ,α,δf)からなる。6カラム系が2つの状態CCLとBLの間で切り替わるとき、CCレーンの全てのカラムが「バッチレーン」のカラムとなり、バッチレーンの全てのカラムがCCレーンのカラムとなるのは明らかである。両レーンの局所的な切り替え時間は、全体の切り替え時間t*に等しい。これにより全体のプロセスが連続となる。バッチカラムと向流カラムは、同じプラントで同時に操作される。
【0060】
本明細書に表した発明は、図1及び2に示すものに比べて改良された分離法を提供し、混合物を連続又は非連続的に4以上の画分へと分離できる。この方法には、並行して及び/又は連続的に異なる作業を実行するセクションにグループ分けされたマルチカラムを含む。セクションは、特定の方法で、バルブによって液体的に接続及び切断することができる。
【0061】
一般に、図3及び4の場合、nは整数であり、画分の数を表す。nは5以上である。iは添え字であり、5に始まり角括弧内に与えられるユニットの繰り返しに伴って増える。mは成分Kの数で、n以上である。Fは画分を表す。図5の場合、nは5に等しくなるように選ばれ、ゆえにiは5に等しく、図6の場合、nは6に等しくなるように選ばれ、その結果、iは5及び6の値をとる。図10の場合、nは6以上となるように選ばれ、添え字iは5に始まり、図11に対しても同様である。図12の場合、nは7以上であり、図13に対しても同様である。
【0062】
カラムは、セクションγ、α、β及びδにグループ分けされる。セクションα、βは、プロセスの一対の中間セクションを表し、プロセスが供給混合物をより多くの画分に分離することができるように繰り返すことができる。セクション対(α,β)の繰り返しにより、セクションαは、次の繰り返し対(α,β)のセクションαに接続される。最後の繰り返し対(α,β)のセクションαは、セクションδに接続される。プロセス内の対(α,β)の数は、第1の対(α,β)によって与えられ、少なくとも1つの以上の繰り返し対(α,β)である。
各対(α,β)は、セクションからの成分の溶出順に基づき、サブ画分化する(sub−fractionated)ことのできる1つの画分を生成する。
【0063】
セクションγは、1つの流体入口を含み、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる1つの画分を生成する。
【0064】
セクションδは、溶出順序に基づいてサブ画分化することのできる少なくとも2つの画分を生成し、少なくとも1つの流体入口を含む。セクションδでは、保持挙動の異なる少なくとも4つの異なる成分からなる供給混合物が加えられる。セクションδは、前記供給混合物が与えられるカラムと、流体的に接続される2つのカラムの少なくとも1つを含む。
【0065】
流体的に相互接続されるセクションα及びδの目的は、成分のさらなる精製と高い収率のために、部分的に精製された成分を内部再循環することである。
【0066】
所定の切り替え時間後又は切り替え時間内に、プロセスのカラムは、δ,β,α,γの順で、流体流れに反対の方向に切り替えられ、これが固定相と移動相の擬似向流移動につながる。内部再循環と組み合わせると、これは、生成画分の純度を高めることにつながる。
【0067】
セクションγ及びβの目的は、生成物及び/又は不純物画分の溶出である。
【0068】
図3に示すプロセスの連続的な実施形態では、セクションγ,α,β及びδの作業は並行して行われ、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、カラムが、δ,β,α,γ,δ・・・の順番で進む。カラムの動きを、図4に、この実施形態を示すフローシートに示す。1つの繰り返し対(α,β)を有する、5画分分離(n=5)のためのこの実施形態の例を、図5のフローシートに示す。2つの繰り返し対(α,β)を有する、6画分分離(n=6)のためのこの実施形態の例を、図6のフローシートに示す。
【0069】
図7に示すプロセスの非連続的な実施形態では、セクションαとδの作業は、セクションが流体的に切断された状態で、並行して実施される。切り替え時間後又は切り替え時間内に、セクションαのカラムはセクションγの方向に切り替えられ、先の繰り返し対(α,β)のセクションβの作業を行う。セクションβ1の第1のカラムは、セクションγの最後のカラムのポジションに切り替えられる。同時に、セクションδの第1のカラムは、最後の繰り返し対(α,β)のセクションαの最後のカラムのポジションに切り替えられる。セクションδ内では、サブセクション6から5、5から4の順にカラムが切り替わる。
【0070】
ここに表す発明は、また、混合物を不連続的に4つの画分に分離できる改良された精製法を提供し、これによって、混合物を含む供給物が、連続的に投入される。このプロセスは、並行して又は連続的に異なる作業を実行するセクションにグループ分けされる4つのカラムを含む。セクションは、図8に概略する特定の方法で、バルブによって流体的に接続及び切断することができる。
【0071】
カラムは、セクションγ、α、β及びδにグループ分けされる。
セクションγは、1つの流体入口を含み、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる1つの画分を生成する。
セクションδは、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる少なくとも2つの画分を生成し、少なくとも1つの流体入口を含む。セクションδでは、保持挙動の異なる少なくも4つの異なる成分からなる供給混合物が投入される。セクションδは、前記供給混合物が与えられるカラムと、流体的に接続される2つのカラムの少なくとも1つを含む。
【0072】
流体的に接続されたセクションα及びδの目的は、成分のさらなる精製と高い収率のために、部分的に精製された成分を内部再循環することである。
【0073】
所定の切り替え時間後又は切り替え時間内に、プロセスのカラムは、δ、β、α、γの順で、流体流れに反対の方向に切り替えられ、これが固定相と移動相の擬似向流移動につながる。内部再循環と組み合わせると、これは、生成画分の純度を高めることにつながる。
【0074】
セクションγ及びβの目的は、生成物及び/又は不純物画分の溶出である。γ及びβから得られた画分は、セクションからの成分の溶出順序に基づきサブ画分化することができる。
【0075】
図8に示すプロセスの実施形態では、セクションγ、α、β及びδの作業は連続的に行われ、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、カラムが、δ、β、α、γ、δ・・・の順番で進む。カラムの動きを、図9に、フローシートで示す。
【0076】
セクションα、γ、βのそれぞれは、1サイクルδ、β、α、γの間に、少なくとも1つのカラムによって通過される。セクションδは、各所定の時点で、少なくとも2つのカラムを含む。
【0077】
カラムの代わりに、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いることもできる。
【0078】
移動相としては、液体又は超臨界流体を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクションにおいて及びセクションのカラム内で同じであっても変えることもできる。特に、グラジエントを行うことができる。
【0079】
もちろん、このコンセプトを、上に定義したような多成分分離法と連結できるし、その逆も可能である。
【0080】
図10に示す連続的な実施形態では、セクションδのサブセクションのカラムが、6−5b−5a−4の順で切り替わる。この実施形態は、洗浄又は付加的な供給を目的として、少なくとも1つのカラムを含むセクション5bを加えた改良したセクションδを備えたプロセスを示す。洗浄又は供給のための第1のセクションを5aと表示する。対応するフローシートを図11に示す。
【0081】
図12に示す非連続的な実施形態では、セクションδのサブセクションのカラムが6−5c−5b−5a−4の順で切り替わる。洗浄又は供給のための3つのセクションは、5a、5b、5cと表示する。
【0082】
セクションα、γ、βのそれぞれは、少なくとも1つのカラムを含む。セクションδは、図3、図5、図6及び図7に示すプロセスの場合、少なくとも2つのカラムを含み、図12及び図13に示すプロセスの場合は3カラム、図10および図11に示すプロセスの場合は4カラム含む。
【0083】
カラムの代わりに、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いることもできる。
【0084】
移動相としては、液体又は超臨界流体を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクションにおいて及びセクションのカラム内で同じであっても変えることもできる。特に、グラジエントを行うことができる。
【実施例】
【0085】
以下、5つの画分への分離のための例を、図5に示すフローシートを用いて表す。
【0086】
このシミュレーションは多成分の競合ラングミュア等温式(competitive Langmuir isotherm)を用いる集中型キネティックモデル(lumped−kinetic model)に基づく。ヘンリー係数Hを、モディファイア(成分1)濃度のべき関数H=a*cMbと仮定し、パラメータa及びb、並びに等温飽和度を、表T1に挙げる。
【0087】
【表1】
【0088】
さらなるシミュレーションパラメータを、表T2にまとめる。
【表2】
【0089】
図3に示すフローシートの構成の操作条件を表T3に表す。1切り替え中、各供給ポンプによって、線形グラジエントが、開始モディファイア濃度と最終モディファイア濃度の間で操作されることに注目する。成分2〜6は、セクションδfでのみ系に送り込まれる。
【0090】
【表3】
【0091】
この実施例においては、操作条件が完全には最適化されていないことに注意しなければならない。
図14には、6つのカラムc1−c6の内部の、上の表の定義に従って、成分co1−co6の内部液相濃度プロフィールを計算したものを、切り替え時間の最後の最後と、カラムを切り替える直前にて示す(切り替え数:49、切り替えパーセント:100%)。この時点で、成分2は、セクションδrを介してほぼ完全に系を去った。カラムの名称と、図3に使用した名称は一致しており、セクション1〜4(sct1〜sct4)も同様である。
【0092】
得られたカラム排出物純度を、全濃度の合計で割った各成分の濃度として計算し、1切り替えにわたって平均したものを、表T4に示す。
【表4】
【0093】
上の実施例において、成分3(co3)は、δfから非吸着成分2(co2)とともに溶出されるため、特に高い純度で得られないことがわかる。しかしながら、供給濃度をより高くすれば、供給流量を減らすことが可能となって、非吸着不純物がδfからは溶出せずδrからのみ溶出する。このような場合、成分3(co3)も、高純度で得ることができた。
【符号の説明】
【0094】
BL バッチレーン
CCL 向流レーン
α 精製プロセスの収集セクション
β 精製プロセスの再循環セクション
γ 精製プロセスの吸着の強い成分収集セクション
δ 精製プロセスの供給セクション
A,B,C 画分
A 吸着の弱い成分を含む画分
B 吸着が中間的な成分を含む画分、通常目的とする生成物
C 吸着が強い成分を含む画分
s 溶媒
Fd 全ての成分を混合物として含む供給物
tr トレーサー
Sct セクション
Fi 画分i
Ki Fの混合物中の成分i
W 洗浄
n 画分の数
i 添え字
m F内の成分の数
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチカラム精製方法及びそれらの最適化の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチクロマトグラフィーは周知であり、工業生産において定常的且つ予備的に利用されている。しかしながら、この技術は、溶媒消費量が多くカラム材料が高価であるため、特に大規模な分離及び精製に対してはかなりコスト高となり、収益を高めるためにはクロマトグラフ装置の最適な使用が求められる。
【0003】
実際の生産における大規模な分離に対しては、バッチ法より連続法のほうがはるかに経済的である。連続法の利点としては、例えば、高収率且つ高純度の同時達成、溶媒消費量がより少ない、分画及び分析がより安価である、精製される量に対しより融通性が高い等が挙げられる。
【0004】
連続クロマトグラフ法を実現するための1つの方法は、いわゆる擬似移動床法(SMB、例えば、Markus Juza、Marco Mazzotti and Massimo Morbidelli、擬似移動床クロマトグラフィーと、キラルテクノロジーへのその応用、Trends in biotechnology、Elsevier B.V.、TIBTECH、2000年3月、第18巻、108〜118頁を参照)である。この方法では、2つの流入ストリーム(供給物、溶離液)及び2つの流出ストリーム(ラフィネート、エクストラクト)を調節することにより、混合物を2つの画分に分離することができる。SMB法は向流であるため、2つの画分の明確な分離が高収率で可能である。業界におけるSMB技術の典型的な例としては、キラル分離が挙げられるが、この場合、2つの光学異性体がラセミ混合物から分離される。選択性が非常に小さい場合、バッチ法は、回収(収率)及び生産性に関して性能が低いが、SMBは高い性能を持ち得る。
【0005】
最適化及び特定の分離問題に合うように、SMB法の各種改良が提案されてきた。例えば、流入ストリーム及び流出ストリームの個々の接続及び切断の瞬間(instant)を変える、すなわち、流入ストリームと流出ストリームを従来のSMBでのように同期して切り替えるのではなく、特定の段階的なスキームに従って切り替えることが提案された(いわゆるVaricolテクニック、例えば、WO−A−2004/039468参照)。
【0006】
Morbidelliらにより、別の変形が提案され(例えば、「擬似移動床ユニットのパワーフィード操作:切り替え間隔中に流量を変える」、Ziyang Zhang、Marco Mazzotti、Massimo Morbidelli、Journal of Chromatography A、1006(2003)87−99、Elsevier B.V.参照)、この場合、各サイクル時間後の個別切り替えによるエクストラクト及びラフィネートの排出物(output)の濃度の時間変化を補償するために、溶離液の流量を切り替え間隔に合わせて補償するように変化させて、純度をより高くすることが可能となる(いわゆる、パワーフィードテクニック)。
【0007】
溶離液の流量ではなく供給物の濃度を補償的に変化させて、同じ目的を達成する、第3の準類似の変形が提案された(いわゆるModiconテクニック、例えばWO2004/014511参照)。
【0008】
既に述べたように、特に大規模なクロマトグラフィーは、面倒で高価な技術である。主に、価値ある分子の大規模な分離に有益である。市場において最も価値のある医薬品分子は、例えばペプチド、プロテイン及び抗体のような生体分子である。これらの分子は、通常、溶媒グラジエントバッチ式クロマトグラフィーを用いて精製される。本明細書においては、成分の混合物を2つの画分に分離することを表す「分離」という用語に対し、本明細書における「精製」とは、少なくともm個の成分の混合物をm個の画分に分離することを表し(mは3以上)、目的とする生成物(product)は、1つ以上の吸着の弱い不純物及び吸着の強い不純物の間で中間的に吸収されるため、少なくとも3つの画分が生じ、生成物成分だけが純粋な形で得られることを表す。
【0009】
1回のSMBサイクルでは、供給物ストリームを2つの画分に分割することしかできないが、精製のためには、中間画分に目的とする成分を含んだ3つの画分が求められる。中間の目的とする生体分子と、吸着の強い不純物と吸着の弱い不純物とを含む多成分混合物を精製するには、2つの段階的又は逐次的SMBが必要とされるが、例えば、第1段階のSMBで第1のラフィネートと第1のエクストラクトが生成され、第2段階のSMBで第1のエクストラクトが第2のラフィネート(目的生成物)と第2のエクストラクトに分離される場合、第1段階で分離されるべきであった(第1のラフィネートで終わるべきであった)すべての不要な成分が、第2のラフィネートで確実に終わることになり、特に目的とする画分の濃度が低い場合、このようなプロセスを無益にするという問題を伴う。
【0010】
上記とは別に、他のモディファイア変動もSMBスキームに適用され、例えば、ここ数年、SMB法は、いわゆる「溶媒グラジエントモード」で操作される(例えば、US 4,031,155参照)。この「溶媒グラジエント」の意味は、SMBが、異なるモディファイアレベルで操作するセクションを含むということである。この種のグラジエントは、「ステップグラジエント」である。しかしながら、生体分子の精製には、(線形)溶媒グラジエントバッチ精製で通常適用されるような、なめらかな線形グラジエントが望まれる。
【0011】
WO2006/116886には、SMBとバッチテクニックを組み合わせて用い、再循環又は「ショートサーキット(short−circuit)」工程を含む改良が開示されている。この文献では、多成分混合物の連続又は準連続精製を、少なくとも1つの溶媒を用いて混合物が供給される個別のクロマトグラフィーカラムによって行う方法が提案されている。多成分混合物は、少なくとも、吸着の弱い不純物Aと、精製されるべき中間生成物Bと、吸着の強い不純物Cとを含み、カラムを少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けし、これらのセクションのうち、第1のセクションαには、少なくとも1つの溶媒入口と、精製された中間生成物B用の少なくとも1つの出口が設けられ、この精製された中間生成物Bは系から洗い出すが、吸着の強い不純物Cはセクションα内に保持する。第2のセクションβには、少なくとも1つの溶媒入口と、第4のセクションδの入口に連結される少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の強い不純物Cで汚染されている中間生成物Bを、前記出口を通して第4のセクションδへと洗い流すが(ショートサーキット)、純粋な吸着の強い不純物Cはセクションβ内に保持する。第3のセクションγには、少なくとも1つの溶媒入口と、吸着の強い不純物C用の出口とが設けられ、吸着の強い不純物Cを、前記出口を通して洗い出して、クロマトグラフィーカラムを洗浄する。第4のセクションδには、第2のセクションβの出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物を送り込むための少なくとも1つの入口と、吸着の弱い不純物A用の少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い不純物Aを系から洗い出すが、中間生成物Bはセクションδ内に保持する。この系では、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、第1のセクションの最後のカラムは、第2のセクションの第1のポジションへと動かされ、第2のセクションの最後のカラムは、第3のセクションの第1のポジションへと動かされ、第3のセクションの最後のカラムは、第4のセクションの第1のポジションへと動かされ、第4のセクションの最後のカラムは、第1のセクションの第1のカラムになるように動かされる。
【0012】
US 5,093,004(EP 0 415 821と同等)は、「言い換えれば、本発明の目的は、擬似向流グラジエントと溶出グラジエントテクニックとを、たった1つの連続操作プロセスに一体化することであり、[・・・]」と明示するように、液相及び固相の擬似向流操作にのみ関係する。この擬似向流操作の核となる特徴は、液体の流れ方向に見られる、後続のカラムが、前のカラム、及び場合によっては外部の溶媒源からのみ流入を受け入れることである。この核になる特徴は、この先行技術(例えば図2)でも強調されている。明細書中で詳しく説明されているように、セクションの外側にある全ての再循環ストリーム(例えば、図2の連結部7)は、純粋な溶媒だけを含む。EP 415 822は、実質的にUS 5,093,004と同じであり、5つのゾーンしか備わっておらず、ここではUS 5,093,004のゾーン1(吸着剤の再生)が省かれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特にWO 2006/116886による方法にさらなる改良を提供することである。具体的には、本発明は、この改良に関する2つの主な態様に関し、つまり、一方において、真の多生成物成分混合物の分離を可能にする、前記方法への主要な修正に関し、WO 2006/116886によるような4つの画分だけに分離できるのではなく(WO 2006/116886は実際のところ、4つの画分、つまりA、B、C及びトレーサーを有する第4の画分を分離できる)、少なくとも5つの画分の分離、原理的には、任意のより大きな整数個の画分の分離まで可能である。従って、4つ(1つの画分に成分が実質的に1つだけの場合)より多い成分を、純粋な形で得ることができる。なお、成分の数は、画分の数と同じか又はそれより大きい。他方において、精製サイクルへの導入の前にカラムを効果的に洗浄することが可能で、及び/又は、この方法が非連続的モードで、つまり2以上の交互のフローシートを用いて実行される場合でさえ、供給物の連続的な流入を可能にする、WO 2006/116886による方法への主要な修正を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、本改良は、WO 2006/116886によるセットアップ(setup)に関し、ここから出発する。このセットアップには、3つの画分A、B、Cの分離のために、以下のような、機能によって定義される複数のセクションがある:
セクションα:精製された中間生成物を系から洗い出すが、吸着の強い不純物Cはこのセクション内に保持する。
セクションβ:吸着の強い不純物で汚染されている中間生成物Bをセクションδに洗い流すが、吸着の強い不純物はこのセクション内に保持する。
セクションγ:吸着の強い不純物を洗い出し、このセクションのクロマトグラフィーカラムを洗浄する。
セクションδ:吸着の弱い不純物を系から洗い出すが、目的とする生成物をこのセクション内に保持する。供給物を精製系に与える。
【0015】
6つのカラムを用いる場合(図2も参照)、これは次のことを意味する:1つのカラム(セクションγ)は、吸着の強い不純物Cを全てカラムから取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションβ)は、中間生成物Bを全てこのカラムから取り出すが、吸着の強い不純物Cはこのカラムに保持する機能を有し、1つのカラム(セクションα)は、確実に、このカラムから、吸着の強い不純物Cは取り出さずに中間生成物Bだけを取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションδの1つ、δg)は、吸着の弱い不純物Aを全てカラムから取り出すが、中間生成物Bはカラムに保持する機能を有し、1つのカラム(セクションδのさらなる1つ、δf)は、供給物Fdをカラムに入れて、第1の吸着の弱い不純物Aをカラムから取り出す機能を有し、1つのカラム(セクションδのさらなる1つ、δr)は、確実に、中間生成物Bをカラムから出さず、カラムからトレーサーを取り除く機能を有する。
【0016】
このような装置は、3つの相互接続したカラムと3つの接続されていないカラムに分割することもできるが、6つのカラムのセットアップと同一である。3つの相互接続したカラムを備えるレーンを「CCL」(向流レーン)と呼び、接続されていないカラムを備えるレーンを「BL」(バッチレーン)と呼ぶ。CCLは、カラムポジション2,4,6(β,δg,δr)からなり、BLは、カラムポジション1,3,5(γ,α,δf)からなる。6カラム系が2つの状態CCL及びBLの間で切り替わると、CCレーンの全てのカラムは「バッチレーン」のカラムとなり、バッチレーンの全てのカラムはCCレーンのカラムになる。バッチレーンの局所的な切り替え時間は、全体の切り替え時間t*と等しい。これにより、全体のプロセスが連続的となる。バッチカラム及び向流カラムは、同じプラント内で、同時に操作される。
【0017】
本明細書に提示する発明は、上に挙げたものに比べて、改良された分離法を提供し、連続又は非連続的に、混合物を4つ以上の画分に分離することができる。この方法は、並列及び/又は連続的に異なるタスクを実行するセクションにグループ分けされたマルチカラムを含む。これらのセクションは、特定の方法で、バルブによって流体的に接続及び切断することができる。
【0018】
本発明は、特に、少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物Fdの連続又は準連続精製法に関し、カラムを通して混合物を少なくとも1つの溶媒を用いて供給し、多成分混合物Fdは、整数n個の画分Fiに分離され、ここでnは少なくとも5である。
【0019】
カラムは、少なくとも6つのセクション、α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δにグループ分けされ、各セクションは、複数のセクションの機能が連続して実行でき、単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含む。そのため、この機能は、同時に実行されるか、又は連続して実行され、連続して行う場合は、単一のカラムが、1つの工程(例えば、CCL)における1セクションの機能と、後の工程(例えば、BL)における他の機能を担ってもよい。
【0020】
少なくとも2つの収集セクションα1,...,αn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口とが設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクションα1,...,αn−3内に保持する。
【0021】
少なくとも2つの再循環セクションβ1,...,βn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口、又は、後続の下流側の再循環セクションがなければ供給セクションδに接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれが、より吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ前記供給セクションδへと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、画分F1,...,Fn−3を介して溶出されるより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3内に保持する。
【0022】
強吸着成分収集セクションγには、少なくとも1つの溶媒の入口と最も吸着の強い成分(画分F1)用の出口とが設けられ、最も吸着の強い成分を含む画分F1を、前記出口を通して洗い流す。
【0023】
供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口と、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも最も吸着の弱い成分(画分Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1、Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分の画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持する。
セクションα1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δの機能は、同期して又は連続して(sequentially)実行することができる。
【0024】
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラムα1,...,αn−3の出口が中間画分F2,...,Fn−3を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラムβ1,...,βn−3の出口が後続の下流側の再循環セクションの対応する入口に、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションに流体的に接続される、少なくとも1つの相互接続された(連続又は準連続モード)ポジションで運転される(run)。
バッチモード及び連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に(sequentially)実行することができる。
【0025】
カラムは、切り替え時間t*内に、溶媒の流れの通常方向に対し逆方向に、ポジションが動かされる。
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、各収集セクションα1,...,αn−3の第1のカラム(溶媒の流れ方向において)は、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3の最後のポジション(溶媒流れ方向において)に動かされ、最も上流側の再循環セクションβ1の第1のカラムは、強吸着成分収集セクションγの最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクションβ2,...,βn−3の第1のカラムは、次の(next)上流側の収集セクションα1,...,αn−4の最後のポジションへと動かされ、強吸着成分収集セクションγの第1のカラムは、供給セクションδの最後のポジションへと動かされ、供給セクションδの第1のカラムは、最も下流側の収集セクションαn−3の最後のカラムとなるように動かされる。
【0026】
セクション(例えば、γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr等)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間t*内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に(sequentially)実行される。このようなグループ分けでない場合には、機能は同時に実行される。
【0027】
この明細書を通して使用される用語を明らかにし、一義的に理解するために、以下に用語の定義を挙げておく:
−多成分混合物: Fd(供給物)と表す。液体キャリア中にm個の成分Kを含む混合物である。多成分混合物は、本発明の精製法では、1供給物としてプロセスに導入され、n個の画分(ここで、mはnより大きいか又は同じ)に分離される。
−画分: クロマトグラフ法において規定の工程で取り出される規定の容量。理想的には、画分は1つの単一成分だけを含むことができるが、実際には、通常、画分には1つより多い成分が含まれる。1画分当たり実質的に単一成分1つだけの場合、n成分の多成分混合物は、それぞれ1つの単一成分だけを実質的に含むn個の画分に分離される。画分には添え字nで番号を付けてあり、本明細書において、最も小さい添え字を持つ画分F1は、最も吸着の強い成分を含む画分を表し、最も大きい添え字を持つ画分Fnは、最も吸着の弱い成分を含む画分を表し、画分F2,...,Fn−1は、吸着が中間的な画分又は中間成分を含む画分を示し、これらが提案する方法の内容において、主要な関心(interest)である。
−吸着の強い成分: 高い保持力を示し、そのため、クロマトグラフ系の固体固定相としっかり又は強く相互作用しクロマトグラフ法の後期で溶出する、多成分混合物中の成分。保持力は分子量に一般的に関連づけられないという事実にもかかわらず、吸着の強い成分は、多くの場合、重い成分とも呼ばれるので、このクロマトグラフの内容における重い成分は、必ずしも高分子量の成分ではない。
−吸着の弱い成分: 低い保持力を示し、そのため、クロマトグラフ系の固相と軽くしか相互作用せずに従来のクロマトグラフ法の初期段階で溶出する、多成分混合物中の成分。保持力が分子量には一般的に関連づけられないという事実にもかかわらず、吸着の弱い成分は、多くの場合、軽い成分とも呼ばれるので、このクロマトグラフの内容における軽い成分は、必ずしも低分子量の成分ではない。
−セクション: クロマトグラフ法の一部分、というよりも一機能(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δと表す)。1セクションの機能は、1つのカラム、又は、連続して又は並行して配置することのできる複数のカラムによって担うことができ、連続配置の場合、カラムは通常少なくとも部分的に相互接続される。「カラム」という言い方に関しては、カラムの代わりに、又はカラムと組み合わせて、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いてもよい。概説したように、1セクションの機能は、全時間中(during the whole time)(同期して)担うことができ、この場合、各セクションに対し少なくとも1つのカラムがあるが、1セクションの機能を連続的に担うこともできるので、工程(例えば、バッチ工程及び連続工程)が交互に起こってもよく、その場合、カラムは異なるセクションの機能を交互に担う。例えば、2つの異なるタイムスパン(CCL及びBL)で、カラムが異なる機能を持つ場合、2つの工程において各カラムが異なる機能を実行するので、セクションの数の半分のカラムがあればよい。しかしながら、1つのカラムが異なる機能を実行する工程が2より多い場合には、カラムをさらに少なくすることもできる。セクション(又はサブセクション)の内容において、1つのセクション内に相互接続されたカラムの列がある場合、カラムの「第1の」ポジションとあれば、これは、移動相流のことを意味するので、セクションの第1カラムとは、セクションの最も上流側のカラムのことであり、最後のカラムとは最も下流側のカラムのことである。
−サブセクション: セクションの一部、というよりもサブ機能である(例えば、δのサブセクションは、δg;δf,δrと表す)。サブセクションの機能は、1つのカラム、又は、連続して又は並行して配置することのできる複数のカラムによって担うことができ、連続配置の場合、カラムは通常相互接続される。サブセクションの機能は、全時間中(同期して)担うことができ、この場合、各サブセクションに対し少なくとも1つのカラムが存在する。しかしながら、サブセクションの機能を連続的に担うこともできるので、工程(例えば、バッチ工程及び連続工程)が交互に起こってもよく、その場合、カラムは異なるサブセクションの機能を交互に担う。
−準連続溶出: 準連続溶出とは、カラムの少なくとも2つが相互接続されるものの、バッチモードで操作されるカラムもある工程のことをいう。これは、例えば、図8の5bで表されるカラムによって示される。つまり、準連続モードポジションとは、少なくとも1つのセクションの出口が、少なくとも1つの他のセクションの入口と流体的に接続されているポジションのことである。
−移動相(しばしば、溶媒又は液体と呼ばれる):移動相(溶離液)としては、液体、気体、又は超臨界流体、及びこれらの混合物を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクション内、及びセクションのカラム内で、異なっていても、同じであってもよい。特に、グラジエントを行うことができる。
【0028】
上記を考慮すれば、セクションの機能の全てが、少なくとも1つのカラムによって常に(at any time)担われるセットアップが選ばれた場合、6個のカラムを有することが必要となる(2×α,2×β,γ,δg,δf,δr)ことに注意する。これに対して、セクションデルタに、3つではなく1つのカラムだけを要する図3を参照する。上述のように、これらの機能は連続的に実行することもできるので、その場合カラムの最小個数は4となる(α→β;α→β;δ→δ;γ→δ;ここで矢印は、BLからCCLへの切り替え時、同じカラムによって担われる機能を示す)。これに対して、セクションデルタに対し、3つではなく2つのカラムだけを要する図12を参照する。
【0029】
これを、上記の先行技術US5,093,004、むしろ、その核となる特徴の1つと比べると、本願はいわゆるショートサーキット(short−circuitting)であり、つまり、カラムを離れる流れは、必ずしも下流側の次のセクションへと送り込まれず、1つ先のカラムへと供給される(例えば図3参照)。液相及び固相の従来の擬似向流操作と、「ショートサーキット」操作との違いについての詳しい考察は、WO2006/116886に見つけることができる。
【0030】
US5,093,004と本願とのさらなる違いは、2,3例を挙げると:
−本発明は、供給混合物を少なくとも5つの画分に分離することに関するが(クレーム1を参照)、US5,093,004は、3つの画分への分離しか考えていない(クレーム1)。
−US5,093,004は、本願にクレームしたような、セクションα(溶媒入口と系を完全に離れる中間画分用の出口のみ)、セクションδf(供給物の入口と系を完全に離れる1つの画分用の出口のみ)、及びセクションγ(溶媒入口と系を完全に離れる最後の溶出画分用の出口のみ)のいずれをも含まない。
【0031】
第1の好ましい実施形態によると、少なくとも2つのカラムを含む、少なくとも2つのサブ機能を持つ供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口、及び、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つ又は2つの入口と、最も吸着の弱い成分(画分Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とを設けることができ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fn中へと洗い出すが、画分F2,...,Fn−2(及びF1)のためのより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持する。セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr等)の機能及びサブ機能は連続的に実施され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは連続的に実現可能である。準連続溶出の工程では、この場合、再循環セクションのカラムが、供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口は、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続されるが、供給セクションの第2の中間カラムδfbは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いてバッチモードで運転される。バッチ溶出の工程では、吸着の強い成分収集γと、収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1のカラムδfa及び第3のδfcカラムが、バッチモードで運転され、少なくとも、供給セクションの第1のδfaカラムは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いて運転される。これらのセクション又はサブセクションのそれぞれに対し、1つ又は複数のカラムを使用できる。
【0032】
さらなる好ましい実施形態によると、セクションの一対の連続的機能が1つのカラム内で連結されており、その際、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、供給セクションは3つのサブセクションを含み、全系において、4つのカラム(又はカラムのスタック又は列)だけが提供され、これら4つのカラムが、1切り替え時間の第1の部分(Fraction)内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)で連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内には、多成分混合物(Fd)の個々の画分F1,...,Fn−1を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される。これは、例えば、図7に示すようなプロセスであり、以下でさらにより詳細に説明する。
【0033】
さらなる好ましい実施形態によると、セクションの一対の連続的機能は1つのカラム内で連結されており、その際、1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、供給セクションは少なくとも5つのサブセクションを含み、全系において、5つのカラム(又はカラムのスタック又は列)だけが設けられ、これらのうち4つは、1切り替え時間の第1の部分内に、CCL工程(準連続溶出の)で連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物(Fd)の個々の画分F1,...,Fn−1を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される。これは、例えば、図12に示すようなプロセスであり、これは、供給セクションにおいて、5bで示した第5のカラムは、CCL工程(供給セクションには、準連続溶出中にバッチモードで運転される1つのカラムが設けられる)中にバッチモードで運転されるという事実により、連続的及び実質的に途切れない供給を可能にする。
【0034】
さらに別の好ましい実施形態によると、セクションγ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δrの機能及びサブ機能は連続的に実行され、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、その際、連続又は準連続溶出の工程では、再循環セクションのカラムが、次の下流側の再循環セクションに流体的に接続されるか、又は、供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムfgの出口は、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、バッチ溶出の工程では、強吸着成分収集γと収集セクションαのカラムと、供給セクションのカラムδfがバッチモードで運転され、供給セクションのカラムδfは、多成分混合物Fdを送り込むための入口を用いて運転され、好ましくは、2つの収集セクションと2つの再循環セクションがあって、この方法が4つのカラムを用いて実現されるか、又は3つの収集セクションと3つの再循環セクションがあって、この方法が6つのカラムを用いて実現される。
【0035】
全く独立に、本発明はさらに、少なくとも1つの溶媒を用いて混合物が送り入れられる少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによって、多成分混合物Fdを連続的又は準連続的に精製するための方法に関し、多成分混合物Fdは、整数n個の画分Fnに分離され、ここでnは少なくとも6である。連続供給、及び、精製プロセス導入前にカラムを最も効率的に洗浄することを可能にするこの方法は、上記多成分精製方法とは独立したものであり、この発明は、単独でも(taken alone)、技術水準の点から新規で独創性がある。
【0036】
具体的には、この方法では、カラムは少なくとも4つのセクションα、β、γ、δにグループ分けされ、少なくとも1つの収集セクションα1,...,αn−3には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間画分F2,...,Fn−2を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクションα1,...,αn−3内に保持し、少なくとも1つの再循環セクションβ1,...,βn−3には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクションδへと接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分F1,...,Fn−3を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分F2,...,Fn−2内に溶出される中間吸着成分それぞれを、後続の下流側の再循環セクションか、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションδへ、前記出口を通して洗い流すが、画分F1,...,Fn−3内に溶出される(純粋な)より吸着の強い成分それぞれを、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3内に保持し、強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒の入口と、最も吸着の強い成分(画分F1)用の出口が設けられ、画分F1を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、少なくとも2つのカラムを含む供給セクションδには、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、多成分混合物Fdを送り込むための少なくとも1つ又は2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い画分Fn−1、Fn用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1、Fn内に洗い流すが、画分F2、...、Fn−2(並びにF1)用のより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、その際、セクションγ、β;α、δg;δfa、δfb;δfc、δrの機能及びサブ機能は、連続的に実行される。カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラムα1,...,αn−3の出口が、中間画分F2,...,Fn−3を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、並びに、少なくとも1つの再循環セクションカラムβ1,...,βn−3の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、あるいは後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は、前記供給セクションへ流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、その際、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現される。
【0037】
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、カラムのポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされる。
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、収集セクションα1,...,αn−3の第1のカラムは、対応する再循環セクションβ1,...,βn−3の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクションβ1の第1のカラムは、強吸着成分収集セクションγの第1のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクションβ2,...,βn−3の第1のカラムが、次の上流側の収集セクションα1,...,αn−4の最後のポジションへ動かされ、強吸着成分収集セクションγの第1のカラムが、供給セクションδの最後のポジションへ動かされ、供給セクションδの第1のカラムが最も下流側の収集セクションαn−3の最後のカラムになるように動かされる。
【0038】
γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δrのグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間t*中に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、この場合(in that)、連続又は準連続溶出の工程では、再循環セクションのカラムが供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口が、供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、一方、供給セクションの第2の中間カラムδfbは、多成分混合物Fdを送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで稼動され、バッチ溶出の工程では、吸着の強い成分収集γと、収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1のカラムδfa及び第3のカラムδfcがバッチモードで運転され、供給セクションδfa、δfb、δfcの少なくとも1つのカラムが、多成分混合物Fdを送り込むためのその入口を用いて運転される。
【0039】
この内容においては、カラムを4つだけ使用する方法が特に有利である。この態様の好ましい実施形態によると、セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は連続的に実行され(図8も参照)、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、この場合(in that)、準連続溶出の工程では、1つの再循環セクションのカラムが供給セクションの第1のカラムδgの入口に流体的に接続され、供給セクションの第1のカラムδgの出口が供給セクションの最後のカラムδrの入口に流体的に接続され、一方、同時に、供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口と、画分(F4)の収集用の出口とを用いて、バッチモードで運転され、バッチ溶出の工程では、強吸着成分収集γと収集セクションαのカラム、及び供給セクションの第1及び第3の中間カラム(δfa,δfc)が、多成分混合物Fdを送り込むためのそれらの入口の少なくとも1つを用いて、バッチモードで運転される。この内容において、再循環セクションが2つのこともあり得、その場合は、カラムは全部で5個となる。
【0040】
次に示す好ましい実施形態は、上述の方法の両方に関するものであり、つまり、多成分精製法並びに連続供給を可能にする方法に関する。
【0041】
好ましい実施形態によると、セクションの少なくとも1つへ送り込まれる溶媒は、切り替え時間(t*)中、ほぼ連続的に組成が変えられ、及び/又は超臨界溶媒の場合には、切り替え時間(t*)中に、セクションの少なくとも1つに送り込まれる超臨界溶媒の密度が、ほぼ連続的に変えられる。
【0042】
さらに好ましい実施形態によると、少なくとも1つ又は好ましくは全てのセクションへ送り込まれる溶媒は、切り替え時間(t*)中、モディファイア濃度を増減させて、ほぼ連続的に組成が変えられ、及び/又は、超臨界溶媒の場合は、切り替え時間(t*)中、密度を増減させて、ほぼ連続的に密度が変えられ、最も下流側のセクション(δ)から最も上流側のセクション(α)への一連のカラムに沿って、カラムが動いた後、各カラム内のモディファイア濃度(Cmod)/密度が、実質的に、カラムの新しいポジションでのベースのモディファイア濃度/超臨界溶媒の密度となり、次の切り替え時間(t*)中に、各カラム内のモディファイア濃度/密度が、カラムのさらなる移動後に次のポジションのベースの濃度/密度へと増加または減少されるように、モディファイア濃度(Cmod)/密度を増加又は減少させる。
【0043】
各溶媒入口にて、個々の一定のベースのモディファイア濃度(Cmod,c)を持つ溶媒を供給することができ、その際、流量及び/又は組成が変化する、好ましくはモディファイア濃度(Cmod,V)が変化する溶媒流れを、複数の入口に供給し、個々の一定のベースのモディファイア濃度(Cmod,c)を有する溶媒と混合して、系に沿ってグラジエントを構築する。
【0044】
セクションの全て又はいくつかに送り込まれる溶媒は、組成及び/又は密度を、切り替え時間(t*)中、線形又は準線形又は非線形に、ほぼ連続的に変えることができ、その際、好ましくは、モディファイア濃度が、そのように変えられる。
【0045】
供給セクションは、3つのサブセクションにグループ分けされる少なくとも3つのカラム、又は、3つのサブセクションの機能を連続して提供するより少ないカラムを含むことができ、その際、第1のサブセクションδfが、好ましくは、系の全流量より低い流量で多成分混合物を送り込むための少なくとも1つの入口と、画分Fn−1用の少なくとも1つの出口とを含み、第2のサブセクションδgが、最も下流側の再循環セクションβn−3の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、第3のサブセクションδrの少なくとも1つの入口に接続される少なくとも1つの出口とを含む。
第3のサブセクションδrは、第2のサブセクションδgの排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、画分Fn用の少なくとも1つの出口とを含んでもよい。
【0046】
切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、第1のサブセクション(δf)の第1のカラムは、第2のサブセクション(δg)の最後のポジションへと動かされ、第2のサブセクション(δg)の第1のカラムは、収集セクションの最後のポジションへと動かされ、吸着の強い成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、第3のサブセクション(δr)の最後のポジションへと動かされ、第3のサブセクション(δr)の第1のカラムは第1のサブセクション(δf)のカラムとなるように動かされ、セクションの機能を、同期して又は連続的に実行することができる。
【0047】
セクションの一対の連続的機能は、1つのカラム内で連結することができ、1切り替え時間内に、連続的又は準連続的溶出の工程と、バッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実施しながら、交互に起こる。
【0048】
供給セクションは、3つのサブセクションを含むことができ、全系において、4つのカラムを供給することができ、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)にて連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内に、多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すために、バッチ工程(BL)にて駆動される。
【0049】
上記のような全てのセクションのように、この特定の場合における第1のサブセクションには、少なくとも2つの並行なカラムを含むことができ、及び/又は、第2の及び/又は第3のサブセクションは、少なくとも2つの向流の並行な又は連続するカラムを含むことができる。
【0050】
供給は、1切り替え時間(t*)内で、連続的、パルス状、又は成形された濃度/密度プロフィールを有するものであってよく、及び/又は、溶媒の流れを、1切り替え時間(t*)内に変えてもよく、及び/又は、個々の入口/出口の切り替えが、1切り替え時間(t*)内で段階的であってもよい。
個々のカラム内の流量は同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
さらに、本発明は、上に定義した方法のいずれかを実行するための装置に関する。この装置の仕様は、対応するクレームに定義する。通常、このような装置は、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態(topology)を含む。
【0052】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、6つのカラムを使用する連続精製法のフローシートである。
【図2】図2は、向流レーン及びバッチレーンを有する非連続的な6カラムユニットを示し、a)はシーケンシャル図であり、b)は、バッチレーン(BL)と向流レーン(CCL)を個別の工程として示した図である。
【図3】図3は、連続多画分分離法の図である。
【図4】図4は、連続多画分分離法の一般的なフローシートである。
【図5】図5は、連続5画分分離法のフローシートである。
【図6】図6は、連続6画分分離法のフローシートである。
【図7】図7は、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を有する非連続的多画分分離法の図である。
【図8】図8は、連続供給を有する非連続的4カラム法の図である。
【図9】図9は、連続供給を有する連続4カラム法のフローシートである。
【図10】図10は、洗浄セクション/連続供給を有する連続多画分分離法の略図である。
【図11】図11は、洗浄セクション/連続供給を有する連続多画分分離法のフローシートである。
【図12】図12は、洗浄セクション及び連続供給を有する、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を備えた非連続的多画分分離法の図である。
【図13】図13は、洗浄セクション及び連続供給を有する、相互接続された向流レーン(CCL)とバッチレーン(BL)を備えた非連続的多画分分離法のフローシートである。
【図14】図14は、切り替え時間の最後で、且つカラムが切り替えられる前の、カラム内の成分の内部液相濃度プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に説明するが、これらの図は、本発明の好ましい実施形態を示すためのものであって、本発明を制限するためのものではない。
【0055】
図2a)には、従来技術、特にWO2006/116886で定義されるような6カラムのセットアップが示されており、単一のカラムのそれぞれによって具体化されたセクションが図に表示されている。図2によるセットアップの全体的な形状(topography)を、図1に挙げる。
【0056】
セクションは特定の役割を持ち、それらは以下のとおりである:
−セクションα:精製された中間生成物を系から洗い出すが、吸着の強い不純物はセクション内に保持する。
−セクションβ:吸着の強い不純物で汚染されている中間生成物をセクションδへと洗い流すが、吸着の強い不純物はセクション内に保持する。
−セクションγ:吸着の強い不純物を洗い出し、セクションのクロマトグラフィーカラムを洗浄する。定置洗浄(CIP)。
−セクションδ:吸着の弱い不純物を系から洗い出すが、目的とする生成物はセクション内に保持する。供給物を精製系に送り込む。
【0057】
具体的に言えば、図2の場合、以下の作業が、番号付けしたカラムによって実行される:
1.吸着の強い不純物Cを全て、カラムから取り出す。
2.中間生成物Bの全てをこのカラムから取り出すが、吸着の強い不純物Cはこのカラム内に保持する。
3.吸着の強い不純物Cをこのカラムから決して取り出さないが、中間生成物Bだけを取り出す。
4.吸着の弱い不純物Aを全てカラムから取り出すが、中間生成物Bはカラム内に保持する。
5.供給物Fdをカラムに入れ、第1の吸着の弱い不純物Aをカラムから取り出す。
6.中間生成物Bをカラムから決して出さず、トレーサーをカラムから取り除く。
【0058】
図2b)では、6カラムのセットアップが、3つの相互接続したカラムと、3つの接続されていないカラムとに分割されているが、図2a)に示した6カラムのセットアップと同一である。3つの相互接続したカラムを備えるレーンを「CCL」(向流レーン)と呼び、接続されていないカラムを備えたものを「BL」(バッチレーン)と呼ぶ。
【0059】
CCLは、カラムポジション2,4,6(β,δg,δr)からなり、バッチレーンはカラムポジション1,3,5(γ,α,δf)からなる。6カラム系が2つの状態CCLとBLの間で切り替わるとき、CCレーンの全てのカラムが「バッチレーン」のカラムとなり、バッチレーンの全てのカラムがCCレーンのカラムとなるのは明らかである。両レーンの局所的な切り替え時間は、全体の切り替え時間t*に等しい。これにより全体のプロセスが連続となる。バッチカラムと向流カラムは、同じプラントで同時に操作される。
【0060】
本明細書に表した発明は、図1及び2に示すものに比べて改良された分離法を提供し、混合物を連続又は非連続的に4以上の画分へと分離できる。この方法には、並行して及び/又は連続的に異なる作業を実行するセクションにグループ分けされたマルチカラムを含む。セクションは、特定の方法で、バルブによって液体的に接続及び切断することができる。
【0061】
一般に、図3及び4の場合、nは整数であり、画分の数を表す。nは5以上である。iは添え字であり、5に始まり角括弧内に与えられるユニットの繰り返しに伴って増える。mは成分Kの数で、n以上である。Fは画分を表す。図5の場合、nは5に等しくなるように選ばれ、ゆえにiは5に等しく、図6の場合、nは6に等しくなるように選ばれ、その結果、iは5及び6の値をとる。図10の場合、nは6以上となるように選ばれ、添え字iは5に始まり、図11に対しても同様である。図12の場合、nは7以上であり、図13に対しても同様である。
【0062】
カラムは、セクションγ、α、β及びδにグループ分けされる。セクションα、βは、プロセスの一対の中間セクションを表し、プロセスが供給混合物をより多くの画分に分離することができるように繰り返すことができる。セクション対(α,β)の繰り返しにより、セクションαは、次の繰り返し対(α,β)のセクションαに接続される。最後の繰り返し対(α,β)のセクションαは、セクションδに接続される。プロセス内の対(α,β)の数は、第1の対(α,β)によって与えられ、少なくとも1つの以上の繰り返し対(α,β)である。
各対(α,β)は、セクションからの成分の溶出順に基づき、サブ画分化する(sub−fractionated)ことのできる1つの画分を生成する。
【0063】
セクションγは、1つの流体入口を含み、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる1つの画分を生成する。
【0064】
セクションδは、溶出順序に基づいてサブ画分化することのできる少なくとも2つの画分を生成し、少なくとも1つの流体入口を含む。セクションδでは、保持挙動の異なる少なくとも4つの異なる成分からなる供給混合物が加えられる。セクションδは、前記供給混合物が与えられるカラムと、流体的に接続される2つのカラムの少なくとも1つを含む。
【0065】
流体的に相互接続されるセクションα及びδの目的は、成分のさらなる精製と高い収率のために、部分的に精製された成分を内部再循環することである。
【0066】
所定の切り替え時間後又は切り替え時間内に、プロセスのカラムは、δ,β,α,γの順で、流体流れに反対の方向に切り替えられ、これが固定相と移動相の擬似向流移動につながる。内部再循環と組み合わせると、これは、生成画分の純度を高めることにつながる。
【0067】
セクションγ及びβの目的は、生成物及び/又は不純物画分の溶出である。
【0068】
図3に示すプロセスの連続的な実施形態では、セクションγ,α,β及びδの作業は並行して行われ、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、カラムが、δ,β,α,γ,δ・・・の順番で進む。カラムの動きを、図4に、この実施形態を示すフローシートに示す。1つの繰り返し対(α,β)を有する、5画分分離(n=5)のためのこの実施形態の例を、図5のフローシートに示す。2つの繰り返し対(α,β)を有する、6画分分離(n=6)のためのこの実施形態の例を、図6のフローシートに示す。
【0069】
図7に示すプロセスの非連続的な実施形態では、セクションαとδの作業は、セクションが流体的に切断された状態で、並行して実施される。切り替え時間後又は切り替え時間内に、セクションαのカラムはセクションγの方向に切り替えられ、先の繰り返し対(α,β)のセクションβの作業を行う。セクションβ1の第1のカラムは、セクションγの最後のカラムのポジションに切り替えられる。同時に、セクションδの第1のカラムは、最後の繰り返し対(α,β)のセクションαの最後のカラムのポジションに切り替えられる。セクションδ内では、サブセクション6から5、5から4の順にカラムが切り替わる。
【0070】
ここに表す発明は、また、混合物を不連続的に4つの画分に分離できる改良された精製法を提供し、これによって、混合物を含む供給物が、連続的に投入される。このプロセスは、並行して又は連続的に異なる作業を実行するセクションにグループ分けされる4つのカラムを含む。セクションは、図8に概略する特定の方法で、バルブによって流体的に接続及び切断することができる。
【0071】
カラムは、セクションγ、α、β及びδにグループ分けされる。
セクションγは、1つの流体入口を含み、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる1つの画分を生成する。
セクションδは、溶出順序に基づきサブ画分化することのできる少なくとも2つの画分を生成し、少なくとも1つの流体入口を含む。セクションδでは、保持挙動の異なる少なくも4つの異なる成分からなる供給混合物が投入される。セクションδは、前記供給混合物が与えられるカラムと、流体的に接続される2つのカラムの少なくとも1つを含む。
【0072】
流体的に接続されたセクションα及びδの目的は、成分のさらなる精製と高い収率のために、部分的に精製された成分を内部再循環することである。
【0073】
所定の切り替え時間後又は切り替え時間内に、プロセスのカラムは、δ、β、α、γの順で、流体流れに反対の方向に切り替えられ、これが固定相と移動相の擬似向流移動につながる。内部再循環と組み合わせると、これは、生成画分の純度を高めることにつながる。
【0074】
セクションγ及びβの目的は、生成物及び/又は不純物画分の溶出である。γ及びβから得られた画分は、セクションからの成分の溶出順序に基づきサブ画分化することができる。
【0075】
図8に示すプロセスの実施形態では、セクションγ、α、β及びδの作業は連続的に行われ、切り替え時間の後又は切り替え時間内に、カラムが、δ、β、α、γ、δ・・・の順番で進む。カラムの動きを、図9に、フローシートで示す。
【0076】
セクションα、γ、βのそれぞれは、1サイクルδ、β、α、γの間に、少なくとも1つのカラムによって通過される。セクションδは、各所定の時点で、少なくとも2つのカラムを含む。
【0077】
カラムの代わりに、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いることもできる。
【0078】
移動相としては、液体又は超臨界流体を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクションにおいて及びセクションのカラム内で同じであっても変えることもできる。特に、グラジエントを行うことができる。
【0079】
もちろん、このコンセプトを、上に定義したような多成分分離法と連結できるし、その逆も可能である。
【0080】
図10に示す連続的な実施形態では、セクションδのサブセクションのカラムが、6−5b−5a−4の順で切り替わる。この実施形態は、洗浄又は付加的な供給を目的として、少なくとも1つのカラムを含むセクション5bを加えた改良したセクションδを備えたプロセスを示す。洗浄又は供給のための第1のセクションを5aと表示する。対応するフローシートを図11に示す。
【0081】
図12に示す非連続的な実施形態では、セクションδのサブセクションのカラムが6−5c−5b−5a−4の順で切り替わる。洗浄又は供給のための3つのセクションは、5a、5b、5cと表示する。
【0082】
セクションα、γ、βのそれぞれは、少なくとも1つのカラムを含む。セクションδは、図3、図5、図6及び図7に示すプロセスの場合、少なくとも2つのカラムを含み、図12及び図13に示すプロセスの場合は3カラム、図10および図11に示すプロセスの場合は4カラム含む。
【0083】
カラムの代わりに、膜吸収体又は吸着原理を使用する他の固相を用いることもできる。
【0084】
移動相としては、液体又は超臨界流体を使用することができる。カラム中の溶離液組成は、プロセスの2以上のセクションにおいて及びセクションのカラム内で同じであっても変えることもできる。特に、グラジエントを行うことができる。
【実施例】
【0085】
以下、5つの画分への分離のための例を、図5に示すフローシートを用いて表す。
【0086】
このシミュレーションは多成分の競合ラングミュア等温式(competitive Langmuir isotherm)を用いる集中型キネティックモデル(lumped−kinetic model)に基づく。ヘンリー係数Hを、モディファイア(成分1)濃度のべき関数H=a*cMbと仮定し、パラメータa及びb、並びに等温飽和度を、表T1に挙げる。
【0087】
【表1】
【0088】
さらなるシミュレーションパラメータを、表T2にまとめる。
【表2】
【0089】
図3に示すフローシートの構成の操作条件を表T3に表す。1切り替え中、各供給ポンプによって、線形グラジエントが、開始モディファイア濃度と最終モディファイア濃度の間で操作されることに注目する。成分2〜6は、セクションδfでのみ系に送り込まれる。
【0090】
【表3】
【0091】
この実施例においては、操作条件が完全には最適化されていないことに注意しなければならない。
図14には、6つのカラムc1−c6の内部の、上の表の定義に従って、成分co1−co6の内部液相濃度プロフィールを計算したものを、切り替え時間の最後の最後と、カラムを切り替える直前にて示す(切り替え数:49、切り替えパーセント:100%)。この時点で、成分2は、セクションδrを介してほぼ完全に系を去った。カラムの名称と、図3に使用した名称は一致しており、セクション1〜4(sct1〜sct4)も同様である。
【0092】
得られたカラム排出物純度を、全濃度の合計で割った各成分の濃度として計算し、1切り替えにわたって平均したものを、表T4に示す。
【表4】
【0093】
上の実施例において、成分3(co3)は、δfから非吸着成分2(co2)とともに溶出されるため、特に高い純度で得られないことがわかる。しかしながら、供給濃度をより高くすれば、供給流量を減らすことが可能となって、非吸着不純物がδfからは溶出せずδrからのみ溶出する。このような場合、成分3(co3)も、高純度で得ることができた。
【符号の説明】
【0094】
BL バッチレーン
CCL 向流レーン
α 精製プロセスの収集セクション
β 精製プロセスの再循環セクション
γ 精製プロセスの吸着の強い成分収集セクション
δ 精製プロセスの供給セクション
A,B,C 画分
A 吸着の弱い成分を含む画分
B 吸着が中間的な成分を含む画分、通常目的とする生成物
C 吸着が強い成分を含む画分
s 溶媒
Fd 全ての成分を混合物として含む供給物
tr トレーサー
Sct セクション
Fi 画分i
Ki Fの混合物中の成分i
W 洗浄
n 画分の数
i 添え字
m F内の成分の数
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物(Fd)の連続又は準連続精製法であって、前記混合物は少なくとも1つの溶媒を用いて前記カラムを通して供給され、前記多成分混合物(Fd)が整数n個の画分(Fi)に分離され、nは少なくとも5であり、
前記カラムは、少なくとも6個のセクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)にグループ分けされ、各セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)は、複数のセクションの機能が連続的に実行でき、単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含む方法において、
少なくとも2つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口(S)と、少なくとも1つの、画分(F2,...,Fn−2)に溶出される中間吸着成分用の出口とが設けられ、それぞれ、各中間画分(F2,...,Fn−2)を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも2つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口(S)と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ供給セクション(δ)に接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ前記供給セクション(δ)へと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、溶出されるより吸着の強い成分(F1,...,Fn−3)それぞれを、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、画分F1に溶出される最も吸着の強い成分用の出口とが設けられ、画分(F1)を前記出口を通して洗い流し、
前記供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口の排出物(output)を受けるための少なくとも1つの入口と、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い画分(Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持し、
前記セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)の機能は、同期して又は連続して(sequentially)実行され、
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が後続の下流側の再循環セクションの対応する入口に、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションに流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され(run)、
前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に(sequentially)実現され、
前記カラムは、切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、溶媒の流れの通常方向に対して逆方向に、それらのポジションが動かされ、
切り替え時間(t*)の後又は切り替え時間内に、各収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションに動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムは、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへと動かされ、強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、供給セクション(δ)の最後のポジションへと動かされ、供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムとなるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;,...;αn−3,δg;δf,δr)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能及び/又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら、連続して(sequentially)実行される方法。
【請求項2】
少なくとも2つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fn中へと洗い出すが、画分(F2,...,Fn−2)を介して溶出されるより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は連続的に実行され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは連続的に実現され、
前記準連続溶出の工程では、再循環セクション(βn−3)の少なくとも1つのカラムが、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口は、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続されるが、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための入口を用いてバッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δfa)及び第3のカラム(δfc)が、バッチモードで運転され、前記供給セクション(δfa,δfb,δfc)の入口の少なくとも1つは、前記多成分混合物(Fd)を供給するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セクションの一対の連続的機能は1つのカラム内で連結され、
1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、
前記供給セクションは3つのサブセクション(δg,δf,δr)を含み、
全系において、4つのカラムが提供され、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分(fraction)内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)で、連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内には、前記多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr)の機能及びサブ機能が、連続的に実行され、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
前記連続的又は準連続溶出の工程では、前記再循環セクションのカラムが、次の下流側の再循環セクションに流体的に接続されるか、又は、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(fg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)、及び前記収集セクション(α)のカラムと、前記供給セクションのカラム(δf)がバッチモードで運転され、前記供給セクションのカラム(δf)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて運転され、
好ましくは、2つの収集セクションと2つの再循環セクションがあって、この方法が4つのカラムを用いて実現されるか、又は3つの収集セクションと3つの再循環セクションがあって、この方法が6つのカラムを用いて実現される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物(Fd)の連続又は準連続精製法であって、前記混合物は少なくとも1つの溶媒を用いて前記カラムを通して供給され、前記多成分混合物(Fd)は整数n個の画分(Fn)に分離され、ここでnは少なくとも6であり、
前記カラムは、少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けされ、このうち、少なくとも1つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分を前記セクションα1,...,αn−3内に保持し、
少なくとも1つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口か、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分(F2,...,Fn−2)に溶出される各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクションか、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へ、前記出口を通して洗い流すが、画分(F1,...,Fn−3)に溶出されるより吸着の強い成分それぞれを、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、最も吸着の強い成分画分(F1)用の出口が設けられ、この画分(F1)を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、
少なくとも3つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を供給するための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分(Fn−1,Fn)へと洗い出すが、画分(F2,...,Fn−2)用のより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は、連続的に実行され、
カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が、中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、及び、少なくとも1つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションへと接続される少なくとも1つの準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
切り替え時間(t*)の後又は切り替え時間内に、前記カラムはポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムが、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへ動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへ動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムになるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δr)のグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、
その場合、前記準連続溶出の工程では、再循環セクションの少なくとも1つのカラムが前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δg)及び第3のカラム(δr)がバッチモードで運転され、前記供給セクション(δfa,δfb,δfc)の入口の少なくとも1つは、前記多成分混合物(Fd)を供給するために用いられる方法。
【請求項6】
前記セクションの少なくとも1つへ送り込まれる溶媒は、前記切り替え時間(t*)中、ほぼ連続的に組成が変化し、及び/又は、超臨界溶媒の場合には、前記切り替え時間(t*)中に、前記セクションの少なくとも1つに送り込まれる超臨界溶媒の密度が、ほぼ連続的に変化する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つ又は好ましくは全ての前記セクションへ送り込まれる溶媒は、前記切り替え時間(t*)中、モディファイア濃度の増減に伴い、ほぼ連続的に組成が変化し、及び/又は、超臨界溶媒の場合は、前記切り替え時間(t*)中、密度の増減に伴い、ほぼ連続的に密度が変化し、
最も下流側のセクション(δ)から最も上流側のセクション(α)への一連のカラムに沿って、前記カラムの移動後、各カラム内のモディファイア濃度(Cmod)/密度が、実質的に、カラムの新しいポジションでのベースのモディファイア濃度/超臨界溶媒の密度であり、次の切り替え時間(t*)中に、各カラム内のモディファイア濃度/密度が、カラムのさらなる移動後、次のポジションのベースのモディファイア濃度/密度へと増加または減少されるように、モディファイア濃度(Cmod)/密度が増加又は減少する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記供給セクションが、3つのサブセクション(δg;δf;δr)にグループ分けされる少なくとも3つのカラムを含み、又は、これらのサブセクションの機能を連続して提供するより少ないカラムを含み、
第1のサブセクション(δf)が、好ましくは、系の全流量より低い流量で前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、画分(Fn−1)用の少なくとも1つの出口とを含み、
第2のサブセクション(δg)が、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、第3のサブセクション(δr)の少なくとも1つの入口に接続される少なくとも1つの出口とを含み、
第3のサブセクション(δr)が、前記第2のサブセクション(δg)の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、画分(Fn)用の少なくとも1つの出口とを含み、
切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、前記第1のサブセクション(δf)の第1のカラムは、前記第2のサブセクション(δg)の最後のポジションへと動かされ、前記第2のサブセクション(δg)の第1のカラムは、前記収集セクションの最後のポジションへと動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記第3のサブセクション(δr)の最後のポジションへと動かされ、前記第3のサブセクション(δr)の第1のカラムは前記第1のサブセクション(δf)のカラムとなるように動かされ、
前記セクションの機能が、同期して又は連続して実行される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記セクションの対となる連続的機能は、1つのカラム内で連結され、1切り替え時間内に、連続的又は準連続的溶出の工程と、バッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実施しながら交互に起こる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記供給セクションは、請求項8に記載の3つのサブセクションを含み、全系において4つのカラムが供給され、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分内に、連続又は準連続溶出の工程(CCL)にて連続的に接続され、前記切り替え時間の第2の部分内に、前記多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すために、バッチ工程(BL)にて駆動される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記供給は、1切り替え時間(t*)内で、連続的、パルス状、又は成形された濃度/密度プロフィールを有するものであり、及び/又は、溶媒の流れが、1切り替え時間(t*)内に変えられ、及び/又は、個々の入口/出口の切り替えが、1切り替え時間(t*)内で段階的である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
個々のカラム内の流量が異なる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも4つの、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態(topology)が提供され、このカラムを通して、混合物を少なくとも1つの溶媒を用いて供給し、多成分混合物(Fd)を整数n個の画分(Fi)に分離することができ、ここでnは少なくとも5であり、
前記カラムは、少なくとも6個のセクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)にグループ分けされ、各セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)は、セクションの機能が連続的に実行でき、その結果単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含み、
少なくとも2つの収集セクション(α,...,αn−3)にはそれぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、画分(F2,...,Fn−2)に溶出される中間吸着成分用の少なくとも1つの出口とが設けられ、それぞれ、各中間画分(F2,...,Fn−2)を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも2つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口に、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれ、F1,...,Fn−3に溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、F1,...,Fn−3を介して溶出される純粋なより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクションγには、少なくとも1つの溶媒入口と、画分(F1)に溶出される最も吸着の強い成分用の出口とが設けられ、画分(F1)を前記出口を通して洗い出し、
前記供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口と、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分(Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持し、
前記セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)の機能は、同期して又は連続して実行され、
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口を後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションへ流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に実現され、
前記カラムは、切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、通常の溶媒の流れ方向に対して逆方向に、それらのポジションが動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、各収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムが、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションに動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムは、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへと動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへと動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムとなるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能及び/又はサブ機能は、1切り替え時間t*内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続して実行される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
【請求項14】
少なくとも4つの、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態が提供され、多成分混合物(Fd)が整数n個の画分(Fi)に分離され、ここでnは少なくとも6であり、
前記カラムは、少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けされ、このうち、少なくとも1つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも1つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口か、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分(F2,...,Fn−2)に溶出される各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクションか、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へ、前記出口を通して洗い流すが、画分(F1,...,Fn−3)に溶出される純粋なより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、最も吸着の強い成分画分(F1)用の出口が設けられ、この画分(F1)を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、
少なくとも2つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も弱い吸着画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分(Fn−1,Fn)へと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分(F1,...,Fn−2)を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は、連続的に実行され、
カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が、中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、及び、少なくとも1つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションへ接続される少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモードと前記連続又は準連続モードは連続的に実現され、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記カラムはそれらのポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムが、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへ動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムが、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへ動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムが、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムになるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δr)のグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、この場合(in that)、
前記準連続溶出の工程では、前記再循環セクションのカラムが前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δfa)及び第3のカラム(δfc)がバッチモードで運転され、少なくとも前記供給セクションの第1の(δfa)のカラムは、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて運転される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
【請求項15】
カラムを4つだけ使用し、
前記セクション(γ,β;α、δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能が連続的に実行され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
前記準連続溶出の工程において、ただ1つの再循環セクションのカラムが、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方で、同時に、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口と画分(F4)の収集用の出口とを用いてバッチモードで運転され、前記バッチ溶出工程において、前記強吸収成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1及び第3の中間カラム(δfa,δfc)が、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのそれらの入口の少なくとも1つを用いて、バッチモードで運転される、請求項3に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物(Fd)の連続又は準連続精製法であって、前記混合物は少なくとも1つの溶媒を用いて前記カラムを通して供給され、前記多成分混合物(Fd)が整数n個の画分(Fi)に分離され、nは少なくとも5であり、
前記カラムは、少なくとも6個のセクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)にグループ分けされ、各セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)は、複数のセクションの機能が連続的に実行でき、単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含む方法において、
少なくとも2つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口(S)と、少なくとも1つの、画分(F2,...,Fn−2)に溶出される中間吸着成分用の出口とが設けられ、それぞれ、各中間画分(F2,...,Fn−2)を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも2つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口(S)と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ供給セクション(δ)に接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しなければ前記供給セクション(δ)へと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、溶出されるより吸着の強い成分(F1,...,Fn−3)それぞれを、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、画分F1に溶出される最も吸着の強い成分用の出口とが設けられ、画分(F1)を前記出口を通して洗い流し、
前記供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口の排出物(output)を受けるための少なくとも1つの入口と、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い画分(Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持し、
前記セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)の機能は、同期して又は連続して(sequentially)実行され、
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が後続の下流側の再循環セクションの対応する入口に、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションに流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され(run)、
前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に(sequentially)実現され、
前記カラムは、切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、溶媒の流れの通常方向に対して逆方向に、それらのポジションが動かされ、
切り替え時間(t*)の後又は切り替え時間内に、各収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションに動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムは、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへと動かされ、強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、供給セクション(δ)の最後のポジションへと動かされ、供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムとなるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;,...;αn−3,δg;δf,δr)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能及び/又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら、連続して(sequentially)実行される方法。
【請求項2】
少なくとも2つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口の排出物を受け入れるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fn中へと洗い出すが、画分(F2,...,Fn−2)を介して溶出されるより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は連続的に実行され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは連続的に実現され、
前記準連続溶出の工程では、再循環セクション(βn−3)の少なくとも1つのカラムが、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口は、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続されるが、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための入口を用いてバッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δfa)及び第3のカラム(δfc)が、バッチモードで運転され、前記供給セクション(δfa,δfb,δfc)の入口の少なくとも1つは、前記多成分混合物(Fd)を供給するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セクションの一対の連続的機能は1つのカラム内で連結され、
1切り替え時間内に、連続又は準連続溶出の工程及びバッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実行しながら交互に起こり、
前記供給セクションは3つのサブセクション(δg,δf,δr)を含み、
全系において、4つのカラムが提供され、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分(fraction)内には、連続又は準連続溶出の工程(CCL)で、連続的に接続され、切り替え時間の第2の部分内には、前記多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すためにバッチ工程(BL)で駆動される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr)の機能及びサブ機能が、連続的に実行され、前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
前記連続的又は準連続溶出の工程では、前記再循環セクションのカラムが、次の下流側の再循環セクションに流体的に接続されるか、又は、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(fg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)、及び前記収集セクション(α)のカラムと、前記供給セクションのカラム(δf)がバッチモードで運転され、前記供給セクションのカラム(δf)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて運転され、
好ましくは、2つの収集セクションと2つの再循環セクションがあって、この方法が4つのカラムを用いて実現されるか、又は3つの収集セクションと3つの再循環セクションがあって、この方法が6つのカラムを用いて実現される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも4つの個別のクロマトグラフィーカラムによる多成分混合物(Fd)の連続又は準連続精製法であって、前記混合物は少なくとも1つの溶媒を用いて前記カラムを通して供給され、前記多成分混合物(Fd)は整数n個の画分(Fn)に分離され、ここでnは少なくとも6であり、
前記カラムは、少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けされ、このうち、少なくとも1つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分を前記セクションα1,...,αn−3内に保持し、
少なくとも1つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口か、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分(F2,...,Fn−2)に溶出される各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクションか、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へ、前記出口を通して洗い流すが、画分(F1,...,Fn−3)に溶出されるより吸着の強い成分それぞれを、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、最も吸着の強い成分画分(F1)用の出口が設けられ、この画分(F1)を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、
少なくとも3つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を供給するための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分(Fn−1,Fn)へと洗い出すが、画分(F2,...,Fn−2)用のより吸着の強い中間吸着成分を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は、連続的に実行され、
カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が、中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、及び、少なくとも1つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションへと接続される少なくとも1つの準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモードと前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
切り替え時間(t*)の後又は切り替え時間内に、前記カラムはポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムが、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへ動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへ動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムになるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δr)のグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、
その場合、前記準連続溶出の工程では、再循環セクションの少なくとも1つのカラムが前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δg)及び第3のカラム(δr)がバッチモードで運転され、前記供給セクション(δfa,δfb,δfc)の入口の少なくとも1つは、前記多成分混合物(Fd)を供給するために用いられる方法。
【請求項6】
前記セクションの少なくとも1つへ送り込まれる溶媒は、前記切り替え時間(t*)中、ほぼ連続的に組成が変化し、及び/又は、超臨界溶媒の場合には、前記切り替え時間(t*)中に、前記セクションの少なくとも1つに送り込まれる超臨界溶媒の密度が、ほぼ連続的に変化する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つ又は好ましくは全ての前記セクションへ送り込まれる溶媒は、前記切り替え時間(t*)中、モディファイア濃度の増減に伴い、ほぼ連続的に組成が変化し、及び/又は、超臨界溶媒の場合は、前記切り替え時間(t*)中、密度の増減に伴い、ほぼ連続的に密度が変化し、
最も下流側のセクション(δ)から最も上流側のセクション(α)への一連のカラムに沿って、前記カラムの移動後、各カラム内のモディファイア濃度(Cmod)/密度が、実質的に、カラムの新しいポジションでのベースのモディファイア濃度/超臨界溶媒の密度であり、次の切り替え時間(t*)中に、各カラム内のモディファイア濃度/密度が、カラムのさらなる移動後、次のポジションのベースのモディファイア濃度/密度へと増加または減少されるように、モディファイア濃度(Cmod)/密度が増加又は減少する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記供給セクションが、3つのサブセクション(δg;δf;δr)にグループ分けされる少なくとも3つのカラムを含み、又は、これらのサブセクションの機能を連続して提供するより少ないカラムを含み、
第1のサブセクション(δf)が、好ましくは、系の全流量より低い流量で前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、画分(Fn−1)用の少なくとも1つの出口とを含み、
第2のサブセクション(δg)が、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、第3のサブセクション(δr)の少なくとも1つの入口に接続される少なくとも1つの出口とを含み、
第3のサブセクション(δr)が、前記第2のサブセクション(δg)の排出物を取り上げるための少なくとも1つの入口と、画分(Fn)用の少なくとも1つの出口とを含み、
切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、前記第1のサブセクション(δf)の第1のカラムは、前記第2のサブセクション(δg)の最後のポジションへと動かされ、前記第2のサブセクション(δg)の第1のカラムは、前記収集セクションの最後のポジションへと動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記第3のサブセクション(δr)の最後のポジションへと動かされ、前記第3のサブセクション(δr)の第1のカラムは前記第1のサブセクション(δf)のカラムとなるように動かされ、
前記セクションの機能が、同期して又は連続して実行される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記セクションの対となる連続的機能は、1つのカラム内で連結され、1切り替え時間内に、連続的又は準連続的溶出の工程と、バッチ溶出を有する工程が、これらの機能を連続的に実施しながら交互に起こる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記供給セクションは、請求項8に記載の3つのサブセクションを含み、全系において4つのカラムが供給され、これら4つのカラムは、1切り替え時間の第1の部分内に、連続又は準連続溶出の工程(CCL)にて連続的に接続され、前記切り替え時間の第2の部分内に、前記多成分混合物(Fd)の個々の画分(F1,...,Fn−1)を取り出すために、バッチ工程(BL)にて駆動される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記供給は、1切り替え時間(t*)内で、連続的、パルス状、又は成形された濃度/密度プロフィールを有するものであり、及び/又は、溶媒の流れが、1切り替え時間(t*)内に変えられ、及び/又は、個々の入口/出口の切り替えが、1切り替え時間(t*)内で段階的である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
個々のカラム内の流量が異なる、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも4つの、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態(topology)が提供され、このカラムを通して、混合物を少なくとも1つの溶媒を用いて供給し、多成分混合物(Fd)を整数n個の画分(Fi)に分離することができ、ここでnは少なくとも5であり、
前記カラムは、少なくとも6個のセクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)にグループ分けされ、各セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)は、セクションの機能が連続的に実行でき、その結果単一のカラムによって実現できることを条件に、少なくとも1つのカラムを含み、
少なくとも2つの収集セクション(α,...,αn−3)にはそれぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、画分(F2,...,Fn−2)に溶出される中間吸着成分用の少なくとも1つの出口とが設けられ、それぞれ、各中間画分(F2,...,Fn−2)を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも2つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、それぞれ、後続の下流側の再循環セクションの入口に、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、それぞれ、F1,...,Fn−3に溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクション、又は後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へと、前記出口を通して洗い流すが、それぞれ、F1,...,Fn−3を介して溶出される純粋なより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクションγには、少なくとも1つの溶媒入口と、画分(F1)に溶出される最も吸着の強い成分用の出口とが設けられ、画分(F1)を前記出口を通して洗い出し、
前記供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクション(βn−3)の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口と、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも1つの入口と、少なくとも2つの最も吸着の弱い成分(Fn−1,Fn)のための少なくとも1つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分Fn−1,Fnへと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分F2,...,Fn−2をセクションδ内に保持し、
前記セクション(α1,...,αn−3,β1,...,βn−3,γ,δ)の機能は、同期して又は連続して実行され、
カラムは、少なくとも2つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために用いられる、少なくとも1つのバッチモードポジションと、少なくとも2つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口を後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合には前記供給セクションへ流体的に接続される、少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードは、同期して又は連続的に実現され、
前記カラムは、切り替え時間(t*)後又は切り替え時間内に、通常の溶媒の流れ方向に対して逆方向に、それらのポジションが動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、各収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムが、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションに動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへと動かされ、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムは、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへと動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムは、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへと動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムは、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムとなるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δf,δr)のグループ分けが単一のカラムによって実現される場合、個々のセクションの機能及び/又はサブ機能は、1切り替え時間t*内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続して実行される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
【請求項14】
少なくとも4つの、好ましくは少なくとも5つの個別のクロマトグラフィーカラムの接続形態が提供され、多成分混合物(Fd)が整数n個の画分(Fi)に分離され、ここでnは少なくとも6であり、
前記カラムは、少なくとも4つのセクション(α,β,γ,δ)にグループ分けされ、このうち、少なくとも1つの収集セクション(α1,...,αn−3)には、それぞれ、少なくとも1つの溶媒入口と、少なくとも1つの中間画分F2,...,Fn−2用の出口が設けられ、それぞれ、各中間成分を系から洗い出すが、より吸着の強い成分をセクション(α1,...,αn−3)内に保持し、
少なくとも1つの再循環セクション(β1,...,βn−3)には、少なくとも1つの溶媒入口と、後続の下流側の再循環セクションの入口か、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は供給セクション(δ)へ接続される少なくとも1つの出口が設けられ、画分(F1,...,Fn−3)を介して溶出されるより吸着の強い成分で汚染されている中間画分(F2,...,Fn−2)に溶出される各中間吸着成分を、後続の下流側の再循環セクションか、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクション(δ)へ、前記出口を通して洗い流すが、画分(F1,...,Fn−3)に溶出される純粋なより吸着の強い成分をそれぞれ、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)内に保持し、
強吸着成分収集セクション(γ)には、少なくとも1つの溶媒入口と、最も吸着の強い成分画分(F1)用の出口が設けられ、この画分(F1)を有する最も吸着の強い成分を前記出口を通して洗い出し、
少なくとも2つのカラムを含む供給セクション(δ)には、最も下流側の再循環セクションβn−3の出口からの排出物を受けるための少なくとも1つの入口、及び、前記多成分混合物(Fd)を送り込むための少なくとも2つの入口と、少なくとも2つの最も弱い吸着画分(Fn−1,Fn)用の少なくとも2つの出口とが設けられ、吸着の弱い成分を系から画分(Fn−1,Fn)へと洗い出すが、より吸着の強い中間吸着成分画分(F1,...,Fn−2)を、セクションδ内に保持し、
前記セクション(γ,β;α,δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能は、連続的に実行され、
カラムは、少なくとも1つの収集セクションカラム(α1,...,αn−3)の出口が、中間画分(F2,...,Fn−3)を収集するために使用される、少なくとも1つのバッチモードポジション、及び、少なくとも1つの再循環セクションカラム(β1,...,βn−3)の出口が、後続の下流側の再循環セクションの対応する入口と、又は、後続の下流側の再循環セクションが存在しない場合は前記供給セクションへ接続される少なくとも連続又は準連続モードポジションで運転され、
前記バッチモードと前記連続又は準連続モードは連続的に実現され、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記カラムはそれらのポジションが、溶媒の通常の流れ方向に対し逆方向に動かされ、
切り替え時間t*の後又は切り替え時間内に、前記収集セクション(α1,...,αn−3)の第1のカラムは、対応する再循環セクション(β1,...,βn−3)の最後のポジションへ動かされ、最も上流側の再循環セクション(β1)の第1のカラムは、前記強吸着成分収集セクション(γ)の最後のポジションへ動かされ、もし存在するならば、さらなる再循環セクション(β2,...,βn−3)の第1のカラムが、次の上流側の収集セクション(α1,...,αn−4)の最後のポジションへ動かされ、前記強吸着成分収集セクション(γ)の第1のカラムが、前記供給セクション(δ)の最後のポジションへ動かされ、前記供給セクション(δ)の第1のカラムが、最も下流側の収集セクション(αn−3)の最後のカラムになるように動かされ、
前記セクション(γ,β1;α1,β2;...;αn−3,δg;δfa,δfb;δfc,δr)のグループ分けは、単一のカラムによって実現され、個々のセクションの機能又はサブ機能は、1切り替え時間(t*)内に、連続又は準連続溶出の工程とバッチ溶出を有する工程を交互に行いながら連続的に実行され、この場合(in that)、
前記準連続溶出の工程では、前記再循環セクションのカラムが前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて、バッチモードで運転され、
前記バッチ溶出の工程では、前記強吸着成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1のカラム(δfa)及び第3のカラム(δfc)がバッチモードで運転され、少なくとも前記供給セクションの第1の(δfa)のカラムは、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口を用いて運転される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法を実施するための装置。
【請求項15】
カラムを4つだけ使用し、
前記セクション(γ,β;α、δg;δfa,δfb;δfc,δr)の機能及びサブ機能が連続的に実行され、前記バッチモード及び前記連続又は準連続モードが連続的に実現され、
前記準連続溶出の工程において、ただ1つの再循環セクションのカラムが、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の入口に流体的に接続され、前記供給セクションの第1のカラム(δg)の出口が、前記供給セクションの最後のカラム(δr)の入口に流体的に接続され、一方で、同時に、前記供給セクションの第2の中間カラム(δfb)は、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのその入口と画分(F4)の収集用の出口とを用いてバッチモードで運転され、前記バッチ溶出工程において、前記強吸収成分収集(γ)及び前記収集セクション(α)のカラム、及び前記供給セクションの第1及び第3の中間カラム(δfa,δfc)が、前記多成分混合物(Fd)を送り込むためのそれらの入口の少なくとも1つを用いて、バッチモードで運転される、請求項3に記載の方法。
【図1】
【図2a)】
【図2b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2a)】
【図2b)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−514737(P2012−514737A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544015(P2011−544015)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067277
【国際公開番号】WO2010/079060
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511163470)クロマコン アーゲー (1)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067277
【国際公開番号】WO2010/079060
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511163470)クロマコン アーゲー (1)
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