説明

多結晶シリコン破砕物の清浄化方法

【課題】酸性の清浄化浴中での多結晶シリコン破砕物の清浄化方法において、安定なプロセス管理を可能にすること
【解決手段】清浄化が複数の清浄化サイクルを有し、各清浄化サイクルで所定量の酸が消費され、計算機制御された計量供給システムのインテグレータを用いて、各清浄化サイクルにおいて消費されたそれぞれの酸量を合計して清浄化浴中の酸の現在の全消費量とし、清浄化浴中で、この計量供給システムの最適な計量供給量に一致する酸の全消費量に達した後に、この計量供給システムが、貯蔵容器から取り出した新たな酸の最適な計量供給量を清浄化浴に供給する、酸性の清浄化浴中での多結晶シリコン破砕物の清浄化方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコン破砕物の清浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン、省略してポリシリコンは、今日では工業的に大量に製造され、特に、光起電力での適用のための及びウェハ製造元での単結晶の製造のための原料として利用される。全ての適用の場合に、この原料の高い純度が望まれる。
【0003】
高純度シリコンは、通常では、易揮発性の、つまり簡単に蒸留法によって精製されるべきケイ素化合物、例えばトリクロロシランの熱分解により得られる。このシリコンは、この場合、一般的な直径70〜300mm及び長さ500〜2500mmのロッドの形で多結晶で析出する。
【0004】
この多結晶ロッドの本質的な部分は、引き続きるつぼ引き上げ(チョクラルスキー法又はCZ法)によって、更に単結晶に加工されるか、又は光起電力用の多結晶基本材料の製造のために使用される。この両方の場合に、高純度の融液のシリコンが必要である。このために、固体のシリコンを坩堝中で溶融させる。
【0005】
この場合、この多結晶ロッドを、溶融の前に、通常では金属製の粉砕機、例えばジョークラッシャー又はロールクラッシャー、ハンマー又はノミを用いて破砕する。
【0006】
この破砕の際に、しかしながら高純度シリコンは異種原子で汚染されるこれは、特に金属炭化物残留物又はダイアモンド残留物並びに金属不純物である。
【0007】
従って、高価な適用のための、例えば単結晶成長のためのシリコン破砕物は、更なる加工及び/又は包装の前に清浄化される。これは、通常では1以上の化学的湿式清浄化工程で行う。
【0008】
この場合、特に付着する異種原子を表面から再び除去するために、多様な化学薬品及び/又は酸からなる混合物が使用される。
【0009】
EP 0 905 796 B1は、低い金属濃度を有するシリコンの製造方法において、前記シリコンを装置中で少なくとも1段階で、フッ化水素酸(HF)、塩化水素酸(HCl)及び過酸化水素(H22)の化合物を含有する酸化する清浄化溶液で洗浄し、メインの清浄化において、更なる段階で、硝酸(HNO3)及びフッ化水素酸(HF)を含有する清浄化剤で洗浄し、親水化のために更なる工程で酸化する清浄化剤で洗浄することを特徴とするシリコンの製造方法を記載している。
【0010】
洗浄水への酸の連行により、金属粒子との化学反応により及びHF/HNO3エッチングの際のシリコンの溶解のために、酸は消費される。
【0011】
従って、所定の酸濃度を維持するために、新たな酸を後供給することが常に必要である。
【0012】
シリコンウェハの清浄化とは異なり、清浄化すべき粉粒体は、多様なサイズクラスの多結晶シリコン破砕物のために、常に表面積が変化する。
【0013】
ポリシリコンは、破砕粒サイズで分級することができ、この破砕粒サイズは次にそれぞれシリコン破砕物の表面積に対して2つの点の最も離れた距離(=最大長さ)として次のように定義される:
・ 破砕粒サイズ1(BG1)(mmで表す):約3〜15;
・ 破砕粒サイズ2(BG2)(mmで表す):約10〜40;
・ 破砕粒サイズ3(BG3)(mmで表す):約20〜60;
・ 破砕粒サイズ4(BG4)(mmで表す):約40〜110;
・ 破砕粒サイズ5(BG5)(mmで表す):約110〜170;
・ 破砕粒サイズ6(BG6)(mmで表す):約150〜230。
【0014】
多様な破砕粒サイズのための比表面積は次のようである:
・ BG6:約0.05cm2/g;
・ BG5:約0.5cm2/g;
・ BG4:約1cm2/g;
・ BG3:約2cm2/g;
・ BG2:約5cm2/g;
・ BG1:約10cm2/g。
【0015】
HF/HNO3混合物又はHF/HCl/H22溶液の形の新たな酸(EP 0 905 796 B1参照)の供給量は、BG6と破砕粒サイズ1との間で、1時間当たり1〜2000リットルの間で変動する。
【0016】
ポリシリコンの同じ破砕粒サイズであっても、比表面積は異なるバッチ間で少なくとも20%変動する。ここでも酸の消費量及びそれによる必要な供給量はバッチごとに変動する。
【0017】
清浄化浴の条件を一定に保持するために、この後供給は、多結晶シリコン破砕物の場合でも、一つの同じ破砕粒サイズに常に適応させなければならないことを意味する。
【0018】
半導体工業における適用が予定されているポリシリコンの清浄化の際の安定なプロセス実施を保証するために、この供給システムによる技術は10%の精度又はそれ以上の精度を有しなければならない。
【0019】
手動による後供給(手動運転法)は非常に手間がかかり、かつこのような供給量精度はほとんど保証できない。
【0020】
従って、所定の破砕粒サイズクラスのための後供給は、常にこれらの破砕粒サイズクラスの中で最も大きな比表面積を有するバッチについて合わせられる。
【0021】
従って、所定の破砕粒サイズのこのバッチの大部分は常に過剰供給量で運転され、このことが必然的により高い酸の消費量を引き起こし、このプロセスを不経済にしている。
【0022】
これとは別に、この後供給の十分に自動化された制御を行うことができる。
【0023】
制御回路は、化学装置において、特に温度制御のため、充填高さ制御のため、流量制御のため又はpH値制御のために使用される。
【0024】
通常の制御は、制御されるべきパラメータの連続的な測定に基づいている。
【0025】
このために、連続的に測定値を提供する相応するセンサーが使用される。
【0026】
もちろん、複数の成分を含む化学的清浄化溶液の組成を連続的に測定しかつ相応する測定値を時間的遅延なく提供できるセンサーは、今の先行技術において提供されていない。
【0027】
このような溶液の組成の測定は、個々の成分の測定のための複数の多様な分析法を並行して実施することを必要とする。
【0028】
例えば、フッ化物の電位差滴定による測定のためのイオン選択性電極は公知であり、この測定を用いてHF/HNO3エッチング混合物のHF含有量を決定することができる。
【0029】
HF/HNO3混合物中の硝酸塩含有量は、例えば測光による方法を用いて決定することができる。
【0030】
これとは別に、このような溶液の組成は、DET法(DET=Dynamic Equivalence Point-Titration(動的当量点滴定))に基づく滴定法を適用することにより決定することができる。
【0031】
相応する方法は、例えばDE 198 52 242 A1から公知である。
【0032】
これは、動的当量点滴定を用いた酸混合物中の酸の濃度決定に関し、この場合、硝酸、フッ酸、ヘキサフルオロケイ酸及び場合による他の有機及び/又は無機の化合物からなる酸混合物に塩基性タイターを、10-2〜10-3.5の水素イオン濃度にある当量点に達するまで添加し、引き続き前記タイターを、10-4〜10-5の水素イオン濃度にある当量点に達するまで添加し、最終的に前記タイターを、10-10〜10-11の水素イオン濃度にある当量点に達するまで添加する。
【0033】
もちろん、上記の滴定法も、平衡に実施される分析法も、5〜60分ごとに値を提供するだけである。
【0034】
酸の後供給のためには、ダイアフラムポンプ又は計量供給秤のような重量測定システムを使用することができる。
【0035】
しかしながら、このような計量供給ポンプを用いた場合に、望ましい10%の供給量精度又はそれより良好な供給量精度を常には達成することはできないことが明らかとなった。
【0036】
通常では、圧縮空気ダイアフラムポンプ及び電動式計量供給ポンプは、吸引管内にベントバルブを有する。このベントバルブは、吸引シリンダの最初のストロークにおいて空気も一緒に吸引されるという問題を阻止する。いくつかのストロークの後に初めてこの空気は再びこの導管から逃がされる。
【0037】
しかしながら、このベントバルブは、酸のような腐食性媒体を吸引する場合には確実には作動しないことが判明した。
【0038】
計量供給秤のような慣用の重量測定システムの場合でも、この供給量精度はせいぜい10%である。
【0039】
この不正確すぎる後供給に基づいて、安定なプロセス管理は不可能である。
【0040】
この記載された問題から、本発明の課題設定が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】EP 0 905 796 B1
【特許文献2】DE 198 52 242 A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0042】
この課題は、清浄化が複数の清浄化サイクルを有し、各清浄化サイクルで所定量の酸が消費され、計算機制御された計量供給システムのインテグレータを用いて、各清浄化サイクルにおいて消費されたそれぞれの酸量を合計して清浄化浴中の酸の現在の全消費量とし、清浄化浴中で、この計量供給システムの最適な計量供給量に一致する酸の全消費量に達した後に、この計量供給システムが、貯蔵容器から取り出した新たな酸の最適な計量供給量を清浄化浴に供給する、酸性の清浄化浴中での多結晶シリコン破砕物の清浄化方法により解決される。
【0043】
この本発明による方法は、多結晶シリコン破砕物の清浄化に関する。
【0044】
多結晶シリコンは、有利にBG1〜BG6の破砕粒サイズの破砕物である。
【0045】
この清浄化は、酸性の清浄化液を含有するか、又は酸性の清浄化液が後供給される清浄化浴中で行われる。
【0046】
清浄化のために、HF又はHNO3のような酸の水性混合物を使用するのが好ましい。
【0047】
HF及びHNO3からなる水性混合物が好ましい。
【0048】
この酸浴は、HF、HNO3、H22及びHClからなる群から選択される1種以上の酸を有するのが好ましい。
【0049】
この清浄化は、複数の清浄化サイクルを有する。
【0050】
1つの清浄化サイクル又は清浄化周期は、その都度、有利に約5〜10kgの多結晶シリコン破砕物が充填された1つ(又は複数)のプロセスシャーレを、適切な取り扱いシステムを用いて酸浴中へ導入し、1〜1000秒後に再び取り出すことを特徴とする。
【0051】
1回の清浄化サイクルあたり、所定量の酸が消費される。
【0052】
この量はポリシリコンの破砕粒サイズに応じて異なり、これはこの破砕粒サイズの異なる比表面積と関連づけられる。
【0053】
本発明による方法の場合に、多結晶シリコンの異なる破砕粒サイズを続けて清浄化するのが好ましい。
【0054】
まず、後続して同じ清浄化浴中で清浄化される第2の破砕粒サイズの多結晶シリコン破砕物よりも小さな比表面積を有する第1の破砕粒サイズの多結晶シリコン破砕物を清浄化するのが好ましい。
【0055】
それによりこの後供給はこのポリシリコンの変化する比表面積に合わせられる。
【0056】
後供給される酸の量は、シリコンの破砕粒サイズ及び、1種以上の酸を使用する場合には、酸のタイプに依存する。
【0057】
HF/HNO3の有利に使用される混合物の場合に、HFもHNO3も後供給されるこの混合物の2つの成分について専用の供給システムが設けられているのが好ましい。
【0058】
HNO3についての計量供給量は、後に実施例によって示されているように、HFについての計量供給量よりも高い。
【0059】
各々の清浄化されるべき破砕粒サイズに対する1回の清浄化サイクル当たりの全ての計量供給量は、コンピュータ制御された計量供給システムに記憶されている。
【0060】
経験値及び/又は各々の破砕粒サイズについての試験により測定された消費量をパラメータとしてコンピュータ制御された計量供給システムの式の形で記憶されるのが好ましい。
【0061】
これらの消費量は、コンピュータ制御された計量供給システムのインテグレータを用いて、個々の清浄化サイクルの間に合計される。
【0062】
従って、各々の清浄化サイクルの後に、清浄化浴中の酸の現在の合計消費量が提供される。
【0063】
しかしながら、本発明の場合に、清浄化浴中の酸の現在の合計消費量が計量供給システムの最適な供給範囲に相応する場合に初めて、新たな(消費されていない)酸が後供給される。
【0064】
つまり、各清浄化サイクル後にすぐに後供給することは好ましくなく、このことはそもそも理解される。つまり、所望のプロセス安定性は達成されないであろうことが明らかになる。
【0065】
計量供給システムとして、ダイアフラムポンプ、好ましくは圧縮空気ダイアフラムポンプ、又は他の計量供給ポンプ、好ましくは電動式計量供給ポンプが使用できる。
【0066】
同様に、重量測定計量供給システム、好ましくは計量供給秤が適している。
【0067】
圧縮空気ダイアフラムポンプ、電動式計量供給ポンプ及び重量測定計量供給システムからなる群から選択される計量供給システムの複数を並行して使用することもできる。
【0068】
各々の後供給されるべき酸にとって専用の計量供給システムが設けられているのが好ましい。
【0069】
使用された計量供給システム用の最適な計量供給量は、好ましくはそれぞれ、多様な破砕粒サイズ及び計量供給量に対してのプロセス安定性の調査により得ることができる経験値に基づく。
【0070】
圧縮空気ダイアフラムポンプ及び電動式計量供給ポンプは、通常では1〜20L/minの供給出力を有する。つまり、1分間に20Lまで供給することができる。
【0071】
本願の発明者は、経験的調査の範囲内で、このようなポンプを用いた1〜2Lの計量供給量の場合、せいぜい10%の供給精度が達成されるだけであることを確認した。このことは、特にベントバルブの前記した信頼のなさに関連している。ポンプのストローク1回当たり、約200mlが送り出される。10回のストローク(=2リットルの計量供給量)の後に初めて、この吸引された空気は上記導管から逃がされる。
【0072】
約5〜10リットルの計量供給量を上回って初めて、この圧縮空気ダイアフラムポンプは必要な精度で運転される。このような約5〜10リットルは、圧縮空気ダイアフラムポンプの場合に最適な計量供給量に相当する。
【0073】
重量測定計量供給システムを使用する場合、まず貯蔵タンクから酸を容器に装填されかつ秤量する。
【0074】
この容器は完全に満たされるのではなく、最大容量の高くても75%で装填されるのが好ましい。20Lの最大容量を有する容器は、例えば最大15Lで装填される。
【0075】
この最適な計量供給量は、容器の大きさに応じて約10〜30Lである。多くの計量供給量を可能にする大きな容器はあまり好ましくはない、それというのも、少ない計量供給量の場合に供給精度を損なうためである。
【0076】
もちろん、この秤は、各々の更なる計量供給作業の前でまず安定させなければならない。3分ごとに1回の計量供給作業を行うことができる結果となる。
【0077】
つまり、15Lの計量供給量の場合に、最大300L/hの供給出力が可能である。
【0078】
化学浴中に存在する、清浄化されるべきポリシリコン破砕物の量の循環される酸量に対する比の値は、酸の消費量に対する応答特性に明らかな影響を及ぼすことも判明した。
【0079】
この比の値(リットルで表される循環される酸量/kgで表される化学浴中のポリシリコン破砕物の量)が10未満である場合、浴濃度は安定に維持できない。
【0080】
この最小量の不足分が、酸濃度中での10%より大きな明らかな低下を引き起こす。
【0081】
これは、著しく変動するプロセス条件と関連している。10未満の比の値(リットルで表される循環される酸量/kgで表される化学浴中のポリシリコン破砕物の量)の場合に、この送出される最小量は10%より大きなプロセス変動を引き起こす。
【0082】
それに対してこの比の値(リットルで表される循環される酸量/kgで表される化学浴中のポリシリコン破砕物の量)が10より大きい場合、浴濃度は安定に維持できる。
【0083】
この最小量の不足分は、大きな緩衝作用のために、酸濃度中で10%未満の低下を引き起こす。
【0084】
これにより安定化された酸濃度が生じる。
【0085】
10より大きな比の値(リットルで表される循環される酸量/kgで表される化学浴中のポリシリコン破砕物の量)の場合にだけ、この送出される最小量が10%より小さなプロセス変動を生じさせる。
【0086】
従って、本発明は、リットルで表される循環された酸量の、清浄化浴中に存在するkgで表されるポリシリコン破砕物の質量に対する比の値が10より大きいことを特徴とする、酸を循環させる酸循環路を含む酸性の清浄化浴中で多結晶シリコン破砕物を清浄化する方法にも関する。
【0087】
リットルで表される循環される酸量の、清浄化浴中に存在するkgで表されるポリシリコン破砕物の質量に対する比の値が、15〜200であるのが好ましく、特に50〜170であるのが好ましく、更に特に100〜150であるのが好ましい。
【0088】
10kgのポリシリコン破砕物の清浄化のために、100Lより多くの酸を循環させる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】表3による異なる時刻に清浄化された破砕粒サイズについて、質量%で表す清浄化浴中のHFの含有量を示すグラフ。
【図2】表3による清浄化プランに従って、異なる破砕粒サイズについて、質量%で表す清浄化浴中のHNO3の含有量を示すグラフ。
【実施例】
【0090】
1回の清浄化サイクル又は清浄化周期当たりの計量供給量は、ポリシリコンの各々の破砕粒サイズに式の形で記憶されている。10%の精度又はそれより良好な精度で供給することができる最小計量供給量も、装置パラメータとして記憶されている。
【0091】
この計量供給システムのインテグレータは浴中で失われる酸量を、許容される最小計量供給量に達するまで加算する。
【0092】
酸循環路中でこの許容最小量が失われたことをインテグレータが示す場合に、計量供給システムが始動する。
【0093】
引き続き、この計量供給システムは、後供給されるべき清浄化液又は酸を含む貯蔵容器から許容最小量を送り出す。
【0094】
この許容最小量は、清浄化浴の酸循環路に供給される。
【0095】
次の表1及び2は、4つのプロセスシャーレが存在する清浄化浴に関する。このプロセスシャーレは、清浄化すべきポリシリコンを収容するために用いられる。
【0096】
表1は、多様な破砕粒サイズについて、リットル/周期(又はリットル/清浄化サイクル)で表すHF及びHNO3の計量供給量を示す。
【0097】
表1
【表1】

【0098】
表2は、多様な破砕粒サイズについて、リットル/hで表すHF及びHNO3の計量供給量を示す。
【0099】
表2
【表2】

【0100】
これらの個別の破砕粒サイズについての計量供給量は著しく異なることが認識できる。
【0101】
酸循環路中で、循環中に3000リットルのHF/HNO3が存在する。
【0102】
プロセスシャーレグループ1つ当たり、製品に依存して、著しく異なる量が必要とされる:
HF 10L又はHNO3 10Lの最小量が達成されて初めて、圧縮空気ダイアフラムポンプが後供給する。
【0103】
1周期当たり、それぞれ5kgのポリシリコン破砕物を有する4つのプロセスシャーレが清浄化される。
【0104】
この比の値(リットルで表される循環された酸量/化学浴中でkgで表されるポリシリコン破砕物の量)は150である。
【0105】
それにより、この酸浴は大きな緩衝作用を有する。
【0106】
この計量供給は圧縮空気ダイアフラムポンプを用いて行われ、この場合、1周期当たり失われる酸量が、HFについてもHNO3についても10リットルの最小量にまで加算された後に、初めて酸混合サイクル中へ後供給が行われる。
【0107】
多様な破砕粒サイズのエッチング
多様な破砕粒サイズを本発明により清浄化した。まず、破砕粒サイズ6のポリシリコンを清浄化し、次いで破砕物サイズ5等を清浄化した。
【0108】
表3は、多様な破砕粒サイズをどの時刻で清浄化したかを示す。
【0109】
表3
【表3】

【0110】
本発明を、次に図1及び図2を用いても説明する。
【0111】
図1は、表3による異なる時刻に清浄化された破砕粒サイズについて、質量%で表す清浄化浴中のHFの含有量を示す。
【0112】
図2は、表3による清浄化プランに従って、異なる破砕粒サイズについて、質量%で表す清浄化浴中のHNO3の含有量を示す。
【0113】
図1及び2から、エッチング溶液中のHF及びHNO3含有量が、清浄化される破砕粒サイズとは無関係に、極めて僅かにしか変動しないことが推知できる。
【0114】
このことは、本発明による方法の特別な利点を示す。
【0115】
本発明は、慣用の比較的低コストの計量供給システムのために測定された最適な計量供給量に基づいた後供給の計算機制御された遅延により、先行技術では今まで達成されなかった、正確な計量供給によるプロセス安定性を保証することを可能にする。
【0116】
酸の全消費量は、先行技術において適用された、濃度測定法又は滴定法による方法よりも低い。従って、この新規方法は公知の方法よりも経済的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性の清浄化浴中で多結晶シリコン破砕物を清浄化する方法において、前記清浄化は複数の清浄化サイクルを有し、各清浄化サイクルにおいて所定量の酸が消費され、計算機制御された計量供給システムのインテグレータを用いて、各清浄化サイクルにおいて消費されたそれぞれの酸量を合計して、前記清浄化浴中の酸の現在の全消費量とし、前記清浄化浴中で、前記計量供給システムの最適な計量供給量に一致する酸の全消費量に達した後に、前記計量供給システムが、貯蔵容器から取り出した新たな酸の最適な計量供給量を前記清浄化浴に供給する、多結晶シリコン破砕物を清浄化する方法。
【請求項2】
前記計量供給システムが、計量供給ポンプ又は計量供給秤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記清浄化浴が、HF、HCl、H22及びHNO3からなる群から選択される1種以上の酸を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
1清浄化サイクル当たりの酸の消費量が、計算機制御された計量供給システム中で装置パラメータとして記憶されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記シリコン破砕物の異なるサイズクラスを清浄化し、それぞれのサイズクラスに対して1清浄化サイクル当たりの酸の消費量が、計算機制御された計量供給システム中で装置パラメータとして記憶されている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記清浄化浴は少なくとも2種の酸を有し、それぞれの酸について、別個の計算機制御された計量供給システムが、前記清浄化浴に新たな酸を供給することを予定している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記清浄化浴中で循環されたリットルで表される酸量の、前記清浄化浴中に存在するkgで表されるポリシリコン破砕物の質量に対する比の値が10より大きいことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
酸を循環させる酸循環路を含む酸性の清浄化浴中で、多結晶シリコン破砕物を清浄化する方法において、リットルで表される循環された酸量の、前記清浄化浴中に存在するkgで表されるポリシリコン破砕物の質量に対する比の値が10より大きいことを特徴とする、多結晶シリコン破砕物を清浄化する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−32274(P2013−32274A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168427(P2012−168427)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】