多部品からなる歯科インプラントシステムのために改良したカップリング
【課題】多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合を提供する。
【解決手段】橋脚歯2に、歯科インプラント1に橋脚歯2を係合するためのガイド及びロック手段7,4,22を設ける。ガイド及びロック手段7,4,22は、円錐状に傾斜した第1部分7と、該第1部分7の先端に隣接して配置され、非回転手段4´が配設される、ほぼ平坦な第2部分4とを有する。第2部分4の非回転手段4´は、歯科インプラント1内に挿入する際、橋脚歯2を放射方向にガイドするように、橋脚歯2の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラント1に係合する歯科インプラントシステムで使用する。
【解決手段】橋脚歯2に、歯科インプラント1に橋脚歯2を係合するためのガイド及びロック手段7,4,22を設ける。ガイド及びロック手段7,4,22は、円錐状に傾斜した第1部分7と、該第1部分7の先端に隣接して配置され、非回転手段4´が配設される、ほぼ平坦な第2部分4とを有する。第2部分4の非回転手段4´は、歯科インプラント1内に挿入する際、橋脚歯2を放射方向にガイドするように、橋脚歯2の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラント1に係合する歯科インプラントシステムで使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多部品の歯科インプラントシステムのために改良したカップリング、特に、突起、2次部品等を備えた歯科インプラントのために改良したカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多部品の歯科インプラントシステムは、人の歯を再建するために、口腔外科で使用されている。通常、多部品のインプラントシステムは、歯科インプラント、好ましくは、歯科インプラントネジからなり、それは、例えば、骨組織や橋脚歯、あるいは、特に、義歯を支持するために設けた2次部品に用意された収容穴に螺合又は圧入される。
【0003】
上述の多部品歯科インプラントシステムに頻繁に発生する問題は、骨組織に既に配置された歯科インプラント内に、橋脚歯又は2次部品を正確に配置することである。
【0004】
正確に配置することの問題は、多数の従来技術に係る特許公報によって取り組まれている。
【0005】
特に、米国特許第5195852号公報によれば、円筒状のキャビティが発明されており、歯科インプラントネジの頭頂端には、義歯構造を支持する橋脚歯の回転を阻止するために、多数の条痕を備えている。しかしながら、条痕は歯科インプラントネジの上端面に直角に設けられているので、橋脚歯と歯科インプラントネジの間のカップリングの安定性と無菌性は満足できるものではなかった。
【0006】
他の解決法は、米国特許第5281140号公報によって提案されており、そこには、歯科インプラント、第1中間橋脚歯部、及び、第2歯科橋脚部で構成される3つの部分からなる歯科インプラントシステムが開示されている。歯科インプラントは、面取りされた肩部を備えた頭頂部、続いて、歯科インプラント内に向かって先端方向に延びる六角形の開口、さらに、締付ネジを保持するような円筒形状の通路によって先端に延びるように設けられている。第1中間橋脚歯部は、頭頂端で、面取りされた肩部と歯科インプラントの六角形の開口とに対してそれぞれ相補的に形成され、第2橋脚歯部に対向する側面で、多角形の突出部を備える。さらに、第2橋脚歯部は、キャビティを備えた頭頂端に、第1中間橋脚歯部の多角形の突出部に対して相補的に形成され、締付ネジを介して歯科インプラントを結合する際、2つの橋脚歯を回転方向に相対的に位置決めするように設けられている。
【0007】
それにも拘わらず、米国特許第5281140号公報の解決法でも、より大きな部品を備えるため、欠点を克服できていなかった。また、面取りされた肩部の相対的に大きな傾斜角度は、歯科インプラントに橋脚歯部を十分に安定して無菌状態で結合するように設けるには適していなかった。
【0008】
ヨーロッパ特許第475299号公報には、2部品の橋脚歯に連結可能な歯科インプラントネジが開示されている。歯科インプラントには、肩部から離れた、心出し手段及びポジティブロック手段を設けられている。短い円筒凹部は、心出し手段と肩部との間に延びている。しかしながら、ヨーロッパ特許第475299号公報でも、歯科インプラントネジに対して橋脚歯部を十分に安定して無菌状態で結合するように設けることには失敗している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5195852号公報
【特許文献2】米国特許第5281140号公報
【特許文献3】ヨーロッパ特許第475299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の意図するところは、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合、特に、従来の装置の欠点を解消する橋脚歯、第2の部分等を備えた歯科インプラントの改良された結合を提供することであり、歯科インプラント、橋脚歯、及び、第2の部分のそれぞれ間を、安定して無菌状態で結合することが可能とすることである。
【0011】
この意図する範囲内で、本発明の目的は、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合を提供することであり、橋脚歯又は第2の部分の位置決めは、殆ど経験のないユーザであっても正確に行うことができる。実際に、歯科インプラントで橋脚歯又は第2の部分の位置決めは、含められる部品と作業環境の小さな規模に注目する、取るに足らない事項ではない。兎に角、上記目的に対して本発明によって提案された解決策は、結合を無菌で安定して行うことに対して不利益とはならないようにすることである。
【0012】
他の目的は、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合を提供することであり、部品の数は最小化される。
【0013】
この意図、これらの目的等は、後述するように、より一層明らかとなり、添付の請求項に記載された多部品の歯科インプラントシステムのための結合によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
特に、本発明は、ある態様では、歯科インプラントシステムで使用するための橋脚歯を提供し、該橋脚歯には、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、歯科インプラントに橋脚歯を係合するためのガイド及びロック手段が設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、該第2部分の先端に隣接して配置された略円筒状の第3部分と、を有する。
【0015】
類似した方法、すなわち、上述と相補的な方法で、本発明は、歯科インプラントシステムに使用するための歯科インプラントを提供し、該歯科インプラントには、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段が設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、該第2部分の先端に隣接して配置される略円筒状の第3部分と、を有する。
【0016】
本発明の他の態様では、歯科インプラントシステムでの使用のための橋脚歯が開示されており、該橋脚歯は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦は第2部分と、を有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、橋脚歯の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラントに係合する。
【0017】
同様に、本発明は、歯科インプラントシステムで使用するための歯科インプラントを教授し、該歯科インプラントは、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段を設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、を有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、歯科インプラントの軸に対して放射状に延びる表面を有し、橋脚歯に係合する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングを示す斜視図である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係るカップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、橋脚歯又は第2の部分の対応するガイド及びロック手段の側面図である。
【図1D】本発明の第1実施形態に係る、橋脚歯を組み込まれ、カップリングを含む歯科インプラントの図である。
【図1E】本発明の第1実施形態に係るカップリングを組み込んだ歯科インプラントシステムの全体図である。
【図2A】本発明の第2実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングを示す斜視図である。
【図2B】本発明の第2実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図2C】本発明の第2実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図3A】本発明の第3実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図3B】本発明の第3実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図3C】本発明の第3実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図4A】本発明の第4実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図4B】本発明の第4実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図4C】本発明の第4実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図5A】本発明の第5実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムの斜視図である。
【図5B】本発明の第5実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図5C】本発明の第5実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図6A】本発明の第6実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図6B】本発明の第6実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図6C】本発明の第6実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面1A〜1Eにおいて、歯科インプラント1、好ましくは、骨組織、橋脚歯、あるいは、2次部品2内に挿入するための雄ネジを有する歯科インプラントと、歯科インプラントシステムに一体形成する締付ネジ3とが示されている。締付ネジ3は、図1Dに最もよく示されるように、橋脚歯で軸方向に保持されるのが好ましい。
【0020】
本発明の第1実施形態では、橋脚歯2は、第1円錐部7として組み込まれたガイド及びロック手段、続いて、先端位置で、突出部4´を備えた第2非傾斜部4によって橋脚歯2の軸方向に延び、そこからさらに離れた先端位置で、第3略円筒部22によって延びるように設けられている。
【0021】
図1A〜1Eに示す突出部の数は8に等しい。これにより、第2非傾斜部4の断面は略八角形となる。一方、歯科インプラント1と橋脚歯2との間の相対位置を調整する必要があるため、突出部の数を変更してもよいことを当業者あれば理解するであろう。突出部4´の形状を変更してもよく、各突出部の最終断面は八角形である必要もない。
【0022】
本発明の第1実施形態において、第2部分4の軸方向の長さが第3部分22の軸方向の長さの約2倍であれば、特に有利である。さらに、第1部分7の軸方向の長さが、第2部分4及び第3部分22の軸方向の全長とほぼ等しければ特に有利である。したがって、ユーザは、橋脚歯を歯科インプラントに組み付ける際、より長い挿入経路を提供される結果、より好ましい手応えを得る。また、歯科インプラントへのネジ3の固定は、後述するように、第3部分22と共に第2部分4が歯科インプラントの補助部に十分に挿入されることによってのみ可能である。このようにして、ネジのくさび止めを回避することができる。
【0023】
本発明において、橋脚歯の軸に対する第1部分7の傾きは、歯科インプラントと橋脚歯の間の結合に必要なシール性と安定性が得られるように、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°の範囲となっている。また、第1部分7の軸方向の伸長量は、説明したように、第2部分4及び第3部分22の軸方向の全伸長量とほぼ等しいのが好ましい。さらにまた、後者は本発明の歯科インプラントシステムのシール性及び安定性の特徴を改良している。
【0024】
歯科インプラント1には、橋脚歯のガイド及びロック手段、特に、橋脚歯2の第1円錐部7に嵌合する第1円錐部T、橋脚歯の第2略非円錐部4及び突出部4´を保持するための溝4´´´を備えた第2非円錐部4´´、及び、橋脚歯の第2部分22を保持するための第3略円筒部22´と相補的であるガイド及びロック手段が設けられている。橋脚歯の第1部分7、第2部分4´´、及び、第3部分22´は、前述のように、形状、伸長量、傾斜角度等について、第1部分7、第2部分4、及び、第3部分22と相補的であり、詳細な説明は、繰り返しを避けるために省略する。それにも拘わらず、後述する幾つかの実施形態から明らかになるように、当業者は、突出部の数が溝の数と等しくなってはならないことを理解するであろう。
【0025】
本発明において、歯科インプラント1の肩部8は溝を移動自在であり、歯科インプラント1及び橋脚歯2の間を回転しないようにロックするために設けた溝/突出部は肩部8から離されている。したがって、歯科インプラントと橋脚歯の間の内面での歯科インプラントシステムのシール特性は損なわれることがなく、安定性は維持される。また、第1傾斜部7及びTのため、歯科インプラント内に橋脚歯2を挿入する際、突出部4´の妨害が回避される。
【0026】
また、傾きを合致させることにより、効率的な抗菌性のバリアが、歯科インプラント1と橋脚歯2の間に僅かな隙間も現れないように形成され、後者のパーツの正確な嵌合により、それらの間の相互の微小なズレが防止される。さらに、締付ネジ3を締め付けることにより、回転しないように二重にロックされ、特に、突出部/溝の挿入によるポジティブロックと、2つの傾斜部7及び7´の間の相互作用による摩擦ロックとが得られる。
【0027】
さらに、橋脚歯2及び歯科インプラント1の第3部分22及び22´は、歯科インプラント1への橋脚歯2の挿入を補助するガイド機能を備える。
【0028】
なお、ガイド機能は、後述するような異なる手法で達成するようにしてもよいが、上述の列記した利点は、ここで記載した実施形態の全てに当てはまる。
【0029】
本発明の第2実施形態は、図2A〜2Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する内容の説明を省略する。
【0030】
第2実施形態では、橋脚歯2の第2部分及び第3部分が、第1部分7の先端側に隣接する突出部24´に交換されている。また、よりよい理解のために、隣接部が図2Aの反転図に示されている。
【0031】
第2実施形態の歯科インプラント1では、第2部分及び第3部分が、次に、歯科インプラント1のガイド及びロック手段に、ロゼット形成した外観を提供する溝2´´´を備えた環状プラットフォーム5に交換されている。4つの溝24´´´が図2A及び2Bに示されているが、当業者であれば、例えば、歯科インプラントと橋脚歯の間の相対位置の数を調整するために、これらの部材を必要に応じて変更できることを容易に理解するであろう。
【0032】
本発明の第2実施形態の改良された処理は、中間位置の歯科インプラント1の環状プラットフォーム5に突出部24´を備えた橋脚歯2を配置することによって達成される。この位置で、締付ネジ3を締め付けることはできない。したがって、橋脚歯には目詰まりが改良されて安全性がもたらされる。突出部24´が溝24´´´の1つに位置決めされ、十分に貫通するまで回転されれば、締付ネジ3の締付のみが可能となる。この方法では、本発明の第2実施形態により、橋脚歯2を歯科インプラント1内に挿入することを容易にするガイド機能が有効に実行される。
【0033】
本発明の第3実施形態は、図3A〜3Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0034】
本発明の第3実施形態の橋脚歯では、第2部分34が、断面略六角形状に形成され、好ましくは円弧状を有する、挿入された突出面によって連結される4つの垂直面を備えている。実際に、誇張して表現されてはいるが、断面は、外縁がほぼ正方形となっている。橋脚歯2の略円筒の第3部分22は、第1実施形態の橋脚歯の第3部分22と同様である。
【0035】
本発明の第3実施形態では、歯科インプラント1の第2部分は、歯科インプラント1のガイド及びロック手段に周縁が上述の正方形となるように4つの溝34´´´を備えたプラットフォーム35によってさらにもう一度交換される。換言すれば、プラットフォーム35及び歯科インプラントの溝34´´´の輪郭又は断面は、橋脚歯2の第2部分34の輪郭又は断面と相補的である。歯科インプラントの第3部分22´は、橋脚歯2の第3部分22と相補的である。
【0036】
本発明の第3実施形態の改良された処理は、橋脚歯2の第2部分34の垂直面が、歯科インプラントのプラットフォーム35に載置されるように、中間位置で、歯科インプラント1のプラットフォーム35上に、(周縁に正方形の輪郭を形成する)第2部分34を備えた橋脚歯2に交換することによって達成される。この位置では、締付ネジ3を締め付けることはできない。したがって、橋脚歯に目詰まりを改良して安全性がもたらされる。橋脚歯2の第2部分34が溝部34´´´に位置するように回転すれば、締付ネジの締付のみが可能となる。この方法では、本発明の第3実施形態により、歯科インプラント1への橋脚歯2の挿入を容易にするガイド機能が有効に実行される。さらに、ガイド機能は、橋脚歯と歯科インプラントの各第3部分によって高められる。
【0037】
本発明の第4実施形態は、図4A〜4Cに記載されており、本発明の第3実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0038】
本発明の第4実施形態では、橋脚歯2には(略八角形に形成される)8つの突出部44´が設けられており、歯科インプラント1には(同様に略八角形に形成される)8つの係合溝44´´´が設けられ、突出部44´に係合されている。突出部及び係合溝の数は必要に応じて変更できることが再度強調されている。
【0039】
第4実施形態では、溝44´´´の周囲に、力を変換する要素として機能するSCSリング10が配設されるという利点がある。したがって、歯科インプラント1の溝44´´´は、(回転方向の)位置決め又は位置変更する要素としてのみ機能し、力の伝達のためにストレスを受けやすいことはない。
【0040】
本発明の第5実施形態は、図5A〜5Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0041】
本発明の第5実施形態では、橋脚歯2には(略三角形状に形成される)3つの突出部54´が設けられており、歯科インプラント1には(同様に略三角形状に形成される)係合溝54´´´が設けられ、前記突出部54´を保持するように係合している。そのような略三角形状の外形により、よりよい力の伝達が可能となる。
【0042】
しかも、第2実施形態と同様な方法では、溝54´´´を囲む環状プラットフォーム55が設けられている。したがって、第2実施形態と同様な方法では、橋脚歯2が歯科インプラント1に十分に貫通し、締付ネジ3によって強固に固定され、突出部54´が溝54´´´に位置決めされるように回転されるまで、橋脚歯2が環状プラットフォーム55の中間位置に保持されるので、橋脚歯2は目詰まりを改良されて安全性がもたらされる。
【0043】
第5実施形態に特有の特徴は、橋脚歯2のよりよい支持とガイドのため、歯科インプラント1に第3部分12を係合すると共に、延長された円筒状の第2部分11を設けた第2非傾斜部分に隣接する橋脚歯2の先端に設けた、参照符号11によって示される、延長された円筒状の第2部分である。橋脚歯の延長された第3部分の軸方向への伸長量は、橋脚歯2の第2部分の軸方向への伸長量に対する割合が約1.4〜1.7、特に、1.6であるのが好ましい。特に、図5を参照すると理解できるように、橋脚歯の第1部分の軸方向への伸長量は、第2部分の軸方向の伸長量の約半分である。
【0044】
本発明の第6実施形態は、図6A〜6Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0045】
本発明の第6実施形態では、橋脚歯2には単一の突出部64´が設けられ、歯科インプラント1には多数の(例えば、4つの)係合溝64´´が設けられ、突出部64´を保持可能となっている。
【0046】
さらに、第2又は第4実施形態と同様に、溝64´´´の間に挿入された環状プラットフォーム65が設けられている。したがって、橋脚歯2が十分に歯科インプラント1を貫通するように、橋脚歯2が溝64´´´の1つに位置決めされるように回転されるまで、橋脚歯2には改良された目詰まりに対する安全性がもたらされる。また、第6実施形態でのガイド及び支持機能は、橋脚歯及び歯科インプラントにそれぞれ延設された第3部位を露出させることによって高められ、その部位は第5実施形態と同様に軸方向に延びるように工夫されている。
【0047】
本発明の範囲を逸脱することなく、当業者にとって種々の改良が可能であることは明白である。したがって、特許請求の範囲は、図面あるいは詳細な説明の好ましい実施形態によって制限されるものではないが、本発明に属する特許可能な新規な特徴の全てが包含され、当業者によって同等のものとして扱われる全ての特徴が含められる。この点で、強調されるのは、本発明の歯科インプラント及び橋脚歯は、セラミックス、金属(特に、チタン)、及び、これらの組み合わせによって製造可能であるところである。
【0048】
いずれかの請求項に記載された技術的特徴は、参照符号によって理解され、これらの参照符号は、請求項の理解度を高めることのみを目的として含められ、そのような参照符号は、例示された各構成要素の範囲を全く限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1…歯科インプラント
2…橋脚歯
3…締付ネジ
4…第2非傾斜部(第2部分)
4´…突出部
4´´…第2非円錐部
4´´´…溝
7、7´…第1円錐部(第1部分)
22、22´…第3略円筒部(第3部分)
24´…突出部
24´´´…溝
34…第2部分
34´´´…溝
35…プラットフォーム
44´…突出部
44´´…溝
44´´´…溝
54´…突出部
54´´´…溝
64´…突出部
64´´…係合溝
64´´´…係合溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多部品の歯科インプラントシステムのために改良したカップリング、特に、突起、2次部品等を備えた歯科インプラントのために改良したカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多部品の歯科インプラントシステムは、人の歯を再建するために、口腔外科で使用されている。通常、多部品のインプラントシステムは、歯科インプラント、好ましくは、歯科インプラントネジからなり、それは、例えば、骨組織や橋脚歯、あるいは、特に、義歯を支持するために設けた2次部品に用意された収容穴に螺合又は圧入される。
【0003】
上述の多部品歯科インプラントシステムに頻繁に発生する問題は、骨組織に既に配置された歯科インプラント内に、橋脚歯又は2次部品を正確に配置することである。
【0004】
正確に配置することの問題は、多数の従来技術に係る特許公報によって取り組まれている。
【0005】
特に、米国特許第5195852号公報によれば、円筒状のキャビティが発明されており、歯科インプラントネジの頭頂端には、義歯構造を支持する橋脚歯の回転を阻止するために、多数の条痕を備えている。しかしながら、条痕は歯科インプラントネジの上端面に直角に設けられているので、橋脚歯と歯科インプラントネジの間のカップリングの安定性と無菌性は満足できるものではなかった。
【0006】
他の解決法は、米国特許第5281140号公報によって提案されており、そこには、歯科インプラント、第1中間橋脚歯部、及び、第2歯科橋脚部で構成される3つの部分からなる歯科インプラントシステムが開示されている。歯科インプラントは、面取りされた肩部を備えた頭頂部、続いて、歯科インプラント内に向かって先端方向に延びる六角形の開口、さらに、締付ネジを保持するような円筒形状の通路によって先端に延びるように設けられている。第1中間橋脚歯部は、頭頂端で、面取りされた肩部と歯科インプラントの六角形の開口とに対してそれぞれ相補的に形成され、第2橋脚歯部に対向する側面で、多角形の突出部を備える。さらに、第2橋脚歯部は、キャビティを備えた頭頂端に、第1中間橋脚歯部の多角形の突出部に対して相補的に形成され、締付ネジを介して歯科インプラントを結合する際、2つの橋脚歯を回転方向に相対的に位置決めするように設けられている。
【0007】
それにも拘わらず、米国特許第5281140号公報の解決法でも、より大きな部品を備えるため、欠点を克服できていなかった。また、面取りされた肩部の相対的に大きな傾斜角度は、歯科インプラントに橋脚歯部を十分に安定して無菌状態で結合するように設けるには適していなかった。
【0008】
ヨーロッパ特許第475299号公報には、2部品の橋脚歯に連結可能な歯科インプラントネジが開示されている。歯科インプラントには、肩部から離れた、心出し手段及びポジティブロック手段を設けられている。短い円筒凹部は、心出し手段と肩部との間に延びている。しかしながら、ヨーロッパ特許第475299号公報でも、歯科インプラントネジに対して橋脚歯部を十分に安定して無菌状態で結合するように設けることには失敗している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5195852号公報
【特許文献2】米国特許第5281140号公報
【特許文献3】ヨーロッパ特許第475299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の意図するところは、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合、特に、従来の装置の欠点を解消する橋脚歯、第2の部分等を備えた歯科インプラントの改良された結合を提供することであり、歯科インプラント、橋脚歯、及び、第2の部分のそれぞれ間を、安定して無菌状態で結合することが可能とすることである。
【0011】
この意図する範囲内で、本発明の目的は、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合を提供することであり、橋脚歯又は第2の部分の位置決めは、殆ど経験のないユーザであっても正確に行うことができる。実際に、歯科インプラントで橋脚歯又は第2の部分の位置決めは、含められる部品と作業環境の小さな規模に注目する、取るに足らない事項ではない。兎に角、上記目的に対して本発明によって提案された解決策は、結合を無菌で安定して行うことに対して不利益とはならないようにすることである。
【0012】
他の目的は、多部品の歯科インプラントシステムのために改良された結合を提供することであり、部品の数は最小化される。
【0013】
この意図、これらの目的等は、後述するように、より一層明らかとなり、添付の請求項に記載された多部品の歯科インプラントシステムのための結合によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
特に、本発明は、ある態様では、歯科インプラントシステムで使用するための橋脚歯を提供し、該橋脚歯には、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、歯科インプラントに橋脚歯を係合するためのガイド及びロック手段が設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、該第2部分の先端に隣接して配置された略円筒状の第3部分と、を有する。
【0015】
類似した方法、すなわち、上述と相補的な方法で、本発明は、歯科インプラントシステムに使用するための歯科インプラントを提供し、該歯科インプラントには、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段が設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、該第2部分の先端に隣接して配置される略円筒状の第3部分と、を有する。
【0016】
本発明の他の態様では、歯科インプラントシステムでの使用のための橋脚歯が開示されており、該橋脚歯は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦は第2部分と、を有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、橋脚歯の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラントに係合する。
【0017】
同様に、本発明は、歯科インプラントシステムで使用するための歯科インプラントを教授し、該歯科インプラントは、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段を設けられ、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を備えた、ほぼ平坦な第2部分と、を有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、歯科インプラントの軸に対して放射状に延びる表面を有し、橋脚歯に係合する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングを示す斜視図である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係るカップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、橋脚歯又は第2の部分の対応するガイド及びロック手段の側面図である。
【図1D】本発明の第1実施形態に係る、橋脚歯を組み込まれ、カップリングを含む歯科インプラントの図である。
【図1E】本発明の第1実施形態に係るカップリングを組み込んだ歯科インプラントシステムの全体図である。
【図2A】本発明の第2実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングを示す斜視図である。
【図2B】本発明の第2実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図2C】本発明の第2実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図3A】本発明の第3実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図3B】本発明の第3実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図3C】本発明の第3実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図4A】本発明の第4実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図4B】本発明の第4実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図4C】本発明の第4実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図5A】本発明の第5実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムの斜視図である。
【図5B】本発明の第5実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図5C】本発明の第5実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【図6A】本発明の第6実施形態に係る多部品の歯科インプラントシステムのためのカップリングの斜視図である。
【図6B】本発明の第6実施形態に係る、カップリングを備えた歯科インプラントの平面図である。
【図6C】本発明の第6実施形態に係る、歯科インプラントのガイド及びロック手段と、これに対応する橋脚歯又は第2の部分のガイド及びロック手段の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面1A〜1Eにおいて、歯科インプラント1、好ましくは、骨組織、橋脚歯、あるいは、2次部品2内に挿入するための雄ネジを有する歯科インプラントと、歯科インプラントシステムに一体形成する締付ネジ3とが示されている。締付ネジ3は、図1Dに最もよく示されるように、橋脚歯で軸方向に保持されるのが好ましい。
【0020】
本発明の第1実施形態では、橋脚歯2は、第1円錐部7として組み込まれたガイド及びロック手段、続いて、先端位置で、突出部4´を備えた第2非傾斜部4によって橋脚歯2の軸方向に延び、そこからさらに離れた先端位置で、第3略円筒部22によって延びるように設けられている。
【0021】
図1A〜1Eに示す突出部の数は8に等しい。これにより、第2非傾斜部4の断面は略八角形となる。一方、歯科インプラント1と橋脚歯2との間の相対位置を調整する必要があるため、突出部の数を変更してもよいことを当業者あれば理解するであろう。突出部4´の形状を変更してもよく、各突出部の最終断面は八角形である必要もない。
【0022】
本発明の第1実施形態において、第2部分4の軸方向の長さが第3部分22の軸方向の長さの約2倍であれば、特に有利である。さらに、第1部分7の軸方向の長さが、第2部分4及び第3部分22の軸方向の全長とほぼ等しければ特に有利である。したがって、ユーザは、橋脚歯を歯科インプラントに組み付ける際、より長い挿入経路を提供される結果、より好ましい手応えを得る。また、歯科インプラントへのネジ3の固定は、後述するように、第3部分22と共に第2部分4が歯科インプラントの補助部に十分に挿入されることによってのみ可能である。このようにして、ネジのくさび止めを回避することができる。
【0023】
本発明において、橋脚歯の軸に対する第1部分7の傾きは、歯科インプラントと橋脚歯の間の結合に必要なシール性と安定性が得られるように、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°の範囲となっている。また、第1部分7の軸方向の伸長量は、説明したように、第2部分4及び第3部分22の軸方向の全伸長量とほぼ等しいのが好ましい。さらにまた、後者は本発明の歯科インプラントシステムのシール性及び安定性の特徴を改良している。
【0024】
歯科インプラント1には、橋脚歯のガイド及びロック手段、特に、橋脚歯2の第1円錐部7に嵌合する第1円錐部T、橋脚歯の第2略非円錐部4及び突出部4´を保持するための溝4´´´を備えた第2非円錐部4´´、及び、橋脚歯の第2部分22を保持するための第3略円筒部22´と相補的であるガイド及びロック手段が設けられている。橋脚歯の第1部分7、第2部分4´´、及び、第3部分22´は、前述のように、形状、伸長量、傾斜角度等について、第1部分7、第2部分4、及び、第3部分22と相補的であり、詳細な説明は、繰り返しを避けるために省略する。それにも拘わらず、後述する幾つかの実施形態から明らかになるように、当業者は、突出部の数が溝の数と等しくなってはならないことを理解するであろう。
【0025】
本発明において、歯科インプラント1の肩部8は溝を移動自在であり、歯科インプラント1及び橋脚歯2の間を回転しないようにロックするために設けた溝/突出部は肩部8から離されている。したがって、歯科インプラントと橋脚歯の間の内面での歯科インプラントシステムのシール特性は損なわれることがなく、安定性は維持される。また、第1傾斜部7及びTのため、歯科インプラント内に橋脚歯2を挿入する際、突出部4´の妨害が回避される。
【0026】
また、傾きを合致させることにより、効率的な抗菌性のバリアが、歯科インプラント1と橋脚歯2の間に僅かな隙間も現れないように形成され、後者のパーツの正確な嵌合により、それらの間の相互の微小なズレが防止される。さらに、締付ネジ3を締め付けることにより、回転しないように二重にロックされ、特に、突出部/溝の挿入によるポジティブロックと、2つの傾斜部7及び7´の間の相互作用による摩擦ロックとが得られる。
【0027】
さらに、橋脚歯2及び歯科インプラント1の第3部分22及び22´は、歯科インプラント1への橋脚歯2の挿入を補助するガイド機能を備える。
【0028】
なお、ガイド機能は、後述するような異なる手法で達成するようにしてもよいが、上述の列記した利点は、ここで記載した実施形態の全てに当てはまる。
【0029】
本発明の第2実施形態は、図2A〜2Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する内容の説明を省略する。
【0030】
第2実施形態では、橋脚歯2の第2部分及び第3部分が、第1部分7の先端側に隣接する突出部24´に交換されている。また、よりよい理解のために、隣接部が図2Aの反転図に示されている。
【0031】
第2実施形態の歯科インプラント1では、第2部分及び第3部分が、次に、歯科インプラント1のガイド及びロック手段に、ロゼット形成した外観を提供する溝2´´´を備えた環状プラットフォーム5に交換されている。4つの溝24´´´が図2A及び2Bに示されているが、当業者であれば、例えば、歯科インプラントと橋脚歯の間の相対位置の数を調整するために、これらの部材を必要に応じて変更できることを容易に理解するであろう。
【0032】
本発明の第2実施形態の改良された処理は、中間位置の歯科インプラント1の環状プラットフォーム5に突出部24´を備えた橋脚歯2を配置することによって達成される。この位置で、締付ネジ3を締め付けることはできない。したがって、橋脚歯には目詰まりが改良されて安全性がもたらされる。突出部24´が溝24´´´の1つに位置決めされ、十分に貫通するまで回転されれば、締付ネジ3の締付のみが可能となる。この方法では、本発明の第2実施形態により、橋脚歯2を歯科インプラント1内に挿入することを容易にするガイド機能が有効に実行される。
【0033】
本発明の第3実施形態は、図3A〜3Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0034】
本発明の第3実施形態の橋脚歯では、第2部分34が、断面略六角形状に形成され、好ましくは円弧状を有する、挿入された突出面によって連結される4つの垂直面を備えている。実際に、誇張して表現されてはいるが、断面は、外縁がほぼ正方形となっている。橋脚歯2の略円筒の第3部分22は、第1実施形態の橋脚歯の第3部分22と同様である。
【0035】
本発明の第3実施形態では、歯科インプラント1の第2部分は、歯科インプラント1のガイド及びロック手段に周縁が上述の正方形となるように4つの溝34´´´を備えたプラットフォーム35によってさらにもう一度交換される。換言すれば、プラットフォーム35及び歯科インプラントの溝34´´´の輪郭又は断面は、橋脚歯2の第2部分34の輪郭又は断面と相補的である。歯科インプラントの第3部分22´は、橋脚歯2の第3部分22と相補的である。
【0036】
本発明の第3実施形態の改良された処理は、橋脚歯2の第2部分34の垂直面が、歯科インプラントのプラットフォーム35に載置されるように、中間位置で、歯科インプラント1のプラットフォーム35上に、(周縁に正方形の輪郭を形成する)第2部分34を備えた橋脚歯2に交換することによって達成される。この位置では、締付ネジ3を締め付けることはできない。したがって、橋脚歯に目詰まりを改良して安全性がもたらされる。橋脚歯2の第2部分34が溝部34´´´に位置するように回転すれば、締付ネジの締付のみが可能となる。この方法では、本発明の第3実施形態により、歯科インプラント1への橋脚歯2の挿入を容易にするガイド機能が有効に実行される。さらに、ガイド機能は、橋脚歯と歯科インプラントの各第3部分によって高められる。
【0037】
本発明の第4実施形態は、図4A〜4Cに記載されており、本発明の第3実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0038】
本発明の第4実施形態では、橋脚歯2には(略八角形に形成される)8つの突出部44´が設けられており、歯科インプラント1には(同様に略八角形に形成される)8つの係合溝44´´´が設けられ、突出部44´に係合されている。突出部及び係合溝の数は必要に応じて変更できることが再度強調されている。
【0039】
第4実施形態では、溝44´´´の周囲に、力を変換する要素として機能するSCSリング10が配設されるという利点がある。したがって、歯科インプラント1の溝44´´´は、(回転方向の)位置決め又は位置変更する要素としてのみ機能し、力の伝達のためにストレスを受けやすいことはない。
【0040】
本発明の第5実施形態は、図5A〜5Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については、同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0041】
本発明の第5実施形態では、橋脚歯2には(略三角形状に形成される)3つの突出部54´が設けられており、歯科インプラント1には(同様に略三角形状に形成される)係合溝54´´´が設けられ、前記突出部54´を保持するように係合している。そのような略三角形状の外形により、よりよい力の伝達が可能となる。
【0042】
しかも、第2実施形態と同様な方法では、溝54´´´を囲む環状プラットフォーム55が設けられている。したがって、第2実施形態と同様な方法では、橋脚歯2が歯科インプラント1に十分に貫通し、締付ネジ3によって強固に固定され、突出部54´が溝54´´´に位置決めされるように回転されるまで、橋脚歯2が環状プラットフォーム55の中間位置に保持されるので、橋脚歯2は目詰まりを改良されて安全性がもたらされる。
【0043】
第5実施形態に特有の特徴は、橋脚歯2のよりよい支持とガイドのため、歯科インプラント1に第3部分12を係合すると共に、延長された円筒状の第2部分11を設けた第2非傾斜部分に隣接する橋脚歯2の先端に設けた、参照符号11によって示される、延長された円筒状の第2部分である。橋脚歯の延長された第3部分の軸方向への伸長量は、橋脚歯2の第2部分の軸方向への伸長量に対する割合が約1.4〜1.7、特に、1.6であるのが好ましい。特に、図5を参照すると理解できるように、橋脚歯の第1部分の軸方向への伸長量は、第2部分の軸方向の伸長量の約半分である。
【0044】
本発明の第6実施形態は、図6A〜6Cに記載されており、本発明の第1実施形態と同様な特徴については同一の参照符号を付して一致する説明を省略する。
【0045】
本発明の第6実施形態では、橋脚歯2には単一の突出部64´が設けられ、歯科インプラント1には多数の(例えば、4つの)係合溝64´´が設けられ、突出部64´を保持可能となっている。
【0046】
さらに、第2又は第4実施形態と同様に、溝64´´´の間に挿入された環状プラットフォーム65が設けられている。したがって、橋脚歯2が十分に歯科インプラント1を貫通するように、橋脚歯2が溝64´´´の1つに位置決めされるように回転されるまで、橋脚歯2には改良された目詰まりに対する安全性がもたらされる。また、第6実施形態でのガイド及び支持機能は、橋脚歯及び歯科インプラントにそれぞれ延設された第3部位を露出させることによって高められ、その部位は第5実施形態と同様に軸方向に延びるように工夫されている。
【0047】
本発明の範囲を逸脱することなく、当業者にとって種々の改良が可能であることは明白である。したがって、特許請求の範囲は、図面あるいは詳細な説明の好ましい実施形態によって制限されるものではないが、本発明に属する特許可能な新規な特徴の全てが包含され、当業者によって同等のものとして扱われる全ての特徴が含められる。この点で、強調されるのは、本発明の歯科インプラント及び橋脚歯は、セラミックス、金属(特に、チタン)、及び、これらの組み合わせによって製造可能であるところである。
【0048】
いずれかの請求項に記載された技術的特徴は、参照符号によって理解され、これらの参照符号は、請求項の理解度を高めることのみを目的として含められ、そのような参照符号は、例示された各構成要素の範囲を全く限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1…歯科インプラント
2…橋脚歯
3…締付ネジ
4…第2非傾斜部(第2部分)
4´…突出部
4´´…第2非円錐部
4´´´…溝
7、7´…第1円錐部(第1部分)
22、22´…第3略円筒部(第3部分)
24´…突出部
24´´´…溝
34…第2部分
34´´´…溝
35…プラットフォーム
44´…突出部
44´´…溝
44´´´…溝
54´…突出部
54´´´…溝
64´…突出部
64´´…係合溝
64´´´…係合溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚歯に、歯科インプラントに橋脚歯を係合するためのガイド及びロック手段を設け、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段が配設される、ほぼ平坦な第2部分とを有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、橋脚歯の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラントに係合している歯科インプラントシステムで使用するための橋脚歯。
【請求項2】
さらに、前記ガイド及びロック手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、第2部分の先端に隣接して配置される略円筒状の第3部分を有する請求項1に記載の橋脚歯。
【請求項3】
前記橋脚歯は、歯科インプラントに橋脚歯を締め付けるための雄ネジを軸方向に保持し、一旦、橋脚歯の第1、及び第2部分が十分に歯科インプラントの対応部分に挿入されれば、歯科インプラントに雄ネジを締め付けることのみが可能となるように、前記橋脚歯の第1及び第2部分の全長、及び/又は、歯科インプラントに締め付ける前に橋脚歯内での雄ネジの位置が選択される請求項1又は2に記載の橋脚歯。
【請求項4】
前記橋脚歯の軸に対する第1部分の傾きは、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°、最適には約8°である請求項1から3のいずれか1項に記載の橋脚歯。
【請求項5】
歯科インプラントに、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段を設け、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を設けられる、ほぼ平坦な第2部分と、を有し、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、前記第2部分の非回転手段は、歯科インプラントの軸に対して放射状に延びる表面を有し、橋脚歯に係合する歯科インプラントシステムで使用するための歯科インプラント。
【請求項6】
さらに、前記ガイド及びロック手段は、前記歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、前記第2部分の先端に隣接して配置した略円筒状の第3部分を有する請求項5に記載の歯科インプラント。
【請求項7】
前記歯科インプラントの第1及び第2部分に対してそれぞれ相補的である第1及び第2部分を有する橋脚歯との組み合わせであって、前記橋脚歯は、歯科インプラントに橋脚歯を締め付けるための雄ネジを軸方向に保持し、一旦、橋脚歯の第1、及び第2部分が十分に歯科インプラントの対応部分に挿入されれば、歯科インプラントに雄ネジを締め付けることのみが可能となるように、橋脚歯の第1及び第2部分の軸方向の全長、及び/又は歯科インプラントに締め付ける前に橋脚歯内に雄ネジの位置が選択される請求項5又は6に記載の歯科インプラント。
【請求項8】
前記歯科インプラントの軸に対する第1部分の傾きは、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°、最適には約8°である請求項5から7のいずれか1項に記載の歯科インプラント。
【請求項1】
橋脚歯に、歯科インプラントに橋脚歯を係合するためのガイド及びロック手段を設け、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段が配設される、ほぼ平坦な第2部分とを有し、該第2部分の非回転手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、橋脚歯の軸に対して放射状に延びる表面を有し、歯科インプラントに係合している歯科インプラントシステムで使用するための橋脚歯。
【請求項2】
さらに、前記ガイド及びロック手段は、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、第2部分の先端に隣接して配置される略円筒状の第3部分を有する請求項1に記載の橋脚歯。
【請求項3】
前記橋脚歯は、歯科インプラントに橋脚歯を締め付けるための雄ネジを軸方向に保持し、一旦、橋脚歯の第1、及び第2部分が十分に歯科インプラントの対応部分に挿入されれば、歯科インプラントに雄ネジを締め付けることのみが可能となるように、前記橋脚歯の第1及び第2部分の全長、及び/又は、歯科インプラントに締め付ける前に橋脚歯内での雄ネジの位置が選択される請求項1又は2に記載の橋脚歯。
【請求項4】
前記橋脚歯の軸に対する第1部分の傾きは、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°、最適には約8°である請求項1から3のいずれか1項に記載の橋脚歯。
【請求項5】
歯科インプラントに、橋脚歯に歯科インプラントを係合するためのガイド及びロック手段を設け、該ガイド及びロック手段は、円錐状に傾斜した第1部分と、該第1部分の先端に隣接して配置され、非回転手段を設けられる、ほぼ平坦な第2部分と、を有し、歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を放射方向にガイドするように、前記第2部分の非回転手段は、歯科インプラントの軸に対して放射状に延びる表面を有し、橋脚歯に係合する歯科インプラントシステムで使用するための歯科インプラント。
【請求項6】
さらに、前記ガイド及びロック手段は、前記歯科インプラント内に挿入する際、橋脚歯を軸方向にガイドするように、前記第2部分の先端に隣接して配置した略円筒状の第3部分を有する請求項5に記載の歯科インプラント。
【請求項7】
前記歯科インプラントの第1及び第2部分に対してそれぞれ相補的である第1及び第2部分を有する橋脚歯との組み合わせであって、前記橋脚歯は、歯科インプラントに橋脚歯を締め付けるための雄ネジを軸方向に保持し、一旦、橋脚歯の第1、及び第2部分が十分に歯科インプラントの対応部分に挿入されれば、歯科インプラントに雄ネジを締め付けることのみが可能となるように、橋脚歯の第1及び第2部分の軸方向の全長、及び/又は歯科インプラントに締め付ける前に橋脚歯内に雄ネジの位置が選択される請求項5又は6に記載の歯科インプラント。
【請求項8】
前記歯科インプラントの軸に対する第1部分の傾きは、約6°から約10°、好ましくは、約7°から約9°、最適には約8°である請求項5から7のいずれか1項に記載の歯科インプラント。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【公開番号】特開2012−50889(P2012−50889A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272508(P2011−272508)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【分割の表示】特願2008−513979(P2008−513979)の分割
【原出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(505104836)シュトラウマン・ホールディング・アクチェンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】STRAUMANN HOLDING AG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【分割の表示】特願2008−513979(P2008−513979)の分割
【原出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(505104836)シュトラウマン・ホールディング・アクチェンゲゼルシャフト (18)
【氏名又は名称原語表記】STRAUMANN HOLDING AG
【Fターム(参考)】
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