説明

多芯型コネクタ

【課題】多チャネルのケーブルに対して適用可能で、雌型コネクタ部と雄型コネクタ部との接合に位置決めの自由度を与えると共に、接合を正確かつ容易に実施することができる多芯L型コネクタを提供すること。
【解決手段】雌型コネクタのコンタクト部2は中心の芯線であり、コンタクト部4,6,8は、コンタクト部2を中心とする同心円に沿って配置された多層リング構造を有する。コンタクト部2,4,6,8の各々の長手方向のサイズは、インシュレータ部3,5,7,9の長手方向のサイズよりも長くする。コンタクト部2の先端部は中空にし、コンタクト部22を収納して装着する。接続リング12は、雄型コネクタ部(別図)との接合後に、該雄型コネクタ部との連結を確実にし、両者が振動等によって外れることがないようにするため、手操作等で回転させてネジ止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多芯型コネクタに関し、特に、雌型コネクタ部と雄型コネクタ部との接合を正確かつ容易に行い得る多芯型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測定器や通信機器の信号伝達に使用されるケーブルは、チャンネル数が増大しており、よって、このような多チャンネルのケーブルを、他のケーブルや機器と電気的に接続するためのコネクタも、その構造が複雑化している。
従来、例えば、図13(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に示すように、側方から見た形状がL字型を呈する多芯L型コネクタ101は、ストレート型のコネクタではケーブルの曲げを十分に確保できないような場所、即ち、例えば、隣接する機器同士が間隔が少ない場所などで使用されている。また、多芯L型コネクタは、ケーブルの周波数特性を該ケーブルの曲げによって悪化させることを防ぐためにも使用されている。
上記多芯L型コネクタ101では、図13(c)に示すように、雄型コネクタ部101Bの接触部位に複数のピン102Bが設けられており、他方、雌型コネクタ部101Aの接触部位には、複数の該雄型コネクタ部101Bのピン102Bを受け入れるための複数の小円孔102Aが設けられている。
このような従来の多芯L型コネクタ部101の雄型コネクタ部101Bと雌型コネクタ部101Aの接合(電気的且つ機械的な接続)においては、接合に際しての両者の位置合わせが大変に厄介な作業であった。
【0003】
即ち、接合を可能にする両者の位置関係には、ピンポイントの正確さが要求され、角度が少しでも食い違うと接合できなかった。
しかも、両者の位置合わせが正しいか否かは、目視が困難な場合が多く、雄型コネクタ部と雌型コネクタ部とが、両者の最初の接触部位よりもさらに奥深く挿入した時点で判定するといった、試行錯誤の結果に基づく判定手段しか与えられていなかった。
また、コネクタの表面に図13(e)、(d)に示すような位置合わせ用の目印103を表示したとしても、一般に、機器へのコネクタの接続個所が、背面側であったり、側面側であったりするため、この目印を目視して作業することは困難な状況にあった。
このため、一般に、正しい位置合わせが得られるまでには、作業者に与えられた狭い作業空間や、コネクタの接合部が占める狭い接合空間において、数多くの試行錯誤を繰り返すことになり、これが作業の負担となると共に、誤った角度位置で挿入すると、雄型コネクタ部101Bと雌型コネクタ部101Aとの度重なる突き合わせによってコネクタが損傷する恐れも生じていた。
【0004】
また、この分野の公知技術としては、例えば、特許文献1(特開2002−75551号公報)に記載のものがある。この特許文献1には、取付状態においてコネクタ部をプラグ部に対して回転させ得る技術が開示されている。具体的には、コネクタ部は、断面が略円筒状とされたコネクタ用収納室内に嵌着された絶縁性のコネクタ用筒状絶縁体と、該コネクタ用筒状絶縁体で保持された中心コンタクト部とからなり、プラグ部は、略直交して配置されたプラグ用収納室内に嵌着された絶縁性のプラグ用筒状絶縁体と、該プラグ用筒状絶縁体で保持された中心導体とからなっている。プラグ部における回転取付体を同軸コネクタに取り付けた際に、同軸コネクタの先端面が回転取付体内の突起に当接し、コネクタプラグ本体は回転可能な構成となっている。
また、他の公知文献としては、例えば、特許文献2(特開2010−80317号公報)に記載のものがある。即ち、この特許文献2には、ケーブル装着部に対してコネクタ接続部が回転・ロック可能な回転コネクタが記載されている。具体的には、筒状のケーブルが装着されるケーブル装着部と、所定の箇所で屈曲部を有する筒状であり、その一端側は上記ケーブル装着部の一端側に回転可能にかつ電気的に接続される一方、他端側は接続相手であるコネクタと電気的に接続されるコネクタ接続部と、上記ケーブル装着部に向けて引き付け且つ上記ケーブル装着部に押圧することで、上記ケーブル装着部に対して上記コネクタ接続部の回転をロックする回転ロック部と、を備え、上記ケーブル装着部は、コネクタボトムとコネクタミドルとを含み、また、上記コネクタ接続部は、コネクタヘッドと相手取付用ナットとを含み、上記回転ロック部は、ロックナットとを含む回転コネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−75551号公報
【特許文献2】特開2010−80317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および2は、1チャンネルの信号伝達あるいは電力伝達にのみ使用可能であるが、多チャンネルの信号を伝達することは不可能であった。
また、特許文献1および2のものが提案されても、これを多チャンネル化することは、容易なことではない。
例えば、コネクタは、操作性を良くするために、コンタクトの抜去力を小さくする必要がある。ところが、抜去力を小さくしようとすると、接触抵抗が不安定になる可能性があり、逆に接触抵抗を安定させるためにコンタクトの抜去力を大きくすると、操作性が悪くなる、という二律背反に陥ることになる。
一般的な4芯コネクタでは、同形状のコンタクトを4本配置しているので、結合力は、1本当たりの抜去力が10Nとすると、10N×4本=40Nとなるので、管理が容易である。
しかしながら、形状が異なる(中心からの距離が異なる)コンタクトを4本配置するとなると、結合力の予想が難しく、試行錯誤を余議なくされる。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、多チャンネルのケーブルに対して適用可能で、雌型コネクタ部と雄型コネクタ部との接合に際し、特段の位置決めのための目印を付する必要がなく、接触抵抗が安定であって、適正な抜去力で接合、離脱を正確且つ容易に実施することができる多芯型コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明に係る多芯型コネクタは、上述した目的を達成するために、
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
先端部に嵌入溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記ロッド状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外周に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部の基端側を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外周に嵌合してこれを保持する剛性大なる円筒状を呈する第1のシェル部と、
前記各々のコンタクト部、前記各々のインシュレータ部の基端を受容し、内部で、各コンタクト部とケーブルとの接続部および多芯ケーブルの一部とを、固定させてなるリアーシェル部とを含んで構成され、
前記雄型コネクタ部は、
先端部がピン状を呈するピン状コンタクト部と、
前記ピン状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外側に嵌合する第2番目のコンタクト部と前記第2番目のコンタクト部を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下、同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外側に嵌合してこれを保護する剛性大なる円筒状を呈する第2のシェル部と、
を含んで構成されて成ることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載した発明に係る多芯型コネクタは、上記の目的を達成するために、
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
円筒状を呈する第1のシェル部と、
複数のチャンネルのいずれか1つに対応する電気の導体として前記第1のシェル部の中心部に配され、先端部に溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記第1のシェル部と前記第1のロッド状コンタクト部との間に間隙を設けて前記中心部の回りに複数同心状に配設され、且つ前記チャンネルを除く残りのチャンネルに対応する電気の導体としてそれぞれ機能する複数の第1の円筒状コンタクト部と、
前記第1のロッド状コンタクト部、前記複数の第1の円筒状コンタクト部および第1のシェル部との間に円筒状に形成される空隙の一部分に配設された絶縁性を有する複数の円筒状の第1のインシュレータ部と、
前記第1のシェル部の外周部に回動可能に嵌合し少なくとも一方向への移動に際し、前記第1のシェル部に係止される接続リング部と、
前記ケーブルの一端を収納する胴体部を有し、前記胴体部の側面の1つに設けた開口部から前記第1のシェル部の基端部側を収納するリアーシェル部と、
を備え、
前記雄型コネクタ部は、
円筒状を呈する第2のシェル部と、
前記複数のチャンネルのいずれか1つに対応する電気の導体として前記第2のシェル部の中心部に配された第2のピン状コンタクト部と、
前記第2のシェル部と前記第1のピン状コンタクト部との間に間隙を設けて前記中心部の回りに複数同心状に配設され、且つ前記チャンネルを除く残りのチャンネルに対応する電気の導体として機能する複数の第2の円筒状コンタクト部と、
前記第2のピン状コンタクト部と前記複数の第1の円筒状コンタクト部との間に形成されている空隙の所定の一部分に配された絶縁性を有する複数の第1のインシュレータ部と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記第1のシェル部と前記接続リング部との間に、防水性を有するOリングまたはガスケットを介挿していることを特徴としている。
また、請求項4に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記接続リングの先端部内周面に第1のねじ部を備え、且つ前記第2のシェル部の先端部外表面に前記ねじ部に螺合し得る第2のねじ部を備えたことを特徴としている。
また、請求項5に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記リアーシェル部の内部に、絶縁性を有する接着剤が注入され前記複数のケーブルを固定していることを特徴としている。
また、請求項6に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記第1のロッド状コンタクト部および前記複数の第1の円筒状コンタクト部と、前記第2のピン状コンタクト部および前記複数の第2の円筒状コンタクト部とは、前記接合時にチャンネル対応の接触状態となることを特徴としている。
【0010】
また、請求項7に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記雌型コネクタ部と前記雄型コネクタ部とは、相対的に回動可能であり、また、前記接続リング部を用いた係合状態においては、相対的の回動は抑止されるように構成したことを特徴としている。
また、請求項8に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記第1のロッド状コンタクト部および前記複数の第1のリング状コンタクト部と、前記第2のピン状コンタクト部および前記複数の第2の円筒状コンタクト部との、長手方向のサイズの長さを各々調節することにより、前記両者の接触順序が設定可能なるように構成されていることを特徴としている。
また、請求項9に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記溝は、前記第2のピン状コンタクト部の先端部が嵌入し電気的接触を実現するものであることを特徴としている。
また、請求項10に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記複数の第1のインシュレータ部の各々の先端側の部分が細径に形成されて中間に段差部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項11に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記複数の第1のコンタクト部の各々の先端側の部分に複数のスリットが形成されていることを特徴としている。
また、請求項12に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記第1のインシュレータ部の各々は、前記中心部に近い位置に配されたものが、前記中心部に遠い位置に配されたものよりも柔らかい樹脂で形成されていることを特徴としている。
また、請求項13に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を同軸ケーブル部を介して授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
先端部に嵌入溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記ロッド状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外周に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部の基端側を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外周に嵌合してこれを保持する剛性大なる円筒状を呈する第1のシェル部と、
前記同軸ケーブル部は、
前記雌型コネクタ部の前記第1のロッド状コンタクト部の基端部に接続された同軸ケーブルの中心導体と、
前記雌型コネクタ部の特定の前記コンタクト部の基端部に接続された前記同軸ケーブルのシールド線と、
前記雌型コネクタ部の他の複数の前記コンタクト部の基端部にそれぞれ接続された前記同軸ケーブルの複数の芯線と、
前記雌型コネクタ部の基端部側に接合され、前記同軸ケーブルと前記雌型コネクタ部との接続部を囲繞して保護する保護用シェル部と、
前記雄型コネクタ部は、
先端部がピン状を呈するピン状コンタクト部と、
前記ピン状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外側に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下、同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外側に嵌合してこれを保護する剛性大なる円筒状を呈する第2のシェル部と、
を含んで構成されて成ることを特徴としている。
また、請求項14に記載した発明に係る多芯型コネクタは、
前記保護用シェル部に挿通され各コンタクト部と接続された前記同軸ケーブルに引張力が加えられても抜け出ないような抜け防止部材を付設してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
先端部に嵌入溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記ロッド状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、前記第1番目のインシュレータ部の外周に嵌合する第2番目のコンタクト部と、前記第2番目のコンタクト部の基端側を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、以下同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外周に嵌合してこれを保持する剛性大なる円筒状を呈する第1のシェル部と、
前記各々のコンタクト部、前記各々のインシュレータ部の基端を受容し、内部で、各コンタクト部とケーブルとの接続部および多芯ケーブルの一部とを、固定させてなるリアーシェル部とを含んで構成され、
前記雄型コネクタ部は、
先端部がピン状を呈するピン状コンタクト部と、
前記ピン状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、前記第1番目のインシュレータ部の外側に嵌合する第2番目のコンタクト部と前記第2番目のコンタクト部を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と以下、同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外側に嵌合してこれを保護する剛性大なる円筒状を呈する第2のシェル部とを含んで構成されて成ることによって、多チャンネルのケーブルに対して適用可能で、雌型コネクタ部と雄型コネクタ部との接合に際し、特段の位置決めのための目印を付する必要がなく接触抵抗が安定であって、適正な抜去力で接合、離脱を正確且つ容易に実施することができる多芯型コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部の要部の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雄型コネクタ部の要部の構造を示すもので、図2(a)は、断面図、図2(b)は、その右側面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る多芯型コネクタの構造を示し、図3(a)は、雄型コネクタ部の側面部分断面図、図3(b)は、雄型コネクタ部の正面図、図3(c)は、雌型コネクタ部の正面図、図3(d)は、雌型コネクタ部の側面部分断面図を、それぞれ示すものである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの詳細構造を示し、図4(a)は雌型コネクタ部の側面部分断面図、図4(b)は、雌型コネクタ部の正面図、図4(c)は、雄型コネクタ部の正面図、図4(d)は、雄型コネクタ部の側面部分断面図を、それぞれ示すものである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの詳細構造を示し、図5(a)は、雌型コネクタ部の背面図、図5(b)は、雌型コネクタ部の側面部分断面図を、それぞれ示すものである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部の側面部分断面図を示す。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部と雄型コネクタ部の主としてコネクタ部を分かり易く表示した側面部分断面図を示し、図7(a)は、雌型コネクタ部の断面を示し、図7(b)は、雄型コネクタ部分の部分断面図を示すものである。
【図8】本発明の第1の実施の形態および第2の実施形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とが異なる接触位置で接合した状態の側面部分断面図を示し、図8(a)は、中心部のコンタクト部が最先に接触する状態を示し、図8(b)は、最も外側のコンタクト部が最先に接触する状態を示すものである。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部のインシュレータを除いた状態の構造を示すものであり、図9(a)は、側面部分断面図を示し、図9(b)は、正面図を示すものである。
【図10】本発明の第1の実施の形態の多芯型コネクタに使用されるインシュレータの構成を示すもので、図10(a)は、正面図、図10(b)は、右側面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の多芯型コネクタに使用されるコンタクト部の構成を示すもので、図11(a)は、正面図、図11(b)は、右側面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係るものであり、雌型コネクタ部に、同軸ケーブルを接続してなる多芯型コネクタの構成を詳細に示す断面図である。
【図13】従来の多芯L型コネクタの構成を示すもので、図13(a)は、雌型コネクタ部の左側面図、図13(b)は、その正面図、図13(c)は、雄型コネクタ部の正面図、図13(d)は、その右側面図、図13(e)および(f)は、取付位置を示すマークが付された状態を説明するためのそれぞれの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタは、多チャンネルのケーブルに対して適用可能なコネクタであり、雌型コネクタ部の形状を、中心線の回りにコネクタ部が多重に巻装されて同心円筒状の多層円筒構造とすると共に、チャンネルを該円筒(リング)と1対1対応に接続することで、雌型コネクタ部と雄型コネクタ部との接合を正確かつ容易に実施することができるようにするものである。
即ち、雌型コネクタ部の形状を、中心線の回りにコネクタ部が直径が段階的に異なる同心円筒状の多層円筒構造とすることにより、雄型コネクタ部と雌型コネクタ部との位置合わせに際して、両者の回転角に対して実質的に無制限の自由度が付与されるものである。
以下、本発明に係る多芯型コネクタの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部の要部の構成を示す断面図である。
図1において、本実施の形態の多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aは、リアーシェル部1と、コンタクト部2,4,6,8と、インシュレータ部3,5,7,9と、シェル部10と、Oリング(またはガスケット)部11と、接続リング部12と、接着剤14と、を具備する。
【0015】
図1に示す多芯型コネクタでは、多芯ケーブル13の端部をリアーシェル部1内に固定する構成としているが、一般に、本発明の多芯型コネクタは、リアーシェル部1内に多芯ケーブル13の他にも、チャンネルを有する他の電気部品(抵抗、コンデンサ、その他ICチップ等)を装着することが可能である。
上記の各コンタクト部2、4、6、8と各インシュレータ部3、5、7、9を、中心部から互い違いに順次多層状態に嵌合させるように配設する。
より詳しくは、図1に示す多芯型コネクタでは、最も内側(第1番目)のコンタクト部2と第2番目のコンタクト部4との間には第1番目のインシュレータ部3を、第2番目のコンタクト部4と第3番目のコンタクト部6との間には、第2番目のインシュレータ部5を、第3番目のコンタクト部6と第4番目のコンタクト部8との間には第3番目のインシュレータ部7を、第4番目のコンタクト部8とシェル部10との間には、第4番目のインシュレータ部9を、それぞれ順次配設する。このように多層状に組立てられた上で、円筒状のシェル10の中に嵌装されて、所定の間隔が設けられたプラグ体が形成される。
【0016】
なお、コンタクト部2,4,6,8の各々の長手方向のサイズは、インシュレータ部3,5,7,9の長手方向のサイズよりも長く設定する。
【0017】
これらの各コンタクト部2、4、6、8と各インシュレータ部3、5、7、9とは、その基端側(図1において左側)部分を上述した円筒状のシェル10で固定化され、さらに、基端部をリアーシェル部1の円形開口部1aに挿入し、さらに、リアーシェル部1の内部には絶縁性を有する接着剤14を流し込んで固める。尚、接着剤14は、必須のものではないが、耐久性、防水性等の観点からは、接着剤14を充填することがより好ましい。
また、これらの各コンタクト部2、4、6、8と各インシュレータ部3、5、7、9を内装した円筒状シェル部10の外周には、剛性大なる接続リング部12が嵌合されており、円筒状シェル部10と接続リング12との間には、Oリング(またはガスケット)部11が挿入されている。
さらに、円筒状シェル部10の外周側の中央部にOリング(またはガスケット)部11を嵌め込むための溝が形成され、また、基端側を小径にし、中間部を大径にして段差部10aが形成されている。
この円筒状シェル部10に嵌合する接続リング部12の基端側内周面には、上記段差部10aと係合する段差部12aが形成され、先端側内周部には、雌ねじ部12bが形成されている。
【0018】
この接続リング12の雌ねじ部12bは、雄型コネクタ部Bとの接合後に、該雄型コネクタ部Bとの連結を確実にし、両者が振動等によって外れることがないようにするため、後に詳しく説明するが、手操作等で回転させてねじ止めする。
図1に示すように、中心部のコンタクト部2は、雌型コネクタ部Aの中心の接点であり、第2番目、第3番目、第4番目のコンタクト部4,6,8は、コンタクト部2を中心とする同心円に沿って配置された多層リング(円筒)構造を有する。
コンタクト部2の先端部は、中空の溝が穿設されており、雄型コンタクトBの中心部のコンタクト部22と嵌合して機械的、電気的な接続ができるようにしている。尚、各コンタクト部2、4、6、8の先端内面側には、接合を円滑にするためのテーパが形成されている。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雄型コネクタ部Bの要部の構造を示すもので、図2(a)は、断面図、図2(b)は、その右側面図である。
同図において、第1の実施の形態の多芯型コネクタの雄型コネクタ部Bは、ガイドとなる円筒形状のシェル部21と、コンタクト部22,24,26,28と、インシュレータ部23,25,27,29と、を具備する。
【0019】
上記の各コンタクト部22、24、26、28と各インシュレータ部23、25、27、29とは、中心から互い違いに順次多層重ね状態に嵌合させるように配置する。
図2に示す多芯型コネクタでは、第1番目のコンタクト部22と第2番目のコンタクト部24との間には第1番目のインシュレータ部23を、第2番目のコンタクト部24と第3番目のコンタクト部26との間には第2番目のインシュレータ部25を、第3番目のコンタクト部26と第4番目のコンタクト部28との間には第3番目のインシュレータ部27を、第4番目のコンタクト部28と円筒状のシェル部21との間には、第4番目のインシュレータ29をそれぞれ配する。即ち、第1番目のコンタクト部22と第4番目のインシュレータ29からなる多層円筒体の集合体は、円筒型のシェル部21内へ固く嵌装される。
円筒型のシェル部21の先端側(図2において左側)の外周部には、上述した雌型コネクタ部Aの雌ねじ部12bと螺合する雄ねじ部21aが形成されている。
なお、この実施の形態では、多芯型コネクタが4チャンネルを有する場合を例としたが、一般に本発明に係る多芯型コネクタのチャンネル数は、例えば、3チャンネル、あるいは5チャンネル、6チャンネル、7チャンネル・・・等任意の複数である。
【0020】
以下、第1の実施の形態の多芯型コネクタの構成および機能について説明する。
コンタクト部2,4,6,8及びコンタクト部22,24,26,28は、いずれも金属、例えば、強度が大きく、耐摩耗性に優れたベリリウム黄銅、その他の導体や、金メッキ、銀メッキを施した合成樹脂を使用し得る。
また、コンタクト部2,4,6,8およびコンタクト部22,24,26,28は、それぞれ前記4チャンネルのいずれかのチャンネルに対応するものである。
また、インシュレータ部3,5,7,9およびインシュレータ部23,25,27,29は、いずれも非導電性の合成樹脂やゴム等を素材として構成することができる。
この第1の実施の形態の多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aまたは雄型コネクタ部Bは、例えば、少なくともその一方を4チャンネルの多芯ケーブルに接続するものであるが、この場合、コンタクト部2,4,6,8またはコンタクト部22,24,26,28は、リアーシェル部1内に導入した電線と、チャンネル対応で半田付け等の手段で接続するものとする。
【0021】
図1,2に示す多芯型コネクタでは、コンタクト部2、コンタクト部4、コンタクト部6、コンタクト部8の接触部の軸方向のサイズを順次長くしており、他方、コンタクト部24、コンタクト部26、コンタクト部28の接触部の軸方向のサイズを順次短くしている。
なお、最も中心部のコンタクト部22は、図2に示す多芯型コネクタではコンタクト部24の長手方向のサイズと同じにしているが、一般に、コンタクト部22の長手方向のサイズをコンタクト部24の長手方向のサイズよりも長くすることができる。
このような構造により、図1,2に示す多芯型コネクタでは、接合時に、コンタクト部2とコンタクト部22、コンタクト部4とコンタクト部24、コンタクト部6とコンタクト部26およびコンタクト部8とコンタクト部28とが、この順に接触して、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとを最終的に接合する。
しかし、一般に、本発明に係る多芯型コネクタでは、雌型コネクタ部Aのコンタクト部2,4,6,8と、雄型コネクタ部Bのコンタクト部22,24,26,28との接触順序は、多芯L型コネクタの構造次第で任意の順序とすることができる(詳細は後述する)。
このようなコンタクト部の接触順序は、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとを接続する場合などで、回路の保護等に役立つものである。また、接地線が最初に接続され、かつ最後に引き離されるようにすれば、作業者の感電防止に役立つものである。
【0022】
雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとの位置合わせの精度を高め、両者を正確に且つ円滑に接合するためには、上記の各コンタクト部2、4、6、8の基端部を固定している上記の各インシュレータ部3、5、7、9における支持方法を工夫する必要性が有る。このため、本実施の形態に係る多芯型コネクタでは、図10(a)、図10(b)に示すように上記の各インシュレータ部3、5、7、9の基端部を大径にして厚肉とし、先端側を小径にして薄肉として、段差部(3a、5a、7a、9a)を設けている。これは、各インシュレータ部3、5、7、9の内外に隣接するコンタクト部2、4、6、8を挟む際、基端側は、強固に固定されるが、先端側には、段差部3a、5a、7a、9aを形成してあるので、余裕をもって広がったり若干の曲げを許すことができると共に、各コンタクト部を固定している各インシュレータ部のひずみを最小限に抑えることにも機能する。
また、一般に、作業者の作業負担を軽減するためには、接合時の操作性を良くすること(より具体的には両者の挿入や抜去に必要な作業者の力の大きさを小さくし得ること)が要求される。このため、本発明に係る多芯型コネクタでは、上記の各インシュレータ部の長手方向のサイズを各々異なる長さとする。また、上記の各コンタクト部の柔軟性を向上させるために、図11(a)、(b)に示すように、各インシュレータ部3(5、7、9)の先端側に、スリット3b(5b、7b、9b)を形成し、摩擦力を軽減させる機能の他、例えば、雄型コネクタ部Bが真直ぐでなく、やや斜め方向から、コンタクト部(22、24、26、28)から挿入されても無理なく、挿入を可能にする機能を持たせることができる。
尚、上記段差またはスリットは、雄型コネクタ部B側の各コンタクト部および各インシュレータ部に形成してもよい。
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雄型コネクタ部Bの組み立て方法を簡単に説明する。
この第1の実施の形態に係る雄型コネクタ部Bの組み立ては、外径の小さい部品(第1番目のコンタクト部22および第1番目のインシュレータ部23)から順番に行う。最後に、第4番目のインシュレータ部29の外側に剛性が大きいシェル部21を装着する。このシェル部21は、円筒状を呈し、一端側の外周面に形成された雄ねじ部21aが、雌型コネクタ部Aの接続リング12の円周面に形成された雌ねじ部12bと螺合するように構成されている。
【0024】
また、この第1の実施の形態に係る雌型コネクタ部Aの組み立てについても、上記と同様の要領で行うことができる。
【0025】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタのインシュレータを除いて示したもので、図4(a)は雌型コネクタ部Aの側面部分断面図、図4(b)は、雌型コネクタ部Aの正面図、図4(c)は、雄型コネクタ部Bの正面図、図4(d)は、雄型コネクタ部Bの側面部分断面図を、それぞれ示すものである。
図4に示すように、この第1の実施の形態に係る多芯型コネクタは、雌型コネクタ部Aのコンタクト部(2,4,6,8)と雄型コネクタ部Bのコンタクト部(22,24,26,28)との接触面が同心円筒状リングの中央部とリングの内周面部分に有り、特に、接合途上における最初の接点は、各同心円状リングの同心内周面上に有る。このような構造により、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとは、両者の相対的な回転における、どのような角度でも接合することができるようにしている。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの接合状態における詳細構造を示し、図5(a)は、雌型コネクタ部Aの背面図、図5(b)は、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bが接合された状態の側面部分断面図を、それぞれ示すものである。
【0026】
同図に示すように、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとは、雌型コネクタ部Aのシェル10と雄型コネクタ部Bのシェル21との接合部を介して両者の相対的な回転が可能であり、この回転に対応して雌型コネクタ部Aに装着されている多芯ケーブル13の引出し方向が変化する。適切な引出し方向が定まった時点で、接続リング12(図1)を回して雌ねじ部12aと雄ねじ部21aの両者を固定する。これにより、多芯ケーブル13の引出し方向も、上記の適切な方向を維持したままで固定される。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bが接合された状態の側面部分断面図を示す。
同図に示すように、本実施の形態に係る多芯型コネクタにおける雌型コネクタ部Aのリアーシェル部1の内部には、図1に詳しく示すように、接着剤14を充填すると共に、Oリング(またはガスケット)部11を配備し、これにより、雌型コネクタ部Aの防水性を確保すると共に、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとの接合部(突き合せ部)の防水性を確保している。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯コネクタの雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部B型の他の側面部分断面図を示し、図7(a)は、雌型コネクタ部Aのコネクタを含む部分、図7(b)は、雄型コネクタ部Bのコネクタ部分の対応関係が分かり易いように両者を対峙して示すものである。
【0027】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとが接合した状態の側面部分断面図を示し、図8(a)は各コンタクト部のうち、中心部の第1番目のコンタクト部2と第1番目のコンタクト部22とが一番目に接触する一例を示し、図8(b)は各コンタクト部のうち最も外側のコンタクト部8と第4番目のコンタクト部28とが最初に接触するような設定が可能であることを示す。
図8(a),図8(b)に示すように、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとのコンタクト部の長手方向サイズを変えることにより、最初に接触するコンタクト部と、その他のコンタクト部の接触の順序を任意に設計することができる。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aの構造を示す説明図であり、図9(a)は側面部分断面図を示し、図9(b)は正面図を示すものである。
同図に示すように、本実施の形態に係る多芯型コネクタの雌型コネクタ部Aは、中心軸の回りにコンタクト部が同心円上に多重に積層する多層リング構造を呈し、この形状は、ソケットの形状であることから、雄型コネクタ部と接合または離脱させる際に、その接触面をクリーニングし得る効果が得られる。
【0028】
本実施の形態に係る多芯型コネクタは、上記のとおり構成したので、雌型コネクタ部Aのコンタクト部(2,4,6,8)と雄型コネクタ部Bのコンタクト部(22,24,26,28)との接触面が同心円状に積層された多層リングの中央部とリングの内・外周面部分に存在するように構成したことにより、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとは、両者の相対的な回転における、どのような回転角度でも接合する、即ち、電気的且つ機械的に接続することができる効果が得られる。
また、多芯ケーブル13の引出し方向は、任意の1つの方向を選んだなら、接続リング12(図1)を回して雌型コネクタ部Aの雌ねじ部12bと雄型コネクタ部Bの雄ねじ部21aとをねじ結合することができるので、適切な方向を維持したままで固定することができる効果が有る。
また、雌型コネクタ部Aのリアーシェル部1の内部、また、これにより、雌型コネクタ部Aの防水性を確保することができる効果が有る。また、シェル部10と接続リング12との間に、Oリング(またはガスケット)11を接合した際、シェル部21の先端が、Oリング11を押し潰す結果、当該接合部の防水シーリングが実現される。
【0029】
また、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとのコンタクト部の長手方向サイズを変えることにより、最初に接触するコネクタ部と、その後に接触するコンタクト部との、接触の順序を任意に設定することができるので、回路設計において好都合である。
さらに、雌型コネクタ部Aは、1つのコンタクト部である中心軸の回りに他のリング状(円筒状)コンタクト部が積層する多層リング構造を有し、この形状は、即ちソケットの形状であるので、雄型コネクタ部Bと接合または離脱させる際に、コンタクト部2,4,6,8の各接触面がクリーニングされる効果が得られる。なお、この効果は、回転が付与されることにより、一層強化される。
なお、本発明に係る多芯型コネクタのシェルおよびシェルが収納するコンタクト部等の構造(及びその形成方法)は、L型コネクタとは限らず、他の型、例えば、ストレート型のコネクタにも適用可能であるが、特にL型コネクタにも好適である。
尚、本発明は、上述し且つ図面に示した内容に限定されるものではなく、発明の要旨に基づいて、種々の変形実施が可能である。
例えば、図3の第3の実施の形態に示すように、雄型コネクタ部と雌型コネクタ部とを入れ換えることが可能である。
図3(a)、(b)に示すように、リアーシェル部1側に、雄型コネクタ部Bのコンタクト部22、24、26、28を設けると共に、それぞれの間に、インシュレータ部23、25、27、29を設ける。
また、雌型コネクタ部Aのシェル部21側に、コンタクト部2、4、6、8を設けると共にそれぞれの間にインシュレータ部3、5、7、9を設けるようにしてもよい。
また、図12の第4の実施の形態のように、雌型コネクタ部Aの基端側に同軸複合ケーブル31を連結するようにすることができる。
図12において、中間から右側部分は、図1における雌型コネクタ部Aから、リアーシェル部1、接着剤14、多芯ケーブル13およびその芯線を省いた状態の雌型コネクタ部Aを示すものであり、図12の中間から左側部分は、同軸複合ケーブルと、雌型コネクタ部Aとの接続構造部分を示すものである。
図12において、中間から右側部分の雌型コネクタ部Aの構成については既に詳しく説明したところであるので、符号のみを付しその説明は省略する。
同軸複合ケーブル31と、雌型コネクタ部Aとの接続構造は、
雌型コネクタ部Aの第1のロッド状コンタクト部2の基端部に接続された同軸ケーブル32の中心導体33と、
雌型コネクタ部Aの第2番目のコンタクト部4の基端部に接続された同軸ケーブル32のシールド線34と、
雌型コネクタ部Aの他の複数の前記コンタクト部6、8の基端部にそれぞれ接続された同軸ケーブル32の複数の芯線35、35と、
雌型コネクタ部Aの基端部側に接合され、前記同軸ケーブル32と雌型コネクタ部Aとの接続部を囲繞して保護する保護用シェル部37と、保護用シェル部37の内部であって、且つ、同軸ケーブル32の外周に嵌合された後、固く圧着され同軸複合ケーブル31が外方(図12にあっては左方側)に引張られても同軸ケーブル32が抜けるのを阻止する抜け防止部材としてのフェルール36と、
をもって構成されている。
雌型コネクタ部Aのコンタクト部2、4、6、8の各基端側と、同軸ケーブル32の中心導線33、シールド線34、芯線35、35との接続部は、半田付けにより、半田付け部38とされている。
このように、構成された同軸複合ケーブル31を雌型コネクタ部Aを一体的に接続したことにより、その用途が拡大する。
例えば、同軸複合ケーブル31の使用例として、監視カメラが挙げられる。即ち、映像用の同軸ケーブルと電源用の芯線を一つのケーブルにまとめることにより、これまでコネクタを2セット使用してきた部分を、1セットにすることができるので、コネクタの省スペース化が実現し、監視カメラの小型化に寄与することができる。
また、上述した実施の形態においては、雌型コネクタ部Aと雄型コネクタ部Bとの接続状態を安定にするために、雌ねじ部12bと雄ねじ部21aとの螺合による、いわゆるねじ結合の例を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、公知のバヨネット結合手段に置き換えてもよい。上述したコネクタの場合、雄型コネクタ部Bの第2のシェル部21側の外周に半径方向に突出するピン状突起を設け、雌型コネクタ部Aの接続リング部12側にL型状を呈するスリットを設け、前記ピン状突起を前記スリットにある程度の摩擦力をもって嵌合させて、両者を結合することで、抜け防止を実現することができる。
また、他の結合方法として、例えば、エアホースの接続に用いられる、いわゆるワンタッチ結合手段に置き換えてもよい。このワンタッチ結合手段としては、例えば、一方側に断面凹状の円環溝を形成し、他方側に弾性支持され突出習性を付与されたボール(鋼球)を埋設し、ボールが円環状に係合することで、離脱可能に係合状態を保持するボールロック方式を用いてもよい。
また、両結合部材のロックを解除するのに、把持リングをスライドさせるようにしたスライド方式などがあり、本発明に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 リアーシェル部
1a 開口部
2,4,6,8 コンタクト部
3,5,7,9 インシュレータ部
10 円筒状シェル部
11 Oリング(またはガスケット)部
12 接続リング部
12a 段差部
12b 雌ねじ部
21 シェル部
22,24,26,28 コンタクト部
23,25,27,29 インシュレータ部
31 同軸複合ケーブル
32 同軸ケーブル
33 中心導線
34 シールド線
35 芯線
36 フェルール
37 保護用シェル部
38 半田付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
先端部に嵌入溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記ロッド状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外周に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部の基端側を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外周に嵌合してこれを保持する剛性大なる円筒状を呈する第1のシェル部と、
前記各々のコンタクト部、前記各々のインシュレータ部の基端を受容し、内部で、各コンタクト部とケーブルとの接続部および多芯ケーブルの一部とを、固定させてなるリアーシェル部とを含んで構成され、
前記雄型コネクタ部は、
先端部がピン状を呈するピン状コンタクト部と、
前記ピン状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外側に嵌合する第2番目のコンタクト部と前記第2番目のコンタクト部を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下、同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外側に嵌合してこれを保護する剛性大なる円筒状を呈する第2のシェル部と、
を含んで構成されて成ることを特徴とする多芯型コネクタ。
【請求項2】
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
円筒状を呈する第1のシェル部と、
複数のチャンネルのいずれか1つに対応する電気の導体として前記第1のシェル部の中心部に配され、先端部に溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記第1のシェル部と前記第1のロッド状コンタクト部との間に間隙を設けて前記中心部の回りに複数同心状に配設され、且つ前記チャンネルを除く残りのチャンネルに対応する電気の導体としてそれぞれ機能する複数の第1の円筒状コンタクト部と、
前記第1のロッド状コンタクト部、前記複数の第1の円筒状コンタクト部および第1のシェル部との間に円筒状に形成される空隙の一部分に配設された絶縁性を有する複数の円筒状の第1のインシュレータ部と、
前記第1のシェル部の外周部に回動可能に嵌合し少なくとも一方向への移動に際し、前記第1のシェル部に係止される接続リング部と、
前記ケーブルの一端を収納する胴体部を有し、前記胴体部の側面の1つに設けた開口部から前記第1のシェル部の基端部側を収納するリアーシェル部と、
を備え、
前記雄型コネクタ部は、
円筒状を呈する第2のシェル部と、
前記複数のチャンネルのいずれか1つに対応する電気の導体として前記第2のシェル部の中心部に配された第2のピン状コンタクト部と、
前記第2のシェル部と前記第1のピン状コンタクト部との間に間隙を設けて前記中心部の回りに複数同心状に配設され、且つ前記チャンネルを除く残りのチャンネルに対応する電気の導体として機能する複数の第2の円筒状コンタクト部と、
前記第2のピン状コンタクト部と前記複数の第1の円筒状コンタクト部との間に形成されている空隙の所定の一部分に配された絶縁性を有する複数の第1のインシュレータ部と、
を備えたことを特徴とする多芯型コネクタ。
【請求項3】
前記第1のシェル部と前記接続リング部との間に、防水性を有するOリングまたはガスケットを介挿していることを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項4】
前記接続リングの先端部内周面に第1のねじ部を備え、且つ前記第2のシェル部の先端部外表面に前記ねじ部に螺合し得る第2のねじ部を備えたことを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項5】
前記リアーシェル部の内部に、絶縁性を有する接着剤が注入され前記複数のケーブルを固定していることを特徴とする請求項1または2に記載の多芯型コネクタ。
【請求項6】
前記第1のロッド状コンタクト部および前記複数の第1の円筒状コンタクト部と、前記第2のピン状コンタクト部および前記複数の第2の円筒状コンタクト部とは、前記接合時にチャンネル対応の接触状態となることを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項7】
前記雌型コネクタ部と前記雄型コネクタ部とは、相対的に回動可能であり、また、前記接続リング部を用いた係合状態においては、相対的の回動は抑止されるように構成したことを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項8】
前記第1のロッド状コンタクト部および前記複数の第1のリング状コンタクト部と、前記第2のピン状コンタクト部および前記複数の第2の円筒状コンタクト部との、長手方向のサイズの長さを各々調節することにより、前記両者の接触順序が設定可能なるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項9】
前記溝は、前記第2のピン状コンタクト部の先端部が嵌入し電気的接触を実現するものであることを特徴とする請求項1または2記載の多芯型コネクタ。
【請求項10】
前記複数の第1のインシュレータ部の各々の先端側の部分が細径に形成されて中間に段差部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の多芯型コネクタ。
【請求項11】
前記複数の第1のインシュレータ部の各々の先端側の部分に複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多芯型コネクタ。
【請求項12】
前記第1のインシュレータ部の各々は、前記中心部に近い位置に配されたものが、前記中心部に遠い位置に配されたものよりも柔らかい樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多芯型コネクタ。
【請求項13】
複数のチャンネルに対応した複数の芯線を含むケーブルに接続され、接合状態において、複数の信号を同軸ケーブル部を介して授受する雌型コネクタ部と雄型コネクタ部とから成る多芯型コネクタであって、
前記雌型コネクタ部は、
先端部に嵌入溝を有する第1のロッド状コンタクト部と、
前記ロッド状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外周に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部の基端側を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外周に嵌合してこれを保持する剛性大なる円筒状を呈する第1のシェル部と、
前記同軸ケーブル部は、
前記雌型コネクタ部の前記第1のロッド状コンタクト部の基端部に接続された同軸ケーブルの中心導体と、
前記雌型コネクタ部の特定の前記コンタクト部の基端部に接続された前記同軸ケーブルのシールド線と、
前記雌型コネクタ部の他の複数の前記コンタクト部の基端部にそれぞれ接続された前記同軸ケーブルの複数の芯線と、
前記雌型コネクタ部の基端部側に接合され、前記同軸ケーブルと前記雌型コネクタ部との接続部を囲繞して保護する保護用シェル部と、
前記雄型コネクタ部は、
先端部がピン状を呈するピン状コンタクト部と、
前記ピン状コンタクト部の基端側を嵌合支持する第1番目のインシュレータ部と、
前記第1番目のインシュレータ部の外側に嵌合する第2番目のコンタクト部と、
前記第2番目のコンタクト部を嵌合支持する第2番目のインシュレータ部と、
以下、同様にして、コンタクト部とインシュレータ部を同心的に交互に複数積層した積層体の最も外側のインシュレータ部の外側に嵌合してこれを保護する剛性大なる円筒状を呈する第2のシェル部と、
を含んで構成されて成ることを特徴とする多芯型コネクタ。
【請求項14】
前記保護用シェル部に挿通され各コンタクト部と接続された前記同軸ケーブルに引張力が加えられても抜け出ないような抜け防止部材を付設してなることを特徴とする請求項13に記載の多芯型コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−105715(P2013−105715A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250794(P2011−250794)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(392013970)多治見無線電機株式会社 (5)
【出願人】(000142067)株式会社共和電業 (52)
【Fターム(参考)】