説明

多糖とポリカルボキシル化ポリマーとを含んでなる生物接着性組成物

【課題】生物接着性が増加し、刺激が減少し、そして高い薬物負荷容量を有する生物接着性組成物が必要とされていることに応える。
【解決手段】本発明は、生物接着性が増加し、刺激が減少し、より高い薬物負荷容量を有する生物接着性組成物を提供する。本発明の組成物は、多糖とポリカルボキシル化ポリマーとの均質混合物を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物接着性組成物、および生物接着性組成物を製造し、使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物接着性、特に粘膜接着性は、薬剤の経頬的、経鼻的および経口的投与を改良する調節薬剤供給系の開発に関心がもたれてきている。例えば、口腔および鼻腔は、薬剤供給のための好都合な、アクセス容易な部位を形成する。頬経路を介する全身的投与は、経口的供給を超えた、いくつかの利点を有する:胃腸管中の前全身的代謝および肝臓における最初の通過による排除が回避される (HoogstraaleおよびWertz、Pharmaceutical Science and Technology Today 1(7) (1996) pp. 309‐316) 。
【0003】
カルボキシル化ポリマー、例えば、ポリ (アクリル酸) および架橋ポリ (アクリル酸) は、粘膜接着剤 (以後において生物接着性組成物) として有効であることが知られている。ポリ (アクリル酸) を含んでなる種々の生物接着性組成物は、例えば、WO 98/22097;EP 410,696;米国特許第5,643,80号;米国特許第4,915,948号;米国特許第5,895,804号および米国特許第6,284,295号に記載されている。
【0004】
しかしながら、カルボキシル化ポリマーを含んでなる生物接着性組成物の使用は、粘膜刺激に関連する問題のために制限される。刺激の程度を減少する試みはこれらのポリマーを他の物質 (多糖を含む) と配合することを包含したが、非刺激性生物接着マトリックスを製造する努力は生物接着性が減少した組成物を生じ、これは組成物の中に混入できる薬剤の量を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生物接着性が増加し、刺激が減少し、そして高い薬物負荷容量を有する生物接着性組成物が必要とされている。本発明はこの要求を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生物接着性組成物を提供する。本発明の生物接着性組成物は、改良された生物接着性 (例えば、粘膜接着性) を有し、薬物負荷容量を増加しかつ粘膜刺激発生率を減少する。
【0007】
本発明の1つの面は、多糖とポリカルボキシル化ポリマーとの均質混合物 (また、ここにおいて「共混合物」と呼ぶ) を含んでなる生物接着性組成物に関する。ワキシー澱粉と架橋ポリ (アクリル酸) とを含んでなる生物接着性組成物は特に好ましい。本発明の1つの態様において、生物接着性組成物は吸収増強剤をさらに含んでなる。この組成物は、各粒子が多糖とポリカルボキシル化ポリマーとの混合物を含んでなるような方法で調製される。これは、多糖およびポリカルボキシル化ポリマーの離散粒子を含んでなるとして本明細書において定義される物理的混合物と対照的である。いかなる理論にも拘束されたくないが、本発明の均質混合物においてポリマー鎖のからみ合いが分子レベルで起こると考えられる。
【0008】
本発明の他の面は、必要に応じて吸収増強剤を含有できる、ポリマー溶液を乾燥して、固体状生物接着性組成物を形成することを含んでなる、生物接着性組成物を製造する方法に関する。少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと少なくとも1種の多糖とを含んでなるポリマー溶液を乾燥して、これらの成分の均質混合物を形成する。典型的には、本発明において有効なポリマー混合物は、約5重量%〜約95重量%の1種または2種以上のポリカルボキシル化ポリマーと約5重量%〜約95重量%の1種または2種以上の多糖とを含んでなるであろう。ポリマーは、任意の適当な水性または有機溶媒 (それらの混合物を包含する) 中にコロイド状に分散し、または溶解することができる。好ましい溶媒は水である。本発明の特に好ましい態様において、ポリマー溶液を共噴霧乾燥して均質混合物を形成する。
【0009】
本発明のなお他の面は、生理学的 (薬理学的) 活性剤を包含するが、これらに限定されない活性 (治療) 剤を調節して供給または投与する薬剤供給系に関する。薬剤供給系は、生物接着性組成物と活性剤とを含んでなる。
本発明のなお他の面は、生物接着性組成物および活性成分を一緒に混合し、加圧して錠剤を形成することを含んでなる、薬剤供給系を製造する方法に関する。好ましくは、薬剤供給系の製造に使用する生物接着性組成物は粉末の形態である。
本発明のそれ以上の面は治療剤を個体に投与する方法に関し、ここで生物接着性組成物と治療剤とを含んでなる薬剤供給系の形態で治療剤を投与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、トリプシン阻害を示すグラフである。
【図2】図2は、生物接着性を測定する試験装置の略図である。
【図3】図3は、力/伸長のダイヤグラムであり、これから接着の分離力および仕事を計算する。
【図4】図4は、種々の濃度のCARBOPOL(商標)974Pを含有する生物接着性組成物の生物接着性を示す。
【図5】図5は、本発明の組成物と物理的混合物との生物接着性を比較する。
【図6】図6は、本発明の組成物の非刺激性を図解する。
【図7】図7は、種々のCARBOPOL(商標)濃度における粘膜生成示す。
【図8】図8は、種々の濃度のCARBOPOL(商標)で処理後、ナメクジ粘膜からのタンパク質および酵素の放出を示す。
【図9】図9は、本発明の共混合物のin vivo 接着時間を示す。
【図10】図10は、参照配合物に比較した本発明の共混合物の経頬的薬剤放出性示す。
【図11】図11は、経鼻的投与後、本発明の共混合物からの活性成分の薬剤放出を示す。
【図12】図12は、本発明の共混合物の経口的錠剤溶解性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中の参考文献の開示は、それらの全体において引用することによって本明細書の一部とされる。
本発明は、生物接着容量が増加しかつ刺激性が減少した生物接着性組成物を提供する。生物接着性組成物は、合成ポリカルボキシル化ポリマーおよび多糖の溶液から、この溶液を共乾燥して成分の均質混合物を形成することによって調製される。本発明は、また、薬剤供給系、薬剤供給系を製造する方法、および治療剤を個体に投与する方法を提供する。
溶液は、本明細書において使用するとき、部分的可溶化、コロイド状分散または完全な可溶化を意味することを意図する。
【0012】
固体は、本明細書において使用するとき、存在する溶媒が約10重量%より少ない物質を意味することを意図し、粉末を包含する。より典型的には、固体生成物中の溶媒の存在量は約5%より少ないであろう。
ポリカルボキシル化ポリマーおよび多糖の乾燥は、単なる物理的混合物と反対にそれらの均質混合物を生ずる条件下に実施される。
物理的混合物は、例えば、澱粉およびポリ (アクリル酸) の、離散粒子を含んでなる混合物を意味するために本明細書において使用する。
【0013】
均質混合物は、各粒子が、例えば、澱粉およびポリ (アクリル酸) の、混合物を含んでなる、混合物を意味するために本明細書において使用する。
生物接着性組成物とは、生物接着系に生物接着性を提供する成分を意味し、ここで生物接着系中に、例えば、賦形剤よりむしろ前記成分が含まれている。
生物接着性は、動物またはヒトの粘膜、皮膚または体の組織または植物の組織 (ここで多少の水または水溶液が存在する) と接触したとき接着性が発生することを意味する。生物接着剤の型の非限定的例は、腸、鼻、頬、舌下、膣および眼の生物接着剤を包含する。
【0014】
生物接着は、本明細書において使用するとき、生物学的組織に接着する物質 (合成または生物学的) の能力を意味することを意図する。生物接着段階は次のように要約することができる。第1に、生物接着剤と受容体組織との間に緊密な接触が存在しなくてはならない。このような接触は、生物接着表面のすぐれたぬれから、または生物接着剤の膨潤から生ずる。接触が確立したとき、組織表面の隙間の中への生物接着剤の浸透が起こるか、あるいは生物接着剤鎖と粘膜のそれらとの相互浸透が存在し、そしてからみ合った鎖間の弱い化学的結合が存在する。生物接着の一般的説明は下記の文献の中に見出すことができる:Bioadhesive Drug Delivery Systems、1999、pp. 1‐10、Marcel Dekker発行。
【0015】
本発明の生物接着性組成物は、生物接着性組成物と活性成分とを含んでなる持続または調節放出性製剤として特に有効である。生物接着性組成物は、活性成分の全身的投与および経頬的投与の両方に使用することができる。
本発明の調節放出性製剤は、治療剤を必要とするか、あるいはそれを望む個体において使用される。用語「個体」は本明細書においてその最も広い意味において使用し、動物 (ヒトおよび非ヒトの両方、コンパニオン動物、例えば、イヌ、ネコおよびウマおよび家畜、例えば、畜牛およびブタを包含する) および植物 (農学的および園芸学的の両方の適用が使用のために意図される) を包含する。
【0016】
調節放出は、本明細書において使用するとき、活性成分を宿主の生物学的系に対して利用可能とする方法および組成物を意味することを意図する。調節放出は、瞬間的放出、遅延放出、および持続放出の使用を包含する。「瞬間的放出」は、宿主の生物系への即時の放出を意味する。「遅延放出」は、投与後ある時間の遅延まで活性成分が宿主に対して利用可能とならないことを意味する。「持続放出」は、一般に、宿主に対して利用可能な活性成分のレベルがある期間にわたってあるレベルに維持される、活性成分の放出を意味する。
【0017】
各型の放出を実施する方法を変化させることができる。例えば、活性成分を物理的/化学的に界面活性剤、キレート化剤、およびその他と連合させることができる。選択的に、被覆、積層、およびその他により、活性成分をマスクすることができる。必要な放出パターンを提供する方法に無関係に、本発明は、1種または2種以上の「放出」の方法および組成物を利用する、調節放出系の供給を意図する。その上、本発明は、特に持続放出系に関して、放出法および/または放出組成物の要素であることができる。
【0018】
本発明の生物接着性組成物は、活性成分、例えば、薬剤を吸収し、調節可能に放出することができる。活性成分は先行技術において記載されている任意の既知の方法により添加することができ、そしてこのような添加は生物接着性組成物の製造の間および/または後に実施することができる。典型的な活性成分は以下を包むが、これらに限定されない:治療物質または薬学的活性剤、例えば、薬剤、非治療物質、例えば、化粧品、呼吸フレッシェナー (breath freshener) およびその他、局所的または全身的麻酔薬または鎮痛剤、またはオピエート、ワクチン、抗原、微生物、滅菌物質、避妊組成物、タンパク質またはペプチド、例えば、インスリンまたはカルシトニン、殺虫剤、除草剤、ホルモン、例えば、成長ホルモンまたは発芽ホルモン、ステロイド、トキシン、またはマーカー物質。
【0019】
考えられる活性成分の非限定的リストは以下を包む:ヒドロクロロチアジド、アセトアゾールアミド、アセチルサリチル酸、アロプリノール、アルプレノロール、アミロリド、抗不整脈薬、抗生物質、抗糖尿病剤、抗癲癇剤、抗凝固剤、抗心筋炎剤、アテノロール、ベンドロフルメチアジド、ベンズブロマロン、ベンズチアジド、ベータメタゾン、気管支拡張剤、ブフェニン、ブプラノロール、カルシトニン、化学療法剤、クロルジアゼポキシド、クロルキノリン、クロロチアジド、クロルプロマジン、クロルトールドン、クレンブテロール、クロミプラミン、クロニジン、コ‐デルゴクリン、コルジゾン、デキサメタゾン、デキシトロプロポキシフェン、ジアゼパム、ジアゾキシド、ジクロフェナン、ジクロフェナミド、ジグルタルスグリコシド、ジヒドララジン、ジヒドロエルゴタミン、ジフタゼム、鉄塩、アルゴタミン、エタクリル酸、エチニルエストラジオール、エトキサゾールアミド、
【0020】
フェノテロール、フルドロコルチゾン、フルフェナジン、フルオロセミド、ガロパミル、グアネチジン、ホルモン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、ヒドロフルメチアジド、インスリン、免疫抑制剤、イブプロフェン、イミプラミン、インドメタシン、冠状動脈治療剤、レボドーパ、リチウム塩、マグネシウム塩、メトキシプロゲステロンアセテート、マナジオン、メタクアロン、8‐メトキシプソラレン、メチルクロチアジド、メチルドーパ、メチルプレドニソロン、メチルテストステロン、メチルチオウラシル、メチルキサンチン、メチルプラノロール、硝酸ミコナゾール、モルシドミン、モルフィン、ナプロキセン、ニセルグリン、ニデジピン、ノルフェネフリン、オキシフェンブタゾン、パパベリン、パルマタゾン、ペントバルビタール、ペルフェナジン、フェノバルビタール、フェニルブタゾン、フィトメナジオン、ピレンゼピン、ポリチアジド、プラゾシン、プレドニソロン、プレドニソン、プロベネシド、プロプラノロール、プロピルチオウラシル、レアシンナミン、レゼルピン、
【0021】
セクブタバルビタール、セコバルビタール、スピロノラクトン、スルファサラジン、スルフォンアミド、テストステロン、テオフィリン、チオリダジン、トリアムシノロン、トリアムテロン、トリクロロメトラジド、トリフロペナジン、トリフロプロマジン、ツベロウロスタチク、ビルスタチクス、ジトスタチクス、ブロモクリプチン、ブロモプリド、カルビドーパ、カルボクロメン、クイニン、クロルプロチキセン、シメチジン、クロフィブラット、シクリジン、デシプラミン、ジスルフィラム、ドムペリドン、ドキセピン、フェンブテン、フルフェンアミン酸、フルナリジン、ゲムフィブロシル、ハロペリドール、ケトプロフェン、ラベタロール、ロラゼパム、メテンアミン酸、メルプロン、メトクロプラミド、ノルトリピリン、ノスカピン、オキシプレノロール、オキシメトロン、ペンタゾシン、ペチジン、アタノゾロール、スリンダク、スルピリド、チオチキセン。
【0022】
本発明の生物接着性組成物を薬剤供給ベヒクルとして使用するとき、約80%までの薬剤負荷が可能である。本発明の生物接着性組成物を使用するとき、生物接着容量またはその持続放出構造を喪失しないで、高い薬剤負荷を有する持続放出性薬剤供給ベヒクルを製造することができる。より典型的には、約0.01〜約65%の薬剤負荷を本発明の実施において使用する。
用語「生物接着性系」は、本明細書において使用するとき、本発明の生物接着性組成物を含んでなる任意の系または生成物を包含する。
【0023】
生物接着性組成物は、必要に応じて1種または2種以上の吸収増強剤を含有する。少なくとも1つの溶媒、少なくとも1種の吸収増強剤、合成ポリカルボキシル化ポリマーおよび多糖の溶液を乾燥して固体状生物接着性組成物を形成することによって、吸収増強剤は生物接着性組成物の中に混入される。有効な吸収増強剤 (また、浸透増強剤と呼ぶ) は下記のものを包含するが、これらに限定されない:合成界面活性剤 (例えば、ラウリル硫酸ナトリウム) 、非イオン界面活性剤 (例えば、ラウレス、ポリソルベート) 、ステロイド界面活性剤 (例えば、コラン酸ナトリウム) 、胆汁酸塩 (例えば、グリココラン酸ナトリウム、デオキシコラン酸ナトリウム、タウロコラン酸ナトリウム) 、キレート化剤 (例えば、EDTA、EDTA二ナトリウム) 、脂肪酸および誘導体 (例えば、ミリスチン酸ナトリウム) 、他のもの、例えば、糖エステル (例えば、パルミチン酸スクロース) 、ホスファチジルコリン、アミノカプロン酸、ラウラミドプロピルベタイン、およびその他。本発明の生物接着性組成物の中に混入される吸収増強剤の量は、典型的には約0.001重量%〜約10重量%である。
【0024】
本発明の生物接着性組成物の製造は、多糖および合成ポリカルボキシル化ポリマーの少なくとも1種の溶媒、例えば、水中の溶液を混合容器中に供給し、均一に混合されるまで攪拌することによって達成できる。例えば、AMIOCAの場合において、成分のポリマーおよび1種または2種以上のその溶媒を加熱して、溶液を形成することが必要であることがある。ポリカルボキシル化ポリマーとの均質混合のために十分な溶解が存在する場合、例えば、バッチクッカーを介して得られた、部分的溶液を使用することができる。他の場合において、単一工程において両方のポリマーを溶解しかつ混合することができるであろう。当業者にとって明らかなように、ポリカルボキシル化ポリマーをカチオンで処理して粘度を変化させることができる。成分ポリマーの溶液の濃度は、当業者は理解するように、溶解度および混合および引き続く処理に好都合な粘度を考慮することによってのみ決定される。
【0025】
溶液混合物中のポリマーの比は、約5部 (乾燥重量基準) の多糖+95部のポリカルボキシル化ポリマー〜約95部の多糖+5部のポリカルボキシル化ポリマーの範囲である。好ましくは、この比は約25部の多糖+75部のポリカルボキシル化ポリマー〜約95部の多糖+5部のポリカルボキシル化ポリマーの範囲である。より好ましくは、粘膜表面への適用のために、この比は約65部の多糖+35部のポリカルボキシル化ポリマー〜約95部の多糖+5部のポリカルボキシル化ポリマーの範囲である。なおより好ましくは、この比は約75部の多糖+25部のポリカルボキシル化ポリマー〜約95部の多糖+5部のポリカルボキシル化ポリマーの範囲である。
【0026】
しかしながら、また、共混合物の部分的中和はペプチドおよびタンパク質、例えば、インスリンの変性を防止し、刺激を誘導しないで、高いレベル (例えば、75%) のポリカルボキシル化ポリマーの使用を可能とすることが発見された。
次いで、好都合な手段により、混合物を乾燥して固体 (例えば、粉末) を形成する。このような手段は以下を包含するが、これらに限定されない:噴霧乾燥、凍結乾燥、空気乾燥、ドラム乾燥および押出。乾燥段階の間に生成した固体は、好ましくは約10重量%より少ない、より好ましくは約5重量%より少ない湿分を有するであろう。特に好ましい方法は噴霧乾燥である。
【0027】
本発明の生物接着性組成物の製造に使用する条件は十分にマイルドであり、および/または有害な副生物に導くことがある、不必要な化学反応が回避されるように、十分に急速であるプロセシングである。こうして、このような成分を除去するための精製工程は不必要である。
生物接着性組成物は、例えば、活性成分の混入前に、必要に応じて、既知の方法により中和することができる。
【0028】
本発明の合成ポリカルボキシル化ポリマーは変性されているか、あるいは非変性であることができ、そして少なくとも10,000ダルトン、より典型的には少なくとも約100,000ダルトン、なおより典型的には約1,000,000ダルトン以上の重量平均分子量を有する。変性は架橋、中和、加水分解および部分的エステル化を包含するが、これらに限定されない。
【0029】
本発明において使用できる典型的な合成ポリカルボキシル化ポリマーは、限定なしに、ポリ (アクリル酸) 、架橋ポリ (アクリル酸) 、長鎖アルキルアクリレートにより変性されたポリ (アクリル酸) 、長鎖アルキルアクリレートにより変性された架橋ポリ (アクリル酸) を包含する。本発明の典型的な合成ポリカルボキシル化ポリマーは、アルキルスクロース、スクロースのアルキルエーテル、アルキルペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマーを包含する。商業的に入手可能な、このようなポリマーの例は次の通りである:商品名CARBOPOL(商標)、NOVEON(商標)およびPEMULEN(商標)(BF Goodrich Specialty Chemicals、米国オハイオ州クレブランド) 。医薬銘柄CARBOPOL(商標)971P、CARBOPOL(商標)934PおよびCARBOPOL(商標)974Pは特に適当である。これらの例は限定的ではなく、そして本発明による多糖は事実上任意の合成ポリカルボキシル化ポリマーと組み合わせて使用できる。
【0030】
本発明の多糖は、植物、動物および微生物源を含む天然産物に由来する。多糖の例は、澱粉、セルロースおよびゴム、例えば、ガラクロマンナンである。多糖の澱粉は、トウモロコシまたはコーン、ワキシートウモロコシ、ジャガイモ、カッサバ、タピオカおよびコムギの澱粉を包含する。他の澱粉は、種々のイネ、ワキシーイネ、エンドウマメ、サゴヤシ、カラスムギ、オオムギ、ライムギ、アマランス、サツマイモの澱粉、および普通の植物品種改良から入手可能な雑種澱粉、例えば、40%またはそれ以上のアミロース含有率を有する雑種高アミロース澱粉、例えば、高アミローストウモロコシ澱粉を包含する。
【0031】
また、遺伝子操作された澱粉、例えば、高アミロースジャガイモ澱粉およびワキシージャガイモ澱粉は有効である。多糖は、例えば、エーテル化、エステル化、酸加水分解、デキストリン化、架橋、予備糊化または酵素処理 (例えば、α‐アミラーゼ、β‐アミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、またはグルコアミラーゼを使用する) により、変性または誘導化することができる。ワキシー澱粉は特に好ましい。本明細書において使用するとき、用語「ワキシー(waxy)」は少なくとも約95重量%のアミロペクチンを含有する澱粉を包含することを意図する。
【0032】
好ましい多糖は、少なくとも10,000ダルトン、より好ましくは少なくとも約100,000ダルトン、なおより約1,000,000ダルトン以上の分子量、最も好ましくは1,000,000ダルトンより大きい重量平均分子量を有する。ワキシー澱粉の分子量は決定することが困難であるが、本発明の実施において使用できるワキシー澱粉は10,000,000ダルトンまたはそれ以上の重量平均分子量を有することができる。
下記の実施例を参照して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0033】
実施例1.生物接着性組成物の製造
10重量%のAMIOCAワキシートウモロコシ澱粉 (National Starch & Chemical Company、ニュージャージー州ブリッジウォーターから入手した) と90重量%の水との混合物をスラリーとして調製した。連続的ジェットクッカー中で2.75バールの圧力で水蒸気を注入し、ジャケット付き冷却水で調節して温度を150℃に維持することによって、この混合物を加熱した。少量の試料を135℃に2時間加熱することによって測定した、最終固体含有率は7.74%であった。
【0034】
連続的に攪拌しながらCARBOPOL(商標)974P (B. F. Goodrich Companyから入手した) を蒸留水にゆっくり添加して完全に分散させることによって、CARBOPOLの1%の水溶液を調製した。
【0035】
澱粉/ CARBOPOLの必要な比が得られるような比率で、澱粉およびCARBOPOLの溶液を均一に混合した。例えば、1085 gのAMIOCA溶液を5600 gのCARBOPOL溶液と混合して、固体基準で計算して、60%のAMIOCA/40%のCARBOPOLの比を得た。この溶液混合物を水浴中で40℃に加熱し、遠心ホイールアトマイザーで噴霧乾燥した。乾燥間の入口温度は205℃であり、そして出口温度は110℃であった。生ずる生成物は、AMIOCAおよびCARBOPOLの均質混合物を含んでなる、微細な低密度の白色粉末であった。この実施例において、60%のAMIOCA/40%のCARBOPOLの比で噴霧乾燥することによる 調製を示すために、この試料をSD 60/40と表示する。下記の実施例において使用するとき、他の比を同様に表示する。
下記の実施例において、澱粉およびCARBOPOLを固体としてブレンドして物理的混合物を形成する比較例はPMを前に付ける。AMIOCAをCARBOPOLと配合することによって、物理的混合物を調製した。
【0036】
実施例2.トリプシンの阻害
有望な経口ペプチド薬剤供給に対して主要な障壁の1つは、胃腸管中の酵素の分解である。経口ペプチド薬剤供給における新規なアプローチは、タンパク質分解酵素、例えば、トリプシンを阻害するために多官能価ポリマーを使用することから成る。トリプシンは、経口的に投与されたペプチド薬剤の分解の開始および多数の膵臓ペプチダーゼのチモーゲン型の活性化において主要な役割を演ずる。SD 25/75 (実施例1に記載されているようにして調製した) およびポリマーを含有しない「ブランク」のトリプシン阻害容量を、下記の文献に記載されているトリプシン阻害アッセイにより測定した:Ameye他、J. Control. Release 68 (2000) pp. 418‐417。
【0037】
50 mmol/lのMES/KOH緩衝液、pH 6.7中に分散した0.25% (w/v) のSD 25/75を含有するポリマー調製物の中に、250 mmol/lのマンニトールとともに、種々の量の20 mmol/lのN‐α‐ベンゾイル−L‐アルギニン‐エチルエステル (BAEE) (トリプシンのモデル基質) を溶解した。試験媒質のpHは6.7であり、これはpH 6〜9であるトリプシンの最適範囲内であった。時間ゼロにおいて、30酵素単位のトリプシン/ml (Sigma、ベルギー国ボウメンにより使用されたトリプシンの酵素アッセイに従い測定された酵素活性) をポリマー調製物に添加し、次いでこの溶液を37℃において1時間インキュベートした。50 μlの試料を前もって決定した時間間隔で抜出し、1.0 mlの0.1 M HCl中で希釈して、トリプシン活性を停止させた。
【0038】
253 nmにおける紫外線検出を使用するHPLCにより代謝物質N‐α‐ベンゾイルアルギニン (BA) の生成を測定することによって、基質BAEEの分解を研究した。0.76 ml/分の流速において20 μlの注入後、代謝物質のピークの保持時間は1.3分であった。トリプシン阻害の程度を阻害係数により表す。IF=反応速度ブランク/反応速度ポリマー。IFは、それぞれ、ポリマーを使用しないで (ブランク) およびポリマーを使用して実施した酵素反応についての、代謝物質濃度時間曲線の反応速度の比である。N‐α‐ベンゾイルアルギニン (BA) の濃度/反応時間の線形回帰解析により、反応速度を計算した。
【0039】
1時間のインキュベーション間における線形進行関数の相関係数は、>0.995であった。最適化HPLC法が確認された。標準曲線 (n=6) は線形であり、相関係数は>0.999であった。反復精度 (すなわち、すべては同一日、n=6) について、そして再現精度 (すなわち、すべては異なる日、n=6) について、したがって、変動係数は<3%であった。分解生成物BAの検出限界は0.0003 mmol/lであり、そして定量限界は0.010 mmol/lであった。
60分間にわたってBAの発生 (mM) として、トリプシン阻害を測定した。結果を表1および図1に示す。試料SD 25/75のIF (平均±sd) は、2.05±0.05であると計算された。
【0040】
【表1】

【0041】
生物接着性組成物SD 25/75は、ブランクに比較して酵素トリプシンの阻害を明らかに証明する。SD 25/75の高いタンパク質分解阻害能力は、この組成物を経口的ペプチドおよびタンパク質薬剤供給のために有効とする。
【0042】
実施例3.ex vivo 生物接着性の測定
ある物質の生物接着特性を測定するために、下記の文献に記載されている方法を使用した:Bouckeert他、J. Pharm. Pharmacolo. 46 (1993) pp. 504‐507。
ex vivo 生物接着特性の測定に使用した装置は、張力試験機 (L 1000R型、Lloyd Instruments、英国ファロハム、セゲンワルト) から成り、1%より小さい確度を有する20 Nロードセルを装備した。この装置はコンピュータに接続していた。
【0043】
屠殺直後に屠殺場から、ブタ歯肉を得た。歯肉を急速に凍結させ、等張リン酸緩衝生理食塩水pH 7.4 (2.38 g Na2HPO4・2H2O、0.19 g K2HPO4および8.0 g NaClを脱イオン水で1000 mlにした) 中に貯蔵した。滑剤として1%のステアリルフマル酸ナトリウムを除外して、他の賦形剤を使用しないで、100 mgの試験すべき物質の錠剤を1000 kgの圧力において直接圧縮した。7 mmの平らなパンチを装備した、偏心圧縮機 (Korech、EKO型、ドイツ国フランクフルト) を使用した。
【0044】
破壊を測定する試験装置は図2に概略的に示されている。試験する錠剤1を上のアルミニウム支持体2に取り付けた。この支持体2は、シアノアクリレート接着剤で張力テスターの上の断面バー3に接続されていた。ブタ歯肉組織 (±100 mm2) 4を同一接着剤でテフロン(登録商標)支持体5に接着させた (粘膜を外側にする) 。テフロン(登録商標)支持体5はPVCシリンダー6に接続されていた。シリンダー6は、張力テスターの基部に固定された150 mLのサーモスタット温度制御ビーカー7の下部に位置する。次に、15 μlの等張リン酸化緩衝液 (pH 7.4) を粘膜4の上に均一に噴霧し、そしてクロスピース3 (錠剤1を有する) を1 mm/分のクロスヘッド速度で下降させる。最初の接触後、ビーカー7に125 mLの全体積まで緩衝溶液を充填して、釣合重りとして作用させる。次いで粘膜4および錠剤1を0.5 Nの力で5分間プレスし、その後錠剤1および粘膜4を5 mm/分の一定伸長速度で分離して、錠剤−粘膜の結合を完全に破壊した。
【0045】
力/伸長の線図 (図3) を構成し、そして最大分離破壊 (N) および錠剤と粘膜との間の結合を破壊するために必要な接着の仕事 (mJ) を計算した。力/伸長線図の下の面積から、接着の仕事を計算する。
図4から理解できるように、すべてのAMIOCA澱粉/CARBOPOL(商標)974P共混合物は下記の参照配合物に比較して匹敵するか、あるいはよりすぐれた生物接着性を示した:5%CARBOPOL(商標)974P、94%ドラム乾燥ワキシートウモロコシ澱粉および1%ステアリルフマル酸ナトリウムの物理的混合物、これは局所的薬剤供給のために有効であり (Bouokeet他、Pharm. Res. 10 (6) (1993) pp. 853‐856) ならびに全身的薬剤供給のために有効である (Voorapoels他、Pharm. Res. 13 (8) (1996) pp. 1228‐1232) 。
【0046】
図5が明らかに示すように、発明に従い調製された生物接着性組成物 (SD 75/25;SD 90/10およびSD 95/5) は、それらの同等の物理的混合物 (PM 75/25;PM 90/10およびPM 95/5) に比較して改良された生物接着能力を示した。
【0047】
実施例4.ナメクジに対する粘膜刺激試験
下記の文献に記載されているナメクジを使用する粘膜刺激試験に従い、本発明の生物接着性組成物の刺激についての可能性を試験した:欧州特許出願 (EP 0 982 589 A1、Adraens & Hemon、Ghent University) 。
【0048】
ナメクジを20 mgの粉末上に30分間連続5日間配置した。各粉末配合物について、5匹のナメクジを使用した。接触期間の間に生成した粘膜の量により、そして30分の処理後のタンパク質および酵素の放出により、ナメクジの粘膜に対する粉末の作用を研究した。空のペトリ皿上に配置したナメクジをブランクとして使用したが、ドラム乾燥ワキシートウモロコシ澱粉/塩化ベンズアルコニウム95/5で処理したナメクジを陽性対照として使用した。
図6から理解できるように、本発明の生物接着性組成物 (SD 75/25) は同等の物理的混合物 (PM 75/25) に比較して粘膜生成の減少を示す。試料SD 75/25の全粘膜生成は5%以下であり、これは非刺激性であると考えられるレベルである。
【0049】
図7は、異なるレベルのCARBOPOLを含有する組成物の粘膜生成を示す。より低いレベルのCarbopol(商標)974Pを有する試料は非刺激性である。
EP 0 982 589 A1に記載されている方法に従い処理した後、ナメクジ粘膜からのタンパク質および酵素の分析は刺激の可能性の追加の測度を提供する。こうして、CARBOPOLの40%およびこれより高いレベルにおいて、タンパク質の放出が存在し、また損傷した細胞から生ずる細胞質ゾル酵素乳酸デヒドロゲナーゼ (LDH) が出現することを図8は証明する。 この図面において、「PC」は膜結合アルカリ性ホスファターゼ (ALP) の放出を追加的に引き起こす塩化ベンズアルコニウムを含有する、陽性の刺激対照を意味する。図8中のデータは、25%までのCARBOPOLレベルにおいて酵素が検出されなかったことを示す。
【0050】
実施例5.in vivo 生物接着試験
AMIOCA澱粉およびCarbopol(商標)974Pの均質混合物を含有する、100 mgの直径7 mmのプラシーボ錠剤を圧縮機により製造した。錠剤を7匹の去勢したイヌに投与した。イヌの口の上部犬歯上の頬粘膜に、錠剤を適用した。粘膜と接触するとき、錠剤は直ちに接着した。平均接着時間、すなわち、完全な浸蝕に要する時間を図9に示す。これが示すように、約30%のCarbopolはプラシーボ錠剤において最適濃度であり、そして24時間の接着をin vivo において得ることができる。また、均質混合物中の多糖/ポリカルボキシル化ポリマーの比により、適用期間を調節できることが示される。
【0051】
実施例6.生物接着性錠剤を介するテストステロンの経頬的供給
圧縮機を使用して、40 mgの試料SD 75/25およびモデル薬剤として60 mgのテストステロンを含有する100 mgの錠剤を製造した。錠剤を5匹の去勢したイヌに投与した。イヌの口の上部犬歯上の頬粘膜に、錠剤を適用した。血漿を24時間かけて採取し、テストステロンについて分析した。結果を60 mgのテストステロンを負荷した参照配合物、すなわち、5%CARBOPOL(商標)974P、84%ドラム乾燥ワキシートウモロコシ澱粉および1%ステアリルフマル酸ナトリウムの物理的混合物と比較した (Voorapoels他、Pharm. Res. 13 (8) (1998) pp. 1228‐1232) 。参照配合物を使用して製造した錠剤は接着が困難であり、そして錠剤を歯肉に接着させるために、延長した圧力を使用する、いくつかの試みが必要であったことが認められる。
【0052】
試料SD 75/25は、参照物理的混合物配合物に比較して、より長い期間にわたって一定の放出構造を提供することを図10は示す。テストステロン血漿濃度が性機能低下症のヒトにおけるアンドロゲン置換について3 μg/mlの標的レベル以上である時間 (参照:Mazer他、J. Controlled Release 19 (1992) pp. 347‐362) は、SD 75/25について19時間であり、これに対して参照混合物について10時間であった。計算した絶対生物接着性はSD 75/25について14.9±5.1%であり、これに対して物理的混合物について5.7±1.6%であった。
【0053】
実施例7.ペプチドおよびタンパク質の経鼻的供給
蒸留水中でSD 25/75の分散液を部分的にpH 7.4に中和した後、インスリンを1/Uインスリン/mg粉末の比で添加した。これを凍結乾燥し、次いで粉末を63 μmの網目大きさの篩に通過させた。10 mgの粉末をウサギ/鼻腔 (n=6) に投与した。
図11から理解できるように、インスリン血清濃度 (Cmax) は436.0±125.9 μlU/mlであり、そしてtmaxは43.4±12.5分であった。絶対インスリン生物接着性は17.8±4.5%であると計算された。この実施例が明らかに証明するように、ペプチドおよびタンパク質を本発明の生物接着性マトリックス組成物から経鼻的粘膜を介して供給することができる。
共混合物の部分的中和はインスリンの変性を防止するばかりでなく、かつまた刺激を誘導しないで高いレベルのCarbopolの使用を可能とすることが発見された。
【0054】
実施例8.in vitro 溶解
345 mgのAMIOCA/ CARBOPOL 974P均質混合物、滑剤として5 mgのステアリルフマル酸ナトリウム、および150 mgのテオフィリン一水和物 (Ludeco、ベルギー国ブレッセルスにより供給された) を含有する、全質量500 mg、直径13.5 mmの錠剤を偏心圧縮機により19.6 kNの圧縮力で製造した。21 dips/分で作動するVankel Bio‐Dis溶解テスターを使用して、USP III (Bio‐Dis) 試験手順 (U. S. Pharmacopoeia 24 & National Formulary 19、2000) に従い、それらの溶解時間を測定した。
【0055】
溶解媒質を37℃において脱イオンした。テオフィリンの放出を分光光度測定により272 nmにおいてモニターした。均質混合物中の多糖/ポリカルボキシル化ポリマーの比を選択することによって、放出速度を広い範囲にわたって変化させることができることを、図12は示す。試料SD 75/25およびSD 90/10は最長の持続した放出を与え、両方は約12時間であり、この期間にわたって放出速度はほぼ一定であった。これらのデータが示すように、本発明の均質混合物は経口的調節放出薬剤供給適用において実用性を有する。
【0056】
当業者にとって明らかなように、本発明の精神および範囲から逸脱しないで、多数の変更および変化が可能である。本明細書に記載する特定の態様は例示でのみ提供され、そして本発明は添付された特許請求の範囲、ならびにこのような特許請求の範囲に含まれる同等の態様の全範囲よってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖とポリカルボキシル化ポリマーとの均質混合物を含んでなる生物接着性組成物。
【請求項2】
約5重量%〜約95重量%の少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと、約5重量%〜約95重量%の少なくとも1種の多糖とを含んでなる、請求項1に記載の生物接着性組成物。
【請求項3】
約5重量%〜約35重量%の少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと、約65重量%〜約95重量%の少なくとも1種の多糖とを含んでなる、請求項2に記載の生物接着性組成物。
【請求項4】
約5重量%〜約25重量%の少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと、約75重量%〜約95重量%の少なくとも1種の多糖とを含んでなる、活性成分の経粘膜供給のための請求項3に記載の生物接着性組成物。
【請求項5】
前記多糖が少なくとも約1,000,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして前記ポリカルボキシル化ポリマーが少なくとも約1,000,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の生物接着性組成物。
【請求項6】
前記多糖が澱粉であり、そして前記ポリカルボキシル化ポリマーが架橋ポリ (アクリル酸) である、請求項5に記載の生物接着性組成物。
【請求項7】
前記澱粉がワキシー澱粉である、請求項6に記載の生物接着性組成物。
【請求項8】
約10%までの吸収増強剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の生物接着性組成物。
【請求項9】
前記吸収増強剤が合成界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ステロイド性界面活性剤、胆汁酸塩、キレート化剤、脂肪酸およびそれらの誘導体、糖エステル、ホスファチジルコリン、アミノカプロン酸、ラウラミドプロピルベタインおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項8に記載の生物接着性組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の溶媒とポリマー混合物とを含んでなる溶液を調製し、ここで当該ポリマー混合物は少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと少なくとも1種の多糖成分とを含んでなり、そして前記溶液を乾燥して固体を形成することを含んでなり、前記固体が前記成分の均質混合物である、生物接着性組成物を製造する方法。
【請求項11】
前記ポリマー混合物が、固体基準で、約5重量%〜約35重量%の少なくとも1種の合成ポリカルボキシル化ポリマーと、約65重量%〜約95重量%の少なくとも1種の多糖とを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液を噴霧乾燥する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が水であり、前記多糖が澱粉であり、そして前記ポリカルボキシル化ポリマーが架橋ポリ (アクリル酸) である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記溶液が吸収増強剤をさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法により製造された生物接着性組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の生物接着性組成物を含んでなる活性成分供給ベヒクル。
【請求項17】
粘膜に対して非刺激性である、請求項16に記載の供給ベヒクル。
【請求項18】
前記生物接着性組成物が約65重量%〜約95重量%の澱粉と約5重量%〜約35重量%の架橋ポリ (アクリル酸) とを含んでなる、請求項16に記載の供給ベヒクル。
【請求項19】
前記生物接着性組成物が約75重量%〜約95重量%の澱粉と約5重量%〜約25重量%の架橋ポリ (アクリル酸) とを含んでなる、請求項16に記載の供給ベヒクル。
【請求項20】
活性成分として薬物をさらに含んでなる、請求項16に記載の供給ベヒクル。
【請求項21】
前記生物接着性組成物が吸収増強剤をさらに含んでなる、請求項16に記載の供給ベヒクル。
【請求項22】
請求項1に記載の生物接着性組成物と治療剤とを含んでなる薬剤供給系を個体に投与することを含んでなる、治療剤を個体に投与する方法。
【請求項23】
前記生物接着性組成物が約65重量%〜約95重量%の澱粉と約5重量%〜約35重量%の架橋ポリ (アクリル酸) とを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記生物接着性組成物を個体の粘膜表面に適用する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記生物接着性組成物が約75重量%〜約95重量%の澱粉と約5重量%〜約25重量%の架橋ポリ (アクリル酸) とを含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤供給系を口、腸、鼻、眼、舌下または膣の粘膜に投与する、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記薬剤供給系を経口的に投与する、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−280711(P2010−280711A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−184654(P2010−184654)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【分割の表示】特願2003−563533(P2003−563533)の分割
【原出願日】平成15年1月31日(2003.1.31)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【出願人】(504291007)ユニベルシテイト ゲント (3)
【Fターム(参考)】