説明

多重供給装置

【課題】省スペース上著しく効果の有る、振動や騒音がなく静かで、供給能力が高く且つ安定し、しかも著しく省エネルギーな多重供給装置の提供をする。
【解決手段】モーター84に連結した長い駆動軸に取り付けられて回転される、少なくとも二つの整列トラック2を有円筒ボウル3を設け、各々の外側には円筒形の固定外壁1を設けると共に、各円筒ボウル3のボウル周壁32との一定の間隔を保持してボウル周壁32の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面33付近位置から少なくとも整列トラック3に至る位置まで、ボウル3の回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板4を単一または複数もしくは並列に各円筒ボウル3ごとに各々固定外壁に固定して設けた。または、同様な回転式供給装置を複数積層すべく各被積層円筒ボウル3の回転軸を連結する手段を設けて一つの動力源に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、極めて省エネルギーで省スペースの供給装置に関するものである。詳しくは、振動や騒音もなく、一つの動力源で複数の装置を駆動する供給効率の良い回転式の多重供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主に工場の省スペ−ス上用いられている、多重式の供給装置(フィーダー)は、互いに独立した振動駆動系統を持つ複数個のホッパフィーダーを一本の軸に取り付けて積層したものや、並置し同一支持台に設置して一体化した構造のホッパフィーダー又は、駆動源を一つの振動系として複数のホッパーを積層した構造のホッパーフィーダーがある。
しかし、独立した振動駆動系統を持つ複数個のホッパフィーダーを一本の軸に取り付けて積層したものや、並置し同一支持台に設置して一体化した構造のホッパフィーダーは相互の振動の共振などの影響を受け障害を起こしやすく、又、駆動源を一つの振動系として複数のホッパーを積層した構造のホッパーフィーダーは積層された供給機に充分な振動が得られず、不安定な供給となってしまう欠点があった。その他、従来の回転型供給機は、その構造上複数の装置を積み上げた形態は実施が困難であった。
従って、一般には各々の供給装置をワークの種類や形状または大きさによって、それぞれ別個なものとして独立した装置を並置して使用しているので、大量の電力が必要であり、それだけでなく広域な工場のスペースを必要としたり、更には数種類のワークを同時に同じ場所(位置)で必要とする場合は集合させるための装置も必要となる大きな問題も発生することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前述の種々の欠点をなくし、多くの要望に応えるためになされたもので、出願人は先に画期的回転式供給装置を発明し、公開公報の特開2003−201011(登録特許第3557561号)で広く開示している。
これを発展改良することによって、上記の課題解決を成しとげたものである。
即ち、省スペース上著しく効果の有る、振動や騒音がなく静かで、供給能力が高く且つ安定し、しかも著しく省エネルギーでもある画期的な多重供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の多重供給装置においては、供給機の動力源であるモーター84に連結した長い駆動軸に取り付けられて回転される、少なくとも二つの、上端全周囲に所定幅の整列トラックを有すると共に、底をなだらかな円錐形とした円筒ボウルを設け、各々の外側には当該円筒ボウルを隙間を介して内接回転させる円筒形の固定外壁を設けると共に、各円筒ボウルのボウル周壁との一定の間隔を保持してボウル周壁の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面付近位置から少なくとも整列トラックに至る位置まで、ボウルの回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板を単一または複数もしくは並列に各円筒ボウルごとに各々固定外壁に固定して設けることである。
【0005】
又は、円筒形の固定外壁に隙間を介して内接回転する、上端全周囲に所定幅の整列トラックを有すると共に、底をなだらかな円錐形とした円筒ボウルを設け、該円筒ボウルのボウル周壁との一定の間隔を保持してボウル周壁の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面付近位置から少なくとも整列トラックに至る位置まで、ボウルの回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板を単一または複数もしくは並列に設けた回転式供給装置を複数積層すべく各被積層円筒ボウルの回転軸を連結する手段を設けて一つの動力源に接続すると共に、各被積層円筒ボウルに係る円筒形の固定外壁と固定上昇板の固定保持手段を設けて、同一の動力源に少なくとも2基を重ねた状態で運転稼動できることである。
【0006】
そして、少なくとも一つの固定上昇板を傾斜している上端面の最下端部が円筒ボウルのボウル底面より低い位置になるように形成し、該固定上昇板の最下端部がボウル底面に接する軌跡にて、最下端部がボウル底面より没した状態で回転しても、円筒ボウルと固定上昇板が接触しない程度の隙間を有する幅の環状の案内溝や同等のスリットを少なくとも一つのボウル底面に単一または複数施すと好ましい。
【0007】
また、前記各々の供給機における少なくとも一つの円筒ボウルのボウル周壁のボウル底面付近位置またはボウル底面のボウル周壁付近位置のいずれか一方もしくは双方に押上部材を設けることも好ましい。
【0008】
更に、前記各供給機における少なくとも一箇所のワーク取出口への供給されるワークを略同位置の取出し口から供給できる手段を設けることもできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の多重供給機によれば、以下のような多くの優れた効果を奏する。
イ)一つの駆動モーターで複数のボウルを回転させてワークを整列供給させるので、極めて省エネルギーである。これは従来の振動式多重供給機に較べて、実に約10%程度にもでき、著しく動力(消費電力)を低減することができる。
ロ)複数のボウルを多く重ねた状態で回転させてワークを整列供給させるので、極めて省スペースである。これは重ねたボウルの数だけスペースが減少する。
ハ)振動発生源を持たないから、重ねられたボウルに影響されることなく、安定的な供給を確保することができる。
ニ)被供給物が振動によって自走しないため、振動もなく、騒音が極めて少なく静かに稼動することができる。
ホ)モーターの単純な回転運動だけを利用するため、モーターの回転に比例して被供給物を送る能力を選定でき、単にモーターの回転を高速にするだけで、供給速度をいくらでも速めることができ、高速供給をすることができる。
ヘ)構造が簡単であるため、従来の振動方式やモーター駆動方式に比べて安価に製作することができる。
ト)振動がないため、被供給物同士の擦り合いによるボウルの摩耗が最少限に軽減でき、耐久性に優れ、また被供給物自体に傷が付きにくいので、傷つきやすいものでも供給が可能である。
【0010】
また、請求項2に記載する多重供給機によれば、それぞれのボウルが独立して回転できるように軸が短く各供給機の接続・保持部材から分離することができるので、運転中にいずれかの供給機にゴミや異物が混入して運転を障害するなど、何か供給機に異常が生じた場合には修復の対処や容易に他の正常な供給機に入れ替えたり、新たに追加や除去することもでき、しかも各供給機への定期的なメンテナンス作業をも容易にすることができる。
【0011】
そして、請求項3に記載する多重供給機によれば、固定上昇板の最下端部がボウル底面より没した状態で回転しても、円筒ボウルと固定上昇板が接触しない程度の隙間を有する幅の環状の案内溝を施したので、ワークが円筒ボウルの底と固定上昇板の隙間に挟まったり引っ掛かることなく円滑に作動することができる。
【0012】
そして、請求項4に記載する多重供給機にによれば、円筒ボウルのボウル周壁のボウル底面付近位置またはボウル底面のボウル周壁付近位置のいずれか一方もしくは双方に押上部材を設けたので、ワークが滑り易い(摩擦係数が低い)物であってもワークが所定数固定上昇板の上に並んだ状態でも、その最下端から押し上げるので供給作業が連続的に確実に行なわれ常に安定した高速供給ができる。
また、ボウルの底面角に溝を設け、且つ、その付近にピン等の押上部材を設けることによれば、ワークが円筒ボウルの底から固定上昇板の上端面に円滑に掬いあげられると共に、沢山の滑り易いワークが所定数固定上昇板の上に並んだ状態でも、その最下端から一期に押し上げるので、より一層能率良く確実に高速供給作業が連続的に行なうことができる。
【0013】
更に、請求項5に記載する多重供給機によれば、ワーク取出口への供給されるワークを略同位置における他の供給機の取出し口から供給できる手段を設けたので、ボルトやナット及びワッシャー等同一の作業に関係する各種のワークを一箇所に集合させて供給することができるので能率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1は本発明の第一の実施例における全体側断面図で二重供給機を示す。
全体的には、図1で示すように、供給機の動力源であるモーター84にカップリング83を介して連結した長い駆動軸8に取り付けられて回転される二つの円筒ボウル3(回転ドラム)を設けて、当該各々の円筒ボウル3には上端全周囲に所定幅の整列トラック2を有すると共に、ボウル底面33をなだらかな円錐形とし、各々の外側には円筒ボウル3を隙間を介して内接回転させる円筒形の固定外壁1を設けると共に、各円筒ボウル3のボウル周壁32との一定の間隔を保持してボウル周壁32の曲面に沿って湾曲した立て板で、該立て板の上端面がボウル底面33付近位置から少なくとも整列トラック2に至る位置まで、円筒ボウル3の回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板4(一般的にはリフタープレートとも言われている。)を単一または複数もしくは並列に各円筒ボウル3ごとに必要な数だけ各々固定外壁1に固定して設けている。
そして基となる下側の供給機の固定外壁1は外壁保持板11と共に、支柱91とモータ取付板92およびベース94で構成される架台9に取付けられている。
前記円筒ボウル3がキーでつながれた駆動軸8はベアリング80、81とカップリング83を介してモーター84に連結されている。このモーター84はコントローラ85によって回転数を変化させることができる。
【0015】
更に、図1に示すように、必要に応じて、固定上昇板4を、傾斜している上端面の最下端部が円筒ボウル3のボウル底面33より低い位置になるように形成して、該固定上昇板4の最下端部がボウル底面33に接する軌跡にて、最下端部がボウル底面33より没した状態で回転しても、円筒ボウル3と固定上昇板4が接触しない程度の隙間を有する幅の環状の案内溝34をボウル底面33のボウル周壁32との角付近に施しておく。
但し、ワークAが単純な形状で、ある程度(直径が5〜6mm)以上の大きさの物なら、固定上昇板4の先端を溝に没入させることを省略することができる。
【0016】
図2は本発明の図1の多重供給機の上側の供給機を斜め上から見た場合の主要部の斜視図である。
図2に示すように、被供給物(ワーク)をロ−ラピンAとした場合の前記円筒ボウル3上の構成をより詳しく説明すると、円筒形の固定外壁1に隙間を介して内接回転する、上端全周囲に所定幅の整列トラック2を有すると共に、ボウル底面33をなだらかな円錐形とした円筒ボウル3を設け、当該円筒ボウル3のボウル周壁32との一定の間隔を保持してボウル周壁32の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面33付近位置から少なくとも整列トラック2に至る位置まで、ボウルの回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板4を(単一または複数もしくは並列に)設けた回転式供給装置である。これを複数積層すべく各被積層円筒ボウル3の回転軸を連結する手段を設けて一つの動力源に接続すると共に、各被積層円筒ボウル3に係る円筒形の固定外壁1と固定上昇板4の固定保持手段を設けて、同一の動力源に少なくとも2基を重ねた状態で運転稼動できることであってもよいことになる。
詳しくは、被供給物であるローラピンAが外側方向に数回余り回転できる幅で内側より外側に向かって低くした整列トラック2と、底をなだらかな円錐形に形成した樹脂等による円筒ボウル3を設け、当該円筒ボウル3のボウル周壁32との一定の間隔即ちロ−ラピンAの直径よりも2〜3割少ない寸法を保持してボウル周壁32の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面33付近位置から少なくとも整列トラック2に至る位置まで滑らかに傾斜しているステンレス板の固定上昇板4を設け、ステー41にて固定外壁1に取付け固定する。
【0017】
そして、必要な場合には前記円筒ボウル3のボウル周壁32のボウル底面33付近で円周を四等分した各位置に押上ピン5を、前記固定上昇板4に接触しない突出長さで植え込みか、またはボウル外側からボルトを貫通させて設ける。
【0018】
また、更に必要な場合にはボウル周壁32に設けた各押上ピン5と直角になるようにしてボウル底面33の外周付近で被供給物Aに合わせた位置にも、それぞれの押上ピン5bを設けておくとよい。
【0019】
そして、整列トラック2に運ばれたローラピンAを必要な方向に案内するようにカーブで形成したガイド(スペーサ)6をガイドブラケット61で整列トラック2上に取り付ける。更に、必要に応じて後工程で求められる工程上の被供給物Aの姿勢とすべく整列・整揃を行なうために堰や障害物を有するガイド(スペ−サ)6やスライダ等を設置する。
【0020】
図3は本発明の作動を説明する図で、(a)は円筒ボウルの主要部の断面図で(b)は(a)のX矢視図である。
前述の構造により、円錐形の底を有する円筒ボウル3が回転するとボウル内に入れられた被供給物(ワーク)のロ−ラピンAは、円筒ボウル3の外周に寄り集まっていく。そしてボウル周壁32に集まったロ−ラピンAは外壁の下部または底面の外周部との摩擦力によって固定上昇板4に掬い上げられて乗り移るか、もしくは押上ピン5によって所定の姿勢に叶うロ−ラピンAだけが固定上昇板4に乗り上げられる。ボウル3は回転しているので、ロ−ラピンAは続いて掬われて列を成す。この列の最後部を後続する次々の押上ピン5によって所定の姿勢に叶うロ−ラピンAだけが連続的に先のものを押し上げながら滑らかに固定上昇板4に乗り上げられて整列していく。そして一列に整列した状態で連続した先頭のロ−ラピンAが側壁の無くなった高さの整列トラック2の位置まで昇った処で整列トラック2に移る。そこで回転している整列トラック2の推進力でロ−ラピンA同士が離されて送られ、整列トラック2上をガイド(スペーサ)6に沿って円周方向に移動し、整列トラック2上に設けられた堰やピン等の障害物および各種のセンサー対処装置にて、次の工程で更に必要な姿勢に叶うように揃えながら選別されて、叶わないものは、その間でボウル内に落下される。
【0021】
但し、押上ピン5,5bは被供給物(ワーク)Aが単純な形状で、ある程度の摩擦係数が大きな物であれば、円筒ボウル3の回転による遠心力でのボウル周壁32とボウル底面33の摩擦力によって、固定上昇板4に乗り上げるので省略することもできる。
【0022】
図3の断面図(a)で示すように、作動のポイントは被供給物ロ−ラピンAの重心が回転する円筒ボウル周壁32と固定上昇板4の間隔内にあることで、これによって被供給品Aは左右二カ所の線で支えられ殆ど浮いた状態となって接触抵抗も少ないので、被供給品A同士が押し合って、多く連続した状態であっても押上ピン5にて押されて滑らかに上昇移動が可能である。
また、被供給物Aは固定上昇板4で整列トラック2まで上昇していく工程にてある程度の選別がされ、しかも固定上昇板4の上端面の切り口角度によっても、被供給物Aの姿勢に変化を与えることができる。
従って、固定上昇板4の上端面だけを幅を広くしたり、角度を変化させることによって、より多様な形状をする多種類の供給物をも効率良く送り込むことができる。
【0023】
尚、ここでは固定上昇板4の下端をボウル底面33内に没するために環状の案内溝34をボウル底面33に設けた実施例だけを図示しているが、ある程度の大型の被供給物では案内溝34を省略することもできる。
【0024】
また、ここでは固定上昇板4を円周上の一カ所に設けた実施例だけを図示しているが、ある程度の大型の供給装置では、対照的または間隔をあけて円周上に複数設置することも考えられる。特に被供給物Aを複数並列させた状態で供給する場合には効果的である。
【0025】
図4は本発明の第二の実施例における全体側断面図である。
図4で示すように、円筒形の固定外壁1に隙間を介して内接回転する、上端全周囲に所定幅の整列トラック2を有すると共に、底をなだらかな円錐形とした円筒ボウル3を設け、当該円筒ボウル3のボウル周壁32との一定の間隔を保持してボウル周壁32の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面33付近位置から整列トラック2を超える位置まで、ボウル3の回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板4を単一または複数もしくは並列に設けた回転式供給装置を複数積層すべく各被積層円筒ボウル3を回転する駆動軸8の基本軸8aを延長して連結する手段である廷長軸8bを設けて一つの動力源モーター84に接続すると共に、各被積層円筒ボウル3に係る円筒形の固定外壁1と外壁保持板11の固定保持手段である保持柱7を支えとする保持ベース71および保持ステー72を設けて、同一の動力源であるモーター84に少なくとも2基を重ねた状態で運転稼動できる多重供給装置である。
【0026】
図5は図4の延長軸の図で(a)は平面図、(b)は一部断面の正面図、(c)は底面図である。
図5に示すように積層される供給機の駆動軸8として廷長軸8bが用いられ、当該延長軸8bには上端略四角柱の軸接続突起部86が形成され、下端には軸接続突起部86が嵌合することができる略四角溝の軸接続嵌合孔87が設けられている。そして積層される基となる供給機の駆動軸8としては基本軸8aが用いられ、当該基本軸8aの上端には、前記略四角柱の軸接続突起部86が形成されているので、上側に連続して接続嵌合することができる。その結果一つの同一モーター84に少なくとも2基を重ねた状態で運転稼動できる多重供給装置となる。
【0027】
尚、こうした接続手段は、本実施例に限定することなく、各種の軸の延長接続手段も考えられる。例えば、凹凸の爪を組み合わせたり、各種のフランジやカップリング類を利用して、必要に応じて同心補正や、緩衝装置との組み合わせも可能である。
【0028】
図6は図3(a)の変化の図面で、その他の実施例における円筒ボウルの主要部の断面図である。
図6(a)は円筒ボウル3を形成する夫々の部材を分離できる構造とし、固定上昇板4を厚くした場合の主要部の断面図で、これらは別々に実施することもできる。
図に示すように、円筒ボウル3のボウル底面33を有する底の部材と、ボウル周壁32を有する円筒の部材と、円筒の上端の整列トラック2を有する円環板状の部材を、夫々にガイドとしてはめ込む段37を設けて組付けられ、ボルト38またはビス39にて一体化して固着される。
こうすることによって、整列トラック2が摩耗したとき、又は被供給物が変更になった場合には整列トラック2だけを変換すればよく、改造が容易にできる。もしくはボウル周壁32が摩耗して円筒の部材または底の部材だけを新しいものに交換すればよいので、維持コストが低減できる。
【0029】
また、固定上昇板4を厚くして、ボウル周壁32およびボウル底面33に僅かな隙間だけを有して、下端は平板のスコップ状に形成し、ステーを遠巻きにコ字形にしたものである。
こうすることによって、ボウル底面33に溝加工を必要とせず、溝にゴミなどが詰まることがなくなったり、ボウル周壁32と固定上昇板4との間隔が極めて少なく、固定上昇板4の上端面積が広いので、小さな物の被供給物(ワーク)でも供給することが可能となって活用が広がる。
【0030】
図6(b)は円筒ボウル3に余分な油等を排出する孔を設けた構造とし、固定上昇板4の下先端だけを細くした場合の主要部の断面図で、これらは別々に実施することもできる。
図に示すように、固定上昇板4の下端が没するボウル底面33の、案内溝34の底に下に向けて孔35aを設け、また案内溝34とボウル周壁32が離れている場合には、ボウル周壁32とボウル底面33の交点付近に孔35bを設ける。ここではボウル周壁32の内側最下位置にボウル底面33に沿って横に開孔しているが、ボウル底面33の最外周に下に向けて開孔してもよい。
こうすることによって、被供給物Aに付着している油やゴミが円筒ボウル3の外に出され、外に出された油やゴミは外壁保持板11の上面に設けられた油溜め12に受けて溜まり、適当な時期にドレンプラグ13を取り外すことによって外に排出される。
【0031】
その他、図6(b)で示すように。固定上昇板4は上端面だけを広くするために所定の角度をつけた平板46を設けてもよい。また、必要に応じて想像線で示すように更に上面を拡大することもできる。
【0032】
図7は本発明の第三の実施例における全体側断面図である。
図7で示すように、これまで述べてきたと同様な方法にて、三つの供給機を積層して、それぞれの軸を連結することによって、一つの同一モーター84にいくつかの供給機を重ねた状態で運転稼動できる三重供給装置である。更に、取り扱うワークの大きさや、ボウルの大きさ等にもよるが、例えば五層程度の多重供給機をも製作することも可能である。従って、著しい省スペース効果も望める。
【0033】
また、図7で示すように、前記各供給機における少なくとも一箇所のワーク取出口への供給されるワークを略同位置の取出し口から供給できる手段として、送出レール65に連結する、曲線的なスライダレールやチューブ状のシューター66を設けることも考えられる。
【0034】
ワーク取出口に設ける送出レール65は図の想像線で示すように、円筒ボウル3の全周どこの位置にも取付けることができるので、必要におうじて最適な位置を決め、その位置に応じた最適な固定上昇板4の取付け場所も設定するとよい。
尚、固定上昇板4は複数を対向や並列にも設けて更に効率向上も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】は本発明の第一の実施例における全体側断面図である。
【図2】は図1の主要部の斜視図である。
【図3】は本発明の作動を説明する主要部の断面・矢視図である。
【図4】は本発明の第二の実施例における全体側断面図である。
【図5】は図4の延長軸の平面図、一部断面の正面図、底面図である。
【図6】は本発明の構成要素の変化した場合を示す主要部の断面図
【図7】は本発明の第三の実施例における全体側断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 固定外壁 7 保持柱
11 外壁保持板 71 保持ベース
12 油溜め 72 保持ステー
13 ドレンプラグ 8 駆動軸
14 補助固定外壁 8a 基本軸
2 整列トラック 8b 延長軸
21 スリット 80 カラーベアリング
3 円筒ボウル(回転ドラム) 81 ボールベアリング
32 ボウル周壁 83 カップリング
33 ボウル底面 84 モーター
34 案内溝 85 コントローラ
36,36a,36b 孔 86 軸接続突起部
37 段 87 軸接続嵌合孔
38 ボルト 9 架台
39 ビス 91 支柱
4 固定上昇板(リフトプレート) 92 モーター取付板
41 ステ− 93 カバー
5,5b 押上ピンまたは押上材 94 ベース
6 ガイド(スペーサ) A ワーク(被供給物)
61 ガイドブラケット
65 送出レール()
66 シューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給機の動力源であるモーターに連結した長い駆動軸に取り付けられて回転される、少なくとも二つの、上端全周囲に所定幅の整列トラックを有すると共に、底をなだらかな円錐形とした円筒ボウルを設け、各々の外側には当該円筒ボウルを隙間を介して内接回転させる円筒形の固定外壁を設けると共に、各円筒ボウルのボウル周壁との一定の間隔を保持してボウル周壁の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面付近位置から少なくとも整列トラックに至る位置まで、ボウルの回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板を単一または複数もしくは並列に各円筒ボウルごとに各々固定外壁に固定して設けたことを特徴とする多重供給装置。
【請求項2】
円筒形の固定外壁に隙間を介して内接回転する、上端全周囲に所定幅の整列トラックを有すると共に、底をなだらかな円錐形とした円筒ボウルを設け、当該円筒ボウルのボウル周壁との一定の間隔を保持してボウル周壁の曲面に沿って湾曲した立て板で、且つ上端面がボウル底面付近位置から少なくとも整列トラックに至る位置まで、ボウルの回転方向に対向して上昇するようにして滑らかに傾斜している固定上昇板を単一または複数もしくは並列に設けた回転式供給装置を複数積層すべく各被積層円筒ボウルの回転軸を連結する手段を設けて一つの動力源に接続すると共に、各被積層円筒ボウルに係る円筒形の固定外壁と固定上昇板の固定保持手段を設けて、同一の動力源に少なくとも2基を重ねた状態で運転稼動できることを特徴とする多重供給装置。
【請求項3】
少なくとも一つの固定上昇板を傾斜している上端面の最下端部が円筒ボウルのボウル底面より低い位置になるように形成し、該固定上昇板の最下端部がボウル底面に接する軌跡にて、最下端部がボウル底面より没した状態で回転しても、円筒ボウルと固定上昇板が接触しない程度の隙間を有する幅の環状の案内溝や同等のスリットを少なくとも一つのボウル底面に単一または複数施した請求項1または請求項2に記載の多重供給装置。
【請求項4】
前記各供給機における少なくとも一つの円筒ボウルのボウル周壁のボウル底面付近位置またはボウル底面のボウル周壁付近位置のいずれか一方もしくは双方に押上部材を設けた請求項1、請求項2または請求項3に記載の多重供給装置。
【請求項5】
前記各供給機における少なくとも一箇所のワーク取出口への供給されるワークを略同位置の取出し口から供給できる手段を設けた請求項1から請求項4までに記載の多重供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate