説明

多連式吐出容器

【課題】組立作業及び詰め替え作業を容易に行い易い多連式吐出容器を提供すること。
【解決手段】内容物が充填された容器本体10と、該容器本体の口部10aに装着された装着キャップ30と、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム21、及び該ステムの押し込みにより内容物を吐出させる吐出口23aを有する吐出器20と、を備えた吐出容器2、3、並びに吐出容器を複数並列させた状態で内部に収容する外装ケース4、を備え、互いに隣り合う吐出容器の装着キャップ同士が、容器軸Oに対して直交する直交面に沿って延びる回転軸線M回りに回転連結部材35によって回転自在に連結されている多連式吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器を複数備える多連式吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の多連式吐出容器の1つとして、容器本体と、該容器本体に装着され噴出ノズルを有するノズルヘッドと、を備えた噴出容器を2つ組み合わせた液噴出器が知られている(特許文献1参照)。
詳細には、2つの噴出容器は有底筒状のケース本体内に収納されており、該ケース本体に装着された肩パーツによって覆われている。また、噴出容器のノズルヘッドは、肩パーツの頂壁に形成された挿通口を通じて上方に突出している。また、肩パーツの頂壁には支持板が立設され、該支持板には回動自在且つ上下動自在に押え板が取り付けられている。
【0003】
この液噴出器によれば、押え板を回動させて2つの噴出容器のノズルヘッドを連結させることで、2つのノズルヘッドを同時に押下げることができ、二液の同時噴出が可能である。また、押え板を噴出容器の後側に回動させて、2つのノズルヘッドの連結を解除することで、それぞれのノズルヘッドを押下げることができ、一液の噴出が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4246044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の液噴出器は、構成パーツが多いため組み立て時或いは内容物の詰め替え時に作業が煩雑化し易かった。
例えば、ケース本体に対して噴出容器を個別に取り出したり、組み込んだりする必要があるので、作業が2度手間となり煩雑化してしまう。また、ケース本体に2つ目の噴出容器を組み込む場合に、最初に入れた噴出容器がケース本体内で傾いてしまう可能性があった。この場合には、その傾きを修正しながら2つ目の噴出容器を組み込む必要があるので、作業が煩雑化し易かった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、組立作業及び詰め替え作業を容易に行い易い多連式吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る多連式吐出容器は、内容物が充填された容器本体と、該容器本体の口部に装着された装着キャップと、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム、及び該ステムの押し込みにより前記内容物を吐出させる吐出口を有する吐出器と、を備えた吐出容器、並びに前記吐出容器を複数並列させた状態で内部に収容する外装ケース、を備え、互いに隣り合う前記吐出容器の前記装着キャップ同士が、容器軸に対して直交する直交面に沿って延びる回転軸線回りに回転連結部材によって回転自在に連結されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る多連式吐出容器によれば、外装ケース内に複数の吐出容器が並列に並んだ状態で収容されているので、各吐出容器の吐出器を個別に操作して内容物を吐出させたり、各吐出容器の吐出器を同時に操作して内容物を同時に吐出させたりすることができる。
【0009】
特に、これら複数の吐出容器は、装着キャップに設けられた回転連結部材によって一体的に連結されているので、1つのユニットとして取り扱うことができる。従って、組み立て時或いは内容物の詰め替え時において、複数の吐出容器を外装ケースから一度に取り出したり、組み込んだりすることが可能である。従って、従来に比べて作業が容易であり、手間と時間をかけることなく作業効率を向上させることができる。
【0010】
しかも、複数の吐出容器は単に一体的に連結されているだけなく、各吐出容器が回転連結部材の回転軸線回りに回転可能とされているため、互いに隣り合う吐出容器を前記回転軸線回りに相対的に回転させることで、互いの容器本体同士を近接した状態から離間させることができる。
このようにすることで、各容器本体の周囲に開放スペースを確保することができ、詰め替え作業を行うにあたって各容器本体の着脱を、隣接する容器本体との干渉を気にすることなく容易に行うことができる。よって、この点においても詰め替え作業を効率良く行うことができる。
【0011】
(2)本発明に係る多連式吐出容器は、上記本発明の多連式吐出容器において、前記回転連結部材が、互いに隣り合う前記吐出容器のうち、一方の吐出容器の前記装着キャップに設けられた第1係合部と、他方の吐出容器の前記装着キャップに設けられ、前記第1係合部に前記回転軸線回りに回転自在に係合された第2係合部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る多連式吐出容器によれば、回転連結部材が第1係合部と第2係合部とを備えているので、各吐出容器を製造した後に、両係合部を係合させるように装着キャップ同士を組み合わせることで、複数の吐出容器を一体化させて容易に1つのユニットとすることができ、組立作業をより効率良く行うことができる。
また、第1係合部と第2係合部とを分離可能とした場合には、何らかの不具合等がいずれかの吐出容器に生じたとしても、該当する吐出容器だけを簡単に交換することも可能である。
【0013】
(3)本発明に係る多連式吐出容器は、上記本発明の多連式吐出容器において、前記吐出器が、前記ステムの上端に装着されると共に前記吐出口が形成された吐出ヘッドを備え、互いに隣り合う前記吐出容器のうち、一方の吐出容器における前記吐出ヘッドには、他方の吐出容器における前記吐出ヘッドに対して連係可能に配置された操作片が設けられていることを特徴とする多連式吐出容器。
【0014】
本発明に係る多連式吐出容器によれば、操作片を介して互いに隣り合う吐出容器の吐出ヘッド同士を連係できるので、操作片を押し下げ操作、又は一方の吐出容器の吐出ヘッドを押し下げ操作することで、他方の吐出容器の吐出ヘッドも同時に押し下げることが可能になる。従って、同じタイミングで内容物を吐出させることができる。
なお、操作片による上記連係を解除した場合、一方の吐出容器の吐出ヘッド、又は他方の吐出容器の吐出ヘッドをそれぞれ押し下げ操作すると、押し下げ操作された吐出ヘッドのみが下降する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る多連式吐出容器によれば、内容物の個別吐出及び同時吐出を行うことができるうえ、組立作業及び詰め替え作業を手間と時間をかけることなく効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る多連式吐出容器の実施形態を示す縦断面図(一部側面図)である。
【図2】図1に示すA−A線に沿った断面図である。
【図3】図1に示すオーバーキャップを取り外した状態における上面図である。
【図4】操作片を回転させて、図1に示す状態から2つの吐出容器の吐出ヘッド同士を連係させた状態を示す図である。
【図5】図1に示す2つの吐出容器のうち、一方の吐出容器に対して他方の吐出容器を回転軸線回りに回転させ、互いの容器本体を回転方向に離間させた状態を示す図である。
【図6】本発明に係る操作片の変形例を示す吐出ヘッド周辺の拡大断面図(一部側面図)であって、操作片のスライド前後の状態を示す図である。
【図7】図6に示す操作片のスライド前後の状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る多連式吐出容器の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。なお、本実施形態では、吐出容器を2つ備えた2連式を例に挙げて説明する。
本実施形態の多連式吐出容器1は、図1及び図2に示すように、2つの吐出容器2、3と、これら2つの吐出容器2、3を並列に並べた状態で内部に収容する外装ケース4と、で構成されている。
【0018】
2つの吐出容器2、3は、同じ構成であるので一方の吐出容器2を代表して説明する。なお、本実施形態では、ポンプを利用して内容物を吐出させるポンプタイプの吐出容器を例に挙げて説明する。
この吐出容器2は、図示しない内容物が充填された有底円筒状の容器本体10と、内容物を吐出させる吐出器20と、該吐出器20を容器本体10に装着させる装着キャップ30と、で構成されている。
【0019】
なお、容器本体10、吐出器20及び装着キャップ30は、それぞれ共通軸線上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿って容器本体10の底部側を下側、吐出器20の吐出ヘッド22側を上側とする。また、容器軸Oに直交する方向を径方向とし、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向とする。
また、内容物としては、例えば化粧用、毛染め用、洗顔用や洗髪用等の液体、ジェル、フォーマーやクリーム等である。或いは、食品用に関する内容物でも構わない。
【0020】
吐出器20は、上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム21を有するポンプ部と、ステム21の上端に取り付けられた吐出ヘッド22と、この吐出ヘッド22に設けられた吐出ノズル23と、を備えている。
ポンプ部は、ステム21の押し込みによって内容物を送り出す送出器であり、装着キャップ30に一体的に組み付けられた図示しないシリンダ筒と、このシリンダ筒に上下動可能に挿入された図示しないピストン筒とを有しており、このピストン筒の上部に上記ステム21が連通状態で取り付けられている。なお、ピストン筒及びステム21は、図示しないコイルバネによって常に上方付勢されている。
【0021】
装着キャップ30は、有頂筒状に形成された部材であり、容器本体10の口部10aに螺着されている。これにより、ポンプ部が口部10a内に配設され且つステム21が口部10aより上方に突出された状態で吐出器20が容器本体10に装着されている。また、装着キャップ30の上端部は縮径しており、後述する肩キャップ51の内筒部61が嵌り込む縮径部30aとされている。
なお、装着キャップ30は、容器本体10の口部10aに装着されていれば良く、螺着に限られず例えばアンダーカット嵌合等により口部10aに装着されていても構わない。
【0022】
吐出ヘッド22は、ステム21を押し込み操作する操作部であり、周壁部24と頂壁部25とで有頂筒状に形成されている。頂壁部25には、図示しない嵌合筒が下方に向けて突設されており、この嵌合筒をステム21の上端に嵌合させることで吐出ヘッド22がステム21に固定されている。なお、ステム21の内部と嵌合筒の内部とは連通している。
【0023】
周壁部24は、図1から図3に示すように、平坦な垂直面24aと、一部が半円弧状に形成されて垂直面24aの両端に連設される湾曲面24bと、で平面視D字型の筒状に形成されており、湾曲面24bの一部に吐出ノズル23が形成されている。この吐出ノズル23は、吐出ヘッド22の内部で上記嵌合筒の内部に連通しており、その先端に内容物を吐出させる吐出口23aが開口している。
【0024】
上述したように構成された2つの吐出容器2、3は、互いの吐出ヘッド22の垂直面24aを向かい合わせ、且つ、吐出ノズル23が同じ方向に向くように並列に並んだ状態で、回転連結部材35によって一体的に組み合わされている。
この回転連結部材35は、図1に示すように、隣り合う2つの吐出容器2、3の装着キャップ30同士を、容器軸Oに対して直交する直交面に沿って延びる回転軸線M回りに回転自在に連結する部材であって、一方の吐出容器2の装着キャップ30に設けられた第1係合部36と、他方の吐出容器3の装着キャップ30に設けられた第2係合部37と、で構成されている。
【0025】
第1係合部36は、装着キャップ30の外周面のうち他方の吐出容器3に向かい合う部分から、この他方の吐出容器3に向かうように径方向外方に突設された環状壁とされている。第2係合部37は、装着キャップ30の外周面のうち一方の吐出容器2に向かい合う部分から、この一方の吐出容器2に向かうように径方向外方に突設された環状壁とされ、第1係合部36内に嵌め込まれて係合するようになっている。
つまり、本実施形態では、第1係合部36と第2係合部37とが分離可能に係合すると共に、係合時に両係合部36、37が回転軸線M回りに回転可能とされている。
【0026】
なお、第1係合部36及び第2係合部37は、共に径方向外方に突設しているので、本実施形態の回転軸線Mは容器軸Oに対して直交している。但し、この場合に限られず、回転軸線Mは容器軸Oに対して直交する直交面に沿って延びていれば良い。
また、第1係合部36及び第2係合部37を係合させた際、一方の吐出容器2の吐出ヘッド22の垂直面24aと、他方の吐出容器3の吐出ヘッド22の垂直面24aと、の間に所定の隙間Hが開くように両係合部36、37の突設高さが調整されている。
【0027】
また、図1から図3に示すように、一方の吐出容器2の吐出器20には、他方の吐出容器3の吐出ヘッド22に対して連係可能に配置された操作片40が設けられている。本実施形態の操作片40は、一方の吐出容器2の吐出器20から他方の吐出容器3の吐出器20に向かって移動可能とされており、この移動によって両吐出ヘッド22同士を互いに連係、即ち、非係合状態で繋ぎ付けることができるように構成されている。
なお、両吐出ヘッド22同士を係合状態で連係させても良い。
【0028】
具体的には、一方の吐出容器2の吐出ヘッド22の頂壁部25上に操作片40が回転自在に固定されている。この操作片40は、平面視で吐出ヘッド22の頂壁部25を一回り小さくしたサイズに形成された板状の操作片本体41と、この操作片本体41から下方に向けて突設され、頂壁部25に形成された取付孔に回転自在に嵌め込まれた回転軸部42と、で構成されている。
【0029】
これにより、回転軸部42を中心として操作片40を略180度回転させることで、操作片本体41の一部を他方の吐出容器3の吐出ヘッド22の頂壁部25上に当接させることができ、操作片40を介して両吐出器20の吐出ヘッド22同士を連係することが可能とされている。
【0030】
次に、外装ケース4について説明する。
外装ケース4は、図1及び図2に示すように、ケース本体50と、肩キャップ51と、オーバーキャップ52と、で構成されている。
ケース本体50は、平面視略楕円状に形成された有底筒状の部材であり、回転連結部材35によって一体的に組み合わされた2つの吐出容器2、3をほぼ隙間なく収容できるサイズに形成されている。ケース本体50の底部50aには、2つの吐出容器2、3の容器軸Oに対応する位置にエア抜き用の開口部53が2つ形成されている。また、ケース本体50の底部50a上には、クッション性の高い緩衝シート54が敷かれている。なお、この緩衝シート54にも、上記開口部53に連通するエア抜き用の貫通孔54aが形成されている。
【0031】
ケース本体50の胴部50bの上端部は、縮径された被嵌合筒部とされており、この被嵌合筒部に肩キャップ51の下端部がアンダーカット嵌合するようになっている。
ケース本体50の胴部50bは、径方向に弾性変形可能とされており、径方向内方に向かって弾性変形させることで上記嵌合を解除させて、ケース本体50から肩キャップ51を取り外すことが可能とされている。
【0032】
特に本実施形態では、ケース本体50の胴部50bが平面視略楕円状に形成されているので、長軸方向L1に沿って弾性変形させるよりも短軸方向L2に沿って弾性変形させる方が容易とされている。そのため、ケース本体50の胴部50bには、短軸方向L2に沿って径方向内方に弾性変形(図2に示す矢印P方向)を促すための目印(プッシュポイント)でもある一対の窪み部56が、被嵌合筒部の下側に位置する部分において短軸方向L2に向かい合うように形成されている。
また、胴部50bの一部を弾性変形可能としても良く、例えば軸方向に一対のスリットを形成し、このスリット間を弾性変形部としても良い。この場合、アンダーカットを当該スリット間のみに形成することで、より着脱操作性を高めることができる。
なお、上記一対の窪み部56は、指先が入り込む大きさとされていれば良く、その形状は平面視円形状や楕円状、矩形状等でも良く、特定の形状に限定されるものではない。
【0033】
肩キャップ51は、図1から図3に示すように、外筒部60と内筒部61と天壁部62とで平面視略楕円状に形成された二重筒状の部材であり、ケース本体50に着脱自在に装着されて、該ケース本体50に収容された2つの吐出容器2、3を固定する役割を担っている。
外筒部60の下端部は、上述したようにケース本体50の胴部50bの被嵌合筒部にアンダーカット嵌合されている。また、外筒部60の上端部は縮径しており、オーバーキャップ52の下端部がアンダーカット嵌合されている。
【0034】
内筒部61は、外筒部60の径方向内側に配設された平面視略楕円状の筒部材であり、2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22を挿通させる役割を担っている。天壁部62は、外筒部60の上端部と内筒部61の上端部とを連設している。
内筒部61の内面には、該内筒部61を横断するように連設され、2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22をそれぞれ挿通させる平面視D字状の開口に間仕切る仕切り板65が形成されている。これにより、2つの吐出ヘッド22は、仕切り板65によって離間した状態で肩キャップ51よりも上方に突出し、それぞれ押し下げ操作可能とされている。
【0035】
なお、仕切り板65は、2つの吐出ヘッド22の垂直面24aの間に確保された隙間Hに入り込み可能な板厚とされ、天壁部62の上方側及び下方側にそれぞれ突設するように設けられている。よって、この仕切り板65は、吐出ヘッド22の上下動を案内する案内部材として機能している。
【0036】
また、内筒部61の下端部は、肩キャップ51が装着された際に、2つの吐出容器2、3の装着キャップ30に形成された縮径部30aに嵌り込み、装着キャップ30を上から押さえ付けている。これにより、2つの吐出容器2、3は、ケース本体50内に安定に保持された状態で収容されている。なお、この内筒部61も吐出ヘッド22の上下動を案内する案内部材として機能している。
【0037】
オーバーキャップ52は、図1及び図2に示すように、肩キャップ51に対して着脱自在に装着される有頂筒状のキャップであり、下端部が外筒部60の上端部にアンダーカット嵌合されることで肩キャップ51に対して装着可能とされている。
【0038】
次に、このように構成された多連式吐出容器1を使用する場合について説明する。
この多連式吐出容器1では、外装ケース4内に2つの吐出容器2、3が並列に並んだ状態で収容されているので、オーバーキャップ52を取り外すと2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22が露出する。
そのため、2つの吐出ヘッド22を個別に押し下げ操作して内容物をそれぞれ吐出させたり、2つの吐出ヘッド22を同時に押し下げ操作して内容物を同時に吐出させたりすることが可能である。つまり、内容物の個別吐出又は同時吐出を適宜選択しながら行うことができる。
【0039】
特に、内容物の同時吐出を行う場合には、操作片40を利用して2つの吐出容器2、3の吐出器20同士を互いに連係することができる。つまり、図4に示すように、一方の吐出容器2の吐出ヘッド22に設けられている操作片40を略180度回転させ、操作片本体41の一部を他方の吐出ヘッド22の頂壁部25上に当接させる。これにより、操作片40を介して両吐出器20の吐出ヘッド22同士を連係させることができるので、該操作片40を押し下げることによって、両吐出ヘッド22を同期させながら押下げることができる。
このように、操作片40を回転移動させるだけの簡単な操作で、隣り合う2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22を確実に同時操作して、同じタイミングで内容物を吐出させることができる。
【0040】
ところで、本実施形態の2つの吐出容器2、3は、装着キャップ30に設けられた回転連結部材35によって一体的に連結されているので、1つのユニットとして取り扱うことができる。従って、組み立て時或いは内容物の詰め替え時において、2つの吐出容器2、3をケース本体50内から一度に取り出したり、組み込んだりすることが可能である。
従って、従来に比べて作業が容易であり、手間と時間をかけることなく作業効率を向上させることができる。
【0041】
しかも、2つの吐出容器2、3は単に一体的に連結されているだけでなく、それぞれ回転連結部材35の回転軸線M回りに回転可能とされている。そのため、図5に示すように、一方の吐出容器2に対して他方の吐出容器3を回転させて、他方の吐出容器3の容器本体10を前方に傾くように傾斜させることができる。なお、この場合に限られず、回転軸線Mを中心として2つの吐出容器2、3をそれぞれ逆方向に回転させて、互いの容器本体10を回転方向に離間させることができる。
このようにすることで、各容器本体10の周囲に開放スペースを確保することができる。従って、詰め替え作業を行うにあたって、容器本体10の着脱を、隣接する容器本体10に対する干渉を気にすることなく容易に行うことができる。よって、この点においても詰め替え作業を効率良く行うことができる。
【0042】
更に、本実施形態の回転連結部材35は、一方の吐出容器2の装着キャップ30に設けられた第1係合部36と、他方の吐出容器3の装着キャップ30に設けられた第2係合部37とで構成されているうえ、両係合部36、37は互いに分離可能とされている。よって、2つの吐出容器2、3を簡単に分離又は組み合わせることができる。
従って、両吐出容器2、3をそれぞれ製造した後に、両係合部36、37を係合させるように装着キャップ30同士を組み合わせることで、吐出容器2、3を一体化させて容易に1つのユニットとすることができ、組み立て作業をより効率良く行うことができる。また、何らかの不具合等がいずれかの吐出容器2、3に生じたとしても、該当する吐出容器2、3だけを簡単に交換することも可能である。
【0043】
なお、上記実施形態において、操作片40を回転移動させることで2つの吐出容器2、3の吐出器20同士を互いに連係する構成としたが回転移動に限定されるものではない。
例えば、図6及び図7に示すように、操作片70をスライド移動させることで2つの吐出容器2、3の吐出器20同士を互いに連係する構成としても構わない。
この場合の操作片70は、平面視矩形状に形成された板材であり、一方の吐出容器2の吐出ヘッド22の頂壁部25に形成された平面視矩形状の凹部71内にスライド移動可能に保持されている。この際、凹部71は他方の吐出容器3側に開口するように形成されている。そのため、操作片70は、他方の吐出容器3に向かってスライド移動可能とされている。
【0044】
また、操作片70の長辺側の2つの側面には、凹部71の側面に形成された第1凸部71aに係合する第2凸部70aが形成されており、凹部71内に完全に収まっている状態と、スライド移動によって凹部71内から半分程度飛び出し、他方の吐出容器3の吐出ヘッド22の頂壁部25上に当接している状態と、で第2凸部70aが第1凸部71aにそれぞれ係合して位置決めがなされるようになっている。
更に、操作片70の長辺側の2つの側面には、第2凸部70aの下方に位置する部分にガイドリブ70bが操作片70の全長に亘って突設されている。このガイドリブ70bは、凹部71に形成された第1凸部71aの下側に入り込んでいる。そのため、操作片70は、吐出容器2を例えば逆さにしたとしても、ガイドリブ70bが第1凸部71aに引っ掛かることで、凹部71内から脱落することがないように設計されている。
【0045】
このように、スライド移動式の操作片70を利用したとしても、スライド移動させるだけの簡単な操作で2つの吐出容器2、3の吐出ヘッド22を互いに連係して同じタイミングで同時吐出させることができる。従って、回転式と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、吐出容器を2つ備えた場合を例に挙げて説明したが、3つ以上の吐出容器を一体化させて1つのユニットとした多連式吐出容器としても構わない。この場合には、互いに隣り合う吐出容器同士を回転連結部材により一体化させれば良い。
【0048】
この回転連結部材について、上記実施形態では互いに分離可能な第1係合部36と第2係合部37とで構成したが、分離不能とされていても構わない。つまり、複数の装着キャップ30が分離不能状態で互いに回転自在に連結されていても構わない。但し、組立性の容易化、吐出容器の交換自由性の観点から、分離可能に構成することが好ましい。
なお、第1係合部36と第2係合部37とを単なる嵌め合わせによって係合させた場合を例にしたが、アンダーカット嵌合や螺着により回転自在に係合させる構成としても構わない。
更には、回転連結部材を装着キャップに対して着脱自在に構成しても構わない。こうすることで、回転連結部材を残したまま、吐出容器自体を交換することが可能となる。
【0049】
また、上記実施形態では、ポンプ部を利用して内容物を吐出させるタイプの吐出容器を例に挙げて説明したが、この際のポンプ部は、吐出ヘッド22を介してステム21を押し下げることによって内容物を吸い上げ、吐出口23aから吐出させるものであれば公知のもので良く、例えば、内容物を液状で吐出する液ポンプや、空気シリンダ及び空気ピストンを構成に加えて内容物を泡状に吐出するフォーマーポンプや、内容物を霧状に吐出するスプレーポンプであっても構わない。
【0050】
また、ポンプタイプの吐出容器ではなく、エアゾールタイプの吐出容器であっても本発明は適用可能である。
エアゾールタイプの吐出容器は、通常、容器本体に吐出器が直接装着されるが、容器本体の口部に保護キャップを装着し、この保護キャップを本発明に係る装着キャップとして利用すれば良い。
【0051】
また、容器本体としては、樹脂成形された一般的なボトルでも構わないし、外層と内層とで2層に構成され、外層に対して内層が剥離する積層剥離型のデラミボトルでも構わないし、内圧減少に伴って上昇する中皿を内部に有する中皿上昇式のボトルであっても構わない。
【符号の説明】
【0052】
M…回転軸線
O…容器軸
1…多連式吐出容器
2、3…吐出容器
4…外装ケース
10…容器本体
10a…容器本体の口部
20…吐出器
21…ステム
22…吐出ヘッド
23a…吐出口
30…装着キャップ
35…回転連結部材
36…第1係合部
37…第2係合部
40、70…操作片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填された容器本体と、
該容器本体の口部に装着された装着キャップと、
上方付勢状態で押し込み可能に起立したステム、及び該ステムの押し込みにより前記内容物を吐出させる吐出口を有する吐出器と、を備えた吐出容器、並びに
前記吐出容器を複数並列させた状態で内部に収容する外装ケース、を備え、
互いに隣り合う前記吐出容器の前記装着キャップ同士は、容器軸に対して直交する直交面に沿って延びる回転軸線回りに回転連結部材によって回転自在に連結されていることを特徴とする多連式吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の多連式吐出容器において、
前記回転連結部材は、
互いに隣り合う前記吐出容器のうち、一方の吐出容器の前記装着キャップに設けられた第1係合部と、
他方の吐出容器の前記装着キャップに設けられ、前記第1係合部に前記回転軸線回りに回転自在に係合された第2係合部と、
を備えていることを特徴とする多連式吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の多連式吐出容器において、
前記吐出器は、前記ステムの上端に装着されると共に前記吐出口が形成された吐出ヘッドを備え、
互いに隣り合う前記吐出容器のうち、一方の吐出容器における前記吐出ヘッドには、他方の吐出容器における前記吐出ヘッドに対して連係可能に配置された操作片が設けられていることを特徴とする多連式吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−201591(P2011−201591A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73120(P2010−73120)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】