説明

多重化装置及び多重化方法、分離装置及び分離方法、並びにプログラム

【課題】多重フレーム及びスーパーフレームを構成して伝送するシステムにおいて、伝送効率の低下を抑え、同期確立に要する時間を短縮する。
【解決手段】多重化装置1のスロット割り当て部11は、速度情報1〜Jに基づいて、TS1〜TSJの速度が元の速度以上になり、かつ、速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、多重フレーム数を決定しスロット割り当て情報を生成する。ヘッダ生成部12は、多重フレーム数及びスロット割り当て情報に基づいて、位置情報及び更新情報を生成し、多重フレームヘッダを生成する。多重化部13は、速度変換部10−1〜10−Jにおいて速度変換されたTS1〜TSJを入力し、スロット割り当て情報に基づいてデータスロットに格納して多重化し、多重フレームヘッダをヘッダスロットに格納し、多重フレーム及びスーパーフレームを生成して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のトランスポートストリーム(TS)を多重化する際に、トランスポートストリームの独立性を保った状態で、パケット単位に時分割多重する技術、及び、パケット単位に時分割多重されたトランスポートストリームを分離する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のMPEG−2 TS(ISO/IEC(International Organization for standardization:国際標準化機構/International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)13818−1に規定されるトランスポートストリーム)を、独立性を保った状態で、単一のTSを想定した伝送路へ伝送させる方式が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
【0003】
この伝送方式は、多重化装置において、TSパケット(同期バイト(0x47)で始まる固定長(188バイト)のパケット、または、これに固定長のパリティバイトを追加したパケット)列にヘッダを付加して周期的なフレームを生成し、フレームのスロットに収容される各TSパケットについてのスロット位置の情報(以下、スロット割り当て情報という。)を利用することにより、TSパケット列を多重化するものである。また、分離装置において、多重化されたTSパケット列のフレームを受信し、スロット割り当て情報を利用することにより、TSパケット列を分離する。スロット割り当て情報及び必要な同期情報は、TSパケット形式のヘッダ内に格納して伝送される。以下、TSパケット形式のヘッダ及びTSパケットからなるフレームを多重フレームという。
【0004】
多重フレームを用いて伝送するデータは、主にTSを対象とするが、TSと同様の同期バイトで始まる固定長パケット列のデータであれば、TSと同様に伝送可能である。そこで、「MPEG−2 TS」と「ISO/IEC 13818−1には準拠しないがTSと同様に同期バイト(0x47)で始まる固定長パケット列のデータ」とを区別しないで、どちらもTSと表記して説明する。
【0005】
前述の伝送方式に適用される、各TSに対するスロット割り当て手法には、各TSが割り当てられるスロット数及びスロット位置を多重フレーム毎に固定とした静的割り当て法(fixed pre-assignment)、及び、各TSが割り当てられるスロット数及びスロット位置を必要に応じて変化させる動的割り当て法(demand assignment)が知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0006】
(動的割り当て法)
動的割り当て法を実行する場合、多重化装置は、例えば、各TSを一旦バッファに蓄積し、バッファ残量の多いTSからスロットを割り当てる等、予め設定された規則に従って各TSにスロットを割り当て、TSを多重化する。動的割り当て法によれば、後述する静的割り当て法にて必要となるTSの速度変換が不要になり、伝送効率の低下を抑えることができる。
【0007】
(静的割り当て法)
静的割り当て法を実行する場合、多重化装置は、TSに対してヌルパケットを挿入すると共に、TS内のPCR(プログラムクロックリファレンス)の値を書き換えることにより、TSの元の速度を、割り当てるスロット数によって決まる速度に変換する(例えば、非特許文献3を参照)。また、TSが「ISO/IEC 13818−1には準拠しないがTSと同様に同期バイト(0x47)で始まる固定長パケット列のデータ」である場合、同期バイトと適当なスタッフデータからなるパケットを挿入することにより、速度を変換する。以下、ヌルパケットと「同期バイトと適当なスタッフデータからなるパケット」とを区別しないで、ヌルパケットと表記する。速度変換時には、変換後のTSの速度が元の速度よりも高くなるように、整数個の割り当てるスロット数が決定される。これは、TSパケットがスロットを割り当てられないで破棄されることのないようにするためである。
【0008】
静的割り当て法によれば、多重フレーム内のTSパケットが格納される全スロット数をNd、ヘッダが格納される全スロット数をNh、あるTSに割り当てるスロット数をnとすると、TSの速度は、多重フレームのヘッダを含む全データの伝送速度のn/(Nd+Nh)倍で表される。このため、多重フレームを受信する分離装置は、TSのクロックを再生する際に、PLL等を用いてクロック再生を容易に行うことができる。
【0009】
また、静的割り当て法によれば、多重フレーム毎に各TSのスロット数及びスロット位置が固定されているため、多重フレーム内における各TSの位置を示すスロット割り当て情報は変化しない。このため、仮に、伝送中に雑音等の影響を受けて、ある多重フレームヘッダ内のスロット割り当て情報に誤りが発生したとしても、多重フレームを受信する分離装置は、CRC等の誤り検出手段を備えることにより、誤りのあるスロット割り当て情報を破棄することができる。そして、その前に受信した正しいスロット割り当て情報を使用することにより、TSの分離を正しく行うことができる。
【0010】
(スーパーフレームによる伝送)
ところで、多重フレーム毎に繰り返し伝送を行う伝送方式とは別に、予め設定された数の多重フレームによりスーパーフレームを構成し、スーパーフレーム毎に繰り返し伝送する伝送方式が知られている(例えば、非特許文献4を参照)。この伝送方式では、各TSに対して割り当てたスロット数及びスロット位置は、多重フレーム間で同一でないが、スーパーフレーム間では同一であり固定されている。スーパーフレームを受信する分離装置は、多重フレームの同期を確立し、スーパーフレームの同期を確立した後、スーパーフレーム内の各多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得し、各TSに割り当てられたスロット数及びスロット位置を特定し、TSの分離を行う。
【0011】
スーパーフレームの伝送方式によれば、スーパーフレームを構成する多重フレームの数をMとすると、TSパケットが格納される全スロット(Nd×Mスロット)のうちのLスロットを割り当てるTSの速度が、スーパーフレームの伝送速度のL/{(Nd+Nh)×M}倍となるため、変換後の速度をより細かく設定することができる。したがって、各TSに対して挿入するヌルパケットの量がより少なくなるように速度変換することが可能となり、伝送効率の低下を抑えることができる。
【0012】
また、スーパーフレームの伝送方式によれば、スーパーフレーム毎に各TSのスロット数及びスロット位置が固定されているため、スーパーフレームを構成するM個の多重フレームのスロット割り当て情報は変化しない。このため、仮に、伝送中に雑音等の影響を受けて、M個のうち1個以上のスロット割り当て情報に誤りが発生したとしても、スーパーフレームを受信する分離装置は、CRC等の誤り検出手段を備えることにより、誤りのあるスロット割り当て情報を破棄することができる。そして、その前に受信した正しいスロット割り当て情報を使用することにより、TSの分離を正しく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3051729号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ITU−T Rec.J.83、ITU−T Rec.J.183
【非特許文献2】“TDMA通信”、社団法人電子情報通信学会、p140、1989
【非特許文献3】日本CATV技術協会(JCTEA)標準規格STD−002
【非特許文献4】“フレーム構造を用いた同期多重によるデジタル放送のベースバンド一括再送信システム”、 映像情報メディア学会技術報告、BCT2006−159、pp.31−36 、Nov.2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、動的割り当て法、静的割り当て法及びスーパーフレームによる伝送方式には様々な利点がある。しかしながら、動的割り当て法を実行した場合には、多重フレームを用いたときのヘッダを含む全データの伝送速度と、伝送される各TSの速度とが有理数比の関係にならない場合があるため、多重フレームを受信する分離装置において、TSのクロックを再生するクロック再生回路が複雑になるという問題があった。
【0016】
また、多重フレーム毎に各TSのスロット数及びスロット位置が変化するため、スロット割り当て情報が多重フレーム毎に異なってしまう。このため、多重フレームを受信する分離装置では、静的割り当て法の場合と異なり、全てのスロット割り当て情報を正しく受信する必要がある。分離装置は、伝送中に雑音等の影響を受けた多重フレームを受信し、その多重フレーム内のスロット割り当て情報が誤っていたときに、その多重フレームについてTSの分離を正しく行うことができないという問題があった。
【0017】
これに対し、静的割り当て法を実行した場合には、各TSが割り当てられるスロット数及びスロット位置が多重フレーム毎に固定であるから、TSの速度に柔軟に対応することができないという問題があった。また、TSに対してヌルパケットを挿入し速度変換を行うため、伝送効率が低下するという問題があった。
【0018】
スーパーフレームによる伝送方式では、スーパーフレームを構成する多重フレームの数が予め設定されている。このため、スーパーフレームを受信する分離装置は、各TSの速度及び多重化されるTSの数にかかわらず、スーパーフレームの同期を確立するまで一定の時間を必要とする。この同期確立までの時間が長いと、分離装置を起動してからサービスが開始されるまでの待ち時間(例えば、チャンネル配置が変わったり、チャンネルが増えたりしたときの待ち時間)が長くなり、サービスの提供を受けるユーザにとってストレスとなる。
【0019】
そこで、本発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のTSに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、時分割多重し、多重フレーム及びスーパーフレームを構成して伝送するシステムにおいて、伝送効率の低下を抑え、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮可能な多重化装置及び多重化方法、分離装置及び分離方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数のトランスポートストリームに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、前記トランスポートストリームを時分割多重し、1個以上の多重フレームからなるスーパーフレームを生成して前記伝送路へ出力する多重化装置において、前記複数のトランスポートストリームの速度に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの数を決定し、前記多重フレームのデータスロットに前記複数のトランスポートストリームを格納する際の、それぞれのトランスポートストリームに割り当てるスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報を生成するスロット割り当て部と、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記トランスポートストリームの速度を変換する速度変換部と、前記スロット割り当て情報を含む多重フレームヘッダを生成するヘッダ生成部と、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記速度変換されたトランスポートストリームを前記多重フレームのデータスロットに格納して多重化し、前記多重フレームヘッダを前記多重フレームのヘッダスロットに格納し、前記多重フレーム数分の多重フレームからなるスーパーフレームを生成する多重化部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の多重化装置において、前記速度変換部が、前記トランスポートストリームにヌルパケットを挿入して速度を変換し、前記スロット割り当て部が、前記多重化に伴ってトランスポートストリームが欠落しないように、かつ、前記速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、前記多重フレーム数を決定し、前記スロット割り当て情報を生成する、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の多重化装置において、前記トランスポートストリームの数をJ(Jは整数)とし、前記多重フレーム数の最大値をI(Iは整数)とし、A及びBをパラメータとし(Aは正の整数、BはI未満の正の整数)、1/Iスロット単位にスロットを割り当てるように前記トランスポートストリームが速度変換される場合に、前記スロット割り当て部が、前記多重化に伴ってトランスポートストリームが欠落しないように、かつ、前記速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、J個のトランスポートストリームに割り当てるスロット数A+B/I〜A+B/Iをそれぞれ決定し、B=・・・=B=0の場合(1)、前記多重フレーム数を1に決定し、0でないB(jはJ以下の正の整数)が存在し、全ての0でないBに対してI/Bが整数の場合(2)、前記多重フレーム数をLCM{I/B}(LCM{}は最小公倍数を表す)に決定し、前記(1)及び(2)のいずれの条件も満たさない場合、前記多重フレーム数をIに決定する、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の多重化装置において、前記スロット割り当て部が、前記(1)及び(2)のいずれの条件も満たさない場合、前記多重フレーム数をIに決定する代わりに、前記(1)または(2)の条件を満たすようにA及びBを新たに決定し、前記多重フレーム数をLCM{I/B}に決定する、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項5の発明は、請求項1から4までのいずれか一項に記載の多重化装置において、前記ヘッダ生成部が、前記スロット割り当て情報に基づいて、スーパーフレームを構成する多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記位置情報を含む多重フレームヘッダを生成する、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項6の発明は、請求項1から5までのいずれか一項に記載の多重化装置において、前記ヘッダ生成部が、前記スロット割り当て情報に基づいて、スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記更新情報を含む多重フレームヘッダを生成する、ことを特徴とする。
【0026】
さらに、請求項7の発明は、請求項5に記載の多重化装置により出力されたスーパーフレームを入力し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離装置であって、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの同期を確立し、前記スーパーフレームの同期を確立し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、多重フレーム数を求める同期確立部と、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得するスロット割り当て情報取得部と、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離部と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項8の発明は、請求項6に記載の多重化装置により出力されたスーパーフレームを入力し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離装置であって、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報を取得し、前記更新情報からスロット割り当て情報が変化していると判定した場合、前記多重フレームの同期及び前記スーパーフレームの同期を確立し、前記更新情報からスロット割り当て情報が変化していないと判定した場合、前記多重フレームの同期のみを確立する同期確立部と、前記多重フレームの同期及び前記スーパーフレームの同期が確立された場合、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得して出力し、前記多重フレームの同期のみが確立された場合、既に取得しているスロット割り当て情報を出力するスロット割り当て情報取得部と、前記スロット割り当て情報取得部により出力されたスロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離部と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
さらに、請求項9の発明は、複数のトランスポートストリームに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、前記トランスポートストリームを時分割多重し、1個以上の多重フレームからなるスーパーフレームを生成して前記伝送路へ出力する多重化方法において、前記複数のトランスポートストリームの速度に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの数を決定するステップと、前記多重フレームのデータスロットに前記複数のトランスポートストリームを格納する際の、それぞれのトランスポートストリームに割り当てるスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報を生成するステップと、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記トランスポートストリームの速度を変換するステップと、前記スロット割り当て情報を含む多重フレームヘッダを生成するステップと、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記速度変換したトランスポートストリームを前記多重フレームのデータスロットに格納して多重化し、前記多重フレームヘッダを前記多重フレームのヘッダスロットに格納し、前記多重フレーム数分の多重フレームからなるスーパーフレームを生成するステップと、前記スーパーフレームを出力するステップと、を有することを特徴とする。
【0029】
さらに、請求項10の発明は、請求項9の多重化方法により、複数のトランスポートストリームが多重化されてデータスロットに格納され、それぞれのトランスポートストリームに割り当てたスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報、及び多重フレームにより構成されたスーパーフレーム内の前記多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を含む多重フレームヘッダがヘッダスロットに格納され、前記データスロット及びヘッダスロットを有する多重フレームにより構成されたスーパーフレームを入力し、前記多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離方法であって、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの同期を確立するステップと、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、前記スーパーフレームの同期を確立し、多重フレーム数を求めるステップと、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得するステップと、前記スロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離するステップと、を有することを特徴とする。
【0030】
さらに、請求項11の発明は、コンピュータを、前記多重化装置として機能させるための多重化プログラムである。
【0031】
さらに、請求項12の発明は、コンピュータを、前記分離装置として機能させるための分離プログラムである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、多重化装置において、トランスポートストリームの速度に基づいて、多重フレームの数及びスロット割り当て情報を決定するようにした。これにより、スーパーフレームを構成する多重フレームは、トランスポートストリームの速度に基づいた適切な数となるから、スーパーフレームの数が予め設定されている場合に比べ、スーパーフレームのサイズを小さくすることができる。したがって、伝送効率の低下を抑えることができ、分離装置において、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。
【0033】
また、本発明によれば、分離装置において、多重化装置により出力されたスーパーフレームを入力し、スーパーフレームを構成する多重フレームから、多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得し、所定のトランスポートストリームを分離するようにした。このスーパーフレームは、そのサイズが小さくなるように適切な数の多重フレームにより構成されているから、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態による多重化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スロット割り当て部の処理を示すフローチャートである。
【図3】多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(1)を示す図である。
【図4】多重フレームヘッダの構成例を示す図である。
【図5】多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(2)を示す図である。
【図6】多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(3)を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による分離装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同期確立部の処理を示すフローチャートである。
【図9】スロット割り当て情報取得部の処理を示すフローチャートである。
【図10】従来技術による多重フレームの構成例を示す図である。
【図11】従来技術による多重フレーム及びスーパーフレームの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔多重化装置〕
まず、本発明の実施形態による多重化装置について説明する。図1は、多重化装置の構成を示すブロック図である。この多重化装置1は、速度変換部10−1〜10−J、スロット割り当て部11、ヘッダ生成部12及び多重化部13を備えている。多重化装置1は、複数のTSに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、すなわち、各TSについてスーパーフレーム毎の伝送量が同じになるように、スーパーフレーム内のスロットを各TSに割り当て、時分割多重し、多重フレーム及びスーパーフレームを構成し、伝送路を介して後述する分離装置へスーパーフレームを伝送する。
【0036】
多重化装置1が送信すべきJ個(Jは整数)のTS1〜TSJを入力すると、速度変換部10−1〜10−Jは、TS1〜TSJをそれぞれ入力すると共に、スロット割り当て部11からTS1〜TSJに対する速度変換後の正規化速度(変換後の速度を、1スロットあたりの伝送速度で正規化した速度、すなわち1多重フレームあたりの割り当てスロット数)を入力する。そして、速度変換部10−1〜10−Jは、入力したTS1〜TSJの速度をそれぞれ測定し、測定した速度(元の速度)を正規化速度に換算し、換算した元の正規化速度と速度変換後の正規化速度との間の差分について、TS1〜TSJにヌルパケットをそれぞれ挿入し、PCRの値を書き換え、速度変換後のTS1〜TSJを多重化部13に出力する。例えば、入力したTS1に対して測定及び換算した正規化速度が4.134・・・であり、TS1の速度変換後の正規化速度が4.2の場合、速度変換部10−1は、これらの差分に相当する速度(4.2−4.134・・・)のヌルパケットを挿入し、速度変換後のTS1を出力する。尚、速度変換部10−1〜10−Jは、スロット割り当て部11から正規化速度の代わりにスロット割り当て情報を入力し、スロット割り当て情報から速度変換後の正規化速度を算出し、元の正規化速度と速度変換後の正規化速度との間の差分に相当するヌルパケットをTS1〜TSJに挿入するようにしてもよい。尚、正規化速度の詳細については後述する。
【0037】
スロット割り当て部11は、TS1〜TSJの速度情報(レート情報)1〜Jを入力し、速度情報1〜Jに基づいて、速度変換後の正規化速度を決定し、スーパーフレームを構成する多重フレームの数(多重フレーム数)を決定し、スーパーフレーム内の多重フレームに格納される各TSのスロット数及びスロット位置を示すスロット割り当て情報を生成する。そして、スロット割り当て部11は、速度変換後の正規化速度を速度変換部10−1〜10−Jに出力し、スロット割り当て情報をヘッダ生成部12及び多重化部13に出力し、多重フレーム数をヘッダ生成部12に出力する。
【0038】
ここで、速度変換後の正規化速度、多重フレーム数及びスロット割り当て情報は、TS1〜TSJのTSパケットが多重化時に欠落しないように決定及び生成される。すなわち、スーパーフレーム内の多重フレームに格納される各TSの割り当てスロット数は、割り当てたスロット数によって決まる速度(速度変換部10−1〜10−Jにより変換される速度)が、元の速度以上になるように決定される。速度変換後の正規化速度及び多重フレーム数を決定する処理の詳細、スロット割り当て情報を生成する処理の詳細、及びスロット割り当て情報の詳細については後述する。
【0039】
尚、スロット割り当て部11は、TS1〜TSJが一定速度の場合、予め設定された速度情報1〜Jを入力するようにしてもよい。また、TS1〜TSJが可変速度の場合、速度変換部10−1〜10−Jまたは図示しない速度情報測定部により測定された速度情報1〜Jを入力するようにしてもよい。この場合、速度情報測定部は、TS1〜TSJを入力し、TS1〜TSJに基づいて速度情報1〜Jをそれぞれ測定する。
【0040】
ヘッダ生成部12は、スロット割り当て部11からスロット割り当て情報及び多重フレーム数を入力し、スロット割り当て情報及び多重フレーム数に基づいて、スーパーフレームを構成する多重フレームの相対的な位置情報を生成し、スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報を生成する。そして、ヘッダ生成部12は、スーパーフレームを構成する多重フレーム毎に、パケット同期情報、多重フレーム同期情報、スロット割り当て情報、スーパーフレームを構成する多重フレームの相対的な位置情報、及び更新情報を含む多重フレームヘッダを生成して多重化部13に出力する。多重フレームヘッダの詳細については後述する。
【0041】
多重化部13は、速度変換部10−1〜10−Jから速度変換後のTS1〜TSJを入力し、スロット割り当て部11からスロット割り当て情報を入力し、ヘッダ生成部12から多重フレームヘッダを入力する。そして、多重化部13は、スロット割り当て情報に基づいて、TS1〜TSJを多重フレームのデータスロットに格納して多重化し、多重フレームヘッダを多重フレームのヘッダスロットに格納し、多重フレーム及びスーパーフレームを生成し、スーパーフレームを出力する。多重化部13により出力されたスーパーフレームは、多重化装置1から放送網の伝送路を介して後述する分離装置へ、放送波として伝送される。スーパーフレームの構成の詳細については後述する。
【0042】
(スロット割り当て部)
次に、図1に示したスロット割り当て部11について詳細に説明する。前述のとおり、スロット割り当て部11は、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいて、速度変換後の正規化速度及びスーパーフレームを構成する多重フレームの数を決定し、スロット割り当て情報を生成する。すなわち、スロット割り当て部11は、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいて、TS1〜TSJのTSパケットが多重化時に欠落しないように、すなわち、割り当てるスロット数によって決まるTSの速度(速度変換部10−1〜10−Jにより変換される速度)が元の速度以上になるように、速度変換後の正規化速度及び多重フレーム数を決定し、スロット割り当て情報を生成する。
【0043】
図2は、スロット割り当て部11の処理を示すフローチャートである。スロット割り当て部11は、TS1〜TSJの速度情報1〜Jを入力し(ステップS201)、速度情報1〜Jに基づいて、割り当てスロット数を決定したときの割り当てスロット数によって決まる各TSの速度が元の速度以上になり、かつ、速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、TS1〜TSJの割り当てスロット数A+B/I〜A+B/Iを決定する(ステップS202)。ここで、TS1〜TSJの割り当てスロット数A+B/I〜A+B/Iは、1多重フレームあたりの各TSの割り当てスロット数であり、速度変換後の正規化速度である。つまり、速度変換部10−1〜10−Jにおいて、1多重フレーム内のスロットが1/Iスロット単位に割り当てられるように、速度変換が行われる。Iは、スーパーフレームに含まれる多重フレームの数(整数)の最大値を示し、予め設定されているものとする。Aは、正の整数であり、BはI未満の正の整数である。これにより、速度情報1〜Jに応じて、TS毎にA及びBのパラメータが決定される。
【0044】
スロット割り当て部11は、以下の規則に従って、スーパーフレームに含まれる多重フレームの数を決定する。
(1)全てのB〜Bが0である場合(B=・・・=B=0の場合)、スーパーフレーム内の多重フレーム数を1とする。
(2)ゼロでないB(jはJ以下の正の整数)が存在し、かつ、その全てのBについてI/Bが整数である場合、スーパーフレーム内の多重フレーム数をLCM{I/B}とする。LCM{ }は、最小公倍数を演算する関数である。
(3)前記(1)(2)のいずれにもあてはまらない場合、スーパーフレーム内の多重フレーム数をIとする。
【0045】
具体的には、スロット割り当て部11は、ステップS202で決定したB〜BがB〜B=0であるか否かを判定し(ステップS203)、B〜B=0であると判定した場合(ステップS203:Y)、多重フレーム数を1に決定する(ステップS204)。一方、B〜B=0でないと判定した場合(ステップS203:N)、ステップS205へ移行する。
【0046】
スロット割り当て部11は、ゼロでないBについて、全てのI/Bが整数であるか否かを判定し(ステップS205)、ゼロでないBについての全てのI/Bが整数であると判定した場合(ステップS205:Y)、多重フレーム数をLCM{I/B}(I/Bの最小公倍数)に決定する(ステップS206)。一方、ゼロでないBについての全てのI/Bが整数ではない、すなわち、いずれかのI/Bが整数でないと判定した場合(ステップS205:N)、多数フレーム数をIに決定する(ステップS207)。ステップS204,S206,S207にて決定された多重フレーム数をNとする。
【0047】
そして、スロット割り当て部11は、ステップS204,S206,S207から移行して、ステップS202にて決定された、TS1〜TSJの割り当てスロット数A+B/I〜A+B/I、及び、ステップS203〜S207にて決定された多重フレーム数Nに基づいて、スーパーフレームを構成するN個の多重フレームに格納されるTS1〜TSJのスロット数及びスロット位置を示すスロット割り当て情報を生成する(ステップS208)。ここで、スーパーフレームを構成するN個の多重フレームに格納されるTS1〜TSJのスロット数は、1多重フレームあたりの割り当てスロット数であるA+B/I〜A+B/Iに多重フレーム数Nをそれぞれ乗算することにより得られる。また、スーパーフレームを構成するN個の多重フレームにおいて、データが格納されるスロットのうち、TS1〜TSJが格納されるスロット以外の残りのスロットは空きスロットとなる。また、スーパーフレームを構成するN個の多重フレームに格納されるTS1〜TSJのスロット位置(及び空きスロット位置)は、任意に決定される。
【0048】
スロット割り当て部11は、速度変換後の正規化速度を速度変換部10−1〜10−Jに出力し、スロット割り当て情報をヘッダ生成部12及び多重化部13に出力し、多重フレーム数をヘッダ生成部12に出力する(ステップS209)。
【0049】
このように、スロット割り当て部11は、図2に示した処理フローにより、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいて、速度変換後の正規化速度を決定し、スーパーフレームを構成する多重フレーム数を決定し、スロット割り当て情報を生成する。
【0050】
〔具体例〕
次に、多重フレーム数を決定する処理、スロット割り当て情報を生成する処理、多重フレームヘッダを生成する処理、多重フレーム及びスーパーフレームを生成する処理の具体例について説明する。多重化装置1が入力するTSの数をJ=4とし、各TSにおいて、1スロットあたりの伝送速度で正規化した伝送速度をそれぞれTS1=4.134・・・、TS2=2.198・・・、TS3=2、TS4=0.111・・・とし、多重フレームは、11個のデータを格納するスロット(データスロット)と1個のヘッダを格納するスロット(ヘッダスロット)からなるものとする。つまり、1多重フレームにおけるデータを格納する全てのスロットに対する正規化した速度は11となる。ここで、1スロットあたりの伝送速度で正規化した伝送速度(正規化速度)とは、TSの伝送速度を1スロットあたりの伝送速度で除算した速度を示す。例えば、1スロットあたりの伝送速度が1Mbps、入力するTSの速度が2Mbpsのとき、正規化速度は2/1=2となる。
【0051】
(従来の例1)
本発明の実施形態による多重化装置1の前記処理の具体例を説明する前に、従来技術における第1の例として、多重フレーム毎にスロットを固定的に割り当てる場合、すなわち、スーパーフレームを生成しない場合について説明する。この場合、各TSに割り当てるスロット数の最小単位は1であるから、速度変換後の各TSの正規化速度は、TS1=5、TS2=3、TS3=2、TS4=1となる。
【0052】
図10は、従来技術による多重フレームの構成例(速度変換後の各TSの正規化速度がTS1=5、TS2=3、TS3=2、TS4=1のときの構成例)を示す図である。図10に示すように、速度変換後の各TSの正規化速度に従って、ヘッダが格納される1個のスロット、TS1が格納される5個のスロット、TS2が格納される3個のスロット、TS3が格納される2個のスロット、及び、TS4が格納される1個のスロットからなる多重フレームが生成される。多重フレームの全スロットのうちヘッダを除外したスロット数11に対して(多重フレームにおけるデータを格納する全てのスロットの正規化速度11に対して)、入力したTSを速度変換せずにスロットを割り当てた場合のスロット数の合計は(入力したTSにおける正規化速度の合計は)8.442・・・(=4.134・・・+2.198・・・+2+0.111・・・)である。残りの帯域2.557・・・(=11-8.442・・・)は、ヌルパケットが伝送されることになる。
【0053】
(従来の例2)
次に、従来技術における第2の例(前述した非特許文献4の例)として、予め設定されたサイズのスーパーフレームを生成し、スーパーフレーム毎にスロットを固定的に割り当てる場合について説明する。スーパーフレームを構成する多重フレーム数として、M=10が予め設定されているものとする。この場合、各TSに割り当てるスロット数の最小単位は0.1(10個の多重フレーム内の1スロット)であるから、速度変換後の各TSの正規化速度は、TS1=4.2、TS2=2.2、TS3=2.0、TS4=0.2となる。
【0054】
図11は、従来技術による多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(速度変換後の各TSの正規化速度がTS1=4.2、TS2=2.2、TS3=2.0、TS4=0.2のときの構成例)を示す図である。多重化装置により、図11に示す多重フレーム及びスーパーフレームが生成される。多重フレームの全スロットのうちヘッダを除外したスロット数11に対して(多重フレームにおけるデータを格納する全てのスロットの正規化速度11に対して)、速度変換後のTSが格納されるスロット数の合計は(速度変換後のTSにおける正規化速度の合計は)8.6(=4.2+2.2+2.0+0.2)であり、1多重フレームあたり2.4個(1スーパーフレームあたり24個)の空きスロットが生成される。また、TSの速度変換に伴い挿入したヌルパケットの伝送速度は、0.157・・・(=8.6−8.442・・・)となる。空きスロットは別のTSを伝送するために利用することができるから、スーパーフレームを伝送しない場合と比べて伝送効率の低下を抑えられる。
【0055】
(実施例1:多重フレーム数Nを前記(2)により決定する場合、N=5)
次に、図1に示した多重化装置1による実施例について説明する。まず、多重フレーム数Nを決定する規則において、前記(2)の条件を満たす場合(スロット割り当て部11により多重フレーム数N=5が決定される例)について説明する。前述のとおり、TSの数をJ=4とし、多重化装置1が入力する各TSについて、正規化速度(1多重フレームあたりの割り当てスロット数)をそれぞれTS1=4.134・・・、TS2=2.198・・・、TS3=2、TS4=0.111・・・とし、多重フレームは11個のデータを格納するスロットと1個のヘッダを格納するスロットからなるものとし、スーパーフレームを構成する多重フレームの最大値I=10とする。
【0056】
スロット割り当て部11は、速度情報1〜Jである正規化速度TS1=4.134・・・、TS2=2.198・・・、TS3=2、TS4=0.111・・・に基づいて、割り当てスロット数を決定したときの割り当てスロット数によって決まる各TSの速度が元の速度以上になり、かつ、速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、各TSの割り当てスロット数A+B/10〜A+B/10を決定する。すなわち、TS1の割り当てスロット数は4.2(=4+2/10)、TS2の割り当てスロット数は2.2(=2+2/10)、TS3の割り当てスロット数は2.0(=2+0/10)、TS4の割り当てスロット数は0.2(=0+2/10)となり、A=4,B=2,A=2,B=2,A=2,B=0,A=0,B=2となる。
【0057】
速度変換部10−1〜10−4は、スロット割り当て部11から、対応するTSの速度変換後の正規化速度(1多重フレームあたりのスロット割り当て数)を入力し(スロット割り当て情報を入力し、スロット割り当て情報から速度変換後の正規化速度を算出し)、対応するTSの元の正規化速度と、速度変換後の正規化速度との間の差分について、ヌルパケットを挿入する。例えば、速度変換部10−1は、TS1の速度変換後の正規化速度4.2を入力し、TS1の元の正規化速度TS1=4.134・・・と、速度変換後の正規化速度TS1=4.2との間の差分について、伝送速度4.2-4.134・・・分のヌルパケットを挿入することにより、速度変換を実現する。
【0058】
スロット割り当て部11は、決定したパラメータB=2,B=2,B=0,B=2から、図2に示したステップS203において全てのB〜Bが0でなく、ステップS205においてI/B=10/2=5、I/B=10/2=5、I/B=10/2=5であるから、前記(2)の条件を満たし、ステップS206の処理により、多重フレーム数N=5を決定する。
【0059】
図3は、多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(1)を示す図である。この多重フレーム及びスーパーフレームは、多重フレーム数N=5、TS1の割り当てスロット数4.2、TS2の割り当てスロット数2.2、TS3の割り当てスロット数2.0、TS4の割り当てスロット数0.2のときに、多重化部13により生成されるフレームである。スーパーフレームには、TS1が21個(割り当てスロット数4.2×多重フレーム数5)のスロットに格納され、TS2が11個(2.2×5)のスロットに格納され、TS3が10個(2.0×5)のスロットに格納され、TS4が1個(0.2×5)のスロットに格納されている。尚、各TSが格納されるスロットの位置については、必ずしも図3に示した配置である必要はなく、スーパーフレーム内に格納される各TSの数及び空きスロットの数が同じであれば、どのような配置であっても構わない。図6についても同じ。
【0060】
このように、多重化部13により、図3に示した多重フレーム及びスーパーフレームが生成され、このスーパーフレームを構成する多重フレーム数はN=5であり、前述した従来の例2における非特許文献4の技術と比べて、スーパーフレームのサイズが1/2になっている。したがって、スーパーフレームを受信する、後述する分離装置において、スーパーフレームの同期確立のために必要な時間を短縮することができる。
【0061】
図4は、多重フレームヘッダの構成例を示す図である。この多重フレームヘッダは、多重フレーム数N=5、TS1の割り当てスロット数4.2、TS2の割り当てスロット数2.2、TS3の割り当てスロット数2.0、TS4の割り当てスロット数0.2のときに、ヘッダ生成部12により生成されるヘッダである。
【0062】
図4に示すように、多重フレームヘッダは、パケット同期情報、多重フレーム同期情報、スロット割り当て情報、位置情報、更新情報及びその他の情報により構成される。パケット同期情報(0x47)は、TSパケット形式のデータの先頭を示す情報であり、多重フレーム同期情報(0x1a86,0x0579)は、多重フレームの同期を確立させるための情報である。この多重フレーム同期情報は、ITU−T Rec.J.183の規定と同様に、多重フレーム毎に全ビットが反転する2種類の情報からなる。
【0063】
スロット割り当て情報は、前述した非特許文献3と同様に、4ビットの相対TS_idを用いて表され、15個のTS_id(TSのID)、original_network_idと相対TS_idの対応表、及び相対TS_idの表により構成される。これら2つの表によって、各スロットに格納されるTSパケットが指定される。尚、割り当てのない相対TS_idに対応するTS_id、original_network_idは0xFFFFであり、空きスロットの相対TS_idは0x0である。このスロット割り当て情報は、図3に示したスーパーフレームを構成する各多重フレームに格納されるTS1〜TS4及び空きスロットに対応している。例えば、図3から、1番目の多重フレームのデータスロットには、5個のTS1、3個のTS2、2個のTS3及び1個のTS4がこの順序で格納されることがわかる。図4を参照して、これに対応した1番目の多重フレームヘッダ(ヘッダ1)において、スロット割り当て情報の相対TS_idの対応表は、5個の0x1、3個の0x2、2個の0x3及び1個の0x4の順序になっており、図3に対応していることがわかる。
【0064】
位置情報は、スーパーフレームを構成する多重フレーム(における多重フレームヘッダ)の相対的な位置を示す情報である。位置情報は、ビット数が4であり、多重フレーム(における多重フレームヘッダ)の伝送順に1〜5の番号が付与される。伝送順が変化しなければ、どのヘッダから付与を開始してもよい。また、前記例では多重フレームの最大値をI=10としたため、位置情報は、1〜10までの値をとり、最大で10までの値をとるから、位置情報のビット数は4ビット(=16)あれば十分である。更新情報は、スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報である。更新情報は、ビット数が8であり、位置情報に変化があった場合に1が加えられる。最大値(255)に達した場合は、1を加えた結果が0とされる。
【0065】
(実施例2:多重フレーム数Nを前記(1)により決定する場合、N=1)
次に、図1に示した多重化装置1による他の実施例として、多重フレーム数Nを決定する規則において、前記(1)の条件を満たす場合(スロット割り当て部11により多重フレーム数N=1が決定される例)について説明する。多重化装置1が入力するTSの数をJ=4とし、多重化装置1が入力する各TSについて、正規化速度をそれぞれTS1=4、TS2=2、TS3=2、TS4=1とし(TS1,TS2,TS4の伝送速度が実施例1と異なっている)、多重フレームは11個のデータを格納するスロットと1個のヘッダを格納するスロットからなるものとし、スーパーフレームを構成する多重フレームの最大値I=10とする。
【0066】
スロット割り当て部11は、速度情報1〜Jである正規化速度TS1=4、TS2=2、TS3=2、TS4=1に基づいて、各TSの割り当てスロット数A+B/10〜A+B/10を決定する。すなわち、TS1の割り当てスロット数は4.0(=4+0/10)、TS2の割り当てスロット数は2.0(=2+0/10)、TS3の割り当てスロット数は2.0(=2+0/10)、TS4の割り当てスロット数は1.0(=1+0/10)となり、A=4,B=0,A=2,B=0,A=2,B=0,A=1,B=0となる。
【0067】
スロット割り当て部11は、決定したパラメータB=0,B=0,B=0,B=0から、図2に示したステップS203において全てのB〜Bが0であるから、前記(1)の条件を満たし、前述したステップS204の処理により、多重フレーム数N=1を決定する。
【0068】
図5は、多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(2)を示す図である。この多重フレーム及びスーパーフレームは、多重フレーム数N=1、TS1の割り当てスロット数4.0、TS2の割り当てスロット数2.0、TS3の割り当てスロット数2.0、TS4の割り当てスロット数1.0のときに、多重化部13により生成されるフレームである。スーパーフレームには、TS1が4個(割り当てスロット数4.0×多重フレーム数1)のスロットに格納され、TS2が2個(2.0×1)のスロットに格納され、TS3が2個(2.0×1)のスロットに格納され、TS4が1個(1.0×1)のスロットに格納されている。
【0069】
このように、多重化部13により、図5に示した多重フレーム及びスーパーフレームが生成され、このスーパーフレームを構成する多重フレーム数はN=1であり、前述した従来の例2における非特許文献4の技術と比べて、スーパーフレームの大きさが1/10になっている。したがって、スーパーフレームを受信する、後述する分離装置において、スーパーフレームの同期確立のために必要な時間を短縮することができる。
【0070】
(実施例3:多重フレーム数Nを前記(3)により決定する場合、N=10)
次に、図1に示した多重化装置1による他の実施例として、多重フレーム数Nを決定する規則において、前記(3)の条件を満たす場合(スロット割り当て部11により多重フレーム数N=10が決定される例)について説明する。多重化装置1が入力するTSの数をJ=4とし、多重化装置1が入力する各TSについて、正規化速度をそれぞれTS1=4.134・・・、TS2=2.198・・・、TS3=2、TS4=0.211・・・とし(TS4の伝送速度だけが実施例1と異なっている)、多重フレームは11個のデータを格納するスロットと1個のヘッダを格納するスロットからなるものとし、スーパーフレームを構成する多重フレームの最大値I=10とする。
【0071】
スロット割り当て部11は、速度情報1〜Jである正規化速度TS1=4.134・・・、TS2=2.198・・・、TS3=2、TS4=0.211・・・に基づいて、各TSの割り当てスロット数A+B/10〜A+B/10を決定する。すなわち、TS1の割り当てスロット数は4.2(=4+2/10)、TS2の割り当てスロット数は2.2(=2+2/10)、TS3の割り当てスロット数は2.0(=2+0/10)、TS4の割り当てスロット数は0.3(=0+3/10)となり、A=4,B=2,A=2,B=2,A=2,B=0,A=0,B=3となる(Bだけが実施例1と異なっている)。
【0072】
スロット割り当て部11は、決定したパラメータB=2,B=2,B=0,B=3から、図2に示したステップS203において全てのB〜Bが0でなく、ステップS205においてI/B=10/3が整数でないから、前記(3)の条件を満たし、ステップS207の処理により、多重フレーム数N=I=10を決定する。
【0073】
図6は、多重フレーム及びスーパーフレームの構成例(3)を示す図である。この多重フレーム及びスーパーフレームは、多重フレーム数N=10、TS1の割り当てスロット数4.2、TS2の割り当てスロット数2.2、TS3の割り当てスロット数2.0、TS4の割り当てスロット数0.3のときに、多重化部13により生成されるフレームである。スーパーフレームには、TS1が42個(割り当てスロット数4.2×多重フレーム数10)のスロットに格納され、TS2が22個(2.2×10)のスロットに格納され、TS3が20個(2.0×10)のスロットに格納され、TS4が3個(0.3×10)のスロットに格納されている。
【0074】
以上のように、本発明の実施形態による多重化装置1によれば、複数のTSに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、時分割多重し、多重フレーム及びスーパーフレームを構成して伝送するシステムにおいて、スロット割り当て部11が、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいて、割り当てスロット数を決定したときの各TS1〜TSJの速度が元の速度以上になり、かつ、速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、多重フレーム数及びスロット割り当て情報を決定するようにした。また、ヘッダ生成部12が、多重フレーム数及びスロット割り当て情報に基づいて、位置情報及び更新情報を生成し、多重フレームヘッダを生成するようにした。また、多重化部13が、速度変換部10−1〜10−Jにおいて速度変換されたTS1〜TSJを入力し、スロット割り当て情報に基づいて、TS1〜TSJをデータスロットに格納して多重化し、多重フレームヘッダをヘッダスロットに格納し、多重フレーム及びスーパーフレームを生成して出力するようにした。
【0075】
これにより、スーパーフレームは、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいた適切な数の多重フレームにより構成されるから、スーパーフレームのサイズを小さくすることができる。また、TSに挿入されるヌルパケットは最小になるから、各TSの速度変換を適切に行うことができる。したがって、伝送効率の低下を抑え、後述する分離装置においてスーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。さらに、各TSに対して変換後の速度を適切に設定することにより、スーパーフレームのサイズを小さくすることができる等、伝送効率及び同期確立時間に要求される条件に応じて柔軟に対応することができる。
【0076】
〔分離装置〕
次に、本発明の実施形態による分離装置について説明する。図7は、分離装置の構成を示すブロック図である。この分離装置2は、同期確立部20、スロット割り当て情報取得部21及び分離部22を備えている。分離装置2は、多重化装置1により出力されたスーパーフレームを、伝送路を介して入力し、多重フレームの同期を確立し、スーパーフレームの同期を確立し、多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を抽出し、スロット割り当て情報に基づいて、スーパーフレームから、要求されたTSを分離して出力する。
【0077】
同期確立部20は、スーパーフレームを入力し、多重フレームヘッダ内の更新情報が変化していないと判定した場合、スロット割り当て情報に変化がないとして、多重フレームの同期のみを確立する。また、同期確立部20は、更新情報が変化していると判定した場合、スロット割り当て情報に変化があるとして、多重フレームの同期及びスーパーフレームの同期を確立する。そして、同期確立部20は、多重フレームの同期のみを確立した場合、多重フレームの先頭を示す同期情報及びその多重フレームの位置情報をスロット割り当て情報取得部21に出力する。また、同期確立部20は、多重フレーム及びスーパーフレームの同期を確立した場合、スーパーフレームの先頭(例えば、位置情報が1である多重フレームの先頭)を示す同期情報及び多重フレーム数をスロット割り当て情報取得部21に出力する。同期確立部20の詳細については後述する。
【0078】
スロット割り当て情報取得部21は、スーパーフレームを入力すると共に、同期確立部20から、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数、または多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力する。スロット割り当て情報取得部21は、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力した場合、スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから新たなスロット割り当て情報を取得し、分離部22に出力する。また、スロット割り当て情報取得部21は、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力した場合、既に取得していたスロット割り当て情報(位置情報の示す多重フレームのスロット割り当て情報)を記憶手段(図示せず)から読み出し、分離部22に出力する。スロット割り当て情報取得部21の詳細については後述する。
【0079】
分離部22は、スーパーフレームを入力し、スロット割り当て情報取得部21からスロット割り当て情報を入力し、分離装置2において分離が要求されたTSの識別情報(TS_id(TSのID)及びoriginal_network_id(オリジナルネットワークID))を入力する。そして、分離部22は、スロット割り当て情報に基づいて、スーパーフレームを構成する多重フレームから、要求されたTSを分離して出力する。
【0080】
(同期確立部)
次に、図7に示した同期確立部20について詳細に説明する。前述したとおり、同期確立部20は、スーパーフレームを入力し、多重フレームヘッダ内の更新情報が変化していないと判定した場合、スロット割り当て情報に変化がないとして、多重フレームの同期のみを確立する。また、同期確立部20は、更新情報が変化していると判定した場合、スロット割り当て情報に変化があるとして、多重フレームの同期及びスーパーフレームの同期を確立する。
【0081】
図8は、同期確立部20の処理を示すフローチャートである。同期確立部20は、多重フレームヘッダから取得した更新情報(多重フレーム毎の更新情報)を記憶する記憶手段(図示せず)を備えており、多重フレーム及びスーパーフレームの同期を確立し、既に更新情報を記憶しているものとする。同期確立部20は、スーパーフレームを入力し(ステップS801)、入力したスーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから位置情報及び更新情報を取得し(ステップS802)、記憶手段から更新情報を読み出す(ステップS803)。
【0082】
同期確立部20は、多重フレーム毎に、取得した更新情報と読み出した更新情報とを比較し(ステップS804)、更新情報が同じであると判定した場合(ステップS804:Y)、スロット割り当て情報に変化がないと判定し、多重フレーム同期情報のパターンを取得することにより、多重フレームの同期を確立する(ステップS805)。そして、同期確立部20は、多重フレームの先頭を示す同期情報及びその多重フレームの位置情報をスロット割り当て情報取得部21に出力する(ステップS806)。前述したとおり、更新情報は、スロット割り当て情報が変化したか否かを示す情報であるから、取得した更新情報と読み出した更新情報とが同じである場合、スロット割り当て情報は変化していないことになる。一方、更新情報が同じでない場合、スロット割り当て情報は変化していることになるから、多重フレームヘッダから新たなスロット割り当て情報を取得する必要がある。
【0083】
一方、同期確立部20は、ステップS804において、更新情報が同じでないと判定した場合(ステップS804:N)、多重フレーム同期情報のパターンを取得することにより、多重フレームの同期を確立する(ステップS807)。そして、同期確立部20は、多重フレームヘッダ内の位置情報に基づいて、スーパーフレームの同期を確立し(ステップS808)、スーパーフレームを構成する多重フレームの数(多重フレーム数)を決定する(ステップS809)。前述したとおり、位置情報は、スーパーフレームを構成する多重フレームの相対的な位置を示す情報であり、多重フレームの伝送順に番号が付与されている。したがって、スーパーフレームを構成する多重フレームの位置情報が示す番号のうち、最も大きい番号が多重フレーム数となる。
【0084】
同期確立部20は、取得した更新情報(新たな更新情報)を記憶手段に記憶し、既に記憶していた更新情報に上書きする(ステップS810)。そして、同期確立部20は、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数をスロット割り当て情報取得部21に出力する(ステップS811)。
【0085】
このように、同期確立部20は、更新情報が変化していないと判定した場合、スロット割り当て情報に変化がないとして、多重フレーム同期情報のパターンを取得することにより多重フレームの同期のみを確立し、多重フレームの先頭を示す同期情報及びその多重フレームの位置情報をスロット割り当て情報取得部21に出力する。また、同期確立部20は、更新情報が変化していると判定した場合、スロット割り当て情報に変化があるとして、多重フレームの同期を確立し、多重フレームヘッダ内の位置情報に基づいてスーパーフレームの同期を確立し、多重フレーム数を設定し、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数をスロット割り当て情報取得部21に出力し、スロット割り当て情報取得部21に新たなスロット割り当て情報を取得させる。
【0086】
(スロット割り当て情報取得部)
次に、図7に示したスロット割り当て情報取得部21について詳細に説明する。前述したとおり、スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20から、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力した場合、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダから新たなスロット割り当て情報を取得する。また、スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20から、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力した場合、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得しないで、既に取得していたスロット割り当て情報(位置情報の示す多重フレームのスロット割り当て情報)を記憶手段(図示せず)から読み出す。
【0087】
図9は、スロット割り当て情報取得部21の処理を示すフローチャートである。スロット割り当て情報取得部21は、多重フレームヘッダから取得したスロット割り当て情報及び位置情報(多重フレーム毎のスロット割り当て情報及び位置情報)を記憶する記憶手段(図示せず)を備えており、スロット割り当て情報及び位置情報を既に記憶しているものとする。
【0088】
スロット割り当て情報取得部21は、スーパーフレームを入力し(ステップS901)、同期確立部20からスーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力したか否かを判定する(ステップS902)。
【0089】
スロット割り当て情報取得部21は、ステップS902において、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力したことを判定した場合(ステップS902:Y)、スーパーフレームの先頭を示す同期情報に基づいてスーパーフレームを認識し、スーパーフレームを構成する多重フレーム数分の多重フレームについて、多重フレームヘッダから全ての多重フレームについてのスロット割り当て情報及び位置情報を取得し、記憶手段に記憶する(ステップS903)。この場合、既に記憶していたスロット割り当て情報及び位置情報を廃棄する。そして、スロット割り当て情報取得部21は、取得した全ての多重フレームについてのスロット割り当て情報を分離部22に出力する(ステップS904)。
【0090】
一方、スロット割り当て情報取得部21は、ステップS902において、スーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力していないことを判定した場合(ステップS902:N)、同期確立部20から、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力したか否かを判定する(ステップS905)。
【0091】
スロット割り当て情報取得部21は、ステップS905において、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力したことを判定した場合(ステップS905:Y)、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報に基づいて、位置情報の示す多重フレームを認識し、その多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得することなく、入力した位置情報をキーにして、記憶手段からスロット割り当て情報を読み出す(ステップS906)。そして、スロット割り当て情報取得部21は、読み出したスロット割り当て情報を分離部22に出力する(ステップS907)。一方、スロット割り当て情報取得部21は、ステップS905において、多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力していないことを判定した場合(ステップS905:N)、異常処理を行う。
【0092】
このように、スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20からスーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数を入力した場合、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得する。また、スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20から多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力した場合、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得しないで、既に取得していたスロット割り当て情報を記憶手段から読み出す。
【0093】
〔具体例〕
次に、多重フレームの同期及びスーパーフレームの同期を確立する処理、並びにスロット割り当て情報を取得する処理の具体例について説明する。分離装置2には、図3に示したスーパーフレームが入力されるものとし、多重フレームには、図4に示した多重フレームヘッダが付加されているものとする。また、同期確立部20における多重フレーム同期及びスーパーフレーム同期の後方保護段数を3とし、前方保護は無いものとする。
【0094】
(実施例4:更新情報が変化した場合)
まず、更新情報が変化した場合(スロット割り当て情報が変化した場合)について説明する。例えば、同期確立部20の記憶手段には、更新情報0x7が記憶されており、同期確立部20が、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダから更新情報0x8を取得したものとする。
【0095】
同期確立部20は、多重フレームヘッダから所得した更新情報0x8と、記憶手段から読み出した更新情報0x7とを比較し、更新情報が同じでないと判定し、多重フレームの同期及びスーパーフレームの同期を確立する。具体的には、同期確立部20は、多重フレーム同期情報(0x1a86,0x0579)のパターンを3回連続して正しいタイミングで受信したことを判定することにより、多重フレームの先頭位置を決定(確立)する。これにより、多重フレームの同期が確立する。そして、同期確立部20は、多重フレームヘッダから位置情報を取得し、1〜5の値を3周期連続して受信したことを判定することにより、5個の多重フレームによってスーパーフレームが構成されていると判断し、位置情報が1である多重フレームの先頭を、スーパーフレームの先頭位置であると決定(確立)する。これにより、スーパーフレームの同期が確立する。
【0096】
同期確立部20は、記憶手段に記憶している更新情報0x7に、新しく取得した更新情報0x8を上書きする。そして、同期確立部20は、スーパーフレームの先頭位置が反映された同期情報(先頭を示す同期情報)及び多重フレーム数5をスロット割り当て情報取得部21に出力する。
【0097】
スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20からスーパーフレームの先頭を示す同期情報及び多重フレーム数5を入力することにより、更新情報が変化しており、新たなスロット割り当て情報を取得する必要があることを判断し、スーパーフレーム内に5種類の多重フレームが存在することを判断する。スロット割り当て情報取得部21は、スーパーフレームの先頭を示す同期情報に基づいてスーパーフレームを認識し、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダから、5個の多重フレームについてのスロット割り当て情報及び位置情報を取得し、記憶手段に記憶していたスロット割り当て情報及び位置情報を廃棄し、取得したスロット割り当て情報及び位置情報を記憶手段に記憶する。そして、スロット割り当て情報取得部21は、取得したスロット割り当て情報を分離部22に出力する。
【0098】
(実施例5:更新情報が変化していない場合)
次に、更新情報が変化していない場合(スロット割り当て情報が変化していない場合)について説明する。例えば、同期確立部20の記憶手段には、更新情報0x8が記憶されており、同期確立部20が、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダから更新情報0x8を取得したものとする。
【0099】
同期確立部20は、多重フレームヘッダから所得した更新情報0x8と、記憶手段から読み出した更新情報0x8とを比較し、更新情報が同じであると判定し、多重フレームの同期のみを確立する。具体的には、同期確立部20は、多重フレーム同期情報(0x1a86,0x0579)のパターンを3回連続して正しいタイミングで受信したことを判定することにより、多重フレームの先頭位置を決定(確立)する。これにより、多重フレームの同期が確立する。そして、同期確立部20は、多重フレームヘッダから位置情報を取得し、多重フレームの先頭位置が反映された同期情報(先頭を示す同期情報)及び位置情報をスロット割り当て情報取得部21に出力する。
【0100】
スロット割り当て情報取得部21は、同期確立部20から多重フレームの先頭を示す同期情報及び位置情報を入力することにより、更新情報が変化しておらず、新たなスロット割り当て情報を取得する必要がないことを判断する。スロット割り当て情報取得部21は、入力した位置情報と同じ位置情報に対応したスロット割り当て情報を記憶手段から読み出し、分離部22に出力する。
【0101】
以上のように、本発明の実施形態による分離装置2によれば、多重化装置1から、TSが元の速度以上になり、かつヌルパケットが最小になるようにTSのスロットが割り当てられ、所定数以下の多重フレームにより構成されたスーパーフレームを入力し、同期確立部20が、更新情報を記憶する記憶手段を備え、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダの更新情報が変化している場合、多重フレーム及びスーパーフレームの同期を確立し、更新情報が変化していない場合、多重フレームの同期のみを確立するようにした。また、スロット割り当て情報取得部21が、スロット割り当て情報及び位置情報を記憶する記憶手段を備え、更新情報が変化していない場合、スーパーフレーム内の多重フレームヘッダからスロット割り当て情報を取得することなく、記憶手段からスロット割り当て情報を読み出すようにした。
【0102】
多重化装置1から入力したスーパーフレームは、TS1〜TSJの速度情報1〜Jに基づいた適切な数の多重フレームにより構成されているから、スーパーフレームのサイズは、予め設定された固定サイズではなく、適切に小さくなっている。したがって、分離装置2は、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。
【0103】
また、同期確立部20が、取得した更新情報を記憶手段に記憶し、スロット割り当て情報取得部21が、取得したスロット割り当て情報及び位置情報を記憶手段に記憶するから、同期確立部20は、それ以降、入力したスーパーフレーム内の多重フレームヘッダの更新情報に変化がない限り、多重フレームの同期を確立する処理のみを行うことで、分離部22は、記憶手段に記憶された以前と同じスロット割り当て情報を用いてTSを分離することができる。つまり、スーパーフレームの同期を確立することなく、多重フレームの同期を確立するだけで、TSの分離処理が行われる。また、分離装置2がある多重フレーム内のスロット割り当て情報を誤って受信したとしても、記憶手段に記憶された以前と同じスロット割り当て情報を用いてTSを分離することができる。したがって、多重フレームの同期の確立に加えてスーパーフレームの同期を確立した後にTSの分離処理が行われる従来技術に比べ、TSの分離処理のための同期確立に要する時間を短縮することができる。
【0104】
前述した実施例4,5において、更新情報が変化している場合及び更新情報が変化していない場合を、多重フレームの同期が確立していない状態から多重フレームヘッダ内の情報を取得するまでの間の所要時間で比較する。多重フレームの同期の確立に要する時間は、多重フレーム長×3であり、スーパーフレームの同期の確立に要する時間は、スーパーフレーム長×3である。したがって、更新情報が変化している場合の所要時間は、多重フレームの同期の確立に要する時間とスーパーフレームの同期の確立に要する時間とを加算した時間になる。一方、更新情報が変化していない場合の所要時間は、多重フレームの同期の確立に要する時間と等しくなる。これにより、更新情報が変化していない場合には、多重フレームヘッダ内の情報を取得しTSの分離処理を行うための同期確立に要する時間を、スーパーフレームの同期の確立に要する時間であるスーパーフレーム長×3の時間分短縮することができる。
【0105】
〔変形例1〕
次に、図1に示した多重化装置1における第1の変形例(変形例1)について説明する。変形例1は、多重フレーム数を決定する処理において、前述の(1)〜(3)の条件のうち(3)の条件を満たす場合(多重フレーム数が最大値Iに決定される場合)、強制的に(1)または(2)の条件を満たすようにパラメータA,Bを変更する。すなわち、多重フレーム数を小さくするため、最大値Iに決定されないように処理を行う。
【0106】
変形例1の多重化装置1は、前述した処理とは異なる処理を行うスロット割り当て部11を備えている。図2に示した処理フローでは、スロット割り当て部11は、ステップS205において、ゼロでないBについての全てのI/Bが整数ではない、すなわち、いずれかのI/Bが整数でないと判定した場合(ステップS205:N)、多数フレーム数を最大値Iに決定する(ステップS207)。これに対し、変形例1のスロット割り当て部11は、ステップS207の処理の代わりに、全てのBを0にするためのA,Bを決定し、ステップS204の処理を行い、スーパーフレーム内の多重フレーム数を1に決定する。または、整数でないI/Bを整数にするためのA,Bを決定し、新たなI/Bを用いてステップS206の処理を行い、多重フレーム数をLCM{I/B}(I/Bの最小公倍数)に決定する。
【0107】
このように、変形例1の多重化装置1によれば、整数でないI/Bを有するTSjについては、速度変換部10−jによる速度変換に伴って伝送効率が低下するが、スーパーフレームを構成する多重フレームの数が小さくなるから、スーパーフレームのサイズを小さくすることができ、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。したがって、伝送効率及び同期確立時間に要求される条件に応じて柔軟に適用することが可能となる。
【0108】
例えば、前述の実施例3では、TS1の割り当てスロット数(速度変換後の正規化速度)は4.2(=4+2/10)、TS2の割り当てスロット数は2.2(=2+2/10)、TS3の割り当てスロット数は2.0(=2+0/10)、TS4の割り当てスロット数は0.3(=0+3/10)であり、A=4,B=2,A=2,B=2,A=2,B=0,A=0,B=3であった。そして、ステップS205においてI/B=10/3が整数でないから、前記(3)の条件を満たし、ステップS207の処理により、多重フレーム数は10(最大値I)に決定される。
【0109】
これに対し、変形例1では、TS4の割り当てスロット数を0.3ではなく1.0とし、すなわち、A=0,B=3の代わりに、A=1,B=0とすることにより、前記(2)の条件を満たすことになり、多重フレーム数は5に決定される。つまり、TS4の速度変換後の正規化速度0.3を1.0に変更することにより、前記(2)の条件を満たすことになり、多重フレーム数が5に決定される。この場合、TS4の速度変換に伴う伝送効率の低下を許容することによって、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。
【0110】
〔変形例2〕
次に、図1に示した多重化装置1における第2の変形例(変形例2)について説明する。変形例2は、多重フレーム数を決定する処理において、前述の(1)〜(3)の条件のうち、(3)の条件(ゼロでないBについての全てのI/Bが整数ではない、すなわち、いずれかのI/Bが整数でない)を満たすことなく、(2)の条件(ゼロでないB〜Bについて全てのI/B〜I/Bが整数である)を満たすように、多重フレーム数の最大値Iを予め設定する。すなわち、多重フレーム数が最大値Iに決定される確率を下げ、多重フレーム数が1〜I−1に決定される確率を上げるように処理を行う。
【0111】
具体的には、スロット割り当て部11は、以下に示す多重フレーム数の最大値Iを用いて処理を行う。多重フレーム内のスロットを割り当てる単位(1/Iスロット)は、多重フレーム数の最大値Iが素数以外の正の整数となる範囲内で、自由に設定することができる。つまり、多重フレーム数の最大値Iを、より多くの素因数を持つ値に設定する。多重フレーム数の最大値Iを素数に設定した場合は、I/BがB=Iのときに整数1になるが、それ以外のときは整数にならない。この場合、多重フレーム数の最大値Iを素数以外の値(より多くの素因数を持つ値)に設定した場合よりも、I/Bが整数になる確率が低くなり、(3)の条件を満たす確率が高くなる。したがって、多重フレーム数の最大値Iを、より多くの素因数を持つ値に設定することにより、スーパーフレーム内の多重フレーム数を決定する前記(1)〜(3)の条件のうち、(2)の条件を満たす確率が高くなり、(3)の条件を満たす確率が低くなる。つまり、スーパーフレームのサイズを小さくすることができ、スーパーフレームの同期確立に要する時間を短縮することができる。
【0112】
本発明の実施形態による多重化装置1及び分離装置2のハード構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。多重化装置1及び分離装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。多重化装置1に備えた速度変換部10−1〜10−J、スロット割り当て部11、ヘッダ生成部12及び多重化部13の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、分離装置2に備えた同期確立部20、スロット割り当て情報取得部21及び分離部22の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0113】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 多重化装置
2 分離装置
10−1〜10−J 速度変換部
11 スロット割り当て部
12 ヘッダ生成部
13 多重化部
20 同期確立部
21 スロット割り当て情報取得部
22 分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランスポートストリームに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、前記トランスポートストリームを時分割多重し、1個以上の多重フレームからなるスーパーフレームを生成して前記伝送路へ出力する多重化装置において、
前記複数のトランスポートストリームの速度に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの数を決定し、前記多重フレームのデータスロットに前記複数のトランスポートストリームを格納する際の、それぞれのトランスポートストリームに割り当てるスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報を生成するスロット割り当て部と、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記トランスポートストリームの速度を変換する速度変換部と、
前記スロット割り当て情報を含む多重フレームヘッダを生成するヘッダ生成部と、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記速度変換されたトランスポートストリームを前記多重フレームのデータスロットに格納して多重化し、前記多重フレームヘッダを前記多重フレームのヘッダスロットに格納し、前記多重フレーム数分の多重フレームからなるスーパーフレームを生成する多重化部と、
を備えたことを特徴とする多重化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多重化装置において、
前記速度変換部は、前記トランスポートストリームにヌルパケットを挿入して速度を変換し、
前記スロット割り当て部は、前記多重化に伴ってトランスポートストリームが欠落しないように、かつ、前記速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、前記多重フレーム数を決定し、前記スロット割り当て情報を生成する、ことを特徴とする多重化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の多重化装置において、
前記トランスポートストリームの数をJ(Jは整数)とし、前記多重フレーム数の最大値をI(Iは整数)とし、A及びBをパラメータとし(Aは正の整数、BはI未満の正の整数)、1/Iスロット単位にスロットを割り当てるように前記トランスポートストリームが速度変換される場合に、
前記スロット割り当て部は、
前記多重化に伴ってトランスポートストリームが欠落しないように、かつ、前記速度変換時に挿入されるヌルパケットが最小になるように、J個のトランスポートストリームに割り当てるスロット数A+B/I〜A+B/Iをそれぞれ決定し、
=・・・=B=0の場合(1)、前記多重フレーム数を1に決定し、0でないB(jはJ以下の正の整数)が存在し、全ての0でないBに対してI/Bが整数の場合(2)、前記多重フレーム数をLCM{I/B}(LCM{}は最小公倍数を表す)に決定し、前記(1)及び(2)のいずれの条件も満たさない場合、前記多重フレーム数をIに決定する、ことを特徴とする多重化装置。
【請求項4】
請求項3に記載の多重化装置において、
前記スロット割り当て部は、前記(1)及び(2)のいずれの条件も満たさない場合、前記多重フレーム数をIに決定する代わりに、前記(1)または(2)の条件を満たすようにA及びBを新たに決定し、前記多重フレーム数をLCM{I/B}に決定する、ことを特徴とする多重化装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の多重化装置において、
前記ヘッダ生成部は、前記スロット割り当て情報に基づいて、スーパーフレームを構成する多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記位置情報を含む多重フレームヘッダを生成する、ことを特徴とする多重化装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の多重化装置において、
前記ヘッダ生成部は、前記スロット割り当て情報に基づいて、スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報を生成し、前記スロット割り当て情報及び前記更新情報を含む多重フレームヘッダを生成する、ことを特徴とする多重化装置。
【請求項7】
請求項5に記載の多重化装置により出力されたスーパーフレームを入力し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離装置であって、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの同期を確立し、前記スーパーフレームの同期を確立し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、多重フレーム数を求める同期確立部と、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得するスロット割り当て情報取得部と、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離部と、
を備えたことを特徴とする分離装置。
【請求項8】
請求項6に記載の多重化装置により出力されたスーパーフレームを入力し、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離装置であって、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記スロット割り当て情報が変化したか否かを示す更新情報を取得し、前記更新情報からスロット割り当て情報が変化していると判定した場合、前記多重フレームの同期及び前記スーパーフレームの同期を確立し、前記更新情報からスロット割り当て情報が変化していないと判定した場合、前記多重フレームの同期のみを確立する同期確立部と、
前記多重フレームの同期及び前記スーパーフレームの同期が確立された場合、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得して出力し、前記多重フレームの同期のみが確立された場合、既に取得しているスロット割り当て情報を出力するスロット割り当て情報取得部と、
前記スロット割り当て情報取得部により出力されたスロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離部と、
を備えたことを特徴とする分離装置。
【請求項9】
複数のトランスポートストリームに対して伝送路のタイムスロットを固定的に割り当て、前記トランスポートストリームを時分割多重し、1個以上の多重フレームからなるスーパーフレームを生成して前記伝送路へ出力する多重化方法において、
前記複数のトランスポートストリームの速度に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームの数を決定するステップと、
前記多重フレームのデータスロットに前記複数のトランスポートストリームを格納する際の、それぞれのトランスポートストリームに割り当てるスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報を生成するステップと、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記トランスポートストリームの速度を変換するステップと、
前記スロット割り当て情報を含む多重フレームヘッダを生成するステップと、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記速度変換したトランスポートストリームを前記多重フレームのデータスロットに格納して多重化し、前記多重フレームヘッダを前記多重フレームのヘッダスロットに格納し、前記多重フレーム数分の多重フレームからなるスーパーフレームを生成するステップと、
前記スーパーフレームを出力するステップと、
を有することを特徴とする多重化方法。
【請求項10】
請求項9の多重化方法により、複数のトランスポートストリームが多重化されてデータスロットに格納され、それぞれのトランスポートストリームに割り当てたスロットの数及び位置が規定されたスロット割り当て情報、及び多重フレームにより構成されたスーパーフレーム内の前記多重フレームの相対的な位置を示す位置情報を含む多重フレームヘッダがヘッダスロットに格納され、前記データスロット及びヘッダスロットを有する多重フレームにより構成されたスーパーフレームを入力し、前記多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離する分離方法であって、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの同期を確立するステップと、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから位置情報を取得し、前記位置情報に基づいて、前記スーパーフレームの同期を確立し、多重フレーム数を求めるステップと、
前記スーパーフレームを構成する多重フレームの多重フレームヘッダから、前記多重フレーム数分のスロット割り当て情報を取得するステップと、
前記スロット割り当て情報に基づいて、前記スーパーフレームを構成する多重フレームから所定のトランスポートストリームを分離するステップと、
を有することを特徴とする分離方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から6までのいずれか一項に記載の多重化装置として機能させるための多重化プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項7または8に記載の分離装置として機能させるための分離プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−223131(P2011−223131A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87476(P2010−87476)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】