説明

多目的型植物栽培装置

【課題】 素人が野菜等の植物栽培を鉢やプランターで行う場合、定期的な水遣りや肥料散布、病害虫の駆除、寒冷時の保温などの日々の維持管理が面倒であり、上手く栽培することは難しい。また、都市住宅等の僅かなスペースでの植物栽培は、平均的な日当たりを配慮しながらスペースを有効活用するために様々な工夫が必要である。
【解決手段】 透明天板3と透明側面カバー2で囲まれた縦型多段立体型の構造フレーム1内の各段に水位調節可能な保水トレー4を設ける。ソーラパネル11で発電した電力で駆動する循環ポンプ6にて、底面に設置した貯水タンク5より、最上段の保水トレー4から下位段に水や養液を定期的に循環供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラパネルで発電した電力にて水遣りを自動的に行ない、都市住宅等の僅かなスペースを最大限有効活用できる多目的型植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畑地等の栽培専用地や栽培専用設備を使用しないで、野菜等の植物栽培を素人が手軽に行うための園芸機材は数多く実用に供されている。最も一般的なものは鉢やプランターであり、培養土や自家調合した培地などを入れて蒔種や苗植にて栽培する。僅かなスペースを少しでも有効活用すべく、階段式の花壇等などの主に草花の鉢栽培を対象にした園芸関連機材も実用に供されている。病害虫の進入防止と寒冷時の保温などのために利用することを目的に、ビニールハウス等の透明材料で覆った比較的小型の園芸機材も実用に供されている。
よりレベルの高い野菜栽培を目指す人向けに、特定の養液水と培地等を用いた小型水耕栽培装置が実用に供されている。この装置は、貯水タンク内に直接野菜の根が張るようにしたものやハイドロカルチャー等の培地を用いたもの、養液水をポンプで循環するものや循環しないものなどが市販されている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】 特許公開2004−135534
【特許文献2】 特許公開平10−113081
【特許文献3】 特許公開平5−276835
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
野菜等の植物栽培を鉢やプランターで行う場合、定期的な水遣りや肥料散布を行うなど、日々の維持管理をしないと上手く栽培できない。特に、野菜等の乾燥に弱い植物を夏期に栽培する場合は、日々の水遣りを少しでも怠ると直ぐに枯れてしまう。逆に、過剰な水遣りをすると根腐れして上手く栽培できない場合もあり、植物の種類によって異なった対応が必要となる。
都市住宅等の僅かなスペースでの植物栽培は、平均的な日当たりを配慮しながらスペースを有効活用するために様々な工夫が必要である。鉢やプランターなどの植物栽培では、平面的に置かないと成長に必要な太陽光が得られないため、数多くの植物栽培を行うことは困難である。
病害虫進入防止と寒冷時保温を目的としたビニールハウス等は、僅かなスペースでの利用を目的とした多段立体型のものは下位段には太陽光が当たり難く、庭等での利用を目的としたものでも最低限一坪程度の平坦な場所が必要である。
市販されている小型水耕栽培装置は、太陽光が平均的に当たる南面に設置したビニールハウスや透明材料で覆ったベランダなどに設置する必要かある。特に、養液水を循環するタイプでは、ポンプを駆動するための家庭用電源が得られる場所にしか設置できない。
本発明は、これらの問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
透明天板と透明側面カバーで囲まれた多段立体型の構造フレーム内の各段に水位調節可能な保水トレーを設ける。ソーラパネルで発電した電力で駆動する循環ポンプにて、底面に設置した貯水タンクより、最上段の保水トレーから下位段に水や養液を定期的に循環供給する。以上の構成よりなる植物栽培装置である。
【発明の効果】
【0006】
貯水タンクに比較的少ない頻度で水や養液を補給するだけで、水遣りや肥料散布などの日々の維持管理を減らすことが出来る。階段式立体的に保水トレーを配置することにて、設置スペースを有効活用しながら平均的な日当りを確保することができる。構造フレームを直に透明天板と透明カバーで覆うことにより、ビニールハウス等を導入しなくとも病害虫の進入防止と寒冷時の保温が可能である。保水トレー上には、培養土等の培地を入れた植物鉢を配置したり水耕栽培用培地を乗せたりなど多目的に利用可能である。
以上の利点を有する植物栽培装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】植物栽培装置の全体構成図である。
【図2】ソーラパネルで発電した電力にて循環ポンプを駆動する機器の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(イ)鴨居基準に作業性の良い幅高さと段数の構造フレーム(1)を設け、その上面と全側面を太陽光を良く通すプラスチックやガラス等の透明カバー(2)と透明天板(3)にて覆う。
(ロ)階段式に設けた保水トレー(4)の最上段に、貯水タンク(5)内の水や養液を循環ポンプ(6)と送水パイプ(7)にて供給し、排出穴(8)より排出パイプ(9)にて中段の保水トレー(4)を経て最下段の排出穴(8)より貯水タンク(5)に循環回収する。
(ハ)保水トレー(4)上には植物栽培に必要な培土を入れた植物鉢(10)などを配置し、該当植物の特性に合致した保水量は、排水穴(8)の水位調節機能と保水トレー(4)自体の水平からの傾きにて調整する。
(ニ)循環ポンプ(6)による保水トレー(4)への水遣り量は、ソーラパネル(11)にて発電し充放電コントローラ(12)を経てバッテリー(13)に蓄えられた電力を用い、24時間タイマー(14)で設定した時刻に設定した時間だけ繰返し駆動することにて制御する。
(ホ)図1の装置は数台の同じ装置を横連結することが可能であり、図2の一台の制御装置にて、図1の連結または非連結の数台の装置を駆動することができる。
本発明により、循環ポンプ(6)の水遣り時刻時間と保水トレー(4)の保水量の最適な組合せにより、夏期での乾水を防いだり過剰な水遣りによる根腐れを無くすことができるため、特性の異なる各種の植物栽培が可能となる。
【符号の説明】
【0009】
1 構造フレーム 2 透明カバー(全側面) 3 透明天板
4 保水トレー 5 貯水タンク 6 循環ポンプ
7 送水パイプ 8 排出穴(兼水位調整機能) 9 排出パイプ
10 植物鉢 11 ソーラパネル 12 充放電コントローラ
13 バッテリー 14 タイマー(24時間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明天板と透明側面カバーで囲まれた多段立体型の構造フレームを設け、その各段に水位調節可能な保水トレーを階段式に設けた多目的型植物栽培装置。
【請求項2】
請求項1の底面に貯水タンクを設け、ソーラパネルで発電した電力で駆動する循環ポンプにて、請求項1の最上段の保水トレーから下位段に水や養液を定期的に循環供給する多目的型植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−95633(P2012−95633A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258335(P2010−258335)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(510306339)
【Fターム(参考)】