説明

多色材料およびその用途

照射によって色彩が変化し、かつ下記の一般構造式を有する化合物。
X−C≡C−C≡C−Y−(CO)−QZ
[式中、XはH、アルキルまたは−Y−(CO)−QWであり;各Yは同じか、または異なる二価アルキレン基であり;QはO、SまたはNRであり;RはHまたはアルキルであり;WはH、アルキルまたはZであり;各Zは同じか、または異なる不飽和アルキル基であり;かつ各nは0または1である]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色材料およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアセチレン化合物は、色付きにすることも、または色彩変化を起こさせることもでき、それらをセンサーで使用するのに好適にする特性を有する。多色印刷でのそれらの使用は、例えば、WO2006/018640に開示されている。この目的に特に好ましいジアセチレン化合物は、10,12−ペンタコサジイン酸(PDA)である。
【0003】
WO03/046050は、10,12−PDAタイプの側鎖を有するアミドポリマーを開示している。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、新規な化合物は、照射によって色彩が変化し、下記の一般構造式を有するタイプのものである。
X−C≡C−C≡C−Y−(CO)−QZ
[式中、XはH、アルキルまたは−Y−(CO)−QWであり;各Yは同じか、または異なる二価アルキレン基であり;QはO、SまたはNRであり;RはHまたはアルキルであり;WはH、アルキルまたはZであり;各Zは同じか、または異なる不飽和アルキル基であり;かつ各nは0または1である]
【0005】
本発明の第2態様によれば、先に定義した化合物を含む材料を着色する方法は、材料に照射するステップを含む。その化合物は、材料中もしくは材料上にあってよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の化合物が、カルボン酸のエーテル、チオエーテル、アミドまたは誘導体であることは理解されよう。典型的には、各アルキル基もしくはアルキレン基は、20個までの、もしくはそれ以上の炭素原子を含み、環式もしくは非環式、飽和もしくは不飽和、脂肪族もしくは芳香族であってよい。
【0007】
基Rは、不飽和構造を含むのが好ましいであろう。Zは、本化合物が二量体になるような不飽和構造、例えば、別のジアセチレン構造を含む。Zの不飽和構造は、その分子のジアセチレン部分とは共役しない。XまたはZは、本化合物が二官能性になるように、置換されていてもよく、例えば、Xは(CO)−QZで置換される。
【0008】
基Zが存在すると、熱可塑性物質との適合性が増大する効果が得られる。これによって、加工性、および相分離/移動に対する抵抗性を高めることができる。本発明者らは、Zは不飽和結合、例えばC=CまたはC≡Cを含むので、これが架橋および/または重合を経て、色付き状態に鎖を固定できると考える。
【0009】
本発明の化合物が由来するカルボン酸には、公知の、または当業者が容易に調製することができる化合物が含まれる。そのような酸の特に好ましい例はPDAであり、そのカルボン酸誘導体には、エステル、チオエステルおよびアミドが含まれる。
【0010】
ジアセチレン化合物は、有機化学で公知の他の官能基、例えば、アルコール、アミノ、アルデヒドまたはケトンなどのカルボニル、カルボン酸またはカルボン酸誘導体、エーテル、ハロゲノ、アルケン、アルキン、ニトロ、ニトリル、または任意の種類の脂肪族または芳香環などを含みうる。好ましい例は、エーテルなどのアルコール基誘導体である。特に好ましい例は、エステル、チオエステル、酸無水物およびアミドなど、カルボン酸誘導体基である。
【0011】
カルボン酸基を含む出発ジアセチレン化合物は、塩化オキサリルまたは塩化チオニルなどの塩素化剤と反応させることによって、容易に塩化カルボニル基に転換できるようなものが好ましい。次いで、塩化カルボニル中間体化合物をアルコール、チオール、アミンまたはカルボキシル基などの求核性種と反応させると、所望のエステル、チオエステル、アミドまたは酸無水物のジアセチレン化合物が得られる。得られたエステル、チオエステル、アミドまたは酸無水物基のジアセチレン化合物は、その塩化カルボニル基と、求核性基を1個だけ含む共反応体分子と反応させることによって、一官能性にすることができ、またはその共反応体分子に、少なくとも2個の求核性基を含めて、一個を超えるジアセチレン部分を含む所望の化合物を生成することができる。特に好ましいものは、反応してアミドをもたらすアミンである。いかなる一級アミン、二級アミンまたは三級アミンも好適である。このアミンは、1−アミノブタンまたはプロパルギルアミンなど、1個の求核性窒素、またはエチレンジアミンまたは1,12−ジアミノドデカンなど、少なくとも2個の求核性窒素基を含むことができる。
【0012】
より特に好ましいものは、エステル、チオエステル、酸無水物およびアミドなど、10,12−ペンタコサジイン酸のカルボン酸誘導体である。よりさらに特に好ましいものは、−CONR−基(式中、Rは、H、または、少なくとも一個の炭素原子を含む任意の基である)を含むアミド誘導体である。これらは、10,12−ペンタコサジイン酸と、カルボン酸基を塩化カルボニルに転換する塩素化剤を反応させ、続いてアミンと反応させることによって生成することができる。
【0013】
本発明で使用する化合物を形成するために使用できるジアセチレン化合物には、ジアセチレンモノカルボン酸である10,12−ペンタコサジイン酸およびジアセチレンジカルボン酸である10,12−ドコサジイン二酸などのジアセチレンモノ−およびジ−カルボン酸;ジアセチレンモノ−およびジ−アルコール;ジアセチレンモノ−およびジ−アミン、ジアセチレンモノ−およびジ−チオール;および、ジアセチレンヒドロキシカルボン酸化合物など、これらの組合せが含まれる。
【0014】
本発明で使用する化合物を形成するために使用できるジアセチレン化合物には、それだけには限らないが、5,7−ドコサジイン二酸、5,7−ドデカジイン酸、4,6−ドデカジイン酸、5,7−エイコサジイン酸、5,7−エイコサジイン−1−オール、6,8−ヘンエイコサジイン酸、8,10−ヘンエイコサジイン酸、12,14−ヘプタコサジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン酸、4,6−ヘプタデカジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン−1−オール、5,7−ヘキサデカジイン酸、2,10,12−ヘンエイコサアジイン酸、10,12−ヘプタコサジイン酸、10,12−ドコサジイン二酸、10,12−オクタデカジイン酸、10,12−ペンタコサジイン酸、10,12−トリコサジイン酸、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、1,6−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−1,6−ジフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,1,8,8,8−ヘキサフェニル−オクタ−3,5−ジイン−2,7−ジオール、 1,1,6,6−テトラキス−(3−メトキシ−フェニル)−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラキス−ビフェニル−4−イル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、10,12−ペンタコサジイン−オール、およびその誘導体が含まれる。
【0015】
本発明で使用する化合物を形成するために使用できる他のジアセチレンカルボン酸およびアルコール化合物には、それだけには限らないが、4,6−デカジイン−1,10−ジオール、2,7−ジメチル−3,5−オクタジイン−2,7−ジオール、5,7−ドデカジイン二酸、5,7−ドデカジイン−1,12−ジオール、5,7−エイコサジイン−1−オール、10,12−ヘンエイコサジイン酸、4,6−ヘプタデカジイン酸、2,4−ヘプタデカジイン−1−オール、2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、14−ヒドロキシ−10,12−テトラデカジイン酸、6,8−ノナデカジイン酸、5,7−オクタデカジイン酸、3,5−オクタジイン−1,8−ジオール、5,7−テトラデカジイン酸、10,12−トリコサジイン酸が含まれる。ジアセチレン化合物の別の例には、1,6−ビス−(4−メトキシ−フェニル)−1,6−ジフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,1,8,8,8−ヘキサフェニル−オクタ−3,5−ジイン−2,7−ジオール、 1,1,6,6−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラキス−ビフェニル−4−イル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1,6,6−テトラフェニル−ヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、およびその誘導体が含まれる。
【0016】
本発明の化合物の形成に使用する特に好ましいジアセチレン化合物は、1もしくは2個のカルボン酸基を有する化合物である。そのような化合物の例には、ジアセチレンモノカルボン酸化合物である10,12−ペンタコサジイン酸、およびジアセチレンジカルボン酸化合物である10,12−ドコサジイン二酸が含まれる。本発明のジアセチレン化合物には、不飽和構造を含むアルコール、アミンまたはチオール化合物を用いて形成されるエステル、アミドおよびチオエステルなど、カルボン酸誘導体が含まれる。「不飽和構造」という用語には、C=CおよびC≡Cなどの二重および三重結合基が含まれる。特に好ましい不飽和基は、末端モノアセチレン基−C≡C−Hである。特に好ましい例は、ジアセチレンモノ−またはジ−カルボン酸化合物と、プロパルギル、アルキルプロパルギルまたはジアルキルプロパルギル化合物、例えば、プロパルギルアルコール、プロパルギルアミンおよびそのN−アルキル誘導体、プロパルギルチオール、およびその1−メチルおよび1,1−ジメチル誘導体、例えば、2−アミノ−ブタ−3−イン、3−ブチン−2−オール、1,1−ジメチルプロパルギルアミンおよび2−メチル−3−ブチン−2−オール、およびジプロパルギルアミンおよびトリプロパルギルアミンおよびそれらの誘導体とを反応させることによって得られる。
【0017】
特に好ましい例は、ジアセチレンモノ−またはジ−カルボン酸化合物と、プロパルギル、アルキルプロパルギルまたはジアルキルプロパルギル化合物、例えば、プロパルギルアルコール、プロパルギルアミンおよびそのN−アルキル誘導体、プロパルギルチオール、およびその1−メチルおよび1,1−ジメチル誘導体、例えば、2−アミノ−ブタ−3−イン、3−ブチン−2−オール、1,1−ジメチルプロパルギルアミンおよび2−メチル−3−ブチン−2−オール、ジプロパルギルアミン、トリプロパルギルアミンおよびそれらの誘導体とを反応させることによって得られる。
【0018】
好ましい化合物は、エーテルなど、少なくとも一個のアルコール誘導体基を有する。より好ましい化合物は、エステル、チオエステル、アミドまたは酸無水物など、少なくとも一個のカルボン酸誘導体基を有する。特に好ましい酸は、10,12−ペンタコサジイン酸であり、10,12−ペンタコサジイン酸のエステル、チオエステル、酸無水物およびアミドなど、そのカルボン酸誘導体が特に好ましい。ジアセチレン化合物は、非イオン性、双性イオン性、カチオン性またはアニオン性であろう。
【0019】
特に好ましい化合物は、初めは無色もしくは低識別色であり、照射によって色付きになる化合物である。より好ましいものは、初めは無色もしくは低識別色であり、照射によって色付きになり、次いで、同一かもしくは異なる種類の放射による更なる照射によって、最初の色彩と異なる色彩に変化する化合物である。
【0020】
色彩変化反応をもたらす放射なら、どんな種類のものでも使用することができる。これには、レーザー照射または非干渉性の広帯域放射または単色放射が含まれる。具体的な放射の種類には、紫外線、近、中、もしくは遠赤外線、可視光線、マイクロ波、γ線、X線または電子ビームが含まれる。
【0021】
特に好ましいものは、紫外線照射への曝露によって無色もしくは低識別色から色付き状態に変化し、その後、赤外線照射への次の曝露によって、最初の色彩とは異なる色彩に変化する例である。
【0022】
本発明の化合物を含む基板に直接テキストを書き、図版を描くためにはレーザー照射が好ましい。レーザーイメージングは、適切なソフトウェアを用いてコンピューターにより好都合に制御することができるからである。しかし、類似の効果は、本発明の化合物を含む基板に放射が到達する前に、マスクに放射を通過させることによっても得ることができる。
【0023】
本発明のジアセチレン化合物は、単独で、または照射によって色彩変化反応を経る他の種類の化合物と混合して使用することができる。照射によって色彩変化反応を経る他の種類の化合物の好ましい例は、電荷移動カテゴリーに含まれる化合物である。これらは、中性のときは無色または低識別色であるが、電荷を得ると発色する化合物である。典型的には、これらの化合物は、プロトン化したとき、色付き化合物を形成する窒素含有塩基である。好ましい例は、アミンおよびカルバゾールである。これらの化合物は、熱的もしくは光分解的に開始し、またはその両方によって開始することが可能な酸発生種と組み合せて使用することが多い。好適な例には、WO2006/051309に開示されているものなどが含まれる。
【0024】
照射によって色彩変化反応を経る他の種類の化合物のさらに好ましい例は、「ロイコ染料」である。好適なロイコ染料は、Coating Conference(1983年、カリフォルニア州サンフランシスコ、pp157−165)で、ノースカロライナ州Greenboro在Ciba−Geigy Corp社の色素および化学薬品部門によって発表された『ノーカーボンコピー用紙に用いられる染料および化学薬品(Dyestuffs and Chemicals for Carbonless Copy Paper)』に記載されている。ロイコ染料は、中性またはアルカリ性媒体中では無色であるが、酸性または電子受容物質と反応させると色付きになることが分かっている。好適な例には、トリフェニルメタンフタリド化合物、アザフタリド化合物、イソインドリドフタリド化合物、ビニルフタリド化合物、スピロピラン化合物、ローダミンラクタム化合物、ラクトンおよびジラクトン化合物などの化合物、ベンゾイルロイコメチレンブルー(BLMB)、ビス−(p−ジ−アルキルアミノアリール)メタン誘導体、キサンテン類、インドリル類、アウラミン類、クロメノインドール化合物、ピロロ−ピロール化合物、フルオレン化合物、およびフルオランおよびビスフルオラン化合物が含まれ、フルオラン化合物が好ましい。特に好ましい市販のロイコ染料製品には、スイス国バーゼル在Ciba Speciality Chemicals社のPergascriptレンジ、および日本国京都府の山田化学工業株式会社のものが含まれる。他には、日本国東京都の日本曹達株式会社の子会社であるNisso Chemical有限責任会社によって製造されたものが含まれる。これらの化合物は、熱的もしくは光分解的に開始し、またはその両方によって開始できる酸発生種と組み合せて使用することが多い。特に好ましい酸発生種は、熱に安定性があり、光分解性機構によって作用するものである。酸発生剤の好ましい例は、炭酸プロピレンに混合したヘキサフルオロリン酸トリアリールスルホニウム塩である。
【0025】
本発明のジアセチレン化合物は、インクまたは塗料などの表面被膜調合物に含めることができる。表面被膜調合物には、当業者に公知の他の任意の添加剤、例えば、結合剤、色素、染料、樹脂、潤滑剤、可溶化剤、粒子状物質、蛍光発光剤などを含めることができる。特に好ましいものは、二酸化チタンなどの不透明化剤、真珠光沢色素および蛍光剤である。放射線吸収体を使用することもできる。本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質を含む表面被膜調合物は、当業者に公知の任意の印刷技術を使用する任意の基板に適用することができる。例には、フレキソ印刷、凹版印刷、グラビア、スクリーンなどが含まれる。この方式で適用する場合、本発明のジアセチレン化合物は、基板表面の薄膜内に含まれる。基板は、表面被膜調合物を適用することができる、当業者には公知の任意の基板であってよい。例には、紙およびボード、プラスチックフィルム、バルクプラスチック、金属、ガラス、セラミック、食品、医薬調製物などが含まれる。本発明のジアセチレン化合物を含む印刷基板を照射に曝露すると、テキスト、絵画、図案または他の画像および効果を創出するために使用できる色彩変化反応がもたらされる。
【0026】
本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質は、基板のバルク内に含めることもできる。基板は、プラスチックまたはガラスなどの固体、液体、ゲル、ゾル、乳濁液または、当業者には公知の他の任意の好適な物質相であってもよい。
【0027】
この種の適用に特に好ましい基板には、熱可塑性物質が含まれる。本発明のジアセチレン化合物を組み込むことができる熱可塑性物質の例には以下のものがある。アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリル樹脂、セルロイド、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン−ビニルアルコール(EVAL)、フッ素プラスチック(PTFE:FEP、PFA、CTFE、ECTFE、ETFEを含む)、アイオノマー、Kydex(アクリル/PVC合金)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POMまたはアセタール)、ポリアクリレート(アクリル系)、ポリアクリロニトリル(PANまたはアクリロニトリル)、ポリアミド(PAまたはナイロン)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEKまたはケトン)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、低密度型(LDPE)および高密度型(HDPE)を含むポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、塩素化ポリエチレンpolyethylene chlorinates(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、酸化ポリフェニレン(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)およびSpectralon。
【0028】
本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質は、固体もしくは液体マスターバッチ方式を使用する熱可塑性基板に適用することができる。これらの好適な例は、米国オハイオ州Cuyahoga Falls在Americhem Inc社、英国Stroud在Hampton Colours社、米国ニュージャージー州Perth Amboy在Riverdale Color社および米国オハイオ州Berea在ColorMatrix社から販売されている。
【0029】
本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質を、射出成形、またはEBMなどの押出法を使用する熱可塑性基板に適用して、本発明のジアセチレン化合物を含む部分を得ることができる。これには、中間体プリフォームの形成が含まれ、次いでこのプリフォームを延伸ブロー成形すると所望の部分が得られる。これらの適用技術は、本発明のジアセチレン化合物を含む容器および蓋の製造に有用である。これらの容器および蓋は、家庭用品およびパーソナルケア製品などの日用消費材での使用に特に適している。なぜなら、極めて末端の下流工程において、容器または蓋の上に任意のデータを印字できるからである。本発明のこの化合物によって、多成分混合物を必要とせずに多色を得ることもでき、使用者は、単に照射を制御することによって、所望したどの色彩を選択することもできる。本発明のジアセチレン化合物を含む部分を照射に曝露すると、テキスト、絵画、図案または他の画像および効果を創出するために使用できる色彩変化反応がもたらされる。
【0030】
本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質を含む熱可塑性物質にはまた、熱可塑性物質加工の当業者には公知の他の添加剤を含めることもできる。特に好ましいものは、二酸化チタンなどの不透明化剤、真珠光沢色素および蛍光剤、ならびにUV吸収体およびNIR吸収体などの放射線吸収体である。他の添加剤には、再加熱剤(reheat agent)、滑剤(slip additive)、酸化防止剤、光および熱安定剤、金属非活性化剤、PVC安定剤、可塑剤、潤滑剤、PVC加工助剤、衝撃改質剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光漂白剤、生物安定剤、抗菌剤、化学膨張剤、有機ペルオキシド造核剤、抗アセトアルデヒド剤、酸素バリア、二酸化炭素バリア、加工助剤、安定剤およびHALSが含まれる。
【0031】
本発明のジアセチレン化合物および/または他の物質には、押出フィルムを含むポリマーを含めてもよい。これは、直接印刷法に特に適しており、特に、色彩変化反応を開始するためにレーザーの使用が関与する直接印刷法に適している。
【0032】
以下の実施例1および2は、本発明の化合物を例示する。実施例3、6、7、10、11、12a、13a、15、16および17は射出成形での、実施例4および5は表面被膜での、および実施例8、9、12b、13bおよび14bはブロー成形でのその用途を例示する。
【実施例1】
【0033】
モノ−アミドジアセチレン化合物1
窒素雰囲気下で、10,12−ペンタコサジイン酸(例えば、GFS Chemicals社、8.0g)をジクロロメタン(150ml)に溶解した。この溶液に、塩化オキサリル(例えば、Aldrich社、6.0g)を加えた後、10滴のDMFを加えた。次いで、反応混合物を20℃で4時間攪拌した。
【0034】
10分かけて、プロパルギルアミン(例えば、GFS Chemicals社、1.27g)が溶解している10%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を、10,12−ペンタコサジイン酸塩化物の反応混合物に加えた。次いで、反応混合物を20℃で30分間攪拌して放置した。次いで、反応混合物を終夜放置して相分離させた。次いで、下方のDCM層を取り除いた後、終夜冷凍室中に置いた。得られた沈殿物を真空ろ過によって回収して、40℃のオーブン中で乾燥させた。
【0035】
生成物の化学式は、以下の通りである。
【化1】

【実施例2】
【0036】
ビス−アミドジアセチレン化合物2
窒素雰囲気下で、10,12−ペンタコサジイン酸(例えば、GFS Chemicals社、8.0g)をジクロロメタン(150ml)に溶解した。この溶液に、塩化オキサリル(例えば、Aldrich社、6.0g)を加えた後、10滴のDMFを加えた。次いで、反応混合物を20℃で4時間攪拌した。
【0037】
10分かけて、1,8−ジアミノオクタン(例えば、GFS Chemicals社、1.58g)が溶解している10%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を、10,12−ペンタコサジイン酸塩化物の反応混合物に加えた。次いで、反応混合物を20℃で30分間攪拌して放置した。得られた沈殿物を真空ろ過によって回収して、40℃のオーブン中で乾燥させた。
【0038】
生成物の化学式は、以下の通りである。
【化2】

【実施例3】
【0039】
化合物1および化合物2を、ポリプロピレン板にそれぞれ射出成形した。これらのポリプロピレン板は、呈色特性に優れており、深い/明るい赤色、深紅色および青色が得られた。プロパルギルアミンの代わりにプロピルアミンを使用して調製した類似の化合物に、化合物1および化合物2を置き換えた場合、PP板(ポリプロピレン板)の呈色特性は不十分であり、淡くてくすんだ色彩が得られた。
【実施例4】
【0040】
化合物1(5g)およびElvacite 2028(例えば、Lucite International社、低分子量メタクリレート共重合体)の15%MEK(95g)溶液から成るインクを調合した。50mlEiger-Torranceビーズミルを使用して、インク調合物を10分間粉砕した。
【0041】
コピー用紙とHiFi50μm白色PETフィルムの表面にインクを引き、約3〜6gsmの被覆重量を得た。
【0042】
被膜した両基板は、初めは白色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、被膜した基板を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、次いで橙色、次いで黄色に変化した。
【0043】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、被膜した基板上にテキストを書き、絵画および図案を描いた。設定したフルエンスに応じて、これらの画像を単色または多色で生成することができた。
【実施例5】
【0044】
化合物2(5g)およびElvacite 2028(例えば、Lucite International社、低分子量メタクリレート共重合体)の15%MEK(95g)溶液から成るインクを調合した。50mlEiger-Torranceビーズミルを使用して、インク調合物を10分間粉砕した。
【0045】
コピー用紙とHiFi50μm白色PETフィルムの表面にインクを引き、約3〜6gsmの被覆重量を得た。
【0046】
被膜した両基板は、初めは白色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、被膜した基板を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0047】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、被膜した基板上にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例6】
【0048】
化合物1(1.5g)をBorealis HG 385 MOポリプロピレン(150g)と混合した。次いで、バレル温度を220℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0049】
得られた部品である蓋は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0050】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【0051】
―比較例―
実施例6を繰り返したが、化合物1の代わりに10,12−ペンタコサジイン酸を使用した。
【0052】
蓋は、初めは無色であったが、広帯域紫外線照射に曝露すると非常に淡い青色になった。Boschヒートガンを使用し、さらに赤外線照射に曝露すると、非常に淡い青色が、非常に淡い赤色に変化した。
【0053】
得られた色彩は、実施例6で得られた色彩よりもさほど濃くはなかった。
【実施例7】
【0054】
実施例6を繰り返したが、二酸化チタン(1%)を加えた。
【0055】
得られた蓋は、初めは白色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0056】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例8】
【0057】
化合物1(1.5g)をHastalen ACP5831 Dポリエチレン(150g)と混合した。次いで、190℃に設定した押出ブロー成形機を使用して、混合物を押出ブロー成形した。
【0058】
得られた部品であるボトル容器は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0059】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、ボトルにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例9】
【0060】
実施例8を繰り返したが、二酸化チタン(1%)を加えた。
【0061】
得られたボトルは、初めは白色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0062】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例10】
【0063】
化合物2(1.5g)をBorealis HG 385 MOポリプロピレン(150g)と混合した。次いで、バレル温度を220℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0064】
得られた部品である蓋は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0065】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【0066】
化合物2で得られた色彩は、同量の10,12−PDAを用いて得られた色彩よりも、はるかに濃い色であった。
【実施例11】
【0067】
実施例10を繰り返したが、二酸化チタン(1%)を加えた。
【0068】
得られた蓋は、初めは白色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0069】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例12】
【0070】
―実施例12a―
化合物1(1.5g)をBorealis HG 385 MOポリプロピレン(150g)と混合した。次いで、バレル温度を220℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0071】
得られた部品であるボトルプリフォームは、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、プリフォームを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0072】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、プリフォームにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【0073】
―実施例12b―
実施例12aで調製したポリプロピレンプリフォームをボトルに延伸ブロー成形した。これは、無色プリフォームおよび色付きプリフォームの両方を用いて実施した。いずれの場合にも、得られたボトルの無色領域は、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、ボトルを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0074】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、ボトルにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例13】
【0075】
―実施例13a―
化合物2(1.5g)をBorealis HG 385 MOポリプロピレン(150g)と混合した。次いで、バレル温度を220℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0076】
得られた部品であるボトルプリフォームは、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、プリフォームを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0077】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、プリフォームにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【0078】
―実施例13b―
実施例13aで調製したポリプロピレンプリフォームをボトルに延伸ブロー成形した。これは、無色プリフォームおよび色付きプリフォームの両方を用いて実施した。いずれの場合にも、得られたボトルの無色領域は、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、ボトルを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0079】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、ボトルにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例14】
【0080】
―実施例14a―
化合物2(1.5g)をMelinar B60ポリエステル(150g)と混合した。次いで、バレル温度を280℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0081】
得られた部品であるボトルプリフォームは、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、プリフォームを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0082】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、プリフォームにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【0083】
―実施例14b―
実施例14aで調製したポリエステルプリフォームをボトルに延伸ブロー成形した。これは、無色プリフォームおよび色付きプリフォームの両方を用いて実施した。いずれの場合にも、得られたボトルの無色領域は、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、ボトルを赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化した。
【0084】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、ボトルにテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例15】
【0085】
プロピレンカーボネイト(2.0g)に混合したN−エチルカルバゾール(1.5g)、トリフェニルアミン(0.5g)およびヘキサフルオロリン酸トリアリールスルホニウム塩(50%)と共に、Hastalen ACP5831 Dポリエチレン(150g)と化合物1(1.5g)を混合した。次いで、バレル温度を190℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0086】
得られた部品である蓋は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0087】
広帯域UV照射に長時間曝露すると、無色領域は初め青色に変わり、次いで緑色に変化した。無色の蓋をヒートガンで加熱し、次いで高温の蓋を広帯域UV照射に曝露すると、緑色になった。
【0088】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例16】
【0089】
プロピレンカーボネイト(1.5g)に混合したYamada Yellow Y726(0.75g)およびヘキサフルオロリン酸トリアリールスルホニウム塩(50%)と共に、Hastalen ACP5831 Dポリエチレン(150g)と化合物1(1.5g)を混合した。次いで、バレル温度を190℃に設定した射出成形機を使用して、混合物を射出成形した。
【0090】
得られた部品である蓋は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0091】
広帯域UV照射に長時間曝露すると、無色領域は初め青色に変わり、次いで緑色に変化した。無色の蓋をヒートガンで加熱し、次いで高温の蓋を広帯域UV照射に曝露すると、黄色になった。
【0092】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。
【実施例17】
【0093】
プロピレンカーボネイト(2.0g)に混合したYamada Yellow Y726(0.5g)およびPergacript Blue SRB(0.5g)およびヘキサフルオロリン酸トリアリールスルホニウム塩(50%)と共に、Hastalen ACP5831 Dポリエチレン(150g)と化合物2(1.5g)を混合した。次いで、バレル温度を190℃に設定した射出成形機を使用し、混合物を射出成形した。
【0094】
得られた部品である蓋は、初めは無色であったが、Jenten UV硬化機によって供給された広帯域紫外線照射に曝露すると青色になった。Boschヒートガンを使用し、蓋を赤外線照射にさらに曝露すると、青色は深紅色に変化し、次いで赤色に変化し、続いて橙色および黄色に変化した。
【0095】
広帯域UV照射に長時間曝露すると、無色領域は初め青色に変わり、次いで緑色に変化した。無色の蓋をヒートガンで加熱し、次いで高温の蓋を広帯域UV照射に曝露すると、緑色になった。
【0096】
IBM互換機PCにリンクした266nm・3WのUVレーザーを使用して、蓋にテキストを書き、絵画および図案を描いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射によって色彩が変化し、かつ下記の一般構造式を有する化合物。
X−C≡C−C≡C−Y−(CO)−QZ
[式中、XはH、アルキルまたは−Y−(CO)−QWであり;各Yは同じか、または異なる二価のアルキレン基であり;QはO、SまたはNRであり;RはHまたはアルキルであり;WはH、アルキルまたはZであり;各Zは同じか、または異なる不飽和アルキル基であり;かつ各nは0または1である]
【請求項2】
Zが−C≡CHを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Zが、プロパルギル、アルキルプロパルギルまたはジアルキルプロパルギルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
H−Q−Zが、プロパルギルアルコール、プロパルギルアミン、ジプロパルギルアミン、トリプロパルギルアミン、1,1−ジメチルプロパルギルアミン、プロパルギルチオールまたは1,1−ジメチルプロパルギルアルコールとなるようなQおよびZである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
X−C≡C−C≡C−Y−COOHが、10,12−ペンタコサジイン酸であるようなXおよびYである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
QがNRである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Xが、Hまたはアルキルである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、および照射によって色彩を変化させることができる少なくとも一種の他の物質を含む組成物。
【請求項9】
前記他の物質が電荷移動剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記電荷移動剤が、少なくとも一個の窒素原子を含む化合物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記電荷移動剤が芳香族アミンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記電荷移動剤がカルバゾールである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記他の物質がロイコ染料である、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
さらに、光酸発生剤を含む、請求項8〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
さらに、不透明化剤、真珠光沢剤もしくは蛍光剤、および放射線吸収性物質から選択した一種もしくは複数の添加剤を含む、請求項8〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を含む材料を着色する方法であって、前記材料に照射するステップを含む方法。
【請求項17】
前記照射が紫外線照射である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
照射が、紫外線照射と、その後の赤外線照射である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記照射が、レーザー照射または非干渉性放射である、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2011−510920(P2011−510920A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543560(P2010−543560)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000174
【国際公開番号】WO2009/093028
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(507055925)データレース リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】DATALASE LTD.
【Fターム(参考)】