説明

多言語メニューを生成する方法

【課題】多言語メニューを生成する方法を提供する。
【解決手段】方法は、記憶媒体からデータ構造を読出し、該データ構造から関連する言語属性を持つデータセットのリストを抽出し、好みのメニュー言語の識別子を読出し、データセットの言語属性と好みのメニュー言語の識別子を比較する。現在のデータセットに関連する言語属性が好みのメニュー言語の識別子に適合すれば、現在のデータセットをキャッシュメモリに保存し、適合しなければ現在のデータセットをキャッシュメモリに保存しないステップを含む。方法は、記憶媒体の言語依存メニューリソースファイルをグループ化し、各再生装置の好みのメニュー言語に適合する表示を持つラベルのメニューリソースファイルのみをグループから選択する。アプリケーションキャッシュメモリ(ACM)の効果的な利用により、次世代光ディスクの多言語メニュー機能をサポートする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
次世代の事前記録光ディスクは、一般的なネットワークへの接続性、ディスク上のコンテンツを補充する追加コンテンツのダウンロード、その他の機能を可能にする本格的なプログラミング環境を、コンテンツ・オーサーに提供するであろう。同時に、その様なプログラミング環境は、コンテンツ・オーサーが総ての種類の創造的なメニューをプログラムするために利用できる低次機能を供給するので、インタラクティブメニューのオーサリングにほとんど制限を課さない。PCの様な装置や、消費者向け電子装置に適しており、利用可能である有名なプログラミングプラットフォームは、Java(登録商標)プログラミングプラットフォームである。ディスクで分配されるとき、Java(登録商標)プログラムは、通常、1つのアーカイブファイルにまとめられる。その様なアーカイブファイルは、公知のJava(登録商標)クラスファイル以外に、ビットマップ及び/又はサウンドファイルといった、任意の種類の他のファイルを保存することができる。
【技術分野】
【0002】
次世代の事前記録光ディスクは、また、概念的な“アプリケーションキャッシュメモリ”(ACM:Application Cache Memory)を提供するであろう。これは、上記アーカイブファイルを複製することができる、光ディスク外で、再生装置内のメモリである。これにより、ACMに保存されたデータへの総てのアクセスが、再生中のA/Vを中断し得るディスクシークを必要としないという利点がある。
【0003】
光ディスクの公知の機能として、多言語メニュー機能がある。その様なディスクには、同じメニューが異なる言語で与えられており、再生装置は、利用者の好みのメニュー言語に最も適合するメニューを自動的に表示する。同じディスクを複数の国で売ることができるので、これは費用効果を改善する。しかしながら、現在のシステムでは、データの初期ロードが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ACMの効果的な利用により、次世代光ディスクの多言語メニュー機能をサポートする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
光ディスクは、複数のタイトルと、ある部分は自動的に、ある部分は利用者の要求により進められるコンテンツのリストを含んでいる。ディスクが再生装置に挿入されて認識されたとき、再生装置は、まず、初期アプリケーションデータを読み出し、それらをキャッシュする。初期アプリケーションデータは、通常、最上位メニューのためのデータを少なくとも含み、更に、他のアプリケーションデータを含むことができる。利用者が最上位メニューからタイトルの1つを選択したときにも、同じことが起こる。
【0006】
しかしながら、データ構造の観点から見たとき、用語“タイトル”は、最上位メニューから選択可能なアイテムのみならず、最上位メニューのデータや、ファーストプレイバック(firstPlayback)とも呼ばれるデータ、例えばイントロをも意味する。ファーストプレイバックは、再生装置へのディスクへの挿入により、利用者の選択なしに最初に表示されるものである。“タイトル”が開始される度に、再生装置は、アプリケーションデータを読み出してキャッシュする。特に、それは、Java(登録商標)仮想マシンにより処理されるJava(登録商標)プログラムコード、又は、その様なJava(登録商標)プログラムコードの付加的なデータであっても良い。
【0007】
ファーストプレイバックが終了した後、又は、利用者がリモコンのメニューボタンを押したとき、最上位メニューが表示され、再生装置は、メニューアイテムの利用者による選択を待つ。最上位メニューは、たとえば、利用者が選択可能な1つ以上のタイトルを表示する。選択可能なタイトルに関して更なるサブタイトルが後にロードされ得る。
【0008】
Java(登録商標)プログラムは、アーカイブファイルにまとめられ、ディスクに保存される。実行時、Java(登録商標)プログラムは、利用者に、画面上のグラフィカルインタフェースを提供することができる。その様なグラフィカルユーザインタフェースは、光ディスクの“ディスクメニュー”と同義であり、拡張である。上質なユーザインタフェースのために、補足的なファイル(すなわち、Java(登録商標)でないコード)、例えば、ビットマップファイルを使用することが好ましい。その様なファイルは、通常、“リソース”と呼ばれる。上述した様に、多言語のリソースが、多言語メニュー機能をサポートするために特に要求されるかもしれない。更に、その様なリソース、特に高詳細度(HD)互換ディスプレィ解像度のためのリソースは、ACMの比較的大きなメモリ容量を消費する。
【0009】
最初のファーストプレイバックアイテムを含む各タイトルは、ディスクから読み出される関連データを必要とするかもしれない。これらデータは、通常、AVデータであるが、上述した他のアプリケーションデータであっても良い。これらデータは、例えば、ディスクのJava(登録商標)アーカイブ(JAR)ファイル中に保存できる。読み出されたアプリケーションデータは、AV再生中、任意の時間に一度以上使用される可能性があるため、キャッシュに保存される。一例として、Java(登録商標)制御メニューのためのメニューデータがある。この“キャッシュ”の主目的は、AV再生の間、単にこれらデータを読み出すためにピックアップがジャンプし、AV再生の中断又は妨害となることを防ぐことである。
【0010】
商業的に市販されているディスクは、しばしば、全世界への供給のために生産され、よって、例えば、メニュー言語といった、異なる言語のためのデータを含んでいる。それらの幾つかはタイトルに関し、残りはディスクに関している。しかしながら、通常、個々の利用者は、これら言語のうちの1つか2つのみを必要とする。この特許出願において、同じ目的又はアプリケーションのためであるが、異なる言語のために利用される複数のファイルをグループと呼び、グループは、グループ種別で識別される。様々なグループ種別が、様々な技術的アプリケーション、例えば、メニュー言語、サブタイトル言語、或いは、国に依存するデータのために定義することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】言語依存データファイルを変更するためのアプリケーションキャッシュメモリ(ACM)の利用を示す図である。
【図2】ディスクのタイトルの構造と、単一タイトルのオブジェクトデータ構造を示す図である。
【図3】再生装置により実行されるステップを示す図である。
【図4】最新のキャッシュモデルの短所を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
自動開始プレイリストによる“自動開始”機能を、任意のタイトルのために定義することができる。“自動開始”機能とは、利用者やアプリケーションではなく、再生装置が自動的に再生を開始することを意味する。しかしながら、ディスクの挿入後、直ちに一度だけ再生される特別なタイトルであり、いずれのメニューからも選択できないファーストプレイバックと、自動開始機能は異なる。自動開始プレイリストは、利用者が、メニューから、例えば、JARファイルからのデータの解凍及び/又はコンパイルといった更なる処理を必要とするタイトルを選択したときに開始される。この様に、結果として生じる中断を防ぐことができ、楽しみを与えることができる。これにより、再生装置が実際に選択されたタイトルに必要なデータを準備している間、利用者は、暗い画面を見る代わりに、ビデオ及び/又はオーディオ再生を楽しむことができるという効果を得ることができる。
【0013】
メニューのための各データは多量であるため、必要な言語データのみをキャッシュすることが望ましい。特に、メニューに関しては、1つの言語が1つの再生装置でおそらく使用され、例えば、オーディオやサブタイトル言語に関しては、例えば、言語の訓練のために、利用者は他の言語に切り替えたいと考えるかもしれない。
【0014】
再生装置は、好みのメニュー言語を定義する内部レジスタを持つことができる。他の内部レジスタは、サブタイトル言語の好みを特定できる。利用者は、必要に応じてこれら好みを修正できる。本発明によると、好みのメニュー言語用のレジスタは、好みの言語に対応するメニューデータのみを読み出し、キャッシュするために使用される。このため、本発明の一形態は、各データ、特にJARファイル内データを、例えば、メタデータの形式といった、言語コードでマークする。利用者が好みのメニュー言語を修正するとき、本発明による再生装置は、キャッシュされているデータが持つ言語コードを自動的に検出し、そのデータのグループ種別を判定し、キャッシュされているデータを、同じグループ種別で、言語コードが新しい好みのメニュー言語に適合する他のデータにキャッシュにおいて置き換える。もし再生装置が様々なモードを有する場合、この機能は、例えば、Java(登録商標)モードといった、特別なモードでのみ必要かもしれない。
【0015】
更に、通常のディスクは、それぞれが1組の言語依存データを持つ、複数のタイトルを有している。しがしながら、タイトルの選択によるこれら総てのデータの読み出しは、実際に選択したタイトルが開始可能となるまでに、かなりのロード時間を必要とする。この時間は、例えば、上述した様に、自動開始プレイリストを表示することで克服することができる。更に、再生装置のキャッシュメモリはこれら総てのデータを保持するために、大容量である必要がある。よって、タイトルの開始に伴い、現在選択されているタイトルに関連し、現在選択されている言語に適合するデータのみをキャッシュすることが望ましい。選択されたタイトルの開始に伴い、常にキャッシュを行う段階がある。この様に、知的なキャッシュアルゴリズムが必要であり、本発明により提供される。
【0016】
技術的観点から、ディスクは、ファーストプレイバックと最上位メニューを含む多くのタイトルを保存している。しかしながら、利用者は、ファーストプレイバックを直接選択することはできず、ファーストプレイバックは、ディスクの挿入直後に一度だけ使用される。最上位メニューの利用のために、利用者は、通常、リモートコントローラの“メニュー”ボタンを押す。他のタイトルは、通常、最上位メニューからリモートコントローラのカーソールキー又は数字キーにより選択される。
【0017】
各“タイトル”について、JARファイルの様な、タイトル関連データをACMに保存するキャッシュ段階(ステップ1)が存在する。その後、自動開始プレイリストがオプションとして開始され(ステップ2)、そして1つ以上のアプリケーションが開始される(ステップ3)。“自動開始プレイリスト”は、ステップ3で使用されるプレイリストの様にアプリケーションによって起動されるのではなく、アプリケーションとの干渉なしに、再生装置によって自動的に起動されるプレイリストを言う。原理的には、ステップ3でのアプリケーションの起動で、再生の開始には十分であるが、キャッシュと前処理により、アプリケーションが総てのデータを準備し、開始可能となるまでには時間がかかる。よって、再生装置は、ステップ2において、この時間を克服するために、幾つかの楽しみを提供する。好みの言語に対応するJARファイルが自動的に検出され、これら必要なもののみがロードされるので、本発明はこの時間を短縮できるという効果がある。最上位メニューは、自動開始プレイストに重ねて表示することができる。
【0018】
しかし、利用者がAV再生の間に他の言語を選択したときにも同じ問題が生じる。その様な選択は、最上位メニューが表示されている間に行われるかもしれない。通常、再生装置は、この目的のためにもメニューを提供している。結果として、再生装置は、選択的にACMの内容を消して、再ロードする手段を必要とする。
【0019】
利用者は、AV再生の間でも、常に、最上位メニューを開始できる。最上位メニューは、それ自体、Java(登録商標)アプリケーションに基づくものであるかもしれない。しかし、その後、現在のアクティブタイトル(最上位メニュー)のキャッシュ段階は終了する。異なる言語のデータをロードしなければならないとき、ピックアップはジャンプしなければならず、その結果、イントロ又は選択されたタイトルの再生に短い中断が生じる。好ましくは、再生装置は、キャッシュデータに関連する言語コードと、キャッシュデータのグループ種別が何であるかを自動的に検出でき、同じグループ種別で異なる言語コードのデータに、キャッシュデータを取り替える。よって、ACMには、各グループ種別の各ファイルのために十分な領域を確保する。例えば、ある特定のタイトルがロードされたとき、メニューリソースファイルは、あるグループ種別の値、例えば、0xAを有し、このグループのJARファイルは、日本語、オランダ語及び韓国語の言語ラベルを有し、サイズは、100kB、120kB及び99kBであることを、再生装置は検出する。この様に、再生装置は、これらリソースファイルの最も大きなものは、120kBであることを自動的に検出し、グループ種別0xAのために、ACMセクションに120kBを確保する。更に、再生装置は、好みのメニュー言語が変更された場合、それらを簡単に見つける様に、現在のタイトルのために利用可能な、このグループ種別の言語リソースファイルと、それらがディスクのどこにあるかを保存することができる。
【0020】
好ましくは、本発明は、利用者がメニューの言語の好みを、タイトル全体を再スタートすることなく、そして最小の中断のみで、いつでも切り替えることを可能とする。
【0021】
本発明の一形態によると、同じディスク上の同じ言語に関するアプリケーションファイルは、言語ラベル及び/又はデータ構造によりグループ化される。その後、ある特定の言語の選択に伴い、選択された言語に対応するファイルのみが自動的に読み出されてキャッシュされる。
【0022】
本発明の一形態によると、言語ラベルを伴う、複数の選択的に利用可能なアーカイブファイルがグループとして定義される。グループの特定の言語ラベルを持つファイルのみが、一度にロードされてキャッシュされる。しかしながら、再生装置は、同じグループに属する他のファイルについて、その言語ラベル、サイズ及びディスク上の位置情報を保存しても良い。
【0023】
本発明の他の形態によると、再生装置は、ディスクが好みの言語でラベルされたファイルを有していない場合に使用する、所定の第2の初期言語を、好みの言語に加えて有する。例えば、好みの言語が中国語であり、フランス語、英語及びスペイン語とラベルされたデータのみをディスクが有しているとき、例えば、英語といった、第2の初期言語が使用される。代替方法として、グループ内で最初に見つけたファイルをキャッシュするといった、初期規則を定義しても良い。
【0024】
本発明は、メモリ制限及び/又はロード時間削減のため、1つのグループのアプリケーションデータファイルの1つ(又は少し)のみがロードされる場合において、データの読み出し、キャッシュ及び/又は前処理(例えば、解凍)に時間がかかるJava(登録商標)アプリケーションデータ又は同等の構造に使用することができる。その様なJava(登録商標)アプリケーションデータは、例えば、メニュー、メニューボタン、ビデオやゲーム等のインタラクティブな部分である。JVMは、各タイトルの再生中、常に、バックグラウンドで又は見える形で動作可能である。
【0025】
以下に、ディスクから読み出されたJava(登録商標)アプリケーションデータの例を示す。第1のステップにおいて、おそらく圧縮されている複数のファイルを含むJavaアーカイブ(JAR)ファイルがディスクから読み出され、キャッシュに保存される。これらのファイルは、JVMにより描画される特定言語のメニュー頁のための、例えば、JVM実行コードや、ビットマップデータを含んでいる。ビットマップデータ使用の利点は、特定の文字セットとは無関係であることである。第1のステップは、再生装置のレジスタから好みの言語を調べ、ディスクのJARファイルの言語ラベルと好みの言語を比較し、好みの言語に対応する言語ラベルを有するJARファイル又は複数のファイルを読み出すことを含んでいる。一実施形態として、対応する言語ラベルの総てのJARファイルが、グループ種別の表示に係らず読み出される。他の実施形態として、対応する言語ラベルを持ち、選択されたタイトルに関連する総てのJARファイルが読み出される。更に他の実施形態として、特定のグループ種別及び対応言語ラベルでラベルされたJARファイルのみが、各アプリケーションのために読み出される。本発明は、総ての利用可能なデータをロードする従来の再生装置より、データロード段階が短いという利点がある。更に、キャッシュメモリはより少なくて良い。
【0026】
第2のステップにおいて、ファーストプレイバック又は自動開始プレイリストとして定義される第1のAV再生が、利用者の操作なしに自動的に開始される。この第1のAV再生の開始から、ピックアップは、AVデータの読み出しにいそがしくなる。第1のAV再生中、再生装置は、JVMに利用されるキャッシュデータの準備を行う。従来の場合、キャッシュは、幾つかの言語のメニューデータで一杯となるかもしれず、幾つかはキャッシュが一杯であるため欠落するかもしれない。例えば、図4に示す状況において、韓国語のためのリソースをロードする領域はACMには無い。本発明による、特定のデータを選択する選択手段と、データの言語ラベルと好みの言語を比較する比較手段を有する再生装置において、キャッシュは、例えば、好みの言語のための最上位メニューデータのみを含んでいる。例えば、JVMのために解凍又はコンパイルすることで、データが利用可能となったとき、再生装置によって好みと定義された言語の最上位メニューが、ファーストプレイバックに重ねて表示されてもよい。
【0027】
このため、JVMでのJava(登録商標)アプリケーションの実行が、第3のステップで開始され、キャッシュされたデータが利用される。これは、例えば、クラスローダに必要なJava(登録商標)クラスライブラリファイルかもしれない。また、最上位メニュー自体が、Java(登録商標)アプリケーションであっても良い。利用者が最上位メニューからタイトルを選択したとき、従来の再生装置のピックアップは、AVストリームデータの開始位置にジャンプし、ストリームの読み出しを開始する。しかし、本発明による再生装置において、ピックアップは、まず、選択されたタイトル及び選択された言語に関するJARファイルが保存されている位置にジャンプし、これらJARファイルをキャッシュするために読み出し、ここで、先にキャッシュされたデータは必ずしも上書きされず、その後、(選択的に)自動開始プレイリストのAVストリームにジャンプして、JVM用データの準備/ロードを行っている間、このストリームを再生し、そして、実際のAVストリームデータの開始位置にジャンプするのみである。これは短時間で可能である。しかし、データ量が大変制限されるので、選択されたタイトルの再生は直ぐに開始される。
【0028】
光ディスクのタイトルのためのユーザインタフェースは、Java(登録商標)により生成しても良い。ここでタイトルとは、利用者が認識可能なディスクの明確な部分を意味する。通常、タイトルには、利用者がタイトルを切り替えるために選択する数字の識別子が割り当てられている。しかし、通常、リモートコントローラの“メニュー”ボタンにより選択できる最上位メニューと同様、ディスクが再生装置に挿入されたときに自動的に開始される部分(ファーストプレイバック)も、この明細書において“タイトル”に含まれる。
【0029】
多言語のユーザインタフェースをサポートする将来の光ディスクの進化したアプリケーションのために、本発明は以下のものを備える。
【0030】
言語依存であり、同じ言語に属するアプリケーションの総ての要素は、ディスク上では、それぞれ、別々の言語依存アーカイブファイル(LDAF)又は言語依存リソースファイル(LDRF)に保存される。各LDAFには、例えば、メタデータタグといった、言語属性が割り当てられている。各LDAFは、それぞれ、言語依存アーカイブファイルグループ(LDAFG)又は言語依存リソースファイルグループ(LDRFG)の要素である。LDAFGは、LDAFGに属する総てのLDAFを参照する、ディスクに保存されたデータ構造を介して定義することができる。LDAFGの1つのLDAFのみが、ACMに同時に保存できる。再生装置は、LDAFG内のLDAFの言語属性と、メニュー言語として有効な利用者の好みを比較することで、ACMに転送するLDAFG内の1つのLDAFを自動的に選択する。
【0031】
LDAFGが、メニューのための、利用者の好みの言語に適合するLDAFを含んでいない場合のために、初期LDAFを定義することができる。タイトルの開始時点で、再生装置は、LDAFG内の最も大きいLDAFを保持するために十分な領域をACMメモリに確保しても良い。もし、LDAFのACMへの転送がタイトルの開始時に生じた場合、転送は、総てのアプリケーション及び総てのAV再生の開始前に行う。ACMに保存されているLDAFは、タイトルの存続中、同じLDAFGの任意のLDAFと置換できる。LDAFGの総てのLDAFには、同じキャッシュの優先度が割り当てられる。
【0032】
本発明の効果を以下に示す。
−1つのLDAF/LDRFのみをキャッシュするので、タイトルの開始が速くなる。
−LDAFG/LDRFG内の1つのLDAF/LDRFのみを同時に必要とし、現在必要なLDAF/LDRFのみをACMに保存するので、ACMの利用が効率的である。
【0033】
表1に示すデータ構造は、ディスク挿入後又はタイトル選択後に作成される仮想ファイルシステムから、アプリケーションキャッシュメモリへの転送対象となるファイルの情報を提供する。親オブジェクトのApplicationManagementTable()で参照される総てのJARファイルが示されている。
【0034】
group_typeは4ビットフィールドであり、グループ種別を特定する。group_typeが例えば0x1であるとき、これは、言語依存グループを示す。再生装置は、以下の選択手順に従い、グループから単一ファイルのみをキャッシュする。再生装置は、それぞれの再生装置状態レジスタ(PSR)に保存されている再生装置の好みのメニュー言語に適合するlanguage_codeを持つファイルを、グループからキャッシュすることを試みる。もし、適合するものが見つからなければ、再生装置は、グループにある最初のファイルのキャッシュを試みても良い。group_type
0x2は、言語に依存しないグループを示すかもしれない。再生装置は、そのグループの最初のフィルから開始して、そのグループの複数ファイルのキャッシュを試みる。
【0035】
【表1】

表1:アプリケーションキャッシュ情報データ構造
【0036】
number_of_filesフィールドは、現在のグループの要素であるファイル数を示している。file_nameフィールドは、“JAR”ファイルのファイル名を示している。ファイル名は、例えば、ISO646に従い符号化できる。language_codeフィールドは、JARファイルの言語コードを特定している。言語コードは、例えば、ISO639−2といった、国際標準に従うことができる。各コードは、3文字で言語の名前を表し、ISO646により符号化することができる。
【0037】
本発明は、例えば、BD−Jのための多言語のサポートに利用することができる。それは、キャッシュモデルの改良を含む。
【0038】
HD映画モード(HDMV)は、様々な言語のメニューをサポートする。基本的に、メニュー及び言語あたり1つのインタラクティブグラフィック(IG)ストリームが保存されている。言語に関し、IGストリームは、言語識別子を供給する。それらは、関連するclpiファイルに保存される。再生装置の自動選択手順が定義される。利用者は、何時でも好みのメニュー言語を切り替えることができる。
【0039】
本発明によると、多言語機能は、BD−Jにおいても効果的にサポートされるべきである。利点は、利用者の混乱を回避することである。このため、以下に概略を示す様に、現在のキャッシュの枠組みを改良する必要がある。
【0040】
例えば、HD適合ビットマップやサウンドといった、リソースのメモリ使用量が潜在的に高いことを想定する。その場合、キャッシュに関してこれらを効果的に扱うことは価値がある。
【0041】
現在のモデルの欠点は、アプリケーションのキャッシュがタイトルのライフサイクルの間で固定されていること、つまり、再ロードできず、非効率的に使用されているかもしれないということである。多分、リソースを完全にキャッシュすることはできない。アプリケーションは、同時にある特定の言語のリソースのみを必要とする。キャッシュがタイトルの間、固定されているため、キャッシュされていない単一リソースファイルにアクセスするたびに、少なくとも1回のディスクシークが必要となる。これは、ビデオ再生の多くの中断を意味する。
【0042】
この状況を図4に示す。再生装置が、例えば、日本語及びオランダ語のメニューリソースを、例えば、これらをディスクで最初に見つけたため、アプリケーションキャッシュメモリ(ACM)にロードし、利用者が韓国語を選択したとき、静的なACMには、このリソースをキャッシュすることはできず、ピックアップは、ディスクからリソースを取得しなければならない。一方、ACMは、例えば、ライブラリクラスファイルといった、継続的に必要なファイルも含んでいるため、単に、ACMを全消去することはできない。よって、ACMのある部分を選択的に消去することに利点がある。
【0043】
本発明は、タイトルの開始時における言語依存キャッシュのための仕組みを追加することを提案する。これには、上述した様に、“自動開始”プレイリストの途切れのない再生をサポートすることが必要である。言語依存JARファイルをACMにロードするために、媒体の再生が中断されるべきではない。更に、本発明によると、キャッシュされた言語リソースは、タイトルの間、交換可能である。この様に、単一のディスクシーク/アクセスのみが言語変更に必要である。
【0044】
図1は、本発明によるACM内の言語リソースの交換を示している。タイトル開始に伴い、第1の言語(日本語)のためのリソースがロードされ、クラスライブラリファイルがJVMにより要求される。第1の言語は、再生装置にある好みのメニュー言語レジスタにより決定される。図示する様に、ACMは、1つの言語のリソースのみを含み、総ての容量は使用されていない。タイトル開始後、利用者は要求するメニュー言語を、例えば、オランダ語に変更する。すぐに、再生装置は、適切な手段を用いて、日本語のためのリソースを保持しているACMの部分を判定し、これらリソースを削除し、ディスクからオランダ語のためのリソースをロードし、これにより日本語リソースを置換する。
【0045】
ディスク上では、1つの言語のための複数のリソースが、複数のファイル、例えば、JARファイルに分散されているかもしれない。この様子を例えば図1に示す。この様に、言語あたり1つのアーカイブファイルが特定の目的のために必要であり、その結果、他のメニュー言語が選択されたときに、ファイルを見つけてロードすることが容易となる。
【0046】
図2に示す様に、JARファイルのグループが、Java(登録商標)オブジェクトのキャッシュ情報リストで定義される。このJARファイルグループは、それぞれに言語属性が割り当てられている、一連のJARファイルである。これは、例えば、ISO639の3文字コードを使用可能である。
【0047】
最先端のキャッシュと比較して、本発明は、改良されたキャッシュモデルを含んでいる。タイトル選択の際に、再生装置は、グループから1つのJARファイル、すなわち、特定のPSRに保存された、メニュー言語についての利用者の好みに適合するファイルをキャッシュする。好みのメニュー言語が、グループ内のいずれにも適合しない場合のために、初期値を定義できる。タイトルのライフサイクルの間、JARファイルをキャッシュ/アンキャッシュする更なる仕組みが可能である。
【0048】
選択的なキャッシュは、キャッシュ/アンキャッシュにより、タイトル開始時の自動開始プレイリストの再生が中断することを効果的に防ぐ。
【0049】
タイトル開始時の基本的な順序は以下の通りである。再生装置がJava(登録商標)オブジェクト(表1)のリストに示されているJARファイルをキャッシュする。その結果、キャッシュは言語依存JARファイルを含む。その後、自動開始プレイリストが用意されていたなら、自動開始プレイリストが開始される。その後、実際のアプリケーションが開始される。アプリケーションは、自動開始プレイリストの再生を中断することなしに、キャッシュの言語依存リソースにアクセスすることができる。
【0050】
本発明の一形態は、Java(登録商標)オブジェクトに言語グループを定義することと、既に述べたようにタイトル開始時のキャッシュモデルを改良することと、タイトルのライフサイクルの間、リソースファイルのキャッシュ及びアンキャッシュを可能にする更なる仕組みを持つ。とりわけ、上記仕組みには、キャッシュされたリソースの置換を利用者による言語変更の操作により行う、再生装置による制御、或いは、例えば、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通して、又は、クラスローダにより起動される、つまり、各ファイルがディスクからロードされてキャッシュされるアプリケーションによる制御の更なるオプションが可能である。
【0051】
本発明は、言語依存データが媒体から読み出され、多言語メニューをサポートする、媒体のための再生装置で使用することができる。本発明は、これらデータの一部が、時間を消費する更なる処理を必要とする場合、利用者が不必要に長い間、待たなければならないことを防ぐという特別な効果がある。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ・ビデオ再生に関するソフトウェアアプリケーションデータを選択的にキャッシュする方法であって、
記憶媒体からデータ構造を読み出すステップと、
関連する言語属性を持つデータセットのリストを、データ構造から抽出するステップと、
好みのメニュー言語の識別子を読み出すステップと、
前記データセットの言語属性と、好みのメニュー言語の識別子を比較するステップと、
現在のデータセットに関連する言語属性が、好みのメニュー言語の前記識別子に適合すると、現在のデータセットをキャッシュメモリに保存し、適合しなければ、現在のデータセットをキャッシュメモリに保存しないステップと、
前記リストからの最後のデータセットを保存し又は保存しないステップの後、記憶媒体から最初のオーディオ・ビデオデータを読み出し及び/又は再生している間、キャッシュメモリに保存されたデータセットを処理するステップと、
オーディオ・ビデオ再生の間、処理されたデータセット又はデータセットに基づきソフトウェアアプリケーションを実行するステップと、
を備えている方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−123901(P2012−123901A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10105(P2012−10105)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−543823(P2007−543823)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】