説明

多軸方向骨ねじ嵌め合い座

【課題】座を有する連結要素を含む骨固定システムの実施形態を、ここに一般的に記載する。他の実施形態を記載し且つ請求してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、多軸方向骨ねじに関し、とりわけねじ頭部と骨ねじの連結要素の座との間に良好な把持作用を有する多軸方向骨ねじに関する。
【背景技術】
【0002】
骨固定システムは、骨安定化ロッド又は要素を骨固定部材に連結するために提供される。あるシステムでは、連結部材は、骨安定化ロッドと骨固定部材との間に設けられる。連結部材又は要素は、骨固定部材の部分とロッドとの間に中間面を含むのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
図1Aは、本発明の実施形態による、多軸方向骨固定システム10の分解図を示す。多軸方向骨固定システム10は、骨固定部材12、ロッドと骨固定部材の連結要素22、鞍部材29、及び嵌め合いキャップ28を含む。実施形態では、骨固定部材12は、ねじ軸部14(ねじは図示せず)、頭部16、先端部18、及び首部20を有する。先端部18は、患者の骨を貫通するように構成されるのがよく且つ骨固定部材の頭部16と反対側のねじ軸部14の末端に配置されるのがよい。実施形態では、骨固定部材12は、茎ねじであるのがよい。
【0004】
首部20は、ねじ頭部16とねじ軸14との間に配置されるのがよい。1実施形態では、首部20の幅は、骨固定部材の頭部16と係合されるとき連結要素22の多軸方向運動を増大させることを可能にするように、ねじ軸部14の幅よりも狭い。連結要素22は、骨固定部材の先端部18及びねじ軸部14を通すよう構成された開口部24を底面に含む。実施形態では、骨固定部材の頭部16は、湾曲下面を有するのがよい。頭部16の湾曲下面は、連結部材22の座30(図1C)に係合するのがよい。連結要素22は、骨安定化ロッド11(図1B)を受け入れるための、2つの腕25A、25Bによって形成された側溝又はチャンネル26を含むのがよい。
【0005】
骨固定システム10は、セットねじをもつスナップキャップ、かみ合いキャップ、又はセットねじを配置したロックキャップを含む嵌め合いキャップ28、をさらに含むのがよい。実施形態では、嵌め合いキャップ28は、ロッド11、鞍部材29、固定部材12の頭部16、及び連結要素22の座30から下向きの力を伝達することによってロッド11を連結要素22の溝26内に係止するのがよい。実施形態では、鞍部材29は、骨固定部材12の頭部16の頂部のチャンネル26内にそのまま置かれていてもよく且つ取付け後に共にシステム10の支持を助けてもよい。鞍部材29は、固定部材12の頭部16の頂面上に載るように構成された底面及び円筒形ロッド11を嵌め合って受けるように内方に湾曲された頂面を有するのがよい。
【0006】
実施形態では、鞍部材29は、骨固定部材12の頭部16の頂面に荷重力の一様な分配を容易にする中間構造体として作用し、嵌め合いキャップ28によって生じた荷重力はロッド11を固定させる。連結部材22は、連結要素22に関して骨固定部材12のいかなる取付け後の移動を制限する把持力及び保持力を連結部材22と骨固定部材12の頭部16との間に与える座30を含む。
【0007】
図1Bは、図1Aの組立てた多軸方向骨固定システムの斜視図を示す。実施形態では、開口部24を介して連結要素22に挿入後骨固定部材12を、周知技術による脊柱茎のような、骨(固定されるべき)に打ち込む。骨固定部材12の頭部16は、六角(Hex)、十字(Phillips)、又は他の工具嵌め合い開口部32(図1C)を含むのがよい。固定部材12を、肩20まで骨に打ち込んで嵌め合いキャップ28を係止する前に連結部材22と骨固定部材12の頭部16との間に多軸方向関節を可能にする。骨固定部材12を骨に取付けた後ロッド11を、チャンネル26に挿入するのがよい。
【0008】
嵌め合いキャップ28をロッド11に対して係止するまで、ロッド11及び連結要素22を、骨固定部材12と所望の関係に調節するのがよい。図1Cは、線A-Aに沿って取った、図1Bに示す骨固定システム10の断面側面図である。実施形態では、骨固定部材の頭部16下面は連結要素12の座30に係合して座に載る。座30は、開口部24の形状を画成する。
【0009】
図2Aは、本発明の実施形態による連結要素22の斜視側面図である。図2Bは、線A-Aに沿って取った図2Aの連結要素22の断面側面図であり、図2Cは、図2A及び図2Bの連結要素22の断面上面図である。連結要素22は、骨固定部材12の頭部16の下面に係合するためのとびとびの数の接触面又は接点34を提供する多面31の座30を含む。
【0010】
また、連結要素22は、ロッド11連結要素22及び骨固定部材12を互いに固定的に連結するために嵌め合いキャップ28のフランジ又は突出部分に係合するためのリップ36を、含むのがよい。図2Cに示すように、多面31の座30は、8つの別個の側面又は小面31を有する8角形を含む多角形として構成されるのがよい。骨固定部材の頭部16を多面座30内に着座させて嵌め合いキャップ28を介して座30に押し付けるとき、個別の摩擦力又は把持力が、主として多角形座30の各側面又は小面34の中心に近い点で示される接点34に発生される。
【0011】
座30は、とびとびの数の接触点を設けることによって骨固定部材12の頭部16と連結要素22との間に大きな把持力を提供する。実施形態では、骨固定部材12の頭部16が座30に押し付けられたとき、頭部16と座30との間の主接触は点34に又はその近くに集中される。多面31の座30が、とびとびの数の接触34、反動荷重、及び座接面30での頭部の16変形により連結要素22と骨固定部材12の頭部16との間に大きな把持作用を提供する。座接面30は、嵌め合いキャップ38が点34での圧力又は応力により係止されるとき各接触点34で変形する。実施形態では、座30とびとびの接触点34は、連結要素22と固定部材12との間に単位面積当りの力を著しく増大させる。
【0012】
図3Aは、本発明の実施形態による他の連結要素40の斜視図である。連結要素40は、ロッド(図示せず)を受け入れるためのチャンネル42及びとびとびの数の突起46を有する座44を含む。各突起46は、連結要素40の底部で内側に湾曲するのがよい。図3Bは、連結要素40の断面上面図である。骨固定部材12の頭部16を座44に着座させて座44に押し付けるとき、頭部16は、とびとびの数の突起46に係合する。実施形態では、突起46の内面は、座44を形成し且つ連結要素22に関して上述された原理に従って骨固定部材12の頭部16と座44との間に大きな摩擦力を提供する。
【0013】
また、連結要素40は、大きな可撓性と、とびとびの数の突起46により荷重を座面にわたって力学的に分配する能力を提供する。連結要素40は、確実に外力に耐え且つ対処し、及び外力の面前で骨固定部材12に対して移動しない。さらに、突起46は連結要素40と骨固定部材12の頭部16との間に可撓性を提供するから、荷重は突起46に亘ってより均等に分配される。
【0014】
図4Aは本発明の実施形態による骨固定システム50の断面図であり、図4Bはシステム50の断面の拡大図である。骨固定システム50は、ねじ軸54、首部60、先端部58、及び球形ねじ頭部56を有する骨固定部材52を含む。実施形態では、首部60は、連結要素62と骨固定部材52との間に大きな多軸方向関節運動を許容するためにねじ軸54よりも幅が狭い。連結要素62は、骨安定化ロッド11を受け入れるためのU形チャンネル64を含むのがよい。
【0015】
システム50は、嵌め合いキャップ68(スナップキャップのような)を含み、嵌め合いキャップ68は、連結要素62のこれに対応する形状のチャンバ66内に受け入れられ且つ係止されるように構成される。チャンバ66は、嵌め合いキャップ68をチャンバ66内に係止するよう構成された出張り70を含むのがよい。図4Bに示すように、連結要素62はJ形リップ72を有する円形J形座71を含むのがよい。J形座71は、連結要素62内の骨固定部材52の頭部56を可撓的に保持するように構成されるのがよい。J形座面リップ72は、座面71と頭部56との間の荷重に耐え且つこれを分配する大きな能力を提供し、かくして外力により移動したり破壊したりする傾向が少なくなる。実施形態では、座72は、図3Aに示す突起46と同様のとびとびの数のJ形リップ72に分割される。
【0016】
本発明の一部をなす添付図面は、例示として及び制限ではなく、主題を実施する特定の実施形態を示す。図示した実施形態は、当業者がここに開示した本発明を実施することができるように十分に詳細に記述されている。構造及び論理的な置換及び変更を本開示範囲から逸脱することなくなしてもよいように他の実施形態を利用してもよいしその態様から由来してもよい。したがって、詳細な説明は、限定的な意味に取られるのではなく、種々の実施形態の範囲は、特許請求の範囲に含まれる全ての範囲の均等とともに、特許請求の範囲によってのみ定められる。
【0017】
発明主題のこのような実施形態は、もし事実、1つ以上が記載されるならば、この適用範囲を単一の発明又は発明の概念に自発的に限定するものではなく且つ便宜上単に「発明」という用語によって個々に又はまとめて言及される。かくして、ここでは特定の実施形態を図示し且つ記載したが、特定の実施形態に代わって同じ目的を達成するように意図されたいかなる構成を用いてもよい。この開示は、種々の実施形態の任意のあらゆる構造又は変更を含むものである。上記実施形態の組合せ、及びここに特に記載してない他の実施形態は、上の説明を検討するとき当業者に明らかであろう。
【0018】
開示の要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に確かめうる要約を要求する37 C.F.R. § 1.72(b)に従って提供される。要約は請求項の範囲又は請求項の意義を解釈し又は限定するのに使用されないことを理解をもって申し述べる。前述の詳細な説明において、種々の特徴は開示を簡素化するために単一の実施形態にまとめられる。この開示方法は、各請求の範囲に明確に記載されるよりもより特徴を要求するものと解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、単一の開示実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に基づかれてもよい。かくして、後述の特許請求の範囲は、別の実施形態として自立する各請求の範囲と、ともに詳細な説明に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の1実施形態による、システムの部品の組立前の多軸方向骨固定システムの斜視図を示す。
【図1B】本発明の1実施形態による、システムの部品の組立後の多軸方向骨固定システムの斜視図を示す。
【図1C】図1Bの多軸方向骨固定システムの断面図を示す。
【図2A】本発明の1実施形態による連結要素の斜視図を示す。
【図2B】図2Aの連結要素の断面側面図を示す。
【図2C】図2Aの連結要素の断面上面図を示す。
【図3A】本発明の他の実施形態による連結要素の斜視図を示す。
【図3B】図3Aの連結要素の断面上面図を示す。
【図4A】多軸方向骨固定システムの断面側面図を示す。
【図4B】骨固定部材頭部と図4Aの連結要素の可撓性J形座との間の接合部の拡大図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座を含み、前記座が骨固定部材の第1部分が通る開口部を有し、前記開口部がとびとびの数の非連続の接触要素を有し、各接触要素が前記骨固定部材の第2部分に係合することができる、ことを特徴とする、連結要素。
【請求項2】
前記骨固定部材の第1部分は骨固定要素を含む、請求項1に記載の連結要素。
【請求項3】
前記骨固定部材の第2部分は少なくとも部分的に球形の頭部を含む、請求項1に記載の連結要素。
【請求項4】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つは変形可能である、請求項1に記載の連結要素。
【請求項5】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つは可撓性である、請求項1に記載の連結要素。
【請求項6】
各接触要素は前記骨固定要素の第2部分に係合することのできる接触点を有する、請求項1に記載の連結要素。
【請求項7】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つが突起を含む、請求項1に記載の連結要素。
【請求項8】
前記連結要素は、骨固定部材をロッドに連結する、請求項1に記載の連結要素。
【請求項9】
前記連結要素はさらにロッド受けチャンネルを含む、請求項8に記載の連結要素。
【請求項10】
骨固定部材と、
ロッドと、
骨固定部材と前記ロッドとを連結するための連結要素と、を含み、
前記連結要素は座を含み、前記座は前記骨固定部材の第1部分が通る開口部を有し、前記開口部は有限数の接触要素を有し、各接触要素は前記骨固定部材の第2部分に係合することができる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記骨固定部材の第1部分は骨固定要素を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記骨固定部材の第2部分は少なくとも部分的に球形の頭部を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つは変形可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つは可撓性である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
各接触要素は前記骨固定要素の第2部分に係合することのできる接触点を有する、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
接触要素の前記有限数の少なくとも1つが突起を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記連結要素はさらにロッド受けチャンネルを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
座を含み、前記座が骨固定部材の第1部分が通る開口部を有し、前記開口部が可撓的に変形可能な接触要素を有し、前記接触要素が前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、ことを特徴とする連結要素。
【請求項19】
前記骨固定部材の第1部分は骨固定要素を含む、請求項18に記載の連結要素。
【請求項20】
前記骨固定部材の第2部分は少なくとも部分的に球形の頭部を含む、請求項18に記載の連結要素。
【請求項21】
前記可撓的に変形可能な接触要素は複数のとびとびの副要素を含み、各副要素は前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、請求項18に記載の連結要素。
【請求項22】
前記可撓的に変形可能な接触要素は可撓的に変形可能なリップを含み、前記リップは前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、請求項18に記載の連結要素。
【請求項23】
前記連結要素は骨固定部材をロッドに連結する、請求項18に記載の連結要素。
【請求項24】
前記連結要素はさらにロッド受けチャンネルを含む、請求項23に記載の連結要素。
【請求項25】
骨固定部材と、
ロッドと、
骨固定部材を前記ロッドに連結するための連結要素と、を含み、
前記連結要素は座を含み、前記座は骨固定部材の第1部分が通る開口部を有し、且つ前記開口部は可撓的に変形可能な接触要素を有し、前記接触要素は前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項26】
前記骨固定部材の第1部分は骨固定要素を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記骨固定部材の第2部分は少なくとも部分的に球形の頭部を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記可撓的に変形可能な接触要素は複数のとびとびの副要素を含み、各副要素は前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記可撓的に変形可能な接触要素は可撓的に変形可能なリップを含み、前記リップは前記骨固定部材の第2部分に可撓的に係合することができる、請求項25に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−530026(P2009−530026A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501460(P2009−501460)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/006537
【国際公開番号】WO2007/109092
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(507191186)エヌ スパイン, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】