説明

多重効果の抗菌表面コーティング形成材料およびその製造方法

多重効果の抗菌表面コーティング形成材料が提供される。該材料は、1種以上の揮発性または気体抗菌剤、1種以上の不揮発性抗菌剤および1種以上のポリマーを含む。該揮発性または気体抗菌剤は、持続放出効果を得るために、該ポリマーによってコーティングされる。さらに、該材料の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌表面コーティングを形成する材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物は環境中のあらゆるところに存在する。その多くは無害で時に有益でさえあるが、一部によく知られた病原菌や、人体においてアレルギー反応を引き起こすものもある。世界保健機構(WHO、World Health Organization)によると、伝染病の最も一般的な伝染ルートの1つは、患者の咳やくしゃみ、おしゃべりによって生み出される伝染性の飛沫に汚染された表面に間接的に触れることによることが報告されている。ウイルスを含む多くの微生物が物体表面上で数日間生存することができる。例えば、インフルエンザウイルスは24〜48時間生存可能であり、パラインフルエンザやSARSウイルスはほとんどの物体表面上で数時間から数日間生存可能であることが知られている。一部の病原菌は媒介物を介して伝染することが分かっている。媒介物が病原菌によって汚染された表面に接触すると、病原菌が媒介物を介して伝染する。このため、定期的なクリーニングと滅菌で伝染の連鎖を断つことが重要であり、物体表面の抗菌コーティングの使用は疾病の伝染に対して追加の安全防御を提供する。
【0003】
銀、銅、真鍮を含む多くの金属が内因性の殺菌効果を具えており、病原性の微生物に接触すると多くを殺すことができる(Fang,H.P.、Pure & Appl.Chem.1997、69、2425〜2429)。ナノシルバー、光触媒TiOと表面殺菌剤(例えば、第4級アンモニウム化合物(QAC、quarternary ammonium compounds)、ホスホニウム塩)は近年接触により滅菌する抗菌表面コーティングとして使用されることが知られている。しかしながら、これら抗菌材料の表面が埃や汚染源によって汚染されると、その抗菌性は急速に低下してしまう。このため、頻繁に表面をクリーニングしてその殺菌効果を維持する必要がある。
【0004】
抗生物質、バイオサイド(例えば、フェノール類、ハロゲン類)及び金属(例えば、銀イオン)をほかの材料やコーティングの中に封入し、その殺菌物質をゆっくりと、徐々に、連続的に環境中に放出させて、物質がなくなるまで徐放性の放出殺菌(放出殺菌)を提供する方法が開発されている。Cohen等(Li,Z.et al.、Langmuir 2006、22、9820〜9823)は交互積層法(layer−by−layer、self−assembly method)を採用し、封入された銀塩と表面グラフト第4級アンモニウムに基づいて、「放出殺菌」と「接触殺菌」の両方の能力を具えた2レベルの抗菌コーティングを生成しており、一方Ho等(Ho,C.H.et al.、Adv. Mater. 2004、16、957〜961)はポリマー薄膜を利用してナノシルバーを固定し、「接触殺菌」と「放出殺菌」の両方の効果を達すると同時に、ポリエチレングリコールのグラフトされた層が細菌の付着を防止している。しかしながら、表面上での病原菌(微生物など)、埃及び(または)汚染物質の付着は、接触殺菌と放出殺菌の両方の効果を具えた抗菌コーティングにおいてやはり問題である。このため、マルチレベルの抗菌表面コーティングが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fang,H.P.、Pure & Appl.Chem.1997、69、2425〜2429
【非特許文献2】Li,Z.et al.、Langmuir 2006、22、9820〜9823
【非特許文献3】Ho,C.H.et al.、Adv. Mater. 2004、16、957〜961
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在開発されている抗菌表面コーティングの問題を解決する、マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマルチレベルの抗菌性を具えた抗菌表面コーティングを形成するための材料は、1種類以上の揮発性または気体バイオサイド、1種類以上の不揮発性バイオサイド、1種類以上のポリマーを含み、そのうち、前記揮発性または気体バイオサイドが前記ポリマーの中に封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供することを特徴とする。
【0008】
本発明のマルチレベルの抗菌性を具えた抗菌表面コーティングを形成するための材料の製造方法は、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドを1種類以上のポリマーの中に封入し、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する工程と、1種類以上の不揮発性バイオサイドと混合する工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の物品または装置の滅菌方法は、1種類以上の揮発性または気体バイオサイド、1種類以上の不揮発性バイオサイド、1種類以上のポリマーを含み、そのうち、前記揮発性または気体バイオサイドがポリマーの中に封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する、マルチレベルの抗菌性を具えた抗菌表面コーティングを形成するための材料を提供する工程と、物品または装置に前記材料を塗布し、放出殺菌、接触殺菌、抗付着効果を具えた抗菌表面コーティングを形成する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に関する前述の説明と以下の詳細な説明は、添付の図を参照するとより容易に理解できる。ただし、本発明は図示された正確な配置や手段に制限されないことを理解する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)一ヶ月置いた後のポリマーに封入されたClOのw/o/wエマルションを示す写真、及び(b)光学顕微鏡写真、(c)作製された抗菌性w/o/wダブルエマルション配合物B(ClO+ZnCl)と、無亜鉛の配合物A(封入)、参照基準用の純粋な封入されていない二酸化塩素溶液(ClO)を示す紫外可視スペクトル図である。
【図2】(a)ポリマーに封入されたClOのコーティング有り(左)と無し(右)のガラススライドを示す写真、(b)コーティングされたガラスの光学顕微鏡写真及び(c)(d)走査電子顕微鏡写真である。(b)は均一な表面コーティングを示しており、(c)は小球を含み、(d)は0.5〜1ミクロンサイズのエマルションクラスタを含む。
【図3】ポリマー封入物の表面から突出した亜鉛含有桿状ナノ構造(約30nm×1000nm)を示すカプセル表面上にコーティングされた組成物Bの高倍率透過型電子顕微鏡による概略図である。
【図4】(a)25℃(白丸)と35℃(白四角)、相対湿度60〜80%の恒温槽で7日間の放出実験、及び(b)環境温度(20〜26℃)と環境条件(相対湿度60〜90%)での28日間の放出実験におけるコーティング中のClO残留量を示すグラフである。
【図5】7日間にわたるコーティングされたガラスから取得したClO気体の平均放出量を示すグラフである。
【図6】多様な接触時間での生菌の(a)枯草菌及び(b)大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌の対数減少値(log reduction)、及び(c)1mg/cmのポリマーに封入されたClOでコーティングされたガラスとの10、30、60分の接触後の(1)黄色ブドウ球菌、(2)表皮ブドウ球菌、(3)大腸菌、(4)緑膿菌細菌細胞の生残量を示すグラフである。
【図7】30ppmの塩化亜鉛塩(コーティング)、二酸化塩素(溶液)、封入水(プラセボ)を含む抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bでの表面コーティングと10分間接触させた後の生菌のグラム陽性菌とグラム陰性菌における対数減少値を示すグラフである。
【図8】1mg/cmのマルチレベル抗菌コーティングでコーティングされたガラスと1、5、10、30分間接触させた後の(a)枯草菌、(b)黄色ブドウ球菌、(c)大腸菌の細菌細胞生残量を示すグラフである。エラーバーは5サンプルからの標準偏差を示す。
【図9】1mg/cmの抗菌組成物A(塗り潰したシンボル)と30ppmの塩化亜鉛を含む組成物B(空白のシンボル)でコーティングされたガラスとの接触において、コーティング後異なる日数で死亡した(a)黄色ブドウ球菌と(b)大腸菌細菌細胞数(30分の接触時間、中性pH)を示すグラフである。各データは少なくとも5サンプルから取得され、一部データポイントは2度以上繰り返し試験した。
【図10】二酸化塩素放出量は亜鉛を含む抗菌コーティングにおいて二酸化塩素含量をモニタリングし、時間の関数として取得でき、かつ30日間の試験全体を通して室温条件で10分間の接触後、生菌の黄色ブドウ球菌数において99.9%以上の減少を維持できることを示すグラフである。
【図11】0、10、30ppmの塩化亜鉛を含む1mg/cmの抗菌組成物Bでコーティングされたガラスと1、5、10、30分間接触させた後の黄色ブドウ球菌の細菌細胞生残量を示すグラフである。エラーバーは5サンプルからの標準偏差を示す。
【図12】抗菌組成物A(塗り潰したシンボル)でコーティングされ、ClOがスプレーされた(空白のシンボル)たガラスと接触した後の異なる時間長さでの生菌の枯草菌細胞におけるマロンジアルデヒド(MDA, malondialdehyde)レベルを示すグラフである。
【図13】(a)封入された滅菌水(すなわちプラセボ)でコーティングされたガラス、及び(b)コーティングされていないガラス上に付着した大腸菌細胞の1000倍に拡大した光学写真である。
【図14】(a)封入された滅菌水(すなわちプラセボ)でコーティングされたガラス、及び(b)コーティングされていないガラス上に付着した黄色ブドウ球菌細胞の1000倍に拡大した光学写真である。
【図15】1mg/cm-2抗菌w/o/wダブルエマルション組成物A(塗り潰したシンボル)でコーティングされたガラスと、コーティング無しのガラス(空白のシンボル)とに接触させた後の時間で比較した、テストされた枯草菌の芽胞及び細胞の減少量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドと、1種類以上の不揮発性バイオサイドと、1種類以上のポリマーを含み、そのうち、前記揮発性または気体バイオサイドが前記ポリマーに封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する、マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を提供する。
【0013】
本発明によれば、前記揮発性または気体バイオサイドは、可溶性二酸化塩素(ClO)、可溶性塩素、塩素化化合物、アルコール化合物、フェノール化合物とそれらの固体及び(または)液体前駆体、及びそれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。本発明の一実施例において、前記揮発性バイオサイドは可溶性二酸化塩素とその前駆体である。本発明の別の一実施例において、前記揮発性バイオサイドは二酸化塩素、クロライト塩、塩素の組み合わせである。
【0014】
本発明によれば、前記不揮発性バイオサイドは、バイオサイド、トリクロサン、カルボン酸、糖酸またはそれらの組み合わせを含む金属を含むが、これに限定されない。カルボン酸の一例はクエン酸であり、糖酸の一例はアスコルビン酸である。本発明の一実施例において、前記不揮発性バイオサイドは、バイオサイドを含む金属である。本発明によれば、バイオサイドを含む各金属は、1種類以上のVII、IB、IIB、IVA、IVB族金属とその化合物及び塩と、それらの組み合わせを含む群から選択される。本発明の一部の例において、前記バイオサイドを含む金属は、銀、銅または亜鉛含有化合物など、微量金属含有化合物またはその塩である。
【0015】
本発明によれば、ここで使用される「ポリマー」という語は「ポリマー」、「高分子界面活性剤」またはそれらの組み合わせを指し、それがバイオサイドを封入したエマルションを形成し、バイオサイドがゆっくりと、徐々に、継続的に周囲環境に放出することができる。本発明の一実施例において、前記ポリマー及び(または)高分子界面活性剤は水相−油相−水相(w/o/w) ダブルエマルションなどの二層エマルションを形成し、その中に前記揮発性または気体バイオサイドが封入されて、バイオサイドの徐放性を提供する。本発明によれば、各ポリマーは両親媒性ブロックコポリマーとその組み合わせを含む群から選択される。本発明の一部の実施例において、前記両親媒性ブロックコポリマーは、polyxamer(例えば市販のPluronicsまたはTetronics)、あるいはそれらの組み合わせなどの両親媒性ジブロックまたはトリブロックコポリマーである。
【0016】
本発明によれば、前記材料によって形成されたコーティングは、(1)殺菌と微生物成長の阻害に充分な量での前記揮発性バイオサイドの徐放、(2)伝染性の飛沫との接触における前記バイオサイド放出の増加、及び(3)塗布したとき微生物を不活性化してその付着を阻止する、表面上に形成された前記不揮発性バイオサイドのナノ構造を通して、放出殺菌、接触殺菌、抗付着性を含むマルチレベルの抗菌性を示す。
【0017】
本発明の具体的な1つの実施態様において、抗菌表面コーティングを形成するための前記材料または組成物は、揮発性酸化性バイオサイドと、VII、IB、IIB、IVA、IVB族金属含有化合物などの不揮発性バイオサイドと、1種類以上のポリマーを含み、水相−油相−水相(w/o/w)ダブルエマルションを形成し、その中に両方の前記バイオサイドが封入され、前記ポリマーが前記揮発性酸化性バイオサイド及び金属含有化合物と相互作用して、金属含有ナノ構造が前記w/o/wダブルエマルションの外表上に形成、堆積される。
【0018】
本発明において、前記金属含有ナノ構造の形成は、酸化性バイオサイドと金属塩などの前記金属含有化合物が関わる酸化還元反応が関与すると考えられており、それぞれの酸化還元電位によって、金属または金属酸化物ナノ構造が取得される。前記ポリマーは標準的な界面活性剤として作用し、ナノ構造の成長を制御して、大型粒子の形成を防止し、前記ナノ構造が原位置で形成され、かつエマルションの表面上に堆積されるようにする。
【0019】
本発明の1つの実施態様において、前記水相−油相−水相(w/o/w)ダブルエマルションは、第1水相、油相、第2水相を含み、体積比1:0.5〜2:2〜20の割合で前記ポリマーから形成される。本発明の1つの実施態様において、前記第1水相は前記揮発性バイオサイドを約10ppmから約70vol.%含み、その含量は有効性と使用時間及び1つ以上の揮発性バイオサイドの使用によって決定される。前記油相は、該油相と反応して変性を生じる前記バイオサイドと相溶性がある低揮発性の油類を含み、かつ不揮発性カルボン酸または糖酸などの第2バイオサイドと、嗅覚手がかりと美感を目的とした香料を含んでもよい。前記第2水相は最も外側のポリマーによって封入され、1種類以上の不揮発性金属含有バイオサイドを含み、接触殺菌性を提供し、そのうち、前記不揮発性バイオサイドに含まれる前記金属が、約5000ppmに等しいまたはそれ未満であり、好ましくは約100ppm未満である。1つの実施態様において、前記第2水相に含まれる前記不揮発性バイオサイドは、材料の総重量の約3%の量のトリクロサンである。前記第1水相、前記油相、前記第2水相は、前記ポリマーまたは高分子界面活性剤によって隔てられる。本発明によれば、前記油相と前記第2水相を隔てている最も外側のポリマーが微生物に対する抗付着性も示し、そのうち、前記ポリマーまたは高分子界面活性剤の最低濃度は、それらの臨界ミセル濃度と界面活性剤の特性によって決定される。
【0020】
本発明の1つの実施態様において、本発明の材料は物品上に塗布されてその物品上に表面コーティングを形成し、室温条件で前記ポリマーまたは高分子界面活性剤から作製された前記w/o/wエマルションからの前記揮発性バイオサイドの徐放性により、殺菌と微生物の成長阻害を達する「放出殺菌」効果と、表面コーティングが伝染性飛沫に接触した、またはそれによって汚染されたときの不揮発性金属含有バイオサイドの放出増加による「接触殺菌」効果と、金属含有バイオサイドと最も外側のポリマー間の相互作用によって表面上に形成された金属含有ナノ構造によるを「抗付着」効果を含む、マルチレベルの効果を提供する。
【0021】
さらに、本発明はマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を製造する方法を提供し、前記方法が、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドを1種類以上のポリマーに封入し、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する工程と、1種類以上の不揮発性バイオサイドと混合する工程を含む。本発明の1つの実施態様において、前記不揮発性バイオサイドは前記揮発性または気体バイオサイドと共に前記ポリマーに封入されてもよい。
【0022】
さらに、本発明は物品または装置の滅菌方法を提供し、前記方法が、1種類以上の揮発性または気体バイオサイド、1種類以上の不揮発性バイオサイド、1種類以上のポリマーを含むマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を提供し、そのうち、前記揮発性または気体バイオサイドが前記ポリマーに封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する工程と、前記材料を物品または装置上に塗布し、放出殺菌、接触殺菌、抗付着効果を備えた抗菌表面コーティングを形成する工程と、を含む。
【0023】
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。これらの実施例は制限ではなく実証を目的として提供されている。
【実施例1】
【0024】
抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Aの作製
【0025】
ClOの水溶液がHCl(0.45mol/L)によって1:1のモル比で活性化された。前記溶液25ミリリットルがレモンオイル(パラフィン溶剤に溶解された天然抽出の10%(v/v)精油、BuAc=1に基づき0.1の低蒸発率(注:HO=0.3))中に懸濁された。5%(w/v)Pluronic P123(EO20PO70EO20;MW5750g/mol;HLB値(hydrophilic lipophilic balance、親水親油バランス)8;ドイツBASF社より購入)界面活性剤溶液25mlが上述の混合液に加えられ、攪拌された(例えば400rpm)。得られたエマルションが50mlの脱イオン水に溶解された2.5g Pluronic F127(EO106PO70EO106;MW12600g/mol;HLB値22;ドイツBASF社から購入)の水性懸濁液に200rpmの攪拌速度で加えられ、1:1:2のw/o/wダブルエマルションを得た。
【実施例2】
【0026】
抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bの作製
【0027】
ClOの水溶液がHCl(0.45mol/L)によって1:1のモル比で活性化された。前記溶液25ミリリットルがレモンオイル(パラフィン溶剤に溶解された天然抽出の10%(v/v)精油、BuAc=1に基づき0.1の低蒸発率(注:HO=0.3))中に懸濁された。5%(w/v)Pluronic P123(EO20PO70EO20; MW5750g/mol;HLB値(hydrophilic lipophilic balance、親水親油バランス)8;ドイツBASF社より購入)界面活性剤溶液25mlが上述の混合液に加えられ、攪拌された(例えば400rpm)。得られたエマルションが50mlの脱イオン水に溶解された2.5g Pluronic F127(EO106PO70EO106;MW12600g/mol;HLB値22;ドイツBASF社から購入)の水性懸濁液に200rpmの攪拌速度で加えられ、1:1:2のw/o/wダブルエマルションを得た。50mM ZnCl(99%、Aldrich)0.25mlが加えられ、最終エマルションとした。別の作製において、CuCl (99%、Aldrich)、AgNO(99%、Aldrich)、または金属塩(すなわち、Zn2+、Cu2+、Agの組み合わせ)をZnClに代えてもよい。
【実施例3】
【0028】
抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Cの作製
【0029】
ClOの水溶液がHCl(0.45mol/L)によって1:1のモル比で活性化された。前記溶液25ミリリットルがパラフィン溶剤中に懸濁され、BuAc=1に基づき0.1の低蒸発率(注:HO=0.3))であった。5%(w/v)Pluronic P123(EO20PO70EO20;MW5750g/mol;HLB値(hydrophilic lipophilic balance、親水親油バランス)8;ドイツBASF社より購入)界面活性剤溶液25mlが上述の混合液に加えられ、攪拌された(例えば400rpm)。得られたエマルションが50mlの脱イオン水に溶解された2.5g Pluronic F127(EO106PO70EO106;MW12600g/mol;HLB値22;ドイツBASF社から購入)の水性懸濁液に200rpmの攪拌速度で加えられ、1:1:2のw/o/wダブルエマルションを得た。500ppmのCuCl(99%、Aldrich)と100ppmのアスコルビン酸(99%、Aldrich)が加えられた。
【実施例4】
【0030】
抗菌w/o/wダブルエマルションの特性
【0031】
(1)前記w/o/wダブルエマルションは、白色不透明から透明の間であり、かつ長期保存で安定性を示す(図1a参照)。
【0032】
(2)前記w/o/wダブルエマルションは光学顕微鏡で検査され、ポリマーに封入されたClOが観察された。図1bに本発明によるポリマーに封入されたClOの写真を示す。直径10〜20ミクロンの微小なエマルションカプセルが光学顕微鏡で観察され、かつカプセル内により小さいミクロンサイズのw/oエマルションの薄い痕跡が見えた。
【0033】
(3)ClOの貯蔵量が0.1Mチオ硫酸ナトリウム(Na、RDH)と澱粉指示薬を用いたヨウ素滴定法によって測定された。
【0034】
(4)貯蔵されたClOが紫外可視分光光度計(Ultrospec 4300 pro)によって検査され、亜塩素酸塩や次亜塩素酸などほかの酸化塩素種の存在が検査された。図1cのスペクトル図は200〜600nmの間で0.5nmの分解能で得られた。前記ダブルエマルションの紫外可視分光光度計はClO(330nm)を検出した。
【0035】
顕微鏡による組成物Aの分析
【0036】
図2aに示すように、被覆されたコーティングのw/o/wダブルエマルションは透明で滑らかな触感のコーティングを表面上に形成した。ゲルとハイドロゲルに一般的な問題である離漿は観察されなかった。
【0037】
コーティングされたw/o/w ダブルエマルションが光学顕微鏡(Olympus BH2−MJLT)とJEOL6300走査電子顕微鏡によって10〜15kVの加速電圧で検査された。図2bに100倍に拡大した表面の光学顕微鏡写真を示す。前記コーティングは均一な特性を示し、堆積されたマイクロカプセルを想起させる。より高倍率での走査電子顕微鏡によるより詳細な検査では、堆積されたマイクロカプセルの小球形(図2c)とそれらに含まれるより小さい0.5〜1μmのカプセルが示された(図2d)。
【0038】
塩化亜鉛塩を含む組成物Bの分析
【0039】
30ppmの塩化亜鉛塩を含む抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bが透過型電子顕微鏡のグリッド上に塗布された。前記コーティングがJEOL JEM 2010高分解能透過型電子顕微鏡で加速電圧200kV、ビーム電流100pA.cm−2で観察された。
【0040】
図3に前記コーティングの詳細な構造を示す概略図を示す。配合物に加えられた微量の塩化亜鉛塩が二酸化塩素と反応し、図3の挿入図に示すように、カプセルの最も外側の表面上に埋め込まれた亜鉛含有ナノ桿状体を原位置に形成する。亜鉛、銅、銀を含む微量の金属塩の追加は、殺菌活動の大幅な増加につながる(例えば、10〜100倍)。
【0041】
ワイピング試験
【0042】
コーティングされた表面がきれいなコットン布で表面に垂直な20Nの力で30回ワイピングされ、磨耗が模擬された。前記コーティングは、表1に示すように、耐久性があり、激しいワイピング後でさえも完全に保たれたが、洗剤水溶液で洗い流される可能性がある。
【0043】
【表1】

a コットン布で表面に垂直な20Nの力で繰り返し30回ワイピングされた。
【実施例5】
【0044】
組成物Aの表面コーティングからのClO放出
【0045】
ClOの短期的放出
【0046】
表面コーティングのClO含量が温度25℃と35℃、相対湿度R.H.60〜80%の槽で異なる時間に測定された。コーティングされたサンプルが固定の時間間隔で取り出され、20mlの脱イオン蒸留水で超音波分解され、前記コーティングが溶解された。過多量のヨウ化カリウム(KI、BDH)が追加され、酸性溶液中でヨウ素滴定法が実施された。遊離ヨウ素(I)が澱粉指示薬と0.1Mチオ硫酸ナトリウム(Na、RDH)によって滴定された。
【0047】
図4aに25℃での7日間の放出実験中の前記コーティングにおけるClO残留量を示す。コーティング材料1グラムにつき毎日温度25℃、相対湿度R.H.60〜80%で約1500μgの気体ClOが放出された。二酸化塩素は35℃で11mg.g-1/日-1の拡散速度で放出される。
【0048】
ClOの長期的放出
【0049】
表面コーティングのClO含量が通気式層流キャビネット内で環境条件下、すなわち温度=20〜26℃、相対湿度=60〜90%で異なる時間に測定された。コーティングされたサンプルが固定の時間間隔で取り出され、20mlの脱イオン蒸留水で超音波分解され、前記コーティングが溶解された。過多量のヨウ化カリウム(KI、BDH)が追加され、酸性溶液中でヨウ素滴定法が実施された。遊離ヨウ素(I)が澱粉指示薬と0.1Mチオ硫酸ナトリウム(Na、RDH)によって滴定された。
【0050】
図4bに25℃での28日間の放出実験中の前記コーティングにおけるClO残留量を示す。コーティング材料1グラムにつき毎日約1300μgの気体ClOが放出された。
【0051】
多様な温度下におけるClOの放出
【0052】
表面コーティングのClO含量が温度25℃、30℃、35℃、相対湿度R.H.60〜80%の槽で異なる時間に測定された。コーティングされたサンプルが固定の時間間隔で取り出され、20mlの脱イオン蒸留水で超音波分解され、前記コーティングが溶解された。過多量のヨウ化カリウム(KI、BDH)が追加され、酸性溶液中でヨウ素滴定法が実施された。遊離ヨウ素(I)が澱粉指示薬と0.1Mチオ硫酸ナトリウム(Na、RDH)によって滴定された。
【0053】
図5に25℃、30℃、35℃で放出されたClO平均量を示す。温度の上昇は拡散速度を速め、人体の体温に接近したとき、w/oエマルションのP123薄膜インターフェイスが不安定になり、封入しているF127薄膜と融合して「合体」し、バイオサイドが高速放出される。
【実施例6】
【0054】
組成物A表面コーティングの抗菌性
【0055】
黄色ブドウ球菌細胞に対する組成物Aの抗菌性
【0056】
前記コーティングされたガラスプレートから放出される二酸化塩素ガスの黄色ブドウ球菌細胞に対する殺菌性が調査された。ブロス培養(約10.cm-3)からの黄色ブドウ球菌接種材料の白金耳量(約100μl)を滅菌TSAプレートに均一に接種した。1mg/cm-2の封入されたClOでコーティングされたガラスがTSAプレートの表面から0.6、3、10mmの固定距離に滅菌された固定の厚さのU字形紙枠を使って配置された。TSAプレートは逆さにして37±0.1℃で一晩培養され、前記コーティングされたガラス下の寒天の細菌成長が調べられた。
【0057】
前記ポリマーに封入されたClO組成物Aコーティングは「放出殺菌」性を提供した。観察された殺菌活動は質量測定データと一致している。コーティングされた表面付近の80ppmのClO気体濃度は、前記コーティングされたガラスから0.6mmの距離に配置された寒天上での細菌成長を阻止するのに充分であることが観察された。前記表面から3mmの距離に配置された前記コーティングされたガラスの真上の寒天上でも細菌成長は観察されなかったが、10mmの距離ではClO濃度が完全に低下し、いかなる殺菌活動も観察されなかった。
【0058】
グラム陽性菌とグラム陰性菌に対する組成物Aの抗菌性(1)
【0059】
10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ5、10、20、30、60分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥(drip−dried)され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0060】
表2に2つのグラム陽性菌(すなわち、枯草菌と黄色ブドウ球菌)及び2つのグラム陰性菌(大腸菌と緑膿菌)について、1mg/cm-2のコーティングされたガラスと10分間及び30分間接触させた後の1日目と7日目の生菌における対数減少値を示す。
【0061】
表2
接触後に死亡した枯草菌、大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌の数(log)

【0062】
グラム陽性菌とグラム陰性菌に対する組成物Aの抗菌性(2)
【0063】
10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ5、10、20、30、60分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0064】
図6に接触時間の関数として生菌の(a)枯草菌と(b)大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌における減少を示す。(c)1mg/cmのポリマーに封入されたClOでコーティングされたガラスとの10、30、60分間の接触後の(1)黄色ブドウ球菌、(2)表皮ブドウ球菌、(3)大腸菌、(4)緑膿菌の細菌細胞生残量を示す。各接触時間について減少割合をグラフに示す。各データは5サンプルずつ3回の繰り返し実験の平均である。
【実施例7】
【0065】
組成物B表面コーティングの抗菌性
【0066】
30ppmの塩化亜鉛塩を含む抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bがグラム陽性菌とグラム陰性菌に対する殺菌活動について試験された。
【0067】
多様な時間でのグラム陽性菌とグラム陰性菌に対する組成物Bの抗菌性
【0068】
10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ1、5、10、30分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0069】
図7に30ppmの塩化亜鉛塩(コーティング)を含む抗菌w/o/wダブルエマルション組成物B、二酸化塩素(溶液)と封入水(プラセボ)でコーティングされた表面と10分間接触させた後の生菌のグラム陽性菌とグラム陰性菌における対数減少値を示す。30ppmの塩化亜鉛を含む抗菌組成物Bは、コーティングされた表面との10分間の接触後、生菌において99%を超える減少が達成された。図は封入がないと二酸化塩素は蒸発して効果がなくなり、またポリマー界面活性剤単独で高い抗菌効果を得ることはできないこともはっきりと示している。
【0070】
図8に30ppmの塩化亜鉛を含む1mg/cm-2の抗菌組成物Bでコーティングされたガラス表面と1、5、10、30分間の接触後の細菌細胞生菌数を示す。結果によると、前記コーティングは10分間またはそれ未満の接触時間で優れた殺菌性と、生菌における5対数減少値(すなわち、99.999%の殺菌)を有することが示された。
【0071】
異なる時間でのグラム陽性菌とグラム陰性菌に対する組成物AとBの抗菌性
【0072】
抗菌組成物AとBでコーティングされたガラスプレートがコーティング後の多様な時間での殺菌活動について検査された。10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ30分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0073】
図9ではマルチレベル抗菌組成物AとBでコーティングされたガラスの28日間の殺菌性を比較する。図は生菌の黄色ブドウ球菌(図9a)と大腸菌(図9b)における前記コーティングされたガラスとの30分間の接触後の対数減少値を示す。抗菌組成物Bでコーティングされたガラスは生菌において28日間以上5対数減少値を維持し、効果的な長期表面殺菌力を提供する。
【実施例8】
【0074】
黄色ブドウ球菌のKirby−Bauerディスク拡散テスト
【0075】
標準のKirby−Bauerディスク拡散テストが黄色ブドウ球菌を使用して実施された。滅菌TSAプレートはブロス培養(約10.cm-3)からの白金耳量(約100μl)の黄色ブドウ球菌接種材料で均一に接種された。滅菌濾紙が100μlの滅菌蒸留水、70%エタノールと抗菌組成物Bでコーティングされた。乾燥後、前記濾紙がTSAプレート上に置かれ、逆さにして37±0.1℃で一晩培養された。100μlの70%エタノールでコーティングされた無乾燥の濾紙が陽性対照として使用された。
【0076】
含浸ウェハを使用して細菌が成長できないウェハ周囲の空いた領域(抑制域と呼ばれる)を比較することで特定の細菌の感受性を試験する標準の抗菌テスト法であるKirby−Bauerディスク拡散テストを実施した。抑制域は抗菌組成物Bでコーティングされて乾燥されたウェハで最大であり、次が70%アルコールのウェハであった。一方70%アルコール(乾燥)と滅菌水(乾燥)は抑制域が観察されなかった。
【実施例9】
【0077】
塩化亜鉛を含む組成物Bの表面コーティングのClO放出と抗菌性
【0078】
組成物Bからの封入されたClOの放出
【0079】
表面コーティングのClO含量が通気式層流キャビネット内で環境条件下、すなわち、温度=20〜26℃、相対湿度=60〜90%で異なる時間に測定された。コーティングされたサンプルが固定の時間間隔で取り出され、脱イオン蒸留水で超音波分解され、前記コーティングが溶解された。過多量のヨウ化カリウム(KI、BDH)が追加され、酸性溶液中でヨウ素滴定法が実施された。遊離ヨウ素(I)が澱粉指示薬と0.1Mチオ硫酸ナトリウム(Na、RDH)によって滴定された。
【0080】
図10に25℃での28日間の放出実験中の前記コーティングにおけるClO残留量を示す。コーティング材料1グラムにつき毎日約1600μgの気体ClOが放出された。
【0081】
組成物Bの抗付着性
【0082】
抗菌組成物Bでコーティングされたガラスプレートがコーティング後の多様な時間での殺菌活動について検査された。10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ10分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0083】
図10に示すように、塩化亜鉛を含む抗菌組成物Bでコーティングされたガラスは28日間殺菌性を示した。図は生菌の黄色ブドウ球菌における前記コーティングされたガラスとの10分間接触後の対数減少値を示す。抗菌組成物Bでコーティングされたガラスは生菌において28日間以上4〜5対数減少値を維持し、効果的な長期表面殺菌力を提供する。
【実施例10】
【0084】
微量の塩化亜鉛の添加による抗菌組成物Bの殺菌性向上
【0085】
10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ1、5、10、20、30、60分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0086】
図11に示すように、微量の塩化亜鉛塩を抗菌組成物Bに添加することで前記コーティングの抗菌性を大幅に高める効果が認められた。前記コーティングされたガラス表面との10分間の接触後、30ppmの塩化亜鉛を含む抗菌組成物の生菌数において10の減少が観察された。
【実施例11】
【0087】
微量の亜鉛、銅、銀塩を含む組成物Bの抗菌性
【0088】
30ppmの塩化銅と30ppmの硝酸銀を含む抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bが実施例2で説明される手順に従って作製された。
【0089】
10.cm-3細菌細胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされた表面に接触して配置された。5サンプルずつ10分間の固定の接触時間で3回実施された。サンプルは20mlの中和液を含む第1培養管内に30分間浸漬され、細菌細胞生残量が安定化された。1%(v/v)0.1M Naを0.1%(v/v)(最終濃度)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)を含む600mlの0.85%(w/v)生理食塩水(NaCl、RDH)溶液に加えて滅菌中和液が新たに作製され、20分間121℃の加圧滅菌器で処理された。前記中和液からの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。24時間37±0.1℃でプレートをインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。サンプルは自然乾燥され、20mlの滅菌ニュートリエントブロス(ニュートリエントブロス2号、Oxoid)を含む第2培養管に10分間移された。前記ニュートリエントブロスからの100マイクロリットルのアリコートがTSAプレート上で培養された。プレートを24時間37±0.1℃でインキュベートした後、生菌の数がカウントされた。
【0090】
試験では、前記コーティングされたガラス基板との10分間の接触後、30ppmの塩化銅を含む抗菌組成物Bは10大腸菌を99%、10枯草菌を>99.999%減少することが示された。前記コーティングされたガラス基板との10分間の接触後、30ppmの硝酸銀を含む抗菌組成物Bは10大腸菌と10枯草菌を>99.999%減少した。
【実施例12】
【0091】
細胞膜損傷の分析
【0092】
マロンジアルデヒド(MDA)試験
【0093】
膜脂質の過酸化によって生成されるマロンジアルデヒド(MDA)のレベルは、ClOによって生じた酸化ストレスと膜損傷の指標と考えられている。MDAはチオバルビツール酸アッセイによって測定された(Esterbauer,H.及びCheeseman,K.H.;Methods Enzymol. 1990、186、407〜421)。
【0094】
10.cm-3枯草菌細胞懸濁液100マイクロリットルが抗菌組成物Aでコーティングされたガラス基板上に置かれ、10分間接触された。細菌が取り出され、5%のトリクロロ酢酸(99.0%、Sigma−Aldrich)とエッペンドルフチューブ内で混合された後、0.6%の2−チオバルビツル酸(98%、Sigma)が添加された。前記溶液が15分間95℃まで加熱され、室温まで冷却し、10000rpmで10分間遠心分離機(Eppendorf 5415C) にかけられた。上清の光学密度が534nmと600nmの間で分光光度計(ICN Biomedicals、156812)によって記録され、MDA濃度が較正基準に対して算出された。
【0095】
図12に示すように、MDAレベルの増加と細胞の死亡の間には緊密な相関性があり、膜損傷は前記コーティングが微生物を不活性化し、殺菌する潜在的なルートの1つである可能性が示された。
【0096】
原子間力顕微鏡による細菌細胞における膜損傷の観察
【0097】
100μlの30ppmの塩化亜鉛含有抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Bが1平方インチの清浄な無菌シリコンウェハ上に塗布された。100μlの10.cm-3大腸菌がコーティングされたウェハ上に置かれ、原子間力顕微鏡(Nanoscope IIIα)でタッピングモード下で観察された。
【0098】
清浄な無菌シリコン表面上の健康な大腸菌細胞と比較したとき、抗菌組成物Bでコーティングされたシリコンと接触した大腸菌細胞の細胞と膜は損傷していることが観察された。これはさらに抗菌組成物が細菌細胞に損傷を与えることを示している。
【実施例13】
【0099】
抗菌w/o/wダブルエマルションの抗付着性
【0100】
清浄なガラスと、0ppmの二酸化塩素を含む(すなわち、プラセボ)抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Aでコーティングされたガラス上での大腸菌K12(Carolina 15−5065A)と黄色ブドウ球菌の付着性が検査された。10cm-3細菌懸濁液200マイクロリットルがコーティングされたガラス及びコーティングされていないガラスの表面上に均一に塗布され、37℃で4時間揺らさずにインキュベートされた。サンプルは滅菌蒸留水で軽く洗浄され、付着していない細菌が除去された。サンプルに対してグラム染色が実施され、光学顕微鏡(1000倍)で観察された画像が記録され、コーティングされた表面及びコーティングされていない表面上の細菌付着の程度が定量化された。
【0101】
図13に示すように、前記コーティングされたガラス上の大腸菌数はコーティングされていないガラスに比べ大幅に少なかった。これは、前記コーティングが細菌の付着を阻止したことを示している。
【0102】
図14に示すように、前記コーティングされたガラス上の黄色ブドウ球菌数はコーティングされていないガラスに比べ大幅に少なかった。プラセボコーティングは封入に使用されたポリマーが抗付着性を促進したことを示した。
【実施例14】
【0103】
抗菌w/o/wダブルエマルション組成物A及びCの殺芽胞性
【0104】
枯草菌芽胞の作製
【0105】
より高い胞子収率を得るために枯草菌(Carolina 15-4921A)細菌細胞がTSAプレート上で37±0.1℃で3日間培養された。1つまたは2つの細菌集落が前記プレートから採取され、5mlの滅菌脱イオン水を含む15mlの遠心管に移された。懸濁液がボルテックスで混合され、細胞と芽胞が分離された。その後2ミリリットルの懸濁液がエッペンドルフチューブに移された。芽胞は遠心分離と水洗浄によって精製された。前記懸濁液は10000gで20分間4℃で遠心分離された。上清が静かに移され、冷たい滅菌脱イオン水(4℃)1mlが加えられ、サンプルが4℃で再懸濁された。前記懸濁液のアリコートが位相差顕微鏡で検査された。遠心分離と洗浄の工程が位相差顕微鏡で示される遊離胞子が99%以上になるまで繰り返された。精製された芽胞がリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で懸濁され、暗所に4℃で最長7日間保管された。懸濁液のアリコートの段階的希釈後に懸濁液中の生きた芽胞の濃度がTSAプレート上のプレートカウント法によって測定された。
【0106】
殺胞子試験
【0107】
10.cm-3枯草菌(Carolina 15−4921A)芽胞懸濁液100マイクロリットルが環境条件(23±2℃、70%R.H.)で滅菌された生物安全キャビネット(NuAire、Nu−425−400E)内でコーティングされたガラス基板とコーティングされていないガラス基板に接触して配置された。測定は5サンプルのセットで0.5、2、8、24、48、72時間の各接触時間について行われた。必要な接触時間の後、基板は20mlの中和液に30分間浸漬され、細菌生残量が安定化された後、ニュートリエントブロス20mlに10分間浸漬された。生きた芽胞の数がTSAプレートでのプレートカウント法で測定された。プレートは一晩37℃でインキュベートされ、コロニーの数がカウントされた。
【0108】
図15に抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Aでコーティングされたガラスと接触された生菌の枯草菌増殖性細胞及び芽胞の対数減少値を示す。
【0109】
抗菌w/o/wダブルエマルション組成物Cでコーティングされたガラスの殺芽胞性は30分間の接触後90%以上の減少を示した。向上された効果は、金属含有ナノ構造の形成と、芽胞を損傷させた酸化銅−アスコルビン酸のダイアド反応(dyad reaction)に起因する。
【0110】
上述の実施例に対し、本発明の要旨から逸脱せずに変更を加えることが可能であることを当業者なら理解するであろう。従って、本発明は開示された特定の実施例に限定されず、本発明は特許請求の範囲によって定義される本発明の要旨と範囲内の変更を含むことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料であって、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドと、1種類以上の不揮発性バイオサイドと、1種類以上のポリマーを含み、そのうち、前記揮発性または気体バイオサイドが前記ポリマーに封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供することを特徴とする、マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項2】
前記揮発性または気体バイオサイドが、可溶性二酸化塩素、可溶性塩素、塩素化化合物、アルコール化合物、フェノール化合物、それらの固体及び(または)液体前駆体、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項3】
前記揮発性バイオサイドが、可溶性二酸化塩素とその前駆体であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項4】
前記揮発性バイオサイドが、可溶性二酸化塩素、可溶性クロライト塩、可溶性塩素の組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項5】
各前記不揮発性バイオサイドが、金属含有バイオサイド、トリクロサン、カルボン酸、糖酸、またはそれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項6】
前記カルボン酸がクエン酸であることを特徴とする、請求項5に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項7】
前記糖酸がアスコルビン酸であることを特徴とする、請求項5に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項8】
前記不揮発性バイオサイドが金属含有バイオサイドであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項9】
各前記金属含有バイオサイドが、1つ以上のVII、IB、IIB、IVA、IVB族金属含有化合物とその塩、及びそれらの組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項10】
前記金属含有バイオサイドが、微量金属含有化合物またはその塩であることを特徴とする、請求項9に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項11】
前記金属含有バイオサイドが、銀、銅または亜鉛含有化合物を含むことを特徴とする、請求項10に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項12】
前記ポリマーが1種類以上のポリマー、1種類以上の高分子界面活性剤、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項13】
前記ポリマーが前記バイオサイドを封入するエマルションを形成し、そのうち、前記バイオサイドが周囲環境にゆっくりと、徐々に、継続して放出されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項14】
前記ポリマーが二層エマルションを形成することを特徴とする、請求項13に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項15】
前記ポリマーが、水相−油相−水相(w/o/w)ダブルエマルションを形成し、前記揮発性または気体バイオサイドがその中に封入されて、前記バイオサイドの徐放性が提供されることを特徴とする、請求項14に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項16】
各ポリマーが、両親媒性ブロックコポリマーとその組み合わせを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項17】
前記両親媒性ブロックコポリマーが、両親媒性ジブロックまたはトリブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項16に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項18】
前記両親媒性ブロックコポリマーが、polyxamerまたはその組み合わせであることを特徴とする、請求項17に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項19】
前記コーティングが、(1)前記揮発性バイオサイドの徐放性による殺菌と微生物成長の阻害、(2)伝染性飛沫との接触時のバイオサイド放出増加、(3)塗布表面に形成される前記不揮発性バイオサイドのナノ構造による微生物の不活性化と付着の阻止を通した、放出殺菌、接触殺菌、抗付着効果を含むマルチレベルの抗菌性を持つ材料によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料。
【請求項20】
マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を製造する方法であって、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドを1種類以上のポリマーに封入し、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する工程と、1種類以上の不揮発性バイオサイドと混合する工程を含むことを特徴とする、マルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を製造する方法。
【請求項21】
前記不揮発性バイオサイドが、前記揮発性または気体バイオサイドと共に前記ポリマーに封入されることを特徴とする、請求項20に記載のマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を製造する方法。
【請求項22】
物品または装置の滅菌方法であって、1種類以上の揮発性または気体バイオサイドと、1種類以上の不揮発性バイオサイドと、1種類以上のポリマーを含むマルチレベルの抗菌性を備えた抗菌表面コーティングを形成する材料を提供し、そのうち前記揮発性または気体バイオサイドが前記ポリマーに封入され、前記揮発性または気体バイオサイドの徐放性を提供する工程と、前記材料を物品または装置上に塗布し、放出殺菌、接触殺菌、抗付着効果を備えた抗菌表面コーティングを形成する工程を含むことを特徴とする、物品または装置の滅菌方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−512190(P2012−512190A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541063(P2011−541063)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/CN2009/001503
【国際公開番号】WO2010/069152
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500540958)香港科技大学 (8)
【Fターム(参考)】